JP5938944B2 - 蓋材 - Google Patents

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Description

本発明は、植物由来のシーラントフィルムを有する積層フィルムからなる蓋材に関し、更に詳しくは、優れた打ち抜き適性及び耐衝撃性を示し、且つ、高いバイオマス度を示す蓋材に関する。
近年、環境への負荷を低減するために、樹脂フィルムの原料の一部を、石油由来の樹脂から、植物由来の樹脂に置き換えることが検討されている(特許文献1)。植物由来の樹脂は、従来の石油由来の樹脂と、化学構造的には変わりがなく、同等の物性を有することが期待されている。
しかしながら、実際には、植物由来の樹脂を含む樹脂フィルムは、石油由来の樹脂のみからなる樹脂フィルムとは異なる性質を示す。
例えば、ポリエチレン系樹脂からなるシーラントフィルム等において、原料の一部を植物由来のポリオレフィン系樹脂に変えると、その配合率が高くなるにつれて、フィルムの打ち抜き適性が悪くなり、また、耐衝撃性が低下することが分かった。
したがって、そのような高いバイオマス度を示すシーラントフィルムは、蓋材に用いるには不適であり、このシーラントフィルムを用いて蓋材を製造しようとすると、美麗な切断面をもって蓋材を打ち抜くことが困難であった。また、破れやすく、落下等の衝撃に弱いという問題があった。
特開2009−155516号公報
本発明は、上記の問題点を解決し、優れた打ち抜き適性及び耐衝撃性を示し、且つ、蓋材全体として少なくとも18%の高いバイオマス度を示すことから環境への負荷が低減された蓋材を提供することを目的とする。
本発明者は、種々研究の結果、少なくとも基材層及びシーラント層を有する積層フィルムからなる蓋材であって、該シーラント層は、少なくともポリエチレン系樹脂層とイージーピール層とを共押出積層したシーラントフィルムからなる層であり、該イージーピール層は、少なくとも2種類の樹脂を含むポリマーブレンドからなる層であり、該ポリエチレン系樹脂層は、基材層とイージーピール層との間に位置し、且つ、以下の成分:(a)植物由来の直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)20〜70質量%、(b)密度0.920〜0.933kg/m3及びMFR0.5〜3.5g/10分の物性を有する、非植物由来の低密度ポリエチレン(LDPE)15〜65質量%、(c)エチレンと炭素数6のα−オレフィンとの共重合にて得られ、且つ、密度0.914〜0.937kg/m3及びMFR0.9〜3.0g/10分の物性を有する、非植物由来の直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)15〜65質量%、並びに(d)任意の添加剤0〜20質量%、からなるポリエチレン系樹脂組成物からなる層であり、ここで、(a)〜(d)の合計は100質量%であり、該シーラントフィルム全体に対する該ポリエチレン系樹脂組成物の配合量は、50質量%以上であることを特徴とする、上記蓋材が、上記の目的を達成することを見出した。
そして、本発明は、以下の点を特徴とする。
1.少なくとも基材層及びシーラント層を有する積層フィルムからなる蓋材であって、該シーラント層は、少なくともポリエチレン系樹脂層とイージーピール層とを共押出積層したシーラントフィルムからなる層であり、該イージーピール層は、少なくとも2種類の樹脂を含むポリマーブレンドからなる層であり、該ポリエチレン系樹脂層は、基材層とイージーピール層との間に位置し、且つ、以下の成分:(a)植物由来のLLDPE20〜70質量%、(b)密度0.920〜0.933kg/m3及びMFR0.5〜3.5g/10分の物性を有する、非植物由来のLDPE15〜65質量%、(c)エチレンと炭素数6のα−オレフィンとの共重合にて得られ、且つ、密度0.914〜0.937kg/m3及びMFR0.9〜3.0g/10分の物性を有する、非植物由来のLDPE15〜65質量%、並びに(d)任意の添加剤0〜20質量%、からなるポリエチレン系樹脂組成物からなる層であり、ここで、(a)〜(d)の合計は100質量%であり、該シーラントフィルム全体に対する該ポリエチレン系樹脂組成物の配合量は、50質量%以上であることを特徴とする、上記蓋材。
2.前記シーラント層は、前記ポリエチレン系樹脂層と、前記イージーピール層と、最内層となるヒートシール層とをこの順に共押出積層したシーラントフィルムからなる層であることを特徴とする、上記1に記載の蓋材。
3.前記基材層は、植物由来原料からなるバイオマス度が15〜100%のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムからなる層であることを特徴とする、上記1または2に記載の蓋材。
4.蓋材全体のバイオマス度が少なくとも18%であることを特徴とする、上記1〜3のいずれかに記載の蓋材。
本発明の蓋材を構成する積層フィルムは、植物由来の樹脂を高い配合率で含み、すなわち、高いバイオマス度を示す。したがって、カーボンニュートラルの観点から、大気中のCO2量の増加を抑制し、且つ、石油資源利用の節約にも貢献する。
なお、カーボンニュートラルとは、植物を燃やしても、その際に排出されるCO2量は、植物が生育時に吸収したCO2量と等しいため、大気中のCO2量の増減には影響を与えないことを指す。したがって、植物由来の原料を多く含むほど、CO2量の増加を抑制することができる。
