JP2014065787A - 活性エネルギー線硬化性組成物及び硬化物 - Google Patents
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Abstract
Description
従って食品パッケージ用のインクとして活性エネルギー線硬化性のインクジェットインクを使用する場合は、前述の、吐出安定性を悪化させずに硬化皮膜に十分な可とう性や基材に対する接着性を付与する性能の他、硬化塗膜の臭気も小さいことが求められる。
本発明においては、一般式(1)で表される重合性化合物を必須成分として使用する。前記一般式(1)において、R1は水素原子又はメチル基を表し、R2は炭素原子数2〜20の有機残基を表し、R3は水素原子又は炭素原子数1〜11の有機残基を表す。
R2は具体的には、炭素原子数2〜20の直鎖状、分枝状又は環状のアルキレン基、構造中にエーテル結合及び/又はエステル結合により酸素原子を有する炭素原子数2〜20のアルキレン基、炭素原子数6〜11の置換されていてもよい芳香族等を表す。中でも、炭素原子数2〜6のアルキレン基、構造中にエーテル結合により酸素原子を有する炭素原子数2〜9のアルキレン基が好ましい。
またR3で示される炭素原子数1〜11の有機残基の具体例としては、炭素原子数1〜10の直鎖状、分枝状又は環状のアルキル基、炭素原子数6〜11の置換されてもよい芳香族基等を表す。中でも炭素原子数1〜2のアルキル基、炭素原子数6〜8の芳香族基が好ましい。
本発明においては、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルと、前記一般式(2)で表される光重合開始剤を併用することが特徴である。
R4、R5 およびR6 における炭素原子数1〜6のアルキル基とは、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンテニル基、ヘキシル基等があげられる。これらは直鎖状でも分岐していても構わない。
また、R8における炭素原子数1〜4のアルキル基とは、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基 等があげられる。これらは直鎖状でも分岐していても構わない。
R9、R10およびR11における炭素原子数1〜6のアルキル基は、前記R4、R5 およびR6 と同様の基があげられる。
また、R12 における炭素原子数1〜4のアルキル基は、前記R8と同様の基があげられる。
また前記一般式(2)で表される光重合開始剤の市販品としては、例えば、SHUANG−BANG INDUTRIAL CORPORATION社製の「SB−PI705」や、日本化薬株式会社製の「KAYACURE BMS」、Lamberti社製の「ESACURE1001M」等があげられる。
本発明においては、前記(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルと前記一般式(1)で表される光重合開始剤を併用すること以外は特に限定なく、本発明の効果を損なわない範囲で公知の重合性化合物や公知の光重合開始剤を併用することができる。
例えば、重合性化合物のうち、重合性モノマーと称される低分子モノマーとしては、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル類;2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;ブトキシエチルアクリレート、メトキシブチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート類;ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート類;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル(メタ)アクリレート類;
これらの中でも、トリプロピレングリコールジアクリレートを併用すると、組成物の粘度を上昇させること無く、可とう性を損なうことなく、反応性を向上させることができ、臭気をさらに低減させることができ好ましい。
また、一般式(2)で表される化合物以外の光重合開始剤としては、ラジカル重合型の光重合開始剤の使用が好ましい。具体的には、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジル、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド等が好適に用いられ、さらにこれら以外の分子開裂型のものとして、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オンおよび2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン等を併用しても良いし、さらに水素引き抜き型光重合開始剤である、ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、イソフタルフェノン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン等も併用できる。
これらの市販品としては、例えば、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルユニットを複数持った分子量1000以上の高分子増感剤のLAMBSON社製 Speedcure 7040やRahn社製GENOPOL AB−1等を使用することができる。
これらの光重合開始剤や増感剤は、本発明の効果を損なわない範囲において、適宜使用することが好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、その他、所望する用途に応じて適宜添加剤を加えることができる。例えば保存安定性を高める目的で、ハイドロキノン、メトキノン、ジ−t−ブチルハイドロキノン、P−メトキシフェノール、ブチルヒドロキシトルエン、ニトロソアミン塩等の重合禁止剤または、その他フェノール系、リン系、硫黄系の酸化防止剤をインク中に0.01〜2質量%の範囲で添加しても良い。
また、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物を塗料やインク用途として使用する場合には、着色剤を使用してもよい。使用する着色剤としては染料、顔料のいずれであってもよいが、印刷物の耐久性の点から顔料を使用することが好ましい。またこれらの着色剤を加える場合は、必要に応じて公知慣用の分散剤を使用することが好ましい。
その他、本発明の効果を損なわない範囲で、汎用の有機溶剤、界面活性剤、レベリング添加剤、マット剤、皮膜形成性樹脂としてポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類を添加することが出来る。
