JP3827168B2 - 表面硬度化フィルム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は表面硬度が高く、耐摩耗性に優れたポリエステルフィルム積層体に関し、更に詳しくは基材ポリエステルフィルムに積層膜を介して表面硬度化層を設けることで、表面硬度化層の耐久性に優れ、タッチパネル、ガラスや金属板に貼合わせるディスプレイ用、ラベル、シール、OHP用、カード、宅配便伝票、プリンタ用受像紙などに用いられる表面硬度化フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステル二軸配向フィルムは、その機械的性質、寸法安定性、耐熱性、透明性、電気絶縁性などに優れた性質を有することから磁気記録材料、包装材料、電気絶縁材料、各種写真材料、グラフィックアーツ材料などの多くの用途の基材フィルムとして広く使用されている。しかし、フィルム表面の表面硬度が低く、また耐摩耗性も不足しているため、他の硬い物体との接触、摩擦、引っかきなどによって、表面に損傷を受けやすく、表面に発生した損傷は商品価値を著しく低下させたり、短期間で使用不能となったりする。
【0003】
このため基材ポリエステルフィルム上に耐擦傷性、耐摩耗性に優れた表面硬度化層を設ける方法が知られているが、ポリエステルフィルムは表面が高度に結晶配向されているため表面硬度化層との密着性が乏しく、表面硬度化層が剥離してしまい、実質的に耐久性に劣るという欠点を有している。そのため従来からポリエステルフィルム表面に種々の方法により易接着性付与の検討がなされてきた。
【0004】
易接着化の方法としては、基材ポリエステルフィルム表面のコロナ放電処理、紫外線照射処理、プラズマ処理などによる表面活性化法、酸、アルカリ、アミン水溶液などの薬剤による表面エッチング法、フィルム表面にアクリル樹脂、スルホン酸塩基含有ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂などの各種樹脂をプライマ層として設ける方法(特開昭55−15825号公報、特開昭58−78761号公報、特開昭60−248232号公報など)が既に知られている。特に、塗布によって上記プライマ層を設け易接着性を付与する方法として、結晶配向が完了する前のポリエステルフィルムに上記樹脂成分を含有する塗剤を塗布し、乾燥後、延伸、熱処理を施して結晶配向を完了させる方法(インラインコート法)が工程簡略化や製造コストの点で有力視され、盛んに行われている。
【0005】
また、ポリエステルフィルム表面にウレタン樹脂からなる塗布層を設け、その上に表面硬化層を設ける方法(特開昭62−263237号公報)も提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前述した従来の技術には次のような問題点がある。アクリル樹脂を積層した場合には、被覆物である表面硬度化層との密着性は優れているものの基材ポリエステルフィルムとの密着性が不十分となり、またポリエステル樹脂やウレタン樹脂を積層した場合には基材との密着性は良好であるが、表面硬度化層との十分な密着性が得られず、表面硬度化層の耐久性に劣るという欠点があった。
【0007】
本発明はこれらの欠点を解消せしめ、被覆物となる表面硬度化層と十分な密着性を有し、耐久性に優れた表面硬度化フィルムを提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に設けられた積層膜(A)を介して表面硬度化層(B)が設けられた積層体において、該積層膜(A)がジカルボン酸とジオールから重縮合して得られるポリエステル樹脂に3価以上の多価カルボン酸を共重合することによって得られたポリエステル樹脂 a とメラミン系架橋剤を主たる構成成分とし、該ポリエステル樹脂 a が側鎖にカルボン酸及び/又はその塩の基を有することを特徴とする表面硬度化フィルムをその骨子とするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明のポリエステルフィルムのポリエステルとは、エステル結合を主鎖の主要な結合鎖とする高分子の総称であって、好ましいポリエステルとしては、エチレンテレフタレート、エチレン−2,6−ナフタレート、ブチレンテレフタレート、エチレン−α,β−ビス(2−クロロフェノキシ)エタン−4,4−ジカルボキシレート等から選ばれた少なくとも1種の構成成分を主要構成成分とするものが挙げられる。これら構成成分は1種のみ用いても、2種以上併用してもいずれでもよいが、中でも品質、経済性などを総合的に判断するとエチレンテレフタレートを主要構成成分とするポリエステルが特に好ましい。また、電子写真、感熱記録、各種印刷などの記録用受像シートなど、基材に熱が作用する用途や紫外線硬化型インキなど硬化時に樹脂の収縮を伴う用途においては、耐熱性や剛性に優れたポリエチレン−2,6−ナフタレートが更に好ましい。
【0010】
また、これらポリエステルには、更に他のジカルボン酸成分やジオール成分が20モル%以下共重合されていてもよい。
【0011】
また、磁気記録カード用途、ラベル用途、受像紙などにおいては、基材フィルムとして白色ポリエステルフィルムが好適に用いられるが、この白色ポリエステルフィルムは、白色に着色されたポリエステルフィルムであれば特に限定されるものではないが、好ましくは白色度が85〜150、更に好ましくは90〜130であり、光学濃度が0.5〜5、好ましくは1.2〜3のものが好適である。例えば、磁気記録カードにおいて白色度が小さい基材を使用した場合、磁気記録層などによる着色が透過し表面の印刷層の美観が損なわれ易く、一方、光学濃度が小さい場合、十分な光線反射が得られず、肉眼で見た場合白さが減少する、反対面の影響が出る、あるいは磁気記録読み取り時測定法によってはトラブルとなる場合がある等の理由による。
【0012】
