JPH09131841A - 表面硬度化フィルム - Google Patents

表面硬度化フィルム

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JPH09131841A
JPH09131841A JP7293997A JP29399795A JPH09131841A JP H09131841 A JPH09131841 A JP H09131841A JP 7293997 A JP7293997 A JP 7293997A JP 29399795 A JP29399795 A JP 29399795A JP H09131841 A JPH09131841 A JP H09131841A
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polyester resin
polyester
hardened
acid
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育 高田
Jun Hirata
純 平田
Takashi Mimura
尚 三村
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Abstract

(57)【要約】 【構成】ポリエステルフィルムの少なくとも片面に設け
られた積層膜(A)を介して表面硬度化層(B)が設け
られた積層体において、該積層膜(A)がポリエステル
樹脂とメラミン系架橋剤を主たる構成成分とし、該ポリ
エステル樹脂が側鎖にカルボン酸及び/又はその塩を有
することを特徴とする表面硬度化フィルムに関するもの
である。 【効果】本発明によって作成される表面硬度化フィルム
は、基材ポリエステルフィルムに特定の積層膜を介して
表面硬度化層を設けることで、表面硬度が高く、耐摩耗
性に優れると同時に、表面硬度化層の耐久性にも優れ
る。従って、タッチパネル、ガラスや金属板に貼合わせ
るディスプレイ用、ラベル、シール、OHP用、カー
ド、宅配便伝票、プリンタ用受像紙など広範な用途に用
いることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は表面硬度が高く、耐
摩耗性に優れたポリエステルフィルム積層体に関し、更
に詳しくは基材ポリエステルフィルムに積層膜を介して
表面硬度化層を設けることで、表面硬度化層の耐久性に
優れ、タッチパネル、ガラスや金属板に貼合わせるディ
スプレイ用、ラベル、シール、OHP用、カード、宅配
便伝票、プリンタ用受像紙などに用いられる表面硬度化
フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル二軸配向フィルムは、その
機械的性質、寸法安定性、耐熱性、透明性、電気絶縁性
などに優れた性質を有することから磁気記録材料、包装
材料、電気絶縁材料、各種写真材料、グラフィックアー
ツ材料などの多くの用途の基材フィルムとして広く使用
されている。しかし、フィルム表面の表面硬度が低く、
また耐摩耗性も不足しているため、他の硬い物体との接
触、摩擦、引っかきなどによって、表面に損傷を受けや
すく、表面に発生した損傷は商品価値を著しく低下させ
たり、短期間で使用不能となったりする。
【0003】このため基材ポリエステルフィルム上に耐
擦傷性、耐摩耗性に優れた表面硬度化層を設ける方法が
知られているが、ポリエステルフィルムは表面が高度に
結晶配向されているため表面硬度化層との密着性が乏し
く、表面硬度化層が剥離してしまい、実質的に耐久性に
劣るという欠点を有している。そのため従来からポリエ
ステルフィルム表面に種々の方法により易接着性付与の
検討がなされてきた。
【0004】易接着化の方法としては、基材ポリエステ
ルフィルム表面のコロナ放電処理、紫外線照射処理、プ
ラズマ処理などによる表面活性化法、酸、アルカリ、ア
ミン水溶液などの薬剤による表面エッチング法、フィル
ム表面にアクリル樹脂、スルホン酸塩基含有ポリエステ
ル樹脂、ウレタン樹脂などの各種樹脂をプライマ層とし
て設ける方法(特開昭55−15825号公報、特開昭
58−78761号公報、特開昭60−248232号
公報など)が既に知られている。特に、塗布によって上
記プライマ層を設け易接着性を付与する方法として、結
晶配向が完了する前のポリエステルフィルムに上記樹脂
成分を含有する塗剤を塗布し、乾燥後、延伸、熱処理を
施して結晶配向を完了させる方法(インラインコート
法)が工程簡略化や製造コストの点で有力視され、盛ん
に行われている。
【0005】また、ポリエステルフィルム表面にウレタ
ン樹脂からなる塗布層を設け、その上に表面硬化層を設
ける方法(特開昭62−263237号公報)も提案さ
れている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前述した従来
の技術には次のような問題点がある。アクリル樹脂を積
層した場合には、被覆物である表面硬度化層との密着性
は優れているものの基材ポリエステルフィルムとの密着
性が不十分となり、またポリエステル樹脂やウレタン樹
脂を積層した場合には基材との密着性は良好であるが、
表面硬度化層との十分な密着性が得られず、表面硬度化
層の耐久性に劣るという欠点があった。
【0007】本発明はこれらの欠点を解消せしめ、被覆
物となる表面硬度化層と十分な密着性を有し、耐久性に
優れた表面硬度化フィルムを提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、ポリエステル
フィルムの少なくとも片面に設けられた積層膜(A)を
介して表面硬度化層(B)が設けられた積層体におい
て、該積層膜(A)がポリエステル樹脂とメラミン系架
橋剤を主たる構成成分とし、該ポリエステル樹脂が側鎖
にカルボン酸及び/又はその塩を有することを特徴とす
る表面硬度化フィルムをその骨子とするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明のポリエステルフィルムの
ポリエステルとは、エステル結合を主鎖の主要な結合鎖
とする高分子の総称であって、好ましいポリエステルと
しては、エチレンテレフタレート、エチレン−2,6−
ナフタレート、ブチレンテレフタレート、エチレン−
α,β−ビス(2−クロロフェノキシ)エタン−4,4
−ジカルボキシレート等から選ばれた少なくとも1種の
構成成分を主要構成成分とするものが挙げられる。これ
ら構成成分は1種のみ用いても、2種以上併用してもい
ずれでもよいが、中でも品質、経済性などを総合的に判
断するとエチレンテレフタレートを主要構成成分とする
ポリエステルが特に好ましい。また、電子写真、感熱記
録、各種印刷などの記録用受像シートなど、基材に熱が
作用する用途や紫外線硬化型インキなど硬化時に樹脂の
収縮を伴う用途においては、耐熱性や剛性に優れたポリ
エチレン−2,6−ナフタレートが更に好ましい。
【0010】また、これらポリエステルには、更に他の
ジカルボン酸成分やジオール成分が20モル%以下共重
合されていてもよい。
【0011】また、磁気記録カード用途、ラベル用途、
受像紙などにおいては、基材フィルムとして白色ポリエ
ステルフィルムが好適に用いられるが、この白色ポリエ
ステルフィルムは、白色に着色されたポリエステルフィ
ルムであれば特に限定されるものではないが、好ましく
は白色度が85〜150、更に好ましくは90〜130
であり、光学濃度が0.5〜5、好ましくは1.2〜3
のものが好適である。例えば、磁気記録カードにおいて
白色度が小さい基材を使用した場合、磁気記録層などに
よる着色が透過し表面の印刷層の美観が損なわれ易く、
一方、光学濃度が小さい場合、十分な光線反射が得られ
ず、肉眼で見た場合白さが減少する、反対面の影響が出
