JP4577051B2 - 固体電解コンデンサの製造方法 - Google Patents

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本発明は固体電解コンデンサの製造方法に関し、特に複数のコンデンサ素子を積層し電気的に並列接続して固体電解コンデンサを製造する固体電解コンデンサの製造方法に関する。
固体電解コンデンサとしては、高い静電容量を確保するために複数のコンデンサ素子が積層され電気的に並列接続されている構成が従来より知られている。例えば、特開平10−144573号公報(特許文献1参照)にはこの構成の固体電解コンデンサ及びその製造方法が記載されている。固体電解コンデンサの製造方法では、固体電解コンデンサを構成する複数の板状のコンデンサ素子は、金型により打ち抜かれて所定の形状とされた後に積層され、固体電解コンデンサが構成される。
特開平10−144573号公報
しかし、前述の従来の固体電解コンデンサの製造方法では、予め金型により打抜いて所定の形状とした板状のコンデンサ素子を積層するため、積層方向におけるコンデンサ素子の端面を高い精度で揃えることは困難であった。
前述の従来の固体電解コンデンサの製造方法とは異なる製造方法としては、例えば、複数の板状のコンデンサ素子を積層した後に、積層されたコンデンサ素子の積層方向上方からレーザー照射を行い、複数の板状のコンデンサ素子を同時に切断して外形を規定する方法が考えられる。このような方法により固体電解コンデンサの外形を規定すると、レーザー照射により複数の板状のコンデンサ素子を同時に切断できるため、切断された各コンデンサ素子の端面たる切断面を揃えることができる。
しかし、実際にコンデンサ素子の積層方向上方からのレーザー照射により複数の板状のコンデンサ素子を同時に切断しようとしても、積層方向上層のものは切断できても、下層のものまで同時に切断することはできない。これは、YAGレーザーを用いた場合であっても、YAGよりも強力なYVOレーザーを用いた場合であっても同様である。
ここで、上層のコンデンサ素子が切断され下層のコンデンサ素子が切断されていない状態で、切断された上層のコンデンサ素子の不要部分を除去し、次に、下層のコンデンサ素子に対してレーザー照射して下層のコンデンサ素子を切断し不要部分を除去して、一枚ずつ切断除去してゆくことが考えられる。しかし、このようにすると不要部分を除去する手間が余計にかかり、固体電解コンデンサの製造工程が複雑になる。また、不要部分を除去する際に、固体電解コンデンサの陽極部となる部分が変形してしまう恐れがある。
そこで、本発明は、積層された複数のコンデンサ素子を最下層に至るまで切断して、積層方向におけるコンデンサ素子の端面を高い精度で揃えることができる固体電解コンデンサの製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明はコンデンサ素子製造工程と、積層工程と、レーザー切断工程と、接続工程とを有する固体電解コンデンサの製造方法を提供している。コンデンサ素子製造工程では、表面に酸化膜層が形成され弁作用金属からなる陽極部の該表面の所定の領域に、固体電解質層を有する陰極部を層状に形成する工程を有する。積層工程では、該コンデンサ素子製造工程を複数回行うことにより製造された複数の該コンデンサ素子を、該陽極部の端部同士が互いに隣接するように積層配置するとともに該陰極部同士を互いに積層配置する。
レーザー切断工程では、該コンデンサ素子において該陰極部が層状に形成された部分から該陰極部が形成されていない該陽極部の部分が突出する方向を突出方向とし、該コンデンサ素子が積層される方向を積層方向とし、該突出方向及び該積層方向に垂直の方向を幅方向としたときに、全ての該コンデンサ素子の該陽極部の端部において該幅方向の一端から他端へわたり該積層方向上方からレーザー照射することによりスリットを形成して、該スリットよりも該突出方向に位置する該陽極部の端縁部を切落とす。また、該レーザー切断工程では、該積層方向において最下層に配置された該コンデンサ素子以外の該コンデンサ素子の該スリットの幅が、該積層方向において最下層に配置された該コンデンサ素子の該スリットの幅よりも広くなるように、該複数のコンデンサ素子にそれぞれ該レーザーのビームスポット径よりも広い幅の該スリットを形成する。接続工程では、積層した該複数のコンデンサ素子を互いに電気的に並列接続する。
レーザー切断工程では、該積層方向において最下層に配置された該コンデンサ素子以外の該コンデンサ素子の該スリットの幅が、該積層方向において最下層に配置された該コンデンサ素子の該スリットの幅よりも広くなるように、該複数のコンデンサ素子にそれぞれ該レーザーのビームスポット径よりも広い幅の該スリットを形成するようにしたため、積層された複数のコンデンサ素子の陽極部の端部をレーザー照射により切落とすことができる。このため、レーザー照射により陽極部の端縁部が切落とされて生じた陽極部の各切断面を、複数のコンデンサ素子の積層方向において面一とすることができる。このため、この切断面において導電性の材料からなる板状の接続部材をすべての陽極部の端部に跨って固定して陽極部を電気的に接続する場合には、接続部材と陽極部の端部との電気的接続を確実にすることができる。また、製造される固体電解コンデンサの寸法精度を向上させることができ、歩留まりをよくすることができる。
また、積層されたコンデンサ素子の陽極部をレーザー照射により一枚切断した後に、当該切断した陽極部の部分を除去するという工程を繰返し行わずに済み、このようにして切断した陽極部の不要部分を除去する際に、固体電解コンデンサの陽極部となる部分が変形することを防止することができ、且つ製造工程を簡単にすることができる。
ここで、該レーザー切断工程では、該積層方向において下層に配置された該コンデンサ素子には、該積層方向において上層に配置された該コンデンサ素子よりも幅の狭い該スリットを形成することが好ましい。
