JP2024056967A - パウチ - Google Patents

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JP2024056967A JP2024023805A JP2024023805A JP2024056967A JP 2024056967 A JP2024056967 A JP 2024056967A JP 2024023805 A JP2024023805 A JP 2024023805A JP 2024023805 A JP2024023805 A JP 2024023805A JP 2024056967 A JP2024056967 A JP 2024056967A
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靖也 飯尾
和佳子 仙頭
紘基 阿久津
和弘 多久島
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Abstract

【課題】電子レンジでの加熱の際に、パウチの破袋を抑制でき、かつ安定して蒸気抜きができるパウチを提供する。【解決手段】本発明の一の態様によれば、包装材料を含み、かつ収容空間10Aを有するパウチ10であって、シール部15が、収容空間10Aの圧力の増加により剥離するように構成された蒸気抜きシール部24を備え、パウチ10は、蒸気抜きシール部24を剥離させて蒸気抜けすることができるように構成されており、包装材料は、100℃の環境下で1分間保持した後、100℃の環境下で測定したときの一方向の破断強度が、33.0MPa以上であり、シール部15は、100℃の環境下で1分間保持した後、100℃の環境下で測定したときのシール強度が、20.0N以下である、パウチ10が提供される。【選択図】図1

Description

本発明は、パウチに関する。
従来から、電子レンジで加熱可能であり、レトルト食品や冷凍食品等の内容物を収容可
能なスタンディング形式のパウチが広く利用に供されている。このようなパウチは、電子
レンジ内で自立するように構成されているとともに、電子レンジでの加熱に伴って発生す
る蒸気を自動的にパウチの外部へ逃がす蒸気抜き機構を備えている(例えば、特許文献1
参照)。
特許第4029590号
このようなパウチを電子レンジで加熱すると、過度な圧力が加わり、蒸気抜き機構から
蒸気抜きができず、パウチが破袋することがあり、また破袋しなかったとしても蒸気抜き
機構以外の箇所が開いてしまうことがある。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものである。電子レンジでの加熱の際に
、パウチの破袋を抑制でき、かつ安定して蒸気抜きができるパウチを提供することを目的
とする。
本発明は、以下の発明を含む。
[1]包装材料を含み、かつ収容空間を有するパウチであって、前記包装材料が、第1の二
軸延伸プラスチックフィルムと、第2の二軸延伸プラスチックフィルムと、シーラントフ
ィルムとをこの順に備え、前記シーラントフィルムが、ポリプロピレンを主成分とし、前
記包装材料中に二軸延伸プラスチックフィルムは2枚のみであり、前記パウチを密封する
ためのシール部を備え、前記シール部が、前記収容空間の圧力の増加により剥離するよう
に構成された蒸気抜きシール部を備え、前記パウチは、前記蒸気抜きシール部を剥離させ
て蒸気抜けすることができるように構成されており、前記包装材料は、100℃の環境下
で1分間保持した後、100℃の環境下で測定したときの一方向の破断強度が、33.0
MPa以上であり、100℃の環境下で1分間保持した後、100℃の環境下で測定した
ときの前記シール部のシール強度が、20.0N以下である、パウチ。
[2]前記シーラントフィルムの前記一方向における引張伸度(%)と厚さ(μm)の積が
、50000を越える、上記[1]に記載のパウチ。
[3]前記シーラントフィルムの前記一方向と直交する方向における引張伸度(%)と厚さ
(μm)の積が、55000を越える、上記[1]または[2]に記載のパウチ。
[4]前記シーラントフィルムが、プロピレン・エチレンブロック共重合体と、エラストマ
ーとを含む、上記[1]ないし[3]のいずれか一項に記載のパウチ。
[5]前記第1の二軸延伸プラスチックフィルムが二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフ
ィルムであり、前記第2の二軸延伸プラスチックフィルムが二軸延伸ポリエチレンテレフ
タレートフィルムまたは二軸延伸ナイロンフィルムである、上記[1]ないし[4]のいずれ
か一項に記載のパウチ。
[6]前記包装材料が、前記第1の二軸延伸プラスチックフィルムと第2の二軸延伸プラス
チックフィルムの間に設けられた透明蒸着層をさらに備え、前記透明蒸着層が、金属酸化
物または無機酸化物を含む、上記[1]ないし[5]のいずれか一項に記載のパウチ。
[7]前記包装材料が、前記透明蒸着層の面上に設けられた透明ガスバリア性塗布膜をさら
に備える、上記[6]に記載のパウチ。
[8]前記包装材料が、前記第1の二軸延伸プラスチックフィルムと前記シーラントフィ
ルムの間に設けられた遮光印刷層をさらに備え、前記包装材料の全光線透過率が、25.
0%以下である、上記[1]ないし[7]のいずれか一項に記載のパウチ。
[9]前記包装材料のSCE方式(正反射光除去方式)で測定したL表色系に
おけるL値が、65.0以上である、上記[8]に記載のパウチ。
[10]前記パウチの前記収容空間に内容物が収容されている、上記[1]ないし[9]のいず
れか一項に記載のパウチ。
本発明の一の態様によれば、電子レンジでの加熱の際に、パウチの破袋を抑制でき、か
つ安定して蒸気抜きができるパウチを提供できる。
図1は、実施形態に係るパウチの正面図である。 図2は、図1に示されるパウチの各構成要素の寸法を説明するための図である。 図3は、パウチに用いられる包装材料の断面図である。 図4は、包装材料の熱間破断強度を測定するための試験片をパウチのおもて面から切り出すときの図である。 図5は、包装材料の熱間破断強度を測定するための試験片をパウチの裏面から切り出すときの図である。 図6は、試験片を用いて熱間破断強度を測定する様子を示す図である。 図7は、包装材料の熱間シール強度を測定するための試験片をパウチから切り出すときの図である。 図8は、試験片を用いて熱間シール強度を測定する様子を示す図である。 図9は、熱間シール強度(最大引張強度)を説明する図である。 図10は、パウチに用いられる他の包装材料の断面図である。 図11は、包装材料の全光線透過率を測定するための試験片をパウチのおもて面から切り出すときの図である。 図12は、包装材料の全光線透過率を測定するための試験片をパウチの裏面から切り出すときの図である。 図13は、包装材料のL値を測定するための試験片をパウチのおもて面から切り出すときの図である。
以下、本発明の実施形態に係るパウチについて、図面を参照しながら説明する。本明細
書において、「フィルム」、「シート」等の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いか
ら区別されるものではない。したがって、例えば、「フィルム」はシートとも呼ばれるよ
うな部材も含む意味で用いられる。図1は、実施形態に係るパウチの正面図であり、図2
は、図1に示されるパウチの各構成要素の寸法を説明するための図であり、図3は、パウ
チに用いられる包装材料の断面図である。図4は、包装材料の熱間破断強度を測定するた
めの試験片をパウチのおもて面から切り出すときの図であり、図5は、包装材料の熱間破
断強度を測定するための試験片をパウチの裏面から切り出すときの図であり、図6は、試
験片を用いて熱間破断強度を測定する様子を示す図である。図7は、包装材料の熱間シー
ル強度を測定するための試験片をパウチから切り出すときの図であり、図8は、試験片を
用いて熱間シール強度を測定する様子を示す図であり、図9は、熱間シール強度(最大引
張強度)を説明する図である。図10は、パウチに用いられる他の包装材料の断面図であ
り、図11は、包装材料の全光線透過率を測定するための試験片をパウチのおもて面から
切り出すときの図であり、図12は、包装材料の全光線透過率を測定するための試験片を
パウチのおもて面から切り出すときの図であり、図13は、包装材料のL値を測定する
ための試験片をパウチのおもて面から切り出すときの図である。
<<<パウチ>>>
図1に示されるパウチ10は、スタンディング形式のパウチであり、内容物を収容する
収容空間10Aを有している。内容物としては、特に限定されないが、固体、液体、また
はこれらの混合物が挙げられる。内容物としては例えば、カレー、シチュー、スープ等の
調理済食品が挙げられる。調理済食品は、ボイル処理やレトルト処理などの加熱殺菌処理
が施されていてもよい。すなわち、内容物として、加熱殺菌食品や加圧加熱殺菌食品が収
容されていてもよい。「レトルト処理」とは、内容物をパウチに充填してパウチを密封し
た後、蒸気または加熱温水を利用してパウチを加圧状態で加熱する処理である。レトルト
処理の温度は、例えば120℃以上である。パウチは、内容物が充填されていない状態の
パウチに限らず、内容物が充填されている状態のパウチも含む概念である。
図1に示されるパウチ10は、おもて面フィルム11、裏面フィルム12および底面フ
ィルム13を有している。おもて面フィルム11および裏面フィルム12は、矩形の輪郭
を有している。図1に示される状態においては、底面フィルム13は2つ折りの状態とな
っている。
パウチ10は、上部10B、上部10Bとは反対側の底部10C、上部10Bと底部1
0Cの間で延びる第1側部10Dおよび第2側部10Eとを有している。第2側部10E
は、第1側部10Dとは反対側の側部である。また、本明細書における「上」、「下」、
「側」、「底」の位置は、パウチを自立させた状態での位置を意味している。
パウチ10の幅W1(図2参照)に対するパウチ10の高さH(図2参照)の比(H/
W1)は、0.6以上2.0以下であることが好ましい。H/W1が0.6以上であれば
、より多くの内容物を収容でき、またH/W1が2.0以下であれば、開封前の状態でパ
ウチ10を安定して自立させることができる。パウチ10の高さHとは、後述する第1側
部シール部16が延びる方向と平行なY方向DRYにおけるパウチ10の下縁10Gから
パウチ10の上縁10Fまでの長さである。パウチの長さが一定でない場合には、パウチ
の高さは最も大きい値とする。パウチ10の幅W1とは、Y方向DRYと直交するX方向
DRXにおけるパウチ10の第1側部10D側の側縁10Hから第2側部10Eの側縁1
0Iまでの長さである。パウチの幅W1が一定でない場合には、パウチの幅は最も短い値
とする。本実施形態におけるパウチの寸法およびパウチを構成する各構成要素の寸法は、
全て、パウチの底部ガセット部を広げずにパウチをほぼ平面状にした状態で測定した値と
する。H/W1の下限は、0.70以上、0.75以上、0.80以上、0.85以上、
または0.90以上となっていてもよく、またH/W1の上限は、1.90以下、1.8
0以下、1.70以下、1.60以下、または1.50以下となっていてもよい。
図1に示されるようにパウチ10は、底部10C側にガセット方式で折り込んだ底部ガ
セット部14を有している。なお、図1に示されるパウチ10は、スタンディング形式の
パウチであるが、パウチは平面状のパウチ(平パウチ)であってもよい。
<底部ガセット部>
底部ガセット部14は、おもて面フィルム11の一部と、裏面フィルム12の一部と、
底面フィルム13と、によって構成されている。底面フィルム13は、折込線14Aを介
して第1部分と第2部分に区画されている。おもて面フィルム11の一部と底面フィルム
13の第1部分によって第1ひだ部が形成され、裏面フィルム12の一部と底面フィルム
13の第2部分によって第2ひだ部が形成されている。底部ガセット部14を設けること
により、より大きな内容物を収容したり、内容物の収容量を増やしたりすることができる
とともにパウチ10を自立させることができる。
Y方向DRYにおいて、パウチ10の高さHに対する底部ガセット部14の折込幅W2
(図2参照)の比(W2/H)は0.1以上0.5以下であることが好ましい。上記W2
/Hが0.1以上であれば、より多くの内容物を収容できる。また、W2/Hが0.5以
下であれば、パウチ10を自立させたときに、パウチを安定して自立させることができる
。底部ガセット部14の折込幅W2とは、Y方向DRYにおける底部ガセット部14の長
さである。具体的には、底部10Cの下縁10Gから折込線14Aまでの長さである。底
部ガセット部の幅が一定でない場合には、底部ガセット部の幅は最も短い値とする。W2
/Hの下限は、0.15以上または0.20以上となっていることがより好ましく、また
W2/Hの上限は、0.45以下、0.40以下、0.35以下、または0.30以下と
なっていることがより好ましい。底部ガセット部14の折込幅W2は、20mm以上50
mm以下となっていてもよい。底部ガセット部14の折込幅W2の下限は、25mm以上
、30mm以上、35mm以上、または40mm以上となっていることがより好ましい。
図1に示されるようにパウチ10は、パウチ10を密閉するためのシール部15を備え
ている。パウチ10におけるシール部15は、第1側部10Dに形成された第1側部シー
ル部16と、第2側部10Eに形成された第2側部シール部17と、底部10Cに形成さ
れた第1底部シール部18および第2底部シール部19と、側縁10H、10I側にそれ
ぞれ形成された底部補助シール部20と、パウチ10の収容空間10Aの圧力の増加によ
って剥離するように構成された蒸気抜きシール部24とを備えている。なお、図1におい
てはパウチ10の上部は開口しているが、内容物を収容空間10Aに充填した後、熱融着
されて、図1における上縁10Fと二点鎖線で囲まれた上部シール部予定領域Rに上部シ
ール部が形成され、パウチ10が密封される。上部シール部が形成された場合、上部シー
ル部の幅W5(図2参照)は、例えば、2mm以上15mm以下となっていることが好ま
しい。上部シール部の幅W5の下限は、3mm以上、4mm以上、または5mm以上とな
っていることがより好ましく、上限は、14mm以下、13mm以下、または12mm以
下となっていることがより好ましい。
<第1側部シール部および第2側部シール部>
第1側部シール部16は、第1側部10Dにおいて、おもて面フィルム11と裏面フィ
ルム12を互いに接合した部分であり、折込線14Aから上縁10Fに亘って形成されて
いる。第2側部シール部17は、第2側部10Eにおいて、おもて面フィルム11と裏面
フィルム12を互いに接合した部分であり、折込線14Aからパウチ10の上縁10Fに
亘って形成されている。第1側部シール部16および第2側部シール部17の形成の際の
おもて面フィルム11と裏面フィルム12の接合は、ヒートシール(熱融着)によって行
われる。
第1側部シール部16および第2側部シール部17の幅W3(図2参照)は、例えば、
それぞれ2mm以上15mm以下となっていることが好ましい。第1側部シール部16お
よび第2側部シール部17の幅W3がそれぞれ2mm以上であれば、第1側部シール部1
