JP2006151634A - エレベータの防振装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】垂直方向および水平方向の振動を共に有効に吸収することができるとともに、水平方向の振動に伴う剪断力の発生を防止して耐久性を高めることができるエレベータの防振装置を提供する。
【解決手段】乗りかご1におけるかご枠2とかご室3との間に防振機構30を設ける。この防振機構30は保持ケース31と球形状の弾性材からなる防振体32とからなり、保持ケース31はかご枠2の上面に固定され、防振体32は保持ケース31内に転動可能に収納され、この防振体32がかご室3の下面に接触してそのかご室3の垂直荷重を受けている。乗りかご1の昇降動作に応じてかご枠2が上下に振動したときには、その振動を防振体32の弾性変形で吸収してかご室3への伝達を抑え、かご枠2が水平方向に振動したときには、防振体32を水平方向に転動させてその振動のかご室3への伝達を抑える。
【選択図】 図1
【解決手段】乗りかご1におけるかご枠2とかご室3との間に防振機構30を設ける。この防振機構30は保持ケース31と球形状の弾性材からなる防振体32とからなり、保持ケース31はかご枠2の上面に固定され、防振体32は保持ケース31内に転動可能に収納され、この防振体32がかご室3の下面に接触してそのかご室3の垂直荷重を受けている。乗りかご1の昇降動作に応じてかご枠2が上下に振動したときには、その振動を防振体32の弾性変形で吸収してかご室3への伝達を抑え、かご枠2が水平方向に振動したときには、防振体32を水平方向に転動させてその振動のかご室3への伝達を抑える。
【選択図】 図1
Description
この発明は、エレベータの運転時に生じる振動を抑制するエレベータの防振装置に関する。
図7にはエレベータの乗りかごの構造を示してある。この乗りかご1は、かご枠2と、このかご枠2の内側に設置されたかご室3を備えている。かご枠2は、一対の立枠4と、これら立枠4の上端部間に架設された上枠5および下端部間に架設された床受枠6とで構成されている。この乗りかご1は建屋の昇降路7内に配置されている。
かご室3は、かご枠2における床受枠6の上にゴム等の弾性体からなる防振材10を介して設置されている。防振材10は、図8に示すように上下部にフランジ10a,10bを有し、一方のフランジ10aがかご室3の床下面に、他方のフランジ10bがかご枠2の床受枠6の上面にそれぞれ複数のボルト11を介して固定されている。
かご枠2の上部両側および下部両側にはそれぞれ案内装置14が設けられ、これら案内装置14が昇降路7内に設けられた垂直方向に平行に延びる一対のガイドレール15に係合し、この係合で乗りかご1がガイドレール15に沿って上下に移動する。
かご枠2の下部にはシーブ枠16が取り付けられ、このシーブ枠16に一対のかごシーブ17が回転自在に取り付けられ、これらかごシーブ17に乗りかご1を吊り下げて移動させるためのメインロープ18が巻き掛けられている。
図9には乗りかご1を駆動する駆動装置20を示してあり、この駆動装置20は昇降路7の上部の機械室21に設けられている。すなわち、機械室21の床の上にマシンビーム22が設けられ、このマシンビーム22の上に防振材23を介してマシンベッド24が設けられ、このマシンベッド24の上に巻上機25が設置されている。
巻上機25は駆動シーブ27を備え、この駆動シーブ27に前記メインロープ18が巻き掛けられている。そして巻上機25の駆動で駆動シーブ27が回転することでメインロープ18が走行し、乗りかご1がガイドレール15に沿って昇降する。
このようなエレベータにあっては、乗りかご1の昇降動作に応じてかご枠2が振動する。かご枠2の垂直方向の振動は、弾性体からなる防振材10により吸収され、かご室3への伝達が抑えられる。
ところが、防振材10はその上下部がボルト11を介してかご室3とかご枠2とに固定されており、このため水平方向への弾性的な変形が規制され、かご枠2に加わる水平方向の振動に対してはそれを有効に吸収することができない。特にかご枠2に急激な横揺れが加わると、防振材10に大きな剪断力が加わり、防振材10が早期に損傷し、耐久性が低下してしまう。
このため、従来では乗りかご1をガイドレール15に沿って案内する案内装置14に、水平方向の荷重を支えるための支え機構と、水平方向の振動を吸収して抑制するためのばね要素機構とを組み込んでおり、それゆえ案内装置14の構造が複雑化するという問題がある。
特に、かご枠2の下側にかごシーブ17を備えるタイプの乗りかご1では、かご枠2の振動が防振材10から直にかご室3に伝達しやすく、このためかご枠2の振動要因となるガイドレール15の継目部の段差の平滑化処理をその据え付け時に入念に行なわなければならなくなる。
