JP2021123609A - オレフィン系樹脂基材用活性エネルギー線硬化型プライマー塗料組成物及び積層体 - Google Patents

オレフィン系樹脂基材用活性エネルギー線硬化型プライマー塗料組成物及び積層体 Download PDF

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大介 上窪
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孝幸 瓜生
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幸典 遠藤
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Abstract

【課題】オレフィン系樹脂基材上に意匠性を損なうことなく付着性の高いコーティング層を形成し得る、活性エネルギー線硬化型プライマー塗料組成物を提供する。【解決手段】オレフィン系樹脂基材用の活性エネルギー線硬化型プライマー塗料組成物であって、特定の重量平均分子量及び水接触角を有する非塩素化ポリオレフィン樹脂と、重合性不飽和基含有化合物と、光重合開始剤として特定量のベンゾフェノン化合物とを含む、活性エネルギー線硬化型プライマー塗料組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、オレフィン系樹脂シート等の難接着基材に対して用いられる、オレフィン系樹脂基材用の活性エネルギー線硬化型プライマー塗料組成物、該プライマー塗料組成物を用いてなる積層体、及びその製造方法に関する。
非極性樹脂であるオレフィン系樹脂に代表される難接着材料、例えば、ポリエチレン・ポリプロピレン・ポリブテンや、ポリフルオロエチレン・塩素化ポリエチレン・塩素化プロピレン、又は、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体、シクロオレフィン樹脂、ノルボルネン系環状ポリオレフィン樹脂等に代表されるオレフィン系樹脂を用いた基材(シート等)は、他材料を接着、あるいは基材表面に良好に塗装又は印刷を施すことは困難であり、これら難接着材料の付着性等を改善するため、これまで、種々の方法が提案されてきた。
この問題に対して、オレフィン系樹脂基材の表面にプラズマ処理やガス炎処理を施し活性化することにより、付着性を改良する方法がある。しかし、この方法では、工程が複雑で、多大な設備費や時間的なロスを伴うという問題があった。さらに、基材の形の複雑さや、樹脂中の顔料や添加物の影響により、表面処理効果にバラツキを生ずる等の欠点を有している。
又、塩素化ポリオレフィン樹脂をコーティング組成物として用いることにより、極性の塗料や極性物質とオレフィン系樹脂基材との親和性を高め、付着性の向上を図る方法もある。しかし、脱塩酸による安定性の問題や、近年の環境意識の高まりにより、塩素の使用が忌避される傾向がある等の問題を有している。
オレフィン系樹脂基材のような非極性の基材に塗料の成分を付着させる性能を有する樹脂は、一般に、活性エネルギー線硬化性化合物との相溶性が悪い。そのため、オレフィン系樹脂基材上に活性エネルギー線硬化型塗料を塗布する際は、該基材に塗料やインキの成分を付着させる性能を有する樹脂を下塗りした後(プレコート)、活性エネルギー線硬化型の塗料や接着剤を塗布するのが通常であった。
このような状況下、オレフィン系樹脂基材に塗料やインキの成分を付着させる性能を有する樹脂の、活性エネルギー線硬化型化合物との相溶性を改善する技術の開発が進められている。例えば、塩素化ポリオレフィン樹脂と光硬化型化合物を含む組成物(特開2005−139305号公報:特許文献1)や、不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体を所定量含有し、かつ重量平均分子量が所定範囲である変性ポリオレフィン樹脂を含有する紫外線硬化型コーティング組成物(特開2003−238885号公報:特許文献2)が知られている。しかし、特許文献1の技術では紫外線の照射による脱塩酸の発生とそれに伴う付着力の経時安定性の低下が懸念され、また特許文献2の技術では実質上多量の希釈溶剤を使用する必要があるために環境負荷が大きく、また基材を浸漬することから透明性が低くなり、意匠性を損なう場合があった。
このような活性エネルギー線硬化型プライマー塗料組成物及びその積層体は、例えば自動車内装部品などの樹脂成形品に適用されることがある。3次元成形に追従する十分な伸長性(引き伸ばされても基材フィルム層やコーティング層にクラック等が入らないこと)と付着性の他、樹脂成形品表面の成形用コーティングフィルムは人体に接触する機会が多いため、人の皮脂、汗に含まれる乳酸成分や、夏場や暑い地域において日焼け止め用のクリーム、ローションなどに対する耐性(耐薬品性)も重要視されるようになってきている。特にこのような分野によく適用される、インモールド成形、インサート成形あるいは3次元ラミネート成形法など、加飾に利用されるコーティングフィルムにおいては、基材フィルム層やコーティング層が引き伸ばされて薄層化されるため、高い成形性及び付着性の他、高い耐薬品性、高い意匠性も要求されている。しかしながら、従来技術では、十分な成形性(伸長性)と、成形後の伸張された状態における付着性、耐薬品性並びに意匠性を満足できるようなコーティングフィルムは得られていない。
特開2005−139305号公報 特開2003−238885号公報 国際公開公報2010−084913号パンフレット 国際公開公報2017−022704号パンフレット
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その一つの態様において、オレフィン系樹脂基材用の活性エネルギー線硬化型プライマー塗料組成物であって、非塩素化ポリオレフェン樹脂を用い、オレフィン系樹脂基材に対して優れた付着性を発揮するとともに、優れた被膜特性を備えたプライマー層を形成し得る、オレフィン系樹脂基材用の活性エネルギー線硬化型プライマー塗料組成物を提供しようとするものである。また、本発明は、別の態様において、前記活性エネルギー線硬化型プライマー塗料組成物を用いた積層体、及びその製造方法を提供しようとするものである。
かかる状況の下、本発明者らは鋭意研究した結果、オレフィン系樹脂基材用の活性エネルギー線硬化型プライマー塗料組成物であって、特定の重量平均分子量及び水接触角を有する非塩素化ポリオレフィン樹脂と、重合性不飽和基含有化合物と、光重合開始剤として特定量のベンゾフェノン化合物とを含む活性エネルギー線硬化型プライマー塗料組成物を用いることによって、上記課題を解決できることを見出した。
本発明は、以下の項に示す態様を含むものである。
[項1]
重量平均分子量が1000〜100万の範囲内であり、熱乾燥させた時の膜の水接触角が70〜120の範囲内である非塩素化ポリオレフィン樹脂(A)、
重合性不飽和基含有化合物(B)、及び
光重合開始剤(C)、
を含有するオレフィン系樹脂基材用の活性エネルギー線硬化型プライマー塗料組成物であって、前記光重合開始剤(C)がベンゾフェノン化合物(C−1)を含み、前記ベンゾフェノン化合物(C−1)の含有量が、前記活性エネルギー線硬化型プライマー塗料組成物中の全被膜形成成分を基準として10〜30質量%の範囲内である、活性エネルギー線硬化型プライマー塗料組成物。
[項2]
前記非塩素化ポリオレフィン樹脂(A)及び前記重合性不飽和基含有化合物(B)の含有量が、前記活性エネルギー線硬化型プライマー塗料組成物中の全被膜形成成分を基準として60質量%以上であって、前記非塩素化ポリオレフィン樹脂(A)と前記重合性不飽和基含有化合物(B)との含有量の比率が、質量比率で30〜80/70〜20の範囲内である、項1に記載の活性エネルギー線硬化型プライマー塗料組成物。
