JP4270051B2 - エレベーター装置 - Google Patents

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本発明は、昇降路内のガイドレールに沿って乗りかごと釣合いおもりが移動するエレベーター装置に関するものである。
従来から、乗りかごと釣合いおもりを懸垂するために用いるロープと、駆動力を与えるために用いられるロープとを、別個に設けたエレベーター装置が提案されている。例えば、特許文献等1には、吊り下げワイヤと駆動ワイヤを分離することにより、駆動ワイヤの張力を小さくすることが記載されている。また、この特許文献等1には、駆動ワイヤの径が小さくなるので、結果として駆動機構の小型化が可能となることも示されている。
特開2000−63057号公報
しかしながら、単に懸垂用のロープと駆動用のロープを別個に設けたエレベーター装置では、駆動用のロープが切断された場合や、駆動用のロープを巻き掛けた巻上機のブレーキが使用できない場合への配慮が十分なされてはいなかった。
本発明の目的は、駆動用のロープが切断された場合や、巻上機のブレーキが使用できない場合にも、安全性を確保できるエレベーター装置を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明は、昇降路内のガイドレールに沿って乗りかごと釣合いおもりが移動するエレベーター装置において、前記乗りかごと釣合いおもりを連結する第1のロープと、この第1のロープとは別に前記乗りかごと釣合いおもりを連結する第2のロープと、この第2のロープを巻き掛けて駆動する巻上機と、前記第1のロープを制動するブレーキを備え、前記第1のロープは、一端が前記乗りかごの前記ガイドレールの中間もしくは乗りかごの重心を通り鉛直方向と平行な直線の近傍の位置に連結され、他端が前記乗りかごから上方へ延びて第1滑車により方向転換され、更に第2滑車により方向転換されて下方へ延びて前記釣合いおもりに連結されており、前記第1のロープを制動するブレーキが前記第1滑車または第2滑車に取付けられ、前記第2のロープは、一端が前記乗りかごに連結され、他端が前記乗りかごから上方へ延びて前記巻上機により方向転換され、下方へ延びて前記釣合いおもりに連結され、前記巻上機の駆動シーブの鉛直投影が、前記乗りかごの鉛直投影および前記釣合いおもりの鉛直投影と重なるように配置されている。
また、昇降路内のガイドレールに沿って乗りかごと釣合いおもりが移動するエレベーター装置において、第1のロープと、第2のロープと、前記第2のロープを巻き掛けて駆動する巻上機を備え、前記第1のロープは、一端が前記乗りかごの上枠に連結され、他端が前記乗りかごから上方へ延びて第1滑車により方向転換され、更に第2滑車により方向転換されて下方へ延びて前記釣合いおもりに連結されており、前記第1のロープを制動するブレーキが前記第1滑車または第2滑車に取付けられ、前記第2のロープは、一端が前記乗りかごに連結され、他端が前記乗りかごから上方へ延びて前記巻上機により方向転換され、下方へ延びて前記釣合いおもりに連結され、前記第1のロープ,第1滑車および第2滑車が、それぞれ2つ以上設けられ、前記2つ以上の第1のロープは前記上枠に作用する最大曲げモーメントを抑えるようにそれぞれ連結され、前記巻上機の駆動シーブの鉛直投影が、前記乗りかごの鉛直投影および前記釣合いおもりの鉛直投影と重なるように配置されている。
本発明によれば、駆動用のロープが切断された場合や、巻上機のブレーキが使用できない場合にも、安全性を確保したエレベーター装置を提供することができる。また、昇降路の省スペース化が実現できる。
以下、本発明の実施例について、図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の第1の実施例を示すエレベーター装置の昇降路1の平面断面図である。本実施例のエレベーター装置は、乗りかご2が、乗りかごガイドレール3a,3bに沿って昇降し、釣合いおもり9が、釣合いおもりガイドレール10a,10bに沿って昇降するように構成されている。
