JP2021066500A - 電子レンジ加熱用の蓋付容器 - Google Patents

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和佳子 仙頭
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Abstract

【課題】蓋材が剥離蒸通する確実性を高め得る電子レンジ加熱用の蓋付容器を提供する。【解決手段】プラスチック製の容器本体と、前記容器本体を封止する蓋材とを備えた蓋付容器であって、前記容器本体のフランジの平均厚み(T1)と、前記容器本体のフランジ以外の箇所の平均厚み(T2)とが、T2<T1であり、前記蓋材は、基材層、発熱印刷層及びシーラント層を有し、前記蓋付容器は、前記フランジと前記シーラント層とがヒートシールされてなるヒートシール領域により封止されてなり、前記蓋付容器を平面視した際に、前記発熱印刷層を下記領域1A及び領域2Aに有する。<領域1A>前記ヒートシール領域の外周縁の周方向の一部から前記フランジの内周縁の周方向の一部を結ぶ領域。<領域2A>前記領域1Aから連続する領域であって、前記フランジの内周縁より内側の領域。【選択図】図1

Description

本発明は、電子レンジ加熱用の蓋付容器に関する。
食品等の内容物を収納したまま電子レンジで加熱調理することができる電子レンジ加熱用封止容器が市販されている。これらの電子レンジ加熱用封止容器は、電子レンジを用いて加熱調理すると、容器内の内圧が高まり、容器が変形したり破裂したりするために、これを防止するための種々の提案がなされている(例えば特許文献1)。
特許文献1の包装容器は、内シール部及び外シール部を設け、内シール部と外シール部との間に非シール部が設けてなるものであり、さらに、内シール部の一部には内側に突出するV字状の突出部を形成し、外シール部の一部には外気と非シール部とを連通させる蒸通部を形成してなるものである。
特許文献1の構成の包装容器を電子レンジで加熱すると、加熱によって本体部内で蒸気が発生して内圧が上昇する。このとき、封止フィルムのフランジ部上の剥離領域が同心円状に広がり易く、突出部上の封止フィルムには径方向及び周方向から剥離する力が加わる。これにより、突出部が他の部分より早く剥離し、蒸気が蒸通部を介して排気される。従って、内圧上昇に伴う包装容器の破裂による内容物の飛散を防止することができる。
しかしながら、特許文献1の包装容器によると、内シール部及び外シール部の形状に合わせてシールヘッドの形状を変える必要があり、包装容器のコストが大きくなる問題がある。
かかる問題を解決するものとして、特許文献2の包装容器が提案されている。
特開平10-236542号公報 特開2018-193119号公報
特許文献2の包装容器は、封止フィルム(蓋材)の基材層と熱接着層との間に導電性高分子を含むインキを配した印刷部と、インキが配されない非印刷部とを設けてなるものであり、包装容器の面内の印刷部を有する箇所において、熱接着層の軟化による封止フィルムの剥離又は封止フィルムの貫通を生じさせることにより、蒸通孔を形成し、蒸気を排出するものである。
しかし、特許文献2の包装容器の封止フィルムを剥離させる実施形態では、電子レンジにより加熱する際に、前記印刷部を有する箇所において封止フィルムが剥離しないケースが頻発した。かかるケースが生じた場合、容器本体を構成するプラスチックの薄膜部分が変形するおそれがある。また、容器本体が紙製の場合にはプラスチック製の容器本体のように熱変形は生じないが、紙製の容器本体の蓄熱量が増してしまい、容器本体が手で持てなくなるほど熱くなったり、容器本体に部分的に焦げが生じたりするおそれがある。また、容器本体がプラスチック及び紙の何れの場合でも、印刷部を有する箇所において封止フィルムが剥離しないケースにおいては、容器の内圧が高まり、内容物が爆発的に突出するおそれがあった。
また、特許文献2の包装容器の封止フィルムを貫通させる実施形態では、封止フィルムの成分が被包装材に混入するおそれがある。
本発明は、蓋材が部分的に剥離して蒸通する確実性を高め得る電子レンジ加熱用の蓋付容器を提供することを目的とする。
本発明は、以下の[1]〜[2]を提供するものである。
[1]開口部にフランジを有し、内容物を収容するプラスチック製の容器本体と、前記容器本体を封止する蓋材とを備えた蓋付容器であって、
前記容器本体のフランジの平均厚みをT1、前記容器本体のフランジ以外の箇所の平均厚みをT2と定義した際に、T2<T1の関係であり、
前記蓋材は、基材層及びシーラント層を有するとともに、前記基材層と前記シーラント層との間の一部又は前記基材層の前記シーラント層とは反対側の一部に発熱印刷層を有し、
前記蓋付容器は、前記フランジの少なくとも一部と前記シーラント層とがヒートシールされてなるヒートシール領域により封止されてなり、
前記蓋付容器を平面視した際に、前記発熱印刷層を下記領域1A及び領域2Aに有する、電子レンジ加熱用の蓋付容器。
<領域1A>
前記ヒートシール領域の外周縁の周方向の一部から前記フランジの内周縁の周方向の一部を結ぶ領域。
<領域2A>
前記領域1Aから連続する領域であって、前記フランジの内周縁より内側の領域。
[2]開口部にフランジを有し、内容物を収容する紙製の容器本体と、前記容器本体を封止する蓋材とを備えた蓋付容器であって、
前記容器本体の紙の坪量が150〜400g/mであり、
前記蓋材は、基材層及びシーラント層を有するとともに、前記基材層と前記シーラント層との間の一部又は前記基材層の前記シーラント層とは反対側の一部に発熱印刷層を有し、
前記蓋付容器は、前記フランジの少なくとも一部と前記シーラント層とがヒートシールされてなるヒートシール領域により封止されてなり、
前記蓋付容器を平面視した際に、前記発熱印刷層を下記領域1B及び領域2Bに有する、電子レンジ加熱用の蓋付容器。
<領域1B>
前記ヒートシール領域の外周縁の周方向の一部から前記フランジの内周縁の周方向の一部を結ぶ領域。
<領域2B>
前記領域1Bから連続する領域であって、前記フランジの内周縁より内側の領域。
本発明の電子レンジ加熱用の蓋付容器は、蓋材が部分的に剥離して蒸通する確実性を高めることができる。
本発明の電子レンジ加熱用の蓋付容器の一実施形態を示す断面図である。 本発明の電子レンジ加熱用の蓋付容器のヒートシール領域及び発熱印刷層の配置の一実施形態を説明する平面図である。 本発明の電子レンジ加熱用の蓋付容器のヒートシール領域及び発熱印刷層の配置の一実施形態を説明する平面図である。 本発明の電子レンジ加熱用の蓋付容器を構成する蓋材の一実施形態を示す断面図である。 本発明の電子レンジ加熱用の蓋付容器を構成する蓋材の一実施形態を示す断面図である。 本発明の電子レンジ加熱用の蓋付容器の一実施形態を示す斜視図である。 図6のI−I’線断面図である。 本発明の電子レンジ加熱用の蓋付容器のヒートシール領域及び発熱印刷層の配置の一実施形態を説明する平面図である。 本発明の電子レンジ加熱用の蓋付容器のヒートシール領域及び発熱印刷層の配置の一実施形態を説明する平面図である。 本発明の電子レンジ加熱用の蓋付容器のヒートシール領域及び発熱印刷層の配置の一実施形態を説明する平面図である。 本発明の電子レンジ加熱用の蓋付容器のヒートシール領域及び発熱印刷層の配置の一実施形態を説明する平面図である。 図10の部分拡大図である。
以下、本発明の電子レンジ加熱用の蓋付容器について詳細に説明する。なお、本明細書中の「AA〜BB」との数値範囲の表記は、「AA以上BB以下」であることを意味する。
[実施形態A]
まず、実施形態Aの電子レンジ加熱用の蓋付容器の実施形態を説明する。
本発明の実施形態Aの電子レンジ加熱用の蓋付容器は、開口部にフランジを有し、内容物を収容するプラスチック製の容器本体と、前記容器本体を封止する蓋材とを備えた蓋付容器であって、前記容器本体のフランジの平均厚みをT1、前記容器本体のフランジ以外の箇所の平均厚みをT2と定義した際に、T2<T1の関係であり、前記蓋材は、基材層及びシーラント層を有するとともに、前記基材層と前記シーラント層との間の一部又は前記基材層の前記シーラント層とは反対側の一部に発熱印刷層を有し、前記蓋付容器は、前記フランジの少なくとも一部と前記シーラント層とがヒートシールされてなるヒートシール領域により封止されてなり、前記蓋付容器を平面視した際に、前記発熱印刷層を下記領域1A及び領域2Aに有するものである。
<領域1A>
前記ヒートシール領域の外周縁の周方向の一部から前記フランジの内周縁の周方向の一部を結ぶ領域。
<領域2A>
前記領域1Aから連続する領域であって、前記フランジの内周縁より内側の領域。
図1は、本発明の実施形態Aの電子レンジ加熱用の蓋付容器の実施形態を示す断面図である。
図1の電子レンジ加熱用の蓋付容器100は、容器本体10と、容器本体を封止する蓋材20とを備えている。また、容器本体10は、上面に開口部11を備え、開口部11の外周縁にフランジ12を有している。また、図1に示すように、開口部11は、フランジとシーラント層とがヒートシールされてなるヒートシール領域Hにより封止されている。図1の符号26aは、発熱印刷層を有する領域を示している。図1の「N」は食品等の内容物を示す。
図2及び図3は、本発明の実施形態Aの電子レンジ加熱用の蓋付容器のヒートシール領域及び発熱印刷層の配置の実施形態を示す平面図である。
図2及び図3では、発熱印刷層を有する領域を符号26aで示している。図2及び図3の電子レンジ加熱用の蓋付容器は、発熱印刷層を、ヒートシール領域の外周縁H2の周方向の一部からフランジの内周縁12aの周方向の一部を結ぶ領域(領域1A)、及び、領域1Aから連続する領域であってフランジの内周縁12aより内側の領域(領域2A)に有している。また、図3の電子レンジ加熱用の蓋付容器100は、発熱印刷層を、領域1Aから連続する領域であって、ヒートシール領域の外周縁H2からフランジの外周縁12bまでの領域(領域3A)に有している。
《容器本体》
容器本体は開口部にフランジを有し、プラスチック製のものである。また、容器本体は、フランジの平均厚みをT1、容器本体のフランジ以外の箇所の平均厚みをT2と定義した際に、T2<T1の関係である。
プラスチック製の容器は、例えば、シート状のプラスチックフィルムを真空成形又は圧空成形したり、熱可塑性プラスチックを射出成型したりすることなどにより製造することができる。このように製造されたプラスチック製の容器は、フランジの平均厚み(T1)よりも、容器本体のフランジ以外の箇所の平均厚み(T2)が薄くなる場合がある。また、電子レンジで加熱した際に、内容物の熱が伝わりやすいのは容器本体のフランジ以外の箇所である。したがって、T2<T1の関係のプラスチック製の容器は、電子レンジで加熱した際の熱で容器本体のフランジ以外の箇所が変形しやすい傾向がある。
本発明の実施形態Aでは、発熱印刷層を領域1及び領域2に有するように構成したことにより、蓋材が剥離蒸通する確実性を高め、容器内の圧力及び温度が過度に上昇することを抑制することによって、T2<T1の関係を有するプラスチック製の容器の変形を抑制することを可能としている。
フランジの平均厚み(T1)はフランジの任意の10箇所から算出するものとする。また、容器本体のフランジ以外の箇所の平均厚み(T2)は、容器本体のフランジ以外の任意の10箇所から算出するものとする。但し、プラスチック製の容器の角部は肉厚になる場合が多いため、T2は角部を除外して算出することが好ましい。また、厚みを測定する箇所は、蓋付容器を平面視した際の発熱印刷層の外から内への延伸方向であるD1に沿った箇所から選択することが好ましい(発熱印刷層の延伸方向であるD1は図2及び図3参照)。
なお、本明細書において、発熱印刷層の延伸方向D1は、例えば、発熱印刷層の外縁を構成する線の中点と、発熱印刷層の内縁を構成する線の中点とを結んだ方向として算出できる。
容器本体を構成するプラスチックとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリエチレンテレフタレート等が挙げられる。これらの中でも、内容物に含まれる油に対する耐油性及び耐熱性の観点からポリプロピレンが好適である。なお、容器本体を構成するプラスチックは単層であってもよいし多層であってもよい。
