JP2006145268A - 空燃比検出装置、それを備えるエンジンおよびそれらを備える車両 - Google Patents

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一廣 後藤
Nobutoshi Yoshida
信俊 吉田
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Abstract

【課題】エンジンの高速回転時および過渡時にも燃焼室内の空燃比を正確に検出することが可能な空燃比検出装置、それを備えるエンジンおよびそれらを備える車両を提供する。
【解決手段】空燃比検出装置は、光源30、音響光学変調器31、シャッタドライバ31a、光強度検出器32、光ファイバケーブル33、点火プラグ10、筒内圧力センサ10a、ロータリエンコーダ10b、燃焼解析装置300および表示設定装置310により構成される。光源30からの入射光が音響光学変調器31に入射する。シャッタドライバ31aにより音響光学変調器31の圧電素子が駆動された場合には、1次回折光が出射され、点火プラグ10を通して燃焼室内の混合ガスに向けて照射される。シャッタドライバ31aにより圧電素子が駆動されない場合には、入射光は回折されないので1次回折光は出射されない。すなわち、燃焼室内の混合ガスに向けて出射される光は存在しない。
【選択図】図1

Description

本発明は、燃焼室の空燃比を検出する空燃比検出装置、それを備えるエンジンおよびそれらを備える車両に関する。
従来より、エンジンの燃焼室の空燃比を得るための空燃比検出装置が提案されている(例えば、特許文献1、2および3参照)。
上記の空燃比検出装置においては、光源から赤外光等の光が燃焼室内の混合ガスに向けて照射される。そして、混合ガスを透過した光が検出される。
光源からの光の強度および混合ガスを透過した光の強度を公知の算出式に用いることによって、燃焼室の混合ガス濃度が算出される。この混合ガス濃度を用いることにより、混合ガス濃度に対する空気密度の比率により示される空燃比が算出される。なお、光源からの光の強度および混合ガスを透過した光の強度は、光強度検出器により検出される。
光源からの光は、機械式のチョッパ(電子シャッタ)により断続的に燃焼室の混合ガスに向けて照射される(以下、この動作をシャッタリングと呼ぶ)。それにより、サイクルごとに燃焼室内の混合ガスの空燃比が検出される。
上記の空燃比検出装置により得られた空燃比に基づいて、燃料噴射時期、燃料噴射量および点火時期が制御される。
特開平6−288283号公報 特開平11−51866号公報 特開2002−340800号公報
しかしながら、上記従来の空燃比検出装置においては、例えばモータサイクル用エンジンおよび競技用エンジンのように最大回転速度が大きい場合には、高速回転時に、シャッタリングの動作がエンジンの回転に追従することができない。その結果、正確な空燃比を得ることができない。
また、通常のエンジンにおいても回転速度が大きく変化する過渡時ではシャッタリングのタイミングに遅れが生じる。
本発明の目的は、エンジンの高速回転時および回転速度が大きく変化する過渡時にも燃焼室内の空燃比を正確に検出することが可能な空燃比検出装置、それを備えるエンジンおよびそれらを備える車両を提供することである。
第1の発明に係る空燃比検出装置は、エンジンの燃焼室内の混合ガスの空燃比を検出する空燃比検出装置であって、光を発生する光源と、電気信号に応答して光源により発生された光を燃焼室内に導く第1の状態と光源により発生された光を燃焼室内に導かない第2の状態とに切り替え可能な光学素子と、燃焼室内から導出される帰還光を検出する光検出器と、光学素子が第1の状態にあるときの光検出器の出力信号および光学素子が第2の状態にあるときの光検出器の出力信号に基づいて燃焼室内の混合ガスの空燃比を算出する算出手段とを備えたものである。
本発明に係る空燃比検出装置においては、電気信号に応答して光学素子が光源により発生された光を燃焼室内に導く第1の状態と光源により発生された光を燃焼室内に導かない第2の状態とに切り替えられる。燃焼室内から導出される帰還光は光検出器により検出される。
光学素子が第2の状態にあるときには燃焼室内に光が導かれておらず、光学素子が第1の状態にあるときには燃焼室内に光が導かれている。したがって、光学素子が第2の状態にあるときの光検出器の出力信号を基準レベルとして用いることにより、光学素子が第1の状態にあるときの帰還光の光強度を正確に検出することができる。その結果、光検出器の特性が変化する場合でも、燃焼室内の混合ガスの空燃比を正確に検出することができる。
また、光学素子は、高速に第1の状態および第2の状態に切り替わることができるので、エンジンの高速回転時および回転速度が大きく変化する過渡時にも、光学素子がエンジンの回転に追従して第1の状態および第2の状態に切り替わることができる。したがって、エンジンの高速回転時および回転速度が大きく変化する過渡時にも燃焼室内の空燃比を正確に検出することができる。
さらに、光学素子は、機械式のチョッパに比べて高い耐久性を有するので、空燃比検出装置の耐久性が著しく向上する。
光学素子は、電気信号からなる駆動信号に応答して第1の状態および第2の状態に切り替え可能な音響光学素子であってもよい。
この場合、音響光学素子は、駆動信号に応答してより高速に第1の状態および第2の状態に切り替わることができる。したがって、エンジンのより高速回転時および回転数のより急激な変化にも、燃焼室内の空燃比を正確に検出することができる。
光学素子が第1の状態にあるときの光検出器の出力信号は、光学素子が第1の状態にありかつ燃焼室内に混合ガスが導入されていない第1のタイミングでの光検出器の出力信号および光学素子が第1の状態にありかつ燃焼室内に混合ガスが導入されている第2のタイミングでの光検出器の出力信号を含み、算出手段は、光学素子が第1の状態にあるときの光検出器の出力信号、第1のタイミングでの光検出器の出力信号および第2のタイミングでの光検出器の出力信号に基づいて燃焼室内の混合ガスの空燃比を算出してもよい。
