JP2008231375A - 活性エネルギー線硬化型ハードコート組成物、ハードコート層及びハードコートフィルム - Google Patents

活性エネルギー線硬化型ハードコート組成物、ハードコート層及びハードコートフィルム Download PDF

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Abstract

【課題】高硬度で硬化後のカールが小さいハードコートフィルムを提供する。
【解決手段】(メタ)アクリロイル基を有する化合物とN−ビニルホルムアミドとを含有する活性エネルギー線硬化型ハードコート組成物。N−ビニルホルムアミドの含有量は該組成物中の固形分100重量部中、50重量部以下が好ましい。この活性エネルギー線硬化型ハードコート組成物を基材上に塗布して、硬化させてなるハードコート層。このハードコート層を有するハードコートフィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、電機製品のハウジング、ディスプレイなどの表示装置、精密電子部品、床材、各種フィルム、シートなどに使用される活性エネルギー線硬化型ハードコート組成物と、この活性エネルギー線硬化型ハードコート組成物により形成されたハードコート層と、基材上にこのハードコート層が形成されたハードコートフィルムに関する。
プラスチックフィルムを基材として使用する製品は、プラスチックフィルムの硬度が十分ではないため、摩擦等によりフィルム表面に傷がつきやすい。このため、例えば、液晶ディスプレイ、CRT、プラズマディスプレイ等の各種表示装置などにおいては、その表面を保護するために様々なハードコート処理を施した透明プラスチックフィルムが使用されている。
しかしながら、フィルム表面にハードコート処理を施しても、その塗膜硬度は十分とはいえず、またより硬度の高いハードコート膜を形成したものにあっては、硬化による収縮のために、ハードコートフィルムがカールするという問題があった。
そのために、従来よりハードコート膜の更なる高硬度化と低カール化を両立させる検討がなされている。
この問題の解決方法として、表面を修飾したコロイダルシリカ等の金属微粒子を紫外線硬化型ハードコート層に配合する手法が提案されている(例えば特許文献1,2)。しかしながら、この方法は、塗膜の硬度については十分に満足し得るものではなかった。
特公昭62−21815 特開2000−230107
本発明は、より高硬度で硬化後のカールが小さいハードコートフィルムを形成し得る活性エネルギー線硬化型ハードコート組成物と、この活性エネルギー線硬化型ハードコート組成物により形成されたハードコート層と、基材上にこのハードコート層が形成されたハードコートフィルムを提供することを目的とする。
本発明者は上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、活性エネルギー線硬化型ハードコート組成物中に、N−ビニルホルムアミドを配合することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明の要旨は、(メタ)アクリロイル基を有する化合物と、N−ビニルホルムアミドとを含有してなることを特徴とする活性エネルギー線硬化型ハードコート組成物、に存する。
本発明の別の要旨は、基材上にこの活性エネルギー線硬化型ハードコート組成物を塗布して形成されたことを特徴とするハードコート層、に存する。
本発明の更に別の要旨は、基材と、該基材上に形成されたこのハードコート層とを有することを特徴とするハードコートフィルム、に存する。
本発明によれば、高硬度で硬化後のカールが小さいハードコート層及びハードコートフィルムが提供される。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施形態の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、これらの内容には特定されない。
[活性エネルギー線硬化型ハードコート組成物]
本発明の活性エネルギー線硬化型ハードコート組成物は、(メタ)アクリロイル基を有する化合物と、N−ビニルホルムアミドとを含有するものである。
<(メタ)アクリロイル基を有する化合物>
本発明に用いられる(メタ)アクリロイル基を有する化合物は、分子内に(メタ)アクリロイル基を1以上有する化合物を意味し、モノマーであっても、オリゴマーであってもよい。
本発明では、アクリロイル基とメタアクリロイル基を総称して、(メタ)アクリロイル基という。すなわち、(メタ)アクリロイル基を有する化合物とは、アクリロイル基のみを有する化合物であってもよく、メタアクリロイル基のみを有する化合物であってもよく、アクリロイル基とメタアクリロイル基との両方を有するものであってもよい。また、以下に記載する(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸エステルについても同様である。
本発明に係る(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、例えば、以下に記載する多官能(メタ)アクリレートや単官能(メタ)アクリレートのモノマー又はオリゴマーが挙げられる。
