JP2006143588A - 圧電材アクチュエータ - Google Patents

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Abstract

【課題】 PZTのごとく有害な鉛成分を含有しない圧電特性に優れた圧電材アクチュエータを提供する。
【解決手段】Sr2−xCaNaNb15で表わされる成分組成を有しx=0.05〜0.35である多結晶圧電化合物に特性改善成分としてLa等を0.5〜3.0重量%添加して成り、焼結体からなる結晶粒子の大きさは電子顕微鏡写真に平行直線が横切る粒子長の平均を画像装置を用いて求めた値において平均粒子直径が3〜10μmである圧電材アクチュエータである。その製造工程が、磁器原料の混合工程,合成工程,粉砕工程、成形工程,焼結工程を経るものであり、合成工程の焼成条件は、温度1050〜1150℃で2〜12時間の焼成とし、焼結工程の焼成条件は、温度1180〜1270℃で4〜8時間の第1焼成と、温度1370〜1400℃で10〜75時間の第2焼成とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、例えば精密機械・器具における位置決め機構としてのアクチュエータや流体の制御バルブなどの駆動源としてのアクチュエータに関するものである。
圧電性を有するセラミックスとしては、チタン酸バリウム(BT:BaTiO),チタン酸鉛(PT:PbTiO),チタン酸ジルコン酸鉛(PZT:PbZrO−PbTiO)などが報告されており、なかでもPZTは変位量がもっとも大きいことからアクチュエータや圧力センサなどに多く利用されている。
このうち、BTは1942年に強誘電体であることが発見されて以来、多結晶体の磁器として利用できることが分かり、コンデンサやアクチュエータなどの用途として数多くの研究が成されている。一方、1955年にPZTがBTの2倍以上の電気機械結合係数を有することが発見されて以来、このPZTがアクチュエータやブザー等に独占的に利用されるようになった。
他方、近年では、有害物質に対する環境問題が重視されてきていることから、鉛を含まない圧電材料に関する開発のニーズも高まってきており、1961年に発見されたBi0.5Na0.5TiO(BNT)系化合物(Smolensky et al.Soviet Physics Solid State [2]2651−54(1961))を利用した圧電材料の研究が進められている。
このうち、特開昭62−202576号公報(圧電体セラミックスおよびその製法)では、BNT−MTiO(M;Ba、K0.5Bi0.5)化合物が提案されているが、広がり方向の結合係数Kpが厚み方向の結合係数Ktよりも大きいことから、超音波探傷器や厚み計に用いた場合に横向きの振動干渉を発生して広がり振動が生じたりする欠点があった。
同様に、竹中正等による論文(Ferroelectrics[106]375−380、(1990))にはBNT−MTiO(M:Sr,Ca,Pb)についての報告があるものの、圧電定数d33は約120pC/Nであり、PZTの約1/4程度である。
また、Sr1−xBaNb(SBN)についてはx=0.5〜0.7の範囲で単結晶化し電気光学結晶としての特性が報告されており(S.Sakamoto and T.Yamada、Appl.Phys.Letters22、429(1973))、それ以来、赤外線検出器や表面弾性波のフィルターとして用いられている。一方、Sr2−xCaNaNb15はR.R.Neurgaonkar等により単結晶の圧電特性が報告されている(Ferroelectrics[160]265−276,(1994))。さらにまた、Ba2−xSrNaNb15についてはフィルター用の材料として開発が行われている(特許文献1参照。)。
特開平10−297969号公報
従来のPZT系圧電体セラミックスでは、焼成や焼結工程で鉛化合物が分解して排気ガスより大気中に放出されたり、粉末製造成形工程で水中に放出されたりするため、公害対策を取る必要があり、製品のコスト高となる。
また、近年の廃棄物規制から最終製品のシュレッダーダスト中に鉛が含まれることとなるため環境を汚染することが懸念されている。さらにまた、性能面でもPZTの場合は誘電率が高く回路への組み込みが困難となったり、利用中の発熱が大きいため連続的に利用するアクチュエータへの適用は制限される。
Sr1−xBaNb(SBN)は単結晶としての利用が盛んで、圧電定数d33はおよそ600pC/Nであり、PZTと同等の特性値を示すが、圧電特性を示すキューリー温度(Tc)が60〜75℃であるため、振動による発熱を考慮すると室温での利用に限定されて多くの機械部品に適用することは困難である。また、SBN化合物では全域の固溶体であるため組成の変動が生じやすく、加工時や使用時に組成の変動が生じて特性が変化することが報告されている。この特性を改善するため、Y,CeOやLaをドープした単結晶を作成した例が報告されているが、Sr2−xCaNaNb15については利用上の技術に関する報告はない。さらにまた、Ba2−xSrNaNb15については圧電定数d33が30〜50pC/N程度であって実用上不十分である。
本発明は、このような従来の技術がもつ課題にかんがみてなされたものであって、PZTのごとく有害な鉛成分を含有しないペロブスカイト型圧電化合物圧電材料を提供することを目的としており、圧電材アクチュエータの製造工程で鉛化合物の排出がなく、また、製品に利用された後に廃棄された場合にもシュレッダーダスト中に鉛化合物が含まれることがなく、さらにまた、PZTでは高かった誘電率を低くして回路設計に融通性を持たせることが可能であり、さらには、単結晶体のごとく製造に時間がかかったり分極作業が煩雑になったりして製造コストが上昇し実用上の材料となり難い問題点を解消することが可能である圧電材アクチュエータを提供することを目的としている。
