JP7073778B2 - 積層体およびそれを備える包装袋 - Google Patents
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Description
少なくとも、第1基材層と、金属蒸着層と、第2基材層と、シーラント層とをこの順に備える積層体であって、
前記第1基材層が、ポリアミドを含み、
前記第2基材層が、ポリエチレンテレフタレートを含み、
前記シーラント層が、バイオマス由来の直鎖状低密度ポリエチレンと、低密度ポリエチレンとを含み、
前記シーラント層の厚みが、30μm以上150μm以下である積層体が提供される。
本発明による積層体は、少なくとも、第1基材層と、金属蒸着層と、第2基材層と、シーラント層とをこの順に備えるものである。積層体は、さらに、印刷層や接着層、他の層等をさらに備えてもよい。積層体が他の層を2層以上備える場合、それぞれが、同一の組成であってもよいし、異なる組成であってもよい。
図1に示した積層体10は、第1基材層11と、金属蒸着層12と、第2基材層13と、シーラント層14とをこの順に備えるものである。積層体10を備える包装袋は、シーラント層14が内面側に位置する。
図2に示した積層体20は、第1基材層21と、印刷層25と、接着層26と、金属蒸着層22と、第2基材層23と、接着層27と、シーラント層24とをこの順に備えるものである。積層体20を備える包装袋は、シーラント層24が内面側に位置する。
以下、積層体を構成する各層について説明する。
本発明による積層体は、第1基材層と、積層体の内側に位置する第2基材層とを少なくとも備えるものである。基材層を少なくとも2層備えることで、包装袋を製造した際に、手切れ性を向上させることができる。
第2基材層が延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムである場合、第2基材層に用いる延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムは、引張強度が、MD方向で、好ましくは150MPa以上300MPa以下、より好ましくは200MPa以上300MPa以下、TD方向で、好ましくは150MPa以上300MPa以下、より好ましくは150MPa以上300MPa以下であり、また、引張伸度が、MD方向で、好ましくは50%以上250%以下、より好ましくは70%以上200%以下であり、TD方向で好ましくは50%以上250%以下、より好ましくは60%以上200%以下である。
上記の引張強度および引張伸度は、JIS K 7127に準拠して測定することができる。
金属蒸着層は、金属の蒸着膜からなる層である。蒸着膜は、従来公知の方法により形成することができ、金属組成および形成方法は特に限定されない。積層体が、金属蒸着層を備えることで、酸素ガスおよび水蒸気等の透過を阻止するガスバリア性や、可視光および紫外線等の透過を阻止する遮光性を、付与ないし向上させることができる。また、包装袋に金属光沢を付与することができるため、意匠性を向上させることができる。なお、積層体は、金属蒸着層を2層以上備えてもよい。金属蒸着層を2層以上備える場合、それぞれが、同一の組成であってもよいし、異なる組成であってもよい。
本発明による積層体は、包装袋を製造する際に、最内層となるシーラント層を備えるものである。シーラント層は、バイオマス由来の直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)と、低密度ポリエチレン(LDPE)とを含むものであり、化石燃料由来の直鎖状低密度ポリエチレンをさらに含んでもよい。また、低密度ポリエチレンは、バイオマス由来であってもよいし、化石燃料由来であってもよい。シーラント層は、バイオマス由来の直鎖状低密度ポリエチレンと、低密度ポリエチレンの両方を含むことで、包装袋を製造した際に優れた耐衝撃性および優れた手切れ性を両立することができる。
Pbio(%)=PC14/105.5×100
なお、PMCとは、Percent Modern Carbonの略である。
