第1の発明は、上面が開口した炊飯器本体と、前記炊飯器本体内に着脱自在に収納される鍋と、前記炊飯器本体の上面開口部を開閉自在に覆う蓋と、前記鍋を加熱する加熱手段と、前記鍋と前記鍋に入れられた調理物の重量との総重量を検知する重量検知手段と、ユーザからの米量決定指令を入力する入力手段と、前記加熱手段を制御する制御部と、表示動作する水量表示部と、音声合成にて報知する音声ガイド部とを備え、前記入力手段は前記蓋が開いている状態でも前記米量決定指令を容易に入力できるようにし、前記制御部は、前記入力手段が前記米量決定指令を入力した第1のタイミングにおける前記重量検知手段の出力信号に基づいて前記鍋内の米量を算出し、これに基づいて前記鍋内の米量に対応する最適水量を算出し、前記第1のタイミングより後に入力した前記重量検知手段の出力信号および前記米量に基づいて前記鍋内の水量を算出し、前記水量表示部に前記鍋内の水量または前記鍋内の水量の前記最適水量に対する相対的な値を表示し、前記鍋内の水の加水量速度を計測して前記音声ガイド部に現在の水量と経過予測水量または現在の水量と経過予測水量を前記最適水量に対する相対的な値で音声合成にて報知し、前記第1のタイミングより後の所定の第2のタイミングで炊飯を開始するよう構成したものであり、ユーザが簡単な操作で正確に水加減することができ、おいしいご飯を炊くことができるとともに、操作パネルを視認性向上や操作性向上のために蓋の部分に配置したとき、蓋を開けた状態でも音声合成により米計量結果および水加減状態を容易に確認することができる。
ユーザは、典型的には2回のキー入力操作で、米の量に応じた最適のまたはユーザの好みの米を炊くことができる。入力手段として、例えば「米計量スイッチ」と「炊飯スイッチ」とを炊飯器に設け、「第1のタイミング」は、例えばユーザが「米計量スイッチ」を押したときで、第1のタイミングで自動的に米の量を算出する。「第2のタイミング」は、例えばユーザが「炊飯スイッチ」を押したときである。「最適水量」とは、ユーザが鍋に入れた米から標準的な食感(例えば、固さ)および/または物性(例えば、粘り気または弾力)のご飯を炊くために必要な水の量、または一般のユーザが食する柔らかいご飯から固いご飯まで(または、粘り気の強いご飯から粘り気の弱いご飯まで、弾力が大きいご飯から弾力が小さいご飯まで)を炊くために必要な所定の範囲の水量である。「水量を算出し、表示する」ことは、典型的には水のみの量を算出し、表示することである。しかしこれに限らず、水と米とを合わせた量を算出し、表示することを含む。実質的に水量を算出し、表示することと同じだからである。また、第1のタイミングの後にユーザが水加減を行うと、鍋内の水の加水量速度を計測し、現在の水量と経過予測水量を最適水量と合わせて音声合成にて報知し、または鍋内の水の加水量速度を計測し、現在の水量と経過予測水量を最適水量に対する相対的な値で音声合成にて報知する。本発明の炊飯器は、予め米の量と最適水量との対応テーブルまたは関数を記憶している。
ユーザは、鍋に所望の量の米を入れ、「米計量スイッチ」を押し、水量表示部による水量表示(例えば、ランプによる表示)と音声合成による現在の水量と経過予測水量を確認しながら水加減をし、「炊飯スイッチ」を押すだけで正確に水加減をし、炊飯を開始でき、ユーザが正確に水加減を行えるので、常においしいご飯を炊くことできる。したがって、ユーザに複雑な操作を強いない、使い勝手がよい炊飯器を実現できる。
また、操作パネルを視認性向上や操作性向上のために蓋の部分に配置して、水量表示部などの表示部が見えない場合であっても、音声合成により正確に水加減を行えるので、常においしいご飯を炊くことできる。
第2の発明は、上記第1の発明において、制御部は、鍋内の水量が米量に基づいて定まる所定の範囲外のときには炊飯を開始せず、音声ガイド部はその旨を音声合成にて報知するようにしたものであり、例えば、とても食べられない水量セッティングにおいて炊飯を開始せず、音声合成によりその旨を報知するので、炊飯失敗を防止できる。また、鍋に水が入っていない状態では炊飯を開始せず、音声合成によりその旨を報知するので、炊飯器が高温になるのを防止できる。
第3の発明は、上記第2の発明において、第2のタイミングにおいて、制御部は鍋内の水量を決定し、音声ガイド部はその旨を音声合成にて報知するようにしたものであり、第1のタイミングで米量を決定し、その後にユーザが水加減を行うと水量表示部により現在の水量を表示(例えば、ランプによる表示)し、同時に、鍋内の水の加水量速度を計測し、現在の水量と経過予測水量を最適水量と合わせて音声合成にて報知し、または鍋内の水の加水量速度を計測し、現在の水量と経過予測水量を最適水量に対する相対的な値で音声合成にて報知する。これにより、ユーザは、水量表示部による水量表示(例えば、ランプによる表示)と音声合成による水量報知で水量を確認しながら水加減をし、第2のタイミングで炊飯に使用する水量を決定する。炊飯開始の第2のタイミング(例えばユーザが蓋を閉じたときまたは「炊飯スイッチ」を押したとき)が水量決定タイミングと兼ねることにより、ユーザが、水量決定指令を別個に入力手段に入力する必要がなくなる。以上により、ユーザの操作が簡単な炊飯器を実現することができる。
また、操作パネルを視認性向上や操作性向上のために蓋の部分に配置して、水量表示部などの表示部が見えない場合であっても、音声合成により正確に水加減を行える。さらに、炊飯開始の第2のタイミング(例えばユーザが蓋を閉じたときまたは「炊飯スイッチ」を押したとき)が水量決定タイミングと兼ねることにより、ユーザが、水量決定指令を別個に入力手段に入力する必要がなくなる。またユーザが蓋を閉じた時点で、確定した水量を水量表示部により確認できる。以上により本発明はユーザの操作が簡単な炊飯器を実現することができ、また、ユーザに複雑な操作を強いない、使い勝手が良い炊飯器を実現できる。
