JP2007081209A - 固体電解コンデンサ - Google Patents
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Abstract
【課題】 導電性接着剤を用いて接続部材をリードフレーム等に接続した場合であっても特性が低下することを防止する固体電解コンデンサの提供。
【解決手段】 固体電解コンデンサ1を構成する4つのコンデンサ素子10〜40の陽極部11〜41の端部11B〜41Bには、接続部材60の接続部本体61が電気的に接続されている。接続部材60の底部62の面62Bの全体にはAgめっきが施されている。底部62は、銀−エポキシ系接着剤たる導電性接着剤71によってプリント基板50の第1の導電パターン51Aに電気的に接続されており、陰極部12〜42も導電性接着剤71によって第2の導電パターン52Aに電気的に接続されている。
【選択図】図1
【解決手段】 固体電解コンデンサ1を構成する4つのコンデンサ素子10〜40の陽極部11〜41の端部11B〜41Bには、接続部材60の接続部本体61が電気的に接続されている。接続部材60の底部62の面62Bの全体にはAgめっきが施されている。底部62は、銀−エポキシ系接着剤たる導電性接着剤71によってプリント基板50の第1の導電パターン51Aに電気的に接続されており、陰極部12〜42も導電性接着剤71によって第2の導電パターン52Aに電気的に接続されている。
【選択図】図1
Description
本発明は固体電解コンデンサに関し、特に複数のコンデンサ素子が積層され電気的に並列接続されてなる固体電解コンデンサに関する。
固体電解コンデンサとしては、高い静電容量を確保するために複数のコンデンサ素子が積層され電気的に並列接続されている構成が従来より知られている。例えば、特開平5−205984号公報(特許文献1参照)にはこの構成の積層型固体電解コンデンサが記載されている。積層型固体電解コンデンサを構成する複数の単板コンデンサたるコンデンサ素子は、各陽極部間にそれぞれスペーサが挟まれた状態で積層されている。
陽極部及びスペーサの端面は溶接されており、このことにより各コンデンサ素子の陽極部は、機械的及び電気的に接合されている。各コンデンサ素子の陰極部は、銀ペーストにより互いに電気的に接続されている。積層されたコンデンサ素子の陽極部と、各コンデンサ素子の陰極部を接続する銀ペースとには、いわゆるユーザ電極となるリードフレームがそれぞれ接合されている。
特開平5−205984号公報
各コンデンサ素子の陽極部を機械的及び電気的に接合するための溶接の方法としては、例えば、レーザ照射による溶接方法が考えられる。コンデンサ素子の積層方向に交差する方向、例えば、当該積層方向に垂直の方向から、積層されたコンデンサ素子の端面に向けてレーザを照射する方法である。
しかし、積層された状態のコンデンサ素子の陽極部及びスペーサの端面に対して実際にレーザを照射すると、レーザが照射される各コンデンサ素子の陽極部の端部を規定する端面の部分であってレーザ照射により溶融して陽極部同士が互いに接続される溶融部及び接合部に、比較的大きな略球形の空隙が高い確率で形成される。このような空隙は導通不良の原因となり、空隙が形成されたコンデンサ素子を有する固体電解コンデンサは不良品となる。
コンデンサ素子の陽極部間にスペーサを設けずに、陽極部どうしを直接積層させたものの当該陽極部の端部にレーザを照射してみた場合であっても、同様に空隙が形成される。この場合には、スペーサを陽極部間に介在させた場合よりも、より大きな空隙が形成されてしまい、不良の発生を防止することはできない。
ここで、導電性の材料からなり積層されたコンデンサ素子の当該積層方向における長さと同一の長さの接続部材を用意してコンデンサ素子の陽極部に接続することが考えられる。具体的には接続部材を、積層されたコンデンサ素子の最上層から最下層にわたって、積層された全てのコンデンサ素子の陽極部の端部に当接させた状態で、コンデンサ素子の積層方向に交差する方向且つ接続部材に関してコンデンサ素子の反対側からレーザを接続部材に照射して、接続部材の一部及び陽極部の端部の一部を溶融させ、接続部材を陽極部の各端部の先端に接合し電気的に接続させる。
そして、接続部材の一部であってコンデンサ素子の陽極部の端部に接続されていない部分をリードフレームに対向させ、接続部材に関してリードフレームの反対側から接続部材に対してレーザ照射することにより、当該接続部材の部分をリードフレームに電気的に接続することが考えられる。