積層方向において下層に配置されたコンデンサ素子には、積層方向において上層に配置されたコンデンサ素子よりも幅の狭いスリットを形成するようにしたため、下層のコンデンサ素子の陽極部の端部に所望の幅のスリットを形成することができる。
また、該接続工程は、該複数のコンデンサ素子の該陽極部の端縁部を切落とすことにより生じた該陽極部の切断面に、該複数のコンデンサ素子の各該陽極部の端部を互いに電気的に接続するための導電性の材料からなる接続部材をすべての該陽極部の端部に跨って固定する接続部材固定工程を有することが好ましい。
複数のコンデンサ素子の各陽極部の端部を互いに電気的に接続するための導電性の材料からなる接続部材をすべての陽極部の端部に跨って固定する接続部材固定工程を行うようにしたため、コンデンサ素子の陽極部の端部どうしを接続部材を介して電気的に接続することができる。
また、該レーザー切断工程では、レーザースキャンによるレーザー照射により該スリットを形成することが好ましい。
また、該レーザー切断工程の該レーザースキャンでは、最下層に配置された該コンデンサ素子以外の該コンデンサ素子には、形成される該スリットの長手方向の一端から他端へと移動しながらレーザー照射する第1長手方向スキャン工程と、形成される該スリットの長手方向の他端においてレーザーの照射位置を該スリットの幅方向へ移動させる幅方向スキャン位置移動工程と、形成される該スリットの長手方向の他端から一端へと移動しながらレーザー照射する第2長手方向スキャン工程とを少なくとも行い、該スリットの幅は該幅方向スキャン位置移動工程による移動量の総和及びビームスポット径により規定され、最下層に配置された該コンデンサ素子には少なくとも該第1長手方向スキャン工程を行うことが好ましい。
また、該レーザー切断工程のレーザースキャンでは、最下層に配置された該コンデンサ素子以外の該コンデンサ素子には、形成される該スリットの幅方向の一端から他端へと移動しながらレーザー照射する第1幅方向スキャン工程と、形成される該スリットの幅方向の他端においてレーザーの照射位置を該スリットの長手方向へ移動させる長手方向スキャン位置移動工程と、形成される該スリットの幅方向の他端から一端へと移動しながらレーザー照射する第2幅方向スキャン工程とを少なくとも行い、該スリットの長手方向の長さは該長手方向スキャン位置移動工程による移動量の総和により規定され、最下層に配置された該コンデンサ素子には、形成される該スリットの長手方向の一端から他端へと移動しながらレーザー照射する長手方向スキャン工程を少なくとも行うことが好ましい。
また、該レーザー切断工程のレーザースキャンでは、上層の該コンデンサ素子において該スリットが形成される領域内の所定範囲内でスキャンしながらレーザー照射する上層照射工程と、下層の該コンデンサ素子の該積層方向における該所定範囲内相当位置において該所定範囲よりも狭い範囲でスキャンしながらレーザー照射する下層照射工程とを行う積層方向複数層レーザー照射工程を繰返し行うことが好ましい。
レーザースキャンによるレーザー照射によりスリットを形成するようにしたため、スリットの形成を極めて容易に行うことができる。
以上により、積層された複数のコンデンサ素子を最下層に至るまで切断して、積層方向におけるコンデンサ素子の端面を高い精度で揃えることができる固体電解コンデンサの製造方法を提供することができる。
本発明の実施の形態による固体電解コンデンサの製造方法について図1乃至図6に基づき説明する。図1に示されるように固体電解コンデンサ1は、積層された4つのコンデンサ素子10〜40と、プリント基板50と、接続部材60と、4つのコンデンサ素子10〜40を覆うようにしてモールドする図示せぬモールド部とを備えている。
4つのコンデンサ素子10〜40は、それぞれ同一形状且つ同一の構成であり、図1に示されるように陽極部11〜41と、陰極部12〜42とを備えている。なお、図2を参照して説明する以下の説明では、4つのコンデンサ素子10〜40の構成は同一であることから、コンデンサ素子10のみについて図示し、他のコンデンサ素子20〜40については説明を省略する。
陽極部11は略長方形状をした板状をなしており、図1及び図2に示される左右方向に長辺が指向し、図1に示される左側の端部11Bには、図6に示されるように外方へ略長方形状に突出する凸部11Cが設けられている。
ここで、コンデンサ素子10において陰極部12の形成されていない陽極部11の部分が後述の陰極部12の形成された部分から突出する方向、即ち、図1の左方向を突出方向とし、コンデンサ素子10〜40が積層される方向を積層方向とし、突出方向及び積層方向に垂直の方向、即ち、図1の紙面の表と裏とを結ぶ方向を幅方向とする。
このときに、後述のように、当該陽極部11の端部11Bにおいて当該幅方向の一端から他端へわたり積層方向上方からレーザー照射されることにより、スリット10a〜40a(図3等)が形成される。このスリット10a〜40aよりも当該突出方向に位置する陽極部11の端縁部13〜43(図3等)が切落とされて生じた陽極部11の切断面が、凸部11Cの設けられた端部11Bの輪郭を規定する。この切断面は、後述のようにコンデンサ素子10〜40の積層方向上方からレーザー照射されることにより生じるため、コンデンサ素子10〜40の陽極部11〜41の切断面たる図1に示される左側の端部11B〜41Bの輪郭は、積層方向において面一となっている。
陽極部11は弁作用金属であるアルミニウムにより構成されており、図2に示されるように、その表面には、表面積を増やすためにエッチングが施されることにより粗面化(拡面化)されてポーラス状になっている。このポーラス状の表面全体は化成処理(陽極酸化)によって絶縁性の酸化膜層(誘電体層)11Aが形成されている。陽極部11の寸法は、長手方向の長さが10mm、幅が5mm程度であり、厚さ、即ち、図2に示される上下方向の幅は100μm程度である。
