JP2012509433A - 内燃機関のためのレーザ誘起式の外部点火装置 - Google Patents

内燃機関のためのレーザ誘起式の外部点火装置 Download PDF

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Abstract

燃焼室窓(58)の前にオリフィス(74)が配置されている、点火レーザ(26)を備えた内燃機関のためのレーザ点火装置が提案されている。

Description

本発明は、点火が点火レーザによって誘起される、内燃機関のためのレーザ点火装置に関する。以下ではレーザ点火と称呼される、このような点火は、例えば国際公開第2005/066488号パンフレットにより公知である。
点火レーザは、燃焼室窓を有しており、この燃焼室窓は、点火レーザから放射されたレーザパルスを透過させる。それと同時に、燃焼室窓は、燃焼室窓の光学的な特性に不都合な影響を与えることなしに、内燃機関の耐用年数全体に亘って燃焼室内に形成される高い圧力及び温度に耐えられるものでなければならない。この場合、燃焼室に向いた側の、燃焼室窓の表面に、内燃機関の作動サイクル中に発生する600°を越える表面温度及び250barを越える圧力が発生する。しかも、排ガスの化学的浸食性の構成成分が燃焼室窓に損傷を与え、燃焼室窓に堆積する堆積物が燃焼室窓の透過率を減少させる。
発明の開示
本発明の課題は、信頼でき、故障することがなく、しかもメンテナンスが少なくて済むようなレーザ点火装置を提供することである。
この課題を解決した本発明によれば、レーザ活性固体を備えた点火レーザと、燃焼室窓と、ハウジングとを有している、内燃機関のためのレーザ点火装置において、ハウジングの、燃焼室窓が配置されている端部に、オリフィスが設けられている。
このようなオリフィスは、燃焼室窓の表面に、排ガス及び、燃焼室内に存在するガス流が接することがないように、配慮する。従って、燃焼室窓の堆積物は著しく減少される。このような堆積物は、内燃機関の燃焼室内の排ガスによって形成される。
本発明によるオリフィスは、まず第1に、燃焼室窓に堆積する残滓の量を著しく減少させる。第2に、このような残滓が燃焼室窓の表面にぶつかる際の衝撃を著しく減少させる。
このような2つの効果によって、燃焼室窓における堆積物が著しく減少され、少量の堆積物だけが燃焼室窓に弱く付着する。従って、本発明によるレーザ点火装置は、信頼でき、故障することがなく、しかもメンテナンスが少なくて済む。
本発明の実施態様によれば、オリフィスの直径は、点火レーザのレーザパルスが妨げられることなくオリフィスを通過できるように、寸法設計されている。勿論、オリフィスの直径は、燃焼室窓を最適に保護するために必要な最低限の大きさを越えてはならない。この場合、レーザパルスの直径(照射径とも称呼される)は、DIN EN ISO 11145規格に従って算出される。この規格は、レーザ技術分野の専門家の専門知識に属するので、この規格を参照することによって、照射径の算出についての詳しい説明は省かれる。
レーザ点火装置のレーザパルスは着火点ZPに収束され、フォーカスレンズ系の光学精度は非常に高いので、オリフィスの直径を、レーザパルスの外側輪郭とオリフィスとの間に、1mmよりも小さい、有利には0.5mmよりも小さい、特に有利には0.25mmよりも小さいギャップが存在するように寸法設計することができる。
オリフィスの直径が小さければ小さい程、より少ない量のガスがオリフィス内に流入し、燃焼室窓に達することができる。
本発明の別の有利な実施態様によれば、オリフィスが円錐形に構成されており、オリフィスの直径は燃焼室窓に向かって次第に大きくなっており、オリフィスの円錐角はレーザパルスの出射角にほぼ相当する。この場合も、オリフィスは、全長に亘って、1mmよりも小さい、有利には0.5mmよりも小さい、特に有利には0.25mmよりも小さい間隔を保って、レーザパルスを取り囲むように配置されていてよい。点火レーザの光軸の方向のオリフィスの長さによって、燃焼室窓における不純物の堆積及び排ガスの侵入はさらに減少される。それと同時に、オリフィスの隙間容積は減少され、これは内燃機関の運転特性に有利に働く。
本発明によるレーザ点火装置の有利な実施態様によれば、オリフィスが別個の構成部分として構成されており、オリフィスが点火レーザのハウジング、特にハウジングの段部に固定されている。
