JP2021070326A - 積層体およびそれを備える包装製品 - Google Patents

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Abstract

【課題】基材層、印刷層、接着剤層、およびシーラント層が順に積層された積層体であって、バイオマス度がより高められた積層体の提供。【解決手段】本発明による積層体は、少なくとも、基材層、印刷層、接着剤層、およびシーラント層が順に積層された積層体であって、接着剤層が、ポリオールとイソシアネート化合物との硬化物を含み、イソシアネート化合物がバイオマス由来成分を含むものである。【選択図】図1

Description

本発明は、少なくとも、基材層、印刷層、接着剤層、およびシーラント層が順に積層された積層体に関し、より詳細には、少なくとも接着剤層がバイオマス由来成分を含む積層体に関する。さらには、該積層体を備える包装製品に関する。
近年、循環型社会の構築を求める声の高まりとともに、材料分野においてもエネルギーと同様に化石燃料からの脱却が望まれており、バイオマスの利用が注目されている。バイオマスは、二酸化炭素と水から光合成された有機化合物であり、それを利用することにより、再度二酸化炭素と水になる、いわゆるカーボンニュートラルな再生可能エネルギーである。昨今、これらバイオマスを原料としたバイオマスプラスチックの実用化が急速に進んでおり、各種の樹脂をバイオマス原料から製造する試みも行われている。
バイオマス由来の樹脂としては、乳酸発酵を経由して製造されるポリ乳酸(PLA)が先行して商業生産が始まったが、生分解性であることをはじめ、プラスチックとしての性能が現在の汎用プラスチックとは大きく異なるため、製品用途や製品製造方法に限界があり広く普及するには至っていない。また、PLAに対しては、ライフサイクルアセスメント(LCA)評価が行われており、PLA製造時の消費エネルギーおよび汎用プラスチック代替時の等価性等について議論がなされている。
ここで、汎用プラスチックとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエステル等、様々な種類が用いられている。特に、ポリエチレンは、フィルム、シート、ボトル等に成形され、包装材等の種々の用途に供されており、世界中での使用量が多い。そのため、従来の化石燃料由来のポリエチレンを用いることは環境負荷が大きい。そのため、ポリエチレンの製造にバイオマス由来の原料を用いて、化石燃料の使用量を削減することが望まれている。例えば、現在までに、ポリオレフィン樹脂の原料となるエチレンやブチレンを、再生可能な天然原料から製造することが研究されてきた(特許文献1参照)。
また、ポリエステルは、その機械的特性、化学的安定性、耐熱性、透明性などに優れ、かつ安価であることから、各種産業用途に広く使用されている。ポリエステルは、ジオール単位とジカルボン酸単位とを重縮合して得られ、例えば、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略す場合がある)は、エチレングリコールとテレフタル酸とを原料として、これらをエステル化反応させた後に重縮合反応させて製造されている。これらの原料は化石資源である石油から生産され、例えば、エチレングリコールはエチレンから、テレフタル酸はキシレンから工業的に生産されている。
昨今、ポリエステルをバイオマス原料から製造する試みも行われている。例えば、モノマー成分であるエチレングリコールとしてバイオマス由来のものを用いたものが実用化されている。このようなバイオマス由来原料を含むポリエステル樹脂を、包装材料に適用することが提案されている(特許文献2参照)。
特表2011−506628号公報 特開2012−96410号公報
従来、基材層、印刷層、接着剤層、およびシーラント層が順に積層された積層体において、印刷層や接着剤層は化石燃料由来の材料により形成されており、積層体全体のバイオマス度を低下させる原因であった。そのため、基材層、印刷層、接着剤層、およびシーラント層が順に積層された積層体において、積層体全体のバイオマス度をより高めることが求められている。
本発明者らは、少なくとも、基材層、印刷層、接着剤層、およびシーラント層が順に積層された積層体において、少なくとも接着剤層をバイオマス由来成分を含む材料により形成することで、積層体全体のバイオマス度をより高められるとの知見を得た。本発明はかかる知見によるものである。
したがって、本発明の目的は、基材層、印刷層、接着剤層、およびシーラント層が順に積層された積層体であって、バイオマス度がより高められた積層体を提供することである。
本発明の態様においては、少なくとも、基材層、印刷層、接着剤層、およびシーラント層が順に積層された積層体であって、
前記接着剤層が、ポリオールとイソシアネート化合物との硬化物を含み、前記ポリオールがバイオマス由来成分を含み、前記イソシアネート化合物がバイオマス由来成分を含み、
前記接着剤層のバイオマス度が5%以上35%以下である、積層体が提供される。
本発明の態様においては、前記印刷層が、着色剤と、ポリオールとイソシアネート化合物との硬化物とを含み、前記ポリオールまたは前記イソシアネート化合物の少なくともいずれかがバイオマス由来成分を含むことが好ましい。
本発明の態様においては、前記基材層が、ポリプロピレンを含むことが好ましい。
本発明の態様においては、前記シーラント層が、ポリプロピレンを含むことが好ましい。
本発明の態様においては、前記印刷層のバイオマス度が、5%以上25%以下であることが好ましい。
本発明の態様においては、前記積層体全体のバイオマス度が、1%以上60%以下であることが好ましい。
本発明の別の態様においては、前記積層体を備える包装製品が提供される。
本発明による積層体は、少なくとも、基材層、印刷層、接着剤層、およびシーラント層が順に積層された積層体であって、少なくとも接着剤層をバイオマス由来成分を含む材料により形成することで、積層体全体のバイオマス度をより高めることができる。
