JP2008045496A - 光センサ内蔵レーザ着火装置 - Google Patents

光センサ内蔵レーザ着火装置 Download PDF

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Abstract

【課題】燃焼室の形状や部品点数に影響を及ぼすことなく、レーザ着火および燃焼状態のモニタを実現できる装置を提供する。
【解決手段】レーザ光70を発するレーザ光源11と、一端がレーザ光源11に、他端が燃焼室4に連結された鏡筒12と、鏡筒12の燃焼室4側の一端に設けられたレーザ光照射窓13と、鏡筒12内部に設けたレンズ14と、レンズ14に対してレーザ光源11側に設けた光検知部とを備えた光センサ内蔵レーザ着火装置10において、レンズ14によりレーザ光70を燃焼室4内に集光して、混合気を着火させるとともに、レーザ光源11側の光検知部15によりレンズ14を透過した燃焼光を検知する。すなわち、従来は別個に設けられていたレーザ着火装置と光検知部の光学系とを、共有、一体化させる。これにより、装置の構成が簡略化できるとともに、部品点数の低減によりコストが削減できる。
【選択図】図2

Description

本発明は、内燃機関に適用される光センサ内蔵レーザ着火装置に関し、具体的には、主として自動車用、発電用等の内燃機関に用いられる光センサ内蔵レーザ着火装置に関するものである。
従来から、代表的な内燃機関として、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンが知られているが、前者は排気ガスがクリーンであるが燃費が劣り、後者は燃費に優れるがNOxや粒子状物質(PM)排出量が多いという問題があった。そこで、地球環境の保護、温暖化防止という観点から、低燃費で排気ガスがクリーンなエンジンを実現するものとして、混合気を高圧縮して自発着火させる「予混合圧縮着火技術」が注目されている。しかしながら、予混合圧縮着火式エンジンは、着火が不安定という欠点があるため、着火燃焼を促進する補助的着火手段が種々提案されている。
その一つであるレーザ着火は、高出力レーザパルスをレンズにより集光した焦点に発生するプラズマを起点として着火するものである。レーザ着火は、従来からガソリンエンジンに採用されているスパークプラグに比べ、高圧縮比でも着火性が悪化しない、焦点位置調節により燃焼室内の任意の位置での着火が可能であるといった利点を有する。さらに、電気的ノイズの発生源にならない、付着した汚れによる短絡がないといった利点もある。そこで近年、レーザ着火に関する技術開発が進んでいる。
また、排気ガス浄化や燃費向上のためには、排気ガスの処理のみならず、燃焼を常に適切に制御することが必要となる。燃焼を制御するためには、排気ガスの成分を測定するだけではなく、燃焼状態をリアルタイムで直接モニタすることが望ましい。燃焼状態のモニタ手段としては、圧力センサや光センサ等が知られており、これらのうち光センサは、燃焼光を直接観察するため、燃焼状態について、圧力センサよりも多くの情報を得ることが可能である。
そこで、かかるレーザ着火装置および光センサを備えたレーザ着火式エンジンが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載のエンジンでは、別個のレーザ集光装置(レーザ着火装置)および光センサが、隣接してシリンダヘッドに嵌め込まれている。
特開2005−42591号公報