6および第2側部シール部17において確実にシールすることができ、また15mm以下
であれば、収容空間10Aをより広く確保することができる。本明細書において、各シー
ル部における「幅」とは、シール部の延びる方向に直交する方向の長さを意味する。なお
、シール部の幅が一定でない場合には、シール部の幅は、シール部の延びる方向に直交す
る方向の長さのうち最も短い値とする。幅W3の下限は、4mm以上または6mm以上で
あることがより好ましく、また上限は、12mm以下、10mm以下、または8mm以下
であることがより好ましい。
<第1底部シール部および第2底部シール部>
第1底部シール部18は、おもて面フィルム11の一部と底面フィルム13の一部を互
いに接合した部分であり、第2底部シール部19は、裏面フィルム12の一部と底面フィ
ルム13の一部を互いに接合した部分である。第1底部シール部18は、おもて面フィル
ム11と底面フィルム13を熱融着することによって形成されており、第2底部シール部
19は、裏面フィルム12と底面フィルム13を熱融着することによって形成されている
<底部補助シール部>
底部補助シール部20は、折込線14Aよりも下方で、かつ、パウチ10の側縁10H
、10Iを含むように形成されている。底部補助シール部20は、おもて面フィルム11
と裏面フィルム12を互いに接合した部分である。底部補助シール部20は、底面フィル
ム13に設けられた切欠きを介しておもて面フィルム11と裏面フィルム12を熱融着す
ることによって形成されている。したがって、内容物を充填する際に、底面フィルム13
の広がりを阻害せず、かつ安定してパウチ10を自立させることができる。なお、切欠き
の代わりに、底面フィルム13に貫通孔を設けるようにしてもよい。
図1に示されるように、第1側部シール部16および第2側部シール部17には、開封
の際の起点となり得る開封開始手段21が設けられている。開封開始手段21は、第1側
部シール部16および第2側部シール部17のいずれかに設けられていればよい。
<<開封開始手段>>
開封開始手段21は、パウチ10の開封の際の起点となり得るものである。一方の開封
開始手段21よりも上側の第1側部シール部16または第2側部シール部17を把持し、
手前に引く、または奥側に押すことによりパウチ10を開封することができる。開封開始
手段21としては、切込みや切欠き等が挙げられる。図1に示される開封開始手段21は
、切込みとなっている。
パウチ10の第1側部10Dには、電子レンジによる加熱に伴って発生する蒸気によっ
てパウチ10内の圧力が高まった際に、パウチ10内の蒸気を外部へ逃がすため蒸気抜き
機構22が設けられている。
<<蒸気抜き機構>>
図1に示される蒸気抜き機構22は、収容空間10Aから隔離されたシールされていな
い第1未シール部23と、第1未シール部23を収容空間10Aから隔離し、かつ第1側
部シール部16より収容空間10A側に張り出した蒸気抜きシール部24とから構成され
ている。
<第1未シール部>
第1未シール部23は、おもて面フィルム11および裏面フィルム12の側縁に達した
蒸気口となる開口23Aを有しており、開口23Aを介して外部と連通している。
<蒸気抜きシール部>
蒸気抜きシール部24は、第1側部シール部16に連設されている。図1に示される蒸
気抜きシール部24は、一端が第1側部シール部16の上部16Aに繋がっており、他端
が下部16Bに繋がっている。これにより、第1未シール部23が、収容空間10Aから
隔離されている。蒸気抜きシール部24の幅W4(図2参照)は、例えば2.5mm以上
6mm以下に設定される。蒸気抜きシール部24の幅W4の下限は、3.0mm以上、3
.5mm以上、または4.0mm以上となっていることがより好ましく、上限は、5.5
mm以下となっていることがより好ましい。
蒸気抜きシール部24は、加熱に伴ってパウチ10内の圧力が所定の圧力となったとき
に剥離するものであり、これにより収容空間10Aと第1未シール部23が連通して、収
容空間10A内の蒸気が自動的に第1未シール部23を介して、パウチ10の外部に放出
される。また、蒸気抜きシール部24が第1側部シール部16よりも収容空間10A側に
張り出しているので、電子レンジでの加熱に伴ってパウチ10内の圧力が高まった際に、
蒸気抜きシール部24に応力が集中しやすくなる。また、蒸気抜きシール部24から剥離
が進行しやすいので、第1側部シール部16等から剥離が進行することを抑制することが
できる。
なお、蒸気抜き機構22は、蒸気抜きシール部24を剥離させて蒸気抜けさせることが
できるように構成されていればよく、上述の例に限らない。
また、パウチ10には、第2側部シール部17に、第2未シール部25が形成されてい
るが、これは、パウチ10を製造する際に、第1未シール部23がおもて面フィルム11
および裏面フィルム12の側縁に開口23Aを形成するのを保証すべく設けられている。
すなわち、第2未シール部25は、パウチ10の製造効率を高めるために設けられたもの
である。第2未シール部25は、おもて面フィルム11および裏面フィルム12の側縁に
達して開口している。なお、第2未シール部25は、必ずしも設けられていなくてもよい
<<包装材料>>
おもて面フィルム11および裏面フィルム12は、図3に示される包装材料30から構
成されている。また、底面フィルム13は、図3に示される包装材料30から構成されて
いてもよい。包装材料30は、少なくとも、第1の二軸延伸プラスチックフィルム31と
、第2の二軸延伸プラスチックフィルム32と、シーラントフィルム33とをこの順に備
えている。包装材料30は、金属箔層を含んでいないものである。包装材料30は、包装
材料30中に二軸延伸プラスチックフィルムを2枚のみ有している。シーラントフィルム
33は、パウチ10の内面を構成する層である。図3に示される包装材料30は、例えば
、第1の二軸延伸プラスチックフィルム31、絵柄印刷層34、第1接着剤層35、第2
の二軸延伸プラスチックフィルム32、第2接着剤層36およびシーラントフィルム33
をこの順で備えている。なお、包装材料は、第1の二軸延伸プラスチックフィルム31と
シーラントフィルム33との間に、所望の機能を発揮する機能層をさらに備えていてもよ
い。機能層としては、例えば、透明蒸着層や透明ガスバリア性塗布膜等が挙げられる。パ
ウチ10は、ロール状に巻き取られた包装材料30を連続的に搬送しながら作製すること
ができる。
包装材料30は、100℃の環境下で1分間保持した後、100℃の環境下で測定した
ときの一方向の破断強度(熱間破断強度)が、33.0MPa以上となっている。包装材
料30における一方向の上記熱間破断強度は、36.0MPa以上であることが好ましく
、39.0MPa以上であることがより好ましく、42.0以上であることがさらに好ま
しく、45.0MPa以上であることがことさら好ましい。包装材料30における一方向
と直交する方向における上記熱間破断強度は、29.0MPa以上であることが好ましく
、32.0MPa以上であることがより好ましく、35.0MPa以上であることがさら
に好ましく、38.0MPa以上であることが最も好ましい。包装材料30における上記
一方向の上記熱間破断強度は、50.0MPa以下であることが好ましく、包装材料30
における一方向と直交する方向の上記熱間破断強度は、45.0MPa以下であることが
好ましい。包装材料30の一方向は、例えば、パウチ10におけるX方向DRX(図1参
照)であり、包装材料30の一方向と直交する方向は、例えば、パウチ10におけるY方
向DRYであってもよい。また、例えば、包装材料30の流れ方向(MD)がパウチ10
のX方向DRXに該当し、例えば、包装材料30の幅方向(TD)がパウチ10のY方向
DRYに該当してもよい。また、例えば、包装材料30の一方向が流れ方向(MD)に該
当し、例えば、包装材料の一方向と直交する方向が幅方向(TD)に該当していてもよい
包装材料30の熱間破断強度の測定は、後述する試験片S1、S2の長さ以外について
は、JIS K7127に準拠して行なうものとする。まず、パウチ10のおもて面フィ
ルム11から、シール部15を含まないようにして、一辺L1(図4参照)が15mm、
一辺L1と直交する方向に延びる他辺L2(図4参照)が100mmの長方形状の試験片
S1(図4参照)を5個切り出す。試験片S1は、他辺L2がX方向DRX(第1側部シ
ール部16が延びる方向と直交する方向)と平行になるように切り出す。続いて、パウチ
10の裏面フィルム12から、シール部15を含まないようにして、一辺L1(図5参照
)が15mm、一辺L1と直交する方向に延びる他辺L2(図5参照)が100mmの長
方形状の試験片S2(図5参照)を5個切り出す。試験片S2は、他辺L2がY方向DR
Y(第1側部シール部16が延びる方向と平行な方向)と平行になるように切り出す。そ
して、テンシロン万能材料試験機RTC-1310A(株式会社エー・アンド・デイ製)
を用いて、試験片S1の熱間破断強度を測定する。具体的には、まず、図6に示されるよ
うに把持具51、52で試験片S1の長手方向の両端部を把持する。なお、図6において
は、試験片S1、S2の層構成を一部省略している。そして、温度100℃、相対湿度5
%の環境下に試験片S1を1分間保持した後に、温度100℃、相対湿度5%の環境下で
初期把持具間距離D1(図6参照)を50mmとした状態で、引張速度300mm/分で
試験片S1を試験片S1の長手方向に引張る引張試験を行い、試験片S1の熱間破断強度
を測定する。試験片S2の熱間破断強度も試験片S1と同様の測定条件によって測定する
。そして、5個の試験片S1について、熱間破断強度を測定し、その平均値を包装材料3
0のX方向DRXの熱間破断強度とする。また、5個の試験片S2について、熱間破断強
度を測定し、その平均値を包装材料30のY方向DRYの熱間破断強度とする。
包装材料30は、100℃の環境下で1分間保持した後、100℃の環境下で測定した
ときのシール強度(熱間シール強度)が、20.0N以下となっている。熱間シール強度
は、15.0N以下であることが好ましく、12.0N以下であることがより好ましく、
10.0N以下であることがさらに好ましい。また、熱間シール強度が低すぎると、内容
物が十分に加熱および加圧されるよりも前に蒸気抜きシール部24が剥離して収容空間1
0Aの圧力および温度が低下してしまうことが考えられる。この点を考慮すると、パウチ
10のシール部15の熱間シール強度は、好ましくは4N以上であり、より好ましくは5
N以上である。なお、レトルト処理などの殺菌処理によっても、蒸気抜きシール部24の
シール強度が変化し得るが、パウチ10にレトルト処理が施される場合には、特に断らな
い限り、「シール部のシール強度」とは、レトルト処理が施された後のパウチにおけるシ
ール部のシール強度を意味する。
包装材料30の熱間シール強度の測定においては、まず、パウチを1つ準備する。パウ
チについて、第1側部シール部16または第2側部シール部17を含み、おもて面フィル
ム11と裏面フィルム12が接合された状態の一辺L3(図7参照)が15mm、一辺L
3と直交する方向に延びる他辺L4(図7参照)が70mmの長方形状の試験片S3(図
7参照)を5個切り出す。例えば、図7に示すように、第1側部シール部16を含むよう
に3個、第2側部シール部17を含むように2個の試験片S3を切り出す。試験片S3は
、他辺L4がX方向DRX(第1側部シール部16が延びる方向と直交する方向)と平行
になるように、かつ、蒸気抜きシール部24を含まないように、第1側部シール部16側
から3個および第2側部シール部17側から2個切り出す。この試験片S3を用いて、熱
間シール強度を測定する。熱間シール強度は、JIS Z1707:1997 7.5に
準拠してテンシロン万能材料試験機RTC-1310A(株式会社エー・アンド・デイ製
)用いて測定する。まず、上記試験片S3の未シール部における2枚の包装材料30をそ
れぞれ、上記試験機の把持具53、54(図8参照)で把持する。なお、図8においては
、試験片S3の層構成を一部省略している。そして、把持具53、54をそれぞれ、試験
片S3のシール部の面方向に対して直交する方向において互いに逆向きに、300mm/
分の速度で引っ張り、引張応力の最大値を測定する。そして、最大値の平均値をシール強
度とする(図9参照)。熱間シール強度の測定は、試験片S3を温度100℃、相対湿度
5%の環境下で1分間保持した後100℃、相対湿度5%の環境下で行われる。5個の試
験片S3について、熱間シール強度を測定し、その平均値をパウチの熱間シール強度とす
る。
<二軸延伸プラスチックフィルム>
二軸延伸プラスチックフィルムとは、プラスチックフィルムの機械強度を向上させるた
めに、意図的に延伸加工が施されたプラスチックフィルムである。本発明において、二軸
延伸プラスチックフィルムとは、以下の(a)または(b)の少なくともどちらか一方を
満たすものを指す。
(a)ヤング率が一方向および一方向と直交する方向において1000MPa以上
(b)引張伸度が一方向および一方向と直交する方向において200%以下
二軸延伸プラスチックフィルムのヤング率および引張伸度の測定は、JIS K712
7に準拠して行うものとする。テンシロン万能材料試験機RTC-1310A(株式会社
エー・アンド・デイ製)を用いて、温度25℃、相対湿度50%の環境下に試験片を1分
間保持した後に、温度25℃、相対湿度50%の環境下で試験片のヤング率測定および引
張伸度測定を行う。一辺が15mm、一辺と直交する方向に延びる他辺が150mmの長
方形状の試験片を用いて測定を行い、初期把持具間距離は100mm、引張速度は300
mm/分とする。なお、初期把持具間距離を100mmとして測定することができる限り
において、一辺と直交する方向の長さは調整可能である。
(第1の二軸延伸プラスチックフィルム)
第1の二軸延伸プラスチックフィルム31は、所定の二方向において延伸されているプ
ラスチックフィルムである。第1の二軸延伸プラスチックフィルム31は、包装材料30
に所定の強度を持たせるための基材フィルムとして機能する。第1の二軸延伸プラスチッ
クフィルム31の延伸方向は特には限定されない。例えば、第1の二軸延伸プラスチック
フィルム31は、側縁10Hが延びる方向およびこの方向に直交する方向において延伸さ
れていてもよい。第1の二軸延伸プラスチックフィルム31の延伸倍率は、例えば1.0
5倍以上である。
第1の二軸延伸プラスチックフィルム31は、ポリエステルを主成分として含むことが
好ましい。本明細書における「ポリエステルを主成分として含む」とは、二軸延伸プラス
チックフィルムが50質量%を超えるポリエステルを含むことを意味する。ポリエステル
の例としては、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETとも記す)、ポリブチレンテ
レフタレート(以下、PBTとも記す)などを挙げることができる。なお、第1の二軸延
伸プラスチックフィルム31における、50質量%を超えるポリエステルは、一種類のポ
リエステルによって構成されていてもよく、二種類以上のポリエステルによって構成され
ていてもよい。第1の二軸延伸プラスチックフィルムとして、二軸延伸PETフィルムを