本発明に係わる第1の圧電材アクチュエータは、Sr2−xCaNaNb15で表わされる成分組成を有しx=0.05〜0.35である多結晶圧電化合物に特性改善成分としてY,La,Dy,Nd,Yb,Sm,Er,Gd,Pr11のうちから選ばれる希土類元素の酸化物のうちの1種または2種以上を0.5〜3.0重量%添加して成り、焼結体からなる結晶粒子の大きさは電子顕微鏡写真に平行直線(任意本数)が横切る粒子長の平均を画像装置を用いて求めた値において平均粒子直径が3〜10μmである圧電材アクチュエータであって、この圧電材アクチュエータを製造するに際し、その製造工程が、磁器原料の混合工程,合成工程,粉砕工程、成形工程,焼結工程を経るものであり、合成工程の焼成条件は、温度1050〜1150℃で2〜12時間の焼成とし、焼結工程の焼成条件は、温度1180〜1270℃で4〜8時間の第1焼成と、温度1370〜1400℃で10〜75時間の第2焼成とすることを特徴としている。
そして、本発明に係わる第1の圧電材アクチュエータは、その製造方法において、焼結工程前の粉末の粒子径が0.5〜0.8μmであるものとすることができる。
同じく、本発明に係わる第2の圧電材アクチュエータは、Sr2−xCaNaNb15で表わされる成分組成を有しx=0.05〜0.35である多結晶圧電化合物に特性改善成分としてY,La,Dy,Nd,Yb,Sm,Er,Gd,Pr11のうちから選ばれる希土類元素の酸化物のうちの1種または2種以上を0.5〜3.0重量%添加して成り、焼結体からなる結晶粒子の大きさは電子顕微鏡写真に平行直線(任意本数)が横切る粒子長の平均を画像装置を用いて求めた値において平均粒子直径が3〜20μmである圧電材アクチュエータであって、この圧電材アクチュエータを製造するに際し、その製造工程が、磁器原料の混合工程,合成工程,粉砕工程、成形工程,焼結工程を経るものであり、合成工程の焼成条件は、温度1050〜1150℃で2〜12時間の焼成とし、焼結工程の焼成条件は、温度1180〜1270℃で4〜8時間の第1焼成と、温度1370〜1400℃で10〜75時間の第2焼成とし、焼結工程前の粉末の粒子径が0.5〜0.8μmであるものとすることができる。
本発明に係わる第1又は第2の圧電材アクチュエータは、その製造方法において、第1焼成と第2焼成を連続的に行うようになすことができる。
同じく、本発明に係わる第1又は第2の圧電材アクチュエータは、その製造方法において、合成工程および焼結工程の焼成を大気中で行うようになすことができる。
同じ目的を達成する本発明に係わる第3の圧電材アクチュエータは、Sr2−xNaNb15で表わされる成分組成を有しx=0.075〜0.25である多結晶圧電化合物であってAをCa,BaおよびMgのうちから選ばれる2種以上の元素とした圧電材アクチュエータであって、この圧電材アクチュエータを製造するに際し、その製造工程が、磁器原料の混合工程,合成工程,粉砕工程、成形工程,焼結工程を経るものであり、合成工程の焼成条件は、温度1050〜1150℃で2〜12時間の焼成とし、焼結工程の焼成条件は、温度1200〜1250℃で4〜8時間の第1焼成と、温度1270〜1370℃で10〜50時間の第2焼成とすることを特徴としている。
また、上記発明に係わる第3の圧電材アクチュエータは、その製造方法において、第1焼成と第2焼成を連続的に行うようになすことができる。
同じく、上記発明に係わる第3の圧電材アクチュエータは、その製造方法において、合成工程および焼結工程の焼成を大気中で行うようになすことができる。
本発明による第1の圧電材アクチュエータは、Sr2−xCaNaNb15で表わされる成分組成を有しx=0.05〜0.35である多結晶圧電化合物に特性改善成分としてY,La,Dy,Nd,Yb,Sm,Er,Gd,Pr11のうちから選ばれる希土類元素の酸化物のうちの1種または2種以上を0.5〜3.0重量%添加して成り、焼結体からなる結晶粒子の大きさは電子顕微鏡写真に平行直線(任意本数)が横切る粒子長の平均を画像装置を用いて求めた値において平均粒子直径が3〜10μmである圧電材アクチュエータであって、この圧電材アクチュエータを製造するに際し、その製造工程が、磁器原料の混合工程,合成工程,粉砕工程、成形工程,焼結工程を経るものであり、合成工程の焼成条件は、温度1050〜1150℃で2〜12時間の焼成とし、焼結工程の焼成条件は、温度1180〜1270℃で4〜8時間の第1焼成と、温度1370〜1400℃で10〜75時間の第2焼成としたから、従来のPZTやPTのごとく製造工程で鉛化合物の排出がなく、また、製品に利用された後に廃棄された場合にもシュレッダーダスト中に鉛化合物が含まれることがなく、さらにまた、PZTでは高かった誘電率を低くして回路設計に融通性を持たせることが可能であり、さらには、単結晶体のごとく製造に時間がかかったり分極作業が煩雑になったりして製造コストが上昇し実用上の材料となり難いという欠点を解消して、圧電特性に優れた圧電材アクチュエータを提供することが可能であるという著大なる効果がもたらされる。
また、焼結性が良好であると共に圧電特性にも優れた圧電材アクチュエータを提供することが可能であるという著大なる効果がもたらされる。
更に、密度が大で焼結後の粒子直径が小さく圧電特性に優れた圧電材アクチュエータを製造することが可能であるという著大なる効果がもたらされる。
そして、本発明の第1の圧電材アクチュエータは、その製造方法において、焼結工程前の粉末の粒子径が0.5〜0.8μmであるものとすることによって、成形時のハンドリングを良好なものにすると共に焼結性をも良好なものにして優れた圧電特性の圧電材アクチュエータを製造することが可能であるという著大なる効果がもたらされる。
