JP2006128643A - 誘電体薄膜、薄膜誘電体素子及びその製造方法 - Google Patents

誘電体薄膜、薄膜誘電体素子及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明の目的は、BST薄膜を膜厚が40nmを超えて200nm以下に極薄化させながらも、高誘電率の特性と低リーク電流密度の特性を両立させた誘電体薄膜及びそれを素子化した薄膜誘電体素子並びにその最適な製造方法を提供することである。
【解決手段】本発明にかかる誘電体薄膜は、膜厚が40nmを超えて200nm以下のチタン酸バリウムストロンチウム(Ba1−x,SrTiO)からなる誘電体薄膜であって、xが0.5<x≦0.7でaが1.0≦a≦1.2を満たす組成を有し、且つ比誘電率が250を超えてリーク電流密度が1.0×10−5A/cm以下であることを特徴とする。本誘電体薄膜に上部・下部電極層を形成して薄膜誘電体素子とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、誘電体薄膜及びその誘電体薄膜に電極を形成した薄膜誘電体素子並びにその製造方法に関するものである。この薄膜誘電体素子は、高誘電率と低リーク電流密度を実現できる薄膜誘電体素子である。
電子部品に対して小型化、高性能化への要望が高まっている中で、キャパシタに対しても小型化かつ大容量化の要望が大きい。小型でかつ容量の大きいキャパシタの誘電体材料としてチタン酸鉛(PbTiO)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸バリウム(BaTiO;以下、「BT」と略記する。)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO;以下、「ST」と略記する。)、チタン酸バリウムストロンチウム(BaSrTiO;以下、「BST」と略記する。)等のペロブスカイト型酸化物が挙げられる。中でも、BTとSTの全率固溶体であるBSTは、その比率によりキュリー温度を調節でき、室温で高誘電率の常誘電体とすることが可能であり、しかも長寿命である等の優れた特性を持っている。
このようなキャパシタにおいて、最適なデバイス特性を得るには誘電体材料の単結晶化が望ましいが、小型化のためには薄膜素子とする必要がある。近年、更なるキャパシタの小型化かつ大容量化を目指すために薄膜素子の極薄化技術の確立が望まれている。BST薄膜を極薄化したときに課題となるのは、高誘電率と低リーク電流密度の各特性の両立である。
このために、低リーク電流密度の特性を得るためにBSTにエルビウム(Er)をドーピングしたEr添加BSTが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。しかし、500nm程度以下に薄膜化したBSTにErを均一に添加することは難しく、ドーピング分布のばらつきによって、安定な特性を得ることが困難であった。
さらに、BST薄膜を200〜300nm以下に極薄化すると誘電率が低下する。この理由として真に薄膜の誘電率が低下して誘電率が小さくなるという理由或いは誘電体薄膜と電極との界面において低誘電率層が形成されるという理由が考えられるが、その振る舞いについては十分には解明されていない(例えば、特許文献2参照。)。特許文献2では、誘電体薄膜と電極との界面において低誘電率層が形成されるという理由に基づいてその解決手段が提案されている。
特開平8−198669号公報 特開平7−86514号公報
上記説明したように従来の製造方法では、BSTを薄膜化したときに、高誘電率と低リーク電流密度の両立が困難であった。一方、BSTを基板上に200nm以下の薄膜として形成した場合の特性は十分には解明されていないことから、試行錯誤の中から最適な薄膜誘電体素子の製造方法を模索する必要があった。本発明の目的は、室温において常誘電体となる組成領域のBST薄膜を膜厚が40nmを超えて200nm以下に極薄化させながらも、250を超える高比誘電率の特性と実用上望まれるリーク電流密度1.0×10−5A/cm以下という低リーク電流密度の特性を両立させた誘電体薄膜及びそれを素子化した薄膜誘電体素子並びにその最適な製造方法を提供することである。
