JP2006137825A - 1液型エポキシ樹脂組成物及びその硬化物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 保存安定性と流動性に優れる1液型液状エポキシ樹脂組成物とこれを硬化した硬化物を提供すること。
【解決手段】 β−アルキル置換グリシジルエーテル基を有する液状エポキシ樹脂、好ましくは多価フェノール類(x1)とβ−アルキル置換エピハロヒドリン(x2)とを反応させて得られる液状エポキシ樹脂であり、且つ、理論分子構造体を95重量%以上含有する液状エポキシ樹脂(X)と硬化剤(Y)とを含有することを特徴とする1液型エポキシ樹脂組成物、該組成物を硬化して得られることを特徴とする硬化物。
【選択図】 なし

Description

本発明は保存安定性と流動性に優れる1液型液状エポキシ樹脂組成物とこれを硬化した硬化物に関する。
液状エポキシ樹脂は流動性に優れ、塗料、接着剤、成形材料等に使用する際には扱いやすく作業性も良いだけでなく、溶剤を使用しなくてもよいために環境性や衛生性にも優れる。一般に塗料、接着剤、液状封止材等のエポキシ樹脂組成物は予め硬化剤が配合されている1液型と、使用前に硬化剤を配合する2液型に大別され、配合時の手間がかからず機械化(ライン化)が容易である点から1液型のエポキシ樹脂組成物が望まれている。しかしながら、従来の1液型エポキシ樹脂組成物は、保管時にエポキシ樹脂と硬化剤とが反応してしまい、保管時の保存安定性が悪く、組成物の粘度が増加(増粘)を招く。保存安定性を改善するために10℃以下、望ましくは−20℃以下に冷凍保管する方法が従来採用されてきたが、冷凍状態での保管や流通はコストや煩雑性の問題が大きい。また使用前に常温まで戻した後の安定性が低いため、可使時間の管理が難しく、しばしば組成物の増粘による不良が発生する。特に毛細管現象で封止材を充填するフリップチップ用アンダーフィル材用途では、チップと基板の隙間間隔が数10ミクロンしかないために、僅かな増粘でも充填不良が発生し、それの改良が強く求められている。保存安定性と流動性に優れる1液型エポキシ樹脂組成物として、例えば、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルを95重量%以上含有するエポキシ樹脂と硬化剤とを含有する1液型エポキシ樹脂組成物が知られている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、前記特許文献1に開示されている1液型エポキシ樹脂組成物においても流動性と保存安定性は十分でなく、保管時に組成物の増粘が起こってしまう。また、例えば、β−アルキルグリシジルエーテル基をエポキシ基として有する多価エポキシ化合物と硬化剤と無機充填剤とを含有するエポキシ樹脂組成物も知られている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、前記特許文献2のエポキシ樹脂組成物でも、保存安定性と流動性とが十分ではない。
特開昭58−128757号公報 特開平8−283379号公報
本発明の課題は、流動性と保存安定性、特に室温での保管時の保存安定性に優れる1液型エポキシ樹脂組成物とその硬化物を提供することにある。
本発明者らは前記の課題を解決するため鋭意研究した結果、前記特許文献2においてβ−アルキル置換したグリシジルエーテル基を有するエポキシ化合物として繰返し単位が0である化合物(理論分子構造体)を95重量%以上という高濃度で含有する液状エポキシ樹脂と硬化剤とを含有する1液型エポキシ樹脂組成物は保存安定性と流動性に優れること、前記特許文献1のように樹脂骨格としてビスフェノールAに限定されることは無く、種々の骨格のエポキシ樹脂が選択できること、該エポキシ樹脂組成物を用いて得られる硬化物は接着性、吸湿性に優れること等を見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、β−アルキル置換グリシジルエーテル基を有する液状エポキシ樹脂であり、且つ、理論分子構造体を95重量%以上含有するエポキシ樹脂(X)と硬化剤(Y)とを含有することを特徴とする1液型エポキシ樹脂組成物を提供するものである。
また、本発明は、前記1液型エポキシ樹脂組成物を硬化して得られることを特徴とする硬化物を提供するものである。
本発明で得られる1液型エポキシ樹脂組成物は、流動性と保管時の保存安定性が優れ、且つ、接着性、耐湿性に優れる硬化物を提供することが出来る。従って、作業性、生産性、硬化物物性に優れる高品位な塗料、半導体封止材、プリント配線基板、コンポジット材料等として極めて有用である。
本発明で用いる液状エポキシ樹脂(X)はβ−アルキル置換グリシジルエーテル基を有し、且つ、理論分子構造体を95重量%以上含有する必要がある。この理論分子構造体の含有率が95重量%より少ないと、保存安定性と流動性を兼ね備えた1液型エポキシ樹脂を得ることが困難となるので好ましくない。ここで、本発明での理論分子構造体とは繰返し単位が0で、且つ、グリシジル基が開環した構造を有さない化合物を示す。
本発明で用いる液状エポキシ樹脂(X)は製造方法に制限はない。液状エポキシ樹脂(X)は、例えば、β−アルキル置換グリシジルエーテル基を有する液状エポキシ樹脂を調製した後、該液状エポキシ樹脂から理論分子構造体を分離する等の方法により好ましく製造することができる。
前記β−アルキル置換グリシジルエーテル基を有する液状エポキシ樹脂は、例えば、多価フェノール類(x1)とβ−アルキル置換エピハロヒドリン(x2)とを反応させ、多価フェノール類(x1)中の芳香族性水酸基をアルキル置換グリシジルエーテル化することにより好ましく製造することができる。
