JP2006193256A - エレベータロープ揺れ抑制装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】強風や地震によるロープの揺れを抑制し、ロープの摩耗を低減すると共に、ロープが昇降路内の機器や突起物に衝突したり、絡まったりするのを回避することにある。
【解決手段】 乗りかごの上梁4c上部には粘弾性体12及び抑え板13が積み重ねられてなるロープ揺れ抑制装置10が設置されている。このロープ揺れ抑制装置10にはロープ保持体5を挿通する挿通孔が形成されている。ロープ保持体5は挿通孔を貫通し、弾性部材8を介して乗りかごを支持する。その結果、強風や地震によってメインロープ2が揺れると、抑え板13を介して粘弾性体12が変形し、熱エネルギーに変換することにより、ロープの揺れが抑制される。
【選択図】図2

Description

本発明は、強風や地震によってメインロープ、コンペンロープが揺れても、昇降路内機器や建屋突起物に衝突したり、絡まるのを防止するためのエレベータロープ揺れ抑制装置に関する。
一般のエレベータでは、エレベータ昇降路の上部に巻上機が設置され、巻上機にはメインロープが巻き掛けられている。メインロープの一端部には乗りかごが、メインロープの他端部には釣り合いおもりが吊り下げられている。一方、昇降路の下部にはコンペンシーブが設置され、コンペンシーブにはコンペンロープが巻き掛けられている。コンペンロープの一端部は乗りかごの下部に接続され、コンペンロープの他端部は釣り合いおもりの下部に接続されている。このコンペンロープは、乗りかご及び釣り合いおもりが昇降路内で昇降する際のメインロープの重量変化を相殺する役割を有する。
ところで、建物の高層化に伴い、建物の固有振動数が下がってきている。また、メインロープやコンペンロープ(以下、必要に応じてこれらを総称して単にロープと呼ぶ)の固有振動数はロープの長さ,質量やと張力とによって決まる。その結果、乗りかごの走行時、ロープの固有振動数は建物の固有振動数に近づいたり、一致することがある。
特に、建物が強風や地震で揺れたとき、ロープの固有振動数が建物の固有振動数に近づくと、ロープの揺れが大きくなり、ロープが昇降路内の機器や突起物に衝突したり、絡まる可能性がある。ロープが昇降路内の機器や突起物に絡まると、異常が検出され、乗りかごを停止させるため、かご内への乗客の閉じ込め事故が発生する。
そこで、従来、ロープの揺れを低減するために、図10に示すようなロープ揺れ抑制装置が提案されている(特許文献1)。
同図において、51,51は昇降路52内に対峙するように配置されたレールブラケットである。53,53はそれぞれ昇降路52の壁面に所定の距離を隔てて固定されるファスナープレートである。ファスナープレート53,53は各レールブラケット51,51の取付け台の役割を有する。各レールブラケット51,51の対峙面側にはそれぞれガイドレール54,54が取り付けられている。55はメインロープ56に吊下された釣り合いおもりである。釣り合いおもり55はガイドレール54,54に沿って上下方向に移動可能な構成となっている。
57,57はロープ56の揺れを抑制する揺れ止めフレームであって、軸回りに回転自在にレールブラケット51,51に取付けられている。揺れ止めフレーム57,57は、例えば円筒状または円柱状に形成され、その外周部にはそれぞれ緩衝材58,58が取付けられている。59は釣り合いおもり55と共に昇降路52内を移動する乗りかごである。
そして、強風や地震によってメインロープ56が揺れたとき、メインロープ56が各揺れ止めフレーム57,57の緩衝材58,58に接触することにより、ロープ56の揺れが大きくなるのを抑制する。
(特許文献1)
実開平5−5774号(第4頁、図4)
ところで、以上のようなエレベータロープ揺れ抑制装置は、揺れ止めフレーム57の外周部に取付けられた緩衝材58によってメインロープ56の変位を拘束するので、緩衝材58が比較的短い期間で摩耗する。緩衝材58の摩耗が進行すると、揺れ止めフレーム57が剥き出しとなり、メインロープ56が直接揺れ止めフレーム57に衝突したり、接触する。その結果、メインロープ56が摩耗し、素線切れを起こす問題がある。
そこで、メインロープ56の摩耗を低減するために、メインロープ56が緩衝材58に接触したことを検知して乗りかご59を最寄り階に停止させるなどの処置がとられている。しかし、エレベータの運行停止はエレベータ利用者のサービスの低下を招く問題がある。
一方、他の処置として緩衝材58を頻繁に交換する方法もあるが、緩衝材58の交換時期を適確に判断するのが難しいという問題がある。
