JP2006138074A - 基礎部の浮き上がりを許容した建物の構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】地震発生時に建物に転倒モーメントが作用した際に、浮き上がりを発生しやすい建物の構造を提供する。
【解決手段】工場用建物10は、建物の外周部に配列された外周部柱14、15と、建物の内部に配列された内部柱16とを有する。柱どうしが梁18を介して互いに連結されている。夫々の柱の柱脚に設けたフーチング24と、それらフーチングを支持する基礎杭の杭頭とは縁切りされている。外周部柱と梁とを剛結合する補剛材20を設けて、外周部柱と梁とでラーメン構造を構成した。外周部柱の柱脚に設けるフーチングと、そのフーチングを支持する杭頭との間に、フーチングと杭頭との間の相対的な水平方向の変位を阻止する一方でフーチングが杭頭から浮き上がることを許容する連結構造を設けた。更に、内部柱の柱脚に設けるフーチングと、そのフーチングを支持する杭頭との間に、フーチングが杭頭から浮き上がることを許容する連結構造を設けた。
【選択図】図2B
【解決手段】工場用建物10は、建物の外周部に配列された外周部柱14、15と、建物の内部に配列された内部柱16とを有する。柱どうしが梁18を介して互いに連結されている。夫々の柱の柱脚に設けたフーチング24と、それらフーチングを支持する基礎杭の杭頭とは縁切りされている。外周部柱と梁とを剛結合する補剛材20を設けて、外周部柱と梁とでラーメン構造を構成した。外周部柱の柱脚に設けるフーチングと、そのフーチングを支持する杭頭との間に、フーチングと杭頭との間の相対的な水平方向の変位を阻止する一方でフーチングが杭頭から浮き上がることを許容する連結構造を設けた。更に、内部柱の柱脚に設けるフーチングと、そのフーチングを支持する杭頭との間に、フーチングが杭頭から浮き上がることを許容する連結構造を設けた。
【選択図】図2B
Description
本発明は、基礎部の浮き上がりを許容した建物の構造に関する。より詳しくは、本発明は、建物の上部構造の浮き上がりを許容することによって、地震時に建物が受けるエネルギを低減するようにした建物の構造に関する。
地震発生時に建物の基礎に水平方向の加速度が加わると、建物に転倒モーメントが作用する。水平方向の加速度が大きく、建物のアスペクト比(幅に対する高さの比)も大きい場合には、転倒モーメントによって建物の一側が浮き上がろうとする。その結果、例えば杭基礎を採用している建物の場合、建物の浮き上がり側では基礎杭を引き抜こうとする引張荷重が杭に作用し、その反対側では基礎杭を押し込もうとする圧縮荷重が増大する。これらの荷重に耐えられるだけの十分な強度を備えた建物を構築するには、それ相応のコストが必要である。
そのため、通常であれば基礎杭の杭頭に固定連結するフーチングを、杭頭から縁切りして、大きな転倒モーメントが作用したときには、フーチングより上の建物上部構造が杭頭から浮き上がれるようにした建物の基礎構造が提案されている。
例えば特開2003−129498号公報には、杭とフーチングとの間を、せん断抵抗用の鋼管を介して接合することで、杭とフーチングとの縁を切った建物の基礎構造が開示されており、この基礎構造では、浮き上がった建物上部構造が着座する際の衝撃を緩和するために、緩衝材を杭とフーチングとの間に敷設している。
また、特開2000−240315号公報には、柱脚で浮き上がりを発生させて、エネルギ吸収装置で浮き上がり後の建物応答の低減を図るようにした建物の基礎構造が開示されており、この基礎構造では、着座時の衝撃を緩和するための緩衝材や、変位を制御するための復元部材を浮き上がり部分に介装している。
また、特開2001−115683号公報には、建物上部構造の鋼管柱と、建物下部構造である基礎のフーチングに埋め込んだ鋼管との間隙に、ダンパを介装した構造が開示されている。