また、本発明の蓋材を構成するシーラントフィルムは、上述の(a)〜(d)の成分を特定の割合で含有する樹脂組成物(以下「本発明の樹脂組成物」と呼ぶ)からなるポリエチレン系樹脂層を有する。その結果、このシーラントフィルムは、植物由来のポリオレフィン系樹脂を高い配合率で含む場合においても、打ち抜き適性及び耐衝撃性の低下が生じない。
さらに、本発明の蓋材を構成するシーラントフィルムは、本発明の樹脂組成物からなるポリエチレン系樹脂層と、ポリマーブレンドからなるイージーピール層と、さらに場合によりヒートシール層とを共押出積層してなる多層構成のフィルムである。
このシーラントフィルムにおいて、本発明の樹脂組成物からなるポリエチレン系樹脂層を厚く設けることにより、この層が、容器の被着面にヒートシールする際のクッション層として機能する。これにより、このシーラントフィルムを有する積層フィルムからなる本発明の蓋材は、被着面の凹凸に追随して、高い密封性を示すことができる。
特に、本発明の樹脂組成物の配合量が、シーラントフィルム全体に対して50質量%以上となるように、該ポリエチレン系樹脂層を厚く設けることにより、蓋材としての密封性が高まり、且つ、高いバイオマス度が達成される。また、本発明において、ポリエチレン系樹脂層をこのように厚くしても、蓋材の打ち抜き適性及び耐衝撃性は損なわれない。
本発明の蓋材を構成する積層フィルムの層構成について、その一例を示す概略的断面図である。 本発明の蓋材を構成する積層フィルムの層構成について、別の一例を示す概略的断面図である。
上記の本発明について以下に更に詳しく説明する。
以下、本発明において使用される樹脂名は、業界において慣用されるものが用いられる。
本発明において、密度は、JIS−K7112に準拠して測定される値である。また、MFRは、JIS K 7210に準拠して測定される値である。
<I>本発明の蓋材を構成する積層フィルムの層構成
図1は、本発明の蓋材を構成する積層フィルムの層構成について、その一例を示す概略的断面図である。
図1に示されるように、本発明の蓋材を構成する積層フィルムは、基材層1と、シーラント層2とからなり、該シーラント層2は、本発明の樹脂組成物からなるポリエチレン系樹脂層3と、ポリマーブレンドからなるイージーピール層4とを共押出積層したシーラントフィルムからなる。ここで、該ポリエチレン系樹脂層3は、基材層1とイージーピール層4の間に位置する。また、ポリエチレン系樹脂層3は、シーラント層2全体に対するポリエチレン系樹脂組成物の配合量が50質量%以上となる厚さで設けられる。
また、図2は、本発明の蓋材を構成する積層フィルムの層構成について、別の一例を示す概略的断面図である。
図2に示されるように、本発明の蓋材を構成する積層フィルムにおいて、シーラント層2は、上記ポリエチレン系樹脂層3、イージーピール層4及びヒートシール層5をこの順に共押出積層したシーラントフィルムからなる。ここで、該ヒートシール層5は、最表層(蓋材として用いる際に最内層となる層)を形成する。
<II>基材層
本発明において、基材層としては、包装用途に応じて、蓋材として必要な強度、シール時の耐熱性、デッドホールド性、フラット性等を保持する任意の基材を使用することができる。本発明において好適に使用される基材の例としては、模造紙、クレイコート紙、クラフト紙、板紙、合成紙等の各種の紙、ポリエステル系樹脂フィルム、ポリアミド系樹脂フィルム、ポリオレフィン系樹脂フィルム等の各種樹脂フィルム、金属酸化物等の蒸着層を有する蒸着フィルム、アルミニウム箔等の金属フィルム、その他種々のバリア性フィルム、遮光性フィルム、及び、これらをラミネートした多層積層フィルムが挙げられる。フィルムのラミネートは、任意の方法により行うことができる。
本発明においては、さらに、植物由来のエチレングリコールやイソブタノールを原料とするPETからなる植物由来PETフィルムやポリ乳酸(PLA)フィルムを使用することもできる。
植物由来PETフィルム又はPLAフィルム、例えば15〜100%のバイオマス度を示すPETフィルム又はPLAフィルムを基材フィルムとして用いることにより、本発明の積層フィルムは、全体として一層高いバイオマス度を達成することができる。
植物由来PETフィルムは、原料となるモノエチレングリコール(MEG)及びテレフタル酸(PTA)の一部または全部を、植物由来のものと置換することにより製造することができる。
植物由来のMEGは、慣用の方法にしたがって、サトウキビ等の植物から得られる糖液や澱粉を、酵母等の微生物により発酵させてバイオエタノールを製造し、これを触媒存在
下で加熱し、分子内脱水反応によりエチレンを得、これより誘導することができる。
植物由来のPTAは、微生物により糖液や澱粉からイソブタノールを製造し、これより合成されるパラキシレンから誘導することができる。
植物由来または非植物由来のMEG約15〜30質量%を、植物由来または非植物由来のPTA55〜85質量%と、場合により任意の添加成分やコモノマー0〜15質量%と共に、慣用の触媒の存在下で重縮合反応させる。得られたPETを製膜し、さらに、所望に応じて、寸法安定性及び耐熱性を高めるために2軸方向に延伸することにより、本発明において好適に使用されるPETフィルムを製造することができる。
なお、本発明において、「植物由来」とは、植物を原料として得られるアルコールから製造される、植物原料に由来する炭素を含むことを意味する。
基材フィルムは、用途に応じて任意の厚さであってよい。
<III>シーラント層
ポリエチレン系樹脂層