ポリプロピレンとしては、高結晶性のプロピレン単独重合体が挙げられ、さらには、プロピレンと、エチレン、ブテン−1、ペンテン−1、3−メチルブテン−1、4−メチルペンテン−1等のαーオレフィンとのランダム共重合体等が挙げられる。これらの中でも高結晶性のプロピレン単独重合体が好ましい。
容器本体をプラスチックから形成する場合には、例えば、真空成形、圧空成形、射出形成、ブロー成形、押し出し成形、カレンダー成形、キャスト成形等の成形方法で形成することができる。その際、容器本体の隠蔽性を高めるため、成形材料中に、熱可塑性樹脂に加えて顔料を添加してもよい。
容器本体のフランジの平均厚み(T1)、及び、容器本体のフランジ以外の箇所の平均厚み(T2)の絶対値は、容器に求める強度及び容器の製造方法等により異なるため一概にはいえないが、通常、フランジの平均厚み(T1)は0.4〜4mm程度であり、容器本体のフランジ以外の箇所の平均厚み(T2)は0.1〜2mm程度である。
本発明の実施形態Aでは、T2が0.1〜0.5mm程度の薄い場合に、より効果を際立たせることができる点で好ましい。また、本発明の実施形態Aでは、T1−T2が0.1mm以上の場合に、より効果を際立たせることができる点で好ましい。T1−T2の上限は2mm程度である。
容器本体10は、上面に開口部11を備えるものである。また、容器本体10は、開口部11の外周縁にフランジ12を備えるものである。
容器本体10の形状は、上記形状を備えるものであればよく、それ以上の形状は限定されない。例えば、図2及び図3の容器本体は、平面視形状が略四角形であるが、円形及び楕円形であってもよい。また、図1の容器本体は、底部よりも開口部が大きくなっているが、底部及び開口部の大きさは略同一であってもよいし、底部よりも開口部の方が小さくてもよい。また、図1の容器本体は底部がフラットであるが、容器本体は脚部を有するものであってもよい。また、図1の容器本体のフランジはフラットであるが、フランジの形状は環状であってもよい。
なお、内容物が液状の場合、フラットテーブル式の電子レンジでは領域2Aのマイクロ波の吸収効率が低下する場合がある。このため、内容物が液状の場合において本発明の実施形態Aの効果をより発揮しやすくする観点からは、容器本体は、底部よりも開口部が大きいことが好ましい。
容器本体10の深さは特に限定されないが、10〜200mm程度であり、好ましくは10〜100mmである。
フランジの幅は、封止性及びイージーピール性の観点から、2〜15mm程度が好ましい。
フランジは、容器本体の中央に向かって突出してなる突出部を有していてもよい。フランジの一部に突出部を有することにより、電子レンジでの加熱時に、封止容器の内圧に基づく負荷をヒートシール領域の突出部に対応する箇所に集中させ、該箇所を剥離蒸通して内圧を逃がしやすくすることができる。但し、フランジが突出部を有する場合にはシールヘッドの形状を変える必要があること、本発明の実施形態Aの包装容器はフランジの一部に突出部を有さなくても蓋材が部分的に剥離蒸通し得ることを考慮すると、フランジは突出部を有さないことが好ましい。
《蓋材》
蓋材は、基材層及びシーラント層を有するとともに、基材層とシーラント層との間の一部又は基材層の前記シーラント層とは反対側の一部に発熱印刷層を有するように構成される。
シーラント層は、基材層よりも内層側(基材層よりも容器本体に近い側)に配置される。
図4〜図5は、蓋材20の実施の形態を示す断面図である。
図4〜図5の蓋材20は、基材層21及びシーラント層25を有し、基材層21とシーラント層25との間の一部に発熱印刷層26を有している。また、図4〜図5の蓋材20は、絵柄層23を有している。
−基材層−
基材層は、プラスチックフィルム及び紙基材から選ばれる1種以上が好ましい。
プラスチックフィルムはガスバリア性が比較的良好であり、紙基材はデッドホールド性(折り曲げ及びひねり等の変形を受けた状態を維持できる性質)が比較的良好である点で好ましい。
なお、基材層が紙基材を含む場合、該紙基材が電子レンジのマイクロ波を吸収する。このため、本発明の実施形態Aの効果をより発揮しやすくする観点から、基材層は紙基材を含まないことが好ましい。一方、蓋材に貫通孔が生じることを抑制しやすくする観点では、蓋材の基材層は紙基材を含むことが好ましい。なお、紙基材を用いる場合、マイクロ波の吸収効率の観点から、紙基材よりも外層側に発熱印刷層を形成することが好ましい。
基材層21は、図4〜図5のように単層のみでもよいが、2以上のプラスチックフィルム及び/又は紙基材を接着してなる多層構造のものでもよい。また、基材層が2以上のプラスチックフィルム及び/又は紙基材を含む場合、同一種のものを複数含んでもよいし、異なる種類のものを含んでもよい。
基材層のプラスチックフィルムとしては、耐熱性の観点から、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム、ナイロン等のポリアミドフィルム等の1種以上を用いることが好ましい。なお、ナイロンは突き刺し強度に優れるため、固形の内容物を充填する際や、容器を積み上げる際に蓋材が破れることを抑制しやすい点で好ましい。
また、基材層として、耐熱性に優れるポリエステルフィルム及びポリアミドフィルムの少なくとも何れかを用いる場合には、単独では耐熱性が不十分なプラスチックフィルムを併用することもできる。例えば、ポリエステルフィルム及びポリアミドフィルムの少なくとも何れかと、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂フィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム等のガスバリア性に優れるプラスチックフィルムを併用することにより、積層体全体としての耐熱性及びガスバリア性を良好にすることができる。
プラスチックフィルムは、一軸延伸又は二軸延伸されたものであってもよい。また、プラスチックフィルムは、インフレーション法、あるいは、溶融押し出しコーティング法で形成したものであってもよい。
プラスチックフィルムの厚みは特に限定されるものではないが、通常は5〜50μm程度であり、好ましくは10〜40μm、より好ましくは12〜25μmである。
紙基材の坪量は特に限定されるものではないが、通常は20〜200g/m2程度であり、好ましくは50〜170g/m、より好ましくは70〜150g/mである。
プラスチックフィルムは、JIS K7361−1:1997の全光線透過率が85%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。また、プラスチックフィルムは、JISK7136:2000のヘイズが1.0%以下であることが好ましく、0.5%以下であることがより好ましく、0.3%以下であることがさらに好ましい。
全光線透過率及びヘイズを上記範囲とすることにより、絵柄層をプラスチックフィルムの内層側に形成する場合において、絵柄の視認性を良好にしやすくできる。
−シーラント層−
シーラント層25は、シールヘッド等で部分的に加熱されることにより、フランジ12の少なくとも一部に密着してヒートシール領域Hを形成し、容器本体の開口部を封止する役割を有する。
シーラント層25は、シール層の単層でもよいが、コア層とシール層との積層体で構成することが好ましい。コア層は基材層と接触し、シール層はフランジと接触する。
(コア層)
コア層は、シール層の支持体としての役割を果たす。更に、コア層は、基材層及びシール層各々との密着が良好であるため、電子レンジ加熱後に容器を開封する際に、フランジとシール層との間で剥離を生じさせることができる。
シール層との密着性の観点から、コア層はポリプロピレン系樹脂であることが好ましい。ポリプロピレン系樹脂としては、ポリプロピレンホモポリマ、プロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体などが挙げられる。特に、耐衝撃性及び剛性のバランスに優れるプロピレン−エチレンブロック共重合体であることが好ましい。プロピレン−エチレンブロック共重合体における、プロピレン成分とエチレン成分との割合は、質量割合で60:40〜90:10であることが好ましく、70:30〜85:15であることがより好ましい。
プロピレン−エチレンブロック共重合体は、プロピレン−エチレンランダム共重合体に比べ剛性及び軟化点が高い。このため、プロピレン−エチレンランダム共重合体に比べて、電子レンジ加熱後に蓋材を容器から剥離する際に、適度な剛性を保持することができ、ヒートシール領域におけるシール層及びフランジとの界面に引き剥がしの力が伝わりやすい。すなわち、コア層としてプロピレン−エチレンブロック共重合体を用いることにより、剥離性を良好にしやすくでき、更に剥離面の美観が良好であるとの効果も奏することができる。特に、後述するようにシール層にオレフィン系エラストマーが含まれる場合は、電子レンジ加熱によりシール層が軟化しているため、剛性の高いコア層としてプロピレン−エチレンブロック共重合体を用いることにより、引き剥がしの力を伝えやすくすることができる。
(シール層)
シール層は、シールヘッド等で部分的に加熱されることにより、フランジの少なくとも一部に密着してヒートシール領域を形成する。このため、シール層は、ヒートシール性を有する熱可塑性樹脂から構成することが好ましい。
また、シール層は、容器本体から容易に剥離し得るイージーピール性を有することが好ましい。なお、本明細書において「イージーピール性が良好」とは、単にピール強度が弱いことを意味せず、封止性を担保する程度の接着力を有しつつ、剥離時のピール強度が強すぎることがないことを意味する。
シール層は、フランジを構成する樹脂との密着性が良好な第1の樹脂と、フランジを構成する樹脂との密着性が良好ではなく、前記第1の樹脂と非相溶である第2の樹脂とを混合することにより形成することが好ましい。
このような樹脂はフランジを構成する樹脂の種類によって異なるため一概には言えないが、フランジを構成する樹脂がポリプロピレン樹脂の場合、第1の樹脂としてポリプロピレンを用い、第2の樹脂として、ポリエチレン及びオレフィン系エラストマーから選ばれる一種以上を用いることが好ましい。すなわち、フランジを構成する樹脂がポリプロピレンの場合、シール層は、第1の樹脂であるポリプロピレンと、第2の樹脂であるポリエチレン及びオレフィン系エラストマーから選ばれる一種以上との混合樹脂から形成することが好ましい。第2の樹脂は透明性の観点からポリエチレンを含むことが好ましく、電子レンジ加熱後の耐衝撃性及び耐突き刺し性の観点からオレフィン系エラストマーを更に含むことが特に好ましい。
第1の樹脂であるポリプロピレン(A)としては、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体が挙げられる。これらの中でも、耐衝撃性に優れるプロピレン−エチレンブロック共重合体が好ましい。
プロピレン−エチレンランダム共重合体における、プロピレン成分とエチレン成分との割合は、質量割合で60:40〜99:1であることが好ましく、70:30〜98:2であることがより好ましい。
プロピレン−エチレンブロック共重合体は、原料であるプロピレン及びエチレンを触媒の存在下で重合する方法が挙げられる。触媒としては、チーグラー・ナッタ触媒、メタロセン触媒が挙げられる。
第2の樹脂(B)は、ポリエチレン(B1)及びオレフィン系エラストマー(B2)から選ばれる1種以上を用いることができる。
ポリエチレン(B1)としては、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)が挙げられる。ポリエチレンとしては、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を用いることが好ましく、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)及び高密度ポリエチレン(HDPE)を用いることがより好ましい。
低密度ポリエチレンは、密度が0.910〜0.925g/cmのポリエチレンである。中密度ポリエチレンは、密度が0.926〜0.940g/cmのポリエチレンである。高密度ポリエチレンは、密度が0.941〜0.965g/cmのポリエチレンである。
低密度ポリエチレンは、例えば、1000気圧以上且つ2000気圧未満の高圧でエチレンを重合することにより得られる。中密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレンは、例えば、1気圧以上且つ1000気圧未満の中圧又は低圧でエチレンを重合することにより得られる。