このような光学濃度、白色度を得る方法は、特に限定されないが、通常は無機粒子あるいはポリエステルと非相溶の樹脂の添加により得ることができる。添加する量は特に限定されないが、無機粒子の場合5〜35重量%、好ましくは8〜25重量%である。一方、非相溶性の樹脂を添加する場合は5〜35体積%、好ましくは8〜25体積%である。
【0013】
使用する無機粒子は特に限定されないが、平均粒径0.1〜4μm、好ましくは0.3〜1.5μmの無機粒子をその代表として挙げることができる。具体的には、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、酸化チタン、シリカ、アルミナ、タルク、クレー等あるいはこれらの混合物であり、これらの無機粒子は他の無機化合物、例えばリン酸カルシウム、酸化チタン、雲母、ジルコニア、酸化タングステン、フッ化リチウム、フッ化カルシウム等と併用してもよい。また、上述した無機粒子の中でもモース硬度が5以下、好ましくは4以下のものを使用する場合、白度が更に増すためより好ましい。
【0014】
ポリエステルと非相溶の樹脂としては、特に限定されないが、例えばポリエチレンテレフタレートやポリエチレン−2,6−ナフタレートと混合する場合についていえば、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、変性オレフィン樹脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、フェノキシ樹脂、ポリフェニレンオキシド等を挙げることが可能で、当然、上述した無機粒子と併用してもよい。特に、無機粒子やポリエステルと非相溶の樹脂を混合して二軸延伸し、内部に空洞を有する、比重が0.5〜1.3g/cm3 の白色ポリエステルフィルムは印刷適性が良好になるので好ましい。
【0015】
更に、このポリエステル中には、公知の各種添加剤、例えば酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、有機の易滑剤、顔料、染料、有機または無機の微粒子、充填剤、帯電防止剤、核剤などが本発明の効果を阻害しない程度に添加されていてもよい。
【0016】
上述したポリエステルの極限粘度(25℃のo−クロロフェノール中で測定)は、0.4〜1.2dl/gが好ましく、更に好ましくは0.5〜0.8dl/gの範囲にあるものが本発明の内容に好適である。
【0017】
更に積層膜との密着性を向上させる点から、基材ポリエステルフィルムのカルボキシル末端基量が37当量/トン以上が好ましく、更に好ましくは40当量/トン以上であることが望ましい。
【0018】
上記ポリエステルを使用したポリエステルフィルムは、積層膜が設けられた状態においては二軸配向されたものであるのが好ましい。二軸配向ポリエステルフィルムとは、未延伸状態のポリエステルシートまたはフィルムを長手方向及び幅方向に各々2.5〜5倍程度延伸され、その後熱処理を施し、結晶配向を完了させたものであり、広角X線回折で二軸配向のパターンを示すものをいう。
【0019】
ポリエステルフィルムの厚みは特に限定されるものではないが、機械的強度、熱伝導性の点から、通常0.5〜500μm、好ましくは1〜300μmである。また、得られたフィルムを公知の方法で貼り合わせ、更に厚いフィルムとすることもできる。
【0020】
本発明の積層膜(A)の構成成分であるポリエステル樹脂(a)は、主鎖あるいは側鎖にエステル結合を有するものであり、かつ、側鎖にカルボン酸及び/又はその塩を有するものである。このようなポリエステル樹脂(a)は、公知のジカルボン酸とジオールから重縮合して得られるポリエステル樹脂に、多価カルボン酸を共重合することによって得ることができるものである。
【0021】
ポリエステル樹脂(a)(以下、単にポリエステル樹脂ともいう)を構成するカルボン酸成分としては、芳香族、脂肪族、脂環族のジカルボン酸や3価以上の多価カルボン酸が使用できる。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、フタル酸、2,5−ジメチルテレフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,2−ビスフェノキシエタン−p,p’−ジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸などを挙げることができる。これらの芳香族ジカルボン酸は、積層膜の強度や耐熱性の点で、全ジカルボン酸成分の30モル%以上、好ましくは35モル%以上、更に好ましくは40モル%以上が望ましい。脂肪族及び脂環族のジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸など及びそれらのエステル形成性誘導体が挙げられる。
【0022】
ポリエステル樹脂のグリコール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、2,4−ジメチル−2−エチルヘキサン−1,3−ジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−イソブチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、4,4’−チオジフェノール、ビスフェノールA、4,4’−メチレンジフェノール、4,4’−(2−ノルボルニリデン)ジフェノール、4,4’−ジヒドロキシビフェノール、o−,m−,及びp−ジヒドロキシベンゼン、4,4’−イソプロピリデンフェノール、4,4’−イソプロピリデンビンジオール、シクロペンタン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジオールなどを挙げることができる。
【0023】