本発明者らは、膜厚が40nmを超えて200nm以下の極薄のチタン酸バリウムストロンチウムからなる誘電体薄膜について、高誘電率と低リーク電流密度の各特性を満たすものを探索したところ、ストロンチウムがバリウムよりも多い組成で得られることを見出し、発明を完成させた。すなわち、本発明に係る誘電体薄膜は、膜厚が40nmを超えて200nm以下のチタン酸バリウムストロンチウムからなる誘電体薄膜であって、組成式を(Ba1−x,SrTiOと表記したときのxが0.5<x≦0.7でaが1.0≦a≦1.2を満たす組成を有し、且つ比誘電率が250を超えてリーク電流密度が1.0×10−5A/cm以下であることを特徴とする。
ここで誘電体薄膜は次の構造を有する薄膜誘電体素子に形成しても良い。すなわち本発明に係る薄膜誘電体素子は、基板上に、下部電極層、前記誘電体薄膜、上部電極層の順に形成した積層構造を有するか、或いは基板上に形成した下部電極層と上部電極層との間に前記誘電体薄膜を複数層設け且つ該誘電体薄膜間に内部電極層を設けた積層構造を有することを特徴とする。
また、本発明に係る薄膜誘電体素子の製造方法は、基板上に形成した下部電極層上に、膜厚が40nmを超えて200nm以下で、組成式を(Ba1−x,SrTiOと表記したときのxが0.5<x≦0.7でaが1.0≦a≦1.2を満たし、且つ比誘電率が250を超えてリーク電流密度が1.0×10−5A/cm以下のチタン酸バリウムストロンチウムからなる誘電体薄膜を気相法により形成する工程と前記誘電体薄膜の上に電極層を形成する工程を含むことを特徴とする。ここで電極層とは上部電極層又は内部電極層を意味する。上記組成のBSTは室温で常誘電体の強誘電体であり、さらに強誘電体ではなく常誘電体の組成も含む。この組成のBST薄膜を気相法により形成し、高誘電率と低リーク電流密度の各特性を満足させる。
ここで薄膜誘電体素子の製造方法では、前記誘電体薄膜をスパッタリング法により形成することが好ましい。スパッタリングによって、組成制御性良くかつ面積の広い基板上に速い成長速度でBSTの薄膜を成膜することができる。
さらに薄膜誘電体素子の製造方法では、前記誘電体薄膜を形成するときに基板温度を550℃以上800℃以下とすることが好ましい。アニール工程を経なくてもBST薄膜をペロブスカイト型構造で形成させ、高誘電率と低リーク電流密度の各特性を満たすために寄与する。
また、薄膜誘電体素子の製造方法では、前記誘電体薄膜の成膜速度を2nm/分以下とすることがより好ましい。このような薄膜の成長速度にすることで、格子欠損の少ない良質な薄膜が形成され、高誘電率と低リーク電流密度の各特性を満たすために寄与する。
なお、本願明細書において、(Ba1−x,SrTiO(0<x<1、1.0≦a≦1.2)は、厳密な化学量論的組成に限定するものではない。
本発明によれば、BSTからなる誘電体薄膜を膜厚が40nmを超えて200nm以下に極薄化させながらも、250を超える高比誘電率の特性と実用上望まれるリーク電流密度1.0×10−5A/cm以下という低リーク電流密度の特性を両立させた誘電体薄膜及びそれを素子化した薄膜誘電体素子を実現することが可能となる。そして、その誘電体薄膜及びそれを素子化した薄膜誘電体素子を製造することができる。
本発明に係る誘電体薄膜は、膜厚が40nmを超えて200nm以下のチタン酸バリウムストロンチウムからなる誘電体薄膜であって、組成式を(Ba1−x,SrTiOとしたときのxが0.5<x≦0.7でaが1.0≦a≦1.2を満たす組成を有し、且つ比誘電率が250を超えてリーク電流密度が1.0×10−5A/cm以下であるように形成した誘電体薄膜である。この薄膜は、高誘電率と低リーク電流密度を両立させることができるという特徴を有する。本実施形態に係る誘電体薄膜は、キャパシタの小型化かつ大容量化を目指すため、膜厚を40nmを超えて200nm以下として極薄化を狙ったものである。好ましい膜厚は40nmを超えて170nm以下、より好ましい膜厚は60〜80nmである。