本発明による第2の圧電材アクチュエータは、Sr2−xCaNaNb15で表わされる成分組成を有しx=0.05〜0.35である多結晶圧電化合物に特性改善成分としてY,La,Dy,Nd,Yb,Sm,Er,Gd,Pr11のうちから選ばれる希土類元素の酸化物のうちの1種または2種以上を0.5〜3.0重量%添加して成り、焼結体からなる結晶粒子の大きさは電子顕微鏡写真に平行直線(任意本数)が横切る粒子長の平均を画像装置を用いて求めた値において平均粒子直径が3〜20μmである圧電材アクチュエータであって、この圧電材アクチュエータを製造するに際し、その製造工程が、磁器原料の混合工程,合成工程,粉砕工程、成形工程,焼結工程を経るものであり、合成工程の焼成条件は、温度1050〜1150℃で2〜12時間の焼成とし、焼結工程の焼成条件は、温度1180〜1270℃で4〜8時間の第1焼成と、温度1370〜1400℃で10〜75時間の第2焼成とし、焼結工程前の粉末の粒子径が0.5〜0.8μmであるものとしたから、従来のPZTやPTのごとく製造工程で鉛化合物の排出がなく、また、製品に利用された後に廃棄された場合にもシュレッダーダスト中に鉛化合物が含まれることがなく、さらにまた、PZTでは高かった誘電率を低くして回路設計に融通性を持たせることが可能であり、さらには、単結晶体のごとく製造に時間がかかったり分極作業が煩雑になったりして製造コストが上昇し実用上の材料となり難いという欠点を解消して、圧電特性に優れた圧電材アクチュエータを提供することが可能であるという著大なる効果がもたらされる。
また、焼結性が良好であると共に圧電特性にも優れた圧電材アクチュエータを提供することが可能であるという著大なる効果がもたらされる。
更に、密度が大で焼結後の粒子直径が小さく圧電特性に優れた圧電材アクチュエータを製造することが可能であるという著大なる効果がもたらされる。
更にまた、成形時のハンドリングを良好なものにすると共に焼結性をも良好なものにして優れた圧電特性の圧電材アクチュエータを製造することが可能であるという著大なる効果がもたらされる。
また、本発明の第1又は第2の圧電材アクチュエータは、その製造方法において、第1焼成と第2焼成を連続的に行うようになすことによって、密度が大で圧電特性に優れた圧電材アクチュエータを製造することが可能であるという著大なる効果がもたらされる。
そして、本発明の第1又は第2の圧電材アクチュエータは、その製造方法において、合成工程および焼成工程の焼成を大気中で行うようになすことによって、圧電特性に優れた圧電材アクチュエータを比較的簡便な設備で量産手法的に製造することが可能であるという著大なる効果がもたらされる。
さらに、本発明の第3の圧電材アクチュエータは、Sr2−xNaNb15で表わされる成分組成を有しx=0.075〜0.25である多結晶圧電化合物であってAをCa,BaおよびMgのうちから選ばれる2種以上の元素とした圧電材アクチュエータであって、この圧電材アクチュエータを製造するに際し、その製造工程が、磁器原料の混合工程,合成工程,粉砕工程、成形工程,焼結工程を経るものであり、合成工程の焼成条件は、温度1050〜1150℃で2〜12時間の焼成とし、焼結工程の焼成条件は、温度1200〜1250℃で4〜8時間の第1焼成と、温度1270〜1370℃で10〜50時間の第2焼成としたから、従来のPZTやPTのごとく製造工程で鉛化合物の排出がなく、また、製品に利用された後に廃棄された場合にもシュレッダーダスト中に鉛化合物が含まれることがなく、さらにまた、PZTでは高かった誘電率を低くして回路設計に融通性を持たせることが可能であり、さらには、単結晶体のごとく製造に時間がかかったり分極作業が煩雑になったりして製造コストが上昇し実用上の材料となり難いという欠点を解消して、圧電特性に優れた圧電材アクチュエータを提供することが可能であるという著大なる効果がもたらされる。
また、本発明の第3の圧電材アクチュエータにおいては、その製造方法において、第1焼成と第2焼成を連続的に行うようになすことによって、密度が大で圧電特性に優れた圧電材アクチュエータを製造することが可能であるという著大なる効果がもたらされる。
さらに、本発明の第3の圧電材アクチュエータにおいては、その製造方法において、合成工程および焼結工程の焼成を大気中で行うようになすことによって、圧電特性に優れた圧電材アクチュエータを比較的簡便な設備で量産手法的に製造することが可能であるという著大なる効果がもたらされる。
本発明に係わる圧電材アクチュエータは、上述した課題を解決するための手段を有しているものであって、Sr2−xCaNaNb15で表わされる成分組成をベースに、x=0.05〜0.35の範囲であるものとし、より望ましくはさらに特性を改善するための希土類化合物を固相反応焼結方法で固溶させ、従来のセラミックス製造工程をそのまま利用することができる多結晶体で必要特性値を満たすものとすることにより従来の課題を解決せんとしたものである。
このようなSr2−xCaNaNb15で表わされる化合物の製造に際し、その合成手法としては、1050〜1150℃の温度にて2〜12時間反応させる。次に、ここで得た合成物を粉砕して粒子径を望ましくは0.5〜0.8μmに粉砕したあと、焼結工程のうちの第1焼成において1180〜1270℃の温度で4〜8時間例えば大気中で焼結した後、第2焼成において1370〜1400℃の温度で10〜75時間例えば大気中で焼結することで、鉛を用いない高性能な圧電材アクチュエータを提供できる。
そして、上記発明の実施の形態について説明すれば、まず、市販の化学試薬SrCO,CaCO,NaCOおよびNbを所定量秤量してベース組成とする。この際のベース組成は、Sr2−xCaNaNb15で表わされる成分組成においてxが0.05〜0.35(5〜35Mol%)となっている。そして、この組成物に、特性改善用の希土類化合物(Y,La,Dy,Nd,Yb,Sm,Er,Gd,Pr11のうちから選ばれる1種または2種以上の希土類酸化物)を合計でベース組成の0.5〜3.0重量%となるように秤量して添加する。