しかし、このようにレーザ照射により接続部材の一部をリードフレームに接続すると、製造工程が複雑になり、固体電解コンデンサを製造するコストを低減することが困難である。そこで、導電性接着剤を用いて接続部材の一部をリードフレームに接続することが考えられる。
ここで、導電性接着剤としては、例えば銀をエポキシ樹脂等に混合してなる銀ペースト等が考えられる。また、接続部材を構成する材料としては、SUSやFe−Ni合金あるいはNi等が考えられる。しかし、これらのような接続部材表面が自然酸化されてしまう材料の場合、導電性接着材を用いて接続部材とリードフレームとを接続すると、自然酸化膜によるESR(等価直列抵抗)が増加し、固体電解コンデンサの特性が低下する。
そこで、本発明は、導電性接着剤を用いて接続部材をリードフレーム等に接続した場合であっても特性が低下することを防止する固体電解コンデンサを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、弁作用金属からなり表面に酸化膜層が形成された陽極部と、該表面の所定の領域に固体電解質層を有して層状に形成された陰極部とにより構成されるコンデンサ素子を複数備え、該複数のコンデンサ素子は該陽極部の端部同士が互いに隣接して積層配置されるとともに該陰極部同士が互いに積層配置されて、互いに電気的に並列接続される固体電解コンデンサであって、すべての該陽極部の該端部に跨って固定され、該複数のコンデンサ素子の各該陽極部の該端部を互いに電気的に接続するための導電性の材料からなる接続部材と、導電部を有し該導電部の一部は電極をなす被接続部材とを備え、該接続部材は、該被接続部材の該導電部に電気的に接続される導電部接続部を有し、該導電部接続部と該導電部とは導電性接着剤により電気的に接続され、少なくとも該導電性接着剤により該導電部に接続される該導電部接続部の部分には、導電性の材料からなるめっきが施されている固体電解コンデンサを提供している。導電性の材料とは、全く酸化しないAu、Pt等の材料の他に、固体電解コンデンサのESRに影響を与えない程度に酸化しにくい材料を含む。
接続部材は、被接続部材の導電部に電気的に接続される導電部接続部を有し、導電部接続部と導電部とは導電性接着剤により電気的に接続されるため、導電部接続部に対してレーザ照射して導電部接続部を導電部に接続しなくて済む。このため、製造工程の簡単な固体電解コンデンサとすることができ、製造するコストを低減した固体電解コンデンサとすることができる。
また、少なくとも導電性接着剤により導電部に接続される導電部接続部の部分には、導電性の材料からなるめっきが施されているため、導電部に接続される部分であって当該めっきが施されている部分が酸化することを防止することができる。このため、ESRが増加することを防止でき、固体電解コンデンサの特性が低下することを防止することができる。
ここで、該被接続部材はプリント基板からなり、該導電部は第1の導電パターンからなり、該プリント基板には、表面及び裏面に該第1の導電パターンと第2の導電パターンとがそれぞれ設けられ、該表面の該第1導電パターン、該第2の導電パターンは、それぞれ該裏面の該第1の導電パターン、該第2の導電パターンとスルーホールを介して電気的に接続されることが好ましい。
被接続部材はプリント基板からなり、導電部は第1の導電パターンからなり、プリント基板には、表面及び裏面に第1の導電パターンと第2の導電パターンとがそれぞれ設けられ、表面の第1導電パターン、第2の導電パターンは、それぞれ裏面の第1の導電パターン、第2の導電パターンとスルーホールを介して電気的に接続されているため、裏面の第1の導電パターン、第2の導電パターンをユーザ電極とすることができる。このため、ユーザ端子としてリードフレームを用いる場合と比較して、積層された複数のコンデンサ素子とユーザ電極との距離を極めて短くすることができ、ESR(等価直列抵抗)を低減することができる。
以上により、導電性接着剤を用いて接続部材をリードフレーム等に接続した場合であっても特性が低下することを防止する固体電解コンデンサを提供することができる。
本発明の実施の形態による固体電解コンデンサ及び固体電解コンデンサの製造方法について図1乃至図3に基づき説明する。図1に示されるように固体電解コンデンサ1は、積層された4つのコンデンサ素子10〜40と、プリント基板50と、接続部材60と、4つのコンデンサ素子10〜40を覆うようにしてモールドする図示せぬモールド部とを備えている。
4つのコンデンサ素子10〜40は、それぞれ同一形状且つ同一の構成であり、図1に示されるように陽極部11〜41と、陰極部12〜42とを備えている。なお、図2を参照して説明する以下の説明では、4つのコンデンサ素子10〜40の構成は同一であることから、コンデンサ素子10のみについて図示し、他のコンデンサ素子20〜40については説明を省略する。