40nmを超える膜厚とするのは、最低限のグレインサイズの確保と基板の平滑性や膜厚の面内均一性を考慮したものである。一方、極薄化を狙って上限膜厚を200nm以下とした場合では、上記に説明したように、極薄化によるリーク電流が大きくなりやすい問題と低誘電体層の形成か或いは誘電率が真に低下するか不明であるがいずれにしても高誘電率が得られない問題という2つの問題が生じる。
そこで、(Ba1−x,SrTiOと表記したBSTのxを0.5<x≦0.7、aを1.0≦a≦1.2と制御することで高誘電率と低リーク電流密度を両立させる。BSTはバリウムとストロンチウムがペロブスカイト構造のAサイトを占有しあう全率固溶体である。xが0.5以下であるときはバリウムがストロンチウムよりもリッチな組成領域の誘電体薄膜であり、室温で常誘電体であるものの室温よりも低温で強誘電体となりうる薄膜である。しかし、上記極薄の薄膜としたときに高誘電率が得られない。これに対してxが0.5を超えて0.7以下の組成では常誘電体であるチタン酸ストロンチウムの性質に近いBSTとなるものの、このとき高誘電率と低リーク電流密度を両立させることができる。一方、xが0.7を超える組成では、チタン酸ストロンチウムの性質により近くなり、低誘電率となる。上記の理由により本実施形態では、全率固溶体であるBSTにおいて、xを0.5<x≦0.7、より好ましくは0.5<x≦0.6と制御する。また、Aサイトがわずかにリッチとなる組成、すなわちaを1.0≦a≦1.2、より好ましくは1.0≦a≦1.1と制御する。
本実施形態に係る誘電体薄膜は、気相法により形成した薄膜である。その微細構造は塊状微細結晶構造或いは好ましくは柱状微細結晶構造を有する。高誘電率と低リーク電流密度の各特性が得られた理由として、薄膜を気相法でその微細構造を柱状微細結晶構造或いは塊状微細結晶構造に形成した要因も大きいと考えられる。
本実施形態に係る誘電体薄膜は、比誘電率が250を超えて、好ましくは比誘電率が270以上で、リーク電流密度が1.0×10−5A/cm以下を満たすものである。本実施形態に係る誘電体薄膜は、膜厚が40nmを超えて200nm以下において、特に実施例で示すように少なくとも膜厚が40nmを超えて170nm以下の範囲において、比誘電率の値がおおむね300±10%を維持していて、膜厚依存性が少ない。これは薄膜のコンデンサの容量の増減を膜厚の増減だけで管理できることであり、製造上、大きなメリットとなる。また、リーク電流密度は小さいほど好ましいが、1.0×10−5A/cm以下であれば実用上問題ない。
本実施形態では実際の利用形態として、基板上に、下部電極層、本実施形態に係る誘電体薄膜、上部電極層の順に形成した積層構造として薄膜誘電体素子を形成することが好ましい。或いは基板上に形成した下部電極層と上部電極層との間に本実施形態に係る誘電体薄膜を複数層設け且つ該誘電体薄膜間に内部電極層を設けた積層構造として薄膜誘電体素子を形成しても良い。積層チップ型コンデンサと同様の考えに基づいて、本実施形態に係る薄膜誘電体素子において内部電極層を設けて誘電体薄膜を複数層積層させることでキャパシタの容量を上げることができる。
薄膜誘電体素子の基板として、Si基板を用いる。Si基板は高温にした上で、酸素ガスや亜酸化窒素ガス又はスチーム等の酸化性ガス雰囲気に晒し、ドライ酸化又はウェット酸化により表面に熱酸化膜(シリコン酸化膜:SiO)を形成する。熱酸化膜が形成されたSi基板は、熱酸化膜上に形成する導電性電極や誘電体を支持する基板であるため、化学的に安定で応力発生の少ないものであればよい。セラミック、ガラス等であって、後述するアニール温度で変質しない基板でも良い。