前記多価フェノール類(x1)としては、1分子中に1個より多い芳香族性水酸基を含有する芳香族系化合物であれば特に限定されないが、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、カテコール、それらの置換基含有体のようなジヒドロキシベンゼン類;ピロガロール、それらの置換基含有体のようなトリヒドロキシベンゼン類;1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、それらの置換基含有体のようなジヒドロキシナフタレン類;ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン(ビスフェノールF)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールC)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(ビスフェノールZ)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン(ビスフェノールAP)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン(ビスフェノールS)及びこれらの置換基含有体等のビスフェノール類;ビフェノール、テトラメチルビフェノール等のビフェノール類;ビス(2−ヒドロキシ−1−ナフチル)メタン、ビス(2−ヒドロキシ−1−ナフチル)プロパン等のビスナフトール類が挙げられる。多価フェノール類(x1)は単独でも、2種以上の混合物としても使用できる。
前記多価フェノール類(x1)は置換基を有していても良い。置換基としては、例えば、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、ハロゲン原子などが挙げられる。
多価フェノール類(x1)としては、低粘度の液状エポキシ樹脂が得られることから、2価フェノール類が好ましい。2価フェノール類のなかでも、接着性、機械強度、耐湿性、誘電特性等の性能に優れることからビスフェノール類が好ましく、中でも、ビスフェノールA骨格及び/又はビスフェノールF骨格を含有するビスフェノール類がより好ましい。また、流動性が良好となることからハイドロキノン、レゾルシン、カテコールなどのジヒドロキベンゼン類、1,6−ジヒドロキシナフタレンなどのジヒドロキシナフタレン類などが好ましい。
前記β−アルキル置換エピハロヒドリン(x2)としては、特に制限されるものではないが、β−メチルエピクロロヒドリン、β−メチルエピブロモヒドリン、β−メチルエピヨードヒドリン等のβ−メチルエピハロヒドリン;β−エチルエピクロロヒドリン、β−エチルエピブロモヒドリン、β−エチルエピヨードヒドリン等のβ−エチルエピハロヒドリン;β−プロピルエピクロロヒドリン、β−プロピルエピブロモヒドリン、β−プロピルエピヨードヒドリン等のβ−プロピルエピハロヒドリン;β−ブチルエピクロロヒドリン、β−ブチルエピブロモヒドリン、β−ブチルエピヨードヒドリン等のβ−ブチルエピハロヒドリン等が挙げられるが、なかでも前記多価フェノール類(x1)との反応性が良好で流動性に優れる液状エポキシ樹脂が得られることからβ−メチルエピハロヒドリンが好ましく、更に低粘度の液状エポキシ樹脂が得られること、更にその入手が容易であることからβ−メチルエピクロロヒドリンが最も好ましい。β−アルキル置換エピハロヒドリン(a2)は、単独でも、2種以上の混合物としても使用できる。
多価フェノール類(x1)とβ−アルキル置換エピハロヒドリン(x2)とを反応させβ−アルキル置換グリシジルエーテル基を有する液状エポキシ樹脂を調製するには、例えば、多価フェノール類(x1)とβ−アルキル置換エピハロヒドリン(x2)の溶解混合物に水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物を添加し、または添加しながら20〜120℃で1〜10時間反応させる方法等が挙げられる。β−アルキル置換エピハロヒドリン(x2)の添加量としては、理論分子構造体量と釜得量(生産性)の兼ね合いから、多価フェノール類(x1)に対するβ−アルキル置換エピハロヒドリン(x2)の過剰率を適宜調節すればよいが、多価フェノール類(x1)中の水酸基1当量に対して、通常、0.3〜20当量の範囲で用いられる。β−アルキル置換エピハロヒドリン(x2)が2.5当量よりも少ない場合、生成したβ−アルキル置換グリシジルエーテル基と未反応フェノール性水酸基が反応するオリゴマー化反応しやすくなるため、β−アルキル置換グリシジルエーテル基と未反応フェノール性水酸基が付加反応して生成する基(−CHCR(OH)CH−、R:アルキル置換エピハロヒドリン由来の有機炭素基)を含んだ高分子量物が得られる。一方、2.5当量以上の場合、多価フェノール類(x1)のフェノール性水酸基がβ−アルキル置換グリシジルエーテル基に置換された構造(理論構造体:n=0体)を有する低分子量エポキシ樹脂の含有量が高くなる。理論構造体量と釜得量(生産性)の兼ね合いから、多価フェノール類(x1)に対するβ−アルキル置換エピハロヒドリン(x2)の過剰率を適宜調節すればよい。β−アルキル置換エピハロヒドリン(x2)の添加量は生成したβ−アルキル置換グリシジルエーテル基と未反応フェノール性水酸基とが反応するオリゴマー化反応が起こりにくいのでβ−アルキル置換グリシジルエーテル基と未反応フェノール性水酸基が付加反応して生成する基〔−CHCR(OH)CH−、R:アルキル置換エピハロヒドリン由来の有機炭素基〕を含んだ高分子量物が得られにくく、結果として、液状エポキシ樹脂が高粘度化しにくいこと、多価フェノール類(x1)のフェノール性水酸基がβ−アルキル置換グリシジルエーテル基に置換された構造(理論構造体:n=0体)を有する低分子量エポキシ樹脂の含有量が高くなることから2.5〜10当量がより好ましい。