ここで、Sr2−xCaNaNb15で表わされるベース組成が上記範囲内にあるものとするのが好ましいのは、上記範囲よりも少ないと耐熱温度が低く自己発熱温度で劣化し、多すぎると圧電定数が不足することになるためである。また、特性改善のための希土類化合物の量が少ないと圧電定数の改善効果が小さい傾向となり、多すぎると他の化合物が析出して特性の向上が望まれない傾向となるためである。
次いで、上記の混合粉末を例えばアルコール中でボールミルを用いて粉砕混合を24時間程度行ったあと、混合粉末はロータリーエバポレータを用いて乾燥した後例えば大気中でより好ましくは1050℃から1150℃、例えば1100℃で2〜12時間合成のための仮焼成をして元素を反応させる。このとき、仮焼温度が1050℃未満ではNaCOやSrCOが十分反応せず焼結時に組成のばらつきを生じるため特性が向上しない傾向となり、1150℃超過では部分的に焼結を起こして粉砕が困難になるとともに焼結時の組成にばらつきを生じる傾向となる。また、2時間未満では反応が十分に起きず逆に12時間超過では粉体同士の反応のほかに「さや」との反応も起きるため成分の偏析が生じる傾向となる。
そして、再度アルコール中でボールミルを用いて粉砕を24時間程度行ったあと、ロータリーエバポレータを用いて乾燥し、その後第1焼成として、例えば大気中で1180〜1270℃で4〜8時間焼結した後、第2焼成として、1370〜1400℃の温度で10〜75時間焼結する。このとき、合成後焼結前における仮焼粉末の粉砕は、粉末粒径が0.5μm以上で0.8μm以下となるように行うのがよい。すなわち、粉末の粒子径が0.5μm未満では成形工程のハンドリングが困難となる傾向となり、0.8μm超過では焼結が困難になる傾向となる。
上記焼結工程のうち第1焼成工程では成形体の焼結をゆっくりと行わせる機能があり、当該温度域で焼結時間が4時間未満では焼結ネックができず、その後の温度上昇で気孔の多い製品を作る傾向となり、8時間超過では焼結が進みすぎて粒子直径の大きい製品となり圧電定数の低下を起こす傾向となる。また、第2焼成工程の温度が1370℃未満でかつ焼成時間が10時間未満では焼結が不十分である傾向となり、1400℃超過でかつ75時間超過の焼結では粒子が融解したり、粗大になり分極できず圧電特性が発現しない傾向となる。
焼結後には焼結体を例えば直径:6mm×高さ:8mmの円筒に加工し、密度を測定すると共に、X線回折にて成分を確認した後、両端に金を蒸着し、8V/mm(180℃)の条件で分極したあと、圧電定数d33、K33と、キューリー温度と、比誘電率を測定する。そして、圧電定数は200pC/N(好ましくは250pC/N)を超えると、アクチュエータとして機械部品を駆動することができる変位量を得ることが可能となる。
また、焼結体の微構造は、SEM写真に関して平行な直線10本(ただし、任意本数)が横切る粒子長の平均を画像装置を用いて求めた結果を粒子直径とすることができる。
同じ目的を達成する第3の発明に係わる圧電材アクチュエータは、Sr2−xNaNb15で表わされる成分組成をベースに、x=0.075〜0.25の範囲であるものにすると共にA元素を他のアルカリ土類元素で置換し、従来のセラミックス製造工程をそのまま利用することができる多結晶体で必要特性値を満たすものとすることにより上記した従来の課題を解決せんとしたものである。
このようなSr2−xNaNb15で表わされる化合物の製造に際し、その合成手法としては、1050〜1150℃の温度にて2〜12時間反応させる。次に、ここで得た合成物を粉砕して粒子径を望ましくは0.5〜0.8μmに粉砕したあと、焼結工程のうちの第1焼成工程において1200〜1250℃の温度で4〜8時間例えば大気中で焼結した後、第2焼成において1270〜1370℃の温度で10〜50時間例えば大気中で焼結することで、鉛を用いない高性能な圧電材アクチュエータを提供できる。
そして、上記発明の実施の形態について説明すれば、まず、市販の化学試薬SrCO,NaCO,NbおよびA元素の炭酸塩を所定量秤量してベース組成とする。この際のベース組成は、Sr2−xNaNb15で表わされる成分組成においてxが0.075〜0.25となっている。そして、この組成物中のA元素は、Ba,Ca,Mgのうちから選ばれる2種以上からなるものである。
ここで、Sr2−xNaNb15で表わされるベース組成が上記範囲内にあるものとするのが好ましいのは、上記範囲よりも少ないと耐熱温度が低く自己発熱温度で劣化し、多すぎると圧電定数が不足することになるためである。また、特性改善のためのA元素が少ないと圧電定数の改善効果が小さい傾向となり、多すぎると他の化合物が析出して特性の向上が望まれない傾向となるためである。
次いで、上記の混合粉末を例えばアルコール中でボールミルを用いて粉砕混合を24時間程度行ったあと、混合粉末はロータリーエバポレータを用いて乾燥した後例えば大気中でより好ましくは1050℃から1150℃、例えば1100℃で2〜12時間合成のための仮焼成をして元素を反応させる。このとき、仮焼温度が1050℃未満ではNaCOやSrCOが十分反応せず焼結時に組成のばらつきを生じるため特性が向上しない傾向となり、1150℃超過では部分的に焼結を起こして粉砕が困難になるとともに焼結時の組成にばらつきを生じる傾向となる。また、2時間未満では反応が十分に起きず逆に12時間超過では粉体同士の反応のほかに「さや」との反応も起きるため成分の偏析が生じる傾向となる。
そして、再度アルコール中でボールミルを用いて粉砕を24時間程度行ったあと、ロータリーエバポレータを用いて乾燥し、その後第1焼成として、例えば大気中で1200〜1250℃で4〜8時間焼結した後、第2焼成として、1270〜1370℃の温度で10時間〜50時間焼結する。このとき、合成後焼結前における仮焼粉末の粉砕は、粉末粒径が0.5μm以上で0.8μm以下となるように行うのがよい。すなわち、粉末の粒子径が0.5μm未満では成形工程のハンドリングが困難となる傾向となり、0.8μm超過では焼結が困難になる傾向となる。