Si基板の熱酸化膜の上部に下部電極層を形成する。下部電極層の材料は、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)等の金属又はこれらを含む合金でも良いし、シリコン(Si)、ガリウム砒素(GaAs)、ガリウム燐(GaP)、インジウム燐(InP)、炭化シリコン(SiC)等の導電性半導体でも良いし、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化錫(SnO)、酸化インジウム(In)、二酸化イリジウム(IrO)、二酸化ルテニウム(RuO)、三酸化レニウム(ReO)、LSCO(La0.5Sr0.5CoO)等の等の金属酸化物導電体でもよい。下部電極層は低抵抗が確保できる厚さで良く、例えば、50nm以上であれば足りる。
基板と下部電極との密着性を確保するために適宜密着層を設けてもよい。密着層としては、TiO/Si、TiO/SiO/Si、TaN/Si等を例示できる。なお、/Siは基板側を意味する。密着層の形成は、物理気相成長法(PVD)、化学気相成長(CVD)法を用いて蒸着する。これらの蒸着方法の選択は、蒸着物質によって適宜選択する。
基板上に形成した下部電極層上に、膜厚が40nmを超えて200nm以下で、組成式を(Ba1−x,SrTiOと表記したときのxが0.5<x≦0.7でaが1.0≦a≦1.2を満たし、且つ比誘電率が250を超えてリーク電流密度が1.0×10−5A/cm以下のチタン酸バリウムストロンチウムからなる誘電体薄膜を気相法により形成する。誘電体薄膜であるチタン酸バリウムストロンチウム薄膜はスパッタリングによって形成することが望ましい。
スパッタリングでは、下部電極層を形成した基板を550℃以上800℃以下に加熱し、アルゴンガス(Ar)に0を超えて50体積%以下の酸化性ガスを加えた酸化性ガス雰囲気中で且つ減圧下で、BSTターゲットをスパッタリングすることが好ましい。これにより、下部電極層上にペロブスカイト型構造の(Ba1−x,SrTiOのBST誘電体薄膜が成長する。
酸化性ガス雰囲気でBSTを成長させるためにBSTの結晶構造から酸素が欠損することがない。酸化性ガスは、純粋酸素ガスを始め、亜酸化窒素ガス(NO)等のガスを例示できる。
BST薄膜をスパッタリング法により成膜する際に、使用するターゲットはBSTターゲットとするが、BaTiOターゲットとSrTiOターゲットとに成分を分離してこれを同時にスパッタリングすることでBST薄膜を成膜しても良い。BSTターゲットは予め設定した組成比の(Ba,Sr)TiO(0<y<1、0<z<1)をターゲットとする。
BST薄膜の膜厚は40nmを超えて200nm以下とする。膜厚制御は、ターゲットへの入力電力及び成膜時間によって制御する。成膜速度は5〜6nm/分、好ましくは2nm/分以下、さらに好ましくは1nm/分以下とする。成膜速度をこのような低速とすることで、リーク電流密度を低い状態に保持することができる。
下部電極層を形成した基板は、基板と誘電体薄膜との密着性、誘電体薄膜の緻密性、均一性が保たれれば、550℃未満の温度に加熱して成膜しても良い。基板温度を低下させた場合には、ペロブスカイト型構造からアモルファス構造となることがある。このような場合には、成膜したBSTを粒子成長させ、ペロブスカイト型構造とするためにBST薄膜を形成した基板をアニールすることが望ましい。アニール温度は例えば800℃以上1000℃以下とする。BSTから酸素が欠損することを防止するために、アニールは酸化性ガス雰囲気中で行うことが望ましい。基板面内方向に結晶化が進み、誘電率の向上が期待できる。
下部電極層上に(Ba1−x,SrTiOからなる誘電体薄膜を気相法で形成する方法として、スパッタリング以外にも、熱CVD、プラズマCVD、光CVD等の化学気相成長法や、分子線エピタキシャル成長、真空蒸着等の物理気相成長法が適用できる。
CVD法で成膜する場合のCVD原料としては、チタン源として例えばチタンテトライソプロポキシド等の金属アルコキシド、ジピバロイルメタネートチタン等のβ−ジケトン金属有機錯体を例示することができる。バリウム源としてはジピバロイルメタネートバリウム等のβ−ジケトン金属有機錯体を例示することができる。ストロンチウム源としてはジピバロイルメタネートストロンチウム等のβ−ジケトン金属有機錯体を例示することができる。上記は例示であって、上記金属源を含む揮発性有機物であれば使用することができる。このとき成膜条件は基板温度500〜600℃、酸化性ガス雰囲気且つ減圧下で成膜することを例示できる。