この場合、第1のタイミングでは、燃焼室内に混合ガスが導入されず、燃焼室内には燃焼ガスまたは空気が存在する。第2のタイミングでは、燃焼室内に混合ガスが導入されており、燃焼室内には燃料および空気が存在する。したがって、第1のタイミングでの光検出器の出力信号および第2のタイミングでの光検出器の出力信号に基づいて空燃比を正確に算出することができる。
また、光学素子が第2の状態にあるときの光検出器の出力信号をオフセット値として用いることにより、光検出器の特性が変化する場合でも、第1のタイミングでの光検出器の出力信号および第2のタイミングでの光検出器の出力信号に基づいて燃焼室内の混合ガスの空燃比をより正確に検出することができる。
空燃比検出装置は、エンジンの回転に連動するタイミングを検出するタイミング検出手段と、タイミング検出手段の出力信号に応答して光学素子を第1の状態および第2の状態に切り替える切り替え手段とをさらに備えてもよい。
この場合、エンジンの回転に連動するタイミングがタイミング検出手段により検出され、タイミング検出手段の出力信号に応答して切り替え手段により光学素子が第1の状態および第2の状態に切り替えられる。それにより、エンジンのサイクルごとに光学素子を第1の状態および第2の状態に切り替えることができる。したがって、エンジンのサイクルごとに光検出器の出力信号の基準レベルを調整することができる。その結果、燃焼室内の混合ガスの空燃比をより正確に検出することができる。
空燃比検出装置は、算出手段による空燃比の算出条件および切り替え手段による光学素子の切り替え条件のうち少なくとも1つに関するパラメータを設定する設定手段をさらに備え、算出手段または切り替え手段は、設定手段により設定されたパラメータに基づいて動作してもよい。
この場合、設定手段を用いて算出手段による空燃比の算出条件および切り替え手段による光学素子の切り替え制御条件のうち少なくとも1つに関するパラメータを設定することができる。算出手段または切り替え手段は、設定されたパラメータに基づいて動作する。したがって、種々の条件でエンジンの燃焼室内の空燃比を検出することが可能となり、種々の条件でのエンジンの特性を評価することができる。
空燃比検出装置は、算出手段により算出された空燃比に関する情報を表示する表示手段をさらに備えてもよい。
この場合、空燃比に関する情報が表示手段により表示されるので、検出された空燃比に関する情報を容易に把握することができる。それにより、エンジンの特性の評価を容易に行うことができる。
表示手段は、空燃比に関する情報の時間的変化を視覚的に表示してもよい。この場合、空燃比に関する情報の時間的変化が表示手段により視覚的に表示されるので、検出された空燃比に関する情報の時間的変化を容易に把握することができる。それにより、エンジンの特性の時間的変化を容易に評価することができる。
第2の発明に係るエンジン装置は、燃焼室、点火プラグおよび燃料噴射装置を有するエンジンと、光を発生する光源と、電気信号に応答して光源により発生された光を燃焼室内に導く第1の状態と光源により発生された光を燃焼室内に導かない第2の状態とに切り替え可能な光学素子と、燃焼室内から導出される帰還光を検出する光検出器と、エンジンの回転に連動するタイミングを検出するタイミング検出手段と、タイミング検出手段の出力信号に応答して光学素子を第1の状態および第2の状態に切り替える切り替え手段と、光学素子が第1の状態にあるときの光検出器の出力信号および光学素子が第2の状態にあるときの光検出器の出力信号に基づいて燃焼室内の混合ガスの空燃比を算出する算出手段とを備えたものである。
本発明に係るエンジン装置においては、エンジンの回転に連動するタイミングがタイミング検出手段により検出される。タイミング検出手段の出力信号に応答して、光学素子が光源により発生された光を燃焼室内に導く第1の状態と光源により発生された光を燃焼室内に導かない第2の状態とに切り替えられる。それにより、エンジンのサイクルごとに光学素子を第1の状態および第2の状態に切り替えることができる。
燃焼室内から導出される帰還光は光検出器により検出される。光学素子が第2の状態にあるときには燃焼室内に光が導かれておらず、光学素子が第1の状態にあるときには燃焼室内に光が導かれている。それにより、光学素子が第2の状態にあるときの光検出器の出力信号を基準レベルとして用いることにより、光学素子が第1の状態にあるときの帰還光の光強度を正確に検出することができる。その結果、光検出器の特性が変化する場合でも、燃焼室内の混合ガスの空燃比をより正確に検出することができる。
また、光学素子は、高速に第1の状態および第2の状態に切り替わることができるので、エンジンの高速回転時および回転速度が大きく変化する過渡時にも、光学素子がエンジンの回転に追従して第1の状態および第2の状態に切り替わることができる。したがって、エンジンの高速回転時および回転速度が大きく変化する過渡時にも燃焼室内の空燃比を正確に検出することができる。
エンジン装置は、算出手段により算出された空燃比に基づいてエンジンの動作を制御する制御手段をさらに備えてもよい。
この場合、算出された空燃比に基づいて制御手段によりエンジンの動作が制御される。それにより、燃焼室内の空燃比の変動に応じてエンジンを最適な状態で動作させることができる。
制御手段は、算出手段により算出された空燃比に基づいて点火プラグを制御してもよい。
この場合、燃焼室内の空燃比の変動に応じて点火プラグの点火タイミングを最適に制御することができる。
制御手段は、算出手段により算出された空燃比に基づいて燃料噴射装置を制御してもよい。
この場合、燃焼室内の空燃比の変動に応じて燃料噴射装置の燃料噴射量を最適に制御することができる。
第3の発明に係る車両は、第2の発明に係るエンジン装置と、駆動輪と、エンジン装置により発生される動力を駆動輪に伝達する伝達機構とを備えたものである。
本発明に係る車両においては、エンジン装置により発生された動力が伝達機構により駆動輪に伝達される。この場合、第2の発明に係るエンジン装置が用いられているので、したがって、エンジンの高速回転時および回転速度が大きく変化する過渡時にも燃焼室内の空燃比を正確に検出することができる。その結果、高速回転時および回転速度が大きく変化する過渡時にも最適な条件で走行可能な車両が実現される。
