JP2021053807A - 包装材料及び包装材料を備える包装製品 - Google Patents

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Abstract

【課題】強度に優れ、白濁が生じにくい包装材料を提供する。【解決手段】包装材料は、外面側から内面側へ順に、基材及びシーラント層を備える。基材は、ポリエステルを主成分として含む二軸延伸プラスチックフィルムを1つのみ有する。一方向における包装材料のヤング率が3600MPa以上である。【選択図】図2A

Description

本発明は、包装材料及び包装材料を備える包装製品に関する。
従来、飲食品、医薬品、化学品、化粧品、衛生用品、日用品その他等の種々の物品を充填包装する包装製品を構成するための包装材料として、種々の包装材料が開発され、提案されている。包装材料は、基材としてプラスチックフィルムを含む。例えば特許文献1は、包装材料の基材が、包装材料の外面に位置するナイロンを含む例を開示している。
特開平10−218204号公報
ナイロンは、高い強度を有する一方で、水分を吸収し易いという特性を有する。このため、包装材料の外面がナイロンによって構成されている場合、ナイロンが周囲雰囲気の水分などを吸収することによって包装製品の外面の摩擦係数が増加してしまう。この結果、包装製品の外面に生じる摩擦力が大きくなり包装製品の製造工程の一部に支障が生じることが考えられる。
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、強度に優れ、摩擦力の増加が生じにくい包装材料を提供することを目的とする。
本発明は、外面側から内面側へ順に、基材及びシーラント層を備える包装材料であって、
前記基材は、ポリエステルを主成分として含む二軸延伸プラスチックフィルムを1つのみ有し、
一方向における前記包装材料のヤング率が3600MPa以上である、包装材料である。
本発明による包装材料の突き刺し強度が12.0N以上であってもよい。
本発明による包装材料において、前記一方向及び前記一方向に直交する方向における前記包装材料のヤング率が3600MPa以上であってもよい。
本発明による包装材料において、前記二軸延伸プラスチックフィルムの厚みが14μm以上30μm以下であってもよい。
本発明による包装材料において、前記二軸延伸プラスチックフィルムは、90質量%以上のポリエチレンテレフタレートを含んでいてもよい。
本発明による包装材料において、前記シーラント層は、ポリプロピレンを主成分として含んでいてもよい。
本発明による包装材料において、前記シーラント層は、100℃以上の融点を有するポリエチレンを含んでいてもよい。
本発明による包装材料において、前記包装材料の厚みは100μm以下であってもよい。
本発明による包装材料において、前記シーラント層は、ポリエチレンを含み、
前記包装材料の厚みは60μm以上且つ200μm以下であってもよい。
本発明による包装材料において、前記シーラント層は、ポリエチレン又はポリプロピレンを主成分とする第1層と、第1層よりも内面側に位置し、ポリエチレンとポリプロピレンの混合樹脂を含む第2層と、を有していてもよい。
本発明は、上記記載の包装材料を備える包装製品である。
本発明によれば、強度に優れ、摩擦力の増加が生じにくい包装材料を提供することができる。
本発明の実施の形態における袋を示す正面図である。 袋を構成する包装材料の層構成の一例を示す断面図である。 袋を構成する包装材料の層構成の一例を示す断面図である。 ループスティフネス測定器の一例を示す平面図である。 図3のループスティフネス測定器の線IV-IVに沿った断面図である。 ループスティフネス測定器で用いられる試験片を準備する方法の一例を示す図である。 ループスティフネス測定器に試験片を取り付ける工程を説明するための図である。 試験片にループ部を形成する工程を説明するための図である。 試験片のループ部に荷重を加える工程を説明するための図である。 試験片のループ部に荷重を加える工程を説明するための図である。 シーラント層の層構成の一例を示す図である。 二軸延伸プラスチックフィルムの面上に成膜された透明蒸着層を、飛行時間型二次イオン質量分析計により分析した結果の一例を示す図である。 袋の一変形例を示す正面図である。 袋の一変形例を示す正面図である。 袋の一変形例を示す正面図である。 袋の一変形例を示す正面図である。 包装材料を含む包装製品の一例を示す縦断面図である。 包装材料を含む包装製品の一例を示す平面図である。 包装材料を含む包装製品の一例を示す斜視図である。 図17Aの包装製品のバックインボックスの層構成の一例を示す断面図である。 突き刺し強度の測定方法の一例を示す図である。 実施例の評価結果を示す図である。 比較例の評価結果を示す図である。
図1乃至図11を参照して、本発明の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから適宜変更し誇張してある。
また、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
図1は、本実施の形態による袋10を示す正面図である。袋10は、内容物を収容する収容部17を備える。なお、図1においては、内容物が収容される前の状態の袋10が示されている。以下、袋10の構成について説明する。

本実施の形態において、袋10は、袋10の表側のフィルムと裏側のフィルムとを接合することによって作製される、いわゆる平パウチである。袋10は、上部11、下部12及び一対の側部13を含み、正面図において略矩形状の輪郭を有する。なお、「上部」、「下部」及び「側部」などの名称、並びに、「上方」、「下方」などの用語は、内容物を充填するための開口部が上部に位置する状態を基準として袋10やその構成要素の位置や方向を相対的に表したものに過ぎない。袋10の輸送時や使用時の姿勢などは、本明細書における名称や用語によっては限定されない。
本実施の形態においては、袋10の幅方向を、第1方向D1とも称する。上述の一対の側部13は、第1方向D1において対向している。また、第1方向D1に直交する方向を、第2方向D2とも称する。本実施の形態の袋10においては、第1方向D1に沿って消費者が袋10を引き裂くことにより袋10を開封する、という使用形態が想定されている。
図1に示すように、袋10は、表面を構成する表面フィルム14、及び、裏面を構成する裏面フィルム15を備える。
なお、上述の「表面フィルム」及び「裏面フィルム」という用語は、位置関係に応じて各フィルムを区画したものに過ぎず、袋10を製造する際のフィルムの提供方法が、上述の用語によって限定されることはない。例えば、袋10は、表面フィルム14と裏面フィルム15とが連設された1枚のフィルムを用いて製造されてもよく、1枚の表面フィルム14と1枚の裏面フィルム15の計2枚のフィルムを用いて製造されてもよい。
表面フィルム14及び裏面フィルム15は、内面同士がシール部によって接合されている。図1などの袋10の正面図においては、シール部にハッチングが施されている。
図1に示すように、シール部は、袋10の外縁に沿って延びる外縁シール部を有する。外縁シール部は、下部12に沿って延びる下部シール部12a、及び、一対の側部13に沿って延びる一対の側部シール部13aを含む。なお、内容物が収容される前の状態の袋10においては、図1に示すように、袋10の上部11は開口部11bになっている。袋10に内容物を収容した後、表面フィルム14の内面と裏面フィルム15の内面とを上部11において接合することにより、上部シール部が形成されて袋10が封止される。
下部シール部12a、側部シール部13a及び上部シール部は、表面フィルム14の内面と裏面フィルム15の内面とを接合することによって構成されるシール部である。
対向するフィルム同士を接合して袋10を封止することができる限りにおいて、シール部を形成するための方法が特に限られることはない。例えば、加熱などによってフィルムの内面を溶融させ、内面同士を溶着させることによって、すなわちヒートシールによって、シール部を形成してもよい。若しくは、接着剤などを用いて対向するフィルムの内面同士を接着することによって、シール部を形成してもよい。
易開封性手段
表面フィルム14及び裏面フィルム15には、表面フィルム14及び裏面フィルム15を第1方向D1に沿って引き裂いて袋10を開封するための易開封性手段25が設けられていてもよい。例えば図1に示すように、易開封性手段25は、袋10の側部シール部13aに形成された、引き裂きの起点となるノッチ26を含んでいてもよい。また、袋10を引き裂く際の経路となる部分には、易開封性手段25として、レーザー加工やカッターなどで形成されたハーフカット線が設けられていてもよい。
また、図示はしないが、易開封性手段25は、表面フィルム14及び裏面フィルム15のうちシール部が形成されている領域に形成された切り込みや傷痕群を含んでいてもよい。傷痕群は例えば、表面フィルム14及び/又は裏面フィルム15を貫通するように形成された複数の貫通孔を含んでいてもよい。若しくは、傷痕群は、表面フィルム14及び/又は裏面フィルム15を貫通しないように表面フィルム14及び/又は裏面フィルム15の外面に形成された複数の孔を含んでいてもよい。
表面フィルム及び裏面フィルムの層構成
次に、表面フィルム14及び裏面フィルム15の層構成について説明する。図2Aは、表面フィルム14及び裏面フィルム15を構成する包装材料30の層構成の一例を示す断面図である。
図2Aに示すように、包装材料30は、基材35、接着剤層45及びシーラント層70をこの順で備える。基材35は、二軸延伸プラスチックフィルム40を1つのみ有する。基材35は、外面30y側に位置しており、シーラント層70は、外面30yの反対側の内面30x側に位置している。内面30xは、収容部17側に位置する面である。
二軸延伸プラスチックフィルム40などの、包装材料30を構成するフィルム、並びに包装材料30は、流れ方向及び垂直方向を有する。シーラント層70がシーラントフィルムによって構成されている場合、シーラント層70も流れ方向及び垂直方向を有する。流れ方向とは、フィルムを成形する際にフィルムが流れる方向であり、いわゆるMD(Machine Direction)である。垂直方向とは、流れ方向に直交する方向であり、いわゆるTD(Transverse Direction)である。図1に示す袋10においては、上部11及び下部12が延びる方向が流れ方向であり、側部13が延びる方向が垂直方向である。
本実施の形態の包装材料30は、優れた突き刺し強度を有するよう構成されている。これにより、先端が尖った鋭利な部材が袋10に接触した場合に袋10が破けてしまうことを抑制することができる。すなわち、包装材料30から構成される袋10などの包装製品が耐突き刺し性を有することができる。
以下、包装材料30の各層についてそれぞれ詳細に説明する。
(二軸延伸プラスチックフィルム)
二軸延伸プラスチックフィルム40は、所定の二方向において延伸された二軸延伸フィルムである。二軸延伸プラスチックフィルムとは、プラスチックフィルムの機械強度を向上させるために、意図的に延伸加工が施されたプラスチックフィルムである。二軸延伸プラスチックフィルム40の延伸方向は特には限定されない。例えば、二軸延伸プラスチックフィルム40は、側部13が延びる方向及び側部13が延びる方向に直交する方向において延伸されていてもよい。また、各二軸延伸プラスチックフィルム40の延伸方向は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。各二軸延伸プラスチックフィルム40の延伸倍率は、例えば1.05倍以上である。
本実施の形態においては、二軸延伸プラスチックフィルム40として、少なくとも1つの方向において0.0017N以上のループスティフネスを有し、且つポリエステルを主成分として含む二軸延伸プラスチックフィルムを用いることを提案する。以下の説明において、少なくとも1つの方向において0.0017N以上のループスティフネスを有し、且つポリエステルを主成分として含む二軸延伸プラスチックフィルムのことを、高スティフネスポリエステルフィルムとも称する。高スティフネスポリエステルフィルムは、例えば流れ方向(MD)又は垂直方向(TD)の少なくとも一方において0.0017N以上のループスティフネスを有する。高スティフネスポリエステルフィルムは、例えば流れ方向(MD)及び垂直方向(TD)の両方において0.0017N以上のループスティフネスを有していてもよい。包装材料30が高スティフネスポリエステルフィルムを含むことにより、包装材料30が優れた突き刺し強度を有することができる。なお、本願において、「主成分」とは、51質量%を占める成分のことである。高スティフネスポリエステルフィルムは、ポリアミドを含んでいない。
ポリエステルとしては、テレフタル酸、イソフタル酸および2,6−ナフタレンジカルボン酸から選ばれる少なくとも1種の芳香族ジカルボン酸と、エチレグリコール、1,3−プロパンジオールおよび1,4−ブタンジオールから選ばれる少なくとも1種の脂肪族アルコールとからなる芳香族ポリエステルを主体とするポリエステルが好ましい。例えば、ポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETとも記す)、ポリブチレンテレフタレート(以下、PBTとも記す)などである。高スティフネスポリエステルフィルムの例としては、51質量%以上のPETを主成分として含む高スティフネスPETフィルム、51質量%以上のPBTを主成分として含む高スティフネスPBTフィルムなどを挙げることができる。高スティフネスポリエステルフィルムの厚みは、好ましくは5μm以上であり、より好ましくは7μm以上である。また、高スティフネスポリエステルフィルムの厚みは、好ましくは25μm以下であり、より好ましくは20μm以下である。
ループスティフネスとは、二軸延伸プラスチックフィルムなどのフィルムのこしの強さを表すパラメータである。以下、図3〜図9を参照して、ループスティフネスの測定方法を説明する。なお、以下に説明する測定方法は、二軸延伸プラスチックフィルムなどの単層のフィルムだけでなく、蒸着フィルム、積層フィルムなどの、複数の層をフィルムに関しても使用可能である。蒸着フィルムとは、二軸延伸プラスチックフィルムなどの単層のフィルムと、単層のフィルム上に形成されている蒸着層と、を含むフィルムである。積層フィルムとは、包装材料30のような、積層された複数のフィルムを含むフィルムである。
図3は、試験片80及びループスティフネス測定器85を示す平面図であり、図4は、図3の試験片80及びループスティフネス測定器85の線IV-IVに沿った断面図である。試験片80は、長辺及び短辺を有する矩形状のフィルムである。本願においては、試験片80の長辺の長さL1を150mmとし、短辺の長さL2を15mmとした。ループスティフネス測定器85としては、例えば、東洋精機社製のNo.581ループステフネステスタ(登録商標)LOOP STIFFNESS TESTER DA型を用いることができる。なお、試験片80の長辺の長さL1は、後述する一対のチャック部86によって試験片80を把持することができる限りにおいて、調整可能である。