一方、駆動装置20においても、巻上機25の動作時の垂直方向の振動は防振材23で抑制できても、その防振材23がマシンベッド24とマシンビーム22とに固定されて水平方向への弾性的な変形が規制されており、このため巻上機25の動作に応じてマシンベッド24に加わる水平方向の振動に対してはそれを有効に吸収することができず、その振動がマシンビーム22から建屋に騒音として伝わり、建屋の居住環境を低下させる恐れがある。
この発明はこのような点に着目してなされたもので、その目的とするところは、垂直方向および水平方向の振動を共に有効に吸収することができるとともに、水平方向の振動に伴う剪断力の発生を防止して耐久性を高めることができるエレベータの防振装置を提供することにある。
請求項1の発明は、かご枠の内側にかご室を設けてなるエレベータの乗りかごと、前記かご枠とかご室との間に水平方向に転動可能に配置されてかご室の垂直荷重を受ける弾性材からなる防振体を有する防振機構とを備えることを特徴としている。
請求項2の発明は、前記防振機構が、前記防振体と共にこの防振体を水平方向に転動可能に保持する保持ケースを有することを特徴としている。
請求項3の発明は、前記防振機構が、前記防振体と共に、互いに対向する一対の保持ケースを有し、その一方の保持ケースは前記かご枠に、他方の保持ケースは前記かご室にそれぞれ固定されて互いに対向し、その対向する水平な各面には断面が半楕円状ないしは半円状をなす凹部が形成され、前記防振体が前記一対の保持ケースの対向間に配置されて前記各凹部内に転動可能に収納されていることを特徴としている。
請求項4の発明は、前記乗りかごにおけるかご枠の下部の床受枠と前記かご室の下部との間、および前記かご枠の上部の上枠と前記かご室の上部との間にそれぞれ前記請求項3に記載の防振機構を設けてなることを特徴としている。
請求項5の発明は、エレベータの機械室の床の上に設けられたマシンビーム、およびこのマシンビームの上にマシンベッドを介して設けられた巻上機と、前記マシンビームとマシンベッドとの間に水平方向に転動可能に配置されてマシンベッドの垂直荷重を受ける弾性材からなる防振体を有する防振機構とを備えることを特徴としている。
請求項6の発明は、前記防振機構が、前記防振体と共にこの防振体を水平方向に転動可能に保持する保持ケースを有することを特徴としている。
請求項7の発明は、前記防振機構が、前記防振体と共に、互いに対向する一対の保持ケースを有し、その一方の保持ケースは前記マシンビームに、他方の保持ケースは前記マシンベッドにそれぞれ固定されて互いに対向し、その対向する水平な各面には断面が半楕円状ないしは半円状をなす凹部が形成され、前記防振体が前記一対の保持ケースの対向間に配置されて前記各凹部内に転動可能に収納されていることを特徴としている。
この発明によれば、垂直方向および水平方向の振動を共に有効に吸収することができるとともに、水平方向の振動に伴う剪断力の発生を防止して耐久性を高めることができる。
以下、この発明の実施の形態について図1ないし図5を参照して説明する。なお、図7ないし図9に示す構成部分と同一の部分には同一の符号を付してその重複する説明を省略する。
図1には第1の実施形態に係る防振装置を備える乗りかご1の正面図を、図2にはその防振装置を構成する防振機構の拡大斜視図を示してある。
乗りかご1には、かご枠2の床受枠6とかご室3の下面との間に、防振装置を構成する複数の防振機構30が水平に並んで設けられ、これら防振機構30を介してかご室3がかご枠2の内側に支持されている。
防振機構30は、図2に示すように、上面が開口する保持ケース31と、この保持ケース31内に転動可能に収納された防振体32とで構成されている。防振体32は、例えばゴムなどの弾性材により球形状に形成され、その上部の一部が保持ケース31の上方に突出している。
保持ケース31は床受枠6の上面に水平に固定され、この保持ケース31内に水平方向に転動可能に前記防振体32が収納され、この防振体32の上面がかご室3の下面に接触してそのかご室3の垂直荷重を受けている。
このような構成によれば、乗りかご1の昇降動作に応じてかご枠2が上下に振動したときには、その振動が弾性材からなる防振体32の弾性変形で吸収され、かご室3への伝達が抑えられる。
かご枠2が水平方向に振動したときには、かご枠2とかご室3との間に転動可能に球形状の防振体32が介在しているから、その防振体32がかご枠2とかご室3との間で水平方向に転動し、かご室3がほぼ定位置を保ったままかご枠2のみが水平方向に小刻みに動き、このためかご枠2からかご室3へは振動がほとんど伝達されない。