[項3]
前記重合性不飽和基含有化合物(B)が、分子量が180〜600の範囲内である重合性不飽和基含有化合物を含む、項1又は項2に記載の活性エネルギー線硬化型プライマー塗料組成物。
[項4]
前記光重合開始剤(C)が、前記ベンゾフェノン化合物(C−1)と分子内開裂型光重合開始剤(C−2)を含み、前記ベンゾフェノン化合物(C−1)と前記分子内開裂型光重合開始剤(C−2)の含有量の比率が、質量比率として98/50〜2/50の範囲内である、項1〜項3のいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化型プライマー塗料組成物。
[項5]
項1〜項4のいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化型プライマー塗料組成物であって、前記活性エネルギー線硬化型プライマー塗料組成物を硬化させて形成される硬化塗膜層のヘーズが、JIS K 7136:2000に準拠して測定された値として1.0%以下の値である、活性エネルギー線硬化型プライマー塗料組成物。
[項6]
オレフィン系樹脂基材の少なくとも一つの表面に、項1〜項5のいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化型プライマー塗料組成物を硬化させて形成されるプライマー層を有する、積層体。
[項7]
オレフィン系樹脂基材の少なくとも一つの表面に、項1〜項5のいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化型プライマー塗料組成物を塗布し、硬化させることによって、プライマー層を形成する工程(1)、及び
前記プライマー層の表面に、ハードコート用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を塗工して、ハードコート層を形成する工程(2)、
を含む、オレフィン系樹脂基材上にプライマー層とハードコート層の少なくとも2層を有する積層体の製造方法。
[項8]
前記オレフィン系樹脂基材が、前記プライマー層とハードコート層の少なくとも2層を有する表面とは異なる表面に、意匠層及び/又は接着層を有する、項7に記載の積層体の製造方法。
[項9]
前記プライマー層の膜厚が0.1μm〜3.0μmの範囲内である、項7又は項8に記載の積層体の製造方法。
[項10]
前記工程(2)の前に、前記活性エネルギー線硬化型プライマー塗料組成物に活性エネルギー線を照射する工程をさらに含む、項7〜9のいずれか一項に記載の積層体の製造方法。
[項11]
前記ハードコート用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が、反応性ナノシリカと重合性不飽和基を有するアクリル樹脂及び/又はウレタン(メタ)アクリレートを含有する、項7〜10のいずれか一項に記載の積層体の製造方法。
本発明によれば、オレフィン系樹脂基材用の活性エネルギー線硬化型プライマー塗料組成物であって、非塩素化ポリオレフェン樹脂を用い、オレフィン系樹脂基材に対して優れた付着性を発揮するとともに、優れた被膜特性を備えたプライマー層を形成し得る、オレフィン系樹脂基材用の活性エネルギー線硬化型プライマー塗料組成物が提供される。また、本発明によれば、前記活性エネルギー線硬化型プライマー塗料組成物を用いた積層体、及びその製造方法が提供される。本発明のオレフィン系樹脂基材用の活性エネルギー線硬化型プライマー塗料組成物を用いることにより、オレフィン系樹脂基材表面に、高い付着性を有するとともに、例えば十分な耐薬品性や意匠性を示すコーティング層を備えたフィルムや成形体を得ることができる。
本発明に係るオレフィン樹脂基材用の活性エネルギー線硬化型プライマー塗料組成物は、特定の非塩素化ポリオレフィン樹脂(A)と、重合性不飽和基含有化合物(B)と、光重合開始剤(C)として特定量のベンゾフェノン化合物(C−1)とを含むものである。
<非塩素化ポリオレフィン樹脂(A)>
本発明の活性エネルギー線硬化型プライマー塗料組成物は、重量平均分子量範囲1000〜100万の範囲内であり、熱乾燥させた時の膜の水接触角が70〜120の範囲内である非塩素化ポリオレフィン樹脂(A)を含有する。
非塩素化ポリオレフィン(A)は、塩素化をしていないポリオレフィンであり、エチレン、プロピレン、ブチレン、ヘキセンなどの炭素数が2〜10のオレフィン類から選ばれた1種又は2種以上を重合せしめてなる(共)重合体である。又、さらに、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸などの不飽和カルボン酸、(メタ)アクリル酸のアルキルエステル、スチレン、アクリロニトリルなどのその他の重合性単量体を既知の方法に従って共重合せしめる又はグラフト重合により変性したポリオレフィンも包含される。これらのその他の重合性単量体の比率はオレフィン類との合計量を基準に50質量%以下、特に30質量%以下が適している。
具体的には、三菱化学(株)製「モディック」シリーズ、三井化学(株)製「アドマー」シリーズ、「ユニストール」シリーズ、東洋紡(株)製「トーヨータック」シリーズ、三洋化成(株)製「ユーメックス」シリーズ、日本ポリエチレン(株)製「レクスパールEAA」シリーズ、「レクスパールET」シリーズ、ダウ・ケミカル(株)製「プリマコール」シリーズ、三井・デュポンポリケミカル製「ニュクレル」シリーズ、アルケマ製「ボンダイン」シリーズとして市販されている。
非塩素化ポリオレフィン(A)の重量平均分子量は1000〜100万の範囲内である。重量平均分子量がこの範囲内であればオレフィン系樹脂基材に対して濡れ不足、ハジキ、ヘコミ等の外観不良防止という効果が得られる。非塩素化ポリオレフィン(A)の重量平均分子量は、好ましくは1000〜20万の範囲内であり、より好ましくは5千〜10万の範囲内である。
なお、本発明の明細書において重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)を用いて測定した重量平均分子量を、標準ポリスチレンの分子量を基準にして換算した値である。具体的には、ゲルパーミュエーションクロマトグラフとして、「HLC8120GPC」(商品名、東ソー社製)を使用し、カラムとして、「TSKgel G−4000HXL」「TSKgel G−3000HXL」「TSKgel G−2500HXL」及び「TSKgel G−2000HXL」(商品名、いずれも東ソー社製)の4本を使用し、移動相テトラヒドロフラン、測定温度40℃、流速1mL/min及び検出器RIの条件下で測定することができる。
また、本発明における非塩素化ポリオレフィン(A)は、熱乾燥させた時の膜の水接触角が70〜120の範囲内のものである。熱乾燥させた時の膜の水接触角がこの範囲内であれば、ハードコート用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物との付着性という効果が得られる。非塩素化ポリオレフィン(A)の熱乾燥させた時の膜の水接触角は、好ましくは70〜110の範囲内であり、より好ましくは70〜90の範囲内である。
ここで、水接触角とは、得られた塗膜に蒸留水0.4μLを滴下し5秒経過後の接触角(単位:°)をいう。本明細書において接触角測定に用いた接触角計は、「CA−X150型」(協和界面科学株式会社製)である。
本明細書では、熱乾燥させた時の膜の水接触角は、該非塩素化ポリオレフィンを含む溶液をガラス板などにバーコーター等で乾燥膜厚が1μm程度となるよう塗装し、100℃で1時間乾燥して塗膜を作製し、得られた塗膜の水接触角を上記接触角計等により測定することができる。
