JP7449035B2 - 包装材料および包装袋 - Google Patents

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Description

本発明は、少なくとも、基材層と、基材層に設けられた蒸着層と、蒸着層に設けられたガスバリア性塗布膜と、シーラント層とを備える包装材料に関する。さらには、該包装材料を備える包装袋に関する。
従来、調理済あるいは半調理済の液体、粘体あるいは液体と固体とが混在する内容物を、プラスチック製の積層フィルムから構成された袋に充填密封したものが多く市場に出回っている。袋においては、積層フィルム同士が接合されていない非シール部が、内容物が収容される収容部を構成している。また、積層フィルム同士が接合されているシール部が、収容部を密封している。内容物は、例えば、カレー、シチュー、スープ等の調理済食品である。内容物は、袋に収容された状態で、電子レンジなどによって加熱される。
ところで、密封された状態の袋に収容された内容物を、電子レンジを利用して加熱すると、加熱に伴って内容物に含まれる水分が蒸発して収容部の圧力が高まっていく。袋の収容部の圧力が高まると、袋が破裂して内容物が飛散し電子レンジ内を汚してしまうおそれがある。このような課題を考慮し、例えば特許文献1、2は、収容部の圧力が高まると収容部と外部とを自動的に連通させて収容部内の蒸気を外部に逃がす蒸気抜き機構を設けることを提案している。蒸気抜き機構は、例えば、その他のシール部に比べて弱いシール強度を有する蒸気抜けシール部を含む。
特開2003-182780号公報 特開2006-143223号公報
近年、循環型社会の構築を求める声の高まりとともに、材料分野においてもエネルギーと同様に化石燃料からの脱却が望まれている。例えば、包装材料に用いられる積層体の製造にバイオマス由来の原料を用いることにより、化石燃料の使用量を削減することが望まれている。
本発明は、このような課題を効果的に解決し得る包装材料および包装袋を提供することを目的とする。
本発明は、少なくとも、基材層と、前記基材層に設けられた蒸着層と、前記蒸着層に設けられたガスバリア性塗布膜と、シーラント層とを備える包装材料であって、前記基材層は、バイオマス由来のエチレングリコールをジオール単位とし、化石燃料由来のテレフタル酸をジカルボン酸単位とするポリエチレンテレフタレートを含み、前記蒸着層は、酸化アルミニウムの蒸着膜である、包装材料である。
本発明による包装材料において、前記蒸着層に、前記基材層と、前記酸化アルミニウムの蒸着膜である前記蒸着層との密着強度を規定する該蒸着膜の遷移領域が形成されており、該遷移領域は、飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF-SIMS)を用いてエッチングを行うことで検出される水酸化アルミニウムに変成する元素結合Al2O4Hを含み、TOF-SIMSを用いてエッチングを行うことで規定される前記酸化アルミニウムの蒸着膜に対する、TOF-SIMSを用いて規定される該変成される遷移領域の割合により定義される遷移領域の変成率が45%以下である、包装材料である。
本発明による包装材料において、前記シーラント層は、ポリプロピレンを含む、包装材料である。
本発明による包装材料において、前記基材層は、第1基材層と、第2基材層と、を有し、前記蒸着層は、前記第1基材層に設けられ、前記第1基材層が、バイオマス由来のエチレングリコールをジオール単位とし、化石燃料由来のテレフタル酸をジカルボン酸単位とするポリエチレンテレフタレートを含み、前記第2基材層が、ポリアミドを含む、包装材料である。
本発明による包装材料において、前記基材層は、第1基材層と、第2基材層と、を有し、前記蒸着層は、前記第2基材層に設けられ、前記第1基材層が、ポリアミドを含み、前記第2基材層が、バイオマス由来のエチレングリコールをジオール単位とし、化石燃料由来のテレフタル酸をジカルボン酸単位とするポリエチレンテレフタレートを含む、包装材料である。
本発明による包装材料において、前記シーラント層は、プロピレン・エチレンブロック共重合体を含む第1の熱可塑性樹脂を有する、包装材料である。
本発明による包装材料において、前記シーラント層は、エチレン-α-オレフィン共重合体、またはポリエチレンを含む第2の熱可塑性樹脂を有する、包装材料である。
本発明による包装材料において、流れ方向における前記シーラント層の引張伸度(%)と前記シーラント層の厚み(μm)の積が、45000以上であり、垂直方向における前記シーラント層の引張伸度(%)と前記シーラント層の厚み(μm)の積が、53000以上である、包装材料である。
本発明による包装材料において、流れ方向における前記シーラント層の引張弾性率(MPa)と前記シーラント層の厚み(μm)の積が、35000以上であり、垂直方向における前記シーラント層の引張弾性率(MPa)と前記シーラント層の厚み(μm)の積が、25000以上である、包装材料である。
本発明は、本発明による包装材料を備える、包装袋である。
本発明によれば、環境負荷を低減することができる包装材料および包装袋を提供することができる。
本発明による包装材料を構成する積層体の一例を示す模式断面図である。 本発明による包装材料を構成する積層体の一例を示す模式断面図である。 本発明による包装材料を構成する積層体の一例を示す模式断面図である。 本発明による包装材料を構成する積層体の一例を示す模式断面図である。 基材上に成膜された透明蒸着層を、飛行時間型二次イオン質量分析計により分析した結果の一例を示す図である。 本発明による包装袋の一例を示す模式正面図である。 本発明による包装袋の一例を示す模式正面図である。 実施例1乃至比較例2のPETフィルムの層構成を示す図である。 実施例2乃至比較例5Bの包装材料の層構成を示す図である。 実施例4乃至比較例10Bの包装材料の層構成を示す図である。
<包装材料>
本発明による包装材料を構成する積層体は、少なくとも、基材層と、基材層に設けられた蒸着層と、蒸着層に設けられたガスバリア性塗布膜と、シーラント層とを備えるものであり、ボイル用包装袋やレトルト用包装袋を製造するために好適に用いることができる。包装材料は、更に、接着剤層、印刷層や他の層等を備えてもよい。積層体が接着剤層や他の層を2層以上備える場合、それぞれが、同一の組成であってもよいし、異なる組成であってもよい。
本発明による包装材料について、図面を参照しながら説明する。本発明による包装材料を構成する積層体の模式断面図の例を図1乃至図4に示す。
図1に示した包装材料10、第1基材層11と、蒸着層12と、ガスバリア性塗布膜13と、印刷層16と、接着剤層17と、第2基材層14と、接着剤層18と、シーラント層15とをこの順に備える。包装材料10を備える包装袋においては、シーラント層15が最内面に位置する。
図2に示した包装材料10は、第1基材層11と、印刷層16と、接着剤層17と、ガスバリア性塗布膜13と、蒸着層12と、第2基材層14と、接着剤層18と、シーラント層15とをこの順に備える。包装材料10を備える包装袋においては、シーラント層15が最内面に位置する。
図3に示した包装材料10は、第1基材層11と、印刷層16と、接着剤層17と、第2基材層14と、蒸着層12と、ガスバリア性塗布膜13と、接着剤層18と、シーラント層15とをこの順に備える。包装材料10を備える包装袋においては、シーラント層15が最内面に位置する。
図4に示した包装材料20は、基材層21と、蒸着層22と、ガスバリア性塗布膜23と、印刷層25と、接着剤層26と、シーラント層24とをこの順に備える。包装材料20を備える包装袋においては、シーラント層24が最内面に位置する。
なお、上述した図1乃至図4に示す包装材料の複数の層構成を適宜組み合わせることも可能である。
以下、包装材料を構成する各層について説明する。
[基材層]
{基材層の第1の構成}
第1の構成に係る基材層は、第1基材層と、第1基材層よりも積層体の内面側に位置する第2基材層とを少なくとも備える。少なくとも2つの基材層を備えることで、包装袋を製造した際に、手切れ性や強度を向上させることができる。
(第1基材層)
(第1基材層の第1の構成)
第1の構成に係る第1基材層(第1基材層11)は、バイオマス由来のポリエチレンテレフタレート(以下、PETとも記す)を含む。バイオマス由来のPETとは、バイオマス由来のエチレングリコールをジオール単位とし、化石燃料由来のテレフタル酸をジカルボン酸単位とするPETである。第1基材層は、化石燃料由来のエチレングリコールをジオール単位とし、化石燃料由来のテレフタル酸をジカルボン酸単位とする、化石燃料由来のPETをさらに含んでもよい。第1基材層全体として、下記のバイオマス度を実現できればよい。本発明においては、第1基材層がバイオマス由来のPETを含むことで、従来に比べて化石燃料由来のPETの量を削減し環境負荷を減らすことができる。
本発明において、「バイオマス度」とは、放射性炭素(C14)測定によるバイオマス由来の炭素の含有量を測定した値で示してもよく、また、バイオマス由来成分の重量比率で示してもよい。
放射性炭素(C14)測定によるバイオマス由来の炭素の含有量を測定した値を「バイオマス度」として示す場合、以下のように「バイオマス度」を求めることができる。即ち、大気中の二酸化炭素には、C14が一定割合(105.5pMC)で含まれているため、大気中の二酸化炭素を取り入れて成長する植物、例えばトウモロコシ中のC14含有量も105.5pMC程度であることが知られている。また、化石燃料中にはC14が殆ど含まれていないことも知られている。したがって、PET中の全炭素原子中に含まれるC14の割合を測定することにより、バイオマス由来の炭素の割合を算出することができる。本発明においては、PET中のC14の含有量をPC14とした場合の、バイオマス由来の炭素の含有量Pbioは、以下のようにして求めることができる。
bio(%)=PC14/105.5×100
なお、シーラント層のうち後述する第2の構成に係るシーラント層中のバイオマス由来の炭素の含有量においても上記式を用いて求めることができる。
代表的なポリエステルであるポリエチレンテレフタレートを例にとると、PETは、2炭素原子を含むエチレングリコールと8炭素原子を含むテレフタル酸とがモル比1:1で重合したものであるため、エチレングリコールとしてバイオマス由来のもののみを使用した場合、PET中のバイオマス由来の炭素の含有量Pbioは20%となる。一方、化石燃料由来のエチレングリコールと、化石燃料由来のジカルボン酸とを用いて製造した化石燃料由来のポリエチレンテレフタレート中のバイオマス由来の炭素の含有量は0%であり、化石燃料由来のポリエチレンテレフタレートのバイオマス度は0%となる。
また、バイオマス由来成分の重量比率で「バイオマス度」を表す場合、以下のように「バイオマス度」を求めることができる。例えば、ポリエチレンテレフタレートを例にとると、ポリエチレンテレフタレートは、上記したように、2炭素原子を含むエチレングリコールと8炭素原子を含むテレフタル酸とがモル比1:1で重合したものであるため、エチレングリコールとしてバイオマス由来のもののみを使用した場合、ポリエステル中のバイオマス由来成分の重量比率は約30%であるため、バイオマス度は約30%となる。また、化石燃料由来のエチレングリコールと、化石燃料由来のジカルボン酸とを用いて製造した化石燃料由来のポリエステル中のバイオマス由来成分の重量比率は0%であり、化石燃料由来のポリエステルのバイオマス度は0%となる。以下、特に断りのない限り、「バイオマス度」とはバイオマス由来成分の重量比率を示したものとする。
本発明において、第1基材層のバイオマス度は、5%以上であり、好ましくは10%以上であり、より好ましくは15%以上である。第1基材層のバイオマス度が5%以上であれば、従来に比べて化石燃料由来のPETの量を削減し環境負荷を減らすことができる。
第1基材層が延伸されたPETフィルムである場合、第1基材層に用いるPETフィルムは、引張強度が、MD方向で、好ましくは150MPa以上300MPa以下、より好ましくは200MPa以上300MPa以下、TD方向で、好ましくは150MPa以上300MPa以下、より好ましくは150MPa以上300MPa以下であり、また、引張伸度が、MD方向で、好ましくは50%以上250%以下、より好ましくは70%以上200%以下であり、TD方向で好ましくは50%以上250%以下、より好ましくは60%以上200%以下である。引張強度および引張伸度は、JIS K 7127に準拠して測定することができる。
