JPH09157420A - 保護用フィルム - Google Patents

保護用フィルム

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JPH09157420A
JPH09157420A JP7324678A JP32467895A JPH09157420A JP H09157420 A JPH09157420 A JP H09157420A JP 7324678 A JP7324678 A JP 7324678A JP 32467895 A JP32467895 A JP 32467895A JP H09157420 A JPH09157420 A JP H09157420A
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polyester
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polyester resin
acid
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Hagumu Takada
育 高田
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純 平田
Takashi Mimura
尚 三村
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】実質的に外部粒子を含有しないポリエステ
ルフィルムの両面に設けられた積層膜(A)を介して、
一方の面に表面硬度化層(B)が設けられた保護用フィ
ルムにおいて、該積層膜(A)がポリエステル樹脂とメ
ラミン系架橋剤を主たる構成成分とし、該ポリエステル
樹脂が側鎖にカルボン酸および/またはその塩を有する
ことを特徴とする保護用フィルムに関する。 【効果】本発明の保護用フィルムは、実質的に外部粒子
を含有しない基材ポリエステルフィルムの両面に特定の
積層膜を介して、一方の面に表面硬度化層を設け、他方
の面を粘着剤層を介して相手材に貼り合わせた場合、表
面硬度が高く、耐摩耗性、密着性、耐久性に優れると同
時に、透明性にも優れたものとなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、保護用フィルムに
関し、更に詳しくは透明性に優れた基材ポリエステルフ
ィルムに積層膜を介して、一方の面に表面硬度化層を設
けた保護フィルムであって、他方の面に粘着剤層を介し
て相手材と貼り合わせるために用いられ、表面硬度が高
く、耐摩耗性、耐久性に優れると同時に、透明性の高い
保護用フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】二軸延伸ポリエステルフィルムは、その
透明性、強靭性、寸法安定性などの特徴を有することか
ら、金属、木材、ガラスなどと貼り合わされ、防錆性、
化粧性、飛散防止性などの表面保護を目的とした用途に
使用されている。
【0003】ポリエステルフィルムは表面硬度が低く、
また耐摩耗性も不足しているため、他の硬い物体との接
触、摩擦、引っかきなどによって、表面に損傷を受けや
すく、表面に発生した損傷により商品価値を著しく低下
させたり、短期間で使用不能となったりする。このため
フィルム表面に表面硬度化層を設け、他方の面に粘着剤
層を設けて、基材などに貼り合わせる方法がとられてい
た。
【0004】しかし、基材ポリエステルフィルムは表面
が高度に結晶配向されているため表面硬度化層との密着
性が乏しく、表面硬度化層が剥離してしまい、耐久性に
劣るという欠点を有している。また、粘着剤層について
も同様であり、基材ポリエステルフィルムとの界面で剥
離してしまい、相手材に貼り合わせたときに、やはり耐
久性に劣るという欠点があった。そのため従来からポリ
エステルフィルム表面に種々の方法により易接着性付与
の検討がなされてきた。
【0005】易接着化の方法としては、基材ポリエステ
ルフィルム表面にコロナ放電処理、紫外線照射処理、あ
るいはプラズマ処理などを施すことによる表面活性化
法、酸、アルカリ、アミン水溶液などの薬剤による表面
エッチング法、フィルム表面にアクリル樹脂、スルホン
酸塩基含有ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂などの各種
樹脂をプライマ層として設ける方法(特開昭55−15
825号公報、特開昭58−78761号公報、特開昭
60−248232号公報など)が既に知られている。
特に、塗布によって上記プライマ層を設け易接着性を付
与する方法として、結晶配向が完了する前のポリエステ
ルフィルムに上記樹脂成分を含有する塗剤を塗布し、乾
燥後、延伸、熱処理を施して結晶配向を完了させる方法
(インラインコート法)などが工程簡略化や製造コスト
の点で有力視され、当業界で行われている。
【0006】また、基材ポリエステルフィルムの製造工
程としては、通常、ポリエステルペレットを乾燥後、押
し出し機に供給し、口金よりシート状に押し出し、長手
および幅方向に延伸後、熱処理され、巻き取り機で巻き
取られる。この時、その製膜工程、特に巻き取り工程で
のハンドリング性を向上させるため、易滑性付与などの
目的で種々の外部粒子を添加したポリエステルペレット
を用いている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前述した従来
の技術には次のような問題点がある。
【0008】アクリル樹脂を積層した場合には、被覆物
である表面硬度化層や粘着剤層との密着性は優れている
ものの基材ポリエステルフィルムとの密着性が不十分と
なり、またポリエステル樹脂やウレタン樹脂を積層した
場合には基材との密着性は良好であるが、表面硬度化層
や粘着剤層との十分な密着性が得られず、表面硬度化層
の耐久性に劣る、相手材、例えば金属、木材、ガラスな
どから剥離してしまうという欠点があった。
【0009】また、通常、基材ポリエステルフィルム中
には種々の外部粒子を含有しているため、易滑性などに
は優れているものの、フィルムのヘイズが増加し、貼り
合わせた相手材の本来の外観を損なうという問題があっ
た。
【0010】本発明はこれらの欠点を解消せしめ、被覆
物となる表面硬度化層や粘着剤層と十分な密着性を有
し、耐久性に優れると同時に、透明性に優れた保護用フ
ィルムを提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、実質的に外部
粒子を含有しないポリエステルフィルムの両面に設けら
れた積層膜(A)を介して、一方の面に表面硬度化層
(B)が設けられた保護用フィルムにおいて、該積層膜
(A)がポリエステル樹脂とメラミン系架橋剤を主たる
構成成分とし、該ポリエステル樹脂が側鎖にカルボン酸
および/またはその塩を有することを特徴とする保護用
フィルムをその骨子とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明において用いられるポリエ
ステルフィルムのポリエステルとは、エステル結合を主
鎖の主要な結合鎖とする高分子の総称であって、好まし
いポリエステルとしては、エチレンテレフタレート、エ
チレン−2,6−ナフタレート、ブチレンテレフタレー
ト、エチレン−α,β−ビス(2−クロロフェノキシ)