本発明によれば、光検出器の特性が変化する場合でも、燃焼室内の混合ガスの空燃比を正確に検出することができる。また、エンジンの高速回転時および回転速度が大きく変化する過渡時にも燃焼室内の空燃比を正確に検出することができる。さらに、光学素子は、機械式のチョッパに比べて高い耐久性を有するので、空燃比検出装置の耐久性が著しく向上する。
以下、本発明の実施の形態に係る空燃比検出装置について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施の形態では、車両の一例である自動二輪車のエンジンの空燃比を検出する空燃比検出装置について説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係る空燃比検出装置を示す模式図である。本実施の形態に係る空燃比検出装置は、例えば、エンジンの試作段階または製造段階でエンジンの空燃比を評価するために用いられる。
図1に示す空燃比検出装置は、光源30、音響光学変調器(AOM:Acousto-Optic Modulator)31、シャッタドライバ31a、光強度検出器32、光ファイバケーブル33、点火プラグ10、筒内圧力センサ10a、ロータリエンコーダ10b、燃焼解析装置300および表示設定装置310により構成される。
評価対象となるエンジン1の燃焼室に点火プラグ10および筒内圧力センサ10aが取り付けられ、エンジン1のクランクシャフトにロータリエンコーダ10bが取り付けられる。点火プラグ10の構成については後述する。
光源30は、赤外光を発生する赤外レーザ装置からなる。また、光ファイバケーブル33は、入射光ファイバ35および出射光ファイバ36を含む。
光源30から出射された光は、音響光学変調器31を通過した後、入射光ファイバ35内を伝送する。
入射光ファイバ35内を伝送される光は点火プラグ10内を通過し、燃焼室内の混合ガスに照射される。混合ガスを透過した光は、点火プラグ10の先端に設けられた後述のミラー39(図2)により反射され、出射光ファイバ36に入射される。その後、出射光ファイバ36内を伝送された光は、光強度検出器32に入射される。
光強度検出器32は、赤外光の強度を検出する赤外検出器からなる。音響光学変調器31による後述のシャッタリングの動作はシャッタドライバ31aにより制御される。なお、音響光学変調器31の構成およびシャッタリングの動作については後述する。また、音響光学変調器31の代わりに、音響光学Qスイッチ等を用いてもよい。
燃焼解析装置300は、マイクロコンピュータ、メモリおよび論理回路等からなり、筒内圧力センサ10a、ロータリエンコーダ10bおよび光強度検出器32からの検出信号を受け、シャッタドライバ31aを制御する。また、表示設定装置310は、パーソナルコンピュータ、表示装置、入力装置等からなり、プログラムにしたがって光強度検出器32の検出信号に基づいて空燃比を算出する。また、表示設定装置310は、算出された空燃比に関する各種表示および各種設定を行う。
図2は、図1の点火プラグ10の構成を示す模式図である。なお、図2の一部は断面図となっている。
以下、点火プラグ10の燃焼室側を先端側とし、燃焼室と逆側を後端側と呼ぶ。
図2に示すように、点火プラグ10の軸方向の後端側から先端側に渡って貫通孔51が形成されている。この貫通孔51に光ファイバロッド34が挿入されている。また、点火プラグ10の後端部にはイグニッションケーブル29が接続されている。
貫通孔51の内周面には円筒状の導電体52が形成されている。この導電体52を介して点火プラグ10の先端部に設けられた中心電極41に電力が供給される。中心電極41の側方に接地電極42が設けられている。
貫通孔51の先端部には、光ファイバロッド34を熱負荷から保護するための透明のサファイヤロッド43が設けられている。また、中心電極41の側方には、耐熱性のブラケット53が設けられている。ブラケット53の先端部に、サファイヤロッド43から所定の間隔をあけてミラー39が設けられている。
ミラー39およびブラケット53は、ニッケル(Ni)とクロム(Cr)との合金からなり、十分な耐熱性を有する。合金からなるミラー39は、高温に曝されてもほとんど曇ることはなく、溶融することもない。ミラー39は、研削により十分な鏡面となった後に溶接によりブラケット53に固着される。
一方、点火プラグ10の後端部には、金属からなる連結部材54が取り付けられている。この連結部材54においても上記の貫通孔51が設けられており、この貫通孔51の後端部には雌ねじ(図示せず)が形成されている。
光ファイバロッド34は、この連結部材54の後端部から挿入される。光ファイバロッド34に形成されている雄ねじ(図示せず)が上記の連結部材54の雌ねじに螺合される。
光ファイバロッド34とサファイヤロッド43との間には空隙Sが形成されている。これは、光ファイバロッド34を燃焼室の高温度雰囲気から保護するためである。
光ファイバロッド34の先端部にはレンズ55が設けられている。このレンズ55の後方に入射光ファイバ35および出射光ファイバ36が略平行に設けられている。なお、レンズ55は、入射光ファイバ35から出射される光の広がり角度を調整するものであるが、低コスト化等のために特に必要のない場合には設けなくてもよい。
入射光ファイバ35から出射された光は、空隙Sおよびサファイヤロッド43を通過し、燃焼室内の混合ガスに照射される。その後、混合ガスを透過した光はミラー39により反射される。反射された光は、再び混合ガスを透過し、サファイヤロッド43および空隙Sを通過して出射光ファイバ36に入射する。
本実施の形態では、図1の光源30から出射される光として赤外光を用いている。赤外光は燃焼室内の混合ガスに含まれる炭化水素に吸収されるので、ミラー39による反射光の強度を検出することにより、混合ガス中の炭化水素量、すなわち混合ガスの濃度が得られる。なお、赤外レーザ装置から出射される赤外光の代わりに、加熱された金属から発生される赤外光を用いてもよい。
図3は、図1の音響光学変調器31の構成を示す説明図である。
