JP7326673B1 - プライマー層含有積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】被印刷基材、プライマー層、及び印刷層を含む、プライマー層含有積層体において、活性エネルギー線(好ましくは電子線)硬化型インクの印刷層とフィルム(被印刷基材を含むフィルム又はラミネートフィルム)との密着性やラミネート特性を高めることを課題とする。
【解決手段】被印刷基材、プライマー層、及び印刷層を含む、プライマー層含有積層体において:前記被印刷基材、前記プライマー層、及び前記印刷層がこの順に積層しているか、又は前記被印刷基材、前記印刷層、及び前記プライマー層がこの順に積層しており;前記プライマー層が、水酸基含有(メタ)アクリレートを含有する活性エネルギー線硬化型プライマー組成物の硬化物であり;前記プライマー層に含まれる硬化物の量は、0.5g/m以上であり;かつ前記印刷層が、活性エネルギー線硬化型インクの硬化物である、積層体を提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、プライマー層含有積層体に関する。また本発明は、そのようなプライマー層を形成するためのプライマー組成物に関する。
活性エネルギー線硬化型インクは、様々な素材(紙やフィルムなど)に印刷することができるため利便性が高い。軽包装分野においても、活性エネルギー線硬化型インクの適用が拡がっている。食品包装用の軽包装分野では、グラビアインキによる印刷が主流ではあるものの、活性エネルギー線硬化型インクによる印刷の実用例も増加している。
活性エネルギー線硬化型インクの適用の拡がりの理由には、活性エネルギー線硬化型インクは速乾性であること、昨今の環境問題への対応(CO2排出の抑制、VOC排出の抑制など)がしやすいこと、印刷のためのエネルギーコストが低減可能であること、印刷のための版代コストを低減可能であること、少量多品種の印刷物の作製に適応可能であること、などがある。
活性エネルギー線硬化型インクとして最も一般的なものは、紫外線照射で硬化する紫外線硬化型インクであり、重合反応を開始させるための光重合開始剤を含有する。光重合開始剤は、紫外線を受けてラジカルを発生させて重合反応を開始させるが、光重合開始剤の一部が反応せずに硬化物中に残存することがある。硬化物中に残存した光重合開始剤は、被印刷基材にマイグレーション(移行)し;更に、被印刷基材が包装体である場合には、被包装物(包装内容物)に入り込むことがある。そのため、光重合開始剤は規制対象になることがあり、使用が制限されつつある。
そのため、活性エネルギー線硬化型インクとして、電子線照射で硬化させる電子線硬化型インクも注目されている。電子線硬化型インクは、電子線を重合反応物に照射することで、重合反応物に直接ラジカルを発生させるため、重合開始剤を含有する必要がなく、また電子線照射により瞬時に硬化する。
活性エネルギー線硬化型インクで軟包装フィルムに印刷することもできるが、フィルムによっては、印刷層との十分な密着性が得られないことがある。そのため、フィルム表面をコロナ処理することで印刷層との密着性を改善することが知られている。さらには、フィルム表面を化学的に変性するなどして易接着性とすることも提案されている。しかしながら依然として、活性エネルギー線(特に、電子線)硬化型インクの印刷層とフィルムとの密着性やラミネート強度を高めることが求められている。それに対して、電子線硬化型インクの印刷層とフィルムとの密着性を高めるべく、電子線硬化型のオフセット印刷用プライマーが提案されている(特許文献1)。また、活性エネルギー線硬化型インクによる印刷層に、それを覆うフィルムをラミネートする場合には、そのラミネートフィルムと印刷層との間に接着剤層を介して密着性を得る。ところが、その接着剤層の組成によっては、ラミネートフィルムと印刷層との密着性が十分に得られないこともあった。
また、活性エネルギー線硬化型組成物として、水酸基含有(メタ)アクリレートを含む組成物を接着剤として用いることが提案されている(特許文献2~4)。
特表2022-524226号 特許第7137726号 特許第7137727号 特許第7110508号
活性エネルギー線硬化型インクの印刷層とフィルムなどとの密着性が十分に高まらない理由は:活性エネルギー線硬化型インクは揮発成分(VOC)を含有しないため、グラビアインクなどの揮発成分 (VOC) を含むインクと異なり、塗膜(印刷層)が相対的に厚くなり(単位面積あたりの体積重量が高くなり)、印刷層の内部応力が高くなる結果、割れや剥がれが生じにくくなること、などが考えられる。更には、活性エネルギー線硬化型インクでの印刷技術を商業化していく場合、印刷適性や材料価格(経済性)、材料安全性(ネスレガイダンス適合、スイス条例適合)など、密着性以外の適性や制約を総合的に判断するため、必ずしも十分な密着性を発現できる材料を選択できるとは限らないことも、活性エネルギー線硬化型インクの印刷層とフィルムなどとの密着性が十分に高まらない理由となりうる。
そこで本発明は、活性エネルギー線硬化型インクの印刷層とフィルム(被印刷基材を含むフィルム又はラミネートフィルム)との密着性やラミネート特性、又は活性エネルギー線硬化型インクの印刷層と接着剤層との密着性を高めることを第一の課題とする。好ましくは、オフセット印刷可能な、重合開始剤を含まない電子線硬化性組成物を使用して、活性エネルギー線硬化型インクの印刷層とフィルム(被印刷基材を含むフィルム又はラミネートフィルム)との密着性やラミネート特性、又は活性エネルギー線硬化型インクの印刷層と接着剤層との密着性を高めることを課題とする。
本発明は、以下の通り、被印刷基材と、活性エネルギー線硬化型インクの印刷層とともに、プライマー層を設けることで、印刷層と他の層(被印刷基材を構成するフィルムなど)との密着性を高めた積層体に関する。
[1]被印刷基材、プライマー層、及び印刷層を含む、プライマー層含有積層体において:
前記被印刷基材、前記プライマー層、及び前記印刷層がこの順に積層しているか、又は前記被印刷基材、前記印刷層、及び前記プライマー層がこの順に積層しており;
前記プライマー層が、水酸基含有(メタ)アクリレートを含有する活性エネルギー線硬化型プライマー組成物の硬化物であり;
前記プライマー層に含まれる硬化物の量は、0.5g/m以上であり;かつ
前記印刷層が、活性エネルギー線硬化型インクの硬化物である、積層体。
[2]活性エネルギー線硬化型インクが、電子線硬化型である、前記[1]に記載の積層体。
更に本発明は、水酸基含有(メタ)アクリレートが以下のように好ましい形態をとる、活性エネルギー線硬化型プライマー組成物に関する。
[3]前記水酸基含有(メタ)アクリレートが、ペンタエリスリトール、ポリペンタエリスリトール、グリセリン、ポリグリセリン、トリメチロールプロパン、及びポリトリメチロールプロパンから選ばれる1種以上の化合物と、(メタ)アクリル酸とが、エステル結合してなる化合物を含む、前記[1]又は[2]に記載の積層体。
[4]前記水酸基含有(メタ)アクリレートの平均分子量が100~2000である、前記[1]~[3]のいずれかに記載の積層体。
[5]前記水酸基含有(メタ)アクリレートの水酸基価が30~400mgKOH/gである前記[1]~[4]のいずれかに記載の積層体。
[6]前記水酸基含有(メタ)アクリレートが、1分子あたり2~4の(メタ)アクリロイル基を有する前記[1]~[5]のいずれかに記載の積層体。
[7]前記活性エネルギー線硬化型プライマー組成物は、電子線硬化型である、前記[1]~[6]のいずれかに記載の積層体。
[8]前記積層体は、前記被印刷基材に対して前記印刷層を有する側の面に、接着剤層とシーラント層とを、この順にさらに積層してなる、前記[1]~[7]のいずれかに記載の積層体。
また本発明は、以下に示す活性エネルギー線硬化型プライマー組成物に関する。
[9]水酸基含有(メタ)アクリレートを含有する活性エネルギー線硬化型プライマー組成物であって:プラスチックフィルムと、活性エネルギー線硬化型インクの印刷層と、の間にプライマー層を形成するために用いられる、活性エネルギー線硬化型プライマー組成物。
本発明の積層体は、被印刷基材と、プライマー層と、及び活性エネルギー線硬化型インクの印刷層とを含み;被印刷基材を構成するフィルムと印刷層との密着性、又は印刷層と他の層(ラミネートフィルムや接着剤層など)との密着性を高めることができる。そのため、活性エネルギー線硬化型インクの適用可能性が、益々高まる。
第1態様の積層体の製造プロセスを示すフローである。 第2態様の積層体の製造プロセスを示すフローである。 第3態様の積層体の製造プロセスを示すフローである。 第4態様の積層体の製造プロセスを示すフローである。 シーラント層を有する積層体の第一の態様の積層構造(図5A)と第二の態様の積層構造(図5B)とを示す図である。
[1.活性エネルギー線硬化型プライマー組成物について]
本発明の活性エネルギー線硬化型プライマー組成物は、水酸基含有(メタ)アクリレートから構成されていてもよく;さらに、その他の二重結合を有する化合物成分、オリゴマーなどの樹脂を含むことができる。また、活性エネルギー線硬化型プライマー組成物は、重合開始剤、着色剤(顔料及び染料)、その他の成分を含有してもよい。
[1-1.水酸基含有(メタ)アクリレート]
活性エネルギー線硬化型プライマー組成物に含まれる水酸基含有(メタ)アクリレートは:水酸基と(メタ)アクリレート基とを併せ持つ化合物であればよく;水酸基と2以上の(メタ)アクリレート基とを併せ持つ水酸基含有ポリ(メタ)アクリレートであってもよい。また、水酸基含有(メタ)アクリレートは、例えば、ポリアルコールを(メタ)アクリル酸でエステル化することで得ることもできる。
より具体的に、水酸基含有(メタ)アクリレートは、例えば以下の1~7の態様から1 種以上を採用できる:
1.ペンタエリスリトールの(メタ)アクリル酸エステルであって、ペンタエリスリトールが有している水酸基のうちの1つ以上が未反応で残っているもの;
2.ポリペンタエリスリトールの(メタ)アクリル酸エステルであって、ポリペンタエリスリトールが有している水酸基のうちの1つ以上が未反応で残っているもの;
3.グリセリンの(メタ)アクリル酸エステルであって、グリセリンが有している水酸基のうちの1つ以上が未反応で残っているもの;