本発明において、シーラント層中のポリエチレン系樹脂層は、(a)植物由来のLLDPE20〜70質量%、(b)密度0.920〜0.933kg/m3及びMFR0.5〜3.5g/10分の物性を有する、非植物由来のLDPE15〜65質量%、(c)エチレンと炭素数6のα−オレフィンとの共重合にて得られ、且つ、密度0.914〜0.937kg/m3及びMFR0.9〜3.0g/10分の物性を有する、非植物由来のLLDPE15〜65質量%、並びに(d)任意の添加剤0〜20質量%、からなる本発明のポリエチレン系樹脂組成物からなる。
ポリエチレン系樹脂層の厚さを、シーラントフィルム全体に対するポリエチレン系樹脂組成物の配合量が50質量%以上となるように設けることによって、蓋材としての密封性が高まり、且つ、高いバイオマス度が達成される。
植物由来のLLDPE
成分(a)植物由来のLLDPEは、樹脂組成物中のその他の成分(b)石油由来のLDPE及び成分(c)石油由来のLLDPE等の物性や、製膜化後のフィルムの用途に応じて、JIS K6899−1:2000により定められる定義の範囲内で任意の密度及びMFRを有するものであってよい。
本発明の樹脂組成物中に、成分(a)植物由来のLLDPEは、20〜70質量%、好ましくは20〜60質量%の範囲で配合される。
本発明の樹脂組成物は、植物由来のLLDPEを20質量%以上含むため、高いバイオマス度を達成することができる。しかしながら、この量が70質量%を超えると、植物由来樹脂の配合に伴い生じるシーラントフィルムとしての打ち抜き適性及び耐衝撃性の低下を防ぐことができない。
植物由来のLLDPEの製造方法としては、慣用の方法にしたがって、サトウキビ、トウモロコシ、サツマイモ等の植物から得られる糖液や澱粉を、酵母等の微生物により発酵させてバイオエタノールを製造し、これを触媒存在下で加熱し、分子内脱水反応等によりエチレン、並びにα−オレフィン(1−ブテン、1−ヘキセン等)を得る。次いで、これらをモノマーとして用いて、石油由来のLLDPEの製造と同様にして、慣用の触媒の存在下で共重合させることにより、植物由来のLLDPEを製造することができる。LLDPEの製造において一般に用いられるコモノマーα−オレフィンとしては、上記植物由来のα−オレフィンの他に、場合により、石油由来のものを用いることもできる。
また、重合方法としては、低圧法、スラリー法、溶液法、気相重合法等の重合方法が挙げられる。
また、重合時の触媒としては、メタロセン触媒等のシングルサイト触媒またはチーグラ
ー・ナッタ触媒等のマルチサイト系触媒が挙げられるが、構造均一性に優れる点から、メタロセン触媒等のシングルサイト触媒の使用が好ましい。
植物由来のLLDPEの製造方法については、例えば特表2011−506628号公報等に詳細に記載されている。
本発明において好適に使用される植物由来のLLDPEとしては、ブラスケム(Braskem S.A.)社製のグリーンPE等が挙げられる。
非植物由来(石油由来)のLDPE
本発明において、「非植物由来」または「石油由来」のLDPEとは、植物由来のポリエチレン系樹脂を含まず、従来どおり、石油から得られるナフサを熱分解して得られるエチレンを原料として、これを高圧法により重合して製造されるLDPEを意味する。
慣用の方法にしたがい、触媒の選択や、重合時のモノマー濃度を調節すること等により、得られる樹脂の密度を、所望の値となるように制御することができる。また、触媒の選択や、重合時の水素濃度を調節すること等により、得られる樹脂のMFRを、所望の値となるように制御することができる。
本発明において使用される石油由来のLDPEは、密度0.920〜0.933kg/m3、より好ましくは0.920〜0.925/m3、MFR0.5〜3.5g/10分、より好ましくは0.8〜3.0g/10分の物性を有する。
このような特定の物性を有する石油由来のLDPEを、樹脂組成物中に、15〜65質量%、より好ましくは15〜50質量%配合することにより、植物由来樹脂の配合により生じる打ち抜き適性の低下を防ぐことができる。
石油由来のLDPEの配合量が15質量%より少ないと、蓋材の形状に打ち抜く際にフィルムが伸び、打ち抜き適性に劣る。また逆に65質量%より多いと、フィルムとしての腰及び強度に劣る。
また、石油由来のLDPEの密度が上記範囲外であると、上記の効果が得られない。
本発明において好適に使用される石油由来のLDPEとしては、宇部丸善ポリエチレン(株)製UBEポリエチレン(R)等が挙げられる。
非植物由来(石油由来)のLLDPE
本発明において、「非植物由来」または「石油由来」のLLDPEとは、植物由来のポリエチレン系樹脂を含まず、従来どおり、石油から得られるナフサを熱分解して得られるエチレンを原料として、これを、コモノマー種であるα−オレフィンと、慣用の触媒の存在下で共重合させることにより製造されるLLDPEを意味する。
上記α−オレフィンは、好ましくは、炭素数6のα−オレフィン、例えば1−ヘキセン、2−エチル−1−ブテン、2,3−ジメチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン等である。これらの炭素数6のα−オレフィンを使用することにより、製膜化後のフィルムの機械的強度が向上し、植物由来樹脂の配合により生じる耐衝撃性の低下を効果的に防ぐことができる。
共重合方法としては、低圧法、スラリー法、溶液法、気相重合法等の重合方法が挙げられる。