前記アルカリ金属水酸化物はその水溶液を使用してもよく、その場合は該アルカリ金属水酸化物の水溶液を連続的に反応系内に添加すると共に減圧下、または常圧下連続的に水及びβ−アルキル置換エピハロヒドリンを留出させ、更に分液し水は除去しβ−アルキル置換エピハロヒドリンは反応系内に連続的に戻す方法でもよい。
また多価フェノール類(x1)とβ−アルキル置換エピハロヒドリン(x2)とを反応させる方法は、多価フェノール類(x1)とβ−アルキル置換エピハロヒドリン(x2)との溶解混合物にテトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩を触媒として添加し50〜150℃で1〜5時間反応させて得られる該フェノール類(x1)のハロヒドリンエーテル化物にアルカリ金属水酸化物の固体または水溶液を加え、再び20〜120℃で1〜10時間反応させ脱ハロゲン化水素(閉環)させる方法でもよい。
更に、反応を円滑に進行させるためにメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノールなどのアルコール類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;ジオキサンなどのエーテル類;ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒などを添加して反応を行うことが好ましい。溶媒を使用する場合のその使用量としては、β−アルキル置換エピハロヒドリン(x2)の使用量に対し通常5〜50重量%、好ましくは10〜30重量%である。また非プロトン性極性溶媒を用いる場合はβ−アルキル置換エピハロヒドリン(x2)の量に対し通常5〜100重量%、好ましくは10〜60重量%である。
これらのβ−アルキル置換グリシジルエーテル化反応の反応物を水洗後、または水洗無しに加熱減圧下、110〜250℃、圧力10mmHg以下で未反応のβ−アルキル置換エピハロヒドリン(x2)や他の添加溶媒などを除去する。また更に加水分解性ハロゲンの少ないエポキシ樹脂とするために、β−アルキル置換エピハロヒドリン(x2)等を回収した後に得られる粗エポキシ樹脂を再びトルエン、メチルイソブチルケトンなどの溶剤に溶解し、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物の水溶液を加えて更に反応させて閉環を確実なものにすることもできる。この場合、アルカリ金属水酸化物の使用量は粗エポキシ樹脂中に残存する加水分解性塩素1モルに対して、通常0.5〜10モル、好ましくは1.2〜5.0モルである。反応温度としては通常50〜120℃、反応時間としては通常0.5〜3時間である。反応速度の向上を目的として、4級アンモニウム塩やクラウンエーテル等の相関移動触媒を存在させてもよい。相関移動触媒を使用する場合のその使用量としては、粗エポキシ樹脂に対して0.1〜3.0重量%の範囲であることが好ましい。
反応終了後、生成した塩を濾過、水洗などにより除去し、更に、加熱減圧下トルエン、メチルイソブチルケトンなどの溶剤を留去することによりβ−アルキル置換グリシジルエーテル基を有する液状エポキシ樹脂を得る事ができる。
前記した方法等により得られたβ−アルキル置換グリシジルエーテル基を有するエポキシ樹脂から、理論分子構造体を95重量%以上含有するように分離する。理論分子構造体の分離は、例えば、得られたβ−アルキル置換グリシジルエーテル基を有するエポキシ樹脂を高真空下に蒸留する方法、溶剤溶解後の温度差・溶解性の違いを利用して再結晶させる方法で再結晶する方法等により行うことができる。中でも、高真空下に蒸留する方法が理論分子構造体を95重量%以上含む純度にするのに簡便であり、望ましい。
高真空下に蒸留する際の条件は特に限定されないが、真空度0.1〜50mmHgにおいて、温度200〜260℃で行うことが好ましい。また、液状エポキシ樹脂(X)中の理論分子構造体の含有率は95重量%以上が好ましく、98〜100重量%であることが更に好ましい。
本発明で用いる液状エポキシ樹脂(X)はエポキシ当量(官能基濃度)が125〜250g/eqの範囲であることが粘度の低い液状エポキシ樹脂が得られ、且つ、耐湿性、誘電特性等のバランスに優れた硬化物が得られることから好ましく、125〜190g/eqの範囲がより好ましい。また液状エポキシ樹脂(X)の25℃における粘度としては、液状の組成物を得るためには1,000〜100,000mPa・sの範囲であるものが好ましく、1,000〜30,000mPa・sの範囲であるものがより好ましい。
本発明の1液型エポキシ樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲において液状エポキシ樹脂(X)以外に他のエポキシ樹脂を併用して使用することができる。併用する場合、前記液状エポキシ樹脂(X)の全エポキシ樹脂に占める割合は30重量%以上が好ましく、特に40重量%以上が好ましい。