これによって、既に完成されたレーザ点火装置にも、本発明によるオリフィスを後から取り付けることができる。さらにまた、別個の構成部分を交換することによって、オリフィスの直径及びオリフィスの円錐角を点火レーザの光学特性に適合させることができる。従って、例えば種々異なる燃焼室幾何学形状を有する燃焼室内に点火レーザを使用した場合、点火レーザの着火点ZPを、燃焼室窓からある程度遠ざけて配置する必要がある。着火点をこのように変えた場合、一般的に、オリフィスの直径及び円錐角に適合させる必要がある。これは、別個の構成部分として構成されたオリフィスを用いることによって可能である。
本発明の別の有利な実施態様によれば、オリフィスは点火レーザのハウジングに一体的に構成してもよい。
点火レーザが1つの燃焼室窓を有していれば、この燃焼室窓は、本発明によるオリフィスを使用することによって、比較的低い温度及び著しく少量の排ガスによって負荷される。
これによって、燃焼室窓の透過率は、内燃機関の妨げられることのない運転を保証するために、内燃機関の全耐用年数に亘って十分に高く維持される。
本発明によるレーザ点火装置の別の有利な実施態様によれば、オリフィスは点火レーザの周囲を部分的にのみ、つまり360°よりも小さい角度に亘って覆っている。この場合、オリフィスは、点火レーザを組み込んだ状態で、燃焼室内の排ガスの主流れ方向で見て、点火レーザの上流に配置されるように、考慮する必要がある。オリフィスがこのような形式で、点火レーザに対して相対的に位置決めされていれば、点火レーザを所望に遮蔽することができる。
燃焼室内の排ガスの主流れ方向は、各エンジン型式に応じて個別に確認される。オリフィスを点火レーザに対して正しく位置決めするためには、点火レーザを形状結合式に、かつ相対回動不能に内燃機関のシリンダヘッド内に固定するとよい。点火レーザに取り付けられた凸部(シリンダヘッドの対応する凹部と協働する)によって、オリフィスは確実に、前記形式で点火レーザに対して相対的に位置決めされる。
オリフィスが、点火レーザの周囲を、200°よりも小さい角度、有利には160°〜180°の角度に亘って覆っていれば、特に有利であることが分かった。これによって、安価な費用で、及び燃焼室内のガス流の最小限の影響下で、多くの使用例のために十分な遮蔽が保証される。
本発明によるその他の利点及び有利な実施態様が、以下に図面、図面の説明及び特許請求の範囲に記載されている。図面、図面の説明及び特許請求の範囲に開示されたすべての特徴は、単独でも、任意の組み合わせでも、本発明にとって重要なものである。
レーザ誘起式の点火装置を有する内燃機関の概略図である。 図1aに示した点火装置の概略図である。 本発明による点火レーザの概略図である。 本発明による点火レーザの概略図である。
実施例の説明
図1aでは、内燃機関は全体が符号10で示されている。内燃機関10は、図示していない自動車を駆動するために用いられる。内燃機関10は、複数のシリンダを有しており、これらのシリンダのうちの、図1には符号12で示した1つのシリンダだけが示されている。シリンダ12の燃焼室14はピストン16に画定されている。燃料は、インジェクタ18によって燃焼室14内に直接達する。インジェクタ18は、レールとも称呼される燃料・蓄圧器20に接続されている。
燃焼室14内に噴射された燃料は、レーザパルス24によって点火される。レーザパルス24は、点火レーザ26を有する点火装置27によって燃焼室14内に放射される。このために、点火レーザ26に、ライトガイド装置28を介してポンプ光が供給される。ポンプ光は、ポンプ光源30によって生ぜしめられる。ポンプ光源30は、制御器32によって制御され、この制御器32はインジェクタ18の制御も行う。
図1bに示されているように、ポンプ光源30は、内燃機関10の各シリンダ12に配属された種々異なる点火レーザ26のための複数のライトガイド装置28にポンプ光を供給する。このために、ポンプ光源30は複数の個別のレーザ光源340を有しており、これらのレーザ光源340は、パルス電流供給装置36に接続されている。複数の個別のレーザ光源340が設けられていることによって、種々異なる点火レーザ26に対するポンプ光の"ダイレクト"ディストリビューション「"ruhende"Verteilung」が実現されるので、ポンプ光源30と点火レーザ26との間に光ディストリビュータ等を必要としない。
点火レーザ26は、例えば、パッシブなQ回路(Gueterschaltung;クオリティ回路)46を備えたレーザ活性固体44を有しており、前記Q回路46は、励起ミラー42と出力ミラー48と共に1つの光共振器を形成する。ポンプ光源30によって生ぜしめられたポンプ光が点火レーザ26に供給され、この点火レーザ26が公知の形式でレーザパルス24を生ぜしめ、このレーザパルス24がフォーカスレンズ系52によって、燃焼室14(図1a)内に存在する着火点ZPに集束される。点火レーザ26のハウジング38内に設けられた構成部材は、燃焼室窓58によって燃焼室14から分離されている。
