JP2014065787A - 活性エネルギー線硬化性組成物及び硬化物 - Google Patents

活性エネルギー線硬化性組成物及び硬化物 Download PDF

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Abstract

【課題】重合性オリゴマーを使用しなくとも、硬化収縮が殆どなく可とう性に優れ、低臭気な塗膜を付与することができる活性エネルギー線硬化性組成物を提供する。
【解決手段】一般式(1)で表される重合性化合物、及び一般式(2)で表される光重合開始剤を含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化性組成物。
Figure 2014065787

Figure 2014065787

Figure 2014065787

【選択図】なし

Description

本発明は、重合性オリゴマーを使用しなくとも、硬化収縮が殆どなく可とう性に優れる皮膜を与え、活性エネルギー線硬化性組成物及び該組成物の硬化物に関する。
従来より、重合性化合物を活性エネルギー線で硬化させる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は様々な分野で広く使用されている。例えば塗装分野においては、木工塗料、各種建材、高光沢印刷物、光沢紙、印画紙、ベースコート、プラスチックハードコート、光ファイバーコーティング等、印刷分野においては、各種プラスチック製品、紙幣等の平版インキ、グラビアインキ、フレキソインキ、スクリーンインキ、インクジェットインキ、接着用途としては、各種ラミネート、接着フィルム、光学記録ディスク等に用いられている。また電子工学分野においては、プリント基板、磁気テープ、磁気ディスク、半導体封止材、液晶セル用接着剤等、光成型としては立体模型の成型等に用いられている。
通常、このように使用される活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、可とう性や基材に対する接着性等、硬化皮膜の主性能を付与する重合性オリゴマーをベースレジンとして、反応性希釈剤である重合性モノマーで希釈し、必要に応じて光重合性開始剤、各種添加剤等を配合した組成物が一般的である。一方で、ヘッドからの吐出により印字を行うインクジェットインキは、ヘッドからの吐出性を安定化させる為、例えば粘度を2〜30mPasの範囲で設計することが多い。その為、粘度の高い重合性オリゴマーの組成物中の比率は非常に低くなることが一般的であり、重合性オリゴマーにより十分な可とう性や基材に対する接着性等を硬化皮膜に付与することは困難である。従って、活性エネルギー線硬化性組成物をインクジェットインキに使用する場合は、吐出安定性を悪化させずに硬化皮膜に十分な可とう性や基材に対する接着性を付与できるよう、低粘度で、反応性が低く硬化収縮の小さい単官能モノマーの配合比率を大きくする必要がある。例えば、反応性成分中の単官能モノマーの比率を80%以上にして設計することが多い。
一方近年、食品パッケージ用途では、このような活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化塗膜中に残存するモノマー、光重合開始剤などの低分子量成分やそれらから発生する臭気が、食品保護用のプラスチックフィルムを透過して食品へ移行する現象が問題視されている。例えばヨーロッパでは現在、一部の反応性モノマーや光重合開始剤の食品への移行量を規定する法律や使用禁止物質を定めた独自規制が存在する。この移行現象を抑制する為、多官能モノマーを使用し活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の反応性を高めて、低分子量の反応性モノマーや光重合開始剤をできる限り塗膜中に架橋させることや、分子量の高い光重合開始剤を使用し、食品保護フィルムからの透過量を抑制することが必要となる。
従って食品パッケージ用のインクとして活性エネルギー線硬化性のインクジェットインクを使用する場合は、前述の、吐出安定性を悪化させずに硬化皮膜に十分な可とう性や基材に対する接着性を付与する性能の他、硬化塗膜の臭気も小さいことが求められる。
反応性の高い多官能モノマーとして、ラジカル重合性及びカチオン重合性を併せ持つビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステルが知られており(例えば特許文献1参照)、該モノマーを使用した活性エネルギー線硬化型インクジェットインクや(例えば特許文献2、3参照)、プラスチック基板の被覆材として適用できること(例えば特許文献4参照)が知られている。
ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステルはビニルエーテル基を有するために酸素の影響を受けにくく硬化性に優れる。またプラスチックのような密着性の低い基材であっても密着性に優れる。しかしながら、重合時の硬化収縮率が比較的高いため、低粘度化を目的とした重合性オリゴマーを添加しない系では硬化収縮によりそり等が生じることがあった。また重合性オリゴマーを添加しない系は、可とう性にも劣る傾向にある。
特開2002−201161号公報 特開2004−067991号公報 特開2008−280383号公報 特開2004−277570 号公報
本発明の課題は、重合性オリゴマーを使用しなくとも、硬化収縮が殆どなく可とう性に優れ、低臭気な塗膜を付与することができる活性エネルギー線硬化性組成物を提供することにある。
本発明者らは、光重合性化合物として(メタ)アクリロイル基とビニルエーテル基とを有する重合性化合物を使用し、特定の光重合開始剤とを併用することで、上記課題を解決した。
即ち本発明は、一般式(1)で表される重合性化合物、及び一般式(2)で表される光重合開始剤を含有する活性エネルギー線硬化性組成物を提供する。
Figure 2014065787
(式(1)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rは炭素原子数2〜20の有機残基を表し、Rは水素原子又は炭素原子数1〜11の有機残基を表す。)
Figure 2014065787