第4の発明は、上記第2の発明において、蓋の開閉状態を検知する蓋開閉検知手段を備え、制御部は、前記蓋が開いている状態から閉じている状態に変化したことを前記蓋開閉検知手段が検知したタイミングで鍋内の水量を決定し、音声ガイド部はその旨を音声合成にて報知するようにしたものであり、蓋を閉めた後に、鍋の中に米または水を投入することはできないので、蓋を閉めたときに米および炊飯に使用する水の量は決まるが、蓋を閉めたときに水量を自動的に決定し音声合成でその旨を報知することで、ユーザが水量決定指令を別個に入力手段に入力する必要がなく水加減が完了したことを簡単に認識でき、さらにユーザの操作が簡単な炊飯器を実現できる。
第5の発明は、上記第1〜4のいずれか1つの発明において、入力手段がユーザからの米量決定指令を入力した後炊飯を開始した場合は、制御部は検知した米量に応じた炊飯を行い、音声ガイド部は炊飯を開始した旨を音声合成にて報知し、前記入力手段がユーザからの前記米量決定指令を入力しないで炊飯を開始した場合は、前記制御部は米重量と水重量とを合わせた重量に対応する標準の仕様による炊飯を開始し、前記音声ガイド部は米重量と水重量とを合わせた重量に対応する標準の仕様による炊飯を開始した旨を音声合成にて報知するようにしたものであり、例えばユーザが米量の計測を行う前に米を洗ってしまうと、米が吸水して、米量の正確な計測ができなくなる。このような場合、ユーザは米量決定指令を入力することなく、炊飯を開始し、開始した旨を音声合成にて報知することにより、最適ではないが従来の炊飯器と同程度の炊き上がりでご飯を炊くことができる。
好ましくは、ユーザが米量決定指令を入力するか否かを除いて、ユーザの操作手順は、米量および水量に応じた炊飯を行うモードと、米重量と水重量とを合わせた重量に対応する標準の仕様による炊飯を行うモードと、同一にする。例えば、ユーザが炊飯器に米量決定指令を入力し、その後炊飯開始指令を入力した場合は、炊飯器は米量に応じた炊飯を行う。ユーザが炊飯器に米量決定指令を入力することなく、炊飯開始指令を入力した場合は、炊飯器は米重量と水重量とを合わせた重量に対応する標準の仕様による炊飯を行うとともに米重量と水重量とを合わせた重量に対応する標準の仕様による炊飯を開始した旨を音声合成にて報知する。
第6の発明は、上記第1〜4のいずれか1つの発明において、制御部は、所定のタイミングにおいてのみ重量検知手段に通電するようにしたものであり、消費電力が実効的に少ない炊飯器を実現することができる。
第7の発明は、上記第1〜3のいずれか1つの発明において、蓋の開閉状態を検知する蓋開閉検知手段を備え、制御部は、前記蓋開閉検知手段からの信号が前記蓋が開いている状態の信号であるときに重量検知手段の動作を開始させ、第2のタイミングまたは前記蓋が開いている状態から閉じている状態に変化したことを前記蓋開閉検知手段が検知したタイミングで前記重量検知手段の動作を終了させるようにしたものであり、蓋が開いている状態で水加減することができ、蓋を閉めたときに水量を決定することで、水加減が完了することができ、さらにユーザの操作が簡単な炊飯器を実現できる。
第8の発明は、上記第4の発明において、制御部は、蓋開閉検知手段からの信号が蓋が開いている状態の信号であるときに重量検知手段の動作を開始させ、第2のタイミングまたは前記蓋が開いている状態から閉じている状態に変化したことを前記蓋開閉検知手段が検知したタイミングで前記重量検知手段の動作を終了させるようにしたものであり、一般にユーザは、炊飯前に蓋を開け、米を鍋に入れ、その鍋を収納部に入れ、蓋を閉め、炊飯開始の指示(第2のタイミング)を行うが、米および水の量が変化する可能性がある蓋が開いているときに自動的に重量検知手段の動作を開始し、ユーザが米および水の量のセッティングを完了させた第2のタイミングにおいて自動的に重量検知手段の動作を終了させることで、消費電力が実効的に少ない炊飯器を実現できる。
第9の発明は、上記第1〜8のいずれか1つの発明において、最適水量が下限値および上限値を有し、水量表示部は、鍋内の水量が前記最適水量の範囲内に含まれるときに前記鍋内の水量を少なくとも3段階表示し、前記鍋内の水量を前記最適水量と合わせて、または前記鍋内の水量の前記最適水量に対する相対的な値を表示し、同時に前記水量表示部で表示できる現在の水量の段階と経過予測水量の段階を音声合成にて報知するようにしたものである。ご飯の食感(例えば、固さ)および/または物性(例えば、粘り気または弾力)は、主に鍋内の米量および水量によって決まる。従来の炊飯器は、炊き上がりのご飯の食感および/または物性に関する表示を持っていないため、例えば、好みの固さのご飯を炊くために、予め標準的な水量より水を増やしたり減らしたりしていた。一般に、このような水加減は鍋内の目盛りを参考にして、ユーザの経験に基づいて行われていたので、いつも好みの固さのご飯が炊けるとは限らなかった。本発明の炊飯器は、ユーザが入れた鍋内の水量が、鍋内の米を炊くのに必要な最適水量の範囲の中で多い(柔らかめで、粘り気が強く弾力に富んだご飯が炊ける)、標準(標準の固さ、粘り気および弾力のご飯が炊ける)、または少ない(固めで、粘り気が弱く弾力が小さいご飯が炊ける)のいずれであるかを少なくとも表示し、同時に鍋内の水の加水量速度を計測し、水量表示部で表示できる現在の水量の段階と経過予測水量の段階を音声合成にて報知することにより、ユーザは水量表示部の表示と音声報知を確認しながら、好みの食感および/または物性のご飯を炊くための水加減を簡単に行うことができる。
また、操作パネルを視認性向上や操作性向上のために蓋の部分に配置して、水量表示部などの表示部が見えない場合であっても、水量表示部で表示している現在の水量の段階と経過予測水量の段階を音声合成にて報知できるので、ユーザは音声報知を確認しながら、好みの食感および/または物性のご飯を炊くための水加減を簡単に行うことができる。また、ユーザが蓋を閉じた時点で、確定した水量を水量表示部により確認できる。