エタン−4,4−ジカルボキシレート等から選ばれた少
なくとも1種の構成成分を主要構成成分とするものを用
いることができる。これら構成成分は1種のみ用いて
も、2種以上併用してもいずれでもよいが、中でも品
質、経済性などを総合的に判断するとエチレンテレフタ
レートを主要構成成分とするポリエステルが特に好まし
い。また、基材に熱が作用する用途や、被覆物として紫
外線硬化型樹脂など硬化時に樹脂の収縮を伴う用途にお
いては、耐熱性や剛性に優れたポリエチレン−2,6−
ナフタレートが更に好ましい。
【0013】これらポリエステルには、更に他のジカル
ボン酸成分やジオール成分が20モル%以下共重合され
ていてもよい。
【0014】更に、このポリエステル中には本発明の効
果を損なわない範囲内で、各種添加剤、例えば酸化防止
剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、有機の易
滑剤、顔料、染料、充填剤、帯電防止剤、核剤などが添
加されていてもよい。
【0015】本発明においては、基材ポリエステルフィ
ルム中には実質的に外部粒子を含有しないことを特徴と
する。ポリエステル製造時に添加する金属化合物、リン
化合物が反応時にポリエステル鎖と反応し、ポリマ中に
不溶物として析出してくる粒子である内部粒子に対し、
外部粒子とは系外で調製しポリマに添加する粒子、即ち
炭酸カルシウム、シリカ、カオリン、アルミナ、酸化チ
タンなどのことで、これらを基材フィルム中には添加し
ないことを特徴とするものである。
【0016】また、上述したポリエステルの極限粘度
(25℃のo-クロロフェノール中で測定)は、0.4〜
1.2dl/gが好ましく、より好ましくは0.5〜
0.8dl/gの範囲にあるものが本発明の内容に好適
である。
【0017】更に積層膜との密着性を向上させる点か
ら、基材ポリエステルフィルムのカルボキシル末端基量
が37当量/トン以上が好ましく、より好ましくは40
当量/トン以上である。
【0018】上記ポリエステルを使用したポリエステル
フィルムは、積層膜が設けられた状態においては二軸配
向されたものであるのが好ましい。二軸配向ポリエステ
ルフィルムとは、未延伸状態のポリエステルシートまた
はフィルムを長手方向および幅方向に各々2.5〜5倍
程度延伸され、その後熱処理を施し、結晶配向を完了さ
せたものであり、広角X線回折で二軸配向のパターンを
示すものをいう。
【0019】ポリエステルフィルムの厚みは特に限定さ
れるものではないが、機械的強度、熱伝導性の点から、
通常0.5〜500μm、好ましくは1〜300μmで
ある。また、得られたフィルムを各種の方法で貼り合わ
せ、更に厚いフィルムとすることもできる。
【0020】本発明に係る積層膜(A)の構成成分であ
るポリエステル樹脂は、主鎖あるいは側鎖にエステル結
合を有するものであり、かつ、側鎖にカルボン酸および
/またはその塩を有するものである。このようなポリエ
ステル樹脂は、ジカルボン酸とジオールから重縮合して
得られるポリエステル樹脂に、多価カルボン酸を共重合
することによって得ることができるものである。
【0021】ポリエステル樹脂を構成するカルボン酸成
分としては、芳香族、脂肪族、脂環族のジカルボン酸や
3価以上の多価カルボン酸が使用できる。芳香族ジカル
ボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソ
フタル酸、フタル酸、2,5−ジメチルテレフタル酸、
1,4−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボ
ン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,2−ビス
フェノキシエタン−p,p’−ジカルボン酸、フェニル
インダンジカルボン酸などを用いることができる。これ
らの芳香族ジカルボン酸は、積層膜の強度や耐熱性の点
で全ジカルボン酸成分の30モル%以上が好ましく、よ
り好ましくは35モル%以上、最も好ましくは40モル
%以上である。脂肪族および脂環族のジカルボン酸とし
ては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジ
オン酸、ダイマー酸、1,3−シクロペンタンジカルボ
ン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−
シクロヘキサンジカルボン酸などおよびそれらのエステ
ル形成性誘導体を用いることができる。
【0022】ポリエステル樹脂のグリコール成分として
は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリ
エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロ
ピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3
−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−
ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7
−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,
9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、2,
4−ジメチル−2−エチルヘキサン−1,3−ジオー
ル、ネオペンチルグリコール、2−エチル−2−ブチル
−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−イソブ
チル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5
−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6
−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノ
ール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−
シクロヘキサンジメタノール、2,2,4,4−テトラ
メチル−1,3−シクロブタンジオール、4,4’−チ
オジフェノール、ビスフェノールA、4,4’−メチレ
ンジフェノール、4,4’−(2−ノルボルニリデン)
ジフェノール、4,4’−ジヒドロキシビフェノール、
o−,m−,およびp−ジヒドロキシベンゼン、4,
4’−イソプロピリデンフェノール、4,4’−イソプ
ロピリデンビンジオール、シクロペンタン−1,2−ジ
オール、シクロヘキサン−1,2−ジオール、シクロヘ
キサン−1,4−ジオールなどを用いることができる。
【0023】また、多価カルボン酸としては、例えばト
リメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、
無水ピロメリット酸、4−メチルシクロヘキセン−1,
2,3−トリカルボン酸、トリメシン酸、1,2,3,
4−ブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4−ペンタ
ンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェ
ノンテトラカルボン酸、5−(2,5−ジオキソテトラ
ヒドロフルフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン
−1,2−ジカルボン酸、5−(2,5−ジオキソテト
ラヒドロフルフリル)−3−シクロヘキセン−1,2−
ジカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、2,
3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸、1,2,
5,6−ナフタレンテトラカルボン酸、エチレングリコ
ールビストリメリテート、2,2’,3,3’−ジフェ
ニルテトラカルボン酸、チオフェン−2,3,4,5−
テトラカルボン酸、エチレンテトラカルボン酸などある
いはこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、ア
ンモニウム塩などを用いることができるが、これに限定
されるものではない。
【0024】これらの共重合によって得られるポリエス
テル樹脂のガラス転移点は、基材フィルムおよび被覆物
との密着性の点で40℃以下が好ましく、より好ましく
は35℃以下、最も好ましくは30℃以下である。特に
好ましい該ガラス転移点は、本発明者らの知見によれば
0〜35℃であり、より好ましくは5〜30℃である。
【0025】また、ポリエステル樹脂としては、変性ポ
リエステル共重合体、例えばアクリル、ウレタン、エポ
キシ等で変性したブロック共重合体、グラフト共重合体
等を用いることも可能である。
【0026】好ましいポリエステル樹脂としては、酸成
分としてテレフタル酸、イソフタル酸、セバシン酸、ト
リメリット酸、ピロメリット酸、5−(2,5−ジオキ
ソテトラヒドロフルフリル)−3−メチル−3−シクロ
ヘキセン−1,2−ジカルボン酸、グリコール成分とし
てエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4
−ブタンジオール、ネオペンチルグリコールから選ばれ
る共重合体を用いたものなどを使用できる。
【0027】本発明の保護用フィルムに用いられるポリ
エステル樹脂は、各種の製造技術によって製造すること
ができる。また、カルボン酸を末端および/または側鎖
に多く有するポリエステル樹脂を得る方法としては、特
開昭54−46294号公報、特開昭60−20907
3号公報、特開昭62−240318号公報、特開昭5
3−26828号公報、特開昭53−26829号公
報、特開昭53−98336号公報、特開昭56−11
6718号公報、特開昭61−124684号公報、特
開昭62−240318号公報などに記載の3価以上の
多価カルボン酸を共重合した樹脂により製造することが
できるが、これら以外の方法であってもよい。
【0028】本発明の積層膜(A)の構成成分であるメ
ラミン系架橋剤は、特に限定されないが、メラミン、メ
ラミンとホルムアルデヒドを縮合して得られるメチロー
ル化メラミン誘導体、メチロール化メラミンに低級アル
コールを反応させて部分的あるいは完全にエーテル化し
た化合物、およびこれらの混合物などを用いることがで
きる。また、メラミン系架橋剤としては単量体、2量体
以上の多量体からなる縮合物、あるいはこれらの混合物
などを用いることができる。エーテル化に使用する低級
アルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコ
ール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソ
ブタノールなどを用いることができる。官能基として
は、イミノ基、メチロール基、あるいはメトキシメチル
基やブトキシメチル基等のアルコキシメチル基を1分子
中に有するもので、イミノ基型メチル化メラミン樹脂、
メチロール基型メラミン樹脂、メチロール基型メチル化
メラミン樹脂、完全アルキル型メチル化メラミン樹脂な
どである。その中でもメチロール化メラミン樹脂が最も
好ましい。更に、メラミン系架橋剤の熱硬化を促進する
ため、例えばp−トルエンスルホン酸などの酸性触媒を
用いてもよい。
【0029】ポリエステル樹脂とメラミン系架橋剤は任
意の比率で混合してもよいが、本発明の効果をより顕著
に発現させるには以下の比率(固形分重量比とする)で
混合するとよい。
【0030】すなわち、例えば、ポリエステル樹脂10
0重量部に対し、メラミン系架橋剤を0.5〜40重量
部が好ましく、より好ましくは1〜30重量部、最も好
ましくは2〜20重量部であることが望ましい。
【0031】本発明に係る積層膜は前記2種の構成成分
を主成分とした塗剤を塗布し、乾燥、熱処理したもので
あり、主成分とは上記2種が積層膜中において50重量
%以上を占めることをいう。特に本発明において、該2
種の成分比率は、好ましくは80重量%以上、より好ま
しくは90重量%以上である。
【0032】また、積層膜中には本発明の効果が損なわ
れない範囲内で、他の樹脂、例えば本発明に用いられる
上述ポリエステル樹脂以外のポリエステル樹脂、アクリ
ル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹
脂、尿素樹脂、フェノール樹脂などが配合されていても
よい。
【0033】更に、積層膜中には本発明の効果が損なわ
れない範囲内で各種の添加剤、例えば酸化防止剤、耐熱
安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、有機の易滑剤、顔
料、染料、有機または無機の微粒子、充填剤、帯電防止
剤、核剤などが配合されていてもよい。
【0034】特に、塗剤中に無機粒子を添加配合し二軸
延伸したものは、易滑性が向上するので更に好ましい。
【0035】この場合、添加する無機粒子の代表例とし
ては、シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、アルミナ
ゾル、カオリン、タルク、マイカ、炭酸カルシウム等を
用いることができる。用いられる無機粒子は、平均粒径
0.01〜10μmが好ましく、より好ましくは0.0
5〜5μm、最も好ましくは0.08〜2μmであり、
塗剤中の固形分に対する配合比は特に限定されないが、
重量比で0.05〜8重量部が好ましく、より好ましく
は0.1〜3重量部である。
【0036】本発明の保護用フィルムを製造するに際し
て、積層膜を設けるのに好ましい方法としては、ポリエ
ステルフィルムの製造工程中に塗布し、基材フィルムと
共に延伸する方法が最も好適である。例えば溶融押し出
しされた結晶配向前のポリエステルフィルムを長手方向
に2.5〜5倍程度延伸し、塗布する面にコロナ放電処
理を施し、連続的にその処理面に塗剤を塗布する。塗布
されたフィルムは段階的に加熱されたゾーンを通過しつ
つ乾燥され、幅方向に2.5〜5倍程度延伸される。さ
らに連続的に150〜250℃の加熱ゾーンに導かれ結
晶配向を完了させる方法によって得ることができる。こ
の場合に用いる塗布液は環境汚染や防爆性の点で水系の
ものが好ましい。
【0037】このような方法によって設けられた積層膜
は、基材ポリエステルフィルムとの密着性に優れる。
【0038】塗膜の厚みは特に限定されないが、通常は
0.01〜5μmの範囲が好ましく、より好ましくは
0.02〜2μm、最も好ましくは0.05μm〜0.