また、共重合時の触媒としては、メタロセン触媒等のシングルサイト触媒またはチーグラー・ナッタ触媒等のマルチサイト系触媒が挙げられるが、耐衝撃性に優れ、可溶成分が少なく、耐ブロッキング性に優れる樹脂組成物が得られるため、メタロセン触媒等のシングルサイト触媒の使用が好ましい。
慣用の方法にしたがい、触媒の選択や共重合時のコモノマー濃度を調節すること等により、得られる樹脂の密度を、所望の値となるように制御することができる。また、触媒の選択や共重合時の水素濃度を調節すること等により、得られる樹脂のMFRを、所望の値
となるように制御することができる。
本発明において使用される石油由来のLLDPEは、密度0.914〜0.937kg/m3、より好ましくは0.916〜0.930kg/m3、MFR0.9〜3.0g/10分、より好ましくは0.9〜2.7g/10分の物性を有する。
このような特定の物性を有する石油由来のLLDPEを、樹脂組成物中に、15〜65質量%、より好ましくは15〜60質量%配合することにより、植物由来樹脂の配合により生じる、製膜化後のフィルムの耐衝撃性の低下を防ぐことができる。
石油由来のLLDPEの配合量が15質量%より少ないと、製膜化後のフィルムは、耐衝撃性に劣り、蓋材のシーラントに適用することはできない。逆に65質量%より多いと、打ち抜き適性の低下を引き起こす。
また、石油由来のLLDPEの密度及びMFRが上記範囲外であると、耐衝撃性低下の防止効果が得られない。
本発明において好適に使用される石油由来のLLDPEとしては、三井化学(株)製エボリュー(R)等が挙げられる。
添加剤
本発明の樹脂組成物は、本発明の効果を著しく阻害しない範囲で、例えば0〜20質量%の範囲で、任意の添加剤を含んでもよい。
本発明の樹脂組成物中に添加される添加剤としては、樹脂フィルムの成形加工性や生産性、各種の物性を調整するために一般に使用される種々の樹脂用添加剤、例えばアンチブロッキング剤、スリップ剤(滑剤)、酸化防止剤、顔料、流動制御材、難燃剤、充填剤、紫外線吸収剤、界面活性剤等が挙げられる。
イージーピール層
本発明の蓋材を形成する積層フィルムにおいて、シーラント層を形成するシーラントフィルムは、ポリエチレン系樹脂層とイージーピール層との2層を共押出積層したものであってよい。該イージーピール層は、該積層フィルムにおいて、容器の被着面と接する側の最表面、すなわち、包装体の最内層となる面を形成し、ヒートシールにより溶融して、容器の被着面と接着する層である。
本発明において、シーラント層中のイージーピール層は、少なくとも2種類の樹脂を含むポリマーブレンドからなる層である。
本発明において、ポリマーブレンドは、互いに非相溶性または部分相溶性の2種類の熱可塑性樹脂を主成分とする。これらの樹脂のうちの成分比率の高い方が海となり、成分比率の低い方が島を形成するいわゆる「海島構造」をとる。ここで、海、すなわちベースを形成する樹脂相中に、島を形成する樹脂からなるドメインが分散している。ドメインは、一般的に略球形状または扁平形状であり、その分散状態(ドメインのサイズ、形状、量等)や使用する樹脂の種類を選択することにより、シーラントフィルムとしてのシール強度やイージーピール性を調節することができる。
このような構成を採ることにより、ヒートシールの作業性が向上すると共に、安定したヒートシール性とイージーピール性が得られるようになる。
本発明のイージーピール層を形成する樹脂の組み合わせとしては、蓋材の用途等に応じて、互いに非相溶性または部分相溶性の樹脂からなる任意の組み合わせを用いることができる。
例えば、海を形成するベース樹脂として、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂等を用いることができる。ここで、ポリエチレン系樹脂は、各種材質の容器に対するヒートシール性において、比較的汎用性があり、且つ、低温シール性に優れ、シール温度などシール条件の幅が広く、また、シール強度の調節も容易に行える特徴があり、プラスチックの成形容器に限らず、内面にポリエチレンが積層された紙製のカップ容器などにも好適に使用できる点で好ましい。このようなポリエチレンラミネート紙を用いた紙カップ容器の蓋材に用いる場合、良好なイージーピール性を得るためには、シール強度を200〜500g/15mm幅程度に調節する必要があるが、このような調節も充分可能である。
ベース樹脂として好適に使用されるポリエチレン系樹脂としては、LDPE、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレンとアクリル酸またはメタクリル酸またはそのエステルとの共重合体、等が挙げられる。また、該ベース樹脂と混練させる非相溶性または部分相溶性の樹脂としては、スチレン系ポリマー、スチレン系エラストマー、ポリブテン−1、その他粘着付与剤等が挙げられる。
本発明の好ましい態様において、イージーピール層は、海を形成するポリプロピレンと、島を形成するポリエチレンとを混練したポリマーブレンドからなる層である。
本発明の別の態様において、イージーピール層は、海を形成する高密度ポリエチレン(HDPE)と、島を形成するポリブテン系樹脂及び/又はポリスチレン系樹脂とを混練したポリマーブレンドからなる層である。
さらに別の態様において、イージーピール層は、海を形成するLLDPEと、島を形成するポリブテン系樹脂及び/又はポリスチレン系樹脂とを混練したポリマーブレンドからなる層である。
本発明において、ポリブテン系樹脂としては、ブテン−1の単独重合体、及び、ブテン−1とα−オレフィンとの共重合体等が挙げられる。ブテン−1と共重合させるα−オレフィンとしては、例えばエチレン、プロピレン、ペンテン−1、ヘキセン−1、及びこれらの組み合わせ等が挙げられるが、これらに限定されない。