例えば食品包装用のプラスチックとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、ポリエチレンフィルム(LLDPE:低密度ポリエチレンフィルム、HDPE:高密度ポリエチレンフィルム)やポリプロピレンフィルム(CPP:無延伸ポリプロピレンフィルム、OPP:二軸延伸ポリプロピレンフィルム)等のポリオレフィンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム等が挙げられる。これらは延伸処理を施してあってもよい。延伸処理方法としては、押出成膜法等で樹脂を溶融押出してシート状にした後、同時二軸延伸あるいは逐次二軸延伸を行うことが一般的である。また逐次二軸延伸の場合は、はじめに縦延伸処理を行い、次に横延伸を行うことが一般的である。具体的にはロール間の速度差を利用した縦延伸とテンターを用いた横延伸を組み合わせる方法が多く用いられる。
VEEA(アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、(株)日本触媒 製)
DPGDA(ジプロピレングリコールジアクリレート、ダイセル・サイテック(株)製)
ビスコートV−190(エチルカルビトールアクリレート、大阪有機化学工業(株)製)
Esacure1001M(1−[4−(4−ベンゾイルフェニルスルファニル)フェニル]−2−メチル−2−(4−メチルフェニルスルホニル)プロパン−1−オン、分子量514、Lamberti社 製)
SB−PI705(4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、分子量304、SHUN−BANG INDUSTRIAL社 製、)
Chemcure−JETX(2,4−ジエチルチオキサントン、分子量268、CHEMBRIGE INTERNATIONAL社 製)
Irgacure907(2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−(4−モルフォルニル)−1−プロパノン、分子量279、BASF 社製)
Irgacure184(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、分子量204、BASF社 製)
GenopolAB−1(高分子量型p−ジメチルアミノ安息香酸エチル誘導体、Rahn社 製)
実施例及び比較例中の組成物の光重合開始剤の配合量に関しては、以下の通り決定した。
Esacure1001M、SB−PI705、Chemcure−JETXに関しては、各々の分子量を基準とし、光重合開始剤分子中のカルボニル基の濃度が0.05mmol/gとなるように設定した。即ち1つのカルボニル基から生じるラジカルの発生量を統一した。
また、分子開裂型開始剤であるIrgacure907、Irgacure184は1モルの分子から2モルのラジカルが発生するものと推定し、該ラジカル発生量が0.05mmol/gとなるように配合量を決定した。
容器中に表1および表2に記載の重合性化合物及び光重合開始剤を配合し、撹拌子を入れてマグネティックスターラーで室温にて10分間攪拌した。その後、60℃のオーブンで10分間加熱した後、再び室温にて15分撹拌した。光重合開始剤が溶け残った場合は、上記の操作を再度行い、光重合開始剤を完全に溶解させた。得られた活性エネルギー線硬化性組成物を室温になるまで放置した。
内径が65mmの円形のガラス製シャーレに実施例及び比較例で作成した活性エネルギー線硬化性組成物を1g滴下した。ガラス表面全体に該組成物が広がるように容器をゆっくりと回転させた。次に、GSユアサ製UV照射装置(4kW(160W)×1灯 (メタルハライドランプ、ランプ出力80W/cm、コンベアスピード16.5m/min)を使用して、ガラス製シャーレ中の該組成物に合計700mJ/cm2の紫外線を照射した。照射後、できた硬化物をガラス製のシャーレから剥がし、評価を行った。得られた硬化物の平均膜厚は700μmであった。
比較例1の組成の塗膜は表面に膜が生じたものの、内部は液状で、ガラス製シャーレから取り出すことが出来なかった。
前記硬化物の作成で得た硬化物は、以下の評価項目に従い評価を行った。
硬化収縮:以下の基準で5段階評価を行った。
5:硬化途中に割れることがなく、塗膜の表面にしわも寄らず、全く反りも生じない。
4:硬化途中に割れることがなく、塗膜の表面の数箇所にルーペで拡大すると見えるくらいの小さなしわがある。
3:硬化途中に割れることがないが、塗膜の表面にしわが生じ、透明性が失われる。
2:硬化途中に割れることはないが、塗膜の表面に顕著なしわが生じ、塗膜が反る
1:硬化初期で瞬時に表面にしわが生じ、硬化中に反りの為、割れが生じる
5:塗膜を180度折り曲げても、塗膜が割れない。
4:塗膜を90度折り曲げても、塗膜が割れない。
3:ガラスシャーレから塗膜を剥がせるが、90度折り曲げる途中で塗膜が割れる。
2:ガラスシャーレから塗膜を剥がす途中で塗膜が割れる。
1:硬化している最中に塗膜が割れる。
硬化塗膜の臭気:硬化塗膜をガラス瓶に入れ、密栓をし、60℃のオーブンで1時間加熱した後、容器を室温で1時間放置した後、蓋をあけた直後に官能試験で5段階評価を行った。
数字の大きい方が、臭気の少ないことを示している。
結果を表1,2、に示す。
比較例3〜5は、光重合開始剤として前記一般式(2)で表される光重合開始剤を使用しない例であるが、特に可とう性が得られなかった。
Claims (4)
- 一般式(1)で表される重合性化合物、及び一般式(2)で表される光重合開始剤を含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化性組成物。
(式(1)中、R1は水素原子又はメチル基を表し、R2は炭素原子数2〜20の有機残基を表し、R3は水素原子又は炭素原子数1〜11の有機残基を表す。)
(式(2)中、R4、R5 およびR6 はそれぞれ独立して水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6ののアルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、フェニル基、ニトロ基、−SCH3、−O−CO−R8、−CO−O−R8または−CO−R8(ここでR8は炭素原子数1〜4のアルキル基を表す)を表し、R7は炭素原子数1〜10のアルキル基、または一般式(3)で表される基を表す。)
- 前記一般式(1)で表される重合性化合物が(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルである請求項1に記載の活性エネルギー線硬化組成物。
- 前記一般式(1)で表される重合性化合物を重合性化合物全量に対し10〜100質量%含有する請求項1または2に記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させた硬化物。
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