直鎖状低密度ポリエチレンは、中圧又は低圧でエチレンを重合することによって得られる直鎖状ポリマーにα−オレフィンを共重合させて短鎖分岐を導入することによって得られる。α−オレフィンの例としては、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチルペンテン、1−オクテン等が挙げられる。
直鎖状低密度ポリエチレンは、密度が0.915〜0.945g/cmであることが好ましい。
中密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレンは、エチレンとα−オレフィンとの共重合体を部分的に含んでいてもよい。また、中圧又は低圧でエチレンを重合する場合であっても、エチレンとα−オレフィンとの共重合体を含む場合は、中密度又は低密度のポリエチレンが生成され得る。このようなポリエチレンが、上述の直鎖状低密度ポリエチレンと称される。
オレフィン系エラストマー(B2)としては、水添スチレン系エラストマー、エチレン−α−オレフィンエラストマーが挙げられる。
水添スチレン系エラストマーは、少なくとも1個のビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックAと、少なくとも1個の水素添加された共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBとからなる構造を有する。
エチレン−α−オレフィンエラストマーは、主成分としてのエチレンと、α−オレフィンとのランダム共重合体であることが好ましく、例えば、エチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレン−ブテンランダム共重合体、エチレン−プロピレン−ブテンランダム共重合体等が挙げられる。
シール層がオレフィン系エラストマー(B2)を含むことにより、コア層との密着性を良好にしやすい点で好ましい。また、シール層がオレフィン系エラストマー(B2)を含むことにより、蓋材の耐突き刺し性及び耐衝撃性を向上させやすい点で好ましい。
シール層にオレフィン系エラストマー(B2)が含まれていると、電子レンジ加熱された際にシール層が軟化しやすくなる。なお、電子レンジ加熱によりシール層が軟化して、剥離の際に粘着感が生じたり、糸状に延伸するなどの美観を損ねたりしないようにするために、シール層中のオレフィン系エラストマーの含有量は2〜10質量%であることが好ましい。例えば、シール層がポリプロピレン(A)、ポリエチレン(B1)及びオレフィン系エラストマー(B2)を含む場合、各成分の割合は、「ポリプロピレン(A)≧ポリエチレン(B1)≧オレフィン系エラストマー(B2)(質量%)」の関係を満たすことが好ましい。具体的に、シール層は、ポリプロピレン(A):50〜80質量%、ポリエチレン(B1):10〜40質量%、オレフィン系エラストマー(B2):2〜10質量%であることが好ましい。
第1の樹脂であるポリプロピレン(A)と、第2の樹脂(B)とは相溶性が低い。このため、ポリプロピレン(A)と第2の樹脂(B)とは、シール層内において、ポリプロピレン(A)の海の中に第2の樹脂(B)が島状に配置された構成となりやすい。このように、ポリプロピレン(A)及び第2の樹脂(B)が海島構造を取ることにより、初期密着性を担保しつつ、剥離蒸通性及びイージーピール性を付与し得る剥離強度を調整しやすくできる。
シール層の厚みは、1〜10μmであることが好ましく、1〜8μmであることがより好ましい。コア層の厚みは、20〜90μmであることが好ましく、25〜90μmであることがより好ましい。また、シーラント層の厚み(シール層及びコア層の合計厚み)は、20〜100μmであることが好ましく、30〜50μmであることがより好ましい。シーラント層の厚みに対するコア層の厚みは、0.5〜20%であることがより好ましい。
シーラント層は、例えば、上述したシール層を構成する樹脂を混合し、コア層を構成する樹脂とともに共押出しにより形成することができる。あるいは、上述した樹脂を混合し、コア層となるフィルム上に溶融押し出しすることにより形成することができる。なお、ヒートシール時の収縮を抑制するため、得られたシーラント層は延伸処理しないことが好ましい。
−発熱印刷層−
発熱印刷層は、基材層とシーラント層との間の一部又は基材層のシーラント層とは反対側の一部に形成される。
シーラント層に対して効果的に熱を伝える観点からは、発熱印刷層は、基材層とシーラント層との間の一部に形成することが好ましい。
発熱印刷層は、マイクロ波を吸収して発熱する層であり、マイクロ波を吸収する材料を含む。実施形態A及び後述する実施形態Bの蓋付容器は、発熱印刷層を特定の領域に形成しているため、電子レンジで加熱した際に、蓋付容器のヒートシール領域の一部が発熱印刷層に生じた熱により剥離し、蒸通させることができる。かかる蒸通を「自動蒸通」と称する場合がある。
マイクロ波を吸収する材料としては、導電性粒子及び導電性高分子が挙げられる。これらの中でも導電性高分子は、可視光の透過性が良好である点、マイクロ波によりスパークを生じにくい点で好適である。
導電性粒子としては、カーボンブラック、銀、アルミニウム及びITO(酸化インジウム錫)等が挙げられる。
導電性高分子としては、ポリチオフェン類、ポリピロール類、ポリアニリン類、ポリアセチレン類、ポリフェニレン類、ポリフェニレンビニレン類、ポリアセン類及びポリチオフェンビニレン類から選ばれる1種以上の化合物が好ましい。また、導電性高分子を用いる場合、さらにドーパントを含むことがより好ましい。
ドーパントとしては、ハロゲン類、ルイス酸、プロトン酸、有機カルボン酸、遷移金属ハロゲン化物、電解質アニオン、有機シアノ化合物、キノン類、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アミノ酸、核酸、界面活性剤、色素、アルキルアンモニウムイオン及び四級ホスホニウム塩が挙げられる。
導電剤として導電性粒子を用いる場合、発熱印刷層はバインダー樹脂を含むことが好ましい。また、導電剤として導電性高分子を用いる場合も、導電性の調整のために、他の樹脂を含有してもよい。
導電性粒子とともに用いるバインダー樹脂、及び、導電性高分子とともに用いる樹脂としては、ポリエチレン系樹脂や塩素化ポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン系樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、フッ化ビニリデン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、アルキッド系樹脂、エポキシ系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、熱硬化型ポリ(メタ)アクリル系樹脂、メラミン系樹脂、尿素系樹脂、ポリウレタン系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン系樹脂、マレイン酸樹脂、ニトロセルロースやエチルセルロース、アセチルブチルセルロース、エチルオキシエチルセルロース等の繊維素系樹脂、塩化ゴムや環化ゴム等のゴム系樹脂、石油系樹脂、ロジン、カゼイン等の天然樹脂等が挙げられる。
発熱印刷層は、さらに、必要に応じて、例えば、充填剤、安定剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の光安定剤、分散剤、増粘剤、乾燥剤、滑剤及び架橋剤等の任意の添加剤を添加することができる。
発熱印刷層の面積は、1cm以上であることが好ましく、1〜12cmであることがより好ましく、3〜8cmであることがさらに好ましい。
発熱印刷層の面積を1cm以上とすることにより、蓋材が剥離する必要最低限の発熱量を付与しやすくすることができる。また、発熱印刷層の面積を12cm以下とすることにより、剥離蒸通する面積が過剰となり、内容物の調理度合いに支障をきたすことを抑制できる。
発熱印刷層の厚みは、0.1〜5μmであることが好ましく、0.2〜3μmであることがより好ましい。
発熱印刷層の厚みを0.1μm以上とすることにより、蓋材が剥離する必要最低限の発熱量を付与しやすくすることができる。また、発熱印刷層の厚みを5μm以下とすることにより、発熱印刷層が必要以上に高温となることを抑制し、蓋材が変形したり、蓋材に貫通孔が生したりすることを抑制しやすくできる。
発熱印刷層の長さは、5〜60mmであることが好ましく、10〜40mmであることがより好ましい。本明細書において、「発熱印刷層の長さ」とは、フランジの周回方向における発熱印刷層の長さを意味する。
発熱印刷層の長さを5mm以上とすることにより、蒸気を外部に排出しやすくすることができる。また、発熱印刷層の長さを60mm以下とすることにより、蒸気が過度に外部に排出されることを抑制し、内容物の調理に支障をきたすことを抑制しやすくできる。
蓋付き容器を平面視した際の発熱印刷層の形状は特に制限されず、図2及び図3に示すように略正方形又は略長方形であってもよいし、台形であってもよいし、それ以外の形状であってもよい。なお、平面視形状が台形の場合、内側及び外側の何れの辺が長くてもよいが、内側の辺が長い台形が好ましい(図11参照)。
蓋付き容器を平面視した際の、外側の発熱印刷層の長さをL1、内側の発熱印刷層の長さをL2と定義した際に、L1≠L2であることが好ましい。L1≠L2とすることにより、蒸通後に外部に放出される蒸気量を適切にコントロールすることができる。
また、L1≠L2とする場合、L1>L2の関係であってもよいが、L1<L2の関係であることが好ましい。容器内の内圧は同心円状に伝わるため、L1<L2の関係を満たすことにより、より蓋材を剥離しやすくできる。
また、L1<L2の関係を満たす発熱印刷層は、外側から内側に向けて長さが連続的に減少する関係を満たすことがより好ましい。図11の発熱印刷層は内側の辺が長く、当該関係を満たしている。
L1/L2は、0.30〜0.90であることが好ましく、0.50〜0.80であることがより好ましく、0.60〜0.70であることがさらに好ましい。
L1及びL2は、上述した発熱印刷層の長さ(5〜60mm)の範囲で調整することが好ましい。
発熱印刷層は、例えば、発熱印刷層を構成する材料を含む発熱印刷層形成用インキを、基材層又は中間基材層上に塗布、乾燥することにより形成できる。
蓋付容器を平面視した際の発熱印刷層の外から内への延伸方向であるD1と、フランジの内周縁の接線に直交する方向であるD2とは略平行であることが好ましい。
D1とD2とを略平行とすることにより、蓋材を剥離蒸通しやすくできる。なお、略平行とは、D1とD2との成す角が5度以下であることを意味し、好ましくは3度以下、より好ましくは2度以下、さらに好ましくは1度以下である。
蓋材の面内において発熱印刷層を有する領域を発熱領域と定義する。さらに、蓋材の中心点をX、前記発熱領域の外周縁を構成する線の中点をYと定義する。この際に、蓋材は下記条件(1)を満たすことが好ましい。
<条件1>
前記発熱印刷層のXY方向の抵抗値<前記発熱印刷層のXY方向と直交する方向の抵抗値
条件1の方向の基準となる「蓋材の面内のXY方向」は、剥離蒸通の理想的な方向を意味している。
条件1は、発熱印刷層のXY方向の抵抗値が、発熱印刷層のXY方向と直交する方向の抵抗値よりも小さいことを規定している。詳細な原因は不明であるが、発熱印刷層のXY方向の抵抗値が、発熱印刷層のXY方向と直交する方向の抵抗値よりも小さくすることにより、より剥離蒸通しやすくできる。
発熱印刷層は、基材層等の支持体を流れ方向(MD方向)に搬送しながら、支持体上に発熱印刷層形成用インキを塗布し、乾燥することにより形成することができる。このように支持体上に発熱印刷層形成用インキを塗布した場合、当該インキ中に含まれる導電性成分は流れ方向(MD方向)に配向する。このため、流れ方向(MD方向)の抵抗値が低くなる一方で、幅方向(TD方向)の抵抗値は高くなり、抵抗値の異方性が生じると考えられる。
したがって、MD方向に導電性成分が配向することを考慮して、発熱インキ層のパターンの形状及び打ち抜き方向を決定することにより、条件1を満たす蓋材を得ることができる。