本発明は以上のような事情に鑑みてなされたもので、強風や地震の発生時にロープの揺れを抑制してロープの摩耗を低減するとともに、昇降路内の機器や突起物への衝突、絡まりを回避するエレベータロープ揺れ抑制装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、巻上機に巻き掛けたロープの一端側に乗りかごのかご枠が吊下され、前記ロープの他端側に釣り合いおもりが吊下されたエレベータにおいて、前記ロープの横揺れ振動を抑制すべく前記ロープを挿通し前記かご枠に固定される揺れ抑制装置を備えてなるエレベータロープ揺れ抑制装置である。
なお、前記揺れ抑制装置は粘弾性体やダンパーを有する構成である。また、ダンパーとしてはオイルダンパーを用いる構成であってもよい。
本発明によれば、強風や地震の発生時にロープの揺れを抑制することができ、これによりロープの摩耗を低減でき、ロープが昇降路内の機器や突起物に衝突したり、絡まるのを未然に回避できる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、各実施の形態に共通する構成要素には同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。
(実施の形態1)
図1ないし図3は本発明に係るエレベータロープ揺れ抑制装置の第1の実施形態を説明する図である。図1は乗りかごに接続されるメインロープ側にエレベータロープ揺れ抑制装置を適用した場合の正面図、図2はエレベータロープ揺れ抑制装置の部分断面図、図3は乗りかごの上部に設置されたエレベータロープ揺れ抑制装置の上面図である。
かご1は、巻上機(図示せず)に巻き掛けられたメインロープ2の一端部に吊下されている。メインロープ2の他端部には図示されていないが釣り合いおもりが吊下されている。
乗りかご1はかご本体3とこのかご本体3を外側から支えるかご枠4とからなる。このかご枠4は、左右に配置される一対の縦枠4a,4bと、これら縦枠4a,4bの上部に架設される本発明に係るエレベータロープ揺れ抑制装置を設置する上梁4cと、両縦枠4a,4bの下部に架設される下梁4dとにより、乗りかご1を支持するための断面口字状の骨組を構成している。
上梁4cは、図2に示すように断面コ字状の2つの上梁材4c1,4c2と、これら上梁材4c1,4c2の下面に跨って取り付けられる上梁止め板4c3と、上梁材4c1,4c2の上面に跨って取り付けられる上梁止め板4c4とで構成される。2つの上梁材4c1,4c2は、所定の距離を隔てて、コ字状の開口部側が対抗しないように配置されている。
メインロープ2は例えば6本からなり、各メインロープ2の下端部には所定長さのロープ保持体5が取り付けられている。ロープ保持体5は、上部上梁止め板4c4及び下部上梁止め板4c3に形成されたロープ挿通孔の中を遊動可能な状態で挿通されている。そして、下部上梁止め板4c3下面とロープ保持体5下端部に規制部材(例えばナット)6により位置規制される支持板7との間には、コイルばねなどの弾性部材8が介在されている。従って、各メインロープ2は当該弾性部材8を介して乗りかご1を弾性的に支持している。なお、ロープ保持体5またはメインロープ2は弾性部材8を介さずに上梁4cに直接固定されていてもよい。
10はメインロープ2の揺れを抑制するロープ揺れ抑制装置である。このロープ揺れ抑制装置10は、メインロープ2のそれぞれに対応させるように上部上梁止め板4c4の上に配置されている。各ロープ揺れ抑制装置10は、図2及び図3に示すように上部上梁止め板4c4上部に固定板11、粘弾性体(例えば防振ゴム)12及び抑え板13の順序で積層されてなる。固定板11はボルト14によって上部上梁止め板4c4に固定される。なお、粘弾性体12としては、その弾性を利用して防振効果を発揮できるものが好ましく、例えばJISK6386に規定されているゴム材料などが選択される。
各ロープ揺れ抑制装置10の中央部分には、ロープ保持体5またはメインロープ2を挿通するための所定径のロープ挿通孔が形成されている。このロープ挿通孔は、ロープ揺れ抑制装置10を構成する固定板11、粘弾性体12に対してはロープ保持体5またはメインロープ2が遊動可能となるように比較的大きな径に形成され、一方、抑え板13に対してはロープ保持体5またはメインロープ2の動きを規制するように小さい径に形成されている。また、各ロープ揺れ抑制装置10の一側部からロープ挿通孔に連なるL字状の連絡溝15が形成されている。この連絡溝15に沿ってロープ保持体5を通して移動されることにより、ロープ揺れ抑制装置10を上部上梁止め板4c4に固定する。