本発明による積層体の一例を示す模式断面図である。
<積層体>
本発明による積層体は、少なくとも、基材層、印刷層、接着剤層、およびシーラント層が順に積層されたものである。積層体において少なくとも接着剤層をバイオマス由来成分を含む材料により形成することで、従来に比べて化石燃料の使用量を削減することができ、環境負荷を減らすことができる。また、本発明による積層体は、従来の化石燃料由来の積層体と比べて、機械的特性等の物性面で遜色がないため、従来の化石燃料由来のポリエステル樹脂層を備える積層体を代替することができる。
本発明においては、積層体全体で、下記で説明するバイオマス度が、好ましくは1%以上、より好ましくは1%以上60%以下、さらに好ましくは5%以上60%以下である。
バイオマス度が上記範囲であれば、化石燃料の使用量を削減することができ、環境負荷を減らすことができる。
積層体は、好ましくは10μm以上500μm以下、より好ましくは30μm以上300μm以下、さらに好ましくは40μm以上200μm以下の厚さを有するものである。
本発明による該積層体は、上記の層以外に、バリア層や樹脂層等の他の層を少なくとも1層さらに有してもよい。その他の層を2層以上有する場合、それぞれが、同一の組成であってもよいし、異なる組成であってもよい。
本発明による積層体について、図面を参照しながら説明する。本発明による積層体の模式断面図の例を図1に示す。
図1に示される積層体10は、基材層11と、印刷層12と、接着剤層13と、シーラント層14とを備えるものである。
以下、積層体を構成する各層について説明する。
[基材層]
基材層はプラスチックフィルムである。基材層は、バイオマス由来成分を含む材料により形成する場合、下記のバイオマスポリエステルを用いて形成することができる。
(バイオマスポリエステル)
バイオマスポリエステルは、バイオマス由来のエチレングリコールをジオール単位とし、化石燃料由来のジカルボン酸をジカルボン酸単位とするものである。基材層は、バイオマスポリエステルに加えて、化石燃料由来のエチレングリコールをジオール単位とし、化石燃料由来のジカルボン酸をジカルボン酸単位とする化石燃料由来のポリエステルをさらに含んでもよい。基材層全体として、下記のバイオマス度を実現できればよい。本発明においては、基材層がバイオマスポリエステルを含むことで、従来に比べて化石燃料由来のポリエステルの量を削減し環境負荷を減らすことができる。
本発明において、「バイオマス度」とは、バイオマス由来成分の重量比率を示すものである。
ポリエチレンテレフタレートを例にとると、ポリエチレンテレフタレートは、2炭素原子を含むエチレングリコールと8炭素原子を含むテレフタル酸とがモル比1:1で重合したものであるため、エチレングリコールとしてバイオマス由来のもののみを使用した場合、ポリエステル中のバイオマス由来成分の重量比率は約30%であるため、バイオマス度は約30%となる。また、化石燃料由来のエチレングリコールと、化石燃料由来のジカルボン酸とを用いて製造した化石燃料由来のポリエステル中のバイオマス由来成分の重量比率は0%であり、化石燃料由来のポリエステルのバイオマス度は0%となる。
本発明において、基材層中のバイオマス度は、5%以上であり、好ましくは10%以上30%以下であり、より好ましくは15%以上25%以下である。基材層中のバイオマス度が5%以上であれば、従来に比べて化石燃料由来のポリエステルの量を削減し環境負荷を減らすことができる。
バイオマス由来のエチレングリコールは、バイオマスを原料として製造されたエタノール(バイオマスエタノール)を原料としたものである。例えば、バイオマスエタノールを、従来公知の方法により、エチレンオキサイドを経由してエチレングリコールを生成する方法等により、バイオマス由来のエチレングリコールを得ることができる。また、市販のバイオマスエチレングリコールを使用してもよく、例えば、インディアグライコール社から市販されているバイオマスエチレングリコールを好適に使用することができる。
バイオマスポリエステルのジカルボン酸単位は、化石燃料由来のジカルボン酸を使用する。ジカルボン酸としては、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、およびそれらの誘導体を制限なく使用することができる。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸及びイソフタル酸等が挙げられ、芳香族ジカルボン酸の誘導体としては、芳香族ジカルボン酸の低級アルキルエステル、具体的には、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル及びブチルエステル等が挙げられる。これらの中でも、テレフタル酸が好ましく、芳香族ジカルボン酸の誘導体としては、ジメチルテレフタレートが好ましい。
また、脂肪族ジカルボン酸としては、具体的には、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ダイマー酸ならびにシクロヘキサンジカルボン酸等の、通常炭素数が2以上40以下の鎖状或いは脂環式ジカルボン酸が挙げられる。また、脂肪族ジカルボン酸の誘導体として、上記脂肪族ジカルボン酸のメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル及びブチルエステル等の低級アルキルエステルや例えば無水コハク酸等の上記脂肪族ジカルボン酸の環状酸無水物が挙げられる。これらのなかでも、アジピン酸、コハク酸、ダイマー酸又はこれらの混合物が好ましく、コハク酸を主成分とするものが特に好ましい。脂肪族ジカルボン酸の誘導体としては、アジピン酸及びコハク酸のメチルエステル、又はこれらの混合物がより好ましい。これらのジカルボン酸は単独でも2種以上混合して使用することもできる。