このように、かご枠2が振動して水平方向に揺れたときには、防振体32を転動させてかご室3への振動の伝達を抑えるものであり、したがって防振体32には剪断力が加わることがなく、このため防振体32の損傷を防止してその耐久性を高めることができる。
そしてかご枠2が水平方向に振動したときのその振動のかご室3への伝達を防振体32で有効に抑えることができるから、案内装置14にはばね要素などの振動抑制手段を設ける必要がなくなり、したがってその構成を簡略化でき、またその案内装置14が係合して走行するガイドレール15の継目部の段差の平滑化処理も簡略化することが可能となる。なお、かご枠2とかご室3との間には、かご枠2に対するかご室3の水平方向の一定以上の移動を規制してそのかご室3の脱落を防止する脱落防止機構が設けられている。
図3および図4には第2の実施形態を示してあり、この実施形態による防振機構30は、かご枠2の床受枠6とかご室3の下面との間に互いに対向して設けられた一対の保持ケース31a,31bと、これら保持ケース31a,31bの対向間に転動可能に設けられた防振体32とで構成されている。
この防振機構30の一方の保持ケース31aは床受枠6の上面に、他方の保持ケース31bはかご室3の下面にそれぞれ水平に固定されている。保持ケース31aの上面および保持ケース31bの下面には球形状に凹む凹部34が形成されている。この凹部34の底面の縦断面形状は半楕円状あるいは半円状となっている。一方の保持ケース31aの凹部34と他方の保持ケース31bの凹部34は一定の間隔をあけて互いに対向し、その互いに対向する一方の凹部34と他方の凹部34との間に防振体32が設けられている。
防振体32は例えばゴムなどの弾性材により球形状に形成されている。この防振体32はその直径が凹部34の口径より小さく、その上部および下部が凹部34の内部に転動可能に収納されている。
このような構成においても、乗りかご1の昇降動作に応じてかご枠2が上下に振動したときには、その振動が弾性材からなる防振体32の弾性変形で吸収され、かご室3への伝達が抑えられる。
かご枠2が水平方向に振動したときには、かご枠2とかご室3との間に介在した防振体32がかご枠2とかご室3との間で水平方向に転動し、かご室3がほぼ定位置を保ったままかご枠2のみが水平方向に小刻みに動き、このためかご枠2からかご室3へは振動がほとんど伝達されない。
このように、かご枠2が振動して水平方向に揺れたときには、防振体32を転動させてかご室3への振動の伝達を抑えるものであり、したがって防振体32には剪断力が加わることがなく、このため防振体32の損傷を防止してその耐久性を高めることができる。
また、防振体32は、かご枠2に取り付けられた保持ケース31aの凹部34内と、かご室3に取り付けられた保持ケース31bの凹部34内に収納されているため水平方向ヘの移動範囲がその凹部34により一定範囲に規制され、このためその防振体32を介してかご枠2に対するかご室3の相対的な水平方向の移動範囲も一定範囲に規制され、したがってかご室3が所定以上移動して例えばそのかご室3のシル部材が建屋の乗り場口のシル部材と干渉するような不都合を防止することができる。
図5には第3の実施形態を示してあり、この実施形態においては、乗りかご1におけるかご枠2の床受枠6とかご室3の下面との間に前記第2の実施形態の場合と同様に図4に示す防振機構30が設けられているとともに、さらにかご枠2の上枠5の下面とかご室3の上面との間にも図4に示す防振機構30が複数水平方向に並んで設けられ、これら防振機構30を介してかご室3がかご枠2の内側に支持されている。
このような構成においては、前記第2の実施形態の場合と同様に、乗りかご1の昇降動作に応じてかご枠2が上下に振動したときには、その振動が弾性材からなる防振体32の弾性変形で吸収され、かご室3への伝達が抑えられ、またかご枠2が水平方向に振動したときには、かご枠2とかご室3との間に介在した防振体32がかご枠2とかご室3との間で水平方向に転動し、かご室3がほぼ定位置を保ったままかご枠2のみが水平方向に小刻みに動き、このためかご枠2からかご室3へは振動がほとんど伝達されない。
さらにこの第3の実施形態の場合には、かご室3の上部にも防振機構30が設けられているため、かご室3の垂直方向の動きがその上部の防振機構30と下部の防振機構30とで一定以下に規制され、このため例えば大きな地震で予想を上回るような垂直方向の力がかご室3に加わったような場合にそのかご室3の動きを一定範囲に抑えることができる。
図6には第4の実施形態を示してある。この実施形態は昇降路の上部の機械室21に設置された駆動装置20に対する防振対策の例である。
