JP5899921B2 - 包装材シーラント用ポリエチレン系樹脂フィルム - Google Patents
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Description
1.植物由来のポリエチレン系樹脂を、フィルム全体に対して10〜20質量%含む、包装材シーラント用の耐衝撃性手切れ性ポリエチレン系樹脂フィルムであって、該植物由来のポリエチレン系樹脂は、密度0.910〜0.922g/cm 3、MFR0.7〜3.1g/10分の物性を有するLLDPEであることを特徴とする、上記包装材シーラント用の耐衝撃性手切れ性ポリエチレン系樹脂フィルム。
2.詰め替えパウチ用であることを特徴とする、上記1に記載の耐衝撃性手切れ性ポリエチレン系樹脂フィルム。
3.植物由来ではないポリエチレン系樹脂からなる両最外層と、植物由来のポリエチレン系樹脂を含む中間層との少なくとも3層からなることを特徴とする、上記1または2に記載の耐衝撃性手切れ性ポリエチレン系樹脂フィルム。
4.バイオマス度が8.5〜18%であることを特徴とする、上記1〜3のいずれかに記載の耐衝撃性手切れ性ポリエチレン系樹脂フィルム。
5.上記1〜4のいずれかに記載の耐衝撃性手切れ性ポリエチレン系樹脂フィルムを用いてなることを特徴とする、詰め替えパウチ。
以下、本発明において使用される樹脂名は、業界において慣用されるものが用いられる。
本発明の包装材シーラント用ポリエチレン系樹脂フィルムは、ポリエチレン系樹脂からなるフィルムであって、ポリエチレン系樹脂の一部を、従来の石油由来のポリエチレン系樹脂から、植物由来のポリエチレン系樹脂に置き換えた樹脂フィルムである。
図1に示されるように、本発明の樹脂フィルムA1は、石油由来のポリエチレン系樹脂と植物由来のポリエチレン系樹脂とを混合してなる樹脂組成物を成形して得られる、単層のフィルムであってよい。このとき、樹脂組成物中に含まれる植物由来のポリエチレン系樹脂の量は、10〜20質量%である。
本発明において、「植物由来」とは、植物を原料として得られるアルコールから製造される、植物原料に由来する炭素を含むことを意味する。
本発明において、「植物由来ではないポリエチレン系樹脂」または「石油由来のポリエチレン系樹脂」とは、植物由来のポリエチレン系樹脂を含まず、従来どおり、石油から得られるナフサを熱分解して得られるエチレンを原料とし、これを重合して製造されるポリエチレン系樹脂を意味する。
本発明の樹脂フィルムの製造方法は、特に限定されず、従来から公知の、石油由来のポリエチレン系樹脂のみからなる樹脂フィルムの製造方法を適用することができる。
「バイオマス度」とは、石油由来の原料と、植物由来の原料(バイオマス)との混合比率を表す指標であり、放射性炭素(C14)の濃度を測定することにより決定され、下記式で表される。
バイオマス度(%)=C14濃度(pMC)×0.935
このC14は、植物由来の原料中には大気中における一定濃度で含まれるが、地中に閉じ込められた石油中にはほとんど存在しない。したがって、C14の濃度を加速器質量分析により測定することにより、植物由来の原料の含有割合の指標とすることができる。
本発明の樹脂フィルムをシーラントとして、その一方の面に基材フィルムを積層し、本発明の積層体を得ることができる。
本発明の積層体を使用し、これを二つ折にするか、又は該積層体2枚を用意し、そのシーラントの面を対向させて重ね合わせ、さらにその周辺端部を、例えば、側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型(ピローシール型)、ひだ付シール型、平底シール型、角底シール型、ガゼット型等のヒートシール形態によりヒートシールして、種々の形態の包装材として製造することができる。
図3に示した詰め替えパウチ100は、スタンディングパウチ形式で作製したものであり、パウチの底部を、前後の壁面フィルム(上記の本発明の積層体を使用する)11、11′の下部の間に底面フィルム(壁面フィルムと同じてあっても異なっていてもよい)を内側に折り返して底面フィルム折り返し部12まで挿入してなるガセット部14を有する形式で形成し、内側に折り込まれた底面フィルムの両側下端近傍には、この場合、半円形の底面フィルム切り欠き部13a 、13bを設け、ガセット部14を、内側が両側から中央部にかけて湾曲線状に凹状となる船底形の底部シール部15でヒートシールして形成し、パウチの胴部は、前後の壁面フィルム11、11′の両側の端縁部を側部シール部16a 、16b でヒートシールして形成すると共に、パウチ100の上部の一方のコーナー部(図において左側のコーナー部)には、その外周を注出口部シール部17でヒートシールしてなる先細り形状で斜め外側上方を向く狭い幅の注出口部20が、その両側に切り欠き部19a 、19b を設けて突出する形状に設けられている。
未シールの開口部とし、内容物の充填後にヒートシールするものである。