また、乗りかご2の上部には、乗りかご上枠4が設けられており、この乗りかご上枠4に第1のロープ(以下、懸垂用ロープ)5の一端が連結されている。そして、懸垂用ロープ5の他端は、乗りかご上枠4から上方へ延びて、乗りかご側懸垂用滑車(以下、第1滑車)7に巻き掛けられ、水平方向へ方向転換され、釣合いおもり側懸垂滑車(以下、第2滑車)8へ至る。ここで、第1滑車7及び第2滑車8は、昇降路1の上部に設けられた懸垂用滑車固定ビーム6a,6bに設置されている。次に、第2滑車8に巻き掛けられた懸垂用ロープ5の他端は、方向転換されて下方へ延び、釣合いおもり9の上部に設けられた釣合いおもり吊り枠21に連結されている。
さらに、懸垂ロープ5とは別個に、第2のロープ(以下、駆動ロープ)16の一端が、乗りかご吊り枠12に連結されている。そして、駆動ロープ16の他端は、乗りかご吊り枠12から上方へ延びて、巻上機15の駆動シーブ14により方向転換され、下方へ延びて釣合いおもり吊り枠21に連結されている。尚、駆動シーブ14の鉛直投影は、乗りかご2の鉛直投影と重なり、また、釣合いおもり9の鉛直投影とも重なるように配置されているので、平面的にも省スペース化を図ることができる。
このように、駆動ロープ16とは別個に、懸垂ロープ5を設けることにより、駆動シーブ14による摩擦力が懸垂ロープ5には加わらず、この懸垂ロープ5の寿命を飛躍的に伸ばすことができる。また、懸垂ロープ5について、繰り返し曲げに対する条件を厳しくしても、具体的には、方向転換回数を多くしたり、逆向きの方向転換をさせたり、滑車7,8の径を小さくしても、十分な寿命が維持できる。そして、滑車7,8の径を小さくすれば、昇降路上部の空間の省スペース化が実現できる。
また、駆動シーブ14に作用する荷重が低減されるので、駆動ロープ16の許容破断荷重が、懸垂ロープ5と比較して、小さなもので良い。そして、駆動ロープ16の径を小さくすれば、駆動シーブ14の径も小さくでき、また、駆動力や制動力も小さくて済むことから、巻上機15の小型化,軽量化も可能であり、巻上機15の据付性の改善にもつながる。したがって、機械室がなく巻上機15を昇降路1の上部に配置するエレベーター装置においては、昇降路1上部の省スペース化が実現でき、機械室に巻上機15を配置するエレベーター装置においては、巻上機15が周壁部に配置されることから、点検用動線が広く取れるなどの利点がある。
尚、釣合いおもりガイドレール10a,10bに沿って昇降路の高さ方向に、コ字状型のロープ振れ止め装置18を取付けたので、地震などにより懸垂ロープ5や駆動ロープ
16が振れた場合に、懸垂ロープ5や駆動ロープ16が昇降路1内の突出物に引っ掛かるのを防止することができる。
また、第1滑車7から下方へ延びる懸垂ロープ5の位置は、乗りかご2を安定的に吊るため、乗りかごガイドレール3a,3bの中間もしくは乗りかご2の重心を通り鉛直方向と平行な直線の近傍とするのが望ましい。
図2は、本実施例のエレベーター装置を側面から見た図である。図2の通り、昇降路の上部に設けられた第1滑車7には、ブレーキ装置17が取付けられている。
このブレーキ装置17によれば、巻上機15に設けられたブレーキを保守するときなど、本来のブレーキの制動力が期待できない場合に、懸垂ロープ5を制動して乗りかご2を一定の位置に保持することが可能となる。つまり、巻上機15のブレーキの保守作業等を安全に行うことができる。
また、駆動ロープ16が切断された場合、乗りかご2の重量およびその積載重量が釣合いおもり9の重量よりも大きいときは、非常止め装置が作動して、乗りかご2の落下が防止される。一方で、乗りかご2の重量およびその積載重量が釣合いおもり9よりも小さいときは、通常、非常止め装置は作動しない。しかしながら、本実施例では、ブレーキ装置17によって、懸垂ロープ5を制動し、乗りかご2の上方への移動を阻止することができる。つまり、乗りかごの上方向の非常止めの機能を容易に実現することができる。
さらに、懸垂ロープ5に比べて、駆動ロープ16の方が磨耗しやすいため、駆動ロープ16の交換作業が多くなるが、このとき、第1滑車に設けられたブレーキ装置17を動作させて懸垂ロープ5を制動することにより、駆動ロープ16を安全に交換することもできる。
ここで、懸垂ロープ5の使用時の伸びや経年伸びに比べて、駆動ロープ16の使用時の伸びや経年伸びが小さくなるように組み合わせることにより、駆動シーブ14との摩擦力を確保できる。
尚、本実施例では、第1滑車にブレーキ装置を設けたが、第2滑車にブレーキ装置を設けたものや、第1滑車と第2滑車の両方にブレーキ装置を設けたものであっても構わない。
また、第1滑車または第2滑車に設けるブレーキ装置としては、例えば、図3や図4のような構成のものを用いることができる。そして、いずれのブレーキ装置も、制動ばね
