JP2023051551A - パウチ - Google Patents

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Shun ISHIKAWA
和弘 多久島
Kazuhiro Takushima
和佳子 仙頭
Wakako Sento
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Abstract

【課題】内容物がパウチの外部に漏れることを抑制する。【解決手段】パウチは、第1側部シール部、第2側部シール部及び上部シール部と、上部シール部によって収容部から隔離された第1非シール部と、第1非シール部の輪郭の内側に位置する貫通部と、を備える。上部シール部は、収容部と第1非シール部との間に位置する第1中間シール部を含む。第1中間シール部は、第2方向に並ぶ第1部分及び第2部分と、第1部分及び第2部分に接続され、第1部分及び第2部分から収容部に向かって突出した突出部分と、を含む。貫通部は、第2方向に沿って見た場合に第1部分又は第2部分に重なるよう配置されている。【選択図】図1

Description

本発明は、パウチに関する。
従来、調理済あるいは半調理済の液体、粘体あるいは液体と固体とが混在する内容物を、プラスチック製の積層体から構成されたパウチに充填密封したものが多く市場に出回っている。パウチにおいては、積層体同士が接合されていない非シール部が、内容物が収容される収容部を構成している。また、積層体同士が接合されているシール部が、収容部を密封している。内容物は、例えば、カレー、シチュー、スープ等の調理済食品である。内容物は、パウチに収容された状態で、電子レンジなどによって加熱される。
密封された状態のパウチに収容された内容物を、電子レンジを利用して加熱すると、加熱に伴って内容物に含まれる水分が蒸発して収容部の圧力が高まっていく。パウチの収容部の圧力が高まると、パウチが破裂して内容物が飛散し電子レンジ内を汚してしまうおそれがある。このような課題を考慮し、例えば特許文献1は、収容部の圧力が高まると収容部と外部とを自動的に連通させて収容部内の蒸気を外部に逃がす蒸気抜き機構をパウチに設けることを提案している。特許文献1において、蒸気抜き機構は、パウチの側縁に沿って延びるシール部から内側に膨出した膨出シール部と、膨出シール部によって収容部から隔離されるとともに、パウチの側縁に達するように広がる非シール部と、を有する。収容部の圧力が高まると、膨出シール部が剥離し、収容部と非シール部とが連通する。
特開平10-101154号公報
収容部において発生した蒸気は、膨出シール部の剥離部分を通ってパウチの側縁から排出される。膨出シール部及び非シール部の構成が不適切である場合、内容物がパウチの外部に漏れることがある。
本発明は、このような課題を効果的に解決し得るパウチを提供することを目的とする。
本発明は、内容物を収容する収容部が表面フィルムと裏面フィルムとの間に画成されたパウチであって、
前記パウチの第1側部に位置し、前記表面フィルムの内面と前記裏面フィルムの内面とを接合する第1側部シール部と、
前記パウチの前記第1側部に第1方向において対向する第2側部に位置し、前記第1側部シール部との間に前記収容部を画成する第2側部シール部と、
前記パウチの上部に位置し、前記第1側部シール部から前記第2側部シール部まで延びる上部シール部と、
前記上部シール部によって前記収容部から隔離された第1非シール部と、
前記第1非シール部の輪郭の内側に位置し、前記表面フィルム又は前記裏面フィルムの少なくとも一方を貫通する貫通部と、を備え、
前記上部シール部は、前記収容部と前記第1非シール部との間に位置する第1中間シール部を含み、
前記第1中間シール部は、前記第1方向に直交する第2方向に並ぶ第1部分及び第2部分と、前記第1部分及び前記第2部分に接続され、前記第1部分及び前記第2部分から前記収容部に向かって突出した突出部分と、を含み、
前記貫通部は、前記第2方向に沿って見た場合に前記第1部分又は前記第2部分に重なるよう配置されている、パウチである。
本発明によるパウチにおいて、前記第1部分は、前記第1側部シール部に接続されていてもよく、前記第2部分は、前記第2側部シール部に接続されていてもよい。
本発明によるパウチにおいて、前記上部シール部は、前記第1非シール部から前記第1側部シール部まで延びる第1上部シール部と、前記第1非シール部から前記第2側部シール部まで延びる第2上部シール部と、を含んでいてもよく、前記第1中間シール部の前記第1部分は、前記第1上部シール部に接続されていてもよく、前記第1中間シール部の前記第2部分は、前記第2上部シール部に接続されていてもよい。
本発明によるパウチにおいて、前記上部シール部は、前記第1非シール部と前記パウチの上縁との間に位置し、前記第2方向に沿って見た場合に前記第1中間シール部に重なる第2中間シール部を含んでいてもよい。
本発明によるパウチにおいて、前記第2中間シール部は、前記第1上部シール部及び前記第2上部シール部よりも小さい幅を有していてもよい。
本発明によるパウチにおいて、前記第1非シール部は、前記パウチの上縁に達するよう広がっていてもよい。
本発明によるパウチにおいて、前記上部シール部は、前記第2方向に沿って見た場合に前記第1上部シール部又は前記第2上部シール部に重なる部分を含み、前記第1上部シール部又は前記第2上部シール部との間に第2非シール部を画成する堤防シール部を含んでいてもよく、前記第2非シール部の輪郭の内側には、第2貫通部が形成されていてもよく、前記第1中間シール部の前記突出部分は、前記堤防シール部を超えて突出していてもよい。
本発明によるパウチにおいて、前記第1中間シール部の前記突出部分の先端と、前記堤防シール部との間の、前記第2方向における距離が、5.0mm以上であってもよい。
本発明によるパウチにおいて、第1方向における前記収容部の寸法に対する、第1方向における前記第1非シール部の寸法の比率が、0.07以上であってもよい。
本発明によるパウチにおいて、第1方向における前記収容部の寸法に対する、前記第1方向における前記第1部分と前記第2部分との間の間隔の比率が、0.05以上0.15以下であってもよい。
本発明によるパウチにおいて、前記表面フィルムの内面と前記裏面フィルムの内面とを接合するシール部は、10N以下の熱間シール強度を有していてもよく、
前記熱間シール強度は、前記シール部を含む試験片を100℃の環境下で1分間保持した後、100℃の環境下で測定したときのシール強度であってもよい。
本発明によるパウチにおいて、前記表面フィルム及び前記裏面フィルムを構成する包装材料は、第1の二軸延伸プラスチックフィルムと、第2の二軸延伸プラスチックフィルムと、シーラントフィルムとをこの順に備えていてもよく、
前記包装材料中に二軸延伸プラスチックフィルムは2枚のみであってもよい。
本発明によるパウチにおいて、前記包装材料を100℃の環境下で1分間保持した後、100℃の環境下で測定したときの前記包装材料の一方向における破断強度が、33.0MPa以上であってもよい。
本発明によるパウチにおいて、前記第1の二軸延伸プラスチックフィルムが二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムであってもよく、
前記第2の二軸延伸プラスチックフィルムが二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムまたは二軸延伸ナイロンフィルムであってもよい。
本発明によるパウチにおいて、前記包装材料が、前記第1の二軸延伸プラスチックフィルムと前記第2の二軸延伸プラスチックフィルムの間に位置する透明蒸着層をさらに備えていてもよく、
前記透明蒸着層が、金属酸化物または無機酸化物を含んでいてもよい。
本発明によるパウチにおいて、前記表面フィルム及び前記裏面フィルムを構成する包装材料は、二軸延伸プラスチックフィルムと、シーラントフィルムとをこの順に備えていてもよく、
前記包装材料中に二軸延伸プラスチックフィルムは1枚のみであってもよい。
本発明によるパウチにおいて、前記包装材料の一方向におけるヤング率が3600MPa以上であってもよい。
本発明によるパウチにおいて、前記包装材料が、前記二軸延伸プラスチックフィルムの面上に設けられた透明蒸着層をさらに備えていてもよく、
前記透明蒸着層が、金属酸化物または無機酸化物を含んでいてもよい。
本発明によるパウチにおいて、前記包装材料が、前記透明蒸着層の面上に位置する透明ガスバリア性塗布膜をさらに備えていてもよい。
本発明によるパウチにおいて、前記シーラントフィルムが、プロピレン・エチレンブロック共重合体と、エラストマーとを含んでいてもよい。
本発明によるパウチにおいて、前記パウチの前記収容部に肉を含む内容物が収容されていてもよく、
前記パウチは電子レンジで加熱されてもよい。
本発明によるパウチにおいて、前記内容物が、3mm以上の寸法を有する前記肉を50個以上含んでいてもよい。
本発明によるパウチにおいて、3mm以上の寸法を有する前記肉の数を前記内容物の重量で割った値が0.3個/g以上であってもよい。
本発明によるパウチにおいて、前記内容物は、前記肉を含む具材と、粘性成分とを備えていてもよく、
前記内容物の重量に対する前記具材の重量の比率が8%以上であってもよく、
前記具材の重量に対する前記肉の重量の比率が20%以上であってもよい。
本発明によれば、内容物がパウチの外部に漏れることを抑制できる。
第1の実施の形態におけるパウチを示す正面図である。 図1に示すパウチをA-A線に沿って見た場合の一例を示す断面図である。 図1に示すパウチをA-A線に沿って見た場合の一例を示す断面図である。 内容物を収容している状態のパウチを示す正面図である。 電子レンジで加熱されるときのパウチの状態の一例を示す断面図である。 パウチの上部を示す正面図である。 蒸気抜き機構を示す正面図である。 パウチを構成する包装材料の層構成の一例を示す断面図である。 パウチを構成する包装材料の層構成の一例を示す断面図である。 パウチを構成する包装材料の層構成の一例を示す断面図である。 パウチを構成する包装材料の層構成の一例を示す断面図である。 試験片を準備する方法の一例を示す図である。 熱間破断強度の測定方法を説明するための図である。 試験片を準備する方法の一例を示す図である。 熱間シール強度の測定方法を説明するための図である。 熱間シール強度の測定方法を説明するための図である。 熱間シール強度の測定方法を説明するための図である。 ループスティフネス測定器の一例を示す平面図である。 図15のループスティフネス測定器の線C-Cに沿った断面図である。 ループスティフネス測定器に試験片を取り付ける工程を説明するための図である。 試験片にループ部を形成する工程を説明するための図である。 試験片のループ部に荷重を加える工程を説明するための図である。 試験片のループ部に荷重を加える工程を説明するための図である。 上部シール部の第1中間シール部が剥離して収容部が第1非シール部に連通する様子を示す図である。 蒸気抜き機構の一変形例を示す正面図である。 第2の実施の形態における蒸気抜き機構を示す正面図である。 第3の実施の形態における蒸気抜き機構を示す正面図である。 蒸気抜き機構の一変形例を示す正面図である。 実施例の包装材料1~3の評価結果を示す図である。 実施例の包装材料4の評価結果を示す図である。 実施例の内容物1の分析結果を示す図である。 実施例の内容物1の分析結果を示す図である。 実施例及び比較例のパウチの評価結果を示す図である。 実施例1のパウチの剥離部分を示す図である。 実施例2のパウチの剥離部分を示す図である。 実施例3のパウチの剥離部分を示す図である。 実施例4のパウチの剥離部分を示す図である。 実施例5のパウチの剥離部分を示す図である。 比較例1のパウチの蒸気抜き機構を示す平面図である。 比較例1のパウチの剥離部分を示す図である。
第1の実施の形態
図面を参照して、本発明の一実施の形態について説明する。本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから適宜変更し誇張してある。
本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等は、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈される。
本明細書において、あるパラメータに関して2つ以上の上限値の候補及び2つ以上の下限値の候補が挙げられている場合、そのパラメータの数値範囲は、任意の1つの上限値の候補と任意の1つの下限値の候補とを組み合わせることによって構成されてもよい。例えば、「パラメータBは、例えばA1以上であり、A2以上であってもよい。パラメータBは、例えばA3以下であり、A4以下であってもよい。」と記載されている場合を考える。この場合、パラメータBの数値範囲は、A1以上A3以下であってもよく、A1以上A4以下であってもよく、A2以上A3以下であってもよく、A2以上A4以下であってもよい。
パウチ
図1は、本実施の形態によるパウチ10を表面側から見た場合を示す正面図である。パウチ10は、内容物を収容するための収容部18を備える。図1においては、内容物が収容されていない状態のパウチ10が示されている。以下、パウチ10の構成について説明する。
図1に示すように、パウチ10は、上部11、下部12、第1側部13及び第2側部14を含み、正面図において略矩形状の輪郭を有する。「上部」、「下部」及び「側部」などの名称、並びに、「上方」、「下方」などの用語は、パウチ10を加熱するときに下方に位置することができる辺を下部と定義した場合の、パウチ10やその構成要素の位置や方向を相対的に表したものである。パウチ10が後述する蒸気抜き機構を備える場合、蒸気抜き機構が上方に位置するようにパウチ10の姿勢が調整される。パウチ10を加熱するとき以外のパウチ10の姿勢は、本明細書における名称や用語によっては限定されない。
パウチ10は、表面を構成する表面フィルム15、及び裏面を構成する裏面フィルム16を備える。各フィルムはいずれも、少なくとも1つの二軸延伸プラスチックフィルムと、シーラントフィルムと、を備える包装材料によって構成されている。
「表面フィルム」及び「裏面フィルム」という用語は、位置関係に応じて各フィルムを区画したものに過ぎず、パウチ10を製造する際のフィルムの提供方法が、上述の用語によって限定されることはない。例えば、パウチ10は、表面フィルム15と裏面フィルム16が連設された1枚のフィルムを用いて製造されてもよく、1枚の表面フィルム15と1枚の裏面フィルム16の計2枚のフィルムを用いて製造されてもよい。
表面フィルム15及び裏面フィルム16は、内面同士がシール部によって接合されている。図1などのパウチ10の正面図においは、シール部にハッチングが施されている。シール部、表面フィルム15及び裏面フィルム16によって画成されている空間が、内容物を収容するための収容部18として機能できる。
対向するフィルム同士を接合することができる限りにおいて、シール部を形成するための方法が特に限られることはない。例えば、加熱などによってフィルムの内面を溶融させ、内面同士を溶着させることによって、すなわちヒートシールによって、シール部を形成してもよい。若しくは、接着剤などを用いて対向するフィルムの内面同士を接着することによって、シール部を形成してもよい。
図1に示すように、パウチ10のシール部は、第1側部シール部30、第2側部シール部35及び上部シール部20を有する。第1側部シール部30は、パウチ10の第1側部13に位置する。第2側部シール部35は、第2側部14に位置する。第2側部シール部35は、第1側部シール部30に第1方向D1において対向する。上部シール部20は、上部11に位置する。上部シール部20は、第1側部シール部30から第2側部シール部35まで延びている。上部シール部20は、第1側部シール部30及び第2側部シール部35に接続されている。第1側部シール部30、第2側部シール部35及び上部シール部20によって囲われた非シール部が、内容物を収容する収容部18として機能する。
内容物が充填される前の状態(内容物が収容されていない状態)のパウチ10においては、図1に示すように、パウチ10の下部12は開口部12bになっている。図示はしないが、下部12には下部シール部が形成され、上部11に開口部が形成されていてもよい。
パウチ10は、収容部18として機能する非シール部に加えて、図1に示すように、上部シール部20によって収容部18から隔離された第1非シール部26を更に備える。非シール部とは、対向する内面同士が接合されていないフィルムが存在する部分である。第1非シール部26は、パウチ10の上部11に位置している。