図3に示すように、音響光学変調器31は、音響光学媒体71および圧電素子72から構成される。
音響光学媒体71は、例えばモリブデン酸鉛単結晶(PbMoO4 )、二酸化テルル単結晶(TeO2 )またはゲルマニウム単結晶(Ge)等からなる。
音響光学媒体71に圧電素子72を接触させ超音波を音響光学媒体71中に発生させると、音響光学媒体71の結晶中に歪みが発生する。この場合に、音響光学媒体71に向けて光を入射させると、この入射した光が音響光学媒体71で回折されて出射される。以下に、具体例を示して説明する。なお、圧電素子72により音響光学媒体71に与える振動数は、音響光学媒体71の結晶の材質によって異なるが、例えば20MHz〜400MHzである。
図3において、図1の光源30からの入射光IA1が音響光学媒体71に入射角度θで入射する。シャッタドライバ31aにより圧電素子72が駆動された場合には、1次回折光IBが出射される。シャッタドライバ31aにより圧電素子72が駆動されない場合には、入射光IA1は回折されないので1次回折光IBは出射されない。なお、本実施の形態においては、0次光IAは、図3のマスク73によりマスキングされている。
音響光学媒体71が駆動された場合には、音響光学変調器31から出射された1次回折光IBは、点火プラグ10を通して燃焼室内の混合ガスに向けて照射される。逆に、音響光学変調器31が駆動されない場合には、燃焼室内の混合ガスに向けて出射される光は存在しない。
このような構成により、光源30からの光を所望のタイミングで燃焼室内の混合ガスに向けて出射することができる。
以下、音響光学変調器31を駆動することにより入射光IA1を1次回折光IBとして音響光学変調器31から出射する動作をシャッタリングオンの動作と呼び、音響光学変調器31を駆動しないことにより入射光IA1を音響光学変調器31により遮断する動作をシャッタリングオフの動作と呼ぶ。
次に、音響光学変調器31から出射される1次回折光(以下、入射光と呼ぶ)IBの強度(以下、入射光強度と呼ぶ)I0ならびに燃焼室内の混合ガスを透過した光(以下、透過光と呼ぶ)の強度(以下、透過光強度と呼ぶ)Itを得ることにより燃焼室内の混合ガス濃度を算出する方法と、算出された燃焼室内の混合ガス濃度を用いて空燃比を算出する方法とを説明する。なお、入射光強度I0とは、燃焼室内に混合ガスが存在しないときの入射光IBの強度である。
最初に、説明を容易化するために、後述の方法により得られる入射光強度I0および透過光強度Itを用いて燃焼室内の混合ガス濃度を算出し、算出された混合ガス濃度に基づいて空燃比を算出する算出式について説明する。
まず、入射光強度I0および透過光強度Itを用いて、It/I0により示される透過率を算出する。
ここで、光路長(mm)をLとし、吸光係数(mm2 /mg)をμとし、燃焼室内の混合ガス濃度(mg/mm3 )をcとした場合、下記式(1)により示される関係式が成立する。
loge (It/I0)=−L・c・μ ・・・(1)
上式(1)より、下記式(2)の関係式が成立する。下記式(2)により混合ガス濃度cを算出することができる。
c=−(1/(μ・L))・loge (It/I0) ・・・(2)
なお、上記の光路長Lとは、光が点火プラグ10のサファイヤロッド43の先端からミラー39を介して再びサファイヤロッド43の先端に戻るまでの距離に相当する。また、吸光係数μは、用いる燃料の種類により異なるため予め計測しておく必要がある。
ここで、空燃比は、混合ガス濃度cに対する空気密度(mg/mm3 )の比率により算出される。
上記の空気密度は、行程容積(cm3 )に対する吸入空気量(g)の比率により算出される。行程容積は計算値である。
上記の吸入空気量は、下記式(3)により示される。以下、吸入空気量をa1として示す。
a1=a2・a/(60・r・b)・1000 ・・・(3)
上式(3)において、係数a2は吸入空気質量流量(kg/h)を示し、諸元設定値である。また、上式(3)において、係数aは所定の係数であり、2ストロークエンジンの場合、係数aは1となり、4ストロークエンジンの場合、係数aは2となる。
さらに、上式(3)において、係数rはエンジン1の回転数(rpm:revolutions per minute)を示し、係数bはエンジン1の気筒数を示す。例えば、エンジン1が単気筒で構成されている場合には、係数bは1となる。
次に、入射光強度I0および透過光強度Itを得る方法について図面を参照しながら説明する。なお、入射光強度I0および透過光強度Itは、それぞれ後述の実測値としての入射光強度Iallおよび透過光強度ITから算出される計算値である。
図4は、入射光強度I0および透過光強度Itを得るためのエンジン1のクランクシャフトの回転角度(クランクアングル)と赤外光強度との関係を示す説明図である。
図4に示すように、横軸はクランクシャフト3のクランクアングルを示し、縦軸は赤外光強度を示す。
図4においては、4ストロークエンジンでの吸気行程、圧縮行程、燃焼行程および排気行程からなる1サイクルにおけるクランクアングルと赤外光強度との関係が示されている。
排気行程および吸気行程の初期では赤外光強度はほぼ一定となる。圧縮行程では燃焼室内の混合ガス濃度は上昇するので赤外光強度は減少する。燃焼行程の前段階における点火プラグ10による点火の直後に赤外光強度は最小となる。
燃焼行程では燃焼室内の混合ガス濃度が下降するとともに、混合ガスが燃焼して赤外光が発生することにより、赤外光強度が急激に上昇する。その後、赤外光強度は下降し、排気行程ではほぼ一定となる。
なお、図4のクランクアングルa1〜a5の大小関係は、a1<a2<a3<a4<a5とする。
ここで、図4において、クランクアングルa1からクランクアングルa5までの角度範囲r2が、音響光学変調器31によりシャッタリングオンの動作が行われる角度範囲となる。また、クランクアングルa5から次のサイクルのクランクアングルa1までの角度範囲r0がシャッタリングオフの動作が行われる角度範囲となる。
また、クランクアングルa2からクランクアングルa3までの角度範囲r1が、入射光強度I0の平均値が取得される角度範囲となる。
