JP2006152669A - 滑り支承免震構造物の建築構法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基礎1の上面に設置された滑り支承2の上に上部滑り板8を載置し、該上部滑り板8の上面中央部に位置決め用部材3を垂直上向きに設置する。鉄骨梁5の下面の柱中心位置に位置決め用部材12を垂直下向きに設置する。前記鉄骨梁5を吊り込み、その下面の垂直下向きの位置決め用部材12を、前記上部滑り板8の垂直上向きの位置決め用部材3と嵌め合わせ、当該鉄骨梁5を柱6の芯々位置へ位置決めし仮置きする。
【選択図】 図4
Description
下記の特許文献1には、積層ゴム支承とSRC造柱との接合構造が開示されている。要するに、積層ゴム支承の上側フランジの上に載せてボルト接合したベースプレートの上面に、ボルトとナットによる上向きの高さ調節部材を垂直上向きに立ち上がらせ、これを鉄骨柱下端の板体と結合して高さの調節と支持を行い、隙間に支持片を差し込み、しかる後にコンクリートを打設して固めた接合構造が記載されている。
しかしながら、滑り支承の場合は、構造上および機能上、鉄骨梁を受けて支持する上部滑り板は水平方向にフラフラと滑り動いて位置が定まらないので、柱中心の芯出しを行った上で、上部滑り板の中心を柱の芯と正確に一致させて接合する建て方作業が甚だ困難である。そうだからといって、予め上部滑り板を鉄骨梁の下面へ溶接して固定しておくことは、溶接熱で上部滑り板に歪みや曲がりを生じてしまい、滑り支承本来の滑り性を阻害する懸念があり、実施がためらわれる。
基礎1の上面に設置された滑り支承2の上に上部滑り板8を載置すると共に該上部滑り板8の上面中央部に位置決め用部材3を垂直上向きに設置すること、
免震構造物の基礎梁部分13を構成する鉄骨梁5の下面であって柱直下の柱中心位置に位置決め用部材12を垂直下向きに設置すること、
前記鉄骨梁5をほぼ水平姿勢に吊り込み、その下面の垂直下向きの位置決め用部材12を、前記上部滑り板8の垂直上向きの位置決め用部材3と嵌め合わせた上で、当該鉄骨梁5を柱6の芯々位置へ位置決めし仮置きすること、
以下、前記鉄骨梁5に基いて基礎梁部分13を構築する建築工程を進めることを特徴とする。
上部滑り板8の位置決め用部材3、および鉄骨梁5下面の位置決め用部材12のいずれか一方は管状部材であり、他方は前記管状部材の中空部内へ密接に挿入可能な外径および形状の棒状部材であることを特徴とする。
基礎1の上面に適度に浮き出す状態に設置された滑り支承2は、回転および上下方向への動揺が可能なピン構造に構成されていることを特徴とする。
免震構造物の基礎梁部分13が鉄骨鉄筋コンクリート造である場合は、予め上部滑り板8の外周に基礎梁底型枠9を付設し、また、上部滑り板8の上面にコンクリートとの一体化を図るスタッド10等の結合材を設け、滑り支承2の外周部分にコンクリートの堰き止め材11を設置することを特徴とする。
滑り支承は、場所打ちコンクリート杭の上端に設置することを特徴とする。
ちなみに、図示した滑り支承2の構造詳細は、一例を図5に拡大して示したように、基礎として場所打ちコンクリート杭1を構築した後、地盤を掘削して露出させ整形した杭頭の上端面に彫り込んだ凹部を形成し、その凹部へ滑り支承2を埋め込み、適度に浮き出した状態に設置する。すなわち、図示の滑り支承2は、場所打ちコンクリート杭1の上端に形成した凹部へ埋め込まれ、コンクリートを充填して固定したすり鉢形状の凹部を備えた下部凹部材2Aと、前記すり鉢形状の凹部へゆるく嵌り込む倒立円錐形状の下向き凸部を有する上部凸部材2Bとの組合せから成り、回転および上下方向への動揺が可能なピン構造に構成されている。両部材2A、2Bは鋳鋼又は鋳鉄製品である。前記二部材2A、2Bの凹部と凸部の隙間には、防錆機能と潤滑機能を有するクリアランス充填材2Cが目一杯充填されている。また、上部凸部材2Bの水平な上面には、平面精度の高い滑り板2Dが嵌め込まれている。この滑り板2Dは、場所打ちコンクリート杭1の上端面から滑り機能に適度な高さ、例えば300mm程度浮き出した状態に設置されている。もっとも、滑り支承2の構成は図示例のものに限らない。前記地盤の掘削底面には、整地をした後に捨てコンクリート4(図2参照)が施工されている。
図2及び図3は、SRC造の基礎梁部分13(図4参照)ないしSRC造免震構造物を建築する場合の実施例として、上記滑り支承2の滑り板2D上に二重板構造の上部滑り板8を、滑り板2Dと大凡の芯合わせをして載置すると共に、該上部滑り板8の上面中央部(中心部)に位置決め用部材としての鋼管3(鞘管とも呼ぶ)を垂直上向きに設置している。更に前記上部滑り板8の外周には基礎梁底型枠9を付設し、また、上部滑り板8の上面にコンクリートとの一体化を図る結合材としてスタッド10を垂直に設けている。そして、滑り支承2の外周部分には、打設したコンクリートが漏れ出して滑り支承2を汚損したり滑り・回転機能に障害を起こすことを未然に防止する発泡スチレンフォームの如き堰き止め材11を設置している。
2 滑り支承
8 上部滑り板
3 位置決め用部材(鋼管)
13 基礎梁部分
5 鉄骨梁
12 位置決め用部材(棒状部材)
9 基礎梁底型枠
10 スタッド
11 堰き止め材
Claims (5)
- 基礎の上面に設置された滑り支承の上に上部滑り板を載置すると共に該上部滑り板の上面中央部に位置決め用部材を垂直上向きに設置すること、
免震構造物の基礎梁部分を構成する鉄骨梁の下面であって柱直下の柱中心位置に位置決め用部材を垂直下向きに設置すること、
前記鉄骨梁をほぼ水平姿勢に吊り込み、その下面の垂直下向きの位置決め用部材を、前記上部滑り板の垂直上向きの位置決め用部材と嵌め合わせた上で、当該鉄骨梁を柱の芯々位置へ位置決めし仮置きすること、
以下、前記鉄骨梁に基いて基礎梁部分を構築する建築工程を進めることを特徴とする、滑り支承免震構造物の建築構法。 - 上部滑り板の位置決め用部材、および鉄骨梁下面の位置決め用部材のいずれか一方は管状部材であり、他方は前記管状部材の中空部内へ密接に挿入可能な外径および形状の棒状部材であることを特徴とする、請求項1に記載した滑り支承免震構造物の建築構法。
- 基礎の上面に適度に浮き出す状態に設置された滑り支承は、水平回転および上下方向への動揺が可能なピン構造に構成されていることを特徴とする、請求項1に記載した滑り支承免震構造物の建築構法。
- 免震構造物の基礎梁部分が鉄骨鉄筋コンクリート造である場合は、予め上部滑り板の外周に基礎梁底型枠を付設し、また、上部滑り板の上面にコンクリートとの一体化を図るスタッド等の結合材を設け、滑り支承の外周部分にコンクリートの堰き止め材を設置することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一に記載した滑り支承免震構造物の建築構法。
- 滑り支承は、場所打ちコンクリート杭の上端に設置することを特徴とする、請求項1又は3若しくは4に記載した滑り支承免震構造物の建築構法。
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