また、多価カルボン酸としては、例えばトリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸、4−メチルシクロヘキセン−1,2,3−トリカルボン酸、トリメシン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4−ペンタンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフルフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフルフリル)−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸、エチレングリコールビストリメリテート、2,2’,3,3’−ジフェニルテトラカルボン酸、チオフェン−2,3,4,5−テトラカルボン酸、エチレンテトラカルボン酸などあるいはこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0024】
これらの共重合によって得られるポリエステル樹脂のガラス転移点は、40℃以下、好ましくは35℃以下、更に30℃以下である場合、基材フィルム及び被覆物との密着性が向上するので特に望ましい。
【0026】
好ましいポリエステル樹脂としては、酸成分としてテレフタル酸、イソフタル酸、セバシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフルフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、グリコール成分としてエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコールから選ばれる共重合体が挙げられる。
【0027】
本発明のポリエステル樹脂は、従来から公知の製造技術によって製造することができる。また、カルボン酸を末端及び/又は側鎖に多く有するポリエステル樹脂を得る方法としては、特開昭54−46294号公報、特開昭60−209073号公報、特開昭62−240318号公報、特開昭53−26828号公報、特開昭53−26829号公報、特開昭53−98336号公報、特開昭56−116718号公報、特開昭61−124684号公報、特開昭62−240318号公報などに記載の3価以上の多価カルボン酸を共重合した樹脂により製造することができるが、これら以外の方法であってもよい。
【0028】
本発明の積層膜(A)の構成成分であるメラミン系架橋剤は、従来公知のもので特に限定されないが、メラミン、メラミンとホルムアルデヒドを縮合して得られるメチロール化メラミン誘導体、メチロール化メラミンに低級アルコールを反応させて部分的あるいは完全にエーテル化した化合物、及びこれらの混合物が挙げられる。又、メラミン系架橋剤としては単量体、2量体以上の多量体からなる縮合物のいずれでもよく、これらの混合物でもよい。エーテル化に用いられる低級アルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブタノールなどを挙げることができる。官能基としては、イミノ基、メチロール基、あるいはメトキシメチル基やブトキシメチル基等のアルコキシメチル基を1分子中に有するもので、イミノ基型メチル化メラミン樹脂、メチロール基型メラミン樹脂、メチロール基型メチル化メラミン樹脂、完全アルキル型メチル化メラミン樹脂などである。その中でもメチロール化メラミン樹脂が最も好ましい。更に、メラミン系架橋剤の熱硬化を促進するため、例えばp−トルエンスルホン酸などの酸性触媒を用いてもよい。
【0029】
ポリエステル樹脂とメラミン系架橋剤は任意の比率で混合してもよいが、本発明の効果をより顕著に発現させるには以下の比率(固形分重量比とする)で混合するとよい。ポリエステル樹脂100重量部に対し、メラミン系架橋剤を0.5〜40重量部、好ましくは1〜30重量部、更に好ましくは2〜20重量部であるのが望ましい。
【0030】
本発明の積層膜は前記2種の構成成分を主成分とした塗剤を塗布し、乾燥、熱処理したものであり、主成分とは上記2種が積層膜中において50重量%以上、好ましくは80重量%以上、更に好ましくは90重量%以上を占めることをいう。
【0031】
また、積層膜中には本発明の効果を阻害しない範囲内で、他の樹脂、例えば本発明以外のポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂などを配合してもよい。
【0032】
更に、積層膜中には本発明の効果を阻害しない範囲内で公知の添加剤、例えば酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、有機の易滑剤、顔料、染料、有機または無機の微粒子、充填剤、帯電防止剤、核剤などを配合しても良い。
【0033】
特に、本発明の塗剤中に無機粒子を添加配合し二軸延伸したものは、易滑性が向上するので更に好ましい。
【0034】
添加する無機粒子の代表例としては、シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、アルミナゾル、カオリン、タルク、マイカ、炭酸カルシウム等を挙げることができる。無機粒子は、平均粒径0.01〜10μmが好ましく、より好ましくは0.05〜5μm、更に好ましくは0.08〜2μmであり、塗剤中の固形分に対する配合比は特に限定されないが、重量比で0.05〜8重量部が好ましく、より好ましくは0.1〜3重量部である。
【0035】
本発明の積層膜を設けるのに好ましい方法としては、ポリエステルフィルムの製造工程中に塗布し、基材フィルムと共に延伸する方法が最も好適である。例えば溶融押し出しされた結晶配向前のポリエステルフィルムを長手方向に2.5〜5倍程度延伸し、塗布する面にコロナ放電処理を施し、連続的にその処理面に塗剤を塗布する。塗布されたフィルムは段階的に加熱されたゾーンを通過しつつ乾燥され、幅方向に2.5〜5倍程度延伸される。さらに連続的に150〜250℃の加熱ゾーンに導かれ結晶配向を完了させる方法によって得られる。この場合に用いる塗布液は環境汚染や防爆性の点で水系が好ましい。