しかしながら、特許文献1に記載のレーザ着火式エンジンでは、混合気への着火手段として必要なレーザ集光装置とは別に、燃焼状態を検知するための光センサがシリンダヘッドに嵌め込まれている。すなわち、燃焼室内に、エンジン部品以外に光センサが存在する構造となるため、燃焼室の形状、ひいてはエンジンの特性に影響を及ぼす虞がある。また、レーザ集光装置、光センサという二つの光デバイスが独立して設けられているために構成が複雑化し、部品点数が増加するため、組立て工数やコストの増大を招くという問題もあった。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、燃焼室の形状や部品点数に影響を及ぼすことなく、レーザ着火および燃焼状態のモニタを実現できる装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明の光センサ内蔵レーザ着火装置は、レーザ光を発するレーザ発生機構と、前記レーザ発生機構と内燃機関の燃焼室との間に設けられ、前記燃焼室と外気とを隔離するとともに、前記レーザ光を前記燃焼室内に射出するためのレーザ光照射窓と、前記レーザ発生機構と前記レーザ光照射窓との間の前記レーザ光の光路上に設けられ、前記燃焼室内に前記レーザ光の焦点が位置するように該レーザ光を集光させるレンズと、前記レーザ光の光路方向において前記レンズよりも前記レーザ発生機構側に位置し、前記燃焼室内で発生する燃焼光を前記レンズを介して検知する光検知部とを備えている。
また、請求項2に係る発明の光センサ内蔵レーザ着火装置は、請求項1に記載の発明の構成に加え、前記光検知部が、前記レンズと前記レーザ発生機構との間であって前記光路を除いた部位に設けられた、前記燃焼光を受光する受光素子であることを特徴とする。
また、請求項3に係る発明の光センサ内蔵レーザ着火装置は、請求項1に記載の発明の構成に加え、前記レーザ発生機構と前記レンズとの間に設けられ、前記レーザ光を透過するとともに前記燃焼光のうち特定の波長域の光を前記光路とは異なる方向へ反射させる波長選択素子をさらに備え、前記光検知部が、前記燃焼光を前記波長選択素子を介して受光する受光素子であることを特徴とする。
さらに請求項4に係る発明の光センサ内蔵レーザ着火装置は、請求項1乃至3の何れかに記載の発明の構成に加え、前記光検知部が、前記レーザ光の光路方向において前記レンズよりも前記レーザ発生機構側に位置する前記レンズの焦平面上に設けられることを特徴とする。
さらに請求項5に係る発明の光センサ内蔵レーザ着火装置は、請求項1乃至4の何れかに記載の発明の構成に加え、前記レンズが前記レーザ光照射窓を兼用することを特徴とする。
請求項1に係る光センサ内蔵レーザ着火装置は、レーザ発生機構からのレーザ光をレンズによって燃焼室内に集光し、焦点に発生するプラズマにより燃焼室内の混合気に着火させるとともに、燃焼室内で発生する燃焼光を、同じレンズを介してレーザ発生機構に位置する光検知部で検知するものである。つまり、ともに光デバイスであるレーザ着火装置及び光検知部の光学系を、可能な限り共有、一体化させたものである。このような構成にすれば、独立した別の光デバイスを燃焼室に取付ける必要がないため、燃焼室の形状やエンジン特性への影響を抑えることができる。また、装置の構成が簡略化できるとともに、部品点数が低減されるため、組立て工数やコストが削減できる。
ところで、請求項1に係る光センサ内蔵レーザ着火装置により、レーザ光による混合気の着火と燃焼室内で発生する燃焼光の検知とを同一の装置で行うと、レーザ光と燃焼光との両方が同一の装置内を透過することになる。そこで、光検知部をレンズとレーザ発生機構との間に設ける場合には、請求項2に係る発明のように、レーザ光路以外の部位に受光素子を配置することにより、着火のためのレーザ光を妨害することなく燃焼光を検知することができる。
また、請求項3に係る発明では、レンズとレーザ発生機構との間に波長選択素子を設け、レーザ発生機構からのレーザ光は透過させる一方で、燃焼室からレーザ光照射窓を通してレンズを透過する燃焼光のうちの特定波長成分だけを、波長選択素子を介してレーザ光路とは異なる方向へ反射させる。そして反射された特定波長成分を受光素子で検知する。このような構成とすることにより、光検知部の設置位置の自由度を向上することができる。すなわち、光検知部を燃焼室からできるだけ離れた位置に設けることができる。