バイオマスポリエステルは、上記のジオール成分とジカルボン酸成分に加えて、第3成分として共重合成分を加えた共重合ポリエステルであっても良い。共重合成分の具体的な例としては、2官能のオキシカルボン酸や、架橋構造を形成するために3官能以上の多価アルコール、3官能以上の多価カルボン酸及び/又はその無水物並びに3官能以上のオキシカルボン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の多官能化合物が挙げられる。これらの共重合成分の中では、高重合度の共重合ポリエステルが容易に製造できる傾向があるため、特に2官能及び/又は3官能以上のオキシカルボン酸が好適に使用される。その中でも、3官能以上のオキシカルボン酸の使用は、後述する鎖延長剤を使用することなく、極少量で容易に高重合度のポリエステルを製造できるので最も好ましい。
バイオマスポリエステルは、上記したジオール単位とジカルボン酸単位とを重縮合させる従来公知の方法により得ることができる。具体的には、上記のジカルボン酸成分とジオール成分とのエステル化反応及び/又はエステル交換反応を行った後、減圧下での重縮合反応を行うといった溶融重合の一般的な方法や、有機溶媒を用いた公知の溶液加熱脱水縮合方法によって製造することができる。バイオマスポリエステルを製造する際に用いるジオールの使用量は、ジカルボン酸又はその誘導体100モルに対し、実質的に等モルであるが、一般には、エステル化及び/又はエステル交換反応及び/又は縮重合反応中の留出があることから、0.1モル%以上20モル%以下の量を過剰に用いることが好ましい。
バイオマスポリエステルの樹脂組成物、または、バイオマスポリエステルと化石燃料由来のポリエステルを含む樹脂組成物を用いて、例えば、Tダイ法によってフィルム化することにより基材層を形成することができる。具体的には、上記した樹脂組成物を乾燥させた後、樹脂組成物の融点Tm以上の温度〜Tm+70℃の温度に加熱された溶融押出機に供給して、樹脂組成物を溶融し、例えばTダイなどのダイよりシート状に押出し、押出されたシート状物を回転している冷却ドラムなどで急冷固化することにより基材層のフィルムを成形することができる。溶融押出機としては、一軸押出機、二軸押出機、ベント押出機、タンデム押出機等を目的に応じて使用することができる。
基材層は2軸延伸されていることが好ましい。2軸延伸は従来公知の方法で行うことができる。例えば、上記のようにして冷却ドラム上に押し出された基材層のフィルムを、続いて、ロール加熱、赤外線加熱などで加熱し、縦方向に延伸して縦延伸フィルムとする。
この延伸は2個以上のロールの周速差を利用して行うのが好ましい。縦延伸は、通常、50℃以上100℃以下の温度範囲で行われる。また、縦延伸の倍率は、フィルム用途の要求特性にもよるが、2.5倍以上4.2倍以下とするのが好ましい。延伸倍率が2.5倍未満の場合は、フィルムの厚み斑が大きくなり良好なフィルムを得ることが難しい。
縦延伸されたフィルムは、続いて横延伸、熱固定、熱弛緩の各処理工程を順次施して二軸延伸フィルムとなる。横延伸は、通常、50℃以上100℃以下の温度範囲で行われる。横延伸の倍率は、この用途の要求特性にもよるが、2.5倍以上5.0倍以下が好ましい。2.5倍未満の場合はフィルムの厚み斑が大きくなり良好なフィルムが得られにくく、5.0倍を超える場合は製膜中に破断が発生しやすくなる。
基材層のフィルムの破断強度は、MD方向で5kg/mm以上40kg/mm以下、TD方向で5kg/mm以上35kg/mm以下であり、また、破断伸度は、MD方向で50%以上350%以下、TD方向で50%以上300%以下である。また、150℃の温度環境下に30分放置した時の収縮率は、0.1%以上5%以下である。
基材層は、好ましくは5μm以上40μm以下、より好ましくは8μm以上25μm以下、さらに好ましくは9μm以上20μm以下の厚さを有するものである。基材層の厚さが上記範囲程度であれば、成形加工が容易であり、また包装材料として好適に用いることができる。
基材層がバイオマス由来成分を含まない材料により形成する場合、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルムやポリブチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルム等のポリオレフィンフィルム、ナイロンフィルムやナイロン6/メタキシリレンジアミンナイロン6共押共延伸フィルム等のポリアミドフィルム、またはポリプロピレン/エチレン−ビニルアルコール共重合体共押共延伸フィルム、またはこれらの2以上のフィルムを積層した複合フィルムなどのプラスチックフィルムを用いることができる。なお、プラスチックフィルムには、ポリビニルアルコールなどがコーティングされていてもよい。
基材層は単層フィルムであってもよいし、2層以上の共押しフィルムであってもよい。
また、積層体中に基材層は一つであってもよいし、二つ以上が含まれるようにしてもよい。例えば、積層体中に二つの基材層が含まれる場合、一の基材層を基材層、他の基材層を第2の基材層と言うことがある。
[印刷層]
印刷層は、装飾、内容物の表示、賞味期間の表示、製造者、販売者などの表示、その他などの表示や美感の付与のために、文字、数字、絵柄、図形、記号、模様などの所望の任意の印刷模様を形成する層である。印刷層は、着色剤と、ポリオールとイソシアネート化合物との硬化物とを含むものである。印刷層は、バイオマス由来成分を含む材料により形成する場合、ポリオールとイソシアネート化合物の少なくともいずれかがバイオマス由来成分を含む硬化物を用いて形成することができる。また、印刷層は、バイオマス由来成分を含まない材料により形成する場合、従来公知のポリオールとイソシアネート化合物の両方が化石燃料由来成分からなる硬化物を用いて形成することができる。
(ポリオール)
本発明において、バイオマス由来成分を含むポリオールは、例えば、バイオマス由来の多官能アルコールおよび/または化石燃料由来の多官能アルコールと、バイオマス由来の多官能カルボン酸および/または化石燃料由来の多官能カルボン酸とを反応させて得たポリエステルポリオールを用いることができ、多官能アルコールおよび多官能カルボン酸の少なくともいずれか一方がバイオマス由来成分を含むものである。
