JP6904634B2 - ハードコートフィルム - Google Patents

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Description

本発明は、印刷適性、ハード性、及び耐熱性などに優れた印刷用フィルムなどの用途に適するハードコートフィルムに関する。
プラスチックのフィルム基材は、透明性が良好で軽量であることから、光学用フィルムなどの基材として多く使用されている。とりわけ、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルフィルムは透明性が高く、安価であることから上記光学用フィルムに多用されている。また光学用フィルムは、上記特徴に加えて非常に優れた屈曲性を有しているため、フィルム上に金属配線を形成させた部品のフレキシブル回路基板として用いられている。
しかしながら、プラスチックのフィルム基材上に銀や銅等の導電性材料を積層させるため、密着性が得られにくい点や、導電性材料を焼成させるための熱エネルギーや光エネルギーによって基材が変形してしまうなど点から、使用出来るフィルム基材は非常に限定的である。
その様な中で特許文献1には、透明性、アンチブロッキング性、導電性、成膜性に優れたハードコート膜を備えたハードコート膜付きプラスチック基材が開示されている。
また、特許文献2には、表面自由エネルギーを調整した、ハードコート層と導電層の密着性に優れた導電フィルムが開示されている。
また、特許文献3では、基材表面に、Tg200℃以下の非晶性の熱可塑性樹脂またはTg200℃以下の硬化性樹脂プレポリマーで光照射により三次元架橋構造となる硬化性樹脂よりなる透明樹脂層を形成し、金属(導電層)との接着性を向上させた基材が開示されている。
特開2014−189596号公報 特開2016−108568号公報 特開2014−062375号公報
しかしながら、上記特許文献1〜3に開示されているような従来のフィルム基材では、導電層とハードコート層との密着性(接着性)の向上に関しての改善はみられるものの、例えばハードコート層上に形成させた導電層の焼成を行った際の基材フィルムの損傷や変形に関しては改善の余地があった。
そこで本発明は、従来の課題を解決するべく、高い印刷適性を維持しつつ、ハード性及び、耐熱性やカール抑制にも優れたハードコートフィルムを提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、ハードコート層の表面自由エネルギーを所定の範囲内に調整することにより、ハードコート層の上に印刷層(例えば導電層)を形成した場合、印刷層とハードコート層の密着性に優れることを見出した。また、ハードコート層の膜厚を所定の膜厚にすることで、ハードコート層上に形成させた例えば導電層の焼成を行った際の熱によるフィルムの損傷を防ぐことが出来ることを見出した。また、ハードコート層の表面硬化度を所定の範囲に調整することにより、印刷層との密着性が向上する上、カールが低減することを見出した。
本発明は、このような種々の知見に基づき検討を行った結果完成したものである。
すなわち、本発明は以下の通りである。
(第1の発明)
フィルム基材の両面にハードコート層を形成させたハードコートフィルムであって、下記条件(I)、(II)及び(III)を満たすことを特徴とするハードコートフィルムである。
条件(I):少なくとも片方の面に形成されたハードコート層Aは、表面自由エネルギーが30mN/m〜55mN/mの範囲にある。
条件(II):前記ハードコート層Aの膜厚Dが、6μm以上である。
条件(III):下記式(1)で表される前記ハードコート層Aの表面硬化度Cが、3〜15の範囲にある。
表面硬化度C=(P1/P2)×100・・・式(1)
(但し、前記ハードコート層Aの表面の赤外分光スペクトル測定によって得られる794〜823cm−1のピーク面積をP1とし、1658〜1778cm−1のピーク面積をP2とする。)
(第2の発明)
第1の発明において、前記ハードコート層Aは、重量平均分子量600以上であり、且つ分子内に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレート樹脂を含むことを特徴とするハードコートフィルムである。
(第3の発明)
第1又は第2の発明において、前記ハードコートフィルムのもう一方の面に形成されたハードコート層Bの膜厚Dと、前記ハードコート層Aの膜厚Dとが、|D−D|≦3μmの範囲にあることを特徴とするハードコートフィルムである。
(第4の発明)
第1乃至第3のいずれかの発明において、前記ハードコート層Aの表面硬化度Cと、前記ハードコート層Bの下記式(2)で表される表面硬化度Cとが、|C−C|≦3の範囲にあることを特徴とするハードコートフィルムである。
表面硬化度C=(P3/P4)×100・・・式(2)
(但し、前記ハードコート層Bの表面の赤外分光スペクトル測定によって得られる794〜823cm−1のピーク面積をP3とし、1658〜1778cm−1のピーク面積をP4とする。)
(第5の発明)
