JP5884553B2 - 積層フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、少なくとも植物由来の基材フィルムと植物由来のシーラントフィルムとからなる積層フィルムに関し、更に詳しくは、優れた手切れ性及び耐衝撃性を示し、且つ、高いバイオマス度を示す積層フィルムに関する。
近年、環境への負荷を低減するために、樹脂フィルムの原料の一部を、石油由来の樹脂から、植物由来の樹脂に置き換えることが検討されている(特許文献1)。植物由来の樹脂は、従来の石油由来の樹脂と、化学構造的には変わりがなく、同等の物性を有することが期待されている。
しかしながら、実際には、植物由来の樹脂を含む樹脂フィルムは、石油由来の樹脂のみからなる樹脂フィルムとは異なる性質を示す。
例えば、シーラントフィルム等のポリエチレン系樹脂フィルムにおいて、原料の一部を植物由来のポリオレフィン系樹脂に変えると、その配合率が高くなるにつれて、シーラントフィルムとして使用する場合の手切れ性及び耐衝撃性が低下することが分かった。
したがって、少なくとも基材フィルムとシーラントフィルムとからなる積層フィルムにおいて、優れた手切れ性及び耐衝撃性と、高いバイオマス度との両方を達成することは困難であった。
特開2009−155516号公報
本発明は、上記の問題点を解決し、優れた手切れ性及び耐衝撃性を示し、且つ、フィルム全体として少なくとも20%の高いバイオマス度を示すことから環境への負荷が低減された積層フィルムを提供することを目的とする。
本発明者は、種々研究の結果、少なくとも基材フィルムとシーラントフィルムとからなる耐衝撃性手切れ性積層フィルムであって、該基材フィルムは、植物由来原料からなるポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムまたはポリ乳酸(PLA)フィルム、であり、該シーラントフィルムは、(a)植物由来の直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)20〜70質量%、(b)密度0.920〜0.933g/cm 3及びMFR0.5〜3.5g/10分の物性を有する、非植物由来の低密度ポリエチレン(LDPE)15〜65質量%、(c)エチレンと炭素数6のα−オレフィンとの共重合にて得られ、且つ、密度0.914〜0.937g/cm 3及びMFR0.9〜3.0g/10分の物性を有する、非植物由来のLLDPE15〜65質量%、並びに(d)添加剤0〜20質量%、からなり、ここで、(a)〜(d)の合計は100質量%である樹脂組成物からなるポリエチレンフィルムであることを特徴とする耐衝撃性手切れ性積層フィルムが、上記の目的を達成することを見出した。
そして、本発明は、以下の点を特徴とする。
1.少なくとも基材フィルムとシーラントフィルムとからなる耐衝撃性手切れ性積層フィルムであって、該基材フィルムは、植物由来原料からなるPETフィルムまたはPLAフィルム、であり、該シーラントフィルムは、(a)植物由来のLLDPE20〜70質量%、(b)密度0.920〜0.933g/cm 3及びMFR0.5〜3.5g/10分の物性を有する、非植物由来のLDPE15〜65質量%、(c)エチレンと炭素数6のα−オレフィンとの共重合にて得られ、且つ、密度0.914〜0.937g/cm 3及びMFR0.9〜3.0g/10分の物性を有する、非植物由来のLLDPE15〜65質量%、並びに(d)添加剤0〜20質量%、からなり、ここで、(a)〜(d)の合計は100質量%である樹脂組成物からなるポリエチレンフィルムであることを特徴とする、上記耐衝撃性手切れ性積層フィルム。
2.少なくとも基材フィルムとシーラントフィルムとからなる耐衝撃性手切れ性積層フィ
ルムであって、該基材フィルムは、植物由来原料からなるPETフィルムまたはPLAフィルム、であり、該シーラントフィルムは、以下の成分:(a)植物由来のLLDPE20〜70質量%;(b)密度0.920〜0.933g/cm 3及びMFR0.5〜3.5g/10分の物性を有する、非植物由来のLDPE15〜65質量%;(c)エチレンと炭素数6のα−オレフィンとの共重合にて得られ、且つ、密度0.914〜0.937g/cm 3及びMFR0.9〜3.0g/10分の物性を有する、非植物由来のLLDPE15〜65質量%;並びに(d)添加剤0〜20質量%;からなり、ここで、(a)〜(d)の合計は100質量%であるポリエチレン系樹脂組成物よりなる層を少なくとも1層含む多層共押出フィルムであり、且つ、該シーラントフィルム全体に対する該ポリエチレン系樹脂組成物の配合量は、40質量%以上であることを特徴とする、上記耐衝撃性手切れ性積層フィルム。
3.前記基材フィルムとシーラントフィルムとの間にバリア層を有し、該バリア層は、植物由来原料からなるPETフィルムまたはPLAフィルム上に金属または無機酸化物を蒸着した蒸着フィルムからなることを特徴とする、上記1または2に記載の耐衝撃性手切れ性積層フィルム。
4.前記植物由来原料からなるPETフィルムまたはPLAフィルムのバイオマス度が15〜100%であることを特徴とする、上記1〜3のいずれかに記載の耐衝撃性手切れ性積層フィルム。
5.積層フィルム全体のバイオマス度が少なくとも20%であることを特徴とする、上記1〜4のいずれかに記載の耐衝撃性手切れ性積層フィルム。