4.ポリグリセリンの(メタ)アクリル酸エステルであって、ポリグリセリンが有している水酸基のうちの1つ以上が未反応で残っているもの;
5.トリメチロールプロパンの(メタ)アクリル酸エステルであって、トリメチロールプロパンが有している水酸基のうちの1つ以上が未反応で残っているもの;
6.ポリトリメチロールプロパンの(メタ)アクリル酸エステルであって、ポリトリメチロールプロパンが有している水酸基のうちの1つ以上が未反応で残っているもの;
7.モノヒドロキシアルキルモノ(メタ)アクリレート等。
以下において、上記1~7の態様についてより具体的に説明する。
(上記1.について)
上記1の態様の水酸基含有(メタ)アクリレートは、a)ペンタエリスリトールと(メタ)アクリル酸がエステル結合してなる化合物であってもよいし、b)(ポリ)アルキレンオキサイド変性ペンタエリスリトールの(メタ)アクリル酸エステルであってもよい。具体例には、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート;さらに、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどが含まれ、これらから1種以上を含有できる。
また、上記1の態様の水酸基含有(メタ)アクリレートは、ペンタエリスリトールモノアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、及びペンタエリスリトールトリアクリレートを含有することが好ましい。更にこれら3種のペンタエリスリトールのアクリレートの他に、水酸基含有(メタ)アクリレートを含有しないことが好ましい。
(上記2.について)
上記2の態様の水酸基含有(メタ)アクリレートは、a)ポリペンタエリスリトール(例えば、ジペンタエリスリトールやトリペンタエリスリトール)と(メタ)アクリル酸が、エステル結合してなる化合物であってもよいし、b)(ポリ)アルキレンオキサイド変性のポリペンタエリスリトールの(メタ)アクリル酸エステルであってもよい。具体例には、ジペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート;さらに、トリペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、及びこれらのポリペンタエリスリトールの(メタ)アクリル酸エステルのアルキレンオキサイド変性物(付加物)などが含まれ、これらから1種以上を含有できる。
また、上記2の態様の水酸基含有(メタ)アクリレートとして、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、及びトリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレートを使用すると、それらの化合物の含有比率によっては、接着力が低下する可能性がある。
(上記3.について)
上記3の態様の水酸基含有(メタ)アクリレートは、a)グリセリンと(メタ)アクリル酸が、エステル結合してなる化合物であってもよいし、b)(ポリ)アルキレンオキサイド変性のグリセリンの(メタ)アクリル酸エステルであってもよい。具体例には、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート;さらに、エチレンオキサイド変性グリセリンモノ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性グリセリンジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性グリセリンモノ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性グリセリンジ(メタ)アクリレートなどが含まれ、これらから1種以上を含有できる。
また、上記3の態様の水酸基含有(メタ)アクリレートとして、グリセリンジ(メタ)アクリレートのうち、グリセリンの1位と3位の炭素原子が有していた水酸基が(メタ)アクリル酸とエステル化されているものが好ましい。
(上記4.について)
上記4の態様の水酸基含有(メタ)アクリレートは、a)ポリグリセリン(例えば、ジグリセリンやトリグリセリン)と(メタ)アクリル酸が、エステル結合してなる化合物であってもよいし、b)(ポリ)アルキレンオキサイド変性のポリグリセリンの(メタ)アクリル酸エステルであってもよい。具体例には、ジグリセリンモノ(メタ)アクリレート、ジグリセリンジ(メタ)アクリレート、ジグリセリントリ(メタ)アクリレート;さらに、トリグリセリンモノ(メタ)アクリレート、トリグリセリンジ(メタ)アクリレート、トリグリセリントリ(メタ)アクリレート、トリグリセリンテトラ(メタ)アクリレート及びこれらのポリグリセリンの(メタ)アクリル酸エステルのアルキレンオキサイド変性物(付加物)などが含まれ、これらから1種以上を含有できる。
(上記5.について)
上記5の態様の水酸基含有(メタ)アクリレートは、a)トリメチロールプロパンと(メタ)アクリル酸が、エステル結合してなる化合物であってもよいし、b)(ポリ)アルキレンオキサイド変性のトリメチロールプロパンの(メタ)アクリル酸エステルであってもよい。具体例には、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート;さらに、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレートなどが含まれ、これらから1種以上を含有できる。
(上記6.について)
上記6の態様の水酸基含有(メタ)アクリレートは、a)ポリトリメチロールプロパン(例えば、ジトリメチロールプロパン)と(メタ)アクリル酸が、エステル結合してなる化合物であってもよいし、b)(ポリ)アルキレンオキサイド変性のポリトリメチロールプロパンの(メタ)アクリル酸エステルであってもよい。具体例には、ジトリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、及びこれらのポリトリメチロールプロパンの(メタ)アクリル酸エステルのアルキレンオキサイド変性物(付加物)などが含まれ、これらから1種以上を含有できる。
(上記7.について)
上記7の態様の水酸基含有(メタ)アクリレートであるモノヒドロキシアルキルモノ(メタ)アクリレートは、アルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート及びその他の水酸基含有(メタ)アクリレート類から選ばれた1種以上を含む。
アルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートの例には、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレートなどが含まれ、これらから1種以上を含有できる。なお、アルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートのうちエポキシ(メタ)アクリレート及び4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートは含有させない方がよい場合がある。
ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートの例には、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートや、ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリオキシブチレン-ポリオキシプロピレンモノ(メタ)アクリレート等のブロック構造を有する化合物、ポリ(プロピレングリコール-テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレートなどのランダム構造を有する化合物が挙げられる。
その他の水酸基含有(メタ)アクリレート類の例には、4-ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-クロロプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-アリルオキシプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシ-3-アリルオキシプロピル、2-(メタ)アクリロイルオキシエチル-2-ヒドロキシプロピルフタレート、2-エチルヘキシル(ポリ)エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、o-フェニルフェノール(ポリ)エチレンオキサイド変性アクリレート、p-クミルフェノール(ポリ)エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノール(ポリ)エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレートなどの(ポリ)アルキレングリコール変性(メタ)アクリレート類などが挙げられる。
水酸基含有(メタ)アクリレートは、これらのなかでも上記1~6の水酸基含有(メタ)アクリレートを含むことが好ましく、上記7の水酸基含有(メタ)アクリレートを含まないことが好ましい場合がある。さらに、上記1~6の水酸基含有(メタ)アクリレートの中でも、2以上の(メタ)アクリロイル基を有するものが好ましく、2~4の(メタ)アクリロイル基を有するものがより好ましい。
水酸基含有(メタ)アクリレートの分子量は100~2000であることが好ましく、中でも150以上がより好ましく、200以上が更に好ましい。また1000以下がより好ましく、500以下が更に好ましい。複数種の水酸基含有(メタ)アクリレートが含まれる場合には、それらの平均分子量がこれらの範囲にあることが好ましい。水酸基含有(メタ)アクリレートの分子量が小さいほど、活性エネルギー線に対する硬化性が高まる。また、活性エネルギー線硬化型プライマー組成物を塗膜にすると、水酸基含有(メタ)アクリレートの(メタ)アクリレート基が塗膜の最表面(空気側)に局在化し;局在化した(メタ)アクリレート基が、塗膜に更に塗布された組成物(インク組成物や接着剤組成物など)に含まれる官能基と反応することができる。このとき、水酸基含有(メタ)アクリレートの分子量が小さいほど、(メタ)アクリレート基と塗膜に更に塗布された組成物に含まれる官能基との反応性が高まる。