さらに、クランクアングルa4からクランクアングルa5までの角度範囲r3が、透過光強度Itが取得される角度範囲となる。
本実施の形態においては、入射光強度I0の平均値を取得する前に以下のことを実施する。角度範囲r0において、音響光学変調器31によりシャッタリングオフの動作を行う。この状態で、燃焼室内の赤外光強度を例えば10点取得する。そして、取得された10点の赤外強度の平均値をオフセット値とする。以後、実測される赤外光強度から上記オフセット値を減算する。これにより、燃焼室内に赤外光を照射しないときの赤外光強度の測定値をサイクルごとに0に設定することができる。すなわち、燃焼室内に赤外光を照射しないときの光強度検出器32の検出信号を基準レベルとして用いることにより、燃焼室内に赤外光を照射したときの赤外光強度を正確に検出することができる。
次に、角度範囲r1において入射光強度I0が複数点取得され、その平均値が透過率を算出するための入射光強度I0として採用される。なお、図4において点線で示すように、排気行程において入射光強度I0を取得してもよい。
ここで、点火プラグ10内において、通常入射光ファイバ35から出射された光は、空隙Sおよびサファイヤロッド43を通過するが、サファイヤロッド43の端面で反射される入射光IBが存在する。したがって、下記のように補正を行うことが好ましい。
すなわち、実測された入射光強度Iallに対して、予め測定された反射光割合を乗じることにより、サファイヤロッド43の端面の反射光強度Irefを得る。ここで、反射光割合とは、反射光強度と入射光強度との比である。得られた反射光強度Irefを、上記の入射光強度Iallから減算することにより、補正後の入射光強度I0が得られる。
また、角度範囲r3において実測される透過光強度ITから上記の反射光強度Irefを減算することにより、補正後の透過光強度Itが得られる。
図5は、シャッタドライバ31aによる音響光学変調器31を制御するための駆動信号を示す説明図である。なお、図5は、4ストロークエンジンでの2サイクル分の駆動信号を示している。
図5の赤外光強度とクランクアングルとの関係は、図4のものと同一である。また、音響光学変調器31のシャッタリングオンの動作をハイレベルで示し、シャッタリングオフの動作をローレベルで示す。
音響光学変調器31のシャッタリングオンの動作は、クランクアングルa1からクランクアングルa5までの角度範囲r2で行われ、その他のクランクアングルではシャッタリングオフの動作が行われる。
図5に示す内圧とは、燃焼室内の圧力値である。吸気行程では内圧はほぼ一定であり、圧縮行程では内圧は上昇する。また、燃焼行程における燃焼後のクランクアングルで内圧は最大値となり、その後排気行程に向けて内圧は下降する。
図5に示すトップパルスとは、角度範囲r2内で透過光強度ITを光強度検出器32により検出するタイミングを表わすタイミング信号であり、ロータリエンコーダ10bの検出信号に基づいて作成される。
図5に示す第1の駆動信号は、ロータリエンコーダ10bの検出信号に基づいて作成されるタイミング信号である。第2の駆動信号は、燃焼解析装置300からシャッタドライバ31aに入力される。第3の駆動信号は、シャッタドライバ31aから音響光学変調器31に入力される。
第1の駆動信号は、音響光学変調器31のシャッタリングオンおよびシャッタリングオフの動作それぞれの開始点におけるクランクアングルで立ち上がるパルス波形を有する。
第2の駆動信号は、第1の駆動信号の立ち上がりに応答してハイレベルとローレベルとに交互に変化する。それにより、第2の駆動信号は、音響光学変調器31によりシャッタリングオンの動作が行われる角度範囲r2でのみハイレベルを示す矩形波となる。
第3の駆動信号は、第2の駆動信号がハイレベルのときに0Vを中心として正弦波状に変化し、第2の駆動信号がローレベルのときに0Vで一定となる。それにより、角度範囲r2でのみ音響光学変調器31によりシャッタリングオンの動作が行われる。
図6は、図1の表示設定装置310による各種設定パラメータの表示の一例を示す説明図である。
図6に示すように、表示設定装置310を用いて画面上で以下のパラメータを設定することができる。
混合ガス濃度を測定するか否かを設定することができ、筒内圧力を演算により求めるか否かを設定することができる。また、赤外光計測チャンネルを選択することができる。
シャッタリングオンの動作を行う場合のクランクアングルの角度範囲r2を設定することができる。また、空燃比の演算を開始するクランクアングルを設定することができる。このクランクアングルは、角度範囲r2内に設定される。
入射光強度I0の平均値が取得される角度範囲r1を設定することができる。また、吸光係数μ、光路長Lおよび理論空燃比をそれぞれ設定することができる。さらに、反射光割合を設定することができる。
上記のパラメータをそれぞれ設定して、空燃比検出装置により空燃比を得ることができる。
図7および図8は、本実施の形態に係る空燃比検出装置による各種計測例を示すグラフである。これらの計測結果は、表示設定装置310の画面上に表示される。
図7(a)において、横軸はクランクアングルを示し、縦軸は当量比を示す。なお、当量比は、空燃比に対する理論空燃比の比率により示される。
理論空燃比とは、空気に燃料を混合したとき、理論上、燃料が完全燃焼する場合の空燃比をいう。例えば、レギュラーガソリンの理論空燃比は、質量比でほぼ1(燃料):14.6(空気)となる。当量比が1より小さい場合は、燃料に対して空気の割合が過剰な状態を示し、当量比が1より大きい場合は、燃料に対して空気の割合が不足している状態を示す。
図7(a)に示すように、所望のエンジン1の回転数および所望のクランクアングルの角度範囲を設定して、この角度範囲に対する当量比の最大値、最小値および平均値を表示することができる。なお、上記最大値および最小値の代わりに、上記平均値に標準偏差を加算および減算した値を表示することもできる。
また、図7(b)に示すように、所望のエンジン1の回転数および所望のクランクアングルを設定して、各サイクルに対する当量比ならびに複数サイクルにおける当量比の平均値を得ることができる。