用いることができる。二軸延伸PETフィルムは、PETを80質量%以上含むことが好
ましい。さらに、二軸延伸PETフィルムは、PETを90質量%以上含むことがより好
ましく、95%以上含むことがさらに好ましい。
第1の二軸延伸プラスチックフィルム31の厚みは、好ましくは8μm以上であり、よ
り好ましくは9μm以上であり、さらに好ましくは12μm以上である。また、第1の二
軸延伸プラスチックフィルム31の厚みは、好ましくは30μm以下であり、より好まし
くは25μm以下であり、さらに好ましくは20μm以下である。第1の二軸延伸プラス
チックフィルム31の厚みを8μm以上にすることにより、第1の二軸延伸プラスチック
フィルム31が十分な強度を有するようになる。また、第1の二軸延伸プラスチックフィ
ルム31の厚みを30μm以下にすることにより、第1の二軸延伸プラスチックフィルム
31が優れた成形性を示すようになる。このため、包装材料30を加工してパウチ10を
製造する工程を効率的に実施することができる。
(第2の二軸延伸プラスチックフィルム)
第2の二軸延伸プラスチックフィルム32は、例えば、第1の二軸延伸プラスチックフ
ィルム31と同様に、所定の二方向において延伸されている基材フィルムである。例えば
、第2の二軸延伸プラスチックフィルム32は、側縁10Hが延びる方向およびこの方向
と直交する方向において延伸されていてもよい。第2の二軸延伸プラスチックフィルム3
2も、第1の二軸延伸プラスチックフィルム31と同様に、包装材料30に所定の強度を
持たせるための基材フィルムとして機能する。第2の二軸延伸プラスチックフィルム32
の延伸方向も、第1の二軸延伸プラスチックフィルム31の場合と同様に特には限定され
ない。
第2の二軸延伸プラスチックフィルム32は、ポリアミドを主成分として含む二軸延伸
プラスチックフィルム、または、ポリエステルを主成分として含む二軸延伸プラスチック
とすることが好ましい。本明細書における「ポリアミドを主成分として含む」とは、第2
の二軸延伸プラスチックフィルムが50質量%を超えるポリアミドを含むことを意味する
。ポリアミドの例としては、脂肪族ポリアミドまたは芳香族ポリアミドを挙げることがで
きる。脂肪族ポリアミドとてしてはナイロン-6、ナイロン-6,6、ナイロン6とナイ
ロン6,6との共重合体などのナイロンが挙げられ、芳香族ポリアミドとしては、ポリメ
タキシレンアジパミド(MXD6)などが挙げられる。第2の二軸延伸プラスチックフィ
ルム32がポリアミドを主成分として含むことにより、第2の二軸延伸プラスチックフィ
ルム32を備える包装材料30の突き刺し強度を高めることができる。ポリエステルの例
としては、第1の二軸延伸プラスチックフィルムの欄に記載されたポリエステルが挙げら
れる。第2の二軸延伸プラスチックフィルムとして、二軸延伸ナイロンフィルムや二軸延
伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを用いることができる。二軸延伸ナイロンフィル
ムは、ポリアミドを80質量%以上含むことが好ましい。さらに、二軸延伸ナイロンフィ
ルムは、ポリアミドを90質量%以上含むことがより好ましく、95%以上含むことがさ
らに好ましい。
第2の二軸延伸プラスチックフィルム32の厚みは、好ましくは12μm以上であり、
より好ましくは15μm以上である。また、第2の二軸延伸プラスチックフィルム32の
厚みは、好ましくは30μm以下であり、より好ましくは25μm以下であり、さらに好
ましくは20μm以下である。
第2の二軸延伸プラスチックフィルム32は、流れ方向(MD)における引き裂き性を
有するよう構成されていてもよい。以下の説明において、流れ方向(MD)における引き
裂き性を有する二軸延伸プラスチックフィルムのことを、二軸延伸直進カットフィルムと
も称する。二軸延伸直進カットフィルムを用いることにより、流れ方向(MD)における
引き裂き性を包装材料30に持たせることができる。流れ方向(MD)における二軸延伸
直進カットフィルムの引張強度は、幅方向(TD)における二軸延伸直進カットフィルム
の引張強度よりも大きい。流れ方向(MD)における二軸延伸直進カットフィルムの引張
強度は、幅方向(TD)における二軸延伸直進カットフィルムの引張強度の、好ましくは
1.05倍以上であり、より好ましくは1.10倍以上であり、更に好ましくは1.20
倍以上である。また、流れ方向(MD)における二軸延伸直進カットフィルムの引張強度
は、例えば200MPa以上300MPa以下である。
<シーラントフィルム>
次に、シーラントフィルム33について説明する。シーラントフィルム33は、単層で
あってもよく、多層であってもよい。また、シーラントフィルム33は、好ましくは未延
伸のフィルムからなる。なお「未延伸」とは、全く延伸されていないフィルムだけでなく
、製膜の際に加えられる張力に起因してわずかに延伸されているフィルムも含む概念であ
る。
シーラントフィルムとは、以下の(c)または(d)の少なくともどちらか一方を満た
すものを指す。
(c)ヤング率が一方向および一方向と直交する方向において1000MPa未満
(d)引張伸度が一方向および一方向と直交する方向において300%以上
シーラントフィルムのヤング率および引張伸度の測定は、JIS K7127に準拠し
て行うものとする。テンシロン万能材料試験機RTC-1310A(株式会社エー・アン
ド・デイ製)を用いて、温度25℃、相対湿度50%の環境下に試験片を1分間保持した
後に、温度25℃、相対湿度50%の環境下で試験片のヤング率測定および引張伸度測定
を行う。一辺が15mm、一辺と直交する方向に延びる他辺が150mmの長方形状の試
験片を用いて測定を行い、初期把持具間距離は100mm、引張速度は300mm/分と
する。なお、初期把持具間距離を100mmとして測定することができる限りにおいて、
一辺と直交する方向の長さは調整可能である。
包装材料30から構成されたパウチ10には、レトルト処理などの殺菌処理が高温で施
される。したがって、シーラントフィルム33は、これらの高温での処理に耐える耐熱性
を有するものが用いられる。
シーラントフィルム33を構成する材料の融点は、150℃以上であることが好ましく
、160℃以上であることがより好ましい。シーラントフィルム33の融点を高くするこ
とにより、パウチ10のレトルト処理を高温で実施することが可能になり、このため、レ
トルト処理に要する時間を短くすることができる。なお、シーラントフィルム33を構成
する材料の融点は、第1の二軸延伸プラスチックフィルム31、第2の二軸延伸プラスチ
ックフィルム32を構成する樹脂の融点より低い。
シーラントフィルム33は、ポリプロピレンを主成分として含む。本明細書における「
ポリプロピレンを主成分として含む」とは、シーラントフィルムが50質量%を超えるポ
リプロピレンを含むことを意味する。プロピレンを主成分とする材料としては、具体的に
は、プロピレン・エチレンブロック共重合体、プロピレン・エチレンランダム共重合体、
ホモポリプロピレンなどのポリプロピレン、又はポリプロピレンとポリエチレンとを混合
したものなどを挙げることができる。ここで、「プロピレン・エチレンブロック共重合体
」とは、下記式(1)に示される構造式を有する材料を意味する。また、「プロピレン・
エチレンランダム共重合体」とは、下記式(2)に示される構造式を有する材料を意味す
る。また、「ホモポリプロピレン」とは、下記式(3)に示される構造式を有する材料を
意味する。
Figure 2024056967000002
上記式(1)中、m1、m2、m3は、1以上の整数を表す。
Figure 2024056967000003
上記式(2)中、m、nは、1以上の整数を表す。
Figure 2024056967000004
上記式(3)中、mは、1以上の整数を表す。
プロピレンを主成分とする材料として、ポリプロピレンとポリエチレンとを混合したも
のを用いる場合には、材料は、海島構造を有していてもよい。ここで、「海島構造」とは
、ポリプロピレンが連続する領域の内に、ポリエチレンが不連続に分散している構造をい
う。
好ましくは、シーラントフィルム33は、プロピレン・エチレンブロック共重合体を含
む単層のフィルムである。例えば、シーラントフィルム33は、プロピレン・エチレンブ
ロック共重合体を主成分とする単層の未延伸フィルムである。プロピレン・エチレンブロ
ック共重合体を用いることにより、シーラントフィルム33の耐衝撃性を高めることがで
き、これにより、落下時の衝撃によりパウチ10が破袋してしまうことを抑制することが
できる。また、包装材料30の耐突き刺し性を高めることができる。
また、プロピレン・エチレンブロック共重合体を用いることにより、高温時、例えば1
00℃のときの、シーラントフィルム33によって構成されるシール部の強度、すなわち
上述の熱間シール強度が、低温時、例えば常温シール強度に比べて極めて小さくなる。熱
間シール強度が低いことにより、電子レンジを用いてパウチ10を加熱する際、蒸気抜き
シール部24が剥離し易くなり、収容空間10Aの蒸気がパウチ10の外部に抜けやすく
なる。このため、収容空間10Aの内圧が過大になることを抑制することができ、これに
より、加熱時に包装材料30にダメージが生じることを抑制することができる。
プロピレン・エチレンブロック共重合体は、例えば、ポリプロピレンからなる海成分と
、エチレン・プロピレン共重合ゴム成分からなる島成分と、を含む。海成分は、プロピレ
ン・エチレンブロック共重合体の耐ブロッキング性、耐熱性、剛性、シール強度などを高
めることに寄与し得る。また、島成分は、プロピレン・エチレンブロック共重合体の耐衝
撃性を高めることに寄与し得る。従って、海成分と島成分の比率を調整することにより、
プロピレン・エチレンブロック共重合体を含むシーラントフィルム33の機械特性を調整
することができる。
プロピレン・エチレンブロック共重合体において、ポリプロピレンからなる海成分の質
量比率は、エチレン・プロピレン共重合ゴム成分からなる島成分の質量比率よりも高い。
例えば、プロピレン・エチレンブロック共重合体において、ポリプロピレンからなる海成
分の質量比率は、少なくとも51質量%以上であり、好ましくは60質量%以上であり、
更に好ましくは70質量%以上である。
単層のシーラントフィルム33は、プロピレン・エチレンブロック共重合体からなる第
1の熱可塑性樹脂に加えて、第2の熱可塑性樹脂を更に含む。第2の熱可塑性樹脂として
は、α-オレフィン共重合体、ポリエチレンなどを挙げることができる。α-オレフィン
共重合体は、例えば直鎖状低密度ポリエチレンである。ポリエチレンの例としては、低密
度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンを挙げることができる。第2
の熱可塑性樹脂は、シーラントフィルム33の耐衝撃性を高めることに寄与し得る。また
、第2の熱可塑性樹脂を用いることにより、上述の熱間シール強度を、低温時、例えば常
温シール強度に比べてさらに小さくすることができる。
低密度ポリエチレンとは、密度が0.910g/cm以上0.925g/cm以下
のポリエチレンである。中密度ポリエチレンは、密度が0.926g/cm以上0.9
40g/cm以下のポリエチレンである。高密度ポリエチレンとは、密度が0.941
g/cm以上0.965g/cm以下のポリエチレンである。低密度ポリエチレンは
、例えば、1000気圧以上2000気圧未満の高圧でエチレンを重合することにより得
られる。中密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレンは、例えば、1気圧以上1000気
圧未満の中圧又は低圧でエチレンを重合することにより得られる。
なお、中密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレンは、エチレンとα-オレフィンとの
共重合体を部分的に含んでいてもよい。また、中圧又は低圧でエチレンを重合する場合で
あっても、エチレンとα-オレフィンとの共重合体を含む場合は、中密度又は低密度のポ
リエチレンが生成され得る。このようなポリエチレンが、上述の直鎖状低密度ポリエチレ
ンと称される。直鎖状低密度ポリエチレンは、中圧又は低圧でエチレンを重合することに
より得られる直鎖状ポリマーにα-オレフィンを共重合させて短鎖分岐を導入することに
よって得られる。α-オレフィンの例としては、1-ブテン(C)、1-ヘキセン(C
)、4-メチルペンテン(C)、1-オクテン(C)などを挙げることができる。
直鎖状低密度ポリエチレンの密度は、例えば0.915g/cm以上0.945g/c
以下である。
なお、プロピレン・エチレンブロック共重合体の第2の熱可塑性樹脂を構成するα-オ
レフィン共重合体は、上述の直鎖状低密度ポリエチレンには限られない。α-オレフィン
共重合体とは、下記の式(4)に示される構造式を有する材料を意味する。
Figure 2024056967000005
、Rはいずれも、H(水素原子)、またはCH、Cなどのアルキル基で
ある。また、jおよびkはいずれも、1以上の整数である。また、jはkよりも大きい。
すなわち、式(4)に示すα-オレフィン共重合体においては、Rを含む左側の構造が
ベースとなる。Rは例えばHであり、Rは例えばCである。
シーラントフィルム33において、プロピレン・エチレンブロック共重合体からなる第
1の熱可塑性樹脂の質量比率は、α-オレフィン共重合体又はポリエチレンを少なくとも
含む第2の熱可塑性樹脂の質量比率よりも高い。例えば、単層のシーラントフィルム33
において、プロピレン・エチレンブロック共重合体からなる第1の熱可塑性樹脂の質量比
率は、少なくとも51質量%以上であり、好ましくは60質量%以上であり、更に好まし
くは70質量%以上である。
上述のように、第2の熱可塑性樹脂は、シーラントフィルム33の耐衝撃性を高めるこ
とに寄与し得る。従って、単層のシーラントフィルム33における、α-オレフィン共重
合体又はポリエチレンを少なくとも含む第2の熱可塑性樹脂の質量比率を調整することに
より、シーラントフィルム33の機械特性を調整することができる。
また、シーラントフィルム33は、熱可塑性エラストマー等のエラストマーを更に含ん
でいてもよい。熱可塑性エラストマーを用いることにより、シーラントフィルム33の耐
衝撃性や耐突き刺し性を更に高めることができる。また、熱可塑性エラストマーを用いる
ことにより、上述の熱間シール強度を、低温時、例えば常温シール強度に比べてさらに小
さくすることができる。
熱可塑性エラストマーは、例えば水添スチレン系熱可塑性エラストマーである。水添ス
チレン系熱可塑性エラストマーは、少なくとも1個のビニル芳香族化合物を主体とする重
合体ブロックAと少なくとも1個の水素添加された共役ジエン化合物を主体とする重合体
ブロックBからなる構造を有する。また、熱可塑性エラストマーは、エチレン・α-オレ
フィンエラストマーであってもよい。エチレン・α-オレフィンエラストマーは、低結晶
性もしくは非晶性の共重合体エラストマーであり、主成分としての50~90質量%のエ
チレンと共重合モノマーとしてのα-オレフィンとのランダム共重合体である。
シーラントフィルム33におけるプロピレン・エチレンブロック共重合体の含有率は、