水酸基含有(メタ)アクリレートの水酸基価は30~400mgKOH/gであることが好ましく;なかでも、50mgKOH/g以上がより好ましく、100mgKOH/g以上がさらに好ましく;また、350mgKOH/g以下がより好ましく、300mgKOH/g以下がさらに好ましい。プライマー組成物に複数種類の水酸基含有(メタ)アクリレートが含まれる場合には、複数種類の水酸基含有(メタ)アクリレート全体の平均として、これらの水酸基価を有することが好ましい。
水酸基価は、JIS K0070:1992に規定する方法により求めることができる。試料1gをアセチル化させたとき、水酸基と結合した酢酸を中和するのに必要とする水酸化カリウムのmg数を求めて得る。
活性エネルギー線硬化型プライマー組成物は、水酸基含有(メタ)アクリレートのみから構成されていてもよいが;プライマー組成物が含有する全重合性成分に対して、45.0質量%以上含有することが好ましく、70.0質量%以上含有することがより好ましく、90.0質量%以上含有することが更に好ましく、95.0質量%以上含有することが特に好ましい。なお、水酸基含有(メタ)アクリレートのみから構成される活性エネルギー線硬化型プライマー組成物は、不純物として水酸基含有(メタ)アクリレート以外の(メタ)アクリレートを含有しうる。
[1-2.その他の(炭素―炭素)二重結合を有する化合物成分]
活性エネルギー線硬化型プライマー組成物は、水酸基含有(メタ)アクリレートとともに、その他の(炭素―炭素)二重結合を有する化合物成分を含有してもしなくてもよい。その他の二重結合を有する化合物成分の例には:ア)上記した1~7の態様として記載した水酸基含有(メタ)アクリレートにおいて、残存する水酸基の全てが(メタ)アクリル酸によりエステル化された化合物;イ)鎖状アルキル(メタ)アクリレート;ウ)環状アルキル(メタ)アクリレート;エ)上記以外のエーテル基含有(メタ)アクリレート;オ)ビニルエーテル基含有(メタ)アクリレート;カ)その他の(メタ)アクリレート;キ)(メタ)アクリレート類以外の二重結合を有する化合物、などが含まれる。
ア)上記した1~7の態様として記載した水酸基含有(メタ)アクリレートにおいて、残存する水酸基の全てが(メタ)アクリル酸によりエステル化された化合物(上記ア)の化合物)としては、上記1~7の化合物を合成する際に、副生成物として得られる化合物であってもよい。上記ア)の化合物は、本発明による効果を毀損しない範囲に限り、活性エネルギー線硬化型プライマー組成物に含まれていてもいなくてもよく;その具体例には、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート;グリセリントリ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート;トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(100)ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(400)ジ(メタ)アクリレート等の(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート;トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等の(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート;シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、ジメチロールオクタンジ(メタ)アクリレート、ジメチロール-トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ジメチル-2,4-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5-ジメチル-2,5-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,7-ヘプタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,8-オクタンジオールジ(メタ)アクリレート等のアルキレンジオールジ(メタ)アクリレート;などが挙げられる。
イ)鎖状アルキル(メタ)アクリレートの例には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、i-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
ウ)環状アルキル(メタ)アクリレートの例には、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、1-アダマンチル(メタ)アクリレート、3,5,5-トリメチルシクロヘキシルアクリレート、4-t-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
エ)上記以外のエーテル基含有(メタ)アクリレートの例には、1,3-ブチレングリコールメチルエーテル(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシブチレングリコール(メタ)アクリレート、2-(2-エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート(EO繰返し単位数400、700等)、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、クレジルポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸-2-(ビニロキシエトキシ)エチル、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、p-ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、p-ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシ-ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ヘキサエチレングリコールモノフェニルエーテルモノ(メタ)アクリレート、アルコキシ化2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート(エトキシ化2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、プロポキシ化2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート等)、アルコキシ化ノニルフェニル(メタ)アクリレート(エトキシ化(4)ノニルフェノールアクリレート等)、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、メチルフェノキシエチルアクリレート、エトキシ化コハク酸(メタ)アクリレート、エトキシ化トリブロモフェニルアクリレート、エトキシ化ノニルフェニル(メタ)アクリレート、などのアルコキシ及び又はフェノキシ系(メタ)アクリレート類、などが挙げられる。
オ)ビニルエーテル基含有(メタ)アクリレートの例には、(メタ)アクリル酸-2-ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸-3-ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸-1-メチル-2-ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸-2-ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸-4-ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸-1-メチル-3-ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸-1-ビニロキシメチルプロピル、(メタ)アクリル酸-2-メチル-3-ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸-3-メチル-3-ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸-1,1-ジメチル-2-ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸-3-ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸-1-メチル-2-ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸-2-ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸-4-ビニロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸-5-ビニロキシペンチル、(メタ)アクリル酸-6-ビニロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸-4-ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸-3-ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸-2-ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸-p-ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸-m-ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸-o-ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸-2-(ビニロキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸-2-(ビニロキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸-2-(ビニロキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸-2-(ビニロキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸-2-(ビニロキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸-2-(ビニロキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸-2-(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸-2-(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸-2-(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ) エチル、などが挙げられる。