上部シール部20は、第1非シール部26を画成するよう構成されている。例えば図1に示すように、上部シール部20は、第1中間シール部21を含む。第1中間シール部21は、収容部18と第1非シール部26との間に位置する。図1に示すように、第1中間シール部21は、第1側部シール部30から第2側部シール部35まで延びていてもよい。この場合、第1中間シール部21は、第1側部シール部30に接続された第1端と、第2側部シール部35に接続された第2端と、を含む。
第1中間シール部21は、内縁21a及び外縁21bを含む。「内縁」とは、収容部18に近い側に位置するシール部の縁である。「外縁」とは、収容部18から遠い側に位置するシール部の縁である。第1中間シール部21の内縁21aは、収容部18に接している。第1中間シール部21の外縁21bは、第1非シール部26に接している。
上部シール部20は、第2中間シール部22を含んでいてもよい。第2中間シール部22は、第1非シール部26とパウチ10の上縁11xとの間に位置している。第2中間シール部22は、第2方向D2に沿って見た場合に第1中間シール部21に重なっている。図1に示すように、第2中間シール部22は、第1側部シール部30から第2側部シール部35まで上縁11xに沿って第1方向D1に延びていてもよい。
第1中間シール部21は、パウチ10を加熱したときに部分的に剥離するよう構成されている。第1中間シール部21は、第1部分211、第2部分212及び突出部分213を含む。第1部分211及び第2部分212は、間隔を空けて第2方向D2に並んでいる。突出部分213は、第1部分211及び第2部分212に接続されている。突出部分213は、第1部分211及び第2部分212から収容部18に向かって突出している。突出部分213は、収容部18の中心点Cに向かって突出していてもよい。第2方向D2に沿って見た場合に突出部分213は中心点Cに重なっていてもよい。
図1に示すように、突出部分213は、接点P11及び接点P21を含んでいてもよい。接点P11は、直線SL1と突出部分213の内縁21aとが接する点である。直線SL1は、中心点Cを通り、且つ第1部分211に交わる。接点P21は、直線SL2と突出部分213の内縁21aとが接する点である。直線SL2は、中心点Cを通り、且つ第2部分212に交わる。
図1に示すように、パウチ10は、第1非シール部26の輪郭の内側に位置する貫通部27を備える。貫通部27は、表面フィルム15又は裏面フィルム16の少なくとも一方を貫通している。パウチ10は、複数の貫通部27を備えていてもよい。
加熱によって収容部18に蒸気が発生して収容部18の圧力が高まると、第1中間シール部21に力が加わる。突出部分213から中心点Cまでの距離は、第1部分211から中心点Cまでの距離及び第2部分212から中心点Cまでの距離よりも短い。このため、突出部分213に加わる力は、第1部分211に加わる力及び第2部分212に加わる力よりも大きい。従って、突出部分213は、第1部分211及び第2部分212よりも先に剥離しやすい。
突出部分213が剥離すると、収容部18と第1非シール部26とが連通する。収容部18から第1非シール部26に流入した蒸気は、貫通部27から外部に排出され得る。このように、第1中間シール部21、第1非シール部26及び貫通部27は、収容部18の蒸気を外部に排出する蒸気抜き機構25として機能する。
図2は、図1のA-A線に沿って見た場合のパウチ10の一例を示す断面図である。貫通部27は、表面フィルム15及び裏面フィルム16を貫通していてもよい。
貫通部27からの蒸気の排出が始まると、収容部18の圧力の増加が抑制される。このため、第1部分211及び第2部分212の剥離は生じにくい。図1に示すように、貫通部27は、第2方向D2に沿って見た場合に第1部分211又は第2部分212に重なるよう配置されている。例えば、第1方向D1における貫通部27の寸法の大部分、例えば90%以上は、第2方向D2に沿って見た場合に第1部分211又は第2部分212に重なっている。このため、パウチ10が加熱されているとき、貫通部27の下方には第1部分211又は第2部分212が残っている。これにより、加熱されて上方に跳ね上がった内容物が貫通部27に到達することを、第1部分211又は第2部分212によって抑制できる。このため、内容物が貫通部27から漏れることを抑制できる。
図3は、図1のA-A線に沿って見た場合のパウチ10のその他の例を示す断面図である。貫通部27は、表面フィルム15を貫通するが裏面フィルム16を貫通していなくてもよい。言い換えると、表面フィルム15には貫通部27が形成されているが、裏面フィルム16には貫通部27が形成されていなくてもよい。
図1に示すように、パウチ10は、第1側部シール部30に位置する開封手段31を備えていてもよい。開封手段31は、表面フィルム15及び裏面フィルム16を貫通している。開封手段31は、ノッチ、切り込みなどである。開封手段31は、使用者がパウチ10を引き裂く際の起点になることができる。開封手段31は、第1側縁13xから収容部18に向かって延びている。
図1に示すように、パウチ10は、第2側部シール部35に位置する開封手段36を備えていてもよい。開封手段36は、表面フィルム15及び裏面フィルム16を貫通している。開封手段36は、ノッチ、切り込みなどである。開封手段36は、開封手段31と同様に、使用者がパウチ10を引き裂く際の起点になることができる。開封手段36は、第2側縁14xから収容部18に向かって延びている。開封手段36は、第1方向D1において開封手段31に対向するよう配置されていてもよい。
図4は、内容物19が収容され、下部12が封止された状態のパウチ10を示す図である。下部12の開口部12bを介してパウチ10に内容物が充填された後、表面フィルム15の内面と裏面フィルム16の内面とが下部12において接合される。これにより、下部シール部12aが形成されてパウチ10が封止される。
上述の中心点Cは、平面視において第1側部シール部30の内縁30aの基準点Y1と第2側部シール部35の内縁35aの基準点Y2とを結ぶ線分の基準点として定義される。基準点Y1及び基準点Y2は、中間線L02と内縁30a及び内縁35aとの交点である。中間線L02は、第2方向D2における収容部18の寸法が最大になる位置において、第2方向D2における収容部18の中間位置を通り、第1方向D1に延びる直線である。第2方向D2における収容部18の中間位置は、第2方向D2における収容部18の寸法が最大になる位置で規定される。
第1方向D1における収容部18の寸法H1は、中心点Cの位置において規定される。第2方向D2における収容部18の寸法H2は、収容部18の寸法が最大になる位置で規定される。図4に示す例において、寸法H2は、第1部分211と下部シール部12aとの間の、第2方向D2における距離である。
符号H3は、第1側部シール部30の内縁30aから第1中間シール部21の突出部分213の先端までの、第1方向D1における距離を表す。突出部分213の先端は、突出部分213において中心点Cに最も近接している。寸法H1に対する距離H3の比率であるH3/H1は、例えば0.40以上であり、0.45以上であってもよく、0.48以上であってもよい。H3/H1は、例えば0.60以下であり、0.55以下であってもよく、0.52以下であってもよい。
符号H4は、中心点Cから突出部分213の先端までの、第2方向D2における距離を表す。寸法H2に対する距離H4の比率であるH4/H2は、例えば0.30以上であり、0.35以上であってもよく、0.38以上であってもよい。H4/H2は、例えば0.47以下であり、0.45以下であってもよく、0.43以下であってもよい。
図1及び図4に示すように、第1側部シール部30は、上部11に向かうにつれて幅W11が増加する部分を含んでいてもよい。例えば、第1側部シール部30の内縁30aの一部は、上部11に近づくにつれて第1側縁13xから離れるよう、第2方向D2に対して傾斜していてもよい。これにより、上部11の近傍における第1側部シール部30の幅W11_1を、下部12の近傍における第1側部シール部30の幅W11_2よりも大きくできる。幅W11_1は、収容部18の上端の位置における第1側部シール部30の幅である。幅W11_2は、収容部18の下端の位置における第1側部シール部30の幅である。幅W11_2は、幅W11の最小値であってもよい。
第1側部シール部30の幅W11が、上方に向かうにつれて増加することにより、第1非シール部26の近傍における第1側部シール部30の剛性を高めることができる。これにより、加熱によって収容部18の圧力が高まったときに、第1非シール部26の近傍でパウチ10が折れ曲がることを抑制できる。このため、蒸気の流路がパウチ10の折れ曲がりによって塞がれることを抑制できる。
また、下部12の近傍における第1側部シール部30の幅W11を小さくすることにより、下部12の開口部12bの第1方向D1における寸法を大きくできる。これにより、内容物をより容易に開口部12bから充填できる。
幅W11_2に対する幅W11_1の比率であるW11_1/W11_2は、例えば1.1以上であり、1.3以上であってもよく、1.5以上であってもよい。W11_1/W11_2は、例えば2.5以下であり、2.2以下であってもよく、2.0以下であってもよい。
図1及び図4に示すように、第2側部シール部35も、第1側部シール部30と同様に、上部11に向かうにつれて幅W12が増加する部分を含んでいてもよい。第2側部シール部35の幅W12_1及び幅W12_1は、第1側部シール部30の幅W11_1及び幅W11_1に相当する。
パウチ10に収容される内容物19は、電子レンジによって加熱される。内容物19は、具材及び液体成分を含んでいてもよい。具材は、肉などの油を含む成分を含んでいてもよい。内容物19の例は、カレー、シチュー、スープ、煮物、ハンバーグ等の調理済食品である。
パウチ10に収容される内容物19の重量は、例えば50g以上であり、100g以上であってもよく、130g以上であってもよい。パウチ10に収容される内容物19の重量は、例えば250g以下であり、220g以下であってもよく、200g以下であってもよい。
内容物19全体の重量に対する具材の重量の比率は、例えば5%以上であり、8%以上であってもよく、10%以上であってもよい。内容物19全体の重量に対する具材の重量の比率は、例えば20%以下であり、15%以下であってもよく、13%以下であってもよい。具材は、内容物19から液体成分を取り除くことにより得られる。例えば、ざるを用いて内容物19中の液体成分を濾すことにより、具材を得ることができる。ざるの目は、例えば0.7mmである。
具材の重量に対する肉の重量の比率は、例えば8%以上であり、10%以上であってもよく、15%以上であってもよく、20%以上であってもよく、25%以上であってもよい。具材の重量に対する肉の重量の比率は、例えば50%以下であり、40%以下であってもよく、30%以下であってもよい。
内容物19全体の重量に対する肉の重量の比率は、例えば1.0%以上であり、1.5%以上であってもよく、2.0%以上であってもよい。内容物19全体の重量に対する肉の重量の比率は、例えば10.0%以下であり、6.0%以下であってもよく、4.0%以下であってもよい。
肉は、粒の形状を有していてもよい。例えば、肉はひき肉であってもよい。肉の寸法は、1mm以上であってもよく、3mm以上であってもよく、5mm以上であってもよい。肉の寸法は、12mm以下であってもよく、10mm以下であってもよく、7mm以下であってもよい。寸法は、肉の寸法が最大になる方向において測定される。肉の寸法は、顕微鏡を用いて肉を観察することによって算出され得る。顕微鏡としては、キーエンス製のVHX-6000を用いることができる。顕微鏡のレンズとしては、キーエンス製のVH-ZSTを用いることができる。観察倍率は例えば20倍である。
3mm以上12mm以下の寸法を有する肉は、パウチ10の排気性などに影響を及ぼしやすい。本実施の形態によれば、パウチ10に貫通部27を形成することにより、内容物19が3mm以上12mm以下の寸法を有する肉を含む場合であっても、蒸気をパウチ10の外部に適切に排出できる。
内容物19に含まれる、3mm以上12mm以下の寸法を有する肉の数は、例えば30個以上であり、50個以上であってもよく、70個以上であってもよい。内容物19に含まれる、3mm以上12mm以下の寸法を有する肉の数は、例えば200個以下であり、150個以下であってもよく、100個以下であってもよい。
内容物19に含まれる、3mm以上12mm以下の寸法を有する肉の数を、内容物の重量で割った値は、例えば0.2個/g以上であり、0.3個/g以上であってもよく、0.4個/g以上であってもよい。内容物19に含まれる、3mm以上12mm以下の寸法を有する肉の数を、内容物の重量で割った値は、例えば1.5個/g以下であり、1.0個/g以下であってもよく、0.7個/g以下であってもよい。
内容物19の液体成分は、粘性を有する粘性成分であってもよい。95℃における粘性成分の粘度は、例えば1000mPa・S以上であり、1200mPa・S以上であってもよく、1500mPa・S以上であってもよい。95℃における粘性成分の粘度は、例えば2500mPa・S以下であり、2000mPa・S以下であってもよく、1800mPa・S以下であってもよい。このような粘性成分は、例えばキーマカレーのルーである。
50℃における粘性成分の粘度は、例えば500mPa・S以上であり、800mPa・S以上であってもよく、1000mPa・S以上であってもよい。50℃における粘性成分の粘度は、例えば2000mPa・S以下であり、1500mPa・S以下であってもよく、1300mPa・S以下であってもよい。このような粘性成分は、例えば一般的なカレーのルーである。
粘度の測定器としては、英弘精機製デジタル粘度計DV-Eを用いることができる。スピンドルは例えばS63であり、回転数は例えば60rpmである。
図5は、電子レンジで加熱されるときのパウチ10の状態の一例を示す断面図である。図5に示すパウチ10の断面は、図4のB-Bに沿ってパウチ10を見た場合を示している。
図5に示すように、パウチ10は、水平面120に対して角度θaで傾けられた状態で加熱されてもよい。下部12が下方に位置するようパウチ10が傾けられてもよい。これにより、内容物19の上面19aが第1中間シール部21に接することを抑制できる。角度θaは、例えば5°以上であり、10°以上であってもよく、15°以上であってもよい。角度θaは、例えば50°以下であり、40°以下であってもよく、30°以下であってもよい。
角度θaは、例えば、パウチ10を収容するためのカートン100を利用することによって実現されてもよい。カートン100は、パウチ10を収容する本体部101と、本体部101に連設されている蓋102と、を含んでいてもよい。
例えば使用者は、カートン100の背面の連設部103においてのみ蓋102が本体部101に連設されるようにカートン100を開封する。続いて、使用者は、連設部103を軸として蓋102を本体部101の背面側へ回転させる。これにより、図5に示すように、水平面120と本体部101との間に蓋102が位置することができる。このため、蓋102の寸法に応じてパウチ10の上部11を下部12よりも上方に位置付けることができる。これにより、パウチ10が水平面120に対して角度θaで傾けられる。
図5において、符号Lmは、内容物19の上面19aと第1中間シール部21の突出部分213との間の距離を表す。本実施の形態によれば、蒸気抜き機構25を上部11に配置することにより、距離Lmを大きくできる。これにより、加熱されて上方に跳ね上がった内容物が第1非シール部26に入ることを抑制できる。
上部11について詳細に説明する。図6は、上部11を拡大して示す正面図である。図7は、上部11の蒸気抜き機構25を拡大して示す正面図である。
第1中間シール部21の突出部分213の幅W213は、第1部分211の幅W211よりも小さくてもよい。幅W213は、例えば4.0mm以下であり、3.5mm以下であってもよく、3.0mm以下であってもよい。幅W211に対する幅W213の比率であるW213/W211は、例えば0.9以下であり、0.8以下であってもよく、0.7以下であってもよい。W213/W211は、例えば0.2以上であり、0.3以上であってもよく、0.4以上であってもよい。