第1の構成に係る第1基材層は、好ましくは5μm以上40μm以下、より好ましくは8μm以上25μm以下の厚さを有する。第1基材層の厚さが上記範囲程度であれば、成形加工が容易であり、また包装材料として好適に用いることができる。
(第1基材層の第2の構成)
第2の構成に係る第1基材層は、ナイロン等のポリアミドを含む樹脂層である。第1基材層は延伸されていることが好ましく、二軸延伸されていることがより好ましい。
ポリアミドとしては、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン9、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6/66、ナイロン66/610、ナイロンMXD6等が挙げられる。耐水性に劣るポリアミド樹脂層を積層体の外側ではなく内部に備えることで、耐水性を損なわずに包装袋に要求される強度を向上させることができる。
第1基材層が延伸されたナイロンフィルムである場合、第1基材層に用いるナイロンフィルムは、引張強度が、MD方向で、好ましくは150MPa以上350MPa以下、より好ましくは200MPa以上300MPa以下、TD方向で、好ましくは150MPa以上400MPa以下、より好ましくは200MPa以上350MPa以下であり、また、引張伸度が、MD方向で、好ましくは50%以上200%以下、より好ましくは70%以上150%以下であり、TD方向で好ましくは30%以上200%以下、より好ましくは50%以上150%以下である。
第2の構成に係る第1基材層の厚さは、好ましくは9μm以上であり、より好ましくは12μm以上である。また、第2の構成に係る第1基材層の厚さは、好ましくは35μm以下であり、より好ましくは30μm以下である。第1基材層の厚さを9μm以上にすることにより、積層体が十分な強度を有するようになる。また、第1基材層の厚さを35μm以下にすることにより、第1基材層が優れた成形性を示すようになる。このため、第1基材層を含む積層体を加工して包装袋を製造する工程を効率的に実施することができる。
(第2基材層)
(第2基材層の第1の構成)
第1の構成に係る第2基材層は、ナイロン等のポリアミドを含む樹脂層である。なお、第2基材層は、上述した第2の構成による第1基材層と同様であるため、ここでは、詳しい説明は省略する。
(第2基材層の第2の構成)
第2の構成に係る第2基材層は、バイオマス由来のポリエチレンテレフタレートを含む。なお、第2基材層は、上述した第1の構成による第1基材層と同様であるため、ここでは、詳しい説明は省略する。
{基材層の第2の構成}
第2の構成に係る基材層は、単一の基材層(基材層21)で構成されている。ここで、「単一の基材層」とは、基材層が単一の層によって構成されていることを意味するものではない。基材層は単層であってもよく、多層であってもよい。「単一の基材層」とは、基材層が多層で構成されている場合、複数の層の間に、接着剤層やバリア層等が介在されていないことを意味する。この基材層は、バイオマス由来のポリエチレンテレフタレートを含む。なお、基材層は、上述した第1の構成による基材層の第1基材層のうち、上述した第1の構成による第1基材層11と同様であるため、ここでは、詳しい説明は省略する。
[蒸着層]
次に、蒸着層について説明する。
蒸着層は、従来公知の方法により形成することができる蒸着膜からなる層である。蒸着層を備えることで、酸素ガスおよび水蒸気等の透過を阻止するガスバリア性を、付与ないし向上させることができる。なお、バリア層は、蒸着層を2層以上備えてもよい。蒸着層を2層以上備える場合、それぞれが、同一の組成であってもよいし、異なる組成であってもよい。
蒸着膜は、無機酸化物の蒸着膜からなる透明蒸着膜であってもよい。蒸着膜が透明蒸着膜である場合、蒸着膜からなる蒸着層は、図1に示すように第1基材層に設けられてもよく、図2に示すように第2基材層に設けられてもよい。このように、蒸着膜が透明蒸着膜であることにより、内容物の透過性を保ちながら、酸素ガスおよび水蒸気等の透過を阻止するガスバリア性を付与ないし向上させることができる。
透明蒸着膜としては、例えば、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、スズ(Sn)、ナトリウム(Na)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)等の酸化物の蒸着膜を使用することができる。特に、包装袋用としては、酸化アルミニウムまたは酸化ケイ素の蒸着膜を備えることが好ましい。
無機酸化物の表記は、例えば、SiO、AlO等のようにMO(ただし、式中、Mは、無機元素を表し、Xの値は、無機元素によってそれぞれ範囲がことなる。)で表される。Xの値の範囲としては、ケイ素(Si)は、0~2、アルミニウム(Al)は、0~1.5、マグネシウム(Mg)は、0~1、カルシウム(Ca)は、0~1、カリウム(K)は、0~0.5、スズ(Sn)は、0~2、ナトリウム(Na)は、0~0.5、ホウ素(B)は、0~1.5、チタン(Ti)は、0~2、鉛(Pb)は、0~2、ジルコニウム(Zr)は0~2、イットリウム(Y)は、0~1.5の範囲の値をとることができる。上記において、X=0の場合、完全な無機単体(純物質)であり、透明ではなく、また、Xの範囲の上限は、完全に酸化した値である。包装用材料には、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)が好適に使用され、ケイ素(Si)は、1.0~2.0、アルミニウム(Al)は、0.5~1.5の範囲の値のものを使用することができる。
透明蒸着膜の膜厚としては、使用する無機酸化物の種類等によって異なるが、例えば、50Å以上2000Å以下、好ましくは、100Å以上1000Å以下の範囲内で任意に選択して形成することが望ましい。例えば、酸化アルミニウムあるいは酸化ケイ素の蒸着膜の場合には、膜厚50Å以上500Å以下、更に、好ましくは、100Å以上300Å以下が望ましいものである。
蒸着膜は、基材層などに以下の形成方法を用いて形成することができる。蒸着膜の形成方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、およびイオンプレ-ティング法等の物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法、PVD法)、あるいは、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、および光化学気相成長法等の化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、CVD法)等を挙げることができる。具体的には、ローラー式蒸着膜成膜装置を用いて、成膜ローラー上において蒸着層を形成することができる。
<透明蒸着層の好ましい形態>
次に、透明蒸着層の好ましい形態について説明する。なお、本願の透明蒸着層が以下に説明する好ましい形態を満たさない場合も考えられ得る。
透明蒸着層においては、第1基材層や第2基材層などの基材層と酸化アルミニウム蒸着膜などの透明蒸着層との密着強度を規定する遷移領域が、透明蒸着層に形成されていてもよい。透明蒸着層が酸化アルミニウム蒸着膜である場合、遷移領域は、飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF-SIMS)を用いて酸化アルミニウム蒸着膜のエッチングを行うことで検出される水酸化アルミニウムに変成する結合構造(Al2O4H)を含む。TOF-SIMSを用いてエッチングを行うことで規定される酸化アルミニウム蒸着膜に対する、TOF-SIMSを用いて規定される該変成される遷移領域の割合により定義される遷移領域の変成率は、好ましくは45%以下である。このような形態は、遷移領域の変成率を規定することで、基材と酸化アルミニウム蒸着膜との間の密着強度が改善された、バリア性を備える包装材料を特定できるとの知見に基づくものである。
遷移領域の変成率について具体的に説明する。まず、飛行時間型二次イオン質量分析計を用いてCsにより、酸化アルミニウム蒸着膜の最表面からエッチングを行い、酸化アルミニウム蒸着膜とプラスチック基材との界面の元素結合及び蒸着膜の元素結合を測定する。続いて、測定された元素および元素結合について、図5に示すように、それぞれの実測グラフを得る。
酸化アルミニウム蒸着膜における水酸化アルミニウムが形成するプラスチック基材と蒸着膜の界面の遷移領域を極力狭くするために、AL2O4Hに注目し、1)元素C6のグラフの強度Hが半分になる位置(図5において強度(Intensity)がHになる位置)を、プラスチック基材と酸化アルミニウム蒸着膜の界面(図5において横軸(Cycle)がTの位置)として特定する。また、界面から酸化アルミニウム蒸着膜の表面(図5において横軸(Cycle)がTの位置)までを、酸化アルミニウム蒸着膜として特定する。続いて、2)元素結合AL2O4Hを表すグラフにおけるピーク(図5において横軸(Cycle)がTの位置)を求め、そのピークの位置から界面の位置までを遷移領域として特定する。続いて、3)(元素結合AL2O4Hのピークから界面までの遷移領域/酸化アルミニウム蒸着膜)×100(%)として遷移領域の水酸化アルミニウムへの変成率を求めるものである。図5に示す例において、変成率は、(W2/W1)×100(%)である。
酸化アルミニウム蒸着膜の成膜は、酸化アルミニウム蒸着膜の遷移領域の変成率を好ましい値とするために、酸化アルミ蒸着工程前に、第1基材層などのプラスチック基材の表面にプラズマ前処理を行うことが好ましい。プラズマ前処理において、プラズマガスとして供給する酸素ガスとアルゴンまたはヘリウムとの混合比率は、5対1、好ましくは、2対1である。混合比率を5対1とすることで、プラスチック基材上での蒸着アルミニウムの膜形成エネルギーが増加し、更に2対1とすることで、水酸化アルミニウムの形成が基材の界面近傍で形成される、すなわち該遷移領域の変成率が低下する。また、プラズマ前処理において、酸素ガスのみがプラズマガスとして供給されてもよい。
蒸着膜を成膜する蒸着法としては、物理蒸着法、化学蒸着の中から種々の蒸着法が適用できる。物理蒸着法としては、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト法、クラスターイオンビーム法からなる群から選ぶことができ、化学蒸着法としては、プラズマCVD法、プラズマ重合法、熱CVD法、触媒反応型CVD法からなる群から選ぶことができる。本形態においては、物理蒸着法の蒸着法が好適である。
上記のように製膜される酸化アルミニウム蒸着膜の厚さは、好ましくは3nm以上且つ50nm以下であり、好ましくは8nm以上且つ30nm以下である。この範囲であれば、バリア性を保持し易い。
[ガスバリア性塗布膜]
必要に応じて、上記の蒸着層の上にガスバリア性塗布膜を設けてもよい。ガスバリア性塗布膜は、酸素ガスおよび水蒸気などの透過を抑制する層として機能する塗膜である。ガスバリア性塗布膜は、一般式R M(OR(ただし、式中、R、Rは、炭素数1~8の有機基を表し、Mは、金属原子を表し、nは、0以上の整数を表し、mは、1以上の整数を表し、n+mは、Mの原子価を表す。)で表される少なくとも一種以上のアルコキシドと、ポリビニルアルコ-ル系樹脂および/またはエチレン・ビニルアルコ-ル共重合体とを含有し、さらに、ゾルゲル法触媒、酸、水、および、有機溶剤の存在下に、ゾルゲル法によって重縮合するガスバリア性組成物により得られる。なお、ガスバリア性塗布膜は透明であることが好ましい。
上記の一般式R M(ORで表されるアルコキシドとしては、アルコキシドの部分加水分解物、アルコキシドの加水分解の縮合物の少なくとも一種以上を使用することができる。また、上記のアルコキシドの部分加水分解物としては、アルコキシ基のすべてが加水分解されている必要はなく、1個以上が加水分解されているもの、および、その混合物であってもよい。アルコキシドの加水分解の縮合物としては、部分加水分解アルコキシドの2量体以上のもの、具体的には、2~6量体のものを使用される。