陽極部11は略長方形状をした板状をなしており、図1及び図2に示される左右方向に長辺が指向する。陽極部11は弁作用金属であるアルミニウムにより構成されており、図2に示されるように、その表面には、表面積を増やすためにエッチングが施されることにより粗面化(拡面化)されてポーラス状になっている。このポーラス状の表面全体は化成処理(陽極酸化)によって絶縁性の酸化膜層(誘電体層)11Aが形成されている。陽極部11の寸法は、長手方向の長さが10mm、幅が5mm程度であり、厚さ、即ち、図2に示される上下方向の幅は100μm程度である。
陽極部11の表面の所定の領域、即ち、図2に示される陽極部11の右側の端部から左側の端部11Bに向って陽極部11の左右方向の長さの略2/3の位置に至るまでの領域全体には、導電性のポリマーにより構成される固体電解質層12Aが形成されている。固体電解質層12Aは酸化膜層11Aの上に積層して設けられており、酸化膜層11Aに対向する固体電解質層12Aの部分は、エッチングにより陽極部11の表面に形成されたポーラスの中に入り込んでいる。固体電解質層12A上には、グラファイトペースト層12Bと、銀ペースト層12Cとがこの順で積層されており、固体電解質層12A、グラファイトペースト層12B、及び銀ペースト層12Cは陰極部12を構成する。グラファイトペースト層12B及び銀ペースト層12Cは、固体電解質層12Aが形成されている陽極部11及び酸化膜層(誘電体層)11Aの領域を覆うようにして固体電解質層12A上に形成されている。
陽極部11の図2に示される左側の端部11Bであって陰極部12が設けられていない領域と陰極部12との境界位置には、絶縁性を有するエポキシ系樹脂等からなるレジスト13が設けられている。レジスト13は、固体電解質層12Aを陽極部11上に形成するために陽極部11となる化成箔を溶液に浸漬させているときに、ポーラス状になっている陽極部11の表面において毛細管現象により溶液が所定の領域よりも図2の左側の方へ上がってくることを防止し、固体電解質層12Aが形成されていない陽極部11の図2に示される左側の端部11Bを確保するために設けられている。
4つのコンデンサ素子10〜40は、図1に示されるように、陰極部12〜42同士が互いに積層配置されている。陰極部12〜42は、板状の陽極部11〜41上に形成されているため、陽極部11〜41の厚さ方向に対して略垂直な上面10A〜40Aと下面10B〜40Bとを有している。図1に示されるように、積層される4つのコンデンサ素子10〜40の第1層をなす第1コンデンサ素子10の上面10Aと第2コンデンサ素子20の下面20Bとが導電性接着剤71によって接着され、第2コンデンサ素子20の上面20Aと第3コンデンサ素子30の下面30Bとが導電性接着剤71によって接着され、第3コンデンサ素子30の上面30Aと第4コンデンサ素子40の下面40Bとが導電性接着剤71によって接着されている。
従って、4つのコンデンサ素子10〜40の陰極部12〜42は電気的に接続されており、後述のように4つのコンデンサ素子10〜40の陽極部11〜41の図1に示される左側の端部11B〜41B同士が電気的に接続されることと相まって、4つのコンデンサ素子10〜40は電気的に並列接続されている。導電性接着剤71は、銀−エポキシ系接着剤、即ち、エポキシ樹脂と銀とを主成分とし、銀がエポキシ樹脂中に混合されて構成されている。
4つのコンデンサ素子10〜40の陰極部12〜42が設けられていない陽極部11〜41の端部11B〜41Bの部分は、陰極部12〜42が設けられている部分と比較して銀ペースト層12C等が形成されていないことから薄くなっている。このため、図1に示されるように、コンデンサ素子10〜40の積層方向において、陽極部11〜41の図の左側の端部11B〜41B同士が互いに所定の間隔で離間して隣接して積層配置されている。所定の間隔は、具体的には略40〜90μm前後であり、通常の場合一定ではなく、ばらつきが生じている。
積層された4つのコンデンサ素子10〜40は、陽極部11〜41と略同一形状をしたプリント基板50上に載置されている。プリント基板50は、例えば、エポキシ樹脂製のプリント基板50である。4つのコンデンサ素子10〜40は、プリント基板50に対して形状が一致して重なるようにプリント基板50上に載置されている。プリント基板50は、積層された4つのコンデンサ素子10〜40のうちの第1コンデンサ素子10の陰極部12及び陽極部11の下面に対向している。