(式(2)中、R、R およびR はそれぞれ独立して水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6ののアルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、フェニル基、ニトロ基、−SCH、−O−CO−R8、−CO−O−R8または−CO−R8(ここでR8は炭素原子数1〜4のアルキル基を表す)を表し、R7は炭素原子数1〜10のアルキル基、または一般式(3)で表される基を表す。)
Figure 2014065787
(式(3)中、R9、R10およびR11はそれぞれ独立して水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、フェニル基、ニトロ基、−SCH、−O−CO−R12 、−CO−O−R12または−CO−R12(ここでR12 は炭素原子数1〜4のアルキル基を表す)を表す。)
また本発明は、前記記載の活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させた硬化物を提供する。
本発明により、重合性オリゴマーを使用しなくとも、硬化収縮が殆どなく可とう性に優れる皮膜を有する硬化物を与える活性エネルギー線硬化性組成物を得ることができる。
(一般式(1)で表される重合性化合物)
本発明においては、一般式(1)で表される重合性化合物を必須成分として使用する。前記一般式(1)において、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rは炭素原子数2〜20の有機残基を表し、Rは水素原子又は炭素原子数1〜11の有機残基を表す。
は具体的には、炭素原子数2〜20の直鎖状、分枝状又は環状のアルキレン基、構造中にエーテル結合及び/又はエステル結合により酸素原子を有する炭素原子数2〜20のアルキレン基、炭素原子数6〜11の置換されていてもよい芳香族等を表す。中でも、炭素原子数2〜6のアルキレン基、構造中にエーテル結合により酸素原子を有する炭素原子数2〜9のアルキレン基が好ましい。
またRで示される炭素原子数1〜11の有機残基の具体例としては、炭素原子数1〜10の直鎖状、分枝状又は環状のアルキル基、炭素原子数6〜11の置換されてもよい芳香族基等を表す。中でも炭素原子数1〜2のアルキル基、炭素原子数6〜8の芳香族基が好ましい。
中でも、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルを使用することが好ましい。(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルの市販品としては、株式会社日本触媒製のVEEA、VEEM等があげられる。
(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルは、重合性化合物全量に対し10〜100質量%含有することが好ましく、より好ましくは15〜100質量%の範囲である。10質量%未満では硬化塗膜の脆性が強くなるおそれがあり、十分な可とう性が得られないおそれがある。
(一般式(2)で表される光重合開始剤)
本発明においては、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルと、前記一般式(2)で表される光重合開始剤を併用することが特徴である。
前記式(2)中、R、R およびR はそれぞれ独立して水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6ののアルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、フェニル基、ニトロ基、−SCH、−O−CO−R8、−CO−O−R8または−CO−R8(ここでR8は炭素原子数1〜4のアルキル基を表す。)
4、R5 およびR6 における炭素原子数1〜6のアルキル基とは、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンテニル基、ヘキシル基等があげられる。これらは直鎖状でも分岐していても構わない。
また、R4、R5 およびR6 における炭素原子数1〜6のアルコキシ基とは、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブチロキシ基、ペンチロキシ基、ヘキシロキシ基があげられる。これらは直鎖状でも分岐していても構わない。
また、R8における炭素原子数1〜4のアルキル基とは、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基 等があげられる。これらは直鎖状でも分岐していても構わない。
また、R7における炭素原子数1〜10のアルキル基は、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基があげられる。これらは直鎖状でも分岐していても構わない。
前記一般式(3)中、R9、R10およびR11はそれぞれ独立して水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、フェニル基、ニトロ基、−SCH、−SCH、−O−CO−R12 、−CO−O−R12または−CO−R12(ここでR12 は炭素原子数1〜4のアルキル基を表す)を表す。
9、R10およびR11における炭素原子数1〜6のアルキル基は、前記R4、R5 およびR6 と同様の基があげられる。
また、R12 における炭素原子数1〜4のアルキル基は、前記R8と同様の基があげられる。
前記一般式(2)で表される光重合開始剤は、活性エネルギー線硬化性組成物の全固形分に対し0.5〜7質量%含有することが好ましく、より好ましくは0.5〜5質量%の範囲である。0.5%質量未満では十分な硬化性能が得られないおそれがあり、一方7質量%を超える量では、光重合開始剤が常温において析出し、インクジェットヘッドの吐出口を閉塞させたり、組成物の反応性が低下したりする可能性がある。
前記一般式(2)で表される光重合開始剤は、具体的には、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイドや、1−[4−(4−ベンゾイルフェニルスルファニル)フェニル]−2−メチル−2−(4−メチルフェニルスルホニル)プロパン−1−オン等があげられる。