なお、本明細書において、発熱印刷層の抵抗値は、定電流(直流電流60A)、測定間距離5mmで2端子法で測定したものである。測定装置としては、例えば、共立電気計器社製の商品名「KEW MATE MODEL 2000A」が挙げられる。
また、本明細書において、抵抗値等の各種の測定は、特に断りのない限り、温度23℃±5℃、湿度40〜65%の雰囲気で実施するものとする。また、各測定の前に、前記雰囲気に測定サンプルを30分以上晒すものとする。
発熱印刷層のXY方向と直交する方向の抵抗値に対する発熱印刷層のXY方向の抵抗値の比(発熱印刷層のXY方向の抵抗値/発熱印刷層のXY方向と直交する方向の抵抗値)は0.70〜0.95であることが好ましく、0.80〜0.93であることがより好ましい。
発熱印刷層のXY方向の抵抗値は1.5kΩ以上100kΩ以下であることが好ましく、1.7kΩ以上50kΩ以下であることがより好ましく、2.0kΩ以上30kΩ以下であることがさらに好ましく、2.5kΩ以上15kΩ以下であることがよりさらに好ましい。
当該抵抗値を1.5kΩ以上とすることにより、発熱印刷層が過度に発熱することを抑制し、蓋材に貫通孔が生じるなどの不具合を抑制しやすくできる。また、当該抵抗値を100kΩ以下とすることにより、発熱印刷層が適度に発熱して剥離蒸通しやすくできる。
本発明の実施形態Aの蓋付容器は、蓋付容器を平面視した際に、発熱印刷層を下記領域1A及び領域2Aに有することを要する。
<領域1A>
前記ヒートシール領域の外周縁の周方向の一部から前記フランジの内周縁の周方向の一部を結ぶ領域。
<領域2A>
前記領域1Aから連続する領域であって、前記フランジの内周縁より内側の領域。
発熱印刷層により蓋付き容器を剥離蒸通するためには、剥離蒸通したい箇所のヒートシール領域に対応する領域のみに発熱印刷層を形成すればよいと考えられる。しかし、ヒートシール領域に対応する領域のみに発熱印刷層を形成した場合、発熱印刷層を有する箇所において蓋材が剥離蒸通せず、T2<T1の関係のプラスチック製の容器の変形を抑制できない場合があった。
本発明の実施形態Aの蓋付容器は、蓋付容器を平面視した際に、発熱印刷層を領域1A及び領域2Aに有することにより、発熱印刷層を有する箇所において蓋材が剥離蒸通する確実性を高め、T2<T1の関係のプラスチック製の容器の変形を抑制することを可能としている。
領域1Aに発熱印刷層を有することは、ヒートシール領域の内周縁H1がフランジの内周縁12aに達しない場合であっても、ヒートシール領域の外周縁H2からフランジの内周縁12aまで発熱印刷層を有することを意味している。
図2及び図3では、発熱印刷層を有する領域26aのうち符号W1で示す領域が、領域1Aに相当する。
このように、領域1Aがフランジの内周縁12aまで達していることにより、剥離蒸通の確実性を高める第1のきっかけを付与することができる。
しかし、領域1Aに発熱印刷層を有していても、発熱印刷層の面積を確保しにくいため、剥離蒸通の確実性を十分に高めることはできない。発熱印刷層の長さを長くすれば面積は確保しやすいが、その場合、剥離蒸通後に容器本体内部の圧力が一気に外に放出されてしまい、適切な調理ができなくなる。このため、領域2Aに発熱印刷層を有することが重要となる。
領域2Aは領域1Aから連続する領域であって、フランジの内周縁12aより内側の領域である。図2及び図3では、発熱印刷層を有する領域26aのうち符号W2で示す領域が、領域2Aに相当する。
領域2Aは領域1Aから連続していることが必要である。領域1Aと領域2Aとが連続していないと、発熱印刷層の面積を大きくしたことにならないためである。
以上のように、領域1A及び領域2Aに発熱印刷層を有することにより、発熱印刷層の面積を大きくすることができるため、電子レンジでの加熱時に発熱印刷層の温度を高めやすくすることができ、蓋材が部分的に剥離して蒸通する確実性を高めることができる。
領域2Aの発熱印刷層の幅W2は、1〜15mmであることが好ましく、2〜10mmであることがより好ましい。
W2を1mm以上とすることにより、蓋材が部分的に剥離して蒸通する確実性を高めしやすくできる。また、W2を15mm以下とすることにより、発熱印刷層が必要以上に高温となることを抑制しやすくできる。
なお、領域2Aの発熱印刷層の幅は、図2及び図3のW2に示される幅である。
本発明の実施形態Aの蓋付容器は、前記フランジの外周縁よりも前記ヒートシール領域の外周縁が前記蓋付容器の内側に位置してなり、前記蓋付容器を平面視した際に、前記発熱印刷層をさらに下記領域3Aに有することが好ましい。
<領域3A>
前記領域1Aから連続する領域であって、前記ヒートシール領域の外周縁から前記フランジの外周縁までの領域。
領域3Aに発熱印刷層を有することにより、蓋材が部分的に剥離して蒸通する確実性を高めやすくできる。図3では、発熱印刷層を有する領域26aのうち符号W3で示す領域が、領域3Aに相当する。
なお、フランジの外周縁とヒートシール領域の外周縁とが一致する場合、領域3Aは領域1Aの範囲に含まれることとなる。
なお、発熱印刷層の密着性が良好でない場合は、発熱印刷層を形成する層(例えば基材層)にアンカーコート層を設けても良い。
−絵柄層−
蓋材は絵柄層を有していてもよい。
絵柄層の位置は、シーラント層よりも外層側であれば特に限定されず、基材層及び発熱印刷層の光透過性を考慮して、適宜決めればよい。
例えば、紙又は不透明なプラスチックフィルム等の光透過性の低い基材層を有する場合、絵柄層は、光透過性の低い基材層よりも外層側に配置することが好ましい。また、透明プラスチックフィルム等の光透過性の高い基材層を有する場合、絵柄層の保護の観点から、光透過性の高い基材層よりも内層側に絵柄層を配置することが好ましい。また、複数の基材層を有する場合、各基材層の光透過性等を考慮して、適宜、絵柄層の位置を決めればよい。
図4及び図5では、基材層21よりも内層側に絵柄層23が配置されている。この場合、基材層21は光透過性の高い基材層である。
また、発熱印刷層の光透過性が低い場合、絵柄層は、発熱印刷層よりも外層側に配置することが好ましい。一方、発熱印刷層の光透過性が高い場合、絵柄層は、発熱印刷層の内層側及び外層側の何れに配置しても構わない。
なお、発熱印刷層は、マイクロ波を吸収する材料として導電性高分子を用いた場合には、通常は光透過性が良好であり、マイクロ波を吸収する材料として導電性粒子を用いた場合でも、可視光線以上の粒子径の導電性粒子を過剰に含まない限り、所定の光透過性は有する。このため、発熱印刷層が極端な構成を取らない限り、絵柄層と発熱印刷層との位置関係は制限されない。
絵柄層は、文字、図形、記号、模様、パターン及びベタ印刷等から選ばれる1種以上の組み合わせによって絵柄を形成することができる。絵柄層は単層に限らず、2層以上の多層であってもよい。
絵柄層23は、図4及び図5に示すように、蓋材の全面に形成されていてもよいし、部分的に形成されていてもよい。
絵柄層は、主として、着色剤とバインダー樹脂を含む。
着色剤としては、二酸化チタン、硫酸バリウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化亜鉛及び鉛白等の白色顔料;カーボンブラック、チタンブラック及び鉄黒等の黒色顔料;黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青及びコバルトブルー等の有彩色無機顔料;キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー及びフタロシアニンブルー等の有彩色有機顔料;パール顔料及び金属鱗片等の光輝性材料;染料等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
バインダー樹脂としては、発熱印刷層で例示したバインダー樹脂と同様のものが挙げられる。
絵柄層中の着色剤の含有量は特に制限されるものではないが、絵柄層の全固形分の5〜70質量%であることが好ましく、15〜65質量%であることがより好ましく、20〜60質量%であることがさらに好ましい。
着色剤として光輝性顔料を含む場合、耐電子レンジ性の観点から、光輝性顔料はパール顔料が好ましい。
パール顔料としては、例えば、白色パール顔料、干渉パール顔料、着色パール顔料等が挙げられる。
パール顔料は、平均長さが5〜70μmであることが好ましく、より好ましくは10〜40μmである。
なお、パール顔料の平均長さ及び金属鱗片の平均長さは、蓋材の平面方向から光学顕微鏡又は電子顕微鏡で観察した任意の20個の粒子(パール顔料又は金属鱗片)の長さの平均値として求められる。なお、1個のパール顔料及び金属鱗片の長さは、1個のパール顔料及び金属鱗片の平面方向の最大長さを意味する。
また、パール顔料の平均厚みは、0.01〜1μmであることが好ましく、0.02〜0.7μmであることがより好ましく、0.05〜0.5mであることがさらに好ましい。
パール顔料及び金属鱗片の平均厚みは、蓋材の断面を光学顕微鏡又は電子顕微鏡で観察した任意の20個の粒子(パール顔料又は金属鱗片)の厚みの平均値として求められる。なお、1個のパール顔料及び金属鱗片の厚みは、1個のパール顔料及び金属鱗片の断面像を長さ方向に均等な長さで5つの領域に分割し、各領域の中央部の厚み(t、t、t、t、t)を測定し、t〜tを平均したものを意味する。
パール顔料の含有量は、光沢性を得るのに十分な量とする観点から、絵柄層の全固形分の40〜90質量%であることが好ましく、より好ましくは50〜85質量%、さらに好ましくは60〜80質量%である。
光輝性顔料としての金属鱗片の材質としては、アルミニウム、金、銀、真鍮、チタン、クロム、ニッケル、ニッケルクロム、ステンレス等の金属や合金が挙げられる。
金属鱗片は、例えば、前記金属又は合金をプラスチックフィルム上に真空蒸着してなる金属薄膜をプラスチックフィルムから剥離し、剥離した金属薄膜を粉砕、撹拌した得られたものや、前記金属又は合金の粉末と溶剤とを混合し、媒体撹拌ミル、ボールミル、アトライター等で、該粉末を展延及び/又は粉砕して得られたもの、さらに、これらの表面が樹脂コートされたもの等を用いることができる。
金属鱗片は、絵柄層中での均一な分散性の観点から、平均長さが1〜50μmであることが好ましく、より好ましくは2〜30μm、さらに好ましくは5〜20μmである。また、取り扱い性及び高い金属光沢性を得る観点から、平均厚みが0.01〜5μmであることが好ましく、より好ましくは0.02〜3μm、さらに好ましくは0.05〜1μmである。また、金属鱗片のアスペクト比(平均長さ/平均厚み)は15〜500であることが好ましい。
絵柄層中の金属鱗片の含有量は、光輝性の付与と電子レンジ耐性とのバランスの観点から、絵柄層の全固形分の3質量%以上50質量%以下であることが好ましく、3質量%以上40質量%以下であることがより好ましく、10質量%以上30質量%以下であることがさらに好ましい。
絵柄層は、例えば、絵柄層を構成する材料を含む絵柄層形成インキを、基材層又は中間基材層上に塗布、乾燥等することにより形成できる。
絵柄層の厚みは特に限定されるものではなく、0.3〜5.0μm程度であることが好ましく、より好ましくは0.5〜3.0μmである。
−ガスバリア層−
蓋材は、ガスバリア層を有していてもよい。
ガスバリア層の位置は、シーラント層よりも外層側であれば特に限定されないが、基材層とシーラント層との間であることが好ましい。
発熱印刷層とガスバリア層との位置関係は特に限定されない。
絵柄層を有する場合、ガスバリア層と絵柄層との位置関係は特に限定されず、何れがシーラント層側(内層側)であってもよい。なお、ガスバリア層が絵柄層の外層側に形成される場合には、絵柄層を視認できるように、光透過性を有する材料でガスバリア層を構成することが好ましい。
ガスバリア層は、例えば、基材層及び後述する中間基材層等に形成することできる。
ガスバリア層は、酸素や水蒸気等の透過を遮断する役割を担うものである。また、ガスバリア層は、可視光や紫外線等の透過を遮断する遮光性も付与するものであってもよい。ガスバリア層は、1層のみから構成されるものであっても、2層以上の複数層で構成されてもよい。
ガスバリア層は、公知の方法により、蒸着膜や塗布膜として形成することができる。