また、請求項4に係る発明のように、光検知部を焦平面上に配置して、レンズを透過した光が最良の鮮鋭な像を結ぶ焦平面上で燃焼光の検知を行うことにより、燃焼状態を高精度に検知することが可能となる。
さらに、請求項5にかかる発明では、レーザ光を集光するレンズがレーザ光照射窓を兼用している。これにより、構成をさらに簡略化できるとともに、部品点数の削減により、組立て工数やコストを低減することができる。
以下、本発明を具体化した光センサ内蔵レーザ着火装置の実施の形態について、図面を参照して説明する。
<第1の実施形態>
以下、図1〜3を参照して、本発明に係る光センサ内蔵レーザ着火装置の第1の実施形態について説明する。図1は、第1の実施形態に係るに係る光センサ内蔵レーザ着火装置10をポート噴射型のエンジン100の燃焼室に装着した場合の、概略構成を示す断面図である。図2は、光センサ内蔵レーザ着火装置10の光軸に沿った縦断面図である。図3は、エンジン100の燃焼制御方法を説明するブロック図である。
図1に示すように、エンジン100は、シリンダヘッド1、シリンダブロック2、シリンダブロック2内を往復運動するピストン3を構成の主体とする。そしてこれらシリンダヘッド1、シリンダブロック2およびピストン3で囲まれる空間が燃焼室4である。また、シリンダヘッド1は、吸気の流路である吸気ポート5、吸気ポート5を開閉する吸気弁6、排気の流路である排気ポート7、排気ポート7を開閉する排気弁8等を備えている。なお、吸気ポート5内には、燃料を噴射する燃料噴射装置9が設けられている。また、光センサ内蔵レーザ着火装置10は、エンジン100のシリンダヘッド1に設置されている。
また、図2に示すように、光センサ内蔵レーザ着火装置10は、レーザ光源11、鏡筒12、レーザ光照射窓13、レンズ14および光検知部15から構成されている。
レーザ光を発するレーザ光源11には特に限定はないが、効率と出力の観点から、レーザダイオード励起固体レーザが好適に用いられる。レーザ媒質としては、安定性、耐久性に優れるNd:YAGやYb:YAGなどのレーザ結晶が好ましい。また、レーザパルスの射出タイミングは、パルスタイミング能動Qスイッチの制御、またはレーザダイオード駆動制御と受動Qスイッチとを組み合わせることにより行われることが好ましい。なお、レーザ光源11が「レーザ発生機構」に相当する。
鏡筒12は、一端がレーザ光源11に、他端が燃焼室4に連結された円筒形のハウジングで、レンズ14を筒内に支持するとともに、レーザ光70がその内部を貫通してレーザ光源11から燃焼室4へ達するよう設けられている。鏡筒の材質には特に限定はないが、燃焼室近傍に設置されることを考慮し、SUS304などの耐熱性に優れた金属を用いることが好ましい。
鏡筒12の燃焼室4側の一端は燃焼室4に面して開口しており、その開口部に、燃焼室4を鏡筒内の外気からシールするとともに、鏡筒12を貫通したレーザ光70を燃焼室4に射出するためのレーザ光照射窓13が設けられている。また、レーザ光照射窓13の燃焼室4側の表面は燃焼雰囲気に直に曝されるため、燃焼ガスなどで汚れが付着しやすい。よって、レーザ光照射窓13は、汚れが焼失するよう十分に高温の部位に設けられるため、耐熱性が要求される。そこで、レーザ光照射窓13の材料としては、透光性を有し、耐熱性に優れる材料が好ましい。好適な材料の例として、透光性アルミナやサファイア、透明YAGなどのイオン結晶性材料が挙げられる。
レンズ14は、レーザ光源11から発せられ鏡筒12を貫通するレーザ光70を、燃焼室4内の所望の位置に集光するように、鏡筒12内のレーザ光70の光路上に設置されている。レンズの材料としては特に限定はなく、一般的な光学ガラスの他、透光性を有する単結晶やセラミックスを使用することができる。耐熱性を考慮すると、光学ガラスよりも透光性の単結晶またはセラミックスが好ましい。特に、セラミックスを使用した場合、単結晶バルク体を材料とした場合よりも材料コストが低く抑えられる。さらに、セラミックスの成形加工時にレンズに近い形状とすることにより、研磨コストを抑えることも可能である。また、透光性の面では、光学的に等方性の材料が特に優れている。よって、透光性、耐熱性の両面で優れた透明YAGセラミックスは、特に好適な材料の一例である。