第1中間シール部21の突出部分213の幅W213は、第2部分212の幅W212よりも小さくてもよい。幅W212に対する幅W213の比率であるW213/W212の数値範囲は、W213/W211の上述の数値範囲と同様である。
第1非シール部26は、第1方向D1において寸法L11を有する。図6に示す例において、寸法L11は、第1側部シール部30の内縁30aと第2側部シール部35の内縁35aとの間の間隔である。
符号L12は、第1部分211に接する第1非シール部26の、第2方向D2における寸法を表す。寸法L12は、突出部分213の剥離部分から第1非シール部26に流入した蒸気が適切に貫通部27に至るよう、設定される。寸法L12は、例えば5mm以上であり、8mm以上であってもよく、10mm以上であってもよい。寸法L12は、例えば20mm以下であり、17mm以下であってもよく、15mm以下であってもよい。
符号L13は、第1部分211と第2部分212との間の、第1方向D1における間隔を表す。間隔L13は、突出部分213の剥離部分から第1非シール部26に流入した蒸気が適切に貫通部27に至るよう、設定される。間隔L13は、例えば5mm以上であり、8mm以上であってもよく、10mm以上であってもよい。間隔L13は、例えば20mm以下であり、17mm以下であってもよく、15mm以下であってもよい。
第1方向における収容部18の寸法H1に対する間隔L13の比率であるL13/H1は、例えば0.05以上であり、0.07以上であってもよく、0.09以上であってもよい。L13/H1は、例えば0.15以下であり、0.13以下であってもよく、0.11以下であってもよい。
符号L14は、第2方向D2における突出部分213の寸法を表す。寸法L14は、収容部18の圧力に起因する力を突出部分213が受け止めることができるよう、設定される。これにより、剥離が第1部分211及び第2部分212まで進行することを抑制できる。突出部分213が上述の接点P11及び接点P21を含むことも、剥離の進行の抑制に寄与できる。
寸法L14は、例えば5mm以上であり、8mm以上であってもよく、10mm以上であってもよい。寸法L14は、例えば20mm以下であり、17mm以下であってもよく、15mm以下であってもよい。
第1方向における収容部18の寸法H1に対する寸法L14の比率であるL14/H1は、例えば0.05以上であり、0.07以上であってもよく、0.09以上であってもよい。L14/H1は、例えば0.15以下であり、0.13以下であってもよく、0.11以下であってもよい。
寸法L15は、上縁11xから開封手段31までの、第2方向D2における距離を表す。距離L15は、例えば20mm以上であり、25mm以上であってもよい。距離L15は、例えば45mm以下であり、40mm以下であってもよい。
開封手段31は、第1方向D1に沿って見た場合に突出部分213と重ならないよう配置されていてもよい。図示はしないが、開封手段31は、第1方向D1に沿って見た場合に突出部分213と重なるよう配置されていてもよい。加熱により突出部分213が剥離している場合、使用者は、突出部分213によって阻害されることなく、加熱後のパウチ10を引き裂くことができる。
符号S11は、第1方向D1における貫通部27の寸法を表す。符号S12は、第2方向D2における貫通部27の寸法を表す。寸法S11及び寸法S12は、例えば5mm以上であり、6mm以上であってもよく、7mm以上であってもよい。これにより、貫通部27から蒸気を適切に排出できる。寸法S11及び寸法S12は、例えば12mm以下であり、10mm以下であってもよく、8mm以下であってもよい。これにより、貫通部27から内容物19が漏れることを抑制できる。
次に、図7を参照して、第1部分211と突出部分213の境界について説明する。符号M13は、突出部分213と第1部分211の境界の近傍で突出部分213の内縁21aに接する直線を表す。突出部分213と第1部分211の境界の近傍では、直線M13の接点P13が第1部分211に近づくにつれて、直線M13が第1側部13に向かって傾いていく。符号θ13は、境界の近傍で収容部18に向かって延びる突出部分213の内縁21aに対して、直線M13が成す角度を表す。第1部分211と突出部分213の境界は、角度θ13が20°になる位置として定義されてもよい。符号BL1は、第1部分211と突出部分213の間の境界線である。境界線BL1は、角度θ13が20°になるときの接点P13を通り、第1方向D1に延びる。
突出部分213と第1部分211の境界で第1中間シール部21が延びる方向を変化させることにより、第1部分211の剥離が進行することを抑制できる。
第2部分212と突出部分213の境界も、第1部分211と突出部分213の境界と同様に規定される。符号M23は、突出部分213と第2部分212の境界の近傍で突出部分213の内縁21aに接する直線を表す。突出部分213と第2部分212の境界の近傍では、直線M23の接点P23が第2部分212に近づくにつれて、直線M23が第2側部14に向かって傾いていく。符号θ23は、境界の近傍で収容部18に向かって延びる突出部分213の内縁21aに対して、直線M23が成す角度を表す。第2部分212と突出部分213の境界は、角度θ23が20°になる位置として定義されてもよい。符号BL2は、第2部分212と突出部分213の間の境界線である。境界線BL2は、角度θ23が20°になるときの接点P23を通り、第1方向D1に延びる。
突出部分213と第2部分212の境界で第1中間シール部21が延びる方向を変化させることにより、第2部分212の剥離が進行することを抑制できる。
次に、表面フィルム15及び裏面フィルム16を構成する包装材料70の層構成について説明する。図8は、包装材料70の層構成の一例を示す断面図である。
図8に示す包装材料70は、第1の二軸延伸プラスチックフィルム71、第1接着剤層76、第2の二軸延伸プラスチックフィルム72、第2接着剤層77及びシーラントフィルム75をこの順で少なくとも備える。第1の二軸延伸プラスチックフィルム71は、外面70y側に位置しており、シーラントフィルム75は、外面70yの反対側の内面70x側に位置している。内面70xは、収容部18に面している。
第1の二軸延伸プラスチックフィルム71、第2の二軸延伸プラスチックフィルム72、シーラントフィルム75などの、包装材料70を構成する各フィルム、並びに包装材料70は、流れ方向及び垂直方向を有する。流れ方向とは、フィルムを成形する際にフィルムが流れる方向であり、いわゆるMD(Machine Direction)である。垂直方向とは、流れ方向に直交する方向であり、いわゆるTD(Transverse Direction)である。図1に示すパウチ10においては、第1方向D1が流れ方向であり、第2方向D2が垂直方向である。
包装材料70の各層についてそれぞれ詳細に説明する。
(第1の二軸延伸プラスチックフィルム)
第1の二軸延伸プラスチックフィルム71は、所定の二方向において延伸され、プラスチックからなるフィルムである。二軸延伸プラスチックフィルムとは、プラスチックフィルムの機械強度を向上させるために、意図的に延伸加工が施されたプラスチックフィルムである。第1の二軸延伸プラスチックフィルム71は、包装材料70に所定の強度を持たせるための基材層として機能する。第1の二軸延伸プラスチックフィルム71の延伸方向は特には限定されない。例えば、第1の二軸延伸プラスチックフィルム71は、第1方向D1及び第2方向D2において延伸されていてもよい。第1の二軸延伸プラスチックフィルム71の延伸倍率は、例えば1.05倍以上である。
第1の二軸延伸プラスチックフィルム71は、例えば、ポリエステルを主成分として含む。例えば、第1の二軸延伸プラスチックフィルム71は、51質量%以上のポリエステルを含む。ポリエステルの例としては、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETとも記す)、ポリブチレンテレフタレート(以下、PBTとも記す)などを挙げることができる。なお、第1の二軸延伸プラスチックフィルム71における、51質量%以上のポリエステルは、一種類のポリエステルによって構成されていてもよく、二種類以上のポリエステルによって構成されていてもよい。第1の二軸延伸プラスチックフィルム71におけるポリエステルの含有率は、70質量%以上であってもよく、80質量%以上であってもよく、90質量%以上であってもよく、95質量%以上であってもよい。例えば、第1の二軸延伸プラスチックフィルム71におけるPETの含有率は、70質量%以上であってもよく、80質量%以上であってもよく、90質量%以上であってもよく、95質量%以上であってもよい。
第1の二軸延伸プラスチックフィルム71の厚みは、例えば8μm以上であり、9μm以上であってもよく、12μm以上であってもよい。第1の二軸延伸プラスチックフィルム71の厚みは、例えば30μm以下であり、25μm以下であってもよく、20μm以下であってもよい。第1の二軸延伸プラスチックフィルム71の厚みを8μm以上にすることにより、第1の二軸延伸プラスチックフィルム71が十分な強度を有するようになる。第1の二軸延伸プラスチックフィルム71の厚みを30μm以下にすることにより、第1の二軸延伸プラスチックフィルム71が優れた成形性を示すようになる。このため、包装材料70を加工してパウチ10を製造する工程を効率的に実施することができる。
(第1接着剤層)
第1接着剤層76は、第1の二軸延伸プラスチックフィルム71と第2の二軸延伸プラスチックフィルム72とをドライラミネート法により接着するための接着剤を含む。第1接着剤層76を構成する接着剤は、主剤及び溶剤を含む第1組成物と、硬化剤及び溶剤を含む第2組成物とを混合して作製した接着剤組成物から生成される。具体的には、接着剤は、接着剤組成物中の主剤と溶剤とが反応して生成された硬化物を含む。
接着剤の例としては、ポリウレタンなどを挙げることができる。ポリウレタンは、主剤としてのポリオールと、硬化剤としてのイソシアネート化合物とが反応することにより生成される硬化物である。ポリウレタンの例としては、ポリエーテルポリウレタン、ポリエステルポリウレタンなどを挙げることができる。ポリエーテルポリウレタンは、主剤としてのポリエーテルポリオールと、硬化剤としてのイソシアネート化合物とが反応することにより生成される硬化物である。ポリエステルポリウレタンは、主剤としてのポリエステルポリオールと、硬化剤としてのイソシアネート化合物とが反応することにより生成される硬化物である。
イソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)などの芳香族系イソシアネート化合物、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)などの脂肪族系イソシアネート化合物、あるいは、上記各種イソシアネート化合物の付加体または多量体を用いることができる。
第1接着剤層76の厚みは、例えば2μm以上であり、3μm以上であってもよい。第1接着剤層76の厚みは、例えば6μm以下であり、5μm以下であってもよい。
(第2の二軸延伸プラスチックフィルム)
第2の二軸延伸プラスチックフィルム72は、第1の二軸延伸プラスチックフィルム71と同様に、所定の二方向において延伸されているプラスチックフィルムである。第2の二軸延伸プラスチックフィルム72も、第1の二軸延伸プラスチックフィルム71と同様に、包装材料70に所定の強度を持たせるための基材層として機能する。第2の二軸延伸プラスチックフィルム72の延伸方向も、第1の二軸延伸プラスチックフィルム71の場合と同様に特には限定されない。第2の二軸延伸プラスチックフィルム72の延伸倍率は、例えば1.05倍以上である。
第2の二軸延伸プラスチックフィルム72は、ポリエステルを主成分として含んでもよい。ポリエステルの例としては、第1の二軸延伸プラスチックフィルム71の場合と同様に、PET、PBTなどを挙げることができる。第2の二軸延伸プラスチックフィルム72におけるポリエステルの含有量の範囲は、第1の二軸延伸プラスチックフィルム71の場合と同一の範囲であってもよい。ポリエステルを主成分として含む第2の二軸延伸プラスチックフィルム72の厚みは、例えば8μm以上であり、9μm以上であってもよく、12μm以上であってもよい。ポリエステルを主成分として含む第2の二軸延伸プラスチックフィルム72の厚みは、例えば30μm以下であり、25μm以下であってもよく、20μm以下であってもよい。
第2の二軸延伸プラスチックフィルム72は、ポリアミドを主成分として含んでもよい。例えば、第2の二軸延伸プラスチックフィルム72は、51質量%以上のポリアミドを含んでいてもよい。ポリアミドの例としては、脂肪族ポリアミドまたは芳香族ポリアミドを挙げることができる。脂肪族ポリアミドとてしてはナイロン-6、ナイロン-6,6、ナイロン6とナイロン6,6との共重合体などのナイロンが挙げられ、芳香族ポリアミドとしては、ポリメタキシレンアジパミド(MXD6)などが挙げられる。第2の二軸延伸プラスチックフィルム72におけるポリアミドの含有率は、70質量%以上であってもよく、80質量%以上であってもよく、90質量%以上であってもよく、95質量%以上であってもよい。ポリアミドを主成分として含む第2の二軸延伸プラスチックフィルム72の厚みは、例えば12μm以上であり、15μm以上であってもよい。ポリアミドを主成分として含む第2の二軸延伸プラスチックフィルム72の厚みは、例えば30μm以下であり、25μm以下であってもよく、20μm以下であってもよい。
(第2接着剤層)
第2接着剤層77は、第2の二軸延伸プラスチックフィルム72とシーラントフィルム75とをドライラミネート法により接着するための接着剤を含む。第2接着剤層77の接着剤の例としては、第1接着剤層76の場合と同様に、ポリウレタンなどを挙げることができる。以下に説明する構成、材料や特性以外にも、第2接着剤層77の構成、材料や特性として、第1接着剤層76と同様のものを採用することができる。
第2接着剤層77の厚みは、例えば2μm以上であり、3μm以上であってもよい。第2接着剤層77の厚みは、例えば6μm以下であり、5μm以下であってもよい。
接着剤の硬化剤を構成するイソシアネート化合物としては、上述のように、芳香族系イソシアネート化合物及び脂肪族系イソシアネート化合物が存在する。芳香族系イソシアネート化合物は、加熱殺菌などの高温環境下において、食品用途で使用できない成分が溶出する。第2接着剤層77は、シーラントフィルム75に接している。このため、第2接着剤層77が芳香族系イソシアネート化合物を含む場合、芳香族系イソシアネート化合物から溶出された成分が、シーラントフィルム75に接する収容部18に収容されている内容物に付着することがある。
このような課題を考慮し、好ましくは、第2接着剤層77を構成する接着剤として、主剤としてのポリオールと、硬化剤としての脂肪族系イソシアネート化合物とが反応することにより生成される硬化物を用いる。これにより、第2接着剤層77に起因する、食品用途で使用できない成分が、内容物に付着することを抑制できる。
(シーラントフィルム)
次に、シーラントフィルム75について説明する。シーラントフィルム75は、単層であってもよく、多層であってもよい。シーラントフィルム75は、好ましくは未延伸のフィルムからなる。なお「未延伸」とは、全く延伸されていないフィルムだけでなく、製膜の際に加えられる張力に起因してわずかに延伸されているフィルムも含む概念である。
シーラントフィルム75とは、以下の(1)または(2)の少なくともどちらか一方を満たしていてもよい。
(1)ヤング率が一方向および一方向と直交する方向において1000MPa未満
(2)引張伸度が一方向および一方向と直交する方向において300%以上
シーラントフィルム75のヤング率および引張伸度の測定は、JIS K7127に準拠して行う。テンシロン万能材料試験機RTC-1310A(株式会社エー・アンド・デイ製)を用いて、温度23℃、相対湿度50%の環境下に試験片を1分間保持した後に、温度23℃、相対湿度50%の環境下で試験片のヤング率測定および引張伸度測定を行う。一辺が15mm、一辺と直交する方向に延びる他辺が150mmの長方形状の試験片を用いて測定を行う。測定は、23℃の環境下で試験片を1分間保持した後、23℃の環境下で行う。試験片をする一対の把持具の間の初期の距離は100mmであり、引張速度は300mm/分である。一対の把持具の間の初期の距離を100mmとして測定することができる限りにおいて、一辺と直交する方向の長さは調整可能である。