ガスバリア層を基材層又は中間基材層上に形成する場合、密着性向上の観点から、予め基材層又は中間基材層に対して表面処理を施しておいてもよい。表面処理としては、例えば、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガスや窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理、酸化剤処理、アンカーコート剤の塗布等が挙げられる。
ガスバリア層の一例である蒸着膜は、内容物を電子レンジのマイクロ波で十分に加熱できるようにする観点から、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、スズ(Sn)、ナトリウム(Na)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)等の無機物の酸化物から形成することが好ましい。
蒸着膜の形成方法としては、例えば、真空蒸着やスパッタリング、イオンプレーティング等の物理蒸着(PVD)法、プラズマ化学気相成長や熱化学気相成長、光化学気相成長等の化学蒸着(CVD)法等が挙げられる。
蒸着膜の膜厚は、成膜材料や要求されるガスバリア性能等によって異なるが、通常、5〜200nm程度であることが好ましく、より好ましくは5〜150nm、さらに好ましくは10〜100nmである。ケイ素酸化物やアルミニウム酸化物等の無機酸化物の場合は、5〜100nm程度であることが好ましく、より好ましくは5〜50nm、さらに好ましくは10〜30nmである。
ガスバリア層の一例であるガスバリア性塗布膜としては、例えば、一般式R1 M(OR2m(式中、R1、R2は炭素数1〜8の有機基、Mは金属原子である。nは0以上の整数、mは1以上の整数を表し、n+mはMの原子価である。)で表される少なくとも1種以上のアルコキシドと、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン−ビニルアルコール共重合体とを、ゾル−ゲル法触媒、酸、水及び有機溶剤の存在下で、ゾル−ゲル法により重縮合して得られたインキを塗布し、50〜300℃で、0.05〜60分間加熱処理することにより形成することができる。
塗布方法としては、例えば、グラビアロールコーター等のロールコート、スプレーコート、スピンコート、ディッピング、刷毛、バーコート、アプリケータ等の塗布手段により行うことができる。1回又は複数回の塗布で、塗布膜の乾燥膜厚が0.01〜30μm程度となることが好ましく、より好ましくは0.05〜20μm、さらに好ましくは0.1〜10μmである。
ガスバリア性塗布膜は、ガスバリア性の向上の観点から、蒸着膜の表面に形成されることが好ましい。
−中間基材層−
中間基材層は、蓋材の強度及び加工適性を向上したり、蓋材の風合いの変化を目的としたり、ガスバリア層等の他の層を形成するための基材として用いたりするために、基材層とシーラント層との間に必要に応じて設けられる層である。中間基材層の構成材料としては、例えば、プラスチックフィルム及び紙基材等が挙げられる。
蓋材がプラスチックフィルムよりも内層側に発熱印刷層を有する場合には、発熱印刷層よりも内層側に中間基材層を配置することが好ましい。
中間基材層としてのプラスチックフィルム及び紙基材は、上述した基材層としてのプラスチックフィルム及び紙基材と同様のものを用いることができる。
なお、中間基材層が紙基材を含む場合、該紙基材が電子レンジのマイクロ波を吸収する。このため、本発明の実施形態Aの効果をより発揮しやすくする観点から、中間基材層は紙基材を含まないことが好ましい。
電子レンジでの加熱を考慮すると、中間基材層は耐熱性に優れるものが好ましい。耐熱性に優れる中間基材層の具体例としては、紙、及び、基材層において例示した耐熱性に優れるプラスチックフィルムが挙げられる。
−接着剤層−
蓋材を構成する各層は、各層間の接合強度の向上の観点から、接着剤層を介して積層されていてもよい。
接着剤層の各厚みは、0.01〜20μm程度であることが好ましく、より好ましくは0.05〜15μm、さらに好ましくは0.1〜10μmである。
接着剤層は、例えば、汎用のドライラミネート用接着剤を用いた方法、或いは、溶融押し出し法により形成することができる。
ドライラミネート用接着剤としては、例えば、ポリ酢酸ビニル系接着剤、ポリアクリル酸エステル系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、エチレン共重合体系接着剤、セルロース系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリイミド系接着剤、尿素樹脂やメラミン樹脂等によるアミノ樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤(例えば、ポリオールとイソシアネートとの硬化物)、反応型(メタ)アクリル酸系接着剤、クロロプレンゴムやニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム等によるゴム系接着剤、シリコーン系接着剤、アルカリ金属シリケートや低融点ガラス等による無機系接着剤等が挙げられる。
−蓋材の層構成−
以下に、蓋材の層構成の実施の形態を示す。なお、下記(m1)〜(m8)では、左側の層が外層側であり、「/」は各層の境界を示す。
(m1)プラスチックフィルム/発熱印刷層/絵柄層/接着剤層/中間プラスチックフィルム/接着剤層/シーラント層
(m2)プラスチックフィルム/絵柄層/発熱印刷層/接着剤層/中間プラスチックフィルム/接着剤層/シーラント層
(m3)プラスチックフィルム/ガスバリア層/発熱印刷層/絵柄層/接着剤層/中間プラスチックフィルム/接着剤層/シーラント層
(m4)プラスチックフィルム/発熱印刷層/絵柄層/接着剤層/ガスバリア層/中間プラスチックフィルム/接着剤層/シーラント層
(m5)プラスチックフィルム/発熱印刷層/絵柄層/中間プラスチックフィルム/接着剤層/シーラント層
(m6)絵柄層/発熱印刷層/紙基材/接着剤層/中間プラスチックフィルム/接着剤層/シーラント層
(m7)絵柄層/発熱印刷層/紙基材/接着剤層/シーラント層
(m8)プラスチックフィルム/絵柄層/発熱印刷層/接着剤層/シーラント層
《ヒートシール領域》
実施形態Aの蓋付容器は、容器本体のフランジの少なくとも一部と、蓋材のシーラント層とがヒートシールされてなるヒートシール領域を有する。該ヒートシール領域により、蓋付き容器は内容物を密封することができる。
ヒートシール領域は、フランジを1周するように帯状又は線状に連続的に形成されていることが好ましい(図2及び図3)。
ヒートシール領域の面積はフランジの面積と一致していてもよい。言い換えると、シーラント層は、フランジの全てにヒートシールされていてもよい。一方、図1〜図3に示すように、シーラント層をフランジの一部にヒートシールし、ヒートシール領域の面積とフランジの面積とを一致させなくてもよい。
ヒートシール領域の幅(図2〜図3のH1とH2との間隔)は、フランジの幅の10%〜100%であることが好ましく、20〜80%であることがより好ましい。
《内容物》
実施形態Aの蓋付き容器の容器本体に収納する内容物は特に限定されない。なお、内容物が液状物である場合には、液状の内容物が電子レンジのマイクロ波を吸収するため、蓋材が剥離蒸通しにくくなる傾向があるが、実施形態Aでは内容物が液状でも蓋材の剥離蒸通に支障を生じない。このため、内容物が液状物である場合に、実施形態Aの効果をより発揮しやすくできる点で好ましい。
[実施形態B]
次に、実施形態Bの電子レンジ加熱用の蓋付容器の実施形態を説明する。
本発明の実施形態Bの電子レンジ加熱用の蓋付容器は、開口部にフランジを有し、内容物を収容する紙製の容器本体と、前記容器本体を封止する蓋材とを備えた蓋付容器であって、前記容器本体の紙の坪量が150〜400g/mであり、前記蓋材は、基材層及びシーラント層を有するとともに、前記基材層と前記シーラント層との間の一部又は前記基材層の前記シーラント層とは反対側の一部に発熱印刷層を有し、前記蓋付容器は、前記フランジの少なくとも一部と前記シーラント層とがヒートシールされてなるヒートシール領域により封止されてなり、前記蓋付容器を平面視した際に、前記発熱印刷層を下記領域1B及び領域2Bに有するものである。
<領域1B>
前記ヒートシール領域の外周縁の周方向の一部から前記フランジの内周縁の周方向の一部を結ぶ領域。
<領域2B>
前記領域1Bから連続する領域であって、前記フランジの内周縁より内側の領域。
図6は、本発明の実施形態Bの電子レンジ加熱用の蓋付容器の実施形態を示す斜視図であり、図7は図6のI−I’線断面図である。
図6〜図7の電子レンジ加熱用の蓋付容器100は、容器本体10と、容器本体を封止する蓋材20とを備えている。また、容器本体10は、上面に開口部11を備え、開口部11の外周縁にフランジ12を有している。また、図6に示すように、開口部11は、フランジとシーラント層とがヒートシールされてなるヒートシール領域Hにより封止されている(図6の斜線部がヒートシール領域H)。図7の「N」は食品等の内容物を示す。
図8〜図11は、本発明の実施形態Bの電子レンジ加熱用の蓋付容器のヒートシール領域及び発熱印刷層の配置の実施形態を示す平面図である。また、図12は図10の発熱印刷層を有する領域26a近傍の部分拡大図である。
図8〜図11では、最表面の蓋材20が実線で記載されており、蓋材20より内部に位置する構成部材は破線で記載されている。
図8〜図11では、発熱印刷層を有する領域を符号26aで示している。図8〜図11の電子レンジ加熱用の蓋付容器は、発熱印刷層を、ヒートシール領域の外周縁H2の周方向の一部からフランジの内周縁12aの周方向の一部を結ぶ領域(領域1B)、及び、領域1から連続する領域であってフランジの内周縁12aより内側の領域(領域2B)に有している。また、図8〜図11の電子レンジ加熱用の蓋付容器100は、発熱印刷層を、領域1から連続する領域であって、ヒートシール領域の外周縁H2からフランジの外周縁12bまでの領域(領域3B)に有している。また、図10〜図11の電子レンジ加熱用の蓋付容器100は、発熱印刷層を、領域1Bから連続する領域であってフランジの外周縁12bより外側の領域(領域4B)に有している。なお、図12では、前記領域1Bを符号i、前記領域2Bを符号ii、前記領域3Bを符号iii、前記領域4Bを符号ivで示している。
《容器本体》
容器本体は開口部にフランジを有し、紙製のものである。かかる紙製の容器本体は、電子レンジでの加熱時にフランジの蓄熱量が増して手で持てなくなるほど熱くなる場合がある。また、フランジが過度に蓄熱した場合、焦げが生じるおそれもある。
紙製の容器本体のフランジ近傍が熱くなる理由は、以下のように考えられる。
まず、開口部にフランジを有する紙製の容器本体は、フランジと容器本体の胴部との境界近傍、及び、容器本体の胴部と底部との境界近傍に皺が生じやすい。前述した境界近傍は成形時に折り曲げられるためである。このように皺が生じた箇所では、紙の密度が高い箇所と低い箇所とが混在することになる。
一方、紙は水分を含有し、水分は電子レンジのマイクロ波を吸収する。さらに、紙の原料であるセルロースもマイクロ波を吸収しやすい。
したがって、上記のように皺が生じた紙製の容器本体の紙の密度が高くなった箇所は、局所的に発熱量が増し、局所的に蓄熱量が大きくなる。
上記のように紙製の容器本体が蓄熱しても、容器本体に内容物が充填されている場合には、内容物に熱が奪われる傾向にある。しかし、容器本体のフランジは内容物と接しないため、蓄熱した熱が内容物に奪われることがない。
さらに、紙製の容器本体を蓋材でヒートシールしてなる蓋付き容器は、電子レンジでの加熱時に内容物が発熱して内部温度が上昇する。この内部温度は、蓋材が部分的に剥離蒸通するまで上昇を続けるが、上述したように紙はマイクロ波を吸収するため、紙製の容器本体の開口部に蓋材をヒートシールしてなる包装容器は、蓋材が剥離蒸通しにくい傾向がある。
以上のことから、紙製の容器本体のフランジを蓋材でヒートシールしてなる蓋付き容器は、容器本体のフランジ近傍の温度が上昇しやすい。
なお、フランジ部に生じた皺は、平滑化処理(例えば、特開2000−33927号公報に記載された超音波加工、特開2001−328616号公報に記載された熱シール加工)により、見かけ上は目立たなくすることができる。しかし、前述した処理は、皺が生じた面を押しつぶして見かけ上平滑化したものであるため、フランジの内部では局所的に紙の密度が高い領域が残った状態である。したがって、フランジ部に生じた皺を目立たなくする平滑化処理を行ったとしても、電子レンジでの加熱時にフランジ近傍の温度は上昇することとなる。