ループスティフネス測定器85は、試験片80の長辺方向の一対の端部を把持するための一対のチャック部86と、チャック部86を支持する支持部材87と、を有する。チャック部86は、第1チャック861及び第2チャック862を含む。図3及び図4に示す状態において、試験片80は、一対の第1チャック861の上に配置されており、第2チャック862は、第1チャック861との間で試験片80を未だ把持していない。後述するように、測定時、試験片80は、チャック部86の第1チャック861と第2チャック862との間に把持される。第2チャック862は、ヒンジ機構を介して第1チャック861に連結されていてもよい。
二軸延伸プラスチックフィルム、蒸着フィルム、積層フィルムなどの測定対象のフィルムを、フィルムが包装製品に加工される前の状態で入手可能な場合、試験片80は、測定対象のフィルムを切断することによって作製されてもよい。また、試験片80は、袋などの、包装材料30から作製された包装製品を切断することによって作製されてもよい。図5は、袋10の表面フィルム14又は裏面フィルム15を切断することによって試験片80を準備する方法の一例を示す図である。流れ方向における包装材料30のループスティフネスを測定する場合、図5において符号80Aで示すように、試験片の長辺方向が流れ方向に一致するよう、袋10の表面フィルム14又は裏面フィルム15を切断して試験片を作製する。垂直方向における包装材料30のループスティフネスを測定する場合、図5において符号80Bで示すように、試験片の長辺方向が垂直方向に一致するよう、袋10の表面フィルム14又は裏面フィルム15を切断して試験片を作製する。
ループスティフネス測定器85を用いて試験片80のループスティフネスを測定する方法について説明する。まず、図3及び図4に示すように、間隔L3を空けて配置されている一対のチャック部86の第1チャック861上に試験片80を載置する。本願においては、後述するループ部81の長さ(以下、ループ長とも称する)が60mmになるよう、間隔L3を設定した。試験片80は、第1チャック861側に位置する内面80xと、内面80xの反対側に位置する外面80yと、を含む。試験片80が包装材料30からなる場合、試験片80の内面80x及び外面80yは、包装材料30の内面30x及び外面30yに一致する。後述するループ部81を試験片80に形成する際、内面80xがループ部81の内側に位置し、外面80yがループ部81の外側に位置する。続いて、図6に示すように、第1チャック861との間で試験片80の長辺方向の端部を把持するよう、第2チャック862を試験片80の上に配置する。
続いて、図7に示すように、一対のチャック部86の間の間隔が縮まる方向において、一対のチャック部86の少なくとも一方を支持部材87上でスライドさせる。これにより、試験片80にループ部81を形成することができる。図7に示す試験片80は、ループ部81と、一対の中間部82及び一対の固定部83とを有する。一対の固定部83は、試験片80のうち一対のチャック部86によって把持されている部分である。一対の中間部82は、試験片80のうちループ部81と一対の中間部82との間に位置している部分である。図7に示すように、チャック部86は、一対の中間部82の内面80x同士が接触するまで支持部材87上でスライドされる。これにより、60mmのループ長を有するループ部81を形成することができる。ループ部81のループ長は、一方の第2チャック862のループ部81側の面と試験片80とが交わる位置P1と、他方の第2チャック862のループ部81側の面と試験片80とが交わる位置P2との間における、試験片80の長さである。上述の間隔L3は、試験片80の厚みを無視する場合、ループ部81の長さに2×tを加えた値になる。tは、チャック部86の第2チャック862の厚みである。
その後、図8に示すように、チャック部86に対するループ部81の突出方向Yが水平方向になるよう、チャック部86の姿勢を調整する。例えば、支持部材87の法線方向が水平方向を向くように支持部材87を動かすことにより、支持部材87によって支持されているチャック部86の姿勢を調整する。図8に示す例において、ループ部81の突出方向Yは、チャック部の厚み方向に一致している。また、ループ部81の突出方向Yにおいて第2チャック862から距離Z1だけ離れた位置にロードセル88を準備する。本願においては、距離Z1を50mmとした。続いて、ロードセル88を、試験片80のループ部81に向けて、図8に示す距離Z2だけ速度Vで移動させる。距離Z2は、図8及び図9に示すように、ロードセル88がループ部81に接触し、その後、ロードセル88がループ部81をチャック部86側に押し込むよう、設定される。本願においては、距離Z2を40mmとした。この場合、ロードセル88がループ部81をチャック部86側に押し込んでいる状態におけるロードセル88とチャック部86の第2チャック862との間の距離Z3は、10mmになる。ロードセル88を移動させる速度Vは、3.3mm/秒とした。
続いて、図9に示す、ロードセル88をチャック部86側に距離Z2だけ移動させ、ロードセル88が試験片80のループ部81を押し込んでいる状態において、ループ部81からロードセル88に加えられている荷重の値が安定した後、荷重の値を記録する。このようにして得られた荷重の値を、試験片80を構成するフィルムのループスティフネスとして採用する。本願において、特に断らない限り、ループスティフネスの測定時の環境は、温度23℃、相対湿度50%である。
少なくとも1つの方向において0.0017N以上のループスティフネスを有する高スティフネスフィルムを二軸延伸プラスチックフィルム40として用いることにより、二軸延伸プラスチックフィルム40の突き刺し強度を高めることができる。これにより、二軸延伸プラスチックフィルム40を備える包装材料30の突き刺し強度を例えば12.0N以上にすることができ、より好ましくは13.0N以上にすることができ、さらに好ましくは14.0N以上にすることができる。
高スティフネスフィルムの例としては、51質量%以上のPETを含む高スティフネスPETフィルムを挙げることができる。高スティフネスPETフィルムにおけるPETの含有率は、80質量%以上であってもよく、90質量%以上であってもよく、95質量%以上であってもよい。高スティフネスフィルムの厚みは、好ましくは5μm以上であり、より好ましくは7μm以上である。高スティフネスフィルムの厚みは、10μm以上であってもよく、14μm以上であってもよい。また、高スティフネスフィルムの厚みは、好ましくは30μm以下であり、25μm以下であってもよく、20μm以下であってもよい。
高スティフネスポリエステルフィルムの好ましい機械特性について更に説明する。
高スティフネスポリエステルフィルムの突き刺し強度は、好ましくは10N以上であり、より好ましくは11N以上である。
少なくとも1つの方向における高スティフネスポリエステルフィルムの引張強度は、好ましくは250MPa以上であり、より好ましくは280MPa以上である。例えば、流れ方向における高スティフネスポリエステルフィルムの引張強度は、好ましくは250MPa以上であり、より好ましくは280MPa以上である。また、垂直方向における高スティフネスポリエステルフィルムの引張強度は、好ましくは250MPa以上であり、より好ましくは280MPa以上である。
少なくとも1つの方向における高スティフネスポリエステルフィルムの引張伸度は、好ましくは130%以下であり、より好ましくは120%以下である。例えば、流れ方向における高スティフネスポリエステルフィルムの引張伸度は、好ましくは130%以下であり、より好ましくは120%以下である。また、垂直方向における高スティフネスポリエステルフィルムの引張伸度は、好ましくは120%以下であり、より好ましくは110%以下である。
好ましくは、少なくとも1つの方向において、高スティフネスポリエステルフィルムの引張強度を引張伸度で割った値が2.0〔MPa/%〕以上である。例えば、垂直方向(TD)における高スティフネスポリエステルフィルムの引張強度を引張伸度で割った値は、好ましくは2.0〔MPa/%〕以上であり、より好ましくは2.2〔MPa/%〕以上である。流れ方向(MD)における高スティフネスポリエステルフィルムの引張強度を引張伸度で割った値は、好ましくは1.8〔MPa/%〕以上であり、より好ましくは2.0〔MPa/%〕以上である。
引張強度及び引張伸度は、JIS K7127に準拠して測定され得る。測定器としては、オリエンテック社製の引張試験機 STA−1150を用いることができる。試験片としては、高スティフネスポリエステルフィルムを幅15mm、長さ150mmの矩形状のフィルムに切り出したものを用いることができる。試験片を保持する一対のチャックの間の、測定開始時の間隔は100mmであり、引張速度は300mm/分である。なお、試験片の長さは、一対のチャックによって試験片を把持することができる限りにおいて、調整可能である。本願において、特に断らない限り、引張強度及び引張伸度の測定時の環境は、温度23℃、相対湿度50%である。
なお、包装材料30の引張強度及び引張伸度は、測定器としてオリエンテック社製の引張試験機 RTC−1310Aを用いること、及び、試験片を保持する一対のチャックの間の、測定開始時の間隔が50mmであること以外は、高スティフネスポリエステルフィルムの場合と同様に測定される。包装材料30の引張強度及び引張伸度を測定する場合、図5に示すループスティフネスの測定の場合と同様に、試験片の長辺方向が流れ方向又は垂直方向に一致するよう袋10の表面フィルム14又は裏面フィルム15を切断することにより、試験片を作製することができる。
少なくとも1つの方向における高スティフネスポリエステルフィルムの熱収縮率は、0.7%以下であることが好ましく、0.5%以下であることがより好ましい。例えば、流れ方向における高スティフネスポリエステルフィルムの熱収縮率は、0.7%以下であることが好ましく、0.5%以下であることがより好ましい。垂直方向における高スティフネスポリエステルフィルムの熱収縮率は、0.7%以下であることが好ましく、0.5%以下であることがより好ましい。熱収縮率を測定する際の加熱温度は100℃であり、加熱時間は40分である。
少なくとも1つの方向における高スティフネスポリエステルフィルムのヤング率は、好ましくは4.0GPa以上であり、より好ましくは4.5MPa以上である。例えば、流れ方向における高スティフネスポリエステルフィルムのヤング率は、好ましくは4.0GPa以上であり、より好ましくは4.5MPa以上である。垂直方向における高スティフネスポリエステルフィルムのヤング率は、好ましくは4.0GPa以上であり、より好ましくは4.5GPa以上である。
ヤング率は、引張強度及び引張伸度と同様に、JIS K7127に準拠して測定され得る。測定器としては、オリエンテック社製の引張試験機 STA−1150を用いることができる。試験片としては、高スティフネスポリエステルフィルムを幅15mm、長さ150mmの矩形状のフィルムに切り出したものを用いることができる。試験片を保持する一対のチャックの間の、測定開始時の間隔は100mmであり、引張速度は300mm/分である。なお、試験片の長さは、一対のチャックによって試験片を把持することができる限りにおいて、調整可能である。本願において、特に断らない限り、ヤング率の測定時の環境は、温度23℃、相対湿度50%である。
なお、包装材料30のヤング率は、測定器としてオリエンテック社製の引張試験機 RTC−1310Aを用いること、試験片を保持する一対のチャックの間の、測定開始時の間隔が50mmであること以外は、高スティフネスポリエステルフィルムの場合と同様に測定される。包装材料30のヤング率を測定する場合、図5に示すループスティフネスの測定の場合と同様に、試験片の長辺方向が流れ方向又は垂直方向に一致するよう袋10の表面フィルム14又は裏面フィルム15を切断することにより、試験片を作製することができる。
高スティフネスポリエステルフィルムの製造工程においては、例えば、まず、ポリエステルを溶融及び成形することによって得られたプラスチックフィルムを、流れ方向及び垂直方向において、それぞれ90℃〜145℃で3倍〜4.5倍に延伸する第1延伸工程を実施する。続いて、プラスチックフィルムを、流れ方向及び垂直方向において、それぞれ100℃〜145℃で1.1倍〜3.0倍に延伸する第2延伸工程を実施する。その後、190℃〜220℃の温度で熱固定を行う。続いて、流れ方向及び垂直方向において、100℃〜190℃の温度で0.2%〜2.5%程度の弛緩処理(フィルム幅を縮める処理)を実施する。これらの工程において、延伸倍率、延伸温度、熱固定温度、弛緩処理率を調整することにより、上述の機械特性を備える高スティフネスポリエステルフィルムを得ることができる。
本実施の形態によれば、包装材料30が高スティフネスポリエステルフィルムを含むことにより、包装材料30、及び包装材料30から構成される袋10などの包装製品に、優れた突き刺し強度を付与することができる。これにより、例えば、先端が尖った鋭利な部材が袋10に接触した場合に袋10が破けてしまうことなどを抑制することができる。包装材料30の突き刺し強度は、12.0N以上であることが好ましく、13.0N以上であることが好ましく、14.0N以上であることがより好ましい。突き刺し強度の測定方法については、後述する実施例において説明する。
また、本実施の形態によれば、包装材料30が高スティフネスポリエステルフィルムを含むことにより、包装材料30のヤング率を高めることができる。一方向における包装材料30のヤング率は、例えば3600MPa以上であり、3700MPa以上であってもよく、3800MPa以上であってもよく、3900MPa以上であってもよく、4000MPa以上であってもよく、4100MPa以上であってもよい。例えば、流れ方向(MD)における包装材料30のヤング率は、例えば3600MPa以上であり、3700MPa以上であってもよく、3800MPa以上であってもよく、3900MPa以上であってもよい。また、流れ方向(MD)に直交する方向である垂直方向(TD)における包装材料30のヤング率は、例えば3600MPa以上であり、3700MPa以上であってもよく、3800MPa以上であってもよく、3900MPa以上であってもよく、4000MPa以上であってもよく、4100MPa以上であってもよい。包装材料30のヤング率が高いことにより、包装材料30が伸びにくくなる。このため、袋10などの包装製品の製造工程などにおいて包装材料30を加工する際の加工精度が高くなる。また、包装材料30を用いて、後述する、自立可能に構成されたガセット式の袋10を作製する場合、袋10の自立性が高くなる。垂直方向(TD)における包装材料30のヤング率は、流れ方向(MD)における包装材料30のヤング率よりも高くてもよい。
(接着剤層)
接着剤層45は、基材35及びシーラント層70に接しており、基材35とシーラント層70とをドライラミネート法により接着するための接着剤を含む。接着剤層45を構成する接着剤は、主剤及び溶剤を含む第1組成物と、硬化剤及び溶剤を含む第2組成物とを混合して作製した接着剤組成物から生成される。具体的には、接着剤は、接着剤組成物中の主剤と溶剤とが反応して生成された硬化物を含む。
接着剤の例としては、ポリウレタンなどを挙げることができる。ポリウレタンは、主剤としてのポリオールと、硬化剤としてのイソシアネート化合物とが反応することにより生成される硬化物である。ポリウレタンの例としては、ポリエーテルポリウレタン、ポリエステルポリウレタンなどを挙げることができる。ポリエーテルポリウレタンは、主剤としてのポリエーテルポリオールと、硬化剤としてのイソシアネート化合物とが反応することにより生成される硬化物である。ポリエステルポリウレタンは、主剤としてのポリエステルポリオールと、硬化剤としてのイソシアネート化合物とが反応することにより生成される硬化物である。
イソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)などの芳香族系イソシアネート化合物、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)などの脂肪族系イソシアネート化合物、あるいは、上記各種イソシアネート化合物の付加体または多量体を用いることができる。
接着剤層45を構成する材料は、好ましくは、二軸延伸プラスチックフィルム40及びシーラント層70を構成する材料よりも高い熱伝導率を有する。例えば、接着剤層45を構成する材料の熱伝導率は、好ましくは1.0W/m・K以上であり、より好ましくは3.0W/m・K以上である。なお、ポリウレタンの熱伝導率は、3.0W/m・K〜5.0W/m・Kの範囲内であり、例えば5.0W/m・Kである。接着剤層45を構成する材料の熱伝導率が高いことにより、包装材料30を用いて作製された袋10が加熱される際、収容部17で生じた熱が包装材料30の内面30x側から外面30y側へ伝達される間に熱を包装材料30の面方向に拡散させ易くなる。これにより、包装材料30の放熱性を高めることができるので、包装材料30の温度上昇を抑制することができる。このことにより、袋10が加熱される際に包装材料30が熱によりダメージを受けることを抑制することができる。すなわち、包装材料30の耐熱性を高めることができる。
接着剤層45の厚みは、好ましくは2μm以上であり、より好ましくは3μm以上である。また、接着剤層45の厚みは、好ましくは6μm以下であり、より好ましくは5μm以下である。接着剤層45の厚みを3μm以上にすることにより、包装材料30の面方向における熱の拡散がより生じ易くなる。
ところで、接着剤の硬化剤を構成するイソシアネート化合物としては、上述のように、芳香族系イソシアネート化合物及び脂肪族系イソシアネート化合物が存在する。このうち芳香族系イソシアネート化合物は、加熱殺菌などの高温環境下において、食品用途で使用できない成分が溶出する。このような課題を考慮し、好ましくは、接着剤層45を構成する接着剤として、主剤としてのポリオールと、硬化剤としての脂肪族系イソシアネート化合物とが反応することにより生成される硬化物を用いる。これにより、接着剤層45に起因する、食品用途で使用できない成分が、内容物に付着することを防止することができる。
(シーラント層)
次に、シーラント層70について説明する。シーラント層70を構成する材料としては、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンなどのポリエチレン、ポリプロピレンから選択される1種または2種以上の樹脂を用いることができる。シーラント層70は、単層であってもよく、多層であってもよい。また、シーラント層70は、未延伸のシーラントフィルムから構成されていてもよい。なお「未延伸」とは、全く延伸されていないフィルムだけでなく、製膜の際に加えられる張力に起因してわずかに延伸されているフィルムも含む概念である。
シーラント層70を構成するシーラントフィルムは、例えば、搬送するために必要な程度の延伸加工は施されているが、意図的な延伸加工は施されていないプラスチックフィルムである。シーラントフィルムの好ましい機械特性について更に説明する。
少なくとも1つの方向におけるシーラントフィルムのヤング率は、好ましくは1000MPa以下である。例えば、流れ方向及び垂直方向におけるシーラントフィルムのヤング率は、好ましくは1000MPa以下である。
少なくとも1つの方向におけるシーラントフィルムの引張伸度は、好ましくは300%以上である。例えば、流れ方向及び垂直方向におけるシーラントフィルムの引張伸度は、好ましくは300%以上である。
シーラントフィルムのヤング率及び引張伸度は、高スティフネスポリエステルフィルムの場合と同様に、JIS K7127に準拠して測定され得る。測定器としては、オリエンテック社製の引張試験機 STA−1150を用いることができる。試験片としては、該フィルムを幅15mm、長さ150mmの矩形状のフィルムに切り出したものを用いることができる。試験片を保持する一対のチャックの間の、測定開始時の間隔は100mmであり、引張速度は300mm/分である。
包装材料30から構成された袋10には、ボイル処理やレトルト処理などの殺菌処理が高温で施されることがある。シーラント層70は、好ましくは、これらの高温での処理に耐える耐熱性を有する。なお、レトルト処理とは、内容物を袋10に充填して袋10を密封した後、蒸気又は加熱温水を利用して袋10を加圧状態で加熱する処理である。レトルト処理の温度は、例えば120℃以上である。ボイル処理とは、内容物を袋10に充填して袋10を密封した後、袋10を大気圧下で湯煎する処理である。ボイル処理の温度は、例えば90℃以上且つ100℃以下である。
シーラント層70を構成する材料の融点は、150℃以上であることが好ましく、160℃以上であることがより好ましい。シーラント層70の融点を高くすることにより、袋10のレトルト処理を高温で実施することが可能になり、このため、レトルト処理に要する時間を短くすることができる。なお、シーラント層70を構成する材料の融点は、二軸延伸プラスチックフィルム40を構成する樹脂の融点より低い。
レトルト処理の観点で考える場合、シーラント層70を構成する材料として、プロピレンを主成分とする材料を用いることができる。ここで、プロピレンを「主成分とする」材料とは、プロピレンの含有率が90質量%以上である材料を意味する。プロピレンを主成分とする材料としては、具体的には、プロピレン・エチレンブロック共重合体、プロピレン・エチレンランダム共重合体、ホモポリプロピレンなどのポリプロピレン、又はポリプロピレンとポリエチレンとを混合したものなどを挙げることができる。ここで、「プロピレン・エチレンブロック共重合体」とは、下記の式(I)に示される構造式を有する材料を意味する。また、「プロピレン・エチレンランダム共重合体」とは、下記の式(II)に示される構造式を有する材料を意味する。また、「ホモポリプロピレン」とは、下記の式(III)に示される構造式を有する材料を意味する。
Figure 2021053807
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プロピレンを主成分とする材料として、ポリプロピレンとポリエチレンとを混合したものを用いる場合には、材料は、海島構造を有していてもよい。ここで、「海島構造」とは、ポリプロピレンが連続する領域の内に、ポリエチレンが不連続に分散している構造をいう。
ボイル処理の観点で考える場合、シーラント層70を構成する材料の例として、ポリエチレン、ポリプロピレン又はこれらの組み合わせなどを挙げることができる。ポリエチレンとしては、中密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン又はこれらの組み合わせなどを挙げることができる。例えば、上述のレトルト処理の観点からシーラント層70を構成する材料として挙げた材料を用いることも可能である。シーラント層70を構成する材料は、例えば100℃以上、より好ましくは105℃以上、より好ましくは110℃以上、更に好ましくは115℃以上の融点を有する。シーラント層70がポリエチレンを主成分として含む場合、100℃以上の融点は、例えば、ポリエチレンの密度が0.920g/cm以上である場合に実現され得る。また、100℃以上の融点を有するシーラント層70を構成するためのシーラントフィルムの具体例としては、三井化学東セロ製TUX−HC、東洋紡製L6101、出光ユニテック製LS700C等を挙げることができる。105℃以上の融点を有するシーラント層70を構成するためのシーラントフィルムの具体例としては、タマポリ製NB−1等を挙げることができる。110℃以上の融点を有するシーラント層70を構成するためのシーラントフィルムの具体例としては、出光ユニテック製LS760C、三井化学東セロ製TUX−HZ等を挙げることができる。シーラント層70におけるポリエチレンの含有量は、例えば70質量%以上であり、80質量%以上であってもよい。
好ましくは、シーラント層70は、プロピレン・エチレンブロック共重合体を含む単層のフィルムである。例えば、シーラント層70は、プロピレン・エチレンブロック共重合体を主成分とする単層の未延伸フィルムである。プロピレン・エチレンブロック共重合体を用いることにより、シーラント層70の耐衝撃性を高めることができ、これにより、落下時の衝撃により袋10が破袋してしまうことを抑制することができる。また、包装材料30の耐突き刺し性を高めることができる。
プロピレン・エチレンブロック共重合体は、例えば、ポリプロピレンからなる海成分と、エチレン・プロピレン共重合ゴム成分からなる島成分と、を含む。海成分は、プロピレン・エチレンブロック共重合体の耐ブロッキング性、耐熱性、剛性、シール強度などを高めることに寄与し得る。また、島成分は、プロピレン・エチレンブロック共重合体の耐衝撃性を高めることに寄与し得る。従って、海成分と島成分の比率を調整することにより、プロピレン・エチレンブロック共重合体を含むシーラント層の機械特性を調整することができる。
プロピレン・エチレンブロック共重合体において、ポリプロピレンからなる海成分の質量比率は、エチレン・プロピレン共重合ゴム成分からなる島成分の質量比率よりも高い。例えば、プロピレン・エチレンブロック共重合体において、ポリプロピレンからなる海成分の質量比率は、少なくとも51質量%以上であり、好ましくは60質量%以上であり、更に好ましくは70質量%以上である。
単層のシーラント層は、プロピレン・エチレンブロック共重合体からなる第1の熱可塑性樹脂に加えて、第2の熱可塑性樹脂を更に含んでいてもよい。第2の熱可塑性樹脂としては、α−オレフィン共重合体、ポリエチレンなどを挙げることができる。α−オレフィン共重合体は、例えば直鎖状低密度ポリエチレンである。ポリエチレンの例としては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンを挙げることができる。第2の熱可塑性樹脂は、シーラント層の耐衝撃性を高めることに寄与し得る。
低密度ポリエチレンとは、密度が0.910g/cm以上且つ0.925g/cm以下のポリエチレンである。中密度ポリエチレンは、密度が0.926g/cm以上且つ0.940g/cm以下のポリエチレンである。高密度ポリエチレンとは、密度が0.941g/cm以上且つ0.965g/cm以下のポリエチレンである。低密度ポリエチレンは、例えば、1000気圧以上且つ2000気圧未満の高圧でエチレンを重合することにより得られる。中密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレンは、例えば、1気圧以上且つ1000気圧未満の中圧又は低圧でエチレンを重合することにより得られる。
なお、中密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレンは、エチレンとα−オレフィンとの共重合体を部分的に含んでいてもよい。また、中圧又は低圧でエチレンを重合する場合であっても、エチレンとα−オレフィンとの共重合体を含む場合は、中密度又は低密度のポリエチレンが生成され得る。このようなポリエチレンが、上述の直鎖状低密度ポリエチレンと称される。直鎖状低密度ポリエチレンは、中圧又は低圧でエチレンを重合することにより得られる直鎖状ポリマーにα−オレフィンを共重合させて短鎖分岐を導入することによって得られる。α−オレフィンの例としては、1−ブテン(C)、1−ヘキセン(C)、4−メチルペンテン(C)、1−オクテン(C)などを挙げることができる。直鎖状低密度ポリエチレンの密度は、例えば0.915g/cm以上且つ0.945g/cm以下である。
なお、プロピレン・エチレンブロック共重合体の第2の熱可塑性樹脂を構成するα−オレフィン共重合体は、上述の直鎖状低密度ポリエチレンには限られない。α−オレフィン共重合体とは、下記の式(IV)に示される構造式を有する材料を意味する。
Figure 2021053807
、Rはいずれも、H(水素原子)、又はCH、Cなどのアルキル基である。また、j及びkはいずれも、1以上の整数である。また、jはkよりも大きい。すなわち、式(IV)に示すα−オレフィン共重合体においては、Rを含む左側の構造がベースとなる。Rは例えばHであり、Rは例えばCである。
シーラント層において、プロピレン・エチレンブロック共重合体からなる第1の熱可塑性樹脂の質量比率は、α−オレフィン共重合体又はポリエチレンを少なくとも含む第2の熱可塑性樹脂の質量比率よりも高い。例えば、単層のシーラント層において、プロピレン・エチレンブロック共重合体からなる第1の熱可塑性樹脂の質量比率は、少なくとも51質量%以上であり、好ましくは60質量%以上であり、更に好ましくは70質量%以上である。
上述のように、第2の熱可塑性樹脂は、シーラント層の耐衝撃性を高めることに寄与し得る。従って、単層のシーラント層における、α−オレフィン共重合体又はポリエチレンを少なくとも含む第2の熱可塑性樹脂の質量比率を調整することにより、シーラント層の機械特性を調整することができる。
また、シーラント層70は、熱可塑性エラストマーを更に含んでいてもよい。熱可塑性エラストマーを用いることにより、シーラント層70の耐衝撃性や耐突き刺し性を更に高めることができる。
熱可塑性エラストマーは、例えば水添スチレン系熱可塑性エラストマーである。水添スチレン系熱可塑性エラストマーは、少なくとも1個のビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックAと少なくとも1個の水素添加された共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBからなる構造を有する。また、熱可塑性エラストマーは、エチレン・α−オレフィンエラストマーであってもよい。エチレン・α−オレフィンエラストマーは、低結晶性もしくは非晶性の共重合体エラストマーであり、主成分としての50〜90質量%のエチレンと共重合モノマーとしてのα−オレフィンとのランダム共重合体である。
シーラント層70におけるプロピレン・エチレンブロック共重合体の含有率は、例えば80質量%以上であり、好ましくは90質量%以上である。
プロピレン・エチレンブロック共重合体の製造方法としては、触媒を用いて原料であるプロピレンやエチレンなどを重合させる方法が挙げられる。触媒としては、チーグラー・ナッタ型やメタロセン触媒などを用いることができる。
以下、シーラント層70が、プロピレン・エチレンブロック共重合体を含む単層のシーラントフィルムからなる場合の、シーラントフィルムの好ましい機械特性について説明する。
流れ方向(MD)におけるシーラントフィルムの、25℃における引張伸度は、好ましくは600%以上且つ1300%以下である。また、流れ方向(MD)におけるシーラントフィルムの引張伸度(%)とシーラントフィルムの厚み(μm)の積は、好ましくは35000以上且つ80000以下である。また、垂直方向(TD)におけるシーラントフィルムの、25℃における引張伸度は、好ましくは700%以上且つ1400%以下である。また、垂直方向(TD)におけるシーラントフィルムの引張伸度(%)とシーラントフィルムの厚み(μm)の積は、好ましくは40000以上且つ85000以下である。