第1乃至第4のいずれかの発明において、前記フィルム基材が、ポリエチレンテレフタレートフィルムであることを特徴とするハードコートフィルムである。
本発明によれば、高い印刷適性を維持しつつ、ハード性及び、耐熱性やカール抑制にも優れたハードコートフィルムを提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について詳述する。
なお、本発明において、特に断りの無い限り、「○○〜△△」とは「○○以上△△以下」を意味するものとする。
本発明は、上記のとおり、フィルム基材の両面にハードコート層を形成させたハードコートフィルムであって、下記条件(I)、(II)及び(III)を満たすことを特徴とするハードコートフィルムである。
条件(I):少なくとも片方の面に形成されたハードコート層Aは、表面自由エネルギーが30mN/m〜55mN/mの範囲にある。
条件(II):前記ハードコート層Aの膜厚Dが、6μm以上である。
条件(III):下記式(1)で表される前記ハードコート層Aの表面硬化度Cが、3〜15の範囲にある。
表面硬化度C=(P1/P2)×100・・・式(1)
(但し、前記ハードコート層Aの表面の赤外分光スペクトル測定によって得られる794〜823cm−1のピーク面積をP1とし、1658〜1778cm−1のピーク面積をP2とする。)
(フィルム基材)
まず、上記フィルム基材について説明する。
本発明において使用されるフィルム基材は、特に限定されるものではなく、例えば、トリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、シクロオレフィンポリマー、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレン、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレングリシジルメタクリレート、芳香族式ポリイミド、脂環式ポリイミド、ポリアミドイミド及びこれらの混合物を例示することができるが、耐熱性、入手性、経済性の点からポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、トリアセチルセルロースを構成材料とする熱可塑性樹脂フィルムを用いることが好ましい。とりわけ、透明性が高く、しかも安価で入手しやすい点で、ポリエチレンテレフタレートフィルムが好適である。
(ハードコート層)
次に、上記ハードコート層について説明する。
本発明のハードコートフィルムは、上記フィルム基材の両面にそれぞれハードコート層を形成している。そして、このフィルム基材の片方の面に形成されたハードコート層を「ハードコート層A」と呼び、もう一方の面に形成されたハードコート層を「ハードコート層B」と呼ぶこととする。
<ハードコート層A>
本発明のハードコートフィルムは、少なくともフィルム基材の片方の面に表面自由エネルギーを所定の範囲内に調整したハードコート層Aを形成している。具体的には、少なくとも片方の面に形成された上記ハードコート層Aは、表面自由エネルギーが30mN/m〜55mN/mの範囲にある(上記の条件(I))。このハードコート層Aには、バインダー樹脂である電子線硬化型樹脂、及び表面自由エネルギーを上記の所定の範囲内に調整するためのレベリング剤を含有する。
なお、本発明において、上記の表面自由エネルギーは、ハードコート層A表面が層内部(バルク)に比べて過剰に持つエネルギーのことである。この表面自由エネルギーは、接触角計(例えば協和界面科学株式会社製全自動接触角計DM−701など)を用い、水とヘキサデカンでの接触角をKaelble−Uy法にて解析することによって測定することができる。
本発明のハードコートフィルムは、上記のように、少なくとも片方の面のハードコート層Aが、表面自由エネルギー30mN/m〜55mN/mの範囲にあることが重要である。ハードコート層Aの表面自由エネルギーを上記の所定の範囲内に調整することにより、ハードコート層Aの上に印刷層(例えば導電層)を形成した場合、印刷層とハードコート層Aとの密着性に優れる。その様なハードコート層Aは、例えば、ヘキサフルオロプロペンオリゴマー誘導体を少なくとも含むフッ素系レベリング剤などを含有することにより、ハードコート層Aの表面自由エネルギーを30mN/m〜55mN/mの範囲内に調整することが可能である。
本発明に好ましく用いられる上記のフッ素系レベリング剤としては、たとえば市販されているフタージェント681(商品名、株式会社ネオス製)、フタージェント184(商品名、株式会社ネオス製)、フタージェント602A(商品名、株式会社ネオス製)などが具体的に挙げられる。
本発明においては、所望の効果を阻害しない範囲で、上記フッ素系レベリング剤と他の種類のレベリング剤を併用してもよい。他の種類のレベリング剤としては、アクリル系レベリング剤、シリコーン系レベリング剤などが挙げられる。
本発明のハードコート層Aにおける表面自由エネルギーを上記範囲内に調整するための上記フッ素系レベリング剤の配合量は、ハードコート層Aのバインダー樹脂である電子線硬化型樹脂に対して、0.1重量%〜3.0重量%の範囲であることが好ましい。該レベリング剤の配合量が0.1重量%未満であると、レベリング剤の絶対量が少ないために、表面自由エネルギーの調整効果が得られ難く、3.0重量%を超えると、塗膜中の不純物が多くなるために、ハード性低下の可能性がある。