バイオマス由来の多官能アルコールとしては、トウモロコシ、サトウキビ、キャッサバ、およびサゴヤシ等の植物原料から得られる脂肪族多官能アルコールを用いることができる。バイオマス由来の脂肪族多官能アルコールとしては、例えば、下記のような方法によって植物原料から得られる、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、エチレングリコール等があり、いずれも使用し得る。これらは、単独で用いても併用してもよい。
バイオマス由来の1,3−プロパンジオール(HOCHCHCHOH)は、植物原料を分解してグルコースが得られる発酵法により、グリセロールから3−ヒドロキシプロピルアルデヒド(HPA)を経て製造される。上記発酵法のようなバイオ法で製造された1,3−プロパンジオール化合物は、EO製造法の1,3−プロパンジオール化合物と比較し、安全性面から乳酸等の有用な副生成物が得られ、しかも製造コストも低く抑えることが可能であることも好ましい。
バイオマス由来の1,4−ブタンジオールは、植物原料からグリコールを製造し発酵することで得られたコハク酸を得て、これを水添することによってバイオマス1,4−ブタンジオールが製造できる。
バイオマス由来のエチレングリコールは、例えば、常法によって得られるバイオエタノールからエチレンを経て製造することができる。
化石燃料由来の多官能アルコールとしては、1分子中に2個以上、好ましくは2〜8個の水酸基を有する化合物を用いることができる。具体的には、化石燃料由来の多官能アルコールとしては、特に限定されず従来公知の物を使用することができ、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリメチロールプロパン、グリセリン、1,9−ノナンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオール等を使用することができる。これらは、単独でも2種以上を併用してもよい。
バイオマス由来の多官能カルボン酸としては、再生産可能な大豆油、亜麻仁油、桐油、ヤシ油、パーム油、ひまし油等の植物由来の油、及びそれらを主体とした廃食用油等をリサイクルした再生油等の植物原料から得られる脂肪族多官能カルボン酸を用いることができる。バイオマス由来の脂肪族多官能カルボン酸としては、例えば、セバシン酸、コハク酸、グルタル酸、ダイマー酸等が挙げられる。例えば、セバシン酸は、ひまし油から得られるリシノール酸をアルカリ熱分解することにより、ヘプチルアルコールを副生成物として生成される。本発明では、特に、バイオマス由来のコハク酸又はバイオマス由来のセバシン酸を用いることが好ましい。
化石燃料由来の多官能カルボン酸としては、脂肪族多官能カルボン酸や芳香族多官能カルボン酸を用いることができる。化石燃料由来の脂肪族多官能カルボン酸としては、特に限定されず従来公知の物を使用することができ、例えば、アジピン酸、ドデカン二酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水マレイン酸、および無水イタコン酸、ならびにそれらのエステル化合物等が挙げられる。また、化石燃料由来の芳香族多官能カルボン酸としては、特に限定されず従来公知の物を使用することができ、例えば、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、無水フタル酸、トリメリット酸、およびピロメリット酸、ならびにそれらのエステル化合物等を用いることができる。
(イソシアネート化合物)
本発明において、バイオマス由来成分を含むイソシアネート化合物は、植物原料から得られるポリイソシアネートを用いることができる。バイオマス由来のポリイソシアネートは、バイオマス由来の二価カルボン酸を酸アミド化し、還元することで末端アミノ基に変換し、さらに、ホスゲンと反応させ、該アミノ基をイソシアネート基に変換することにより得られる。バイオマス由来のポリイソシアネートとしては、ダイマー酸ジイソシアネート(DDI)、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート等が挙げられる。また、バイオマス由来のアミノ酸を原料として、そのアミノ基をイソシアネート基に変換することによってもバイオマス由来のイソシアネート化合物を得ることができる。例えば、リシンジイソシアネート(LDI)は、リシンのカルボキシル基をメチルエステル化した後、アミノ基をイソシアネート基に変換することにより得られる。また、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート(PDI)はリシンのカルボキシル基を脱炭酸した後、アミノ基をイソシアネート基に変換することにより得られる。
1,5−ペンタメチレンジイソシアネートの他の合成方法としては、ホスゲン化法やカルバメート化法が挙げられる。より具体的には、ホスゲン化方法は、1,5−ペンタメチレンジアミンまたはその塩を直接ホスゲンと反応させる方法や、ペンタメチレンジアミンの塩酸塩を不活性溶媒中に懸濁させてホスゲンと反応させる方法により、1,5−ペンタメチレンジイソシアネートを合成するものである。また、カルバメート化法は、まず、1,5−ペンタメチレンジアミンまたはその塩をカルバメート化し、ペンタメチレンジカルバメート(PDC)を生成させた後、熱分解することにより、1,5−ペンタメチレンジイソシアネートを合成するものである。本発明において、好適に使用されるポリイソシアネートとしては、三井化学株式会社製の1,5−ペンタメチレンジイソシアネート系ポリイソシアネート(商品名:スタビオ(登録商標))が挙げられる。
(着色剤)
着色剤としては、特に限定されず、従来公知の顔料や染料を用いることができる。