光検知部15は、レーザ光の光路方向においてレンズ14よりもレーザ光源11側の鏡筒12内に設けられている。光検知部15は、燃焼室4内で発生し、レーザ光照射窓13およびレンズ14を透過してきた燃焼光を検知する。光検知部15は、燃焼状態データを外部に出力するためのケーブル(図示せず)により、コントローラ60(図3参照)に連結されている。なお、燃焼状態を高精度に検知するためには、光検知部15をレンズ14の焦平面上に設けることが望ましい。
光検知部15としては、所望の周波数帯に感度を有する受光素子を用いることができる。受光素子は、所望の周波数帯に感度を有していれば特に他の限定はなく、例えば、フォトトランジスタ、フォトダイオード、CCD等を使用することができる。燃焼光の具体的な検知方法としては、例えば、レンズ14の焦平面の平均光を測定してもよいし、フォトダイオードを二次元アレイ状に並べたCCDイメージセンサにより、画像データを収集してもよい。
図3に示すように、コントローラ60には、光検知部15により検知された燃焼室4内の燃焼光のデータが入力される。また、コントローラ60には、エンジン回転数を検出するエンジン回転数検出器61およびクランク角を検出するクランク角検出器62(いずれも図1では図示省略)が接続されており、各々から、エンジン回転数およびクランク角がコントローラ60に入力される。コントローラ60は、これらの信号に基づいて演算を行い、演算結果に応じた制御信号を燃料噴射装置9およびレーザ光源11へと出力する。
上記のように構成された第1の実施形態に係る光センサ内蔵レーザ着火装置10の動作について説明する。
図2に示すように、レーザ光源11が、能動Qスイッチ等を用いてレーザ光70を所定のパルスタイミングで射出する。レーザ光70のパルス射出タイミングは、通常、図3に示すエンジン回転数検出器61により検出されたエンジン回転数と、クランク角検出器62により検出されたクランク角とに応じて、コントローラ60で制御されている。レーザ光70は、レーザ光源11に連結された鏡筒12内部を通り、鏡筒12内に支持されたレンズ14に入射する。レンズ14は、入射したレーザ光70を鏡筒12の燃焼室4側の一端に設けられたレーザ光照射窓13を通して、燃焼室4内の所定の位置の焦点80に集光させる。一方、図1に示すように、燃焼室4内には、吸気ポート5内で燃料噴射装置9から噴射された燃料と吸気とを混合して形成された混合気が、吸気弁6を介して供給されている。なお、燃料噴射装置9の燃料噴射量は、図3に示すエンジン回転数検出器61により検出されたエンジン回転数と、クランク角検出器62により検出されたクランク角とに応じて、コントローラ60で制御されている。図2に示す燃焼室4内の焦点80において、集光されたレーザ光70がプラズマを発生させることにより、この混合気を着火、燃焼させることができる。
一方、燃焼室4内で発生した燃焼光は、レーザ光70とは逆に、レーザ光照射窓13を通して鏡筒12内のレンズ14に入射する。レンズ14を透過した燃焼光は、レーザ光源11側の鏡筒12内に設けられた光検知部15で検知され、図示しないケーブルを経て、燃焼状態を表す電気信号としてコントローラ60に入力される。また、エンジン回転数検出器61により検出されたエンジン回転数と、クランク角検出器62により検出されたクランク角の検出値信号も、コントローラ60に入力される。
コントローラ60には、クランク角およびエンジン回転数に対応した正常燃焼時の燃焼光データが記憶されており、コントローラ60は、この正常燃焼時データと実際に検出された燃焼光データとを比較することにより、ノッキング、失火などの異常の有無を判断する。異常燃焼であると判断された場合には、コントローラ60は、検出されたエンジン回転数およびクランク角に応じて正常燃焼を実現する補正量を演算し、レーザ光源11のレーザパルス射出タイミングおよび燃料噴射装置9の燃料噴射量を補正制御する。