実施形態Bの電子レンジ加熱用の蓋付容器においては、容器本体を構成する紙の坪量は150〜400g/mである。該坪量は250〜350g/mであることが好ましい。
坪量が150g/m未満では容器本体としての強度が不十分である。また、坪量が150g/m未満では、皺が生じて局所的に紙の密度が高くなったとしても、蓄熱量が過度になるほどの問題は生じにくい。
一方、坪量が400g/mを超える場合、容器本体の形状を成形することが困難となる。また、坪量が400g/mを超える場合、紙の蓄熱量を抑制しにくい。
実施形態Bの電子レンジ加熱用の蓋付容器では、発熱印刷層を領域1B及び領域2Bに有するように構成したことにより、蓋材が剥離蒸通する確実性を高めることができ、紙製の容器本体のフランジ近傍の温度上昇を抑制することができる。領域1B及び領域2Bの技術的意義については後述する。
容器本体を構成する部材は、被包装材を保護する観点、及び液体の被包装材が漏れることを抑制する観点から、紙の両面又は片面に樹脂層を有するものが好ましい。また、断熱性の観点から、樹脂層は発泡したものであってもよい。
樹脂層を構成する樹脂としては、ポリエチレン及びポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエステル、エチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられ、ポリオレフィンが好ましい。
樹脂層の厚みは15〜60μm程度が好ましい。また、紙の外層側の樹脂層の厚みは15〜30μmが好ましく、紙の内層側の樹脂層の厚みは25〜60μmが好ましい。
また、容器本体を構成する部材は、容器本体の強度及びガスバリア性を高めることなどを目的として、紙にプラスチックフィルムを貼り合わせたものであってもよい。また、ガスバリア性をより高めるために、該プラスチックフィルムは蒸着フィルムであることが好ましい。
容器本体に含まれるプラスチックフィルムとしては、実施形態Aの蓋材の基材層として例示したプラスチックフィルムと同様のものを用いることができる。
容器本体10は、上面に開口部11を備えるものである。また、容器本体10は、開口部11の外周縁にフランジ12を備えるものである。
容器本体10の形状は、上記形状を備えるものであればよく、それ以上の形状は限定されない。例えば、図6〜図7の容器本体は、底部及び開口部が略円形であるが、底部及び開口部は、楕円形、四角形等の円形以外の形状であってもよい。また、図6〜図7の容器本体は、底部よりも開口部が大きくなっているが、底部及び開口部の大きさは略同一であってもよいし、底部よりも開口部の方が小さくてもよい。なお、実施形態Bの効果をより発揮しやすくする観点からは、容器本体は、底部よりも開口部が大きいことが好ましい。
また、図6〜図7の容器本体は底部がフラットであるが、容器本体は脚部を有するものであってもよい。また、図6〜図7の容器本体のフランジはフラットであるが、フランジの形状は環状であってもよい。なお、成形性の観点からは、容器本体は、底部がフラットであること、及び/又は、フランジがフラットであること、が好ましい。同様に、成形性の観点から、容器本体は、紙を含む1枚の部材から形成されたものが好ましい。
容器本体10は、例えば、容器本体を構成する部材からなるブランクを準備し、該ブランクを型に配置して、熱及び圧力で絞り成形することにより形成することができる。
なお、紙を含むブランクを絞り成形した場合、フランジ近傍には皺が生じる。フランジ近傍に皺が存在する場合、蓋をしても内容物が漏れてしまうため、成形時又は蓋材をシールする際に、フランジを平滑化することが好ましい。フランジを平滑化する手法としては、例えば、特開2000−33927号公報に記載された超音波加工、特開2001−328616号公報に記載された熱シール加工が挙げられる。
容器本体10の深さは特に限定されないが、10〜100mm程度であり、好ましくは10mm以上50mm未満である。
フランジの幅は、封止性及びイージーピール性の観点から、2〜15mm程度が好ましい。
フランジは、容器本体の中央に向かって突出してなる突出部を有していてもよい。フランジの一部に突出部を有することにより、電子レンジでの加熱時に、封止容器の内圧に基づく負荷をヒートシール領域の突出部に対応する箇所に集中させ、該箇所を剥離蒸通して内圧を逃がしやすくすることができる。但し、フランジが突出部を有する場合にはシールヘッドの形状を変える必要があること、紙製の容器はフランジに突出部を形成しにくいこと、本発明の実施形態Bの包装容器はフランジの一部に突出部を有さなくても蓋材が部分的に剥離蒸通し得ることを考慮すると、フランジは突出部を有さないことが好ましい。
容器本体を構成する部材の層構成の具体例は、下記(n1)〜(n5)が挙げられる。なお、「/」は各層の界面を示す。また、下記(n1)〜(n5)において、左側は外層側、右側は内層側(内容物側)を示す。なお、下記(n1)及び(n4)において紙の外層側の樹脂層を発泡したものは、断熱性に優れるため、容器本体の胴部を構成する部材として好適に用いることができる。
(n1)紙/樹脂層
(n2)樹脂層/紙/樹脂層
(n3)紙/樹脂層/プラスチックフィルム/樹脂層
(n4)樹脂層/紙/樹脂層/プラスチックフィルム/樹脂層
(n5)紙/接着剤層/蒸着プラスチックフィルム/樹脂層
《蓋材》
蓋材は、基材層及びシーラント層を有するとともに、基材層とシーラント層との間の一部又は基材層の前記シーラント層とは反対側の一部に発熱印刷層を有するように構成される。
シーラント層は、基材層よりも内層側(基材層よりも容器本体に近い側)に配置される。
図4〜図5は、蓋材20の実施の形態を示す断面図である。
図4〜図5の蓋材20は、基材層21及びシーラント層25を有し、基材層21とシーラント層25との間の一部に発熱印刷層26を有している。また、図4〜図5の蓋材20は、絵柄層23を有している。
−基材層−
実施形態Bの蓋材の基材層の実施形態は、実施形態Aの蓋材の基材層の実施形態と同様である。また、実施形態Bの蓋材の基材層の好適な実施形態は、実施形態Aの蓋材の基材層の好適な実施形態と同様である。なお、基材層の実施形態とは、例えば、基材層を構成する材料、基材層の層構成、基材層の厚み、基材層の坪量、基材層の光学特性等である。
−シーラント層−
シーラント層25は、シールヘッド等で部分的に加熱されることにより、フランジ12の少なくとも一部に密着してヒートシール領域Hを形成し、容器本体の開口部を封止する役割を有する。
シーラント層25は、シール層の単層でもよいが、コア層とシール層との積層体で構成することが好ましい。コア層は基材層と接触し、シール層はフランジと接触する。
(シール層)
シール層は、シールヘッド等で部分的に加熱されることにより、フランジの少なくとも一部に密着してヒートシール領域を形成する。このため、シール層は、ヒートシール性を有する熱可塑性樹脂から構成することが好ましい。
また、シール層は、容器本体から容易に剥離し得るイージーピール性を有することが好ましい。
イージーピール性を付与する機構としては、例えば、界面剥離機構、層間剥離機構及び凝集剥離機構が挙げられる。これらの中でも、容器本体が紙製である実施形態Bにおいては、凝集剥離機構が好ましい。凝集剥離機構における剥離原理は、非相溶系あるいは部分相溶系の層の凝集力が小さいことを利用し、開封時に、シール層と被着体(容器本体のフランジ)との界面ではなく、非相溶系あるいは部分相溶系のシール層を凝集破壊させることによるものと考えられる。
凝集破壊機構する材料の組み合わせとしては、ポリオレフィンとポリスチレンとの組み合わせ、ポリエチレンとポリプロピレンとの組み合わせ、及び、低密度ポリエチレンとポリブテン−1との組み合わせ等が挙げられる。これらの中でも、低密度ポリエチレンとポリブテン−1との組み合わせが好ましい。
低密度ポリエチレンとポリブテン−1との組み合わせにおいては、低密度ポリエチレンとポリブテン−1との質量比は、55:45〜80:20であることが好ましく、55:45〜75:25であることがより好ましい。質量比を前記範囲とすることにより、イージーピール性を良好にしやすくできる。
低密度ポリエチレンは、融点110℃以下の高圧法低密度ポリエチレンであることが好ましい。該低密度ポリエチレンはMFRが0.5〜50であることが好ましい。
また、ポリブテン−1は、融点120℃以上のホモポリマーであることが好ましい。該ポリブテン−1はMFRが0.2〜20であることが好ましい。
(コア層)
コア層は熱可塑性樹脂から構成することが好ましい。
コア層の熱可塑性樹脂としては、エチレン−アクリル酸共重合体樹脂、エチレン−メタクリル酸共重合体樹脂、エチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル三元共重合体樹脂、エチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル三元共重合体樹脂、エチレン−アクリル酸−メタクリル酸エステル三元共重合体樹脂、エチレン−メタクリル酸−メタクリル酸エステル三元共重合体樹脂、エチレン−アクリル酸エステル−酸無水物(無水マレイン酸など)三元共重合体樹脂、エチレン−メタクリル酸エステル−酸無水物(無水マレイン酸など)三元共重合体樹脂及び低密度ポリエチレンから選ばれる1種以上が挙げられる。
シーラント層の厚みは、イージーピール性の観点から適宜決定することができ、その範囲は、例えば1〜100μm程度である。
シーラント層をシール層とコア層とから構成する場合、両者の厚み比は目的に応じて適宜調整できる。例えば、カールの抑制を重視する場合は、シール層の厚み≦コア層の厚みとすることが好ましい。また、コア層の樹脂がシール層の表面に露出することを抑制する観点からは、コア層の厚み≦シール層の厚みとすることが好ましい。
シール層の厚みは、5〜50μmであることが好ましく、5〜30μmであることがより好ましく、5〜15μmであることがさらに好ましい。
コア層の厚みは、5〜50μmであることが好ましく、7〜40μmであることがより好ましく、10〜30μmであることがさらに好ましい。
シーラント層は、例えば、シール層及びコア層を共押出しにより形成することができる。あるいは、コア層となるフィルム上にシール層を溶融押し出しすることにより形成することができる。なお、ヒートシール時の収縮を抑制するため、得られたシーラント層は延伸処理しないことが好ましい。
−発熱印刷層−
実施形態Bの蓋材の発熱印刷層の実施形態は、特に断らない限り、実施形態Aの蓋材の発熱印刷層の実施形態と同様である。また、実施形態Bの蓋材の発熱印刷層の好適な実施形態は、特に断らない限り、実施形態Aの蓋材の発熱印刷層の好適な実施形態と同様である。なお、発熱印刷層の実施形態とは、例えば、発熱印刷層を構成する材料、該層の面積、該層の厚み、該層の幅、該層の長さ、該層の平面視形状及び該層の抵抗値等である。
蓋付容器を平面視した際の発熱印刷層の外から内への延伸方向であるD1と、フランジの内周縁の接線に直交する方向であるD2とは略平行であることが好ましい。
D1とD2とを略平行とすることにより、蓋材を剥離蒸通しやすくできる。なお、略平行とは、D1とD2との成す角が5度以下であることを意味し、好ましくは3度以下、より好ましくは2度以下、さらに好ましくは1度以下である。
本発明の実施形態Bの蓋付容器は、蓋付容器を平面視した際に、発熱印刷層を下記領域1B及び領域2Bに有することを要する。
<領域1B>
前記ヒートシール領域の外周縁の周方向の一部から前記フランジの内周縁の周方向の一部を結ぶ領域。
<領域2B>
前記領域1Bから連続する領域であって、前記フランジの内周縁より内側の領域。
発熱印刷層により蓋付き容器を剥離蒸通するためには、剥離蒸通したい箇所のヒートシール領域に対応する領域のみに発熱印刷層を形成すればよいと考えられる。しかし、ヒートシール領域に対応する領域のみに発熱印刷層を形成した場合、発熱印刷層を有する箇所において蓋材が剥離しない場合があり、紙製の容器本体のフランジが熱くなりすぎることを抑制できなかった。
本発明の実施形態Bの蓋付容器は、蓋付容器を平面視した際に、発熱印刷層を領域1B及び領域2Bに有することにより、剥離蒸通の確実性を高め、フランジが熱くなりすぎることを抑制することを可能としている。