【0036】
このような方法によって設けられた積層膜は、その上に設けられる各種インキなどの被覆物との密着性に優れると同時に、基材ポリエステルフィルムとの密着性に優れる。
【0037】
塗膜の厚みは特に限定しないが、通常は0.01〜5μm、好ましくは0.02〜2μm、更に好ましくは0.05μm〜0.5μmの範囲が望ましい。積層膜の厚みが薄すぎると密着性不良となる場合がある。
【0038】
基材フィルム上への塗布の方法は公知の塗布方法、例えばリバースコート法、グラビアコート法、ロッドコート法、バーコート法、ダイコート法、スプレーコート法などを用いることができる。
【0039】
本発明における表面硬度化層(B)としては、アクリル系、ウレタン系、メラミン系、有機シリケート、シリコーン系、金属酸化物などからなるものが挙げられる。特に硬度、耐久性などの点でシリコーン系、アクリル系が好ましく、更に硬化性、可撓性及び生産性の点でアクリル系、特に活性線硬化型アクリル系が好ましい。
【0040】
活性線硬化型アクリル系とは、活性線重合成分としてアクリルオリゴマと反応性希釈剤を含み、その他に必要に応じて光開始剤、光増感剤、改質剤を含有していてもよい。
【0041】
アクリルオリゴマとは、アクリル系樹脂骨格に反応性のアクリル基が結合されたものを始めとして、ポリエステルアクリル、ウレタンアクリル、エポキシアクリル、ポリエーテルアクリルなどがあり、またメラミンやイソシアヌール酸などの剛直な骨格にアクリル基を結合したものなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0042】
反応性希釈剤とは、塗布剤の媒体として塗布工程での溶剤の機能を担うと共に、それ自体が一官能性あるいは多官能性のアクリルオリゴマと反応する基を有し、塗膜の共重合成分となるものである。
【0043】
また、特に紫外線による架橋の場合には、光エネルギが小さいため、光エネルギの変換や開始の助長のため光重合開始剤及び/又は増感剤を添加することが好ましい。
【0044】
これらのアクリルオリゴマ、反応性希釈剤、光重合開始剤、増感剤、架橋装置などの具体例は、山下晋三、金子東助編、「架橋剤ハンドブック」、大成社1981年発行、第267頁から第275頁、第562頁から第593頁を参考とすることができるが、これらに限定されるものではない。市販品として多官能アクリル系紫外線硬化塗料として三菱レーヨン(株)、藤倉化成(株)、大日精化工業(株)、大日本インキ化学工業(株)、東亜合成化学工業(株)、日東化成(株)などの製品を利用することができるがこれらに限定されるものではない。
【0045】
表面硬度化層の改質剤として、塗布性改良剤、消泡剤、増粘剤、帯電防止剤、無機系粒子、有機系粒子、有機系潤滑剤、有機高分子、染料、顔料、安定剤などが挙げられ、これらは活性線による反応を阻害しない範囲で塗布層の組成物として使用され、用途に応じて表面硬度化層の特性を改良することができる。
【0046】
また、本発明に用いられる表面硬度化層の組成物には、塗工時の作業性の向上、塗工膜厚のコントロールを目的として、本発明の目的を損なわない範囲で有機溶剤を配合することができる。
【0047】
これらの中で、特に1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する単量体の少なくとも1種と、1分子中に1〜2個のエチレン性不飽和二重結合を有する単量体の少なくとも1種とからなる活性線硬化性単量体混合物を主たる構成成分とする活性線硬化物からなる表面硬度化層が、硬度、硬化性はもちろん、耐摩耗性、可撓性に優れるので好ましい。
【0048】
本発明でいう1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基(但し、ここで(メタ)アクリロイルオキシ基とは、アクリロイルオキシ基及びメタアクリロイルオキシ基とを略して表示したもので、特許請求の範囲及びそれ以下の説明でも同様である)を有する単量体としては、1分子中に3個以上のアルコール性水酸基を有する多価アルコールの該水酸基が3個以上の(メタ)アクリル酸のエステル化物となっている化合物が挙げられる。
【0049】
具体的な例としては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの単量体は、1種または2種以上を混合して使用してもよい。
【0050】
これらの1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する単量体の使用割合は、重合性単量体総量に対して20〜90重量%、好ましくは30〜80重量%、更に好ましくは30〜70重量%が望ましい。
【0051】
上記単量体の使用割合が20重量%未満の場合には、充分な耐摩耗性を有する硬化被膜が得られず、またその量が90重量%を
超える場合は、重合による収縮が大きく、硬化被膜に歪が残ったり、被膜の可撓性が低下したり、硬化被膜側に大きくカールするので好ましくない。
【0052】
本発明でいう1分子中に1〜2個のエチレン性不飽和二重結合を有する単量体としては、ラジカル重合性のある通常の単量体ならば特に限定されずに使用することができる。
【0053】
分子内に2個のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物としては、下記(a)〜(f)の(メタ)アクリレートを挙げることができる。
【0054】
(a)炭素数2〜12のアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類:エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートなど、