また前記一般式(2)で表される光重合開始剤の市販品としては、例えば、SHUANG−BANG INDUTRIAL CORPORATION社製の「SB−PI705」や、日本化薬株式会社製の「KAYACURE BMS」、Lamberti社製の「ESACURE1001M」等があげられる。
(他の重合性化合物)
本発明においては、前記(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルと前記一般式(1)で表される光重合開始剤を併用すること以外は特に限定なく、本発明の効果を損なわない範囲で公知の重合性化合物や公知の光重合開始剤を併用することができる。
例えば、重合性化合物のうち、重合性モノマーと称される低分子モノマーとしては、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル類;2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;ブトキシエチルアクリレート、メトキシブチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート類;ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート類;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル(メタ)アクリレート類;
ベンジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルフォスフェート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類;ジアセトン(メタ)アクリルアミド、アクリロイルモルホリン等の(メタ)アクリルアミド類;クロトン酸メチル、ケイ皮酸メチル、イタコン酸ジメチル、マレイン酸ジメチル、フマル酸ジメチル等の不飽和カルボン酸エステル類;(メタ)アクリロニトリル、クロトン酸ニトリル、マレイン酸ジニトリル等の不飽和ニトリル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル類;エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル類およびシクロアルキルビニルエーテル類;2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル等の水酸基含有ビニルエーテル類;2−ヒドロキシエチルアリルエーテル、4−ヒドロキシブチルアリルエーテル等の水酸基含有アリルエーテル類;N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルアセトアミド等のN−ビニルラクタム類およびN−ビニルアルキルアミド類等があげられる。
多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、3−メチル1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類;トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリヒドロキシエチルトリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート類;
イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート等のイソシアヌレートのポリ(メタ)アクリレート類;トリシクロデカンジイルジメチルジ(メタ)アクリレート等のシクロアルカンのポリ(メタ)アクリレート類;ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸から得られる(メタ)アクリレート等のビスフェノールAの(メタ)アクリレート誘導体;トリエチレングリコールジビニルエーテル等のアルキレングリコールのジビニルエーテル類等である。これらは2種類以上併用して用いることができる。
これらの中でも、トリプロピレングリコールジアクリレートを併用すると、組成物の粘度を上昇させること無く、可とう性を損なうことなく、反応性を向上させることができ、臭気をさらに低減させることができ好ましい。
また、低粘度を所望されない用途においては、分子量の高い(メタ)アクリレートオリゴマー等の重合性オリゴマーを使用することもできる。重合性オリゴマーとしては、ポリウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリアクリル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールポリ(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート等が挙げられ、2種類以上併用して用いることができる。
(他の光重合開始剤)
また、一般式(2)で表される化合物以外の光重合開始剤としては、ラジカル重合型の光重合開始剤の使用が好ましい。具体的には、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジル、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド等が好適に用いられ、さらにこれら以外の分子開裂型のものとして、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オンおよび2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン等を併用しても良いし、さらに水素引き抜き型光重合開始剤である、ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、イソフタルフェノン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン等も併用できる。