多官能(メタ)アクリレートとしては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、エチレングルコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングルコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングルコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングルコールジ(メタ)アクリレート、ビス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、及びこれらの出発アルコール類へのエチレンオキシド又はプロピレンオキシド付加物のポリ(メタ)アクリレート類、分子内に2以上の(メタ)アクリロイル基を有するオリゴエステル(メタ)アクリレート類、オリゴエーテル(メタ)アクリレート類、オリゴウレタン(メタ)アクリレート類、及びオリゴエポキシ(メタ)アクリレート類等を挙げることができる。
単官能(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、アクリロニトリル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、n−ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノールエチレンオキサイド変性(n=2)(メタ)アクリレート、ノニルフェノールプロピレンオキサイド変性(n=2.5)(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルフタレート等のフタル酸誘導体のハーフ(メタ)アクリレート、フルフリル(メタ)アクリレート、カルビトール(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート2−アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェートモノエステル、シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、アクリロイルモルフォリン、4−グリシジルオキシブチルアクリレート、ダイアセトンアクリルアミド等が挙げられる。
これらの中では、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートが好ましい。
これらの(メタ)アクリロイル基を有する化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合してもよい。
<含有割合>
本発明の活性エネルギー線硬化型ハードコート組成物において、N−ビニルホルムアミドの含有量は混合する(メタ)アクリロイル基を有する化合物の種類によっても異なるが、活性エネルギー線硬化型ハードコート組成物中の固形分100重量部中、50重量部以下、好ましくは40重量部以下、特に好ましくは30重量部以下で、好ましくは1重量部以上、より好ましくは5重量部以上である。
なお、本発明において、活性エネルギー線硬化型ハードコート組成物中の固形分とは、活性エネルギー線硬化型ハードコート組成物を構成する(メタ)アクリロイル基を有する化合物とN−ビニルホルムアミドと後述の重合開始剤との合計であり、後述の添加剤は含まない。
この範囲よりもN−ビニルホルムアミドが少ないと、N−ビニルホルムアミドを用いることによる硬度の向上、カールの改善効果を十分に得ることができない。ただし、N−ビニルホルムアミドの含有量が多過ぎると十分な硬度が得られないため、上記上限値以下とすることが好ましい。
なお、本発明の活性エネルギー線硬化型ハードコート組成物において、(メタ)アクリロイル基を有する化合物の含有量は、該組成物中の固形分100重量部中、50〜99重量部、特に60〜95重量部とすることが好ましく、また、(メタ)アクリロイル基を有する化合物とN−ビニルホルムアミドとの含有重量比は、(メタ)アクリロイル基を有する化合物:N−ビニルホルムアミド=100:1〜100、特に100:5〜45であることが好ましい。この範囲よりも(メタ)アクリロイル基を有する化合物が多いとカールが大きくなり、少ないと十分な硬度が得られない。
<重合開始剤>
本発明の活性エネルギー線硬化型ハードコート組成物は、通常、ガンマ線、電子線又は紫外線などの活性エネルギー線を照射することによって硬化するが、紫外線を用いて硬化させる場合、重合開始剤を添加することが好ましい。
重合開始剤としては、ベンゾフェノン系開始剤、ジケトン系開始剤、アセトフェノン系開始剤、ベンゾイン系開始剤、チオキサントン系開始剤、キノン系開始剤等のいかなる公知の光重合開始剤を用いてもよい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
通常、重合開始剤は活性エネルギー線硬化型ハードコート組成物中の固形分100重量部中、1〜10重量部の範囲で用いられる。