流れ方向(MD)におけるシーラントフィルムの、25℃における引張弾性率は、好ましくは400MPa以上且つ1100MPa以下である。また、流れ方向(MD)におけるシーラントフィルムの引張弾性率(MPa)とシーラントフィルムの厚み(μm)の積は、好ましくは30000以上且つ55000以下である。また、垂直方向(TD)におけるシーラントフィルムの、25℃における引張弾性率は、好ましくは250MPa以上且つ900MPa以下である。また、垂直方向(TD)におけるシーラントフィルムの引張弾性率(MPa)とシーラントフィルムの厚み(μm)の積は、好ましくは20000以上且つ45000以上である。
なお、図1に示す袋10においては、第1方向D1が、シーラントフィルムの流れ方向(MD)に相当する。また、第2方向D2が、シーラントフィルムの垂直方向(TD)に相当する。
引張弾性率及び引張伸度は、JIS K7127に準拠して測定され得る。測定器としては、オリエンテック社製の引張試験機 STA−1150を用いることができる。なお、図1に示す袋10においては、上部11及び下部12が延びる方向が、シーラントフィルムなどの、袋10を構成するフィルムの流れ方向であり、側部13が延びる方向が、シーラントフィルムなどの、袋10を構成するフィルムの垂直方向である。図示はしないが、上部11及び下部12が延びる方向が、フィルムの垂直方向となり、側部13が延びる方向が、フィルムの流れ方向となるよう、袋10が構成されていてもよい。
プロピレン・エチレンブロック共重合体を含む単層のシーラントフィルムのタイプとしては、主に2つのタイプが考えられる。
第1は、東レフィルム加工株式会社製の未延伸ポリプロピレンフィルム ZK500のような、高い引張伸度を有し、耐衝撃性を備えるタイプである。第1のタイプのシーラントフィルムは、好ましくは、熱間シール強度が低いという特性も更に備える。これにより、袋10の加熱時に収容部17の内圧が過大になることを抑制することができ、包装材料30にダメージが生じることを抑制することができる。
第2は、東レフィルム加工株式会社製の未延伸ポリプロピレンフィルム ZK207のような、高い引張弾性率を有するタイプである。第2のタイプのシーラントフィルムを用いることにより、第1方向D1に沿って消費者が袋10を引き裂くことにより袋10を開封する際の引き裂き性を高めることができる。
流れ方向(MD)における第1のタイプのシーラントフィルムの引張伸度(%)とシーラントフィルムの厚み(μm)の積は、好ましくは45000以上であり、より好ましくは50000以上であり、55000以上、又は60000以上であってもよい。また、垂直方向(TD)における第1のタイプのシーラントフィルムの引張伸度(%)とシーラントフィルムの厚み(μm)の積は、好ましくは53000以上であり、より好ましくは60000以上である。シーラントフィルムが高い引張伸度を有することにより、落下時の衝撃などにより袋10が破袋してしまうことを抑制することができる。
また、流れ方向(MD)における第1のタイプのシーラントフィルムの引張弾性率(MPa)とシーラントフィルムの厚み(μm)の積は、好ましくは38000以下であり、より好ましくは35000以下である。また、垂直方向(TD)における第1のタイプのシーラントフィルムの引張弾性率(MPa)とシーラントフィルムの厚み(μm)の積は、好ましくは30000以下であり、より好ましくは25000以下である。
流れ方向(MD)における第2のタイプのシーラントフィルムの引張弾性率(MPa)とシーラントフィルムの厚み(μm)の積は、好ましくは35000以上であり、より好ましくは38000以上であり、更に好ましくは45000以上である。また、垂直方向(TD)における第2のタイプのシーラントフィルムの引張弾性率(MPa)とシーラントフィルムの厚み(μm)の積は、好ましくは25000以上であり、より好ましくは30000以上であり、更に好ましくは35000以上であり、38000以上であってもよい。シーラントフィルムが高い引張弾性率を有することにより、袋10を開封する際の引き裂き性を高めることができる。
また、流れ方向(MD)における第2のタイプのシーラントフィルムの引張伸度(%)とシーラントフィルムの厚み(μm)の積は、好ましくは55000以下であり、より好ましくは50000以下である。また、垂直方向(TD)における第2のタイプのシーラントフィルムの引張伸度(%)とシーラントフィルムの厚み(μm)の積は、好ましくは60000以下であり、より好ましくは55000以下である。
シーラント層70は、イージーピール性を備えていてもよい。イージーピール性とは、例えばシーラント層70を有する包装材料30を用いて容器の蓋材を構成する場合に、蓋材がその下面において、すなわちシーラント層70において、容器のフランジ部から剥がれやすい、という特性である。イージーピール性は、例えば、シーラント層70を2種類以上の樹脂で構成し、一の樹脂と他の樹脂とを非相溶性とすることにより、発現することができる。イージーピール性を発現させることができる樹脂としては、例えば、高密度ポリエチレンなどのポリエチレンとポリプロピレンの混合樹脂が挙げられる。
シーラント層70がイージーピール性を備える場合、図10に示すように、シーラント層70が、基材35側に位置する第1層71と、第1層71よりも内側に位置し、包装材料30の内面30xを構成するする第2層72と、を含んでいてもよい。イージーピール性を備えるシーラント層70の第1層71及び第2層72としては、以下に説明するAタイプ及びBタイプのような、主に2つのタイプが考えられる。
Aタイプのシーラント層70においては、第1層71がポリエチレンを主成分とする層であり、第2層72がポリエチレンとポリプロピレンの混合樹脂を含む層である。第2層72においては、ポリプロピレンの配合比がポリエチレンの配合比より大きい。第2層72におけるポリプロピレンとポリエチレンの質量比は、6:4〜8:2である。
Aタイプのシーラント層70を備える包装材料30が、加熱殺菌用途の包装製品で使用される場合、シーラント層70におけるポリエチレンの密度を0.940g/cm3以上とすることが好ましい。
Aタイプのシーラント層70の第2層72におけるポリプロピレンとしては、例えばエチレン−プロピレンランダム共重合体を用いることができる。
Aタイプのシーラント層70において、第1層71の厚みと第2層72の厚みの比は、5:1〜10:1とすることができる。
Bタイプのシーラント層70においては、第1層71がポリプロピレンを主成分とする層であり、第2層72がポリエチレンとポリプロピレンの混合樹脂を含む層である。第2層72においては、ポリプロピレンの配合比がポリエチレンの配合比より大きい。第2層72におけるポリプロピレンとポリエチレンの質量比は、6:4〜8:2である。
Bタイプのシーラント層70を備える包装材料30が、加熱殺菌用途の包装製品で使用される場合、シーラント層70におけるポリエチレンの密度を0.940g/cm3以上とすることが好ましい。
Bタイプのシーラント層70の第1層71におけるポリプロピレンとしては、例えばエチレン−プロピレンブロック共重合体を用いることができる。Bタイプのシーラント層70の第2層72におけるポリプロピレンとしては、例えばエチレン−プロピレンランダム共重合体を用いることができる。
Bタイプのシーラント層70において、第1層71の厚みと第2層72の厚みの比は、3:1〜8:1とすることができる。
なお、シーラント層70は、基材35の内面側に押し出し法などによって設けられる樹脂層であってもよい。この場合、基材35とシーラント層70との間に上述の接着剤層45が存在していなくてもよい。
シーラント層70の厚み、及びシーラント層70を含む包装材料30の厚みは、包装材料30の用途に応じて適宜定められる。
例えば、ボイル処理やレトルト処理などの殺菌処理が高温で施される袋10を構成する包装材料30において、上述のように、シーラント層70は、好ましくは、これらの高温での処理に耐える耐熱性を有する。例えば、シーラント層70は、プロピレンを主成分として含んでいてもよく、100℃以上の融点を有するポリエチレンを含んでいてもよい。シーラント層70の厚みは、好ましくは30μm以上であり、より好ましくは40μm以上である。また、シーラント層70の厚みは、好ましくは110μm以下であり、より好ましくは80μm以下である。また、包装材料30の厚みは、好ましくは60μm以上であり、70μm以上であってもよく、80μm以上であってもよい。また、包装材料30の厚みは、130μm以下であってもよく、100μm以下であってもよい。
また、ボトルへ詰め替えられる液体や紛体などの流動性を有する内容物を収容する詰め替え袋10を構成する包装材料30において、シーラント層70は、直鎖状低密度ポリエチレンを含んでいてもよい。シーラント層70は、直鎖状低密度ポリエチレンに加えて低密度ポリエチレンを更に含んでいてもよい。これにより、包装材料30の引き裂き性を高めることができる。シーラント層70が直鎖状低密度ポリエチレン及び低密度ポリエチレンの両方を含む場合、好ましくは、直鎖状低密度ポリエチレンの含有量(質量%)が低密度ポリエチレンの含有量(質量%)よりも大きい。シーラント層70の厚みは、好ましくは50μm以上であり、より好ましくは70μm以上である。また、シーラント層70の厚みは、好ましくは180μm以下であり、より好ましくは150μm以下である。また、包装材料30の厚みは、好ましくは60μm以上であり、100μm以上であってもよく、120μm以上であってもよく、140μm以上であってもよい。また、包装材料30の厚みは、220μm以下であってもよく、200μm以下であってもよく、170μm以下であってもよい。
また、後述する蓋材114を構成する包装材料30において、シーラント層70は、上述のイージーピール性を備えていてもよい。シーラント層70の厚みは、好ましくは20μm以上であり、より好ましくは30μm以上である。また、シーラント層70の厚みは、好ましくは70μm以下であり、より好ましくは50μm以下である。また、包装材料30の厚みは、好ましくは40μm以上であり、60μm以上であってもよく、80μm以上であってもよい。また、包装材料30の厚みは、160μm以下であってもよく、140μm以下であってもよく、110μm以下であってもよい。
また、後述するバックインボックス124を構成する包装材料30において、シーラント層70は、直鎖状低密度ポリエチレンなどのポリエチレンを含んでいてもよい。シーラント層70の厚みは、好ましくは50μm以上であり、より好ましくは60μm以上であり、70μm以上であってもよい。また、シーラント層70の厚みは、好ましくは150μm以下であり、より好ましくは130μm以下であり、100μm以下であってもよい。また、包装材料30の厚みは、好ましくは70μm以上であり、80μm以上であってもよく、90μm以上であってもよい。また、包装材料30の厚みは、170μm以下であってもよく、150μm以下であってもよく、130μm以下であってもよい。
(その他の層)
包装材料30は、印刷層32を更に備えていてもよい。図2Aに示す例において、印刷層32は、二軸延伸プラスチックフィルム40と接着剤層45との間に位置している。
印刷層32は、袋10などの包装製品に、内容物や包装製品の情報を示したり、美感を付与したりするための層である。印刷層は、文字、数字、記号、図形、絵柄などを表現する。印刷層は、バインダー樹脂と、バインダー樹脂に分散された染料や顔料などの着色材と、を含む。印刷層を構成する材料としては、グラビア印刷用のインキやフレキソ印刷用のインキを用いることができる。グラビア印刷用のインキの具体例としては、DICグラフィックス株式会社製のフィナートを挙げることができる。
また、図示はしないが、包装材料30は、基材35よりも外面30y側に位置する表面層を更に備えていてもよい。この場合、表面層が包装材料30の外面30yを構成していてもよい。表面層は、基材35の外面側に押し出し法などによって設けられる樹脂層であってもよい。表面層を構成する材料としては、直鎖状低密度ポリエチレンなどのポリエチレンを用いることができる。
図2Bは、包装材料30の層構成の一変形例を示す断面図である。図2Bに示すように、包装材料30の基材35は、二軸延伸プラスチックフィルム40の内面30x側の面上に位置する蒸着層33を備えていてもよい。また、基材35は、蒸着層33の面上に位置し、透明性を有するガスバリア性塗布膜34を更に備えていてもよい。
以下、蒸着層33及びガスバリア性塗布膜34について説明する。
蒸着層33は、包装材料30のガスバリア性を高めるために包装材料30に設けられる層である。蒸着層33を構成する材料としては、アルミニウムなどの金属、酸化アルミニウムなどの金属酸化物、酸化珪素などの無機酸化物などが挙げられる。
蒸着層33は、酸素ガスおよび水蒸気などの透過を阻止するガスバリア性の機能を有する層として機能する。なお、蒸着層33は二層以上設けられてもよい。蒸着層33を二層以上有する場合、それぞれが、同一の組成であってもよいし、異なる組成であってもよい。蒸着層33の形成方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、およびイオンプレ−ティング法等の物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法、PVD法)、あるいは、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、および光化学気相成長法等の化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、CVD法)等を挙げることができる。具体的には、ローラー式蒸着膜成膜装置を用いて、成膜ローラー上において蒸着層を形成することができる。
蒸着層33は、アルミニウム酸化物(酸化アルミニウム)、珪素酸化物などの、透明性を有する無機物で形成された透明蒸着層であってもよい。特に、蒸着層33よりも内面30x側に印刷層32が設けられている場合、蒸着層33は、透明蒸着層として構成される。透明蒸着層としては、酸化アルミニウムの非結晶性の薄膜を使用することが好ましい。具体的には、透明蒸着層は、式AlO(式中、Xは、0.5〜1.5の範囲の数を表す。)で表される酸化アルミニウムの非結晶性の薄膜である。透明蒸着層は、膜表面から内面に向かう深さ方向に向かってXの値が減少している酸化アルミニウムの非結晶性の薄膜を使用することができる。酸化アルミニウムの非結晶性の薄膜は、式AlO(式中、Xは、0.5〜1.5の範囲の数を表す。)で表され、その薄膜表面から内面に向かう深さ方向に向かってXの値が増加していることが好ましい。なお、上記の式中のXの値としては、基本的には、X=0.5以上のものを使用することができるが、X=1.0未満になると、着色が激しく、かつ、透明性に劣ることから、X=1.0以上のものを使用することが好ましい。また、X=1.5のものは、Alと酸素とが完全に酸化した状態のものであることから、上限としては、X=1.5までのものを使用することができる。なお、上記の式中のXの値が0の場合、完全な無機単体(純物質)であり、透明ではない。