<重合性不飽和基含有化合物(B)>
本発明のオレフィン樹脂基材用活性エネルギー線硬化型プライマー塗料組成物は、重合性不飽和基含有化合物(B)を含有する。重合性不飽和基含有化合物(B)としては、その化学構造中に重合性不飽和基を少なくとも1つ有する化合物であれば特に限定されず、単官能重合性不飽和基含有化合物、多官能重合性不飽和基含有化合物が挙げられる。また。前記重合性不飽和基はラジカル重合しうる不飽和基であって、具体的には、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、マレイミド基、ビニルエーテル基等を挙げることができる。これらの重合性不飽和基のうち、反応性に優れる観点から、アクリロイル基及びメタクリロイル基が好ましく、アクリロイル基が特に好ましい。また、重合性不飽和基含有化合物(B)としては、分子内にエステル結合、ウレタン結合、尿素結合及びチオウレタン結合等を有していても良い。
単官能重合性不飽和基含有化合物としては、例えば、一価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化物等が挙げられる。具体的には、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、4−tert−ブチルシクロヘキサノールアクリレート、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノールアクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、環状トリメチロールプロパンホルマール(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、N−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド等が挙げられる。また、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、2−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、2−カルボキシプロピル(メタ)アクリレート、5−カルボキシペンチル(メタ)アクリレート等のカルボキシル基含有(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有重合性不飽和基含有化合物;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、α−クロルスチレン等のビニル芳香族化合物;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の含窒素アルキル(メタ)アクリレート;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド等の重合性アミド化合物等が挙げられる。
多官能重合性不飽和基含有化合物としては、例えば、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化物等が挙げられる。具体的には、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジアクリレート、水素化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、水素化ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、水素化ヘキサフルオロビスフェノールAジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート化合物;グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等のトリ(メタ)アクリレート化合物;ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等のテトラ(メタ)アクリレート化合物;ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート;ウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これら重合性不飽和基含有化合物(B)は単独で又は2種以上組合せて使用することができる。
重合性不飽和基含有化合物(B)としては、活性エネルギー線硬化性化合物との相溶性の観点から、その分子量が180〜600の範囲内のものが好ましく、200〜350の範囲内のものがより好ましい。
また、本発明の活性エネルギー線硬化型プライマー塗料組成物における重合性不飽和基含有化合物(B)の含有量は、活性エネルギー線硬化性の観点から、本発明の活性エネルギー線硬化型プライマー塗料組成物中の全被膜形成成分に対して20〜60質量%の範囲内であることが好ましく、30〜50質量%の範囲内であることがより好ましい。ここで、本明細書において、本発明の活性エネルギー線硬化型プライマー塗料組成物中の全被膜形成成分とは、該組成物から、水、有機溶媒等の溶媒を除いた残渣(固形分)の合計質量を意味する。
<光重合開始剤(C)>
光重合開始剤(C)は、活性エネルギー線を吸収して、フリーラジカル(中間体の形態でも)を発生する化合物であり、2種以上の化合物の混合物であってもよい。光重合開始剤(C)としては、光化学的に活性化可能な化合物(たとえばベンゾイン)、発色団と共開始剤(たとえばベンゾフェノン及び第三級アミン)との組合せ及びこれらの混合物、増感剤と、共開始剤との(たとえばチオキサントンと第三級アミン)又は発色団との(たとえばチオキサントンとアミノケトン)の組合せ、Hと鉄(II)塩との組合せ等のレドックス系、染料及びホウ酸塩及び/又はアミン等の電子輸送ペアー等を挙げることができる。
光重合開始剤(C)として具体的には、例えば、ベンジル、ジアセチル等のα−ジケトン化合物;ベンゾイン等のアシロイン化合物;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のアシロインエーテル化合物;チオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、チオキサントン−4−スルホン酸等のチオキサントン化合物;ベンゾフェノン、o−メチルベンゾイルベンゾエート、4−メチルベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン化合物;ミヒラーケトン化合物;アセトフェノン、2−(4−トルエンスルホニルオキシ)−2−フェニルアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、α,α’−ジメトキシアセトキシベンゾフェノン、2,2’−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、p−メトキシアセトフェノン、2−メチル〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、α−イソヒドロキシイソブチルフェノン、α,α’−ジクロル−4−フェノキシアセトフェノン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン等のアセトフェノン化合物;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(アシル)フォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド化合物;アントラキノン、1,4−ナフトキノン等のキノン;フェナシルクロライド、トリハロメチルフェニルスルホン、トリス(トリハロメチル)−s−トリアジン等のハロゲン化合物;ジ−t−ブチルパーオキサイド等の過酸化物等を挙げることができる。これらの光重合開始剤(C)は、それぞれ単独でもしくは2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明では、光重合開始剤(C)としてベンゾフェノン化合物(C−1)を含む。このようなベンゾフェノン化合物(C−1)としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル−4−フェニルベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルスルフィド、アクリル化ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等が挙げられる。中でも、基材との付着性や耐擦傷性が特に優れる点から、ベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノンが好適に使用される。