第10の発明は、上記第1〜8のいずれか1つの発明において、最適水量が下限値および上限値を有し、水量表示部は、鍋内の水量が前記最適水量の範囲内に含まれるときに、n個(nは2以上の正整数)の表示手段を用い、m段階(mは整数、かつn<m)表示し、同時に前記水量表示部で表示できる現在の水量の段階と経過予測水量の段階を音声合成にて報知するようにしたものであり、水量表示部は、例えば2つの隣接する表示手段をそれぞれ単独で表示させる水量の間の水量においては、その2つの隣接する表示手段を共に点灯または点滅させる。例えば、それぞれ単独点灯時に、水量が多い(柔らかめで、粘り気が強く弾力に富んだご飯が炊ける)、標準(標準の固さ、粘り気および弾力のご飯が炊ける)、または少ない(固めで、粘り気が弱く弾力が小さいご飯が炊ける)を表示する第1、第2および第3のLED(n=3)を設け、第1のLEDと第2のLEDとを同時に点灯しまたは点滅することにより、水量がやや多い(やや柔らかめで、やや粘り気が強く、やや弾力に富んだご飯が炊ける)ことを表示することができ、第2のLEDと第3のLEDとを同時に点灯しまたは点滅することにより、水量がやや少ない(やや固めで、やや粘り気が弱く、やや弾力が小さいご飯が炊ける)ことを表示できる。同時に鍋内の水の加水量速度を計測し水量表示部で表示できる現在の水量の段階と経過予測水量の段階を音声合成にて報知できる。
また、操作パネルを視認性向上や操作性向上のために蓋の部分に配置して、水量表示部などの表示部が見えない場合であっても、水量表示部で表示している現在の水量の段階と経過予測水量の段階を音声合成にて報知できるので、ユーザは音声報知を確認しながら、水量表示部で表示できる現在の水量の段階設定を簡単に行うことができる。また、ユーザが蓋を閉じた時点で、確定した水量を水量表示部により確認できる。
第11の発明は、上記第1〜10のいずれか1つの発明において、水量表示部は、鍋内の水量を炊き上がったときのご飯の食感および/または物性を表す表示と合わせて表示し、同時に前記水量表示部で表示できる現在の水量の段階と経過予測水量の段階に対応するご飯の食感および/または物性を音声合成にて報知するようにしたものである。「ご飯の食感」は例えばご飯の固さ、「ご飯の物性」は例えばご飯の粘り気または弾力であり、例えば水量を何グラムまたは何リットルと表示しても、多くのユーザは、水量が多いのか少ないのかを理解できない。ユーザが生活の中で慣れ親しんだ、炊き上がった時のご飯の固さ、粘り気および弾力のいずれか一つまたは複数の表示と合わせて水量表示および音声報知をすることにより、ユーザは所望の水量を実感を持って簡単に計量でき、使用性を向上することができる。
また、操作パネルを視認性向上や操作性向上のために蓋の部分に配置して、水量表示部などの表示部が見えない場合であっても、ユーザが生活の中で慣れ親しんだ、炊き上がった時のご飯の固さ、粘り気および弾力のいずれか一つまたは複数を音声報知をすることにより、ユーザは所望の水量を実感を持って簡単に計量でき、使用性を向上することができる。また、ユーザが蓋を閉じた時点で、確定した水量を水量表示部により確認できる。
第12の発明は、上記第8〜11のいずれか1つの発明において、第1のタイミングでユーザに水の投入を促し鍋内の水量が最適水量の範囲内のときにユーザに炊飯開始を指示する操作案内表示部を備え、音声ガイド部は前記第1のタイミングでユーザに水の投入を促すように音声合成にて報知し、前記鍋内の水量が前記最適水量の範囲内のときにユーザに炊飯開始を指示するよう音声合成にて報知するようにしたものであり、ユーザは操作手順を間違うことなく、音声合成の報知と操作案内表示により正確に水加減をし、炊飯を開始することができ、ユーザにとって使い易く、便利な炊飯器を実現できる。
また、操作パネルを視認性向上や操作性向上のために蓋の部分に配置して、水量表示部などの表示部が見えない場合であっても、音声ガイド部は第1のタイミングでユーザに水の投入を促すように音声合成にて報知し、鍋内の水量が最適水量の範囲内のときにユーザに炊飯開始を指示するよう音声合成にて報知できるので、ユーザは操作手順を間違うことなく、音声合成の報知により正確に水加減できる。さらに、ユーザが蓋を閉じた時点で、確定した水量を水量表示部により確認して炊飯を開始することができ、ユーザにとって使い易く、便利な炊飯器を実現できる。
第13の発明は、上記第1〜12のいずれか1つの発明において、鍋内の米量を表示する米量表示部を備え、音声ガイド部は前記鍋内の米量を音声合成にて報知するようにしたもりであり、鍋内の米量が表示および音声合成により報知されるので、使用性を向上することができる。また、操作パネルを視認性向上や操作性向上のために蓋の部分に配置して、米量表示部などの表示部が見えない場合であっても、鍋内の米量が音声合成により報知されるので、ユーザにとって便利である。
第14の発明は、上記第1〜4のいずれか1つの発明において、制御部は鍋内の水量が米量に基づいて定まる所定の範囲外のときにユーザが炊飯開始を指令した場合、警告表示を行い、また音声ガイド部は音声合成にて警告報知するようにしたものであり、ユーザが水量を間違えた場合、例えば、所定のLED(可視発光ダイオード)を点滅させ、音声合成により警告報知することで、ユーザに注意を喚起することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、こり実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図2は、本発明の実施の形態1の炊飯器の一部切欠した側面図である。なお、図面を簡潔にするために、電気的接続のためのリード線は省略している。この炊飯器は、ユーザが好みのご飯の固さに応じて水の量を正確に加減できるものである。また、操作パネルを視認性向上や操作性向上のために蓋の部分に配置して、水量表示部などの表示部が見えない場合であっても、音声合成により正確に水加減を行えるので、常においしいご飯を炊くことでき、また、ユーザに複雑な操作を強いない、使い勝手がよい炊飯器である。