上記焼結工程のうち第1焼成工程では成形体の焼結をゆっくりと行わせる機能があり、当該温度域で焼結時間が4時間未満では焼結ネックができず、その後の温度上昇で気孔の多い製品を作る傾向となり、8時間超過では焼結が進みすぎて粒子直径の大きい製品となり気孔が増加して圧電定数の低下を起こす傾向となる。また、第2焼成工程の温度が1370℃未満でかつ焼成時間が10時間未満では焼結が不十分である傾向となり、1370℃超過でかつ50時間超過の焼結では粒子が融解したり、粗大になり分極できず圧電特性が発現しない傾向となる。
焼結後には焼結体を例えば直径:6mm×高さ:8mmの円筒に加工し、密度を測定すると共に、X線回折にて成分を確認した後、両端に金を蒸着し、8V/mm(180℃)の条件で分極したあと、圧電定数d33、K33と、キューリー温度と、比誘電率を測定する。そして、圧電定数は200pC/N(好ましくは250pC/N)を超えると、アクチュエータとして機械部品を駆動することができる変位量を得ることが可能となる。
また、焼結体の微構造は、SEM写真に関して平行な直線10本(ただし、任意本数)が横切る粒子長の平均を画像装置を用いて求めた結果を粒子直径とすることができる。
以下、本発明の実施例について参考例と共に表1〜表21をもとにさらに詳細に説明するが、本発明はこのような実施例のみに限定されないことはいうまでもない。
(参考例1〜7;表1)
市販のSrCO,CaCO,NaCOおよびNbを用意し、これらをSr2−xCaNaNb15で表わされる成分組成においてxが0〜0.4となるように秤量し、希土類酸化物のうちから選ばれる助剤の添加はしないか参考例7ではLaを添加するものとして、混合粉末をアルコール中でボールミルを用いて粉砕混合を24時間行い、次いで、この混合スラリーはロータリーエバポレータを用いて乾燥した後大気中1100℃で6時間仮焼成して元素を合成反応させ、再度アルコール中でボールミルを用いて粉砕を24時間行った(このときの粉末粒径は0.6μmに調整した)後、ロータリーエバポレータを用いて乾燥し、その後ハンドプレスで圧粉成形した後静水圧プレスで2tonf/cmの圧力で成形した。次に、この成形体を第1焼成として大気中1240〜1250℃で6時間焼結したあと第2焼成のためすぐに温度を1320℃まで上昇させてさらに25時間焼結した。
焼成後、焼結体を直径:6mm×高さ:8mmの円筒に加工し、密度を測定すると共に、X線回折にて成分を確認した後、両端に金を蒸着して8V/mm(180℃)の条件で分極し、圧電定数d33、K33と、比誘電率を測定した。
焼結体の微構造は走査型電子顕微鏡(SEM)写真に関して、平行な直線10本が横切る粒子長の平均を画像装置を用いて求めた結果を粒子直径とした。これらの結果を表1に示す。
Figure 2006143588
評価結果では、表1に示すように、x=0.05から0.3までは圧電定数d33が200pC/N以上となり、アクチュエータ用材料としての使用が可能となるが、好ましい値である250pC/Nには及ばないものであった。
また、特性改善元素として希土類酸化物を添加しているもののマトリックスが単結晶である参考例7の場合にも圧電定数d33は200pC/N程度であった。
(実施例1〜5,参考例8〜12;表2,表3)
市販のSrCO,CaCO,NaCOおよびNbを用意し、これらをSr2−xCaNaNb15で表わされる成分組成においてxが0.1となるように(すなわち、Sr1.9Ca0.1NaNb15となるように)秤量してベース組成とした後、特性改善用の希土類化合物としてLaをベース組成の0.1〜4.0重量%となるように秤量して添加した。
次いで、混合粉末をアルコール中でボールミルを用いて粉砕混合を24時間行い、続いて、この混合スラリーはロータリーエバポレータを用いて乾燥した後大気中1100℃で6時間仮焼成して元素を合成反応させ、再度アルコール中でボールミルを用いて粉砕を24時間行った(このときの粉末粒径は表2の例では0.6μmに調整し、表3の例では0.3〜1.2μmに調整した)後、ロータリーエバポレータを用いて乾燥し、その後、前記実施例と同様にして得た成形体に対し第1焼成として大気中1240℃で6時間焼結したあと第2焼成のためすぐに温度を1390℃まで上昇させてさらに25時間焼結した。
焼成後、焼結体を直径:6mm×高さ:8mmの円筒に加工し、密度を測定すると共に、X線回折にて成分を確認した後、両端に金を蒸着して8V/mm(180℃)の条件で分極し、圧電定数d33、K33と、比誘電率を測定した。
焼結体の微構造はSEM写真に関して、平行な直線10本が横切る粒子長の平均を画像装置を用いて求めた結果を粒子直径とした。これらの結果を表2,表3に示す。なお、表2,表3において総合評価○は圧電定数d33中心にアクチュエータとしての縦方向の伸びが0.2%に相等する圧電定数d33が250pC/Nを超えるものである。
Figure 2006143588
Figure 2006143588
評価結果では、表2に示すように、助剤の添加量が0.5〜3.0重量%である場合に、また、表3に示すように、合成後の粉末の粒子径が0.5〜0.8μmである場合に、いずれも圧電定数d33が250pC/N以上となっており、アクチュエータ用材料としての使用が十分であることが認められた。
(実施例6〜16,参考例13,14;表4,表5)
市販のSrCO,CaCO,NaCOおよびNbを用意し、これらをSr2−xCaNaNb15で表わされる成分組成においてxが0.1となるように(すなわち、Sr1.9Ca0.1NaNb15となるように)秤量してベース組成とした後、特性改善用の希土類化合物としてPr11,Y,Yb,Nd,Dy,Er,Sm,Gd,Laその他Bi,CeOをベース組成の1.0重量%となるように秤量して添加した。