本発明においては、ベンゾフェノン化合物(C−1)の含有量は、活性エネルギー線硬化型プライマー塗料組成物中の全被膜形成成分を基準として10〜30質量%である。ベンゾフェノン化合物(C−1)の含有量が、活性エネルギー線硬化型プライマー塗料組成物中の全被膜形成成分を基準として10質量%以上であれば、活性エネルギー線硬化性向上という効果が得られる。また、30質量%以下であれば、残留揮発成分低減という効果が得られる。ベンゾフェノン化合物(C−1)の含有量は、オレフィン系樹脂基材接着の観点から、活性エネルギー線硬化型プライマー塗料組成物中の全被膜形成成分を基準として、11〜20質量%であることが好ましく、13〜18質量%であることがより好ましい。
また、本発明では、光重合開始剤(C)として、ベンゾフェノン化合物(C−1)に加えて、他の光重合開始剤を併用してもよく、例えば、分子内開裂型光重合開始剤(C−2)を併用してもよい。分子内開裂型光重合開始剤は、活性エネルギー線を照射することにより当該化合物が開裂してラジカルを発生するタイプの光重合開始剤であり、例えば、アルキルフェノン系光重合開始剤、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤、オキシムエステル系光重合開始剤等が挙げられる。これらの中でもアルキルフェノン系光重合開始剤が好適に用いられ、特に2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロ、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン等のα−ヒドロキシアルキルフェノン系光重合開始剤、及び2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン等のベンジルケタール系光重合開始剤が好適に用いられる。
光重合開始剤(C)として、ベンゾフェノン化合物(C−1)と分子内開裂型光重合開始剤(C−2)を併用する場合、その含有量の比率は、質量比率として98/50〜2/50の範囲内であることが、オレフィン系樹脂基材接着の観点から好ましく、98/80〜2/20の範囲内であることがより好ましい。
<その他の成分>
本発明で用いる活性エネルギー線硬化型プライマー塗料組成物は、さらに必要に応じて各種添加剤を配合してもよく、所望により溶媒で希釈してもよい。添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、レオロジーコントロール剤、表面調整剤(シリコン系表面調整剤、アクリル系表面調整剤、フッ素系表面調整剤、ビニル系表面調整剤等)、界面活性剤、樹脂粒子、易滑剤、脱泡剤、離型剤、シランカップリング剤、帯電防止剤、防曇剤、着色剤等が使用できる。本発明の活性エネルギー線硬化型プライマー塗料組成物は、耐光性が求められる用途に関しては、さらに紫外線吸収剤及び/又は光安定剤を含有していても良い。
紫外線吸収剤
上記紫外線吸収剤としては、従来から公知の有機系紫外線吸収剤及び無機系紫外線吸収剤が使用でき、例えば、ベンゾトリアゾール系吸収剤、トリアジン系吸収剤、サリチル酸誘導体系吸収剤、ベンゾフェノン系吸収剤及びその他(ヒドロキシフェニルトリアジン系、シュウ酸アニリド、シアノアクリレート等)の化合物等が挙げられる。無機系紫外線吸収剤としては、例えば微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛、微粒子酸化鉄等が挙げられる。また、上記紫外線吸収剤は、重合性不飽和基を有するものであっても良い。前記紫外線吸収剤を含有する場合、該紫外線吸収剤の含有量は、全被膜形成成分に対して、0.01〜10質量%、好ましくは0.05〜9質量%の範囲内であることが好適である。
光安定剤
上記光安定剤としては、特に限定されず、従来公知のものを広く使用することができるが、好ましくはヒンダードピペリジン化合物が挙げられる。ヒンダードピペリジン化合物は、一分子中に少なくとも一個のヒンダードピペリジン基を有する化合物である。
ヒンダードピペリジン化合物としては、例えば、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル){[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル}ブチルマロネート等のモノマータイプのもの;ポリ{[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノール]}等のオリゴマータイプのもの;4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールとコハク酸とのポリエステル化物等のポリエステル結合タイプのもの等が挙げられるが、これらに限ったものではない。光安定剤としては、また、公知の重合性光安定剤も使用することが可能である。
上記光安定剤の市販品としては、例えば、TINUVIN123、TINUVIN 152、TINUVIN292(商品名、BASF社製)、HOSTAVIN3050、HOSTAVIN3052、HOSTAVIN3058(商品名、クラリアント社製)、アデカスタブLA−82(商品名、株式会社ADEKA製)等が挙げられる。
これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、前記光安定剤を含有する場合、その含有量は、全被膜形成成分に対して、0.01〜30質量%、好ましくは5〜20質量%の範囲内であることが好適である。
前記溶媒は、本発明の活性エネルギー線硬化型プライマー塗料組成物の溶液粘度を適宜調整し、特に薄膜コーティングを行う際に膜厚を調整することができるため適宜選択することが好ましい。ここで使用できる有機溶媒としては、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物を溶解又は分散せしめうるものであれば、特に制限されないが、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;メタノール、エタノール、イソプロパノール、t−ブタノール等のアルコール類;酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類等が挙げられる。これらの溶媒は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
<活性エネルギー線硬化型プライマー塗料組成物>