そして、建物の上部構造が杭頭から浮き上がれるようにした基礎構造を用いて、基礎部の浮き上がりを許容した建物としては、特開2002−276192号公報に開示されているものがある。
特開2000−240315号公報
特開2001−115683号公報
特開2003−129498号公報
特開2002−276192号公報
しかしながら、特開2002−276192号公報に開示されている建物は、単に、建物の上部構造が杭頭から浮き上がれるようにした基礎構造を、通常の構造の建物に適用したに過ぎない。かかる基礎構造を用いることによって得られる利点は、建物の基礎部の浮き上がりを許容することで、そうでない場合と比べて、基礎部や柱に作用する荷重を低減できることにあり、従って、この利点を最大限に活用し得る特別の建物の構造が求められている。
本発明は、かかる事情に鑑み成されたものであり、本発明の目的は、地震発生時に建物に転倒モーメントが作用した際に、浮き上がりを発生しやすい、建物の構造を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明に係る建物の構造は、建物の外周部に配列された外周部柱と、建物の内部に配列された内部柱とを有し、柱どうしが梁を介して互いに連結されており、夫々の柱の柱脚に設けられたフーチングと、それらフーチングを支持する基礎杭の杭頭とは縁切りされている、建物の構造において、前記外周部柱と前記梁とを剛結合する補剛材を設けることにより、それら外周部柱と梁とでラーメン構造を構成し、前記外周部柱の柱脚に設けるフーチングと、そのフーチングを支持する基礎杭の杭頭との間に、フーチングと杭頭との間の相対的な水平方向の変位を阻止する一方でフーチングが杭頭から浮き上がることを許容する連結構造を設け、前記内部柱の柱脚に設けるフーチングと、そのフーチングを支持する基礎杭の杭頭との間に、フーチングが杭頭から浮き上がることを許容する連結構造を設けたことを特徴とする。
また、本発明に係る建物の構造は、建物の外周部に配列された外周部柱と、建物の内部に配列された内部柱とを有し、柱どうしが梁を介して互いに連結されており、夫々の柱の柱脚と、基礎杭の杭頭に設けられそれら柱の柱脚を支持するフーチングとは縁切りされている、建物の構造において、前記外周部柱と前記梁とを剛結合する補剛材を設けることにより、それら外周部柱と梁とでラーメン構造を構成し、前記外周部柱の柱脚と、その柱脚を支持するフーチングとの間に、柱脚とフーチングとの間の相対的な水平方向の変位を阻止する一方で柱脚がフーチングから浮き上がることを許容する連結構造を設け、前記内部柱の柱脚と、その柱脚を支持するフーチングとの間に、柱脚がフーチングから浮き上がることを許容する連結構造を設けたことを特徴とする。
また、本発明に係る建物の構造は、建物の外周部に配列された外周部柱と、建物の内部に配列された内部柱とを有し、柱どうしが梁を介して互いに連結されており、夫々の柱の柱脚と、基礎杭の杭頭に設けられそれら柱の柱脚を支持するフーチングとは縁切りされている、建物の構造において、前記外周部柱と前記梁とを剛結合する補剛材を設けることにより、それら外周部柱と梁とでラーメン構造を構成し、前記外周部柱の柱脚と、その柱脚を支持するフーチングとの間に、柱脚とフーチングとの間の相対的な水平方向の変位を阻止する一方で柱脚がフーチングから浮き上がることを許容する連結構造を設け、前記内部柱の柱脚と、その柱脚を支持するフーチングとの間に、柱脚がフーチングから浮き上がることを許容する連結構造を設けたことを特徴とする。
本発明によれば、地震発生時に建物に転倒モーメントが作用した際に、建物の一側が容易に浮き上がるため、建物の基礎部及び柱に作用する剪断力や軸力が低減される。従って建物の各部に必要とされる強度が低減されることから、建築コストの削減が可能である。更に、建物のブレースを削減ないし省略できることから、自由な平面及び立面計画が可能となり、特に工場用建物に適用した場合に大きな利点が得られる。