前記液状エポキシ樹脂(X)と併用しうるエポキシ樹脂としては、特に限定されず種々のエポキシ樹脂を用いることができるが、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、レゾルシン型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、カテコール型エポキシ樹脂、ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂等の液状度エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン−フェノール付加反応型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトール−フェノール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール−クレゾール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂型エポキシ樹脂、ビフェニル変性ノボラック型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂、ブロム化フェノールノボラック型エポキシ樹脂などが挙げられる。またブチルグリシジルエーテル、アルキルフェノールグリシジルエーテル、脂肪鎖カルボン酸グリシジルエステルなどの反応性希釈剤型のエポキシ樹脂や、脂環式エポキシ樹脂などの液状エポキシ樹脂なども挙げられる。また前記他のエポキシ樹脂は単独で用いてもよく、2種以上を混合してもよい。
本発明の1液型エポキシ樹脂組成物で、特に組成物としても液状であるものを所望する場合には、低粘度の液状エポキシ樹脂を併用することが望ましく、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、レゾルシン型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、カテコール型エポキシ樹脂、ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂、またブチルグリシジルエーテル、アルキルフェノールグリシジルエーテル、脂肪鎖カルボン酸グリシジルエステルなどの反応性希釈剤型のエポキシ樹脂や、脂環式エポキシ樹脂などの液状エポキシ樹脂などが好ましい。
本発明で用いる硬化剤(Y)としては、種々のものが使用でき、特に限定されないが、芳香族ポリアミン類や芳香族ポリアミド類およびそのN−アルキル化物、脂環式ポリアミン類や脂環式ポリアミド類およびそのN−アルキル化物、環状アミン類、窒素含有複素環式化合物、イミダゾール類などのアミン系化合物、酸無水物化合物、ポリフェノ−ル系化合物などの硬化剤を用いることができ、芳香族ポリアミン類、芳香族ポリアミン類のN−アルキル化物、脂環式ポリアミン類、脂環式ポリアミン類のN−アルキル化物、環状アミン類、窒素含有複素環式化合物、イミダゾール類及び酸無水物類からなる群から選ばれる1種以上の化合物であることが好ましい。
アミン系化合物の例としては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ペンタエチレンヘキサミン、メタキシリレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、フェニレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、イソホロンジアミン、ノルボルナンジアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU)、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、N,N−ジメチルトリメチレンジアミンおよびN,N,N’,N’−テトラメチルトリメチレンジアミン、ジシアンジアミド、リノレン酸の2量体とエチレンジアミンとより合成されるポリアミド樹脂、上記ポリアミン類とフェノール類とホルムアルデヒドとの重縮合物であるマンニッヒ型硬化剤、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール及び2−フェニルイミダゾールなどが挙げられる。
また、酸無水物系化合物としては、例えば、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸などが挙げられる。
また、フェノール系化合物としては、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール付加型樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、トリメチロールメタン樹脂、テトラフェニロールエタン樹脂、ナフトールノボラック樹脂、ナフトール−フェノール共縮ノボラック樹脂、ナフトール−クレゾール共縮ノボラック樹脂、ビフェニル変性フェノール樹脂、アミノトリアジン変性フェノール樹脂やこれらの変性物等が挙げられる。また潜在性触媒として、イミダゾール、BF−アミン錯体、グアニジン誘導体なども挙げられる。
また、これらのアミン系化合物、酸無水物系化合物、アミド系化合物、フェノール系化合物等の硬化剤は単独で用いてもよく、2種以上を混合してもよい。
上記の各種硬化剤のなかでも、流動性や密着性などに優れるエポキシ樹脂組成物が得られることから、アミン系化合物や酸無水物系化合物が好ましい。
本発明の1液型エポキシ樹脂組成物において硬化剤(Y)の使用量としては、硬化が円滑に進行し、良好な硬化物性が得られることから、液状エポキシ樹脂(X)のエポキシ基1当量に対して、硬化剤(Y)中の活性水素基が0.7〜1.5当量になる量が好ましい。
また、本発明の1液型エポキシ樹脂組成物には、更に硬化促進剤を適宜使用することもできる。硬化促進剤としては種々のものが使用できるが、例えば、リン系化合物、第3級アミン、イミダゾール、有機酸金属塩、ルイス酸、アミン錯塩、等が挙げられ、これらは単独のみならず2種以上の併用も可能である。例えば、半導体封止材料用途としては、リン系ではトリフェニルホスフィン、アミン系ではDBUなどが、硬化性に優れ、耐熱性、電気特性、耐湿信頼性等に優れる硬化物が得られる点から好ましい。
