JP5818234B2 - ハードコートフィルム - Google Patents

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Description

本発明は、ハードコートフィルムに関し、更に詳しくは、液晶表示装置、CRT表示装置、プラズマ表示装置、EL(エレクトロルミネッセンス)表示装置、タッチパネルなどの表示装置部品、及び建築物、自動車、電車の窓ガラスなどの保護フィルムとして使用することができる易接着層を介する二軸配向ポリエステルフィルムとハードコート層との密着性に優れたハードコートフィルムに関するものである。
ポリエステルフィルムは、従来から、透明性、機械的性質、耐熱性、寸法安定性、電気絶縁性等に優れた性質を持つため、磁気記録材料、包装材料、電気絶縁材料、各種写真材料、グラフィックアーツ材料等の多くの用途の基材として用いられている。しかしながら、フィルムの表面硬度、耐摩耗性が劣るため他の硬い物質との接触、摩擦、引掻き等により、表面が削れ易く、表面に発生した傷は商品価値を低下させ、短期間で使用不能となる欠点がある。
ポリエステルフィルムはある程度加熱しながら一定方向に引き揃えると分子が変形方向に並ぶことで、言い換えれば結晶配向を完了させることにより強度が増す性質を有するため、ポリエステルフィルムを一軸ないし二軸方向に延伸加工を施すことは一般的に行われている。また、この延伸加工により、耐薬品性や透明性を向上させることが可能である。
しかし、延伸加工したポリエステルフィルムもそれ単独では耐磨耗性、耐擦傷性が不十分であるため、ポリエステルフィルム上にハードコート層を設けることで、耐擦傷性、耐摩耗性を向上させることが考えられるが、例えばアクリル系樹脂のような極性を有する樹脂を含有するハードコート層ではポリエステルフィルムと密着しにくいという問題があった。
そこで、コロナ放電処理、プラズマ放電処理、紫外線照射処理などによるポリエステルフィルムの表面を改質する方法が従来提案されているが、ハードコート層との密着性がまだ不十分であり、ハードコート層が基材フィルムから剥離してしまう場合があるという問題があった。
この問題に対して、特許文献1、特許文献2には、特定の有機化合物や無機化合物を用いる化学処理等による表面の活性化法や、基材フィルム表面にポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、スルホン酸塩基含有ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂等の各樹脂をプライマー層として設ける方法が開示されている。また、特許文献3には、延伸処理を施す前のポリエステルフィルムにハードコート層を塗布し、乾燥した後、延伸、熱処理を施す方法(インラインコート法)が提案されている。
特開昭55−015825号公報 特開昭58−078761号公報 特開平10−166531号公報
しかしながら、上記特許文献1、特許文献2に開示されているような化学処理等による表面の活性化法や、二軸配向ポリエステルフィルムとハードコート層との間に特定の樹脂のプライマー層を設けた場合、従来と比べてポリエステルフィルムとハードコート層との密着性は改善されるものの、耐湿熱条件下(例えば高温高湿下)ではハードコート層の塗膜が基材フィルムから剥れやすく、とくに耐湿熱条件下での密着性が不十分であるという問題がある。
また、上記特許文献3に開示されているインラインコート法では、結晶配向が完了していないポリエステルフィルムとハードコート層を構成する樹脂の伸びなどの物性に違いがあるため、延伸処理時、あるいは延伸処理後に、ポリエステルフィルムあるいはハードコート層に負荷がかかるため、基材フィルムとハードコート層との密着性などの点で十分な品質のハードコートフィルムを得ることができないという問題がある。
そこで、本発明は、このような従来の問題点に鑑み、二軸配向ポリエステルフィルム上に易接着層を介しハードコート層を設けたハードコートフィルムにおいて、特に耐湿熱条件下での密着性にも優れるハードコートフィルムを提供することを目的とする。