る、あるいは磁気記録読み取り時測定法によってはトラ
ブルとなる場合がある等の理由による。
【0012】このような光学濃度、白色度を得る方法
は、特に限定されないが、通常は無機粒子あるいはポリ
エステルと非相溶の樹脂の添加により得ることができ
る。添加する量は特に限定されないが、無機粒子の場合
5〜35重量%、好ましくは8〜25重量%である。一
方、非相溶性の樹脂を添加する場合は5〜35体積%、
好ましくは8〜25体積%である。
【0013】使用する無機粒子は特に限定されないが、
平均粒径0.1〜4μm、好ましくは0.3〜1.5μ
mの無機粒子をその代表として挙げることができる。具
体的には、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシ
ウム、酸化チタン、シリカ、アルミナ、タルク、クレー
等あるいはこれらの混合物であり、これらの無機粒子は
他の無機化合物、例えばリン酸カルシウム、酸化チタ
ン、雲母、ジルコニア、酸化タングステン、フッ化リチ
ウム、フッ化カルシウム等と併用してもよい。また、上
述した無機粒子の中でもモース硬度が5以下、好ましく
は4以下のものを使用する場合、白度が更に増すためよ
り好ましい。
【0014】ポリエステルと非相溶の樹脂としては、特
に限定されないが、例えばポリエチレンテレフタレート
やポリエチレン−2,6−ナフタレートと混合する場合
についていえば、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプ
ロピレン、変性オレフィン樹脂、ポリブチレンテレフタ
レート系樹脂、フェノキシ樹脂、ポリフェニレンオキシ
ド等を挙げることが可能で、当然、上述した無機粒子と
併用してもよい。特に、無機粒子やポリエステルと非相
溶の樹脂を混合して二軸延伸し、内部に空洞を有する、
比重が0.5〜1.3g/cm3 の白色ポリエステルフ
ィルムは印刷適性が良好になるので好ましい。
【0015】更に、このポリエステル中には、公知の各
種添加剤、例えば酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定
剤、紫外線吸収剤、有機の易滑剤、顔料、染料、有機ま
たは無機の微粒子、充填剤、帯電防止剤、核剤などが本
発明の効果を阻害しない程度に添加されていてもよい。
【0016】上述したポリエステルの極限粘度(25℃
のo−クロロフェノール中で測定)は、0.4〜1.2
dl/gが好ましく、更に好ましくは0.5〜0.8d
l/gの範囲にあるものが本発明の内容に好適である。
【0017】更に積層膜との密着性を向上させる点か
ら、基材ポリエステルフィルムのカルボキシル末端基量
が37当量/トン以上が好ましく、更に好ましくは40
当量/トン以上であることが望ましい。
【0018】上記ポリエステルを使用したポリエステル
フィルムは、積層膜が設けられた状態においては二軸配
向されたものであるのが好ましい。二軸配向ポリエステ
ルフィルムとは、未延伸状態のポリエステルシートまた
はフィルムを長手方向及び幅方向に各々2.5〜5倍程
度延伸され、その後熱処理を施し、結晶配向を完了させ
たものであり、広角X線回折で二軸配向のパターンを示
すものをいう。
【0019】ポリエステルフィルムの厚みは特に限定さ
れるものではないが、機械的強度、熱伝導性の点から、
通常0.5〜500μm、好ましくは1〜300μmで
ある。また、得られたフィルムを公知の方法で貼り合わ
せ、更に厚いフィルムとすることもできる。
【0020】本発明の積層膜(A)の構成成分であるポ
リエステル樹脂は、主鎖あるいは側鎖にエステル結合を
有するものであり、かつ、側鎖にカルボン酸及び/又は
その塩を有するものである。このようなポリエステル樹
脂は、公知のジカルボン酸とジオールから重縮合して得
られるポリエステル樹脂に、多価カルボン酸を共重合す
ることによって得ることができるものである。
【0021】ポリエステル樹脂を構成するカルボン酸成
分としては、芳香族、脂肪族、脂環族のジカルボン酸や
3価以上の多価カルボン酸が使用できる。芳香族ジカル
ボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソ
フタル酸、フタル酸、2,5−ジメチルテレフタル酸、
1,4−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボ
ン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,2−ビス
フェノキシエタン−p,p’−ジカルボン酸、フェニル
インダンジカルボン酸などを挙げることができる。これ
らの芳香族ジカルボン酸は、積層膜の強度や耐熱性の点
で、全ジカルボン酸成分の30モル%以上、好ましくは
35モル%以上、更に好ましくは40モル%以上が望ま
しい。脂肪族及び脂環族のジカルボン酸としては、コハ
ク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、ダ
イマー酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,
2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキ
サンジカルボン酸など及びそれらのエステル形成性誘導
体が挙げられる。
【0022】ポリエステル樹脂のグリコール成分として
は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリ
エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロ
ピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3
−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−
ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7
−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,
9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、2,
4−ジメチル−2−エチルヘキサン−1,3−ジオー
ル、ネオペンチルグリコール、2−エチル−2−ブチル
−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−イソブ
チル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5
−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6
−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノ
ール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−
シクロヘキサンジメタノール、2,2,4,4−テトラ
メチル−1,3−シクロブタンジオール、4,4’−チ
オジフェノール、ビスフェノールA、4,4’−メチレ
ンジフェノール、4,4’−(2−ノルボルニリデン)
ジフェノール、4,4’−ジヒドロキシビフェノール、
o−,m−,及びp−ジヒドロキシベンゼン、4,4’
−イソプロピリデンフェノール、4,4’−イソプロピ
リデンビンジオール、シクロペンタン−1,2−ジオー
ル、シクロヘキサン−1,2−ジオール、シクロヘキサ
ン−1,4−ジオールなどを挙げることができる。
【0023】また、多価カルボン酸としては、例えばト
リメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、