また、ポリスチレン系樹脂としては、スチレン、アルキル基置換またはハロゲン置換スチレン等のスチレン系単量体の単独重合体、及び、前記スチレン系単量体と他の単量体との共重合体等が挙げられるが、これらに限定されない。
これらの樹脂からなることにより、高い材料費用を必要とすることなく、また製膜条件における自由度もあり、シールの安定性もあるシーラントフィルムを提供することができる。
本発明において、イージーピール層において、海を形成するポリプロピレン、HDPEまたはLLDPEと、島を形成するポリエチレン、ポリブテン系樹脂、ポリスチレン系樹脂との配合比は、特に限定されるものではないが、好ましい配合比は、海を形成するベース樹脂70質量部に対して、島を形成する樹脂30質量部である。また、凝集破壊性を得るために、海を形成するポリプロピレン、HDPEまたはLLDPEのMFRと、島を形成するポリエチレン、ポリブテン系樹脂、ポリスチレン系樹脂のMFRは5以上離れていることが必要である。
ポリプロピレンをベースとするイージーピール層は、単純な凝集破壊により、剥離を促す。また、HDPEまたはLLDPEをベースとするイージーピール層は、凝集破壊と共に層間剥離のファクタが加わったものである。
イージーピール層を形成するポリマーブレンドは、海及び島を形成する2種類の樹脂を含み、更に、必要ならば、その製膜化に際して、例えば、フィルムの加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗黴性、電気的特性、強度等を改良、改質する目的で、種々のプラスチック配合剤や添加剤等の1種乃至2種以上を任意に添加し、更に、要すれば、溶剤、希釈剤等を添加してもよい。
イージーピール層の厚さは、2〜20μm、好ましくは5〜10μmである。20μmを超えると、糸引きを生じたり、剥離外観を損ね得るため好ましくない。一方、2μmよりも薄いと安定して製膜することができない。
ヒートシール層
上記のイージーピール層上に、さらにヒートシール層を積層し、ポリエチレン系樹脂層、イージーピール層及びヒートシール層の3層をこの順に共押出積層した積層フィルムを、シーラントフィルムとして用いることもできる。
この場合、該ヒートシール層は、容器の被着面と接する側の最表面、すなわち、包装体の最内層となる面を形成し、ヒートシールにより溶融して、容器の被着面と接着する層である。
本発明において、イージーピール層上にさらにヒートシール層を積層することにより、ポリプロピレン製容器に対して、より高く安定したシール強度を示す蓋材が得られる。
本発明において、ヒートシール層は、ポリプロピレン、望ましくは低融点ポリプロピレンからなる。低融点ポリプロピレンとしては、融点が105〜155℃の、メタロセンランダムポリプロピレン、プロピレンと他のオレフィン、例えばエチレン、ブテン等とのランダム共重合体、ブロック共重合体を用いることができ、また、市販品として、メタロセン触媒を使用したポリプロピレン系ランダム共重合体である日本ポリプロ株式会社製「ウィンテックWFX4TA」、日本ポリプロ株式会社製「ノバテックFW4BT」等を用いることができる。ヒートシール層の厚さは、0.5〜10μm、好ましくは1〜5μmである。10μmを超えると、ヒートシール層の切れが悪くなりイージーピール性が損なわれるので好ましくない。一方0.5μmよりも薄いと、シール強度及び安定性を高める効果が得られない。またヒートシール層を低融点ポリプロピレンに代えてポリオレフィン系樹脂で構成しても良い。
ヒートシール層を形成する樹脂は、更に、必要ならば、その製膜化に際して、例えば、フィルムの加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗黴性、電気的特性、強度その他を改良、改質する目的で、種々のプラスチック配合剤や添加剤等の1種乃至2種以上を任意に添加し、更に、要すれば、溶剤、希釈剤等を添加してもよい。
<IV>蓋材を構成する積層フィルムの製造
本発明の蓋材を構成する積層フィルムは、上記基材層とシーラント層とを積層することにより得られる。
本発明において、基材層を構成する基材フィルムは、用途に応じて任意の厚さであってよい。
一方、シーラント層を構成するシーラントフィルムも、任意の厚さであってよいが、蓋材として十分な密封性及びシール強度を得るために、好適には、20〜100μm、より好ましくは30〜50μmの厚さで製造する。
本発明の一態様において、シーラント層は、上記ポリエチレン系樹脂層、イージーピール層及び場合によりヒートシール層からなり、これらの層の材料となる樹脂及び樹脂組成物を、Tダイ共押出機あるいは共押出インフレーション製膜機等を用いて共押出することによりシーラントフィルムを製膜する。
基材層とシーラント層とを積層する方法として、一般的には、基材フィルムの積層面に、シーラント層のポリエチレン系樹脂層を構成する本発明の樹脂組成物及びイージーピール層を構成するポリマーブレンドを押し出しコートして積層する方法のほか、ポリオレフィン系樹脂等の接着性樹脂を積層面に押し出しコートしながら、予め製膜されたシーラントフィルムと基材フィルムとをロールで圧着して積層する押出ラミネート法(いわゆるサンドイッチラミネート法)、更には、2液硬化型などの接着剤を介して予め製膜されたシーラントフィルムと基材フィルムとを貼り合わせるドライラミネート法等がある。