包装材料70から構成されたパウチ10には、ボイル処理やレトルト処理などの殺菌処理が高温で施される。従って、シーラントフィルム75は、これらの高温での処理に耐える耐熱性を有するものが用いられる。
シーラントフィルム75を構成する材料の融点は、150℃以上であることが好ましく、160℃以上であることがより好ましい。シーラントフィルム75の融点を高くすることにより、パウチ10のレトルト処理を高温で実施することが可能になり、このため、レトルト処理に要する時間を短くすることができる。なお、シーラントフィルム75を構成する材料の融点は、二軸延伸プラスチックフィルムを構成する樹脂の融点より低い。
シーラントフィルム75は、プロピレンを主成分として含む。例えば、シーラントフィルム75は、51質量%以上のプロピレンを含んでいてもよい。シーラントフィルム75におけるプロピレンの含有量は、70質量%以上であってもよく、80質量%以上であってもよく、90質量%以上であってもよく、95質量%以上であってもよい。
プロピレンを主成分とする材料としては、具体的には、プロピレン・エチレンブロック共重合体、プロピレン・エチレンランダム共重合体、ホモポリプロピレンなどのポリプロピレン、又はポリプロピレンとポリエチレンとを混合したものなどを挙げることができる。「プロピレン・エチレンブロック共重合体」とは、下記の式(I)に示される構造式を有する材料を意味する。「プロピレン・エチレンランダム共重合体」とは、下記の式(II)に示される構造式を有する材料を意味する。「ホモポリプロピレン」とは、下記の式(III)に示される構造式を有する材料を意味する。
Figure 2023051551000002
Figure 2023051551000003
Figure 2023051551000004
プロピレンを主成分とする材料として、ポリプロピレンとポリエチレンとを混合したものを用いる場合には、材料は、海島構造を有していてもよい。ここで、「海島構造」とは、ポリプロピレンが連続する領域の内に、ポリエチレンが不連続に分散している構造をいう。
好ましくは、シーラントフィルム75は、プロピレン・エチレンブロック共重合体を含む単層のフィルムである。例えば、シーラントフィルム75は、プロピレン・エチレンブロック共重合体を主成分とする単層の未延伸フィルムである。プロピレン・エチレンブロック共重合体を用いることにより、シーラントフィルム75の耐衝撃性を高めることができ、これにより、落下時の衝撃によりパウチ10が破袋してしまうことを抑制することができる。また、包装材料70の耐突き刺し性を高めることができる。
また、プロピレン・エチレンブロック共重合体を用いることにより、高温時、例えば100℃のときの、シーラントフィルム75によって構成されるシール部の強度、すなわち上述の熱間シール強度が、低温時、例えば23℃のときのシール強度(以下、常温シール強度とも言う)に比べて極めて小さくなる。熱間シール強度が低いことにより、電子レンジを用いてパウチ10を加熱する際、第1中間シール部21が剥離し易くなり、収容部18の蒸気がパウチ10の外部に抜けやすくなる。このため、収容部18の内圧が過大になることを抑制することができ、これにより、加熱時に包装材料70にダメージが生じることを抑制することができる。
プロピレン・エチレンブロック共重合体は、例えば、ポリプロピレンからなる海成分と、エチレン・プロピレン共重合ゴム成分からなる島成分と、を含む。海成分は、プロピレン・エチレンブロック共重合体の耐ブロッキング性、耐熱性、剛性、シール強度などを高めることに寄与し得る。また、島成分は、プロピレン・エチレンブロック共重合体の耐衝撃性を高めることに寄与し得る。従って、海成分と島成分の比率を調整することにより、プロピレン・エチレンブロック共重合体を含むシーラントフィルム75の機械特性を調整することができる。
プロピレン・エチレンブロック共重合体において、ポリプロピレンからなる海成分の質量比率は、エチレン・プロピレン共重合ゴム成分からなる島成分の質量比率よりも高い。例えば、プロピレン・エチレンブロック共重合体において、ポリプロピレンからなる海成分の質量比率は、少なくとも51質量%以上であり、好ましくは60質量%以上であり、更に好ましくは70質量%以上である。
単層のシーラントフィルム75は、プロピレン・エチレンブロック共重合体からなる第1の熱可塑性樹脂に加えて、第2の熱可塑性樹脂を更に含んでいてもよい。第2の熱可塑性樹脂としては、α-オレフィン共重合体、ポリエチレンなどを挙げることができる。α-オレフィン共重合体は、例えば直鎖状低密度ポリエチレンである。ポリエチレンの例としては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンを挙げることができる。第2の熱可塑性樹脂は、シーラントフィルム75の耐衝撃性を高めることに寄与し得る。また、第2の熱可塑性樹脂を用いることにより、上述の熱間シール強度を、常温シール強度に比べてさらに小さくすることができる。
低密度ポリエチレンとは、密度が0.910g/cm以上且つ0.925g/cm以下のポリエチレンである。中密度ポリエチレンは、密度が0.926g/cm以上且つ0.940g/cm以下のポリエチレンである。高密度ポリエチレンとは、密度が0.941g/cm以上且つ0.965g/cm以下のポリエチレンである。低密度ポリエチレンは、例えば、1000気圧以上且つ2000気圧未満の高圧でエチレンを重合することにより得られる。中密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレンは、例えば、1気圧以上且つ1000気圧未満の中圧又は低圧でエチレンを重合することにより得られる。
なお、中密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレンは、エチレンとα-オレフィンとの共重合体を部分的に含んでいてもよい。また、中圧又は低圧でエチレンを重合する場合であっても、エチレンとα-オレフィンとの共重合体を含む場合は、中密度又は低密度のポリエチレンが生成され得る。このようなポリエチレンが、上述の直鎖状低密度ポリエチレンと称される。直鎖状低密度ポリエチレンは、中圧又は低圧でエチレンを重合することにより得られる直鎖状ポリマーにα-オレフィンを共重合させて短鎖分岐を導入することによって得られる。α-オレフィンの例としては、1-ブテン(C)、1-ヘキセン(C)、4-メチルペンテン(C)、1-オクテン(C)などを挙げることができる。直鎖状低密度ポリエチレンの密度は、例えば0.915g/cm以上且つ0.945g/cm以下である。
なお、プロピレン・エチレンブロック共重合体の第2の熱可塑性樹脂を構成するα-オレフィン共重合体は、上述の直鎖状低密度ポリエチレンには限られない。α-オレフィン共重合体とは、下記の式(IV)に示される構造式を有する材料を意味する。
Figure 2023051551000005
、Rはいずれも、H(水素原子)、又はCH、Cなどのアルキル基である。また、j及びkはいずれも、1以上の整数である。また、jはkよりも大きい。すなわち、式(IV)に示すα-オレフィン共重合体においては、Rを含む左側の構造がベースとなる。Rは例えばHであり、Rは例えばCである。
シーラントフィルム75において、プロピレン・エチレンブロック共重合体からなる第1の熱可塑性樹脂の質量比率は、α-オレフィン共重合体又はポリエチレンを少なくとも含む第2の熱可塑性樹脂の質量比率よりも高い。例えば、単層のシーラントフィルム75において、プロピレン・エチレンブロック共重合体からなる第1の熱可塑性樹脂の質量比率は、少なくとも51質量%以上であり、好ましくは60質量%以上であり、更に好ましくは70質量%以上である。
上述のように、第2の熱可塑性樹脂は、シーラントフィルム75の耐衝撃性を高めることに寄与し得る。従って、単層のシーラントフィルム75における、α-オレフィン共重合体又はポリエチレンを少なくとも含む第2の熱可塑性樹脂の質量比率を調整することにより、シーラントフィルム75の機械特性を調整することができる。
シーラントフィルム75は、熱可塑性エラストマーを更に含んでいてもよい。熱可塑性エラストマーを用いることにより、シーラントフィルム75の耐衝撃性や耐突き刺し性を更に高めることができる。
熱可塑性エラストマーは、例えば水添スチレン系熱可塑性エラストマーである。水添スチレン系熱可塑性エラストマーは、少なくとも1個のビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックAと少なくとも1個の水素添加された共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBからなる構造を有する。また、熱可塑性エラストマーは、エチレン・α-オレフィンエラストマーであってもよい。エチレン・α-オレフィンエラストマーは、低結晶性もしくは非晶性の共重合体エラストマーであり、主成分としての50~90質量%のエチレンと共重合モノマーとしてのα-オレフィンとのランダム共重合体である。
シーラントフィルム75におけるプロピレン・エチレンブロック共重合体の含有率は、例えば80質量%以上であり、好ましくは90質量%以上である。
プロピレン・エチレンブロック共重合体の製造方法としては、触媒を用いて原料であるプロピレンやエチレンなどを重合させる方法が挙げられる。触媒としては、チーグラー・ナッタ型やメタロセン触媒などを用いることができる。
シーラントフィルム75の厚みは、例えば30μm以上であり、40μm以上であってもよく、50μm以上であってもよく、60μm以上であってもよい。シーラントフィルム75の厚みは、例えば100μm以下であり、80μm以下であってもよい。
プロピレン・エチレンブロック共重合体を含む単層のシーラントフィルム75としては、後述するZK500のような、高い引張伸度を有し、耐衝撃性を備えるタイプがある。このタイプのシーラントフィルム75は、好ましくは、熱間シール強度が低いという特性も更に備える。これにより、パウチ10の加熱時に収容部18の内圧が過大になることを抑制できる。
流れ方向(MD)におけるシーラントフィルム75の、23℃における引張伸度は、例えば800%以上であり、900%以上であってもよく、1000%以上であってもよく、1100%以上であってもよい。流れ方向(MD)におけるシーラントフィルム75の引張伸度(%)とシーラントフィルム75の厚み(μm)の積は、45000以上であってもよく、50000以上であってもよく、55000以上であってもよく、60000以上であってもよい。垂直方向(TD)におけるシーラントフィルム75の、23℃における引張伸度は、例えば1050%以上であり、1100%以上であってもよい。垂直方向(TD)におけるシーラントフィルム75の引張伸度(%)とシーラントフィルム75の厚み(μm)の積は、53000以上であってもよく、60000以上であってもよい。シーラントフィルム75が高い引張伸度を有することにより、落下時の衝撃などによりパウチ10が破袋してしまうことを抑制することができる。
流れ方向(MD)におけるシーラントフィルム75の、23℃におけるヤング率は、例えば670MPa以下であり、650MPa以下であってもよい。流れ方向(MD)におけるシーラントフィルム75のヤング率(MPa)とシーラントフィルム75の厚み(μm)の積は、例えば38000以下であり、35000以下であってもよい。垂直方向(TD)におけるシーラントフィルム75の、23℃におけるヤング率は、例えば550MPa以下であり、500MPa以下であってもよい。垂直方向(TD)におけるシーラントフィルム75のヤング率(MPa)とシーラントフィルム75の厚み(μm)の積は、例えば30000以下であり、25000以下であってもよい。
包装材料70は、図8に示すように、印刷層81を更に備えていてもよい。印刷層81は、包装材料70に製品情報を示したり美感を付与したりするために包装材料70に設けられる層である。印刷層81は、例えば第1の二軸延伸プラスチックフィルム71に設けられる。印刷層81は、文字、数字、記号、図形、絵柄などを表現する。印刷層81は、例えば、インキなどの色材と、バインダ樹脂とを含む。グラビア印刷用のインキのとしては、DICグラフィックス株式会社製のフィナートを用いることができる。
図9A及び図9Bは、包装材料70の層構成のその他の例を示す断面図である。図9A及び図9Bに示すように、包装材料70は、第1の二軸延伸プラスチックフィルム71と第2の二軸延伸プラスチックフィルム72の間に位置する透明蒸着層82を備えていてもよい。包装材料70は、透明蒸着層82の面上に位置する透明ガスバリア性塗布膜83を備えていてもよい。図9Aに示すように、透明蒸着層82は、第1の二軸延伸プラスチックフィルム71の内側の表面に設けられていてもよい。図9Bに示すように、透明蒸着層82は、第2の二軸延伸プラスチックフィルム72の外側の表面に設けられていてもよい。
〔透明蒸着層〕
透明蒸着層82は、単一の蒸着層からなっていてもよく、2以上の蒸着層を含んでいてもよい。透明蒸着層82が2以上の蒸着層を含む、各層は、同一の組成であってもよいし、異なる組成であってもよい。透明蒸着層82の形成方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、およびイオンプレ-ティング法等の物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法、PVD法)、あるいは、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、および光化学気相成長法等の化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、CVD法)等を挙げることができる。具体的には、ローラー式蒸着膜成膜装置を用いて、成膜ローラー上において蒸着層を形成することができる。
透明蒸着層82は、透明性を有する無機材料から構成されている。無機材料の例としては、金属酸化物や無機酸化物を挙げることができる。金属酸化物としては、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、スズ(Sn)、ナトリウム(Na)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)等の金属の酸化物が挙げられる。無機酸化物としては、ケイ素(Si)の酸化物が挙げられる。透明蒸着層を構成する無機材料としては、アルミニウム酸化物(酸化アルミニウム)またはケイ素酸化物が好ましい。
透明蒸着層82の厚みは、例えば20Å以上であり、30Å以上であってもよく、40Å以上であってもよく、50Å以上であってもよく、60Å以上であってもよく、70Å以上であってもよい。透明蒸着層82の厚みは、例えば150Å以下であり、130Å以下であってもよく、120Å以下であってもよく、110Å以下であってもよい。
〔ガスバリア性塗布膜〕
透明ガスバリア性塗布膜83は、透明性を有する。透明ガスバリア性塗布膜83は、酸素ガスおよび水蒸気などの透過を抑制することができる。透明ガスバリア性塗布膜83は、一般式R M(OR(ただし、式中、R、Rは、炭素数1~8の有機基を表し、Mは、金属原子を表し、nは、0以上の整数を表し、mは、1以上の整数を表し、n+mは、Mの原子価を表す。)で表される少なくとも一種以上のアルコキシドと、上記のようなポリビニルアルコ-ル系樹脂および/またはエチレン・ビニルアルコ-ル共重合体とを含有し、さらに、ゾルゲル法触媒、酸、水、および、有機溶剤の存在下に、ゾルゲル法によって重縮合する透明ガスバリア性組成物により得られる。
上記の一般式R M(ORで表されるアルコキシドとしては、アルコキシドの部分加水分解物、アルコキシドの加水分解の縮合物の少なくとも一種以上を使用することができる。また、上記のアルコキシドの部分加水分解物としては、アルコキシ基のすべてが加水分解されている必要はなく、1個以上が加水分解されているもの、および、その混合物であってもよい。アルコキシドの加水分解の縮合物としては、部分加水分解アルコキシドの2量体以上のもの、具体的には、2~6量体のものを使用される。
上記の一般式R M(ORで表されるアルコキシドにおいて、Mで表される金属原子としては、ケイ素、ジルコニウム、チタン、アルミニウム、その他などを使用することができる。好ましい金属としては、例えば、ケイ素、チタンなどを挙げることができる。また、本実施の形態において、アルコキシドの用い方としては、単独または二種以上の異なる金属原子のアルコキシドを同一溶液中に混合して使うこともできる。