本発明の1液型エポキシ樹脂組成物には、無機質充填材を配合することができる。前記無機質充填材としては、例えば、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、窒化珪素、水酸化アルミ等が挙げられる。前記無機充填材の配合量を特に大きくする場合は溶融シリカを用いることが好ましい。前記溶融シリカは破砕状、球状のいずれでも使用可能であるが、溶融シリカの配合量を高め且つ成形材料の溶融粘度の上昇を抑制するためには、球状のものを主に用いる方が好ましい。更に球状シリカの配合量を高めるためには、球状シリカの粒度分布を適当に調整することが好ましい。その充填率は難燃性を考慮して、高い方が好ましく、エポキシ樹脂組成物の全体量に対して65重量%以上が特に好ましい。また導電ペーストなどの用途に使用する場合は、銀粉や銅粉等の導電性充填剤を用いることができる。
本発明の1液型エポキシ樹脂組成物には、必要に応じて、シランカップリング剤、離型剤、顔料、乳化剤等の種々の配合剤を添加することができる。
本発明の1液型エポキシ樹脂組成物には、必要に応じて難燃付与剤も添加できる。前記難燃付与剤としては種々のものが使用できるが、例えば、デカブロモジフェニルエーテル、テトラブロモビスフェノールAなどのハロゲン化合物、赤リンや各種燐酸エステル化合物などの燐原子含有化合物、メラミン或いはその誘導体などの窒素原子含有化合物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硼酸亜鉛、硼酸カルシウムなどの無機系難燃化合物が例示できる。
本発明の1液型エポキシ樹脂組成物には、必要に応じて有機溶媒を用いることができる。有機溶媒は粘度を下げて、流動性や成形性の向上を図るために用いられ、特にその種類は限定されるものではない。例示するならば、メタノール、トルエン、キシレン、ジエチルエーテル、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。その使用量は、エポキシ樹脂組成物の固形分値が20〜95重量%の範囲になることが好ましい。
本発明の1液型エポキシ樹脂組成物は、液状エポキシ樹脂(X)、硬化剤(Y)、更に必要によりその他のエポキシ樹脂、硬化促進剤等を、得られる組成物の粘度に応じた攪拌方法を用いて均一に混合することによって得ることが出来る。本発明のエポキシ樹脂組成物の形状についてはなんら制限されるものではなく、用いる液状エポキシ樹脂(X)が液状であっても、併用するエポキシ樹脂、硬化剤(Y)、充填剤種及びその使用量によっては、得られるエポキシ樹脂組成物が常温で液状とならない場合もありうる。使用用途、所望の性能等によって、該組成物の形状を適宜選択すればよい。
本発明のエポキシ樹脂組成物の使用用途としては、特に制限されるものではなく、例えば、プリント基板用、電子部品の封止材用、レジストインキ、導電ペースト、樹脂注型材料、接着剤、絶縁塗料等のコーティング材料等が挙げられ、これらの中でも、プリント基板用樹脂組成物、電子部品の封止材用樹脂組成物、レジストインキ、導電ペーストに好適に用いることができる。
前記プリント基板用としては、特にプリプレグ用、銅張り積層板用、ビルドアッププリント基板の層間絶縁材料用に好適に用いることができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物をプリント基板用プリプレグ用樹脂組成物とするには、該樹脂組成物の粘度によっては無溶媒で用いることもできるが、有機溶剤を用いてワニス化することでプリプレグ用樹脂組成物とすることが好ましい。前記有機溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のアルコール性溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素性溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジメチルホルムアミド等の非アルコール性極性溶媒等沸点160℃以下の溶剤が挙げられ、適宜に2種または、それ以上の混合溶剤として使用することができる。得られた該ワニスを、紙、ガラス布、ガラス不織布、アラミド紙、アラミド布、ガラスマット、ガラスロービング布などの各種補強基材に含浸し、用いた溶剤種に応じた加熱温度、好ましくは50〜170℃で加熱することによって、硬化物であるプリプレグを得ることができる。この時用いる樹脂組成物と補強基材の重量割合としては、特に限定されないが、通常、プリプレグ中の樹脂分が20〜60重量%となるように調整することが好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物から銅張り積層板用樹脂組成物を得るには、上記プリプレグ用樹脂組成物とする方法と同じであり、得られたプリプレグを、例えば特開平7−41543号公報に記載されているように積層し、適宜銅箔を重ねて、1〜10MPaの加圧下に170〜250℃で10分〜3時間、加熱圧着させることにより、銅張り積層板を得ることができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物からビルドアップ基板用層間絶縁材料を得る方法としては特に限定されないが、例えば特公平4−6116号公報、特開平7−304931号公報、特開平8−64960号公報、特開平9−71762号公報、特開平9−298369号公報などに記載の各種方法を採用できる。より具体的には、ゴム、フィラーなどを適宜配合した当該樹脂組成物を、回路を形成した配線基板にスプレーコーティング法、カーテンコーティング法等を用いて塗布した後、硬化させる。その後、必要に応じて所定のスルーホール部等の穴あけを行った後、粗化剤により処理し、その表面を湯洗することによって、凹凸を形成させ、銅などの金属をめっき処理する。前記めっき方法としては、無電解めっき、電解めっき処理が好ましく、また前記粗化剤としては酸化剤、アルカリ、有機溶剤等が挙げられる。このような操作を所望に応じて順次繰り返し、樹脂絶縁層及び所定の回路パターンの導体層を交互にビルドアップして形成することにより、ビルドアップ基盤を得ることができる。但し、スルーホール部の穴あけは、最外層の樹脂絶縁層の形成後に行う。また、銅箔上で当該樹脂組成物を半硬化させた樹脂付き銅箔を、回路を形成した配線基板上に、170〜250℃で加熱圧着することで、粗化面を形成、メッキ処理の工程を省き、ビルドアップ基板を作製することも可能である。