カ)その他の(メタ)アクリレートの例には、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、トリメチルシロキシエチル(メタ)アクリレート、ジフェニル-2-(メタ)アクリロイルオキシエチルホスフェート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、カプロラクトン変性-2-(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2-ヒドロキシ-1-(メタ)アクリロキシ-3-メタクリロキシプロパン、アクリロキシエチルフタレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチル-2-ヒドロキシエチルフタレート、2-(メタ)アクリロイロキシプロピルフタレート、トリシクロデカンモノメチロール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ダイマー、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2-エチルヘキシル-ジグリコール(メタ)アクリレート、アミノエチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトールアクリレート、エチルジグリコールアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレートベンジルクロライド4級塩、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、1,4-シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、クレゾール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンフォルマル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール(メタ)アクリル酸安息香酸エステル、(2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル(メタ)アクリレート、1-(メタ)アクリロイルピペリジン-2-オン、2-(メタ)アクリル酸-1,4-ジオキサスピロ[4,5]デシ-2-イルメチル、N-(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、γ-ブチロラクトン(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリルアクリレート、イミドアクリレート、(メタ)アクリル酸ビニル、マレイミド、などが挙げられる。
キ)(メタ)アクリレート類以外の二重結合を有する化合物の例には、スチレン、ビニルトルエン、p-ヒドロキシスチレン、p-クロロスチレン、p-ブロモスチレン、p-メチルスチレン、p-メトキシスチレン、p-t-ブトキシスチレン、p-t-ブトキシカルボニルスチレン、p-t-ブトキシカルボニルオキシスチレン、2,4-ジフェニル-4-メチル-1-ペンテン、ジビニルベンゼン;窒素含有化合物として、(メタ)アクリルアミド、アクリロイルモルホリン、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド、N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニルカルバゾール、などが挙げられる。更にその他の化合物として、酢酸ビニル、モノクロロ酢酸ビニル、安息香酸ビニル、ピバル酸ビニル、酪酸ビニル、ラウリン酸ビニル、アジピン酸ジビニル、クロトン酸ビニル、2-エチルヘキサン酸ビニル、三員環化合物類(例えば、ビニルシクロプロパン類、1-フェニル-2-ビニルシクロプロパン類、2-フェニル-3-ビニルオキシラン類、2,3-ジビニルオキシラン類等)、環状ケテンアセタール類(例えば、2-メチレン-1,3-ジオキセパン、ジオキソラン類、2-メチレン-4-フェニル-1,3-ジオキセパン、4,7-ジメチル-2-メチレン-1,3-ジオキセパン、5,6-ベンゾ-2-メチレン-1,3-ジオキセパン等)、アリルグリシジルエーテル、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート、イソシアヌル酸トリアリレート、などが挙げられる。
[1-3.樹脂成分]
活性エネルギー線硬化型プライマー組成物は、水酸基含有(メタ)アクリレートとともに、樹脂成分、好ましくはオリゴマーを含むこともあるし、含まないこともある。また、樹脂(好ましくはオリゴマー)は、活性エネルギー線によって反応性を発現する官能基(炭素-炭素二重結合など)を有していてもよいし、有していなくてもよい。
[1-3-1.重量平均分子量500~100000であり、カルボン酸基、ヒドロキシル基及びウレタン基のうち1種以上を有し、及び/又はエチレン性不飽和基を有する樹脂]
活性エネルギー線硬化型プライマー組成物は、水酸基含有(メタ)アクリレートとともに、「カルボン酸基、ヒドロキシル基及びウレタン基のうち1種以上を有し、及び/又はエチレン性不飽和基を有する樹脂」を含有してもよい。また、当該樹脂の重量平均分子量は500~100000の範囲であればよい。重量平均分子量は、例えば、GPC法(Gel Permeation Chromatography;ゲル浸透クロマトグラフィー, SEC法ともいう)によって測定することができる。当該樹脂は、a)スチレンアクリルオリゴマー、b)アミン変性(メタ)アクリレートオリゴマー、c)エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、d)ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー、e)ポリウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、f)その他のオリゴマーなどであり得る。
a)スチレンアクリルオリゴマーとしては、少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマーであれば特に制限されず:スチレンアクリルオリゴマーの例には、US-1071、X-1、YS-1274、VS1047、RS-1191(星光PMC社)が挙げられる。
b)アミン変性(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、少なくとも1つのアミノ基と、少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマーであれば特に制限されないが;アミン変性(メタ)アクリレートオリゴマーが分子中に有する(メタ)アクリロイル基の数は、1つ以上であればよく、1つ以上6つ以下であることが好ましく、2つ以上4つ以下であることがより好ましい。(メタ)アクリロイル基の数が上記範囲であると、アミン変性(メタ)アクリレートオリゴマーが重合性化合物と反応しやすくなる。
b)アミン変性(メタ)アクリレートオリゴマーは、合成して得ることもできるし、市場から入手することも可能である。アミン変性(メタ)アクリレートオリゴマーの市販品の例には、GENOMER5161、GENOMER5275(RAHN社)、CN371、CN371NS、CN373、CN383、CN384、CN386、CN501、CN503、CN550、CN551(サートマー社)、EBECRYL80、EBECRYL81、EBECRYL83、EBECRYL7100、EBECRYL84、EBECRYLP115(ダイセル・オルネクス社)、Laromer PO83F、Laromer PO84F、Laromer LR8946、Laromer LR8956、Laromer LR8996、Laromer LR8894(BASF社)、AgiSyn001、AgiSyn002、Agisyn003、Agisyn008(DSM Coating Resin社)、Photomer4771、Photomer4775、Photomer4967、Photomer5096、Photomer5662、Photomer5930(コグニス社)、DoublecureEPD、DoublecureOPD、Doublecure115、Doublecure225、Doublecure645、PolyQ222、PolyQ226、PolyQ224、PolyQ101(Double Bond Chemicals社)などが挙げられる。