【0055】
(b)ポリオキシアルキレングリコールの(メタ)アクリレート酸ジエステル類:ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなど、
【0056】
(c)多価アルコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類:ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートなど、
【0057】
(d)ビスフェノールAあるいはビスフェノールAの水素化物のエチレンオキシド及びプロピレンオキシド付加物の(メタ)アクリル酸ジエステル類:2,2’−ビス(4−アクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−アクリロキシプロポキシフェニル)プロパンなど、
【0058】
(e)ジイソシアネート化合物と2個以上のアルコール性水酸基含有化合物を予め反応させて得られる末端イソシアネート基含有化合物に、更にアルコール性水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させて得られる分子内に2個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有するウレタン(メタ)アクリレート類、
【0059】
(f)分子内に2個以上のエポキシ基を有する化合物にアクリル酸又はメタクリル酸を反応させて得られる分子内に2個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有するエポキシ(メタ)アクリレート類、
などが挙げられる。
【0060】
分子内に1個のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−及びi−プロピル(メタ)アクリレート、n−、sec−、及びt−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニル−3−メチルピロリドン、N−ビニル−5−メチルピロリドンなどが挙げられる。これらの単量体は、1種又は2種以上混合して使用してもよい。
【0061】
これらの1分子中に1〜2個のエチレン性不飽和二重結合を有する単量体の使用割合は、単量体総量に対して10〜80重量%が好ましく、更に好ましくは20〜70重量%であるのが望ましい。
【0062】
上記単量体の使用割合が80重量%を超える場合には、十分な耐摩耗性を有する硬化被膜が得られにくいため好ましくない。また、その使用割合が10重量%未満の場合には、被膜の可撓性が低下したり、基材ポリエステルフィルム上に設けた積層膜との密着性が低下したりするので好ましくない。
【0063】
本発明における活性線硬化性の組成物を硬化させる方法として紫外線を照射する方法が挙げられるが、この場合には前記組成物に光重合開始剤を加えることが望ましい。光重合開始剤の具体的な例としては、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、メチルベンゾイルフォメート、p−イソプロピル−α−ヒドロキシイソブチルフェノン、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどのカルボニル化合物、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントンなどの硫黄化合物、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイドなどのパーオキサイド化合物などが挙げられる。これらの光重合開始剤は単独で使用してもよいし、2種以上組み合せて用いてもよい。
【0064】
光重合開始剤の使用量は重合性単量体組成物100重量部に対して、0.01〜10重量部が適当である。電子線又はガンマ線を硬化手段とする場合には、必ずしも重合開始剤を添加する必要はない。
【0065】
本発明に用いる活性線硬化性組成物には、製造時の熱重合や貯蔵中の暗反応を防止するために、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、2,5−t−ブチルハイドロキノンなど、公知の熱重合防止剤を加えるのが望ましい。添加量は重合性化合物総重量に対し、0.005〜0.05重量%が好ましい。
【0066】
本発明に用いる活性線硬化性組成物には、塗工時の作業性の向上、塗工膜厚のコントロールを目的として、本発明の目的を損なわない範囲において、有機溶剤を配合することができる。
【0067】
有機溶剤としては、沸点が50〜150℃のものが、塗工時の作業性、硬化前後の乾燥性の点から用いやすい。具体的な例としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの酢酸エステル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶剤、トルエンなどの芳香族系溶剤、ジオキサンなどの環状エーテル系溶剤などを挙げることができる。これらの溶剤は単独あるいは2種以上を混合して用いることもできる。
【0068】
本発明に用いる活性線硬化性組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、各種の添加剤を必要に応じて配合することができる。例えば、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤などの安定剤、界面活性剤、レベリング剤、帯電防止剤などを例示することができる。
【0069】
本発明に用いる活性線硬化性組成物には、外界の光源の反射像の明るさ、明瞭度を減少させる目的で、本発明の目的を損なわない範囲で、酸化珪素粒子や有機フィラーなどの艶消し剤を配合することができ、また表面硬度化層の表面に、公知の方法、例えばエンボス法、サンドマット法などにより凸凹を設けることもできる。