上記の一般式R M(ORで表されるアルコキシドにおいて、Mで表される金属原子としては、ケイ素、ジルコニウム、チタン、アルミニウム、その他などを使用することができる。好ましい金属としては、例えば、ケイ素、チタンなどを挙げることができる。また、本発明において、アルコキシドの用い方としては、単独または二種以上の異なる金属原子のアルコキシドを同一溶液中に混合して使うこともできる。
また、上記の一般式R M(ORで表されるアルコキシドにおいて、Rで表される有機基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、その他などのアルキル基を挙げることができる。また、上記の一般式R M(ORで表されるアルコキシドにおいて、Rで表される有機基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、その他などを挙げることができる。なお、同一分子中にこれらのアルキル基は同一であっても、異なってもよい。
上記のガスバリア性組成物を調製する際、例えば、シランカップリング剤などを添加してもよい。上記のシランカップリング剤としては、既知の有機反応性基含有オルガノアルコキシシランを用いることができる。本実施形態においては、特に、エポキシ基を有するオルガノアルコキシシランが好適に用いられ、具体的には、例えば、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β-(3、4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等を使用することができる。上記のようなシランカップリング剤は、一種または二種以上を混合して用いてもよい。
蒸着層を備える積層体の酸素透過度及び水蒸気透過度はそれぞれ、好ましくは2以下(cc/m・day・atm)及び2以下(g/m・day)である。酸素透過度は、JIS K7126(等圧法)に準じ、米国モコン社製の酸素バリア測定器 OXTRAN を用い、23℃・90%RH条件下にて測定される。水蒸気透過度は、JIS K7129(B法)に準じ、米国モコン社製の水蒸気バリア測定器 PERMATRAN を用い、40℃・90%RH条件下にて測定される。
[シーラント層]
(シーラント層の第1の構成)
第1の構成に係るシーラント層は、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンなどのポリエチレン、ポリプロピレンから選択される1種または2種以上の樹脂を含む。シーラント層は、単層であってもよく、多層であってもよい。また、シーラント層は、好ましくは未延伸のフィルムからなる。なお「未延伸」とは、全く延伸されていないフィルムだけでなく、製膜の際に加えられる張力に起因してわずかに延伸されているフィルムも含む概念である。
包装材料10、20から構成された包装袋には、ボイル処理やレトルト処理などの殺菌処理が高温で施される。従って、シーラント層は、これらの高温での処理に耐える耐熱性を有するものが用いられる。
シーラント層を構成する材料の融点は、150℃以上であることが好ましく、160℃以上であることがより好ましい。シーラント層の融点を高くすることにより、包装袋のレトルト処理を高温で実施することが可能になり、このため、レトルト処理に要する時間を短くすることができる。なお、シーラント層を構成する材料の融点は、基材層を構成する樹脂の融点より低い。
レトルト処理の観点で考える場合、シーラント層を構成する材料として、プロピレンを主成分とする材料を用いることができる。ここで、プロピレンを「主成分とする」材料とは、プロピレンの含有率が90%以上である材料を意味する。プロピレンを主成分とする材料としては、具体的には、プロピレン・エチレンブロック共重合体、プロピレン・エチレンランダム共重合体、ホモポリプロピレンなどのポリプロピレン、又はポリプロピレンとポリエチレンとを混合したものなどを挙げることができる。ここで、「プロピレン・エチレンブロック共重合体」とは、下記の式(I)に示される構造式を有する材料を意味する。また、「プロピレン・エチレンランダム共重合体」とは、下記の式(II)に示される構造式を有する材料を意味する。また、「ホモポリプロピレン」とは、下記の式(III)に示される構造式を有する材料を意味する。
Figure 0007449035000001
Figure 0007449035000002
Figure 0007449035000003
プロピレンを主成分とする材料として、ポリプロピレンとポリエチレンとを混合したものを用いる場合には、材料は、海島構造を有していてもよい。ここで、「海島構造」とは、ポリプロピレンが連続する領域の内に、ポリエチレンが不連続に分散している構造をいう。
ボイル処理の観点で考える場合、シーラント層を構成する材料の例として、ポリエチレン、ポリプロピレン又はこれらの組み合わせなどを挙げることができる。ポリエチレンとしては、中密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン又はこれらの組み合わせなどを挙げることができる。例えば、上述のレトルト処理の観点からシーラント層を構成する材料として挙げた材料を用いることも可能である。シーラント層を構成する材料は、例えば100℃以上、より好ましくは105℃以上、更に好ましくは110℃以上の融点を有する。シーラント層を構成する材料としてポリエチレンを用いる場合、100℃以上の融点は、例えば、ポリエチレンの密度が0.920g/cm以上である場合に実現され得る。また、100℃以上の融点を有するシーラント層の具体例としては、三井化学東セロ製TUX-HC、東洋紡製L6101、出光ユニテック製LS700C等を挙げることができる。105℃以上の融点を有するシーラント層の具体例としては、タマポリ製NB-1等を挙げることができる。110℃以上の融点を有するシーラント層の具体例としては、出光ユニテック製LS760C、三井化学東セロ製TUX-HZ等を挙げることができる。
好ましくは、シーラント層は、プロピレン・エチレンブロック共重合体を含む単層のフィルムである。例えば、シーラント層は、プロピレン・エチレンブロック共重合体を主成分とする単層の未延伸フィルムである。プロピレン・エチレンブロック共重合体を用いることにより、シーラント層の耐衝撃性を高めることができ、これにより、落下時の衝撃により包装袋が破袋してしまうことを抑制することができる。また、包装材料10、20の耐突き刺し性を高めることができる。
また、プロピレン・エチレンブロック共重合体を用いることにより、高温時、例えば100℃以上のときの、シーラント層によって構成されるシール部の強度(以下、熱間シール強度とも言う)が、低温時、例えば室温のときのシール強度に比べて極めて小さくなる。例えば、100℃のときの熱間シール強度が、25℃のときのシール強度(以下、常温シール強度とも言う)の4分の1以下になる。熱間シール強度が低いことにより、電子レンジを用いて包装袋を加熱する際、例えば包装袋に設けられた蒸気抜け機構により、内部の蒸気が包装袋の外部に抜けやすくなる。このため、包装袋の内圧が過大になることを抑制することができ、これにより、加熱時に包装材料10、20にダメージが生じることを抑制することができる。シール強度は、JIS Z1707 7.5に準拠して測定され得る。測定器としては、例えばオリエンテック社製の恒温槽付き引張試験機 RTC-1310Aを用いることができる。
プロピレン・エチレンブロック共重合体は、例えば、ポリプロピレンからなる海成分と、エチレン・プロピレン共重合ゴム成分からなる島成分と、を含む。海成分は、プロピレン・エチレンブロック共重合体の耐ブロッキング性、耐熱性、剛性、シール強度などを高めることに寄与し得る。また、島成分は、プロピレン・エチレンブロック共重合体の耐衝撃性を高めることに寄与し得る。従って、海成分と島成分の比率を調整することにより、プロピレン・エチレンブロック共重合体を含むシーラント層の機械特性を調整することができる。
プロピレン・エチレンブロック共重合体において、ポリプロピレンからなる海成分の質量比率は、エチレン・プロピレン共重合ゴム成分からなる島成分の質量比率よりも高い。例えば、プロピレン・エチレンブロック共重合体において、ポリプロピレンからなる海成分の質量比率は、少なくとも51%以上であり、好ましくは60%以上であり、更に好ましくは70%以上である。
単層のシーラント層は、プロピレン・エチレンブロック共重合体を含む第1の熱可塑性樹脂に加えて、第2の熱可塑性樹脂を更に含んでいてもよい。第2の熱可塑性樹脂としては、エチレン-α-オレフィン共重合体、ポリエチレンなどを挙げることができる。エチレン-α-オレフィン共重合体は、例えば直鎖状低密度ポリエチレンである。ポリエチレンの例としては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンを挙げることができる。第2の熱可塑性樹脂は、シーラント層の耐衝撃性を高めることに寄与し得る。
低密度ポリエチレンとは、密度が0.910g/cm以上且つ0.925g/cm以下のポリエチレンである。中密度ポリエチレンは、密度が0.926g/cm以上且つ0.940g/cm以下のポリエチレンである。高密度ポリエチレンとは、密度が0.941g/cm以上且つ0.965g/cm以下のポリエチレンである。低密度ポリエチレンは、例えば、1000気圧以上且つ2000気圧未満の高圧でエチレンを重合することにより得られる。中密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレンは、例えば、1気圧以上且つ1000気圧未満の中圧又は低圧でエチレンを重合することにより得られる。
なお、中密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレンは、エチレンとα-オレフィンとの共重合体を部分的に含んでいてもよい。また、中圧又は低圧でエチレンを重合する場合であっても、エチレンとα-オレフィンとの共重合体を含む場合は、中密度又は低密度のポリエチレンが生成され得る。このようなポリエチレンが、上述の直鎖状低密度ポリエチレンと称される。直鎖状低密度ポリエチレンは、中圧又は低圧でエチレンを重合することにより得られる直鎖状ポリマーにα-オレフィンを共重合させて短鎖分岐を導入することによって得られる。α-オレフィンの例としては、1-ブテン(C)、1-ヘキセン(C)、4-メチルペンテン(C)、1-オクテン(C)などを挙げることができる。直鎖状低密度ポリエチレンの密度は、例えば0.915g/cm以上且つ0.945g/cm以下である。
シーラント層において、プロピレン・エチレンブロック共重合体からなる第1の熱可塑性樹脂の質量比率は、エチレン-α-オレフィン共重合体又はポリエチレンを少なくとも含む第2の熱可塑性樹脂の質量比率よりも高い。例えば、単層のシーラント層において、プロピレン・エチレンブロック共重合体からなる第1の熱可塑性樹脂の質量比率は、少なくとも51%以上であり、好ましくは60%以上であり、更に好ましくは70%以上である。
上述のように、第2の熱可塑性樹脂は、シーラント層の耐衝撃性を高めることに寄与し得る。従って、単層のシーラント層における、エチレン-α-オレフィン共重合体又はポリエチレンを少なくとも含む第2の熱可塑性樹脂の質量比率を調整することにより、シーラント層の機械特性を調整することができる。
また、シーラント層は、熱可塑性エラストマーを更に含んでいてもよい。熱可塑性エラストマーを用いることにより、シーラント層の耐衝撃性や耐突き刺し性を更に高めることができる。
熱可塑性エラストマーは、例えば水添スチレン系熱可塑性エラストマーである。水添スチレン系熱可塑性エラストマーは、少なくとも1個のビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックAと少なくとも1個の水素添加された共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBからなる構造を有する。また、熱可塑性エラストマーは、エチレン・α-オレフィンエラストマーであってもよい。エチレン・α-オレフィンエラストマーは、低結晶性もしくは非晶性の共重合体エラストマーであり、主成分としての50~90%のエチレンと共重合モノマーとしてのα-オレフィンとのランダム共重合体である。