プリント基板50の表面50A及び裏面50Bには、第1の導電パターン51A、51Bと第2の導電パターン52A、52Bとがそれぞれ設けられている。表面50Aの第1導電パターン51A、第2の導電パターン52Aは、それぞれ裏面50Bの第1の導電パターン51B、第2の導電パターン52Bと、スルーホール50a、50bを介して電気的に接続されている。第1の導電パターン51Aは、第1コンデンサ素子10の陽極部11の図1に示される左側の端部11Bに対向する位置に配置されており、第2の導電パターン52Aは、第1コンデンサ素子10の陰極部12に対向する位置に配置されている。
プリント基板50の裏面の第1の導電パターン51B、第2の導電パターン52Bは、それぞれ図示せぬ電子回路等に実装されるいわゆるユーザ端子であり、プリント基板50の表面の第1の導電パターン51A、第2の導電パターン52Aと同様の金属材料により構成されている。陽極部11の図1に示される左側の端部11Bは、プリント基板50の表面の第1の導電パターン51Aに電気的に後述の接続部材60を介して接続されている。また、陰極部12が導電性接着剤71によって第2の導電パターン52Aに電気的に接続されている。
固体電解コンデンサ1がプリント基板50を有しており、プリント基板50には、表面及び裏面に第1の導電パターン51A、51Bと第2の導電パターン52A、52Bとがそれぞれ設けられ、表面の第1導電パターン51A、第2の導電パターン52Aは、それぞれ裏面の第1の導電パターン51B、第2の導電パターン52Bとスルーホール50a、50bを介して電気的に接続されているため、裏面の第1の導電パターン51B、第2の導電パターン52Bをユーザ電極とすることができる。このため、ユーザ端子としてリードフレームを用いる場合と比較して、積層された複数のコンデンサ素子10〜40とユーザ電極との距離を極めて短くすることができ、ESR(等価直列抵抗)を低減することができる。
4つのコンデンサ素子10〜40の陽極部11〜41の図1に示される左側の端部11B〜41Bの位置には、接続部材60が設けられている。接続部材60は、図3に示されるように、それぞれ略長方形状の板状をなす接続部本体61と底部62とを有しており、接続部本体61の一の長辺の全体は、底部62の一の長辺の全体に一体に接続されている。接続部本体61と底部62とは、略垂直の角度をなして接続されて略L字状をなしている。従って、接続部本体61は、積層されたコンデンサ素子10〜40の積層方向に底部62から延出している。
接続部本体61は、図1に示されるように、陽極部11〜41の各端部11B〜41Bにそれぞれ跨って当接して固定されており、すべての陽極部11〜41の図1に示される左側の端部11B〜41Bに当接した状態で、コンデンサ素子10〜40の積層方向に交差する方向であって、且つ陽極部11〜41の端部11B〜41Bが当接している側とは反対の側である接続部材60の外側から、即ち、図1の左側から右側へ向けてレーザの照射を受けることにより、陽極部11〜41の各端部11B〜41Bにそれぞれ電気的に接続される。
接続部材60はNiにより構成されている。後述のようにレーザ照射を受ける前の状態の接続部本体61の図1に示される左右方向の厚さは、0.1mm程度である。また、後述のようにレーザ照射を受ける前の状態の接続部本体61の図1に示される左側の面、即ち、レーザ照射を受ける接続部本体61の面は、光沢を有しないことが好ましい。
接続部材60の底部62は、第1コンデンサ素子10の陽極部11の図1に示される左側の端部11Bと、プリント基板50の第1の導電パターン51Aとの間に配置されている。底部62は、図1に示されるように、導電性接着剤71によってプリント基板50の第1の導電パターン51Aに接合されており、第1の導電パターン51Aと電気的に接続されている。底部62は導電部接続部に相当する。
プリント基板50の第1の導電パターン51Aに対向する側の底部62の面62Bの全体にはAgめっきが施されている。Agは固体電解コンデンサ1におけるESRが増加しない程度に酸化しにくい導電性の材料であるため用いられている。従って、導電性接着剤71が接触している側の底部62の面は酸化されておらず、ESRの増加が防止されている。このため、固体電解コンデンサの特性が低下することを防止することができる。
4つのコンデンサ素子10〜40の各陽極部11〜41の端部11B〜41Bを互いに電気的に接続するための導電性の材料からなる接続部材60が、すべての陽極部11〜41の端部11B〜41Bに跨って固定されているため、接続部材60によって、陽極部11〜41の端部11B〜41B間にそれぞれ所定の空間を確保した状態で陽極部11〜41の端部11B〜41Bを支持することができる。