無水ピロメリット酸、4−メチルシクロヘキセン−1,
2,3−トリカルボン酸、トリメシン酸、1,2,3,
4−ブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4−ペンタ
ンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェ
ノンテトラカルボン酸、5−(2,5−ジオキソテトラ
ヒドロフルフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン
−1,2−ジカルボン酸、5−(2,5−ジオキソテト
ラヒドロフルフリル)−3−シクロヘキセン−1,2−
ジカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、2,
3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸、1,2,
5,6−ナフタレンテトラカルボン酸、エチレングリコ
ールビストリメリテート、2,2’,3,3’−ジフェ
ニルテトラカルボン酸、チオフェン−2,3,4,5−
テトラカルボン酸、エチレンテトラカルボン酸などある
いはこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、ア
ンモニウム塩が挙げられるが、これに限定されるもので
はない。
【0024】これらの共重合によって得られるポリエス
テル樹脂のガラス転移点は、40℃以下、好ましくは3
5℃以下、更に30℃以下である場合、基材フィルム及
び被覆物との密着性が向上するので特に望ましい。
【0025】また、ポリエステル樹脂としては、変性ポ
リエステル共重合体、例えばアクリル、ウレタン、エポ
キシ等で変性したブロック共重合体、グラフト共重合体
等を用いることも可能である。
【0026】好ましいポリエステル樹脂としては、酸成
分としてテレフタル酸、イソフタル酸、セバシン酸、ト
リメリット酸、ピロメリット酸、5−(2,5−ジオキ
ソテトラヒドロフルフリル)−3−メチル−3−シクロ
ヘキセン−1,2−ジカルボン酸、グリコール成分とし
てエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4
−ブタンジオール、ネオペンチルグリコールから選ばれ
る共重合体が挙げられる。
【0027】本発明のポリエステル樹脂は、従来から公
知の製造技術によって製造することができる。また、カ
ルボン酸を末端及び/又は側鎖に多く有するポリエステ
ル樹脂を得る方法としては、特開昭54−46294号
公報、特開昭60−209073号公報、特開昭62−
240318号公報、特開昭53−26828号公報、
特開昭53−26829号公報、特開昭53−9833
6号公報、特開昭56−116718号公報、特開昭6
1−124684号公報、特開昭62−240318号
公報などに記載の3価以上の多価カルボン酸を共重合し
た樹脂により製造することができるが、これら以外の方
法であってもよい。
【0028】本発明の積層膜(A)の構成成分であるメ
ラミン系架橋剤は、従来公知のもので特に限定されない
が、メラミン、メラミンとホルムアルデヒドを縮合して
得られるメチロール化メラミン誘導体、メチロール化メ
ラミンに低級アルコールを反応させて部分的あるいは完
全にエーテル化した化合物、及びこれらの混合物が挙げ
られる。又、メラミン系架橋剤としては単量体、2量体
以上の多量体からなる縮合物のいずれでもよく、これら
の混合物でもよい。エーテル化に用いられる低級アルコ
ールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、
イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブタノ
ールなどを挙げることができる。官能基としては、イミ
ノ基、メチロール基、あるいはメトキシメチル基やブト
キシメチル基等のアルコキシメチル基を1分子中に有す
るもので、イミノ基型メチル化メラミン樹脂、メチロー
ル基型メラミン樹脂、メチロール基型メチル化メラミン
樹脂、完全アルキル型メチル化メラミン樹脂などであ
る。その中でもメチロール化メラミン樹脂が最も好まし
い。更に、メラミン系架橋剤の熱硬化を促進するため、
例えばp−トルエンスルホン酸などの酸性触媒を用いて
もよい。
【0029】ポリエステル樹脂とメラミン系架橋剤は任
意の比率で混合してもよいが、本発明の効果をより顕著
に発現させるには以下の比率(固形分重量比とする)で
混合するとよい。ポリエステル樹脂100重量部に対
し、メラミン系架橋剤を0.5〜40重量部、好ましく
は1〜30重量部、更に好ましくは2〜20重量部であ
るのが望ましい。
【0030】本発明の積層膜は前記2種の構成成分を主
成分とした塗剤を塗布し、乾燥、熱処理したものであ
り、主成分とは上記2種が積層膜中において50重量%
以上、好ましくは80重量%以上、更に好ましくは90
重量%以上を占めることをいう。
【0031】また、積層膜中には本発明の効果を阻害し
ない範囲内で、他の樹脂、例えば本発明以外のポリエス
テル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹
脂、シリコーン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂などを
配合してもよい。
【0032】更に、積層膜中には本発明の効果を阻害し
ない範囲内で公知の添加剤、例えば酸化防止剤、耐熱安
定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、有機の易滑剤、顔
料、染料、有機または無機の微粒子、充填剤、帯電防止
剤、核剤などを配合しても良い。
【0033】特に、本発明の塗剤中に無機粒子を添加配
合し二軸延伸したものは、易滑性が向上するので更に好
ましい。
【0034】添加する無機粒子の代表例としては、シリ
カ、コロイダルシリカ、アルミナ、アルミナゾル、カオ
リン、タルク、マイカ、炭酸カルシウム等を挙げること
ができる。無機粒子は、平均粒径0.01〜10μmが
好ましく、より好ましくは0.05〜5μm、更に好ま
しくは0.08〜2μmであり、塗剤中の固形分に対す
る配合比は特に限定されないが、重量比で0.05〜8
重量部が好ましく、より好ましくは0.1〜3重量部で
ある。
【0035】本発明の積層膜を設けるのに好ましい方法
としては、ポリエステルフィルムの製造工程中に塗布
し、基材フィルムと共に延伸する方法が最も好適であ
る。例えば溶融押し出しされた結晶配向前のポリエステ
ルフィルムを長手方向に2.5〜5倍程度延伸し、塗布
する面にコロナ放電処理を施し、連続的にその処理面に
塗剤を塗布する。塗布されたフィルムは段階的に加熱さ
れたゾーンを通過しつつ乾燥され、幅方向に2.5〜5
倍程度延伸される。さらに連続的に150〜250℃の
加熱ゾーンに導かれ結晶配向を完了させる方法によって
得られる。この場合に用いる塗布液は環境汚染や防爆性
の点で水系が好ましい。
【0036】このような方法によって設けられた積層膜
は、その上に設けられる各種インキなどの被覆物との密
着性に優れると同時に、基材ポリエステルフィルムとの
密着性に優れる。
【0037】塗膜の厚みは特に限定しないが、通常は
0.01〜5μm、好ましくは0.02〜2μm、更に
好ましくは0.05μm〜0.5μmの範囲が望まし
い。積層膜の厚みが薄すぎると密着性不良となる場合が
ある。
【0038】基材フィルム上への塗布の方法は公知の塗
布方法、例えばリバースコート法、グラビアコート法、
ロッドコート法、バーコート法、ダイコート法、スプレ
ーコート法などを用いることができる。