また、本発明のハードコートフィルムは、ハードコート層Aの膜厚Dが6μm以上であることが重要である(上記の条件(II))。なお、ここでいう膜厚Dとはハードコート層Aの硬化後の膜厚をいうものとする。
ハードコート層Aの膜厚Dが6μm未満であると、耐熱性が不足し、たとえば導電性材料を焼成させるための熱エネルギーや光エネルギー(焼成熱)によって基材が変形するため好ましくない。他方、ハードコート層Aの膜厚Dがあまり厚くなると、印刷用フィルムとして用いる場合のフレキシブル性が損なわれるため、本発明においては、当該膜厚Dは20μm以下であることが好ましい。
また、本発明のハードコートフィルムは、ハードコート層Aの表面硬化度Cが、3〜15の範囲にあることが重要である(上記の条件(III))。本発明では、とくに、5〜15の範囲であることが好ましく、6〜12の範囲であることがより好ましい。ハードコート層Aの表面硬化度Cが3未満であると、ハードコート層Aの硬化が進行し過ぎており、印刷用フィルムとして用いる場合のフレキシブル性が損なわれる上、金属配線(導電層)との密着性が悪化する。一方で、ハードコート層Aの表面硬化度Cが15を超えると、ハードコート層Aの硬化が不十分のため、ハードコート層Aとしての所望のハード性が得られない上、ハードコート層Aに要求される所望の耐熱性が得られず、焼成熱によってハードコートフィルムが劣化しやすく好ましくない。
その様なハードコート層Aの表面硬化度Cは、下記式(1)により算出することができる。
表面硬化度C=(P1/P2)×100・・・式(1)
ここで、P1は、上記ハードコート層Aの表面の赤外分光スペクトル測定によって得られる794〜823cm−1のピーク面積であり、(メタ)アクリロイル基の炭素−炭素の二重結合由来のピークを現わす。また、P2は、同じく上記ハードコート層Aの表面の赤外分光スペクトル測定によって得られる1658〜1778cm−1のピーク面積であり、カルボニル基由来の炭素−酸素伸縮振動のピークを現わす。よって、上記表面硬化度Cはハードコート層Aの硬化の進行度合いを示すものであり、たとえばこの数値が大きいほど未反応の(メタ)アクリロイル基が残存していることを示す。
なお、上記の様な赤外分光スペクトル測定は、赤外分光光度計(例えば、FT−IR Spectrometer Spectrum 100(パーキンエルマージャパン社製))を用いて測定することができる。得られた横軸を波数(cm−1)とし、縦軸を吸光度としたスペクトルチャート上において、794〜823cm−1、1658〜1778cm−1にそれぞれベースラインを引き、このベースラインとスペクトル曲線とで囲まれる面積をそれぞれ上記のP1、P2とする。
本発明のハードコ−トフィルムにおいて、ハードコート層Aの表面硬化度Cを上記の所定の範囲に調整するためには、例えばハードコート層Aの硬化の際に、紫外線や電子線照射の積算光量を調整することで、コントロールが可能である。積算光量は、ハードコート層Aのバインダー樹脂に用いる電子線硬化型樹脂によっても異なり、一概には決まらないが、例えば3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレート樹脂が含まれる場合、積算光量150〜270mJ/cmの範囲であることが好ましい。
その様な本発明のハードコート層Aに用いられる電子線硬化型樹脂としては、ハードコート層Aとフィルム基材との密着性を安定的に確保しつつ、電気回路を形成する際の熱エネルギーや光エネルギーによって発生する焼成熱による基材の変形を防ぐ耐熱性を得るために、分子内に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレート樹脂を少なくとも含むことが好ましい。
本発明において好ましく用いられる、分子内に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレート樹脂とは、分子内に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する電子線又は紫外線硬化可能な(メタ)アクリレート樹脂からなるものをいう。分子内に含まれる(メタ)アクリロイル基の個数は、3〜6個が好ましく、4〜6個がさらに好ましい。(メタ)アクリロイル基が分子内に6個よりも多く含まれる場合、例えば後工程で印刷層のインクを焼成するために熱処理を行った際に、未反応であった(メタ)アクリロイル基が再び活性となり、ハードコートフィルムがカールする可能性が有る。一方、分子内に含まれる(メタ)アクリロイル基の個数が3個未満の場合、ハードコート層Aに要求される所望の耐熱性が得られず、焼成熱によってハードコートフィルムが劣化しやすく適さない。