ドライラミネート法は、積層時に樹脂が溶融するような高温に曝されることもなく、また、接着剤の塗布面を基材フィルム側の積層面とすることにより、シーラントフィルムに掛かるテンションを軽くすることができるので、貼り合わせ後に大きな収縮を生じること
もなく、カールのない蓋材を製造することができる点において好ましい。
このようなドライラミネート時に好適に使用される接着剤としては、ポリオール成分とポリイソシアネート成分とからなる公知のポリウレタン系接着剤等が挙げられるが、これらに限定されない。接着剤のコーティング量は、0.1〜10g/m2(乾燥状態)程度が好ましい。
基材層とシーラント層との層間接着力を高めるために、基材フィルムまたはシーラントフィルムの接着面を予め表面処理に付してもよい。また、アンカーコート剤やプライマー剤等の接着助剤層を間に設けてもよい。
アンカーコート剤及びプライマー剤としては、用途に応じて任意のものを使用することができる。接着助剤層の厚さは、0.1〜5g/m2(乾燥状態)程度が好ましい。
本発明の更なる態様において、基材フィルムとシーラントフィルムとの間に、バリア層を設けてもよい。
バリア層としては、強度、強靭性、耐熱性、防湿性、耐ピンホール性、耐突き刺し性、透明性等に優れた樹脂のフィルム、例えば、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアラミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアセタール系樹脂、フッ素系樹脂等の樹脂のフィルム、遮光性、ガスバリア性等に優れたフィルム、例えば、金属箔、無機酸化物を蒸着基材上に蒸着した蒸着フィルム、ポリオレフィン系樹脂フィルム、ガスバリア性を有するポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体鹸化物、ナイロンMXD6等の樹脂のフィルム等を使用することができる。
特に、バリア層として蒸着フィルムを用いる場合において、蒸着基材として、植物由来PETフィルムを用いることにより、バイオマス度をさらに高めることができる。
また、バリア層として、保香性を有する樹脂のフィルム、例えば、ポリアクリル系樹脂、ポリメタクリル系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリメタクリロニトリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂もしくはそのエチレン成分および/またはテレフタレート成分の一部を多価アルコール成分またはジカルボン酸成分で共重合乃至変性した樹脂あるいはポリエチレンナフタレート系樹脂等のポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体鹸化物、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂その他の樹脂フィルムを使用することもできる。
基材層とバリア層、及び、バリア層とシーラント層とは、上記の基材層とシーラント層との積層と同様に、ドライラミネート法、押出ラミネート法、押出コーティング法等で積層することができる。
いずれの場合も、積層面にアンカーコート剤やプライマー剤等の接着助剤を予め塗布しておくか、コロナ処理等の前処理を施しておくことにより、層間の接着強度を高めることができる。
本発明の更なる態様において、基材フィルム上またはシーラントフィルムと基材フィルムとの間の任意の位置に、文字、図形、記号、絵柄等の印刷層を設けてもよい。
本発明において、各種接着剤や印刷インキとして、植物由来樹脂を含むものを使用することにより、バイオマス度をさらに高めることもできる。
本発明の更なる態様において、基材フィルムとして紙を用い、この紙上に印刷層を設ける。この製造工程中で、該紙の外面側に保水剤を塗布、乾燥して供給し、その上に文字、絵柄等のインキ及びオーバープリントニスの印刷を行って乾燥する。その際、外面側が収縮し、一時的に外面側に凹状のカールを生じるが、次いで、内面側に必要に応じて遮光性インキ等の印刷を行い、更にその上に、上述のとおり接着剤を介してシーラント層または
バリア層等の積層を行うことにより、今度は内面側に若干の収縮を生じるので、内面側に凹状にカールする力が働き、積層フィルムの両面で収縮のバランスを採ることができ、カールの発生を防止することができる。
この構成において好適に用いられる紙としては、特に限定はされないが、例えば、坪量が80〜110g/m2 程度で、両面に所謂クレーコートが施された両面塗工紙などが好適に使用できる。このような塗工紙は、適度の厚さと剛性とを有するので、カール防止に寄与する。
また、紙に供給する保水剤としては、水、アルコール類、ポリエチレンイミンなどを主成分とする保水剤を用いることができ、アルコール類としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノールなどを使用することができる。このような保水剤を、紙に供給する方法は、例えばグラビア印刷などにより、紙の外面側に文字、絵柄などを印刷する際、多色グラビア印刷機を用いて第1ユニットでベタ版を用いて保水剤を印刷し、過剰の水、アルコールを乾燥し、続いて文字、絵柄などの印刷とオーバープリントニスの印刷を行うことにより、外面側の印刷とインラインで保水剤を紙に供給することができる。