特に光源としてLEDを使用する場合には、LEDの発光ピーク波長を加味して光重合開始剤を選択することが好ましい。例えばUV−LEDを使用する場合に適した光重合開始剤としては、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン)、ビス(2、4、6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン等が挙げられる。
また上記光重合開始剤に対し、増感剤として例えば、トリメチルアミン、メチルジメタノールアミン、トリエタノールアミン、p−ジエチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、N,N−ジメチルベンジルアミンおよび4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等の低分子の増感剤や、前記低分子の増感剤を高分子量化させた増感剤等、前述重合性成分と付加反応を起こさないアミン類を併用することもできる。
これらの市販品としては、例えば、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルユニットを複数持った分子量1000以上の高分子増感剤のLAMBSON社製 Speedcure 7040やRahn社製GENOPOL AB−1等を使用することができる。
これらの光重合開始剤や増感剤は、本発明の効果を損なわない範囲において、適宜使用することが好ましい。
これらの中でも、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルユニットを複数持った分子量1000以上の高分子増感剤を併用すると、塗膜臭気を低減できる為、本発明の効果を更に得ることができ好ましい。
(その他の添加剤 重合禁止剤)
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、その他、所望する用途に応じて適宜添加剤を加えることができる。例えば保存安定性を高める目的で、ハイドロキノン、メトキノン、ジ−t−ブチルハイドロキノン、P−メトキシフェノール、ブチルヒドロキシトルエン、ニトロソアミン塩等の重合禁止剤または、その他フェノール系、リン系、硫黄系の酸化防止剤をインク中に0.01〜2質量%の範囲で添加しても良い。
(その他の添加剤 着色剤)
また、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物を塗料やインク用途として使用する場合には、着色剤を使用してもよい。使用する着色剤としては染料、顔料のいずれであってもよいが、印刷物の耐久性の点から顔料を使用することが好ましい。またこれらの着色剤を加える場合は、必要に応じて公知慣用の分散剤を使用することが好ましい。
本発明で使用する染料としては、直接染料、酸性染料、食用染料、塩基性染料、反応性染料、分散染料、建染染料、可溶性建染染料、反応分散染料、など通常インクジェット記録に使用される各種染料が挙げられる。
本発明で使用する顔料としては、無機顔料あるいは有機顔料を使用することができる。無機顔料としては、酸化チタンや酸化鉄、あるいはコンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。また、有機顔料としては、アゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などを含む)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用することができる。
(その他の添加剤)
その他、本発明の効果を損なわない範囲で、汎用の有機溶剤、界面活性剤、レベリング添加剤、マット剤、皮膜形成性樹脂としてポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類を添加することが出来る。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、活性エネルギー線、好ましくは紫外線等の光照射をすることにより硬化反応を行う。紫外線等の光源としては、通常UV硬化性インクジェットインキに使用する光源、例えばメタルハライドランプ、キセノンランプ、カーボンアーク灯、ケミカルランプ、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ等であれば問題なく硬化させることができる。例えばFusion System社製のHランプ、Dランプ、Vランプ等の市販されているものを用いて行うことができる。また感度がよいことから、UV−LEDや、紫外線発光半導体レーザ等の紫外線発光半導体素子により硬化が可能である。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルを重合性化合物として使用するのでプラスチックへの接着性に優れる。
例えば食品包装用のプラスチックとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、ポリエチレンフィルム(LLDPE:低密度ポリエチレンフィルム、HDPE:高密度ポリエチレンフィルム)やポリプロピレンフィルム(CPP:無延伸ポリプロピレンフィルム、OPP:二軸延伸ポリプロピレンフィルム)等のポリオレフィンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム等が挙げられる。これらは延伸処理を施してあってもよい。延伸処理方法としては、押出成膜法等で樹脂を溶融押出してシート状にした後、同時二軸延伸あるいは逐次二軸延伸を行うことが一般的である。また逐次二軸延伸の場合は、はじめに縦延伸処理を行い、次に横延伸を行うことが一般的である。具体的にはロール間の速度差を利用した縦延伸とテンターを用いた横延伸を組み合わせる方法が多く用いられる。