領域1Bに発熱印刷層を有することは、ヒートシール領域の内周縁H1がフランジの内周縁12aに達しない場合であっても、ヒートシール領域の外周縁H2からフランジの内周縁12aまで発熱印刷層を有することを意味している。
図12では、発熱印刷層を有する領域26aのうち符号iで示す領域が、領域1Bに相当する。
このように、領域1Bがフランジの内周縁12aまで達していることにより、剥離蒸通の確実性を高める第1のきっかけを付与することができる。
しかし、領域1Bに発熱印刷層を有していても、発熱印刷層の面積を確保しにくいため、剥離蒸通の確実性を十分高めることはできない。特に、実施形態Bのように紙製の容器本体の場合、電子レンジのマイクロ波が容器本体に吸収され、発熱印刷層が吸収するマイクロ波が減少するため、剥離蒸通しにくくなる傾向にある。発熱印刷層の長さを長くすれば面積を確保しやすいが、その場合、剥離蒸通後に容器本体内部の圧力が一気に外に放出されてしまい、適切な調理ができなくなる。このため、領域2Bに発熱印刷層を有することが重要となる。
領域2Bは領域1Bから連続する領域であって、フランジの内周縁12aより内側の領域である。図12では、発熱印刷層を有する領域26aのうち符号iiで示す領域が、領域2Bに相当する。
領域2Bは領域1Bから連続していることが必要である。領域1Bと領域2Bとが連続していないと、発熱印刷層の面積を大きくしたことにならないためである。
以上のように、領域1B及び領域2Bに発熱印刷層を有することにより、発熱印刷層の面積を大きくすることができるため、電子レンジでの加熱時に発熱印刷層の温度を高めやすくすることができ、蓋材が部分的に剥離して蒸通する確実性を高めることができる。
領域2Bの発熱印刷層の幅W2は、1〜15mmであることが好ましく、2〜10mmであることがより好ましい。
W2を1mm以上とすることにより、蓋材が部分的に剥離して蒸通する確実性を高めやすくできる。また、W2を15mm以下とすることにより、発熱印刷層が必要以上に高温となることを抑制しやすくできる。
なお、領域2Bの発熱印刷層の幅は、図12のW2に示される幅である。
本発明の実施形態Bの蓋付容器は、前記フランジの外周縁よりも前記ヒートシール領域の外周縁が前記蓋付容器の内側に位置してなり、前記蓋付容器を平面視した際に、前記発熱印刷層をさらに下記領域3Bに有することが好ましい。
<領域3B>
前記領域1Bから連続する領域であって、前記ヒートシール領域の外周縁から前記フランジの外周縁までの領域。
上述したように、紙製の容器本体は電子レンジのマイクロ波を吸収し、ヒートシール領域に配置した発熱印刷層が吸収するマイクロ波が少なくなる。しかし、容器本体のフランジの外周縁近傍は比較的マイクロ波の吸収が少ない。このため、フランジの外周縁に発熱印刷層を形成することにより、発熱印刷層のマイクロ波の吸収効率を高めることができる。
以上のことから、領域3Bに発熱印刷層を有することにより、蓋材が部分的に剥離して蒸通くしやすくできる。図12では、発熱印刷層を有する領域26aのうち符号iiiで示す領域が、領域3Bに相当する。
なお、フランジの外周縁とヒートシール領域の外周縁とが一致する場合、領域3Bは領域1Bの範囲に含まれることとなる。
本発明の実施形態Bの蓋付容器は、前記蓋材が前記フランジの外周縁より外側に突出してなり、前記蓋付容器を平面視した際に、前記発熱印刷層をさらに下記領域4Bに有することが好ましい。
<領域4B>
前記領域1Bから連続する領域であって、前記フランジの外周縁より外側の領域。
フランジの外周縁より外側の領域は、紙製の容器本体によるマイクロ波の吸収の影響を殆ど受けることがなく、マイクロ波を多く吸収することができる。このため、領域4Bに発熱印刷層を有することにより、電子レンジでの加熱時に発熱印刷層の温度を高めやすくすることができ、蓋材が部分的に剥離して蒸通しやすくできる。図12では、発熱印刷層を有する領域26aのうち符号ivで示す領域が、領域4Bに相当する。
領域4Bの発熱印刷層は、図9に示すように蓋材の外周縁に到達するように形成されていてもよいし、図10及び図12に示すように、蓋材の外周縁より内側に形成されていてもよい。
図9に示すように、蓋材の外周縁に到達するように領域4Bの発熱印刷層を形成することにより、マイクロ波の吸収効率を高め、蓋材が部分的に剥離して蒸通する確実性を高めやすくすることができる。
なお、フランジの外周縁より外側の領域に位置する発熱印刷層は、マイクロ波を多く吸収することができるが、該領域に過剰の発熱印刷層が存在すると、発熱量が過度となり、蓋材の端部近傍において、蓋材に変形が生じたり貫通孔が生じたりするおそれがある。図10及び図12に示すように、領域4Bの発熱印刷層を蓋材の外周縁より内側に形成することにより、前述したリスクを軽減することができる。
領域4Bの発熱印刷層の幅W4は、0.5〜10mmであることが好ましく、1〜5mmであることがより好ましい。
W4を0.5mm以上とすることにより、蓋材が部分的に剥離蒸通しやすくできる。また、W4を10mm以下とすることにより、発熱印刷層が必要以上に高温となることを抑制しやすくできる。
なお、領域4Bの発熱印刷層の幅は、図12のW4に示される幅である。
発熱印刷層は、例えば、発熱印刷層を構成する材料を含む発熱印刷層形成用インキを、基材層又は中間基材層上に塗布、乾燥することにより形成できる。
−絵柄層、ガスバリア層、中間基材層、接着剤層−
蓋材は、絵柄層、ガスバリア層、中間基材層及び接着剤層等のその他の層を有していてもよい。
実施形態Bの蓋材の絵柄層、ガスバリア層、中間基材層及び接着剤層の実施形態は、特に断らない限り、実施形態Aの蓋材の絵柄層、ガスバリア層、中間基材層及び接着剤層の実施形態と同様である。また、実施形態Bの蓋材の絵柄層、ガスバリア層、中間基材層及び接着剤層の好適な実施形態は、特に断らない限り、実施形態Aの蓋材の絵柄層、ガスバリア層、中間基材層及び接着剤層の好適な実施形態と同様である。
なお、絵柄層の実施形態とは、例えば、絵柄層を構成する材料、該層の厚み方向の位置、該層の厚み、蓋材の面内における該層の形成箇所等である。また、ガスバリア層の実施形態とは、例えば、ガスバリア層を構成する材料、該層の層構成、該層の厚み方向の位置、該層の厚み等である。また、中間基材層の実施形態とは、例えば、中間基材層を構成する材料、該層の層構成、該層の厚み方向の位置、該層の厚み等である。また、接着剤層の実施形態とは、例えば、接着剤層を構成する材料、該層の厚み方向の位置、該層の厚み等である。
−蓋材の層構成−
実施形態Bの蓋材の層構成の具体例は、実施形態Aの蓋材の層構成の具体例(上記m1〜m8)と同様のものが挙げられる。
《ヒートシール領域》
蓋付容器は、容器本体のフランジの少なくとも一部と、蓋材のシーラント層とがヒートシールされてなるヒートシール領域を有する。該ヒートシール領域により、蓋付き容器は内容物を密封することができる。
ヒートシール領域は、フランジを1周するように帯状又は線状に連続的に形成されていることが好ましい(図6、図8〜11)。
ヒートシール領域の面積はフランジの面積と一致していてもよい。言い換えると、シーラント層は、フランジの全てにヒートシールされていてもよい。一方、図8〜11に示すように、シーラント層をフランジの一部にヒートシールし、ヒートシール領域の面積とフランジの面積とを一致させなくてもよい。
ヒートシール領域の幅(図8〜11のH1とH2との間隔)は、フランジの幅の10%〜90%であることが好ましく、20〜80%であることがより好ましい。
《内容物》
容器本体に収納する内容物は特に限定されない。なお、内容物が液状物である場合には、液状の内容物が電子レンジのマイクロ波を吸収するため、蓋材が剥離蒸通しにくくなる傾向があるが、本発明の実施形態Bでは内容物が液状でも蓋材の剥離蒸通に支障を生じない。このため、内容物が液状物である場合に、本発明の実施形態Bの効果をより発揮しやすくできる点で好ましい。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明は、これにより限定されるものではない。
<実施形態Aの実施例>
[実施例A1]
A−1.蓋材の作製
基材層(厚み12μmの延伸PETフィルム)の一方の表面に、コロナ放電処理を施した後、絵柄層形成インキをグラビア印刷して乾燥し、乾燥膜厚1.5μmの絵柄層を基材層の全面に形成した。
次いで、絵柄層上の一部に、導電性高分子を含むインキ(東京インキ株式会社製、品番MWヒート剤)をグラビア印刷して乾燥し、厚み0.5μmの発熱印刷層を形成した。該発熱印刷層は、蓋付容器を平面視した際に、領域1A及び領域2Aに有する一方で、領域3Aには有しないようにして形成した(図2参照)。
次いで、発熱インキ層の表面に、ポリウレタン系接着剤を用いたドライラミネート法により、中間基材層(延伸Ny、厚み15μm)を貼り合わせた。
次いで、中間基材層の、発熱インキ層とは反対側に、ポリウレタン系接着剤を用いたドライラミネート法により、シーラント層を貼り合わせた積層体を得た。シーラント層は、コア層(厚み27μm)及びシール層(厚み3μm)の2層共押出しフィルムとした。シール層を第2の基材層側に配置した。コア層には、プロピレン−エチレンブロック共重合体を用いた。シール層は、第1の樹脂(A)と第2の樹脂(B)の混合物とした。第1の樹脂(A)にはプロピレン−エチレンランダム共重合体を用いた。第2の樹脂(B)には、ポリエチレン(B1)及びオレフィン系エラストマー(B2)を用いた。シール層中のオレフィン系エラストマー(B2)の含有量は2〜10質量%の範囲内とした。ポリエチレン(B1)には、低密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレンを用いた。
次いで、上記工程で得られた積層体を断裁し、実施例A1で用いる蓋材(縦115mm、横160mmの略四角形形状)を得た。
実施例A1で用いる蓋材は、外層側から、基材層(延伸PET)、絵柄層、発熱インキ層(注:発熱インキ層は面内の一部)、接着剤層、中間基材層(延伸Ny)、接着剤層及びシーラント層を有している。
A−2.電子レンジ加熱用の蓋付容器の作製
<容器本体>
開口部にフランジを有するプラスチック(高結晶性のプロピレン単独重合体)製の容器本体を準備した(フランジの平均厚み(T1)が0.5mm、容器本体のフランジ以外の箇所の平均厚み(T2)が0.3mm)。該容器本体の平面視形状は図2に示す略四角形であり、外縁に沿った形状は縦110mm、横150mmであった。また、フランジの幅は5mm、容器本体の深さは30mmであった。
<容器本体と蓋材との接着>
上記容器本体に、内容物として水を300g収納した後、実施例A1の蓋材を下記の条件でヒートシールして、実施例A1の電子レンジ加熱用の蓋付容器を得た。ヒートシーラーとして、シンワ機械社製トレーシーラーを用いた。ヒートシール領域の幅(図2のH1とH2との間隔)を3mmとした。なお、実施例A1の蓋付き容器において、発熱印刷層の長さは20mm、領域1Aの幅W1は4mm、領域2Aの幅W2は10mmであった。
<実施例A1のヒートシール条件>
・温度:175℃
・時間:1.0秒
・圧力:0.5MPa(エアーシリンダー式)
[実施例A2]
蓋付容器を平面視した際に、領域1A、領域2A及び領域3Aに発熱印刷層を有するようにして発熱印刷層を形成した以外は、実施例A1と同様にして蓋材及び蓋付き容器を得た。実施例A2の蓋付き容器において、発熱印刷層の長さは20mm、領域1Aの幅W1は4mm、領域2Aの幅W2は10mm、領域3Aの幅W3は1mmであった。
[実施例A3]
A−1.蓋材の作製
基材層(坪量150g/mの紙基材)の一方の面の全面に、絵柄層形成インキをグラビア印刷して乾燥し、乾燥膜厚1.5μmの絵柄層を形成した。
次いで、絵柄層上の一部に、導電性高分子を含むインキ(東京インキ株式会社製、品番MWヒート剤)を用い、厚み0.5μmの発熱印刷層を形成した。該発熱印刷層は、蓋付容器を平面視した際に、領域1A及び領域2Aに有する一方で、領域3Aには有しないようにして形成した(図2参照)。
次いで、基材層の絵柄層の反対側に、ポリエチレンを溶融押し出ししながら中間基材層(延伸PET、厚み15μm)を貼り合わせた。かかる工程により、基材層の絵柄層の反対側に、厚み15μmの接着剤層(溶融ポリエチレン)、中間基材層(延伸PET、厚み15μm)が形成された。