本発明者らは、かかる従来技術の問題を解決するために鋭意検討した結果、二軸配向ポリエステルフィルムの少なくとも片面に設けられた易接着層を介してハードコート層が設けられたハードコートフィルムであって、該易接着層の材質に着目し、該易接着層を、ガラス転移点50〜105℃であり、且つ重量平均分子量が30〜55万のアクリル変性物で形成することによって、特に耐湿熱条件下での密着性にも優れるハードコートフィルムが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の構成を有するものである。
(構成1の発明)
二軸配向ポリエステルフィルムの少なくとも片面に設けられた易接着層を介してハードコート層が設けられたハードコートフィルムであって、前記易接着層が、ガラス転移点50〜105℃であり、且つ重量平均分子量が30〜55万のアクリル変性物からなることを特徴とするハードコートフィルムである。
(構成2の発明)
前記易接着層を構成するアクリル変性物は、メチルメタクリレートを骨格とするアクリル変性物であることを特徴とする構成1に記載のハードコートフィルムである。
(構成3の発明)
前記アクリル変性物は、ポリオレフィン樹脂、不飽和二重結合を有する炭化水素あるいは飽和二重結合を有する炭化水素、ウレタン樹脂、又はポリエステル樹脂で変性されたアクリル樹脂であることを特徴とする構成1又は2に記載のハードコートフィルムである。
(構成4の発明)
前記ハードコート層は、電離放射線硬化型樹脂組成物を含有することを特徴とする構成1乃至3のいずれかに記載のハードコートフィルムである。
(構成5の発明)
前記電離放射線硬化型樹脂組成物が、1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有するアクリル系樹脂組成物であることを特徴とする構成4に記載のハードコートフィルムである。
本発明によれば、二軸配向ポリエステルフィルムの少なくとも片面に設けられた易接着層を介してハードコート層が設けられたハードコートフィルムであって、前記易接着層が、ガラス転移点50〜105℃であり、且つ重量平均分子量が30〜55万のアクリル変性物から構成されることで、従来の課題であった特に耐湿熱条件下での密着性にも優れるハードコートフィルムを得ることができる。
本発明のハードコートフィルムの層構成を示す断面図である。
本発明のハードコートフィルムは、図1に示す通りの二軸配向ポリエステルフィルム1の少なくとも片面に易接着層2を介してハードコート層3が設けられたハードコートフィルム10であって、上記易接着層2が、ガラス転移点50〜105℃であり、且つ重量平均分子量が30〜55万のアクリル変性物からなることを特徴としている。
本発明において、ハードコートフィルム10の基材である二軸配向ポリエステルフィルム1は、縦横の延伸により二軸配向したポリエステルフィルムであり、縦横の延伸倍率が2.5倍以上であることが好ましく、より好ましくは縦横の延伸倍率が3〜6倍である。延伸倍率が2.5倍未満であると十分な強度、耐薬品性、透明性を得ることが困難である。また、延伸倍率の上限は特に規定されるものではないが、大きくなりすぎると製造困難になるとともに、延伸処理によるポリエステルフィルムの強度、耐薬品性、透明性の改善効果に優位差は見られなくなるので、例えば6倍以下であることが好適である。
本発明において、上記ポリエステルフィルムの原料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等を例示でき、これらに限定されるものではないが、ポリエチレンテレフタレート(PET)を使用することは耐熱性、経済性、入手性の点から好ましい。
本発明において、上記ポリエステルフィルムの厚さはハードコートフィルムが使用される用途に応じて適宜選択されるが、機械的強度、ハンドリング性などの点から、9〜500μmであることが好ましく、更に好ましくは12〜250μmである。
本発明において、上記易接着層2を構成するアクリル変性物は、ガラス転移点が50〜105℃であり、重量平均分子量は30〜55万であることが必要である。ガラス転移点が50℃未満である場合、基材フィルムに易接着層を塗布した巻取りにおいて、易接着層と基材フィルムとのブロッキングが発生する問題点がある。また、上記易接着層の材質として好適なメチルメタクリレートを骨格とする樹脂にはガラス転移点が105℃超のものは今のところ実存していない。一方、重合平均分子量が30万未満である場合、塗膜の耐溶剤性が低下し、ハードコート塗料を塗布する際、ハードコート塗料の希釈溶剤で易接着層が浸食され基材フィルムと易接着層との密着性が劣る問題点がある。また、重合平均分子量は50万を超えると塗料粘度が高くなり塗工性が低下するため好ましくない。