図2には、図1bの符号Xで示した部分の拡大断面図が示されている。この拡大断面図によれば、燃焼室窓58がハウジング38と密に接続されていることが明らかである。ハウジング38と燃焼室窓との間のシールは、符号60で示した、素材結合又は摩擦結合による結合部の領域に形成されている。
高い熱負荷を考慮して、ハウジング38は耐熱性材料より成っており、これによって、燃焼室内が運転温度に達した場合でも十分な疲れ強さを有している。
図2及び図3に示した実施例では、ハウジング38は2つに分割して構成されている。ハウジング38は、インナースリーブ62とアウタースリーブ64とを有している。アウタースリーブ64は、燃焼室14(図1a参照)に向いた側の端部に段部66を有している。この段部66は、燃焼室窓58をインナースリーブ62に押し付け、それによって符号60で示した領域のシール性を高めるために用いられる。このために、アウタースリーブ64は雌ねじ山を有しており、この雌ねじ山は、インナースリーブ62の対応する雄ねじ山と協働する。この雌ねじ山と雄ねじ山とからなるねじは、全体が符号68で示されている。アウタースリーブ64とインナースリーブ62とを螺合させることによって、段部66と燃焼室窓との間に別のシール面72が形成される。
図2では、点火レーザ26の燃焼室14に向いた側の端部が拡大して示されている。ハウジング38内に、図示していないフォーカスレンズ系が配置されており、該フォーカスレンズ系は、レーザパルス24を、点火レーザ26のレンズ系の焦点に相当する着火点ZPに集束する。集束されたレーザパルス24の外側輪郭は、円錐形の包絡線(符号なし)によって示されている。包絡線は、着火点ZPで交差し合い、直径Dで燃焼室窓58から出射する。燃焼室窓58の、燃焼室に向いた側が、排ガスにできるだけさらされないようにするために、本発明によれば、燃焼室窓58と着火点ZPとの間にオリフィス74が設けられている。オリフィスの直径は、符号Dで示されている。
オリフィス74の直径Dは、できるだけ小さく選定されている。オリフィス74が、レーザパルス24若しくはその外側輪郭に対して、1mmより小さい、有利には0.5mmより小さい、特に有利には0.25mmより小さい半径方向間隔を有していれば、十分である。このようなオリフィス74の直径Dの寸法によって、レーザパルス24の着火効率の低下が避けられ、また燃焼室間のガス交換、及びオリフィス74と燃焼室窓58との間に存在する隙間容積70が減少される。オリフィス74は、例えば金属薄板ディスクとして構成されていて、アウタースリーブ64にはんだ付け、溶接又はその他の形式で固定される。
燃焼室から隙間容積70に達する排ガス量が少なければ少ない程、燃焼室窓58に堆積する付着物の量は少なくなる。オリフィス74が着火点ZPのできるだけ近くにあれば、有利である。勿論、それには限界がある。何故ならば、着火点ZPは燃焼室14のできるだけ中央に配置されていなければならず、またオリフィス74が、燃焼室14内の混合比に与える影響をできるだけ小さくしなければならないからである。
図3には、本発明によるオリフィス74の別の実施例が示されている。前記図2に示した実施例との主要な相違点は、オリフィス74がアウタースリーブ64の一部であって、オリフィス74が円錐形に構成されているという点にある。オリフィス74の円錐角βは、レーザパルス24の角度αに相当する。この場合も、オリフィス74とレーザパルス24との間の半径方向間隔は、できるだけ小さくする必要がある。図3の実施例による隙間容積70は、図2の実施例に対して、さらに縮小されていることによって、燃焼室窓58に堆積する付着物はさらに少なくなる。
10 内燃機関、 12 シリンダ、 14 燃焼室、 16 ピストン、 18 インジェクタ、 20 燃料・蓄圧器、 24 レーザパルス、 26 点火レーザ、 27 点火装置、 28 ライトガイド装置、 30 ポンプ光源、 32 制御器、 36 パルス電流供給装置、 38 ハウジング、 42 励起ミラー、 44 レーザ活性固体、 48 出力ミラー、 52 フォーカスレンズ系、 58 燃焼室窓、 62 インナースリーブ、 64 アウタースリーブ、 66 段部、 68 ねじ、 70 隙間容積、 74 オリフィス、 340 レーザ光源、 ZP 着火点、 X 部分、 α レーザパルス24の角度、 β 円錐角