前記電子部品の封止材用としては、半導体チップの封止材用、アンダーフィル用、半導体の層間絶縁膜用に好適に用いることができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物を半導体封止材料用に調整するためには、エポキシ樹脂(X)、硬化剤(Y)、必要に応じて配合されるその他のエポキシ樹脂、カップリング剤、離型剤などの添加剤や無機充填材などを予備混合した後、押出機、ニ−ダ、ロ−ル等を用いて均一になるまで充分に混合する手法が挙げられる。溶融混合型(無溶媒)組成物の場合は、該組成物を注型、或いはトランスファ−成形機、射出成形機などを用いて成形し、さらに50〜200℃で2〜10時間に加熱することにより硬化物を得ることができ、半導体パッケージ成形はこれに該当する。
またテープ状封止剤として使用する場合には、前述の手法によって得られた樹脂組成物を加熱して半硬化シートを作製し、封止剤テープとした後、この封止剤テープを半導体チップ上に置き、100〜150℃に加熱して軟化させ成形し、170〜250℃で完全に硬化させる方法を挙げることができる。
更にポッティング型液状封止剤として使用する場合には、前述の手法によって得られた樹脂組成物を半導体チップや電子部品上に塗布し、直接、硬化させればよい。
本発明のエポキシ樹脂組成物をアンダーフィル樹脂として使用する方法についても特に限定されないが、特開平9−266221号公報や「エレクトロニクス分野のプラスチック」(工業調査会発行、1999年、27〜34頁)に記載されるような方法を採用できる。より具体的には、フリップチップ実装時に電極のついた半導体素子と半田のついたプリント配線基板との空隙に、本発明のエポキシ樹脂組成物を毛細管現象を利用してキャピラリーフロー法によって注入し硬化させる方法、予め基板ないし半導体素子上に本発明のエポキシ樹脂組成物を半硬化させてから、加熱して半導体素子と基板を密着させ、完全硬化させるコンプレッションフロー法等が挙げられる。この場合、本発明のエポキシ樹脂組成物は、有機溶剤を含有しない液状のエポキシ樹脂組成物の形態で使用するのが好ましい。特にキャピラリーフロー法を用いる場合には低粘度である必要があり、5000mPa・s以下の粘度であることが好ましい。当該樹脂組成物がこれを超える粘度であれば、室温〜100℃以下に加温して注入することもできる。
本発明のエポキシ樹脂組成物を半導体の層間絶縁材料として使用する場合は、例えば特開平6−85091号公報の記載の方法が採用できる。層間絶縁膜に用いる場合は半導体に直接接することになるため、高温環境下において線膨張率の差によるクラックが生じないよう、絶縁材の線膨張率を半導体の線膨張率に近づけることが要求される。また、半導体の微細化、多層化、高密度化による信号遅延の問題に対応するため、絶縁材の低容量化技術が求められており、絶縁材を低誘電化することによってこの問題を解決することができる。当該樹脂組成物は、これらの要求を満たす特性を有するため好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物をレジストインキとして使用する場合には、例えば特開平5−186567号公報に記載の方法に準じて、レジストインキ用組成物とした後、スクリーン印刷方式にてプリント基板上に塗布した後、レジストインキ硬化物とする方法が挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物を導電ペーストとして使用する場合には、例えば、特開平3−46707号公報に記載の微細導電性粒子を該樹脂組成物中に分散させ異方性導電膜用組成物とする方法、特開昭62−40183号公報、特開昭62−76215号公報、特開昭62−176139号公報などに開示されているような室温で液状である回路接続用ペースト樹脂組成物や異方性導電接着剤とする方法が挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物を塗料用樹脂組成物として使用する場合には、例えば、エポキシ樹脂(X)、必要に応じて併用されるその他のエポキシ樹脂に顔料、着色剤、添加剤等を配合し、必要に応じて有機溶剤を加え、ペイントシェーカー、混合ミキサー、ボールミル等の装置を用いて十分に混合し、均一に分散させ、これに硬化剤(Y)、硬化促進剤等を更に配合して均一にし、所望の粘度に有機溶剤等で調製する方法を挙げることができる。
前記手法によって得られた塗料用に調製された樹脂組成物は、各種の塗装方法によって様々な基材に塗布することができ、特にその手法は制限されるものではなく、例えば、グラビアコーター、ナイフコーター、ロールコーター、コンマコーター、スピンコーター、バーコーター、刷毛塗り、ディッピング塗布、スプレー塗布、静電塗装等のコーティング方法が挙げられる。