本発明のオレフィン系樹脂基材用の活性エネルギー線硬化型プライマー塗料組成物は、以上述べた非塩素化ポリオレフィン樹脂(A)、重合性不飽和基含有化合物(B)、光重合開始剤(C)を主成分として含むものであり、さらに必要に応じて使用される添加成分を溶媒中に混合し、溶解又は分散せしめて調製することができる。
本発明のオレフィン系樹脂基材用の活性エネルギー線硬化型プライマー塗料組成物において、非塩素化ポリオレフィン樹脂(A)及び前記重合性不飽和基含有化合物(B)の含有量は、オレフィン系樹脂基材接着及び塗装作業性の観点から、前記活性エネルギー線硬化型プライマー塗料組成物中の全被膜形成成分を基準として60質量%以上であることが好ましく、75〜95の範囲内であることがより好ましく、80〜90の範囲内であることがさらに好ましい。
また、非塩素化ポリオレフィン樹脂(A)と前記重合性不飽和基含有化合物(B)との使用質量比率は、オレフィン系樹脂基材接着の観点から、30〜80/70〜20の範囲内であることが好ましく、30〜60/70〜40の範囲内であることがより好ましく、40〜50/60〜50の範囲内であることがさらに好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化型プライマー塗料組成物は、これを硬化させて形成される硬化塗膜層のヘーズが、JIS K 7136:2000に準拠して測定された値として1.0%以下の値であることが、積層体としたときの透明性の観点から好ましく、0.6以下であることがさらに好ましい。
このようにして調製された活性エネルギー線硬化型プライマー塗料組成物は、オレフィン樹脂系樹脂基材上に塗布し硬化させることにより、基材に対して優れた付着性を発揮するとともに、優れた被膜特性を備えたプライマー層を形成することができ、かかるプライマー層を有する積層体の製造に用いることができる。例えば、本発明のオレフィン系樹脂基材用の活性エネルギー線硬化型プライマー塗料組成物を用いることにより、オレフィン系樹脂基材表面に、高い付着性を有するとともに、十分な耐薬品性や意匠性を示すコーティング層を備えたフィルムや成形体を得ることができる。
本発明の活性エネルギー線硬化型プライマー塗料組成物により、基材に対して優れた付着性を発揮するとともに、優れた被膜特性を備えたプライマー層を形成することができる理由は必ずしも明らかではないが、表面に極性を有し、内部は非極性である塗膜が形成できていることが推測される。
<プライマー層を有する積層体>
オレフィン系樹脂基材の少なくとも片面に、本発明のオレフィン系樹脂基材用活性エネルギー線硬化型プライマー塗料組成物を硬化させて形成されるプライマー層を形成することにより、オレフィン系樹脂基材上にプライマー層を有する積層体を得ることができる。
オレフィン系樹脂基材
オレフィン系樹脂基材としては、従来から公知のオレフィン系樹脂基材の中から適宜選択できる。このようなオレフィン系樹脂基材としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン樹脂、ポリブタジエン系樹脂、環状オレフィン系樹脂(COP)、EPDMゴム、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)等、及びこれらから選ばれる2種以上の混合物、複合体又は積層体からなる基材が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、オレフィン系樹脂基材の形状は特段限定されるものではなく、シート、フィルム、直方体その他の成形体からなる基材を用いることができる。オレフィン系樹脂基材がフィルムである場合、その厚さは、特に限定されないが、18〜1000μmであることが好ましく、50〜500μmであることがより好ましく、100〜300μmであることがさらに好ましい。なお、オレフィン系樹脂基材は、必要に応じて顔料や各種の添加物を配合したものであってもよいし、表面処理を施したものであってもよい。
塗工工程
本発明の活性エネルギー線硬化型プライマー塗料組成物を塗装する方法は、特に限定されるものではない。例えば、スプレー、回転霧化塗装機、浸漬塗装、ダイコート、マイクログラビアコート、グラビアコート、ロールコート、コンマコート、エアナイフコート、キスコート、スプレーコート、かけ渡しコート、ディップコート、スピンナーコート、ホイーラーコート、刷毛塗り、シルクスクリーンによるベタコート、ワイヤーバーコート、フローコート等により塗装することができる。塗装の際、静電印加を行ってもよい。
塗装膜厚
塗装膜厚は、硬化膜厚として通常0.1〜3.0μmの範囲内とすることができ、積層体としたときの透明性の観点から、好ましくは0.5〜2.0μmの範囲内、さらに好ましくは1.0〜1.5μmの範囲内とすることができる。
活性エネルギー線照射
上記基材に形成された被膜は、活性エネルギー線を照射することにより重合させ、硬化させてプライマー層とすることができる。照射される活性エネルギー線としては、公知のものを使用することができる。具体的には、紫外線、可視光線、レーザー光(近赤外線レーザー、可視光レーザー、紫外線レーザー等)、マイクロ波、電子ビーム、電磁波等を挙げることができる。これらの活性エネルギー線のうち、経済性の観点から、紫外線を好適に使用することができる。
活性エネルギー線の照射源としては、公知のものを使用することができる。具体的には、例えば、超高圧、高圧、中圧、低圧の水銀灯、無電極ランプ、ケミカルランプ、カーボンアーク灯、キセノン灯、メタルハライド灯、蛍光灯、タングステン灯、LED(Light Emitting Diode、発光ダイオード)、太陽光等を使用することができる。また、パルス発光型の活性エネルギー線照射装置も使用することができる。また、活性エネルギー線の照射は、全領域及び/又は一部を、例えば、マスクを介して行っても、レーザービームを用いて行ってもよい。その手段によって特定の領域だけの被膜の硬化を行うことも可能である。活性エネルギー線の照射量は、照射源によって異なるが、活性エネルギー線硬化型プライマー塗料組成物の重合を行なうことができる範囲であればよく、例えば、高圧水銀灯を使用した場合、積算照射量で100〜500mJ/cm2、特に200〜500mJ/cm2の範囲内が好ましい。
<プライマー層とハードコート層を有する積層体>
本発明のオレフィン系樹脂基材用活性エネルギー線硬化型プライマー塗料組成物は、オレフィン系樹脂基材上にプライマー層とハードコート層の少なくとも2層を有する積層体を製造するために用いることができる。
すなわち、本発明の一つの態様によれば、オレフィン系樹脂基材の少なくとも一方の表面に、本発明の活性エネルギー線硬化型プライマー組成物を塗布し、硬化させることによって、プライマー層を形成する工程(1)、及び前記プライマー層の表面に、ハードコート用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を塗工して、ハードコート層を形成する工程(2)、を含む、オレフィン系樹脂基材上にプライマー層とハードコート層の少なくとも2層を有する積層体の製造方法が提供される。
プライマー層の形成は、上記プライマー層塗膜を有する積層体を得る場合に準じて行うことができる。
ハードコート層の形成は、プライマー層の表面にハードコート用樹脂組成物を塗布することにより行うことができる。ハードコート用樹脂組成物としては、ハードコート層を形成し得る樹脂組成物であれば特に制限なく、公知の熱硬化性樹脂組成物、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物等を使用できるが、ハードコート用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が好適に用いられる。