5μmである。積層膜の厚みが薄すぎると密着性不良と
なる場合がある。
【0039】基材フィルム上への塗布の方法は各種の塗
布方法、例えばリバースコート法、グラビアコート法、
ロッドコート法、バーコート法、ダイコート法、スプレ
ーコート法などを用いることができる。
【0040】なお、本発明に係る積層膜(A)はポリエ
ステルフィルムの両面に設けられるものであるが、この
とき、各面に設けられる積層膜は実質的に同一のもので
あるのが好ましい。
【0041】本発明における表面硬度化層(B)として
は、アクリル系、ウレタン系、メラミン系、有機シリケ
ート、シリコーン系、金属酸化物などからなるものとし
て構成することができる。特に硬度、耐久性などの点で
シリコーン系、アクリル系が好ましく、更に硬化性、可
撓性および生産性の点でアクリル系、特に活性線硬化型
アクリル系が好ましい。
【0042】活性線硬化型アクリル系とは、活性線重合
成分としてアクリルオリゴマと反応性希釈剤を含むもの
であり、その他に必要に応じて光開始剤、光増感剤、改
質剤を含有しているものを用いてもよい。
【0043】アクリルオリゴマとは、アクリル系樹脂骨
格に反応性のアクリル基が結合されたものを始めとし
て、ポリエステルアクリル、ウレタンアクリル、エポキ
シアクリル、ポリエーテルアクリルなどであり、またメ
ラミンやイソシアヌール酸などの剛直な骨格にアクリル
基を結合したものなどを用い得るが、これらに限定され
るものではない。
【0044】反応性希釈剤とは、塗布剤の媒体として塗
布工程での溶剤の機能を担うと共に、それ自体が一官能
性あるいは多官能性のアクリルオリゴマと反応する基を
有し、塗膜の共重合成分となるものである。
【0045】また、特に紫外線による架橋の場合には、
光エネルギが小さいため、光エネルギの変換や開始の助
長のため光重合開始剤および/または増感剤を添加する
ことが好ましい。
【0046】これらのアクリルオリゴマ、反応性希釈
剤、光重合開始剤、増感剤、架橋装置などの具体例は、
山下晋三、金子東助編、「架橋剤ハンドブック」、大成
社1981年発行、第267頁から第275頁、第56
2頁から第593頁を参考とすることができるが、これ
らに限定されるものではない。市販品として多官能アク
リル系紫外線硬化塗料として三菱レイヨン(株)、藤倉
化成(株)、大日精化工業(株)、大日本インキ化学工
業(株)、東亜合成化学工業(株)、日東化成(株)、
日本化薬(株)などの製品を利用することができるがこ
れらに限定されるものではない。
【0047】表面硬度化層の改質剤として、塗布性改良
剤、消泡剤、増粘剤、帯電防止剤、無機系粒子、有機系
粒子、有機系潤滑剤、有機高分子、染料、顔料、安定剤
などを用いることができ、これらは活性線による反応を
損なわない範囲で塗布層の組成物として使用され、用途
に応じて表面硬度化層の特性を改良することができる。
【0048】これらの中で、特に1分子中に3個以上の
(メタ)アクリロイルオキシ基を有する単量体の少なく
とも1種と、1分子中に1〜2個のエチレン性不飽和二
重結合を有する単量体の少なくとも1種とからなる活性
線硬化性単量体混合物を主たる構成成分とする活性線硬
化物からなる表面硬度化層が、硬度、硬化性はもちろ
ん、耐摩耗性、可撓性に優れるので好ましい。
【0049】本発明でいう1分子中に3個以上の(メ
タ)アクリロイルオキシ基(但し、本発明において、
(メタ)アクリロイルオキシ基とは、アクリロイルオキ
シ基およびメタアクリロイルオキシ基とを略して表示し
たものをいう。)を有する単量体としては、1分子中に
3個以上のアルコール性水酸基を有する多価アルコール
の該水酸基が3個以上の(メタ)アクリル酸のエステル
化物となっている化合物を用いることができる。
【0050】具体的な例としては、ペンタエリスリトー
ルトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテ
トラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールト
リ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテト
ラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペン
タ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキ
サ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ
(メタ)アクリレートなどを用いることができ、これら
の単量体は、1種または2種以上を混合して使用しても
よい。
【0051】これらの1分子中に3個以上の(メタ)ア
クリロイルオキシ基を有する単量体の使用割合は、重合
性単量体総量に対して20〜90重量%が好ましく、よ
り好ましくは30〜80重量%、最も好ましくは30〜
70重量%である。
【0052】上記単量体の使用割合が20重量%未満の
場合には、充分な耐摩耗性を有する硬化被膜を得るとい
う点で十分でない場合があり、またその量が90重量%
を越える場合は、重合による収縮が大きく、硬化被膜に
歪が残ったり、被膜の可撓性が低下したり、硬化被膜側
に大きくカールするなどの不都合を招くことがあるので
好ましくない。
【0053】本発明でいう1分子中に1〜2個のエチレ
ン性不飽和二重結合を有する単量体としては、ラジカル
重合性のある通常の単量体ならば特に限定されずに使用
することができる。
【0054】分子内に2個のエチレン性不飽和二重結合
を有する化合物としては、下記(a)〜(f)の(メ
タ)アクリレートを用いることができる。
【0055】すなわち、(a)炭素数2〜12のアルキ
レングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類:エ
チレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレン
グリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジ
オールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコー
ルジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオール
ジ(メタ)アクリレートなど、(b)ポリオキシアルキ
レングリコールの(メタ)アクリレート酸ジエステル
類:ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ト
リエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラ
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピ
レングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレン
グリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレング
リコールジ(メタ)アクリレートなど、(c)多価アル
コールの(メタ)アクリル酸ジエステル類:ペンタエリ
スリトールジ(メタ)アクリレートなど、(d)ビスフ
ェノールAあるいはビスフェノールAの水素化物のエチ
レンオキシドおよびプロピレンオキシド付加物の(メ
タ)アクリル酸ジエステル類:2,2’−ビス(4−ア
クリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2’−ビ
ス(4−アクリロキシプロポキシフェニル)プロパンな
ど、(e)ジイソシアネート化合物と2個以上のアルコ
ール性水酸基含有化合物を予め反応させて得られる末端
イソシアネート基含有化合物に、更にアルコール性水酸
基含有(メタ)アクリレートを反応させて得られる分子
内に2個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する
ウレタン(メタ)アクリレート類、(f)分子内に2個
以上のエポキシ基を有する化合物にアクリル酸またはメ
タクリル酸を反応させて得られる分子内に2個以上の
(メタ)アクリロイルオキシ基を有するエポキシ(メ
タ)アクリレート類、などを用いることができる。
【0056】分子内に1個のエチレン性不飽和二重結合
を有する化合物としては、メチル(メタ)アクリレー
ト、エチル(メタ)アクリレート、n−およびi−プロ
ピル(メタ)アクリレート、n−、sec−、およびt
−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル
(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレー
ト、ステアリル(メタ)アクリレート、メトキシエチル
(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリ
レート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリ
エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプ
ロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリシ
ジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル
(メタ)アクリレート、N−ヒドロキシエチル(メタ)
アクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニル−
3−メチルピロリドン、N−ビニル−5−メチルピロリ
ドンなどを用いることができ、これらの単量体は、1種
または2種以上混合して使用してもよい。
【0057】これらの1分子中に1〜2個のエチレン性
不飽和二重結合を有する単量体の使用割合は、単量体総
量に対して10〜80重量%が好ましく、より好ましく
は20〜70重量%である。
【0058】上記単量体の使用割合が80重量%を越え
る場合には、十分な耐摩耗性を有する硬化被膜が得られ
にくくなる方向のため好ましくない。また、その使用割
合が10重量%未満の場合には、被膜の可撓性が低下し
たり、基材ポリエステルフィルム上に設けた積層膜との
密着性が低下する場合があるので好ましくない。
【0059】本発明における活性線硬化性の組成物を硬
化させる方法としては、紫外線を照射する方法を用いる
ことができるが、この方法を用いる場合には前記組成物
に光重合開始剤を加えることが望ましい。光重合開始剤
の具体的な例としては、アセトフェノン、2,2−ジエ
トキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、
p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ベンゾフェノ
ン、2−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベ
ンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフ
ェノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンゾイン、ベン
ゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベ
ンゾインイソプロピルエーテル、メチルベンゾイルフォ
メート、p−イソプロピル−α−ヒドロキシイソブチル
フェノン、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、2,2
−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒド
ロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどのカルボニル
化合物、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラ
メチルチウラムジスルフィド、チオキサントン、2−ク
ロロチオキサントン、2−メチルチオキサントンなどの
硫黄化合物、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチ
ルパーオキサイドなどのパーオキサイド化合物などを用
いることができ、これらの光重合開始剤は単独で使用し
てもよいし、2種以上組み合せて用いてもよい。
【0060】光重合開始剤の使用量は、重合性単量体組
成物100重量部に対して、0.01〜10重量部が適
当である。電子線またはガンマ線を硬化手段とする場合
には、必ずしも重合開始剤を添加する必要はない。
【0061】本発明に用いる活性線硬化性組成物には、
製造時の熱重合や貯蔵中の暗反応を防止するために、ハ
イドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、
2,5−t−ブチルハイドロキノンなど、公知の熱重合
防止剤を加えるのが望ましい。添加量は重合性化合物総
重量に対し、0.005〜0.05重量%が好ましい。
本発明に用いる活性線硬化性組成物には、塗工時の作業
性の向上、塗工膜厚のコントロールを目的として、本発