本発明の積層フィルムは、基材フィルム及びシーラントフィルムの両方が、植物由来の樹脂を高い配合率で含むことができ、すなわち、高いバイオマス度を示す。したがって、カーボンニュートラルの観点から、大気中のCO2量の増加を抑制し、且つ、石油資源利用の節約にも貢献する。
なお、カーボンニュートラルとは、植物を燃やしても、その際に排出されるCO2量は、植物が生育時に吸収したCO2量と等しいため、大気中のCO2量の増減には影響を与えないことを指す。したがって、植物由来の原料を多く含むほど、CO2量の増加を抑制することができる。
また、本発明の積層フィルムを構成するシーラントフィルムは、上述の(a)〜(d)の成分を特定の割合で含有する樹脂組成物(以下「本発明の樹脂組成物」と呼ぶ)からなる。その結果、このシーラントフィルムは、植物由来のポリオレフィン系樹脂を高い配合率で含む場合においても、手切れ性及び耐衝撃性の低下が生じない。
さらに、本発明の積層フィルムを構成するシーラントフィルムは、本発明の樹脂組成物と、他の任意の樹脂とを共押出して得られる多層構成のフィルムとすることもできる。この多層構成のシーラントフィルムにおいて、本発明の樹脂組成物の配合量を、シーラントフィルム全体に対して40質量%以上とすることができ、これにより、優れた手切れ性及び耐衝撃性を保持したまま、高いバイオマス度を達成することができる。
本発明の積層フィルムの層構成について、その一例を示す概略的断面図である。 本発明の積層フィルムの層構成について、別の一例を示す概略的断面図である。 本発明の積層フィルムの層構成について、別の一例を示す概略的断面図である。 本発明の積層フィルムを用いて形成される詰め替えパウチの構成について、その一例を示す正面図である。
上記の本発明について以下に更に詳しく説明する。
以下、本発明において使用される樹脂名は、業界において慣用されるものが用いられる。
本発明において、密度は、JIS K 7112に準拠して測定される値である。また、MFRは、JIS K 7210に準拠して測定される値である。
<I>本発明の積層フィルムの層構成
図1は、本発明の積層フィルムの層構成についてその一例を示す概略的断面図である。
図1に示されるように、本発明の積層フィルムA1は、基材フィルム1と、シーラントフィルム2とからなり、該シーラントフィルム2は、本発明の樹脂組成物を成形してなる、単層のポリエチレンフィルムである。このポリエチレンフィルム中に配合される植物由来のLLDPEの量は、20〜70質量%である。
また、図2は、本発明の積層フィルムの層構成について、別の一例を示す概略的断面図である。
図2に示されるように、本発明の積層フィルムA2を構成するシーラントフィルム2は、本発明の樹脂組成物からなる層2Aと、非植物由来のヒートシール性樹脂からなる層2Bとの2層構成であってよい。このとき、2A及び2Bの層厚は、シーラントフィルム2中に配合される本発明の樹脂組成物の量が、シーラントフィルム全体に対して40質量%以上となるように設計されることが好ましい。
また、図3に示されるように、本発明の積層フィルムA3は、基材フィルム1と、シーラントフィルム2との間に、バリア層3を有してもよい。
さらに、図3に示されるように、本発明の積層フィルムA3を構成するシーラントフィルム2は、本発明の樹脂組成物からなる層2Aを少なくとも1層含む、3層またはそれ以上の層からなる多層構成であってもよい。この場合も、各層厚は、シーラントフィルム中に配合される本発明の樹脂組成物の総量が、シーラントフィルム全体に対して40質量%以上となるように設計されることが好ましい。
また、シーラントフィルム2が多層構成である場合、本発明の樹脂組成物からなる層は、基材フィルム1と接する側に位置しても、最表層となる側(製袋時には最内層となる側)に位置しても、または、それらの間の中間層として位置してもよい。
<II>植物由来のLLDPE
本発明において、「植物由来」とは、植物を原料として得られるアルコールから製造される、植物原料に由来する炭素を含むことを意味する。
本発明の樹脂組成物中に配合される成分(a)植物由来のLLDPEは、樹脂組成物中のその他の成分(b)石油由来のLDPE及び成分(c)石油由来のLLDPE等の物性や、製膜化後のフィルムの用途に応じて、JIS K6899−1:2000により定められる定義の範囲内で任意の密度及びMFRを有するものであってよい。
本発明の樹脂組成物中に、成分(a)植物由来のLLDPEは、20〜70質量%、好ましくは20〜60質量%の範囲で配合される。
本発明の樹脂組成物は、植物由来のLLDPEを20質量%以上含むため、高いバイオマス度を達成することができる。しかしながら、この量が70質量%を超えると、植物由
来樹脂の配合に伴い生じるシーラントフィルムとしての手切れ性及び耐衝撃性の低下を防ぐことができない。
植物由来のLLDPEの製造方法としては、慣用の方法にしたがって、サトウキビ、トウモロコシ、サツマイモ等の植物から得られる糖液や澱粉を、酵母等の微生物により発酵させてバイオエタノールを製造し、これを触媒存在下で加熱し、分子内脱水反応等によりエチレン、並びにα−オレフィン(1−ブテン、1−ヘキセン等)を得る。次いで、これらをモノマーとして用いて、石油由来のLLDPEの製造と同様にして、慣用の触媒の存在下で共重合させることにより、植物由来のLLDPEを製造することができる。LLDPEの製造において一般に用いられるコモノマーとしては、上記植物由来のα−オレフィンの他に、場合により、石油由来のものを用いることもできる。