このようなハードコート用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物としては、例えばラジカル重合性不飽和基含有化合物及び光重合開始剤を含有する有機溶剤型、水性、粉体型等の形態の塗料組成物を挙げることができ、特にラジカル重合性不飽和基含有化合物として1分子中に(メタ)アクリロイル基を少なくとも1つ有する(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイル基及びウレタン結合を分子内に少なくとも1つ有するウレタン(メタ)アクリレート、不飽和基含有アクリル樹脂や不飽和基含有ウレタン樹脂などを使用した活性エネルギー線硬化性組成物、さらにはこれらラジカル重合性不飽和基含有化合物に無機微粒子として不飽和シランで処理されていても良いシリカ微粒子などが配合された活性エネルギー線硬化性ハードコート形成用樹脂組成物を使用することができる。なかでも、耐擦り傷性と成形性の観点から反応性ナノシリカと重合性不飽和基を有するアクリル樹脂及び/又はウレタン(メタ)アクリレートを含有する活性エネルギー線硬化性ハードコート形成用樹脂組成物が好適に使用できる。
重合性不飽和基を有するアクリル樹脂の重量平均分子量は、5,000〜200,000の範囲内が好ましく、さらに6,000〜80,000範囲内が好ましい。また、重合性不飽和基を有するアクリル樹脂の不飽和基当量は、不飽和基当量が100〜1000、好ましくは200〜600の範囲内が好ましい。
ウレタン(メタ)アクリレートの重量平均分子量は、500〜6,000範囲内が好ましい。また、ウレタン(メタ)アクリレートの不飽和基当量は、不飽和基当量が100〜1,000、好ましくは110〜600の範囲内が好ましい。
本明細書において、不飽和基を有する化合物の分子量をM、その分子量あたりに含まれる不飽和基の数をσとすると、不飽和基当量はM/σで表される値である。
重合性不飽和基を有するアクリル樹脂の市販品としては、例えば、DIC株式会社製の商品名「ルクシディア LUXYDIR(旧)ユニディック」シリーズ、日立化成社製の商品名「ヒタロイド7000」番台シリーズ、「ヒタロイドUV」シリーズおよび大成ファインケミカル社製の商品名「アクリット8KX」シリーズ、共栄社化学社製の「SMP」シリーズなどが挙げられる。
前記ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーまたはポリマーの市販品として、例えば、日本化薬社製のウレタンアクリレート「KAYARAD UX」シリーズ;共栄社化学社製の「UF」シリーズ、「UA」シリーズ;ダイセル・オルネクス株式会社製の「EBECRYL」シリーズ、「KRM」シリーズ;荒川化学工業社製の商品名「ビームセット500」番台シリーズ;日本合成化学社製の「紫光UV」シリーズ;アルケマ社製の「CN」シリーズ;新中村化学社製の「U」シリーズ;根上工業社製の「アートレジンUN」シリーズ;などを用いることができる。
上記のハードコート用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物には、必要に応じて、顔料類、染料等を含有させることができ、さらに硬化触媒、紫外線吸収剤、光安定剤、消泡剤、増粘剤、防錆剤、表面調整剤等の各種添加剤を適宜含有せしめることができる。
プライマー層及び/又はハードコート層への活性エネルギー線の照射は、上記プライマー層塗膜を有する積層体について説明したところに準じて行うことができる。また、オレフィン系樹脂基材上にプライマー層とハードコート層の少なくとも2層を有する積層体を製造する場合、活性エネルギー線の照射は、プライマー層の形成後及び/又はハードコート層の形成後に行うことができ、プライマー層形成後に照射させることが好ましい。また、ハードコート層を塗装後、活性エネルギー線の照射を行わず、熱乾燥のみでハードコートが未硬化の状態で加工成形を行ってもよい。また加工成形後に活性エネルギー線の照射を行うことができる。
また、オレフィン系樹脂基材は、プライマー層とハードコート層の少なくとも2層を有する表面とは異なる表面に、各種意匠層及び/又は接着層を有することができる。
以下、製造例、実施例及び比較例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明は、これらにより限定されない。各例において、「部」及び「%」は、特記しない限り、質量基準による。また、塗膜の膜厚は硬化被膜に基づく。
≪活性エネルギー線硬化型プライマー塗料組成物≫
(実施例1)
非塩素化ポリオレフィン樹脂No.1を 184部(固形分46.0質量部)、
重合性不飽和化合物No.B−1を46部(固形分46.0質量部)、
重合性不飽和化合物No.B−3を8部(固形分8質量部)及び
光重合開始剤としてベンゾフェノンを18.5部(固形分18.5質量部)、
を固形分が16%になるように酢酸エチル/メチルエチルヘキサノン混合溶液で希釈し攪拌して、オレフィン系樹脂基材用活性エネルギー線硬化型プライマー塗料組成物No.1を得た。
≪プライマー層を有する積層体の製造方法≫
前記実施例1得られたオレフィン系樹脂基材用活性エネルギー線硬化型プライマー塗料組成物No.1を、ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ100μm、ヘーズ値0.3)に乾燥塗膜1μmとなるよう塗布し、室温(相対湿度60%、温度25℃)で20秒セッティングし、その後乾燥温度100℃で30秒乾燥させた。その後、高圧水銀ランプを搭載したベルトコンベア式紫外線(UV)照射機を用いて活性エネルギー線を照射した。
この時の照射条件は、下記とした。
ランプ出力;120W/cm、
ランプと基材の照射距離;23cm、
コンベア速度(基材の搬送速度);6.5m/分。
得られた積層体を各種試験に供した。試験結果と評価結果をあわせて表1−1に示す。
(実施例2〜17及び比較例1〜7)
実施例1において、オレフィン系樹脂基材用活性エネルギー線硬化型プライマー塗料組成物の配合を表1のとおりにし、得られた各オレフィン樹脂系基材用活性エネルギー線硬化型プライマー塗料組成物を用いて実施例1と同様に各積層体No.2〜24を作製し、各種試験に供した。試験結果と評価結果をあわせて表1−1〜表1−3に示す。
Figure 2021123609
Figure 2021123609
Figure 2021123609
表中の各成分の詳細は下記のとおりである。
非塩素化ポリオレフィン樹脂 No.1:重量平均分子量60,000、水接触角75〜90の非塩素化ポリオレフィン樹脂、
非塩素化ポリオレフィン樹脂 No.2:重量平均分子量110万、水接触角75〜90の非塩素化ポリオレフィン樹脂、
非塩素化ポリオレフィン樹脂 No.3:重量平均分子量60,000、水接触角120〜130の非塩素化ポリオレフィン樹脂、
上記非塩素化ポリオレフィン樹脂の水接触角は、該樹脂を熱乾燥させた時の膜の水接触角であり、該非塩素化ポリオレフィンを含む溶液を試料としてPET基材にバーコーター等で乾燥膜厚が1μm程度となるよう塗装し、100℃で1時間乾燥して塗膜を作製した時の水接触角を測定した。接触角測定に用いた接触角計は、「CA−X150型」(協和界面科学株式会社製)を用いた。
重合性不飽和化合物No.B−1:サートマーSR217、商品名、アルケマ株式会社製、脂肪族炭化水素環を有する(メタ)アクリレート化合物、4−tert−ブチルシクロヘキサノールアクリレート、分子量210g/mol、
重合性不飽和化合物No.B−2:ライトアクリレートDCP−A、商品名、共栄社化学株式会社製、脂肪族炭化水素環を有する(メタ)アクリレート化合物、ジメチロール−トリシクロデカンジアクリレート、分子量304g/mol、