c)エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、ビスフェノールAエポキシジアクリレート等の少なくとも1つのエポキシ基と、少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマーであれば特に制限されない。エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーは、合成して得ることもできるし、市場から入手することも可能である。エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーの市販品の例には、EBECRYL600、EBECRYL605、EBECRYL3606、EBECRYL3500、EBECRYL860(ダイセル・オルネクス社)、CN116、CN120B60、CN120M50、CN131B、CN132、CN137、CN152、CN153、CN2102E、CN2003(サートマー社)、Miramer PU2100、Miramer PE210(MIWON社)などが挙げられる。
d)ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、ポリエステル構造と、少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマーであれば特に制限されない。ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマーの市販品の例には、EBECRYL811、EBECRYL884、EBECRYL885、EBECRYL812、EBECRYL800、EBECRYL810、EBECRYL450、EBECRYL870、EBECRYL1830、OTA480、PETRA(ダイセル・オルネクス社)や、トール油脂肪酸変性6官能ポリエステルアクリレート(例えば、AgiSyn716(DSM Coating Resin社)、Miramer PS420(MIWON社)などが挙げられる。
e)ポリウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、ポリウレタン構造と少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマーであれば特に制限されない。ポリウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、合成して得ることもできるし、市場から入手することも可能である。ポリウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの市販品の例には、EBECRYL230、EBECRYL270、EBECRYL4858、EBECRYL8402、EBECRYL8804、EBECRYL4513、EBECRYL4738、EBECRYL4740、EBECRYL8465、EBECRYL9260、EBECRYL4666、EBECRYL8210、EBECRYL8606、EBECRYL1290、EBECRYL5129、EBECRYL8301R、KRM8200、EBECRYL210、EBECRYL220等(ダイセル・オルネクス社)、Miramer PU2100、Miramer WS2600、Miramer WS4000(MIWON社)などが挙げられる。
f)その他のオリゴマーとしては、ロジン変性エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエーテル(メタ)アクリレートオリゴマー、未反応の不飽和基を備えたアクリル樹脂、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、不飽和ポリウレタン、アクリル変性フェノール系樹脂、アクリル化アミン化合物オリゴマー等からなる群より選ばれる1種以上を用いることができる。
[1-3-2.その他の樹脂]
活性エネルギー線硬化型プライマー組成物は、[1-3-1]で説明した樹脂以外の、その他の樹脂(好ましくはオリゴマー)を含有してもしなくてもよい。その他の樹脂は、活性エネルギー線によって反応性を発現する官能基(炭素-炭素二重結合など)を有していてもよいし、有していなくてもよい。例えば、ロジン変性ポリエステル、アクリル樹脂、ジアリルフタレート樹脂を含有してもしなくてもよい。
その他の樹脂の例には、アクリル系樹脂(アクリル酸、メタクリル酸等のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体と、これらのエチレン性不飽和単量体と共重合可能なスチレン、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、グリセロールモノアクリレート、グリセロールメタクリレート、N-フェニルマレイミド、ポリスチレンマクロモノマー及びポリメチルメタクリレートマクロモノマーからなる群より選択される少なくとも1種のエチレン性不飽和単量体との共重合体)、ポリウレタン系樹脂(ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート化合物;イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネートなどの脂環族ジイソシアネート化合物;キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’-テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどの芳香脂肪族ジイソシアネート化合物;トルイレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート化合物等のジイソシアネート化合物と、ポリエステルジオール化合物、ポリエーテルジオール化合物、ポリカーボネート化合物、ポリブタジエングリコール化合物などの高分子ジオール等のジオール化合物を反応させて得られたウレタンプレポリマーに、さらに、鎖伸長剤および反応停止剤を反応させて得られる樹脂)、その他にポリエステル系樹脂、セルロース誘導体等の公知の樹脂が挙げられる。
[1-4.重合開始剤]
活性エネルギー線硬化型プライマー組成物は、重合開始剤を含有してもしなくてもよい。例えば、紫外線硬化型プライマー組成物とする場合は、重合開始剤を通常含む必要があり;それによって、接着力の高いプライマー層を得ることができる。一方、電子線硬化型プライマー組成物とする場合は、重合開始剤を含まなくてもよく;重合開始剤を含有しないほうが、接着力の高いプライマー層を得ることができる。
重合開始剤の例には、アシルフォスフィンオキサイド系化合物、トリアジン系化合物、芳香族ケトン系化合物、芳香族オニウム塩系化合物、有機過酸化物、チオキサントン系化合物、チオフェニル系化合物、アントラセン系化合物、ヘキサアリールビスイミダゾール系化合物、ケトオキシムエステル系化合物、ボレート系化合物、アジニウム系化合物、メタロセン系化合物、活性エステル系化合物、ハロゲン化炭化水素系化合物、及びアルキルアミン系化合物、ヨードニウム塩系化合物及びスルフォニウム塩系化合物、などが含まれ、これらからなる群より選ばれる1種以上を用いることができる。
アシルフォスフィンオキサイド系化合物の例には、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイドやビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、などが含まれ、これらからなる群より選ばれる1種以上を用いることができる。
トリアジン系化合物の例には、2,4,6-トリクロロ-s-トリアジン、2-フェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-トリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-ピペニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-スチリル-s-トリアジン、2-(ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシ-ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-トリクロロメチル-(ピペロニル)-6-トリアジン及び2,4-トリクロロメチル(4’-メトキシスチリル)-6-トリアジン、などが含まれ、これらからなる群より選ばれる1種以上を用いることができる。
その他の重合開始剤の例には、ベンゾフェノン、ジエチルチオキサントン、2-メチル-1-(4-メチルチオ)フェニル-2-モルフォリノプロパン-1-オン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2,2-ジメチル-2-ヒドロキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(モルホリノフェニル)-ブタン-1-オン、などが挙がられ、これらからなる群より選ばれる1種以上を用いることができる。
[1-5.着色剤]
活性エネルギー線硬化型プライマー組成物は、着色剤、具体的には顔料及び染料を含有してもよいし、しなくてもよい。着色剤としての有機顔料の例には、染料レーキ顔料、アゾ系、ベンズイミダゾロン系、フタロシアニン系、キナクリドン系、アントラキノン系、ジオキサジン系、インジゴ系、チオインジコ系、ペリレン系、ペリノン系、ジケトピロロピロール系、イソインドリノン系、ニトロ系、ニトロソ系、アンスラキノン系、フラバンスロン系、キノフタロン系、ピランスロン系、インダンスロン系の顔料などが挙げられる。着色剤としての無機顔料の例には、カーボンブラック、酸化チタン、ベンガラ、黒鉛、鉄黒、酸化クロムグリーン、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム等が挙げられる。