また、前記塗料用に調製された樹脂組成物を塗装した後の硬化方法についても特に制限されるものではなく、常温硬化、加熱硬化の何れでも硬化塗膜を得ることができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物を接着剤用樹脂組成物として使用する場合には、例えば、エポキシ樹脂(X)、硬化剤(Y)、必要に応じて併用されるその他のエポキシ樹脂、硬化促進剤、添加剤等を室温または加熱下で混合ミキサー等を用いて均一に混合することによって得ることができ、各種の基材に塗布した後、室温又は加熱下に放置することによって基材の接着を行うことができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物から複合材料を得るには、本発明のエポキシ樹脂組成物を粘度によっては無溶媒系で使用することが可能であるが、無溶媒系での扱いが困難な場合は、有機溶剤を用いてワニス化し、該ワニスを補強基材に含浸し、加熱してプリプレグを得た後、それを繊維の方向を少しずつ変えて、擬似的に等方性を持たせるように積層し、その後加熱することにより硬化成形する方法が挙げられる。前記有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のアルコール性溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素性溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジメチルホルムアミド等の非アルコール性極性溶媒等沸点160℃以下の溶剤が挙げられ、適宜に2種または、それ以上の混合溶剤として使用することができる。加熱温度としては、用いる溶剤の種類を考慮して決定され、好ましくは50〜150℃とされる。補強基材の種類は特に限定されず、例えば炭素繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アルミナ繊維、紙、ガラス布、ガラス不織布、アラミド紙、アラミド布、ガラスマット、ガラスロービング布などが挙げられる。樹脂分と補強基材の割合も特に限定されないが、通常、プリプレグ中の樹脂分が20〜60重量%となるように調整するのが好ましい。
本発明の硬化物は、本発明の1液型エポキシ樹脂組成物を成形硬化させて得ることができ、成型物、積層物、注型物、接着剤、塗膜、フィルムなどの形態をもつ。例えば、溶融混合型の組成物の場合は、該組成物を注型、或いはトランスファ−成形機、射出成形機などを用いて成形し、さらに80〜200℃で2〜10時間に加熱することにより硬化物を得ることができ、半導体パッケージ成形はこれの該当する。またワニス状組成物の場合は、それを基材に塗装し加熱乾燥するなどして塗膜を得ることができ、塗料はこれに該当する。またまたそれをガラス繊維、カーボン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アルミナ繊維、紙などの基材に含浸させ加熱乾燥してプリプレグを得て、それを熱プレス成形して得ることができ、プリント配線基板用やCFRP用の積層材料はこれに該当する。
次に本発明を実施例、比較例により具体的に説明するが、以下において「部」及び「%」は特に断わりのない限り重量基準である。尚、GPC測定は以下の条件にて測定した。
150℃における溶融粘度:ASTM D4287に準拠
GPC:
装置 東ソー株式会社製 HLC−8220 GPC
カラム:東ソー株式会社製 TSK−GEL G2000HXL+G2000HXL+G3000HXL+G4000HXL
溶媒 :テトラヒドロフラン
流速 :1ml/min
検出器:RI
合成例1 比較用液状エポキシ樹脂の合成
温度計、撹拌機を取り付けたフラスコにビスフェノールA228g(1.00モル)とβ−メチルエピクロルヒドリン1065g(10モル)、n−ブタノール213gを仕込み溶解させた。その後、窒素ガスパージを施しながら、65℃に昇温した後に、共沸する圧力までに減圧して、49%水酸化ナトリウム水溶液180g(2.2モル)を5時間かけて滴下した、次いでこの条件下で0.5時間撹拌を続けた。この間、共沸で留出してきた留出分をディーンスタークトラップで分離して、水層を除去し、有機層を反応系内に戻しながら反応した。その後、未反応のβ−メチルエピクロルヒドリンを減圧蒸留して留去させた。それで得られた粗エポキシ樹脂にメチルイソブチルケトン1000gとn−ブタノール100gを加え溶解した。更にこの溶液に10%水酸化ナトリウム水溶液20gを添加して80℃で2時間反応させた後に洗浄液のPHが中性となるまで水300gで水洗を3回繰り返した。次いで共沸によって系内を脱水し、精密濾過を経た後に、溶媒を減圧下で留去して、比較用液状エポキシ樹脂(x−1)357gを得た。この樹脂(x−1)のエポキシ当量は213g/eq.、粘度は63,000mPa・s(25℃、キャノンフェンスケ法)、GPC測定での理論構造体含有率(n=0体量)は75%、エポキシ当量から算出される繰り返し単位構造式中のnの平均値は0.19であることが確認された。
合成例2(同上)
ビスフェノールA228g用いる代わりに1,6−ジヒドロキシナフタレン160g用いる以外は、合成例1と同様にして、半固形状の比較用エポキシ樹脂(x−2)299gを得た。この樹脂(x−2)のエポキシ当量は176g/eq.、GPC測定での理論構造体含有率は74%、エポキシ当量から算出される繰返し数の平均値は0.23であることが確認された。
合成例3(同上)
β-メチルエピクロルヒドリン1065gを用いる代わりにエピクロルヒドリン925gを用いた以外は、合成例1と同様にして、比較用液状エポキシ樹脂(x−3)330gを得た。この樹脂(x−3)のエポキシ当量は188g/eq.、粘度は13,500mPa・s、GPC測定での理論構造体含有率は82%、エポキシ当量から算出される繰返し数の平均値は0.12であることが確認された。
合成例4 (同上)
