JP2006142724A - 白色印刷物およびその加工方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】意匠性の高い白色感を有し、かつ、通常の印刷加工により得ることができる白色印刷物およびその加工方法を提供する。
【解決手段】本発明は、紙の白色表面に電子線又は紫外線硬化型のメジウムインキによる下刷り層の表面上を電子線又は紫外線硬化型のコーティング剤によるオーバーコート層を設け、紙の表面と下刷り層とオーバーコート層の重なった部分がマット調の白色に形成されていることを特徴とする白色印刷物であり、下刷り層が、オーバーコート層のコーティング剤を設けた時に、コーティング剤をはじく層であることを特徴とするものである。また、基材上にオフセット印刷により印刷層を設ける工程、オフセット印刷により下刷り層を設ける工程、前記下刷り層の表面上にコーティングによりオーバーコート層を設ける工程を、オフセット印刷機による一工程で設けることを特徴とする白色印刷物の加工方法である。
【選択図】図1

Description

本発明は、独特な白色感を有する白色印刷物およびその加工方法に関するものである。
従来より、包装容器、出版物、宣伝物等においては、白色の部分を印刷で行うことがあり、特に、包装容器の場合には、消費者の購買意欲をその商品に向けさせるためには、白色部分において差別化された高い意匠性が要求されている。高い意匠性の白色を再現するには、種々の方法があげられるが、紙の素材の白色では、沈んだ色調になり、かつ、包装容器等に使用した場合汚れ易いという問題があり、透明なインキを印刷したり、白色インキを使用して印刷して表現する方法が一般的に行われている。また、白色顔料を含有した樹脂層を積層して紙の白色の不足を補い、その上に各色の印刷を施す方法等も提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2003−2322号公報
しかしながら、紙の素材の白色表面に直接、従来の透明なインキ(オーバープリントニス)を印刷した場合、透明なコーティング剤をコーティングした場合、あるいは、白色顔料の白色インキで印刷した場合、沈んだ色調となり、黄変しやすく、意匠性の高い白色を再現するには不十分であるという問題がある。
また、白色顔料を含有した樹脂層を積層して紙の白色の不足を補う方法においても、意匠性の高い白色を再現するには不十分であり、さらに、加工工数が増えてコスト高になるという問題がある。
本発明は、上記の問題を解決することを課題とし、意匠性の高い白色感を有し、かつ、通常の印刷加工により得ることができる白色印刷物およびその加工方法を提供することにある。
本発明者は、上記の問題点を解決するための手段につき鋭意検討した結果、本発明は、紙の白色表面に電子線又は紫外線硬化型のメジウムインキにより下刷り層を設け、前記下刷り層の表面上に電子線又は紫外線硬化型のコーティング剤によりオーバーコート層を設け、前記紙の表面と前記下刷り層と前記オーバーコート層の重なった部分がマット調の白色に形成されていることを特徴とする白色印刷物であり、前記下刷り層が、前記オーバーコート層のコーティング剤を設けた時に、前記コーティング剤をはじく層であることを特徴とするものである。また、基材上にオフセット印刷により印刷層を設ける工程、オフセット印刷により下刷り層を設ける工程、前記下刷り層の表面上にコーティングによりオーバーコート層を設ける工程を、オフセット印刷機による一工程で設けることを特徴とする白色印刷物の加工方法である。
本発明によれば、絵柄の印刷層、下刷り印刷層、オーバーコート層をオフセット印刷機を用いて設けることができ、さらに、一工程で行うことによって、艶加工部分と白色加工部分を有し、かつ、生産性が高くコストが低く加工できる白色印刷物を得ることができるものである。
本発明は、印刷において表現でき、デザイン的に極めて意匠性の高い白色印刷物であり、既存の加工法によって加工可能であることから、製造コストが高くならないことが特徴である。すなわち、紙の白色表面にメジウムインキで下刷り印刷を行い、その上にコーティング剤をコーティングすることにより、紙の表面の下刷り印刷部分が独特なマット調の白色部分となる。また、この加工方法は、絵柄の印刷層、下刷り印刷層、オーバーコート層をオフセット印刷機を用いて設けることができ、さらに、オフセット印刷機を用いて一工程で行うことによって、艶加工部分とマット調の白色部分を有し、かつ、生産性が高くコストが低く加工できる白色印刷物を得ることができるものである。
以下に、本発明に係る白色印刷物およびその加工方法についてさらに詳しく説明する。
図1は、本発明の白色印刷物の構成を示す概略断面図である。図1−aに示すように、まず、基材11の表面にオフセット印刷による絵柄などの印刷層12を設け、つぎに、白色を表現する部分、すなわち印刷層12を設けていない紙の素材の部分にオフセット印刷により下刷り層13を設ける。そして、印刷層12および下刷り層13の表面上にコーティングによりオーバーコート層14を設ける。この時、図1−bに示すように、下刷り層13を設けた部分において、上に加工されたオーバーコート層14を形成するためのコーティング剤がはじかれてマット調の独特の白色部分となり、下刷り層13を設けていない印刷層12の部分が、そのまま艶加工部分となる。