とりわけ、活性エネルギー線硬化型プライマー組成物からなるプライマー層に、着色のための印刷を行う場合には、プライマー組成物に白色の着色剤を配合して、プライマー層に白色下地層の機能をもたせて印刷画像の発色性を高めることができる。このように白色下地層となるインクを、ファーストダウンホワイトインクなどということがある。白色の着色剤は、白色顔料であることが好ましく、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、酸化アンチモン、及び酸化ジルコニウム等の白色無機顔料等が挙げられる。二酸化チタンや酸化亜鉛等の遮蔽性の高い白色顔料を用いることが好ましいが、なかでも、高い遮光性が得られる点から二酸化チタンが好ましい。
[1-6.その他の成分]
活性エネルギー線硬化型プライマー組成物は、有機溶剤、顔料及び染料、その他の添加剤(表面調整剤、光安定化剤、表面処理剤、酸化防止剤、老化防止剤、架橋促進剤、可塑剤、紫外線吸収剤、防黴剤、防腐剤、消泡剤、保湿剤等)等の成分を、本発明による効果を毀損しない範囲において含有してもよいし、しなくてもよい。
[1-6-1.有機溶媒]
活性エネルギー線硬化型プライマー組成物は、少量の有機溶媒(例えば、プライマー組成物に対して3質量%以下)を含むか、又は含まないことが好ましい。有機溶媒の例には、モノアルコール類、多価アルコール類、多価アルコールの低級アルキルエーテル類、ケトン類、エーテル類、エステル類、窒素含有化合物類などを挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記モノアルコール類の例には、n-プロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、n-ペンタノール、n-ヘキサノール、n-ヘプタノール、n-オクタノール、n-ノニルアルコール、n-デカノール、又はこれらの異性体、シクロペンタノール、シクロヘキサノールなどが挙げられ、好ましくはアルキル基の炭素数が1~6のアルコールを使用できる。
上記多価アルコール類の例には、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール、1,2-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-シクロヘキサンジオール、ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、チオジグリコールなどが挙げられる。
上記多価アルコールの低級アルキルエーテル類の例には、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールイソブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール-n-プロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテルなどが挙げられる。
上記ケトン類の例には、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソプロピルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどが挙げられる。
上記エーテル類の例には、イソプロピルエーテル、n-ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4-ジオキサンなどが挙げられる。
上記エステル類の例には、プロピレンカルボネート、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、乳酸エチル、酪酸エチル、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、及び、ε-カプロラクトン、ε-カプロラクタムなどの環状エステル等が挙げられる。
[1-7.活性エネルギー線硬化型プライマー組成物の物性など]
活性エネルギー線硬化型プライマー組成物は、活性エネルギー線を照射されることによって硬化することができるが、好ましくは電子線を照射されることで硬化することができる。より詳細に、活性エネルギー線硬化型プライマー組成物は、10~500kGyの活性エネルギー線(好ましくは電子線)で硬化可能であることが好ましい。
活性エネルギー線硬化型プライマー組成物の表面張力HLB値(デイビス法)は、8.0以上が好ましく、8.6以上がより好ましく、9.0以上が更に好ましく;また、20.0以下が好ましく、16.0以下がより好ましく、14.0以下が更に好ましい。デイビス法により表面張力値を求めるにあたり、予め定められている官能基毎の基数に基づき、「HLB値=7+Σ(親水基の基数)+Σ(親油基の基数)」により算出することができる。
[1-8.活性エネルギー線硬化型プライマー組成物の製法]
活性エネルギー線硬化型プライマー組成物は、水酸基含有(メタ)アクリレートのみから構成されてもよいが;その他の成分を含む場合には、水酸基含有(メタ)アクリレートとその他の成分とを混合撹拌して、プライマー組成物を調製することができる。
[1-9.活性エネルギー線硬化型プライマー組成物の用途]
本発明の活性エネルギー線硬化型プライマー組成物は、塗工して形成したプライマー組成物層を硬化させることで、プライマー層とすることができる。当該プライマー層は、活性エネルギー線硬化型インクによる印刷層と他の層(好ましくはプラスチックフィルムや接着剤層)との間に形成されることで、両者の密着性またはラミネート強度を高めることができる。
[2.積層体について]
本発明の積層体は、被印刷基材と、プライマー層と、活性エネルギー線硬化型インクの硬化物である印刷層と、を具備するプライマー層含有積層体である。ここで、プライマー層は、前述の「1.活性エネルギー線硬化型プライマー組成物」で説明した組成物を硬化して得られる硬化物である。積層体において、1)被印刷基材と、プライマー層と、印刷層とがこの順に積層しているか(図1、図2、図3参照)、又は、2)被印刷基材と、印刷層と、プライマー層とがこの順に積層している(図4参照)。なお、図3に示されるオーバープリント層(13-2)が、上述の「1.」に記載した活性エネルギー線硬化型プライマー組成物の硬化物である場合には、図3の態様は、前記1)に該当する態様でもあり、かつ前記2)に該当する態様でもある。
本発明の積層体は、被印刷基材、プライマー層、及び印刷層とともに、他の層を有していてもよい。例えば図3に示すように、積層体は、印刷層(12-2)を覆うオーバープリント層(13-2)を有することがある。また、図5A又は図5Bに示すように、積層体は、被印刷基材に対して印刷層を有する側の面に、接着剤層とシーラント層とを、この順に更に有していてもよい。つまり、積層体は:1)被印刷基材(10)と、プライマー層(11-2)と、印刷層(12-2)と、接着剤層(14)と、シーラント層(15)と、をこの順に有していたり(図5A);2)被印刷基材(10)と、印刷層(12-2)と、プライマー層(11-2)と、接着剤層(14)と、シーラント層(15)と、をこの順に有していたりする(図5B)。
[2-1.被印刷基材]
被印刷基材は、印刷層が形成される表面層である被印刷層を含む。被印刷基材は、プラスチック、紙、金属、複合材などの材料で構成されうる。好ましい被印刷基材は、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、二軸延伸ポリプロピレン、キャストポリプロピレン、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート(PET))、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド(ナイロン)、ポリスチレン、ポリ乳酸から誘導されるバイオベースのフィルムや箔などをベースとしたプラスチックフィルムである。
被印刷基材の被印刷層は、例えばアクリルコーティングやポリウレタンコーティングで被覆されていてもよいし、化学的に表面処理されていても、コロナ表面処理されていても、プラズマ表面処理されていても、火炎処理されてメタライズされていてもよい。
特に、被印刷基材の被印刷層は、その表面エネルギーを高めて、濡れ性を向上させておくことが好ましい場合がある。被印刷基材の被印刷層にプライマー組成物や印刷インキを塗布しやすくするためである。表面エネルギーを高めるには、被印刷基材の被印刷層をコロナ処理しておくことが好ましい。これにより、被印刷層に水酸基やカルボニル基などの官能基が生成され、表面エネルギーが増大する。被印刷基材の被印刷層の表面張力は、例えば38~45dynes/cmであればよい。
印刷される被印刷基材の厚みは特に限定されず、積層体の用途に応じて設定すればよいが;例えば、積層体を包装材料や食品包装材料に用いる場合には、250μm以下であることが多い。
[2-2.プライマー層]
積層体におけるプライマー層は、上述の「1.」に記載した活性エネルギー線硬化型プライマー組成物の硬化物である。プライマー層の単位面積当たりの量は、印刷層と他の層との十分な密着性やラミネート強度が得られるように設定すればよい。積層体におけるプライマー層に含まれる硬化物の量は、0.5g/m以上であり、1.5g/m以上であることが好ましく、2.0g/m以上であることがより好ましく;一方、5.0g/m以下であることが好ましく、3.5g/m以下であることがより好ましく、3.0g/m以下であることが更に好ましい。プライマー層に含まれる硬化物の量が多いほど(0.5g/m以上であると)、十分な密着性やラミネート強度が得られる。また、プライマー層に含まれる硬化物の量が多すぎると、硬化収縮により積層体がカールすることがあるため、5.0g/m以下とすることが好ましい。
プライマー層は、プライマー組成物を塗布して塗膜を形成し、それを硬化することで形成される。ここで、プライマー組成物の塗膜において、プライマー組成物に含まれる水酸基含有(メタ)アクリレートの水酸基が被印刷層側に局在化し、(メタ)アクリレート基が表面側(空気と接する側)に局在化する。表面側に局在化した(メタ)アクリレート基は、塗膜に塗布された組成物(例えば、インク組成物や接着剤組成物)に含まれる官能基((メタ)アクリル基など)と反応して結合することができると考えられる。
[2-3.印刷層]