本発明において、上記易接着層2の材質として用いるアクリル変性物の樹脂骨格はメチルメタクリレートであることが、透明性、耐熱性、耐薬品性、塗膜強度、耐光性などの点から好ましい。
本発明においてアクリル変性物とは、アクリル樹脂を、不飽和二重結合を有する炭化水素あるいは飽和二重結合を有する炭化水素を有する樹脂、オレフィンあるいはポリオレフィン樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、ゴム、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ基あるいはエポキシ基を有する樹脂、イミド基あるいはイミド基を有する樹脂、フッ素あるいはフッ素を有する樹脂、カルボキシ基あるいはカルボキシル基を有する樹脂などを用いて変性したアクリル樹脂であり、アクリル樹脂とポリエステル樹脂とのグラフトポリマー、アクリル樹脂とウレタン樹脂とのグラフトポリマー、アクリル樹脂とポリオレフィン樹脂との共重合体、アクリル樹脂とポリオレフィン樹脂とのブロック共重合体等のアクリル樹脂と他の樹脂との共重合体、ブロック共重合体も該当する。
本発明において、アクリル変性物としては、二軸配向ポリエステルフィルムとハードコート層との密着性を持たせる点から、ポリオレフィン樹脂、不飽和二重結合を有する炭化水素あるいは飽和二重結合、ウレタン樹脂で変性されていることが好ましく、不飽和二重結合を有する炭化水素あるいは飽和二重結合で変性されていることがより好ましい。なお、不飽和二重結合を有する炭化水素を構成するモノマーとしてはブタジエンであることが好ましい。
本発明において、易接着層2の塗工量は、0.3〜1.5g/mの範囲にあることが好ましく、更に好ましくは0.7〜1.2g/mである。塗工量が0.3g/m未満では、均一な易接着層を設けることが難しく、ハードコート層との密着性が低下するため好ましくない。一方、塗工量が1.5g/m超では、ハードコート層を形成後の耐擦傷性が不十分となる場合があり好ましくない。
本発明において、易接着層2の塗工性の改善を目的にレベリング剤の使用が可能であり、弗素系、アクリル系、シリコーン系、及びそれらの付加物或いは混合物などの公知のレベリング剤を使用可能である。添加量は易接着層用樹脂100重量部に対し0.03重量部から3.0重量部の範囲での添加が可能である。
本発明において、易接着層2には耐光密着性の付与を目的に、ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系の紫外線吸収剤の添加が可能である。添加量は、対樹脂100重量部に対し0.05重量部から10.0重量部の添加が好ましい。特に好ましくは1.0重量部から5.0重量部である。
本発明において、易接着層用樹脂を塗料化するための有機溶剤としては、沸点が50℃から150℃のものが、塗工時の作業性、乾燥性の点から好ましい。具体的な例としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、トルエン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブなど公知の溶剤を単独或いは適宜数種類組み合わせて使用することもできる。
本発明において、易接着層用塗料をポリエステルフィルム1上に塗布する方法は、特に限定されるものではなく、各種の塗布方法、リバースコート法、グラビアコート法、バーコート法、ダイコート法、スプレーコート法などを任意に用いることができる。
本発明において、上記ハードコート層3を構成する樹脂としては、耐磨耗性、耐擦傷性の点から、電離放射線硬化型樹脂組成物を用いることが好ましい。この電離放射線硬化型樹脂組成物は、1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基(但し、本願発明において(メタ)アクリロイルオキシ基とは、アクリロイルオキシ基及びメタアクリロイルオキシ基とを略して表示したものをいう。)を有するもの1種または2種以上を混合し使用することは、耐擦傷性の点から好ましい。具体的な例としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどを例示できるが、これらに限定されるものではない。