また、重合方法としては、低圧法、スラリー法、溶液法、気相重合法等の重合方法が挙げられる。
また、重合時の触媒としては、メタロセン触媒等のシングルサイト触媒またはチーグラー・ナッタ触媒等のマルチサイト系触媒が挙げられるが、構造均一性に優れる点から、メタロセン触媒等のシングルサイト触媒の使用が好ましい。
植物由来のLLDPEの製造方法については、例えば特表2011−506628号公報等に詳細に記載されている。
本発明において好適に使用される植物由来のLLDPEとしては、ブラスケム(Braskem S.A.)社製のグリーンPE等が挙げられる。
<III>非植物由来(石油由来)のLDPE
本発明において、「非植物由来」または「石油由来」のLDPEとは、植物由来のポリエチレン系樹脂を含まず、従来どおり、石油から得られるナフサを熱分解して得られるエチレンを原料として、これを高圧法により重合して製造されるLDPEを意味する。
慣用の方法にしたがい、触媒の選択や、重合時のモノマー濃度を調節すること等により、得られる樹脂の密度を、所望の値となるように制御することができる。また、触媒の選択や、重合時の水素濃度を調節すること等により、得られる樹脂のMFRを、所望の値となるように制御することができる。
本発明において使用される石油由来のLDPEは、密度0.920〜0.933g/cm 3、より好ましくは0.920〜0.925g/cm 3、MFR0.5〜3.5g/10分、より好ましくは0.8〜3.0g/10分の物性を有する。
このような特定の物性を有する石油由来のLDPEを、樹脂組成物中に、15〜65質量%、より好ましくは15〜50質量%配合することにより、植物由来樹脂の配合により生じる、製膜化後のフィルムの手切れ性の低下を防ぐことができる。
石油由来のLDPEの配合量が15質量%より少ないと、引き裂く際にフィルムが伸び、手切れ性が悪い。逆に65質量%より多いと、シール強度が低いため、シーラントフィルムとして用いた場合に、落下等の衝撃に耐えられずに破袋する恐れがある。
また、石油由来のLDPEの密度が上記範囲外であると、手切れ性低下の防止効果が得られない。
本発明において好適に使用される石油由来のLDPEとしては、宇部丸善ポリエチレン(株)製UBEポリエチレン(R)等が挙げられる。
<IV>非植物由来(石油由来)のLLDPE
本発明において、「非植物由来」または「石油由来」のLLDPEとは、植物由来のポリエチレン系樹脂を含まず、従来どおり、石油から得られるナフサを熱分解して得られるエチレンを原料として、これを、コモノマー種であるα−オレフィンと、慣用の触媒の存
在下で共重合させることにより製造されるLLDPEを意味する。
上記α−オレフィンは、好ましくは、炭素数6のα−オレフィン、例えば1−ヘキセン、2−エチル−1−ブテン、2,3−ジメチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン等である。これらの炭素数6のα−オレフィンを使用することにより、製膜化後のフィルムの機械的強度が向上し、植物由来樹脂の配合により生じる耐衝撃性の低下を効果的に防ぐことができる。
共重合方法としては、低圧法、スラリー法、溶液法、気相重合法等の重合方法が挙げられる。
また、共重合時の触媒としては、メタロセン触媒等のシングルサイト触媒またはチーグラー・ナッタ触媒等のマルチサイト系触媒が挙げられるが、耐衝撃性に優れ、可溶成分が少なく、耐ブロッキング性に優れる樹脂組成物が得られるため、メタロセン触媒等のシングルサイト触媒の使用が好ましい。
慣用の方法にしたがい、触媒の選択や共重合時のコモノマー濃度を調節すること等により、得られる樹脂の密度を、所望の値となるように制御することができる。また、触媒の選択や共重合時の水素濃度を調節すること等により、得られる樹脂のMFRを、所望の値となるように制御することができる。
本発明において使用される石油由来のLLDPEは、密度0.914〜0.937g/cm 3、より好ましくは0.916〜0.930g/cm 3、MFR0.9〜3.0g/10分、より好ましくは0.9〜2.7g/10分の物性を有する。
このような特定の物性を有する石油由来のLLDPEを、樹脂組成物中に、15〜65質量%、より好ましくは15〜60質量%配合することにより、植物由来樹脂の配合により生じる、製膜化後のフィルムの耐衝撃性の低下を防ぐことができる。
石油由来のLLDPEの配合量が15質量%より少ないと、製膜化後のフィルムは、腰がなく、耐衝撃性に劣り、衝撃による破袋が生じ易く、重量袋やスタンディングパウチのシーラントに適用することはできない。逆に65質量%より多いと、手切れ性の低下を引き起こす。
また、石油由来のLLDPEの密度及びMFRが上記範囲外であると、耐衝撃性低下の防止効果が得られない。
本発明において好適に使用される石油由来のLLDPEとしては、三井化学(株)製エボリュー(R)等が挙げられる。
<V>添加剤
本発明の樹脂組成物は、本発明の効果を著しく阻害しない範囲で、例えば0〜20質量%の範囲で、任意の添加剤を含んでもよい。
本発明の樹脂組成物中に添加される添加剤としては、樹脂フィルムの成形加工性や生産性、各種の物性を調整するために一般に使用される種々の樹脂用添加剤、例えばアンチブロッキング剤、スリップ剤(滑剤)、酸化防止剤、顔料、流動制御材、難燃剤、充填剤、紫外線吸収剤、界面活性剤等が挙げられる。