次いで、混合粉末をアルコール中でボールミルを用いて粉砕混合を24時間行い、続いて、この混合スラリーはロータリーエバポレータを用いて乾燥した後、大気中1100℃で6時間仮焼成して元素を合成反応させ、再度アルコール中でボールミルを用いて粉砕を24時間行った(このときの粉末粒径は0.6μmに調整した)後、ロータリーエバポレータを用いて乾燥し、その後、前記実施例と同様にして得た成形体に対し第1焼成として大気中1250℃で6時間焼結したあと第2焼成のためすぐに温度を1390〜1400℃まで上昇させてさらに25時間焼結した。
焼成後、焼結体を直径:6mm×高さ:8mmの円筒に加工し、密度を測定すると共に、X線回折にて成分を確認した後、両端に金を蒸着して8V/mm(180℃)の条件で分極し、圧電定数d33、K33と、比誘電率を測定した。
焼結体の微構造はSEM写真に関して、平行な直線10本が横切る粒子長の平均を画像装置を用いて求めた結果を粒子直径とした。これらの結果を表4および表5に示す。
Figure 2006143588
Figure 2006143588
評価結果では、表4および表5に示すように、添加する希土類酸化物が本発明で特定するものである時に、圧電定数d33が250pC/N以上となっており、アクチュエータ用材料としての使用が十分であることが認められた。
(実施例17〜24,参考例15〜28;表6,表7,表8,表9)
市販のSrCO,CaCO,NaCOおよびNbを用意し、これらをSr2−xCaNaNb15で表わされる成分組成においてxが0.1または0.2となるように(すなわち、Sr1.9Ca0.1NaNb15またはSr1.8Ca0.2NaNb15となるように)秤量してベース組成とした後、特性改善用の希土類化合物としてLaまたはNdをベース組成の1.0重量%となるように秤量して添加した。
次いで、混合粉末をアルコール中でボールミルを用いて粉砕混合を24時間行い、続いて、この混合スラリーはロータリーエバポレータを用いて乾燥した後大気中1100℃で6時間仮焼成して元素を合成反応させ、再度アルコール中でボールミルを用いて粉砕を24時間行った(このときの粉末粒径は0.6μmに調整した)後、ロータリーエバポレータを用いて乾燥し、その後、前記実施例と同様にして得た成形体に対し第1焼成として大気中1150〜1300℃で2〜10時間焼結したあと第2焼成のためすぐに温度を1250〜1430℃まで上昇させてさらに10〜80時間焼結した。
焼成後、焼結体を直径:6mm×高さ:8mmの円筒に加工し、密度を測定すると共に、X線回折にて成分を確認した後、両端に金を蒸着して8V/mm(180℃)の条件で分極し、圧電定数d33、K33と、比誘電率を測定した。
焼結体の微構造はSEM写真に関して、平行な直線10本が横切る粒子長の平均を画像装置を用いて求めた結果を粒子直径とした。これらの結果を表6,表7,表8,表9に示す。
Figure 2006143588
Figure 2006143588
Figure 2006143588
Figure 2006143588
評価結果では、表6,表7,表8および表9に示すように、焼結条件が本発明の条件を満足する時に圧電定数d33が250pC/N以上となり、アクチュエータ用材料としての使用が十分であることが認められた。
(実施例25〜30,参考例29〜32;表10,表11)
市販のSrCO,CaCO,NaCOおよびNbを用意し、これらをSr2−xCaNaNb15で表わされる成分組成においてxが0.2となるように(すなわち、Sr1.8Ca0.2NaNb15となるように)秤量してベース組成とした後、特性改善用の希土類化合物としてLa,Sm,Dy,Erのうちから選ばれる1種または2種をベース組成の2.0重量%となるように秤量して添加した。
次いで、混合粉末をアルコール中でボールミルを用いて粉砕混合を24時間行い、次いで、この混合スラリーはロータリーエバポレータを用いて乾燥した後大気中1000〜1200℃で6時間仮焼成して元素を合成反応させ、再度アルコール中でボールミルを用いて粉砕を24時間行った(このときの粉末粒径は0.6μmに調整した)後、ロータリーエバポレータを用いて乾燥し、その後、前記実施例と同様にして得た成形体に対し第1焼成として大気中1250℃で6時間焼結したあと第2焼成のためすぐに温度を1390〜1430℃まで上昇させてさらに25〜70時間焼結した。
焼成後、焼結体を直径:6mm×高さ:8mmの円筒に加工し、密度を測定すると共に、X線回折にて成分を確認した後、両端に金を蒸着して8V/mm(180℃)の条件で分極し、圧電定数d33、K33と、比誘電率を測定した。
焼結体の微構造はSEM写真に関して、平行な直線10本が横切る粒子長の平均を画像装置を用いて求めた結果を粒子直径とした。これらの結果を表10および表11に示す。
Figure 2006143588
Figure 2006143588
評価結果では、表10および表11に示すように、合成条件および焼結条件が本発明の条件を満足する時に圧電定数d33が250pC/N以上となり、アクチュエータ用材料としての使用が十分であることが認められた。
(実施例31〜38,参考例33,34,35;表12,表13)
市販のSrCO,CaCO,BaCO,NaCOおよびNbを用意し、これらをSr2−x(Ca+Ba)NaNb15で表わされる成分組成(すなわち、前記成分組成においてA=A+Aであり、AがCa,AがBaである成分組成)においてxが0から0.3となるように秤量し、アルコール中でボールミルを用いて粉砕混合を24時間行い、次いで、この混合スラリーはロータリーエバポレータを用いて乾燥した後大気中1150℃で6時間仮焼成して元素を反応させ、再度アルコール中でボールミルを用いて粉砕を24時間行った後、ロータリーエバポレータを用いて乾燥し、その後ハンドプレスで圧粉成形したあと静水圧プレスで2tonf/cmの圧力で成形した。次に、この成形体を第1焼成として大気中1220℃で6時間焼結したあと第2焼成のためすぐに温度を1300℃まで上昇させてさらに25時間焼結した。