つぎに、上記の印刷物10を作製する本発明の白色印刷物の加工方法について説明する。
本発明の白色印刷物の加工方法において使用できる基材11としては、白色表面を有する板紙を主とする紙であり、白色度の高い板紙が好ましく、例えば、カード紙、特板、高板、コートマニラ、コートボール等があげられる。
まず、基材11の表面に設けられる印刷層12は、絵柄、表示などが印刷された層であり、公知の電子線または紫外線硬化型インキを使用したオフセット印刷(平版印刷)で設けられる。
つぎに、白色を表現する部分の紙の表面に下刷り層13を設ける。この下刷り層13が設けられた部分でオーバーコート層14を形成するためのコーティング剤がはじかれて紙の白色に加えて独特な風合いを有する白色部分となり、そして、印刷層12の上は艶加工部分なり、両部分の対比が著しい独特な印刷加工物とすることができる。この下刷り層13も、オフセット印刷(平版印刷)で設けることができる。
下刷り層13に使用するインキは、電子線または紫外線硬化型インキであるが、色インキと異なり顔料等の色材を含有しないメジウムインキであり、感光性樹脂のポリマー、オリゴマー、モノマー、そして、光重合開始剤を主剤としている。
ポリマーとしては、例えば、メチルアクリレート、メチルメタクリレート(以下、「メチルアクリレート」と「メチルメタクリレート」とを、「(メタ)アクリレート」と表記する。以下、同様。)、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン、スチレンの如き1分子中に1個の重合性ビニル基を有する、いわゆる単官能モノマー;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートの如き1分子中に2個の重合性ビニル基を有する、いわゆる2官能のモノマー;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレートの如き1分子中に3個以上の重合性ビニル基を有する、いわゆる多官能モノマー、などがあげられる。
また、オリゴマーとして、不飽和ポリエステル類、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートなどのオリゴマーを用いることもできる。
光重合開始剤として特に制約を設ける必要はないが、重合性の組成物に溶解可能な物質が好ましく、例えば、ラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤であって良い。そのような光重合開始剤としては、例えば、p−ブチルトリクロロアセトフェノン、2,2’−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンの如きアセトフェノン類;ベンゾフェノン、4,4’−ビスジメチルアミノベンゾフェノン2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンの如きケトン類;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルの如きベンゾイン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、テトラメチルメウラムモノサルファイド、などがあげられる。
また、光重合開始剤に光増感剤を併用しても差し支えない。このような光増感剤としては、例えば、n−ブチルアミン、n−ジブチルアミン、トリエチルアミン、トリエチレンテトラミン、トリエタノールアミンなどがあげられる。
この下刷り層13では、剥離性を付与するために、感光性樹脂のポリマー、オリゴマー、モノマー、そして、光重合開始剤を混合した主剤に、ポリエチレンワックス、反応性シリコーン・シリコーンオイルを助剤として主剤に対して0.5〜10重量%加えている。また、この下刷り層13は、基材11上に乾燥後で0.5〜5g/m2の範囲となるような塗布量で設けることが好ましい。
つぎに、印刷層12と下刷り層13を設けた後、電子線又は紫外線照射により硬化させた後、同一工程でオーバーコート層14が設けられる。このオーバーコート層14は、コーティングによって設けられるが、オフセット印刷機の最終ユニットに設置されたコーターユニットで行なうことができる。
このオーバーコート層14に使用するコーティング剤は、電子線または紫外線硬化型のコーティング剤であり、下刷り層13の上にコーティングされた場合に、ハジキ現象を生じるものであれば特に制限はなく、この目的に合致したコーティング剤を適宜選択すればよい。このような電子線または紫外線硬化型のコーティング剤としては、下刷り層13に使用するインキの主剤と同様に、少なくとも感光性樹脂のポリマー、オリゴマー、モノマー、そして、光重合開始剤を混合したものである。さらに、これに助剤として表面調整剤等を加えたものを使用する。表面調整剤としては、セルロース系のレベリング剤および天然ワックス系の滑剤などがある。このオーバーコート層14は、硬化後の塗布量で3〜20g/m2の範囲になるような量で設けることが好ましい。