例えば80質量%以上であり、好ましくは90質量%以上である。
プロピレン・エチレンブロック共重合体の製造方法としては、触媒を用いて原料である
プロピレンやエチレンなどを重合させる方法が挙げられる。触媒としては、チーグラー・
ナッタ型やメタロセン触媒などを用いることができる。
シーラントフィルム33の厚みは、好ましくは30μm以上であり、より好ましくは4
0μm以上であり、さらに好ましくは50μm以上であり、最も好ましくは60μm以上
である。また、シーラントフィルム33の厚みは、好ましくは100μm以下であり、よ
り好ましくは80μm以下である。
プロピレン・エチレンブロック共重合体を含む単層のシーラントフィルム33としては
、後述するZK500のような、高い引張伸度を有し、耐衝撃性を備えるタイプがある。
このタイプのシーラントフィルム33は、好ましくは、熱間シール強度が低いという特性
も更に備える。これにより、パウチ10の加熱時に収容空間10Aの内圧が過大になるこ
とを抑制することができる。
流れ方向(MD)におけるシーラントフィルム33の、25℃の環境下で1分間保持し
た後25℃の環境下で測定した引張伸度(%)は、好ましくは800%以上であり、より
好ましくは900%以上であり、1000%以上、または1100%以上であってもよい
。また、流れ方向(MD)におけるシーラントフィルム33の引張伸度(%)とシーラン
トフィルム33の厚み(μm)の積は、好ましくは50000を超え、より好ましくは5
5000以上であり、または60000以上であってもよい。
幅方向(TD)におけるシーラントフィルム33の、25℃の環境下で1分間保持した
後25℃の環境下で測定した引張伸度は、好ましくは1050%以上であり、より好まし
くは1100%以下である。また、幅方向(TD)におけるシーラントフィルムの引張伸
度(%)とシーラントフィルムの厚み(μm)の積は、好ましくは55000を超え、よ
り好ましくは60000以上である。シーラントフィルム33が高い引張伸度を有するこ
とにより、落下時の衝撃などによりパウチ10が破袋してしまうことを抑制することがで
きる。
流れ方向(MD)におけるシーラントフィルム33の、25℃の環境下で1分間保持し
た後25℃の環境下で測定した引張弾性率は、好ましくは670MPa以下であり、より
好ましくは650MPa以下である。また、流れ方向(MD)におけるシーラントフィル
ム33の引張弾性率(MPa)とシーラントフィルム33の厚み(μm)の積は、好まし
くは35000未満であり、より好ましくは34000以下である。
幅方向(TD)におけるシーラントフィルム33の、25℃の環境下で1分間保持した
後25℃の環境下で測定した引張弾性率は、好ましくは550MPa以下であり、より好
ましくは500MPa以下である。また、幅方向(TD)におけるシーラントフィルム3
3の引張弾性率(MPa)とシーラントフィルム33の厚み(μm)の積は、好ましくは
28000未満であり、より好ましくは25000以下である。
シーラントフィルム33の引張弾性率は、シーラントフィルム33の引張伸度と同様の
測定方法および同様の測定条件で、測定するものとする。
<絵柄印刷層>
絵柄印刷層34は、内容物や包装製品の情報を付与したり、またはパウチに美観を付与
したりするための層であり、例えば、色材およびバインダ樹脂を含む。絵柄印刷層34を
形成することにより、パウチ10に絵柄を形成することができる。本明細書における「絵
柄」とは、特に限定されず、例えば、図、文字、模様、パターン、記号、柄、マーク等を
広く含む。グラビア印刷用のインキとしては、DICグラフィックス株式会社製のフィナ
ートを用いることができる。
絵柄印刷層34は、その他、任意の添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、例え
ば、滑剤、ブロッキング防止剤、充填剤、硬化剤、顔料分散剤、消泡剤、レベリング剤、
ワックス、シランカップリング剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、防錆剤、可塑剤
、難燃剤、顕色剤等が挙げられる。これらの添加剤は、特に印刷適正、印刷効果等の改善
を目的に使用され、その種類、使用量は、印刷方法、印刷基材、印刷条件により適宜選択
できる。絵柄印刷層34は、第1の二軸延伸プラスチックフィルム31にグラビア印刷等
の印刷法により形成することができる。
(色材)
色材は、特に限定されず、公知の顔料や染料を用いることができ、所望の色に合わせて
適宜選択する。
(バインダ樹脂)
バインダ樹脂としては、例えば、あまに油、きり油、大豆油、炭化水素油、ロジン、ロ
ジンエステル、ロジン変性樹脂、シェラック、アルキッド樹脂、フェノール系樹脂、マレ
イン酸樹脂、天然樹脂、炭化水素樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸系樹脂、ポリス
チレン系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂
、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂
、アミノアルキッド系樹脂、ニトロセルロース、エチルセルロース、塩化ゴム、環化ゴム
、(メタ)アクリレート化合物の重合体、または、これらの混合物が挙げられる。
<第1接着剤層>
第1接着剤層35は、第1の二軸延伸プラスチックフィルム31と第2の二軸延伸プラ
スチックフィルム32とをドライラミネート法により接着するための接着剤を含む。第1
接着剤層35を構成する接着剤は、主剤及び溶剤を含む第1組成物と、硬化剤及び溶剤を
含む第2組成物とを混合して作製した接着剤組成物から生成される。具体的には、接着剤
は、接着剤組成物中の主剤と溶剤とが反応して生成された硬化物を含む。
接着剤の例としては、ポリウレタンなどを挙げることができる。ポリウレタンは、主剤
としてのポリオールと、硬化剤としてのイソシアネート化合物とが反応することにより生
成されるポリオールとイソシアネート化合物との硬化物である。ポリウレタンの例として
は、ポリエーテルポリウレタン、ポリエステルポリウレタンなどを挙げることができる。
ポリエーテルポリウレタンは、主剤としてのポリエーテルポリオールと、硬化剤としての
イソシアネート化合物とが反応することにより生成される硬化物である。ポリエステルポ
リウレタンは、主剤としてのポリエステルポリオールと、硬化剤としてのイソシアネート
化合物とが反応することにより生成される硬化物である。
イソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’-ジ
フェニルメタンジイソシアネート(MDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)な
どの芳香族系イソシアネート化合物、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソ
ホロンジイソシアネート(IPDI)などの脂肪族系イソシアネート化合物、あるいは、
上記各種イソシアネート化合物の付加体または多量体を用いることができる。
第1接着剤層35の厚みは、好ましくは2μm以上であり、より好ましくは3μm以上
である。また、第1接着剤層35の厚みは、好ましくは6μm以下であり、より好ましく
は5μm以下である。
<第2接着剤層>
第2接着剤層36は、第2の二軸延伸プラスチックフィルム32とシーラントフィルム
33とをドライラミネート法により接着するための接着剤を含む。第2接着剤層36の接
着剤の例としては、第1接着剤層35の場合と同様に、ポリウレタンなどを挙げることが
できる。以下に説明する構成、材料や特性以外にも、第2接着剤層36の構成、材料や特
性として、第1接着剤層35と同様のものを採用することができる。
第2接着剤層36の厚みは、好ましくは2μm以上であり、より好ましくは3μm以上
である。また、第2接着剤層36の厚みは、好ましくは6μm以下であり、より好ましく
は5μm以下である。
ところで、接着剤の硬化剤を構成するイソシアネート化合物としては、上述のように、
芳香族系イソシアネート化合物及び脂肪族系イソシアネート化合物が存在する。このうち
芳香族系イソシアネート化合物は、加熱殺菌などの高温環境下において、食品用途で使用
できない成分が溶出する。ところで、第2接着剤層36は、シーラントフィルム33に接
している。このため、第2接着剤層36が芳香族系イソシアネート化合物を含む場合、芳
香族系イソシアネート化合物から溶出された成分が、シーラントフィルム33に接する収
容空間10Aに収容されている内容物に付着することがある。このような課題を考慮し、
好ましくは、第2接着剤層36を構成する接着剤として、主剤としてのポリオールと、硬
化剤としての脂肪族系イソシアネート化合物とが反応することにより生成される硬化物を
用いる。これにより、第2接着剤層36に起因する、食品用途で使用できない成分が、内
容物に付着することを防止することができる。
<透明蒸着層>
透明蒸着層は、第1の二軸延伸プラスチックフィルム31または第2の二軸延伸プラス
チックフィルム32の面上に形成されている。
透明蒸着層は、酸素ガスおよび水蒸気などの透過を阻止するガスバリア性の機能を有す
る層として機能する。なお、透明蒸着層は二層以上設けられてもよい。透明蒸着層を二層
以上有する場合、それぞれが、同一の組成であってもよいし、異なる組成であってもよい
。透明蒸着層の形成方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、およびイオ
ンプレ-ティング法等の物理気相成長法(Physical Vapor Deposi
tion法、PVD法)、あるいは、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、およ
び光化学気相成長法等の化学気相成長法(Chemical Vapor Deposi
tion法、CVD法)等を挙げることができる。具体的には、ローラー式蒸着膜成膜装
置を用いて、成膜ローラー上において蒸着層を形成することができる。
透明蒸着層は、透明性を有する無機材料から構成されている。無機材料の例としては、
金属酸化物や無機酸化物を挙げることができる。金属酸化物としては、アルミニウム(A
l)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、スズ(Sn)、ナ
トリウム(Na)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、ジルコニウム(Zr)
、イットリウム(Y)等の金属の酸化物が挙げられる。無機酸化物としては、ケイ素(S
i)の酸化物が挙げられる。透明蒸着層を構成する無機材料としては、アルミニウム酸化
物(酸化アルミニウム)またはケイ素酸化物が好ましい。
透明蒸着層の厚みは、好ましくは、40Å(4nm)以上130Å(13nm)以下で
ある。透明蒸着層の厚みの下限は、より好ましくは、50Å(5nm)以上、60Å(6
nm)以上、70Å(7nm)以上であり、上限は、より好ましくは、120Å(12n
m)以下、110Å(11nm)以下である。
<透明ガスバリア性塗布膜>
透明ガスバリア性塗布膜は、透明性を有し、透明蒸着層の面上に形成されている。透明
ガスバリア性塗布膜は、酸素ガスおよび水蒸気などの透過を抑制する層として機能する層
である。透明ガスバリア性塗布膜は、一般式R M(OR(ただし、式中、R
、Rは、炭素数1~8の有機基を表し、Mは、金属原子を表し、nは、0以上の整数を
表し、mは、1以上の整数を表し、n+mは、Mの原子価を表す。)で表される少なくと
も一種以上のアルコキシドと、上記のようなポリビニルアルコ-ル系樹脂および/または
エチレン・ビニルアルコ-ル共重合体とを含有し、さらに、ゾルゲル法触媒、酸、水、お
よび、有機溶剤の存在下に、ゾルゲル法によって重縮合する透明ガスバリア性組成物によ
り得られる。
上記の一般式R M(ORで表されるアルコキシドとしては、アルコキシドの
部分加水分解物、アルコキシドの加水分解の縮合物の少なくとも一種以上を使用すること
ができる。また、上記のアルコキシドの部分加水分解物としては、アルコキシ基のすべて
が加水分解されている必要はなく、1個以上が加水分解されているもの、および、その混
合物であってもよい。アルコキシドの加水分解の縮合物としては、部分加水分解アルコキ
シドの2量体以上のもの、具体的には、2~6量体のものを使用される。
上記の一般式R M(ORで表されるアルコキシドにおいて、Mで表される金
属原子としては、ケイ素、ジルコニウム、チタン、アルミニウム、その他などを使用する
ことができる。本実施形態において、好ましい金属としては、例えば、ケイ素、チタンな
どを挙げることができる。また、本実施の形態において、アルコキシドの用い方としては
、単独または二種以上の異なる金属原子のアルコキシドを同一溶液中に混合して使うこと
もできる。
また、上記の一般式R M(ORで表されるアルコキシドにおいて、Rで表
される有機基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プ
ロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、n-ヘキシ
ル基、n-オクチル基、その他などのアルキル基を挙げることができる。また、上記の一
般式R M(ORで表されるアルコキシドにおいて、Rで表される有機基の具
体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブ
チル基、sec-ブチル基、その他などを挙げることができる。なお、同一分子中にこれ
らのアルキル基は同一であっても、異なってもよい。
上記のガスバリア性組成物を調製する際、例えば、シランカップリング剤などを添加し
てもよい。上記のシランカップリング剤としては、既知の有機反応性基含有オルガノアル
コキシシランを用いることができる。本実施形態においては、特に、エポキシ基を有する
オルガノアルコキシシランが好適に用いられ、具体的には、例えば、γ-グリシドキシプ
ロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β-(
3、4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等を使用することができる
。上記のようなシランカップリング剤は、一種または二種以上を混合して用いてもよい。
透明ガスバリア性塗布膜の厚みは100nm以上500nm以下が好ましい。透明ガス
バリア性塗布膜の厚みが、100nm以上であれば、安定したガスバリア性を得ることが
でき、また500nm以下であれば、良好な塗布膜を得ることができる。透明ガスバリア
性塗布膜の厚みの下限は、125nm以上、150nm以上、または200nm以上がよ
り好ましく、上限は、450nm以下、400nm以下、または300nm以下が好まし
い。
包装材料30の具体例としては、例えば以下の包装材料が挙げられる。なお、「/」は
、層を列記する場合に、層と層との境界を示す表記として用いている。層については、パ
ウチの外側から内側に向かって記載するものとする。すなわち最も右側に記載された層が