固体電解コンデンサ1を構成するコンデンサ素子10〜40の、酸化膜層11Aや固体電解質層12Aが設けられている部分は、これらが設けられていない陽極部11〜41の端部11B〜41Bの部分と比較して積層方向の幅が厚くなっており、この厚い部分である陰極部12〜42の部分を互いに積層させると、陰極部12〜42が積層されることに伴い互いに積層される陽極部11〜41の端部11B〜41Bの部分では、厚さの違いにより当該端部間に空隙が形成されることになる。しかし、上述のように接続部材60によって、陽極部11〜41の端部11B〜41B間にそれぞれ所定の空間を確保した状態で陽極部11〜41の端部11B〜41Bを支持することができるため、陽極部11〜41の端部11B〜41B間に別途スペーサを設けずに済む。このため、薄い陽極部11〜41の端部11B〜41Bの部分を無理に曲げて互いに隣接させて接続しなくて済み、コンデンサ素子の層数が多い場合であっても、容易に陽極部を無理に曲げることなく互いに接続することができる。
また、接続部材60は、接続部本体61に接続された底部62を有しているため、コンデンサ素子10〜40とプリント基板50とが、接続部材60を介して一体に接続することができる。このため、固体電解コンデンサ1全体の強度を向上させることができる。
また、コンデンサ素子10〜40の積層方向からレーザを照射することにより複数のコンデンサ素子10〜40の陽極部11〜41を互いに電気的に接続する場合には、陰極部12〜42と陽極部11〜41とのショートを防止するために、陽極部11〜41の端部11B〜41Bと陰極部12〜42とを結ぶ方向において、陰極部12〜42が設けられていない陽極部11〜41の端部11B〜41Bの長さを長くせざるを得ない。
これに対して接続部材60により陽極部11〜41の端部11B〜41Bをレーザ照射により溶接して電気的に接続するため、比較的弱いレーザ照射により溶接することができ、溶接によるショートを考慮する必要性は低くなり、当該陽極部11〜41の端部11B〜41Bを短くすることができる。
固体電解コンデンサの製造方法では、先ず、コンデンサ素子製造工程を行う。実際に行われるコンデンサ素子製造工程では、複数のコンデンサ素子が同時に製造されるが、ここでは、説明の便宜上1つのコンデンサ素子10が製造される工程を一回のコンデンサ素子製造工程とする。先ず、表面に酸化膜層11Aが形成され陽極部11となるアルミニウム板、即ち、化成箔を打抜いて一端を陽極部11の形状とする。このとき、後述のように陰極層が形成される化成箔の部分は、複数同時に製造される他のコンデンサ素子の陰極部が形成される化成箔の他端の部分と、製品にならない余分な化成箔の部分を介して接続された状態となっている。後述の接続工程を行う直前に行う切断の工程において、この余分な化成箔の部分は切断され除去される。
次に、スクリーン印刷法を用いて、陽極部11の所定の位置であって陰極部12と陽極部11との境界となる位置にレジスト13を形成する。次に、前述のように化成箔を打抜いたときに、打抜いた断面には酸化膜層11Aが形成されていない部分が生ずるが、この部分に酸化膜層11Aを生成するために再度酸化させる再化成を行う。
次に、レジスト13を境とする所定の領域、即ち図1に示される陽極部11のレジスト13よりも右側の部分に相当する化成箔の部分を、固体電解質層12Aを形成するための反応溶液中に浸漬し、化学酸化重合を行うことにより、固体電解質層12A、即ち、導電性ポリマー層を形成する。陽極部11の表面はエッチングによりポーラス状になっているので、直接銀ペースト層12Cを形成することができないため、銀ペースト層12Cを形成する準備のために固体電解質層12Aを形成するのである。
次に、何らかの原因により、化成箔の表面に形成されている酸化膜層11Aに破損が生じることがある。この部分を修正するために再度酸化させる修復工程を行う。次に、導電性高分子層の上にグラファイトペースト層12Bと、銀ペースト層12Cとをこの順で積層して形成する。グラファイトペースト層12B、銀ペースト層12Cの形成は、ディップ法やスクリーン印刷法やスプレー塗布法等が用いられる。以上がコンデンサ素子製造工程である。このコンデンサ素子製造工程を4回行うことによって、4つのコンデンサ素子10〜40を製造する。