明の効果が損なわれない範囲において、有機溶剤を配合
することもできる。
【0062】有機溶剤としては、沸点が50〜150℃
のものが、塗工時の作業性、硬化前後の乾燥性の点から
用いやすい。具体的な例としては、メタノール、エタノ
ール、イソプロピルアルコールなどのアルコール系溶
剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの酢酸エ
ステル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトンなどのケ
トン系溶剤、トルエンなどの芳香族系溶剤、ジオキサン
などの環状エーテル系溶剤などを用いることができ、こ
れらの溶剤は単独あるいは2種以上を混合して用いるこ
ともできる。
【0063】本発明に用いる活性線硬化性組成物には、
本発明の効果が損なわれない範囲で、各種の添加剤を必
要に応じて配合することができる。例えば、酸化防止
剤、光安定剤、紫外線吸収剤などの安定剤、界面活性
剤、レベリング剤、帯電防止剤などを用いることができ
る。
【0064】活性線硬化性組成物の塗布手段としては、
刷毛塗り、浸漬塗り、ナイフ塗り、ロール塗り、スプレ
ー塗り、流し塗り、回転塗り(スピンナー、ホエラーな
ど)などの通常行われている塗布方法を用いることがで
きる。各々の方式には特徴があり、積層体の要求特性、
使用用途などにより、塗布方法を適宜選択するとよい。
【0065】ここで、活性線とは、紫外線、電子線、放
射線(α線、β線、γ線など)などアクリル系のビニル
基を重合させる電磁波を意味し、実用的には、紫外線が
簡便であり好ましい。紫外線源としては、紫外線蛍光
灯、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノン
灯、炭素アーク灯などを用いることができる。また、電
子線方式は、装置が高価で不活性気体下での操作が必要
ではあるが、塗布層中に光重合開始剤や光増感剤などを
含有させなくてもよい点から有利である。
【0066】表面硬度化層の厚さは用途に応じて決定す
ればよいが、通常は0.5μm〜10μmの範囲が好ま
しく、より好ましくは1μm〜5μmである。表面硬度
化層の厚さが0.5μm未満の場合には、表面硬度が十
分でなく傷が付きやすかったり、10μmを越える場合
には、硬化膜が脆くなりやすく、積層体を折り曲げたと
きに硬化膜にクラックが入りやすくなって好ましくな
い。
【0067】また、本発明の効果が損なわれない範囲に
おいて、表面硬度化層の最外層に図柄などの印刷層を設
けてもよい。
【0068】本発明の保護用フィルムを相手材と貼り合
わせるために用いられる粘着剤は、2つの物体をその粘
着作用により接着させるものであれば特に限定されず、
粘着剤としては、ゴム系、アクリル系、シリコーン系、
ポリビニルエーテル系などからなるものを用いることが
でき、中でもゴム系のものが一般的であり、シリコーン
系は耐熱性がよく、フッ素樹脂などにも粘着するが価格
が高いという欠点がある。アクリル系は耐熱性もあり、
粘着力も大きく、ゴム系のような酸化劣化がないので好
ましく使用される。
【0069】更に、粘着剤は溶剤型粘着剤と無溶剤型粘
着剤の2つに大別される。乾燥性、生産性、加工性にお
いて優れた溶剤型粘着剤は依然として主流であるが、近
年、公害、省エネルギ、省資源、安全性などの点で無溶
剤型粘着剤に移り変わりつつある。中でも、活性線を照
射することで秒単位で硬化し、可撓性、密着性、耐薬品
性などに優れた特性を有する粘着剤である活性線硬化型
粘着剤を使用するのは好ましい。
【0070】活性線硬化型アクリル系粘着剤の具体例
は、日本接着学会編集、「接着剤データブック」、日刊
工業新聞社1990年発行、第83頁から第88頁を参
考とすることができるが、これらに限定されるものでは
ない。市販品として多官能アクリル系紫外線硬化塗料と
して日立化成ポリマー(株)、東邦化成工業(株)、
(株)スリーボンド、東亜合成化学工業(株)、セメダ
イン(株)、日本化薬(株)などの製品を利用すること
ができるがこれらに限定されるものではない。
【0071】この種の粘着剤は、通常の二軸延伸ポリエ
ステルフィルムに塗布した場合には、密着性が不十分と
なり、本発明の積層膜(A)を介して粘着剤層を設けた
場合のみ良好な密着性を有するものである。
【0072】次に、本発明の保護用フィルムの製造方法
について、基材フィルムとしてポリエチレンテレフタレ
ート(以下PETと略称する)を例にして説明するが、
これに限定されるものではない。
【0073】本発明の上述した表面硬度が高く、耐摩耗
性、耐久性に優れると同時に、透明性の高い保護用フィ
ルムは、実質的に外部粒子を含有しない二軸配向ポリエ
ステルフィルムの両面に、側鎖にカルボン酸および/ま
たはその塩を有するポリエステル樹脂とメラミン系架橋
剤からなる積層膜を設け、一方の面に活性線硬化物から
なる表面硬度化層を設けることによって製造することが
できる。
【0074】より具体的には、実質的に外部粒子を添加
しないPETペレットを十分に真空乾燥した後、押し出
し機に供給し、260〜300℃でシート状に溶融押し
出しし、冷却固化せしめて未延伸PETシートを作成す
る。このシートを70〜120℃に加熱したロールで長
手方向に2.5〜5.0倍延伸して一軸配向PETフィ
ルムを得る。このフィルムの両面にコロナ放電処理を施
し、その処理面に所定の濃度の積層膜形成水系塗剤を塗
布する。塗布後、フィルム端部をクリップで把持して7
0〜150℃に加熱された熱風ゾーンに導き、乾燥後、
幅方向に2.5〜5.0倍に延伸する。引き続き160
〜250℃の熱処理ゾーンに導き、1〜30秒間の熱処
理を行い、結晶配向を完了させる。この熱処理工程中で
必要に応じて幅方向あるいは長手方向に1〜12%の弛
緩処理を施してもよい。この場合、用いる塗布液は環境
汚染や防爆性の点で水系が好ましい。
【0075】本発明の保護用フィルムは、上記積層ポリ
エステルフィルムの一方の面に、表面硬度化層を設ける
ことにより得られる。表面硬度化層は活性線硬化性単量
体混合物を主たる構成成分とする組成物を塗布、必要に
応じて乾燥を施した後、活性線で硬化させることにより
得ることができる。
【0076】なお、上記例において、積層膜が設けられ
る基材フィルムにもメラミン系樹脂、ポリエステル樹脂
から選ばれる少なくとも1種を含有せしめることができ
る。この場合は、積層膜と基材フィルムとの易接着性が
向上する、積層ポリエステルフィルムの易滑性が向上す
るなどの効果がある。メラミン系樹脂、ポリエステル樹
脂を含有させる場合には、その添加量が5ppm以上2
0重量%未満であるのが、易接着性、易滑性の点で好ま
しい。もちろん、メラミン系樹脂、ポリエステル樹脂は