シーラントフィルムである。
二軸延伸PETフィルム/絵柄印刷層/接着剤層/二軸延伸ナイロンフィルム/接着剤層
/シーラントフィルム
二軸延伸PETフィルム/絵柄印刷層/接着剤層/二軸延伸PETフィルム/接着剤層/
シーラントフィルム
二軸延伸PETフィルム/絵柄印刷層/接着剤層/二軸延伸直進カットナイロンフィルム
/接着剤層/シーラントフィルム
二軸延伸PETフィルム/絵柄印刷層/接着剤層/二軸延伸直進カットPETフィルム/
接着剤層/シーラントフィルム
二軸延伸PETフィルム/透明蒸着層/透明ガスバリア性塗布膜/絵柄印刷層/接着剤層
/二軸延伸ナイロンフィルム/接着剤層/シーラントフィルム
二軸延伸PETフィルム/透明蒸着層/透明ガスバリア性塗布膜/絵柄印刷層/接着剤層
/二軸延伸PETフィルム/接着剤層/シーラントフィルム
二軸延伸PETフィルム/絵柄印刷層/接着剤層/透明ガスバリア性塗布膜/透明蒸着層
/二軸延伸PETフィルム/接着剤層/シーラントフィルム
<<他の包装材料>>
包装材料30の代わりに図10に示される包装材料40を用いることも可能である。包
装材料40の物性(例えば、熱間破断強度や熱間シール強度等)は、特記しない限り、包
装材料30の物性と同様であるので、ここでは説明を省略するものとする。
包装材料40は、包装材料30と同様に、少なくとも、第1の二軸延伸プラスチックフ
ィルム31と、第2の二軸延伸プラスチックフィルム32と、シーラントフィルム33と
をこの順に備えているが、包装材料40は、第1の二軸延伸プラスチックフィルム31と
シーラントフィルム33の間に設けられた遮光印刷層41をさらに備えるものである。包
装材料40は、金属箔層を含んでいないものである。包装材料40は、包装材料40中に
二軸延伸プラスチックフィルムを2枚のみ有している。図10に示される包装材料40は
、例えば、第1の二軸延伸プラスチックフィルム31、透明蒸着層42、透明ガスバリア
性塗布膜43、絵柄印刷層34、遮光印刷層41、第1接着剤層35、第2の二軸延伸プ
ラスチックフィルム32、第2接着剤層36およびシーラントフィルム33をこの順で備
えている。なお、包装材料は、第1の二軸延伸プラスチックフィルム31とシーラントフ
ィルム33との間に、所望の機能を発揮する他の機能層をさらに備えていてもよい。また
、透明蒸着層42、透明ガスバリア性塗布膜43、および絵柄印刷層34の少なくともい
ずれかは、設けられていなくともよい。
図10において、図3と同じ符号が付されている部材は、図3で示した部材と同じもの
であるので、説明を省略するものとする。また、透明蒸着層42は、包装材料30の欄で
説明した透明蒸着層と同様であり、透明ガスバリア性塗布膜43は、包装材料30の欄で
説明した透明ガスバリア性塗布膜と同様であるので、説明を省略するものとする。
遮光印刷層41は、第1の二軸延伸プラスチックフィルム31とシーラントフィルム3
3の間に設けられていればよいが、例えば、遮光印刷層41は、第1の二軸延伸プラスチ
ックフィルム31と第2の二軸延伸プラスチックフィルム32の間、または第2の二軸延
伸プラスチックフィルム32とシーラントフィルム33の間に設けられていればよい。
遮光印刷層41は、絵柄印刷層34よりもシーラントフィルム33側に設けられている
ことが好ましい。これにより、絵柄印刷層34の絵柄をパウチ10の外側から視認するこ
とができる。
包装材料40の全光線透過率は、25.0%以下であることが好ましい。これにより、
良好な遮光性を有するパウチを得ることができる。上記全光線透過率は、より良好な遮光
性を有するパウチを得る観点から、23.0%以下、20.0%以下、18.0%以下、
または16.0%以下であることが好ましく、優れた遮光性を有するパウチを得る観点か
ら10.0%以下、5.0%以下、または3.0%以下であることがより好ましい。
全光線透過率は、JIS K7361-1:1997に準拠して、ヘイズメーター(製
品名「HM-150」、株式会社村上色彩技術研究所製、測定径20mmφ)を用いて測
定することができる。具体的には、まず、図11に示すように、パウチ10のおもて面か
ら、シール部15を含まないようにして、一辺L5が50mm、一辺L1と直交する方向
に延びる他辺L6が50mmの正方形状の試験片S4を3個切り出し、図12に示すよう
に、パウチ10の裏面から、シール部15を含まないようにして、一辺L5が50mm、
一辺L1と直交する方向に延びる他辺L6が50mmの正方形状の試験片S4を2個切り
出す。なお、試験片S4は、絵柄印刷層を含んでいてもよい。試験片S4は、他辺L6が
X方向(第1側部シール部16が延びる方向と直交する方向)と平行になるように切り出
す。その後、カールや皺がない状態で第1の二軸延伸プラスチックフィルム31が光源側
となるようにヘイズメーターに試験片S4を設置して、温度25℃、相対湿度50%の環
境下に試験片S4を1分間保持した後に、温度25℃、相対湿度50%の環境下で試験片
S4の全光線透過率を測定する。5個の試験片S4について、全光線透過率を測定し、そ
の平均値を包装材料の全光線透過率とする。
パウチの外観は、清潔感や清涼感を与えるため、または絵柄印刷層の絵柄を引き立たせ
るために鮮やかな白さが求められることがある。一方で、全光線透過率を低くしようとす
ると、白色層の内側に白色層よりも色が濃い層(濃色層)を設けることが好ましい。しか
しながら、このような濃色層を設けると、濃色層よりも外側に白色層が存在するにも関わ
らず、パウチを外側から見たときに濃色層の色味の影響でくすんだ白さとなってしまい、
鮮やかな白さが得られないおそれがある。このため、鮮やかな白さを有するパウチを得る
ために、包装材料40のSCE方式(正反射光除去方式)で測定したL表色系
におけるL値が65.0以上であることが好ましい。L値は実質的に白色度を表し、
100に近づくほど白色度が高く、0に近づくほど白色度が低い。SCE方式で測定する
のは、SCE方式の測定方法は人の目で見る感覚に近い測定法であるからである。上記L
値は、より良好な白さを有するパウチを得る観点から、68.0以上または70.0以
上であることがより好ましく、より鮮やかな白さを有するパウチを得る観点から、72.
0以上または75.0以上であることがさらに好ましい。
値は、JIS Z8781-4:2013(測色-第4部:CIE 1976L
色空間)に準拠し、分光測色計(製品名「SpectoroEye」、X-Ri
te社製、測定径2mmφ)を用いて測定できる。具体的には、まず、図13に示すよう
に、パウチ10のおもて面から、絵柄印刷層34およびシール部15を含まないようにし
て、一辺L7が5mm、一辺L1と直交する方向に延びる他辺L8が5mmの正方形状の
試験片S5を5個切り出す。なお、試験片S5は正方形状としているが、測定径2mmの
面積よりも大きければ、どのような形状であってもよい。試験片S5は、パウチ10の裏
面から切り出してもよい。試験片S5は、他辺L8がX方向(第1側部シール部16が延
びる方向と直交する方向)と平行になるように切り出す。その後、白色板(材質:紙、大
きさA4サイズ(210mm×297mm)、厚み:0.3mm)上に試験片S5を第1
の二軸延伸プラスチックフィルム31が上面となるように配置する。その後、温度25℃
、相対湿度50%の環境下に試験片S5を1分間保持した後に、温度25℃、相対湿度5
0%の環境下で試験片S5のL値をSCE方式(正反射光除去方式)によって測定する
。また、L値の測定の際には、光源をD50とし、視野角を2°とする。5個の試験片
S5について、L値を測定し、その平均値を包装材料のL値とする。
<遮光印刷層>
遮光印刷層41は、遮光性を得るための層である。遮光印刷層41を形成することによ
り、内容物が透けて見えることを抑制でき、また長期間保存時に内容物が退色等の光劣化
を抑制できる。
遮光印刷層41の厚みは、2.0μm以上6.0μm以下であることが好ましい。この
厚みが、2.0μm以上であれば、包装材料40の全光線透過率を25.0%以下としや
すい。遮光印刷層41の厚みが6.0μm以下であれば、包装材料40全体の厚膜化を抑
制するとともに、生産効および加工適性を良好にしやすくできる。遮光印刷層41の厚み
の下限は、3.0μm以上、3.5μm以上、または4.0μm以上であることが好まし
く、上限は、5.5μm以下、5.0μm以下であることが好ましい。本明細書における
「遮光印刷層の厚み」とは、遮光印刷層が例えば後述するように白色層および灰色層の積
層構造または白色層および金属フレーク含有層の積層構造のような多層構造である場合に
は、遮光印刷層を構成する各層の合計厚みを意味するものとする。
遮光印刷層41は、例えば、第1の二軸延伸プラスチックフィルム31、第2の二軸延
伸プラスチックフィルム32上に、グラビア印刷方式、オフセット印刷方式、凸版印刷方
式、シルクスクリーン印刷方式等の公知の印刷方式で形成することができる。
遮光印刷層41は、包装材料40の略全面に有することが好ましい。略全面とは、包装
材の面内の80%以上であることを意味し、好ましくは90%以上、より好ましくは95
%以上、さらに好ましくは99%以上、最も好ましくは100%である。
遮光印刷層41は、(1)白色顔料を含む層(以下、この層を「白色層」と称すること
もある。)と、白色顔料と黒色顔料とを含む層(以下、この層を「灰色層」と称すること
もある。)とを備える積層体、または(2)白色顔料を含む層と、金属フレークを含む層
(以下、この層を「金属フレーク含有層」と称することもある。)とを備える積層体であ
ることが好ましい。これらの中でも、より低い全光線透過率(例えば、10.0%以下)
が得られることから、遮光印刷層41としては上記(2)の積層体がより好ましい。
(白色層)
白色層は、単層構造であってもよいが、同一組成または異なる組成の白色層を2以上積
層した多層構造であってもよい。白色層は、灰色層や金属フレーク含有層よりも第1の二
軸延伸プラスチックフィルム31側(視認者側)に位置することが好ましい。包装材料4
0が金属フレーク含有層を含む場合、金属フレーク含有層は拡散成分の割合が多いが、そ
れでも白色層よりは拡散成分の割合が少ないため、金属フレーク含有層からの反射を直視
した場合、多少ではあるが人は眩しさを感じる。すなわち、金属フレーク含有層よりも第
1の二軸延伸プラスチックフィルム31側(視認者側)に白色層が位置することにより、
金属含有層フレーク層の正反射が和らげられ、包装材料40の意匠を落ち着きのあるもの
とすることができる。また、白色層は、包装材料40の遮光性を向上させることができる
が、灰色層や金属フレーク含有層に比べると、遮光性への寄与は低い。
白色層の厚みは、0.5μm以上5.0μm以下であることが好ましい。白色層の厚み
が0.5μm以上であれば、包装材料40の全光線透過率を25.0%以下にしやすくで
きるとともに、白色層によって外光の正反射が十分に和らげられやすくなり、包装材料の
意匠を落ち着きのあるものとしやすくできる。また、白色層の厚みが5.0μm以下であ
れば、包装材料40全体の厚膜化を抑制するとともに、生産効率および加工適性を良好に
できる。白色層の厚みの下限は、0.7μm以上、1.0μm以上、または1.5μm以
上であることが好ましく、上限は、4.5μm以下、4.0μm以下、または3.5μm
以下であることが好ましい。本明細書における「白色層の厚み」とは、白色層が多層構造
である場合には、白色層を構成する各層の合計厚みを意味するものとする。
白色層に含まれる白色顔料としては、例えば、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化マグネ
シウム、炭酸カルシウム、酸化亜鉛および鉛白等が挙げられる。これらの中でも隠蔽力に
優れる酸化チタンが好ましい。
酸化チタンとしては、結晶構造により、アナターゼ型、ルチル型およびブルッカイト型
が挙げられる。これらの中でも、光触媒活性の低いルチル型およびブルッカイト型が好ま
しく、汎用性のあるルチル型がより好ましい。
白色顔料は、拡散を強くして隠蔽力を高める観点から、平均一次粒子径が150nm以
上500nm以下であることが好ましい。白色顔料の平均一次粒子径の下限は、250n
m以上であることがより好ましく、上限は450nm以下であることがより好ましい。本
明細書において、白色顔料等の各種顔料の平均一次粒子径は、例えば、透過型電子顕微鏡
(TEM)または走査透過型電子顕微鏡(STEM)を用いて倍率4万倍~20万倍で撮
影した白色層の断面の画像から20個の白色顔料の一次粒子径を測定し、20個の白色顔
料の一次粒子径の算術平均値とする。
白色層は、バインダ樹脂を含むことが好ましい。バインダ樹脂としては、例えば、ポリ
エチレン系樹脂や塩素化ポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリ(メタ)
アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニ
ル共重合体、ポリスチレン系樹脂、スチレン-ブタジエン共重合体、フッ化ビニリデン系
樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリビニルブチラー
ル系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、アルキッド
系樹脂、エポキシ系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、熱硬化型ポリ(メタ)アクリル系
樹脂、メラミン系樹脂、尿素系樹脂、ポリウレタン系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン
系樹脂、マレイン酸樹脂、ニトロセルロースやエチルセルロース、アセチルブチルセルロ
ース、エチルオキシエチルセルロース等の繊維素系樹脂、塩化ゴムや環化ゴム等のゴム系
樹脂、石油系樹脂、ロジン、カゼイン等の天然樹脂等が挙げられる。これらは、1種単独
で用いても、2種以上を併用してもよい。また、地球環境の観点から、バインダ樹脂とし
て、樹木、米ぬかおよび種子等の植物を由来とした樹脂を含むことが好ましい。
白色顔料の含有量は、白色層の全固形分の3質量%以上50質量%以下であることが好
ましい。白色顔料の含有量が3質量%以上であれば、包装材料40の全光線透過率を25
.0%以下にしやすくでき、また白色顔料の含有量が50質量%以下であれば、白色層に
隣接する層と白色層との密着性が良好となり、耐レトルト性を良好にしやすくできる。白
色顔料の含有量の下限は、白色層の全固形分の5質量%以上または7質量%以上であるこ
とがより好ましく、白色顔料の含有量の上限は、白色層の全固形分の30質量%以下また
は20質量%以下であることがより好ましい。
白色層中には、平均一次粒子径が1nm以上100nm以下の無機粒子を含むことが好
ましい。白色層中にこのような平均一次粒子径の無機粒子を含有させることにより、白色
顔料が白色層の下方に沈むことが抑制され、白色層が塗布された層と白色層との密着性を
良好にしやすくできる。無機粒子の平均一次粒子径の下限は2nm以上または5nm以上
であることがより好ましく、上限は50nm以下または30nm以下であることがより好
ましい。