【0039】本発明における表面硬度化層(B)として
は、アクリル系、ウレタン系、メラミン系、有機シリケ
ート、シリコーン系、金属酸化物などからなるものが挙
げられる。特に硬度、耐久性などの点でシリコーン系、
アクリル系が好ましく、更に硬化性、可撓性及び生産性
の点でアクリル系、特に活性線硬化型アクリル系が好ま
しい。
【0040】活性線硬化型アクリル系とは、活性線重合
成分としてアクリルオリゴマと反応性希釈剤を含み、そ
の他に必要に応じて光開始剤、光増感剤、改質剤を含有
していてもよい。
【0041】アクリルオリゴマとは、アクリル系樹脂骨
格に反応性のアクリル基が結合されたものを始めとし
て、ポリエステルアクリル、ウレタンアクリル、エポキ
シアクリル、ポリエーテルアクリルなどがあり、またメ
ラミンやイソシアヌール酸などの剛直な骨格にアクリル
基を結合したものなどが挙げられるが、これらに限定さ
れるものではない。
【0042】反応性希釈剤とは、塗布剤の媒体として塗
布工程での溶剤の機能を担うと共に、それ自体が一官能
性あるいは多官能性のアクリルオリゴマと反応する基を
有し、塗膜の共重合成分となるものである。
【0043】また、特に紫外線による架橋の場合には、
光エネルギが小さいため、光エネルギの変換や開始の助
長のため光重合開始剤及び/又は増感剤を添加すること
が好ましい。
【0044】これらのアクリルオリゴマ、反応性希釈
剤、光重合開始剤、増感剤、架橋装置などの具体例は、
山下晋三、金子東助編、「架橋剤ハンドブック」、大成
社1981年発行、第267頁から第275頁、第56
2頁から第593頁を参考とすることができるが、これ
らに限定されるものではない。市販品として多官能アク
リル系紫外線硬化塗料として三菱レーヨン(株)、藤倉
化成(株)、大日精化工業(株)、大日本インキ化学工
業(株)、東亜合成化学工業(株)、日東化成(株)な
どの製品を利用することができるがこれらに限定される
ものではない。
【0045】表面硬度化層の改質剤として、塗布性改良
剤、消泡剤、増粘剤、帯電防止剤、無機系粒子、有機系
粒子、有機系潤滑剤、有機高分子、染料、顔料、安定剤
などが挙げられ、これらは活性線による反応を阻害しな
い範囲で塗布層の組成物として使用され、用途に応じて
表面硬度化層の特性を改良することができる。
【0046】また、本発明に用いられる表面硬度化層の
組成物には、塗工時の作業性の向上、塗工膜厚のコント
ロールを目的として、本発明の目的を損なわない範囲で
有機溶剤を配合することができる。
【0047】これらの中で、特に1分子中に3個以上の
(メタ)アクリロイルオキシ基を有する単量体の少なく
とも1種と、1分子中に1〜2個のエチレン性不飽和二
重結合を有する単量体の少なくとも1種とからなる活性
線硬化性単量体混合物を主たる構成成分とする活性線硬
化物からなる表面硬度化層が、硬度、硬化性はもちろ
ん、耐摩耗性、可撓性に優れるので好ましい。
【0048】本発明でいう1分子中に3個以上の(メ
タ)アクリロイルオキシ基(但し、ここで(メタ)アク
リロイルオキシ基とは、アクリロイルオキシ基及びメタ
アクリロイルオキシ基とを略して表示したもので、特許
請求の範囲及びそれ以下の説明でも同様である)を有す
る単量体としては、1分子中に3個以上のアルコール性
水酸基を有する多価アルコールの該水酸基が3個以上の
(メタ)アクリル酸のエステル化物となっている化合物
が挙げられる。
【0049】具体的な例としては、ペンタエリスリトー
ルトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテ
トラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールト
リ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテト
ラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペン
タ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキ
サ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ
(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの単量
体は、1種または2種以上を混合して使用してもよい。
【0050】これらの1分子中に3個以上の(メタ)ア
クリロイルオキシ基を有する単量体の使用割合は、重合
性単量体総量に対して20〜90重量%、好ましくは3
0〜80重量%、更に好ましくは30〜70重量%が望
ましい。
【0051】上記単量体の使用割合が20重量%未満の
場合には、充分な耐摩耗性を有する硬化被膜が得られ
ず、またその量が90重量%を超える場合は、重合によ
る収縮が大きく、硬化被膜に歪が残ったり、被膜の可撓
性が低下したり、硬化被膜側に大きくカールするので好
ましくない。
【0052】本発明でいう1分子中に1〜2個のエチレ
ン性不飽和二重結合を有する単量体としては、ラジカル
重合性のある通常の単量体ならば特に限定されずに使用
することができる。
【0053】分子内に2個のエチレン性不飽和二重結合
を有する化合物としては、下記(a)〜(f)の(メ
タ)アクリレートを挙げることができる。
【0054】(a)炭素数2〜12のアルキレングリコ
ールの(メタ)アクリル酸ジエステル類:エチレングリ
コールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコール
ジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ
(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メ
タ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メ
タ)アクリレートなど、
【0055】(b)ポリオキシアルキレングリコールの
(メタ)アクリレート酸ジエステル類:ジエチレングリ
コールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコー
ルジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコール
ジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ
(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メ
タ)アクリレートなど、
【0056】(c)多価アルコールの(メタ)アクリル
酸ジエステル類:ペンタエリスリトールジ(メタ)アク
リレートなど、
【0057】(d)ビスフェノールAあるいはビスフェ
ノールAの水素化物のエチレンオキシド及びプロピレン
オキシド付加物の(メタ)アクリル酸ジエステル類:
2,2’−ビス(4−アクリロキシエトキシフェニル)
プロパン、2,2’−ビス(4−アクリロキシプロポキ
シフェニル)プロパンなど、
【0058】(e)ジイソシアネート化合物と2個以上
のアルコール性水酸基含有化合物を予め反応させて得ら
れる末端イソシアネート基含有化合物に、更にアルコー
ル性水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させて得ら
れる分子内に2個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基
を有するウレタン(メタ)アクリレート類、
【0059】(f)分子内に2個以上のエポキシ基を有
する化合物にアクリル酸又はメタクリル酸を反応させて
得られる分子内に2個以上の(メタ)アクリロイルオキ