以上説明したように、本実施形態の光センサ内蔵レーザ着火装置によれば、レーザ光源11から発したレーザ光70をレンズ14によって燃焼室4内に集光し、燃焼室4内の混合気に着火させるとともに、燃焼室4内で発生する燃焼光を、同じレンズ14を通してレーザ光源11側に設けた光検知部15で検知することができる。つまり、レーザ着火装置及び光センサの光学系を共有、一体化させている。これにより、装置構成が簡略化できるとともに、部品点数の低減により、組立て工数やコストが削減できる。さらに、光検知部15をレンズ14の焦平面上に配置した場合には、燃焼状態の高精度な検知が可能である。
<第2の実施形態>
次に、図4を参照して、本発明の第2の実施形態に係る光センサ内蔵レーザ着火装置20について、第1の実施形態と異なる構成を主として説明する。図4は、光センサ内蔵レーザ着火装置20の光軸に沿った縦断面図である。なお、本実施形態の光センサ内蔵レーザ着火装置20をポート噴射型のエンジン100に装着した場合の概略断面図は、図1と同様である。
図4に示すように、光センサ内蔵レーザ着火装置20は、第1の実施形態と同様のレーザ光源11、鏡筒12、レーザ光照射窓13、レンズ14を有する。一方、光検知部15は、レンズ14とレーザ光源11側との間で、鏡筒12内のレーザ光70の光路以外の部位に、複数の光ファイバ151を環状に配置するとともに、レーザ光の光路方向であってレーザ光源11に対し燃焼室4とは反対側に位置したセンサ152まで光ファイバ151に入射した光を伝送する構成となっている。本実施形態では、光ファイバ151およびセンサ152が「光検知部」に相当する。なお、第1の実施形態と同様に、燃焼状態を高精度に検知するためには、光ファイバ151の入射端をレンズ14の焦平面上に設けることが望ましい。
上記のように構成された第2の実施形態に係る光センサ内蔵レーザ着火装置20の動作について説明する。
図4に示すように、第1の実施形態と同様、レーザ光源11が発したレーザ光70は、レンズ14により集光され、燃焼室4内の混合気を着火、燃焼させる。一方、燃焼室4内で発生した燃焼光は、レーザ光70とは逆に、レーザ光照射窓13およびレンズ14を透過して、レーザ光70の光路を除いて鏡筒12内に環状に設けられた光ファイバ151の入射端に入射する。光ファイバ151により伝送された燃焼光は、センサ152で検知され、図示しないケーブルを経て、図3に示すコントローラ60に入力される。コントローラ60に燃焼光データが入力された後の動作は、第1の実施形態と同様である。
以上説明したように、本実施形態において、光ファイバ151およびセンサ152から構成される光検知部15は、レーザ光70の光路以外の部位に設けられている。よって、着火に用いられるレーザ光70の進行が阻害されることがない。また、光ファイバ151による燃焼光の伝送が可能なため、センサ152を、高熱となる燃焼室4からできるだけ離れた所望の位置に設けることが可能となる。さらに、光ファイバ151をレンズ14の焦平面上に配置した場合には、燃焼状態の高精度な検知が可能である。
なお、本実施形態では、光検知部15を光ファイバ151およびセンサ152で構成したが、例えば、鏡筒12内のレーザ光70の光路以外の部位にフォトダイオードを二次元アレイ状に並べたCCDイメージセンサを配置する構成等も可能である。
<第3の実施形態>
次に、図5および図6を参照して、本発明に係る光センサ内蔵レーザ着火装置の第3の実施形態について、第1の実施形態と異なる構成を主として説明する。図5は、光センサ内蔵レーザ着火装置30の光軸に沿った縦断面図である。図6は、波長選択素子16の構成を変形した一例である光センサ内蔵レーザ着火装置31の光軸に沿った縦断面図である。なお、本実施形態の光センサ内蔵レーザ着火装置30、31をポート噴射型のエンジン100に装着した場合の概略断面図は、図1と同様である。