白色層中の無機粒子の含有量は、白色顔料100質量部に対して、1質量部以上20質
量部以下であることが好ましく、2質量部以上15質量部以下であることがより好ましく
、3質量部以上10質量部以下であることがさらに好ましい。
無機粒子としては、シリカ、アルミナおよびジルコニア等が挙げられる。これらの中で
も、透明性に優れるシリカが好適である。また、シリカ及びアルミナは絶縁性に優れるた
め、電子レンジ耐性を向上できる点でも好ましい。
白色層には、必要に応じて、例えば、充填剤、安定剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸
収剤等の光安定剤、分散剤、増粘剤、乾燥剤、滑剤、帯電防止剤、架橋剤等の任意の添加
剤を添加することができる。
(灰色層)
灰色層は、単層構造であってもよいが、同一組成または異なる組成の灰色層を2以上積
層した多層構造であってもよい。灰色層は、灰色インキから形成することが可能であり、
灰色インキは、例えば、白色顔料を含む白色インキと、黒色顔料を含む黒色インキ(墨イ
ンキ)とを混合することによって作製されていてもよい。
灰色層の厚みは、0.5μm以上5.0μm以下であることが好ましい。灰色層の厚み
が0.5μm以上であれば、包装材料40の全光線透過率を25.0%以下にしやすくな
る。また、灰色層の厚みが5.0μm以下であれば、包装材料40全体の厚膜化を抑制す
るとともに、生産効率および加工適性を良好にできる。灰色層の厚みの下限は、0.7μ
m以上、1.0μm以上、または1.5μm以上であることがより好ましく、上限は、4
.5μm以下、4.0μm以下、または3.5μm以下であることがより好ましい。本明
細書における「灰色層の厚み」とは、灰色層が多層構造である場合には、灰色層を構成す
る各層の合計厚みを意味するものとする。
灰色層に含まれる白色顔料としては、白色層に含まれる白色顔料と同様であるので、こ
こでは、説明を省略するものとする。灰色層に含まれる黒色顔料としては、例えば、カー
ボンブラック、チタンブラック、および鉄黒等が挙げられる。これらの中でも、汎用性が
あり、所望の色味が得られやすいことからカーボンブラックがより好ましい。
灰色層中の白色顔料の含有量に対する黒色顔料の含有量の割合((黒色顔料の含有量/
白色顔料の含有量)×100)は、0.1%以上10%以下であることが好ましい。この
比が0.1%以上であれば、包装材料40の全光線透過率を25.0%以下にしやすくな
る。また、この割合が10%以下であれば、包装材料40が灰色味を帯びることを抑制で
きる。この割合の下限は、0.5%以上、1.0%以上、または1.5%以上であること
がより好ましく、この比の上限は、8.0%以下、7.0%以下、または5.0%以下で
あることがより好ましい。
灰色層中の白色顔料の含有量は、灰色層の全固形分の18.0質量%以上29.7質量
%以下であることが好ましい。白色顔料の含有量が18.0質量%以上であれば、包装材
料40が灰色味を帯びることを抑制でき、また29.7質量%以下であれば、遮光性を向
上させることができる。灰色層中の白色顔料の含有量の下限は、18.2質量%以上、1
8.4質量%以上、または19.0質量%以上であることがより好ましく、上限は、29
.4質量%以下、29.1質量%以下、または28.8質量%以下であることがより好ま
しい。
灰色層中の黒色顔料の含有量は、灰色層の全固形分の0.2質量%以上3.0質量%以
下であることが好ましい。黒色顔料の含有量が0.2質量%以上であれば、全光線透過率
を25.0%以下にしやすく、また3.0質量%以下であれば、包装材料40が灰色味を
帯びることを抑制できる。灰色層中の黒色顔料の含有量の下限は、0.3質量%以上、0
.4質量%以上、または0.6質量%以上であることがより好ましく、上限は、2.4質
量%以下、2.0質量%以下、または1.5質量%以下であることがより好ましい。
灰色層は、バインダ樹脂を含むことが好ましい。バインダ樹脂としては、白色層の欄で
説明したバインダ樹脂と同様のものが挙げられる。
灰色層には、必要に応じて、例えば、充填剤、安定剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸
収剤等の光安定剤、分散剤、増粘剤、乾燥剤、滑剤、帯電防止剤、架橋剤等の任意の添加
剤を添加することができる。
(金属フレーク含有層)
白色層のみでも包装材料の全光線透過率を25.0%以下にすることは可能であるが、
その場合、白層の厚みを極めて厚くする必要があるため、残留溶剤による臭気が生じやす
く、さらには、包装材料の加工適性が低下してしまう。このため、白色層の他に、金属フ
レーク含有層を設けている。
金属フレーク含有層は、同一組成または異なる組成の金属フレーク含有層を複数積層し
た多層構造であってもよい。金属フレーク含有層を複数積層することにより、厚み方向で
金属フレークが積層されやすくなり、全光線透過率を低下させることができる。
金属フレーク含有層の厚みは、0.5μm以上5.0μm以下であることが好ましい。
金属フレーク含有層の厚みが0.5μm以上であれば、包装材料40の全光線透過率を2
5.0%以下にしやすくなる。また、金属フレーク含有層の厚みが5.0μm以下であれ
ば、包装材料40全体の厚膜化を抑制するとともに、生産効率および加工適性を良好にで
きる。金属フレーク含有層の厚みの下限は、0.7μm以上、1.0μm以上、または1
.5μm以上であることがより好ましく、上限は、4.5μm以下、4.0μm以下、3
.5μm以下、または3.0μm以下であることがより好ましい。本明細書における「金
属フレーク含有層の厚み」とは、金属フレーク含有層が多層構造である場合には、金属フ
レーク含有層を構成する各層の合計厚みを意味するものとする。
白色層の厚みをt1、金属フレーク含有層の厚みをt2とした場合、t1/t2は0.
2以上2.0以下であることが好ましい。t1/t2が0.2以上であれば、白色層によ
って正反射が十分に和らげられやすくなり、包装材料の意匠を落ち着きのあるものとしや
すくできる。また、t1/t2を2.0以下であれば、金属フレーク含有層によって遮光
性を付与しやすくできる。t1/t2の下限は、0.3以上であることがより好ましく、
上限は、1.8以下であることがより好ましい。
金属フレークの材質としては、アルミニウム、金、銀、真鍮、チタン、クロム、ニッケ
ル、ニッケルクロムおよびステンレス等の金属や合金が挙げられる。これらの中でも、白
色に近い色調を得やすいという観点からアルミニウムおよび銀が好ましく、コスト上昇を
抑制する観点からアルミニウムがより好ましい。
金属フレークは、例えば、上記金属または合金の粉末と溶剤とを混合し、媒体攪拌ミル
、ボールミル、アトライター等で、この粉末を展延および/または粉砕することにより得
ることができる。このようにして得られた金属フレークは、金属粉末を引き伸ばすことに
よりフレーク状にするため、金属フレークの表面にうねり状の凹凸を有するものとなり、
拡散性を向上させることができる。
上記手法で金属フレークを作製する場合、ベアリングボールの大きさ、展延および/ま
たは粉砕の時間や強度等により、金属フレークの長さ、厚み及びアスペクト比を調整する
ことができる。例えば、展延及び粉砕の時間を長くすること、および、展延および粉砕の
強度を強くすることにより、平均長さが小さくなり、厚みが薄くなる。
金属フレークの平均長さは、1μm以上10μmであることが好ましい。この平均長さ
が1μm以上であれば、拡散性が向上し、輝度感が向上する。また、この平均長さが10
μm以下であれば、金属フレーク含有層の金属フレークの密度を大きくすることができる
。金属フレークの平均長さの下限は、2μm以上または3μm以上であることがより好ま
しく、上限は7μm以下または5μm以下であることがより好ましい。上記のように比較
的長さの短い金属フレークが金属フレーク含有層内の厚み方向で積層されることにより、
金属フレーク含有層の面内の多数の箇所で多重反射が生じ、全光線透過率を低下させるこ
とができる。
金属フレークの平均長さは、包装材料の平面方向から光学顕微鏡または電子顕微鏡で観
察した任意の20個の金属フレークの長さの平均値として求められる。なお、1個の金属
フレークの長さは、1個の金属フレークの平面方向の最大長さを意味する。
また、金属フレークの平均厚みは、0.01μm以上0.50μm以下であることが好
ましい。金属フレークの平均厚みを0.01μm以上とすることにより、個々の金属フレ
ークの隠蔽性を高めることができ、全光線透過率を25.0%以下にしやすい。また、金
属フレークの平均厚みを0.50μm以下とすることにより、金属フレーク含有層内の厚
み方向で金属フレークが積層されやすくなり、金属フレークの間で多重反射を生じさせる
ことができるため、全光線透過率を低下させることができる。金属フレークの平均厚みの
下限は、0.03μm以上または0.05μm以上であることがより好ましく、上限は0
.30μm以下または0.15μm以下であることがより好ましい。
金属フレークの平均厚みは、包装材料の断面を光学顕微鏡または電子顕微鏡で観察した
任意の20個の金属フレークの厚みの平均値として求められる。なお、1個の金属フレー
クの厚みは、1個の金属フレークの断面像を長さ方向に均等な長さで5つの領域に分割し
、各領域の中央部の厚み(t、t、t、t、t5)を測定し、t~tを平均
したものを意味する。
金属フレークのアスペクト比(平均長さ/平均厚み)は25以上100以下であること
が好ましい。金属フレークのアスペクト比を25以上とすることにより、金属フレーク含
有層内で金属フレークが傾き難くなるため、金属フレーク含有層内の厚み方向で金属フレ
ークが積層されやすくなる。この結果、金属フレークの間で多重反射を生じさせることが
でき、全光線透過率を低下させることができる。また、金属フレークのアスペクト比を1
00以下とすることにより、金属フレークが傾いた際に、隣接する金属フレーク同士が接
触しにくくなり、電子レンジ耐性を良好にすることができる。金属フレークのアスペクト
比の下限は27以上または30以上であることがより好ましく、上限は70以下または5
0以下であることがさらに好ましい。
金属フレークはノンリーフィングタイプであることが好ましい。ノンリーフィングタイ
プの金属フレークは、金属フレーク含有層の形成過程で金属フレークが塗膜表面付近に浮
かび上がることが抑制されるため、金属フレーク含有層内の厚み方向で金属フレークが積
層されやすくなる。この結果、金属フレークの間で多重反射を生じさせることができるの
で、金属フレーク含有層を通過する光の光路長が極めて長くなり、全光線透過率を低下さ
せることができる。これによりリーフィングタイプの金属フレークよりも全光線透過率を
低下させることができる。
さらに、ノンリーフィングタイプの金属フレークは、金属フレーク含有層の形成過程で
金属フレークが層内に一様に分散するため、金属フレークが傾いても、スパークや過熱を
生じるほど金属フレークの間隔が狭くなることが抑制されるため、電子レンジの使用時に
包装材料が劣化することを抑制できる。
なお、金属フレーク含有層を複数積層する場合には、リーフィングタイプの金属フレー
クを用いても複数の金属フレーク含有層の全体として金属フレークを積層することができ
る。しかし、リーフィングタイプの場合、最初に光が到達する金属フレーク含有層の塗膜
表面に配列された金属フレークによって多くの光が正反射し、次の金属フレーク含有層に
は光が到達しにくいため、多重反射を生じさせ難い。このため、金属フレーク含有層を複
数積層した場合であっても、ノンリーフィングタイプの金属フレークの方が全光線透過率
を低下させやすい。また、ノンリーフィングタイプの金属フレークは、残留溶剤を低減し
やすい点でも有用である。
ノンリーフィングタイプの金属フレークは、パルミチン酸、ステアリン酸及びベヘン酸
等の長鎖飽和脂肪酸で表面処理されていない金属フレークであり、例えば、リノール酸等
の不飽和脂肪酸で表面処理された金属フレーク、表面処理されていない金属フレーク等が
挙げられる。
金属フレークは、電子レンジ耐性の観点から、金属フレークの表面が樹脂コートされた
ものが好ましい。樹脂コートされた金属フレークは、例えば、特開昭62-253668
号公報、特開昭64-40566号公報、特開2003-213157号公報、特開20
12-241039号公報に記載の方法により製造できる。
金属フレーク含有層中の金属フレークの含有量は、金属フレーク含有層の全固形分の2
0質量%以上60質量%以下であることが好ましい。金属フレークの含有量を20質量%
以上とすることにより、包装材料の全光線透過率を25.0%以下としやすい。また、金
属フレークの含有量を60質量%以下とすることにより、耐電子レンジ性を良好にしやす
くできるとともに、金属フレーク含有層に隣接する層と金属フレーク含有層との密着性が
良好となり、耐レトルト性を良好にしやすくできる。金属フレークの含有量の下限は30
質量%以上または35質量%以上であることがより好ましく、上限は55質量%以下また
は50質量%以下であることがさらに好ましい。
金属フレーク含有層は、バインダ樹脂を含むことが好ましい。金属フレーク含有層のバ
インダ樹脂としては、白色層のバインダ樹脂と同様のものが挙げられる。なお、金属フレ
ーク含有層が多層構造である場合、界面反射を抑制するため、複数の金属フレーク含有層
のバインダ樹脂は、屈折率差を0.03以内とすることが好ましく、0.01以内とする
ことがより好ましい。
金属フレーク含有層には、必要に応じて、例えば、充填剤、安定剤、可塑剤、酸化防止
剤、紫外線吸収剤等の光安定剤、分散剤、増粘剤、乾燥剤、滑剤、帯電防止剤、架橋剤等
の任意の添加剤を添加することができる。
包装材料40の具体例としては、例えば以下の包装材料が挙げられる。なお、上記と同
様に「/」は、層を列記する場合に、層と層との境界を示す表記として用いている。層に
ついては、パウチの外側から内側に向かって記載するものとする。すなわち最も右側に記
載された層がシーラントフィルムである。
二軸延伸PETフィルム/透明蒸着層/透明ガスバリア性塗布膜/絵柄印刷層/遮光印刷
層/接着剤層/二軸延伸PETフィルム/接着剤層/シーラントフィルム
二軸延伸PETフィルム/透明蒸着層/透明ガスバリア性塗布膜/遮光印刷層/接着剤層
/二軸延伸PETフィルム/接着剤層/シーラントフィルム
二軸延伸PETフィルム/絵柄印刷層/遮光印刷層/接着剤層/透明ガスバリア性塗布膜
/透明蒸着層/二軸延伸PETフィルム/接着剤層/シーラントフィルム
二軸延伸PETフィルム/遮光印刷層/接着剤層/透明ガスバリア性塗布膜/透明蒸着層
/二軸延伸PETフィルム/接着剤層/シーラントフィルム
二軸延伸PETフィルム/絵柄印刷層/遮光印刷層/接着剤層/二軸延伸PETフィルム
/接着剤層/シーラントフィルム
二軸延伸PETフィルム/遮光印刷層/接着剤層/二軸延伸PETフィルム/接着剤層/
シーラントフィルム
二軸延伸PETフィルム/絵柄印刷層/遮光印刷層/接着剤層/二軸延伸直進カットPE
Tフィルム/接着剤層/シーラントフィルム
二軸延伸PETフィルム/遮光印刷層/接着剤層/二軸延伸直進カットPETフィルム/
接着剤層/シーラントフィルム
本実施形態によれば、100℃の環境下で1分間保持した後、100℃の環境下で測定