印刷層は、好ましくは5%以上、より好ましくは5%以上50%以下、さらに好ましくは10%以上50%以下のバイオマス度を有するものである。バイオマス度が上記範囲であれば、化石燃料の使用量を削減することができ、環境負荷を減らすことができる。
印刷層の乾燥後の重量は、好ましくは0.1g/m以上10g/m以下、より好ましくは1g/m以上5g/m以下、さらに好ましくは1g/m以上3g/m以下である。
印刷層は、好ましくは0.1μm以上10μm以下、より好ましくは1μm以上5μm以下、さらに好ましくは1μm以上3μm以下の厚さを有するものである。
[接着剤層]
接着剤層は、積層体を構成するいずれか2層、例えば、印刷層とシーラント層とを接着する機能を果たす層である。接着剤層は、ポリオールとイソシアネート化合物との硬化物を含み、イソシアネート化合物がバイオマス由来成分を含むものであり、さらに、ポリオールがバイオマス由来成分を含むことが好ましい。
バイオマス由来成分を含むイソシアネート化合物としては、上記の印刷層と同様のバイオマス由来成分を含むイソシアネート化合物を用いることができる。また、ポリオールとしては、上記の印刷層と同様のポリオールを用いることができる。印刷層と接着剤層の両方を、バイオマス由来成分を含む硬化物を用いて形成する場合、印刷層中の硬化物と接着剤層中の硬化物は、同様の組成でも良いし、異なる組成でも良い。
接着剤層は、好ましくは5%以上、より好ましくは5%以上50%以下、さらに好ましくは30%以上50%以下のバイオマス度を有するものである。バイオマス度が上記範囲であれば、化石燃料の使用量を削減することができ、環境負荷を減らすことができる。
接着剤層の乾燥後の重量は、好ましくは0.1g/m以上10g/m以下、より好ましくは1g/m以上6g/m以下、さらに好ましくは2g/m以上5g/m以下である。
接着剤層は、好ましくは0.1μm以上10μm以下、より好ましくは1μm以上6μm以下、さらに好ましくは2μm以上5μm以下の厚さを有するものである。
[シーラント層]
シーラント層は、バイオマス由来成分を含む材料により形成する場合、下記のバイオマスポリオレフィンを用いて形成することができる。また、シーラント層は、バイオマス由来成分を含まない材料により形成する場合、従来公知の化石燃料由来の熱可塑性樹脂を用いて形成することができる。シーラント層は、積層体において最内層となる層である。
バイオマスポリオレフィンは、バイオマス由来のエチレン等のオレフィンを含むモノマーの重合体である。原料であるモノマーとしてバイオマス由来のオレフィンを用いているため、重合されてなるポリオレフィンはバイオマス由来となる。なお、ポリオレフィンの原料モノマーは、バイオマス由来のオレフィンを100質量%含むものでなくてもよい。
例えば、バイオマス由来のエチレンは、バイオマス由来のエタノールを原料として製造することができる。特に、植物原料から得られるバイオマス由来の発酵エタノールを用いることが好ましい。植物原料は、特に限定されず、従来公知の植物を用いることができる。例えば、トウモロコシ、サトウキビ、ビート、およびマニオクを挙げることができる。
本発明において、バイオマス由来の発酵エタノールとは、植物原料より得られる炭素源を含む培養液にエタノールを生産する微生物またはその破砕物由来産物を接触させ、生産した後、精製されたエタノールを指す。培養液からのエタノールの精製は、蒸留、膜分離、および抽出等の従来公知の方法が適用可能である。例えば、ベンゼン、シクロヘキサン等を添加し、共沸させるか、または膜分離等により水分を除去する等の方法が挙げられる。
バイオマスポリオレフィンの原料であるモノマーは、化石燃料由来のエチレンのモノマーおよび/または化石燃料由来のα−オレフィンのモノマーをさらに含んでもよいし、バイオマス由来のα−オレフィンのモノマーをさらに含んでもよい。
上記のα−オレフィンは、炭素数は特に限定されないが、通常、炭素数3〜20のものを用いることができ、ブチレン、ヘキセン、またはオクテンであることが好ましい。ブチレン、ヘキセン、またはオクテンであれば、バイオマス由来の原料であるエチレンの重合により製造することが可能となるからである。また、このようなα−オレフィンを含むことで、重合されてなるポリオレフィンはアルキル基を分岐構造として有するため、単純な直鎖状のものよりも柔軟性に富むものとすることができる。
バイオマスポリオレフィンとしては、ポリエチレンや、エチレンとα−オレフィンの共重合体を単独で用いてもよいし、二種以上混合して用いてもよい。特に、バイオマスポリオレフィンはポリエチレンであることが好ましい。バイオマス由来の原料であるエチレンを用いることで、理論上100%バイオマス由来成分により製造することが可能となるからである。
バイオマスポリオレフィンは、異なるバイオマス度のバイオマスポリオレフィンを2種以上含むものであってもよく、ポリオレフィン樹脂層全体として、バイオマス度が、上記範囲内であればよい。
バイオマスポリオレフィンは、好ましくは0.91g/cm以上0.93g/cm以下、より好ましくは0.912g/cm以上0.928g/cm以下、さらに好ましくは0.915g/cm以上0.925g/cm以下の密度を有するものである。
バイオマスポリオレフィンの密度は、JIS K6760−1995に記載のアニーリングを行った後、JIS K7112−1980のうち、A法に規定された方法に従って測定される値である。バイオマスポリオレフィンの密度が0.91g/cm以上あれば、バイオマスポリオレフィンを含むポリオレフィン樹脂層の剛性を高めることができ、包装製品の内層として好適に用いることができる。また、バイオマスポリオレフィンの密度が0.93g/cm以下であれば、バイオマスポリオレフィンを含むポリオレフィン樹脂層の透明性や機械的強度を高めることができ、包装製品の内層として好適に用いることができる。