また前記食品包装用のプラスチックを包装材として使用する際は、前記プラスチックの積層体からなる複合フィルムが主に使用される。具体的には例えば、最外層をPET、OPP、ポリアミドから選ばれた熱可塑性樹脂フィルムを使用し、最内層を無延伸ポリプロピレン(以下CPPと略す)、低密度ポリエチレンフィルム(以下LLDPEと略す)から選ばれる熱可塑性樹脂フィルムを使用した2層からなる複合フィルム、あるいは、例えばPET、ポリアミド、OPPから選ばれた最外層を形成する熱可塑性樹脂フィルムと、OPP、PET、ポリアミドから選ばれた中間層を形成する熱可塑性樹脂フィルム、CPP、LLDPEから選ばれた最内層を形成する熱可塑性樹脂フィルムを使用した3層からなる複合フィルム、さらに、例えばOPP、PET、ポリアミドから選ばれた最外層を形成する熱可塑性樹脂フィルムと、PET、ナイロンから選ばれた第1中間層を形成する熱可塑製フィルムとPET、ポリアミドから選ばれた第2中間層を形成する熱可塑製フィルム、LLDPE、CPPから選ばれた最内層を形成する熱可塑性樹脂フィルムを使用した4層からなる複合フィルム等が食品包装材として好ましく使用されるが、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、このような複合化フィルムであっても、透過性が低いので好ましく使用できる。
例えば、食品包装用のラミネート用接着剤、コーティング塗料、印刷用のグラビアインキやインクジェット記録用インク等として、好ましく使用することができる。
以下、実施例により、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は、下記実施例に何ら制限されるものではない。なお、以下実施例中にあるg、%は質量換算である。
実施例および比較例のインク組成物を作成するにあたり、使用した素材は、下記に示す通りである。
〔重合性化合物〕
VEEA(アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、(株)日本触媒 製)
DPGDA(ジプロピレングリコールジアクリレート、ダイセル・サイテック(株)製)
ビスコートV−190(エチルカルビトールアクリレート、大阪有機化学工業(株)製)
〔光重合開始剤〕
Esacure1001M(1−[4−(4−ベンゾイルフェニルスルファニル)フェニル]−2−メチル−2−(4−メチルフェニルスルホニル)プロパン−1−オン、分子量514、Lamberti社 製)
SB−PI705(4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、分子量304、SHUN−BANG INDUSTRIAL社 製、)
Chemcure−JETX(2,4−ジエチルチオキサントン、分子量268、CHEMBRIGE INTERNATIONAL社 製)
Irgacure907(2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−(4−モルフォルニル)−1−プロパノン、分子量279、BASF 社製)
Irgacure184(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、分子量204、BASF社 製)
GenopolAB−1(高分子量型p−ジメチルアミノ安息香酸エチル誘導体、Rahn社 製)
〔実施例および比較例の光重合開始剤量の決定〕
実施例及び比較例中の組成物の光重合開始剤の配合量に関しては、以下の通り決定した。
Esacure1001M、SB−PI705、Chemcure−JETXに関しては、各々の分子量を基準とし、光重合開始剤分子中のカルボニル基の濃度が0.05mmol/gとなるように設定した。即ち1つのカルボニル基から生じるラジカルの発生量を統一した。
また、分子開裂型開始剤であるIrgacure907、Irgacure184は1モルの分子から2モルのラジカルが発生するものと推定し、該ラジカル発生量が0.05mmol/gとなるように配合量を決定した。
〔実施例および比較例の活性エネルギー線硬化性組成物の調整〕
容器中に表1および表2に記載の重合性化合物及び光重合開始剤を配合し、撹拌子を入れてマグネティックスターラーで室温にて10分間攪拌した。その後、60℃のオーブンで10分間加熱した後、再び室温にて15分撹拌した。光重合開始剤が溶け残った場合は、上記の操作を再度行い、光重合開始剤を完全に溶解させた。得られた活性エネルギー線硬化性組成物を室温になるまで放置した。
〔硬化物の作成〕
内径が65mmの円形のガラス製シャーレに実施例及び比較例で作成した活性エネルギー線硬化性組成物を1g滴下した。ガラス表面全体に該組成物が広がるように容器をゆっくりと回転させた。次に、GSユアサ製UV照射装置(4kW(160W)×1灯 (メタルハライドランプ、ランプ出力80W/cm、コンベアスピード16.5m/min)を使用して、ガラス製シャーレ中の該組成物に合計700mJ/cm2の紫外線を照射した。照射後、できた硬化物をガラス製のシャーレから剥がし、評価を行った。得られた硬化物の平均膜厚は700μmであった。
比較例1の組成の塗膜は表面に膜が生じたものの、内部は液状で、ガラス製シャーレから取り出すことが出来なかった。
〔評価方法〕
前記硬化物の作成で得た硬化物は、以下の評価項目に従い評価を行った。
硬化収縮:以下の基準で5段階評価を行った。
5:硬化途中に割れることがなく、塗膜の表面にしわも寄らず、全く反りも生じない。
4:硬化途中に割れることがなく、塗膜の表面の数箇所にルーペで拡大すると見えるくらいの小さなしわがある。
3:硬化途中に割れることがないが、塗膜の表面にしわが生じ、透明性が失われる。
2:硬化途中に割れることはないが、塗膜の表面に顕著なしわが生じ、塗膜が反る
1:硬化初期で瞬時に表面にしわが生じ、硬化中に反りの為、割れが生じる
可とう性:JIS A 6909を参考にし、直径6mmの鉄芯を塗膜に押し当て、塗膜を以下の基準で5段階評価を行った。
5:塗膜を180度折り曲げても、塗膜が割れない。
4:塗膜を90度折り曲げても、塗膜が割れない。
3:ガラスシャーレから塗膜を剥がせるが、90度折り曲げる途中で塗膜が割れる。
2:ガラスシャーレから塗膜を剥がす途中で塗膜が割れる。
1:硬化している最中に塗膜が割れる。
硬化塗膜の臭気:硬化塗膜をガラス瓶に入れ、密栓をし、60℃のオーブンで1時間加熱した後、容器を室温で1時間放置した後、蓋をあけた直後に官能試験で5段階評価を行った。
数字の大きい方が、臭気の少ないことを示している。
結果を表1,2、に示す。
Figure 2014065787