図5に示すように、光センサ内蔵レーザ着火装置30は、第1の実施形態と同様のレーザ光源11、鏡筒12、レーザ光照射窓13、レンズ14を有する。加えて、レーザ光源11とレンズ14の間のレーザ光70の光路上には、波長選択素子16が設けられている。
波長選択素子16は、レーザ光源11が発するレーザ光70を燃焼室4方向へ透過する。一方、燃焼室4内で発生し、レーザ光照射窓13およびレンズ14を透過してきた燃焼光のうち、特定の波長域の光をレーザ光70の光路とは異なる方向へ反射させる。波長選択素子16には特に限定はなく、燃焼光のうち特定の波長域の光を、本来の進行方向とは異なる方向へ逸らすことができればよい。そこで、例えば、ダイクロイックミラーやビームスプリッタを波長選択素子16として用いることができる。
レーザ光の光路方向においてレンズ14よりもレーザ光源11側であって、波長選択素子16により反射された特定波長成分の進行方向上に、光検知部15が設けられている。光検知部15は、波長選択素子16により反射された燃焼光の特定波長成分を検知する。光検知部15の具体的な構成や燃焼光の検知方法は、第1の実施形態と同様とすることができる。なお、燃焼状態を高精度に検知するためには、第1の実施形態と同様、光検知部15を、波長選択素子16を介したレンズ14の焦平面上に設けることが望ましい。
上記のように構成された第3の実施形態に係る光センサ内蔵レーザ着火装置30の動作について説明する。
図5に示すように、第1実施形態と同様、レーザ光源11が発するレーザ光70は、レンズ14により集光され、燃焼室4内の混合気を着火、燃焼させる。一方、燃焼室4内で発生した燃焼光は、レーザ光70とは逆に、レーザ光照射窓13を通して鏡筒12内のレンズ14に入射する。レンズ14を透過した燃焼光は、レンズ14とレーザ光源11との間のレーザ光70の光路上に設けられた波長選択素子16へと進行する。波長選択素子16は、この燃焼光の特定波長成分のみを、レーザ光70の光路とは異なる方向に反射する。反射された特定波長成分は、光検知部15で検知され、図示しないケーブルを経て、図3に示すコントローラ60に入力される。コントローラ60に燃焼光データが入力された後の動作は、第1の実施形態と同様である。
以上説明したように、本実施形態の光センサ内蔵レーザ着火装置30では、波長選択素子16を設けることにより、光検知部15を、レンズ14とレーザ光源11との間以外の位置に配置することができる。すなわち、光検知部15を燃焼室4からできるだけ離れた位置に設けることができる。さらに、光検知部15を、波長選択素子16を介したレンズ14の焦平面上に設けた場合には、高精度に燃焼状態を感知することができる。
図6は、波長選択素子16の構成を変形した一例である。図5の光センサ内蔵レーザ着火装置31は、レンズ14とレーザ光源11との間のレーザ光70の光路上にダイクロイックミラー161を備え、ダイクロイックミラー161により燃焼光の特定波長成分が反射された方向に、さらに全反射ミラー162を備えている。全反射ミラー162により全反射された特定波長成分の進行方向には、光検知部15が設けられている。このように、ダイクロイックミラー161と光検知部15との間にさらに全反射ミラー162を設けることにより、光検知部15の設置位置の自由度をさらに高めることができる。なお、図6の光センサ内蔵レーザ着火装置31においては、ダイクロイックミラー161と全反射ミラー162が「波長選択素子」に相当する。
<第4の実施形態>
次に、図7を参照して、本発明の第4の実施形態に係る光センサ内蔵レーザ着火装置40について、第1の実施形態と異なる構成を主として説明する。図7は、光センサ内蔵レーザ着火装置40の光軸に沿った縦断面図である。なお、本実施形態の光センサ内蔵レーザ着火装置40をポート噴射型のエンジン100に装着した場合の概略断面図は、図1と同様である。