本発明に好ましく用いられる、分子内に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレート樹脂の具体例としては、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の、ポリオールポリ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
さらにその様な多官能(メタ)アクリレート樹脂は、重量平均分子量が600以上のものであることが好ましく、750以上であることが更に好ましい。重量平均分子量が600未満であると、硬化収縮によるカールが強すぎるため好ましくない。また、重量平均分子量の上限としては、2000以下が好ましく、1500以下がさらに好ましい。重量平均分子量が2000よりも大きいと、ハードコート層Aに要求される所望の耐熱性が得られず、焼成熱によってハードコートフィルムが劣化しやすく適さない。
また、本発明において、上記の3官能以上、すなわち分子内に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレート樹脂と他の電子線硬化型樹脂を所望の効果を阻害しない範囲で併用することができる。併用する他の電子線硬化型樹脂とは、電子線または紫外線等を照射することによって重合し硬化する透明な樹脂であり、例えば、アクリル系のモノマーやウレタンアクリレート系樹脂、ポリエステルアクリレート系樹脂、及びエポキシアクリレート系樹脂等のオリゴマーやポリマーなどから適宜選択することが出来る。モノマーとして好ましいものは、分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する紫外線硬化可能な多官能アクリレートからなるものが挙げられる。分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する紫外線硬化可能な多官能アクリレートの具体例としては、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等のポリオールポリアクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルのジアクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルのジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルのジ(メタ)アクリレートなどのエポキシ(メタ)アクリレート、多価アルコールと多価カルボン酸及び/またはその無水物とアクリル酸とをエステル化することによって得ることができるポリエステル(メタ)アクリレート、多価アルコール、多価イソシアネート及び水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させることによって得られるウレタン(メタ)アクリレート、ポリシロキサンポリ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
本発明のハードコートフィルムにおいて、ハードコート層Aのバインダー樹脂である電子線硬化型樹脂として、上記の分子内に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレート樹脂を用いる場合、そのような多官能(メタ)アクリレート樹脂の配合量は、ハードコート層Aにおける電子線硬化型樹脂の全重量に対し25〜100質量%であることが好ましく、より好ましくは50〜100質量%、更に好ましくは80〜100質量%である。
上記ハードコート層Aを形成するための塗液には、溶媒中に上記電子線硬化型樹脂、レベリング剤のほかに、必要に応じて、光重合開始剤、消泡剤、滑剤、紫外線吸収剤、光安定剤、重合禁止剤、湿潤分散剤、レオロジーコントロール剤、酸化防止剤、防汚剤、帯電防止剤、導電剤などが配合される。上記溶媒は、公知の有機溶媒等の中から適宜選択して用いることができる。
上記ハードコート層Aは、フィルム基材の片面に、上記ハードコート層Aを形成するための塗液を塗布し、乾燥させた後、紫外線または電子線照射処理により硬化させることによって形成される。ハードコート層Aの硬化の際の紫外線や電子線照射の積算光量の調整については前述したとおりである。
上記ハードコート層Aを形成するための塗液をフィルム基材上へ塗布するには、公知の任意の塗工方法を用いることができる。例えば、リバースコート法、グラビアコート法、バーコート法、ダイコート法、スプレーコート法、キスコート法、ワイヤーバーコート法、カーテンコート法などが挙げられ、これらの塗工方法を単独或いは複数組み合わせて用いてもよい。
上記のようにしてフィルム基材の片面に形成されたハードコート層Aは、その表面の算術平均粗さ(Ra)が1.5nm未満であることが好ましい。ハードコート層A表面の算術平均粗さ(Ra)が1.5nm未満であることにより、ハードコート層A上に均一な印刷層(導電層など)を形成させることができるため好ましい。
なお、ここで算術平均粗さ(Ra)とは、JIS B 0031(1994)/JIS B 0061(1994)付属書で定義されるもので、ある基準長さにおける粗さ曲線の平均線からの絶対偏差を平均化した値であり、つまり平均線以下の粗さ曲線部分を正値側に折り返した時の凹凸の平均値をいう。具体的には、表面粗さ計で測定した粗さ曲線のデータから算出することができる。