図8(a)に示すように、所望のクランクアングルを設定して、エンジン1の回転数に対する当量比を得ることができる。
また、図8(b)に示すように、クランクアングルに対する燃焼室の内圧およびクランクアングルに対する赤外光強度を得ることができる。例えば、図7(b)から、燃焼行程直前の混合ガス濃度と燃焼室の内圧との関係を把握することができる。
なお、図7(a),(b)および図8(a)において、縦軸を当量比としているが、当量比の代わりに空燃比または混合ガス濃度を用いてもよい。
このように、本実施の形態に係る空燃比検出装置においては、音響光学変調器31を用いることにより、シャッタリングオンおよびシャッタリングオフの動作を数μsec以下で行うことができる。
したがって、音響光学変調器31によるシャッタリングオンおよびシャッタリングオフの動作をそれぞれ高速に行うことができるので、エンジン1の高速回転時および回転速度が大きく変化する過渡時にも、音響光学変調器31によるシャッタリングオンおよびシャッタリングオフの動作をそれぞれエンジン1の回転に追従して行うことができる。したがって、エンジン1の高速回転(例えば、8000rpm以上)時および回転速度が大きく変化する過渡時にも燃焼室内の空燃比を正確に検出することができる。
また、音響光学変調器31によるシャッタリングオフの動作時の光強度検出器32の出力信号をオフセット値として用いることにより、光強度検出器32の特性等が変化する場合でも、燃焼室内に混合ガスが導入されないクランクアングルでの光強度検出器32の出力信号、および燃焼室内に混合ガスが導入されているクランクアングルでの光強度検出器32の出力信号に基づいて燃焼室内の混合ガスの空燃比を正確に検出することができる。
さらに、光学素子である音響光学変調器31は、機械式のチョッパに比べて高い耐久性を有するので、空燃比検出装置の耐久性が著しく向上する。
また、本実施の形態では、エンジン1の回転に連動するタイミングがロータリエンコーダ10bにより検出されるので、エンジン1のサイクルごとに光強度検出器32の出力信号のオフセット値を抽出することができる。その結果、燃焼室内の混合ガスの空燃比をより正確に検出することができる。
また、本実施の形態では、表示設定装置310を用いて、燃焼解析装置300による空燃比の算出条件、およびシャッタドライバ31aによる音響光学変調器31のシャッタリングオンおよびシャッタリングオフの切り替え制御条件に関するパラメータを設定することができる。燃焼解析装置300またはシャッタドライバ31aは、設定されたパラメータに基づいて動作する。したがって、種々の条件でエンジン1の燃焼室内の空燃比を検出することが可能となり、種々の条件でのエンジン1の特性を評価することができる。
さらに、空燃比に関する情報が表示設定装置310により表示されるので、検出された空燃比に関する情報を容易に把握することができる。それにより、エンジン1の特性の評価を容易に行うことができる。
なお、本実施の形態では、赤外光を点火プラグ10を通して燃焼室5内に導入するとともに燃焼室5から点火プラグ10を通して導出しているが、これに限定されるものではなく、点火プラグ10とは別の箇所から赤外光を燃焼室5内に導入するとともに燃焼室5から別の箇所を通して赤外光を導出してもよい。
(第2の実施の形態)
図9は、第2の実施の形態に係る空燃比検出装置を示す模式図である。本実施の形態に係る空燃比検出装置は、第1の実施の形態に係る空燃比検出装置と同様のものであって、車両の一例である自動二輪車に設けられ、運転時のエンジンの制御に用いられる。
図9に示すように、エンジン1は、シリンダボディ2、クランクシャフト3、ピストン4、燃焼室5、吸気管6、吸気バルブ7、排気管8、排気バルブ9、点火プラグ10および点火コイル11を含む。
燃焼室5内は、ピストン4により2つの空間に区画されており、区画された一方の空間が燃焼室5となる。燃焼室2内の区画された他方の空間にはクランクシャフト3が設けられている。クランクシャフト3は、コンロッド3aによりピストン4に接続されている。
燃焼室5内には吸気バルブ7を介して吸気管6が連通しているとともに排気バルブ9を介して排気管8が連通している。
吸気管6内には、図示しないアクセルの操作に応じて開閉されるスロットルバルブ12が設けられ、このスロットルバルブ12の下流側にインジェクタ13が設けられている。インジェクタ13は燃料を噴射する。
インジェクタ13は、燃料タンク19内に設けられている圧力制御バルブ16に接続されている。圧力制御バルブ16は、燃料タンク19内に設けられた燃料ポンプ17に接続され、燃料ポンプ17は、燃料タンク19内に設けられたフィルタ18に接続されている。
シリンダボディ2の上部には、燃焼室5に直結されているとともに吸気管6からの空気とインジェクタ13からの燃料との混合ガスに点火する点火プラグ10が設けられている。点火プラグ10は、イグニッションケーブル29により点火コイル11に接続されている。なお、点火プラグ10の構成の詳細については前述した通りである。
シリンダボディ2にはクランク回転角センサ20が設けられている。クランク回転角センサ20によりクランクシャフト3の回転角度(クランクアングル)が検出されることによって、エンジン1の運転状態を検出することができる。
また、シリンダボディ2にはそのシリンダボディ2の温度を検出する冷却水温度センサ21が設けられ、排気管8にはその排気管8内の空燃比を検出する排気空燃比センサ22が設けられている。
吸気管6にはその吸気管6内の吸気圧力を検出するための吸気圧力センサ24が設けられているとともに吸気管6内の温度を検出する吸気温度センサ25が設けられている。
ここで、所定の位置に設けられた光源30から出射された例えば赤外光等の所定の波長を有する光は、音響光学変調器31を通過した後、入射光ファイバ35内を伝送される。
入射光ファイバ35内を伝送される光は点火プラグ10内を通過し、燃焼室5内の混合ガスに照射される。混合ガスを透過した光は、点火プラグ10の先端に設けられた上記のミラー39(図2)により反射され、出射光ファイバ36に入射される。その後、出射光ファイバ36内を伝送された光は光強度検出器32に入射される。