光重合開始剤の含有量がこの下限を下回ると、重合による硬化が進行しにくくなり、硬化不良となる恐れがある。また、この上限を上回ると、硬度、塗膜強度などの性能に悪影響を及ぼす恐れや、ハードコート層が着色するなどして透明性が悪化する恐れがあるため、添加量は必要最小限にとどめるのがよい。
<溶剤>
本発明の活性エネルギー線硬化型ハードコート組成物は、固形物濃度を調整する目的で溶剤を添加させて使用してもよく、硬化後に得られるハードコート層が所望の厚さとなるよう任意の量の溶剤を添加することができる。
この場合、用いる溶剤は特に限定するものではないが、例えばメチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルアミルケトンなどのケトン系溶剤、メタノール、エタノール、t−ブタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのアルコール系溶剤などが挙げられる。
これらの溶剤は、1種を単独で用いても、2種以上の溶剤を組み合わせて用いてもよい。
溶剤の含有量は、活性エネルギー線硬化型ハードコート組成物の固形分100重量部に対し、1重量部以上が好ましく、20重量部以上がさらに好ましく、40重量部以上が特に好ましい。また、10000重量部以下が好ましく、5000重量部以下がさらに好ましく、1000重量部以下が特に好ましい。
溶剤の含有量がこの範囲より少ないと溶剤を用いたことによる固形物濃度の調整効果が得られず、また、塗膜形成時の取り扱い性に劣るものとなり、多いと固形物濃度が低くなり過ぎ、塗膜形成性が悪くなる。
<その他の成分>
本発明の活性エネルギー線硬化型ハードコート組成物には、上述した(メタ)アクリロイル基を有する化合物、N−ビニルホルムアミド、更には重合開始剤や溶剤の他に、必要に応じてレベリング剤、有機及び/又は無機微粒子、帯電防止剤や、スチレン、トリアリルイソシアヌレート、不飽和ポリエステルなどの不飽和二重結合を有する化合物等を添加することができる。
(レベリング剤)
レベリング剤としては特に限定するものではないが、シリコーン系、フッ素系、アセチレングリコール系等のレベリング剤が挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
レベリング剤の添加量の下限は、本発明の活性エネルギー線硬化型ハードコート組成物の固形分100重量部中、通常0.001重量部、好ましくは0.01重量部であり、添加量の上限は通常10重量部、好ましくは5重量部である。レベリング剤の添加量がこの下限を下回ると、レベリング効果が十分に得られず、上限を上回ると、それ以上にはレベリング効果は向上しないばかりか、硬度、塗膜強度などの性能に悪影響を及ぼす恐れがあるため、添加量は必要最小限にとどめるのがよい。
(有機及び/又は無機微粒子)
活性エネルギー線硬化型ハードコート組成物に有機及び/又は無機微粒子を添加することにより、形成されるハードコート層の表面に微細な凸凹が形成されるため防眩性も付与することができる。また、硬化塗膜の耐磨耗性を向上、屈折率を調整する目的でコロイダルシリカ等の金属酸化物超微粒子を配合することもできる。
有機・無機微粒子としては特に制限はなく、従来から使用されている各種微粒子の中から、適宜選択して用いることができる。
無機微粒子としては、平均粒径が10nm〜10μm程度のシリカ微粒子が特に好ましく挙げられ、有機微粒子としては、平均粒径が1〜10μm程度のポリ(メタ)アクリル酸メチル微粒子、ポリカーボネート微粒子、ポリスチレン微粒子、ポリアクリルスチレン微粒子、ポリ塩化ビニル微粒子などが好ましく挙げられる。
本発明においては、これらの無機微粒子や有機微粒子は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
有機及び/又は無機微粒子の添加量の下限は、本発明の活性エネルギー線硬化型ハードコート組成物の固形分100重量部に対し、通常0.1重量部、好ましくは1重量部、より好ましくは2.5重量部であり、添加量の上限は通常100重量部、好ましくは80重量部、より好ましくは50重量部である。該微粒子の添加量が上記範囲であれば、形成されるハードコート層は、機械的特性や成膜性等を損なうことなく、良好な防眩性や耐磨耗性の向上効果、屈折率の調整機能等を得ることができる。
(帯電防止剤)
本発明の活性エネルギー線硬化型ハードコート組成物には、後述の本発明のハードコートフィルムの表面に繊維ほこりやプラスチック粉等が付着するのを抑制するために、帯電防止剤を添加することができる。
帯電防止剤としては、例えば、4級アンモニウム塩基、ピリジニウム塩基、第1,第2,第3アミノ基などのカチオン性官能基を有するカチオン型帯電防止剤;スルホン酸塩や硫酸エステル塩、ホスホン酸塩、リン酸エステル塩などのアニオン性官能基を有するアニオン型帯電防止剤;アルキルベタインおよびその誘導体、イミダゾリンおよびその誘導体、アラニンおよびその誘導体などの両性型帯電防止剤;アミノアルコールおよびその誘導体、グリセリンおよびその誘導体、ポリエチレングリコールおよびその誘導体などのノニオン型帯電防止剤;ポリアセチレン、ポリ(パラフェニレン)、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリ(フェニレンビニレン)等の導電性ポリマー類が挙げられる。これらの帯電防止剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