<VI>シーラントフィルムの製造方法
本発明の樹脂組成物は、上記の(a)植物由来のLLDPE20〜70質量%、(b)石油由来のLDPE15〜65質量%、(c)石油由来のLLDPE15〜65質量%、及び(d)添加剤0〜20質量%を含み、ここで、(a)〜(d)の合計が100質量%である。
この樹脂組成物を製膜して得られるシーラントフィルムの製造方法は、特に限定されず、従来から公知の、石油由来の樹脂のみからなるシーラントフィルムの製造方法を適用することができる。
本発明の一態様において、単層構成のシーラントフィルムは、上記の本発明の樹脂組成物を溶融混練し、これをインフレーション成形またはT−ダイ成形等の溶融押出成形法によって製膜することができる。
また、包装材を構成するフィルムの積層面に、溶融混練した上記樹脂組成物を押出コーティングすることによって、製膜と同時に積層を行ってもよい。
詰め替えパウチ等の重量物を収容するための重量袋のシーラントとして使用する場合は、溶融押出成形法によって製膜し、得られたシーラントフィルムを、基材フィルムとドライラミネートすることにより、積層体の強度を高めることが好ましい。
本発明のシーラントフィルムは、任意の膜厚であってよいが、詰め替えパウチ等の包装材のシーラントとして、好適には、80〜160μm、より好ましくは100〜130μmの膜厚で製造する。
本発明の別の態様において、多層構成の本発明のシーラントフィルムは、上記の本発明の樹脂組成物と、任意の樹脂とを、それぞれ溶融混練し、本発明の樹脂組成物からなる層を少なくとも1層含む多層構成となるように、インフレーション成形またはT−ダイ成形等の方法によって共押出成形することによって、製膜することができる。
また、単層構成の場合と同様に、包装材を構成する基材フィルム上に、本発明の樹脂組成物と任意の樹脂とを共押出コーティングすることによって製膜してもよい。
このとき、各層の厚さは、合計が上記の膜厚となる範囲であって、且つ、フィルム中に配合される本発明の樹脂組成物の量が、フィルム全体に対して40質量%以上となるように設計されることが好ましい。本発明の樹脂組成物の配合量が40質量%より少ないと、高いバイオマス度を達成することができない。
多層フィルムにおいて、本発明の樹脂組成物からなる層以外の層を構成する樹脂(または樹脂組成物)としては、シーラントフィルムの構成成分として一般的に使用される任意のヒートシール性樹脂、例えばポリエチレンのようなポリオレフィン系樹脂を使用することができる。用途に応じて、例えば、低温シール性に優れる樹脂や、耐内容物性に優れる樹脂、基材フィルムとの接着性に優れる樹脂、フィルム全体の腰強度を高めてフィルムの薄肉化に寄与する樹脂、等の種々の機能を付与する樹脂または樹脂組成物を選択することができる。ここで、層の並び方は、各層の機能に応じて適宜に選択される。本発明の樹脂組成物からなる層は、基材フィルムと接するラミネート層、中間層、及び製袋時に最内層となるシール層、のいずれを構成していてもよい。
<VII>基材フィルム
本発明において、シーラントフィルムは、植物由来または非植物由来の任意の基材フィルムと積層することができる。
特に、一層高いバイオマス度を達成するために、基材フィルムとして、植物由来の原料からなるPETフィルム、または、植物由来のPLAからなるPLAフィルムを使用することが好ましい。
本発明において、基材フィルムは、用途に応じて任意の厚さであってよい。
また、本発明の積層フィルムが、全体として高いバイオマス度を達成できるように、基材フィルム自体は、少なくとも15%のバイオマス度を示すことが好ましい。
PETフィルム
本発明において、植物由来原料からなるPETフィルムは、15〜100%のバイオマス度を示すことが好ましい。
このようなPETフィルムは、原料となるモノエチレングリコール(MEG)及びテレフタル酸(PTA)の一部または全部を、植物由来のものと置換することにより製造することができる。
植物由来のMEGは、慣用の方法にしたがって、サトウキビ等の植物から得られる糖液
や澱粉を、酵母等の微生物により発酵させてバイオエタノールを製造し、これを触媒存在下で加熱し、分子内脱水反応によりエチレンを得、これより誘導することができる。
植物由来のPTAは、微生物により糖液や澱粉からイソブタノールを製造し、これより合成されるパラキシレンから誘導することができる。
植物由来または非植物由来のMEG約15〜30質量%を、植物由来または非植物由来のPTA55〜85質量%と、場合により任意の添加成分やコモノマー0〜15質量%と共に、慣用の触媒の存在下で重縮合反応させる。得られたPETを製膜し、さらに、所望に応じて、寸法安定性及び耐熱性を高めるために2軸方向に延伸することにより、本発明において好適に使用されるPETフィルムを製造することができる。
PLAフィルム
本発明において、植物由来のPLAからなるPLAフィルムは、15〜100%のバイオマス度を示すことが好ましい。
このようなPLAフィルムの製造方法としては、慣用の方法にしたがって、サトウキビ等の植物から得られる糖液や澱粉を発酵させて乳酸を得る。次いで、得られた乳酸約15〜100質量%を、場合により任意の添加成分やハイドロカルボン酸等のコモノマー0〜85質量%と共に、慣用の触媒の存在下で重合させる。得られたPLAを製膜し、さらに、所望に応じて、テンター方式またはチューブラー方式等を利用して2軸方向に延伸することにより、本発明において好適に使用されるPLAフィルムを製造することができる。