22などの弾性体によって、アーマチュア23が第1滑車7または第2滑車8の内周面に押圧されるようになっている。
しかし、通常時は、コイル24に電流を流して電磁力を発生させ、その電磁力が、制動ばね22の弾性力に抗して、アーマチュア23を吸引する。これにより、アーマチュア
23が第1滑車7または第2滑車8の内周面から離れ、ブレーキ装置は開放状態となっている。
一方、駆動ロープ16が切断された場合などの非常時には、コイルへ電流を流すのをやめることにより、電磁力が発生しなくなる。すると、制動ばね22の弾性力によって、アーマチュア23が第1滑車7または第2滑車8の内周面を押圧するようになり、ブレーキ装置は制動状態となる。
次に、本発明の第2の実施例について、図5および図6を用いて説明する。本実施例では、2つの懸垂ロープ5,5aによって、乗りかご2と釣合いおもり9が連結されている。そして、懸垂ロープ5を方向転換する第1滑車7および第2滑車8は、その両側に設けられた懸垂用滑車固定ビーム6a,6bで支持されている。また、懸垂ロープ5aを方向転換する第1滑車7aおよび第2滑車8aは、その両側に設けられた懸垂用滑車固定ビーム6c,6dで支持されている。
本実施例では、懸垂ロープ,第1滑車及び第2滑車,乗りかご及び釣合いおもりの綱止め部を、それぞれ複数設けているので、それぞれ1つの場合と比べて、懸垂ロープ等に作用する荷重を低減することができる。したがって、乗りかご2が大型化し、それに伴って乗りかご2の許容積載重量や釣合いおもりの質量も増加しても、懸垂ロープ5の許容破断荷重を大きくしたり、滑車を大きくしたり、その他の強度部材を大型化する必要がない。更にいえば、懸垂用滑車固定ビームを、乗りかご2の中心を挟んで左右に配置したので、乗りかご2の上枠4に作用する最大曲げモーメントを抑えることができる。これにより、懸垂用滑車固定ビーム6a,6b,6c,6dを小型化することができ、結果として、昇降路1の上部を省スペース化することが可能となるのである。また、ブレーキについても複数設けることにより、ブレーキの大型化を防ぐこともできる。
尚、本実施例では、懸垂ロープ等を2つ設けたが、3つ以上設けても構わない。
さらに、本発明の第3の実施例について、図7および図8を用いて説明する。本実施例では、釣合いおもり9とは別に、補助釣合いおもり20が設けられており、駆動ロープ
16は、巻上機15の駆動シーブ14を介して、乗りかご2と補助釣合いおもり20を連結している。また、補助釣合いおもり20の質量を、乗りかご2の質量よりも小さな値、具体的には「乗りかご2の許容積載重量の1/2」と「エレベーター装置の走行抵抗」を加算した値よりも若干大きな値とする。また、釣合いおもり9の質量を、「乗りかご2の質量」と「乗りかご2の許容積載重量の1/2」を加算した値から「補助釣合いおもり
20の質量」を減算した値とする。
例えば、「乗りかご2の質量」を1500kg、「乗りかご2の許容積載重量」を1000kg、「エレベーター装置の走行抵抗」を100kgとすれば、「補助釣合いおもり20の質量」は600kg、「釣合いおもり9の質量」は1400kgとなる。
本実施例によれば、懸垂ロープ5が切断した場合も、駆動ロープ16が切断した場合も、必ず、乗りかご2が下方へ移動することになるが、このとき、下方向の非常止め装置によって安全性が確保される。つまり、異常時においても乗りかご2が上方へ急上昇することはなく、上方向の非常止め装置等の安全装置を不要もしくは簡易にすることができる。
尚、本実施例では、補助釣合いおもり20を、釣合いおもり9の近傍に配置したが、このような配置に限らない。つまり、駆動シーブ14の鉛直投影が、補助釣合いおもり20の鉛直投影と重なり、乗りかご2の鉛直投影と重なるような配置であれば、他の配置としても構わない。したがって、昇降路1の大きさや形に応じて、エレベーター装置の構成を柔軟に対応させることができる。
本発明の第1の実施例を示すエレベーター装置の昇降路の平面断面図である。 本発明の第1の実施例を示すエレベーター装置の昇降路の側面断面図である。 本発明のブレーキ装置の構成を示す図である。 本発明の別のブレーキ装置の構成を示す図である。 本発明の第2の実施例を示すエレベーター装置の昇降路の平面断面図である。 本発明の第2の実施例を示すエレベーター装置の昇降路の側面断面図である。 本発明の第3の実施例を示すエレベーター装置の昇降路の平面断面図である。 本発明の第3の実施例を示すエレベーター装置の昇降路の側面断面図である。