帯電防止剤の添加量は、帯電防止剤の種類・構造にも因るが、通常添加量の下限は、本発明の活性エネルギー線硬化型ハードコート組成物の固形分100重量部中、0.1重量部、好ましくは1重量部であり、添加量の上限は20重量部、好ましくは10重量部であり、帯電防止剤の添加量が上記範囲であれば、他の物性を損なうことなく、十分な帯電防止性能が得られる。
なお、帯電防止性能としては、JIS K6911に準じて測定した表面抵抗値が通常1012Ω/□以下、好ましくは1010Ω/□以下、より好ましくは10Ω/□以下であれば、良好な帯電防止性を有すると言える。
また、本発明の活性エネルギー線硬化型ハードコート組成物には、上記以外にも必要に応じてその他の添加剤を添加してもよい。
[ハードコート層およびハードコートフィルム]
本発明の活性エネルギー線硬化型ハードコート組成物は、特に制限されるものではないが、通常、公知の塗工装置を用いて基材上に塗布した後、溶剤を含有している場合は溶剤を乾燥して除去し、活性エネルギー線を照射して硬化させることにより、ハードコート層を形成する用途に用いられる。
公知の塗工装置としては、マイクログラビアコーター、グラビアコーター、マイヤーバーコーター、ダイコーター等の塗工装置を使用することができる。
また、活性エネルギー線としては、紫外線、電子線等を用いることができる。
活性エネルギー線として紫外線を照射する装置としては任意の装置を用いることができ、例えば、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、マイクロ波によって紫外線を発生させる構造の紫外線ランプ等、公知の任意の装置を好ましく用いることができる。
活性エネルギー線として電子線を照射する装置としては、特に限定はなく、公知の電子線発生装置がいずれも適用可能であるが、一例としては、コッククロフト型、コッククロフトワルトン型、バン・デ・グラーフ型、共振変圧器型、変圧器型、絶縁コア変圧器型、ダイナミトロン型、リニアフィラメント型、高周波型等の電子線発生装置が挙げられる。
また、基材としては、特に制限されるものではないが、例えば、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、トリアセチルセルロース樹脂、ノルボルネン系樹脂等の樹脂フィルムや樹脂基板を挙げることができる。
ハードコート層は、通常、上述のような樹脂フィルムよりなる基材上にハードコート層を有するハードコートフィルムとして使用することができる。ハードコートフィルムとして使用する場合、ハードコート層は、基材上に直接形成されるものであっても、また、基材上に他の層を介して形成されるものであってもよい。
なお、本発明のハードコート層の厚さや、このハードコート層が形成される基材の厚さ、本発明のハードコートフィルムの厚さは、その用途に応じて適宜決定されるが、通常、本発明のハードコート層は、厚さ1〜2000μm程度の基材上に、厚さ0.1〜100μm程度に形成され、総厚さ1.1〜2100μm程度のハードコートフィルムとして使用に供される。
特に、本発明の活性エネルギー線硬化型ハードコート組成物は、カールが小さいことから、カールし易い、厚さ1〜200μm程度の比較的膜厚の薄い基材フィルムへのハードコート層の形成に有用である。
このようにして得られた本発明のハードコート層は、鉛筆硬度が高く、耐擦傷性に優れ、しかも硬化後のカールが小さい。
本発明のハードコート層またはハードコートフィルムは、電機製品のハウジング、ディスプレイなどの表示素子のハードコート層などの保護用フィルム、精密電子部品、床材、各種フィルム、シートなどとして有用である。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
ジペンタエリスリトールペンタ/ヘキサアクリレート(ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとの混合物、製品名:M−403 東亜合成製)100重量部、N−ビニルホルムアミド(製品名:ビームセット770 荒川化学工業製)20重量部、光重合開始剤としてイルガキュアー907(チバスペシャリティーケミカルズ製)3重量部からなる混合物を、MEK(メチルイソブチルケトン)/PGM(プロピレングリコールモノメチルエーテル)=50/50(重量部比)の混合溶媒で固形分50重量%に希釈して本発明の活性エネルギー線硬化型ハードコート組成物を調製した。
この組成物を膜厚約125μmの易接着ポリエステルフィルム(製品名:アクリシャインA−4100 東洋紡社製)上に塗布し、溶剤を除去して乾燥させた後、紫外線を照射して膜厚10μmのハードコート層を形成した。このハードコート層を有するフィルム(ハードコートフィルム)について、次の評価方法によって行った評価結果を表1に示す。
(1)鉛筆硬度:JIS K5400による(ハードコート層表面)
(2)擦傷性試験:スチールウール#0000を用い、1000g荷重にてハードコート層表面を10往復擦傷後、外観を目視にて評価。