また、上記の一般式R M(ORで表されるアルコキシドにおいて、Rで表される有機基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、その他などのアルキル基を挙げることができる。また、上記の一般式R M(ORで表されるアルコキシドにおいて、Rで表される有機基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、その他などを挙げることができる。なお、同一分子中にこれらのアルキル基は同一であっても、異なってもよい。
上記の透明ガスバリア性組成物を調製する際、例えば、シランカップリング剤などを添加してもよい。上記のシランカップリング剤としては、既知の有機反応性基含有オルガノアルコキシシランを用いることができる。特に、エポキシ基を有するオルガノアルコキシシランが好適に用いられ、具体的には、例えば、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、または、β-(3、4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどを使用することができる。上記のようなシランカップリング剤は、一種または二種以上を混合して用いてもよい。
透明ガスバリア性塗布膜83の厚みは、例えば100nm以上であり、125nm以上であってもよく、150nm以上であってもよく、200nm以上であってもよい。これにより、安定したガスバリア性を得ることができる。透明ガスバリア性塗布膜83の厚みは、例えば500nm以下であり、450nm以下であってもよく、400nm以下であってもよく、300nm以下であってもよい。
図8、図9A及び図9Bに示すように、包装材料70に含まれる二軸延伸プラスチックフィルムは2枚のみであってもよい。この場合の包装材料70の具体例を以下に示す。「/」は、層を列記する場合に、層と層との境界を示す表記として用いている。パウチの外側から内側に向かって並ぶ層を、左から右に記載している。
二軸延伸PETフィルム/印刷層/接着剤層/二軸延伸ナイロンフィルム/接着剤層/シーラントフィルム
二軸延伸PETフィルム/印刷層/接着剤層/二軸延伸PETフィルム/接着剤層/シーラントフィルム
二軸延伸PETフィルム/透明蒸着層/透明ガスバリア性塗布膜/印刷層/接着剤層/二軸延伸ナイロンフィルム/接着剤層/シーラントフィルム
二軸延伸PETフィルム/透明蒸着層/透明ガスバリア性塗布膜/印刷層/接着剤層/二軸延伸PETフィルム/接着剤層/シーラントフィルム
二軸延伸PETフィルム/印刷層/接着剤層/透明ガスバリア性塗布膜/透明蒸着層/二軸延伸PETフィルム/接着剤層/シーラントフィルム
包装材料70に含まれる二軸延伸プラスチックフィルムが2枚のみである場合の、包装材料70の好ましい特性を説明する。具体的には、包装材料70の好ましい熱間破断強度及び熱間シール強度を説明する。
包装材料70は、100℃の環境下で1分間保持した後、100℃の環境下で測定したときの一方向の破断強度(熱間破断強度)が、33.0MPa以上となっている。包装材料70における一方向の上記熱間破断強度は、36.0MPa以上であることが好ましく、39.0MPa以上であることがより好ましく、42.0以上であることがさらに好ましく、45.0MPa以上であることがさら好ましい。包装材料70における一方向と直交する方向における上記熱間破断強度は、29.0MPa以上であることが好ましく、32.0MPa以上であることがより好ましく、35.0MPa以上であることがさらに好ましく、38.0MPa以上であることが最も好ましい。包装材料70における上記一方向の上記熱間破断強度は、50.0MPa以下であることが好ましく、包装材料70における一方向と直交する方向の上記熱間破断強度は、45.0MPa以下であることが好ましい。包装材料70の一方向は、例えば、パウチ10における第1方向D1であり、包装材料70の一方向と直交する方向は、例えば、パウチ10における第2方向D2であってもよい。また、例えば、包装材料70の流れ方向(MD)がパウチ10の第1方向D1に該当し、例えば、包装材料70の垂直方向(TD)がパウチ10の第2方向D2に該当してもよい。また、例えば、包装材料70の一方向が流れ方向(MD)に該当し、例えば、包装材料の一方向と直交する方向が垂直方向(TD)に該当していてもよい。
包装材料70の特性の測定においては、包装材料70から切り出した試験片を用いる。包装材料70を、包装材料70がパウチ10に加工される前の状態で入手可能な場合、試験片は、包装材料70を切断することによって作製されてもよい。試験片は、パウチ10などの、包装材料70から作製された製品を切断することによって作製されてもよい。図11は、パウチ10の表面フィルム15又は裏面フィルム16を切断することによって試験片を準備する方法の一例を示す図である。流れ方向における包装材料70の特性を測定する場合、図11において符号90Aで示すように、試験片の長辺方向が流れ方向に一致するよう、パウチ10の表面フィルム15又は裏面フィルム16を切断して試験片を作製する。垂直方向における包装材料70の特性を測定する場合、図11において符号90Bで示すように、試験片の長辺方向が垂直方向に一致するよう、パウチ10の表面フィルム15又は裏面フィルム16を切断して試験片を作製する。
包装材料70の熱間破断強度の測定は、試験片90A,90Bの長さ以外については、JIS K7127に準拠して行なう。試験片90A,90Bの長さ及び幅は、100mm及び15mmである。
テンシロン万能材料試験機RTC-1310A(株式会社エー・アンド・デイ製)を用いて、試験片90A,90Bの熱間破断強度を測定する。具体的には、まず、図12に示されるように把持具91、92で試験片90A,90Bの長手方向の両端部を把持する。そして、温度100℃、相対湿度5%の環境下に試験片90A,90Bを1分間保持した後に、温度100℃、相対湿度5%の環境下で初期把持具間距離S1(図12参照)を50mmとした状態で、引張速度300mm/分で試験片90A,90Bを試験片90A,90Bの長手方向に引っ張る引張試験を行い、試験片90A,90Bの熱間破断強度を測定する。5個の試験片90A,90Bについて、熱間破断強度を測定し、その平均値を包装材料70の流れ方向及び垂直方向における熱間破断強度とする。
包装材料70は、100℃の環境下で1分間保持した後、100℃の環境下で測定したときのシール強度(熱間シール強度)が、例えば13.0N以下となっている。熱間シール強度は、11.0N以下であってもよく、10.0N以下であってもよく、8.0N以下であってもよく、6.0N以下であってもよい。熱間シール強度が低すぎると、内容物が十分に加熱および加圧されるよりも前に第1中間シール部21が剥離して収容部18の圧力および温度が低下してしまうことが考えられる。この点を考慮すると、包装材料70のシール部の熱間シール強度は、例えば3.0N以上であり、4.0N以上であってもよく、5.0N以上であってもよい。なお、レトルト処理などの殺菌処理によっても、包装材料70のシール強度が変化し得るが、パウチ10にレトルト処理が施される場合には、特に断らない限り、「シール強度」とは、レトルト処理が施された後のパウチの包装材料70におけるシール部のシール強度を意味する。
包装材料70の熱間シール強度の測定においては、内面同士が接合された包装材料70から切り出した試験片を用いる。包装材料70を、包装材料70がパウチ10に加工される前の状態で入手可能な場合、試験片は、内面同士が接合された包装材料70を切断することによって作製されてもよい。試験片は、パウチ10などの、包装材料70から作製された製品を切断することによって作製されてもよい。図13は、内面同士が接合された表面フィルム15及び裏面フィルム16を切断することによって試験片を準備する方法の一例を示す図である。例えば、第1側部シール部30又は第2側部シール部35を含むように、パウチ10の表面フィルム15及び裏面フィルム16を切断して試験片90Cを作製する。試験片90Cの長さ及び幅は、70mm及び15mmである。
熱間シール強度は、JIS Z1707:1997 7.5に準拠してテンシロン万能材料試験機RTC-1310A(株式会社エー・アンド・デイ製)用いて測定する。まず、試験片90Cの非シール部における2枚の包装材料70をそれぞれ、試験機の把持具93、94(図14A参照)で把持する。そして、把持具93、94をそれぞれ、試験片90Cのシール部の面方向に対して直交する方向において互いに逆向きに、300mm/分の速度で引っ張り、引張応力F1の最大値MAXを測定する(図14B参照)。引っ張りの開始時の把持具93、94の間の間隔S2は50mmであり、引っ張りの開始時の把持具93、94の間の間隔S2は60mmである。最大値MAXをシール強度とする(図14B参照)。熱間シール強度の測定は、試験片90Cを温度100℃、相対湿度5%の環境下で1分間保持した後100℃、相対湿度5%の環境下で行われる。5個の試験片90Cについて、熱間シール強度を測定し、その平均値を包装材料70の熱間シール強度とする。
なお、パウチ10から作製される複数の試験片90Cにおいて、長手方向におけるシール部の寸法が一定ではない場合、図14B及び図14Cに示すように、引張応力F1が上昇し始める位置、引張応力F1が上昇するときのグラフの傾きなどが、試験片90Cによって異なることがある。
二軸延伸プラスチックフィルムを2枚のみ含む包装材料70の厚みは、例えば80μm以上であり、90μm以上であってもよく、100μm以上であってもよい。二軸延伸プラスチックフィルムを2枚のみ含む包装材料70の厚みは、例えば130μm以下であり、120μm以下であってもよい。
図10は、包装材料70の層構成のその他の例を示す断面図である。図10に示す包装材料70は、二軸延伸プラスチックフィルム73と、接着剤層78と、シーラントフィルム75とをこの順に備える。二軸延伸プラスチックフィルム73は、外面70y側に位置しており、シーラントフィルム75は、内面70x側に位置している。内面70xは、収容部18に面している。包装材料70中に二軸延伸プラスチックフィルムは1枚のみである。包装材料70は、二軸延伸プラスチックフィルム73の面上に設けられた透明蒸着層82を備えていてもよい。包装材料70は、透明蒸着層82の面上に位置する透明ガスバリア性塗布膜83を備えていてもよい。
二軸延伸プラスチックフィルム73は、第1の二軸延伸プラスチックフィルム71と同様に、所定の二方向において延伸され、プラスチックからなるフィルムである。二軸延伸プラスチックフィルム73として、上述の第1の二軸延伸プラスチックフィルム71で説明した二軸延伸プラスチックフィルムを用いてもよい。
二軸延伸プラスチックフィルム73として、少なくとも1つの方向において0.0017N以上のループスティフネスを有し、且つポリエステルを主成分として含む二軸延伸プラスチックフィルムを用いてもよい。以下の説明において、少なくとも1つの方向において0.0017N以上のループスティフネスを有し、且つポリエステルを主成分として含む二軸延伸プラスチックフィルムのことを、高スティフネスポリエステルフィルムとも称する。高スティフネスポリエステルフィルムは、例えば流れ方向(MD)又は垂直方向(TD)の少なくとも一方において0.0017N以上のループスティフネスを有する。高スティフネスポリエステルフィルムは、例えば流れ方向(MD)及び垂直方向(TD)の両方において0.0017N以上のループスティフネスを有していてもよい。包装材料70が高スティフネスポリエステルフィルムを含むことにより、包装材料70中に二軸延伸プラスチックフィルムが1枚のみであったとしても、包装材料70が優れた突き刺し強度を有することができる。高スティフネスポリエステルフィルムは、ポリアミドを含んでいない。
高スティフネスポリエステルフィルムのポリエステルとしては、テレフタル酸、イソフタル酸および2,6-ナフタレンジカルボン酸から選ばれる少なくとも1種の芳香族ジカルボン酸と、エチレグリコール、1,3-プロパンジオールおよび1,4-ブタンジオールから選ばれる少なくとも1種の脂肪族アルコールとからなる芳香族ポリエステルを主体とするポリエステルが好ましい。例えば、ポリエステルは、PET、PBTなどである。高スティフネスポリエステルフィルムの例としては、51質量%以上のPETを主成分として含む高スティフネスPETフィルム、51質量%以上のPBTを主成分として含む高スティフネスPBTフィルムなどを挙げることができる。高スティフネスPETフィルムにおけるPETの含有率は、80質量%以上であってもよく、90質量%以上であってもよく、95質量%以上であってもよい。高スティフネスポリエステルフィルムの厚みは、例えば5μm以上であり、7μm以上であってもよく、10μm以上であってもよく、12μm以上であってもよく、4μm以上であってもよい。高スティフネスポリエステルフィルムの厚みは、例えば30μm以下であり、25μm以下であってもよく、20μm以下であってもよい。
ループスティフネスとは、二軸延伸プラスチックフィルムなどのフィルムのこしの強さを表すパラメータである。以下、図15~図20を参照して、ループスティフネスの測定方法を説明する。なお、以下に説明する測定方法は、二軸延伸プラスチックフィルムなどの単層のフィルムだけでなく、蒸着フィルム、積層フィルムなどの、複数の層をフィルムに関しても使用可能である。蒸着フィルムとは、二軸延伸プラスチックフィルムなどの単層のフィルムと、単層のフィルム上に形成されている蒸着層と、を含むフィルムである。積層フィルムとは、包装材料70のような、積層された複数のフィルムを含むフィルムである。
図15は、試験片90及びループスティフネス測定器95を示す平面図であり、図16は、図15の試験片90及びループスティフネス測定器95の線C-Cに沿った断面図である。試験片90は、長辺及び短辺を有する矩形状のフィルムである。本願においては、試験片90の長辺の長さS3を150mmとし、短辺の長さS4を15mmとした。ループスティフネス測定器95としては、例えば、東洋精機社製のNo.581ループステフネステスタ(登録商標)LOOP STIFFNESS TESTER DA型を用いることができる。なお、試験片90の長辺の長さS3は、後述する一対のチャック部96によって試験片90を把持することができる限りにおいて、調整可能である。
ループスティフネス測定器95は、試験片90の長辺方向の一対の端部を把持するための一対のチャック部96と、チャック部96を支持する支持部材97と、を有する。チャック部96は、第1チャック961及び第2チャック962を含む。図15及び図16に示す状態において、試験片90は、一対の第1チャック961の上に配置されており、第2チャック962は、第1チャック961との間で試験片90を未だ把持していない。後述するように、測定時、試験片90は、チャック部96の第1チャック961と第2チャック962との間に把持される。第2チャック962は、ヒンジ機構を介して第1チャック961に連結されていてもよい。
二軸延伸プラスチックフィルム、蒸着フィルム、積層フィルムなどの測定対象のフィルムを、フィルムが包装製品に加工される前の状態で入手可能な場合、試験片90は、測定対象のフィルムを切断することによって作製されてもよい。また、試験片90は、パウチなどの、包装材料70から作製された包装製品を切断することによって作製されてもよい。流れ方向における包装材料70のループスティフネスを測定する場合、図11に示す試験片90Aを用いることができる。垂直方向における包装材料70のループスティフネスを測定する場合、図11に示す試験片90Bを用いることができる。
ループスティフネス測定器95を用いて試験片90のループスティフネスを測定する方法について説明する。まず、図15及び図16に示すように、間隔S5を空けて配置されている一対のチャック部96の第1チャック961上に試験片90を載置する。本願においては、後述するループ部901の長さ(以下、ループ長とも称する)が60mmになるよう、間隔S5を設定した。試験片90は、第1チャック961側に位置する内面90xと、内面90xの反対側に位置する外面90yと、を含む。試験片90が包装材料70からなる場合、試験片90の内面90x及び外面90yは、包装材料70の内面70x及び外面70yに一致する。後述するループ部901を試験片90に形成する際、内面90xがループ部901の内側に位置し、外面90yがループ部901の外側に位置する。続いて、図17に示すように、第1チャック961との間で試験片90の長辺方向の端部を把持するよう、第2チャック962を試験片90の上に配置する。