以下に本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。図1A及び図1Bは本発明に係る建物の構造を適用した工場用建物の柱の配列の2つの具体例を示した平面図である。これらの具体例において、工場用建物の柱はいずれも行列状に配列されており、図1Aでは9行4列、図1Bでは4行4列に配列されている。更に、図1Aの建物では、この建物の外周部に配列された外周部柱14、15のうち、この建物の二辺に沿って桁行方向に並んだ外周部柱14が、その他の外周部柱15及びこの建物の内部に配列された内部柱16よりも太く、剛性の大きな柱とされている。また、図1Bの建物では、この建物の外周部に配列された外周部柱14、15のうち、この建物の四隅に位置する4本の外周部柱14が、その他の外周部柱15及びこの建物の内部に配列された内部柱16よりも太く、剛性の大きな柱とされている。
図1Aに示した建物は平面形状が長方形であり、桁行方向に長く、梁間方向に短い。この図の柱の配列を有する建物は、本発明を採用することによって、地震による入力加速度の梁間方向成分が大きなものである場合に、梁間方向の一端側の外周部柱14以外のその他の柱が浮き上がるようにすることができる。図1Bに示した建物は平面形状が正方形であり、この図の柱の配列を有する建物は、本発明を採用することによって、地震による入力加速度の梁間方向成分が大きなものである場合には、梁間方向の一端側の外周部柱14以外のその他の柱が浮き上がり、その入力加速度の桁行方向成分が大きなものである場合には、桁行方向の一端側の外周部柱14以外のその他の柱が浮き上がるようにすることができる。
本発明を適用する建物は工場用建物に限定されず、またその建物の柱の配列は図1A及び図1Bに示したものに限定されないが、ただし本発明は、柱が行列状に配列された平面視矩形の工場用建物に適用する場合に、特に好適な結果が得られ、以下の説明は、そのような建物に本発明を適用した場合に即して説明して行く。尚、建物の柱を浮き上がらせるためには、その建物の、浮き上がりを発生させる方向における梁のスパン数を、2、3、または4とすると好都合であり、図1A及び図1Bの柱の配列では、このスパン数が3となっている。
図2A及び図2Bは本発明の第1の実施の形態に係る建物の構造を採用した工場用建物10の断面立面図である。建物10は、この建物の外周部に配列された外周部柱14と、この建物の内部に配列された内部柱16とを有し、それら柱14、16の平面図における配列は、例えば、図1Aに示した配列や、図1Bに示した配列などとすることができる。また更に、図1Aや図1Bに示したものと同様に、この建物10の外周部柱のうちの幾本かは、その他の外周部柱や内部柱16よりも太く、剛性の大きな柱としてあり、図2A及び図2Bには、そのような、太く剛性の大きな外周部柱14が示されている。建物10の柱どうしは、剛性の大きな梁18を介して互いに連結されている。そして、太く剛性の大きな外周部柱14と梁18とは、方杖状の補剛材20を介して剛結合されており、かかる補剛材20を設けることにより、それら外周部柱14と梁18とでラーメン構造を構成している。中段及び下段の梁には、必要に応じて床スラブを設けて上階を構築してもよく、床スラブを設けずに吹き抜けとしてもよい。建物の1階部分の床は土間22としてあり、工場の生産設備(不図示)などは、この土間22に設置される。また、建物10の基礎は杭基礎としてあり、夫々の柱14、16の柱脚に設けられたフーチング24が、各々、基礎杭26の杭頭によって支持されている。ただし、通常の杭基礎のように、杭頭とフーチングとが固定連結されているのではなく、フーチング24と、フーチング24を支持する基礎杭26の杭頭とは縁切りされていて、フーチング24が杭頭から浮き上がれるようにしてある。