通常、ハードコート塗工層を2μm以上の厚さに設けることで、基材表面の粗さの影響を受けずに、Raを1.5nm未満とすることが可能である。
<ハードコート層B>
本発明のハードコートフィルムは、フィルム基材の片方の面に上記ハードコート層Aを形成するとともに、もう一方の面にはハードコート層Bを形成している。
前述したように、フィルム基材として好適なポリエチレンテレフタレート等のポリエステルフィルムは、高温高湿環境下では、オリゴマーがフィルム表面に析出して基材が白化する現象が生じることがあるが、フィルム基材の両面にそれぞれ上記ハードコート層A、Bを設けることにより、オリゴマーの析出を防止することができ、高温高湿環境下においても本発明のハードコートフィルムを適用した例えば導電フィルムの透過率やヘイズなどの光学特性の変化を抑制することが可能になる。
このハードコート層Bには、少なくともバインダー樹脂として電子線硬化型樹脂を含有する。本発明のハードコート層Bに用いられる電子線硬化型樹脂としては、特に制限は無く、例えば上述したハードコート層Aと同様のものを使用することができる。
ハードコート層Bには、バインダー樹脂である電子線硬化型樹脂のほかに、上記ハードコート層Aと同様に表面自由エネルギーを所定の範囲内に調整するためのレベリング剤を含有することができる。この場合のレベリング剤としては、例えばハードコート層Aに用いたフッ素系レベリング剤などを使用可能である。ハードコート層Bにおいても表面自由エネルギーを所定の範囲内に調整することにより、ハードコート層Bの上に印刷層(例えば導電層)を形成した場合、印刷層とハードコート層Bの密着性を向上させることができる。
本発明においては、上記ハードコート層Bの膜厚Dと、前記ハードコート層Aの膜厚Dとが、|D−D|≦3μmの範囲にあることが好ましく、|D−D|≦1μmの範囲にあることが更に好ましい。ハードコート層Aとハードコート層Bとの膜厚差が上記の範囲内にあることで、硬化収縮によるハードコート層のカールが相殺されるため好ましい。なお、ここでいう膜厚Dとはハードコート層Bの硬化後の膜厚をいうものとする。
また、本発明においては、前記ハードコート層Aの表面硬化度Cと、前記ハードコート層Bの下記式(2)で表される表面硬化度Cとが、|C−C|≦3の範囲にあることが好ましく、|C−C|≦1の範囲にあることがより好ましい。
表面硬化度C=(P3/P4)×100・・・式(2)
ここで、P3は、上記ハードコート層Bの表面の赤外分光スペクトル測定によって得られる794〜823cm−1のピーク面積であり、(メタ)アクリロイル基の炭素−炭素の二重結合由来のピークを現わす。また、P4は、同じく上記ハードコート層Bの表面の赤外分光スペクトル測定によって得られる1658〜1778cm−1のピーク面積であり、カルボニル基由来の炭素−酸素伸縮振動のピークを現わす。よって、上記表面硬化度Cはハードコート層Bの硬化の進行度合いを示すものであり、たとえばこの数値が大きいほど未反応の(メタ)アクリロイル基が残存していることを示す。上記のハードコート層Bの赤外分光スペクトル測定は、前述のハードコート層Aと同様にして測定することができる。
ハードコート層Aとハードコート層Bとの表面硬化度の差が、上記の範囲内にあることで、ハードコート層A及びハードコート層Bで発生する硬化収縮の応力がフィルム基材の両面にて拮抗しやすく、カールが相殺されるため好ましい。
ハードコート層Aとハードコート層Bとの表面硬化度の差が上記の範囲内となるように、ハードコート層Bの表面硬化度を調整する方法としては、例えばハードコート層Bの硬化の際に、紫外線や電子線照射の積算光量を調整することで行うことができる。積算光量としてはハードコート層Bに用いる樹脂や添加剤の有無によっても異なり、一概に決めることは出来ないが、例えば、ハードコート層Aの積算光量に比べ、±50mJ/cmの範囲であることが好ましい。
上記ハードコート層Bを形成するための塗液には、溶媒中に上記電子線硬化型樹脂のほかに、必要に応じて、レベリング剤、光重合開始剤、消泡剤、滑剤、紫外線吸収剤、光安定剤、重合禁止剤、湿潤分散剤、レオロジーコントロール剤、酸化防止剤、防汚剤、帯電防止剤、導電剤などが配合される。上記溶媒は、公知の有機溶媒等の中から適宜選択して用いることができる。
上記ハードコート層Bは、フィルム基材の上記ハードコート層Aを形成した面とは反対の面に、上記ハードコート層Bを形成するための塗液を塗布し、乾燥させた後、紫外線または電子線照射処理により硬化させることによって形成される。ハードコート層Bの硬化の際の紫外線や電子線照射の積算光量の調整については前述したとおりである。
上記ハードコート層Bを形成するための塗液をフィルム基材上へ塗布する方法としては、特に制限されず、前述のハードコート層Aの場合と同様の塗布方法を用いることができる。