Figure 2014065787
この結果、実施例1〜5の活性エネルギー線硬化性組成物は、いずれの評価結果も良好であった。比較例1は(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルを使用しない例であるが、硬化させることができなかった。
比較例3〜5は、光重合開始剤として前記一般式(2)で表される光重合開始剤を使用しない例であるが、特に可とう性が得られなかった。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は粘度の低いインクジェットインキ用の組成物として使用できることは勿論、様々な分野、例えば塗装分野においては、木工塗料、各種建材、高光沢印刷物、光沢紙、印画紙、ベースコート、プラスチックハードコート、光ファイバーコーティング等、印刷分野においては、各種プラスチック製品、紙幣等の平版インキ、グラビアインキ、フレキソインキ、スクリーンインキ、インクジェットインキ、接着用途としては、各種ラミネート、接着フィルム、光学記録ディスク等に用いられている。また電子工学分野においては、プリント基板、磁気テープ、磁気ディスク、半導体封止材、液晶セル用接着剤等、光成型としては立体模型の成型等に使用することができる。また酸素の影響を受けにくく硬化性に優れ、プラスチックのような密着性の低い基材に対しても密着性に優れるビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステルを使用するので、食品パッケージ用の各種組成物、例えば食品包装用のラミネート用接着剤、コーティング塗料、印刷用のグラビアインキやインクジェット記録用インク等として、好ましく使用することができる。

Claims (4)

  1. 一般式(1)で表される重合性化合物、及び一般式(2)で表される光重合開始剤を含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化性組成物。
    Figure 2014065787


    (式(1)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rは炭素原子数2〜20の有機残基を表し、Rは水素原子又は炭素原子数1〜11の有機残基を表す。)
    Figure 2014065787

    (式(2)中、R、R およびR はそれぞれ独立して水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6ののアルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、フェニル基、ニトロ基、−SCH、−O−CO−R8、−CO−O−R8または−CO−R8(ここでR8は炭素原子数1〜4のアルキル基を表す)を表し、R7は炭素原子数1〜10のアルキル基、または一般式(3)で表される基を表す。)
    Figure 2014065787
    (式(3)中、R9、R10およびR11はそれぞれ独立して水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、フェニル基、ニトロ基、−SCH、−O−CO−R12 、−CO−O−R12または−CO−R12(ここでR12 は炭素原子数1〜4のアルキル基を表す)を表す。)
  2. 前記一般式(1)で表される重合性化合物が(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルである請求項1に記載の活性エネルギー線硬化組成物。
  3. 前記一般式(1)で表される重合性化合物を重合性化合物全量に対し10〜100質量%含有する請求項1または2に記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させた硬化物。
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