陽極部11の表面の所定の領域、即ち、図2に示される陽極部11の右側の端部から左側の端部11Bに向って陽極部11の左右方向の長さの略2/3の位置に至るまでの領域全体には、導電性のポリマーにより構成される固体電解質層12Aが形成されている。固体電解質層12Aは酸化膜層11Aの上に積層して設けられており、酸化膜層11Aに対向する固体電解質層12Aの部分は、エッチングにより陽極部11の表面に形成されたポーラスの中に入り込んでいる。固体電解質層12A上には、グラファイトペースト層12Bと、銀ペースト層12Cとがこの順で積層されており、固体電解質層12A、グラファイトペースト層12B、及び銀ペースト層12Cは陰極部12を構成する。グラファイトペースト層12B及び銀ペースト層12Cは、固体電解質層12Aが形成されている陽極部11及び酸化膜層(誘電体層)11Aの領域を覆うようにして固体電解質層12A上に形成されている。
陽極部11の図2に示される左側の端部11Bであって陰極部12が設けられていない領域と陰極部12との境界位置には、絶縁性を有するエポキシ系樹脂等からなるレジスト13が設けられている。レジスト13は、固体電解質層12Aを陽極部11上に形成するために陽極部11となる化成箔を溶液に浸漬させているときに、ポーラス状になっている陽極部11の表面において毛細管現象により溶液が所定の領域よりも図2の左側の方へ上がってくることを防止し、固体電解質層12Aが形成されていない陽極部11の図2に示される左側の端部11Bを確保するために設けられている。
4つのコンデンサ素子10〜40は、図1に示されるように、陰極部12〜42同士が互いに積層配置されている。陰極部12〜42は、板状の陽極部11〜41上に形成されているため、陽極部11〜41の厚さ方向に対して略垂直な上面10A〜40Aと下面10B〜40Bとを有している。図1に示されるように、積層される4つのコンデンサ素子10〜40の第1層をなす第1コンデンサ素子10の上面10Aと第2コンデンサ素子20の下面20Bとが導電性接着剤71によって接着され、第2コンデンサ素子20の上面20Aと第3コンデンサ素子30の下面30Bとが導電性接着剤71によって接着され、第3コンデンサ素子30の上面30Aと第4コンデンサ素子40の下面40Bとが導電性接着剤71によって接着されている。従って、4つのコンデンサ素子10〜40の陰極部12〜42は電気的に接続されており、後述のように4つのコンデンサ素子10〜40の陽極部11〜41の図1に示される左側の端部11B〜41B同士が電気的に接続されることと相まって、4つのコンデンサ素子10〜40は電気的に並列接続されている。
4つのコンデンサ素子10〜40の陰極部12〜42が設けられていない陽極部11〜41の端部11B〜41Bの部分は、陰極部12〜42が設けられている部分と比較して銀ペースト層12C等が形成されていないことから薄くなっている。このため、図1に示されるように、コンデンサ素子10〜40の積層方向において、陽極部11〜41の図の左側の端部11B〜41B同士が互いに所定の間隔で離間して隣接して積層配置されている。
積層された4つのコンデンサ素子10〜40は、陽極部11〜41と略同一形状をしたプリント基板50上に載置されている。プリント基板50は、例えば、エポキシ樹脂製のプリント基板50である。4つのコンデンサ素子10〜40は、プリント基板50に対して形状が一致して重なるようにプリント基板50上に載置されている。プリント基板50は、積層された4つのコンデンサ素子10〜40のうちの第1コンデンサ素子10の陰極部12及び陽極部11の下面11Bに対向している。
プリント基板50の表面50A及び裏面50Bには、第1の導電パターン51A、51Bと第2の導電パターン52A、52Bとがそれぞれ設けられている。表面50Aの第1導電パターン51A、第2の導電パターン52Aは、それぞれ裏面50Bの第1の導電パターン51B、第2の導電パターン52Bと、スルーホール50a、50bを介して電気的に接続されている。第1の導電パターン51Aは、第1コンデンサ素子10の陽極部11の図1に示される左側の端部11Bに対向する位置に配置されており、第2の導電パターン52Aは、第1コンデンサ素子10の陰極部12に対向する位置に配置されている。
プリント基板50の裏面の第1の導電パターン51B、第2の導電パターン52Bは、それぞれ図示せぬ電子回路等に実装されるいわゆるユーザ端子であり、プリント基板50の表面の第1の導電パターン51A、第2の導電パターン52Aと同様の金属材料により構成されている。陽極部11の図1に示される左側の端部11Bは、プリント基板50の表面の第1の導電パターン51Aに電気的に後述の接続部材60を介して接続されている。また、陰極部12が導電性接着剤71によって第2の導電パターン52Aに電気的に接続されている。
4つのコンデンサ素子10〜40の陽極部11〜41の図1に示される左側の端部11B〜41Bの位置には、接続部材60が設けられている。接続部材60は、図6に示されるように、それぞれ略長方形状の板状をなす接続部本体61と底部62とを有しており、底部62の一の短辺の全体は、接続部本体61の一の長辺の長手方向の略中央の位置に一体に接続されている。接続部本体61と底部62とは略垂直の角度をなして接続されて略L字状をなしている。従って、接続部本体61は、積層されたコンデンサ素子10〜40の積層方向に底部62から延出している。
接続部本体61は、図1に示されるように、陽極部11〜41の各端部にそれぞれ跨って当接して固定されており、すべての陽極部11〜41の図1に示される左側の端部11B〜41Bの凸部11C〜41Cに当接した状態で、コンデンサ素子10〜40の積層方向に交差する方向であって、且つ陽極部11〜41の端部の凸部11C〜41Cが当接している側とは反対の側である接続部材60の外側から、即ち、図1の左側から右側へ向けてレーザーの照射を受けることにより、陽極部11〜41の各端部11B〜41Bにそれぞれ電気的に接続される。接続部材60はNiにより構成されている。