【0070】
活性線硬化性組成物の塗布手段としては、刷毛塗り、浸漬塗り、ナイフ塗り、ロール塗り、スプレー塗り、流し塗り、回転塗り(スピンナー、ホエラーなど)などの通常行われている塗布方法が容易に適用可能である。各々の方式には特徴があり、表面硬度化フィルムの要求特性、使用用途などにより、塗布方法を適宜選択する。
【0071】
本発明において活性線とは、紫外線、電子線、放射線(α線、β線、γ線など)などアクリル系のビニル基を重合させる電磁波を意味し、実用的には、紫外線が簡便であり好ましい。紫外線源としては、紫外線蛍光灯、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノン灯、炭素アーク灯などが挙げられる。また、電子線方式は、装置が高価で不活性気体下での操作が必要ではあるが、塗布層中に光重合開始剤や光増感剤などを含有させなくてもよい点から有利である。
【0072】
表面硬度化層の厚さとしては用途に応じて適宜選択されるが、通常0.5μm〜10μm、好ましくは1μm〜5μmである。表面硬度化層の厚さが0.5μm未満の場合には、表面硬度が不十分で傷が付きやすく、10μmを超える場合には、硬化膜が脆くなりやすく、表面硬度化フィルムを折り曲げた時に硬化膜にクラックが入りやすくなって好ましくない。
【0073】
また、本発明の目的を損なわない範囲において、表面硬度化層の最外層に図柄及び画などの印刷層などを設けても良い。
【0074】
次に、本発明の表面硬度化フィルムの製造方法について、ポリエチレンテレフタレート(以下PETと略称する)を基材フィルムとした例について説明するが、当然これに限定されるものではない。
【0075】
PETペレットを十分に真空乾燥した後、押出し機に供給し、約280℃でシート状に溶融押し出し、冷却固化せしめて未延伸PETシートを作成する。このシートを70〜120℃に加熱したロールで長手方向に2.5〜5倍延伸して一軸配向PETフィルムを得る。このフィルムの両面にコロナ放電処理を施し、その処理面に所定の濃度の本発明の水系塗剤を塗布する。塗布後、フィルム端部をクリップで把持して70〜150℃に加熱された熱風ゾーンに導き、乾燥後、幅方向に2.5〜5倍に延伸する。引き続き160〜250℃の熱処理ゾーンに導き、1〜30秒間の熱処理を行い、結晶配向を完了させる。この熱処理工程中で必要に応じて幅方向あるいは長手方向に3〜12%の弛緩処理を施してもよい。この場合、用いる塗布液は環境汚染や防爆性の点で水系が好ましい。
【0076】
本発明の表面硬度化フィルムは、上記積層ポリエステルフィルムの積層膜上に、更に表面硬度化層を設けることにより得られる。表面硬度化層は活性線硬化性単量体混合物を主たる構成成分とする組成物を塗布、必要に応じて乾燥を施した後、活性線で硬化させることにより得ることができる。
【0077】
尚、上記例において、積層膜が設けられる基材フィルムにもメラミン系樹脂、ポリエステル樹脂から選ばれる少なくとも1種を含有せしめることができる。この場合は、積層膜と基材フィルムとの接着性が向上する、積層ポリエステルフィルムの易滑性が向上するなどの効果がある。メラミン系樹脂、ポリエステル樹脂を含有させる場合には、その添加量が5ppm以上20重量%未満であるのが、易接着性、易滑性の点で好ましい。もちろん、メラミン系樹脂、ポリエステル樹脂は基材フィルム上に設ける積層膜を構成するコーティング組成物や再生ペレットであっても良い。
【0078】
このようにして得られた表面硬度化フィルムは、表面硬度が高く、耐摩耗性に優れ、更にそれら表面硬度化層の耐久性に優れているため、広範な用途に使用できる。
【0079】
詳しくは、タッチパネル、ガラスや金属板に貼合わせるディスプレイ用、電子白板やホワイトボードなどの表示用、ラベル、シール、OHP用、カード、宅配便伝票、プリンタ用受像紙、更に種々の表面保護材、例えば電卓や計器のカバーなどに用いることができる。また、被覆金属板用として、家電機器、事務用機器、建材、車両、鋼製家具などに用いることもできる。
【0080】
【特性の測定方法および効果の評価方法】
本発明における特性の測定方法及び効果の評価方法は次の通りである。
【0081】
(1)塗布層の厚み
日立製作所(株)製透過型電子顕微鏡HU−12型を用い、積層膜を設けた二軸配向ポリエステルフィルムの断面を観察した写真から求めた。厚みは測定視野内の30個の平均値とした。
【0082】
(2)密着性
表面硬度化層に1mm2 のクロスカットを100個入れ、ニチバン(株)製セロハンテープをその上に貼り付け、指で強く押し付けた後、90度方向に急速剥離し、残存した個数により4段階評価(◎:100、○:80〜99、△:50〜79、×:0〜49)した。(◎)、(○)が密着性良好であり、耐久性に優れるものである。
【0083】
(3)鉛筆硬度
JIS−K5400に準じて、各種硬度の鉛筆を90度の角度で表面硬度化層に当て、荷重1kgで引っ掻き、傷が発生した時の鉛筆の硬さで表示した。
【0084】
(4)耐摩耗性
スチールウール#0000で表面硬度化層表面を摩擦し、傷のつき具合いを次の基準で評価した。
【0085】
○:強く摩擦してもほとんど傷が付かない
△:かなり強く摩擦すると少し傷が付く
×:弱い摩擦でも傷が付く
【0086】
(5)ガラス転移点(Tg)
パーキンエルマ社製DSCIIを用い、10mgサンプリングし、昇温速度20℃/minで測定した。
【0087】
【実施例】
次に、実施例に基づいて本発明を説明するが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0088】
実施例1