プロピレン・エチレンブロック共重合体の製造方法としては、触媒を用いて原料であるプロピレンやエチレンなどを重合させる方法が挙げられる。触媒としては、チーグラー・ナッタ型やメタロセン触媒などを用いることができる。
シーラント層の厚みは、好ましくは30μm以上であり、より好ましくは40μm以上である。また、シーラント層の厚みは、好ましくは100μm以下であり、より好ましくは80μm以下である。
以下、プロピレン・エチレンブロック共重合体を含む単層のシーラント層の好ましい機械特性について説明する。
流れ方向(MD)におけるシーラント層の、25℃における引張伸度は、好ましくは600%以上且つ1300%以下である。また、流れ方向(MD)におけるシーラント層の引張伸度(%)とシーラント層の厚み(μm)の積は、好ましくは35000以上且つ80000以下である。また、垂直方向(TD)におけるシーラント層の、25℃における引張伸度は、好ましくは700%以上且つ1400%以下である。また、垂直方向(TD)におけるシーラント層の引張伸度(%)とシーラント層の厚み(μm)の積は、好ましくは40000以上且つ85000以下である。
流れ方向(MD)におけるシーラント層の、25℃における引張弾性率は、好ましくは400MPa以上且つ1100MPa以下である。また、流れ方向(MD)におけるシーラント層の引張弾性率(MPa)とシーラント層の厚み(μm)の積は、好ましくは30000以上且つ55000以下である。また、垂直方向(TD)におけるシーラント層の、25℃における引張弾性率は、好ましくは250MPa以上且つ900MPa以下である。また、垂直方向(TD)におけるシーラント層の引張弾性率(MPa)とシーラント層の厚み(μm)の積は、好ましくは20000以上且つ45000以上である。
引張弾性率及び引張伸度は、JIS K7127に準拠して測定され得る。測定器としては、オリエンテック社製の恒温槽付き引張試験機 RTC-1310Aを用いることができる。なお、後述する図6および図7に示す包装袋においては、第1方向D1が、シーラント層の流れ方向であり、第1方向D1と直交する第2方向D2が、シーラント層の垂直方向である。図示はしないが、第1方向D1が、シーラント層の垂直方向となり、第2方向D2が、シーラント層の流れ方向となるよう、包装袋が構成されていてもよい。
プロピレン・エチレンブロック共重合体を含む単層のシーラント層のタイプとしては、主に2つのタイプが考えられる。
第1は、後述するZK500のような、高い引張伸度を有し、耐衝撃性を備えるタイプである。第1のタイプのシーラント層は、好ましくは、熱間シール強度が低いという特性も更に備える。これにより、包装袋の加熱時に包装袋の内圧が過大になることを抑制することができ、包装材料10、20にダメージが生じることを抑制することができる。
第2は、後述するZK207のような、高い引張弾性率を有するタイプである。第2のタイプのシーラント層を用いることにより、第1方向D1に沿って消費者が包装袋を引き裂くことにより包装袋を開封する際の引き裂き性を高めることができる。
流れ方向(MD)における第1のタイプのシーラント層の引張伸度(%)とシーラント層の厚み(μm)の積は、好ましくは45000以上であり、より好ましくは50000以上であり、55000以上、又は60000以上であってもよい。また、垂直方向(TD)における第1のタイプのシーラント層の引張伸度(%)とシーラント層の厚み(μm)の積は、好ましくは53000以上であり、より好ましくは60000以上である。シーラント層が高い引張伸度を有することにより、落下時の衝撃などにより包装袋が破袋してしまうことを抑制することができる。
また、流れ方向(MD)における第1のタイプのシーラント層の引張弾性率(MPa)とシーラント層の厚み(μm)の積は、好ましくは38000以下であり、より好ましくは35000以下である。また、垂直方向(TD)における第1のタイプのシーラント層の引張弾性率(MPa)とシーラント層の厚み(μm)の積は、好ましくは30000以下であり、より好ましくは25000以下である。
流れ方向(MD)における第2のタイプのシーラント層の引張弾性率(MPa)とシーラント層の厚み(μm)の積は、好ましくは35000以上であり、より好ましくは38000以上であり、更に好ましくは45000以上である。また、垂直方向(TD)における第2のタイプのシーラント層の引張弾性率(MPa)とシーラント層の厚み(μm)の積は、好ましくは25000以上であり、より好ましくは30000以上であり、更に好ましくは35000以上であり、38000以上であってもよい。シーラント層が高い引張弾性率を有することにより、包装袋を開封する際の引き裂き性を高めることができる。
また、流れ方向(MD)における第2のタイプのシーラント層の引張伸度(%)とシーラント層の厚み(μm)の積は、好ましくは55000以下であり、より好ましくは50000以下である。また、垂直方向(TD)における第2のタイプのシーラント層の引張伸度(%)とシーラント層の厚み(μm)の積は、好ましくは60000以下であり、より好ましくは55000以下である。
(シーラント層の第2の構成)
第2の構成に係るシーラント層は、バイオマス由来の直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)と、低密度ポリエチレン(LDPE)とを含むものであり、化石燃料由来の直鎖状低密度ポリエチレンをさらに含んでもよい。また、低密度ポリエチレンは、バイオマス由来であってもよいし、化石燃料由来であってもよい。
低密度ポリエチレンは直鎖状低密度ポリエチレンに比べて軟化点が低く、シーラント層を低密度ポリエチレンのみで形成するとボイル耐性に劣る場合がある。一方、シーラント層が低密度ポリエチレンを全く含まない場合には、包装袋を製造した際に手切れ性に劣る場合がある。本発明においてはシーラント層がバイオマス由来の直鎖状低密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンの両方を含むことで、包装袋を製造した際に優れたボイル殺菌耐性および優れた手切れ性を両立することができる。なお、低密度ポリエチレンの軟化点は、通常、80~100℃であり、好ましくは85~95℃であり、直鎖状低密度ポリエチレンの軟化点は、通常、90~120℃であり、好ましくは105~115℃である。
シーラント層中の低密度ポリエチレンの含有量(バイオマス由来と化石燃料由来の2種含む場合、合計含有量)は、5%以上25%以下であり、好ましくは10%以上20%以下である。また、シーラント層中のバイオマス由来および/または化石燃料由来の直鎖状低密度ポリエチレンの含有量(2種含む場合、合計含有量)は、好ましくは75%以上95%以下であり、より好ましくは80%以上90%以下である。シーラント層中において低密度ポリエチレンと直鎖状低密度ポリエチレンを上記割合で混合することで、包装袋を製造した際に優れたボイル耐性および優れた手切れ性を両立することができる。
シーラント層は、好ましくは5%以上30%以下、より好ましくは10%以上25%以下、さらに好ましくは15%以上20%以下のバイオマス度を有するものである。バイオマス度が上記範囲であれば、コストを抑えながら、化石燃料の使用量を削減することができ、環境負荷を減らすことができる。
直鎖状低密度ポリエチレンは、低圧重合法(チーグラー・ナッタ触媒を用いた気相重合法またはメタロセン触媒を用いた液相重合法)によりエチレンおよび少量のα―オレフィンを重合して得られるものでる。また、低密度ポリエチレンは、高圧重合法によりエチレンを重合して得られるものでる。直鎖状低密度ポリエチレンは、分子鎖に短分子鎖を多く有し、シール性能に優れるものである。
直鎖状低密度ポリエチレンおよび低密度ポリエチレンは0.93g/cm3未満、好ましくは0.91g/cm3以上0.93g/cm3未満、より好ましくは0.912g/cm3以上0.928g/cm3以下、さらに好ましくは0.915g/cm3以上0.925g/cm3以下の密度を有するものである。なお、直鎖状低密度ポリエチレンのMFRは、低密度ポリエチレンのMFRよりも低くなることがある。直鎖状低密度ポリエチレンおよび低密度ポリエチレンの密度は、JIS K6760-1995に記載のアニーリングを行った後、JIS K7112-1980のうち、A法に規定された方法に従って測定される値である。直鎖状低密度ポリエチレンおよび低密度ポリエチレンの密度が0.91g/cm3以上あれば、直鎖状低密度ポリエチレンおよび低密度ポリエチレンを含むシーラント層の剛性を高めることができ、包装袋の内層として好適に用いることができる。また、直鎖状低密度ポリエチレンおよび低密度ポリエチレンの密度が0.93g/cm3未満であれば、シーラント層の機械的強度を高めることができ、包装袋の内層として好適に用いることができる。
直鎖状低密度ポリエチレンおよび低密度ポリエチレンは、0.1g/10分以上10g/10分以下、好ましくは0.2g/10分以上9g/10分以下、より好ましくは1g/10分以上8.5g/10分以下のメルトフローレート(MFR)を有するものである。なお、直鎖状低密度ポリエチレンのMFRは、低密度ポリエチレンのMFRよりも低くなることがある。メルトフローレートとは、JIS K7210-1995に規定された方法において、温度190℃、荷重21.18Nの条件で、A法により測定される値である。直鎖状低密度ポリエチレンおよび低密度ポリエチレンのMFRが0.1g/10分以上であれば、成形加工時の押出負荷を低減することができる。また、直鎖状低密度ポリエチレンおよび低密度ポリエチレンのMFRが10g/10分以下であれば、シーラント層の機械的強度を高めることができる。
本発明において、好適に使用されるバイオマスポリエチレンとしては、ブラスケム社製のバイオマス由来の直鎖状低密度ポリエチレン(商品名:SLL118、密度:0.916g/cm3、MFR:1.0g/10分、バイオマス度87%)、ブラスケム社製のバイオマス由来の直鎖状低密度ポリエチレン(商品名:SLL318、密度:0.918g/cm3、MFR:2.7g/10分、バイオマス度87%)、ブラスケム社製のバイオマス由来の直鎖状低密度ポリエチレン(商品名:SLH218、密度:0.916g/cm3、MFR:2.3g/10分、バイオマス度87%)、ブラスケム社製のバイオマス由来の低密度ポリエチレン(商品名:SBC818、密度:0.918g/cm3、MFR:8.1g/10分、バイオマス度95%)、ブラスケム社製のバイオマス由来の低密度ポリエチレン(商品名:SPB681、密度:0.922g/cm3、MFR:3.8g/10分、バイオマス度95%)、ブラスケム社製のバイオマス由来の低密度ポリエチレン(商品名:STN7006、密度:0.923g/cm3、MFR:0.6g/10分、バイオマス度95%)、等が挙げられる。
シーラント層全体の厚みは、好ましくは30μm以上120μm以下、より好ましくは50μm以上100μm以下である。シーラント層の厚さが上記範囲であれば、シール性能を発揮しながら、また、電子レンジで加熱した際にはシーラント層が容易に破壊され、包装袋から蒸気が十分に抜けることができる。
[印刷層]
印刷層は、装飾、内容物の表示、賞味期間の表示、製造者、販売者などの表示、その他などの表示や美感の付与のために、文字、数字、絵柄、図形、記号、模様などの所望の任意の印刷模様を形成する層である。印刷層は、着色剤と、ポリオールとイソシアネート化合物との硬化物とを含む。印刷層は、バイオマス由来成分を含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。バイオマス由来成分を含む材料により印刷層を形成する場合、印刷層は、主剤としてのポリオールと硬化剤としてのイソシアネート化合物の少なくともいずれかがバイオマス由来成分を含む硬化物を用いて形成することができる。また、バイオマス由来成分を含まない材料により印刷層を形成する場合、印刷層は、従来公知の化石燃料由来成分からなるポリオールと化石燃料由来成分からなるイソシアネート化合物とを用いて形成することができる。ポリオールとしては、多官能アルコールと多官能カルボン酸との反応物であるポリエステルポリオール、または、多官能アルコールと多官能イソシアネートとの反応物であるポリエーテルポリオールを用いることができる。