光強度検出器32は、光の強度を検出するものである。音響光学変調器31による後述のシャッタリングの動作はシャッタドライバ31aにより制御される。なお、音響光学変調器31の構成およびシャッタリングの動作については第1の実施の形態と同じである。また、音響光学変調器31の代わりに、音響光学Qスイッチ等を用いてもよい。
入射光ファイバ35および出射光ファイバ36は、光ファイバケーブル33として一体的に被覆されている。本実施の形態においては、1本の入射光ファイバ35が設けられているのに対し、出射光ファイバ36は3本設けられている。これは、燃焼室5内の混合ガス中に拡散された反射光の回収率を向上させるためである。
制御部15は、マイクロコンピュータ等の演算処理装置からなり、クランク回転角センサ20、冷却水温度センサ21、排気空燃比センサ22、吸気圧力センサ24、吸気温度センサ25および光強度検出器32からの検出信号を受ける。
また、制御部15は、上記複数の検出信号に基づいてインジェクタ13の噴射動作、圧力制御バルブ16の開閉動作および燃料ポンプ17の吸引動作を制御するとともに、シャッタドライバ31aおよび点火コイル11に制御信号を出力する。
点火プラグ10、制御部15、クランク回転角センサ20、光源30、音響光学変調器31、シャッタドライバ31a、光強度検出器32および光ファイバケーブル33が空燃比検出装置を構成する。
図10は、図9の制御部15の構成を示す模式図である。
図10に示すように、制御部15は、シャッタ制御部151、空燃比算出部152およびエンジン制御部153から構成される。エンジン制御部153は、点火時期制御部154および燃料噴射制御部155を含む。
シャッタ制御部151は、クランク回転角センサ20から検出信号を受け取り、シャッタドライバ31aに制御信号を出力する。
空燃比算出部152は、光強度検出器32から検出信号を受け取り、空燃比を算出する。また、空燃比算出部152は、算出された空燃比に基づく算出信号を点火時期制御部154および燃料噴射制御部155に出力する。
点火時期制御部154および燃料噴射制御部155は、上記算出信号に基づいて、それぞれ点火コイル11による点火動作(点火時期)およびインジェクタ13による燃料噴射動作(燃料噴射量および燃料噴射時期)を制御する。
エンジン制御部153は、クランク回転角センサ20、冷却水温度センサ21、排気空燃比センサ22、吸気圧力センサ24および吸気温度センサ25から検出信号を受け取り、圧力制御バルブ16の開閉動作および燃料ポンプ17の吸引動作をそれぞれ制御する。
図11は、本実施の形態に係る空燃比検出装置を備えた自動二輪車の模式図である。
図11に示すように、本体部70の前端にヘッドパイプ71が設けられている。ヘッドパイプ71にフロントフォーク72が左右方向に揺動可能に設けられている。フロントフォーク72の下端に前輪73が回転可能に支持されている。ヘッドパイプ71の上端にはハンドル74が取り付けられている。
本体部70の上部において、ハンドル74側から後方へ燃料タンク75、メインシート76aおよびタンデムシート76bが設けられている。
本体部70の下端に後方へ延びるリアアーム77が取り付けられている。リアアーム77の後端に後輪78が回転可能に支持されている。
また、本体部70の下端部には、変速機87およびエンジン1が設けられている。エンジン1には図9の空燃比検出装置が接続されている。
エンジン1の前部には、ラジエータ79が取り付けられている。エンジン1の排気ポートには排気管80が接続され、排気管80の後端にマフラー81が取り付けられている。
変速機87のドライブ軸88にスプロケット82が取り付けられている。スプロケット82は、チェーン83を介して後輪78の後輪スプロケット84に連結されている。
変速機87の下端側方にシフトペダル85が設けられている。また、本体部70の下端部にはサイドスタンド86が設けられている。
このように、本実施の形態では、空燃比検出装置によりエンジン1の高速回転時および回転速度が大きく変化する過渡時にも所望のタイミングで空燃比を正確に検出することができる。そして、検出された空燃比に基づいて、インジェクタ13による燃料噴射時期および燃料噴射量、ならびに点火プラグ10による混合ガスへの点火時期が制御部15により制御される。それにより、エンジン特性を最適化することができ、高出力化、低燃費化および排ガスのクリーン化等が向上される。
(他の変形例)
なお、上記実施の形態では、クランクシャフト3のクランクアングルを用いているが、クランクアングルの代わりにカムシャフトの回転角度を用いてもよい。また、設定すべきクランクアングルの分解能は1°以下が望ましい。
また、上記実施の形態では、空燃比検出装置を自動二輪車に適用する場合について説明しているが、空燃比検出装置を自動三輪車または自動四輪車等の車両にも同様に適用することができる。
(請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応)
上記実施の形態においては、音響光学変調器31が光学素子および音響光学素子に相当し、光強度検出器32が光検出器に相当し、燃焼解析装置300が算出手段に相当し、シャッタリングオンの動作時が第1の状態に相当し、シャッタリングオフの動作時が第2の状態に相当する。
また、上記実施の形態においては、ロータリエンコーダ10bおよびクランク回転角センサ20がタイミング検出手段に相当し、シャッタドライバ31aが切り替え手段に相当し、表示設定装置310が設定手段および表示手段に相当し、インジェクタ13が燃料噴射装置に相当し、制御部15が制御手段に相当し、後輪78が駆動輪に相当し、変速機87が伝達機構に相当する。
さらに、図9に示すエンジン1、点火プラグ10、制御部15、光源30、音響光学変調器31、シャッタドライバ31a、光強度検出器32、光ファイバケーブル33、入射光ファイバ35および出射光ファイバ36がエンジン装置を構成する。
本発明は、エンジン特性を評価する評価装置および自動二輪車等の車両に利用することができる。