本発明において好適に使用されるPLAフィルムとしては、ユニチカ(株)製のテラマック(R)TF(バイオマス度約100%)等が挙げられる。
<VIII>バイオマス度
「バイオマス度」とは、石油由来の原料と、植物由来の原料(バイオマス)との混合比率を表す指標であり、放射性炭素(C14)の濃度を測定することにより決定され、下記式で表される。
バイオマス度(%)=C14濃度(pMC)×0.935
このC14は、植物由来の原料中には一定濃度で含まれるが、地中に閉じ込められた石油中にはほとんど存在しない。したがって、C14の濃度を加速器質量分析により測定することにより、植物由来の原料の含有割合の指標とすることができる。
本発明の積層フィルムを構成するシーラントフィルムは、高い手切れ性及び耐衝撃性を示しながらも、植物由来のLLDPEを高い配合率で含み、18〜60%程度までの高いバイオマス度を示すことができる。
また、本発明の積層フィルムを構成する基材フィルムは、基材として必要な物性を保持しながら、少なくとも15%のバイオマス度を示す。
本発明の積層フィルムは、基材フィルム及びシーラントフィルムの両方が、植物由来の原料を含有することから、全体として、少なくとも20%、例えば20〜60%のバイオマス度を示すことができる。
本発明において、フィルム中のC14の濃度の測定は、次のとおりに行う。すなわち、測定対象試料を燃焼して二酸化炭素を発生させ、真空ラインで精製した二酸化炭素を、鉄を触媒として水素で還元し、グラファイトを精製させる。そして、このグラファイトを、タンデム加速器をベースとしたC14−AMS専用装置(NEC社製)に装着して、C14の計数、C13の濃度(C13/C12)、C14の濃度(C14/C12)の測定を行い、この測定値から標準現代炭素に対する試料炭素のC14濃度の割合を算出する。標準試料としては、米国国立標準局(NIST)から提供されるシュウ酸(HOXII)を使用する。
<IX>積層
前記シーラントフィルムと、前記基材フィルムとを積層することにより、本発明の積層フィルムを得ることができる。
フィルム間の接着は、接着剤を介して、ドライラミネート法で貼り合わせることができる。これにより、優れた接着強度及び引き裂き性が得られる。使用する接着剤としては、例えば、ドライラミネート用の二液硬化型ポリウレタン系接着剤等が挙げられる。
また、接着層を介して押出ラミネート法(所謂サンドイッチラミネート法)により貼り合わせることもできる。この場合は、接着層として、ポリオレフィン系の熱接着性樹脂、例えば、LDPEのほか、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、アイオノマー等の単体、またはこれらにハードレジン等の接着性向上剤をブレンドした樹脂等を使用することができる。また、本発明のシーラントフィルムを構成する樹脂組成物を使用して、バイオマス度をさらに向上させてもよい。
さらに、基材フィルム上に、シーラントを構成する樹脂組成物を押出コーティングすることにより積層することもできる。
本発明の更なる態様において、基材フィルムとシーラントフィルムとの間に、バリア層を設けてもよい。
バリア層としては、アルミニウム箔等の金属箔のほか、アルミニウム等の金属やアルミニウム酸化物、珪素酸化物等の無機酸化物を蒸着基材上に蒸着した蒸着フィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム等を使用することができる。
特に、バリア層として蒸着フィルムを用いる場合、蒸着基材として、上述の植物由来PETフィルムまたは植物由来PLAフィルムを用いることにより、バイオマス度をさらに高めることができる。
基材フィルムとバリア層、及び、バリア層とシーラントとは、上記の基材フィルムとシーラントとの接着と同様に、ドライラミネート法、押出ラミネート法、押出コーティング法等で積層することができる。
いずれの場合も、積層面にアンカーコート剤を予め塗布しておくか、コロナ処理等の前処理を施しておくことにより、層間の接着強度を高めることができる。
本発明の更なる態様において、基材フィルム上またはシーラントフィルムと基材フィルムとの間の任意の位置に、文字、図形、記号、絵柄等の印刷層を設けてもよい。
上記で使用する接着剤や印刷インキとして、植物由来樹脂を含むものを使用することにより、バイオマス度をさらに高めることもできる。また、基材として紙を用いた場合にも、バイオマス度の高い積層体を得ることができる。
<X>包装材
本発明の積層フィルムは、蓋材や包装袋等の包装材として、好適に使用することができる。例えば、本発明の積層フィルムを二つ折にするか、又は該積層体2枚を用意し、そのシーラントの面を対向させて重ね合わせ、さらにその周辺端部を、例えば、側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型(ピローシール型)、ひだ付シール型、平底シール型、角底シール型、ガゼット型等のヒートシール形態によりヒートシールして、種々の形態の包装袋とすることができる。
上記において、ヒートシールの方法としては、例えば、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等の公知の方法で行うことができる。