なお、Xの値の減少割合は、例えば、X線光電子分光装置(Xray Photoelectron Spectroscopy:XPS)、二次イオン質量分析装置(Secondary Ion Mass Spectroscopy:SIMS)などの表面分析装置を用い、深さ方向にイオンエッチングするなどして分析する方法を利用して、透明蒸着層の元素分析を行うことより確認することができる。
<透明蒸着層の第1の好ましい形態>
以下、透明蒸着層の第1の好ましい形態について説明する。透明蒸着層は、アルミニウム原子と炭素原子の共有結合を含む無機化合物の混合物からなる層であってもよい。この場合において、透明蒸着層は、X線光電子分光装置(測定条件:X線源AlKα、X線出力120W)を用い、深さ方向にイオンエッチングにより測定したピークにアルミニウム原子と炭素原子の共有結合の存在を示し、また、透明性を有しかつ酸素、水蒸気等の透過を妨げるガスバリア性を有してもよい。
透明蒸着層と二軸延伸プラスチックフィルムとの界面には、金属原子と炭素原子の共有結合が形成されていてもよい。例えば、透明蒸着層が酸化アルミニウムを含む場合、二軸延伸プラスチックフィルムと透明蒸着層との界面には、アルミニウム原子と炭素原子の共有結合が形成されていてもよい。共有結合は、X線光電子分光法による測定(以下、略して「XPS測定」という)によって検出され得る。
また、透明蒸着層においては、アルミニウム原子と炭素原子の共有結合の存在比率が、XPS測定により透明蒸着層と二軸延伸プラスチックフィルムとの界面を測定した場合に観察される炭素原子を含む全結合のうちの0.3%以上且つ30%以下の範囲内であることが好ましい。これにより、透明蒸着層と二軸延伸プラスチックフィルムとの密着性が強化され、透明性も優れ、ガスバリア性の蒸着フィルムとしてバランスのよい性能のものが得られる。
アルミニウム原子と炭素原子の共有結合の存在比率が0.3%未満であると、透明蒸着層の密着性の改善が不十分であり、バリア性を安定して維持することが困難になる。
さらに、酸化アルミニウムを主成分とする透明蒸着層の、AL(アルミニウム)/O(酸素)比が、二軸延伸プラスチックフィルムと透明蒸着層との界面から、二軸延伸プラスチックフィルムとは反対側の透明蒸着層の表面に向かって3nmまでの範囲内において、1.0以下であることが好ましい。
透明蒸着層と二軸延伸プラスチックフィルムとの界面から、二軸延伸プラスチックフィルムとは反対側の透明蒸着層の表面に向かう範囲内において、AL/Oの比が1.0を超えると、二軸延伸プラスチックフィルムと透明蒸着層との間の密着性が不十分となり、かつアルミニウムの割合が高まり、透明蒸着層の透明性が低下する。
透明蒸着層の厚みは、例えば20Å以上且つ200Åであり、好ましくは30Å以上且つ150Åである。30Å未満であると、ガスバリア性が不十分となる場合がある。一方、150Åを超えると、包装材料30のガスバリア性能を維持できない場合がある。この理由は定かではないが、透明蒸着層の厚みが150Åを超えると包装材料30の屈曲性が低下し、包装材料30を袋10に使用した場合に透明蒸着層の一部に亀裂ないしピンホールが発生してガスバリア性が低下するものと考えられる。透明蒸着層の厚みは、好ましくは、40Å以上且つ130Å以下、より好ましくは、50Å以上且つ120Å以下である。なお、透明蒸着層の厚みは、例えば、蛍光X線分析装置(商品名:RIX2000型、株式会社理学製)を用いて、ファンダメンタルパラメーター法で測定することができる。また、透明蒸着層の厚みを変更する手段としては、透明蒸着層の堆積速度を変更する方法、蒸着する速度を変更する方法などによって行うことができる。
二軸延伸プラスチックフィルムの面に予めコロナ放電処理、フレーム処理、プラズマ処理などの前処理を施しておいてもよい。前処理がプラズマ処理である場合、前処理装置により、0.1Pa以上100Pa以下の減圧環境下において、二軸延伸プラスチックフィルムの面に対してプラズマを供給する。プラズマは、アルゴン等の不活性ガス単独又は酸素、窒素、炭酸ガス及びそれらの1種以上のガスとの混合ガスをプラズマ原料ガスとして用い、高周波電圧等による電位差によって、プラズマ原料ガスを励起状態にすることにより、発生させることができる。
前処理により、二軸延伸プラスチックフィルムの表面近傍にプラズマを閉じ込めることができる。これにより、二軸延伸プラスチックフィルムの表面の形状や、化学的な結合状態や官能基を変化させ、二軸延伸プラスチックフィルムの表面の化学的性状を変化させることができる。このことにより、二軸延伸プラスチックフィルムと透明蒸着層との密着性を向上させることが可能となる。
<透明蒸着層の第2の好ましい形態>
次に、透明蒸着層の第2の好ましい形態について説明する。なお、本願においては、透明蒸着層が、上述の第1の好ましい形態及び以下に説明する第2の好ましい形態の両方を満たしていてもよく、いずれか一方の形態のみを満たしていてもよい。また、本願の透明蒸着層が上述の第1の好ましい形態及び以下に説明する第2の好ましい形態のいずれをも満たさない場合も考えられ得る。
透明蒸着層においては、二軸延伸プラスチックフィルムなどの基材と酸化アルミニウム蒸着膜などの透明蒸着層との密着強度を規定する遷移領域が、透明蒸着層に形成されていてもよい。透明蒸着層が酸化アルミニウム蒸着膜である場合、遷移領域は、飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF−SIMS)を用いて酸化アルミニウム蒸着膜のエッチングを行うことで検出される水酸化アルミニウムに変成する結合構造(Al2O4H)を含む。TOF−SIMSを用いてエッチングを行うことで規定される酸化アルミニウム蒸着膜に対する、TOF−SIMSを用いて規定される該変成される遷移領域の割合により定義される遷移領域の変成率は、好ましくは45%以下である。このような形態は、遷移領域の変成率を規定することで、二軸延伸プラスチックフィルムと酸化アルミニウム蒸着膜との間の密着強度が改善された、バリア性を備える包装材料30を特定できるとの知見に基づくものである。
遷移領域の変成率について具体的に説明する。まず、飛行時間型二次イオン質量分析計を用いてCsにより、酸化アルミニウム蒸着膜の最表面からエッチングを行い、酸化アルミニウム蒸着膜と二軸延伸プラスチックフィルムとの界面の元素結合及び蒸着膜の元素結合を測定する。続いて、測定された元素および元素結合について、図11に示すように、それぞれの実測グラフを得る。
酸化アルミニウム蒸着膜における水酸化アルミニウムが形成する、二軸延伸プラスチックフィルムと蒸着膜の界面の遷移領域を極力狭くするために、AL2O4Hに注目し、1)元素C6のグラフの強度Hが半分になる位置(図11において強度(Intensity)がHになる位置)を、二軸延伸プラスチックフィルムと酸化アルミニウム蒸着膜の界面(図11において横軸(Cycle)がTの位置)として特定する。また、界面から酸化アルミニウム蒸着膜の表面(図11において横軸(Cycle)がTの位置)までを、酸化アルミニウム蒸着膜として特定する。続いて、2)元素結合AL2O4Hを表すグラフにおけるピーク(図11において横軸(Cycle)がTの位置)を求め、そのピークの位置から界面の位置までを遷移領域として特定する。続いて、3)(元素結合AL2O4Hのピークから界面までの遷移領域/酸化アルミニウム蒸着膜)×100(%)として遷移領域の水酸化アルミニウムへの変成率を求めるものである。図11に示す例において、変成率は、(W2/W1)×100(%)である。
酸化アルミニウム蒸着膜の成膜は、酸化アルミニウム蒸着膜の遷移領域の変成率を好ましい値とするために、酸化アルミ蒸着工程前に、二軸延伸プラスチックフィルムの表面にプラズマ前処理を行うことが好ましい。プラズマ前処理において、プラズマガスとして供給する酸素ガスとアルゴンまたはヘリウムとの混合比率は、5対1、好ましくは、2対1である。混合比率を5対1とすることで、二軸延伸プラスチックフィルムの面上での蒸着アルミニウムの膜形成エネルギーが増加し、更に2対1とすることで、水酸化アルミニウムの形成が基材の界面近傍で形成される、すなわち該遷移領域の変成率が低下する。
蒸着膜を成膜する蒸着法としては、物理蒸着法、化学蒸着の中から種々の蒸着法が適用できる。物理蒸着法としては、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト法、クラスターイオンビーム法からなる群から選ぶことができ、化学蒸着法としては、プラズマCVD法、プラズマ重合法、熱CVD法、触媒反応型CVD法からなる群から選ぶことができる。本形態においては、物理蒸着法の蒸着法が好適である。
上記のように製膜される酸化アルミニウム蒸着膜の厚さは、好ましくは3nm以上且つ50nm以下であり、好ましくは8nm以上且つ30nm以下である。この範囲であれば、バリア性を保持し易い。
〔ガスバリア性塗布膜〕
ガスバリア性塗布膜34は、一般式R M(OR(ただし、式中、R、Rは、炭素数1〜8の有機基を表し、Mは、金属原子を表し、nは、0以上の整数を表し、mは、1以上の整数を表し、n+mは、Mの原子価を表す。)で表される少なくとも一種以上のアルコキシドと、上記のようなポリビニルアルコ−ル系樹脂および/またはエチレン・ビニルアルコ−ル共重合体とを含有し、さらに、ゾルゲル法触媒、酸、水、および、有機溶剤の存在下に、ゾルゲル法によって重縮合する透明ガスバリア性組成物により得られる。なお、ガスバリア性塗布膜34は透明であることが好ましい。
上記の一般式R M(ORで表されるアルコキシドとしては、アルコキシドの部分加水分解物、アルコキシドの加水分解の縮合物の少なくとも一種以上を使用することができる。また、上記のアルコキシドの部分加水分解物としては、アルコキシ基のすべてが加水分解されている必要はなく、1個以上が加水分解されているもの、および、その混合物であってもよい。アルコキシドの加水分解の縮合物としては、部分加水分解アルコキシドの2量体以上のもの、具体的には、2〜6量体のものを使用される。
上記の一般式R M(ORで表されるアルコキシドにおいて、Mで表される金属原子としては、ケイ素、ジルコニウム、チタン、アルミニウム、その他などを使用することができる。好ましい金属としては、例えば、ケイ素、チタンなどを挙げることができる。また、本実施の形態において、アルコキシドの用い方としては、単独または二種以上の異なる金属原子のアルコキシドを同一溶液中に混合して使うこともできる。
また、上記の一般式R M(ORで表されるアルコキシドにおいて、Rで表される有機基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、その他などのアルキル基を挙げることができる。また、上記の一般式R M(ORで表されるアルコキシドにおいて、Rで表される有機基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、その他などを挙げることができる。なお、同一分子中にこれらのアルキル基は同一であっても、異なってもよい。
上記の透明ガスバリア性組成物を調製する際、例えば、シランカップリング剤などを添加してもよい。上記のシランカップリング剤としては、既知の有機反応性基含有オルガノアルコキシシランを用いることができる。特に、エポキシ基を有するオルガノアルコキシシランが好適に用いられ、具体的には、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、または、β−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどを使用することができる。上記のようなシランカップリング剤は、一種または二種以上を混合して用いてもよい。
蒸着層33を備える包装材料30の酸素透過度及び水蒸気透過度はそれぞれ、好ましくは2以下(cc/m・day・atm)及び2以下(g/m・day)である。酸素透過度は、JIS K7126(等圧法)に準じ、米国モコン社製の酸素バリア測定器 OXTRAN を用い、23℃・90%RH条件下にて測定される。水蒸気透過度は、JIS K7129(B法)に準じ、米国モコン社製の水蒸気バリア測定器 PERMATRAN を用い、40℃・90%RH条件下にて測定される。
包装材料の製造方法
次に、包装材料30の製造方法の一例について説明する。
まず、上述の二軸延伸プラスチックフィルム40と、シーラント層70を構成するシーラントフィルムとを準備する。二軸延伸プラスチックフィルム40には、必要に応じて、印刷層32などが設けられている。
続いて、ドライラミネート法により、二軸延伸プラスチックフィルム40とシーラント層70とを、接着剤層45を介して積層する。これによって、二軸延伸プラスチックフィルム40及びシーラント層70を備える包装材料30を得ることができる。
ドライラミネート法においては、まず、積層される2つのフィルムのうちの一方に接着剤組成物を塗布する。続いて、塗布された接着剤組成物を乾燥させて溶剤を揮発させる。その後、乾燥後の接着剤組成物を介して2つのフィルムを積層する。続いて、積層された2つのフィルムを巻き取った状態で、例えば20℃以上の環境下で24時間以上にわたってエージングする。
若しくは、シーラント層70を構成するための材料を、基材35の内面側に押し出し法などによって設けることによって、シーラント層70を形成してもよい。
袋の製造方法
次に、上述の包装材料30を用いて袋10を製造する方法について説明する。まず、包装材料30からなる表面フィルム14及び裏面フィルム15を準備する。続いて、各フィルムの内面同士をヒートシールして、下部シール部12a、側部シール部13aなどのシール部を形成する。また、ヒートシールによって互いに接合されたフィルムを適切な形状に切断して、図1に示す袋10を得る。
続いて、上部11の開口部11bを介して内容物18を袋10に充填する。その後、上部11をヒートシールして上部シール部11aを形成する。このようにして、内容物18が収容され封止された袋10を得ることができる。
ここで本実施の形態においては、包装材料30の基材35の二軸延伸プラスチックフィルム40が、ポリエステルを主成分として含んでいる。このため、基材35が、ナイロンを主成分として含む二軸延伸プラスチックフィルムを備える場合に比べて、基材35における水分の含有量を低減することができる。これにより、ヒートシールの際に基材35中の水分が蒸発して気泡が生じることを抑制することができる。このことにより、気泡に起因する白濁が基材35に生じることを抑制することができるので、基材35の透明性を維持し易くなる。
内容物18は、例えば、カレー、シチュー、スープ等の、水分を含む調理済食品である。また、内容物18は、肉や魚及びそれらのための調味料など、油分を多く含む素材を有していてもよい。また食品以外にも、湯煎等によって加熱され得るものを内容物として袋10に収容することができる。また、加熱が不要な内容物を袋10に収容してもよい。
続いて、内容物が収容されている袋10に対して、ボイル処理やレトルト処理などの殺菌処理を実施してもよい。ここで本実施の形態においては、包装材料30の基材35の二軸延伸プラスチックフィルム40が、ポリエステルを主成分として含んでいる。このため、基材35が、ナイロンを主成分として含む二軸延伸プラスチックフィルムを備える場合に比べて、殺菌処理の際に基材35が水分を吸収することを抑制することができる。これにより、水分に起因する白濁が基材35に生じることを抑制することができるので、基材35の透明性を維持し易くなる。また、基材35が水分を吸収することに起因して包装材料30の外面30yの静摩擦係数及び動摩擦係数が増加することを抑制することができる。これにより、包装材料30及び包装製品が高温多湿環境に曝された場合に包装材料30及び包装製品の滑り性が低下してしまうことを抑制することができる。