図2に示すように、炊飯器本体10は、上面を覆うように蓋20を開閉自在に設置し、内部に収納部30を設けており、この収納部30は、磁性体製の鍋12を着脱自在に収納する。収納部30の鍋12の底部に対向する部分に、鍋12を誘導加熱する加熱コイル(加熱手段)13を配設している。回路基板14は、マイクロコンピュータ(図示せず)と音声合成用のIC(図示せず)および液晶表示パネル53を搭載している操作基板14aと、インバータ回路などを搭載している加熱制御基板14bとで構成している。スピーカ11は操作基板14aのマイクロコンピュータ(図示せず)と音声合成用のIC(図示せず)からの信号を受けて音声を出力する。
この炊飯器は、鍋12を誘導加熱し、鍋12内の調理物19を加熱調理する。調理物19は、炊飯前の米、米と水との混合物または炊き上がったご飯等である。また、この炊飯器は図示せず電源コードを有し、電源コードから商用電源が供給されたときに「電源オン」の状態になる。
温度検知手段15は、コイルベース31の底部に配設し、鍋12の温度を検知するもので、鍋12が収納部30に収納されると鍋12の底の中央部に当接し、鍋12の温度を検知する。
鍋検知手段16は、鍋12が収納部30に収納されているか否かを検知するもので、炊飯器本体10に剛体接続されたマイクロスイッチで構成している。鍋12が収納部30に収納されると、温度検知手段15の底に設けた突起部がマイクロスイッチを押下し、鍋検知手段16はオン信号を出力する。
蓋開閉検知手段で21は、蓋20の開閉を検知するもので、炊飯器本体10に設け、マイクロスイッチで構成し、蓋20が開くと蓋20のヒンジ部がマイクロスイッチを押下し、蓋開閉検知手段21はオン信号を出力する。鍋検知手段16および蓋開閉検知手段21は、炊飯器の電源が入っている状態では常に動作しており、オン信号またはオフ信号を出力している。
重量検知手段40は、鍋12の重量を検知するもので、支持部17およびロードセル18で構成し、ロードセル18は、ロバーバル型のロードセル(荷重変換器)であり、炊飯器本体10に剛体接続されている。ロードセル18に抵抗線ひずみゲージ(図示せず)を取り付けている。ロードセル18が歪んだときのひずみゲージの抵抗変化をブリッジ回路で電気信号として取り出す。支持部17は、薄板に3つの突起部を設けた形状を有する。薄板はロードセル18の一端にねじ止めされる。
支持部17の突起部は、収納部30の底部に設けた3つの孔をそれぞれ貫通している。鍋12が収納部30に収納されていない場合、ロードセル18は支持部17の重量を検知する。鍋12が収納部30に収納されると、鍋12の底部が支持部17の突起部先端に当接し、ロードセル18が歪む。鍋12が収納部30に収納されると、ロードセル18は、支持部17、鍋12および鍋12の中の調理物19の総重量を検知する。ロードセル18に取り付けている抵抗線ひずみゲージは、ロードセルオン/オフ制御部302(後述)から動作指令を受信したときだけ通電される(動作する)。抵抗線ひずみゲージの出力は、通電後0.5秒程度で安定する。重量検知手段40は、鍋の底面を3点支持する支持部17を通じて、正確に鍋12および被加熱物(調理物19)の重量を測定する。
温度検知手段15、鍋検知手段16、蓋開閉検知手段21および重量検知手段40からの電気信号は、それぞれ回路基板14に入力される。
操作・表示部50は蓋20の天面に設けており、操作基板14aと蓋20の一部で構成している。米計量スイッチ51aはキー入力手段51の一部分で構成し、蓋20が開いていてもユーザが容易に操作しやすい位置に配置しており、米計量スイッチ51aの電気信号は、操作基板14aに入力している。
操作・表示部50には、図3に示すように、キー入力手段(入力手段)51、水量表示部52、液晶表示パネル53を配置している。キー入力手段51として、スイッチ51b〜スイッチ51hを配置している。51bは保温スイッチ、51cはタイマー予約を行うための予約スイッチ、51dは炊飯コースを選択するためのコーススイッチ、51eは炊飯スイッチ、51fは取消/切スイッチ、51gおよび51hは予約時刻(時と分)を合わせるための時スイッチおよび分スイッチである。
水量表示部52は、操作・表示部50の背面に配置された5個のランプ52a〜52eを有する。ご飯の固さは米量および水量に依存する。ユーザは所定の手順(後述する)に従い、鍋12に米を入れた後、水を入れる。ここで、米量を音声合成にてスピーカ11で報知する。つぎに、ユーザが鍋12に入れた水量を測定し、米量および水量に対応するご飯の固さに応じて、水量表示部52のランプ52a〜52eのうち該当するランプを点灯または点滅させる。同時に鍋12内の水の加水量速度を計測し、現在の水量と経過予測水量を最適水量と合わせて音声合成にて報知し、または鍋12内の水の加水量速度を計測し、現在の水量と経過予測水量を最適水量に対する相対的な値で音声合成にて報知する。
ランプ52aの左上に「かため」、ランプ52cの上に「標準」、ランプ52eの右上に「やわらかめ」の文字が印刷されており、ユーザは、水量表示部52を確認し、スピーカ11からの音声報知により、好みの固さのご飯を炊くための水加減を行うことができる。なお、水量表示部52での水量表示方法および音声報知内容などの詳細は後述する。
液晶表示パネル53には、操作案内表示部54および米量表示部55を配置している。操作案内表示部54は、ユーザがつぎに行うべき操作または現在の状態を表示するための表示部である。操作案内表示部54には「水加減」表示部54aおよび「炊飯を押す」表示部54bを配置している。ユーザがつぎに行うべき操作は、各表示部54a、54bの文字(「水加減」または「炊飯」の文字)が表示されることで示される。米量表示部55は、ユーザが鍋12に入れた米の量(カップ数)の測定結果を表示する。また、この操作案内表示部54でユーザがつぎに行うべき操作または現在の状態を表示するときに、スピーカ11でその内容を報知する。