本発明の積層フィルムは、高いバイオマス度を示しながらも、優れた手切れ性及び耐衝撃性を有する。したがって、詰め替え用のシャンプーやリンス、食品等を密封包装する詰め替えパウチのシーラントフィルムとしても好適に使用することができる。
図4は、本発明の積層フィルムを用いて形成される詰め替えパウチの構成について、その一例を示す正面図である。
図4に示した詰め替えパウチ100は、スタンディングパウチ形式で作製したものであり、パウチの底部を、前後の壁面フィルム(上記の本発明の積層フィルムを使用する)11、11’の下部の間に底面フィルム(壁面フィルムと同じてあっても異なっていてもよい)を内側に折り返して底面フィルム折り返し部12まで挿入してなるガセット部14を有する形式で形成し、内側に折り込まれた底面フィルムの両側下端近傍には、この場合、半円形の底面フィルム切り欠き部13a、13bを設け、ガセット部14を、内側が両側から中央部にかけて湾曲線状に凹状となる船底形の底部シール部15でヒートシールして形成し、パウチの胴部は、前後の壁面フィルム11、11’の両側の端縁部を側部シール部16a、16bでヒートシールして形成すると共に、パウチ100の上部の一方のコーナー部(図において左側のコーナー部)には、その外周を注出口部シール部17でヒートシールしてなる先細り形状で斜め外側上方を向く狭い幅の注出口部20が、その両側に切り欠き部19a、19bを設けて突出する形状に設けられている。
また、注出口部20の先端側の開封位置には、易開封性手段として、ハーフカット線21とその上側の端部にノッチ22を設けて構成したものである。
尚、パウチ100の上部のうち、注出口部20を設けていない部分は、上部シール部18でヒートシールするが、この部分は内容物の充填口に使用するため、内容物の充填前は未シールの開口部とし、内容物の充填後にヒートシールするものである。
また、前記ハーフカット線21は、図では3本の平行なハーフカット線で示したが、1本、または2本のほか、中心のハーフカット線の両側に各1本〜3本等複数のハーフカット線を平行に、または中心のハーフカット線に収斂する形状に、或いは、複数の平行なハーフカット線とこれに斜めに交差する斜め方向のハーフカット線とを組み合わせた形状等、任意の形状に設けることができる。
以下に、実施例、比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。
[実施例1]
植物由来のLLDPE(ブラスケム(Braskem S.A.)社製SLL118、密度0.916g/cm 3、MFR1.0g/10分、バイオマス度87%)23質量%、石油由来のLDPE(宇部丸善ポリエチレン(株)製UBEポリエチレン(R)F120N、密度0.920g/cm 3、MFR1.2g/10分)37質量%、及び石油由来のLLDPE(三井化学(株)製エボリュー(R)SP2020、エチレンと1−ヘキセンとの共重合物(C6−LLDPE)、密度0.916g/cm 3、MFR2.3g/10分)40質量%をブレンドし、溶融混練して、本発明の樹脂組成物を得た。次いで、得られた樹脂組成物を、上吹き空冷インフレーション共押出製膜機により成形し、厚み120μmのシーラントフィルムを製膜した。
得られたシーラントフィルムを、植物由来のPLAからなる2軸延伸PLAフィルム(ユニチカ(株)製 テラマック(R)TF、バイオマス度100%、厚さ25μm)と、ウレタン系接着剤(DIC(株)製703VL)を介してドライラミネートして、本発明の積層フィルムを得た。
積層フィルム全体のバイオマス度は34%であった。
得られた積層フィルムを用いて、外形寸法:高さ220mm×幅140mm、底部の折り込み部の高さ40mm、シール幅5mmのスタンディングパウチを製造した。また、底部は舟底型のシールパターンでヒートシールした。
[実施例2]
実施例1で得られたシーラントフィルムを、植物由来のPETからなるPETフィルム(バイオマス度30%、厚さ16μm)と、ウレタン系接着剤(DIC(株)製703VL)を介してドライラミネートして、本発明の積層フィルムを得た。
積層フィルム全体のバイオマス度は21%であった。
得られた積層フィルムを用いて、実施例1と同様にしてスタンディングパウチを製造した。
[実施例3]
植物由来のLLDPE(ブラスケム(Braskem S.A.)社製SLL118、密度0.916g/cm 3、MFR1.0g/10分、バイオマス度87%)58質量%、石油由来のLDPE(宇部丸善ポリエチレン(株)製UBEポリエチレン(R)F120N、密度0.920g/cm 3、MFR1.2g/10分)20.5質量%、及び石油由来のLLDPE(三井化学(株)製エボリュー(R)SP2020、エチレンと1−ヘキセンとの共重合物(C6−LLDPE)、密度0.916g/cm 3、MFR2.3g/10分)20.5質量%、スリップ剤(エルカ酸アマイド、東京インキ(株)PEX SLT−01)0.5質量%、アンチブロッキング剤(合成珪酸塩・タルク、東京インキ(株)ABR−24)0.5質量%をブレンドし、溶融混練して、本発明の樹脂組成物を得た。次いで、得られた樹脂組成物を、上吹き空冷インフレーション共押出製膜機により成形し、厚み120μmのシーラントフィルムを製膜した。
得られたシーラントフィルムを、植物由来のPETからなるPETフィルム(バイオマス度30%、厚さ16μm)と、ウレタン系接着剤(DIC(株)製703VL)を介してドライラミネートして、本発明の積層フィルムを得た。
積層フィルム全体のバイオマス度は47%であった。