また、本実施の形態においては、袋10を構成する包装材料30の基材35の二軸延伸プラスチックフィルム40として、高スティフネスポリエステルフィルムが用いられている。このため、包装材料30及び袋10に優れた突き刺し強度を持たせることができる。これにより、例えば、先端が尖った鋭利な部材が袋10に接触した場合に袋10が破けてしまうことなどを抑制することができる。包装材料30の突き刺し強度は、12.0N以上であることが好ましく、13.0N以上であることがより好ましく、14.0N以上であることがより好ましく、15.0N以上であることがさらに好ましい。突き刺し強度の測定方法については、後述する実施例において説明する。
袋の開封方法
次に、袋10の開封方法について説明する。消費者は、第1方向D1に沿って袋10を引き裂くことにより袋10を開封することができる。袋10の引き裂き性を高める上では、高い引張弾性率を有する上述の第2のタイプのシーラントフィルムを用いることが好ましい。
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、必要に応じて図面を参照しながら、変形例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。また、上述した実施の形態において得られる作用効果が変形例においても得られることが明らかである場合、その説明を省略することもある。
(袋の変形例)
図12は、包装材料30を備える袋10のその他の例を示す図である。図12に示す袋10は、下部フィルム16を更に備える点が異なるのみであり、他の構成は、図1に示す袋10と略同一である。図12に示す袋10において、図1に示す袋10と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図12に示す袋10は、自立可能に構成されたガセット式の袋である。袋10は、図1に示す袋10の構成要素に加えて、下部12を構成する下部フィルム16を備える。下部フィルム16は、折り返し部16fで折り返された状態で、表面フィルム14と裏面フィルム15との間に配置されている。この場合、シール部は、下部12に広がる下部シール部12aを含む。下部シール部12aは、表面フィルム14の内面と下部フィルム16の内面とを接合することによって構成されるシール部、及び、裏面フィルム15の内面と下部フィルム16の内面とを接合することによって構成されるシール部を含む。
袋の製造方法
図12に示す袋10を製造する方法について説明する。まず、包装材料30からなる表面フィルム14及び裏面フィルム15を準備する。また、表面フィルム14と裏面フィルム15との間に、折り返した状態の下部フィルム16を挿入する。続いて、各フィルムの内面同士をヒートシールして、下部シール部12a、側部シール部13aなどのシール部を形成する。また、ヒートシールによって互いに接合されたフィルムを適切な形状に切断して、図12に示す袋10を得ることができる。
(袋の変形例)
図13は、包装材料30を備える袋10のその他の例を示す図である。図13に示す袋10は、ボトルへ詰め替えられる液体や紛体などの流動性を有する内容物を収容するよう構成されている。袋10に収容される液体としては、液体洗剤やシャンプー等の様々な液体が考えられ得る。図13に示す袋10において、図12に示す袋10と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図13に示す袋10は、内容物が収容される収容部17を画成している本体部20と、本体部20に接続された注出口部21と、を備えている。注出口部21は、袋10から内容物を取り出す際に液体が通る部分である。注出口部21の幅は、本体部20の幅よりも狭い。このため、使用者は、注出口部21を通って袋10から注出される内容物の注出方向を精度良く定めることができる。注出口部21は、本体部20と同様に、包装材料30からなる表面フィルム14及び裏面フィルム15によって構成されている。
図13に示す袋10のシール部は、注出口部21を画定する注出口シール部21aを含む。図13に示すように注出口部21が袋10の上部11と側部13との間の隅部に形成される場合、注出口シール部21aは側部シール部13aに接続される。注出口シール部21aは、側部シール部13aと同様に、表面フィルム14の内面と裏面フィルム15の内面とを接合することによって構成されるシール部である。
図13に示すように、注出口シール部21aには、表面フィルム14及び裏面フィルム15を引き裂いて注出口部21を開封するための易開封性手段25が設けられていてもよい。例えば図13に示すように、易開封性手段25は、注出口部21の注出口シール部21aに形成された、引き裂きの起点となるノッチ26を含んでいてもよい。また、注出口部21を引き裂く際の経路となる部分には、易開封性手段25として、レーザー加工やカッターなどで形成されたハーフカット線が設けられていてもよい。
図14は、包装材料30を備える袋10のその他の例を示す図である。図14に示す袋10は、蒸気抜き機構24を更に備える点が異なるのみであり、他の構成は、図12に示す袋10と略同一である。図14に示す袋10において、図12に示す袋10と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図14に示すように、袋10は、収容部17に収容された内容物を加熱する際に発生する蒸気を外部に逃がすための蒸気抜き機構24を備える。蒸気抜き機構24は、蒸気の圧力が所定値以上になったときに袋10の内部と外部とを連通させて蒸気を逃がすとともに、蒸気抜き機構24以外の箇所から蒸気が抜けることを抑制するよう、構成されている。
なお、蒸気抜き機構24を備える袋10を、電子レンジなどを用いて加熱する場合、袋10の内部の圧力が、蒸気抜き機構24から外部へ蒸気が抜ける程度にまで上昇しないこともある。すなわち、袋10の使用方法によっては、蒸気抜き機構24は、蒸気を外部に逃がすという機能を発現させる確率が低い場合がある。この場合であっても、袋10に蒸気抜き機構24を設けることにより、蒸気抜き機構24以外の箇所から蒸気が抜けたり、袋10が破裂したりする確率をより低くすることができる。
図14に示す例において、蒸気抜き機構24は、側部シール部13aから袋10の内側に向かって突出した蒸気抜きシール部24aと、蒸気抜きシール部24aによって収容部17から隔離された非シール部24bと、を有する。非シール部24bは、袋10の外部に連通している。電子レンジなどによって加熱されることによって収容部17の圧力が高まると、蒸気抜きシール部24aが剥離する。収容部17の蒸気は、蒸気抜きシール部24aの剥離部分及び非シール部24bを通って袋10の外部に抜けることができる。この際、包装材料30が耐熱性を有することにより、加熱の際に包装材料30に穴があいたり包装材料30にシワが形成されたりすることを抑制することができる。
なお、蒸気抜き機構24の構成が、図14に示す構成に限られることはない。蒸気の圧力が所定値以上になったときに収容部17と袋10の外部とを連通させることができる限りにおいて、蒸気抜き機構24の構成は任意である。
例えば図15に示すように、表面フィルム14は、表面フィルム14の内面同士が部分的に重ね合された合掌部14aを含んでいてもよい。合掌部14aは、例えば、1枚の表面フィルム14にひだを形成するように折り返し部14fで折り返すことによって構成され得る。また、合掌部14aは、2枚の表面フィルム14の一部分同士を重ね合わせることによって構成されてもよい。
合掌部14aには、一方の側部シール部13aから他方の側部シール部13aまで延びる合掌シール部14bが形成されている。この場合、蒸気抜き機構24は、例えば、合掌シール部14bから収容部17に向かって突出した蒸気抜きシール部24aと、蒸気抜きシール部24aと合掌シール部14bとによって囲われた非シール部24bと、非シール部24bにおいて表面フィルム14に形成された切込24cと、を有する。図15に示すように、側部13と蒸気抜き機構24との間で合掌部14aに位置する複数の非シール部14cのうち、最も蒸気抜き機構24の非シール部14cにおいても、表面フィルム14に切込14dが形成されていてもよい。
本変形例においても、収容部17の圧力が増加すると、蒸気抜きシール部24aが剥離して収容部17と非シール部24bとが連通する。蒸気抜きシール部24aの剥離部分を通って収容部17から非シール部24bに流入した蒸気は、切込24cを通って袋10の外部に抜ける。
なお、図15に示す袋10は、裏面フィルム15が広域にわたって電子レンジのターンテーブル又は下面(フラットテーブル)に接するよう、電子レンジ内に配置される。このため、図14に示すような自立タイプの袋10に比べて、内容物が均一に加熱され易い。また、袋10が電子レンジに接している部分の面積が大きいので、加熱によって袋10が軟化したとしても、内容物の液面の位置が変化しにくい。このため、電子レンジを用いた加熱工程において、内容物の液面よりも上方において表面フィルム14又は裏面フィルム15の内面に内容物が付着しているという状態が生じにくい。これにより、表面フィルム14又は裏面フィルム15の内面に付着している内容物が過剰に過熱されて表面フィルム14又は裏面フィルム15に穴が形成されるという現象が生じることを抑制することができる。
図16A及び図16Bは、包装材料30の用途の一例である蓋付容器110を示す縦断面図及び平面図である。蓋付容器110は、絞り成形などのシート成形や射出成形などによって作製された容器本体112と、容器本体112に接合された蓋材114と、を備える。容器本体112は、底面112a及び側面112bと、側面112bの上端から水平方向外方へ広がるフランジ部113と、を有する。蓋材114は、容器本体112のフランジ部113の上面に、シール部116を介して接合されている。蓋材114は、少なくとも1つの高スティフネスポリエステルフィルムを有する上述の包装材料30を含んでいてもよい。上述の包装材料30を用いて蓋材114を構成することにより、蓋材114に優れた突き刺し強度を持たせることができる。これにより、先端が尖った鋭利な部材が蓋材114に接触した場合に蓋材114が破けてしまうことなどを抑制することができる。
蓋材114を構成する包装材料30のシーラント層70は、イージーピール性を備えていてもよい。すなわち、蓋材114を構成する包装材料30のシーラント層70は、ポリエチレン又はポリプロピレンを主成分とする第1層71と、ポリエチレンとポリプロピレンの混合樹脂を含み、内面30xを構成する第2層72と、を有していてもよい。
図17Aは、包装材料30の用途の一例である容器120を示す斜視図である。容器120は、外箱122と、外箱122に収容されているバックインボックス124と、を備える。外箱122は、例えば段ボールによって構成されている。バックインボックス124は、水などの内容物を収容することができる。バックインボックス124は、少なくとも1つの高スティフネスポリエステルフィルムを有する上述の包装材料30を含んでいてもよい。上述の包装材料30を用いてバックインボックス124を構成することにより、バックインボックス124に優れた突き刺し強度を持たせることができる。これにより、先端が尖った鋭利な部材がバックインボックス124に接触した場合に蓋材114が破けてしまうことなどを抑制することができる。
バックインボックス124の内部は、過酸化水素などを含む洗浄液によって洗浄されることがある。ここで本実施の形態においては、包装材料30の基材35の二軸延伸プラスチックフィルム40が、ポリエステルを主成分として含んでいる。このため、基材35が、ナイロンを主成分として含む二軸延伸プラスチックフィルムを備える場合に比べて、洗浄の際に白濁が基材35に生じることを抑制することができるので、基材35の透明性を維持し易くなる。
図17Aに示すように、バックインボックス124は、内容物を注出するための注出口125を備えていてもよい。この場合、外箱122には、注出口125を外箱122の外部に露出させるための開口123が形成されていてもよい。
図17Bは、バックインボックス124の構造の一例を示す断面図である。バックインボックス124は、複数の袋を重ねることによって構成されていてもよい。例えば、バックインボックス124は、第1の袋124Aと、第1の袋124Aの内側に位置する第2の袋124Bと、を備えていてもよい。バックインボックス124が複数の袋を備えることによって、バックインボックス124が破れてバックインボックス124の収容部17から内容物が漏れ出てしまうことを抑制することができる。図示はしないが、バックインボックス124は、3つ以上の袋を重ねることによって構成されていてもよい。
第1の袋124Aは、少なくとも1つの高スティフネスポリエステルフィルムを有する上述の包装材料30を含んでいてもよい。また、第2の袋124Bは、上述の包装材料30とは異なる第2の包装材料130を含んでいてもよい。第2の包装材料130としては、例えばポリオレフィンフィルムを用いることができる。第2の包装材料130のポリオレフィンフィルムを構成する材料としては、直鎖状低密度ポリエチレンなどのポリエチレンを用いることができる。
バックインボックス124は、バックインボックス124の外縁に沿って延びる外縁シール部124cを有していてもよい。外縁シール部124cは、第2の袋124Bを構成する第2の包装材料130の内面130x同士を接合することによって構成されているシール部132を含んでいてもよい。また、外縁シール部124cは、シール部132と重なるように位置するシール部131を含んでいてもよい。シール部131は、第2の袋124Bを構成する第2の包装材料130の外面130yと、第1の袋124Aを構成する包装材料30の内面30xとを接合することによって構成されている。
第2の袋124Bを構成する第2の包装材料130の外面130yと、第1の袋124Aを構成する包装材料30の内面30xとは、外縁シール部124c以外の領域では接合されていなくてもよい。例えば、バックインボックス124のうち収容部17と重なる領域においては、第2の包装材料130の外面130yと包装材料30の内面30xとが接合されていなくてもよい。
本願においては、袋10、蓋付容器110や容器120などの、物品を包装するための製品のことを、包装製品とも称する。
次に、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
実施例1〜7及び比較例1〜6により、本発明における包装材料30の突き刺し強度、引張特性、外観及び滑り性についての評価を行った。
(実施例1)
二軸延伸プラスチックフィルム40として、0.0017N以上のループスティフネスを有し、90質量%以上のPETを含み、印刷層32が設けられた高スティフネスポリエステルフィルム(以下、高スティフネスPETフィルムとも称する)を準備した。具体的には、高スティフネスPETフィルムとして、東レ株式会社製のXP−55を用いた。高スティフネスPETフィルムの厚みは16μmであった。また、高スティフネスPETフィルムのループスティフネスの測定値は、流れ方向及び垂直方向のいずれにおいても0.0021Nであった。また、流れ方向における高スティフネスPETフィルムのヤング率は4.8GPaであり、垂直方向における高スティフネスPETフィルムのヤング率は4.7GPaであった。