図3の表示例は、米および水の計量が終了した状態での表示である。米の量「2.3カップ」が米量表示部55に表示されている。「炊飯を押す」表示部54bの「炊飯」の文字が表示され、ユーザに炊飯スイッチ51eを押すことを促している。
つぎに、図1を用いて制御系の構成を説明する。本実施の形態の炊飯器の制御系は、操作・表示部50、重量検知手段40、鍋検知手段16、温度検知手段15、蓋開閉検知手段21、制御部300、加熱コイル駆動手段311、加熱コイル13、鍋12、蓋20、スピーカ11を有する。制御部300は、操作基板14aに搭載されたマイクロコンピュータ(図示せず)を有する。また、操作基板14aには音声ガイド部309として音声合成用のIC(図示せず)を搭載している。スピーカ11は操作基板14aのマイクロコンピュータ(図示せず)と音声ガイド部309の音声合成用のIC(図示せず)からの信号を受けて音声を出力する。加熱コイル駆動手段311は、加熱制御基板14bに搭載している。
制御部(マイクロコンピュータ)300はソフトウエアにより、ユーザが操作・表示部50を介して入力する操作指令、重量検知手段40、鍋検知手段16、蓋開閉検知手段21、温度検知手段15などから入力される各信号に基づき、加熱コイル駆動手段311の制御、操作・表示部50への表示、音声ガイド部309の制御によるスピーカ11の駆動制御、ロードセル18のオン/オフ制御を行う。加熱コイル駆動手段311は、制御部300の制御に応じて、加熱コイル13を駆動する。加熱コイル13の加熱量は、加熱コイル13の通電率および/または通電量によって制御される。
制御部300は、重量算出部301、ロードセルオン/オフ制御部302、米量記憶部303、最適水量記憶部304、水量表示制御部306、加熱制御部307、加熱プログラム記憶部308、音声ガイド部309を有する。
重量算出部301は、予め所定の状態(鍋12がないとき、空の鍋12を収納しているとき、最大の炊飯量の米と水を入れた鍋12を収納しているとき)でのロードセル18の出力信号データ(S1、S2、S3)をそれぞれ記憶している。ロードセル18の出力信号の大きさがSのとき、鍋12の中の調理物19の重量Wは、
W=Wmax×(S−S2)/(S3−S2)・・・(1)
となる。ただし、Wmaxは、調理物19の最大重量であり、既知の量(最大の炊飯量の米と水(調理物19)を入れた鍋12の重量であって、ロードセル18の出力信号データS3に対応する値)である。重量算出部301は(式1)を用い、調理物19の重量Wを算出する。
ロードセルオン/オフ制御部302は所定の条件(後述する)が整ったときにロードセル18への通電をオン/オフする。
米量記憶部303は、ユーザが鍋12に入れた米の量の測定結果(カップ数または重量)を記憶する。
最適水量記憶部304は、最適水量テーブル305を記憶する。最適水量テーブル305は、各米の量(例えば、1カップ、2カップ、3カップ、4カップおよび5カップ)および炊きあがりときのご飯の固さ(例えば、「かため」、「標準」および「やわらかめ」)に対する必要な水の量(重量)のデータテーブルである。(表1)は、本実施の形態における最適水量テーブル305で、単位はグラム(g)である。本実施の形態において、最適水量テーブル305は、3段階の米の量(1カップ、3カップおよび3カップ)と、5段階のご飯の固さ(例えば、「かため」、「かためと標準の中間」、「標準」、「標準とやわらかめの中間」および「やわらかめ」)との対応表である。
水量表示制御部306は、(表1)に示す最適水量テーブル305を読み込み、ユーザが鍋12に入れた米量および水量に基づき、水量表示部53のランプ53a〜53eのランプのうち、点灯または点滅させるべきランプを選択し、点灯または点滅させる。米量が最適水量テーブル305にない値の場合(例えば、2.3合の場合)、最適水量テーブル305の値を補完する。
水量はランプ52a〜ランプ52eの点灯または点滅によって7段階表示される。(表2)に、米の量が3カップのときの、水量とランプ53a〜53eの表示状態を示す。(表2)において、「×」は消灯、「△」は点滅、「○」は点灯を表す。
ユーザが鍋12に入れた米量において、「標準」の固さのご飯を炊く水量ではランプ52cが点灯し、「かため」のご飯を炊く水量ではランプ52aが点灯し、「やわらかめ」のご飯を炊く水量ではランプ52eが点灯する。「かため」と「標準」の間の固さのご飯を炊く水量ではランプ52bが、「標準」と「やわらかめ」の間の固さのご飯を炊く水量ではランプ52dが点灯する。水の量が「かため」のご飯を炊く水量より少ない場合(水が鍋12に入っていない場合を含む)、ランプ52aが点滅する。水の量が「やわらかめ」のご飯を炊く水量より多い場合、ランプ52eが点滅する。
加熱プログラム記憶部308は、調理物19の加熱プログラム(炊飯工程および保温工程)を記憶する。加熱制御部307は、加熱プログラムを読み出し、温度検知手段15が検知した鍋12の温度に基づき、加熱コイル駆動手段311を制御する。
音声ガイド部309はユーザが操作・表示部50を介して入力する操作指令、重量検知手段40、鍋検知手段16、蓋開閉検知手段21、温度検知手段15などから入力される各信号に基づき、スピーカ11の駆動制御を行う。
上記構成において図4および図5を参照しながら動作をユーザの操作手順とあわせて説明する。
図4は、本実施の形態のユーザの操作手順と表示状態および音声報知内容の遷移を示す説明図である。図4の左側にユーザの炊飯準備作業における操作手順400、右側に操作・表示部50の表示状態および音声報知内容450を示す。
始めにユーザは、炊飯器の電源を入れ(ステップ401)、蓋20を開ける(ステップ402)。つぎに、ユーザは炊飯を行いたい量の米を鍋12に入れ、その鍋12を収納部30に収納し(ステップ403)、ステップ404に進む。