したときの一方向(例えば、流れ方向(MD))の熱間破断強度が、33.0MPa以上
であるので、熱間破断強度が高い。これにより、電子レンジでの加熱の際に、パウチの破
袋を抑制できる。
電子レンジで加熱されて高温になったパウチにおける蒸気抜きシール部のシール強度が
適度に低い値になれば、収容空間において発生する水蒸気の圧力から受ける力に基づいて
蒸気抜きシール部が剥離し易くなる。すなわち、より低い圧力で蒸気抜きシール部が剥離
するようになる。本実施形態によれば、100℃の環境下で測定したときのパウチ10の
熱間シール強度が、20.0N以下であるので、熱間シール強度が低く、これにより蒸気
抜きシール部24から蒸気を抜けやすくすることができ、安定して蒸気を抜くことができ
る。
通常、パウチにおいて、遮光性を得ようとした場合には、アルミニウム箔等の金属箔層
を含む包装材料を用いるが、このような包装材料を用いると、電子レンジでの加熱時にス
パークするおそれがあるので、電子レンジで使用されるパウチの包装材料には、金属箔層
を使用できない。これに対し、本実施形態において、図10のように包装材料として遮光
印刷層41を備える全光線透過率が25.0%以下の包装材料40を用いた場合には、遮
光性を得ることができるとともに電子レンジでの加熱時のスパークを抑制できる。これに
より、電子レンジで加熱することができるとともに内容物の光劣化を抑制できるパウチを
得ることができる。
パウチに収容される内容物の粘度が高く、または油分が多い場合、電子レンジでの加熱
時に過加熱状態になり、パウチを構成する包装材料に穴が空いてしまうおそれがある。こ
れに対し、包装材料30、40の第1の二軸延伸プラスチックフィルム31および第2の
二軸延伸プラスチックフィルム32として、いずれも二軸延伸ポリエチレンテレフタレー
トフィルムを用いた場合には、耐熱性に優れるので、電子レンジでの加熱時に包装材料3
0、40に穴が空いてしまうことを抑制できる。
本発明を詳細に説明するために、以下に実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの
記載に限定されない。
<実施例1>
まず、第1の二軸延伸プラスチックフィルムとして、厚さ12μmの二軸延伸ポリエチ
レンテレフタレートフィルム(製品名「E5100」、東洋紡株式会社製)を準備した。
続いて、このフィルムに絵柄印刷層を形成した。絵柄印刷層の厚みは1.0μmであった
。また、第2の二軸延伸プラスチックフィルムとして、厚さ15μmの二軸延伸ナイロン
フィルム(製品名「ボニールQC」、興人フィルム&ケミカルズ株式会社)を準備した。
また、シーラントフィルムとして、厚さ60μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(製品
名「ZK500」、東レフィルム加工株式会社製)を準備した。ZK500は、上述のプ
ロピレン・エチレンブロック共重合体およびエラストマーを含むものであった。
ZK500は、一般的な未延伸ポリプロピレンフィルムに比べて高い引張伸度を有する
。具体的には、流れ方向(MD)におけるZK500の引張伸度は、厚みが50μmの場
合に1180%であり、厚みが60μmの場合に1100%である。また、幅方向(TD
)におけるZK500の引張伸度は、厚みが50μmの場合に1240%であり、厚みが
60μmの場合に1150%である。従って、流れ方向におけるZK500の引張伸度(
%)と厚み(μm)の積は、厚みが50μmの場合に59000であり、厚みが60μm
の場合に66000である。また、幅方向におけるZK500の引張伸度(%)と厚み(
μm)の積は、厚みが50μmの場合に62000であり、厚みが60μmの場合に69
000である。
続いて、ドライラミネート法により、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、
絵柄印刷層、第1接着剤層、二軸延伸ナイロンフィルム、第2接着剤層、および未延伸ポ
リプロピレンフィルムを順に積層し、包装材料を作製した。第1接着剤層および第2接着
剤層としては、ロックペイント株式会社製の2液型ポリウレタン系接着剤(主剤:RU-
40、硬化剤:H-4)を用いた。なお、主剤のRU-40は、ポリエステルポリオール
である。第1接着剤層および第2接着剤層の厚さは、3.0μmであった。
そして、上記で作製した包装材料3枚を用いて、200mlの水を充填の上、図1に示
すスタンディングパウチを作製した。具体的には、まず、底面となる包装材料においては
、シーラントフィルムである未延伸ポリプロピレンフィルムが外側となるように2つ折り
にして、折線を介して連設された第1部分および第2部分を形成しておき、また2つ折り
の状態で、裁断後にパウチとしたとき底面の横方向の両縁部の下端近傍となる箇所を直径
10mmの円状に打ち抜き、貫通孔を形成した。
そして、おもて面フィルムとなる包装材料および裏面フィルムとなる包装材料の間の所
定の位置に2つ折りにした底面フィルムとなる包装材料を配置して、以下の条件で熱融着
して、第1側部シール部、第2側部シール部、第1底部シール部、第2底部シール部、お
よび蒸気抜きシール部を形成した。これにより、上部が開口したパウチが得られた。なお
、貫通孔の部分においては、2つ折りにした底面フィルムとなる包装材料が存在しないの
で、おもて面フィルムとなる包装材料および裏面フィルムとなる包装材料が直接融着して
、補助底部シール部が形成された。
(熱融着条件)
・熱融着装置:ヒートシーラーTP-701-A(テスター産業社株式会社製)
・熱融着温度:220℃
・熱融着圧力:0.1MPa
・熱融着時間:1秒間
その後、各パウチに対して開口から水200mlを充填した後、上記熱融着条件と同様
の条件で熱融着して上部シール部を形成し、パウチを密封した。その後、各パウチに対し
て以下の条件でレトルト処理を行って、レトルト処理が施された実施例1に係るパウチを
作製した。実施例1においては、包装材料の流れ方向(MD)がパウチのX方向DRXに
該当し、包装材料の幅方向(TD)がパウチのY方向DRYに該当している。
(レトルト処理)
・方式:スプレー式
・レトルト温度:121℃
・レトルト時間:30分
作製された実施例1に係るパウチにおいては、パウチの高さHが160mm、パウチの
幅W1が147mm、底部ガセット部の折込幅W2が46mm、第1側部シール部および
第2側部シール部の幅W3が7.0mm、蒸気抜きシール部の幅W4が5mm、上部シー
ル部の幅W5が10.0mmであった。
<実施例2>
実施例2においては、厚さ15μmの二軸延伸ナイロンフィルム(製品名「ボニールQ
C」、興人フィルム&ケミカルズ株式会社)の代わりに、第2の二軸延伸プラスチックフ
ィルムとして、厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(製品名「
E5200」、東洋紡株式会社製)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、包装材
料を作製した。そして、この包装材料3枚を用いて、実施例1と同様にして、実施例2に
係るパウチを作製した。実施例2においては、包装材料の流れ方向(MD)がパウチのX
方向DRXに該当し、包装材料の幅方向(TD)がパウチのY方向DRYに該当している
<実施例3>
実施例3においては、厚さ15μmの二軸延伸ナイロンフィルム(製品名「ボニールQ
C」、興人フィルム&ケミカルズ株式会社)の代わりに、第2の二軸延伸プラスチックフ
ィルムとして、厚さ12μmの直進カット性二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィル
ム(製品名「エンブレット(登録商標)PCBC」、ユニチカ株式会社製)を用いたこと
以外は、実施例1と同様にして、包装材料を作製した。そして、この包装材料3枚を用い
て、実施例1と同様にして、実施例3に係るパウチを作製した。実施例3においては、包
装材料の流れ方向(MD)がパウチのX方向DRXに該当し、包装材料の幅方向(TD)
がパウチのY方向DRYに該当している。
<実施例4>
まず、第1の二軸延伸プラスチックフィルムとして、厚さ12μmの二軸延伸ポリエチ
レンテレフタレートフィルム(製品名「E5100」、東洋紡株式会社製)を準備した。
続いて、このフィルムの一方の面にコロナ放電処理を施した後、厚み10nmのケイ素酸
化物からなる透明蒸着層を形成した。
次いで、透明蒸着層に、酸素およびアルゴンの混合ガスによるプラズマ処理を施した後
、エチルシリケートおよびポリビニルアルコールを主成分とする塗工液をグラビアロール
コーターで塗布して、乾燥後の厚みが300nmの透明ガスバリア性塗布膜を形成した。
その後、透明ガスバリア性塗布膜の表面の一部に絵柄印刷層を形成した。絵柄印刷層の
厚みは1.0μmであった。絵柄印刷層を形成した後、絵柄印刷層の表面に厚み5μmの
遮光印刷層を形成した。遮光印刷層は、2層の白色層と1層の灰色層から構成された。具
体的には、まず、絵柄印刷層の表面に酸化チタンを含む白色インキ(製品名「リオアルフ
ァ(登録商標)R631白」、東洋インキ株式会社製)を塗布し、50℃で乾燥させて、
厚み1.0μmの白色層を形成した。さらに、この白色層の表面に、酸化チタンを含む白
色インキ(製品名「NKFSシリーズR69K」、東洋インキ株式会社製)を塗布し、6
0℃で乾燥させて、厚み2.0μmの白色層を形成した。その後、この白色層の表面に酸
化チタンおよびカーボンブラックを含む灰色インキを塗布し、60℃で乾燥させて、厚み
2.0μmの灰色層を形成した。灰色インキは、酸化チタンおよびポリウレタン系樹脂を
含む白色インキ(製品名「NKFSシリーズR69K」、東洋インキ株式会社製)に対し
てカーボンブラックおよびポリウレタン系樹脂を含む黒色インキを5質量%添加すること
によって作製された。
また、第2の二軸延伸プラスチックフィルムとして、厚さ12μmの二軸延伸ポリエチ
レンテレフタレートフィルム(製品名「E5100」、東洋紡株式会社製)を準備した。
また、シーラントフィルムとして、厚さ60μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(製品
名「ZK500」、東レフィルム加工株式会社製)を準備した。
その後、ドライラミネート法により、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、
透明蒸着層、透明バリア性塗布膜、絵柄印刷層、遮光印刷層、第1接着剤層、二軸延伸ポ
リエチレンテレフタレートフィルム、第2接着剤層、および未延伸ポリプロピレンフィル
ムを順に積層し、包装材料を作製した。第1接着剤層および第2接着剤層としては、ロッ
クペイント株式会社製の2液型ポリウレタン系接着剤(主剤:RU-40、硬化剤:H-
4)を用いた。第1接着剤層および第2接着剤層の厚さは、3.0μmであった。
そして、この包装材料3枚を用いて、実施例1と同様にして、実施例4に係るパウチを
作製した。実施例4においては、包装材料の流れ方向(MD)がパウチのX方向DRXに
該当し、包装材料の幅方向(TD)がパウチのY方向DRYに該当している。
<実施例5>
実施例5においては、厚さ1μmの白色層、厚さ2μmの白色層、および厚さ2μmの
灰色層からなる遮光印刷層の代わりに、以下の厚さ2μmの白色層および以下の厚さ2μ
mのアルミニウムフレーク含有層からなる遮光印刷層を形成したこと以外は、実施例4と
同様にして、包装材料を作製した。そして、この包装材料3枚を用いて、実施例1と同様
にして、実施例5に係るパウチを作製した。実施例5においては、包装材料の流れ方向(
MD)がパウチのX方向DRXに該当し、包装材料の幅方向(TD)がパウチのY方向D
RYに該当している。
実施例5に係る白色層は、酸化チタンを含む白色インキ(製品名「LG-FK690R
白C」、東京インキ株式会社製)を塗布し、60℃で乾燥させることにより形成された。
また、アルミニウムフレーク含有層は、この白色層の表面にノンリーフィングタイプのア
ルミニウムフレークを含むアルミニウムフレーク含有インキ(製品名「LG-FK高隠蔽
銀D」、東京インキ株式会社製)を塗布し、60℃で乾燥させることにより形成された。
<実施例6>
まず、第1の二軸延伸プラスチックフィルムとして、厚さ12μmの二軸延伸ポリエチ
レンテレフタレートフィルム(製品名「E5100」、東洋紡株式会社製)を準備した。
続いて、このフィルムの一方の面に実施例4と同様にして厚さ1.0μmの絵柄印刷層を
形成し、その後、絵柄印刷層の表面に実施例4と同様にして厚み5μmの遮光印刷層を形
成した。
また、第2の二軸延伸プラスチックフィルムとして、厚さ12μmの二軸延伸ポリエチ
レンテレフタレートフィルム(製品名「E5100」、東洋紡株式会社製)を準備した。
このフィルムの一方の面に実施例4と同様にして厚み10nmのケイ素酸化物からなる透
明蒸着層および乾燥後の厚みが300nmの透明ガスバリア性塗布膜を形成した。
また、シーラントフィルムとして、厚さ60μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(製
品名「ZK500」、東レフィルム加工株式会社製)を準備した。
その後、ドライラミネート法により、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、
絵柄印刷層、遮光印刷層、第1接着剤層、バリア性塗布膜、透明蒸着層、二軸延伸ポリエ
チレンテレフタレートフィルム、第2接着剤層、および未延伸ポリプロピレンフィルムを
順に積層し、包装材料を作製した。第1接着剤層および第2接着剤層としては、ロックペ
イント株式会社製の2液型ポリウレタン系接着剤(主剤:RU-40、硬化剤:H-4)
を用いた。第1接着剤層および第2接着剤層の厚さは、3.0μmであった。
そして、この包装材料3枚を用いて、実施例1と同様にして、実施例6に係るパウチを
作製した。実施例6においては、包装材料の流れ方向(MD)がパウチのX方向DRXに
該当し、包装材料の幅方向(TD)がパウチのY方向DRYに該当している。
<実施例7>
実施例7においては、厚さ1μmの白色層、厚さ2μmの白色層、および厚さ2μmの
灰色層からなる遮光印刷層の代わりに、実施例5と同様の厚さ2μmの白色層および厚さ
2μmのアルミニウムフレーク含有層からなる遮光印刷層を形成したこと以外は、実施例
6と同様にして、包装材料を作製した。そして、この包装材料3枚を用いて、実施例1と
同様にして、実施例6に係るパウチを作製した。実施例7においては、包装材料の流れ方
向(MD)がパウチのX方向DRXに該当し、包装材料の幅方向(TD)がパウチのY方
向DRYに該当している。
<実施例8>
実施例8においては、透明蒸着層および透明バリア性塗布膜を設けなかったこと以外は
、実施例4と同様にして、包装材料を作製した。そして、この包装材料3枚を用いて、実
施例1と同様にして、実施例8に係るパウチを作製した。実施例8においては、包装材料
の流れ方向(MD)がパウチのX方向DRXに該当し、包装材料の幅方向(TD)がパウ
チのY方向DRYに該当している。
<実施例9>
実施例9においては、透明蒸着層および透明バリア性塗布膜を設けなかったこと以外は