バイオマスポリオレフィンは、0.1g/10分以上10g/10分以下、好ましくは0.2g/10分以上9g/10分以下、より好ましくは1g/10分以上8.5g/10分以下のメルトフローレート(MFR)を有するものである。メルトフローレートとは、JIS K7210−1995に規定された方法において、温度190℃、荷重21.18Nの条件で、A法により測定される値である。バイオマスポリオレフィンのMFRが0.1g/10分以上であれば、成形加工時の押出負荷を低減することができる。また、バイオマスポリオレフィンのMFRが10g/10分以下であれば、バイオマスポリオレフィンを含むポリオレフィン樹脂層の機械的強度を高めることができる。
本発明において、好適に使用されるバイオマスポリオレフィンとしては、Braskem社製のバイオマス由来の低密度ポリエチレン(商品名:SBC818、密度:0.918g/cm、MFR:8.1g/10分、バイオマス度95%)、Braskem社製のバイオマス由来の低密度ポリエチレン(商品名:SPB681、密度:0.922g/cm、MFR:3.8g/10分、バイオマス度95%)、Braskem社製のバイオマス由来の直鎖状低密度ポリエチレン(商品名:SLL118、密度:0.916g/cm、MFR:1.0g/10分、バイオマス度87%)等が挙げられる。
上記の化石燃料由来の熱可塑性樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体またはアイオノマー等が挙げられる。
シーラント層は、好ましくは5%以上、より好ましくは5%以上60%以下、さらに好ましくは10%以上60%以下のバイオマス度を有するものである。バイオマス度が上記範囲であれば、化石燃料の使用量を削減することができ、環境負荷を減らすことができる。
シーラント層は、好ましくは10μm以上300μm以下、より好ましくは20μm以上200μm以下、さらに好ましくは30μm以上150μm以下の厚さを有するものである。
[バリア層]
本発明による積層体は、バリア層をさらに備えてもよい。バリア層は、無機物および/または無機酸化物からなるものであり、無機物もしくは無機酸化物の蒸着膜または金属箔からなるものが好ましい。蒸着膜は、従来公知の無機物または無機酸化物を用いて、従来公知の方法により形成することができ、その組成および形成方法は特に限定されない。
積層体が、バリア層をさらに有することで、酸素ガスおよび水蒸気等の透過を阻止するガスバリア性や、可視光および紫外線等の透過を阻止する遮光性を、付与ないし向上させることができる。なお、積層体は、バリア層を2層以上有してもよい。バリア層を2層以上有する場合、それぞれが、同一の組成であってもよいし、異なる組成であってもよい。
蒸着膜としては、例えば、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、スズ(Sn)、ナトリウム(Na)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)等の無機物または無機酸化物の蒸着膜を使用することができる。特に、包装用材料(袋)等に適するものとしては、アルミニウム金属の蒸着膜、あるいは、ケイ素酸化物またはアルミニウム金属もしくはアルミニウム酸化物の蒸着膜を用いるのがよい。
無機酸化物の表記は、例えば、SiO、AlO等のようにMO(ただし、式中、Mは、無機元素を表し、Xの値は、無機元素によってそれぞれ範囲がことなる。)で表される。Xの値の範囲としては、ケイ素(Si)は、0〜2、アルミニウム(Al)は、0〜1.5、マグネシウム(Mg)は、0〜1、カルシウム(Ca)は、0〜1、カリウム(K)は、0〜0.5、スズ(Sn)は、0〜2、ナトリウム(Na)は、0〜0.5、ホウ素(B)は、0〜1、5、チタン(Ti)は、0〜2、鉛(Pb)は、0〜1、ジルコニウム(Zr)は0〜2、イットリウム(Y)は、0〜1.5の範囲の値をとることができる。上記において、X=0の場合、完全な無機単体(純物質)であり、透明ではなく、また、Xの範囲の上限は、完全に酸化した値である。包装用材料には、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)が好適に使用され、ケイ素(Si)は、1.0〜2.0、アルミニウム(Al)は、0.5〜1.5の範囲の値のものを使用することができる。
本発明において、上記のような無機物または無機酸化物の蒸着膜の膜厚としては、使用する無機物または無機酸化物の種類等によって異なるが、例えば、50Å以上2000Å以下、好ましくは、100Å以上1000Å以下の範囲内で任意に選択して形成することが望ましい。更に具体的に説明すると、アルミニウムの蒸着膜の場合には、膜厚50Å以上600Å以下、更に、好ましくは、100Å以上450Å以下が望ましく、また、酸化アルミニウムあるいは酸化珪素の蒸着膜の場合には、膜厚50Å以上500Å以下、更に、好ましくは、100Å以上300Å以下が望ましいものである。
蒸着膜は、基材層などに以下の形成方法を用いて形成することができる。蒸着膜の形成方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、およびイオンプレ−ティング法等の物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法、PVD法)、あるいは、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、および光化学気相成長法等の化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、CVD法)等を挙げることができる。
また、他の態様によれば、バリア層は、金属を圧延して得られた金属箔であってもよい。金属箔としては、従来公知の金属箔を用いることができる。酸素ガスおよび水蒸気等の透過を阻止するガスバリア性や、可視光および紫外線等の透過を阻止する遮光性の点からは、アルミニウム箔が好ましい。
(ガスバリア性塗布膜)