シ基を有するエポキシ(メタ)アクリレート類、などが
挙げられる。
【0060】分子内に1個のエチレン性不飽和二重結合
を有する化合物としては、メチル(メタ)アクリレー
ト、エチル(メタ)アクリレート、n−及びi−プロピ
ル(メタ)アクリレート、n−、sec−、及びt−ブ
チル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メ
タ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ス
テアリル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メ
タ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレー
ト、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチ
レングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピ
レングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリシジル
(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メ
タ)アクリレート、N−ヒドロキシエチル(メタ)アク
リルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニル−3−
メチルピロリドン、N−ビニル−5−メチルピロリドン
などが挙げられる。これらの単量体は、1種又は2種以
上混合して使用してもよい。
【0061】これらの1分子中に1〜2個のエチレン性
不飽和二重結合を有する単量体の使用割合は、単量体総
量に対して10〜80重量%が好ましく、更に好ましく
は20〜70重量%であるのが望ましい。
【0062】上記単量体の使用割合が80重量%を超え
る場合には、十分な耐摩耗性を有する硬化被膜が得られ
にくいため好ましくない。また、その使用割合が10重
量%未満の場合には、被膜の可撓性が低下したり、基材
ポリエステルフィルム上に設けた積層膜との密着性が低
下したりするので好ましくない。
【0063】本発明における活性線硬化性の組成物を硬
化させる方法として紫外線を照射する方法が挙げられる
が、この場合には前記組成物に光重合開始剤を加えるこ
とが望ましい。光重合開始剤の具体的な例としては、ア
セトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p
−ジメチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピ
オフェノン、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノ
ン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ビ
スジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベ
ンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベン
ゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテ
ル、メチルベンゾイルフォメート、p−イソプロピル−
α−ヒドロキシイソブチルフェノン、α−ヒドロキシイ
ソブチルフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニル
アセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニ
ルケトンなどのカルボニル化合物、テトラメチルチウラ
ムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィ
ド、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−
メチルチオキサントンなどの硫黄化合物、ベンゾイルパ
ーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイドなどのパ
ーオキサイド化合物などが挙げられる。これらの光重合
開始剤は単独で使用してもよいし、2種以上組み合せて
用いてもよい。
【0064】光重合開始剤の使用量は重合性単量体組成
物100重量部に対して、0.01〜10重量部が適当
である。電子線又はガンマ線を硬化手段とする場合に
は、必ずしも重合開始剤を添加する必要はない。
【0065】本発明に用いる活性線硬化性組成物には、
製造時の熱重合や貯蔵中の暗反応を防止するために、ハ
イドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、
2,5−t−ブチルハイドロキノンなど、公知の熱重合
防止剤を加えるのが望ましい。添加量は重合性化合物総
重量に対し、0.005〜0.05重量%が好ましい。
【0066】本発明に用いる活性線硬化性組成物には、
塗工時の作業性の向上、塗工膜厚のコントロールを目的
として、本発明の目的を損なわない範囲において、有機
溶剤を配合することができる。
【0067】有機溶剤としては、沸点が50〜150℃
のものが、塗工時の作業性、硬化前後の乾燥性の点から
用いやすい。具体的な例としては、メタノール、エタノ
ール、イソプロピルアルコールなどのアルコール系溶
剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの酢酸エ
ステル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトンなどのケ
トン系溶剤、トルエンなどの芳香族系溶剤、ジオキサン
などの環状エーテル系溶剤などを挙げることができる。
これらの溶剤は単独あるいは2種以上を混合して用いる
こともできる。
【0068】本発明に用いる活性線硬化性組成物には、
本発明の目的を損なわない範囲で、各種の添加剤を必要
に応じて配合することができる。例えば、酸化防止剤、
光安定剤、紫外線吸収剤などの安定剤、界面活性剤、レ
ベリング剤、帯電防止剤などを例示することができる。
【0069】本発明に用いる活性線硬化性組成物には、
外界の光源の反射像の明るさ、明瞭度を減少させる目的
で、本発明の目的を損なわない範囲で、酸化珪素粒子や
有機フィラーなどの艶消し剤を配合することができ、ま
た表面硬度化層の表面に、公知の方法、例えばエンボス
法、サンドマット法などにより凸凹を設けることもでき
る。
【0070】活性線硬化性組成物の塗布手段としては、
刷毛塗り、浸漬塗り、ナイフ塗り、ロール塗り、スプレ
ー塗り、流し塗り、回転塗り(スピンナー、ホエラーな
ど)などの通常行われている塗布方法が容易に適用可能
である。各々の方式には特徴があり、表面硬度化フィル
ムの要求特性、使用用途などにより、塗布方法を適宜選
択する。
【0071】本発明において活性線とは、紫外線、電子
線、放射線(α線、β線、γ線など)などアクリル系の
ビニル基を重合させる電磁波を意味し、実用的には、紫
外線が簡便であり好ましい。紫外線源としては、紫外線
蛍光灯、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセ
ノン灯、炭素アーク灯などが挙げられる。また、電子線
方式は、装置が高価で不活性気体下での操作が必要では
あるが、塗布層中に光重合開始剤や光増感剤などを含有
させなくてもよい点から有利である。
【0072】表面硬度化層の厚さとしては用途に応じて
適宜選択されるが、通常0.5μm〜10μm、好まし
くは1μm〜5μmである。表面硬度化層の厚さが0.