(3)カール試験:作成したハードコートフィルムを10cm×10cmの正方形に切り取り、隣接する2辺をガラス基板上に固定したときに、固定していない2辺からなる角がガラス基板から離れた距離を測定した。
(実施例2)
ジペンタエリスリトールペンタ/ヘキサアクリレート(製品名:M−403 東亜合成製)100重量部、N−ビニルホルムアミド(製品名:ビームセット770 荒川化学工業製)12重量部、光重合開始剤としてイルガキュアー907(チバスペシャリティーケミカルズ製)3重量部からなる混合物を、MEK/PGM=50/50(重量部比)の混合溶媒で固形分50重量%に希釈して本発明の活性エネルギー線硬化型ハードコート組成物を調製した。この組成物を用いて、実施例1と同様にしてハードコート層を有するフィルム(ハードコートフィルム)を作製し、同様に評価を行って、結果を表1に示した。
(実施例3)
ジペンタエリスリトールペンタ/ヘキサアクリレート(製品名:M−403 東亜合成製)100重量部、N−ビニルホルムアミド(製品名:ビームセット770 荒川化学工業製)20重量部、光重合開始剤としてイルガキュアー907(チバスペシャリティーケミカルズ製)3重量部からなる混合物100重量部に対し、シリカ超微粒子(製品名:オルガノシリカゾル MEK−ST 日産化学工業製 粒径10〜20nm 固形分20重量% 分散媒としてメチルエチルケトン使用)を500重量部添加し、更に、MEK/PGM=50/50(重量部比)の混合溶媒で固形分50重量%に希釈して本発明の活性エネルギー線硬化型ハードコート組成物を調製した。この組成物を用いて、実施例1と同様にしてハードコート層を有するフィルム(ハードコートフィルム)を作製し、同様に評価を行って、結果を表1に示した。
(実施例4)
ジペンタエリスリトールペンタ/ヘキサアクリレート(製品名:M−403 東亜合成製)100重量部、N−ビニルホルムアミド(製品名:ビームセット770 荒川化学工業製)20重量部、光重合開始剤としてイルガキュアー907(チバスペシャリティーケミカルズ製)3重量部からなる混合物100重量部に対するシリカ超微粒子(製品名:オルガノシリカゾル MEK−ST 日産化学工業製)の添加量を250重量部としたこと以外は、実施例3と同様にしてハードコート層を有するフィルム(ハードコートフィルム)を作製し、同様に評価を行って、結果を表1に示した。
(実施例5)
基材フィルムとして、膜厚約80μmのトリアセチルセルロースフィルム(製品名:TAC PHAN ローホーハイテックフィルム製)を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてハードコート層を有するフィルム(ハードコートフィルム)を作製し、同様に評価を行って、結果を表1に示した。
(比較例1)
ジペンタエリスリトールペンタ/ヘキサアクリレート(製品名:M−403 東亜合成製)100重量部、光重合開始剤としてイルガキュアー907(チバスペシャリティーケミカルズ製)3重量部からなる混合物を、MEK/PGM=50/50(重量部比)の混合溶媒で固形分50重量%に希釈して比較例の活性エネルギー線硬化型ハードコート組成物を調製した。この組成物を用いて、実施例1と同様にしてハードコート層を有するフィルム(ハードコートフィルム)を作製し、同様に評価を行って、結果を表1に示した。
(比較例2)
基材フィルムとして、膜厚約80μmのトリアセチルセルロースフィルム(製品名:TAC PHAN ローホーハイテックフィルム製)を用いたこと以外は、比較例1と同様にしてハードコート層を有するフィルム(ハードコートフィルム)を作製し、同様に評価を行って、結果を表1に示した。
Figure 2008231375
表1より、本発明によれば、高硬度で硬化後のカールが小さいハードコートフィルムが提供されることが分かる。

Claims (6)

  1. (メタ)アクリロイル基を有する化合物と、N−ビニルホルムアミドとを含有してなることを特徴とする活性エネルギー線硬化型ハードコート組成物。
  2. 請求項1において、N−ビニルホルムアミドの含有量が、該組成物中の固形分100重量部中、50重量部以下であることを特徴とする活性エネルギー線硬化型ハードコート組成物。
  3. 請求項2において、該(メタ)アクリロイル基を有する化合物の含有量が該組成物中の固形分100重量部中、50〜99重量部であり、N−ビニルホルムアミドの含有量が、該組成物中の固形分100重量部中、1〜50重量部であることを特徴とする活性エネルギー線硬化型ハードコート組成物。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項において、更に重合開始剤を該組成物中の固形分100重量部中、1〜10重量部含むことを特徴とする活性エネルギー線硬化型ハードコート組成物。
  5. 基材上に、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型ハードコート組成物を塗布して形成されたことを特徴とするハードコート層。
  6. 基材と、該基材上に形成された請求項5に記載のハードコート層とを有することを特徴とするハードコートフィルム。
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