必要に応じて、蒸着膜の上にガスバリア性塗布膜を設けてもよい。ガスバリア性塗布膜は、酸素ガスおよび水蒸気などの透過を抑制する層として機能する層である。ガスバリア性塗布膜は、一般式R M(OR(ただし、式中、R、Rは、炭素数1〜8の有機基を表し、Mは、金属原子を表し、nは、0以上の整数を表し、mは、1以上の整数を表し、n+mは、Mの原子価を表す。)で表される少なくとも一種以上のアルコキシドと、上記のようなポリビニルアルコ−ル系樹脂および/またはエチレン・ビニルアルコ−ル共重合体とを含有し、さらに、ゾルゲル法触媒、酸、水、および、有機溶剤の存在下に、ゾルゲル法によって重縮合するガスバリア性組成物により得られる。
上記の一般式R M(ORで表されるアルコキシドとしては、アルコキシドの部分加水分解物、アルコキシドの加水分解の縮合物の少なくとも一種以上を使用することができる。また、上記のアルコキシドの部分加水分解物としては、アルコキシ基のすべてが加水分解されている必要はなく、1個以上が加水分解されているもの、および、その混合物であってもよい。アルコキシドの加水分解の縮合物としては、部分加水分解アルコキシドの2量体以上のもの、具体的には、2〜6量体のものを使用される。
上記の一般式R M(ORで表されるアルコキシドにおいて、Mで表される金属原子としては、ケイ素、ジルコニウム、チタン、アルミニウム、その他などを使用することができる。本実施形態において、好ましい金属としては、例えば、ケイ素、チタンなどを挙げることができる。また、本発明において、アルコキシドの用い方としては、単独または二種以上の異なる金属原子のアルコキシドを同一溶液中に混合して使うこともできる。
また、上記の一般式R M(ORで表されるアルコキシドにおいて、Rで表される有機基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、その他などのアルキル基を挙げることができる。また、上記の一般式R M(ORで表されるアルコキシドにおいて、Rで表される有機基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、その他などを挙げることができる。なお、同一分子中にこれらのアルキル基は同一であっても、異なってもよい。
上記のガスバリア性組成物を調製する際、例えば、シランカップリング剤などを添加してもよい。上記のシランカップリング剤としては、既知の有機反応性基含有オルガノアルコキシシランを用いることができる。本実施形態においては、特に、エポキシ基を有するオルガノアルコキシシランが好適に用いられ、具体的には、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、または、β−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどを使用することができる。上記のようなシランカップリング剤は、一種または二種以上を混合して用いてもよい。
本発明による積層体は、その他の層として、熱可塑性樹脂層をさらに備えていてもよい。熱可塑性樹脂層としては、シーラント層と同じ材料を用いることができる。
<積層体の製造方法>
本発明による積層体の製造方法は特に限定されず、ドライラミネート法、溶融押出しラミネート法、サンドラミネート法等の従来公知の方法を用いて製造することができる。
本発明による積層体には、化学的機能、電気的機能、磁気的機能、力学的機能、摩擦/磨耗/潤滑機能、光学的機能、熱的機能、生体適合性等の表面機能等の付与を目的として、二次加工を施すことも可能である。二次加工の例としては、エンボス加工、塗装、接着、印刷、メタライジング(めっき等)、機械加工、表面処理(帯電防止処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、フォトクロミズム処理、物理蒸着、化学蒸着、コーティング、等)等が挙げられる。また、本発明による積層体に、ラミネート加工(ドライラミネートや押し出しラミネート)、製袋加工、およびその他の後処理加工を施して、成型品を製造することもできる。
<用途>
本発明による積層体は、包装製品に使用することができ、包装製品としては、包装袋、ラミネートチューブ、蓋材、シート成形品、ラベル材料等が挙げられる。
<別の態様>
従来、基材層、印刷層、接着剤層、およびシーラント層が順に積層された積層体において、印刷層や接着剤層は化石燃料由来の材料により形成されており、積層体全体のバイオマス度を低下させる原因であった。そのため、基材層、印刷層、接着剤層、およびシーラント層が順に積層された積層体において、積層体全体のバイオマス度をより高めることが求められている。
本発明者らは、少なくとも、基材層、印刷層、接着剤層、およびシーラント層が順に積層された積層体において、少なくとも接着剤層をバイオマス由来成分を含む材料により形成することで、積層体全体のバイオマス度をより高められるとの知見を得た。本発明の別の態様はかかる知見によるものである。
したがって、本発明の別の態様の目的は、基材層、印刷層、接着剤層、およびシーラント層が順に積層された積層体であって、バイオマス度がより高められた積層体を提供することである。
本発明の別の態様においては、
少なくとも、基材層、印刷層、接着剤層、およびシーラント層が順に積層された積層体であって、
接着剤層が、ポリオールとイソシアネート化合物との硬化物を含み、イソシアネート化合物がバイオマス由来成分を含む、積層体が提供される。
本発明の別の態様においては、前記印刷層が、着色剤と、ポリオールとイソシアネート化合物との硬化物とを含み、ポリオールまたはイソシアネート化合物の少なくともいずれかがバイオマス由来成分を含むことが好ましい。
本発明の別の態様においては、前記基材層が、ポリプロピレンを含むことが好ましい。
本発明の別の態様においては、前記シーラント層が、ポリプロピレンを含むことが好ましい。
本発明の別の態様においては、前記接着剤層のバイオマス度が、30%以上50%以下であることが好ましい。
本発明の別の態様においては、前記印刷層のバイオマス度が、10%以上50%以下であることが好ましい。
本発明の別の態様においては、前記積層体全体のバイオマス度が、1%以上60%以下であることが好ましい。