〔ポリエステルポリオール〕
ポリエステルポリオールがバイオマス由来成分を含む場合、多官能アルコールおよび多官能カルボン酸の少なくともいずれか一方がバイオマス由来成分を含む。バイオマス由来成分を含むポリエステルポリオールとして以下の例を挙げることができる。
・バイオマス由来の多官能アルコールとバイオマス由来の多官能カルボン酸との反応物
・化石燃料由来の多官能アルコールとバイオマス由来の多官能カルボン酸との反応物
・バイオマス由来の多官能アルコールと化石燃料由来の多官能カルボン酸との反応物
バイオマス由来の多官能アルコールとしては、トウモロコシ、サトウキビ、キャッサバ、およびサゴヤシ等の植物原料から得られる脂肪族多官能アルコールを用いることができる。バイオマス由来の脂肪族多官能アルコールとしては、例えば、下記のような方法によって植物原料から得られる、ポリプロピレングリコール(PPG)、ネオペンチルグリコール(NPG)、エチレングリコール(EG)、ジエチレングリコール(DEG)、ブチレングリコール(BG)、ヘキサメチレングリコール等があり、いずれも使用し得る。これらは、単独で用いても併用してもよい。
バイオマス由来のポリプロピレングリコールは、植物原料を分解してグルコースが得られる発酵法により、グリセロールから3-ヒドロキシプロピルアルデヒド(HPA)を経て製造される。上記発酵法のようなバイオ法で製造されたポリプロピレングリコールは、EO製造法のポリプロピレングリコールと比較し、安全性面から乳酸等の有用な副生成物が得られ、しかも製造コストも低く抑えることが可能であることも好ましい。
バイオマス由来のブチレングリコールは、植物原料からグリコールを製造し発酵することで得られたコハク酸を得て、これを水添することによって製造することができる。
バイオマス由来のエチレングリコールは、例えば、常法によって得られるバイオエタノールからエチレンを経て製造することができる。
化石燃料由来の多官能アルコールとしては、1分子中に2個以上、好ましくは2~8個の水酸基を有する化合物を用いることができる。具体的には、化石燃料由来の多官能アルコールとしては、特に限定されず従来公知の物を使用することができ、例えば、ポリプロピレングリコール(PPG)、ネオペンチルグリコール(NPG)、エチレングリコール(EG)、ジエチレングリコール(DEG)、ブチレングリコール(BG)、ヘキサメチレングリコールの他、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、トリメチロールプロパン、グリセリン、1,9-ノナンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオール等を使用することができる。これらは、単独でも2種以上を併用してもよい。
バイオマス由来の多官能カルボン酸としては、再生産可能な大豆油、亜麻仁油、桐油、ヤシ油、パーム油、ひまし油等の植物由来の油、及びそれらを主体とした廃食用油等をリサイクルした再生油等の植物原料から得られる脂肪族多官能カルボン酸を用いることができる。バイオマス由来の脂肪族多官能カルボン酸としては、例えば、セバシン酸、コハク酸、フタル酸、アジピン酸、グルタル酸、ダイマー酸等が挙げられる。例えば、セバシン酸は、ひまし油から得られるリシノール酸をアルカリ熱分解することにより、ヘプチルアルコールを副生成物として生成される。本発明では、特に、バイオマス由来のコハク酸又はバイオマス由来のセバシン酸を用いることが好ましい。これらは、単独でも2種以上を併用してもよい。
化石燃料由来の多官能カルボン酸としては、脂肪族多官能カルボン酸や芳香族多官能カルボン酸を用いることができる。化石燃料由来の脂肪族多官能カルボン酸としては、特に限定されず従来公知の物を使用することができ、例えば、アジピン酸、ドデカン二酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、セバシン酸、コハク酸、グルタル酸、およびダイマー酸、ならびにそれらのエステル化合物等が挙げられる。また、化石燃料由来の芳香族多官能カルボン酸としては、特に限定されず従来公知の物を使用することができ、例えば、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、無水フタル酸、トリメリット酸、およびピロメリット酸、ならびにそれらのエステル化合物等を用いることができる。これらは、単独でも2種以上を併用してもよい。
〔ポリエーテルポリオール〕
ポリエーテルポリオールがバイオマス由来成分を含む場合、多官能アルコールおよび多官能イソシアネートの少なくともいずれか一方がバイオマス由来成分を含む。バイオマス由来成分を含むポリエーテルポリオールとして以下の例を挙げることができる。
・バイオマス由来の多官能アルコールとバイオマス由来の多官能イソシアネートとの反応物
・化石燃料由来の多官能アルコールとバイオマス由来の多官能イソシアネートとの反応物
・バイオマス由来の多官能アルコールと化石燃料由来の多官能イソシアネートとの反応物
バイオマス由来の多官能アルコール及び化石燃料由来の多官能アルコールとしては、上述のポリエステルポリオールにおいて説明したバイオマス由来の多官能アルコール及び化石燃料由来の多官能アルコールを用いることができる。
バイオマス由来の多官能イソシアネートとしては、植物由来の二価カルボン酸を酸アミド化し、還元することで末端アミノ基に変換し、さらに、ホスゲンと反応させ、該アミノ基をイソシアネート基に変換することにより得られたものを用いることができる。バイオマス由来の多官能イソシアネートは、例えば、バイオマス由来のジイソシアネートである。バイオマス由来のジイソシアネートとしては、ダイマー酸ジイソシアネート(DDI)、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート等が挙げられる。また、植物由来のアミノ酸を原料として、そのアミノ基をイソシアネート基に変換することによっても植物由来のジイソシアネートを得ることができる。例えば、リシンジイソシアネート(LDI)は、リシンのカルボキシル基をメチルエステル化した後、アミノ基をイソシアネート基に変換することにより得られる。また、1,5-ペンタメチレンジイソシアネートはリシンのカルボキシル基を脱炭酸した後、アミノ基をイソシアネート基に変換することにより得られる。
1,5-ペンタメチレンジイソシアネートの他の合成方法としては、ホスゲン化法やカルバメート化法が挙げられる。より具体的には、ホスゲン化方法は、1,5-ペンタメチレンジアミンまたはその塩を直接ホスゲンと反応させる方法や、ペンタメチレンジアミンの塩酸塩を不活性溶媒中に懸濁させてホスゲンと反応させる方法により、1,5-ペンタメチレンジイソシアネートを合成するものである。また、カルバメート化法は、まず、1,5-ペンタメチレンジアミンまたはその塩をカルバメート化し、ペンタメチレンジカルバメート(PDC)を生成させた後、熱分解することにより、1,5-ペンタメチレンジイソシアネートを合成するものである。本発明において、好適に使用されるポリイソシアネートとしては、三井化学株式会社製の1,5-ペンタメチレンジイソシアネート系ポリイソシアネート(商品名:スタビオ(登録商標))が挙げられる。
化石燃料由来の多官能イソシアネートとしては、特に限定されず従来公知の物を使用することができ、例えば、トルエン-2,4-ジイソシアネート、4-メトキシ-1,3-フェニレンジイソシアネート、4-イソプロピル-1,3-フェニレンジイソシアネート、4-クロル-1,3-フェニレンジイソシアネート、4-ブトキシ-1,3-フェニレンジイソシアネート、2,4-ジイソシアネートジフェニルエーテル、4,4’-メチレンビス(フェニレンイソシアネート)(MDI)、ジュリレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、1,5-ナフタレンジイソシアネート、ベンジジンジイソシアネート、o-ニトロベンジジンジイソシアネート、4,4’-ジイソシアネートジベンジルなどの芳香族ジイソシアネート等が挙げられる。また、メチレンジイソシアネート、1,4-テトラメチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、1,10-デカメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;1,4-シクロヘキシレンジイソシアネート、4,4-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,5-テトラヒドロナフタレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添MDI、水添XDI等の脂環式ジイソシアネート等も挙げられる。これらは、単独でも2種以上を併用してもよい。
〔着色剤〕
着色剤としては、特に限定されず、従来公知の顔料や染料を用いることができる。
印刷層がバイオマス由来成分を含む場合、印刷層は、好ましくは5%以上、より好ましくは5%以上50%以下、さらに好ましくは10%以上50%以下のバイオマス度を有する。バイオマス度が上記範囲であれば、化石燃料の使用量を削減することができ、環境負荷を減らすことができる。
印刷層の乾燥後の重量は、好ましくは0.1g/m以上10g/m以下、より好ましくは1g/m以上5g/m以下、さらに好ましくは1g/m以上3g/m以下である。
印刷層は、好ましくは0.1μm以上10μm以下、より好ましくは1μm以上5μm以下、さらに好ましくは1μm以上3μm以下の厚さを有する。
[接着剤層]
接着剤層は、包装材料10、20を構成するいずれか2層、例えば、第1基材層と第2基材層とを接着する機能を果たす層である。接着剤層は、ポリオールとイソシアネート化合物との硬化物を含む。
接着剤層は、バイオマス由来成分を含んでいてもよい。バイオマス由来成分を含む接着剤層においては、ポリオールまたは前記イソシアネート化合物の少なくともいずれかがバイオマス由来成分を含む。
接着剤層において、バイオマス由来成分を含むイソシアネート化合物としては、上記の印刷層と同様のバイオマス由来成分を含むイソシアネート化合物を用いることができる。また、接着剤層において、バイオマス由来成分を含むポリオールとしては、上記の印刷層と同様のポリオールを用いることができる。印刷層と接着剤層の両方を、バイオマス由来成分を含む硬化物を用いて形成する場合、印刷層中の硬化物と接着剤層中の硬化物は、同様の組成でも良いし、異なる組成でも良い。
接着剤層は、好ましくは5%以上、より好ましくは5%以上50%以下、さらに好ましくは30%以上50%以下のバイオマス度を有する。バイオマス度が上記範囲であれば、化石燃料の使用量を削減することができ、環境負荷を減らすことができる。
接着剤層の乾燥後の重量は、好ましくは0.1g/m以上10g/m以下、より好ましくは1g/m以上6g/m以下、さらに好ましくは2g/m以上5g/m以下である。
接着剤層は、好ましくは0.1μm以上10μm以下、より好ましくは1μm以上6μm以下、さらに好ましくは2μm以上5μm以下の厚さを有する。
[他の層]
本発明による包装材料を構成する積層体は、他の層として、熱軟化性樹脂層等をさらに備えていてもよい。熱軟化性樹脂層は、室温以下の温度環境では所定の強度を有するが、高温の環境温度ではその強度が低下する性質を有するものである。熱可塑性樹脂としては、60~110℃、好ましくは60~90℃の融点を有する樹脂材料、例えば、エチレン-酢酸ビニル系共重合体樹脂、または、ポリアミド、硝化綿、およびポリエチレンワックスを含有する樹脂などを用いることができる。
<包装材料の製造方法>
本発明による包装材料の製造方法は特に限定されず、ドライラミネート法等の従来公知の方法を用いて製造することができる。
本発明による包装材料には、化学的機能、電気的機能、磁気的機能、力学的機能、摩擦/磨耗/潤滑機能、光学的機能、熱的機能、生体適合性等の表面機能等の付与を目的として、二次加工を施すことも可能である。二次加工の例としては、エンボス加工、塗装、接着、印刷、メタライジング(めっき等)、機械加工、表面処理(帯電防止処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、フォトクロミズム処理、物理蒸着、化学蒸着、コーティング、等)等が挙げられる。また、本発明による包装材料に、ラミネート加工(ドライラミネートや押し出しラミネート)、製袋加工、およびその他の後処理加工を施して、成型品を製造することもできる。