また、流れ方向における高スティフネスPETフィルムの引張強度は292MPaであり、垂直方向における高スティフネスPETフィルムの引張強度は257MPaであった。また、流れ方向における高スティフネスPETフィルムの引張伸度は107%であり、垂直方向における高スティフネスPETフィルムの引張伸度は102%であった。この場合、流れ方向における高スティフネスPETフィルムの引張強度を引張伸度で割った値は2.73〔MPa/%〕であり、垂直方向における高スティフネスPETフィルムの引張強度を引張伸度で割った値は2.52〔MPa/%〕である。
また、流れ方向及び垂直方向における高スティフネスPETフィルムの熱収縮率はいずれも0.4%であった。
また、シーラント層70として、東レフィルム加工株式会社製の未延伸ポリプロピレンフィルム ZK500を準備した。ZK500は、上述のプロピレン・エチレンブロック共重合体を含む。シーラント層70の厚みは60μmであった。
ZK500は、一般的な未延伸ポリプロピレンフィルムに比べて高い引張伸度を有する。具体的には、流れ方向(MD)におけるZK500の引張伸度は、厚みが50μmの場合に1180%であり、厚みが60μmの場合に1100%である。また、垂直方向(TD)におけるZK500の引張伸度は、厚みが50μmの場合に1240%であり、厚みが60μmの場合に1150%である。従って、流れ方向におけるZK500の引張伸度(%)と厚み(μm)の積は、厚みが50μmの場合に59000であり、厚みが60μmの場合に66000である。また、垂直方向におけるZK500の引張伸度(%)と厚み(μm)の積は、厚みが50μmの場合に62000であり、厚みが60μmの場合に69000である。
また、ZK500は、一般的な未延伸ポリプロピレンフィルムに比べて低い引張弾性率を有する。具体的には、流れ方向(MD)におけるZK500の引張弾性率は、厚みが50μmの場合に640MPaであり、厚みが60μmの場合に550MPaである。また、垂直方向(TD)におけるZK500の引張弾性率は、厚みが50μmの場合に480MPaであり、厚みが60μmの場合に400MPaである。従って、流れ方向におけるZK500の引張弾性率(MPa)と厚み(μm)の積は、厚みが50μmの場合に32000であり、厚みが60μmの場合に33000である。また、垂直方向におけるZK500の引張弾性率(MPa)と厚み(μm)の積は、厚みが50μmの場合に24000であり、厚みが60μmの場合に35000である。
続いて、ドライラミネート法により、印刷層32が設けられた二軸延伸プラスチックフィルム40とシーラント層70とを積層し、包装材料30を作製した。印刷層は、シーラント層70側を向くようにして積層した。接着剤層45としては、ロックペイント株式会社製の2液型ポリウレタン系接着剤(主剤:RU−40、硬化剤:H−4)を用いた。なお、主剤のRU−40は、ポリエステルポリオールである。接着剤層45の厚みは、3μmであった。包装材料30全体の厚みは80μmであった。
〔耐突き刺し性の評価〕
続いて、包装材料30の突き刺し強度を、JIS Z1707 7.4に準拠して測定した。測定器としては、A&D製のテンシロン万能材料試験機RTC−1310を用いた。具体的には、図18に示すように、固定されている状態の包装材料30の試験片に対して、外面30y側から、直径1.0mm、先端形状半径0.5mmの半円形の針90を、50mm/分(1分あたり50mm)の速度で突き刺し、針90が包装材料30を貫通するまでの応力の最大値を測定した。5個以上の試験片について、応力の最大値を測定し、その平均値を包装材料30の突き刺し強度とした。測定時の環境は、温度23℃、相対湿度50%とした。結果、突き刺し強度は13.4Nであった。
〔引張特性の評価〕
また、包装材料30の流れ方向及び垂直方向における引張特性を評価した。具体的には、包装材料30の流れ方向及び垂直方向におけるヤング率を測定した。包装材料30の引張特性は、JIS K7127に準拠して測定され得る。測定器としては、オリエンテック社製の引張試験機 RTC−1310Aを用いることができる。試験片としては、包装材料を幅15mm、長さ150mmの矩形状のフィルムに切り出したものを用いることができる。試験片を保持する一対のチャックの間の、測定開始時の間隔は50mmであり、引張速度は300mm/分である。測定時の環境は、温度23℃、相対湿度50%とした。結果、流れ方向におけるヤング率は3897MPaであり、垂直方向におけるヤング率は4043MPaであった。
〔滑り性の評価〕
続いて、包装材料30の外面30yの滑り性を評価した。ここでは、包装材料30の外面30yの摩擦係数を測定した。具体的には、包装材料30の外面30yと金属面との間の静摩擦係数及び動摩擦係数を測定した。測定は、株式会社東洋精機製作所製の摩擦測定器 TR−2を用いて、JIS K−7125に準拠して行った。金属面を構成する金属としては、アルミニウムを用いた。
以下、測定の具体的な方法について説明する。まず、包装材料30を切断して、幅70mm、長さ152mmの試験片を作製した。続いて、試験片を用いて下記の第1測定及び第2測定を実施した。
第1測定においては、試験片を、温度20〜30℃及び湿度40〜60%の室内において少なくとも24時間以上にわたって保管した後、試験片の外面が金属面に接するように、試験片を金属面に載置した。続いて、幅63mm、長さ63mmの部材を含み、200gの質量を有するスレッドを、試験片の上に載置した。続いて、金属面上で試験片を100mm/minの速度で滑動させた。滑動が開始する際に試験片に加えた力、及び活動中に試験片に加えた力に基づいて、試験片の外面の静摩擦係数及び動摩擦係数を算出した。なお、測定時の環境は、JIS K7100に規定する標準状態であり、温度が23℃、湿度が50%であった。
第2測定においては、試験片を、温度40℃及び湿度90%の高温恒温槽において24時間にわたって保管した後、試験片を金属面に載置したこと以外は、第1測定の場合と同様にして、試験片の外面の静摩擦係数及び動摩擦係数を測定した。測定は、試験片を高温恒温槽から取り出した後、5分以内に実施した。
第1測定における静摩擦係数に対する、第2測定における静摩擦係数の比は、1.05以下であった。また、第1測定における動摩擦係数に対する、第2測定における動摩擦係数の比も、1.05以下であった。すなわち、試験片を温度40℃及び湿度90%の環境に晒すことに起因する摩擦係数の増加は、ほとんど見られなかった。
〔外観の評価〕
続いて、包装材料30を表面フィルム14及び裏面フィルム15及び下部フィルム16として用いて袋10を作製し、袋10の外観を評価した。具体的には、まず、包装材料30を用いて図12に示す袋10を作製した。袋10の高さS1は160mmであり、幅S2は147mmであった。また、折り返された下部フィルム16の高さS3、すなわち袋10の下端部から折り返し部16fまでの高さは、46mmであった。続いて、内容物として200gの水を、上部11の開口部11bを介して袋10の内部に充填した。その後、上部11をヒートシールして上部シール部11aを形成した。このようにして、200gの水が収容されている、図12に示す袋10を複数作製した。
続いて、水が収容されている袋10に、加熱殺菌処理を施した。具体的には、スプレー式のレトルト処理を袋10に施した。レトルト温度は121℃であり、レトルト時間は30分であった。
続いて、加熱殺菌処理が施された袋10に白濁が生じているか否かを目視で確認した。結果、白濁は生じていなかった。
(実施例2)
シーラント層70として、東レフィルム加工株式会社製の未延伸ポリプロピレンフィルム ZK207を用いたこと以外は、実施例1の場合と同様にして、包装材料30を作製した。ZK207は、上述のプロピレン・エチレンブロック共重合体を含む。シーラント層70の厚みは70μmであった。包装材料30全体の厚みは90μmであった。
ZK207は、高い引張弾性率を有する。具体的には、流れ方向(MD)におけるZK207の引張弾性率は、厚みが50μmの場合に780MPaであり、厚みが60μmの場合に680MPaである。また、垂直方向(TD)におけるZK207の引張弾性率は、厚みが50μmの場合に630MPaであり、厚みが60μmの場合に560MPaである。従って、流れ方向におけるZK207の引張弾性率(MPa)と厚み(μm)の積は、厚みが50μmの場合に39000であり、厚みが60μmの場合に40800である。また、垂直方向におけるZK207の引張弾性率(MPa)と厚み(μm)の積は、厚みが50μmの場合に31500であり、厚みが60μmの場合に33600である。
また、ZK207は、低い引張伸度を有する。具体的には、流れ方向(MD)におけるZK207の引張伸度は、厚みが50μmの場合に790%であり、厚みが60μmの場合に730%である。また、垂直方向(TD)におけるZK207の引張伸度は、厚みが50μmの場合に1020%であり、厚みが60μmの場合に870%である。従って、流れ方向におけるZK207の引張伸度(%)と厚み(μm)の積は、厚みが50μmの場合に39500であり、厚みが60μmの場合に43800である。また、垂直方向におけるZK207の引張伸度(%)と厚み(μm)の積は、厚みが50μmの場合に51000であり、厚みが60μmの場合に52200である。
続いて、実施例1の場合と同様にして、ドライラミネート法により、印刷層が設けられた二軸延伸プラスチックフィルム40とシーラント層70とを積層し、包装材料30を作製した。印刷層は、シーラント層70の面側を向くようにして積層した。
続いて、実施例1の場合と同様にして、包装材料30の突き刺し強度を測定した。結果、突き刺し強度は13.2Nであった。
また、実施例1の場合と同様にして、包装材料30の流れ方向及び垂直方向における引張特性を評価した。結果、流れ方向におけるヤング率は3929MPaであった。また、垂直方向におけるヤング率は4100MPaであった。
また、実施例1の場合と同様にして、包装材料30の滑り性を評価した。結果、第1測定における静摩擦係数に対する、第2測定における静摩擦係数の比は、1.05以下であった。また、第1測定における動摩擦係数に対する、第2測定における動摩擦係数の比も、1.05以下であった。
また、実施例1の場合と同様にして、包装材料30を用いて、200gの水が収容されている袋10を作製し、袋10に加熱殺菌処理を施した。続いて、加熱殺菌処理が施された袋10に白濁が生じているか否かを目視で確認した。結果、白濁は生じていなかった。
(実施例3)
シーラント層70として、東レフィルム加工株式会社製の未延伸ポリプロピレンフィルム ZK500Rを用いたこと以外は、実施例1の場合と同様にして、包装材料30を作製した。シーラント層70の厚みは50μmであった。包装材料30全体の厚みは70μmであった。
ZK500Rは、高い引張弾性率を有する。具体的には、流れ方向(MD)におけるZK500Rの引張弾性率は、厚みが50μmの場合に980MPaである。また、垂直方向(TD)におけるZK500Rの引張弾性率は、厚みが50μmの場合に780MPaである。従って、流れ方向におけるZK500Rの引張弾性率(MPa)と厚み(μm)の積は、厚みが50μmの場合に49000である。また、垂直方向におけるZK500Rの引張弾性率(MPa)と厚み(μm)の積は、厚みが50μmの場合に39000である。
また、ZK500Rは、低い引張伸度を有する。具体的には、流れ方向(MD)におけるZK500Rの引張伸度は、厚みが50μmの場合に770%である。また、垂直方向(TD)におけるZK500Rの引張伸度は、厚みが50μmの場合に870%である。従って、流れ方向におけるZK500Rの引張伸度(%)と厚み(μm)の積は、厚みが50μmの場合に38500である。また、垂直方向におけるZK500Rの引張伸度(%)と厚み(μm)の積は、厚みが50μmの場合に43500である。このように、ZK500Rにおいては、少なくとも1つの方向におけるシーラント層70の引張弾性率(MPa)と厚み(μm)の積が、42000以上になっている。
続いて、実施例1の場合と同様にして、ドライラミネート法により、印刷層が設けられた二軸延伸プラスチックフィルム40とシーラント層70とを積層し、包装材料30を作製した。印刷層は、シーラント層70の面側を向くようにして積層した。
続いて、実施例1の場合と同様にして、包装材料30の突き刺し強度を測定した。結果、突き刺し強度は13.6Nであった。
また、実施例1の場合と同様にして、包装材料30の流れ方向及び垂直方向における引張特性を評価した。結果、流れ方向におけるヤング率は3821MPaであった。また、垂直方向におけるヤング率は3994MPaであった。
また、実施例1の場合と同様にして、包装材料30の滑り性を評価した。結果、第1測定における静摩擦係数に対する、第2測定における静摩擦係数の比は、1.05以下であった。また、第1測定における動摩擦係数に対する、第2測定における動摩擦係数の比も、1.05以下であった。
また、実施例1の場合と同様にして、包装材料30を用いて、200gの水が収容されている袋10を作製し、袋10に加熱殺菌処理を施した。続いて、加熱殺菌処理が施された袋10に白濁が生じているか否かを目視で確認した。結果、白濁は生じていなかった。
(実施例4)
シーラント層70として、基材35の内面側に樹脂を押し出すことによって形成した50μmの厚みの樹脂層を用いたこと以外は、実施例1の場合と同様にして、包装材料30を作製した。樹脂としては、0.922g/cm3の密度を有する低密度ポリエチレンを用いた。包装材料30全体の厚みは70μmであった。
続いて、実施例1の場合と同様にして、包装材料30の突き刺し強度を測定した。結果、突き刺し強度は12.5Nであった。
また、実施例1の場合と同様にして、包装材料30の流れ方向及び垂直方向における引張特性を評価した。結果、流れ方向におけるヤング率は3918MPaであった。また、垂直方向におけるヤング率は4074MPaであった。
また、実施例1の場合と同様にして、包装材料30の滑り性を評価した。結果、第1測定における静摩擦係数に対する、第2測定における静摩擦係数の比は、1.05以下であった。また、第1測定における動摩擦係数に対する、第2測定における動摩擦係数の比も、1.05以下であった。
(実施例5)
シーラント層70として、図10に示す第1層71及び第2層72を備え、イージーピール性を有する共押し出しフィルムを用いたこと以外は、実施例1の場合と同様にして、包装材料30を作製した。第1層71は、ポリエチレンからなる、厚み45μmの層であった。第2層72は、ポリエチレンとポリプロピレンの混合樹脂を含む、厚み5μmの層であった。ポリエチレンとしては、0.950g/cm3の密度を有する高密度ポリエチレンを用いた。ポリプロピレンとしては、エチレン−プロピレンランダム共重合体を用いた。第2層72におけるポリプロピレンとポリエチレンの質量比は7:3であった。シーラント層70の厚みは50μmであった。包装材料30全体の厚みは70μmであった。