得られた積層フィルムを用いて、実施例1と同様にしてスタンディングパウチを製造した。
[実施例4]
植物由来のLLDPE(ブラスケム(Braskem S.A.)社製SLL118、密度0.916g/cm 3、MFR1.0g/10分、バイオマス度87%)50質量%、石油由来のLDPE(宇部丸善ポリエチレン(株)製UBEポリエチレン(R)F120N、密度0.920g/cm 3、MFR1.2g/10分)25質量%、及び石油由来のLLDPE(三井化学(株)製エボリュー(R)SP2020、エチレンと1−ヘキセンとの共重合物(C6−LLDPE)、密度0.916g/cm 3、MFR2.3g/10分)25質量%をブレンドし、溶融混練して、本発明の樹脂組成物を得た。次いで、得られた樹脂組成物を、上吹き空
冷インフレーション共押出製膜機により成形し、厚み50μmのシーラントフィルムを製膜した。
得られたシーラントフィルムを、植物由来PETフィルム(厚さ16μm、バイオマス度30%)、及び、植物由来PETフィルム(厚さ12μm、バイオマス度30%)上に酸化珪素の蒸着膜を積層した蒸着フィルム、とウレタン系接着剤(DIC(株)製703VL)を介してドライラミネートして、本発明の積層フィルム(植物由来PETフィルム/接着剤/蒸着フィルム/接着剤/シーラントフィルム)を得た。
積層フィルム全体のバイオマス度は39%であった。
得られた積層フィルムを用いて、実施例1と同様にしてスタンディングパウチを製造した。
[実施例5]
植物由来のLLDPE(ブラスケム(Braskem S.A.)社製SLL118、密度0.916g/cm 3、MFR1.0g/10分、バイオマス度87%)58質量%、石油由来のLDPE(宇部丸善ポリエチレン(株)製UBEポリエチレン(R)F120N、密度0.920g/cm 3、MFR1.2g/10分)20.5質量%、及び石油由来のLLDPE(三井化学(株)製エボリュー(R)SP2020、エチレンと1−ヘキセンとの共重合物(C6−LLDPE)、密度0.916g/cm 3、MFR2.3g/10分)20.5質量%、スリップ剤(PEX SLT−01)0.5質量%、アンチブロッキング剤(ABR−24)0.5質量%をブレンドし、溶融混練して、本発明の樹脂組成物を得た。次いで、得られた樹脂組成物と、石油由来のLLDPE(エボリュー(R)SP2020)とを、上吹き空冷インフレーション共押出製膜機により共押出製膜し、石油由来のLLDPE層(30μm)/本発明の樹脂組成物層(60μm)/石油由来のLLDPE層(30μm)のシーラントフィルムを製膜した。シーラントフィルムのバイオマス度は約25%であった。
得られたシーラントフィルムを、植物由来PETフィルム(厚さ16μm、バイオマス度30%)、及び、植物由来PETフィルム(厚さ12μm、バイオマス度30%)上に酸化珪素の蒸着膜を積層した蒸着フィルム、とウレタン系接着剤(DIC(株)製703VL)を介してドライラミネートして、本発明の積層フィルム(植物由来PETフィルム/接着剤/蒸着フィルム/接着剤/シーラントフィルム)を得た。
積層フィルム全体のバイオマス度は約26%であった。
得られた積層フィルムを用いて、実施例1と同様にしてスタンディングパウチを製造した。
[比較例1]
本発明の樹脂組成物の代わりに、石油由来のLDPE(宇部丸善ポリエチレン(株)製UBEポリエチレン(R)F120N)50質量%及び石油由来のLLDPE(三井化学(株)製エボリュー(R)SP2020)50質量%からなる樹脂組成物を用いてシーラントフィルムを製造した以外は、実施例1と同様にして、積層フィルム及びスタンディングパウチを製造した。
積層フィルムのバイオマス度は17%であった。
[比較例2]
本発明の樹脂組成物の代わりに、植物由来のLLDPE(ブラスケム社製SLL118)23質量%及び石油由来のLDPE(宇部丸善ポリエチレン(株)製UBEポリエチレン(R)F120N)77質量%からなる樹脂組成物を用いてシーラントフィルムを製造した以外は、実施例1と同様にして、積層フィルム及びスタンディングパウチを製造した。積層フィルム全体のバイオマス度は34%であった。
[比較例3]
2軸延伸PLAフィルムの代わりに、石油由来のPETフィルム(厚さ16μm)を使用した以外は、実施例1と同様にして、積層体及びスタンディングパウチを製造した。積層フィルム全体のバイオマス度は16%であった。
[比較例4]
本発明の樹脂組成物の代わりに、植物由来のLLDPE(ブラスケム社製SLL118)23質量%及び石油由来のLLDPE(三井化学(株)製エボリュー(R)SP2020)77質量%からなる樹脂組成物を用いてシーラントフィルムを製造した以外は、実施例1と同様にして、積層フィルム及びスタンディングパウチを製造した。積層フィルム全体のバイオマス度は34%であった。
[比較例5]
本発明の樹脂組成物の代わりに、植物由来のLLDPE(ブラスケム社製SLL118)100質量%を用いてシーラントフィルムを製造した以外は、実施例1と同様にして、積層フィルム及びスタンディングパウチを製造した。積層フィルム全体のバイオマス度は90%であった。
[評価]
(耐衝撃性テスト)
実施例1〜5及び比較例1〜5のパウチを各実施例/比較例につき10個ずつ用意し、各パウチ中に、粉末洗剤300gを充填し、ヒートシールして密封した。次いで、これらのパウチを120cmの高さから、床と垂直に(底部が床に当たるように)10回落下させて、パウチ10個中の何個が破袋したかを調べた。