本発明において、上記電離放射線硬化型樹脂組成物を硬化させる方法としては、紫外線を照射させる方法を用いることができる。この方法を用いる場合には、前記樹脂組成物に光重合開始剤を添加することが好ましい。光重合開始剤の具体例としては、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ベンゾイルメチルエーテル、ベンゾイルエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ジベンジル、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、チオキサントン、2-クロロチオキサントン、2-メチルチオキサントン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン化合物などを用いることができる。これ等の光重合開始剤は単独でも2種類組合せて用いてもよい。光重合開始剤の添加量は、電離放射線硬化型樹脂組成物100重量部に対して、0.01重量部から10重量部程度であり、2.5重量部から5重量部程度であることが好ましい。
本発明において、ハードコート層3の塗工量は、1.5〜10.0g/mであることが好ましく、更に好ましくは2.0〜5.0g/mである。塗工量が1.5g/m未満では耐擦傷性が不十分となる。一方、塗工量が10.0g/m超ではハードコートフィルムのカールが強く筒カールとなり易いため好ましくない。
本発明においてハードコート層3には、塗工性の改善を目的にレベリング剤の使用が可能であり、弗素系、アクリル系、シリコーン系、及びそれらの付加物或いは混合物などの公知のレベリング剤を使用可能である。添加量は対樹脂100重量部に対し0.03重量部から3.0重量部の範囲での添加が可能である。
本発明において、ハードコート層3には、耐光密着性の付与を目的に、非反応型或いはラジカル重合可能な(メタ)アクリル系官能基を有するベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系の紫外線吸収剤の添加が可能である。添加量は、電離放射線硬化型樹脂組成物100重量部に対し0.05重量部から10.0重量部の範囲での添加が好ましい。特に好ましくは1.0重量部から5.0重量部である。
本発明において、ハードコート層3を形成するハードコート塗料には、光安定化剤、熱可塑性樹脂、熱硬化樹脂、消泡剤の添加も必要に応じて添加することが可能である。また、ハードコート層用樹脂を塗料化するための有機溶剤としては、沸点が50〜150℃程度のものが、塗工時の作業性、乾燥性の点から好ましい。具体的な例としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、トルエン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブなど公知の溶剤を単独或いは適宜数種類を組み合わせて使用することもできる。ハードコート層用塗料をポリエステルフィルム上へ塗布する方法は、各種の塗布方法、リバースコート法、グラビアコート法、バーコート法、ダイコート法、スプレーコート法などを任意に用いることができる。
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
厚さ25μmの二軸配向ポリエステルフィルム(商品名T−60、東レ(株)製)の片面に、アクリル変性物(アクリル樹脂とブタジエンとのブロック共重合体、ガラス転移点:105℃、重量平均分子量:45万)100重量部、トルエン50重量部、酢酸エチル30重量部、エチルセロソルブ20重量部を攪拌混合して得られた易接着層用塗料を、バーコータを用いて塗布し、80℃の乾燥炉で1分間乾燥させ、塗工量0.80g/mの易接着層を形成させた。