凸部11C〜41Cの設けられたコンデンサ素子10〜40の端部11B〜41Bの輪郭形状は、前述のように、コンデンサ素子10〜40の陽極部11〜41がコンデンサ素子10〜40の積層方向上方からレーザー照射されることにより生じた切断面であり、積層方向において面一となっているため、端部11B〜41Bに接続部本体61が均一に当接し、陽極部11〜41の各端部11B〜41Bと接続部材60との電気的接続を確実にすることができる。
接続部材60の底部62は、第1コンデンサ素子10の陽極部11の図1に示される左側の端部11Bと、プリント基板50の第1の導電パターン51Aとの間に配置されており、プリント基板50の第1の導電パターン51Aに当接している。底部62は、コンデンサ素子10〜40の積層方向、即ち、図1において上から下に向う方向へレーザーの照射を受けることによりプリント基板50の第1の導電パターン51Aに電気的に接続される。
前述のように、陽極部11〜41の図1に示される左側の端部11B〜41Bには凸部11C〜41Cが設けられているため、図6に示されるように、あたかも長方形状の一の短辺を挟む2つの角部を、それぞれ切欠いて取除いたような形状をなしている。これに対して、図6に示されるように底部62は長方形状をしている。底部62は、コンデンサ素子10〜40の積層方向において、陽極部11〜41の図1に示される左側の端部11B〜41Bの凸部11C〜41Cと重なるように配置されるのであるが、底部62の長手方向の幅、即ち、図6における左右方向の長さは、陽極部11〜41の延出方向に対する幅方向における凸部11C〜41Cの幅、即ち図6における凸部11C〜41Cの左右方向の長さよりも大きいため、底部62は、結果的にコンデンサ素子10〜40の積層方向においていずれのコンデンサ素子10〜40の陽極部11〜41とも重ならない非重畳部62Aを有する。
固体電解コンデンサの製造方法では、先ず、コンデンサ素子製造工程を行う。実際に行われるコンデンサ素子製造工程では、複数のコンデンサ素子が同時に製造されるが、ここでは、説明の便宜上1つのコンデンサ素子10が製造される工程を一回のコンデンサ素子製造工程とする。先ず、表面に酸化膜層11Aが形成され陽極部11となるアルミニウム板、即ち、化成箔を打抜いて一端を陽極部11の形状とする。このとき、後述のように陰極層が形成される化成箔の部分は、複数同時に製造される他のコンデンサ素子の陰極部が形成される化成箔の他端の部分と、製品にならない余分な化成箔の部分を介して接続された状態となっている。後述の接続工程を行う直前に行うレーザー切断工程において、この余分な化成箔の部分は切断され除去される。
次に、スクリーン印刷法を用いて、陽極部11の所定の位置であって陰極部12と陽極部11との境界となる位置にレジスト13を形成する。次に、前述のように化成箔を打抜いたときに、打抜いた断面には酸化膜層11Aが形成されていない部分が生ずるが、この部分に酸化膜層11Aを生成するために再度酸化させる再化成を行う。
次に、レジスト13を境とする所定の領域、即ち図1に示される陽極部11のレジスト13よりも右側の部分に相当する化成箔の部分を、固体電解質層12Aを形成するための反応溶液中に浸漬し、化学酸化重合を行うことにより、固体電解質層12A、即ち、導電性ポリマー層を形成する。陽極部11の表面はエッチングによりポーラス状になっているので、直接銀ペースト層12Cを形成することができないため、銀ペースト層12Cを形成する準備のために固体電解質層12Aを形成するのである。
次に、導電性高分子層の上にグラファイトペースト層12Bと、銀ペースト層12Cとをこの順で積層して形成する。グラファイトペースト層12B、銀ペースト層12Cの形成は、ディップ法やスクリーン印刷法やスプレー塗布法等が用いられる。以上がコンデンサ素子製造工程である。このコンデンサ素子製造工程を4回行うことによって、4つのコンデンサ素子10〜40を製造する。
次に、積層工程を行う。積層工程では、4つのコンデンサ素子10〜40を、陽極部11〜41の図1に示される左側の端部11B〜41B同士が互いに隣接するように積層配置するとともに、陰極部12〜42同士を互いに積層配置する。陰極部12〜42間には、導電性接着剤71が塗布され、陰極部12〜42同士が導電性接着剤71によって互いに電気的に接続される。導電性接着剤71としては、例えば、銀−エポキシ系接着剤が用いられる。
次に、積層された状態の4つのコンデンサ素子10〜40を、製品とならない余分な化成箔の部分から切断することにより陽極部11〜41の端部11B〜41Bを所望の輪郭形状とし、略長方形状をしたコンデンサ素子10〜40の形状とするレーザー切断工程を行う。レーザー切断工程では、全てのコンデンサ素子10〜40の陽極部11〜41の端部11B〜41Bにおいて、前述の幅方向の一端41F等(図3)から他端11G〜41Gへ、又は他端11G〜41Gから一端41F等へと積層方向上方からレーザー照射することにより、図3に示されるようなスリット10a〜40aを形成して、スリット10a〜40aよりも前述の突出方向に位置する陽極部11〜41の端縁部、即ち、図3に示される左側の部分13〜43を切落とす。
レーザー照射はレーザースキャンすることにより行う。レーザー切断工程で用いたレーザーはYAGレーザーであり、波長は1064nmであり、F100mm〜F300mmのfθレンズ、エキスパンダX8を用いる。レーザーのスポット径は約φ60μmであり、アパーチャ径はφ2mmである。
また、出力は@5kHz〜@15kHzで5W〜10Wであり、スキャン速度は50mm/sec〜100mm/secである。照射するコンデンサ素子10〜40の陽極部11〜41の端部11B〜41Bの表面とレーザービーム出射部との間の距離(WD)はそれぞれ100mm〜200mmであり、陽極部11〜41の端部11B〜41Bの表面に焦点を合わせてレーザー照射する。