図3は、柱14、15、16の柱脚に設けたフーチング24と、そのフーチング24を支持している基礎杭26の杭頭とを示した断面側面図である。基礎杭26の杭頭上面には円錐台形状の嵌合凸部28を設けてあり、フーチング24の下面にはそれに対応した形状の嵌合凹部30を設けてある。通常は、それら嵌合凸部28と嵌合凹部30とが嵌合しているため、基礎杭26の杭頭とフーチング24との間の相対的な水平方向の変位が阻止されており、フーチング24を持ち上げるような荷重が作用したときには、嵌合凸部28と嵌合凹部30とが離れることにより、フーチング24が基礎杭26の杭頭から浮き上がることができる。従って、柱脚に設けるフーチング24と、そのフーチング24を支持する基礎杭26の杭頭との間には、フーチング24と杭頭との間の相対的な水平方向の変位を阻止する一方でフーチング24が杭頭から浮き上がることを許容する連結構造が設けられている。
ただし、内部柱16のフーチングと、それを支持する杭頭との間に設ける連結構造は、フーチングが杭頭から浮き上がることを許容する機能を備えていればよく、フーチングと杭頭との間の相対的な水平方向の変位を阻止する機能を備えていることは、本発明を実施する上で必ずしも必要とされない。そのため、内部柱16のフーチングと、それを支持する杭頭との間の連結構造は、例えば、杭頭の上面とフーチングの下面とを共に平面形状として、単にフーチングが杭頭の上に載置されているだけの構造としてもよい。
図2A及び図2Bに示した建物10は、以上のように構成されているため、地震発生時に地盤から建物10に図の左右方向の水平方向の加速度が作用し、それによって建物10に、この建物10の設計に応じて定まる所定の大きさ以上の転倒モーメントが作用したときには、この建物10の一端側の外周部柱14以外のその他の柱において、杭頭の嵌合凸部28とフーチング24の嵌合凹部30とが離れることにより、フーチング24が基礎杭26の杭頭から浮き上がることができる。そのため、フーチングを杭頭に固定連結した建物と比べて、建物の基礎部及び柱に作用する剪断力や軸力が低減される。従って建物の各部に必要とされる強度が低減されることから、建築コストの削減が可能である。更に、補剛材20を設けて、外周部柱14と梁18とでラーメン構造を構成しているため、建物のブレースを削減ないし省略できることから、自由な平面及び立面計画が可能となり、工場用建物として利用する上で非常に有利である。
図4は本発明の第2の実施の形態に係る建物の構造を採用した工場用建物210の断面立面図である。図2A及び図2Bに示した第1の実施の形態と異なる点は、第1の実施の形態における方杖状の補剛材20の替わりに、L字形の補剛材20’を使用していることであり、その他の部分は第1の実施の形態と同じである。この図4の構造でも、第1の実施の形態と同じ利点が得られる。
図5A及び図5Bは本発明の第3の実施の形態に係る建物の構造を採用した工場用建物310の断面立面図である。図2A及び図2Bに示した第1の実施の形態と異なる点は、第1の実施の形態では梁18が3段に設けられているのに対して、梁18を2段にしていること、それに、建物内に上段の梁18から吊下手段である吊り治具32を介して吊り物34を吊下してあることであり、その他の部分は第1の実施の形態と同じである。図5Bから明らかなように、吊下手段である吊り治具32は、建物の一側が浮き上がって、吊り物34を吊下した梁18が傾斜しても、吊り物34が回転しないようにして吊り物34を吊下している。
このような吊下方式を可能にするには、例えば、中央の吊り治具32の下端を、吊り物34の重心点にピン接合して、吊り物34を回転可能に支持すると共に、両端の吊り治具32で、吊り物34の回転を抑止するようにしておき、地震が発生して建物310の一側が浮き上がり、梁18が急激に傾斜したときには、両端の吊り治具32による回転抑止が瞬間的に外れるようにするなどしておけばよい。工場内には大重量の吊り物が装備されることがあるが、この構成によれば、大重量の吊り物の回転慣性力によって、建物301の浮き上がりが阻害されるという不都合を回避することができ、その分、建物を浮き上がりやすくすることができる。