(Ba1−x,SrTiOからなる誘電体薄膜を分子線エピタキシャル、真空蒸着により成膜する場合には、スパッタリングと同様のターゲットを用いて成膜することができる。
次にBSTの誘電体薄膜の上に上部電極層を形成する。上部電極層の材料は、下部電極層の材料と同様である。上部電極層は低抵抗が確保できる厚さで良く、例えば、50nm以上であれば足りる。
薄膜誘電体素子を積層型のコンデンサに形成する場合には、誘電体薄膜の上に内部電極層を形成し、その内部電極層の上に誘電体薄膜を形成することを繰り返す。そしてそれらの層の上に上部電極層を形成する。内部電極層の材料は、下部電極層や上部電極層の材料と同様である。内部電極層は低抵抗が確保できる厚さで良く、例えば、50nm以上であれば足りる。
次に実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。実施例においては基板上に下部電極層を設け、その上に誘電体薄膜を形成し、さらにその上に上部電極層を設けた構造の薄膜誘電体素子を例にとって説明する。
本発明の薄膜誘電体素子の製造工程を図1に示す。図1において、12はSi基板、14は熱酸化膜、16は下部電極層、18は誘電体薄膜としてのBST薄膜、20は上部電極層である。Si基板12を高温にした上で、酸素ガスや亜酸化窒素ガス又はスチーム等の酸化性ガス雰囲気に晒し、ドライ酸化又はウェット酸化により表面に熱酸化膜14(シリコン酸化膜:SiO)を形成する(図1(1))。熱酸化膜14の上部に下部電極層16をスパッタリング法により形成する(図1(2))。下部電極層16の電極材料には、白金(Pt)を用い、厚さ100〜150nmとした。下部電極層16を形成した基板を600℃に加熱し、アルゴンガス(Ar)に10容積%の酸素ガスを混合した混合ガスを供給した雰囲気中で、入力電力2.4W/cmの条件下で、BSTターゲットをスパッタリングすることにより所定の膜厚のBST薄膜18を成膜した(図1(3))。成膜圧力は、1〜4Pa、成膜速度は0.7nm/分である。成膜したBST薄膜18の組成を蛍光X線分析法により分析したところ、ほぼ化学量論的組成であったことが確認された。次に、BST薄膜の上に上部電極層20をスパッタリング法により形成した(図1(4))。上部電極の電極材料には、白金(Pt)を用い、厚さ100〜150nmに形成した。
上記の手順に従って薄膜誘電体素子を形成して、まず誘電体薄膜の組成による比誘電率の変化を検討した。ここで誘電体薄膜の組成式を(Ba1−x,SrTiOとしたときのxとaを表1の実施例1及び比較例1〜3に示す組成となるように成膜を行った。膜厚は60〜87nmとした。薄膜誘電体素子について、比誘電率、誘電損失、印加電圧100kV/cmのときのリーク電流密度の評価を行った。結果を同じく表1に示す。
Figure 2006128643
比較例1〜3と実施例1とを比較すると、膜厚の相違は小さいものの、実施例1の比誘電率は特に大きい。比較例1〜3を例とするxが0.50以下の組成のBST薄膜の比誘電率が223以下であるのに対して、実施例1を例とするxが0.5<x≦0.7のBST薄膜の比誘電率は少なくとも250を超える値を示し、xが0.50を境にして比誘電率の急激な上昇変化が見られた。一方、誘電損失と電流密度はBST薄膜の組成に大きな依存性を見出せず、実用上問題のない値であった。表1から、実施例1を例とするxが0.5<x≦0.7の組成において高い比誘電率が得られ、且つ低リーク電流密度であった。
次にBST薄膜組成のxを0.55、aを1.01に固定し且つ表2に示す実施例1〜5及び比較例4〜5に示す膜厚にして、各種物性の膜厚依存性を検討した。実施例1よりも膜厚が小さい例として比較例4及び実施例2、実施例1よりも膜厚が大きい例として実施例3〜5及び比較例5とした。結果を同じく表2に示す。