次に、その易接着層上に、電離放射線硬化型樹脂組成物としてジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート(商品名:DPHA、共栄社化学(株)製)80重量部、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン(商品名:イルガキュア907、BASF社製)3.6重量部、>N-CHタイプヒンダードアミン系光安定化剤(商品名:チヌビン292、BASF社製)2.0重量部、ノルマルプロピルアルコール80重量部、トルエン35重量部、酢酸エチル35重量部を攪拌混合して得られたハードコート層用塗料を、バーコータを用いて塗布し、80℃の乾燥炉で1分間乾燥させ、塗工量が3.0g/mのハードコート層を形成した。これを、塗布面より60mmの高さにセットされたUV照射装置を用い、UV照射量150mJ/cmにて硬化させハードコートフィルムを得た。結果を表1に示す。
(実施例2)
実施例1の易接着層の塗工量を0.3g/mとした以外は、実施例1と同様にしてハードコートフィルムを得た。結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例1の易接着層の塗工量を1.5g/mとした以外は、実施例1と同様にしてハードコートフィルムを得た。結果を表1に示す。
(実施例4)
実施例1において、易接着層の塗工量を1.6g/mとした以外は、実施例1と同様にしてハードコートフィルムを得た。結果を表1に示す。
(実施例5)
実施例1のハードコート層に用いる電離放射線硬化型樹脂組成物として、1分子中に2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有するポリエチレングリコールジメタクリレート(商品名:サートマーSR210、サートマー・ジャパン(株)製)に変更した以外は実施例1と同様にしてハードコートフィルムを得た。結果を表1に示す。
(実施例6)
実施例1で用いた易接着層用樹脂を、ガラス転移点が50℃であり、重量平均分子量が55万のアクリルと不飽和化合物(ブタジエン)とのブロック共重合体に変更した以外は、実施例1と同様にしてハードコートフィルムを作製した。結果を表1に示す。
(実施例7)
実施例1で用いた易接着層用樹脂を、ガラス転移点が50℃であり、重量平均分子量が30万のアクリルと不飽和化合物(ブタジエン)とのブロック共重合体に変更した以外は、実施例1と同様にしてハードコートフィルムを作製した。結果を表1に示す。
(実施例8)
実施例1で用いた易接着層用樹脂を、ガラス転移点が105℃であり、重量平均分子量が55万のアクリルと不飽和化合物(ブタジエン)とのブロック共重合体に変更した以外は、実施例1と同様にしてハードコートフィルムを作製した。結果を表1に示す。
(実施例9)
実施例1で用いた易接着層用樹脂を、ガラス転移点が105℃であり、重量平均分子量が30万のアクリルと不飽和化合物(ブタジエン)とのブロック共重合体に変更した以外は、実施例1と同様にしてハードコートフィルムを作製した。結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1において、易接着層を設けずハードコート層を形成したハードコートフィルムを得た。結果を表1に示す。
(比較例2)
実施例1の易接着層に用いる樹脂を、ガラス転移点が105℃であり、重量平均分子量が43万の無変性のメチルメタクリレート樹脂(商品名:ダイヤナールBR88、三菱レーヨン(株)製)を用いた以外は実施例1と同様にしてハードコートフィルムを得た。結果を表1に示す。
(比較例3)
実施例1の易接着層に用いる樹脂を、ガラス転移点が67℃であり、重量平均分子量が1.7万の共重合ポリエステル樹脂(商品名:バイロン200、東洋紡(株)製)を用いた以外は実施例1と同様にしてハードコートフィルムを得た。結果を表1に示す。
(比較例4)
実施例1で用いた易接着層用樹脂を、ガラス転移点が105℃であり、重量平均分子量が25万のアクリルと不飽和化合物(ブタジエン)とのブロック共重合体に変更した以外は、実施例1と同様にしてハードコートフィルムを作製した。結果を表1に示す。
なお、上記実施例及び比較例において、易接着層の塗工量は、以下のようにして算出した。
メトラー・トレード(株)製メトラーML-230型の電子天秤を用い、易接着層処理フィルムと未処理フィルムを試料として用い、下記の計算式により塗工量を算出した。なお、サンプルは、縦50cm、横20cmのサンプルを2枚使用した(試料は1mとした)。
計算式 塗工量=易接着層処理済フィルム重量−未処理フィルム重量