上記のようにして形成されたハードコート層Bは、その表面の算術平均粗さ(Ra)は3nm以上であることが好ましく、30nm以下であることが好ましい。ハードコート層Bの表面の算術平均粗さ(Ra)が3nm以上であると、フィルムの巻取りの際の耐ブロッキング特性にも優れたハードコートフィルムを得ることができる。また、ハードコート層Bの表面の算術平均粗さ(Ra)が30nmよりも大きいと、ハードコートフィルムのヘイズが上昇する恐れがあり好ましくない。なお、算術平均粗さ(Ra)については前述したとおりであるので、重複説明は省略する。
その様にハードコート層Bの表面粗さを所定の範囲に調整する方法としては、例えばハードコート層Bに平均一次粒径が10nm〜100nm程度の無機または有機微粒子を含有させる方法などが挙げられる。
以上説明したように、本発明によれば、フィルム基材の両面にハードコート層を形成させたハードコートフィルムであって、前述の3つの条件(I)(II)(III)を満たすことにより、高い印刷適性を維持しつつ、ハード性及び、耐熱性やカール抑制にも優れたハードコートフィルムを得ることができる。
以下、実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
酢酸ブチル/1−プロパノール(NPA)=70/30重量部、4個の(メタ)アクリロイル基を有するウレタンアクリレートを主成分とする電子線硬化型樹脂(商品名:EBECRYL5129、ダイセル・オルネクス株式会社製、重量平均分子量800)100重量部、光重合開始剤(商品名:イルガキュアー184、BASFジャパン株式会社製)3重量部、耐光安定剤(商品名:チヌビン123、BASFジャパン株式会社製)2重量部、レベリング剤(フタージェント184、株式会社ネオス製)0.3重量部を混合して固形分濃度40%のハードコート層塗液Aを作製し、125μm厚さのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(商品名:A4300、東洋紡株式会社製)の一方面の面にマイヤーバーを用いて乾燥後の膜厚が8μmになるように塗工した。次いで、この塗工層を80℃で1分間乾燥させ溶剤を揮発後、積算光量250mJ/cmの紫外線照射処理により硬化させ、ハードコート層Aを有するハードコートフィルムを得た。なお、株式会社菱化システム製の三次元表面粗さ計「VertScan2.0」を用いて、フィルム表面の粗さ曲線を測定し、この粗さ曲線のデータから上記ハードコート層A表面の算術平均粗さ(Ra)を求めた結果、Raは1.0nmであった。
次に、トルエン/酢酸エチル=50/50重量部、無機系ナノ粒子(商品名:オルガノシリカゾルMIBK−ST、平均粒径20nm、日産化学工業株式会社製)20重量部、6個の(メタ)アクリロイル基を有するペンタエリスリトールテトラアクリレートを主成分とする電子線硬化型樹脂(商品名:SR494、巴工業株式会社製、重量平均分子量530)100重量部、光重合開始剤(商品名:イルガキュアー184、BASFジャパン株式会社製)3重量部、耐光安定剤(商品名:チヌビン123、BASFジャパン株式会社製)2重量部、レベリング剤(フタージェント184、株式会社ネオス製)0.3重量部を混合して固形分濃度40%のハードコート層塗液Bを作製し、上記ハードコート層Aを形成させたハードコートフィルムの、もう一方面の面にマイヤーバーを用いて乾燥後の膜厚が5μmになるように塗工した。次いで、この塗工層を80℃で1分間乾燥させ溶剤を揮発後、積算光量250mJ/cmの紫外線照射処理により硬化させ、ハードコート層Bを形成した。なお、上記ハードコート層B表面の算術平均粗さ(Ra)を前記と同様にして求めた結果、Raは6nmであった。
このようにして、上記PETフィルムの両面にそれぞれハードコート層A、ハードコート層Bを有する実施例1の両面ハードコートフィルムを得た。
(実施例2)
実施例1のハードコート層Aに含有されるレベリング剤を、シロキサン系レベリング剤(商品名:FTX218、株式会社ネオス製)0.1重量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてハードコート層A、Bを塗工してなる実施例2の両面ハードコートフィルムを作製した。
(実施例3)
実施例1のハードコート層Aに含有されるレベリング剤を、フッ素系レベリング剤(商品名:フタージェント602A、株式会社ネオス製)0.05重量部及び湿潤剤(商品名:Disper BYK140、BASFジャパン株式会社製)4.2重量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてハードコート層A、Bを塗工してなる実施例3のハードコートフィルムを作製した。
(実施例4)
実施例1のハードコート層塗液Aを、マイヤーバーを用いて乾燥後の膜厚が6μmとなるように塗工したこと以外は、実施例1と同様にしてハードコート層A、Bを塗工してなる実施例4の両面ハードコートフィルムを作製した。
(実施例5)
実施例1のハードコート層塗液Aを、マイヤーバーを用いて乾燥後の膜厚が8μmとなるように塗工し、80℃で1分間乾燥させ溶剤を揮発後、積算光量320mJ/cmの紫外線照射処理により硬化させたこと以外は、実施例1と同様にしてハードコート層A、Bを塗工してなる実施例5の両面ハードコートフィルムを作製した。
(実施例6)