実質的に粒子を含まないPET(固有粘度0.65dl/g)ペレットを十分に真空乾燥した後、280℃の加熱された押し出し機に供給し、T字型口金よりシート状に押し出し、静電印加キャスト法を用いて表面温度30℃の鏡面キャスティングドラムに巻き付けて冷却固化せしめた。この未延伸フィルムを95℃の加熱ロール群を通過させながら、長手方向に3.5倍延伸し、一軸配向フィルムとした。このフィルムの両面にコロナ放電処理を施し、その処理面に以下に示す水系塗剤を塗布した。塗布された一軸延伸フィルムをクリップで把持しながら予熱ゾーンに導き、110℃で乾燥後、引続き連続的に125℃の加熱ゾーンで幅方向に3.5倍延伸し、更に225℃の加熱ゾーンで熱処理を施し、基材PETフィルム厚みが188μm、積層膜の厚みが0.15μmの積層PETフィルムを得た。
【0089】
「水系塗剤」
(A):ポリエステル樹脂
・酸成分
テレフタル酸 28モル%
イソフタル酸 9モル%
トリメリット酸 10モル%
セバシン酸 3モル%
・グリコール成分
エチレングリコール 15モル%
ネオペンチルグリコール 18モル%
1,4−ブタンジオール 17モル%
上記酸成分とグリコール成分からなるポリエステル樹脂(Tg:20℃)のアンモニウム塩型水分散体。
【0090】
(B):メチロール化メラミン樹脂
【0091】
(A)の固形分100重量部に対し、(B)を固形分比で5重量部混合し、積層膜形成塗剤とした。
【0092】
次に、この積層PETフィルム上に、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート70重量部、N−ビニルピロリドン30重量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン4重量部を撹拌混合して得られた組成物を、バーコータを用いて硬化後の膜厚が3μmとなるように均一に塗布した。これを、塗布面より9cmの高さにセットした80W/cmの照射強度を有する高圧水銀灯で、紫外線を15秒間照射し、硬化させ、積層PETフィルム上に表面硬度化層を有する表面硬度化フィルムを得た。結果を表1に示す。
【0093】
実施例2
実施例1の塗剤を用い積層膜の厚みを0.08μmとなるようにした以外は、実施例1と同様にして表面硬度化フィルムを得た。結果を表1に示す。
【0094】
比較例1
実施例1の塗剤で、メラミン系架橋剤を添加せずに用いた以外は実施例1と同様にして表面硬度化フィルムを得た。結果を表1に示す。
【0095】
比較例2
実施例1の塗剤のポリエステル樹脂の代わりに、下記成分の共重合ポリエステル樹脂とした以外は、実施例1と同様にして表面硬度化フィルムを得た。結果を表1に示す。
【0096】
・酸成分
テレフタル酸 42モル%
5−ナトリウムスルホイソフタル酸 8モル%
・グリコール成分
エチレングリコール 47モル%
ジエチレングリコール 3モル%
上記酸成分とグリコール成分からなる、側鎖にカルボン酸を有さないポリエステル樹脂(Tg:72℃)の水分散体。
【0097】
実施例3
実施例1の塗剤で、メラミン系架橋剤の添加量をポリエステル樹脂100重量部に対し10重量部(固形分比)とした以外は、実施例1と同様にして表面硬度化フィルムを得た。結果を表1に示す。
【0098】
実施例4
実施例1の塗剤のポリエステル樹脂の代わりに、下記成分の共重合ポリエステル樹脂とした以外は、実施例1と同様にして表面硬度化フィルムを得た。結果を表1に示す。
【0099】
・酸成分
テレフタル酸 23モル%
イソフタル酸 9モル%
トリメリット酸 15モル%
セバシン酸 3モル%
・グリコール成分
エチレングリコール 15モル%
ネオペンチルグリコール 18モル%
1,4−ブタンジオール 17モル%
上記酸成分とグリコール成分からなるポリエステル樹脂(Tg:19℃)のアンモニウム塩型水分散体。
【0100】
実施例5
実施例1においてポリエステルフィルムをポリエチレンテレフタレートフィルムからポリエチレン−2,6−ナフタレート(以下PENと略称する)フィルムに変えた以外は実施例1と同様にして表面硬度化フィルムを得た。結果を表1に示す。
【0101】
実施例6
実施例1の塗剤のポリエステル樹脂の代わりに、下記成分の共重合ポリエステル樹脂とした以外は、実施例1と同様にして表面硬度化フィルムを得た。結果を表2に示す。
【0102】
・酸成分
テレフタル酸 5モル%
イソフタル酸 35モル%
5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフルフリル)−3−メチル−3
−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸 10モル%
・グリコール成分
ジエチレングリコール 20モル%
ネオペンチルグリコール 25モル%
1,4−ブタンジオール 5モル%
上記酸成分とグリコール成分からなるポリエステル樹脂(Tg:32℃)のアンモニウム塩型水分散体。
【0103】
実施例7
実施例1の塗剤のポリエステル樹脂の代わりに、下記成分の共重合ポリエステル樹脂とした以外は、実施例1と同様にして表面硬度化フィルムを得た。結果を表2に示す。
【0104】
・酸成分
イソフタル酸 40モル%
5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフルフリル)−3−メチル−3
−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸 10モル%
・グリコール成分
ジエチレングリコール 15モル%
ネオペンチルグリコール 35モル%
上記酸成分とグリコール成分からなるポリエステル樹脂(Tg:55℃)のアンモニウム塩型水分散体。
【0105】
実施例8
実施例1のPETペレットの代わりに、酸化チタンを16重量%微分散したPET(固有粘度0.62dl/g)ペレットを用いた以外は、実施例1と同様にして表面硬度化フィルムを得た。この時積層白色PETフィルムは、厚みが188μm、光学濃度1.5、白色度85%であった。結果を表2に示す。