Figure 2006128643
表2によると、膜厚が40nmを超えて200nm以下の範囲で比誘電率は250を超え高い比誘電率を示した。さらに膜厚が40nmを超えて170nm以下の範囲で比誘電率はおおむね300±10%を維持していて、膜厚依存性が少ない。これは薄膜のコンデンサの容量の増減を膜厚の増減だけで管理できることであり、製造上、大きなメリットとなる。一方、膜厚が40nmを超えて200nm以下の範囲で誘電損失及びリーク電流密度は膜厚の増加とともに微減傾向が見られたがいずれの膜厚においても実用上問題のない値であった。表2から、x=0.55の最適組成において、膜厚が40nmを超えて200nm以下の範囲で比誘電率は高く且つ低リーク電流密度であり、さらに、膜厚が40nmを超えて170nm以下の範囲で比誘電率はおおむね300±10%の高比誘電率を確保しており、且つ低リーク電流密度であった。
上記実施例においては、アニール処理を施さなかったが、スパッタリングで成長させた誘電体薄膜はペロブスカイト型構造を有していた。
次にBST薄膜組成のxを0.55、aを1.01に固定し且つ表3の実施例1、実施例6〜8及び比較例6〜8に示す膜厚に成膜するとともに、基板温度による各種物性の依存性を検討した。結果を同じく表3に示す。
Figure 2006128643
表3によると、実施例1及び実施例6〜8によれば、基板温度が高くなるほど比誘電率が高まることがわかる。このとき、誘電損失及びリーク電流密度はいずれも実用上問題のない値であった。一方、基板温度が550℃未満と低い比較例6及び比較例7では、リーク電流密度は実用上問題のない値であったが、比誘電率が200以下と低く、両方を良好に両立することができなかった。また、基板温度が820℃と高い比較例8では、比誘電率が高かったものの、リーク電流密度が6.6×10−5A/cmと大きく、両方を良好に両立することができなかった。
本発明の誘電体薄膜及び薄膜誘電体素子並びにその製造方法は、単層型又は積層型キャパシタ製造に適用できる。
本発明の薄膜誘電体素子の製造方法の一形態を説明する概念図である。
符号の説明
12 Si基板
14 熱酸化膜
16 下部電極層
18 誘電体薄膜としてのBST薄膜
20 上部電極層

Claims (6)

  1. 膜厚が40nmを超えて200nm以下のチタン酸バリウムストロンチウムからなる誘電体薄膜であって、組成式を(Ba1−x,SrTiOと表記したときのxが0.5<x≦0.7でaが1.0≦a≦1.2を満たす組成を有し、且つ比誘電率が250を超えてリーク電流密度が1.0×10−5A/cm以下であることを特徴とする誘電体薄膜。
  2. 基板上に、下部電極層、請求項1記載の誘電体薄膜、上部電極層の順に形成した積層構造を有するか、或いは基板上に形成した下部電極層と上部電極層との間に請求項1記載の誘電体薄膜を複数層設け且つ該誘電体薄膜間に内部電極層を設けた積層構造を有することを特徴とする薄膜誘電体素子。
  3. 基板上に形成した下部電極層上に、膜厚が40nmを超えて200nm以下で、組成式を(Ba1−x,SrTiOと表記したときのxが0.5<x≦0.7でaが1.0≦a≦1.2を満たし、且つ比誘電率が250を超えてリーク電流密度が1.0×10−5A/cm以下のチタン酸バリウムストロンチウムからなる誘電体薄膜を気相法により形成する工程と前記誘電体薄膜の上に電極層を形成する工程を含むことを特徴とする薄膜誘電体素子の製造方法。
  4. 前記誘電体薄膜をスパッタリング法により形成することを特徴とする請求項3記載の薄膜誘電体素子の製造方法。
  5. 前記誘電体薄膜を形成するときに基板温度を550℃以上800℃以下とすることを特徴とする請求項3又は4記載の薄膜誘電体素子の製造方法。
  6. 前記誘電体薄膜の成膜速度を2nm/分以下とすることを特徴とする請求項3、4又は5記載の薄膜誘電体素子の製造方法。
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