ユーザは、ご飯の固さの好みに応じた水加減を行う場合、ステップ404からステップ405に進み、米計量スイッチ51aを押す。米計量スイッチ51aは、炊飯を行う米量を確定する機能を有する。米計量スイッチ51aが押されて米量が確定し(ステップ451)、米量表示部55に米の量がカップ数で表示されるとともに米量をスピーカ11で音声報知する(ステップ452)。さらに、操作案内表示部54の「水加減」表示部54aが表示される。同時にスピーカ11で水加減できることを音声報知する(ステップ453)。ユーザは、米の量を確認し(ステップ406)、つぎの手順は「水加減」であることを確認する。ここで、本実施の形態のように、操作・表示部50が蓋20にある場合でも、音声報知により米の量を確認し(ステップ406)、つぎの手順は「水加減」であることを確認する。
ステップ407でユーザは、必要に応じて洗米を行い鍋12に水を入れる。水量は、ステップ405で確定した米量およびユーザの好みのご飯の固さによって定まる。水量表示部52に、鍋12の中の米量および水量に応じたランプ52a〜52eが点灯または点滅する。同時に鍋12内の水の加水量速度を計測し、現在の水量と経過予測水量を最適水量と合わせて音声合成にて報知し、または鍋12内の水の加水量速度を計測し、現在の水量と経過予測水量を最適水量に対する相対的な値で音声報知する。すなわち、重量検出部301で一定時間ごとに加水された重量を検知し、その重量の増加分を演算して加水量速度を求め、現在の水量と、このまま加水していくときの経過予測水量を音声報知する(ステップ454)。ここで、本実施の形態のように、操作・表示部50が蓋20にある場合でも、ユーザは、スピーカ11による現在の水量を報知する音声と、もうすぐ到達する経過予測水量を報知する音声を確認しながら、水加減できる(ステップ407)。好みの固さのご飯が炊きあがる水量か否か判断し(ステップ408)、水の量が適量になるまで水加減を繰り返す。例えば、「やわらかめ」のご飯を炊きたい場合は、ランプ52eが点灯するように水加減を行う。
水の量を確定した後、ユーザは蓋20を閉じる(ステップ409)。水量が、「かため」と「やわらかめ」の間の固さのご飯を炊く水量の範囲内にある場合(ランプ52a〜ランプ52eのいずれかが点灯している)、操作案内表示部54の「炊飯を押す」表示部54bが表示され、炊飯スイッチ51eを押すように音声ガイド部309によりスピーカ11を駆動して音声報知する(ステップ455a)。ユーザは、つぎの手順が炊飯スイッチ51eの操作であることを確認できる。逆に、水量が、「かため」と「やわらかめ」の間の固さのご飯を炊く水量の範囲外にある場合(ランプ52aまたはランプ52eのいずれかが点滅している)、操作案内表示部54の「水加減」表示部54aが点滅し、音声ガイド部309によりスピーカ11を駆動して水量が、「かため」と「やわらかめ」の間の固さのご飯を炊く水量の範囲外にあることを音声報知する(ステップ455b)。ユーザは、水加減をやり直すべきであることを確認する。ここでは、蓋20を閉じているので、ユーザは操作案内表示部54の表示と音声ガイド部309の音声報知の両方で確認できる。
ステップ410でユーザは、必要に応じて(例えば、「水加減」表示部54aが点滅しているとき)水加減をやり直し、蓋20を閉じる。水加減終了後、ユーザが炊飯スイッチ51eを押すと、炊飯がスタートしたことをスピーカ11で音声報知し(ステップ411)、炊飯準備作業を終了する。なお、水の量が、「かため」のご飯を炊く水量より少ない場合、または「やわらかめ」のご飯を炊く水量より多い場合は、ユーザが炊飯スイッチ51eを操作しても、炊飯が開始されず、水加減ができていないことをスピーカ11で音声報知する。すなわち、ユーザはステップ408またはステップ410で、水量を「かため」のご飯を炊く水量より多く、かつ「やわらかめ」のご飯を炊く水量より少ない量に加減する必要がある。
ユーザが炊飯スイッチ51eを押すと、炊飯スイッチ51eが点灯し、同時に炊飯がスタートしたことをスピーカ11で音声報知する(ステップ456)。つぎに「炊飯を押す」表示部54bを消灯する(ステップ457)。
ユーザは、好みのご飯の固さに応じた水加減を行わない場合、ステップ404からステップ410に進み、水加減を行い(例えば、鍋12内側の目盛り(図示せず)を参考にして、従来の方法で水加減を行う)、蓋20を閉じる。ユーザが米計量を行わない(米計量スイッチ51aを操作しない)場合は、ステップ410で蓋20を閉じると、水量に関係なく操作案内表示部54の「炊飯を押す」表示部54aの「炊飯」が黒く表示され、炊飯スイッチ51eを押すように音声ガイド部309によりスピーカ11を駆動して音声報知する(ステップ455a)。
ユーザはつぎの手順が炊飯スイッチ51eの操作であることを確認できる。ユーザが炊飯スイッチ51eを押し、炊飯準備作業を終了する。炊飯スイッチ51eが点灯し、同時に炊飯がスタートしたことをスピーカ11で音声報知する(ステップ456)。つぎに「炊飯を押す」表示部54bを消灯する(ステップ457)。ステップ457の後、炊飯器は炊飯工程を実行する(ご飯を炊く)。
図5は、本実施の形態の炊飯器の炊飯開始時のフローチャートである。ステップ501で炊飯器の電源を入れる。炊飯器の電源が入ると、蓋開閉検知手段21は動作を開始し、蓋20が開いているか否かの信号を制御部300に出力する。ステップ502で制御部300は、蓋20が開いているか否か判断する。蓋20が閉じている状態から開いたときまたは蓋20が開いているとき、ステップ503に進む。
蓋20が閉じている状態から開いた状態に遷移したとき、または蓋20が既に開いているときに、ロードセルオン/オフ制御部302は、ロードセル18への通電を開始する(ステップ503)。ロードセル18は、その出力信号Sを重量算出部301に出力する。ステップ504で制御部300は、蓋20が開いている状態から閉じたか否か判断する。蓋20が開いたままの場合、ステップ505に進む。ステップ505で制御部300は、米計量スイッチ51aが押されたか否か判断する。押されていない場合はステップ504に戻り、押された場合はステップ506に進む。