次いで、中間基材層の接着剤層とは反対側に、ポリウレタン系接着剤を用いたドライラミネート法により、実施例A1と同様のシーラント層を貼り合わせた積層体を得た。
次いで、上記工程で得られた積層体を断裁し、実施例A3で用いる蓋材(縦115mm、横160mmの略四角形形状)を得た。
実施例A3で用いる蓋材は、外層側から、発熱インキ層(注:発熱インキ層は面内の一部)、絵柄層、基材層(坪量150g/mの紙基材)、接着剤層、中間基材層(延伸PET)、接着剤層及びシーラント層を有している。
A−2.電子レンジ加熱用の蓋付容器の作製
次いで、実施例A1と同様にして、実施例A3の電子レンジ加熱用の蓋付容器を得た。なお、実施例A3の蓋付き容器において、発熱印刷層の長さは20mm、領域1Aの幅W1は4mm、領域2Aの幅W2は10mmであった。
[比較例A1]
蓋付容器を平面視した際に、領域1Aに発熱印刷層を有する一方で、領域2A及び領域3Aに発熱印刷層を有さないようにして発熱印刷層を形成した以外は、実施例A1と同様にして蓋材及び蓋付き容器を得た。比較例A1の蓋付き容器において、発熱印刷層の長さは20mm、領域1Aの幅W1は4mmであった。
A−3.評価
<蓋材の剥離蒸通>
実施例A1〜A3及び比較例A1の蓋付容器に水300mlを充填した評価用サンプルをそれぞれ20個作製した。各評価用サンプルを出力600Wの電子レンジで120秒間加熱し、蓋材が部分的に剥離して蒸通するか否かを目視で確認し、下記の基準でランク分けした。
A:全てのサンプルの蓋材が部分的に剥離し、蒸通したもの。
C:20個のサンプルのうち、1つでも剥離蒸通しなかったもの。
Figure 2021066500
表1に示した結果から、本発明の実施形態Aの電子レンジ加熱用の蓋付容器は、蓋材が剥離蒸通する確実性を高め得ることが確認できる。
<実施形態Bの実施例>
[実施例B1]
B−1.蓋材の作製
基材層(厚み12μmの延伸PETフィルム)の一方の表面に、コロナ放電処理を施した後、絵柄層形成インキをグラビア印刷して乾燥し、乾燥膜厚1.5μmの絵柄層を基材層の全面に形成した。
次いで、絵柄層上の一部に、導電性高分子を含むインキ(東京インキ株式会社製、品番MWヒート剤)をグラビア印刷して乾燥し、厚み0.5μmの発熱印刷層を形成した。該発熱印刷層は、蓋付容器を平面視した際に、領域1B、領域2B及び領域3Bに有する一方で、領域4Bには有しないようにして形成した(図8参照)。
次いで、発熱インキ層の表面に、ポリウレタン系接着剤を用いたドライラミネート法により、中間基材層(延伸Ny、厚み15μm)を貼り合わせた。
次いで、中間基材層の、発熱インキ層とは反対側に、ポリウレタン系接着剤を含む接着剤層形成インキを塗布、乾燥して接着剤層を形成した。
次いで、接着剤層上に、2層構成のシーラント層を押し出し温度300℃で共押出ラミネートして、シーラント層を形成した。2層のシーラント層のうち、接着剤層側の層は、エチレン−メタクリル酸共重合体(融点98℃)からなる厚み20μmの層であり、接着剤層から遠い側の層は、低密度ポリエチレン(融点105℃)とポリブテン−1(融点125℃)との混合物(質量比65:35)からなる厚み10μmの層である。
次いで、上記工程で得られた積層体を断裁し、実施例B1で用いる蓋材(縦160mm、横160mmの略四角形)を得た。
実施例B1で用いる蓋材は、外層側から、基材層(延伸PET)、絵柄層、発熱インキ層(注:発熱インキ層は面内の一部)、接着剤層、中間基材層(延伸Ny)、接着剤層及びシーラント層を有している。
B−2.電子レンジ加熱用の蓋付容器の作製
<容器本体>
開口部にフランジを有する紙製の容器本体を準備した。
該容器本体は、坪量350g/mの紙の両側の面に厚み30μmの樹脂層(ポリプロピレン)を有する部材を深絞り成形により得られたものである。なお、深絞り成形の際にフランジに生じる皺は超音波加工(特開2000−33927号公報参照)により平滑処理した。
該容器本体の平面視形状は略四角形であり、外縁に沿った形状は縦150mm、横150mmであった。また、フランジの幅は10mm、容器本体の深さは40mmであった。
<容器本体と蓋材との接着>
上記容器本体に、内容物として水を300g収納した後、実施例B1の蓋材を下記の条件でヒートシールして、実施例B1の電子レンジ加熱用の蓋付容器を得た。ヒートシーラーとして、シンワ機械社製トレーシーラーを用いた。ヒートシール領域の幅は5mmとした。なお、実施例B1の蓋付き容器において、発熱印刷層の長さは20mm、領域1Bの幅W1は7.5mm、領域2Bの幅W2は10mm、領域3Bの幅W3は2.5mmであった。
<実施例B1のヒートシール条件>
・温度:175℃
・時間:1.0秒
・圧力:0.5MPa(エアーシリンダー式)
[実施例B2]
蓋付容器を平面視した際に、領域1B、領域2B、領域3B及び領域4Bに発熱印刷層を有するようにして発熱印刷層を形成した以外は、実施例B1と同様にして蓋材及び蓋付き容器を得た(図10参照)。実施例B2の蓋付き容器において、発熱印刷層の長さは20mm、領域1Bの幅W1は7.5mm、領域2Bの幅W2は10mm、領域3Bの幅W3は2.5mm、領域4Bの幅W4は2mmであった。
[実施例B3]
B−1.蓋材の作製
基材層(坪量150g/mの紙基材)の一方の面の全面に、絵柄層形成インキをグラビア印刷して乾燥し、乾燥膜厚1.5μmの絵柄層を形成した。
次いで、絵柄層上の一部に、導電性高分子を含むインキ(東京インキ株式会社製、品番MWヒート剤)を用い、厚み0.5μmの発熱印刷層を形成した。該発熱印刷層は、蓋付容器を平面視した際に、領域1B、領域2B及び領域3Bに有する一方で、領域4Bには有しないようにして形成した(図8参照)。
次いで、基材層の絵柄層の反対側に、ポリエチレンを溶融押し出ししながら中間基材層(延伸PET、厚み15μm)を貼り合わせた。かかる工程により、基材層の絵柄層の反対側に、厚み20μmの接着剤層(溶融ポリエチレン)、中間基材層(延伸PET、厚み15μm)が形成された。
次いで、中間基材層の接着剤層とは反対側に、実施例B1と同様の接着剤層及びシーラント層を積層してなる積層体を得た。
次いで、上記工程で得られた積層体を断裁し、実施例B3で用いる蓋材(縦160mm、横160mmの略四角形形状)を得た。
実施例B3で用いる蓋材は、外層側から、発熱インキ層(注:発熱インキ層は面内の一部)、絵柄層、基材層(坪量150g/mの紙基材)、接着剤層、中間基材層(延伸PET)、接着剤層及びシーラント層を有している。
B−2.電子レンジ加熱用の蓋付容器の作製
次いで、実施例B1と同様にして、実施例B3の電子レンジ加熱用の蓋付容器を得た。なお、実施例A3の蓋付き容器において、発熱印刷層の長さは20mm、領域1Bの幅W1は7.5mm、領域2Bの幅W2は10mm、領域3Bの幅W3は2.5mm、領域4Bの幅W4は2mmであった。
[比較例B1]
蓋付容器を平面視した際に、領域1Bに発熱印刷層を有する一方で、領域2B〜4Bに発熱印刷層を有さないようにして発熱印刷層を形成した以外は、実施例B1と同様にして蓋材及び蓋付き容器を得た。比較例B1の蓋付き容器において、発熱印刷層の長さは20mm、領域1Bの幅W1は7.5mmであった。
B−3.評価
<蓋材の剥離>
実施例B1〜B3及び比較例B1の蓋付容器に水300mlを充填した評価用サンプルをそれぞれ20個作製した。各評価用サンプルを出力600Wのテーブルレス式の電子レンジで120秒間加熱し、
蓋材が部分的に剥離して蒸通するか否かを目視で確認し、下記の基準でランク分けした。
A:全てのサンプルの蓋材が部分的に剥離し、蒸通したもの。
C:20個のサンプルのうち、1つでも剥離蒸通しなかったもの。
Figure 2021066500
表2に示した結果から、本発明の実施形態Bの電子レンジ加熱用の蓋付容器は、蓋材が剥離蒸通する確実性を高め得ることが確認できる。
10 容器本体
11 開口部
12 フランジ
12a フランジの内周縁
12b フランジの外周縁
16 胴部
17 底部
H ヒートシール領域
H1 ヒートシール領域の内周縁
H2 ヒートシール領域の外周縁
20 蓋材
21 基材層
23 絵柄層
25 シーラント層
26 発熱印刷層
26a 発熱印刷層を有する領域
27 摘持部
100 電子レンジ加熱用の蓋付容器

Claims (10)

  1. 開口部にフランジを有し、内容物を収容するプラスチック製の容器本体と、前記容器本体を封止する蓋材とを備えた蓋付容器であって、
    前記容器本体のフランジの平均厚みをT1、前記容器本体のフランジ以外の箇所の平均厚みをT2と定義した際に、T2<T1の関係であり、
    前記蓋材は、基材層及びシーラント層を有するとともに、前記基材層と前記シーラント層との間の一部又は前記基材層の前記シーラント層とは反対側の一部に発熱印刷層を有し、
    前記蓋付容器は、前記フランジの少なくとも一部と前記シーラント層とがヒートシールされてなるヒートシール領域により封止されてなり、
    前記蓋付容器を平面視した際に、前記発熱印刷層を下記領域1A及び領域2Aに有する、電子レンジ加熱用の蓋付容器。
    <領域1A>
    前記ヒートシール領域の外周縁の周方向の一部から前記フランジの内周縁の周方向の一部を結ぶ領域。
    <領域2A>
    前記領域1Aから連続する領域であって、前記フランジの内周縁より内側の領域。
  2. 前記領域2Aの前記発熱印刷層の幅が1〜15mmである、請求項1に記載の電子レンジ加熱用の蓋付容器。
  3. 前記フランジの外周縁よりも前記ヒートシール領域の外周縁が前記蓋付容器の内側に位置してなり、前記蓋付容器を平面視した際に、前記発熱印刷層をさらに下記領域3Aに有する、請求項1又は2に記載の電子レンジ加熱用の蓋付容器。
    <領域3A>
    前記領域1Aから連続する領域であって、前記ヒートシール領域の外周縁から前記フランジの外周縁までの領域。
  4. 前記蓋付容器を平面視した際の前記発熱印刷層の外から内への延伸方向であるD1と、前記フランジの内周縁の接線に直交する方向であるD2とが略平行である、請求項1〜3の何れか1項に記載の電子レンジ加熱用の蓋付容器。
  5. 開口部にフランジを有し、内容物を収容する紙製の容器本体と、前記容器本体を封止する蓋材とを備えた蓋付容器であって、
    前記容器本体の紙の坪量が150〜400g/mであり、
    前記蓋材は、基材層及びシーラント層を有するとともに、前記基材層と前記シーラント層との間の一部又は前記基材層の前記シーラント層とは反対側の一部に発熱印刷層を有し、
    前記蓋付容器は、前記フランジの少なくとも一部と前記シーラント層とがヒートシールされてなるヒートシール領域により封止されてなり、
    前記蓋付容器を平面視した際に、前記発熱印刷層を下記領域1B及び領域2Bに有する、電子レンジ加熱用の蓋付容器。
    <領域1B>
    前記ヒートシール領域の外周縁の周方向の一部から前記フランジの内周縁の周方向の一部を結ぶ領域。
    <領域2B>
    前記領域1Bから連続する領域であって、前記フランジの内周縁より内側の領域。
  6. 前記領域2Bの前記発熱印刷層の幅が1〜15mmである、請求項5に記載の電子レンジ加熱用の蓋付容器。
  7. 前記フランジの外周縁よりも前記ヒートシール領域の外周縁が前記蓋付容器の内側に位置してなり、前記蓋付容器を平面視した際に、前記発熱印刷層をさらに下記領域3Bに有する、請求項5又は6に記載の電子レンジ加熱用の蓋付容器。
    <領域3B>
    前記領域1Bから連続する領域であって、前記ヒートシール領域の外周縁から前記フランジの外周縁までの領域。
  8. 前記蓋材が前記フランジの外周縁より外側に突出してなり、前記蓋付容器を平面視した際に、前記発熱印刷層をさらに下記領域4Bに有する、請求項5〜7の何れか1項に記載の電子レンジ加熱用の蓋付容器。
    <領域4B>
    前記領域1Bから連続する領域であって、前記フランジの外周縁より外側の領域。
  9. 前記領域4Bの前記発熱印刷層の幅が0.5〜10mmである、請求項8に記載の電子レンジ加熱用の蓋付容器。
  10. 前記蓋付容器を平面視した際の前記発熱印刷層の外から内への延伸方向であるD1と、前記フランジの内周縁の接線に直交する方向であるD2とが略平行である、請求項5〜9の何れか1項に記載の電子レンジ加熱用の蓋付容器。
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