符号の説明
1…昇降路、2…乗りかご、3a,3b…乗りかごガイドレール、4…上枠、5…懸垂ロープ、6a,6b,6c,6d…懸垂用滑車固定ビーム、7,7a…第1滑車、8,
8a…第2滑車、9…釣合いおもり、10a,10b…釣合いおもりガイドレール、11a,11b…乗りかご吊り枠取付台、12…乗りかご吊り枠、13…巻上機固定ベース、
14…駆動シーブ、15…巻上機、16…駆動ロープ、17…ブレーキ装置、18,18a…ロープ振れ止め装置、19,19a…補助釣合いおもりガイドレール、20…補助釣合いおもり、21…釣合いおもり吊り枠、22…制動ばね、23…アーマチュア、24…コイル。

Claims (7)

  1. 昇降路内のガイドレールに沿って乗りかごと釣合いおもりが移動するエレベーター装置において、前記乗りかごと釣合いおもりを連結する第1のロープと、この第1のロープとは別に前記乗りかごと釣合いおもりを連結する第2のロープと、この第2のロープを巻き掛けて駆動する巻上機と、前記第1のロープを制動するブレーキを備え、前記第1のロープは、一端が前記乗りかごの前記ガイドレールの中間もしくは乗りかごの重心を通り鉛直方向と平行な直線の近傍の位置に連結され、他端が前記乗りかごから上方へ延びて第1滑車により方向転換され、更に第2滑車により方向転換されて下方へ延びて前記釣合いおもりに連結されており、前記第1のロープを制動するブレーキが前記第1滑車または第2滑車に取付けられ、前記第2のロープは、一端が前記乗りかごに連結され、他端が前記乗りかごから上方へ延びて前記巻上機により方向転換され、下方へ延びて前記釣合いおもりに連結され、前記巻上機の駆動シーブの鉛直投影が、前記乗りかごの鉛直投影および前記釣合いおもりの鉛直投影と重なるように配置されていることを特徴とするエレベーター装置。
  2. 昇降路内のガイドレールに沿って乗りかごと釣合いおもりが移動するエレベーター装置において、第1のロープと、第2のロープと、前記第2のロープを巻き掛けて駆動する巻上機を備え、前記第1のロープは、一端が前記乗りかごの上枠に連結され、他端が前記乗りかごから上方へ延びて第1滑車により方向転換され、更に第2滑車により方向転換されて下方へ延びて前記釣合いおもりに連結されており、前記第1のロープを制動するブレーキが前記第1滑車または第2滑車に取付けられ、前記第2のロープは、一端が前記乗りかごに連結され、他端が前記乗りかごから上方へ延びて前記巻上機により方向転換され、下方へ延びて前記釣合いおもりに連結され、前記第1のロープ,第1滑車および第2滑車が、それぞれ2つ以上設けられ、前記2つ以上の第1のロープは前記上枠に作用する最大曲げモーメントを抑えるようにそれぞれ連結され、前記巻上機の駆動シーブの鉛直投影が、前記乗りかごの鉛直投影および前記釣合いおもりの鉛直投影と重なるように配置されていることを特徴とするエレベーター装置。
  3. 請求項2において、前記第1滑車または第2滑車に取付けられたブレーキが2つ以上設けられていることを特徴とするエレベーター装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれかにおいて、前記釣合いおもりとは別に設けられた補助釣合いおもりを有し、前記第2のロープは前記乗りかごと前記補助釣合いおもりを連結したことを特徴とするエレベーター装置。
  5. 請求項において、前記補助釣合いおもりの質量が、前記乗りかごの許容積載重量の1/2と前記エレベーター装置の走行抵抗を加算した値よりも大きく、前記釣合いおもりの質量が、前記乗りかごの質量と前記乗りかごの許容積載重量の1/2を加算した値から前記補助釣合いおもりの質量を減算した値であることを特徴とするエレベーター装置。
  6. 請求項またはのいずれかにおいて、前記巻上機の駆動シーブの鉛直投影が、前記乗りかごの鉛直投影および前記補助釣合いおもりの鉛直投影と重なるように配置されていることを特徴とするエレベーター装置。
  7. 請求項1乃至のいずれかにおいて、前記釣合いおもりのガイドレールに、第1のロープまたは第2のロープの振れ止め装置が取付けられていることを特徴とするエレベーター装置。
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