基材フィルム上に設ける積層膜を構成するコーティング
組成物や再生ペレットであってもよい。
【0077】このようにして得られた保護用フィルムの
表面硬度化層を設けた面とは反対面に、粘着剤層を介し
て相手材である金属、木材、ガラスなどと貼り合わせた
ものは、各界面との密着性、透明性に優れ、表面硬度が
高く、耐摩耗性に優れると同時に、表面硬度化層と粘着
剤層の密着性、耐久性に優れている。
【0078】
【特性の測定方法および効果の評価方法】本発明におけ
る特性の測定方法および効果の評価方法は次の通りであ
る。
【0079】(1)塗布層の厚み 日立製作所(株)製透過型電子顕微鏡HU−12型を用
い、積層膜を設けた二軸配向ポリエステルフィルムの断
面を観察した写真から求めた。厚みは測定視野内の30
個の平均値とした。
【0080】(2)密着性−1 実施例で設けた表面硬度化層に1mm2 のクロスカット
を100個入れ、ニチバン(株)製セロハンテープをそ
の上に貼り付け、指で強く押し付けた後、90度方向に
急速剥離し、残存した個数により4段階評価(◎:10
0、○:80〜99、△:50〜79、×:0〜49)
した。(◎)、(○)が密着性良好であり、耐久性に優
れるものである。
【0081】(3)密着性−2 粘着剤として日本化薬(株)製AGR−100を厚さ3
mmのアルミニウム板上に約100μm塗布し、積層体
を貼り合わせた後、紫外線照射器で1000mJ/cm
2 のエネルギを当て、紫外線硬化させる。これを、水平
においたアルミニウム面に対し、積層体を90度方向に
剥離し、その剥離の状態を観察し、以下の基準で評価し
た。(○)が密着性良好であり、耐久性に優れるもので
ある。
【0082】 ○:アルミニウム板/粘着剤層間で剥離しているもの △:アルミニウム板/粘着剤層間、基材フィルム/粘着
剤層間の両方で剥離しているもの ×:基材フィルム/粘着剤層間で剥離しているもの (3)鉛筆硬度 JIS−K5400に準じて、各種硬度の鉛筆を90度
の角度で表面硬度化層に当て、荷重1kgで引っ掻き、
傷が発生したときの鉛筆の硬さで表示した。
【0083】(4)耐摩耗性 スチールウール#0000で表面硬度化層表面を摩擦
し、傷のつき具合いを次の基準で評価した。
【0084】 ○:強く摩擦してもほとんど傷が付かない △:かなり強く摩擦すると少し傷が付く ×:弱い摩擦でも傷が付く (5)フィルムのヘイズ JIS−K−6714に準じて、日本精密光学(株)製
ヘイズメータSEP−H−2を用いて測定した。ヘイズ
が2.0%以下を透明性に優れると判断した。
【0085】
【実施例】次に、実施例に基づいて本発明を説明する
が、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0086】実施例1 実質的に外部粒子を添加しないPET(固有粘度0.6
5dl/g)ペレットを十分に真空乾燥した後、280
℃の加熱された押し出し機に供給し、T字型口金よりシ
ート状に押し出し、静電印加キャスト法を用いて表面温
度30℃の鏡面キャスティングドラムに巻き付けて冷却
固化せしめた。この未延伸フィルムを95℃の加熱ロー
ル群を通過させながら、長手方向に3.5倍延伸し、一
軸配向フィルムとした。このフィルムの両面にコロナ放
電処理を施し、その処理面に以下に示す水系塗剤を塗布
した。塗布された一軸延伸フィルムをクリップで把持し
ながら予熱ゾーンに導き、110℃で乾燥後、引続き連
続的に125℃の加熱ゾーンで幅方向に3.5倍延伸
し、更に225℃の加熱ゾーンで熱処理を施し、基材P
ETフィルム厚みが188μm、積層膜の厚みが0.1
5μmの積層PETフィルムを得た。
【0087】「水系塗剤」 (A):ポリエステル樹脂 ・酸成分 テレフタル酸 28モル% イソフタル酸 9モル% トリメリット酸 10モル% セバシン酸 3モル% ・グリコール成分 エチレングリコール 15モル% ネオペンチルグリコール 18モル% 1,4−ブタンジオール 17モル% 上記酸成分とグリコール成分からなるポリエステル樹脂
(ガラス転移点:20℃)のアンモニウム塩型水分散
体。
【0088】(B):メチロール化メラミン樹脂 (A)の固形分100重量部に対し、(B)を固形分比
で5重量部混合し、積層膜形成塗剤とした。
【0089】次に、この積層PETフィルム上に、ジペ
ンタエリスリトールヘキサアクリレート70重量部、N
−ビニルピロリドン30重量部、1−ヒドロキシシクロ
ヘキシルフェニルケトン4重量部を撹拌混合して得られ
た組成物を、バーコータを用いて硬化後の膜厚が3μm
となるように均一に塗布した。これを、塗布面より9c
mの高さにセットした80W/cmの照射強度を有する
高圧水銀灯で、紫外線を15秒間照射し、硬化させ、積
層PETフィルム上に表面硬度化層を有する保護用フィ
ルムを得た。更に、表面硬度化層を設けていない面を粘
着剤として日本化薬〓製AGR−100を用い、アルミ
ニウム板と貼り合わせた後、1000mJ/cm2 のエ
ネルギで紫外線照射した。結果を表1に示す。
【0090】
【表1】 実施例2 実施例1の塗剤を用い積層膜の厚みを0.08μmとな
るようにした以外は、実施例1と同様にして保護用フィ
ルムを得た。結果を表1に示す。
【0091】比較例1 実施例1の塗剤で、メラミン系架橋剤を添加せずに用い
た以外は実施例1と同様にして保護用フィルムを得た。
結果を表1に示す。
【0092】比較例2 実施例1の塗剤のポリエステル樹脂の代わりに、下記成
分の共重合ポリエステル樹脂とした以外は、実施例1と
同様にして保護用フィルムを得た。結果を表1に示す。
【0093】・酸成分 テレフタル酸 42モル% 5−ナトリウムスルホイソフタル酸 8モル% ・グリコール成分 エチレングリコール 47モル% ジエチレングリコール 3モル% 上記酸成分とグリコール成分からなる、側鎖にカルボン
酸を有さないポリエステル樹脂(ガラス転移点:72
℃)の水分散体。
【0094】実施例3 実施例1の塗剤で、メラミン系架橋剤の添加量をポリエ
ステル樹脂100重量部に対し10重量部とした以外
は、実施例1と同様にして保護用フィルムを得た。結果
を表1に示す。
【0095】実施例4 実施例1においてポリエステルフィルムをポリエチレン
テレフタレートフィルムからポリエチレン−2,6−ナ
フタレート(以下PENと略称する)フィルムに変えた
以外は実施例1と同様にして保護用フィルムを得た。結
果を表1に示す。
【0096】実施例5 実施例1の塗剤のポリエステル樹脂の代わりに、下記成
分の共重合ポリエステル樹脂とした以外は、実施例1と
同様にして保護用フィルムを得た。結果を表2に示す。
【0097】