重量算出部301は、米計量スイッチ51aが押される直前のロードセル18の出力信号Sから、(式1)によって、鍋12内の調理物19の重量Wを算出する(ステップ506)。ステップ507で制御部300は、重量算出部301がステップ506で算出した重量Wを、米の重量(g)として米量記憶部303に記憶する。ステップ508で制御部300は、米の重量を150gで割り、米のカップ数(1カップは150g、1合である)を算出し、米量表示部55に表示する。米量表示部55に米の量がカップ数で表示されると共に米量をスピーカ11で音声報知する。
制御部300はステップ509で、操作案内表示部54の「水加減」表示部54aを表示する。同時にスピーカ11で水加減できることを音声報知する。ここで、本実施の形態のように、操作・表示部50が蓋20にある場合でも、音声報知により米の量を確認し、つぎの手順は「水加減」であることを確認できる。つぎに、ステップ510で制御部300は、例えば、(表1)に示す最適水量テーブル305を読み込み、米量記憶部303に記憶されている米の重量に対応する、水の量とご飯の固さの対応テーブルを読み込む。対応する米量が最適水量テーブル305にない値の場合(例えば、2.3合の場合)、最適水量テーブル305の値を補完する。
制御部300は、ステップ506で米の重量を算出した後のロードセル18の出力信号を、鍋12内の米と水との総重量であると判断する。制御部300はステップ511で、一定時間ごとにロードセル18の出力信号から、(式1)によって鍋12内の調理物19の重量Wを算出し、Wから米量記憶部303に記憶されている米の重量を差し引き、鍋12内の水の重量を算出し、その水の重量の増加分を演算して加水量速度を求め、現在の水量とこのまま加水していくときの経過予測水量を算出する。
水量表示制御部306はステップ512で、水量表示部52のランプ52a〜52eのうち、測定した現在の水の重量に対応するランプに点灯または点滅を指示する。同時にスピーカ11で現在の水量および経過予測水量を音声報知する。例えば、「現在の水量はかためです。」、「もうすぐ標準の水量です。」と音声報知する。ここで、本実施の形態のように、操作・表示部50が蓋20にある場合でも、音声報知により水加減できる。つぎに、ステップ513で制御部300は、蓋開閉検知手段21の信号に基づき、蓋20が閉じたか否か判断する。蓋20が開いたままの状態の場合、ステップ511に戻り現在の水量と経過予測水量の算出を行う(ステップ511)。
つぎに、現在の水量を表示し、現在の水量と経過予測水量の両方か、どちらか一方の音声報知(ステップ512)を繰り返す。蓋20が閉じた場合、ステップ514に進む。
ステップ514で制御部300は、蓋20が閉じる直前の水の重量を炊飯に使用する水量であると決定し、その水量が所定の範囲内(ステップ507で記憶した米の重量において、「かため」のご飯を炊くための水量の下限値と「やわらかめ」のご飯を炊くための水量の上限値との間)か否か判断する。水の重量が所定の範囲外の場合ステップ516に進み、「水加減」表示部54aを点滅させ、音声ガイド部309によりスピーカ11を駆動して水量が、「かため」と「やわらかめ」の間の固さのご飯を炊く水量の範囲外にあることを音声報知して、ユーザに水加減のやり直しを促し、ステップ511に戻る。
水の重量が所定の範囲内の場合ステップ515に進み、「炊飯を押す」表示部54bを表示し、「水加減」表示部54aを消灯する。さらに、炊飯スイッチ51eを押すように音声ガイド部309によりスピーカ11を駆動して音声報知する。ステップ517で制御部300は、炊飯スイッチ51eが押されたか否か判断し、押されるとステップ518に進む。炊飯スイッチ51eが押されると、ロードセルオン/オフ制御部302は、ロードセル18への通電を停止する(ステップ518)。
制御部300は炊飯スイッチ51eを点灯させ、同時に炊飯がスタートしたことをスピーカ11で音声報知し(ステップ519)、「炊飯を押す」表示部54bを消灯する(ステップ520)。炊飯スイッチ51eが操作されると、加熱制御部307は加熱プログラム記憶部308から、加熱プログラムを読み込み、炊飯工程を実行する(ステップ521)。
ステップ504で蓋20が閉じた場合、ステップ515に進む(重量算出部301が、米および水の重量を算出しない)。
ユーザによって米計量スイッチ51aが押され、重量算出部301が米および水の計量を行った場合、加熱制御部307は米の重量および温度検知手段15からの鍋12の温度に基づいて加熱制御を行う。重量算出部301が米および水の計量を行わなかった場合、加熱制御部307は温度検知手段15からの鍋12の温度に基づいて加熱制御を行う。
以上のように、本実施の形態によれば、ユーザは米計量スイッチ51aを1回押すだけで、好みの固さのご飯を炊くための水加減を簡単に行うことができる。本実施の形態におけるユーザの炊飯準備作業は、従来の重量検知手段40を有さない炊飯器におけるユーザの炊飯準備作業(鍋に米を入れ、必要に応じて洗米し、水加減を行う)とほとんど同じである。したがって、ユーザの米および水の計量ミスをほとんど招かない。
従来の炊飯器で炊飯を行う場合、ユーザは、予め米の量を設定した後、水の量だけでなく米の量をも、予め設定した米の量に合わせて正確に計量する必要があった。本実施の形態の炊飯器では、ユーザは正確に米を計量して鍋12に入れる必要がない。また、本実施の形態の炊飯器は、操作・表示部50を視認性向上や操作性向上のために蓋20の部分に配置して、蓋20が開けられて操作・表示部50が見えない場合であっても、ユーザが鍋12に入れた米の量を測定してその米の量を音声報知し、米の量に応じて適切な水量と現在の水量を表示するとともに、スピーカ11による現在の水量を報知する音声と、もうすぐ到達する経過予測水量を報知する音声によりユーザに水加減を促すことができる。