レーザースキャンについては、具体的には、先ず形成されるスリット10a〜40aの位置を境としてコンデンサ素子10〜40の陽極部11〜41の端部11B〜41Bの図3の示される左側の部分13〜43及び右側の部分14〜44を図示せぬ治具により保持し、積層された4層のコンデンサ素子10〜40の最上層40について、形成されるスリット40aの長手方向の一端から他端へと向かう方向、即ち、図4の紙面の裏から表へと向かう方向へ移動しながらレーザー照射する第1長手方向スキャン工程を行なう。コンデンサ素子40の陽極部41の端部41Bにおいてレーザースキャンをする位置は、図4に示されるように、コンデンサ素子40の陽極部41の端部41B輪郭を規定する位置Aである。位置Aで示される幅はレーザーのビームスポット径に一致する。
次に、形成されるスリット40aの長手方向の他端の位置、即ち、図4のコンデンサ素子40の紙面の最も表側寄りの位置において、レーザーの照射位置をスリット40aの幅方向、即ち、図4の左方向へ移動させる幅方向スキャン位置移動工程を行なう。移動させる距離は10μmである。
次に、スリット40aの長手方向の他端から一端へと向かう方向、即ち、図4の紙面の表から裏へと向かう方向へ移動しながらレーザー照射する第2長手方向スキャン工程を行う。このときのコンデンサ素子40の陽極部41の端部41Bにおいてレーザースキャンをする位置は、図4に示される位置Bである。位置Bで示される幅も、位置Aと同じくレーザーのビームスポット径に一致する。後述の位置C〜位置Eについても同様である。
次に、スリット40aの長手方向の一端の位置、即ち、図4のコンデンサ素子40の紙面の最も裏側寄りの位置において幅方向スキャン位置移動工程を行い、コンデンサ素子40の陽極部41の端部41Bの位置Cにおいて第1長手方向スキャン工程を行う。そして、スリット40aの長手方向の他端の位置、即ち、図4のコンデンサ素子40の紙面の最も表側寄りの位置において幅方向スキャン位置移動工程を行い、コンデンサ素子40の陽極部41の端部41Bの位置Dにおいて第2長手方向スキャン工程を行う。更に続けて、スリット40aの長手方向の他端の位置、即ち、図4のコンデンサ素子40の紙面の最も裏側寄りの位置において幅方向スキャン位置移動工程を行い、コンデンサ素子40の陽極部41の端部41Bの位置Eにおいて第1長手方向スキャン工程を行い、コンデンサ素子40に対するレーザースキャンが終了する。
レーザースキャンにより形成されるスリット40aの幅は、幅方向スキャン位置移動工程による移動量の総和及びビームスポット径により規定される。即ち、一回の幅方向スキャン位置移動工程による移動距離は、前述のように10μmであり、ビームスポット径は60μmであり、幅方向スキャン位置移動工程を4回行うため、コンデンサ素子40の陽極部41の端部41Bにおけるスリット40aの幅は100μmである。
次に、コンデンサ素子30に対するレーザースキャンを行う。先ず、コンデンサ素子30の陽極部31の端部31Bの位置A(図4)において第1長手方向スキャン工程を行い、形成されるスリット30aの長手方向の他端の位置、即ち、図4のコンデンサ素子30の紙面の最も表側寄りの位置において幅方向スキャン位置移動工程を行い、コンデンサ素子30の陽極部31の端部31Bの位置Bにおいて第2長手方向スキャン工程を行う。
続けて、形成されるスリット30aの長手方向の一端の位置、即ち、図4の陽極部31の端部31Bの紙面の最も裏側寄りの位置において幅方向スキャン位置移動工程を行い、陽極部31の端部31Bの位置Cにおいて第1長手方向スキャン工程を行う。次に、形成されるスリット30aの長手方向の他端の位置、即ち、図4のコンデンサ素子30の紙面の最も表側寄りの位置において幅方向スキャン位置移動工程を行い、コンデンサ素子30の陽極部31の端部31Bの位置Dにおいて第2長手方向スキャン工程を行い、コンデンサ素子30に対するレーザースキャンが終了する。
コンデンサ素子40では、位置Aから位置Eまでがスリット40aの幅になっているため、図5に示されるように、位置Aから位置Dまでがスリット30aの幅になっているコンデンサ素子30と比較して広くなっている。コンデンサ素子30の陽極部31の端部31Bにおけるスリット30aの幅は90μmである。このため、コンデンサ素子30に対してレーザー照射を行い、所望の幅のスリット30aを形成することができる。
次に、コンデンサ素子20に対するレーザースキャンを行う。先ず、図4に示される陽極部21の端部21Bの位置Aにおいて第1長手方向スキャン工程を行い、形成されるスリット20aの長手方向の他端の位置、即ち、図4のコンデンサ素子20の紙面の最も表側寄りの位置において幅方向スキャン位置移動工程を行い、コンデンサ素子20の陽極部21の端部21Bの位置Bにおいて第2長手方向スキャン工程を行う。
続けて、形成されるスリット20aの長手方向の一端の位置、即ち、図4の陽極部21の端部21Bの紙面の最も裏側寄りの位置において幅方向スキャン位置移動工程を行い、陽極部21の端部21Bの位置Cにおいて第1長手方向スキャン工程を行い、コンデンサ素子20に対するレーザースキャンが終了する。
コンデンサ素子30では、位置Aから位置Dまでがスリット30aの幅になっているため、図5に示されるように、位置Aから位置Cまでがスリット20aの幅になっているコンデンサ素子20と比較して広くなっている。コンデンサ素子20の陽極部21の端部21Bにおけるスリットの幅は80μmである。このため、コンデンサ素子20に対してレーザー照射を行い、所望の幅のスリット20aを形成することができる。
次に、コンデンサ素子10に対するレーザースキャンを行う。具体的には、図4に示される陽極部11の端部11Bの位置Aにおいて第1長手方向スキャン工程を行い、形成されるスリット10aの長手方向の他端の位置、即ち、図4のコンデンサ素子10の紙面の最も表側寄りの位置において幅方向スキャン位置移動工程を行い、コンデンサ素子10の陽極部11の端部11Bの位置Bにおいて第2長手方向スキャン工程を行い、コンデンサ素子10に対するレーザースキャンが終了する。