【表2】 ・酸成分 テレフタル酸 5モル% イソフタル酸 35モル% 5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ フルフリル)−3−メチル−3−シク ロヘキセン−1,2−ジカルボン酸 10モル% ・グリコール成分 ジエチレングリコール 20モル% ネオペンチルグリコール 25モル% 1,4−ブタンジオール 5モル% 上記酸成分とグリコール成分からなるポリエステル樹脂
(ガラス転移点:32℃)のアンモニウム塩型水分散
体。
【0098】実施例6 基材フィルムとして、実施例1で得られた積層PETフ
ィルムを粉砕しペレット化したものを、ポリエチレンテ
レフタレートに30重量%添加し、溶融押し出しした以
外は、実施例1と同様にして保護用フィルムを得た。塗
剤としては実施例1で用いたものと同様のものを用い
た。結果を表2に示す。
【0099】実施例7 実施例1の積層PETフィルム上に、ペンタエリスリト
ールトリアクリレート60重量部、2,2’−ビス(4
−アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン10重量
部、N−ビニルピロリドン30重量部、1−ヒドロキシ
シクロヘキシルフェニルケトン4重量部、トルエン90
重量部、酢酸ブチル70重量部、イソプロピルアルコー
ル70重量部を撹拌混合して得られた組成物を、バーコ
ータを用いて硬化後の膜厚が3μmになるように均一に
塗布した。これを80℃で20秒間乾燥させた。これを
窒素雰囲気下で紫外線照射した以外は実施例1と同様に
して保護用フィルムを得た。結果を表2に示す。
【0100】実施例8 実施例1の積層膜形成塗剤の樹脂固形分100重量部に
対し、無機粒子として粒径約0.3μmのシリカ粒子を
0.8重量部添加した以外は実施例1と同様にして保護
用フィルムを得た。結果を表2に示す。
【0101】比較例3 実施例1において、積層膜および表面硬度化層いずれも
設けていないポリエステルフィルムを保護用フィルムと
した場合の結果を表2に示す。
【0102】比較例4 実施例1において、積層膜を設けず、表面硬度化層を設
けた保護用フィルムを得た。結果を表2に示す。
【0103】比較例5 実施例1において、2次粒子径0.4μmの乾式シリカ
を0.02重量%、2次粒子径2.5μmの湿式シリカ
を0.005重量%、各々外部粒子として添加したPE
Tペレットを用いた以外は実施例1と同様にして保護用
フィルムを得た。結果を表2に示す。
【0104】
【発明の効果】本発明の保護用フィルムは、実質的に外
部粒子を含有しない基材ポリエステルフィルムの両面に
特定の積層膜を介して、一方の面に表面硬度化層を設け
たものであり、このようにして得られた保護用フィルム
を粘着剤層を介して相手材に貼り合わせることで、表面
硬度が高く、耐摩耗性、密着性、耐久性に優れると同時
に、透明性にも優れたものとすることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 67/00 KJZ C08L 67/00 KJZ // B29K 67:00 B29L 9:00

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】実質的に外部粒子を含有しないポリエステ
    ルフィルムの両面に設けられた積層膜(A)を介して、
    一方の面に表面硬度化層(B)が設けられた保護用フィ
    ルムにおいて、該積層膜(A)がポリエステル樹脂とメ
    ラミン系架橋剤を主たる構成成分とし、該ポリエステル
    樹脂が側鎖にカルボン酸およびまたはその塩を有するこ
    とを特徴とする保護用フィルム。
  2. 【請求項2】表面硬度化層(B)が、1分子中に3個以
    上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する単量体の少
    なくとも1種と、1分子中に1〜2個のエチレン性不飽
    和二重結合を有する単量体の少なくとも1種とからなる
    活性線硬化性単量体混合物を主たる構成成分とする活性
    線硬化物であることを特徴とする請求項1に記載の保護
    用フィルム。
  3. 【請求項3】積層膜(A)において、固形分重量比でポ
    リエステル樹脂100重量部に対し、メラミン系架橋剤
    を0.5〜40重量部含有していることを特徴とする請
    求項1または2に記載の保護用フィルム。
  4. 【請求項4】ポリエステルフィルムがポリエチレンテレ
    フタレートフィルムまたはポリエチレン−2,6−ナフ
    タレートフィルムであることを特徴とする請求項1、2
    または3に記載の保護用フィルム。
  5. 【請求項5】積層膜(A)を設けるに際し、結晶配向が
    完了する前のポリエステルフィルムの両面に積層膜形成
    塗剤を塗布後、少なくとも一方向に延伸、熱処理を施
    し、結晶配向を完了させることによって得られたもので
    あることを特徴とする請求項1、2、3または4に記載
    の保護用フィルム。
  6. 【請求項6】ポリエステルフィルムが、ポリエステル樹
    脂、メラミン系架橋剤、あるいはこれらの反応生成物の
    少なくとも1種を、5ppm以上20重量%未満含有し
    た組成物からなることを特徴とする請求項1、2、3、
    4または5に記載の保護用フィルム。
  7. 【請求項7】積層膜中のポリエステル樹脂が、スルホン
    酸塩基を実質的に含有しないことを特徴とする請求項
    1、2、3、4、5または6に記載の保護用フィルム。
  8. 【請求項8】積層膜を形成するポリエステル樹脂のガラ
    ス転移点が40℃以下のものであることを特徴とする請
    求項1、2、3、4、5、6または7に記載の保護用フ
    ィルム。
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JP2003049010A (ja) * 2001-08-07 2003-02-21 Toagosei Co Ltd プラスチック物品の製造方法
US6908686B2 (en) 2002-11-26 2005-06-21 Dupont Teijin Films U.S. Limited Partnership PEN-PET-PEN polymeric film
JP2010047060A (ja) * 2008-08-19 2010-03-04 Ntn Corp 車輪用軸受装置およびアクスルモジュール
CN115851156A (zh) * 2022-09-20 2023-03-28 东莞市赛越新材料科技有限公司 一种3d曲面保护膜及其制备方法

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