すなわち、機械室21の床の上に設けられたマシンビーム22と、このマシンビーム22の上に設置されたマシンベッド24との間に、図4に示す防振機構30が複数水平方向に並んで設けられ、これら防振機構30を介してマシンベッド24がマシンビーム22の上に支持されている。
このような構成においては、マシンベッド24の上に設置された巻上機25の動作による垂直方向の振動は、防振機構30の弾性材からなる防振体32の弾性変形で吸収されて機械室21の床つまり建屋への伝達が抑えられ、また水平方向の振動は、防振体32がマシンベッド24とマシンビーム22との間で水平方向に転動することにより吸収されて機械室21の床つまり建屋への伝達が抑えられ、このため巻上機25の動作に伴う振動騒音が建屋の居室に伝わるような不都合を防止することでき、静かな居住環境を確保することができる。
そして、巻上機25の動作に伴う水平方向の振動は、防振体32を水平方向に転動させることにより吸収するものであり、したがって防振体32には剪断力が加わることがなく、このため防振体32の損傷を防止して耐久性を高めることができる。
1…乗りかご
2…かご枠
3…かご室
7…昇降路
14…案内装置
15…ガイドレール
20…駆動装置
21…機械室
22…マシンビーム
24…マシンベッド
25…巻上機
27…駆動シーブ
30…防振機構
31…保持ケース
31a…保持ケース
31b…保持ケース
32…防振体
2…かご枠
3…かご室
7…昇降路
14…案内装置
15…ガイドレール
20…駆動装置
21…機械室
22…マシンビーム
24…マシンベッド
25…巻上機
27…駆動シーブ
30…防振機構
31…保持ケース
31a…保持ケース
31b…保持ケース
32…防振体
Claims (7)
- かご枠の内側にかご室を設けてなるエレベータの乗りかごと、
前記かご枠とかご室との間に水平方向に転動可能に配置されてかご室の垂直荷重を受ける弾性材からなる防振体を有する防振機構と、
を備えることを特徴とするエレベータの防振装置。 - 前記防振機構は、前記防振体と共にこの防振体を水平方向に転動可能に保持する保持ケースを有することを特徴とする請求項1に記載のエレベータの防振装置。
- 前記防振機構は、前記防振体と共に、互いに対向する一対の保持ケースを有し、その一方の保持ケースは前記かご枠に、他方の保持ケースは前記かご室にそれぞれ固定されて互いに対向し、その対向する水平な各面には断面が半楕円状ないしは半円状をなす凹部が形成され、前記防振体が前記一対の保持ケースの対向間に配置されて前記各凹部内に転動可能に収納されていることを特徴とする請求項1に記載のエレベータの防振装置。
- 前記乗りかごにおけるかご枠の下部の床受枠と前記かご室の下部との間、および前記かご枠の上部の上枠と前記かご室の上部との間にそれぞれ前記請求項3に記載の防振機構を設けてなることを特徴とするエレベータの防振装置。
- エレベータの機械室の床の上に設けられたマシンビーム、およびこのマシンビームの上にマシンベッドを介して設けられた巻上機と、
前記マシンビームとマシンベッドとの間に水平方向に転動可能に配置されてマシンベッドの垂直荷重を受ける弾性材からなる防振体を有する防振機構と、
を備えることを特徴とするエレベータの防振装置。 - 前記防振機構は、前記防振体と共にこの防振体を水平方向に転動可能に保持する保持ケースを有することを特徴とする請求項5に記載のエレベータの防振装置。
- 前記防振機構は、前記防振体と共に、互いに対向する一対の保持ケースを有し、その一方の保持ケースは前記マシンビームに、他方の保持ケースは前記マシンベッドにそれぞれ固定されて互いに対向し、その対向する水平な各面には断面が半楕円状ないしは半円状をなす凹部が形成され、前記防振体が前記一対の保持ケースの対向間に配置されて前記各凹部内に転動可能に収納されていることを特徴とする請求項5に記載のエレベータの防振装置。
Priority Applications (1)
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JP2004346441A JP2006151634A (ja) | 2004-11-30 | 2004-11-30 | エレベータの防振装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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-
2004
- 2004-11-30 JP JP2004346441A patent/JP2006151634A/ja active Pending
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