(手切れ性テスト)
実施例1〜5及び比較例1〜5のパウチについて、開封位置の端部に設けたノッチを始点として、パウチを手で引き裂いて、シーラントフィルム層の剥がれに伴う該層の伸び破断等の、引き裂きラインの乱れの有無を調べた。シーラントフィルム層の伸び破断による引き裂きラインの乱れがない場合は、手切れ性良好であり、該ラインの乱れがある場合を不良とした。
(自立性テスト)
実施例1〜5及び比較例1〜5のパウチについて、パウチの自立性(腰)を評価した。パウチが折れ曲がらずに自立可能な場合を良好とし、折れ曲がって自立できない場合を不良とした。
結果を以下の表1に示す。
Figure 0005884553
(結果)
実施例1〜5のパウチは、高いバイオマス度を示し、且つ、植物由来の樹脂を含まない比較例1と同等の優れた耐衝撃性及び自立性を示した。これに対し、比較例2及び5のパウチは、落下の衝撃に耐えられず、耐衝撃性に劣るものであった。また、パウチの自立性を観察したところ、パウチが折れ曲がって見栄えに劣るものであった。そして、比較例4及び5のパウチは、シーラントフィルム層の剥がれに伴って、シーラントフィルム層の伸び破断による引き裂きラインの乱れが生じた。したがって、手切れ性に劣り、包装材としての実用性に欠けるものであった。また、比較例1及び3のパウチは、バイオマス度が20%に満たず、環境への負荷の低減効果に劣るものであった。
本発明の積層フィルムは、その性能を有効に利用できる用途であれば、内容物や用途等に関して特に制限はなく、例えば、詰め替えパウチ等の重量袋の積層材としても好適に使用することができる。
1、A2、A3 積層フィルム
1 基材フィルム
2 シーラントフィルム
A 本発明の樹脂組成物からなる層
B 非植物由来のヒートシール性樹脂からなる層
3 バリア層
11、11′ 壁面フィルム
12 底面フィルム折り返し部
13a、13b 底面フィルム切り欠き部
14 ガセット部
15 底部シール部
16a、16b 側部シール部
17 注出口部シール部
18 上部シール部
19a、19b 切り欠き部
20 注出口部
21 ハーフカット線
22 ノッチ
100 詰め替え用包装袋

Claims (5)

  1. 少なくとも基材フィルムとシーラントフィルムとからなる耐衝撃性手切れ性積層フィルムであって、
    該基材フィルムは、植物由来原料からなるポリエチレンテレフタレートフィルムまたはポリ乳酸フィルムであり、
    該シーラントフィルムは、
    (a)植物由来の直鎖状低密度ポリエチレン20〜70質量%、
    (b)密度0.920〜0.933g/cm 3及びMFR0.5〜3.5g/10分の物性を有する、非植物由来の低密度ポリエチレン15〜65質量%、
    (c)エチレンと炭素数6のα−オレフィンとの共重合にて得られ、且つ、密度0.914〜0.937g/cm 3及びMFR0.9〜3.0g/10分の物性を有する、非植物由来の直鎖状低密度ポリエチレン15〜65質量%、並びに
    (d)添加剤0〜20質量%、
    からなり、ここで、(a)〜(d)の合計は100質量%である樹脂組成物からなるポリエチレンフィルムであることを特徴とする、
    記耐衝撃性手切れ性積層フィルム。
  2. 少なくとも基材フィルムとシーラントフィルムとからなる耐衝撃性手切れ性積層フィルムであって、
    該基材フィルムは、植物由来原料からなるポリエチレンテレフタレートフィルムまたはポリ乳酸フィルムであり、
    該シーラントフィルムは、以下の成分:
    (a)植物由来の直鎖状低密度ポリエチレン20〜70質量%;
    (b)密度0.920〜0.933g/cm 3 及びMFR0.5〜3.5g/10分の物性を有する、非植物由来の低密度ポリエチレン15〜65質量%;
    (c)エチレンと炭素数6のα−オレフィンとの共重合にて得られ、且つ、密度0.914〜0.937g/cm 3及びMFR0.9〜3.0g/10分の物性を有する、非植物由来の直鎖状低密度ポリエチレン15〜65質量%;並びに
    (d)添加剤0〜20質量%、
    からなり、ここで、(a)〜(d)の合計は100質量%であるポリエチレン系樹脂組成物よりなる層を少なくとも1層含む多層共押出フィルムであり、且つ、該シーラントフィルム全体に対する該ポリエチレン系樹脂組成物の配合量は、40質量%以上であることを特徴とする、
    記耐衝撃性手切れ性積層フィルム。
  3. 前記基材フィルムとシーラントフィルムとの間にバリア層を有し、該バリア層は、植物由来原料からなるポリエチレンテレフタレートフィルムまたはポリ乳酸フィルム上に金属または無機酸化物を蒸着した蒸着フィルムからなることを特徴とする、請求項1または2に記載の耐衝撃性手切れ性積層フィルム。
  4. 前記植物由来原料からなるポリエチレンテレフタレートフィルムまたはポリ乳酸フィルムのバイオマス度が15〜100%であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の耐衝撃性手切れ性積層フィルム。
  5. 積層フィルム全体のバイオマス度が少なくとも20%であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の耐衝撃性手切れ性積層フィルム。
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