印刷層は、装飾、内容物の表示、賞味期間の表示、製造者、販売者などの表示、その他などの表示や美感の付与のために、印刷によって形成される層である。印刷層は、例えば、絵、写真、文字、数字、図形、記号、模様などの所望の任意の絵柄を形成する絵柄層を含むものである。印刷層は、絵柄層の絵柄を際立たせるよう印刷により形成された地色層を更に含んでいてもよい。印刷層は、着色剤と、ポリオールとイソシアネート化合物との硬化物とを含む。印刷層は、バイオマス由来成分を含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。バイオマス由来成分を含む材料により印刷層を形成する場合、印刷層は、主剤としてのポリオールと硬化剤としてのイソシアネート化合物の少なくともいずれかがバイオマス由来成分を含む硬化物を用いて形成することができる。また、バイオマス由来成分を含まない材料により印刷層を形成する場合、印刷層は、従来公知の化石燃料由来成分からなるポリオールと化石燃料由来成分からなるイソシアネート化合物とを用いて形成することができる。ポリオールとしては、多官能アルコールと多官能カルボン酸との反応物であるポリエステルポリオール、または、多官能アルコールと多官能イソシアネートとの反応物であるポリエーテルポリオールを用いることができる。
ポリエステルポリオールがバイオマス由来成分を含む場合、多官能アルコールおよび多官能カルボン酸の少なくともいずれか一方がバイオマス由来成分を含む。バイオマス由来成分を含むポリエステルポリオールとして以下の例を挙げることができる。
・バイオマス由来の多官能アルコールとバイオマス由来の多官能カルボン酸との反応物
・化石燃料由来の多官能アルコールとバイオマス由来の多官能カルボン酸との反応物
・バイオマス由来の多官能アルコールと化石燃料由来の多官能カルボン酸との反応物
バイオマス由来のブチレングリコールは、植物原料からグリコールを製造し発酵することで得られたコハク酸を得て、これを水添することによって製造することができる。
バイオマス由来のエチレングリコールは、例えば、常法によって得られるバイオエタノールからエチレンを経て製造することができる。
ポリエーテルポリオールがバイオマス由来成分を含む場合、多官能アルコールおよび多官能イソシアネートの少なくともいずれか一方がバイオマス由来成分を含む。バイオマス由来成分を含むポリエーテルポリオールとして以下の例を挙げることができる。
・バイオマス由来の多官能アルコールとバイオマス由来の多官能イソシアネートとの反応物
・化石燃料由来の多官能アルコールとバイオマス由来の多官能イソシアネートとの反応物
・バイオマス由来の多官能アルコールと化石燃料由来の多官能イソシアネートとの反応物
着色剤としては、特に限定されず、従来公知の顔料や染料を用いることができる。
接着層は、任意の2層を接着する場合に設けられる層であり、例えば、第1基材層と金属蒸着層の間や、第2基材層とシーラント層の間に設けることができる。
本発明による積層体は、他の層として、熱可塑性樹脂層等をさらに備えていてもよい。熱可塑性樹脂層としては、接着樹脂層と同じ材料を用いることができる。
本発明による積層体の製造方法は特に限定されず、ドライラミネート法、サンドラミネート法等の従来公知の方法を用いて製造することができる。
本発明による包装袋は、上記積層体を備えるものである。例えば、上記積層体を使用し、これを二つ折にするか、又は該積層体2枚を用意し、そのシーラントの面を対向させて重ね合わせ、さらにその周辺端部を、例えば、側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型(ピローシール型)、ひだ付シール型、平底シール型、角底シール型、ガゼット型等のヒートシール形態によりヒートシールして、種々の形態の包装袋を製造することができる。
図3に示した詰め替えパウチ100は、スタンディングパウチ形式で作製したものであり、パウチの底部を、前後の壁面フィルム(上記積層体を使用する)101、101′の下部の間に底面フィルム(壁面フィルムと同じてあっても異なっていてもよい)103を内側に折り返して底面フィルム折り返し部102まで挿入してなるガセット部104を有する形式で形成し、内側に折り込まれた底面フィルムの両側下端近傍には、この場合、半円形の底面フィルム切り欠き部103a、103bを設け、ガセット部104を、内側が両側から中央部にかけて湾曲線状に凹状となる船底形の底部シール部105でヒートシールして形成する。また、パウチの胴部は、前後の壁面フィルム101、101′の両側の端縁部を側部シール部106a、106bでヒートシールして形成すると共に、パウチ100の上部の一方のコーナー部(図3において左側のコーナー部)には、その外周を注出口部シール部107でヒートシールしてなる先細り形状で斜め外側上方を向く狭い幅の注出口部110が、その両側に切り欠き部109a、109bを設けて突出する形状に設けられている。また、パウチ100の上部のうち、注出口部110を設けていない部分は、上部シール部108でヒートシールするが、この部分は内容物の充填口に使用するため、内容物の充填前は未シールの開口部とし、内容物の充填後にヒートシールするものである。なお、上述の例では、2枚の壁面フィルムと、1枚の底面フィルムを用いて詰め替えパウチ100を構成する例について説明したが、1枚のフィルムまたは2枚のフィルムを用いて詰め替えパウチを構成するようにしてもよい。