また、紙の内面側に積層する遮光性インキに用いる顔料としては、例えばカーボンブラックのような黒色顔料を単独で、または、該黒色顔料と白色顔料とを組み合わせて用いることができる。該白色顔料としては、二酸化チタン、亜鉛華、炭酸カルシウム、クレー(カオリン)、硫酸バリウムなどを使用することができる。また、前記顔料には、有機または無機の顔料を適宜組み合わせて用いることもできる。
<V>蓋材の製造
本発明の蓋材は、上記のようにして得られた積層フィルムを、容器の開口部周辺に設けられたフランジ部の形状に合わせて打ち抜くことにより製造される。
実際の製造においては、容器の開口部の形状に合わせて予め打ち抜かれた枚葉の蓋材として製造されるほか、巻き取り状の蓋材を充填シール装置に供給して、内容物が充填された容器の開口部周縁のフランジ部にヒートシールした後、インラインで個々の形状に打ち抜く方法で製造される場合も多く、いずれの方法でも製造できる。
蓋材の製造において、予め、上記積層フィルムを熱エンボス法に付して、任意の形状の凹凸パターンを、蓋材の外面側が凸状となり、内面側が凹状となる形状に賦型しておくことにより、巻き取り状または枚葉に打ち抜かれた蓋材を積み重ねても、蓋材同士の接触面積が減少するため、ブロッキングするようなことがなく、また、蓋材の表裏間の滑り性も改善されるため、枚葉形態の蓋材を使用する自動充填シール機で使用しても、蓋材の繰り出し適性がよく、二枚差しなどのトラブルがなく良好に使用することができる。
このような凹凸パターンは、蓋材の耐ブロッキング性、および、枚葉形態の場合の蓋材の充填シール機における繰り出し適性を向上させるために設けるものであり、凹凸パターンの形状は、特に限定されず、巻き取り状、または、枚葉形態で重なり合う蓋材同士の間に空隙部が形成され、接触面積を減少でき、且つ、積み重ねた蓋材の滑り性を損なわない形状であれば任意の形状に設けることができる。
このような凹凸部の高さの差は、大きくする必要はなく、特に凹凸パターンが細かい布目状、線状などの場合、5〜25μm程度あれば充分である。
また、凹凸パターンを設ける方法は、公知のエンボス法により容易に設けることができる。
本発明の蓋材を用いて包装体を製造するには、蓋材のシーラント層の面を、内容物を充填した容器のフランジ部と対向するように重ね合せ、ヒートシールする。
該包装体中に封入される内容物としては、各種の飲食料品、液体洗剤等の化成品ないし化粧品、医薬品、雑貨品、産業部材等が挙げられるが、これらに限定されない。
また、上記容器としては、その目的、用途等により、各種の角型、丸型、角錐型、円錐型等の種々の形状からなる容器を使用することができる。
なお、本発明において、蓋材と容器とのヒートシールの方法としては、例えば、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等の公知の方法で行うことができる。
<VI>バイオマス度
「バイオマス度」とは、石油由来の原料と、植物由来の原料(バイオマス)との混合比率を表す指標であり、放射性炭素(C14)の濃度を測定することにより決定され、下記式で表される。
バイオマス度(%)=C14濃度(pMC)×0.935
このC14は、植物由来の原料中には一定濃度で含まれるが、地中に閉じ込められた石油中にはほとんど存在しない。したがって、C14の濃度を加速器質量分析により測定することにより、植物由来の原料の含有割合の指標とすることができる。
本発明の蓋材を構成する積層フィルムは、高い打ち抜き適性及び耐衝撃性を示しながらも、植物由来の原料を高い配合率で含み、少なくとも18%、例えば18%〜60%程度の高いバイオマス度を示すことができる。バイオマス度が60%を超えると、石油由来品と比べて、種々の物性が損なわれ得る。
本発明において、フィルム中のC14の濃度の測定は、次のとおりに行う。すなわち、測定対象試料を燃焼して二酸化炭素を発生させ、真空ラインで精製した二酸化炭素を、鉄を触媒として水素で還元し、グラファイトを精製させる。そして、このグラファイトを、タンデム加速器をベースとしたC14−AMS専用装置(NEC社製)に装着して、C14の計数、C13の濃度(C13/C12)、C14の濃度(C14/C12)の測定を行い、この測定値から標準現代炭素に対する試料炭素のC14濃度の割合を算出する。標準試料としては、米国国立標準局(NIST)から提供されるシュウ酸(HOXII)を使用する。
以下に、実施例、比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。
[実施例1]
ポリエチレン系樹脂層を形成する樹脂組成物として、植物由来のLLDPE(ブラスケム(Braskem S.A.)社製SLL118、密度0.916kg/m3、MFR1.0g/10分、バイオマス度87%)50質量%、石油由来のLDPE(宇部丸善ポリエチレン(株)製UBEポリエチレン(R)F120N、密度0.920kg/m3、MFR1.2g/10分)25質量%、及び石油由来のLLDPE(三井化学(株)製エボリュー(R)SP2020、エチレンと1−ヘキセンとの共重合物(C6−LLDPE)、密度0.916kg/m3、MFR2.3g/10分)25質量%をブレンドし、溶融混練して、本発明の樹脂組成物を得た。
一方、イージーピール層を形成する樹脂組成物として、LLDPEとポリブテン及びポリスチレンとを混練したポリマーブレンド(東洋アドレ(株)製トヨメルトER−6100A、密度0.94g/cm3、MFR9g/10分)を用意した。
次いで、上記本発明の樹脂組成物と、上記ポリマーブレンドとを、多層インフレーション機により共押出し、ポリエチレン系樹脂層(厚さ40μm)/イージーピール層(厚さ10μm)の構成のシーラントフィルム(バイオマス度35%)を製膜した。