続いて、図18に示すように、一対のチャック部96の間の間隔が縮まる方向において、一対のチャック部96の少なくとも一方を支持部材97上でスライドさせる。これにより、試験片90にループ部901を形成することができる。図18に示す試験片90は、ループ部901と、一対の中間部902及び一対の固定部903とを有する。一対の固定部903は、試験片90のうち一対のチャック部96によって把持されている部分である。一対の中間部902は、試験片90のうちループ部901と一対の中間部902との間に位置している部分である。図18に示すように、チャック部96は、一対の中間部902の内面90x同士が接触するまで支持部材97上でスライドされる。これにより、60mmのループ長を有するループ部901を形成することができる。ループ部901のループ長は、一方の第2チャック962のループ部901側の面と試験片90とが交わる位置Q1と、他方の第2チャック962のループ部901側の面と試験片90とが交わる位置Q2との間における、試験片90の長さである。上述の間隔S5は、試験片90の厚みを無視する場合、ループ部901の長さに2×tを加えた値になる。tは、チャック部96の第2チャック962の厚みである。
その後、図19に示すように、チャック部96に対するループ部901の突出方向Yが水平方向になるよう、チャック部96の姿勢を調整する。例えば、支持部材97の法線方向が水平方向を向くように支持部材97を動かすことにより、支持部材97によって支持されているチャック部96の姿勢を調整する。図19に示す例において、ループ部901の突出方向Yは、チャック部の厚み方向に一致している。また、ループ部901の突出方向Yにおいて第2チャック962から距離Z1だけ離れた位置にロードセル98を準備する。本願においては、距離Z1を50mmとした。続いて、ロードセル98を、試験片90のループ部901に向けて、図19に示す距離Z2だけ速度Vで移動させる。距離Z2は、ロードセル98がループ部901に接触し、その後、ロードセル98がループ部901をチャック部96側に押し込むよう、設定される。本願においては、距離Z2を40mmとした。この場合、ロードセル98がループ部901をチャック部96側に押し込んでいる状態におけるロードセル98とチャック部96の第2チャック962との間の距離Z3は、10mmになる。ロードセル98を移動させる速度Vは、3.3mm/秒とした。
続いて、図20に示す、ロードセル98が試験片90のループ部901を押し込んでいる状態において、ループ部901からロードセル98に加えられている荷重の値が安定した後、荷重の値を記録する。このようにして得られた荷重の値を、試験片90を構成するフィルムのループスティフネスとして採用する。本願において、特に断らない限り、ループスティフネスの測定時の環境は、温度23℃、相対湿度50%である。
少なくとも1つの方向において0.0017N以上のループスティフネスを有する高スティフネスフィルムを二軸延伸プラスチックフィルム73として用いることにより、二軸延伸プラスチックフィルム73の突き刺し強度を高めることができる。これにより、二軸延伸プラスチックフィルム73を備える包装材料70の突き刺し強度を例えば12.0N以上にすることができ、より好ましくは13.0N以上にすることができ、さらに好ましくは14.0N以上にすることができる。
高スティフネスポリエステルフィルムの好ましい機械特性について更に説明する。
高スティフネスポリエステルフィルムの突き刺し強度は、好ましくは10N以上であり、より好ましくは11N以上である。
少なくとも1つの方向における高スティフネスポリエステルフィルムの引張強度は、好ましくは250MPa以上であり、より好ましくは280MPa以上である。例えば、流れ方向における高スティフネスポリエステルフィルムの引張強度は、好ましくは250MPa以上であり、より好ましくは280MPa以上である。また、垂直方向における高スティフネスポリエステルフィルムの引張強度は、好ましくは250MPa以上であり、より好ましくは280MPa以上である。
少なくとも1つの方向における高スティフネスポリエステルフィルムの引張伸度は、好ましくは130%以下であり、より好ましくは120%以下である。例えば、流れ方向における高スティフネスポリエステルフィルムの引張伸度は、好ましくは130%以下であり、より好ましくは120%以下である。また、垂直方向における高スティフネスポリエステルフィルムの引張伸度は、好ましくは120%以下であり、より好ましくは110%以下である。
好ましくは、少なくとも1つの方向において、高スティフネスポリエステルフィルムの引張強度を引張伸度で割った値が2.0〔MPa/%〕以上である。例えば、垂直方向(TD)における高スティフネスポリエステルフィルムの引張強度を引張伸度で割った値は、好ましくは2.0〔MPa/%〕以上であり、より好ましくは2.2〔MPa/%〕以上である。流れ方向(MD)における高スティフネスポリエステルフィルムの引張強度を引張伸度で割った値は、好ましくは1.8〔MPa/%〕以上であり、より好ましくは2.0〔MPa/%〕以上である。
引張強度及び引張伸度は、JIS K7127に準拠して測定され得る。測定器としては、オリエンテック社製の引張試験機 STA-1150を用いることができる。試験片としては、高スティフネスポリエステルフィルムを幅15mm、長さ150mmの矩形状のフィルムに切り出したものを用いることができる。試験片を保持する一対のチャックの間の、測定開始時の間隔は100mmであり、引張速度は300mm/分である。なお、試験片の長さは、一対のチャックによって試験片を把持することができる限りにおいて、調整可能である。本願において、特に断らない限り、高スティフネスポリエステルフィルムの引張強度及び引張伸度の測定時の環境は、温度23℃、相対湿度50%である。
なお、包装材料70の引張強度及び引張伸度は、測定器としてオリエンテック社製の引張試験機 RTC-1310Aを用いること、及び、試験片を保持する一対のチャックの間の、測定開始時の間隔が50mmであること以外は、高スティフネスポリエステルフィルムの場合と同様に測定される。包装材料70の引張強度及び引張伸度を測定する場合、ループスティフネスの測定の場合と同様に、試験片の長辺方向が流れ方向又は垂直方向に一致するようパウチ10の表面フィルム15又は裏面フィルム16を切断することにより、試験片を作製することができる。
少なくとも1つの方向における高スティフネスポリエステルフィルムの熱収縮率は、0.7%以下であることが好ましく、0.5%以下であることがより好ましい。例えば、流れ方向における高スティフネスポリエステルフィルムの熱収縮率は、0.7%以下であることが好ましく、0.5%以下であることがより好ましい。垂直方向における高スティフネスポリエステルフィルムの熱収縮率は、0.7%以下であることが好ましく、0.5%以下であることがより好ましい。熱収縮率を測定する際の加熱温度は100℃であり、加熱時間は40分である。
少なくとも1つの方向における高スティフネスポリエステルフィルムのヤング率は、好ましくは4.0GPa以上であり、より好ましくは4.5MPa以上である。例えば、流れ方向における高スティフネスポリエステルフィルムのヤング率は、好ましくは4.0GPa以上であり、より好ましくは4.5MPa以上である。垂直方向における高スティフネスポリエステルフィルムのヤング率は、好ましくは4.0GPa以上であり、より好ましくは4.5GPa以上である。
ヤング率は、引張強度及び引張伸度と同様に、JIS K7127に準拠して測定され得る。測定器としては、オリエンテック社製の引張試験機 STA-1150を用いることができる。試験片としては、高スティフネスポリエステルフィルムを幅15mm、長さ150mmの矩形状のフィルムに切り出したものを用いることができる。試験片を保持する一対のチャックの間の、測定開始時の間隔は100mmであり、引張速度は300mm/分である。なお、試験片の長さは、一対のチャックによって試験片を把持することができる限りにおいて、調整可能である。本願において、特に断らない限り、高スティフネスポリエステルフィルムのヤング率の測定時の環境は、温度23℃、相対湿度50%である。
なお、包装材料70のヤング率は、測定器としてオリエンテック社製の引張試験機 RTC-1310Aを用いること、試験片を保持する一対のチャックの間の、測定開始時の間隔が50mmであること以外は、高スティフネスポリエステルフィルムの場合と同様に測定される。包装材料70のヤング率を測定する場合、試験片の長辺方向が流れ方向又は垂直方向に一致するようパウチ10の表面フィルム15又は裏面フィルム16を切断することにより、試験片を作製することができる。
高スティフネスポリエステルフィルムの製造工程においては、例えば、まず、ポリエステルを溶融及び成形することによって得られたプラスチックフィルムを、流れ方向及び垂直方向において、それぞれ90℃~145℃で3倍~4.5倍に延伸する第1延伸工程を実施する。続いて、プラスチックフィルムを、流れ方向及び垂直方向において、それぞれ100℃~145℃で1.1倍~3.0倍に延伸する第2延伸工程を実施する。その後、190℃~220℃の温度で熱固定を行う。続いて、流れ方向及び垂直方向において、100℃~190℃の温度で0.2%~2.5%程度の弛緩処理(フィルム幅を縮める処理)を実施する。これらの工程において、延伸倍率、延伸温度、熱固定温度、弛緩処理率を調整することにより、上述の機械特性を備える高スティフネスポリエステルフィルムを得ることができる。
包装材料70が高スティフネスポリエステルフィルムを含むことにより、包装材料70、及び包装材料70から構成されるパウチ10などの包装製品に、優れた突き刺し強度を付与することができる。これにより、例えば、先端が尖った鋭利な部材がパウチ10に接触した場合にパウチ10が破けてしまうことなどを抑制することができる。包装材料70の突き刺し強度は、12.0N以上であることが好ましく、13.0N以上であることが好ましく、14.0N以上であることがより好ましい。突き刺し強度の測定方法については、後述する実施例において説明する。
また、包装材料70が高スティフネスポリエステルフィルムを含むことにより、包装材料70のヤング率を高めることができる。一方向における包装材料70のヤング率は、例えば3600MPa以上であり、3700MPa以上であってもよく、3800MPa以上であってもよく、3900MPa以上であってもよく、4000MPa以上であってもよく、4100MPa以上であってもよい。例えば、流れ方向(MD)における包装材料70のヤング率は、例えば3600MPa以上であり、3700MPa以上であってもよく、3800MPa以上であってもよく、3900MPa以上であってもよい。また、流れ方向(MD)に直交する方向である垂直方向(TD)における包装材料70のヤング率は、例えば3600MPa以上であり、3700MPa以上であってもよく、3800MPa以上であってもよく、3900MPa以上であってもよく、4000MPa以上であってもよく、4100MPa以上であってもよい。包装材料70のヤング率が高いことにより、包装材料70が伸びにくくなる。このため、パウチ10などの包装製品の製造工程などにおいて包装材料70を加工する際の加工精度が高くなる。また、包装材料70を用いて、後述する、自立可能に構成されたガセット式のパウチ10を作製する場合、パウチ10の自立性が高くなる。垂直方向(TD)における包装材料70のヤング率は、流れ方向(MD)における包装材料70のヤング率よりも高くてもよい。
高スティフネスポリエステルフィルムは、図8、図9A及び図9Bに示す第1の二軸延伸プラスチックフィルム71又は第2の二軸延伸プラスチックフィルム72として用いられてもよい。
二軸延伸プラスチックフィルムを1枚のみ含む包装材料70は、二軸延伸プラスチックフィルムを2枚のみ含む包装材料70と同等の熱間シール強度を有していてもよい。二軸延伸プラスチックフィルムを1枚のみ含む包装材料70は、100℃の環境下で1分間保持した後、100℃の環境下で測定したときのシール強度(熱間シール強度)が、例えば13.0N以下となっている。熱間シール強度は、11.0N以下であってもよく、10.0N以下であってもよく、8.0N以下であってもよく、6.0N以下であってもよい。二軸延伸プラスチックフィルムを1枚のみ含む包装材料70のシール部の熱間シール強度は、例えば3.0N以上であり、4.0N以上であってもよく、5.0N以上であってもよい。
接着剤層78は、二軸延伸プラスチックフィルム73とシーラントフィルム75とをドライラミネート法により接着するための接着剤を含む。接着剤層78の接着剤の例としては、第1接着剤層76の場合と同様に、ポリウレタンなどを挙げることができる。以下に説明する構成、材料や特性以外にも、接着剤層78の構成、材料や特性として、第1接着剤層76と同様のものを採用することができる。
接着剤層78の厚みは、例えば2μm以上であり、3μm以上であってもよい。接着剤層78の厚みは、例えば6μm以下であり、5μm以下であってもよい。
二軸延伸プラスチックフィルムを1枚のみ含む包装材料70の厚みは、例えば70μm以上であり、80μm以上であってもよく、90μm以上であってもよい。二軸延伸プラスチックフィルムを1枚のみ含む包装材料70の厚みは、例えば110μm以下であり、100μm以下であってもよい。
パウチの製造方法
次に、上述包装材料70を用いてパウチ10を製造する方法について説明する。まず、包装材料70からなる表面フィルム15及び裏面フィルム16を準備する。続いて、表面フィルム15の内面と裏面フィルム16の内面とをヒートシールして、上部シール部20、第1側部シール部30、第2側部シール部35などのシール部を形成する。ヒートシールの温度は、例えば160℃以上であり、170℃以上であってもよく、180℃以上であってもよい。ヒートシールの温度は、例えば250℃以下であり、240℃以下であってもよく、230℃以下であってもよい。
ヒートシールによって互いに接合された表面フィルム15及び裏面フィルム16を適切な形状に切断する。また、第1非シール部26に貫通部27を形成する。これにより、図1に示すパウチ10を得ることができる。なお、貫通部27は、表面フィルム15の内面と裏面フィルム16の内面とをヒートシールする前にフィルムに形成されていてもよい。続いて、下部12の開口部12bを介して内容物をパウチ10に充填する。その後、下部12を下縁12xに沿ってヒートシールして下部シール部12aを形成する。このようにして、図4に示すように、内容物19が収容され封止されたパウチ10を得ることができる。その後、ボイル処理やレトルト処理などの殺菌処理をパウチ10に施してもよい。パウチ10をカートン100の内部に収容してもよい。
パウチの加熱方法
次に、上述のパウチ10を加熱する方法について説明する。まず、カートン100の蓋102を開封する。続いて、蓋102を本体部101の背面側へ回転させる。この状態のカートン100に収容されたパウチ10を、電子レンジ内に配置する。そして、電子レンジを利用してパウチ10を加熱する。内容物19に含まれる水分が蒸発して収容部18の圧力が高まる。
収容部18の圧力が高くなると、パウチ10が収容部18の中心点Cを中心として、例えば円形状に膨らんでいく。このため、シール部の各位置には、中心点Cからシール部に向かう方向の力が加わる。シール部の各位置に加わる力は、中心点Cとの間の距離が小さいほど大きくなる。第1中間シール部21の突出部分213から中心点Cまでの距離は、第1側部シール部30から中心点Cまでの距離、及び第2側部シール部35から中心点Cまでの距離よりも短い。このため、例えば突出部分213の先端の内縁21aには、第1側部シール部30の内縁30a及び第2側部シール部35の内縁35aに比べて大きな力が加わる。
突出部分213に力が加わると、突出部分213の剥離が進行する。突出部分213の剥離が第1非シール部26まで達すると、図21に示すように、突出部分213に流路213vが形成される。収容部18で発生した蒸気は、流路213vを通って第1非シール部26に流入する。図21においては、突出部分213に生じる剥離部分の一例を点線で示している。第1非シール部26に流入した蒸気が貫通部27に至ると、蒸気が貫通部27からパウチ10の外部に排出される。