次に、積層工程を行う。積層工程では、4つのコンデンサ素子10〜40を、陽極部11〜41の図1に示される左側の端部11B〜41B同士が互いに隣接するように積層配置するとともに、陰極部12〜42同士を互いに積層配置する。陰極部12〜42間には、銀−エポキシ系接着剤たる導電性接着剤71が塗布され、陰極部12〜42同士が導電性接着剤71によって互いに電気的に接続される。
次に、積層された状態の4つのコンデンサ素子10〜40を、製品とならない余分な化成箔の部分から切断して陰極部12〜42の形状とすることにより、略長方形状をしたコンデンサ素子10〜40の形状とする。
次に、接続工程を行う。接続工程では、図3に示されるように、4つの積層されたコンデンサ素子10〜40とは別体として用意された接続部材60を、積層した複数のコンデンサ素子10〜40の陽極部11〜41の図1に示される左側の端部11B〜41Bに、電気的に接続することにより、4つのコンデンサ素子10〜40を互いに電気的に並列接続する接続部材固定工程を行う。具体的には、先ず、図3に示されるように、積層された4つのコンデンサ素子10〜40の第1層をなす第1コンデンサ素子10の陽極部11の図1に示される左側の端部11Bと平行に底部62を対向配置させた状態で、接続部材60の接続部本体61をすべての陽極部11〜41の当該端部11B〜41Bに跨って当接させる。
なお、図3において二点鎖線で示される矢印は、単に積層された4つのコンデンサ素子10〜40と、接続部材60と、プリント基板50との位置関係を示しているだけであって、必ずしもこの方向に移動させることによりこれら3つを接続するという意味ではない。
次に、陽極部11〜41の端部11B〜41Bに当接する接続部本体61の側に対する反対の側、即ち、図1に示される左側から、コンデンサ素子10〜40の積層方向に交差する方向、具体的には、積層方向に垂直の方向に向けて接続部本体61に対してレーザを照射する。レーザはYAGレーザ溶接が用いられ、レーザの照射は、陽極部11〜41の端部11B〜41Bに当接する接続部本体61の位置、又は、端部11B〜41B間の空間に対向する接続部本体61の位置にスポットで間欠的に照射することにより行われる。
レーザ照射の条件は、図1の左右方向における接続部本体61の厚さや材質、レーザ照射するための光ファイバの径等によって変わるが、本実施の形態では、例えば、光ファイバとしてφ0.4mmのSIファイバを用いた場合には、1回の照射エネルギーは3Jから15J程度である。3J未満では、接続部本体61と陽極部11〜41の端部11B〜41Bとの接合強度が弱い。15Jを超えると接続部本体61にレーザ照射による貫通孔が形成されてしまうからである。このレーザ照射により、図1に示されるように、接続部本体61の一部を溶融させ、接続部本体61と陽極部11〜41の端部11B〜41Bの図1に示される左端とを電気的に接合する。
次に、プリント基板接続工程を行う。プリント基板接続工程では、図3に示されるように、4つの積層されたコンデンサ素子10〜40、接続部材60とは別体として用意されたプリント基板50上に、当該4つの積層されたコンデンサ素子10〜40及び接続部材60を載置し電気的に接続する。具体的には、先ず、導電性接着剤71を塗布したプリント基板50の第1の導電パターン51A、第2の導電パターン52A上に、接続部材60の底部62、陰極部12〜42をそれぞれ当接させる。このことにより、接続部材60の底部62をプリント基板50の第1の導電パターン51Aに電気的に接続すると共に、陰極部12〜42を第2の導電パターン52Aに電気的に接続する。導電性接着剤71は、第1の導電パターン51A上へドット状に塗布される。また、第2の導電パターン52A上へX字状に塗布される。
その後、固体電解コンデンサ1を保護するためにモールドを行い、切断を行い、更に、損傷している部分を修復するためのエージングを行い、特性検査、外観検査を経て固体電解コンデンサの製造方法の全工程を終了する。
プリント基板接続工程では、導電性接着剤71によって底部62をプリント基板50の第1の導電パターン51Aに接続するようにしたため、底部62に対してレーザを照射して底部62を第1の導電パターン51Aに接続しなくて済む。このため、製造工程を簡単にすることができ、固体電解コンデンサを製造するコストを低減することができる。
また、接続工程では、導電性の材料からなる接続部材60を、すべての陽極部11〜41の端部11B〜41Bに跨って当接させ、コンデンサ素子10〜40の積層方向に交差する方向から且つ接続部材60の外側からレーザを照射することにより接続部材60を陽極部11〜41の各端部11B〜41Bにそれぞれ電気的に接続させる接続部材固定工程を行うようにしたため、陽極部11〜41の端部11B〜41Bの溶接部の空隙が発生することを防止することができる。このため、導通不良が生ずることを防止することができ、不良品の発生を防止することができる。