コンデンサ素子20では、位置Aから位置Cまでがスリット20aの幅になっているため、図5に示されるように、位置Aから位置Bまでがスリット10aの幅になっているコンデンサ素子10と比較してスリットの幅が広くなっている。コンデンサ素子10の陽極部11の端部11Bにおけるスリットの幅は70μmである。このため、コンデンサ素子10に対してレーザー照射を行うことにより、スリット10aを形成することができる。以上がレーザー切断工程である。
レーザー切断工程では、コンデンサ素子10以外のコンデンサ素子20〜40の陽極部21〜41の端部21B〜41Bに、コンデンサ素子10に形成されるスリット10aよりも広い幅のスリット20a〜40aを形成するようにしたため、レーザー光の到達強度を弱めずにコンデンサ素子10の陽極部11の端部11Bに照射することができると考えられ、コンデンサ素子10の陽極部11の端部11Bにスリット10aを形成することができる。
このため、レーザー照射によって、積層された複数のコンデンサ素子10〜40の陽極部11〜41の端縁部である図3の左側の部分13〜43をレーザー照射により切落とすことができる。この結果、レーザー照射により陽極部11〜41の端縁部13〜43が切落とされて生じた陽極部11〜41の各切断面を、前述のようにコンデンサ素子10〜40の積層方向において面一とすることができる。このため、製造される固体電解コンデンサ1の寸法精度を向上させることができ、歩留まりをよくすることができる。
また、積層されたコンデンサ素子の陽極部の端縁部をレーザー照射により一枚切断した後に、当該切断した陽極部の部分を除去するという工程を繰返し行わずに済み、このように切断した陽極部の不要部分を除去する際に、固体電解コンデンサの陽極部となる部分が変形することを防止することができ、且つ製造工程を簡単にすることができる。
次に、接続工程を行う。接続工程では、図6に示されるように、4つの積層されたコンデンサ素子10〜40とは別体として用意された接続部材60を、積層した複数のコンデンサ素子10〜40の陽極部11〜41の図1に示される左側の端部11B〜41Bに、電気的に接続することにより、4つのコンデンサ素子10〜40を互いに電気的に並列接続する接続部材固定工程を行う。具体的には、先ず、積層された4つのコンデンサ素子10〜40の第1層をなす第1コンデンサ素子10の陽極部11の図1に示される左側の端部11Bの凸部11Cと平行に底部62を対向配置させた状態で、接続部材60の接続部本体61をすべての陽極部11〜41の当該端部11B〜41Bの凸部11C〜41Cに跨って当接させる。このことにより、コンデンサ素子10〜40の積層方向においていずれのコンデンサ素子10〜40の陽極部11〜41とも重ならない非重畳部62Aを底部62に規定する。
なお、図6において二点鎖線で示される矢印は、単に積層された4つのコンデンサ素子10〜40と、接続部材60と、プリント基板50との位置関係を示しているだけであって、必ずしもこの方向に移動させることによりこれら3つを接続するという意味ではない。
次に、陽極部11〜41の端部11B〜41Bに当接する接続部本体61の側に対する反対の側、即ち、図1に示される左側から、コンデンサ素子10〜40の積層方向に交差する方向、具体的には、積層方向に垂直の方向に向けて接続部本体61に対してレーザーを照射する。レーザーはYAGレーザースポット溶接が用いられ、レーザーの照射は、接続部本体61の長手方向の一端から他端へ向って波を描くようにして照射する。このことにより接続部本体61を陽極部11〜41の各端部11B〜41Bに電気的に接続する。以上が接続部材固定工程である。
次に、プリント基板接続工程を行う。プリント基板接続工程では、図6に示されるように、4つの積層されたコンデンサ素子10〜40、接続部材60とは別体として用意されたプリント基板50上に、当該4つの積層されたコンデンサ素子10〜40及び接続部材60を載置し電気的に接続する。具体的には、先ず、導電性接着剤71を塗布した陰極部12〜42をプリント基板50の第2の導電パターン52A上に当接させ、また、接続部材60の底部62を第1の導電パターン51A上に当接させ、非重畳部62Aに対してコンデンサ素子10〜40の積層方向から、即ち、図1又は図2に示される上方向から、図6の破線で示される円の位置にレーザーを照射する。このことにより、接続部材60の底部62をプリント基板50の第1の導電パターン51Aに電気的に接続すると共に、陰極部12〜42を第2の導電パターン52Aに電気的に接続する。
その後、固体電解コンデンサ1を保護するためにモールドを行い、切断を行い、更に、損傷している部分を修復するためのエージングを行い、特性検査、外観検査を経て固体電解コンデンサの製造方法の全工程を終了する。
本発明による固体電解コンデンサの製造方法は、上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形や改良が可能である。例えば、接続部材は、本実施の形態による接続部材60の形状に限定されない。また、接続部材が固定されるコンデンサ素子の陽極部の端部の位置は、本実施の形態による位置に限られない。
例えば、図7に示されるように、接続部材90の接続部本体91を、陽極部11〜41の端部11B〜41Bの凸部11C〜41Cの突出端縁11D〜41Dではなく、凸部11C〜41Cの側面11E〜41Eに溶接するようにしてもよい。本実施の形態では、コンデンサ素子1の図1に示される左側の端部には接続部材60の接続部本体61が存在しているが、接続部本体を凸部11C〜41Cの側面11E〜41Eに溶接することにより、コンデンサ素子の図1に示される左側の端部相当位置に接続部本体61を配置させずに済み、図1に示される左右方向に相当する方向において接続部本体91の厚み分だけコンデンサ素子の長さを短くすることができる。