5μm未満の場合には、表面硬度が不十分で傷が付きや
すく、10μmを超える場合には、硬化膜が脆くなりや
すく、表面硬度化フィルムを折り曲げた時に硬化膜にク
ラックが入りやすくなって好ましくない。
【0073】また、本発明の目的を損なわない範囲にお
いて、表面硬度化層の最外層に図柄及び画などの印刷層
などを設けても良い。
【0074】次に、本発明の表面硬度化フィルムの製造
方法について、ポリエチレンテレフタレート(以下PE
Tと略称する)を基材フィルムとした例について説明す
るが、当然これに限定されるものではない。
【0075】PETペレットを十分に真空乾燥した後、
押出し機に供給し、約280℃でシート状に溶融押し出
し、冷却固化せしめて未延伸PETシートを作成する。
このシートを70〜120℃に加熱したロールで長手方
向に2.5〜5倍延伸して一軸配向PETフィルムを得
る。このフィルムの両面にコロナ放電処理を施し、その
処理面に所定の濃度の本発明の水系塗剤を塗布する。塗
布後、フィルム端部をクリップで把持して70〜150
℃に加熱された熱風ゾーンに導き、乾燥後、幅方向に
2.5〜5倍に延伸する。引き続き160〜250℃の
熱処理ゾーンに導き、1〜30秒間の熱処理を行い、結
晶配向を完了させる。この熱処理工程中で必要に応じて
幅方向あるいは長手方向に3〜12%の弛緩処理を施し
てもよい。この場合、用いる塗布液は環境汚染や防爆性
の点で水系が好ましい。
【0076】本発明の表面硬度化フィルムは、上記積層
ポリエステルフィルムの積層膜上に、更に表面硬度化層
を設けることにより得られる。表面硬度化層は活性線硬
化性単量体混合物を主たる構成成分とする組成物を塗
布、必要に応じて乾燥を施した後、活性線で硬化させる
ことにより得ることができる。
【0077】尚、上記例において、積層膜が設けられる
基材フィルムにもメラミン系樹脂、ポリエステル樹脂か
ら選ばれる少なくとも1種を含有せしめることができ
る。この場合は、積層膜と基材フィルムとの接着性が向
上する、積層ポリエステルフィルムの易滑性が向上する
などの効果がある。メラミン系樹脂、ポリエステル樹脂
を含有させる場合には、その添加量が5ppm以上20
重量%未満であるのが、易接着性、易滑性の点で好まし
い。もちろん、メラミン系樹脂、ポリエステル樹脂は基
材フィルム上に設ける積層膜を構成するコーティング組
成物や再生ペレットであっても良い。
【0078】このようにして得られた表面硬度化フィル
ムは、表面硬度が高く、耐摩耗性に優れ、更にそれら表
面硬度化層の耐久性に優れているため、広範な用途に使
用できる。
【0079】詳しくは、タッチパネル、ガラスや金属板
に貼合わせるディスプレイ用、電子白板やホワイトボー
ドなどの表示用、ラベル、シール、OHP用、カード、
宅配便伝票、プリンタ用受像紙、更に種々の表面保護
材、例えば電卓や計器のカバーなどに用いることができ
る。また、被覆金属板用として、家電機器、事務用機
器、建材、車両、鋼製家具などに用いることもできる。
【0080】
【特性の測定方法および効果の評価方法】本発明におけ
る特性の測定方法及び効果の評価方法は次の通りであ
る。
【0081】(1)塗布層の厚み 日立製作所(株)製透過型電子顕微鏡HU−12型を用
い、積層膜を設けた二軸配向ポリエステルフィルムの断
面を観察した写真から求めた。厚みは測定視野内の30
個の平均値とした。
【0082】(2)密着性 表面硬度化層に1mm2 のクロスカットを100個入
れ、ニチバン(株)製セロハンテープをその上に貼り付
け、指で強く押し付けた後、90度方向に急速剥離し、
残存した個数により4段階評価(◎:100、○:80
〜99、△:50〜79、×:0〜49)した。
(◎)、(○)が密着性良好であり、耐久性に優れるも
のである。
【0083】(3)鉛筆硬度 JIS−K5400に準じて、各種硬度の鉛筆を90度
の角度で表面硬度化層に当て、荷重1kgで引っ掻き、
傷が発生した時の鉛筆の硬さで表示した。
【0084】(4)耐摩耗性 スチールウール#0000で表面硬度化層表面を摩擦
し、傷のつき具合いを次の基準で評価した。
【0085】 ○:強く摩擦してもほとんど傷が付かない △:かなり強く摩擦すると少し傷が付く ×:弱い摩擦でも傷が付く
【0086】(5)ガラス転移点(Tg) パーキンエルマ社製DSCIIを用い、10mgサンプリ
ングし、昇温速度20℃/minで測定した。
【0087】
【実施例】次に、実施例に基づいて本発明を説明する
が、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0088】実施例1 実質的に粒子を含まないPET(固有粘度0.65dl
/g)ペレットを十分に真空乾燥した後、280℃の加
熱された押し出し機に供給し、T字型口金よりシート状
に押し出し、静電印加キャスト法を用いて表面温度30
℃の鏡面キャスティングドラムに巻き付けて冷却固化せ
しめた。この未延伸フィルムを95℃の加熱ロール群を
通過させながら、長手方向に3.5倍延伸し、一軸配向
フィルムとした。このフィルムの両面にコロナ放電処理
を施し、その処理面に以下に示す水系塗剤を塗布した。
塗布された一軸延伸フィルムをクリップで把持しながら
予熱ゾーンに導き、110℃で乾燥後、引続き連続的に
125℃の加熱ゾーンで幅方向に3.5倍延伸し、更に
225℃の加熱ゾーンで熱処理を施し、基材PETフィ
ルム厚みが188μm、積層膜の厚みが0.15μmの
積層PETフィルムを得た。
【0089】「水系塗剤」 (A):ポリエステル樹脂 ・酸成分 テレフタル酸 28モル% イソフタル酸 9モル% トリメリット酸 10モル% セバシン酸 3モル% ・グリコール成分 エチレングリコール 15モル% ネオペンチルグリコール 18モル% 1,4−ブタンジオール 17モル% 上記酸成分とグリコール成分からなるポリエステル樹脂