得られたシーラントフィルムを、植物由来2軸延伸PETフィルム(厚さ12μm、バ
イオマス度20%)、及び、該植物由来2軸延伸PETフィルム上に酸化珪素の蒸着膜を積層した蒸着フィルム、と接着剤層を介してドライラミネートして、本発明の蓋材を構成する積層フィルム(植物由来2軸延伸PETフィルム/接着剤/蒸着フィルム/接着剤/シーラントフィルム)を得た。
積層フィルム全体のバイオマス度は約32%であった。
次いで、この積層フィルムを、直径100mmの円形であって外周の一部につまみ片を設けた形状で打ち抜いて、枚葉の蓋材を作製した。打ち抜きに際して、上記積層フィルムは優れた打ち抜き適性を示し、フィルムが伸びることもなく、断裁した端面は美麗であった。
この積層フィルムを蓋材として用い、水が充填されたポリプロピン製カップ容器のフランジに、平シールで、シール温度200℃、シール圧1kg/cm2、シール時間1秒の条件でシールして、水が充填されたカップ容器からなる包装体を作成した。シール後、包装内容物の漏れ、蓋材の破れは認められなかった。
更に高さ1mのところからの落下テストを三回行ったが、蓋材の破れ、漏れ等は認められなかった。また、蓋材を容器から剥離したところ、イージーピール層の凝集破壊がおこり、蓋材を良好なピール感で剥離することができた。
また、高圧で行われる線シール(リングシール)を行ったところ、シーラント層の破壊は見られず、非常に安定したピール挙動を示した。
[実施例2]
実施例1と同様にして、本発明の樹脂組成物及びポリマーブレンドを用意した。
さらに、ヒートシール層を形成する樹脂として、低融点ポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ株式会社製ウィングWFX4TA、密度=0.900g/cm3、MFR=7.0g/10分)を用意した。
次いで、上記本発明の樹脂組成物、ポリマーブレンド、及び低融点ポリプロピレン樹脂を、三種三層の上吹き空冷インフレーション共押出製膜機により共押出し、ポリエチレン系樹脂層(厚さ22μm)/イージーピール層(厚さ5μm)/ヒートシール層(厚さ3μm)の三層構成の総厚30μmのシーラントフィルム(バイオマス度32%)を製膜した。
得られたシーラントフィルムを、実施例1と同様にして、植物由来2軸延伸PETフィルム及び蒸着フィルムとドライラミネートして、本発明の蓋材を構成する積層フィルム(植物由来2軸延伸PETフィルム/接着剤/蒸着フィルム/接着剤/シーラントフィルム)を得た。
積層フィルム全体のバイオマス度は29%であった。
次いで、実施例1と同様にして、この積層フィルムを用いて本発明の蓋材及び包装体を作製した。
打ち抜きに際して、上記積層フィルムは優れた打ち抜き適性を示し、フィルムが伸びることもなく、断裁した端面は美麗であった。また、包装内容物の漏れ、蓋材の破れは認められなかった。
更に高さ1mのところからの落下テストを三回行ったが、蓋材の破れ、漏れ等は認められなかった。また、蓋材を容器から剥離したところ、イージーピール層の凝集破壊がおこり、蓋材を良好なピール感で剥離することができた。
また、高圧で行われる線シール(リングシール)を行ったところ、シーラント層の破壊は見られず、非常に安定したピール挙動を示した。
1 基材層
2 シーラント層
3 ポリエチレン系樹脂層
4 イージーピール層
5 ヒートシール層

Claims (4)

  1. 少なくとも基材層及びシーラント層を有する積層フィルムからなる蓋材であって、
    該シーラント層は、少なくともポリエチレン系樹脂層とイージーピール層とを共押出積層したシーラントフィルムからなる層であり、
    該イージーピール層は、少なくとも2種類の樹脂を含むポリマーブレンドからなる層であり、
    該ポリエチレン系樹脂層は、基材層とイージーピール層との間に位置し、且つ、以下の成分:
    (a)植物由来の直鎖状低密度ポリエチレン20〜70質量%、
    (b)密度0.920〜0.933kg/m3及びMFR0.5〜3.5g/10分の物性を有する、非植物由来の低密度ポリエチレン15〜65質量%、
    (c)エチレンと炭素数6のα−オレフィンとの共重合にて得られ、且つ、密度0.914〜0.937kg/m3及びMFR0.9〜3.0g/10分の物性を有する、非植物由来の直鎖状低密度ポリエチレン15〜65質量%、並びに
    (d)任意の添加剤0〜20質量%、
    からなるポリエチレン系樹脂組成物からなる層であり、ここで、(a)〜(d)の合計は100質量%であり、
    該シーラントフィルム全体に対する該ポリエチレン系樹脂組成物の配合量は、50質量%以上であることを特徴とする、上記蓋材。
  2. 前記シーラント層は、前記ポリエチレン系樹脂層と、前記イージーピール層と、最内層となるヒートシール層とをこの順に共押出積層したシーラントフィルムからなる層であることを特徴とする、請求項1に記載の蓋材。
  3. 前記基材層は、植物由来原料からなるバイオマス度が15〜100%のポリエチレンテレフタレートフィルムからなる層であることを特徴とする、請求項1または2に記載の蓋材。
  4. 蓋材全体のバイオマス度が少なくとも18%であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の蓋材。
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