<積層体1の作製>
第1基材層として2軸延伸ナイロンフィルム(厚さ15μm)を準備し、該ナイロンフィルムの一方の面にグラビア印刷により印刷層を形成した。続いて、該ナイロンフィルムの印刷面と、アルミニウムの蒸着膜が形成された化石燃料由来の2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(サイチ工業社製、厚さ12μm)の蒸着面とを2液硬化型接着剤(ロックペイント(株)製、RU-40/H-5)を用いて貼り合わせて、積層フィルムを得た。また、化石燃料由来の直鎖状低密度ポリエチレン(密度:0.918g/cm3、MFR:3.8g/10分、バイオマス度:0%)60質量部と、化石燃料由来の低密度ポリエチレン(密度:0.924g/cm3、MFR:2.0g/10分、バイオマス度:0%)20質量部と、バイオマス由来の直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE、ブラスケム社製、商品名:SLL118、密度:0.916g/cm3、MFR:1.0g/10分、バイオマス度87%)20質量部とを溶融混練して、樹脂組成物を得た。次いで、得られた樹脂組成物を、上吹き空冷インフレーション共押出製膜機により成膜して、シーラント層用のポリエチレンフィルム1(厚さ110μm、バイオマス度:17.4%)を得た。次に、上記積層フィルムの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム面と、ポリエチレンフィルム1とを2液硬化型接着剤(ロックペイント(株)製、RU-40/H-5)を用いて貼り合わせて、第1基材層、印刷層、接着剤層、金属蒸着層、第2基材層、接着剤層、およびシーラント層が順に積層された積層体1を得た。
<積層体2の作製>
シーラント層用のポリエチレンフィルム1の配合を、化石燃料由来の直鎖状低密度ポリエチレン70質量部、化石燃料由来の低密度ポリエチレン10質量部、およびバイオマス由来の直鎖状低密度ポリエチレン20質量部に変更した以外は実施例1と同様にして、積層体2を得た。
<積層体3の作製>
シーラント層用のポリエチレンフィルム1の配合を、化石燃料由来の直鎖状低密度ポリエチレン55質量部、化石燃料由来の低密度ポリエチレン25質量部、およびバイオマス由来の直鎖状低密度ポリエチレン20質量部に変更した以外は実施例1と同様にして、積層体3を得た。
<積層体4の作製>
シーラント層用のポリエチレンフィルム1の厚みを80μmに変更した以外は実施例1と同様にして、積層体4を得た。
<積層体5の作製>
シーラント層用のポリエチレンフィルム1の厚みを120μmに変更した以外は実施例1と同様にして、積層体5を得た。
<積層体6の作製>
シーラント層用のポリエチレンフィルム1の厚みを150μmに変更した以外は実施例1と同様にして、積層体6を得た。
<積層体7の作製>
第1基材層の2軸延伸ナイロンフィルムを2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ12μm)に変更した以外は実施例1と同様にして、積層体7を得た。
<積層体8の作製>
シーラント層用のポリエチレンフィルム1の配合を、化石燃料由来の直鎖状低密度ポリエチレン80質量部およびバイオマス由来の直鎖状低密度ポリエチレン20質量部に変更した以外は実施例1と同様にして、積層体8を得た。
<積層体9の作製>
第1基材層として2軸延伸ナイロンフィルム(厚さ25μm)を準備した。続いて、該ナイロンフィルムの一方の面と、アルミニウムの蒸着膜が形成された化石燃料由来の2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(サイチ工業社製、厚さ12μm)の蒸着面とを2液硬化型接着剤(ロックペイント(株)製、RU-40/H-5)を用いて貼り合わせて、積層フィルムを得た。また、実施例1で得られたシーラント層用の樹脂組成物を、上吹き空冷インフレーション共押出製膜機により成膜して、シーラント層用のポリエチレンフィルム(厚さ40μm、バイオマス度:17.4%)を得た。次に、上記積層フィルムの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム面と、シーラント層用のポリエチレンフィルムとを2液硬化型接着剤(ロックペイント(株)製、RU-40/H-5)を用いて貼り合わせて、第1基材層、接着剤層、金属蒸着層、第2基材層、接着剤層、およびシーラント層が順に積層された積層体9を得た。