第1の実施の形態に係る空燃比検出装置を示す模式図である。 図1の点火プラグの構成を示す模式図である。 図1の音響光学変調器の構成を示す説明図である。 入射光強度および透過光強度を得るためのエンジンのクランクシャフトのクランクアングルと赤外光強度との関係を示す説明図である。 シャッタドライバによる音響光学変調器を制御するための駆動信号を示す説明図である。 図1の表示設定装置による各種設定パラメータの表示の一例を示す説明図である。 本実施の形態に係る空燃比検出装置による各種計測例を示すグラフである。 本実施の形態に係る空燃比検出装置による各種計測例を示すグラフである。 第2の実施の形態に係る空燃比検出装置を示す模式図である。 図9の制御部の構成を示す模式図である。 本実施の形態に係る空燃比検出装置を備えた自動二輪車の模式図である。
符号の説明
1 エンジン
5 燃焼室
6 吸気管
7 吸気バルブ
8 排気管
9 排気バルブ
10 点火プラグ
10a 筒内圧力センサ
10b ロータリエンコーダ
11 点火コイル
13 インジェクタ
15 制御部
16 圧力制御バルブ
17 燃料ポンプ
20 クランク回転角センサ
30 光源
31 音響光学変調器
31a シャッタドライバ
32 光強度検出器
33 光ファイバケーブル
35 入射光ファイバ
36 出射光ファイバ
39 ミラー
71 音響光学媒体
72 圧電素子
151 シャッタ制御部
152 空燃比算出部
153 エンジン制御部
154 点火時期制御部
155 燃料噴射制御部
300 燃焼解析装置
310 表示設定装置
I0 入射光強度
IA 0次光
IA1 入射光
IB 1次回折光、入射光
It 透過光強度

Claims (12)

  1. エンジンの燃焼室内の混合ガスの空燃比を検出する空燃比検出装置であって、
    光を発生する光源と、
    電気信号に応答して前記光源により発生された光を前記燃焼室内に導く第1の状態と前記光源により発生された光を前記燃焼室内に導かない第2の状態とに切り替え可能な光学素子と、
    前記燃焼室内から導出される帰還光を検出する光検出器と、
    前記光学素子が前記第1の状態にあるときの前記光検出器の出力信号および前記光学素子が前記第2の状態にあるときの前記光検出器の出力信号に基づいて前記燃焼室内の混合ガスの空燃比を算出する算出手段とを備えたことを特徴とする空燃比検出装置。
  2. 前記光学素子は、電気信号からなる駆動信号に応答して前記第1の状態および第2の状態に切り替え可能な音響光学素子であることを特徴とする請求項1記載の空燃比検出装置。
  3. 前記光学素子が前記第1の状態にあるときの前記光検出器の出力信号は、前記光学素子が前記第1の状態にありかつ前記燃焼室内に混合ガスが導入されていない第1のタイミングでの前記光検出器の出力信号および前記光学素子が前記第1の状態にありかつ前記燃焼室内に混合ガスが導入されている第2のタイミングでの前記光検出器の出力信号を含み、
    前記算出手段は、前記光学素子が前記第1の状態にあるときの前記光検出器の出力信号、前記第1のタイミングでの前記光検出器の出力信号および前記第2のタイミングでの前記光検出器の出力信号に基づいて前記燃焼室内の混合ガスの空燃比を算出することを特徴とする請求項1または2記載の空燃比検出装置。
  4. 前記エンジンの回転に連動するタイミングを検出するタイミング検出手段と、
    前記タイミング検出手段の出力信号に応答して前記光学素子を前記第1の状態および第2の状態に切り替える切り替え手段とをさらに備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の空燃比検出装置。
  5. 前記算出手段による前記空燃比の算出条件および前記切り替え手段による前記光学素子の切り替え条件のうち少なくとも1つに関するパラメータを設定する設定手段をさらに備え、
    前記算出手段または前記切り替え手段は、前記設定手段により設定されたパラメータに基づいて動作することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の空燃比検出装置。
  6. 前記算出手段により算出された空燃比に関する情報を表示する表示手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の空燃比検出装置。
  7. 前記表示手段は、前記空燃比に関する情報の時間的変化を視覚的に表示することを特徴とする請求項6記載の空燃比検出装置。
  8. 燃焼室、点火プラグおよび燃料噴射装置を有するエンジンと、
    光を発生する光源と、
    電気信号に応答して前記光源により発生された光を前記燃焼室内に導く第1の状態と前記光源により発生された光を前記燃焼室内に導かない第2の状態とに切り替え可能な光学素子と、
    前記燃焼室内から導出される帰還光を検出する光検出器と、
    前記エンジンの回転に連動するタイミングを検出するタイミング検出手段と、
    前記タイミング検出手段の出力信号に応答して前記光学素子を前記第1の状態および第2の状態に切り替える切り替え手段と、
    前記光学素子が前記第1の状態にあるときの前記光検出器の出力信号および前記光学素子が前記第2の状態にあるときの前記光検出器の出力信号に基づいて前記燃焼室内の混合ガスの空燃比を算出する算出手段とを備えたことを特徴とするエンジン装置。
  9. 前記算出手段により算出された空燃比に基づいて前記エンジンの動作を制御する制御手段をさらに備えたことを特徴とする請求項8記載のエンジン装置。
  10. 前記制御手段は、前記算出手段により算出された空燃比に基づいて前記点火プラグを制御することを特徴とする請求項9記載のエンジン装置。
  11. 前記制御手段は、前記算出手段により算出された空燃比に基づいて前記燃料噴射装置を制御することを特徴とする請求項9または10記載のエンジン装置。
  12. 請求項8〜11のいずれかに記載のエンジン装置と、
    駆動輪と、
    前記エンジン装置により発生される動力を前記駆動輪に伝達する伝達機構とを備えたことを特徴とする車両。
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