印刷層は、活性エネルギー線硬化型インクの硬化物である。活性エネルギー線硬化型インクは、活性エネルギー線を照射されることによって硬化する組成物であれば特に限定されないが;好ましくは電子線硬化型インクであり、重合開始剤を含有しないことが好ましい。反応せずに残存する重合開始剤やその残渣が、マイグレーションする恐れがあるからである。ただし、活性エネルギー線硬化型インクは、オフセット印刷によって印刷可能であることが好ましい。
積層体における印刷層に含まれる硬化物の量は、0.5g/m以上であり、1.5g/m以上であることが好ましく、2.0g/m以上であることがより好ましく;一方、5.0g/m以下であることが好ましく、3.5g/m以下であることがより好ましく、3.0g/m以下であることが更に好ましい。印刷層に含まれる硬化物の量が多いほど(0.5g/m以上であると)、積層体の十分な密着性やラミネート強度が得られる。また、印刷層に含まれる硬化物の量が多すぎると、硬化収縮により積層体がカールすることがあるため、5.0g/m以下とすることが好ましい。
[2-4.他の任意の層]
積層体は、被印刷層を含む被印刷基材、プライマー層、印刷層とともに、他の層を有していてもよい。例えば、図3に示すように、印刷層(12-2)を覆うオーバープリント層(13-2)を更に有していてもよい。また、被印刷基材に対して印刷層を有する側の面に、接着剤層とシーラント層とを、この順に更に有していてもよい。具体的には、図5A又は図5Bに示すような態様が考えられる。
図3に示されるオーバープリント層(13-2)や、図5A及び図5Bに示される接着剤層(14)は、上述の「1.」に記載した活性エネルギー線硬化型プライマー組成物の硬化物であってもよいし、異なる組成物からなる層であってもよい。
また、図5A及び図5Bに示されるシーラント層は、通常は、ラミネートフィルムであり;ラミネートフィルムの材質は、[2-1.被印刷基材]に記載した基材の材質から選択できるが、例えば、LLDPE(低密度ポリエチレン)やCPP(無延伸ポリプロピレン)などが好ましい。
[2-5.積層体の製法]
本発明の積層体の製法プロセスは、その積層順序によって、大きく2つに分類されうる。第1のプロセスは、1)被印刷層を具備する被印刷基材(フィルム)を用意する工程、2)被印刷層にプライマー組成物を塗布してプライマー組成物層を形成する工程、3)プライマー組成物層又はそれを硬化したプライマー層に、印刷インキを塗布してインキ層を形成する工程、4)インキ層を硬化する(それと同時にプライマー組成物層を硬化してもよい)工程、を少なくとも含む(図1、図2、図3参照)。
図1には、第1態様の積層体の製法フローが示される。まず、被印刷層を有する被印刷基材(10)を用意し、被印刷層に活性エネルギー線硬化型プライマー組成物を塗布してプライマー組成物層(11-1)を形成する(工程1a)。プライマー組成物層(11-1)に活性エネルギー線を照射してプライマー組成物層(11-1)を硬化して、プライマー層(11-2)とする(工程1b)。更に、プライマー層(11-2)に、活性エネルギー線硬化型インクを塗布して印刷インク層(12-1)を形成し(工程1c)、印刷インク層(12-1)に活性エネルギー線を照射して、印刷インク層(12-1)を硬化して印刷層(12-2)とする。
図2には、第2態様の積層体の製法フローが示される。まず、被印刷層を有する被印刷基材(10)を用意し、被印刷層に活性エネルギー線硬化型プライマー組成物を塗布してプライマー組成物層(11-1)を形成する(工程2a)。次に、プライマー組成物層(11-1)に、活性エネルギー線硬化型インクを塗布して印刷インク層(12-1)を形成する(工程2b)。その後、プライマー組成物層(11-1)及び印刷インク層(12-1)に活性エネルギー線を照射して、プライマー組成物層(11-1)及び印刷インク層(12-1)をそれぞれ硬化して、プライマー層(11-2)及び印刷層(12-2)とする。
図3には、第3態様の積層体の製法フローが示される。まず、被印刷層を有する被印刷基材(10)を用意し、被印刷層に活性エネルギー線硬化型プライマー組成物を塗布してプライマー組成物層(11-1)を形成する(工程3a)。次に、プライマー組成物層(11-1)に活性エネルギー線を照射して、プライマー組成物層(11-1)を硬化させてプライマー層(11-2)とする(工程3b)。プライマー層(11-2)に活性エネルギー線硬化型インクを塗布して印刷インク層(12-1)を形成する(工程3c)。その後、印刷インク層(12-1)に活性エネルギー線を照射して、印刷インク層(12-1)を硬化させて印刷層(12-2)とする(工程3d)。更に、印刷層(12-2)を覆うようにニスを塗布してオーバープリントニス層(13-1)を形成し(工程3e)、オーバープリントニス層を硬化してオーバープリント層(13-2)とする(工程3f)。ここで、オーバープリントニス層を形成するニスは、本発明の活性エネルギー線硬化型プライマー組成物であってもよい。なお、オーバープリントニス層(13-1)を構成するプライマー組成物と、プライマー組成物層(11-1)を構成するプライマー組成物とは、同一又は異なる処方組成であり得る。
前述の通り、被印刷基材の被印刷基材(10)の表面は、濡れ性を高めるための処理をされていてもよく、例えば、コロナ表面処理されていてもよい。
活性エネルギー線硬化型プライマー組成物の塗布、及び活性エネルギー線硬化型インク組成物の塗布は特に限定されず、平版印刷(オフセット印刷)、凸版印刷(フレキソ印刷)、凹版印刷(グラビア印刷)、孔版印刷(スクリーン印刷)、あるいはデジタル印刷(インクジェット印刷など)のいずれでもよいが;好ましくは、オフセット印刷により塗布される。
プライマー組成物層の硬化、及びインク組成物層の硬化は、活性エネルギー線を照射することで行うことができるが、好ましくは電子線を照射することで行う。硬化のために照射する電子線の照射量は10kGy以上が好ましく、100kGy以上がより好ましい。また500kGy以下が好ましく、300kGy以下がより好ましい。また、活性エネルギー線が紫外線である場合は(例えば、組成物が重合開始剤を含有するとき)、紫外線の照射量は、400mJ/cm以上が好ましい。
本発明の積層体の製法プロセスの第2のプロセスは、1)被印刷層を具備する被印刷基材(フィルム)を用意する工程、2)被印刷層にインク組成物を塗布してインク組成物層を形成する工程、3)インク組成物層又はそれを硬化した印刷層に、プライマー組成物を塗布してプライマー組成物層を形成する工程、4)プライマー組成物層を硬化する(それと同時にインク組成物層を硬化してもよい)工程、を少なくとも含む(図4参照)。
図4には、第4態様の積層体の製法フローが示される。まず、被印刷層を有する被印刷基材(10)を用意し、被印刷層に活性エネルギー線硬化型インクを塗布して、印刷インク層(12-1)を形成する。印刷インク層(12-1)に活性エネルギー線硬化型プライマー組成物を塗布して、プライマー組成物層(11-1)を形成する。印刷インク層(12-1)及びプライマー組成物層(11-1)に活性エネルギー線を照射して、印刷インク層(12-1)及びプライマー組成物層(11-1)をそれぞれ硬化し、印刷層(12-2)及びプライマー層(11-2)とする。
図1~図4に示されていないが、得られた積層体に、更に接着剤層と、シーラント層と、を形成する工程を有していてもよい。接着剤層及びシーラント層の形成工程は、被印刷基材に対して印刷層を有する側の面に(図1及び2では印刷層(12-2)上に、図3ではオーバープリント層(13-2)上に、図4ではプライマー層(11-2)上に)、接着剤組成物を塗布し、更に接着剤組成物の塗布膜にラミネートフィルムを重ね合わせた状態で、接着剤組成物を硬化させて接着剤層とすればよい。ここで、接着剤組成物は、上述の「1.」に記載した活性エネルギー線硬化型プライマー組成物であってもよいし、他の組成物であってもよい。
[2-6.積層体の用途]
本発明の積層体は、活性エネルギー線硬化型インクで形成された印刷層と、被印刷層を構成する非印刷基材やラミネートフィルムとの密着性やラミネート強度が高いので、その特性を活かして、軟包装用フィルムなどとして用いることができるが、特に用途が限定されるわけではない。軟包装用フィルムは、例えば、食品包装や医薬品包装に用いることができる。
以下において、実施例を参照して本発明を説明するが、これら実施例の記載によって本発明が限定して解釈されてはならない。なお、特に断りのない限り、「%」は「質量%」を意味し、「部」は「質量部」を意味する。
[A.プライマー組成物]
以下に示す水酸基含有(メタ)アクリレートを、各実施例のプライマー組成物として用いた。
<水酸基含有(メタ)アクリレート>
・M340:ペンタエリスリトールトリアクリレート、Miwon社製
・M305:ペンタエリスリトールトリアクリレート含有混合物(水酸基価115mgKOH/g)、東亞合成社製
・M306:ペンタエリスリトールトリアクリレート含有混合物(水酸基価154mgKOH/g)、東亞合成社製
・M933:ペンタエリスリトールトリアクリレート含有混合物(水酸基価250-300mgKOH/g)、東亞合成社製
・M920:グリセリンジアクリレート含有混合物、(水酸基価240mgKOH/g)、東亞合成社製
また、以下に示す成分を、各比較例のプライマー組成物として用いた。
<その他の二重結合を有する化合物成分>
・M3130:トリメチロールプロパン(EO3モル付加物)トリアクリレート、Miwon社製
・M3150:トリメチロールプロパン(EO15モル付加物)トリアクリレート、Miwon社製
<樹脂(オリゴマー)>
・PU2510 ウレタンアクリレート、Miwon社製
・CN-111 商品名「サートマーCN-111」、エポキシ化大豆油変性アクリレート、サートマー製
[B.積層体の作製]
上述の[A]で用意したプライマー組成物を用いて、各実施例及び比較例の積層体を作製した。
被印刷基材として、以下のプラスチックフィルムを用意した。
・PTM ポリエステルフィルム、商品名「エンブレットPTM」、ユニチカ社製
・FOR ポリプロピレンフィルム、商品名「FOR」、フタムラ化学社製
・ONM ナイロンフィルム、商品名「ONM」、ユニチカ社製
・N1102 ナイロンフィルム、商品名「N1102」、東洋紡社製
また、活性エネルギー線硬化型インクとして、以下のインクを用意した。
・HP1 Y:EB硬化型黄色オフセットインキ、サカタインクス社製
[B-1.積層体(被印刷基材、印刷層、プライマー層の順に積層)の作製]