、実施例5と同様にして、包装材料を作製した。そして、この包装材料3枚を用いて、実
施例1と同様にして、実施例9に係るパウチを作製した。実施例9においては、包装材料
の流れ方向(MD)がパウチのX方向DRXに該当し、包装材料の幅方向(TD)がパウ
チのY方向DRYに該当している。
<実施例10>
実施例10においては、遮光印刷層を、厚さ1μmの白色層および厚さ1μmの白色層
の積層構造から構成したこと以外は、実施例4と同様にして、包装材料を作製した。そし
て、この包装材料3枚を用いて、実施例1と同様にして、実施例10に係るパウチを作製
した。実施例10においては、包装材料の流れ方向(MD)がパウチのX方向DRXに該
当し、包装材料の幅方向(TD)がパウチのY方向DRYに該当している。
<実施例11>
実施例11においては、第2の二軸延伸プラスチックフィルムとしての二軸延伸ポリエ
チレンテレフタレートフィルム(製品名「E5100」、東洋紡株式会社製)の代わりに
、厚さ15μmの二軸延伸ナイロンフィルム(製品名「ボニールQC」、興人フィルム&
ケミカルズ株式会社)を用いたこと以外は、実施例10と同様にして、包装材料を作製し
た。そして、この包装材料3枚を用いて、実施例1と同様にして、実施例11に係るパウ
チを作製した。実施例11においては、包装材料の流れ方向(MD)がパウチのX方向D
RXに該当し、包装材料の幅方向(TD)がパウチのY方向DRYに該当している。
<比較例1>
比較例1においては、厚さ60μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(製品名「ZK5
00」、東レフィルム加工株式会社製)の代わりに、シーラントフィルムとして、厚さ7
0μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(製品名「ZK99S」、東レフィルム加工株式
会社)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、包装材料を作製した。そして、この
包装材料3枚を用いて、実施例1と同様にして、比較例1に係るパウチを作製した。比較
例1においては、包装材料の流れ方向(MD)がパウチのX方向DRXに該当し、包装材
料の幅方向(TD)がパウチのY方向DRYに該当している。
<熱間破断強度測定>
実施例1~11および比較例1に係るレトルト処理後のパウチを構成する包装材料の1
00℃における破断強度(熱間破断強度)を測定した。まず、実施例1~11および比較
例1に係るレトルト処理後のパウチを1つ準備した。図4に示すように、各パウチのおも
て面から、シール部を含まないようにして、一辺L1が15mm、一辺L1と直交する方
向に延びる他辺L2が100mmの長方形状の試験片S1を5個切り出した。試験片S1
は、他辺L2がX方向DRX(第1側部シール部が延びる方向と直交する方向)と平行に
なるように切り出した。続いて、図5に示すように、各パウチの裏面から、シール部を含
まないようにして、一辺L1が15mm、一辺L1と直交する方向に延びる他辺L2が1
00mmの長方形状の試験片S2を5個切り出した。試験片S2は、他辺L2がY方向D
RY(第1側部シール部が延びる方向と平行な方向)と平行になるように切り出した。そ
して、テンシロン万能材料試験機RTC-1310A(株式会社エー・アンド・デイ製)
を用いて、温度100℃、相対湿度5%の環境下に各試験片S1を1分間保持した後に、
温度100℃、相対湿度5%の環境下で初期把持具間距離D1が50mmとなり、かつ引
張速度が300mm/分となるように引張試験を行い、試験片S1の熱間破断強度を測定
した。同様にして、試験片S2の熱間破断強度を測定した。5個の試験片S1について、
熱間破断強度を測定し、その平均値を包装材料のX方向の熱間破断強度とした。また、5
個の試験片S2について、熱間破断強度を測定し、その平均値を包装材料のY方向の熱間
破断強度とした。
<熱間シール強度測定>
実施例1~11および比較例1に係るレトルト処理後のパウチの100℃におけるシー
ル強度(熱間シール強度)を測定した。まず、実施例1~11および比較例1に係るレト
ルト処理後のパウチを1つ準備した。各パウチについて、第1側部シール部を含み、おも
て面フィルムと裏面フィルムが接合された状態の一辺L3が15mm、一辺L3と直交す
る方向に延びる他辺L4が70mmの長方形状の試験片S3を5個切り出した。具体的に
は、図7に示すように、第1側部シール部を含むように3個、第2側部シール部を含むよ
うに2個の試験片S3を切り出した。試験片S3は、他辺L4がX方向DRX(第1側部
シール部が延びる方向と直交する方向)と平行になるように、かつ、蒸気抜きシール部を
含まないように切り出した。この試験片S3を用いて、熱間シール強度を測定した。熱間
シール強度は、JIS Z1707:1997 7.5に準拠してテンシロン万能材料試
験機RTC-1310A(株式会社エー・アンド・デイ製)を用いて測定した。まず、上
記試験片の未シール部における2枚の包装材料をそれぞれ、上記引張試験機の把持具で把
持した。また、把持具をそれぞれ、試験片S3のシール部の面方向に対して直交する方向
において互いに逆向きに、300mm/分の速度で引っ張り、引張応力の最大値を測定し
た。そして、最大値の平均値をシール強度とした。熱間シール強度の測定は、温度100
℃、相対湿度5%の環境下で1分間保持した後100℃、相対湿度5%の環境下で行われ
た。5個以上の試験片S3について、熱間シール強度を測定し、その平均値をパウチの熱
間シール強度とした。なお、L3、L4、およびS3は、図7、図8の示す通りである。
<全光線透過率測定>
実施例4~11に係るレトルト処理後のパウチを構成する包装材料の全光線透過率を、
JIS K7361-1:1997に準拠して、ヘイズメーター(製品名「HM-150
」、株式会社村上色彩技術研究所製、測定径20mmφ)を用いて測定した。具体的には
、まず、図11に示すように、パウチのおもて面から、シール部を含まないようにして、
一辺L5が50mm、一辺L5と直交する方向に延びる他辺L6が50mmの正方形状の
試験片S4を3個切り出し、図12に示すように、パウチの裏面から、シール部を含まな
いようにして、一辺L5が50mm、一辺L1と直交する方向に延びる他辺L6が50m
mの正方形状の試験片S4を2個切り出した。試験片S4は、他辺L6がX方向(第1側
部シール部が延びる方向と直交する方向)と平行になるように切り出した。その後、カー
ルや皺がない状態で第1の二軸延伸プラスチックフィルムとしての二軸延伸ポリエチレン
テレフタレートフィルムが光源側となるようにヘイズメーターに試験片S4を設置して、
温度25℃、相対湿度50%の環境下に試験片S4を1分間保持した後に、温度25℃、
相対湿度50%の環境下で試験片S4の全光線透過率を測定した。5個の試験片S4につ
いて、全光線透過率を測定し、その平均値を包装材料の全光線透過率とした。なお、L5
、L6、およびS4は、図11、図12の示す通りである。
<L値測定>
実施例4~11に係るレトルト処理後のパウチを構成する包装材料をL値を、JIS
Z8781-4:2013(測色-第4部:CIE 1976L色空間)に
準拠し、分光測色計(製品名「SpectoroEye」、X-Rite社製)を用いて
測定した。具体的には、まず、図13に示すように、パウチのおもて面から、絵柄印刷層
およびシール部を含まないようにして、一辺L7が5mm、一辺L7と直交する方向に延
びる他辺L8が5mmの正方形状の試験片S5を5個切り出した。試験片S5は、他辺L
8がX方向(第1側部シール部が延びる方向と直交する方向)と平行になるように切り出
した。その後、白色板(材質:紙、大きさ:A4サイズ(210mm×297mm)、厚
み:0.3mm)上に試験片S5を第1の二軸延伸プラスチックフィルムとしての二軸延
伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが上面となるように配置した。その後、温度25
℃、相対湿度50%の環境下に試験片S5を1分間保持した後に、温度25℃、相対湿度
50%の環境下でSCE方式(正反射光除去方式)によって試験片S5のL値を測定し
た。SpectoroEyeにおいては、光源をD50とし、視野角を2°とした。5個
の試験片S5について、L値を測定し、その平均値を包装材料のL値とした。なお、
L7、L8、およびS5は、図13の示す通りである。
<遮光性>
実施例4~9に係るレトルト処理前のパウチにおいて、内容物として、水の代わりにク
リームシチュー200gを入れて、実施例1と同様の条件でパウチを密封し、実施例1の
欄で記載されている条件でレトルト処理を行った後、温度25℃、相対湿度50%の環境
下および蛍光灯(D65光源)下で、60日間放置して、目視によりクリームシチューの
変色を確認した。評価基準は、以下の通りとした。
○:クリームシチューの変色が確認されなかった。
△:クリームシチューの変色が若干確認されたが、商品上問題がないレベルであった。
×:クリームシチューの明らかな変色が確認された。
<耐熱性>
実施例4~11に係るパウチにおいて、内容物として、水の代わりにミートソース15
0gを入れて、パウチを電子レンジで加熱し、加熱後のパウチの包装材料に穴が確認され
るか、および穴が確認されない場合には皺が確認される評価した。具体的には、まず、レ
トルト処理前のパウチに、ミートソース150gを入れて、パウチを実施例1と同様の条
件で密封し、実施例1の欄で記載されている条件でレトルト処理を行った。そして、レト
ルト処理後のパウチを自立させた状態で出力600Wの電子レンジ(型番「NE-MS2
64」、Panasonic株式会社製)に入れて、3分間加熱した。そして、加熱後の
パウチにおいて、包装材料に穴が確認されるか、また包装材料に穴が確認されない場合に
は皺が確認されるか評価した。評価基準は、以下の通りとした。
○:包装材料に穴が確認されず、また皺も確認されなかった。
△:包装材料に穴が確認されなかったが、実用上問題がないレベルの皺が若干確認され
た。
×:包装材料に穴が確認された。
以下、包装材料の構成および評価結果を表1~4に示す。
Figure 2024056967000006
Figure 2024056967000007
Figure 2024056967000008
Figure 2024056967000009
以下、結果について述べる。表1~表3に示されるように、実施例1~11に係るパウ
チを構成する包装材料においては、比較例1に係るパウチを構成する包装材料に比べて、
X方向の熱間破断強度が高いため、電子レンジでの加熱時に蒸気によってパウチが膨らん
だとしても、パウチが破袋することを抑制することができる。また、実施例1~11に係
るパウチを構成する包装材料は、比較例1に係るパウチを構成する包装材料に比べて、熱
間シール強度が低いため、蒸気抜きシール部から蒸気を抜けやすくすることができ、安定
して蒸気を抜くことができる。
表4に示されるように、実施例4~9に係るパウチにおいては、遮光印刷層を備える全
光線透過率が25.0%以下の包装材料を用いているので、内容物の光劣化を抑制できた
実施例4~10に係るパウチにおいては、第1の二軸延伸プラスチックフィルムとして
二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを備え、第2の二軸延伸プラスチックフィ
ルムとして二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを備える包装材料を用いている
ので、第1の二軸延伸プラスチックフィルムとして二軸延伸ポリエチレンテレフタレート
フィルムを備え、第2の二軸延伸プラスチックフィルムとして二軸延伸ナイロンフィルム
を備える包装材料を用いた実施例11に係るパウチよりも、耐熱性に優れていた。
10…パウチ
10A…収容空間
11…おもて面フィルム
12…裏面フィルム
13…底面フィルム
15…シール部
24…蒸気抜きシール部
30、40…包装材料
31…第1の二軸延伸プラスチックフィルム
32…第2の二軸延伸プラスチックフィルム
33…シーラントフィルム
41…遮光印刷層

Claims (9)

  1. 包装材料を含み、かつ収容空間を有するパウチであって、
    前記包装材料が、第1の二軸延伸プラスチックフィルムと、第2の二軸延伸プラスチックフィルムと、シーラントフィルムとをこの順に備え、
    前記第1の二軸延伸プラスチックフィルムが、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムであり、
    前記第2の二軸延伸プラスチックフィルムが、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムまたは二軸延伸ナイロンフィルムであり、
    前記シーラントフィルムが、ポリプロピレンを主成分とし、
    前記パウチは、前記パウチを密封するためのシール部と、前記パウチの底部側にガセット方式で折り込んだ底部ガセット部とを備え、
    前記パウチの高さHに対する前記底部ガセット部の折込幅W2の比W2/Hが、0.1以上0.5以下であり、
    前記シール部が、前記収容空間の圧力の増加により剥離するように構成され、かつ幅が2.5mm以上6mm以下の蒸気抜きシール部を備え、
    前記パウチは、前記蒸気抜きシール部を剥離させて蒸気抜けすることができるように構成されており、
    前記包装材料は、100℃の環境下で1分間保持した後、100℃の環境下で測定したときの一方向の破断強度が、33.0MPa以上である、パウチ。
  2. 前記シーラントフィルムの前記一方向における引張伸度(%)と厚さ(μm)の積が、50000を越える、請求項1に記載のパウチ。
  3. 前記シーラントフィルムの前記一方向と直交する方向における引張伸度(%)と厚さ(μm)の積が、55000を越える、請求項1または2に記載のパウチ。
  4. 前記シーラントフィルムが、プロピレン・エチレンブロック共重合体と、エラストマーとを含む、請求項1ないし3のいずれか一項に記載のパウチ。
  5. 前記包装材料が、前記第1の二軸延伸プラスチックフィルムと前記第2の二軸延伸プラスチックフィルムの間に設けられた透明蒸着層をさらに備え、前記透明蒸着層が、金属酸化物または無機酸化物を含む、請求項1ないし4のいずれか一項に記載のパウチ。
  6. 前記包装材料が、前記透明蒸着層の面上に設けられた透明ガスバリア性塗布膜をさらに備える、請求項5に記載のパウチ。
  7. 前記包装材料が、前記第1の二軸延伸プラスチックフィルムと前記シーラントフィルムの間に設けられた遮光印刷層をさらに備え、前記包装材料の全光線透過率が、25.0%以下である、請求項1ないし6のいずれか一項に記載のパウチ。
  8. 前記包装材料のSCE方式(正反射光除去方式)で測定したL表色系におけ
    るL値が、65.0以上である、請求項7に記載のパウチ。
  9. 前記パウチの前記収容空間に内容物が収容されている、請求項1ないし8のいずれか一項に記載のパウチ。
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