焼成後、焼結体を直径:6mm×高さ:6mmの円筒に加工し、密度を測定すると共に、X線回折にて成分を確認した後、両端に金を蒸着して8V/mm(180℃)の条件で分極し、圧電定数d33、K33と比誘電率を測定した。さらに、焼結体の微構造はSEM写真に関して、平行な直線10本が横切る粒子長の平均を画像装置を用いて求めた結果を粒子直径とした。これらの結果を表12,表13に示す。
Figure 2006143588
Figure 2006143588
評価結果では、表12,表13に示すように、x=0,0.05,0.3である参考例33,34,35の場合に圧電定数が低くアクチュエータ用材料として好ましくないものであったのに対し、x=0.075〜0.25を満足する実施例31〜38の場合には圧電定数が高くアクチュエータ用材料として好ましいものであった。
(実施例39〜46,参考例36,37;表14,表15)
市販のSrCO,CaCO,MgO,NaCO,Nbを用意し、これらをSr2−x(Ca+Mg)NaNb15で表わされる成分組成(すなわち、前記成分組成においてA=A+Aであり、AがCa,AがMgである成分組成)においてxが0.05から0.3となるように秤量し、アルコール中でボールミルを用いて粉砕混合を24時間行い、次いで、この混合スラリーはロータリーエバポレータを用いて乾燥した後大気中1150℃で6時間仮焼成して元素を反応させ、再度アルコール中でボールミルを用いて粉砕を24時間行った後、ロータリーエバポレータを用いて乾燥し、その後ハンドプレスで圧粉成形したあと静水圧プレスで2tonf/cmの圧力で成形した。次に、この成形体を第1焼成として大気中1220℃で6時間焼結したあと第2焼成のためすぐに温度を1300℃まで上昇させてさらに25時間焼結した。
焼成後、焼結体を直径:6mm×高さ:8mmの円筒に加工し、密度を測定すると共に、X線回折にて成分を確認した後、両端に金を蒸着して8V/mm(180℃)の条件で分極し、圧電定数d33、K33と比誘電率を測定した。さらに、焼結体の微構造はSEM写真に関して、平行な直線10本が横切る粒子長の平均を画像装置を用いて求めた結果を粒子直径とした。これらの結果を表14,表15に示す。
Figure 2006143588
Figure 2006143588
評価結果では、表14,表15に示すように、x=0.05,0.3である参考例36,37の場合に圧電定数が低くアクチュエータ用材料として好ましくないものであったのに対し、x=0.075〜0.25を満足する実施例39〜46の場合には圧電定数が高くアクチュエータ用材料として好ましいものであった。
(実施例47〜54,参考例38,39;表16,表17)
市販のSrCO,CaCO,MgO,NaCOおよびNbを用意し、これらをSr2−x(Mg+Ba)NaNb15で表わされる成分組成(すなわち、前記成分組成においてA=A+Aであり、AがBa,AがMgである成分組成)においてxが0.05から0.3となるように秤量し、アルコール中でボールミルを用いて粉砕混合を24時間行い、次いで、この混合スラリーはロータリーエバポレータを用いて乾燥した後大気中1150℃で6時間仮焼成して元素を反応させ、再度アルコール中でボールミルを用いて粉砕を24時間行った後、ロータリーエバポレータを用いて乾燥し、その後ハンドプレスで圧粉成形したあと静水圧プレスで2tonf/cmの圧力で成形した。次に、この成形体を第1焼成として大気中1220℃で6時間焼結したあと第2焼成のためすぐに温度を1300℃まで上昇させてさらに25時間焼結した。
焼成後、焼結体を直径:6mm×高さ:8mmの円筒に加工し、密度を測定すると共に、X線回折にて成分を確認した後、両端に金を蒸着して8V/mm(180℃)の条件で分極し、圧電定数d33、K33と比誘電率を測定した。さらに、焼結体の微構造はSEM写真に関して、平行な直線10本が横切る粒子長の平均を画像装置を用いて求めた結果を粒子直径とした。これらの結果を表16,表17に示す。
Figure 2006143588
Figure 2006143588
評価結果では、表16,表17に示すように、x=0.05,0.3である参考例38,39の場合に圧電定数が低くアクチュエータ用材料として好ましくないものであったのに対し、x=0.075〜0.25を満足する実施例47〜54の場合には圧電定数が高くアクチュエータ用材料として好ましいものであった。
(実施例55〜62,参考例40,41;表18,表19)
市販のSrCO,CaCO,BaCO,MgO,NaCOおよびNbを用意し、これらをSr2−x(Ca+Ba+Mg)NaNb15で表わされる成分組成(すなわち、前記成分組成においてA=A+A+Aであり、AがCa,AがBa,AがMgである成分組成)においてxが0.05から0.3となるように秤量し、アルコール中でボールミルを用いて粉砕混合を24時間行い、次いで、この混合スラリーはロータリーエバポレータを用いて乾燥した後大気中1150℃で6時間仮焼成して元素を反応させ、再度アルコール中でボールミルを用いて粉砕を24時間行った後、ロータリーエバポレータを用いて乾燥し、その後ハンドプレスで圧粉成形したあと静水圧プレスで2tonf/cmの圧力で成形した。次に、この成形体を第1焼成として大気中1220℃で6時間焼結したあと第2焼成のためすぐに温度を1300℃まで上昇させてさらに25時間焼結した。
焼成後、焼結体を直径:6mm×高さ:6mmの円筒に加工し、密度を測定すると共に、X線回折にて成分を確認した後、両端に金を蒸着して8V/mm(180℃)の条件で分極し、圧電定数d33、K33と比誘電率を測定した。さらに、焼結体の微構造はSEM写真に関して、平行な直線10本が横切る粒子長の平均を画像装置を用いて求めた結果を粒子直径とした。これらの結果を表18,表19に示す。