【0106】
実施例9
実施例8において、ポリエステルフィルムをPETフィルムからPENフィルムに変えた以外は実施例8と同様にして表面硬度化フィルムを得た。結果を表2に示す。
【0107】
実施例10
基材フィルムとして、実施例1で得られた積層PETフィルムを粉砕しペレット化したものを、ポリエチレンテレフタレートに30重量%添加し、溶融押し出しした以外は、実施例1と同様にして表面硬度化フィルムを得た。塗剤としては実施例1で用いたものと同様のものを用いた。結果を表2に示す。
【0108】
実施例11
実施例1の積層PETフィルム上に、ペンタエリスリトールトリアクリレート60重量部、2,2’−ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン10重量部、N−ビニルピロリドン30重量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン4重量部、トルエン90重量部、酢酸ブチル70重量部、イソプロピルアルコール70重量部を撹拌混合して得られた組成物を、バーコータを用いて硬化後の膜厚が3μmになるように均一に塗布した。これを80℃で20秒間乾燥させた。これを窒素雰囲気下で紫外線照射した以外は実施例1と同様にして表面硬度化フィルムを得た。結果を表2に示す。
【0109】
実施例12
実施例1の積層PETフィルム上に、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート70重量部、N−ビニルピロリドン30重量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン5重量部、シリカ粉末(デグサ社製、OK412、平均粒子径4μm)3重量部、ブタノール70重量部、トルエン80重量部を撹拌混合した組成物を、バーコータを用いて硬化後の膜厚が3μmになるように均一に塗布した。これを80℃で30秒間乾燥させた後、実施例1と同様にして表面硬度化フィルムを得た。結果を表2に示す。
【0110】
比較例3
実施例1において、積層膜及び表面硬度化層いずれも設けていないポリエステルフィルムの結果を表2に示す。
【0111】
比較例4
実施例1において、表面硬度化層を設けない積層ポリエステルフィルムの結果を表2に示す。
【0112】
比較例5
実施例1において、積層膜を設けず、表面硬度化層を設けた表面硬度化フィルムを得た。結果を表2に示す。
【0113】
【表1】
Figure 0003827168
【表2】
Figure 0003827168
【0114】
【発明の効果】
本発明によって作成される表面硬度化フィルムは、基材ポリエステルフィルムに特定の積層膜を介して表面硬度化層を設ける。このようにして得られる表面硬度化フィルムは、表面硬度が高く、耐摩耗性に優れると同時に、表面硬度化層の耐久性にも優れる。従って、タッチパネル、ガラスや金属板に貼合わせるディスプレイ用、ラベル、シール、OHP用、カード、宅配便伝票、プリンタ用受像紙など広範な用途に用いることができる。

Claims (8)

  1. ポリエステルフィルムの少なくとも片面に設けられた積層膜(A)を介して表面硬度化層(B)が設けられた積層体において、該積層膜(A)がジカルボン酸とジオールから重縮合して得られるポリエステル樹脂に3価以上の多価カルボン酸を共重合することによって得られたポリエステル樹脂 a とメラミン系架橋剤を主たる構成成分とし、該ポリエステル樹脂 a が側鎖にカルボン酸及び/又はその塩の基を有することを特徴とする表面硬度化フィルム。
  2. 表面硬度化層(B)が、1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する単量体の少なくとも1種と、1分子中に1〜2個のエチレン性不飽和二重結合を有する単量体の少なくとも1種とからなる活性線硬化性単量体混合物を主たる構成成分とする活性線硬化物の層であることを特徴とする請求項1に記載の表面硬度化フィルム。
  3. 積層膜(A)において、ポリエステル樹脂 a 100重量部に対し、メラミン系架橋剤を0.5〜40重量部添加することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の表面硬度化フィルム。
  4. ポリエステルフィルムがポリエチレンテレフタレートフィルム又はポリエチレン−2,6−ナフタレートフィルムであることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の表面硬度化フィルム。
  5. 積層膜(A)を設けるに際し、結晶配向が完了する前のポリエステルフィルムの少なくとも片面に積層膜形成塗剤を塗布後、少なくとも一方向に延伸、熱処理を施し、結晶配向を完了させることによって得られることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の表面硬度化フィルム。
  6. ポリエステルフィルムが、ポリエステル樹脂 a 、メラミン系架橋剤、あるいはこれらの反応生成物の少なくとも1種を、5ppm以上20重量%未満含有した組成物からなることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の表面硬度化フィルム。
  7. 積層膜中のポリエステル樹脂 a が、スルホン酸塩基を含有しないことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の表面硬度化フィルム。
  8. 積層膜を形成するポリエステル樹脂 a のガラス転移点が40℃以下であることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載の表面硬度化フィルム。
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