図7に示すように、光センサ内蔵レーザ着火装置40は、第1の実施形態と同様に、レーザ光源11、鏡筒12および光検知部15を有する。一方、第1の実施形態とは異なり、レンズ14がレーザ光照射窓13を兼用している。すなわち、鏡筒12の燃焼室4側の開口部に、レンズ14のみが設けられた構成となっている。
レンズ14の材料は、第1の実施形態では、特に限定はなく、一般的な光学ガラスの他、透光性を有する単結晶やセラミックスを使用することが可能である。しかしながら、本実施形態の構成では、レンズ14の燃焼室4側の表面は非常な高温に曝されることになるため、レンズ14には透光性とともに十分な耐熱性が要求される。よって、耐熱性の低い光学ガラスよりも、透光性アルミナや透明YAGなどのイオン結晶性材料を使用することが好ましい。また、レンズ14をセラミックスで構成した場合、単結晶バルク体を材料とした場合よりもコストを抑えることができるため、より好ましい。また、透光性の面では、光学的に等方性の材料が特に優れている。よって、透光性、耐熱性の両面で優れた透明YAGセラミックスは、特に好適な材料の一例である。
光検知部15は、第1実施形態と同様に、鏡筒12内のレンズ14とレーザ光源11との間に設けられ、燃焼室4内で発生し、レンズ14を透過した燃焼光を検知する。光検知部15の具体的な構成や燃焼光の検知方法は、第1実施形態と同様とすることができる。なお、燃焼光を高精度に検知するためには、光検知部15をレンズ14の焦平面上に設けることが望ましい。ただし、本実施形態では、レンズ14が燃焼室4を臨む窓を兼ねているため、光検知部15を設けるレンズ14の焦平面が、燃焼室4の近傍に位置する可能性がある。この場合は、図4に示す第2の実施形態と同様に、光検知部15を光ファイバおよびセンサで構成し、センサを高熱となる燃焼室4からできるだけ離れた所望の位置に設けることが望ましい。
上記のように構成された第4の実施形態に係る光センサ内蔵レーザ着火装置40の動作について説明する。
レーザ光源11がレーザ光70を所定のパルスタイミングで射出すると、レーザ光70は、レーザ光源11に連結された鏡筒12内部を通り、鏡筒12の燃焼室4側の一端に設けられたレンズ14に入射する。レンズ14は、入射したレーザ光70を燃焼室4内の所定の位置の焦点80に集光させ、プラズマを発生させる。このプラズマにより、図1に示す吸気ポート5内で燃料噴射装置9から噴射された燃料と吸気とを混合して形成され、吸気弁6を介して燃焼室4内に供給された混合気を着火、燃焼させることができる。
一方、燃焼室4内で発生した燃焼光は、レーザ光70とは逆に、燃焼室4を臨むレンズ14に入射する。レンズ14を透過した燃焼光は、鏡筒12内のレーザ光源11側に設けられた光検知部15で検知され、図示しないケーブルを経て、図3に示すコントローラ60に入力される。コントローラ60に燃焼光データが入力された後の動作は、第1の実施形態と同様である。
以上説明したように、本実施形態の光センサ内蔵レーザ着火装置では、レンズ14が、燃焼室4と外気とを隔離し、レーザ光70を透過させる窓の役割を果たすとともに、レーザ光70を燃焼室4内に集光する役割を果たしている。すなわち、第1の実施形態のレーザ光照射窓13を省略した構成となっている。したがって、構成をさらに簡略化できるとともに、部品点数の削減により、組立て工数やコストを低減することができる。特に、レンズ14を透明YAGセラミックスで構成した場合には、コストを抑えながら、透光性、耐熱性に優れる高品質なレンズを備えた装置を得ることができる。
なお、本実施形態では、レンズ14とレーザ光源11との間に設けられた光検知部15が燃焼光を検知する構成となっているが、第3の実施形態のように構成してもよい。すなわち、波長選択素子16を付加し、光検知部15が波長選択素子16を介して燃焼光を検知する構成とすることも可能である。
なお、上記第1〜第4の実施形態に示される光センサ内蔵レーザ着火装置の構成は例示であり、本発明は各種の変形が可能なことはいうまでもない。