Figure 2006143588
Figure 2006143588
評価結果では、表18,表19に示すように、x=0.05,0.3である参考例40,41の場合に圧電定数が低くアクチュエータ用材料として好ましくないものであったのに対し、x=0.075〜0.25を満足する実施例55〜62の場合には圧電定数が高くアクチュエータ用材料として好ましいものであった。
(実施例63〜70,参考例42〜45;表20,表21)
市販のSrCO,CaCO,BaCO,MgO,NaCOおよびNbを用意し、これらをSr1.9(Ca+Mg+Ba)0.1NaNb15またはSr1.8(Ca+Ba+Mg)0.2NaNb15となるように秤量し、アルコール中でボールミルを用いて粉砕混合を24時間行い、次いで、この混合スラリーはロータリーエバポレータを用いて乾燥した後大気中1050〜1175℃で1〜15時間仮焼成して元素を反応させ、再度アルコール中でボールミルを用いて粉砕を24時間行った後、ロータリーエバポレータを用いて乾燥し、その後ハンドプレスで圧粉成形したあと静水圧プレスで2tonf/cmの圧力で成形した。次に、この成形体を第1焼成として大気中1180〜1270℃で3〜10時間焼結したあと第2焼成のためすぐに温度を1270〜1370℃まで上昇させてさらに10〜50時間焼結した。
焼成後、焼結体を直径:6mm×高さ:6mmの円筒に加工し、密度を測定すると共に、X線回折にて成分を確認した後、両端に金を蒸着して8V/mm(180℃)の条件で分極し、圧電定数d33、K33と比誘電率を測定した。さらに、焼結体の微構造はSEM写真に関して、平行な直線10本が横切る粒子長の平均を画像装置を用いて求めた結果を粒子直径とした。これらの結果を表20,表21に示す。
Figure 2006143588
Figure 2006143588
評価結果では、表20,表21に示すように、合成温度(仮焼温度)が大気中1050〜1150℃で2〜12時間、第1次焼成温度が大気中1200〜1250℃で4〜8時間、第2次焼成温度が1270〜1370℃で10〜50時間としたとき、圧電定数が250pC/N以上となってアクチュエータ用材料として好適なものになることが認められた。

Claims (8)

  1. Sr2−xCaNaNb15で表わされる成分組成を有しx=0.05〜0.35である多結晶圧電化合物に特性改善成分としてY,La,Dy,Nd,Yb,Sm,Er,Gd,Pr11のうちから選ばれる希土類元素の酸化物のうちの1種または2種以上を0.5〜3.0重量%添加して成り、焼結体からなる結晶粒子の大きさは電子顕微鏡写真に平行直線(任意本数)が横切る粒子長の平均を画像装置を用いて求めた値において平均粒子直径が3〜10μmである圧電材アクチュエータであって、
    この圧電材アクチュエータを製造するに際し、その製造工程が、磁器原料の混合工程,合成工程,粉砕工程、成形工程,焼結工程を経るものであり、合成工程の焼成条件は、温度1050〜1150℃で2〜12時間の焼成とし、焼結工程の焼成条件は、温度1180〜1270℃で4〜8時間の第1焼成と、温度1370〜1400℃で10〜75時間の第2焼成とすることを特徴とする圧電材アクチュエータ。
  2. 焼結工程前の粉末の粒子径が0.5〜0.8μmであるものとすることを特徴とする請求項1に記載の圧電材アクチュエータ。
  3. Sr2−xCaNaNb15で表わされる成分組成を有しx=0.05〜0.35である多結晶圧電化合物に特性改善成分としてY,La,Dy,Nd,Yb,Sm,Er,Gd,Pr11のうちから選ばれる希土類元素の酸化物のうちの1種または2種以上を0.5〜3.0重量%添加して成り、焼結体からなる結晶粒子の大きさは電子顕微鏡写真に平行直線(任意本数)が横切る粒子長の平均を画像装置を用いて求めた値において平均粒子直径が3〜10μmである圧電材アクチュエータであって、
    この圧電材アクチュエータを製造するに際し、その製造工程が、磁器原料の混合工程,合成工程,粉砕工程、成形工程,焼結工程を経るものであり、合成工程の焼成条件は、温度1050〜1150℃で2〜12時間の焼成とし、焼結工程の焼成条件は、温度1180〜1270℃で4〜8時間の第1焼成と、温度1370〜1400℃で10〜75時間の第2焼成とし、焼結工程前の粉末の粒子径が0.5〜0.8μmであるものとすることを特徴とする圧電材アクチュエータ。
  4. 第1焼成と第2焼成を連続的に行うことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の圧電材アクチュエータ。
  5. 合成工程および焼結工程の焼成を大気中で行うことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の圧電材アクチュエータ。
  6. Sr2−xNaNb15で表わされる成分組成を有しx=0.075〜0.25である多結晶圧電化合物であってAをCa,BaおよびMgのうちから選ばれる2種以上の元素とした圧電材アクチュエータであって、
    この圧電材アクチュエータを製造するに際し、その製造工程が、磁器原料の混合工程,合成工程,粉砕工程、成形工程,焼結工程を経るものであり、合成工程の焼成条件は、温度1050〜1150℃で2〜12時間の焼成とし、焼結工程の焼成条件は、温度1200〜1250℃で4〜8時間の第1焼成と、温度1270〜1370℃で10〜50時間の第2焼成とすることを特徴とする圧電材アクチュエータ。
  7. 第1焼成と第2焼成を連続的に行うことを特徴とする請求項6に記載の圧電材アクチュエータ。
  8. 合成工程および焼結工程の焼成を大気中で行うことを特徴とする請求項6または7に記載の圧電材アクチュエータ。
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