次に、以上のようなエレベータロープ揺れ抑制装置10の動作について説明する。
強風や地震の発生によって建物が揺れると、建物に設置される巻上機側を固定点とするメインロープ2上端部と乗りかご1上部を固定点とするメインロープ2下端部との間で平面的な位置ずれが生じる。そして、メインロープ2上端部及びメインロープ2下端部がそれぞれ独立に変位し、図4(a)に示すようにロープ2と直交する方向の横波S1,S2が発生する。これら横波S1,S2は、それぞれメインロープ2に沿って進行し、メインロープ2全体を往復する。その結果、メインロープ2の中央部は、図4(b)のように時間tと共に増加していく。そして、横波S1の振動数(建物の固有振動数)とメインロープ2の固有振動数(横波の往復する時間の逆数となる振動数)が一致すると、メインロープ2の揺れが次第に大きくなり、メインロープ2の中央部分の揺れ量は最大でU1となる。
ところで、メインロープ2内を往復する横波S1,S2がロープ揺れ抑制装置10を通過する際、ロープ保持体5が抑え板13を側方に押し出すように作用する。その結果、抑え板13が図2に示す図示矢印(イ)の方向に移動すると、粘弾性体12は図示点線のごとく変形する。そして、メインロープ2の振動エネルギーは、粘弾性体12の熱エネルギーに変換され、メインロープ2の変位を抑制するように働く。結果として、メインロープ2中央部分の揺れ量は徐々に抑制される。
なお、矢印(イ)の方向に限らず、粘弾性体12は、メインロープ2に沿って移動する横波振動の全ての方向に対して、メインロープ2の揺れを抑制するように働く。
以上のような実施の形態によれば、横波S1,S2がロープ揺れ抑制装置10を通過する際、粘弾性体12の熱エネルギーの変換によって吸収され、メインロープ2の揺れが低減される。その結果、メインロープ2の揺れが抑制され、従来のようにメインロープ2の揺れの増大による昇降路内の機器や突起物への衝突や絡まりを未然に防ぐことができる。また、メインロープ2の変位が抑制されることにより、エレベータの管制運転(例えば運転速度の低下,停止)の頻度が少なくなり、エレベータの輸送効率を高めることができる。
なお、上記実施の形態では、ロープ揺れ抑制装置10は乗りかご1の上部上梁止め板4c4のみに設けたが、図5に示すように下部上梁止め板4c3側にも同様にロープ揺れ抑制装置10を設ければ、メインロープ2の制振効果をさらに高めることができる。
(実施の形態2)
図6は本発明に係るエレベータロープ揺れ抑制装置の第2の実施形態に係る部分断面図である。
この実施の形態は、各ロープ保持体5または各メインロープ2と上部上梁止め板4c4との間にダンパー装置16からなるロープ揺れ抑制装置を設けた例である。
このダンパー装置16は、ロープ保持体5を把持するロープ把持部16aと、上部上梁止め板4c4に固定された支持部16bと、ダンパー16c(例えばオイルダンパー)とを備えている。ダンパー16cは、その基端部が支持部16b側に回動可能に支持される一方、先端部となるアーム部分がロープ把持部16aに回動可能に支持されている。
この実施の形態によれば、横波S1,S2がロープ揺れ抑制装置10であるダンパー装置16を通過する際、横波S1,S2の水平方向の動きに追随してロープ把持部16aが水平方向に移動する。このとき、ダンパー16cはロープ把持部16aの水平方向の位置変化に抗しながら減衰するように働くので、結果としてメインロープ2の揺れを抑制することが可能となり、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
なお、ダンパー装置16は、上部上梁止め板4c4だけでなく、下部上梁止め板4c3にも設けてもよい。
また、図7に示すごとく上部上梁止め板4c4側に粘性流体16dを収容する容器16eを固定し、粘性流体16d内に没するように設定された板部16fとロープ把持部16aとをL字状アーム16gで連結してもよい。すなわち、ロープ把持部16aの振動がL字状アーム16gを介して板部16fに伝達されることになる。この板部16fの振動は粘性流体16dの粘性抵抗を受けて減殺され、結果としてメインロープ2の揺れを抑制するように働く。
なお、板部16fは、容器16eの真上から挿入されたL字状アーム16gの下端部に水平に取付けられているが、例えばL字状アーム16gの下端部を更に90度折り曲げ、その折り曲げ端部に板部16fを取付けてもよい。この場合、板部16fの幅広面部の全体が粘性抵抗を受けることになり、メインロープ2の揺れがより強力に抑制される。
(実施の形態3)