実施例1で得られた積層体を壁面フィルムと底面フィルムに用いて、外形寸法:高さ220mm×幅130mm、底部の折り込み部の高さ40mm、シール幅5mmの図3に示すスタンディングパウチ(詰め替えパウチ)を作製した。なお、底部は舟底型のシールパターンでヒートシールした。同様にして、実施例2~7および比較例1~2で得られた積層体を用いて図3に示すスタンディングパウチ(詰め替えパウチ)を作製した。
上記で得られた各パウチに、水400ccを充填し、ヒートシールして密封した。次いで、これらのパウチを、底部を下向きにした状態で、1.2mの高さから繰り返し10回落下させて、下記の基準で評価した。評価結果を表1に示した。
(評価基準)
○:パウチは破袋しなかった。
×:パウチは破袋した。
実施例および比較例で得られた各積層体を用いて、上記と同様にして作製した図3に示すスタンディングパウチ(詰め替えパウチ)を各3つ用意した。続いて、スタンディングパウチの注出口部に設けられたノッチを基点として、ハーフカット線に沿ってカットしたときの手切れ性を確認した。
(評価基準)
○:3つのサンプルとも、過度に力を掛けることなくカットすることができた。
×:1つのサンプルでも、過度に力を掛けないとカットすることができなかった。
11、21 第1基材層
12、22 金属蒸着層
13、23 第2基材層
14、24 シーラント層
25 印刷層
26、27 接着層
100 詰め替えパウチ
101、101′壁面フィルム
102 底面フィルム折り返し部
103 底面フィルム
103a 、103b 底面フィルム切り欠き部
104 ガセット部
105 底部シール部
106a 、106b 側部シール部
107 注出口部シール部
108 上部シール部
109a 、109b 切り欠き部
110 注出口部
111 ハーフカット線
112 ノッチ
Claims (9)
- 少なくとも、第1基材層と、金属蒸着層と、第2基材層と、シーラント層とをこの順に備える積層体であって、
前記第1基材層が、ポリアミドを含み、
前記第2基材層が、ポリエチレンテレフタレートを含み、
前記シーラント層が、バイオマス由来の直鎖状低密度ポリエチレンと、化石燃料由来の直鎖状低密度ポリエチレンと、低密度ポリエチレンとを含み、
前記シーラント層の厚みが、30μm以上150μm以下であり、
前記シーラント層中の前記バイオマス由来の直鎖状低密度ポリエチレンと前記化石燃料由来の直鎖状低密度ポリエチレンとの合計含有量は、80質量%以上90質量%以下であり、
前記シーラント層中の前記低密度ポリエチレンの含有量は、10質量%以上20質量%以下である、積層体。 - 前記第1基材層が、延伸ナイロンフィルムであり、該延伸ナイロンフィルムの引張強度が、MD方向で150MPa以上350MPa以下である、請求項1に記載の積層体。
- 前記第2基材層が、延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムであり、該延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの引張強度が、MD方向で150MPa以上300MPa以下である、請求項1または2に記載の積層体。
- 前記第1基材層および前記第2基材層は、それぞれ、5μm以上40μm以下の厚さを有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の積層体。
- 前記シーラント層のバイオマス度が、5%以上30%以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載の積層体。
- 前記金属蒸着層が、アルミニウム蒸着層である、請求項1~5のいずれか一項に記載の積層体。
- 前記積層体が、前記第1基材層と前記金属蒸着層の間に、印刷層をさらに備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の積層体。
- 前記積層体が、前記第1基材層と前記金属蒸着層の間および/または前記第2基材層と前記シーラント層の間に、接着層をさらに備える、請求項1~7のいずれか一項に記載の積層体。
- 請求項1~8のいずれか一項に記載の積層体を備える、包装袋。
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