(Tg:20℃)のアンモニウム塩型水分散体。
【0090】(B):メチロール化メラミン樹脂
【0091】(A)の固形分100重量部に対し、
(B)を固形分比で5重量部混合し、積層膜形成塗剤と
した。
【0092】次に、この積層PETフィルム上に、ジペ
ンタエリスリトールヘキサアクリレート70重量部、N
−ビニルピロリドン30重量部、1−ヒドロキシシクロ
ヘキシルフェニルケトン4重量部を撹拌混合して得られ
た組成物を、バーコータを用いて硬化後の膜厚が3μm
となるように均一に塗布した。これを、塗布面より9c
mの高さにセットした80W/cmの照射強度を有する
高圧水銀灯で、紫外線を15秒間照射し、硬化させ、積
層PETフィルム上に表面硬度化層を有する表面硬度化
フィルムを得た。結果を表1に示す。
【0093】実施例2 実施例1の塗剤を用い積層膜の厚みを0.08μmとな
るようにした以外は、実施例1と同様にして表面硬度化
フィルムを得た。結果を表1に示す。
【0094】比較例1 実施例1の塗剤で、メラミン系架橋剤を添加せずに用い
た以外は実施例1と同様にして表面硬度化フィルムを得
た。結果を表1に示す。
【0095】比較例2 実施例1の塗剤のポリエステル樹脂の代わりに、下記成
分の共重合ポリエステル樹脂とした以外は、実施例1と
同様にして表面硬度化フィルムを得た。結果を表1に示
す。
【0096】・酸成分 テレフタル酸 42モル% 5−ナトリウムスルホイソフタル酸 8モル% ・グリコール成分 エチレングリコール 47モル% ジエチレングリコール 3モル% 上記酸成分とグリコール成分からなる、側鎖にカルボン
酸を有さないポリエステル樹脂(Tg:72℃)の水分
散体。
【0097】実施例3 実施例1の塗剤で、メラミン系架橋剤の添加量をポリエ
ステル樹脂100重量部に対し10重量部(固形分比)
とした以外は、実施例1と同様にして表面硬度化フィル
ムを得た。結果を表1に示す。
【0098】実施例4 実施例1の塗剤のポリエステル樹脂の代わりに、下記成
分の共重合ポリエステル樹脂とした以外は、実施例1と
同様にして表面硬度化フィルムを得た。結果を表1に示
す。
【0099】・酸成分 テレフタル酸 23モル% イソフタル酸 9モル% トリメリット酸 15モル% セバシン酸 3モル% ・グリコール成分 エチレングリコール 15モル% ネオペンチルグリコール 18モル% 1,4−ブタンジオール 17モル% 上記酸成分とグリコール成分からなるポリエステル樹脂
(Tg:19℃)のアンモニウム塩型水分散体。
【0100】実施例5 実施例1においてポリエステルフィルムをポリエチレン
テレフタレートフィルムからポリエチレン−2,6−ナ
フタレート(以下PENと略称する)フィルムに変えた
以外は実施例1と同様にして表面硬度化フィルムを得
た。結果を表1に示す。
【0101】実施例6 実施例1の塗剤のポリエステル樹脂の代わりに、下記成
分の共重合ポリエステル樹脂とした以外は、実施例1と
同様にして表面硬度化フィルムを得た。結果を表2に示
す。
【0102】・酸成分 テレフタル酸 5モル% イソフタル酸 35モル% 5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフルフリル)−3
−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸
10モル% ・グリコール成分 ジエチレングリコール 20モル% ネオペンチルグリコール 25モル% 1,4−ブタンジオール 5モル% 上記酸成分とグリコール成分からなるポリエステル樹脂
(Tg:32℃)のアンモニウム塩型水分散体。
【0103】実施例7 実施例1の塗剤のポリエステル樹脂の代わりに、下記成
分の共重合ポリエステル樹脂とした以外は、実施例1と
同様にして表面硬度化フィルムを得た。結果を表2に示
す。
【0104】・酸成分 イソフタル酸 40モル% 5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフルフリル)−3
−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸
10モル% ・グリコール成分 ジエチレングリコール 15モル% ネオペンチルグリコール 35モル% 上記酸成分とグリコール成分からなるポリエステル樹脂
(Tg:55℃)のアンモニウム塩型水分散体。
【0105】実施例8 実施例1のPETペレットの代わりに、酸化チタンを1
6重量%微分散したPET(固有粘度0.62dl/
g)ペレットを用いた以外は、実施例1と同様にして表
面硬度化フィルムを得た。この時積層白色PETフィル
ムは、厚みが188μm、光学濃度1.5、白色度85
%であった。結果を表2に示す。
【0106】実施例9 実施例8において、ポリエステルフィルムをPETフィ
ルムからPENフィルムに変えた以外は実施例8と同様
にして表面硬度化フィルムを得た。結果を表2に示す。
【0107】実施例10 基材フィルムとして、実施例1で得られた積層PETフ
ィルムを粉砕しペレット化したものを、ポリエチレンテ
レフタレートに30重量%添加し、溶融押し出しした以
外は、実施例1と同様にして表面硬度化フィルムを得
た。塗剤としては実施例1で用いたものと同様のものを
用いた。結果を表2に示す。
【0108】実施例11 実施例1の積層PETフィルム上に、ペンタエリスリト
ールトリアクリレート60重量部、2,2’−ビス(4
−アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン10重量
部、N−ビニルピロリドン30重量部、1−ヒドロキシ
シクロヘキシルフェニルケトン4重量部、トルエン90
重量部、酢酸ブチル70重量部、イソプロピルアルコー
ル70重量部を撹拌混合して得られた組成物を、バーコ
ータを用いて硬化後の膜厚が3μmになるように均一に
塗布した。これを80℃で20秒間乾燥させた。これを
窒素雰囲気下で紫外線照射した以外は実施例1と同様に
して表面硬度化フィルムを得た。結果を表2に示す。
【0109】実施例12 実施例1の積層PETフィルム上に、ジペンタエリスリ
トールヘキサアクリレート70重量部、N−ビニルピロ
リドン30重量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェ
ニルケトン5重量部、シリカ粉末(デグサ社製、OK4
12、平均粒子径4μm)3重量部、ブタノール70重
量部、トルエン80重量部を撹拌混合した組成物を、バ
ーコータを用いて硬化後の膜厚が3μmになるように均
一に塗布した。これを80℃で30秒間乾燥させた後、
実施例1と同様にして表面硬度化フィルムを得た。結果
を表2に示す。
【0110】比較例3 実施例1において、積層膜及び表面硬度化層いずれも設
けていないポリエステルフィルムの結果を表2に示す。
【0111】比較例4 実施例1において、表面硬度化層を設けない積層ポリエ
ステルフィルムの結果を表2に示す。
【0112】比較例5 実施例1において、積層膜を設けず、表面硬度化層を設
けた表面硬度化フィルムを得た。結果を表2に示す。
【0113】
【表1】
【表2】
【0114】
【発明の効果】本発明によって作成される表面硬度化フ
ィルムは、基材ポリエステルフィルムに特定の積層膜を
介して表面硬度化層を設ける。このようにして得られる
表面硬度化フィルムは、表面硬度が高く、耐摩耗性に優
れると同時に、表面硬度化層の耐久性にも優れる。従っ
て、タッチパネル、ガラスや金属板に貼合わせるディス
プレイ用、ラベル、シール、OHP用、カード、宅配便
伝票、プリンタ用受像紙など広範な用途に用いることが
できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08J 7/04 CFD C08J 7/04 CFDL C08K 5/3492 C08K 5/3492 C08L 67/02 KJZ C08L 67/02 KJZ // B29K 33:00 67:00 B29L 9:00

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステルフィルムの少なくとも片面
    に設けられた積層膜(A)を介して表面硬度化層(B)
    が設けられた積層体において、該積層膜(A)がポリエ
    ステル樹脂とメラミン系架橋剤を主たる構成成分とし、
    該ポリエステル樹脂が側鎖にカルボン酸及び/又はその
    塩を有することを特徴とする表面硬度化フィルム。
  2. 【請求項2】 表面硬度化層(B)が、1分子中に3個
    以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する単量体の
    少なくとも1種と、1分子中に1〜2個のエチレン性不
    飽和二重結合を有する単量体の少なくとも1種とからな
    る活性線硬化性単量体混合物を主たる構成成分とする活
    性線硬化物であることを特徴とする請求項1に記載の表
    面硬度化フィルム。
  3. 【請求項3】 積層膜(A)において、ポリエステル樹
    脂100重量部に対し、メラミン系架橋剤を0.5〜4
    0重量部添加することを特徴とする請求項1または請求
    項2に記載の表面硬度化フィルム。
  4. 【請求項4】 ポリエステルフィルムがポリエチレンテ
    レフタレートフィルム又はポリエチレン−2,6−ナフ
    タレートフィルムであることを特徴とする請求項1〜請
    求項3のいずれかに記載の表面硬度化フィルム。
  5. 【請求項5】 積層膜(A)を設けるに際し、結晶配向
    が完了する前のポリエステルフィルムの少なくとも片面
    に積層膜形成塗剤を塗布後、少なくとも一方向に延伸、
    熱処理を施し、結晶配向を完了させることによって得ら
    れることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに
    記載の表面硬度化フィルム。
  6. 【請求項6】 ポリエステルフィルムが、ポリエステル
    樹脂、メラミン系架橋剤、あるいはこれらの反応生成物
    の少なくとも1種を、5ppm以上20重量%未満含有
    した組成物からなることを特徴とする請求項1〜請求項
    5のいずれかに記載の表面硬度化フィルム。
  7. 【請求項7】 積層膜中のポリエステル樹脂が、スルホ
    ン酸塩基を含有しないことを特徴とする請求項1〜請求
    項6のいずれかに記載の表面硬度化フィルム。
  8. 【請求項8】 積層膜を形成するポリエステル樹脂のガ
    ラス転移点が40℃以下であることを特徴とする請求項
    1〜請求項7のいずれかに記載の表面硬度化フィルム。
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JP2009184238A (ja) * 2008-02-06 2009-08-20 Mitsubishi Plastics Inc 光学用積層ポリエステルフィルム

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