例えば、第1〜第4の実施形態では、本発明に係る光センサ内蔵レーザ着火装置をポート噴射型のエンジンに装着しているが、筒内噴射式のエンジンなど、他のエンジンにも適用可能である。また、これらの実施形態では、本発明に係る光センサ内蔵レーザ着火装置は燃焼室頂部近傍に設けられているが、上記構成は一例であり、燃焼室を臨む他の位置に配置することも可能である。
また、上記第1〜第4の実施形態では、レーザ光源11と燃焼室4との間に鏡筒12を設けたが、レーザ光70がレンズ14により燃焼室4内で集光される構成となっていればよい。よって、例えば、光伝送管や光ファイバーを用いてレーザ光70を伝送する構成とすることができる。
第1の実施形態に係る光センサ内蔵レーザ着火装置10を、ポート噴射式のエンジン100に装着した場合の、概略構成を示す断面図である。 第1の実施形態に係る光センサ内蔵レーザ着火装置10の光軸に沿った断面図である。 第1の実施形態におけるエンジン100の燃焼制御方法を説明するブロック図である。 第2の実施形態に係る光センサ内蔵レーザ着火装置20の光軸に沿った断面図である。 第3の実施形態に係る光センサ内蔵レーザ着火装置30の光軸に沿った断面図である。 第3の実施形態に係る光センサ内蔵レーザ着火装置31の光軸に沿った断面図である。 第4の実施形態に係る光センサ内蔵レーザ着火装置40の光軸に沿った断面図である。
符号の説明
1 シリンダヘッド
2 シリンダブロック
3 ピストン
4 燃焼室
5 吸気ポート
6 吸気弁
7 排気ポート
8 排気弁
9 燃料噴射装置
10,20,30,31,40 光センサ内蔵レーザ着火装置
11 レーザ光源
12 鏡筒
13 レーザ光照射窓
14 レンズ
15 光検知部
151 光ファイバ
152 センサ
16 波長選択素子
161 ダイクロイックミラー
162 全反射ミラー
60 コントローラ
61 エンジン回転数検出器
62 クランク角検出器
70 レーザ光路
80 焦点

Claims (5)

  1. レーザ光を発するレーザ発生機構と、
    前記レーザ発生機構と内燃機関の燃焼室との間に設けられ、前記燃焼室と外気とを隔離するとともに、前記レーザ光を前記燃焼室内に射出するためのレーザ光照射窓と、
    前記レーザ発生機構と前記レーザ光照射窓との間の前記レーザ光の光路上に設けられ、前記燃焼室内に前記レーザ光の焦点が位置するように該レーザ光を集光させるレンズと、
    前記レーザ光の光路方向において前記レンズよりも前記レーザ発生機構側に位置し、前記燃焼室内で発生する燃焼光を前記レンズを介して検知する光検知部と
    を備えたことを特徴とする光センサ内蔵レーザ着火装置。
  2. 前記光検知部は、前記レンズと前記レーザ発生機構との間であって前記光路を除いた部位に設けられた、前記燃焼光を受光する受光素子であることを特徴とする請求項1に記載の光センサ内蔵レーザ着火装置。
  3. 前記レーザ発生機構と前記レンズとの間に設けられ、前記レーザ光を透過すると共に前記燃焼光のうち特定の波長域の光を前記光路とは異なる方向へ反射させる波長選択素子をさらに備え、
    前記光検知部は、前記燃焼光を前記波長選択素子を介して受光する受光素子であることを特徴とする請求項1に記載の光センサ内蔵レーザ着火装置。
  4. 前記光検知部は、前記レーザ光の光路方向において前記レンズよりも前記レーザ発生機構側に位置する前記レンズの焦平面上に設けられることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の光センサ内蔵レーザ着火装置。
  5. 前記レンズが前記レーザ光照射窓を兼用することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の光センサ内蔵レーザ着火装置。
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