図8は本発明に係るエレベータロープ揺れ抑制装置の第3の実施形態を示す正面図である。
この実施の形態は、乗りかご1を構成する下梁4dとコンペンシーブ(図示せず)に巻き掛けられたコンペンロープ21との間にロープ揺れ抑制装置10を適用した例である。
このロープ揺れ抑制装置10としては、図2に示す固定板11,粘弾性体12及び抑え板13を積み重ねた構成のものや、或いは図6,図7に示すダンパー装置16を用いることができる。つまり、コンペンロープ21についても、メインロープ2と同様のロープ揺れ抑制装置を適用することができる。
この実施の形態によれば、下梁4dとコンペンロープ21との間に前述の実施形態と同様な構成のロープ揺れ抑制装置を適用したので、前述の実施形態と同様の効果が得られる。
なお、ロープ揺れ抑制装置10を乗りかご1とメインロープ2との間や乗りかご1とコンペンロープ21との間に配置する代わりに、釣り合いおもり(図示せず)とメインロープ2との間や釣り合いおもりとコンペンロープ21との間に配置してもよい。
(実施の形態4)
図9は本発明に係るエレベータロープ揺れ抑制装置の第4の実施形態を示す構成図である。
この実施の形態は、2:1ローピング構成のつるべ式エレベータに適用した例である。このエレベータは、巻上機31に複数本のロープ33,…が巻き掛けられている。ロープヒッチ部35bに対して図示しないロープ保持体を介して一端が接続されたロープ33は、乗りかご1の下部に取付けたつり車34a,34bを経由してその他端がロープヒッチ部35aに弾性部材(図示せず)を介して固定される。また、ロープ33にはつり車37を介して釣り合いおもり36が吊り下げられている。
このような2:1ローピング構成のエレベータにおいて、ロープ33の少なくとも一方の端部またはロープ保持体と建屋のロープヒッチ部35a,35bとの間に、前述した実施形態で説明したロープ揺れ抑制装置10の何れかを配置すれば、ロープ33の揺れを抑制することができる。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。その他、各実施の形態は組み合わせて実施することが可能である。
本発明に係るエレベータロープ揺れ抑制装置を乗りかごに接続されるメインロープに適用した場合の正面図。 本発明に係るエレベータロープ揺れ抑制装置の部分断面図。 乗りかごの上部に設置されるエレベータロープ揺れ抑制装置の上面図。 建物が揺れたときのロープ中央の揺れ量の時間変化を説明する図。 本発明に係るエレベータロープ揺れ抑制装置の他の例を示す部分断面図。 本発明に係るエレベータロープ揺れ抑制装置の第2の実施形態を示す部分断面図。 本発明に係るエレベータロープ揺れ抑制装置のさらに他の例を示す部分断面図。 本発明に係るエレベータロープ揺れ抑制装置の第3の実施形態を示す部分断面図。 本発明に係るエレベータロープ揺れ抑制装置の第4の実施形態を示す構成図。 従来のエレベータロープ揺れ抑制装置の断面図。
符号の説明
1…乗りかご、2…メインロープ、3…かご本体、4…かご枠、4c…上梁、4d…下梁、5…ロープ保持体、6…位置規制部材、7…支持板、8…弾性部材、10…ロープ揺れ抑制装置、11…固定板、12…粘弾性体、13…抑え板、14…ボルト、15…連絡溝、16…ダンパー装置(ロープ揺れ抑制装置)、16a…ロープ把持部、16b…支持部、16c…ダンパー、16d…粘性流体、16e…容器、16f…板部、16g…L字状アーム、21…コンペンロープ、31…巻上機、33…ロープ、34a,34b,37…つり車、35a,35b…ロープヒッチ部、36…釣り合いおもり。

Claims (4)

  1. 巻上機に巻き掛けたロープの一端側に乗りかごのかご枠が吊下され、前記ロープの他端側に釣り合いおもりが吊下されたエレベータにおいて、
    前記ロープの横揺れ振動を抑制すべく前記ロープを挿通し前記かご枠に固定される揺れ抑制装置を備えてなることを特徴とするエレベータロープ揺れ抑制装置。
  2. 前記揺れ抑制装置は粘弾性体を有することを特徴とするエレベータロープ揺れ抑制装置。
  3. 前記揺れ抑制装置はダンパーを有することを特徴とするエレベータロープ揺れ抑制装置。
  4. 請求項2に記載のエレベータロープ揺れ抑制装置において、
    前記ダンパーは、オイルダンパーを用いたことを特徴とするエレベータロープ揺れ抑制装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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