重合性不飽和化合物No.B−3:TMPTA、トリメチロールプロパントリアクリレート、不飽和基数3、分子量296g/mol、
重合性不飽和化合物No.B−4:PETA、ペンタエリスリトールトリアクリレート、不飽和基数3、分子量298g/mol、
重合性不飽和化合物No.B−5:DTMPTA、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、不飽和基数4、分子量482g/mol、
光重合開始剤 ベンゾフェノン:水素引き抜き型重合開始剤、ベンゾフェノン系開始剤
光重合開始剤 4−メチルベンゾフェノン:水素引き抜き型重合開始剤、ベンゾフェノン系開始剤
光重合開始剤 Omnirad 184:旧Irgacure 184、商品名、IGM Resins B.V.社製、分子内開裂型重合開始剤、α−ヒドロキシアルキルフェノン系開始剤、化合物名、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、
光重合開始剤 DETX:水素引き抜き型重合開始剤、チオキサントン系開始剤2,4−ジエチルチオキサンテン−9−オン、
光重合開始剤 Omnirad 651:旧Irgacure 651、商品名、IGM Resins B.V.社製、分子内開裂型重合開始剤、ベンジルケタール系開始剤、化合物名、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン
また、表1−1〜表1−3に記載の評価試験及び用語の意味は下記のとおりである。
全被膜形成成分中の樹脂(A)の含有量は、樹脂(A)の固形分を活性エネルギー線硬化型プライマー塗料組成物中の全被膜形成成分(固形分)で除した割合である。
全被膜形成成分中の開始剤(C)の含有量は、開始剤(C)の固形分を活性エネルギー線硬化型プライマー塗料組成物中の全被膜形成成分(固形分)で除した割合である。
ここで、本明細書において、活性エネルギー線硬化型プライマー塗料組成物中の全硬化被膜形成成分とは、該組成物から、水、有機溶媒等の溶媒を除いた残渣(固形分)の合計質量を意味する。
試験項目1:外観
得られた試験積層塗膜の状態を目視で観察し、チヂミ、白化又はハジキ等の塗膜異常の具合を調べ下記基準にて評価した。
◎:チヂミ、白化又はハジキ等の塗膜異常は全く認められず極めて良好、
〇:チヂミ、白化又はハジキ等の塗膜異常はほとんど認められず良好、
〇−:チヂミ、白化又はハジキ等の塗膜異常がわずかに認められるものの製品としたときに問題ないレベル、
△:チヂミ、白化又はハジキ等の塗膜異常が塗膜一部に認められる
×:チヂミ、白化又はハジキ等の塗膜異常が塗膜全体に著しく認められる
試験項目2:相溶性(ヘーズ)
ヘーズ値により組成物の相溶性評価を行った。ヘーズ値の測定は、JIS K7136:2000に準拠して、各活性エネルギー線硬化型プライマー組成物による硬化被膜層を有するフィルムのヘーズ値をプライマー被膜層側から測定をすることにより行った。
相溶性は、該ヘーズ値が、低いものほど透明であることを示し、本発明においては、積層体としたときの透明性の観点から、具体的には1%以下であるものが良好である。
試験項目3:耐溶剤性(上塗り適性)
各試験板の塗膜表面に有機溶剤(メチルエチルケトン;MEK)を0.5mL滴下して、温度20℃、相対湿度75%の雰囲気下に1時間放置した後に、塗膜表面をガーゼで拭取り、外観を目視評価した。
◎:塗膜表面の異常がまったくないもの
○:塗膜表面にわずかに跡がみられるが、水洗すると消えるもの
〇−:塗膜表面にわずかに跡がみられるが、上塗り(ハードコート層)を適用したに問題ないレベル、
△:塗膜表面に変色又は少し白化が認められるもの
×:塗膜表面の変色又は白化が著しいもの。
試験項目4:タックフリー性
指触にてタックの有無を確認した。
◎:指紋跡が全く残らず、タックなし、
○:指紋跡が残らず、タック感がわずかに認められるが使用上問題ないレベル、
△:指紋跡が残り、塗膜一部又は全面にタック感がある、使用上支障があるレベル、
×:粘着性が著しく、著しいタックがある。
試験項目5:基材付着性
前記得られた各オレフィン系樹脂基材用活性エネルギー線硬化型プライマー塗料組成物を、各種基材に乾燥塗膜1μmとなるよう塗布し、室温(相対湿度60%、温度25℃)で20秒セッティングし、その後乾燥温度100℃で30秒乾燥させた。その後、高圧水銀ランプを搭載したベルトコンベア式紫外線(UV)照射機を用いて活性エネルギー線を照射しプライマー層を有する積層体を作製した。照射条件等は、実施例1と同様におこなった。
基材は下記のものを使用した。
基材1(参考例):コスモシャインA4100、商品名、東洋紡株式会社製、A4サイズの厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート製フィルム、ヘーズ値0.9%、全光線透過率92.0%、PETと略されることがある
基材2:ゼオノアフィルムZF16−100、商品名、日本ゼオン株式会社製、A4サイズの厚さ100μmの環状オレフィン樹脂基材、ヘーズ値0.1%未満、全光線透過率92%以上、COPと略されることがある
基材3:ピュアサーモ(登録商標)AG−356AS、商品名、出光ユニテック株式会社製、透明PPフィルムシート、PPフィルム未処理面側に塗装、PPと略されることがある。
各積層体のプライマー層の表面にJIS K 5600−5−6:1999に準じてプライマー塗膜に2mm×2mmのゴバン目100個を作り、その面に粘着テープを貼着し、急激に剥がした後に、塗面に残ったゴバン目塗膜の数を評価した。
◎:残存個数/全体個数=100個/100個で縁欠けなし
○:残存個数/全体個数=100個/100個で縁欠けあり、5個以下である
〇-:残存個数/全体個数=99個〜90個/100個、又は100個/100個で縁欠け6個以上
△:残存個数/全体個数=70〜89個以下/100個
×:残存個数/全体個数=69個以下/100個。
<<プライマー層とハードコート層の少なくとも2層を有する積層体の製造方法>>
(実施例18)
前記実施例15得られたオレフィン系樹脂基材用活性エネルギー線硬化型プライマー塗料組成物(Prと表中略すことがある)No.15を、基材2に乾燥塗膜1μmとなるよう塗布し、室温(相対湿度60%、温度25℃)で20秒セッティングし、その後乾燥温度100℃で30秒乾燥させた。その後、高圧水銀ランプを搭載したベルトコンベア式紫外線(UV)照射機を用いて活性エネルギー線を照射した。
この時の照射条件は、下記とした。
ランプ出力;120W/cm、
ランプと基材の照射距離;23cm、
コンベア速度(基材の搬送速度);6.5m/分。
得られたプライマー層を有する積層体に、さらに固形分35質量%のハードコート塗料組成物No.1(反応性シリカを固形分で16.5質量%、重量平均分子量40,000、不飽和基当量400の重合性不飽和基含有アクリル樹脂を固形分で12質量%含有するアクリルアクリレート系ハードコート組成物、有機溶剤 メチルエチルケトン/酢酸ブチル、HC No.1と略すことがある)を乾燥膜厚5μmとなるように塗装、100℃で30秒の乾燥後、高圧水銀ランプを搭載したベルトコンベア式紫外線(UV)照射機を用いて活性エネルギー線を照射し、プライマー層とハードコート層の少なくとも2層を有する積層体を作製した。得られた積層体を各種試験に供した。試験結果と評価結果をあわせて表2に示す。なお、照射条件は、プライマー塗料の時と同じ条件で行った。
(実施例19〜22)
実施例18において、オレフィン系樹脂基材用活性エネルギー線硬化型プライマー塗料組成物の配合、乾燥膜厚を表2のとおりにし、ハードコート層の乾燥膜厚を表2の通りにする以外は、実施例18と同様に各積層体No.19〜22を作製し、各種試験に供した。試験結果と評価結果をあわせて表2に示す。