<包装袋>
本発明による包装袋は、上記包装材料を備えるものであり、レトルト殺菌用又はボイル殺菌用として好適に使用することができる。例えば、上記包装材料を使用し、これを二つ折にするか、又は該包装材料を2枚用意し、表側の包装材料のシーラント層の面と裏側の包装材料のシーラント層の面とを対向させて重ね合わせ、さらにその周辺端部を、例えば、側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型(ピローシール型)、ひだ付シール型、平底シール型、角底シール型等のヒートシール形態によりヒートシールして、種々の形態の包装袋を製造することができる。また、表側の包装材料と裏側の包装材料との間に、折り返された状態の包装材料を挿入した状態でヒートシールを行い、ガセット型の包装袋を製造することもできる。なお、包装袋を構成する包装材料の全てが、本発明による上記包装材料でなくてもよい。すなわち、包装袋を構成する包装材料の少なくとも一部分が、バイオマス由来のPETを含む基材層を有する包装材料であればよく、包装袋を構成する包装材料のその他の部分が、化石燃料由来のPETからなる基材層を含む包装材料であってもよい。
上記において、ヒートシールの方法としては、例えば、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等の公知の方法で行うことができる。
包装袋は、高いバイオマス度を示しながらも、優れた耐突き刺し性及びガスバリア性を有し、さらにはレトルト殺菌に耐える耐熱性を有することができる。このため、包装袋を、例えば、飲食品、果汁、ジュ-ス、飲料水、酒、調理食品、水産練り製品、冷凍食品、肉製品、煮物、餅、液体ス-プ、調味料等の各種の飲食料品、液体洗剤、化粧品、および化成品等の包装として好適に使用することができる。
本発明による包装袋について、図面を参照しながら説明する。
本発明による包装袋(スタンディングパウチ)の模式正面図の一例を図6に示す。図6に示した包装袋50においては、包装袋50の底部52を、上記包装材料からなる表面フィルム54及び裏面フィルム55の下部の間に底面フィルム56(表面フィルム及び裏面フィルムと同じてあっても異なっていてもよい)を内側に折り返し部561まで挿入してなるガセット部を有する形式で形成する。また、内側に折り込まれた底面フィルム56の両側下端近傍には、半円形の切り欠き部561を設ける。そして、ガセット部を、内側が両側から中央部にかけて湾曲線状に凹状となる船底形の底部シール部521でヒートシールして形成する。また、パウチの胴部は、表面フィルム54及び裏面フィルム55の両側の側部53を側部シール部531でヒートシールして形成する。また、包装袋50の上部51は、上部シール部511でヒートシールするが、この部分は内容物58の充填口に使用するため、内容物58の充填前は未シールの開口部とし、内容物58の充填後にヒートシールするものである。なお、上述の例では、表面フィルム54、裏面フィルム55及び底面フィルム56という3枚の包装材料を用いて包装袋50を構成する例について説明したが、包装袋50を構成する包装材料の枚数は特には限定されない。
さらに、包装袋50には、表面フィルム54及び裏面フィルム55を引き裂いてパウチ50を開封するための易開封性手段59が設けられていてもよい。例えば図6に示すように、易開封性手段59は、側部シール部531に形成された、引き裂きの起点となるノッチ591を含んでいてもよい。また、包装袋50を引き裂く際の経路となる部分には、易開封性手段59として、レーザー加工やカッターなどで形成されたハーフカット線が設けられていてもよい。
本発明による電子レンジ用包装袋の平面図の一例を図7は、に示す。図7に示す包装袋70は、上述した包装材料を用いて形成されるスタンディングパウチである。この包装袋70は、一対のサイドシール部71と、底部シール部72と、上部シール予定部73とを備え、一対のサイドシール部71のうち一方のサイドシール部71が未シール部74を介して上側部分と下側部分とに分離されている。未シール部74は、包装袋70の外縁から収容空間に向かって形成され、未シール部74と収容空間とを隔離し、且つ、サイドシール部71の上側部分と下側部分とに接続されるように突出シール部75が形成されている。未シール部74は、一方のサイドシール部71の内縁よりも収容空間側に張り出すように形成されている。この包装袋70においては、突出シール部75と、未シール部74とで蒸気抜け機構が構成されている。電子レンジ用包装袋70は、電子レンジによる加熱に際して、突出シール部75が剥離後退して未シール部74に到達すると、未シール部74から蒸気が抜け、包装袋70の内圧を低下させることができる。なお、未シール部74に孔や切り込みなどの貫通部が形成されていてもよい。
次に、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
[実施例1]
第1基材層として、上述の第1基材層の第1の構成で説明した、化石燃料由来のテレフタル酸とバイオマス由来のエチレングリコール(バイオマスポリエステル)を用いて製膜した、二軸延伸されたバイオマス由来のPETフィルム(バイオマス度:20%、厚さ12μm)を準備した。
<酸化アルミニウム蒸着膜>
次に、このPETフィルムの蒸着膜を設ける面に、プラズマ前処理装置を配置した前処理区画と成膜区画を隔離した連続蒸着膜成膜装置を用いて、前処理区画において下記プラズマ条件下でプラズマ供給ノズルからプラズマを導入し、搬送速度400m/minで特殊酸素プラズマ前処理を施し、連続搬送した成膜区画内で、プラズマ処理面上に下記条件において真空蒸着法の加熱手段として反応性抵抗加熱方式により、厚さ12nmの酸化アルミニウムの蒸着膜をPETフィルムに形成した。
(プラズマ前処理条件)
・プラズマ強度:150W・sec/m2
・プラズマ形成ガス:アルゴン1200(sccm)、酸素3000(sccm)
・磁気形成手段:1000ガウスの永久磁石
・前処理ドラム-プラズマ供給ノズル間印加電圧:340V
・前処理区画の真空度:3.8Pa
(酸化アルミニウム成膜条件)
・真空度:8.1×10-2Pa
・搬送速度:400m/min
・波長366nmの光線透過率:92%
<ガスバリア性塗布膜>
水385g、イソプロピルアルコール67g及び0.5N塩酸9.1gを混合し、pH2.2に調整した溶液にテトラエトキシシラン175gとグリシドキシプロピルトリメトキシシラン9.2gを10℃となるよう冷却しながら混合させて溶液Aを調製した。
また、ケン価度99%以上の重合度2400のポリビニルアルコール14.7g、水324g、イソプロピルアルコール17gを混合した溶液Bを調製した。
さらに、A液とB液を重量比6.5:3.5となるよう混合して得られた溶液をバリアコート剤とした。
次に、上記のバイオPETフィルムの酸化アルミニウムの蒸着膜上に、上記で調製したバリアコート剤をスピンコート法によりコーティングした。その後、180℃で60秒間、オーブンにて加熱処理して、厚さ約400nmのガスバリア性塗布膜を酸化アルミニウムの蒸着膜上に形成した。このようにして、蒸着層、ガスバリア性塗布膜及び印刷層がこの順で内面側に形成された蒸着PETフィルムを得た。この蒸着PETフィルムの層構成は、以下のように表現される。
バイオPET/蒸着層(プラズマ)/塗布膜
「/」は層と層の境界を表している。左端の層が、包装材料の外面を構成する層であり、右端の層が、包装材料の内面を構成する層である。
「バイオPET」は、バイオマス由来のPETフィルムを意味する。「蒸着層(プラズマ)」は、プラズマ前処理が施された蒸着層を意味する。
(評価項目の測定方法)
上記で作製したPETフィルムを測定用のサンプルとし、蒸着膜の遷移領域の変成率について、下記の方法を用いて測定した。
(遷移領域の変成率)
本発明において、蒸着膜の遷移領域の変成率は、包装材料の酸化アルミニウムの蒸着膜表面にCs(セシウム)イオン銃により一定の速度でソフトエッチングを繰り返しながら、飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF-SIMS)を用いて、酸化アルミウム蒸着膜由来のイオンと、第1基材層のプラスチック基材に由来するイオンを測定することにより図5に示すようなグラフ解析図を得た。ここで、グラフの縦軸の単位(intensity)は、測定されたイオンの強度、横軸の単位(cycle)は、エッチングの回数である。
上記TOF-SIMSに用いられる飛行時間型二次イオン質量分析計としてはION TOF社製、TOF.SIMS5を用い、下記測定条件で測定を行なった。
(TOFSIMS測定条件)
・一次イオン種類:Bi3++(0.2pA, 100μs)、測定面積:150×150μm2
・Et銃種類:Cs(1keV、60nA), Et面積:600×600μm2、Etレート:3sec/Cycle
なお、測定対象となる酸化アルミニウム由来のイオンを測定するためにイオン銃としては、通常、複数ある酸化アルミニウム由来のイオンの中から他の成分由来のイオンとの切り分けが必要であり、且つ十分な強度を有するものを選択する必要があること及び、特に元素結合Al2O4Hの濃度分布に近似換算できる深さ分布を得る目的から、本発明においては、Csイオンを選択することとした。
Csを用いて、酸化アルミウムの蒸着膜の最表面からエッチングを行い、酸化アルミウムの蒸着膜と第1基材層との界面の元素結合及び蒸着膜の元素結合の分析を実施し、測定された元素および元素結合について、図5に示すような、それぞれの実測グラフを得た。グラフにおいて元素C6の強度が半分になる位置を、第1基材層のPETフィルムと酸化アルミニウムとの界面として、表面から界面までを酸化アルミニウムの蒸着膜とした。
次に、測定された元素結合Al2O4Hを表すグラフにおけるピークを求め、そのピークから界面までを遷移領域として求めた。
以上の操作を行い、酸化アルミニウムの蒸着膜の遷移領域の変成率を(元素結合Al2O4Hのピークから界面までの遷移領域/酸化アルミニウム蒸着膜)×100(%)として求めた。この測定結果を表1に示す。
[比較例1]
第1基材層として、化石燃料由来のテレフタル酸と化石燃料由来のエチレングリコールを用いて製膜した、二軸延伸された化石燃料由来のPETフィルム(バイオマス度:0%、東洋紡製、E5100、厚さ12μm)を用いたこと以外は、実施例1の場合と同様にして、PETフィルムを作製した。PETフィルムの層構成は、以下のように表現される。
化石PET/蒸着層(プラズマ)/塗布膜
「化石PET」は、化石燃料由来のPETフィルムを意味する。
次に、実施例1の場合と同様にして、蒸着膜の遷移領域の変成率について測定した。測定結果を表1に示す。
[比較例2]
プラズマ前処理を行わなかったこと以外は、比較例1の場合と同様にして、包装材料を作製した。包装材料の層構成は、以下のように表現される。
化石PET/蒸着層/塗布膜
「蒸着層」は、プラズマ前処理が施されなかった蒸着層を意味する。
次に、実施例1の場合と同様にして、蒸着膜の遷移領域の変成率について測定した。
実施例1乃至比較例2のPETフィルムの層構成をまとめて図8に示す。
また、上述した評価項目の測定結果を表1に示す。表1に示されているように、実施例1における積層フィルムの酸化アルミニウム蒸着膜の遷移領域の変成率は35%となり、遷移領域の変成率が39の比較例1、および遷移領域の変成率が47の比較例2よりも低くなっていた。このような酸化アルミニウムの遷移領域の変成率を制御した蒸着PETフィルムを有する包装材料により、優れたレトルト耐性を示すもの包装袋が得られることは、後述する実施例2乃至比較例5Bによって説明する。
Figure 0007449035000004
[実施例2]
第1基材層として、上述の第1基材層の第1の構成で説明した、化石燃料由来のテレフタル酸とバイオマス由来のエチレングリコール(バイオマスポリエステル)を用いて製膜した、二軸延伸されたバイオマス由来のPETフィルム(バイオマス度:20%、厚さ12μm)を準備した。続いて、バイオマス由来のPETフィルムのうち包装袋を構成する際に内面側に位置する面に、実施例1の場合と同様にして、酸化アルミニウムの蒸着膜およびガスバリア性塗布膜を形成した。続いて、ガスバリア性塗布膜の上に、グラビア印刷により印刷層を形成した。このようにして、蒸着層、ガスバリア性塗布膜及び印刷層がこの順で内面側に形成された蒸着PETフィルムを得た。