収容部18で発生した蒸気が流路213v、第1非シール部26及び貫通部27を通って適切にパウチ10の外部に排出されると、収容部18の圧力の増加が抑制される。これにより、突出部分213以外のシール部において剥離が生じることを抑制できる。また、パウチ10が破裂することを抑制できる。
また本実施の形態においては、第1非シール部26が上部11に配置されている。このため、加熱されて上方に跳ね上がった内容物19が第1非シール部26に到達することを抑制できる。このため、内容物19がパウチ10の外部に漏れることを抑制できる。
また本実施の形態においては、貫通部27が、第2方向D2に沿って見た場合に第1中間シール部21の第1部分211又は第2部分212に重なるよう配置されている。このため、加熱されて上方に跳ね上がった内容物19が第1非シール部26に入ったとしても、内容物19が貫通部27に到達することを抑制できる。従って、内容物19が貫通部27に付着したり、内容物19が貫通部27から外部に漏れたりすることを抑制できる。
図21において点線で示すように、第1中間シール部21の剥離の進行は、突出部分213の途中で止まってもよい。例えば、剥離の進行は、図1に示す接点P11及び接点P21の位置で止まってもよい。例えば、剥離の進行は、突出部分213と第1部分211の境界及び突出部分213と第2部分212の境界で止まってもよい。これにより、剥離が第1部分211及び第2部分212にまで進行する場合に比べて、内容物19が貫通部27に到達することを抑制できる。
なお、内容物が、ひき肉などの粒の形状を有する具材を含む場合、具材が飛散することにより流路213vが塞がれることが考えられる。流路213vが塞がれると、収容部18の圧力が増加し続ける。
ここで本実施の形態においては、例えば、パウチ10のシール部が10N以下の熱間シール強度を有している。これにより、流路213vの幅を適切に確保できる。このため、内容物19によって流路213vが塞がれることを抑制できる。また、キーマカレーなどの、ひき肉を含む具材をパウチ10に収容できる。
内容物19を加熱した後、使用者は、開封手段31を起点としてパウチ10を引き裂く。開封手段31は、第1方向D1に沿って見た場合に突出部分213と重なるよう配置されていてもよく、重ならないよう配置されていてもよい。突出部分213が剥離している場合、使用者は、突出部分213によって阻害されることなくパウチ10を引き裂くことができる。好ましくは、開封手段31は、図1に示す接点P11及び接点P21よりも下方に位置する。
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、必要に応じて図面を参照しながら、変形例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。また、上述した実施の形態において得られる作用効果が変形例においても得られることが明らかである場合、その説明を省略することもある。
第1の変形例
図22は、蒸気抜き機構25の一変形例を示す正面図である。図22に示すように、貫通部27は、表面フィルム15又は裏面フィルム16に形成されたスリットであってもよい。スリットの幅は、例えば0mm以上1.0mm以下である。
貫通部27の輪郭は、半円などの扇形であってもよい。例えば、貫通部27のスリットが円弧であってもよい。好ましくは、円弧は、下方に突出するよう構成されている。円弧の中心角θ3は、例えば120°以上であり、150°以上であってもよく、180°以上であってもよい。貫通部27の寸法は、例えば3mm以上であり、4mm以上であってもよく、5mm以上であってもよい。貫通部27の寸法は、例えば20mm以下であり、15mm以下であってもよく、10mm以下であってもよい。貫通部27が円弧のスリットからなる場合、貫通部27の寸法は、円弧に対応する円の直径である。
第2の実施の形態
次に、第2の実施の形態について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。また、上述した実施の形態において得られる作用効果が第2の実施の形態においても得られることが明らかである場合、その説明を省略することもある。
図23は、第2の実施の形態に係る蒸気抜き機構25を示す正面図である。図23に示すように、第1非シール部26は、第1側部シール部30から第2側部シール部35まで広がっていなくてもよい。例えば、上部シール部20は、第1上部シール部23及び第2上部シール部24を含んでいてもよい。第1上部シール部23は、第1非シール部26から第1側部シール部30まで上縁11xに沿って延びている。第1上部シール部23は、第1側部シール部30に接続されている。第1中間シール部21の第1部分211及び第2中間シール部22は、第1上部シール部23に接続されている。第2上部シール部24は、第1非シール部26から第2側部シール部35まで上縁11xに沿って延びている。第2上部シール部24は、第2側部シール部35に接続されている。第1中間シール部21の第2部分212及び第2中間シール部22は、第2上部シール部24に接続されている。
第1上部シール部23は、第2方向D2における第1部分211の幅W211及び第2中間シール部22の幅W22よりも大きい幅W23を有していてもよい。第2上部シール部24は、第2方向D2における第2部分212の幅W212及び第2中間シール部22の幅W22よりも大きい幅W24有していてもよい。
第1方向D1における第1非シール部26の寸法L11は、第1方向D1における収容部18の寸法H1以下である。第1方向における収容部18の寸法H1に対する間隔L11の比率であるL11/H1は、例えば1.00以下であり、0.80以下であってもよく、0.60以下であってもよい。L11/H1は、例えば0.07以上であり、0.08以上であってもよく、0.09以上であってもよく、0.20以上であってもよく、0.30以上であってもよく、0.40以上であってもよい。
図示はしないが、貫通部27は、表面フィルム15又は裏面フィルム16を貫通する孔を含んでいてもよい。
本実施の形態においても、第1の実施の形態の場合と同様に、貫通部27が、第2方向D2に沿って見た場合に第1中間シール部21の第1部分211又は第2部分212に重なるよう配置されている。このため、加熱されて上方に跳ね上がった内容物19が第1非シール部26に入ったとしても、内容物19が貫通部27に到達することを抑制できる。従って、内容物19が貫通部27に付着したり、内容物19が貫通部27から外部に漏れたりすることを抑制できる。
第3の実施の形態
次に、第3の実施の形態について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。また、上述した実施の形態において得られる作用効果が第2の実施の形態においても得られることが明らかである場合、その説明を省略することもある。
図24は、第3の実施の形態に係る蒸気抜き機構25を示す正面図である。図24に示すように、第1非シール部26は、上縁11xに達するよう広がっていてもよい。この場合、第1非シール部26は、上縁11xに重なり、外部に開口した開口縁部28を有する。収容部18において発生し、第1非シール部26に流入した蒸気は、貫通部27及び開口縁部28から外部へ排出され得る。
図24に示すように、上部シール部20は、堤防シール部29を含んでいてもよい。堤防シール部29は、第2方向D2に沿って見た場合に第1上部シール部23又は第2上部シール部24に重なる部分を含む。堤防シール部29は、第1上部シール部23との間に第2非シール部29aを画成していてもよい。堤防シール部29は、第2上部シール部24との間に第2非シール部29aを画成していてもよい。
第2非シール部29aの輪郭の内側には、第2貫通部29bが形成されていてもよい。第2貫通部29bは、表面フィルム15又は裏面フィルム16の少なくとも一方を貫通している。パウチ10は、複数の第2貫通部29bを備えていてもよい。第2貫通部29bは、表面フィルム15又は裏面フィルム16を貫通する孔を含んでいてもよい。第2貫通部29bは、表面フィルム15又は裏面フィルム16に形成されたスリットであってもよい。
堤防シール部29は、第1側部シール部30の幅及び第2側部シール部35の幅よりも小さい幅を有する。このため、収容部18の圧力が過剰に高くなった場合に、堤防シール部29は、第1側部シール部30の幅及び第2側部シール部35の幅よりも先に剥離できる。堤防シール部29が剥離すると、第2貫通部29bから蒸気がパウチ10の外部に排出される。これにより、収容部18の圧力の増加を抑制できる。このため、第1側部シール部30及び第2側部シール部35に剥離が生じることを抑制できる。
図24に示すように、第1中間シール部21の突出部分213は、堤防シール部29を超えて突出していてもよい。すなわち、突出部分213から中心点Cまでの、第2方向D2における距離が、堤防シール部29から中心点Cまでの、第2方向D2における距離よりも小さくてもよい。符号L16は、第2方向D2における、堤防シール部29に対する突出部分213の突出長さを表す。突出長さL16は、例えば5.0mm以上であり、6.0mm以上であってもよく、7.0mm以上であってもよい。突出長さL16は、例えば12.0mm以下であり、10.0mm以下であってもよく、9.0mm以下であってもよい。
第2方向D2における収容部18の寸法H2に対する突出長さL16の比率であるL16/H2は、例えば0.01以上であり、0.02以上であってもよく、0.03以上であってもよい。L16/H2は、例えば0.10以下であり、0.07以下であってもよく、0.05以下であってもよい。
本実施の形態においても、第1の実施の形態の場合と同様に、貫通部27が、第2方向D2に沿って見た場合に第1中間シール部21の第1部分211又は第2部分212に重なるよう配置されている。このため、加熱されて上方に跳ね上がった内容物19が第1非シール部26に入ったとしても、内容物19が貫通部27に到達することを抑制できる。従って、内容物19が貫通部27に付着したり、内容物19が貫通部27から外部に漏れたりすることを抑制できる。
第1の変形例
図25は、蒸気抜き機構25の一変形例を示す正面図である。図25に示すように、貫通部27は、表面フィルム15又は裏面フィルム16に形成されたスリットであってもよい。
次に、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
(包装材料1)
第1の二軸延伸プラスチックフィルムとして、厚さ12μmの二軸延伸PETフィルム(製品名「E5100」、東洋紡株式会社製)を準備した。その後、第1の二軸延伸プラスチックフィルムの内側の表面に印刷層を形成した。印刷層の厚みは3.0μmであった。
また、第2の二軸延伸プラスチックフィルムとして、厚さ12μmの二軸延伸PETフィルム(製品名「E5100」、東洋紡株式会社製)を準備した。続いて、このフィルムの一方の面にコロナ放電処理を施した後、厚み10nmのケイ素酸化物からなる透明蒸着層を形成した。続いて、透明蒸着層に、酸素およびアルゴンの混合ガスによるプラズマ処理を施した後、エチルシリケートおよびポリビニルアルコールを主成分とする塗工液をグラビアロールコーターで塗布して、乾燥後の厚みが300nmの透明ガスバリア性塗布膜を形成した。
また、シーラントフィルムとして、厚さ60μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(製品名「ZK500」、東レフィルム加工株式会社製)を準備した。
その後、ドライラミネート法により、第1の二軸延伸PETフィルム、印刷層、第1接着剤層、透明バリア性塗布膜、透明蒸着層、第2の二軸延伸PETフィルム、第2接着剤層、および未延伸ポリプロピレンフィルムを順に積層し、包装材料を作製した。第1接着剤層および第2接着剤層としては、ロックペイント株式会社製の2液型ポリウレタン系接着剤(主剤:RU-004、硬化剤:H-1)を用いた。第1接着剤層および第2接着剤層の厚さは、3.0μmであった。このようにして得られた包装材料を包装材料1とも称する。
(包装材料2)
第2の二軸延伸プラスチックフィルムとしての二軸延伸PETフィルム(製品名「E5100」、東洋紡株式会社製)の代わりに、厚さ15μmの二軸延伸ナイロンフィルム(製品名「ボニールW」、興人フィルム&ケミカルズ株式会社)を用いたこと以外は、包装材料1の場合と同様にして、包装材料を作製した。このようにして得られた包装材料を包装材料2とも称する。
(包装材料3)
シーラントフィルムとしての未延伸ポリプロピレンフィルム(製品名「ZK500」、東レフィルム加工株式会社製)の代わりに、厚さ60μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(製品名「ZK207」、東レフィルム加工株式会社製)を用いたこと以外は、包装材料2の場合と同様にして、包装材料を作製した。このようにして得られた包装材料を包装材料3とも称する。
(包装材料4)
二軸延伸プラスチックフィルムとして、0.0017N以上のループスティフネスを有し、90質量%以上のPETを含む高スティフネスポリエステルフィルム(以下、高スティフネスPETフィルムとも称する)を準備した。具体的には、高スティフネスPETフィルムとして、東レ株式会社製のXP-55を用いた。高スティフネスPETフィルムの厚みは16μmであった。
続いて、高スティフネスPETフィルムの一方の面にコロナ放電処理を施した後、包装材料1の場合と同様にして、透明蒸着層、透明ガスバリア性塗布膜及び印刷層を形成した。また、シーラントフィルムとして、厚さ60μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(製品名「ZK500」、東レフィルム加工株式会社製)を準備した。
その後、ドライラミネート法により、高スティフネスPETフィルム、透明蒸着層、透明バリア性塗布膜、印刷層、接着剤層、および未延伸ポリプロピレンフィルムを順に積層し、包装材料を作製した。接着剤層としては、ロックペイント株式会社製の2液型ポリウレタン系接着剤(主剤:RU-004、硬化剤:H-1)を用いた。接着剤層の厚さは、3.0μmであった。このようにして得られた包装材料を包装材料4とも称する。
(包装材料1~4の評価)
包装材料1~4を用いて、図1のパウチ10を作成した。パウチ10の内部には200mlの水を充填した。ヒートシールの条件は以下のとおりである。
・ヒートシール装置:ヒートシーラーTP-701-A(テスター産業社株式会社製)
・ヒートシール温度:225℃
・ヒートシール圧力:0.1MPa
・ヒートシール時間:1秒間
続いて、パウチ10に対して以下の条件でレトルト処理を行った。
・方式:スプレー式
・レトルト温度:121℃
・レトルト時間:30分
パウチ10の各部の寸法は以下のとおりである。
・収容部18の寸法H1:110mm
・収容部18の寸法H2:150mm
・第1中間シール部21の第1部分211の幅W211:5mm
・第1中間シール部21の第2部分212の幅W212:5mm
・第1中間シール部21の突出部分213の幅W213:3mm
・下部12の開口部12bの幅:10mm
・第1側部シール部30の幅W11の最小値及び最大値:6mm及び10mm
・第2側部シール部35の幅W12の最小値及び最大値:6mm及び10mm
包装材料1及び包装材料2によって構成されたパウチ10から切り出した試験片90A、90Bを用いて、流れ方向及び垂直方向における破断強度(熱間破断強度)を測定した。測定方法、測定条件は、上述の実施の形態の場合と同一である。結果を図26に示す。
包装材料4によって構成されたパウチ10から切り出した試験片90A、90Bを用いて、流れ方向及び垂直方向におけるヤング率を測定した。測定方法、測定条件は、上述の実施の形態の場合と同一である。結果を図27に示す。
包装材料4によって構成されたパウチ10から切り出した試験片を用いて、包装材料4の突き刺し強度を、JIS Z1707 7.4に準拠して測定した。測定器としては、A&D製のテンシロン万能材料試験機RTC-1310を用いた。具体的には、固定されている状態の包装材料4の試験片に対して、外面70y側から、直径1.0mm、先端形状半径0.5mmの半円形の針を、50mm/分(1分あたり50mm)の速度で突き刺した。針が包装材料4を貫通するまでの応力の最大値を測定した。5個以上の試験片について、応力の最大値を測定し、その平均値を包装材料4の突き刺し強度とした。測定時の環境は、温度23℃、相対湿度50%とした。結果を図27に示す。