これは、陽極部11〜41の表面は、前述のようにポーラス状になっているため、レーザの照射を受けるとポーラス中の細かい気泡が集まり大きな気泡となるが、溶接部材60を用いることで、溶接部材60が溶融し、溶接部材60と陽極部11〜41の端部11B〜41Bの界面付近で接合が行われるため、陽極部11〜41の溶融を最小限にでき、導通不良を起こす程度の空隙の発生を抑制できる。
また、コンデンサ素子10〜40の積層方向に交差する方向から且つ接続部材60の外側からレーザを照射することにより、接続部材60を陽極部11〜41の各端部11B〜41Bにそれぞれ電気的に接続させる接続部材固定工程を行うため、個々のコンデンサ素子10〜40に対するレーザ強度を一定に保つことが可能となり、各陽極部11〜41の端部11B〜41Bと接続部材60との溶接を、いずれも同じような状態で均等に行うことが可能となる。
本発明による固体電解コンデンサは、上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形や改良が可能である。例えば、導電性接着剤71は、エポキシ樹脂と銀とを主成分とし、銀がエポキシ樹脂中に混合されて構成されていたが、これに限定されない。例えば、エポキシ樹脂に代えてポリイミドやシリコーンを用いてもよい。
また、接続部材60はNiにより構成されていたが、これに限定されない。例えば、SUS、鉄、アルミニウム、銅、リン青銅、Mo、Cr等の導電性の金属、又は、Fe―Ni合金に代表されるようなこれらを含む合金であればよい。Fe―Ni合金としては、例えばNiを42%含有する合金が挙げられる。また、例えば、日立電線株式会社により製造されている商品名「日立ハイクラッド」のような、異種金属を金属学的に接合させたいわゆるクラッド材等を用いてもよい。
また、プリント基板50の第1の導電パターン51Aに対向する側の底部62の面62BにはAgめっきが施されていたが、めっきの材料はこれに限定されない。全く酸化しない導電性の材料、又は固体電解コンデンサのESRに影響を与えない程度に酸化しにくい導電性の材料であればよい。例えば、Snめっき、Cuめっき、Znめっき、半田めっき、Niめっき、Auめっき、Ptめっき等が用いられる。また、Agめっきを含めたこれらのめっきを構成する元素を含む合金が用いられてもよい。
また、プリント基板50の第1の導電パターン51Aに対向する側の底部62の面62Bの全体にめっきが施されていたが、全体でなくてもよく、面62Bの少なくとも一部にめっきが施されていてもよい。例えば、導電性接着剤71と接触する底部62の部分だけに施されてもよい。また、面62Bを含む底部62の全体の表面や、底部62を含む接続部材60の全体の表面にめっきが施されていてもよい。
また、固体電解コンデンサ1はプリント基板50を有していたが、プリント基板50に代えてリードフレームを有する構成としてもよい。この場合には、接続部材60の底部62を陽極となるリードフレームに導電性接着剤71によって電気的に接続し、陰極部12〜42を陰極となるリードフレームに導電性接着剤71によって電気的に接続すればよい。
また、導電性接着剤71は、第1の導電パターン51A上へドット状に塗布され、第2の導電パターン52A上へX字状に塗布され、このように第1の導電パターン51A、第2の導電パターン52A上の一部に塗布されたが、これらは導電性接着剤71の塗布の方法の一例であり、導電性接着剤71の塗布はこれらの方法に限定されない。例えば、底部62に対向する第1の導電パターン51Aの全面や、陰極部12〜42に対向する第2の導電パターン52Aの全面に塗布されてもよい。
また、コンデンサ素子10〜40は4つ設けられていたが、個数は4つに限定されない。また、接続部材の形状は、本実施の形態による接続部材60の形状に限定されない。
また、接続部材のレーザ照射を受ける表面は粗面化されていてもよい。粗面化されていることにより、レーザ光の反射を低減することができる。このため、接続部材におけるレーザ光の吸収を増加させることができる。
また、陽極部11〜41を構成する弁作用金属はアルミニウムにより構成されたが、これに限定されない。例えばタンタルやニオブ等であってもよい。