また、本実施の形態では、スリットの幅は上層の方が下層よりも広くなっていたが、最下層以外においては上層のスリットの幅と下層のスリットの幅とが同一であってもよい。この場合であっても最下層以外のスリットの幅は、いずれも最下層のスリットの幅よりも広くする必要がある。このようにすることにより、最下層のコンデンサ素子の陽極部の端部において、確実にスリットを形成することができる。
また、レーザーとしてはYAGレーザーが用いられたが、これに限定されない。例えば、YVOレーザーを用いてもよい。一例を挙げれば、波長は1064nmであり、F100mm〜F300mmのfθレンズを用いる。レーザーのスポット径は約φ60μmである。出力は@50kHz〜@80kHzで5W〜20Wであり、スキャン速度は50mm/sec〜100mm/secである。照射するコンデンサ素子10〜40の陽極部11〜41の端部11B〜41Bの表面とレーザービーム出射部との間の距離(WD)は50mm〜150mmであり、陽極部11〜41の端部11B〜41Bの表面に焦点を合わせてレーザー照射する。
また、本実施の形態のレーザー切断工程におけるレーザースキャンでは、第1長手方向スキャン工程と、幅方向スキャン位置移動工程と、第2長手方向スキャン工程とが行なわれたが、これに限定されず、所望の幅のスリットが形成されればどのようなレーザースキャンを行ってもよい。
例えば、最下層に配置されたコンデンサ素子以外のコンデンサ素子には、形成されるスリットの幅方向の一端から他端へと移動しながらレーザー照射する第1幅方向スキャン工程と、形成されるスリットの幅方向の他端においてレーザーの照射位置をスリットの長手方向へ移動させる長手方向スキャン位置移動工程と、形成されるスリットの幅方向の他端から一端へと移動しながらレーザー照射する第2幅方向スキャン工程とを少なくとも行うようにし、最下層に配置されたコンデンサ素子には、形成されるスリットの長手方向の一端から他端へと移動しながらレーザー照射する長手方向スキャン工程を少なくとも行うようにしてもよい。この場合には、スリットの長手方向の長さは長手方向スキャン位置移動工程による移動量の総和により規定される。
また、別のレーザースキャンの方法としては、例えば、上層のコンデンサ素子においてスリットが形成される領域内の所定範囲内でスキャンしながらレーザー照射する上層照射工程と、下層のコンデンサ素子の積層方向における所定範囲内相当位置において所定範囲よりも狭い範囲でスキャンしながらレーザー照射する下層照射工程とを行う積層方向複数層レーザー照射工程を繰返し行うことにより、所望の幅のスリットを形成するようにしてもよい。
また、スリット10a〜40aを形成するためにレーザースキャンによるレーザー照射を行ったが、これに代えてレーザーを固定し、コンデンサ素子をレーザーに対して相対的にスキャンさせることによりスリットを形成してもよい。
また、レーザー照射は連続照射であってもパルス照射であってもよい。
また、最上層のコンデンサ素子40の陽極部41の端部41Bにおけるスリットの幅は100μmであったが、これに限定されない、例えば、300μm程度であってもよい。これに伴い、最下層及び最上層以外のコンデンサ素子の陽極部の端部に形成されるスリットの幅を広くしてもよい。
また、陽極部11〜41は接続部材60によって電気的に接続されたが、陽極部11〜41が電気的に接続できるのであれば、接続部材60を用いなくてもよい。例えば、陽極部の端部どうしをカシメにより電気的に接続してもよい。また、陽極部の端部間を所定の間隔に保持するためのスペーサを、陽極部の端部間に配置させてもよい。
また、接続部材のレーザー照射を受ける表面は粗面化されていてもよい。粗面化されていることにより、レーザー光の反射を低減することができる。このため、接続部材におけるレーザー光の吸収を増加させることができる。
また、接続部材60は、底部62と接続部本体61とを備えていたが、接続部本体のみを有する構成であってもよい。また、固体電解コンデンサの寸法は、本実施の形態による値に限定されない。また、積層されたコンデンサ素子10〜40はプリント基板50上に配置されたが、これに限定されない。例えば、プリント基板に代えてリードフレーム上に載置されるようにしてもよい。
また、陽極部11〜41を構成する弁作用金属はアルミニウムにより構成されたが、これに限定されない。例えばタンタルやニオブ等であってもよい。また、接続部材60はNiにより構成されていたが、これに限定されない。例えば、SUS、鉄、アルミニウム、銅、リン青銅、Mo、Cr、FeNi合金等の導電性の金属であればよく、また、例えば、日立電線株式会社により製造されている商品名「日立ハイクラッド」のような、異種金属を金属学的に接合させたいわゆるクラッド材等を用いてもよい。また、コンデンサ素子10〜40は4つ設けられていたが、個数は4つに限定されない。
また、接続部本体61と底部62とは一体に接続されていたが、これに限定されず、予め別体として用意された接続部本体と底部とを溶接等により接続して構成してもよい。
また、レーザーの照射は、接続部本体61の長手方向の一端から他端へ向って波を描くようにして照射したが、これに限定されない。例えば、接続部本体61の幅方向の一端から他端へ向って波を描くようにして照射してもよく、また、陽極部11〜41の端部11B〜41Bの凸部11C〜41Cに当接する接続部本体61の位置にのみにスポットで間欠的にレーザーを照射してもよい。
本発明の固体電解コンデンサの製造方法は、多数のコンデンサ素子が積層されて構成される当該固体電解コンデンサの製造方法の分野において有用である。
本発明の実施の形態による固体電解コンデンサの製造方法により製造される固体電解コンデンサを示す断面図。 本発明の実施の形態による固体電解コンデンサの製造方法により製造される固体電解コンデンサを構成するコンデンサ素子を示す断面図。 本発明の実施の形態による固体電解コンデンサの製造方法のレーザー切断工程により形成されたスリットを示す概念図。 本発明の実施の形態による固体電解コンデンサの製造方法のレーザー切断工程を説明するための説明図。 本発明の実施の形態による固体電解コンデンサの製造方法のレーザー切断工程により形成されたスリットを示す説明図。 本発明の実施の形態による固体電解コンデンサの製造方法により製造される固体電解コンデンサを示す分解斜視図。 本発明の実施の形態による固体電解コンデンサの製造方法により製造される固体電解コンデンサの接続部材の変形例を示す分解斜視図。