実施例1のハードコート層塗液Aを、マイヤーバーを用いて乾燥後の膜厚が8μmとなるように塗工し、80℃で1分間乾燥させ溶剤を揮発後、積算光量180mJ/cmの紫外線照射処理により硬化させ、また、実施例1のハードコート層B塗液を、マイヤーバーを用いて乾燥後の膜厚が5μmとなるように塗工し、80℃で1分間乾燥させ溶剤を揮発後、積算光量180mJ/cmの紫外線照射処理により硬化させたこと以外は、実施例1と同様にしてハードコート層A、Bを塗工してなる実施例6の両面ハードコートフィルムを作製した。
(実施例7)
実施例1のハードコート層塗液Aの電子線硬化型樹脂を、3個の(メタ)アクリロイル基を有するウレタンアクリレートを主成分とする電子線硬化型樹脂(商品名:EBECRYL4265、ダイセル・オルネクス株式会社製、重量平均分子量650)に変えたこと以外は、実施例1と同様にしてハードコート層A、Bを塗工してなる実施例7の両面ハードコートフィルムを作製した。
(比較例1)
実施例1のハードコート層A塗液を、マイヤーバーを用いて乾燥後の膜厚が3μmとなるように塗工したこと以外は、実施例1と同様にしてハードコート層A、Bを塗工してなる比較例1のハードコートフィルムを作製した。
(比較例2)
実施例1のハードコート層A塗液を、マイヤーバーを用いて乾燥後の膜厚が8μmとなるように塗工し、80℃で1分間乾燥させ溶剤を揮発後、積算光量110mJ/cmの紫外線照射処理により硬化させたことと、実施例1のハードコート層B塗液を、マイヤーバーを用いて乾燥後の膜厚が5μmとなるように塗工し、80℃で1分間乾燥させ溶剤を揮発後、積算光量130mJ/cmの紫外線照射処理により硬化させたこと以外は、実施例1と同様にしてハードコート層A、Bを塗工してなる比較例2のハードコートフィルムを作製した。
<評価>
上記のようにして作製した実施例および比較例の各ハードコートフィルムについて、以下の各項目の評価を行い、その結果を纏めて表1に示した。
<表面自由エネルギー>
各ハードコートフィルムのハードコート層Aの表面自由エネルギーを以下のようにして測定した。
接触角計(協和界面科学株式会社製全自動接触角計DM−701)を用い、純水及びヘキサデカンを用いてハードコート層表面の接触角を測定し、その接触角の値からKaelble−Uy法にて解析することによって表面自由エネルギーを算出した。
<ハードコート層の膜厚>
各ハードコートフィルムのハードコート層Aの膜厚D及びハードコート層Bの膜厚Dは、製膜厚測定システムF20(フィルメトリクス株式会社製)によって測定した。また、その結果から、|D−D|の値を算出した。なお、塗液塗工、乾燥後の膜厚と紫外線照射による硬化後の膜厚とは同一であった。
<ハードコート層の表面硬化度>
各ハードコートフィルムのハードコート層Aの表面硬化度Cは以下のようにして求めた。
赤外分光光度計(FT−IR Spectrometer Spectrum 100(パーキンエルマージャパン社製))を用いて、上記ハードコート層Aの表面の赤外分光スペクトル測定を行った。得られた横軸を波数(cm−1)とし、縦軸を吸光度としたスペクトルチャート上において、794〜823cm−1、1658〜1778cm−1にそれぞれベースラインを引き、このベースラインとスペクトル曲線とで囲まれる面積をそれぞれピーク面積P1、ピーク面積P2とし、前述の式(1)によって上記の表面硬化度Cを求めた。
また、各ハードコートフィルムのハードコート層Bの表面硬化度Cについても、上記と同様にしてハードコート層Bの表面の赤外分光スペクトル測定を行い、前述の式(2)によって求めた。
また、以上の結果から、|C−C|の値を算出した。
<耐擦傷性>
JIS−K5600−5−10に準じた試験法にて、各ハードコートフィルムのハードコート層A面に直径25mmのスチールウール#0000(日本スチールウール社製)を1kgfにて押し当てながら10往復させた際のハードコート面の傷入り状態を、3波長形昼白色蛍光灯(ナショナル パルック、F.L 15EX−N 15W)を光源として、斜め上方より反射光を目視で観察した。評価基準は次のとおりである。◎または○評価品を耐擦傷性は合格とした。
◎:傷がみられない。
○:傷が若干見られるが、実用上問題のないレベル。
△:細かな傷が見られる。
×:傷が非常に目立つ。
<印刷層の密着性>
実施例及び比較例で得られた各ハードコートフィルムのハードコート層A上に、卓上スクリーン印刷機(商品名:DP−320、ニューロング精密工業株式会社製)を用いて、銅ナノ粒子ペースト(商品名:CP−100、ハリマ化成株式会社製)を膜厚20μm、5×5cm角で塗布し、キセノンフラッシュ光照射(キセノンパルス光照射装置S−200、XENON Corporation製)により光焼成して印刷層(導電層)を形成した導電フィルムを得た。
得られた導電フィルムの印刷層(導電層)の密着性評価を、JIS−K5600−5−6記載のクロスカット法に準拠して行った。具体的には、得られた導電フィルムの印刷層(導電層)面に、碁盤目剥離試験治具を用い、1mmのクロスカットを100個作製し、積水化学工業株式会社製の粘着テープNo.252をその上に貼り付け、ヘラを用いて均一に押し付けた後、粘着テープを180度方向に剥離し、印刷層(導電層)の残存率(クロスカットの残存個数の比率)を求め、以下の3段階基準で評価した。◎または○評価であれば密着性は良好と判断した。