また、レーザの照射は、陽極部11〜41の端部11B〜41Bに当接する接続部本体61の位置、又は、端部11B〜41B間の空間に対向する接続部本体61の位置にスポットで間欠的に照射することにより行われたが、これに限定されない。例えば、接続部本体61の幅方向の一端から他端へ向って波を描くようにして照射してもよく、また、接続部本体61の長手方向の一端から他端へ向って波を描くようにして照射してもよい。この場合のレーザ照射の条件は3Jから5J程度である。また、レーザの強度は略一定であってもよく、また、照射する位置によって強度を変えてもよい。また、レーザ照射の条件は本実施の形態のものに限定されない。
また、レーザはYAGレーザ溶接が用いられたが、これに限定されず、例えば、第二高調波レーザや、LD(半導体)レーザ、エキシマレーザ等を用いてもよい。
また、接続部本体61は、すべての陽極部11〜41の端部11B〜41Bに当接した状態でレーザ照射されたが、当接せずに接続部本体61と端部11B〜41Bとの間に僅かな隙間を介して近接対向した状態でレーザ照射されてもよい。この場合には、接続部本体61と端部11B〜41Bとの間の距離は50μm以下であることが好ましく、更に、30μm以下であることがより好ましい。このように近接対向した状態でレーザ照射された場合であっても、レーザ照射によって接続部本体61が溶融して陽極部11〜41の端部11B〜41Bに当接した状態となると考えられ、端部11B〜41Bと接続部本体61とは電気的に接続されると考えられる。
本発明の固体電解コンデンサは、多数のコンデンサ素子が積層されて構成される固体電解コンデンサの分野において有用である。
1 固体電解コンデンサ
10〜40 コンデンサ素子
11〜41 陽極部
11A 酸化膜層
11B〜41B 端部
12〜42 陰極部
12A 固体電解質層
12B グラファイトペースト層
12C 銀ペースト層
60 接続部材
62 底部
71 導電性接着剤
10〜40 コンデンサ素子
11〜41 陽極部
11A 酸化膜層
11B〜41B 端部
12〜42 陰極部
12A 固体電解質層
12B グラファイトペースト層
12C 銀ペースト層
60 接続部材
62 底部
71 導電性接着剤
Claims (2)
- 弁作用金属からなり表面に酸化膜層が形成された陽極部と、該表面の所定の領域に固体電解質層を有して層状に形成された陰極部とにより構成されるコンデンサ素子を複数備え、該複数のコンデンサ素子は該陽極部の端部同士が互いに隣接して積層配置されるとともに該陰極部同士が互いに積層配置されて、互いに電気的に並列接続される固体電解コンデンサであって、
すべての該陽極部の該端部に跨って固定され、該複数のコンデンサ素子の各該陽極部の該端部を互いに電気的に接続するための導電性の材料からなる接続部材と、
導電部を有し該導電部の一部は電極をなす被接続部材とを備え、
該接続部材は、該被接続部材の該導電部に電気的に接続される導電部接続部を有し、該導電部接続部と該導電部とは導電性接着剤により電気的に接続され、
少なくとも該導電性接着剤により該導電部に接続される該導電部接続部の部分には、導電性の材料からなるめっきが施されていることを特徴とする固体電解コンデンサ。 - 該被接続部材はプリント基板からなり、該導電部は第1の導電パターンからなり、
該プリント基板には、表面及び裏面に該第1の導電パターンと第2の導電パターンとがそれぞれ設けられ、該表面の該第1導電パターン、該第2の導電パターンは、それぞれ該裏面の該第1の導電パターン、該第2の導電パターンとスルーホールを介して電気的に接続されることを特徴とする請求項1記載の固体電解コンデンサ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2005268181A JP2007081209A (ja) | 2005-09-15 | 2005-09-15 | 固体電解コンデンサ |
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ID=37941171
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JP (1) | JP2007081209A (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008300407A (ja) * | 2007-05-29 | 2008-12-11 | Nec Tokin Corp | 表面実装薄型コンデンサ |
-
2005
- 2005-09-15 JP JP2005268181A patent/JP2007081209A/ja active Pending
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