重量検知手段40を備えていない従来の炊飯器においては、ユーザは、好みの固さのご飯を炊くために、鍋12の内側の目盛りおよび経験に基づいて水量を加減する必要があった。したがって、毎回好み通りの固さのご飯を炊くのは難しかった。本実施の形態によれば、操作・表示部50を視認性向上や操作性向上のために蓋20の部分に配置して、蓋20が開けられて操作・表示部50が見えない場合であっても、ユーザは水量表示部52とスピーカ11による現在の水量を報知する音声と、もうすぐ到達する経過予測水量を報知する音声を確認しながら正確に水加減を行えるので、常に好みの固さのご飯を炊くことができる。
また、本実施の形態の炊飯器は、所定の時間しか(蓋20が開いてから炊飯スイッチ51eが押されるまで)ロードセル18に通電せず、無駄に電力を消費しない。さらに、ロードセル18が加熱して重量の検出精度が低下することを防止できる。なお、米計量スイッチ51aが押されたときにロードセル18に通電を開始し、炊飯スイッチ51eが押されたときに通電を終了してもよい。米計量スイッチ51aが押された直後のロードセル18の出力信号から、米の量を算出すればよい。この場合、蓋開閉検知手段21は不要である。蓋12が開いたときにロードセル18に通電を開始し、蓋12が閉じた時に通電を終了してもよい。
また、本実施の形態の炊飯器は、測定した米の量に対して、水量が適当ではない場合には炊飯を行わず、これを報知する。したがって、水の量が少ない、または水が入っていないことによる炊飯器の温度上昇を防止できる。
ユーザは、炊飯準備作業(図4)において、蓋20を開けた後に、電源を入れてもよい(ステップ401とステップ402とを入れ替える)。
ステップ506において、米計量スイッチ51aが押される直前のロードセル18の出力信号から米の重量を算出した。これに代えて、米計量スイッチ51aが押される直前または直後の所定の時間(例えば、3秒間)内のロードセル18の出力信号の平均値を使用してもよい。
なお、温度検知手段15、鍋検知手段16、蓋開閉検知手段21および重量検知手段40の構成は、本実施の形態で示したものに限らない。例えば、重量検知手段40として圧電素子、静電容量検出素子、バネばかりを用いてもよい。鍋12が収納部30に収納されているときに重量検知手段40が検知する重量には、少なくとも鍋12(調理物19があれば、鍋12および調理物19)の重量が含まれていればよい。
本実施の形態の炊飯器は、「かため」のご飯を炊くために必要な水量の下限値と「やわらかめ」のご飯を炊くために必要な水量の上限値との間の水量を、水量表示部52に5段階表示したが、少なくとも3段階表示であればよい。ただし、1段階で表示される水量の範囲内では、炊きあがるご飯の食感が変わらないことが望ましい。
本実施の形態の炊飯器において、最適水量記憶部304は、米の重量に対応する水の量とご飯の固さの対応テーブル(最適水量テーブル305)を記憶したが、テーブルに代えて関数を記憶してもよい。
水量表示部52は、水量とご飯の固さとを対応させて表示する。この表示内容を音声ガイド部309で音声報知した。これに代えて、水量と関係がある、その他のご飯の食感および/または物性と対応させて表示および音声報知してもよい。例えば、水量とご飯の粘り気(水量が多い場合は強く、水量が少ない場合は弱い)または水量とご飯の弾力(水量が多い場合は大きく、水量が少ない場合は小さい)とを対応させて表示してもよい。これらの表示を組み合わせて表示してもよい。
ユーザが米計量スイッチ51aを押さず、重量算出部301が米および水の計量を行わなかった場合、ステップ518でロードセル18への通電を終了する直前の出力信号Sから米と水との総重量を算出し、その総重量と加熱制御部307は温度検知手段15からの鍋12の温度に基づいて標準の仕様による加熱制御(炊飯)を行う構成としてもよい。
(実施の形態2)
図6は、本発明の実施の形態2の炊飯器の操作・表示部を示す図である。
図6に示すように、操作・表示部60は、上記実施の形態1の水量表示部52を置き換えたものであり、この水量表示部62は、3個のランプ62a、62c、62eを有する。ユーザが鍋12に入れた水量を測定し、その水量に対応するご飯の固さに応じて、水量表示部62のランプ62a、62c、62eのうち該当するランプを点灯または点滅させる。ランプ62aの左上に「かため」、ランプ62cの上に「標準」、ランプ62eの右上に「やわらかめ」の文字が印刷されており、ユーザは、水量表示部62の点灯または点滅位置である現在の水量と対応する好みのかたさおよび予測水量の音声ガイド部309による報知を確認しながら、好みの固さのご飯を炊くための水加減を行うことができる。他の構成、動作およびユーザの操作手順は上記実施の形態1と同じであるので説明を省略する。
上記構成において、水量は3個のランプ62a、62c、62eの点灯または点滅によって7段階表示される。(表3)に、米の量が3カップのときの水量とランプ62a、62c、62eの表示状態を示す。なお、(表3)において、「×」は消灯、「△」は点滅、「○」は点灯を表す。
ユーザが鍋12に入れた米量において、標準の固さのご飯を炊く水量ではランプ62cが点灯し、「かため」のご飯を炊く水量ではランプ62aが点灯し、「やわらかめ」のご飯を炊く水量ではランプ62eが点灯する。「かため」と「標準」の間の固さのご飯を炊く水量ではランプ62aと62cとが点滅し、「標準」と「やわらかめ」の間の固さのご飯を炊く水量ではランプ62cと62eとが点滅する。水の量が「かため」のご飯を炊く水量より少ない場合(水が鍋12に入っていない場合を含む)、ランプ62aが点滅する。水の量が「やわらかめ」のご飯を炊く水量より多い場合、ランプ62eが点滅する。
本実施の形態の炊飯器は、上記実施の形態1の炊飯器と同様の効果を奏する。さらに、上記実施の形態1の炊飯器に比べて少ない表示手段(ランプ)によって、水量を段階的に表示でき、上記実施の形態1の炊飯器よりも安価に実現できる。