活性エネルギー線硬化型インク(HP1 Y)を、簡易展色機(RIテスター、豊栄精工社)を用いて、各被印刷基材に塗布した。具体的には、活性エネルギー線硬化型インク(HP1 Y)を、RIテスターのゴムロール及び金属ロール上に均一に引き伸ばし、各被印刷物の表面に展色して、インク硬化後の印刷濃度が1.30となるように展色物(インク塗布膜)を作製(つまり、展色)した。
次に、各被印刷基材に塗布形成したインク塗布膜に、表1に示す各プライマー組成物を簡易展色機(RIテスター、豊栄精工社)を用いて塗布した。具体的には、表1に示す量(0.2cc)の各プライマー組成物をインク塗布膜に塗布して、プライマー組成物層を作製(つまり、展色)した。なお、表1の比較例1では、プライマー組成物層を作製しなかった。
更に、得られたサンプルに、プライマー組成物層側から電子線を照射して、インク塗布膜及びプライマー組成物層を硬化した。具体的には、アイ・エレクトロンビーム社の電子線照射装置を用いて、酸素濃度が200ppm以下の雰囲気下で、加速電圧を90kVとし、電子線の照射の照射量は30kGyとして、電子線を照射した。
Figure 0007326673000002
[B-2.積層体(被印刷基材、プライマー層、印刷層の順に積層)の作製]
表2に示す各プライマー組成物を、簡易展色機(RIテスター、豊栄精工社)を用いて、各被印刷基材に塗布した。具体的には、表2に示す量の各プライマー組成物を被印刷基材に塗布して、プライマー組成物層を作製(つまり、展色)した。その後、得られたサンプルに、プライマー組成物層側から電子線を照射して、プライマー組成物層を硬化してプライマー層とした。具体的には、アイ・エレクトロンビーム社の電子線照射装置を用いて、酸素濃度が200ppm以下の雰囲気下で、加速電圧を90kVとし、電子線の照射の照射量は30kGyとして、電子線を照射した。
次に、各被印刷基材に形成したプライマー層に、活性エネルギー線硬化型インク(HP1 Y)を簡易展色機(RIテスター、豊栄精工社)を用いて塗布した。具体的には、活性エネルギー線硬化型インク(HP1 Y)を、RIテスターのゴムロール及び金属ロール上に均一に引き伸ばし、各被印刷物の表面に展色して、インク硬化後の印刷濃度が1.30となるように展色物(インク塗布膜)を作製(つまり、展色)した。その後、得られたサンプルに、プライマー組成物層側から電子線を照射し、インク組成物層を硬化して印刷層とした。具体的には、アイ・エレクトロンビーム社の電子線照射装置を用いて、酸素濃度が200ppm以下の雰囲気下で、加速電圧を90kVとし、電子線の照射の照射量は30kGyとして、電子線を照射した。
Figure 0007326673000003
[B-3.積層体(被印刷基材、プライマー層、印刷層、プライマー層の順に積層)の作製]
表3に示す第1のプライマー組成物を、簡易展色機(RIテスター、豊栄精工社)を用いて、各被印刷基材に塗布して、第1のプライマー組成物層を作製(つまり、展色)した。その後、得られたサンプルに、第1のプライマー組成物層側から電子線を照射して、第1のプライマー組成物層を硬化して第1のプライマー層とした。具体的には、アイ・エレクトロンビーム社の電子線照射装置を用いて、酸素濃度が200ppm以下の雰囲気下で、加速電圧を90kVとし、電子線の照射の照射量は30kGyとして、電子線を照射した。
次に、各被印刷基材に形成した第1のプライマー層に、活性エネルギー線硬化型インク(HP1 Y)を簡易展色機(RIテスター、豊栄精工社)を用いて塗布した。具体的には、活性エネルギー線硬化型インク(HP1 Y)を、RIテスターのゴムロール及び金属ロール上に均一に引き伸ばし、各被印刷物の表面に展色して、インク硬化後の印刷濃度が1.30となるように展色物(インク塗布膜)を作製(つまり、展色)した。更に、インク塗布膜に表3に示す第2のプライマー組成物を、簡易展色機(RIテスター、豊栄精工社)を用いて各被印刷基材に塗布して、第2のプライマー組成物層を作製(つまり、展色)した。その後、得られたサンプルに、第2のプライマー組成物層側から電子線を照射し、インク塗布膜と第2のプライマー組成物層とを硬化して、印刷層及び第2のプライマー層とした。具体的には、アイ・エレクトロンビーム社の電子線照射装置を用いて、酸素濃度が200ppm以下の雰囲気下で、加速電圧を90kVとし、電子線の照射の照射量は30kGyとして、電子線を照射した。
Figure 0007326673000004
[C.積層体の評価]
各実施例及び比較例で得られた積層体に、接着剤層を介して、ラミネートフィルムを積層した。具体的には、得られた積層体の印刷層又はプライマー層上に、接着剤(三井化学社製タケラックA969V/タケネートA-5)を固形分として2.0g/mとなる量にて塗布し、ドライラミネート機で無延伸ポリプロピレンフィルム(三井化学東セロ社製「GLC」、厚さ40μm)を積層した。得られた積層体サンプルについて、以下の評価を行い、評価結果を表1~表3に示した。
[C―1.剥離強度]
各実施例及び比較例で得られた積層体サンプルを40℃で1日経時した後、15mm幅に切断した。切断したサンプルを、測定温度25℃、引張速度200mm/minの条件で、剥離試験機(安田精機製作所社)を用いてT型剥離強度(N/15mm)を測定した。当該剥離試験によって、剥離が生じた場合(表1及び2で「B」で示される)と、剥離が生じずにフィルムが破断した場合(表1及び2で「F」で示される)とがあった。「B」の場合には剥離が生じたときの応力を、「F」の場合には破断が生じたときの応力を、表1~3に示す。
表1に示されるように、所定量のプライマー組成物として水酸基含有(メタ)アクリレート(M340、M306、M933、M920)を用いた場合には、いずれの被印刷基材を用いた場合も、剥離が生じることなくフィルムが破断した。つまり、フィルムの破断強度以上に、密着性が得られていることがわかる。一方で、プライマー組成物を用いない場合(比較例1)は被印刷基材によっては剥離が発生し、所定量未満の水酸基含有(メタ)アクリレートを含むプライマー組成物を用いた場合(比較例6~8)はいずれの被印刷基材を用いても剥離が発生した。また、他のオリゴマーなどをプライマー組成物とした場合(比較例2~5)には、いずれの被印刷基材を用いても剥離が発生した。
同様に、表2に示されるように、所定量のプライマー組成物として水酸基含有(メタ)アクリレート(M340、M305、M306、M933、M920)を用いた場合には、いずれの被印刷基材を用いた場合も、剥離が生じることなくフィルムが破断した。つまり、フィルムの破断強度以上に、密着性が得られていることがわかる。一方で、他のオリゴマーなどをプライマー組成物とした場合(比較例9及び10)には、いずれの被印刷基材を用いても剥離が発生した。
表3に示されるように、所定量のプライマー組成物として水酸基含有(メタ)アクリレートの膜硬化物を、被印刷基材に形成し(第1のプライマー)、かつ印刷層上にも形成した(第2のプライマー)場合も、剥離が生じることなくフィルムが破断した。
本発明の積層体は、活性エネルギー線硬化型インクの硬化物である印刷層を有するところ、当該印刷層の密着性やラミネート強度、つまり、被印刷基材への密着性や、ラミネートフィルムに対するラミネート強度が高い。そのため、本発明の積層体は、印刷が必要な軽包装フィルムなどとして、特に好適に適用されうる。
10 被印刷基材
11-1 プライマー組成物層(硬化前)
11-2 プライマー層(硬化後)
12-1 印刷インク層(硬化前の印刷層)
12-2 印刷層(硬化後)
13-1 オーバープリントニス層
13-2 オーバープリント層
14 接着剤層
15 シーラント層

Claims (8)

  1. 被印刷基材、プライマー層、及び印刷層を含む、プライマー層含有積層体において:
    前記被印刷基材、前記プライマー層、及び前記印刷層がこの順に積層しているか、又は前記被印刷基材、前記印刷層、及び前記プライマー層がこの順に積層しており;
    前記プライマー層が、水酸基含有(メタ)アクリレートを含む重合性成分を含有する活性エネルギー線硬化型プライマー組成物の硬化物であって、前記活性エネルギー線硬化型プライマー組成物における前記全重合性成分に対する、前記水酸基含有(メタ)アクリレートの割合は45.0質量%以上であり、かつ、前記水酸基含有(メタ)アクリレートの分子量が100~2000であり、かつ
    前記プライマー層に含まれる硬化物の量は、0.5g/m以上であり;かつ
    前記印刷層が、活性エネルギー線硬化型インクの硬化物である、積層体。
  2. 活性エネルギー線硬化型インクが、電子線硬化型である、請求項1に記載の積層体。
  3. 前記水酸基含有(メタ)アクリレートが、ペンタエリスリトール、ポリペンタエリスリトール、グリセリン、ポリグリセリン、トリメチロールプロパン、及びポリトリメチロールプロパンから選ばれる1種以上の化合物と、(メタ)アクリル酸とが、エステル結合してなる化合物を含む、請求項1又は2に記載の積層体。
  4. 前記水酸基含有(メタ)アクリレートの水酸基価が30~400mgKOH/gである請求項1又は2に記載の積層体。
  5. 前記水酸基含有(メタ)アクリレートが、1分子あたり2~4の(メタ)アクリロイル基を有する請求項1又は2に記載の積層体。
  6. 前記活性エネルギー線硬化型プライマー組成物は、電子線硬化型である、請求項1又は2に記載の積層体。
  7. 前記積層体は、前記被印刷基材に対して前記印刷層を有する側の面に、接着剤層とシーラント層とを、この順にさらに積層してなる、請求項1又は2に記載の積層体。
  8. 水酸基含有(メタ)アクリレートを含む重合性成分を含有する活性エネルギー線硬化型プライマー組成物であって、
    前記水酸基含有(メタ)アクリレートの分子量は100~2000であり、
    前記活性エネルギー線硬化型プライマー組成物における前記重合性成分全体に対する、前記水酸基含有(メタ)アクリレートの割合は45.0質量%以上であり、
    プラスチックフィルムと、活性エネルギー線硬化型インクの印刷層と、の間にプライマー層を形成するために用いられる、活性エネルギー線硬化型プライマー組成物。
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