符号の説明
1 固体電解コンデンサ
10〜40 コンデンサ素子
10a〜40a スリット
11〜41 陽極部
11A 酸化膜層
11B〜41B 端部
12〜42 陰極部
12A 固体電解質層
12B グラファイトペースト層
12C 銀ペースト層
13〜43 端縁部
41F 一端
41G 他端
60、70 接続部材
61、71 接続部本体
62、72 底部
62A 非重畳部

Claims (7)

  1. 表面に酸化膜層が形成され弁作用金属からなる陽極部の該表面の所定の領域に、固体電解質層を有する陰極部を層状に形成する工程を有するコンデンサ素子製造工程と、
    該コンデンサ素子製造工程を複数回行うことにより製造された複数の該コンデンサ素子を、該陽極部の端部同士が互いに隣接するように積層配置するとともに該陰極部同士を互いに積層配置する積層工程と、
    該コンデンサ素子において該陰極部が層状に形成された部分から該陰極部が形成されていない該陽極部の部分が突出する方向を突出方向とし、該コンデンサ素子が積層される方向を積層方向とし、該突出方向及び該積層方向に垂直の方向を幅方向としたときに、全ての該コンデンサ素子の該陽極部の端部において該幅方向の一端から他端へわたり該積層方向上方からレーザー照射することによりスリットを形成して、該スリットよりも該突出方向に位置する該陽極部の端縁部を切落とすレーザー切断工程と、
    積層した該複数のコンデンサ素子を互いに電気的に並列接続する接続工程とを有する固体電解コンデンサの製造方法であって、
    該レーザー切断工程では、該積層方向において最下層に配置された該コンデンサ素子以外の該コンデンサ素子の該スリットの幅が、該積層方向において最下層に配置された該コンデンサ素子の該スリットの幅よりも広くなるように、該複数のコンデンサ素子にそれぞれ該レーザーのビームスポット径よりも広い幅の該スリットを形成することを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
  2. 該レーザー切断工程では、該積層方向において下層に配置された該コンデンサ素子には、該積層方向において上層に配置された該コンデンサ素子よりも幅の狭い該スリットを形成することを特徴とする請求項1記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  3. 該接続工程は、該複数のコンデンサ素子の該陽極部の端縁部を切落とすことにより生じた該陽極部の切断面に、該複数のコンデンサ素子の各該陽極部の端部を互いに電気的に接続するための導電性の材料からなる接続部材をすべての該陽極部の端部に跨って固定する接続部材固定工程を有することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  4. 該レーザー切断工程では、レーザースキャンによるレーザー照射により該スリットを形成することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  5. 該レーザー切断工程の該レーザースキャンでは、最下層に配置された該コンデンサ素子以外の該コンデンサ素子には、形成される該スリットの長手方向の一端から他端へと移動しながらレーザー照射する第1長手方向スキャン工程と、形成される該スリットの長手方向の他端においてレーザーの照射位置を該スリットの幅方向へ移動させる幅方向スキャン位置移動工程と、形成される該スリットの長手方向の他端から一端へと移動しながらレーザー照射する第2長手方向スキャン工程とを少なくとも行い、該スリットの幅は該幅方向スキャン位置移動工程による移動量の総和及びビームスポット径により規定され、
    最下層に配置された該コンデンサ素子には少なくとも該第1長手方向スキャン工程を行うことを特徴とする請求項4記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  6. 該レーザー切断工程のレーザースキャンでは、最下層に配置された該コンデンサ素子以外の該コンデンサ素子には、形成される該スリットの幅方向の一端から他端へと移動しながらレーザー照射する第1幅方向スキャン工程と、形成される該スリットの幅方向の他端においてレーザーの照射位置を該スリットの長手方向へ移動させる長手方向スキャン位置移動工程と、形成される該スリットの幅方向の他端から一端へと移動しながらレーザー照射する第2幅方向スキャン工程とを少なくとも行い、該スリットの長手方向の長さは該長手方向スキャン位置移動工程による移動量の総和により規定され、
    最下層に配置された該コンデンサ素子には、形成される該スリットの長手方向の一端から他端へと移動しながらレーザー照射する長手方向スキャン工程を少なくとも行うことを特徴とする請求項4記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  7. 該レーザー切断工程のレーザースキャンでは、上層の該コンデンサ素子において該スリットが形成される領域内の所定範囲内でスキャンしながらレーザー照射する上層照射工程と、下層の該コンデンサ素子の該積層方向における該所定範囲内相当位置において該所定範囲よりも狭い範囲でスキャンしながらレーザー照射する下層照射工程とを行う積層方向複数層レーザー照射工程を繰返し行うことを特徴とする請求項4記載の固体電解コンデンサの製造方法。
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