比較用液状エポキシ樹脂(x−3)200gを、フィルムエバポレーターを用いて、真空度0.2Torrで温度260℃の条件下で分子蒸留して、比較用液状エポキシ樹脂(x−4)108gを得た。この樹脂(x−4)は、常温で結晶性を有しつつ液状形態を有し、エポキシ当量は172g/eq.、粘度は,4,500mPa・s、GPC測定での理論構造体含有率は99%、エポキシ当量から算出される繰返し数の平均値は0.01であることが確認された。
合成例5 液状エポキシ樹脂の合成
合成例1で得られた比較用液状エポキシ樹脂(x−1)200gを、フィルムエバポレーターを用いて、真空度0.2Torrで温度260℃の条件下で分子蒸留して、液状エポキシ樹脂(X−1)105gを得た。この樹脂は、常温で結晶性を有しつつ液状形態を有し、エポキシ当量は184g/eq.、粘度は10,050mPa・s、GPC測定での理論構造体含有率は99%、エポキシ当量から算出される繰返し数の平均値は0.00(実質的に0)であることが確認された。
合成例6 (同上)
合成例2で得られた比較用液状エポキシ樹脂(x−2)200gをフィルムエバポレーターを用いて、真空度0.2Torrで温度260℃の条件下で分子蒸留して、エポキシ樹脂(X−2)102gを得た。この樹脂は、常温で結晶性を有しつつ液状形態を有し、エポキシ当量は151g/eq.、粘度は,51,000mPa・s、GPC測定での理論構造体含有率は98%、エポキシ当量から算出される繰り返し数の平均値は0.01であることが確認された。
実施例1
液状エポキシ樹脂(X−1)100部、硬化剤(アミキュアーPN−23、味の素ファインテクノ株式会社製)25部及び添加剤(アエロジル#200、日本アエロジル株式会社製)1部を混合し本発明の1液型エポキシ樹脂組成物を得た。この1液型エポキシ樹脂組成物を用いて流動性と保存安定性の評価を行うと共に、この組成物を100℃で1時間加熱して得られた硬化物の接着性と耐湿性の評価を行った。各評価の方法を下記に示す。また、評価結果を組成物中の各成分の配合量と共に第1表に示す。
<1液型エポキシ樹脂組成物の流動性の評価法>
1液型エポキシ樹脂組成物を調製した後速やかに粘度(初期粘度)を測定し、この粘度を流動性の評価とした。粘度が小さいほど流動性に優れることを示す。
<1液型エポキシ樹脂組成物の保存安定性の評価法>
1液型エポキシ樹脂組成物を40℃の環境下に静置し、粘度が前記初期粘度の2倍になるまでの日数を保存安定性の評価とした。この日数が長いほど保存安定性に優れていることを示す。
<硬化物の接着性の評価>
JIS K−6850に準拠したアルミ板を基材に用いた引っ張り剪断試験で評価した。
<硬化物の耐湿性の評価>
恒温恒湿装置内に、85℃/85%RHの条件下、硬化物試験片(サイズ:75mm×25mm×2mm)を300時間静置し、前後の重量変化率(wt%)を吸湿率として測定した。吸湿率が小さいほど耐湿性に優れることを示す。
実施例2及び比較例1〜4
第1表に示す配合で各成分を混合した以外は実施例1と同様にして1液型エポキシ樹脂組成物とその硬化物を調製し、評価を行った。これらの結果を第1表に示す。
Figure 2006137825

Claims (14)

  1. β−アルキル置換グリシジルエーテル基を有する液状エポキシ樹脂であり、且つ、理論分子構造体を95重量%以上含有する液状エポキシ樹脂(X)と硬化剤(Y)とを含有することを特徴とする1液型エポキシ樹脂組成物。
  2. 前記液状エポキシ樹脂(X)が多価フェノール類(x1)とβ−アルキル置換エピハロヒドリン(x2)とを反応させて得られる液状エポキシ樹脂である請求項1記載の1液型エポキシ樹脂組成物。
  3. 前記多価フェノール類(x1)が2価フェノール類であり、且つ、前記β−アルキル置換エピハロヒドリン(x2)がβ−メチルエピハロヒドリンである請求項2記載の1液型エポキシ樹脂組成物。
  4. 前記2価フェノール類がビスフェノールA骨格及び/又はビスフェノールF骨格を含有する2価フェノール類であり、前記β−メチルエピハロヒドリンがβ−メチルエピクロロヒドリンである請求項3記載の1液型エポキシ樹脂組成物。
  5. 前記液状エポキシ樹脂(X)のエポキシ当量が125〜250g/eqである請求項2記載の1液型エポキシ樹脂組成物。
  6. 前記液状エポキシ樹脂(X)の25℃における粘度が1,000〜100,000mPa・sである請求項5記載の1液型エポキシ樹脂組成物。
  7. 前記液状エポキシ樹脂(X)が理論分子構造体を98〜100重量%含有する液状エポキシ樹脂である請求項1〜6のいずれか1項記載の1液型エポキシ樹脂組成物。
  8. 前記硬化剤(Y)が、芳香族ポリアミン類、芳香族ポリアミン類のN−アルキル化物、脂環式ポリアミン類、脂環式ポリアミン類のN−アルキル化物、環状アミン類、窒素含有複素環式化合物、イミダゾール類及び酸無水物類からなる群から選ばれる1種以上の化合物である請求項1〜6記載の1液型エポキシ樹脂組成物。
  9. プリント基板用樹脂組成物である請求項1〜6の何れか1項記載の1液型エポキシ樹脂組成物。
  10. 電子部品の封止材用樹脂組成物である請求項1〜6の何れか1項記載の1液型エポキシ樹脂組成物。
  11. レジストインキ用である請求項1〜6の何れか1項記載の1液型エポキシ樹脂組成物。
  12. 導電ペースト用である請求項1〜6の何れか1項記載の1液型エポキシ樹脂組成物。
  13. 層間絶縁材料用である請求項1〜6の何れか1項記載の1液型エポキシ樹脂組成物。
  14. 請求項1〜13のいずれか1項記載の1液型エポキシ樹脂組成物を硬化して得られることを特徴とする硬化物。
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