このようにして、オーバーコート層14において、艶加工部分とマット調の白色部分との両部分を有し、両部分の対比が著しい独特な印刷加工物を作製することができる。
本発明の白色印刷物の加工方法の特徴は、印刷層12、下刷り層13、オーバーコート層14は、それぞれ別の工程で行うこともできるが、図2に示すように、オフセット印刷機Pにより、一工程で加工することができることが大きな特徴である。このオフセット印刷Pでは、印刷ユニットB、紫外線照射装置Cに加えて、コーターユニットD、紫外線照射装置Eを設置している。このようなユニットおよび装置を有するオフセット印刷機によって、印刷層12、下刷り層13、オーバーコート層14を一工程で設けることができる。
なお、本発明の印刷層12、下刷り層13、オーバーコート層14の電子線または紫外線硬化型のインキあるいはコーティング剤を硬化させる方法としては、電子線硬化型インキあるいはコーティング剤を使用した場合には、公知の種々の電子線、放射線等を照射可能な装置を用いて、それらを照射することにより硬化させることが可能である。また、紫外線硬化型インキあるいはコーティング剤を使用した場合には、公知の紫外線照射装置(水銀ランプ、紫外線ランプ、白熱灯、ハロゲンランプ等)を用いて、それらを照射することにより硬化させることが可能である。
このような加工方法による白色印刷物において、独特な白色部分が得られるのは、つぎのような要因があげられる。
1.下刷り印刷層によりオーバーコート層のコーティング剤の紙への浸透を防いでいる。
2.下刷り印刷層がオーバーコート層をはじくことにより、凹凸感のあるマット調の独特な風合いを付与することができる。
3.下刷り印刷層にメジウムインキを使用していることにより、黄変しにくくしている。
また、紙の白色の表面に下刷り印刷層のメジウムインキを印刷しただけでは、表面強度は不十分であるのに対して、メジウムインキの下刷り印刷層の上にオーバーコート層を設けているため十分な表面強度を有しているため、包装容器にも対応することができる。
基材11に板紙(コートボール310g/m2)を用いて、最終ユニットにUVコーターユニットDの設置されたオフセット印刷機Pにより一工程で白色印刷物の加工を行った。
まず、印刷層12である絵柄の印刷は、フィーダーAから供給された基材11に印刷ユニットBにおいて5色を印刷する。インキは、下記の組成のUVカルトンインキ(株式会社ザ・インクテック製)を使用した。
有機顔料・無機顔料 5〜30重量%
感光性樹脂(ポリマー・アクリレートオリゴマー・モノマー) 60〜92重量%
光重合開始剤 3〜10重量%
つぎに、下刷り層13の印刷は、印刷ユニットBの6色目で行い、インキは、下記の組成のUVカルトンメジウム(株式会社ザ・インクテック製)を使用した。この印刷層12と下刷り層13の印刷の後、紫外線照射装置Cを用いて乾燥硬化させた。
無機顔料 5〜30重量%
感光性樹脂(ポリマー・アクリレートオリゴマー・モノマー) 60〜92重量%
光開始剤 3〜10重量%
反応性シリコーン・シリコーンオイル 0.5〜15重量%
つづいて、オーバーコート層14の加工は、最終ユニットのUVコーターユニットDで行い、コーティング剤としては、下記の組成のUVクリヤーコートニス(株式会社ザ・インクテック製)を使用した。このオーバーコート層14の加工後、紫外線照射装置Eを用いて乾燥硬化させた。
感光性樹脂(ポリマー・アクリレートオリゴマー・モノマー) 85〜96重量%
光重合開始剤 3〜10重量%
添加剤 5重量%未満
このように、オフセット印刷機Pの最終ユニットにおいて、オーバーコート層14を加工することによって、下刷り層13の部分は、オーバーコート層14がはじかれた状態の凹凸感のあるマット調の白色部分となり、下刷り層13を設けない部分はオーバーコート層14の光沢をそのまま有する艶加工部分となる印刷物を得ることができた。
本発明に係る白色印刷物の断面図である。 本発明に係る白色印刷物を加工する印刷機の概略図である。
符号の説明
10 印刷物
11 基材(コート紙)
12 印刷層
13 下刷り層
14 オーバーコート層
P オフセット印刷機
A フィーダー
B 印刷ユニット
C 紫外線照射装置
D コーターユニット
E 紫外線照射装置
F デリバリー

Claims (3)

  1. 紙の白色表面に電子線又は紫外線硬化型のメジウムインキにより下刷り層を設け、前記下刷り層の表面上に電子線又は紫外線硬化型のコーティング剤によりオーバーコート層を設け、前記紙の表面と前記下刷り層と前記オーバーコート層の重なった部分がマット調の白色に形成されていることを特徴とする白色印刷物。
  2. 前記下刷り層が、前記オーバーコート層のコーティング剤を設けた時に、前記コーティング剤をはじく層であることを特徴とする請求項1に記載の白色印刷物。
  3. 基材上にオフセット印刷により印刷層を設ける工程、オフセット印刷により下刷り層を設ける工程、前記下刷り層の表面上にコーティングによりオーバーコート層を設ける工程を、オフセット印刷機による一工程で設けることを特徴とする白色印刷物の加工方法。

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