Claims (9)

  1. 内燃機関(10)のためのレーザ点火装置であって、レーザ活性固体(44)を備えた点火レーザ(26)と、燃焼室窓(58)と、ハウジング(38)とを有している形式のものにおいて、
    ハウジング(38)の、燃焼室窓(58)が配置されている端部に、オリフィス(74)が設けられていることを特徴とする、内燃機関(10)のためのレーザ点火装置。
  2. オリフィス(74)の直径(D)は、点火レーザ(26)のレーザパルス(24)が妨げられることなくオリフィス(74)を通過できるように、寸法設計されている、請求項1記載のレーザ点火装置。
  3. オリフィス(74)が円錐形に構成されており、オリフィス(74)の直径(D)は燃焼室窓(58)に向かって次第に大きくなっており、オリフィス(74)の円錐角(β)はレーザパルス(24)の出射角(α)にほぼ相当する、請求項1又は2記載のレーザ点火装置。
  4. オリフィス(74)が別個の構成部分として構成されており、オリフィス(74)が点火レーザ(26)のハウジング(38)、特にハウジング(38)の段部(66)に固定されている、請求項1から3までのいずれか1項記載のレーザ点火装置。
  5. オリフィス(74)が点火レーザ(26)のハウジング(38)、特にハウジング(38)の段部(66)と一体的に構成されている、請求項1から4までのいずれか1項記載のレーザ点火装置。
  6. ハウジング(38)がインナースリーブ(62)とアウタースリーブ(64)とを有している、請求項1から5までのいずれか1項記載のレーザ点火装置。
  7. 点火レーザ(26)が組み込まれた状態で、オリフィス(74)が、内燃機関の燃焼室壁とほぼ同一平面に配置されている、請求項1から6までのいずれか1項記載のレーザ点火装置。
  8. オリフィス(74)が点火レーザ(26)を部分的に覆っており、点火レーザ(26)が組み込まれた状態で、オリフィス(74)が、燃焼室(14)内の排ガスの主流れ方向で見て点火レーザ(26)の上流側に配置されている、請求項1から7までのいずれか1項記載のレーザ点火装置。
  9. オリフィス(74)が、点火レーザ(26)の周囲を、最大で200°、有利には160°〜180°の角度に亘って覆っている、請求項1から8までのいずれか1項記載のレーザ点火装置。
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