図6は本発明の第4の実施の形態に係る建物の構造を採用した工場用建物410の断面立面図である。図2A及び図2Bに示した第1の実施の形態と異なる点は、外周部柱14の柱脚に設けたフーチングどうしを基礎梁36を介して連結したことにあり、その他の部分は第1の実施の形態と同じである。この図6の構造によれば、建物の剛性が更に高まるため、浮き上がりが更に発生しやすくなる。
図7は本発明の第5の実施の形態に係る建物の構造を採用した工場用建物510の断面立面図である。図2A及び図2Bに示した第1の実施の形態と異なる点は、外周部柱14を上方へ行くほど建物の外側へ行くように傾斜させたこと、それに、外周部柱14の柱脚に設けたフーチングどうしを基礎梁36を介して連結したことにあり、その他の部分は第1の実施の形態と同じである。この図7の構造によれば、建物上部の面積が広くなるために、建物上部の重量が大きくなり、それによって浮き上がりが発生しやすくなると共に、基礎梁36を備えたことで建物の剛性が高まることによっても、浮き上がりが発生しやすくなっている。また、外周部柱14を傾斜させたために、その柱脚に水平方向荷重が生じるが、この水平方向荷重は、基礎梁36を通じて反対側の外周部柱14の柱脚から生じた水平方向荷重と相殺されるため、何ら問題を生じることがない。
図8は本発明の第6の実施の形態に係る建物の構造を採用した工場用建物610の断面立面図である。図2A及び図2Bに示した第1の実施の形態と同様に、梁18を3段に設けてあるが、この構造では、中段及び下段の梁18に床スラブを設けて3階建ての建物とし、それらの梁18(即ち、この建物の上階の梁)を、外周部柱14の外側に片持ち梁型式で張り出させている。張り出した梁18の先端には、2階部分及び3階部分だけに延在する柱38を設けてある。その他の部分は第1の実施の形態と同じである。この図8の構造によれば、図7の構造と同様に、建物上部の面積が広くなるために、建物上部の重量が大きくなり、それによって浮き上がりが発生しやすくなる。柱脚のフーチングを杭頭に固定連結した通常の建物の構造では、上階の面積を大きくすることは耐震性の低下につながるが、本発明の建物の構造においては、浮き上がりが発生しやすくなるために耐震性が向上する。この構造には、上階の床面積を広げられるという利点もあるため、2階建て以上の多層階建物に適用するとよい。
以上に本発明の幾つかの実施の形態を説明したが、本発明はそれら実施の形態だけに限定されるものではなく、その他の形態で実施することも可能である。例えば、以上に説明した実施の形態はいずれも、建物の柱の柱脚に設けたフーチングと、そのフーチングを支持する基礎杭の杭頭との間を縁切りした建物に本発明を適用したものであったが、本発明は、建物の柱の柱脚と、基礎杭の杭頭に設けられその柱脚を支持するフーチングとの間を縁切りした建物にも適用可能である。そのような建物に適用した場合に、本発明に係る建物の構造は、建物の外周部に配列された外周部柱と、建物の内部に配列された内部柱とを有し、柱どうしが梁を介して互いに連結されており、夫々の柱の柱脚と、基礎杭の杭頭に設けられそれら柱の柱脚を支持するフーチングとは縁切りされている、建物の構造において、前記外周部柱と前記梁とを剛結合する補剛材を設けることにより、それら外周部柱と梁とでラーメン構造を構成し、前記外周部柱の柱脚と、その柱脚を支持するフーチングとの間に、柱脚とフーチングとの間の相対的な水平方向の変位を阻止する一方で柱脚がフーチングから浮き上がることを許容する連結構造を設け、前記内部柱の柱脚と、その柱脚を支持するフーチングとの間に、柱脚がフーチングから浮き上がることを許容する連結構造を設けたものとなる。また、かかる建物の構造に、図4、図5A、図5B、図8に示した実施の形態の特徴を組込むようにしてもよい。本発明は更に、その他の多種多様な形態で実施し得るものである。