また、第2基材層として、上述の第2基材層の第1の構成で説明した、二軸延伸ナイロンフィルム(厚さ15μm)を準備した。また、シーラント層として、上述のシーラント層の第1の構成で説明した、無延伸ポリプロピレンフィルム(東レフィルム加工製、ZK-99S、厚さ70μm)を準備した。
続いて、PETフィルム、二軸延伸ナイロンフィルム、無延伸ポリプロピレンフィルムをこの順で、ドライラミネート法により積層して、図1に示す包装材料10を作製した。この包装材料10の層構成は、以下のように表現される。
バイオPET/蒸着層(プラズマ)/塗布膜/印/接/ONy/接/CPP
「印」は、印刷層を意味する。「接」は、接着剤を含む接着剤層を意味する。「ONy」は、ナイロンフィルムを意味する。「CPP」は、無延伸ポリプロピレンフィルムを意味する。
PETフィルムと二軸延伸ナイロンフィルムとの間の接着剤層は、2液硬化型接着剤(ロックペイント(株)製、主剤:RU-40、硬化剤:H-4)を含む。二軸延伸ナイロンフィルムと無延伸ポリプロピレンフィルムとの間の接着剤層は、2液硬化型接着剤(ロックペイント(株)製、主剤:RU-40、硬化剤:H-4)を含む。
(評価項目の測定方法)
上記で作製した包装材料を測定用のサンプルとし、酸素透過度、水蒸気透過度、及び密着強度について、下記の方法を用いて測定した。
(酸素透過度)
酸素透過度測定装置(モダンコントロール(MOCON)社製〔機種名:オクストラン(OX-TRAN)2/21〕)を用いて、上記で作製した包装材料を、酸素供給側がシーラント層側となるように上記装置にセットし、23℃、100%RH雰囲気下の測定条件で、酸素透過度をJIS K 7126 B法に準拠して測定した。
測定サンプルとして、
1)レトルト処理前の包装材料
2)ハイレトルト処理条件:包装材料から包装袋を作製し、包装袋に対して135℃、40分間のレトルト処理をした後に、包装袋のから切り取られた包装材料
3)セミレトルト処理条件:包装材料から包装袋を作製し、包装袋に対して121℃、40分間のレトルト処理をした後に、包装袋のから切り取られた包装材料を用いた。
(水蒸気透過度)
水蒸気透過度測定装置(モコン(MOCON)社製の測定機〔機種名、パーマトラン(PERMATRAN)3/33〕)を用いて、上記で作製した包装材料を、センサー側がシーラント層側となるように上記装置にセットし、37.8℃、100%RH雰囲気下の測定条件で、JIS K 7126 B法に準拠し、測定した。
測定サンプルとして、
1)レトルト処理前の包装材料
2)ハイレトルト処理条件:包装材料から包装袋を作製し、包装袋に対して135℃、40分間のレトルト処理をした後に、包装袋のから切り取られた包装材料
3)セミレトルト処理条件:包装材料から包装袋を作製し、包装袋に対して121℃、40分間のレトルト処理をした後に、包装袋のから切り取られた包装材料を用いた。
(第1基材層と酸化アルミニウムの蒸着膜との間の密着強度)
<密着強度の測定(1);ハイレトルト・セミレトルト処理前の密着強度>
上記包装材料を48時間エージング処理した後、15mm巾の短冊状にカットしたサンプルについて、引張試験機(株式会社オリエンテック社製[機種名:テンシロン万能材料試験機])を用いてJIS K6854-2に準拠し、シーラント層と酸化アルミウムの蒸着膜との強度を測定した。
測定は、測定のために事前に剥離したシーラント層と、第1基材層、酸化アルミニウムの蒸着膜およびガスバリア性塗布膜と、をそれぞれ測定器のつかみ具で把持し、シーラント層と、第1基材層、酸化アルミニウムの蒸着膜およびガスバリア性塗布膜とがまだ積層されている部分の面方向に対して直交する方向において互いに逆向きに(180°剥離:T字剥離法)、50mm/minの速度で引っ張り、安定領域における引張応力の平均値を測定した。
剥離は包装材料において密着強度が最も弱い、第1基材層と酸化アルミニウムの蒸着膜との間で生じており、上記の測定値を、第1基材層と酸化アルミニウムの蒸着膜との密着強度とした。
<密着強度の測定(2);ハイレトルト処理後の密着強度>
上記包装材料を用いてB5サイズに作製した四方パウチに水100mLを注入し、135℃、40分間で熱水式レトルト処理を行った。該レトルト処理後、中身の水を抜いた四方パウチから15mm巾の短冊状にカットしたサンプルを作製した。このサンプルを用いて密着強度の測定(1)と同様にして、密着強度を測定した。
[実施例3]
第2基材層を設けなかったこと、およびシーラント層として、下記のように作製されるポリエチレンフィルムを使用したこと、以外は、実施例2の場合と同様にして、包装材料を作製した。
この際、まず、化石燃料由来の直鎖状低密度ポリエチレン(密度:0.918g/cm、MFR:3.8g/10分、バイオマス度:0%)60質量部と、化石燃料由来の低密度ポリエチレン(密度:0.924g/cm、MFR:2.0g/10分、バイオマス度:0%)20質量部と、バイオマス由来の直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE、ブラスケム社製、商品名:SLL118、密度:0.916g/cm、MFR:1.0g/10分、バイオマス度87%)20質量部とを溶融混練して、樹脂組成物を得た。次いで、得られた樹脂組成物を、上吹き空冷インフレーション共押出製膜機により成膜して、シーラント層用のポリエチレンフィルム(厚さ30μm、バイオマス度:16%)を得た。
続いて、PETフィルム、ポリエチレンフィルムを、ドライラミネート法により積層して、包装材料を作製した。この包装材料の層構成は、以下のように表現される。
バイオPET/蒸着層(プラズマ)/塗布膜/印/接/PE
「PE」は、ポリエチレンフィルムを意味する。
次に、包装材料を測定用のサンプルとし、酸素透過度、水蒸気透過度、及び密着強度について測定した。
また、酸素透過度を測定する際に、測定サンプルとして、
1)レトルト処理前の包装材料
3)セミレトルト処理条件:包装材料から包装袋を作製し、包装袋に対して121℃、40分間のレトルト処理をした後に、包装袋のから切り取られた包装材料を用いたこと以外は、実施例2の場合と同様にして、酸素透過度を測定した。
また、水蒸気透過度を測定する際に、測定サンプルとして、
1)レトルト処理前の包装材料
3)セミレトルト処理条件:包装材料から包装袋を作製し、包装袋に対して121℃、40分間のレトルト処理をした後に、包装袋のから切り取られた包装材料を用いたこと以外は、実施例2の場合と同様にして、水蒸気透過度を測定した。
さらに、密着強度を測定する際に、ハイレトルト処理後の密着強度の代わりに、セミレトルト処理後の密着強度を測定したこと、以外は、実施例2の場合と同様にして、第1基材層と酸化アルミニウムの蒸着膜との間の密着強度を測定した。この場合、セミレトルト処理後の密着強度測定において、上記包装材料を用いてB5サイズに作製した四方パウチに水100mLを注入し、121℃、40分間で熱水式レトルト処理を行った。該レトルト処理後、中身の水を抜いた四方パウチから15mm巾の短冊状にカットしたサンプルを作製した。このサンプルを用いて密着強度の測定(1)と同様にして、密着強度を測定した。
[比較例3]
第1基材層として、化石燃料由来のテレフタル酸と化石燃料由来のエチレングリコールを用いて製膜した、二軸延伸された化石燃料由来のPETフィルム(バイオマス度:0%、東洋紡製、E5100、厚さ12μm)を用いたこと以外は、実施例1の場合と同様にして、包装材料を作製した。この包装材料の層構成は、以下のように表現される。
化石PET/蒸着層(プラズマ)/塗布膜/印/接/ONy/接/CPP
次に、実施例2の場合と同様にして、酸素透過度、水蒸気透過度、及び密着強度について測定した。
[比較例4]
プラズマ前処理を行わなかったこと以外は、比較例3の場合と同様にして、包装材料を作製した。この包装材料の層構成は、以下のように表現される。
化石PET/蒸着層/塗布膜/印/接/ONy/接/CPP
「蒸着層」は、プラズマ前処理が施されなかった蒸着層を意味する。
次に、実施例2の場合と同様にして、酸素透過度、水蒸気透過度、及び密着強度について測定した。
[比較例5A]
第1基材層として、化石燃料由来のテレフタル酸と化石燃料由来のエチレングリコールを用いて製膜した、二軸延伸された化石燃料由来のPETフィルム(バイオマス度:0%、東洋紡製、E5100、厚さ12μm)を用いたこと以外は、実施例3の場合と同様にして、包装材料を作製した。この包装材料の層構成は、以下のように表現される。
化石PET/蒸着層(プラズマ)/塗布膜/印/接/PE
次に、包装材料を測定用のサンプルとし、酸素透過度、水蒸気透過度、及び密着強度について測定した。
また、酸素透過度を測定する際に、測定サンプルとして、
3)セミレトルト処理条件:包装材料から包装袋を作製し、包装袋に対して121℃、40分間のレトルト処理をした後に、包装袋のから切り取られた包装材料のみを用いたこと以外は、実施例2の場合と同様にして、酸素透過度を測定した。
また、水蒸気透過度を測定する際に、測定サンプルとして、
3)セミレトルト処理条件:包装材料から包装袋を作製し、包装袋に対して121℃、40分間のレトルト処理をした後に、包装袋のから切り取られた包装材料のみを用いたこと以外は、実施例2の場合と同様にして、水蒸気透過度を測定した。
さらに、密着強度を測定する際に、セミレトルト処理後の密着強度のみを測定したこと、以外は、実施例2の場合と同様にして、第1基材層と酸化アルミニウムの蒸着膜との間の密着強度を測定した。
[比較例5B]
プラズマ前処理を行わなかったこと以外は、比較例5Aの場合と同様にして、包装材料を作製した。この包装材料の層構成は、以下のように表現される。
化石PET/蒸着層/塗布膜/印/接/PE
次に、包装材料を測定用のサンプルとし、比較例5Aの場合と同様にして、酸素透過度、水蒸気透過度、及び密着強度について測定した。
実施例2乃至比較例5Bの包装材料の層構成をまとめて図9に示す。
また、上述した評価項目の測定結果を表2乃至表4に示す。表2乃至表4に示すとおり、遷移領域の変成率が47%と高い比較例2の蒸着PETを使用した比較例4では、レトルト前処理の酸素透過度は実施例とほぼ同じであっても、ハイレトルト処理後では0.6cc/m2・24hrと高い値となり劣化を示し、また水蒸気透過度についても、1.5g/m2・24hr以上と2倍以上の高い値を示し、レトルト処理によるバリア性能の劣化が起きている。これに対して、遷移領域の変成率が45%以下の比較例1の蒸着PETを使用した比較例3では、いずれのレトルト処理後でも、一定の水準の酸素透過度を維持できており、水蒸気透過度は、ハイレトルト処理、セミレトルト処理後、0.6g/m2・24hr以下とレトルト処理によるバリア性能の劣化が抑えられ、また酸素透過度についてはいずれのレトルト処理後でも、一定の水準を維持できている。
また、遷移領域の変成率が47%と高い比較例2の蒸着PETを使用した比較例4では、レトルト処理前の剥離強度が、遷移領域の変成率が45%以下の比較例1の蒸着PETを使用した比較例3とほぼ同じであっても、ハイレトルト処理、セミレトルト処理後、剥離強度が1N/15mm以下の低い値となり、急激な剥離強度の劣化が見られる。また、比較例2の蒸着PETを使用した比較例5Bでは、セミレトルト処理後、剥離強度が1N/15mm以下の低い値となる。これとは対照的に、酸化アルミニウム蒸着膜の遷移領域の変成率が45%以下となる比較例1の蒸着PETを使用した比較例3の結果に示すように、比較例3では剥離強度が2.1N/15mm以上と十分に密着強度が維持され、レトルト処理による密着強度の大幅な低下が見られず、劣化が抑えられている。また、比較例1の蒸着PETを使用した比較例5Aの結果に示すように、比較例5Aでは、レトルト処理後の剥離強度が2.1N/15mm以上と十分に密着強度が維持されている。
また、実施例2乃至実施例3の測定結果と、比較例3の測定結果とを参照すると、環境負荷を低減することができるバイオマス由来品においても化石燃料由来品と同様に優れた酸素透過度、水蒸気透過率および剥離強度を維持できることがわかる。このように、本発明の酸化アルミニウムの遷移領域の変成率を制御した積層フィルムでは、環境負荷を低減することができるバイオマス由来品においても優れたレトルト耐性を示すものが得られる。