本発明の別の態様においては、前記積層体を備える包装製品が提供される。
本発明の別の態様による積層体は、少なくとも、基材層、印刷層、接着剤層、およびシーラント層が順に積層された積層体であって、少なくとも接着剤層をバイオマス由来成分を含む材料により形成することで、積層体全体のバイオマス度をより高めることができる。
以下に、実施例と比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定解釈されるものではない。
[実施例1]
<積層体1の作製>
基材層として、化石燃料由来の二軸延伸ポリプロピレンフィルム(バイオマス度0%、厚さ12μm)上に、主剤としてバイオマス由来成分を含むポリエステルポリオールと硬化剤として化石燃料由来のポリイソシアネートとを含み、着色剤(酸化チタン)をさらに添加したバイオマス由来のインキを用いて印刷層(バイオマス度25%、乾燥後の重量2g/m)を形成した。続いて、印刷層上に、ドライラミネート法を用いて、主剤としてバイオマス由来成分を含むポリエステルポリオールと硬化剤としてバイオマス由来のポリイソシアネートとを含むバイオマス由来の接着剤(三井化学株式会社製、商品名:スタビオ)を塗布した後、この接着剤層(バイオマス度35%、乾燥後の重量2g/m)を介して、化石燃料由来の無延伸ポリプロピレンフィルム(バイオマス度0%、厚さ50μm)を貼り合わせて、基材層、印刷層、接着剤層、およびシーラント層が順に積層された積層体1を得た。
[実施例2]
<積層体2の作製>
基材層として、化石燃料由来の二軸延伸ポリプロピレンフィルム(バイオマス度0%、厚さ12μm)上に、主剤として化石燃料由来成分からなるポリエステルポリオールと硬化剤として化石燃料由来のポリイソシアネートとを含み、着色剤(酸化チタン)をさらに添加した化石燃料由来のインキを用いて印刷層(バイオマス度0%、乾燥後の重量2g/m)を形成した。続いて、印刷層上に、ドライラミネート法を用いて、主剤としてバイオマス由来のポリエステルポリオールと硬化剤としてバイオマス由来成分を含むポリイソシアネートとを含むバイオマス由来の接着剤(三井化学株式会社製、商品名:スタビオ)を塗布した後、この接着剤層(バイオマス度35%、乾燥後の重量2g/m)を介して、化石燃料由来の無延伸ポリプロピレンフィルム(バイオマス度0%、厚さ50μm)を貼り合わせて、基材層、印刷層、接着剤層、およびシーラント層が順に積層された積層体2を得た。
[実施例3]
<積層体3の作製>
基材層として、化石燃料由来の二軸延伸ポリプロピレンフィルム(バイオマス度0%、厚さ12μm)上に、主剤としてバイオマス由来成分を含むポリエステルポリオールと硬化剤として化石燃料由来のポリイソシアネートとを含み、着色剤(酸化チタン)をさらに添加したバイオマス由来のインキを用いて印刷層(バイオマス度25%、乾燥後の重量2g/m)を形成した。続いて、印刷層上に、ドライラミネート法を用いて、主剤として化石燃料由来成分からなるポリエステルポリオールと硬化剤として化石燃料由来のポリイソシアネートとを含む化石燃料由来の接着剤を塗布した後、この接着剤層(バイオマス度0%、乾燥後の重量2g/m)を介して、化石燃料由来の無延伸ポリプロピレンフィルム(バイオマス度0%、厚さ50μm)を貼り合わせて、基材層、印刷層、接着剤層、およびシーラント層が順に積層された積層体3を得た。
[比較例1]
<積層体4の作製>
基材層として、化石燃料由来の二軸延伸ポリプロピレンフィルム(バイオマス度0%、厚さ12μm)上に、主剤として化石燃料由来成分からなるポリエステルポリオールと硬化剤として化石燃料由来のポリイソシアネートとを含み、着色剤(酸化チタン)をさらに添加した化石燃料由来のインキを用いて印刷層(バイオマス度0%、乾燥後の重量2g/m)を形成した。続いて、印刷層上に、ドライラミネート法を用いて、主剤として化石燃料由来成分からなるポリエステルポリオールと硬化剤として化石燃料由来のポリイソシアネートとを含む化石燃料由来の接着剤を塗布した後、この接着剤層(バイオマス度0%、乾燥後の重量2g/m)を介して、化石燃料由来の無延伸ポリプロピレンフィルム(バイオマス度0%、厚さ50μm)を貼り合わせて、基材層、印刷層、接着剤層、およびシーラント層が順に積層された積層体4を得た。
Figure 2021070326
10 積層体
11 基材層
12 印刷層
13 接着剤層
14 シーラント層

Claims (7)

  1. 少なくとも、基材層、印刷層、接着剤層、およびシーラント層が順に積層された積層体であって、
    前記接着剤層が、ポリオールとイソシアネート化合物との硬化物を含み、前記ポリオールがバイオマス由来成分を含み、前記イソシアネート化合物がバイオマス由来成分を含み、
    前記接着剤層のバイオマス度が5%以上35%以下である、積層体。
  2. 前記印刷層が、着色剤と、ポリオールとイソシアネート化合物との硬化物とを含み、前記ポリオールまたは前記イソシアネート化合物の少なくともいずれかがバイオマス由来成分を含む、請求項1に記載の積層体。
  3. 前記基材層が、ポリプロピレンを含む、請求項1または2に記載の積層体。
  4. 前記シーラント層が、ポリプロピレンを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の積層体。
  5. 前記印刷層のバイオマス度が、5%以上25%以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の積層体。
  6. 前記積層体全体のバイオマス度が、1%以上60%以下である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の積層体。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の積層体を備える、包装製品。
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