本発明の様々な実施の形態に共通する利点としては、地震によって建物に転倒モーメントが作用した際に、建物の一側が容易に浮き上がるため、建物の基礎部及び柱に作用する剪断力や軸力が低減され、従って建物の各部に必要とされる強度が低減されることから、建築コストの削減が可能であることの他に、地震発生時の水平方向剪断力を外周部柱で負担させるようにしていることから、建物内部にブレースを設ける必要がなく、開口部の設置、機器類の設置、人や物の動きといった動線計画の平面的、立面的な制約がなくなること、また、既存建物の耐震改修工法としても好適に利用できることなどがある。
10……工場用建物、14……外周部柱、15……外周部柱、16……内部柱、18……梁、20……補剛材、20’……補剛材、22……土間、24……フーチング、26……基礎杭、28……嵌合凸部、30……嵌合凹部、32……吊り治具、34……吊り物、36……基礎梁、38……柱、210、310、410、510、610……工場用建物。
Claims (7)
- 建物の外周部に配列された外周部柱と、建物の内部に配列された内部柱とを有し、柱どうしが梁を介して互いに連結されており、夫々の柱の柱脚に設けられたフーチングと、それらフーチングを支持する基礎杭の杭頭とは縁切りされている、建物の構造において、
前記外周部柱と前記梁とを剛結合する補剛材を設けることにより、それら外周部柱と梁とでラーメン構造を構成し、
前記外周部柱の柱脚に設けるフーチングと、そのフーチングを支持する基礎杭の杭頭との間に、フーチングと杭頭との間の相対的な水平方向の変位を阻止する一方でフーチングが杭頭から浮き上がることを許容する連結構造を設け、
前記内部柱の柱脚に設けるフーチングと、そのフーチングを支持する基礎杭の杭頭との間に、フーチングが杭頭から浮き上がることを許容する連結構造を設けた、
ことを特徴とする建物の構造。 - 前記外周部柱の柱脚に設けたフーチングどうしを基礎梁を介して連結したことを特徴とする請求項1記載の建物の構造。
- 前記外周部柱を上方へ行くほど前記建物の外側へ行くように傾斜させ、前記外周部柱の柱脚に設けたフーチングどうしを基礎梁を介して連結したことを特徴とする請求項1記載の建物の構造。
- 建物の外周部に配列された外周部柱と、建物の内部に配列された内部柱とを有し、柱どうしが梁を介して互いに連結されており、夫々の柱の柱脚と、基礎杭の杭頭に設けられそれら柱の柱脚を支持するフーチングとは縁切りされている、建物の構造において、
前記外周部柱と前記梁とを剛結合する補剛材を設けることにより、それら外周部柱と梁とでラーメン構造を構成し、
前記外周部柱の柱脚と、その柱脚を支持するフーチングとの間に、柱脚とフーチングとの間の相対的な水平方向の変位を阻止する一方で柱脚がフーチングから浮き上がることを許容する連結構造を設け、
前記内部柱の柱脚と、その柱脚を支持するフーチングとの間に、柱脚がフーチングから浮き上がることを許容する連結構造を設けた、
ことを特徴とする建物の構造。 - 前記建物は2階建て以上の多層階建物であり、前記建物の上階の梁を前記外周部柱の外側に片持ち梁型式で張り出させたことを特徴とする請求項1又は4記載の建物の構造。
- 前記建物内に前記梁から吊下手段を介して吊り物を吊下してあり、前記吊下手段は、前記建物の一側が浮き上がって該吊り物を吊下した梁が傾斜しても、該吊り物が回転しないようにして該吊り物を吊下していることを特徴とする請求項1又は4記載の建物の構造。
- 前記建物は平面視矩形の工場用建物であり、前記建物の柱は行列状に配列されており、前記建物の少なくとも一方向における梁のスパン数は2、3、または4であることを特徴とする請求項1又は4記載の建物の構造。
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