上記実施例及び比較例で作製した各ハードコートフィルムについて、下記の評価を行い、その結果を纏めて表1に示す。
(1)密着性−1
恒温恒湿条件下(温度23℃、湿度53%RH)で、作製したハードコートフィルムのハードコート層上に、碁盤目剥離試験治具を用い1mmのクロスカットを100個作製し、積水化学工業(株)製粘着テープNO.252を、その上に貼り付け、ヘラを用いて均一に押し付けた後、90度方向に剥離し、ハードコート層の残存個数を4段階評価した。評価基準は、下記の通りである。また、◎と○評価品を、密着性は良好とした。
◎:100個 ○:99〜95個 △:50〜94個 ×:0〜49個
(2)密着性−2
作製したハードコートフィルムを湿熱保存下(温度80℃、湿度90%RH)で3日間保存した後、取り出し、恒温恒湿条件下(温度23℃、湿度53%RH)で30分間放置後、上記(1)と同様な密着性評価を行った。
(3)耐擦傷性
作製したハードコートフィルムのハードコート層面を、スチールウール#00000を用い、荷重1kgをかけ10往復摩擦し、傷のつき具合を次の基準で評価した。○評価品を、耐擦傷性は一応良好としたが、△評価品も製品として使用可能である。
○:傷の発生なし。△:傷が少し発生する。×:傷が無数に発生する。
(4)ブロッキング適性
実施例に係るポリエステルフィルムの片面に易接着層を設けた処理フィルムより、縦横の一辺が10cmに裁断した試料を2枚重ねにして、アルミニウム板に挟み荷重10kgを掛け、温度50℃の乾燥器中で48時間保存後、試料を取出し冷却した後、フィルムのブロッキング程度を3段階評価した。評価基準は、下記の通りである。○評価品をブロッキング適性は良好とした。
○:ブロッキングなし。△:中央部にややブロッキング跡あり。×:全面にブロッキング発生。
Figure 0005818234
表1の結果から、易接着層として、ガラス転移点50〜105℃であり、且つ重量平均分子量が30〜55万のアクリル変性物を用いた本発明の実施例1〜9は、いずれも密着性、耐擦傷性、ブロッキング適性のいずれの評価においても問題がなかった。特に、耐湿熱条件下での密着性−2評価において良好な結果が得られ、本発明によるハードコートフィルムは特に耐湿熱条件下での密着性にも優れていることが確認できた。
一方、易接着層を設けなかった比較例1、ガラス転移点50〜105℃、重量平均分子量が30〜55万であるがアクリル無変性物を易接着層として用いた比較例2、易接着層としてアクリル変性物以外の樹脂を用いた比較例3は、いずれも密着性が不十分であった。また、ガラス転移点50〜105℃のアクリル変性物であるが重量平均分子量が30万未満のものを易接着層として用いた比較例4は、比較例1〜3と比べて密着性は改善されるものの、耐湿熱条件下での密着性はやはり悪く、密着性はまだ不十分である。
1 二軸配向ポリエステルフィルム
2 易接着層
3 ハードコート層
10 ハードコートフィルム

Claims (5)

  1. 二軸配向ポリエステルフィルムの少なくとも片面に設けられた易接着層を介してハードコート層が設けられたハードコートフィルムであって、前記易接着層が、ガラス転移点50〜105℃であり、且つ重量平均分子量が30〜55万のアクリル変性物からなり、前記アクリル変性物は、不飽和二重結合を有する炭化水素で変性されたアクリル樹脂であることを特徴とするハードコートフィルム。
  2. 前記易接着層を構成するアクリル変性物は、メチルメタクリレートを骨格とするアクリル変性物であることを特徴とする請求項1に記載のハードコートフィルム。
  3. 前記アクリル変性物は、ブタジエンモノマーで変性されたアクリル変性物であることを特徴とする請求項1又は2に記載のハードコートフィルム。
  4. 前記ハードコート層は、電離放射線硬化型樹脂組成物を含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のハードコートフィルム。
  5. 前記電離放射線硬化型樹脂組成物が、1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有するアクリル系樹脂組成物であることを特徴とする請求項4に記載のハードコートフィルム。
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