続いて、実施例1の場合と同様にして、包装材料30の突き刺し強度を測定した。結果、突き刺し強度は12.4Nであった。
また、実施例1の場合と同様にして、包装材料30の流れ方向及び垂直方向における引張特性を評価した。結果、流れ方向におけるヤング率は3799MPaであった。また、垂直方向におけるヤング率は3921MPaであった。
また、実施例1の場合と同様にして、包装材料30の滑り性を評価した。結果、第1測定における静摩擦係数に対する、第2測定における静摩擦係数の比は、1.05以下であった。また、第1測定における動摩擦係数に対する、第2測定における動摩擦係数の比も、1.05以下であった。
また、実施例1の場合と同様にして、包装材料30を用いて、200gの水が収容されている袋10を作製し、袋10に加熱殺菌処理を施した。続いて、加熱殺菌処理が施された袋10に白濁が生じているか否かを目視で確認した。結果、白濁は生じていなかった。
(実施例6)
シーラント層70として、厚さ150μmのポリエチレンフィルムを用いたこと以外は、実施例1の場合と同様にして、包装材料30を作製した。ポリエチレンとしては、0.920g/cm3の密度を有する低密度ポリエチレンを用いた。包装材料30全体の厚みは170μmであった。
続いて、実施例1の場合と同様にして、包装材料30の突き刺し強度を測定した。結果、突き刺し強度は14.1Nであった。
また、実施例1の場合と同様にして、包装材料30の流れ方向及び垂直方向における引張特性を評価した。結果、流れ方向におけるヤング率は3892MPaであった。また、垂直方向におけるヤング率は4001MPaであった。
また、実施例1の場合と同様にして、包装材料30の滑り性を評価した。結果、第1測定における静摩擦係数に対する、第2測定における静摩擦係数の比は、1.05以下であった。また、第1測定における動摩擦係数に対する、第2測定における動摩擦係数の比も、1.05以下であった。
(実施例7)
シーラント層70として、厚さ50μmのポリエチレンフィルムを用いたこと以外は、実施例1の場合と同様にして、包装材料30を作製した。ポリエチレンとしては、0.911g/cm3の密度を有する低密度ポリエチレンを用いた。包装材料30全体の厚みは70μmであった。
続いて、実施例1の場合と同様にして、包装材料30の突き刺し強度を測定した。結果、突き刺し強度は12.8Nであった。
また、実施例1の場合と同様にして、包装材料30の流れ方向及び垂直方向における引張特性を評価した。結果、流れ方向におけるヤング率は3784MPaであった。また、垂直方向におけるヤング率は3954MPaであった。
また、実施例1の場合と同様にして、包装材料30の滑り性を評価した。結果、第1測定における静摩擦係数に対する、第2測定における静摩擦係数の比は、1.05以下であった。また、第1測定における動摩擦係数に対する、第2測定における動摩擦係数の比も、1.05以下であった。
また、実施例1の場合と同様にして、包装材料30を用いて、200gの水が収容されている袋10を作製した。続いて、水が収容されている袋10に、加熱殺菌処理を施した。具体的には、ボイル処理を袋10に施した。ボイル温度は95℃であり、ボイル時間は30分であった。袋10に加熱殺菌処理を施した。続いて、加熱殺菌処理が施された袋10に白濁が生じているか否かを目視で確認した。結果、白濁は生じていなかった。
(比較例1)
包装材料30の基材35として、厚みが12μmの二軸延伸PETフィルムを用いたこと以外は、実施例1の場合と同様にして、包装材料30を作製した。二軸延伸PETフィルムとしては、流れ方向(MD)における引張強度と垂直方向(TD)における引張強度とが略同一のものを用いた。包装材料30全体の厚みは76μmであった。
続いて、実施例1の場合と同様にして、包装材料30の突き刺し強度を測定した。結果、突き刺し強度は11.3Nであった。
また、実施例1の場合と同様にして、包装材料30の流れ方向及び垂直方向における引張特性を評価した。結果、流れ方向におけるヤング率は3432MPaであった。また、垂直方向におけるヤング率は3511MPaであった。
また、実施例1の場合と同様にして、包装材料30の滑り性を評価した。結果、第1測定における静摩擦係数に対する、第2測定における静摩擦係数の比は、1.05以下であった。また、第1測定における動摩擦係数に対する、第2測定における動摩擦係数の比も、1.05以下であった。
また、実施例1の場合と同様にして、包装材料30を用いて、200gの水が収容されている袋10を作製し、袋10に加熱殺菌処理を施した。続いて、加熱殺菌処理が施された袋10に白濁が生じているか否かを目視で確認した。結果、白濁は生じていなかった。
(比較例2)
二軸延伸プラスチックフィルム40の基材35として、厚みが12μmの二軸延伸PETフィルムを用いたこと以外は、実施例2の場合と同様にして、包装材料30を作製した。二軸延伸PETフィルムとしては、流れ方向(MD)における引張強度と垂直方向(TD)における引張強度とが略同一のものを用いた。包装材料30全体の厚みは86μmであった。
続いて、実施例1の場合と同様にして、包装材料30の突き刺し強度を測定した。結果、突き刺し強度は11.1Nであった。
また、実施例1の場合と同様にして、包装材料30の流れ方向及び垂直方向における引張特性を評価した。結果、流れ方向におけるヤング率は3498MPaであった。また、垂直方向におけるヤング率は3562MPaであった。
また、実施例1の場合と同様にして、包装材料30の滑り性を評価した。結果、第1測定における静摩擦係数に対する、第2測定における静摩擦係数の比は、1.05以下であった。また、第1測定における動摩擦係数に対する、第2測定における動摩擦係数の比も、1.05以下であった。
また、実施例1の場合と同様にして、包装材料30を用いて、200gの水が収容されている袋10を作製し、袋10に加熱殺菌処理を施した。続いて、加熱殺菌処理が施された袋10に白濁が生じているか否かを目視で確認した。結果、白濁は生じていなかった。
(比較例3)
二軸延伸プラスチックフィルム40の基材35として、厚みが12μmの二軸延伸PETフィルムを用いたこと以外は、実施例3の場合と同様にして、包装材料30を作製した。二軸延伸PETフィルムとしては、流れ方向(MD)における引張強度と垂直方向(TD)における引張強度とが略同一のものを用いた。包装材料30全体の厚みは66μmであった。
続いて、実施例1の場合と同様にして、包装材料30の突き刺し強度を測定した。結果、突き刺し強度は11.5Nであった。
また、実施例1の場合と同様にして、包装材料30の流れ方向及び垂直方向における引張特性を評価した。結果、流れ方向におけるヤング率は3398MPaであった。また、垂直方向におけるヤング率は3492MPaであった。
また、実施例1の場合と同様にして、包装材料30の滑り性を評価した。結果、第1測定における静摩擦係数に対する、第2測定における静摩擦係数の比は、1.05以下であった。また、第1測定における動摩擦係数に対する、第2測定における動摩擦係数の比も、1.05以下であった。
また、実施例1の場合と同様にして、包装材料30を用いて、200gの水が収容されている袋10を作製し、袋10に加熱殺菌処理を施した。続いて、加熱殺菌処理が施された袋10に白濁が生じているか否かを目視で確認した。結果、白濁は生じていなかった。
(比較例4)
二軸延伸プラスチックフィルム40の基材35として、厚みが12μmの二軸延伸PETフィルムを用いたこと以外は、実施例4の場合と同様にして、包装材料30を作製した。二軸延伸PETフィルムとしては、流れ方向(MD)における引張強度と垂直方向(TD)における引張強度とが略同一のものを用いた。包装材料30全体の厚みは66μmであった。
続いて、実施例1の場合と同様にして、包装材料30の突き刺し強度を測定した。結果、突き刺し強度は10.8Nであった。
また、実施例1の場合と同様にして、包装材料30の流れ方向及び垂直方向における引張特性を評価した。結果、流れ方向におけるヤング率は3510MPaであった。また、垂直方向におけるヤング率は3562MPaであった。
また、実施例1の場合と同様にして、包装材料30の滑り性を評価した。結果、第1測定における静摩擦係数に対する、第2測定における静摩擦係数の比は、1.05以下であった。また、第1測定における動摩擦係数に対する、第2測定における動摩擦係数の比も、1.05以下であった。
(比較例5)
二軸延伸プラスチックフィルム40の基材35として、厚みが12μmの二軸延伸PETフィルムを用いたこと以外は、実施例5の場合と同様にして、包装材料30を作製した。二軸延伸PETフィルムとしては、流れ方向(MD)における引張強度と垂直方向(TD)における引張強度とが略同一のものを用いた。包装材料30全体の厚みは66μmであった。
続いて、実施例1の場合と同様にして、包装材料30の突き刺し強度を測定した。結果、突き刺し強度は10.5Nであった。
また、実施例1の場合と同様にして、包装材料30の流れ方向及び垂直方向における引張特性を評価した。結果、流れ方向におけるヤング率は3285MPaであった。また、垂直方向におけるヤング率は3326MPaであった。
また、実施例1の場合と同様にして、包装材料30の滑り性を評価した。結果、第1測定における静摩擦係数に対する、第2測定における静摩擦係数の比は、1.05以下であった。また、第1測定における動摩擦係数に対する、第2測定における動摩擦係数の比も、1.05以下であった。
また、実施例1の場合と同様にして、包装材料30を用いて、200gの水が収容されている袋10を作製し、袋10に加熱殺菌処理を施した。続いて、加熱殺菌処理が施された袋10に白濁が生じているか否かを目視で確認した。結果、白濁は生じていなかった。
(比較例6)
二軸延伸プラスチックフィルム40の基材35として、二軸延伸されたナイロンフィルム(厚さ15μm)を用いたこと以外は、実施例6の場合と同様にして、包装材料30を作製した。包装材料30全体の厚みは169μmであった。
続いて、実施例1の場合と同様にして、包装材料30の突き刺し強度を測定した。結果、突き刺し強度は13.8Nであった。
また、実施例1の場合と同様にして、包装材料30の流れ方向及び垂直方向における引張特性を評価した。結果、流れ方向におけるヤング率は2484MPaであった。また、垂直方向におけるヤング率は2125MPaであった。
また、実施例1の場合と同様にして、包装材料30の滑り性を評価した。結果、第1測定における静摩擦係数に対する、第2測定における静摩擦係数の比は、1.05を超えていた。また、第1測定における動摩擦係数に対する、第2測定における動摩擦係数の比も、1.05を超えていた。
実施例1〜7の包装材料30の層構成及び評価結果を、図19にまとめて示す。また、比較例1〜6の包装材料30の層構成及び評価結果を、図20にまとめて示す。図19及び図20において、「層構成」の欄には、包装材料30の構成要素を、外面側の層から順に上から記載している。図19及び図20の「外観」の欄において、「great」は、レトルト処理が施された袋10に白濁が生じていなかったことを意味し、「good」は、ボイル処理が施された袋10に白濁が生じていなかったことを意味し、「N/A」は、包装材料30の耐熱性が低いためにレトルト処理やボイル処理などの加熱殺菌処理を実施できなかったことを意味する。また、図19及び図20の「滑り性」の欄において、「great」は、第1測定における静摩擦係数及び動摩擦係数に対する、第2測定における静摩擦係数及び動摩擦係数の比が1.05以下であったことを意味し、「bad」は、する。第1測定における静摩擦係数及び動摩擦係数に対する、第2測定における静摩擦係数及び動摩擦係数の比が1.05を超えていたことを意味する。
実施例1〜7と比較例1〜6との比較から分かるように、包装材料30が高スティフネスポリエステルフィルムを含む場合、包装材料30の突き刺し強度を、包装材料30がナイロンフィルムを含む場合と同等のレベルまで高めることができた。具体的には、12.0N以上に高めることができた。実施例1、2、3、6においては、包装材料30の突き刺し強度が13.0N以上であった。また、実施例6においては、包装材料30の突き刺し強度が14.0N以上であった。
また、実施例1〜6と比較例3との比較から分かるように、包装材料30がナイロンフィルムを含まないことにより、レトルト処理やボイル処理などの加熱殺菌処理が施された袋10に白濁が生じることを抑制することができた。包装材料30及び包装製品が高温多湿環境に曝された場合に包装材料30及び包装製品の滑り性が低下してしまうことを抑制することができた。
10 袋
11 上部
12 下部
12a 下部シール部
13 側部
13a 側部シール部
14 表面フィルム
15 裏面フィルム
16 下部フィルム
17 収容部
18 内容物
20 本体部
21 注出口部
24 蒸気抜き機構
24a 蒸気抜きシール部
25 易開封性手段
26 ノッチ
30 包装材料
35 基材
40 二軸延伸プラスチックフィルム
45 接着剤層
70 シーラント層

Claims (11)

  1. 外面側から内面側へ順に、基材及びシーラント層を備える包装材料であって、
    前記基材は、ポリエステルを主成分として含む二軸延伸プラスチックフィルムを1つのみ有し、
    一方向における前記包装材料のヤング率が3600MPa以上である、包装材料。
  2. 前記包装材料の突き刺し強度が12.0N以上である、請求項1に記載の包装材料。
  3. 前記一方向及び前記一方向に直交する方向における前記包装材料のヤング率が3600MPa以上である、請求項1又は2に記載の包装材料。
  4. 前記二軸延伸プラスチックフィルムの厚みが14μm以上30μm以下である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の包装材料。
  5. 前記二軸延伸プラスチックフィルムは、90質量%以上のポリエチレンテレフタレートを含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の包装材料。
  6. 前記シーラント層は、ポリプロピレンを主成分として含む、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の包装材料。
  7. 前記シーラント層は、100℃以上の融点を有するポリエチレンを含む、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の包装材料。
  8. 前記包装材料の厚みは100μm以下である、請求項6又は7に記載の包装材料。
  9. 前記シーラント層は、ポリエチレンを含み、
    前記包装材料の厚みは60μm以上且つ200μm以下である、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の包装材料。
  10. 前記シーラント層は、ポリエチレン又はポリプロピレンを主成分とする第1層と、第1層よりも内面側に位置し、ポリエチレンとポリプロピレンの混合樹脂を含む第2層と、を有する、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の包装材料。
  11. 請求項1乃至10のいずれか一項に記載の包装材料を備える包装製品。
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