包装材料1~包装材料4によって構成されたパウチ10から切り出した試験片90Cを用いて、熱間シール強度を測定した。測定方法、測定条件は、上述の実施の形態の場合と同一である。結果を図26及び図27に示す。
(実施例1)
パウチ10に充填する内容物として、内容物1を準備した。内容物1は、180gのカレーである。内容物1に含まれる具材を分析した結果を図28に示す。
分析においては、まず、ざるを用いて内容物からカレーのルーを取り除いた。ざるの目は0.7mmであった。続いて、顕微鏡を用いて内容物1及び内容物2に含まれる具材を観察した。顕微鏡としては、キーエンス製のVHX-6000を用いた。顕微鏡のレンズとしては、キーエンス製のVH-ZSTを用いた。観察倍率は20倍であった。
内容物1のカレーのルーの粘度を測定した。結果を図29に示す。粘度の測定器としては、英弘精機製デジタル粘度計DV-Eを用いた。
包装材料1を用いて、図1のパウチ10を作成した。図1のパウチ10の蒸気抜き機構25の構成要素は、図9に示す寸法を有する。続いて、パウチ10に上述の内容物1を充填した。続いて、パウチ10の下部12をヒートシールして下部シール部12aを形成した。このようにして、内容物1が収容された、図4に示すパウチ10を得た。
パウチ10の各部の寸法は以下のとおりである。
・収容部18の寸法H1:110mm
・収容部18の寸法H2:150mm
・第1中間シール部21の第1部分211の幅W211:5mm
・第1中間シール部21の第2部分212の幅W212:5mm
・第1中間シール部21の突出部分213の幅W213:3mm
・下部シール部12aの幅:10mm
・第1非シール部26の寸法L11:110mm
・第1非シール部26の寸法L12:7mm
・第1部分211と第2部分212との間の間隔L13:10mm
・突出部分213の寸法L14:11mm
・上縁11xから開封手段31までの距離L15:38mm
・貫通部27の寸法S11、S12:6mm
ヒートシールの条件は以下のとおりである。
・ヒートシール装置:ヒートシーラーTP-701-A(テスター産業社株式会社製)
・ヒートシール温度:225℃
・ヒートシール圧力:0.1MPa
・ヒートシール時間:1秒間
続いて、パウチ10に対して以下の条件でレトルト処理を行った。
・方式:スプレー式
・レトルト温度:121℃
・レトルト時間:30分
続いて、パウチ10の表面の水分をふき取った後、パウチ10を1日にわたって静置した。その後、パウチ10をカートン100の中に収容した。
続いて、カートン100を開封し、図5に示すように、パウチ10が水平面120に対して角度θaで傾くように、電子レンジの中に配置した。水平面120は、レンジの内部の下面である。角度θaは17°であった。
内容物1が収容されたパウチ10を出力1000Wの電子レンジで125秒にわたって加熱した。電子レンジとしては、シャープ製のRE-SX50を用いた。
加熱後の各パウチ10の第1側部シール部30又は第2側部シール部35に剥離が生じているかどうかを確認した。結果を図30の「シール後退」の欄に示す。「シール後退」の欄において、「great」は、第1側部シール部30又は第2側部シール部35に生じていた剥離の、第1方向D1における幅が、1mm未満であるか、剥離が生じていなかったことを意味する。「good」は、第1側部シール部30又は第2側部シール部35に生じていた剥離の、第1方向D1における幅が、1mm以上2mm未満であったことを意味する。「not good」は、第1側部シール部30又は第2側部シール部35に生じていた剥離の、第1方向D1における幅が、2mm以上であったことを意味する。
第1中間シール部21の剥離部分を図31に点線で示す。図31に示すように、第1中間シール部21に生じた剥離の進行は、突出部分213と第1部分211及び第2部分212との間の境界の近傍で止まっていた。
パウチ10から内容物が吹き出しているかどうかを確認した。結果を図30の「貫通部汚れ」、「箱汚れ」、「レンジ汚れ」の欄にそれぞれ示す。「貫通部汚れ」の欄は、貫通部27の周囲に内容物が付着していたかどうかの確認結果を表す。「箱汚れ」の欄は、パウチ10から吹き出した内容物が箱に付着していたかどうかの確認結果を表す。「レンジ汚れ」の欄は、パウチ10から吹き出した内容物がレンジに付着していたかどうかの確認結果を表す。「great」は、内容物の付着がほとんど確認されなかったことを意味する。「good」は、内容物の吹きこぼれの量が、ティッシュ1枚で拭き取れる程度のものであったことを意味する。「not good」は、内容物の吹きこぼれをふき取るために2枚以上のティッシュが必要であったことを意味する。
(実施例2)
包装材料1を用いて、図22のパウチ10を作成した。ヒートシールの条件、レトルト処理の条件は、実施例1の場合と同一である。実施例1の場合とは異なる主要な寸法を以下に示す。
・貫通部27のスリットの寸法:6mm
実施例1の場合と同様に、「シール後退」、「貫通部汚れ」、「箱汚れ」、「レンジ汚れ」を評価した。結果を図30に示す。第1中間シール部21の剥離部分を図32に点線で示す。図32に示すように、第1中間シール部21に生じた剥離の進行は、突出部分213と第1部分211及び第2部分212との間の境界の近傍で止まっていた。突出部分213に生じた剥離部分の面積は、実施例1の場合に比べて大きかった。
(実施例3)
包装材料1を用いて、図23のパウチ10を作成した。ヒートシールの条件、レトルト処理の条件は、実施例1の場合と同一である。実施例1の場合とは異なる主要な寸法を以下に示す。
・第1非シール部26の寸法L11:49mm
実施例1の場合と同様に、「シール後退」、「貫通部汚れ」、「箱汚れ」、「レンジ汚れ」を評価した。結果を図30に示す。第1中間シール部21の剥離部分を図33に点線で示す。図33に示すように、第1中間シール部21に生じた剥離の進行は、突出部分213と第1部分211及び第2部分212との間の境界の近傍で止まっていた。図33に示すように、第1部分211のコーナー及び第2部分212のコーナーにも剥離が生じていた。
(実施例4)
包装材料1を用いて、図24のパウチ10を作成した。ヒートシールの条件、レトルト処理の条件は、実施例1の場合と同一である。実施例1の場合とは異なる主要な寸法を以下に示す。
・第1非シール部26の寸法L11:30mm
・堤防シール部29の幅:3mm
・堤防シール部29に対する突出部分213の突出長さL16:7mm
実施例1の場合と同様に、「シール後退」、「貫通部汚れ」、「箱汚れ」、「レンジ汚れ」を評価した。結果を図30に示す。第1中間シール部21の剥離部分を図34に点線で示す。図34に示すように、第1中間シール部21に生じた剥離の進行は、突出部分213と第1部分211及び第2部分212との間の境界の近傍で止まっていた。
(実施例5)
包装材料1を用いて、図25のパウチ10を作成した。ヒートシールの条件、レトルト処理の条件は、実施例1の場合と同一である。実施例1の場合とは異なる主要な寸法を以下に示す。
・第1非シール部26の寸法L11:30mm
・堤防シール部29の幅:3mm
・堤防シール部29に対する突出部分213の突出長さL16:7mm
実施例1の場合と同様に、「シール後退」、「貫通部汚れ」、「箱汚れ」、「レンジ汚れ」を評価した。結果を図30に示す。第1中間シール部21の剥離部分を図35に点線で示す。図35に示すように、第1中間シール部21に生じた剥離の進行は、突出部分213と第1部分211及び第2部分212との間の境界の近傍で止まっていた。
(比較例1)
包装材料1を用いて、図36に示すパウチ10を作成した。比較例1のパウチの第1中間シール部21は、第1部分211及び第2部分212を備えていない。貫通部27は、第2方向D2に沿って見た場合に突出部分213に重なるよう配置されている。ヒートシールの条件、レトルト処理の条件は、実施例1の場合と同一である。実施例1の場合とは異なる主要な寸法を以下に示す。
・第1非シール部26の寸法L11:10mm
実施例1の場合と同様に、「シール後退」、「貫通部汚れ」、「箱汚れ」、「レンジ汚れ」を評価した。結果を図30に示す。比較例1においては、貫通部27の汚れが生じていた。第1中間シール部21の剥離部分を図37に点線で示す。図37に示すように、突出部分213は完全に剥離していた。
10 パウチ
11 上部
12 下部
12a 下部シール部
13 第1側部
13x 第1側縁
14 第2側部
14x 第2側縁
15 表面フィルム
16 裏面フィルム
17 下部フィルム
18 収容部
19 内容物
19a 上面
20 上部シール部
21 第1中間シール部
211 第1部分
212 第2部分
213 突出部分
22 第2中間シール部
23 第1上部シール部
24 第2上部シール部
25 蒸気抜き機構
26 第1非シール部
27 貫通部
28 開口縁部
29 堤防シール部
29a 第2非シール部
29b 第2貫通部
30 第1側部シール部
30a 内縁
30b 外縁
31 開封手段
35 第2側部シール部
35a 内縁
35b 外縁
36 開封手段
70 包装材料
70x 内面
70y 外面
71 第1の二軸延伸プラスチックフィルム
72 第2の二軸延伸プラスチックフィルム
75 シーラントフィルム
76 第1接着剤層
77 第2接着剤層
81 印刷層
82 透明蒸着層
83 透明ガスバリア性塗布膜

Claims (24)

  1. 内容物を収容する収容部が表面フィルムと裏面フィルムとの間に画成されたパウチであって、
    前記パウチの第1側部に位置し、前記表面フィルムの内面と前記裏面フィルムの内面とを接合する第1側部シール部と、
    前記パウチの前記第1側部に第1方向において対向する第2側部に位置し、前記第1側部シール部との間に前記収容部を画成する第2側部シール部と、
    前記パウチの上部に位置し、前記第1側部シール部から前記第2側部シール部まで延びる上部シール部と、
    前記上部シール部によって前記収容部から隔離された第1非シール部と、
    前記第1非シール部の輪郭の内側に位置し、前記表面フィルム又は前記裏面フィルムの少なくとも一方を貫通する貫通部と、を備え、
    前記上部シール部は、前記収容部と前記第1非シール部との間に位置する第1中間シール部を含み、
    前記第1中間シール部は、前記第1方向に直交する第2方向に並ぶ第1部分及び第2部分と、前記第1部分及び前記第2部分に接続され、前記第1部分及び前記第2部分から前記収容部に向かって突出した突出部分と、を含み、
    前記貫通部は、前記第2方向に沿って見た場合に前記第1部分又は前記第2部分に重なるよう配置されている、パウチ。
  2. 前記第1部分は、前記第1側部シール部に接続されており、
    前記第2部分は、前記第2側部シール部に接続されている、請求項1に記載のパウチ。
  3. 前記上部シール部は、前記第1非シール部から前記第1側部シール部まで延びる第1上部シール部と、前記第1非シール部から前記第2側部シール部まで延びる第2上部シール部と、を含み、
    前記第1中間シール部の前記第1部分は、前記第1上部シール部に接続されており、
    前記第1中間シール部の前記第2部分は、前記第2上部シール部に接続されている、請求項1に記載のパウチ。
  4. 前記上部シール部は、前記第1非シール部と前記パウチの上縁との間に位置し、前記第2方向に沿って見た場合に前記第1中間シール部に重なる第2中間シール部を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のパウチ。
  5. 前記第2中間シール部は、前記第1上部シール部及び前記第2上部シール部よりも小さい幅を有する、請求項3を引用する請求項4に記載のパウチ。
  6. 前記第1非シール部は、前記パウチの上縁に達するよう広がっている、請求項1~3のいずれか一項に記載のパウチ。
  7. 前記上部シール部は、前記第2方向に沿って見た場合に前記第1上部シール部又は前記第2上部シール部に重なる部分を含み、前記第1上部シール部又は前記第2上部シール部との間に第2非シール部を画成する堤防シール部を含み、
    前記第2非シール部の輪郭の内側には、第2貫通部が形成されており、
    前記第1中間シール部の前記突出部分は、前記堤防シール部を超えて突出している、請求項1~6のいずれか一項に記載のパウチ。
  8. 前記第1中間シール部の前記突出部分の先端と、前記堤防シール部との間の、前記第2方向における距離が、5.0mm以上である、請求項7に記載のパウチ。
  9. 第1方向における前記収容部の寸法に対する、第1方向における前記第1非シール部の寸法の比率が、0.07以上である、請求項1~8のいずれか一項に記載のパウチ。
  10. 第1方向における前記収容部の寸法に対する、前記第1方向における前記第1部分と前記第2部分との間の間隔の比率が、0.05以上0.15以下である、請求項1~9のいずれか一項に記載のパウチ。
  11. 前記表面フィルムの内面と前記裏面フィルムの内面とを接合するシール部は、10N以下の熱間シール強度を有し、
    前記熱間シール強度は、前記シール部を含む試験片を100℃の環境下で1分間保持した後、100℃の環境下で測定したときのシール強度である、請求項1~10のいずれか一項に記載のパウチ。
  12. 前記表面フィルム及び前記裏面フィルムを構成する包装材料は、第1の二軸延伸プラスチックフィルムと、第2の二軸延伸プラスチックフィルムと、シーラントフィルムとをこの順に備え、
    前記包装材料中に二軸延伸プラスチックフィルムは2枚のみである、請求項1~11のいずれか一項に記載のパウチ。
  13. 前記包装材料を100℃の環境下で1分間保持した後、100℃の環境下で測定したときの前記包装材料の一方向における破断強度が、33.0MPa以上である、請求項12に記載のパウチ。
  14. 前記第1の二軸延伸プラスチックフィルムが二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムであり、
    前記第2の二軸延伸プラスチックフィルムが二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムまたは二軸延伸ナイロンフィルムである、請求項12又は13に記載のパウチ。
  15. 前記包装材料が、前記第1の二軸延伸プラスチックフィルムと前記第2の二軸延伸プラスチックフィルムの間に位置する透明蒸着層をさらに備え、
    前記透明蒸着層が、金属酸化物または無機酸化物を含む、請求項12~14のいずれか一項に記載のパウチ。
  16. 前記表面フィルム及び前記裏面フィルムを構成する包装材料は、二軸延伸プラスチックフィルムと、シーラントフィルムとをこの順に備え、
    前記包装材料中に二軸延伸プラスチックフィルムは1枚のみである、請求項1~11のいずれか一項に記載のパウチ。
  17. 前記包装材料の一方向におけるヤング率が3600MPa以上である、請求項16に記載のパウチ。
  18. 前記包装材料が、前記二軸延伸プラスチックフィルムの面上に設けられた透明蒸着層をさらに備え、
    前記透明蒸着層が、金属酸化物または無機酸化物を含む、請求項16又は17に記載のパウチ。
  19. 前記包装材料が、前記透明蒸着層の面上に位置する透明ガスバリア性塗布膜をさらに備える、請求項15又は18に記載のパウチ。
  20. 前記シーラントフィルムが、プロピレン・エチレンブロック共重合体と、エラストマーとを含む、請求項12~19のいずれか一項に記載のパウチ。
  21. 前記パウチの前記収容部に肉を含む内容物が収容されており、
    前記パウチは電子レンジで加熱される、
    請求項1~20のいずれか一項に記載のパウチ。
  22. 前記内容物が、3mm以上の寸法を有する前記肉を50個以上含む、請求項21に記載のパウチ。
  23. 3mm以上の寸法を有する前記肉の数を前記内容物の重量で割った値が0.3個/g以上である、請求項21又は22に記載のパウチ。
  24. 前記内容物は、前記肉を含む具材と、粘性成分とを備え、
    前記内容物の重量に対する前記具材の重量の比率が8%以上であり、
    前記具材の重量に対する前記肉の重量の比率が20%以上である、請求項21~23のいずれか一項に記載のパウチ。
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