◎:残存率95%以上
〇:残存率が75%以上〜95%未満
×:残存率が75%未満
<耐熱性>
各ハードコートフィルムのハードコート層A上に、銅ナノ粒子ペースト(商品名:CP−100、ハリマ化成株式会社製)を用いて、卓上スクリーン印刷機(商品名:DP−320、ニューロング精密工業株式会社製)で線幅200μm、100μm、50μmの各印刷線を形成した。印刷後、キセノンフラッシュ光照射(キセノンパルス光照射装置S−200、XENON Corporation製)により、常法に従い光焼成した(照射電圧3kV、照射時間1.2ms)。光焼成後の各印刷線をレーザー顕微鏡(商品名:VH−6300、株式会社ニコン製)で拡大観察し、フィルム損傷の有無を判定した。このフィルム損傷とは、具体的には、フィルムの全体あるいは部分的な変形や、光照射部の陥没や膨れを起こすことなどである。評価基準は以下の通りである。
○:フィルム損傷なし ×:フィルム損傷あり
<カール特性>
カッターで10×10cm角の大きさに裁断した各ハードコートフィルムを、150℃に昇温したセーフベンドライヤー(商品名:N50−S5、佐竹化学機械工業株式会社製)内に2時間平置き放置した後、フィルム反り上がりの有無を目視で観察した。評価基準は以下の通りである。
○:反りなし ×:反りあり
Figure 0006904634
表1の結果から、本発明の実施例によるハードコートフィルムは、いずれも印刷層の密着性が良好であり、しかも耐擦傷性、耐熱性やカール特性が良好であることがわかる。すなわち、本発明によれば、高い印刷適性を維持しつつ、ハード性及び、耐熱性やカール抑制にも優れたハードコートフィルムを提供することができる。したがって、本発明のハードコートフィルムは、例えば導電層などの印刷層を形成した導電フィルムなどの用途に好適である。
一方、ハードコート層Aの膜厚Dが薄い(6μm未満)比較例1のハードコートフィルムは、耐熱性が不足しており、印刷層の密着性やカール抑制についても不良である。また、ハードコート層Aの表面硬化度Cが15を超える比較例2のハードコートフィルムは、ハードコート層Aの硬化が不十分のため、ハードコート層Aとしての所望のハード性が得られない上、ハードコート層Aに要求される耐熱性が得られず、印刷層の密着性やカール抑制についても不良である。つまり、本発明のハードコートフィルムの条件を満たしていない比較例では、高い印刷適性を維持しつつ、ハード性及び、耐熱性やカール抑制にも優れたハードコートフィルムを得ることは困難である。

Claims (5)

  1. フィルム基材の両面にハードコート層を形成させたハードコートフィルムであって、下記条件(I)、(II)及び(III)を満たすことを特徴とするハードコートフィルム。
    条件(I):少なくとも片方の面に形成されたハードコート層Aは、表面自由エネルギーが30mN/m〜55mN/mの範囲にある。
    条件(II):前記ハードコート層Aの膜厚Dが、6μm以上である。
    条件(III):下記式(1)で表される前記ハードコート層Aの表面硬化度Cが、3〜15の範囲にある。
    表面硬化度C=(P1/P2)×100・・・式(1)
    (但し、前記ハードコート層Aの表面の赤外分光スペクトル測定によって得られる794〜823cm−1のピーク面積をP1とし、1658〜1778cm−1のピーク面積をP2とする。)
  2. 前記ハードコート層Aは、重量平均分子量600以上であり、且つ分子内に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレート樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載のハードコートフィルム。
  3. 前記ハードコートフィルムのもう一方の面に形成されたハードコート層Bの膜厚Dと、前記ハードコート層Aの膜厚Dとが、|D−D|≦3μmの範囲にあることを特徴とする請求項1又は2に記載のハードコートフィルム。
  4. 前記ハードコート層Aの表面硬化度Cと、前記ハードコート層Bの下記式(2)で表される表面硬化度Cとが、|C−C|≦3の範囲にあることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のハードコートフィルム。
    表面硬化度C=(P3/P4)×100・・・式(2)
    (但し、前記ハードコート層Bの表面の赤外分光スペクトル測定によって得られる794〜823cm−1のピーク面積をP3とし、1658〜1778cm−1のピーク面積をP4とする。)
  5. 前記フィルム基材が、ポリエチレンテレフタレートフィルムであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のハードコートフィルム。

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