Figure 0007449035000005
Figure 0007449035000006
Figure 0007449035000007
[実施例4]
実施例2で得られた包装材料のシーラント層同士をヒートシールして、図7に示すスタンディングパウチを作製した。この場合の包装材料の層構成は、以下のように表現される。
バイオPET/蒸着層(プラズマ)/塗布膜/印/接/ONy/接/CPP
<電子レンジ試験>
上記で得られたスタンディングパウチに水100gを入れた後、シールして密封した。密封したスタンディングパウチを、電子レンジを用いて500Wで3分間加熱し、蒸気抜けおよび内容物への影響を評価した。
(評価基準)
○:蒸気抜け機構を介して蒸気抜けした。
×:蒸気抜け機構を介さずに蒸気抜けした。
[実施例5]
シーラント層として、実施例3で使用したポリエチレンフィルムを用いたこと以外は、実施例4と同様にして、得られた包装材料のシーラント層同士をヒートシールして、図7に示すスタンディングパウチを作製した。この場合の包装材料の層構成は、以下のように表現される。
バイオPET/蒸着層(プラズマ)/塗布膜/印/接/ONy/接/PE
次に、実施例4と同様にして、電子レンジ試験を行った。
[実施例6]
実施例3で得られた包装材料を用いたこと以外は、実施例4と同様にして、得られた包装材料のシーラント層同士をヒートシールして、図7に示すスタンディングパウチを作製した。この場合の包装材料の層構成は、以下のように表現される。
バイオPET/蒸着層(プラズマ)/塗布膜/印/接/PE
次に、実施例4と同様にして、電子レンジ試験を行った。
[実施例7]
第1基材層として、上述の第1基材層の第2の構成で説明した、二軸延伸ナイロンフィルム(厚さ15μm)を用いたこと、第2基材層として、上述した第2基材層の第2の構成で説明した、化石燃料由来のテレフタル酸とバイオマス由来のエチレングリコール(バイオマスポリエステル)を用いて製膜した、二軸延伸されたバイオマス由来のPETフィルム(バイオマス度:20%、厚さ12μm)を用いたこと、第2基材層として用いられたPETフィルムのうち包装袋を構成する際に内面側に位置する面に、酸化アルミニウムの蒸着膜およびガスバリア性塗布膜を形成したこと以外は、実施例4と同様にして、得られた包装材料のシーラント層同士をヒートシールして、図7に示すスタンディングパウチを作製した。この場合の包装材料の層構成は、以下のように表現される。
ONy/印/接/バイオPET/蒸着層(プラズマ)/塗布膜/接/CPP
次に、実施例4と同様にして、電子レンジ試験を行った。
[実施例8]
PETフィルムのうち包装袋を構成する際に外面側に位置する面に、酸化アルミニウムの蒸着膜およびガスバリア性塗布膜を形成したこと以外は、実施例7と同様にして、得られた包装材料のシーラント層同士をヒートシールして、図7に示すスタンディングパウチを作製した。この場合の包装材料の層構成は、以下のように表現される。
ONy/印/接/塗布膜/蒸着層(プラズマ)/バイオPET/接/CPP
次に、実施例4と同様にして、電子レンジ試験を行った。
[比較例6A]
第1基材層として、化石燃料由来のテレフタル酸と化石燃料由来のエチレングリコールを用いて製膜した、二軸延伸された化石燃料由来のPETフィルム(バイオマス度:0%、東洋紡製、E5100、厚さ12μm)を用いたこと以外は、実施例4と同様にして、得られた包装材料のシーラント層同士をヒートシールして、図7に示すスタンディングパウチを作製した。この場合の包装材料の層構成は、以下のように表現される。
化石PET/蒸着層(プラズマ)/塗布膜/印/接/ONy/接/CPP
次に、実施例4と同様にして、電子レンジ試験を行った。
[比較例6B]
プラズマ前処理を行わなかったこと以外は、比較例6Aと同様にして、得られた包装材料のシーラント層同士をヒートシールして、図7に示すスタンディングパウチを作製した。この場合の包装材料の層構成は、以下のように表現される。
化石PET/蒸着層/塗布膜/印/接/ONy/接/CPP
次に、実施例4と同様にして、電子レンジ試験を行った。
[比較例7A]
第1基材層として、化石燃料由来のテレフタル酸と化石燃料由来のエチレングリコールを用いて製膜した、二軸延伸された化石燃料由来のPETフィルム(バイオマス度:0%、東洋紡製、E5100、厚さ12μm)を用いたこと以外は、実施例5と同様にして、得られた包装材料のシーラント層同士をヒートシールして、図7に示すスタンディングパウチを作製した。この場合の包装材料の層構成は、以下のように表現される。
化石PET/蒸着層(プラズマ)/塗布膜/印/接/ONy/接/PE
次に、実施例4と同様にして、電子レンジ試験を行った。
[比較例7B]
プラズマ前処理を行わなかったこと以外は、比較例7Aと同様にして、得られた包装材料のシーラント層同士をヒートシールして、図7に示すスタンディングパウチを作製した。この場合の包装材料の層構成は、以下のように表現される。
化石PET/蒸着層/塗布膜/印/接/ONy/接/PE
次に、実施例4と同様にして、電子レンジ試験を行った。
[比較例8A]
第1基材層として、化石燃料由来のテレフタル酸と化石燃料由来のエチレングリコールを用いて製膜した、二軸延伸された化石燃料由来のPETフィルム(バイオマス度:0%、東洋紡製、E5100、厚さ12μm)を用いたこと以外は、実施例6と同様にして、得られた包装材料のシーラント層同士をヒートシールして、図7に示すスタンディングパウチを作製した。この場合の包装材料の層構成は、以下のように表現される。
化石PET/蒸着層(プラズマ)/塗布膜/印/接/PE
次に、実施例4と同様にして、電子レンジ試験を行った。
[比較例8B]
プラズマ前処理を行わなかったこと以外は、比較例8Aと同様にして、得られた包装材料のシーラント層同士をヒートシールして、図7に示すスタンディングパウチを作製した。この場合の包装材料の層構成は、以下のように表現される。
化石PET/蒸着層/塗布膜/印/接/PE
次に、実施例4と同様にして、電子レンジ試験を行った。
[比較例9A]
第1基材層として、化石燃料由来のテレフタル酸と化石燃料由来のエチレングリコールを用いて製膜した、二軸延伸された化石燃料由来のPETフィルム(バイオマス度:0%、東洋紡製、E5100、厚さ12μm)を用いたこと以外は、実施例7と同様にして、得られた包装材料のシーラント層同士をヒートシールして、図7に示すスタンディングパウチを作製した。この場合の包装材料の層構成は、以下のように表現される。
ONy/印/接/化石PET/蒸着層(プラズマ)/塗布膜/接/CPP
次に、実施例4と同様にして、電子レンジ試験を行った。
[比較例9B]
プラズマ前処理を行わなかったこと以外は、比較例9Bと同様にして、得られた包装材料のシーラント層同士をヒートシールして、図7に示すスタンディングパウチを作製した。この場合の包装材料の層構成は、以下のように表現される。
ONy/印/接/化石PET/蒸着層/塗布膜/接/CPP
次に、実施例4と同様にして、電子レンジ試験を行った。
[比較例10A]
第1基材層として、化石燃料由来のテレフタル酸と化石燃料由来のエチレングリコールを用いて製膜した、二軸延伸された化石燃料由来のPETフィルム(バイオマス度:0%、東洋紡製、E5100、厚さ12μm)を用いたこと以外は、実施例8と同様にして、得られた包装材料のシーラント層同士をヒートシールして、図7に示すスタンディングパウチを作製した。この場合の包装材料の層構成は、以下のように表現される。
ONy/印/接/塗布膜/蒸着層(プラズマ)/化石PET/接/CPP
次に、実施例4と同様にして、電子レンジ試験を行った。
[比較例10B]
プラズマ前処理を行わなかったこと以外は、比較例10Aと同様にして、得られた包装材料のシーラント層同士をヒートシールして、図7に示すスタンディングパウチを作製した。この場合の包装材料の層構成は、以下のように表現される。
ONy/印/接/塗布膜/蒸着層/化石PET/接/CPP
次に、実施例4と同様にして、電子レンジ試験を行った。
実施例4乃至比較例10Bの包装材料の層構成をまとめて図10に示す。
また、上述した評価項目の測定結果を表5に示す。表5に示す通り、環境負荷を低減することができるバイオマス由来品においても化石燃料由来品と同様に蒸気抜けが良好であった。
Figure 0007449035000008
10 包装材料
11 第1基材層
12 蒸着層
13 ガスバリア性塗布膜
14 第2基材層
15 シーラント層
20 包装材料
21 基材層
22 蒸着層
23 ガスバリア性塗布膜
24 シーラント層
50、70 包装袋

Claims (6)

  1. 少なくとも、基材層と、前記基材層に設けられた蒸着層と、前記蒸着層に設けられたガスバリア性塗布膜と、シーラント層とを備える包装材料であって、
    前記基材層は、バイオマス由来のエチレングリコールをジオール単位とし、化石燃料由来のテレフタル酸をジカルボン酸単位とするポリエチレンテレフタレートを含み、
    前記蒸着層は、酸化アルミニウムの蒸着膜であり、
    前記シーラント層は単層のフィルムであり、
    前記シーラント層は、第1の熱可塑性樹脂と、第2の熱可塑性樹脂と、を含み、
    前記第1の熱可塑性樹脂は、プロピレン・エチレンブロック共重合体からなり、
    前記第2の熱可塑性樹脂は、エチレン-α-オレフィン共重合体またはポリエチレンであり、
    前記シーラント層において、前記第1の熱可塑性樹脂の質量比率は60%以上であり、
    前記蒸着層に、前記基材層と、前記酸化アルミニウムの蒸着膜である前記蒸着層との密着強度を規定する該蒸着膜の遷移領域が形成されており、
    該遷移領域は、エッチングを繰り返し行いながら、各表面に対して飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF-SIMS)を用いることで検出される水酸化アルミニウムに変成する元素結合Al2O4Hを含み、
    TOF-SIMSを用いて規定される前記酸化アルミニウムの蒸着膜に対する、TOF-SIMSを用いて規定される該変成される遷移領域の割合により定義される遷移領域の変成率が35%以上45%以下である、包装材料。
  2. 前記基材層は、第1基材層と、第2基材層と、を有し、
    前記蒸着層は、前記第1基材層に設けられ、
    前記第1基材層が、バイオマス由来のエチレングリコールをジオール単位とし、化石燃料由来のテレフタル酸をジカルボン酸単位とするポリエチレンテレフタレートを含み、
    前記第2基材層が、ポリアミドを含む、請求項1に記載の包装材料。
  3. 前記基材層は、第1基材層と、第2基材層と、を有し、
    前記蒸着層は、前記第2基材層に設けられ、
    前記第1基材層が、ポリアミドを含み、
    前記第2基材層が、バイオマス由来のエチレングリコールをジオール単位とし、化石燃料由来のテレフタル酸をジカルボン酸単位とするポリエチレンテレフタレートを含む、請求項1に記載の包装材料。
  4. 流れ方向における前記シーラント層の引張伸度(%)と前記シーラント層の厚み(μm)の積が、45000以上であり、
    垂直方向における前記シーラント層の引張伸度(%)と前記シーラント層の厚み(μm)の積が、53000以上である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の包装材料。
  5. 流れ方向における前記シーラント層の引張弾性率(MPa)と前記シーラント層の厚み(μm)の積が、35000以上であり、
    垂直方向における前記シーラント層の引張弾性率(MPa)と前記シーラント層の厚み(μm)の積が、25000以上である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の包装材料。
  6. 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の包装材料を備える、包装袋。
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