石油由来のLLDPE(三井化学(株)製エボリュー(R)SP2020、密度0.916g/cm 3、MFR2.3g/10分)と石油由来のLDPE(宇部丸善ポリエチレン(株)製LDPE−F120N、密度0.920kg/m3、MFR1.2g/10分)との混合物(質量比70:30)85質量部に対し、植物由来のLLDPE(ブラスケム社製C4−SLL118、密度0.916g/cm 3、MFR1.0g/10分)15質量部を配合し、200℃で溶融混練して、樹脂組成物を得た。
次いで、得られた樹脂組成物を、上吹き空冷インフレーション共押出製膜機により成形し、厚み120μmの樹脂フィルムを製膜した。
フィルム全体のバイオマス度は13%であった。
石油由来のLLDPE(三井化学(株)製エボリュー(R)SP2020)と石油由来のLDPE(宇部丸善ポリエチレン(株)製LDPE−F120N)との混合物(質量比70:30)70質量部に対し、植物由来のLLDPE(ブラスケム社製C4−SLL118、密度0.916g/cm 3、MFR1.0g/10分)30質量部を配合し、200℃で溶融混練して、第一の樹脂組成物を得た。
また、上記の石油由来のLLDPE70質量部と石油由来のLDPE30質量部とを、200℃で溶融混練し、第二の樹脂組成物を得た。
植物由来のLLDPEのフィルム全体に対する配合率は15質量%であり、フィルム全体のバイオマス度は13%であった。
実施例1、2で用いた石油由来のLLDPE70質量部及び石油由来のLDPE30質量部を、200℃で溶融混練し、樹脂組成物を得、これを上吹き空冷インフレーション共押出製膜機により成形し、厚み120μmの樹脂フィルムを製膜した。
フィルム全体のバイオマス度は0%であった。
第一の樹脂組成物中の石油由来のLLDPEとLDPEとの混合物20質量部に対し、植物由来のLLDPE80質量部を配合した以外は、実施例2と同様にして、3層構成の樹脂フィルムを製膜した。
植物由来のLLDPEのフィルム全体に対する配合率は40質量%であり、フィルム全体のバイオマス度は35%であった。
(耐衝撃性テスト)
実施例1、2及び比較例1、2の樹脂フィルムをシーラントとして使用し、その一方の面にコロナ処理を施し、その処理面に、バリア層として蒸着フィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム上にアルミニウムを蒸着した蒸着フィルム、厚さ12μm)をドライラミネートした。次いで、そのバリア層側の面に、基材フィルムとして2軸延伸ナイロンフィルム(厚さ15μm)をドライラミネートし、パウチの胴材用の積層体を得た。
得られたパウチについて、以下のとおり、耐衝撃性テストを実施した。
結果を以下の表1に示す。
上記の耐衝撃性テストで製造した胴材用の積層体について、引き裂き強度JIS K 7128−2(エルメンドルフ引き裂き法)に準拠して、以下のとおり、手切れ性テストを実施した。
結果を以下の表2に示す。
実施例1及び2の樹脂フィルムを用いてなるパウチは、高いバイオマス度を示し、且つ、植物由来のポリエチレン系樹脂を含まない比較例1のパウチと同等の優れた耐衝撃性を示し、更に、良好な手切れ性を示した。これに対し、比較例2の樹脂フィルムを用いてなるパウチは、落下の衝撃に耐えられず、また、手切れ性に劣り、詰め替えパウチとしての実用性に欠けるものであった。
a 中間層
b1、b2 最外層
11、11′ 壁面フィルム
12 底面フィルム折り返し部
13a、13b 底面フィルム切り欠き部
14 ガセット部
15 底部シール部
16a、16b 側部シール部
17 注出口部シール部
18 上部シール部
19a、19b 切り欠き部
20 注出口部
21 ハーフカット線
22 ノッチ
100 詰め替え用包装袋
Claims (5)
- 植物由来のポリエチレン系樹脂を、フィルム全体に対して10〜20質量%含む、包装材シーラント用の耐衝撃性手切れ性ポリエチレン系樹脂フィルムであって、
該植物由来のポリエチレン系樹脂は、密度0.910〜0.922g/cm 3 、MFR0.7〜3.1g/10分の物性を有する直鎖状低密度ポリエチレンであることを特徴とする、上記包装材シーラント用の耐衝撃性手切れ性ポリエチレン系樹脂フィルム。 - 詰め替えパウチ用であることを特徴とする、請求項1に記載の耐衝撃性手切れ性ポリエチレン系樹脂フィルム。
- 植物由来ではないポリエチレン系樹脂からなる両最外層と、植物由来のポリエチレン系樹脂を含む中間層との少なくとも3層からなることを特徴とする、請求項1または2に記載の耐衝撃性手切れ性ポリエチレン系樹脂フィルム。
- バイオマス度が8.5〜18%であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の耐衝撃性手切れ性ポリエチレン系樹脂フィルム。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の耐衝撃性手切れ性ポリエチレン系樹脂フィルムを用いてなることを特徴とする、詰め替えパウチ。
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