Figure 2021123609
また、表2に記載の評価試験は下記のとおりである。
試験項目6:外観(HC層あり)
得られた試験積層塗膜の状態を目視で観察し、白化又はワレ等の塗膜異常の具合を調べ下記基準にて評価した。
◎:白化又はワレ等の塗膜異常は全く認められず極めて良好、
〇:白化又はワレ等の塗膜異常はほとんど認められず良好、
〇−:白化又はワレ等の塗膜異常がわずかに認められるものの製品としたときに問題ないレベル、
△:白化又はワレ等の塗膜異常が塗膜一部に認められる
×:白化又はワレ等の塗膜異常が塗膜全体に著しく認められる
試験項目7:付着性
各積層体のハードコート層の表面から、基材に到達するように、JIS K 5600−5−6:1999に準じて、2mm×2mmのゴバン目100個を作り、その面に粘着テープを貼着し、急激に剥がした後に、塗面に残ったゴバン目塗膜の数を評価した。はがれた界面はすべてPP/プライマー間であった。
◎:残存個数/全体個数=100個/100個で縁欠けなし
○:残存個数/全体個数=100個/100個で縁欠けあり、5個以下である
〇-:残存個数/全体個数=99個〜90個/100個、
又は100個/100個で縁欠け6個以上
△:残存個数/全体個数=70〜89個以下/100個
×:残存個数/全体個数=69個以下/100個。
(実施例23)
前記実施例15得られたオレフィン系樹脂基材用活性エネルギー線硬化型プライマー塗料組成物(Prと表中略すことがある)No.15を、基材2に乾燥塗膜1μmとなるよう塗布し、室温(相対湿度60%、温度25℃)で20秒セッティングし、その後乾燥温度100℃で30秒乾燥させた。その後、高圧水銀ランプを搭載したベルトコンベア式紫外線(UV)照射機を用いて活性エネルギー線を照射した。
この時の照射条件は、下記とした。
ランプ出力;120W/cm、
ランプと基材の照射距離;23cm、
コンベア速度(基材の搬送速度);6.5m/分。
得られたプライマー層を有する積層体に、さらに固形分35質量%のハードコート塗料組成物No.1(反応性シリカを固形分で16.5質量%、重量平均分子量40,000〜60,000、不飽和基当量200〜600の重合性不飽和基含有アクリル樹脂を固形分で12質量%含有するアクリルアクリレート系ハードコート組成物、有機溶剤 メチルエチルケトン/酢酸ブチル、HC No.1と略すことがある)を乾燥膜厚5μmとなるように塗装、100℃で30秒乾燥させてPP基材上にプライマー層とハードコート層の少なくとも2層を有する積層体を、布施真空(株)製両面真空成形機NGF−0709を用いて、TOM成形を行った。成形後の積層体に、高圧水銀ランプを搭載したベルトコンベア式紫外線(UV)照射機を用いて活性エネルギー線を照射し、プライマー層とハードコート層の少なくとも2層を有する成形物を作製した。得られた成形物には、ワレや白化などの外観以上は全く認められず極めて良好で、ハガレなど発生しておらず追従性に優れ、テープ付着性も良好であった。耐薬品性を下記の方法により評価したところ、ニュートロジーナの滴下箇所に変化は全く認められず、耐薬品性も良好であった。
試験項目8:耐薬品性
各成形後の積層体に、ニュートロジーナ ウルトラシアーサンスクリーン SPF100(ジョンソン アンド ジョンソン社製)を1mL滴下した後、80℃にて8時間放置した。その後、ニュートロジーナをガーゼでふき取り、フィルムを水洗し、目視によりフィルムの変化を観測した。
以上、本発明の実施形態及び実施例について具体的に説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。

Claims (11)

  1. 重量平均分子量が1000〜100万の範囲内であり、熱乾燥させた時の膜の水接触角が70〜120の範囲内である非塩素化ポリオレフィン樹脂(A)、
    重合性不飽和基含有化合物(B)、及び
    光重合開始剤(C)、
    を含有するオレフィン系樹脂基材用の活性エネルギー線硬化型プライマー塗料組成物であって、前記光重合開始剤(C)がベンゾフェノン化合物(C−1)を含み、前記ベンゾフェノン化合物(C−1)の含有量が、前記活性エネルギー線硬化型プライマー塗料組成物中の全被膜形成成分を基準として10〜30質量%の範囲内である、活性エネルギー線硬化型プライマー塗料組成物。
  2. 前記非塩素化ポリオレフィン樹脂(A)及び前記重合性不飽和基含有化合物(B)の含有量が、前記活性エネルギー線硬化型プライマー塗料組成物中の全被膜形成成分を基準として60質量%以上であって、前記非塩素化ポリオレフィン樹脂(A)と前記重合性不飽和基含有化合物(B)との含有量の比率が、質量比率で30〜80/70〜20の範囲内である、請求項1に記載の活性エネルギー線硬化型プライマー塗料組成物。
  3. 前記重合性不飽和基含有化合物(B)が、分子量が180〜600の範囲内である重合性不飽和基含有化合物を含む、請求項1又は請求項2に記載の活性エネルギー線硬化型プライマー塗料組成物。
  4. 前記光重合開始剤(C)が、前記ベンゾフェノン化合物(C−1)と分子内開裂型光重合開始剤(C−2)を含み、前記ベンゾフェノン化合物(C−1)と前記分子内開裂型光重合開始剤(C−2)の含有量の比率が、質量比率で98/50〜2/50の範囲内である、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化型プライマー塗料組成物。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化型プライマー塗料組成物であって、前記活性エネルギー線硬化型プライマー塗料組成物を硬化させて形成される硬化塗膜層のヘーズが、JIS K 7136:2000に準拠して測定された値として1.0%以下の値である、活性エネルギー線硬化型プライマー塗料組成物。
  6. オレフィン系樹脂基材の少なくとも一つの表面に、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化型プライマー塗料組成物を硬化させて形成されるプライマー層を有する、積層体。
  7. オレフィン系樹脂基材の少なくとも一つの表面に、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化型プライマー塗料組成物を塗布し、硬化させることによって、プライマー層を形成する工程(1)、及び
    前記プライマー層の表面に、ハードコート用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を塗工して、ハードコート層を形成する工程(2)、
    を含む、オレフィン系樹脂基材上にプライマー層とハードコート層の少なくとも2層を有する積層体の製造方法。
  8. 前記オレフィン系樹脂基材が、前記プライマー層とハードコート層の少なくとも2層を有する表面とは異なる表面に、意匠層及び/又は接着層を有する、請求項7に記載の積層体の製造方法。
  9. 前記プライマー層の膜厚が0.1μm〜3.0μmの範囲内である、請求項7又は請求項8に記載の積層体の製造方法。
  10. 前記工程(2)の前に、前記活性エネルギー線硬化型プライマー塗料組成物に活性エネルギー線を照射する工程をさらに含む、請求項7〜9のいずれか一項に記載の積層体の製造方法。
  11. 前記ハードコート用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が、反応性ナノシリカと重合性不飽和基を有するアクリル樹脂及び/又はウレタン(メタ)アクリレートを含有する、請求項7〜10のいずれか一項に記載の積層体の製造方法。
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