JP2006125461A - 動圧軸受の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 スラスト面の超音波加工による焼結軸受素材の変形が抑えられるとともに、スラスト側およびラジアル側の双方の動圧凹所を所望の形状通りに形成することができる動圧軸受の製造方法を提供する。
【解決手段】 密度を6.6〜7.4Mg/mに調整した円筒状の焼結軸受素材1Aのスパイラル溝(スラスト動圧凹所)12を形成する上端面11に、超音波加工を施してこの上端面11を上記密度よりも緻密化させた後、この上端面11にスパイラル溝12を形成し、次いで、焼結軸受素材1Aの内周面14に分離溝15および円弧面(ラジアル動圧凹所)16を形成する。
【選択図】 図4

Description

本発明は、潤滑油等の潤滑用流体に動圧を発生させて高い軸受剛性を得ることのできる動圧軸受の製造方法に係り、特に、焼結軸受であって、高い寸法精度を有し、かつ、スラスト動圧凹所とラジアル動圧凹所の双方を、所望の形状通りに高い精度で形成するための製造方法に関する。本発明で得られる動圧軸受は、記録ディスク駆動装置等に備えられるスピンドルモータの軸受として好適である。
上記スピンドルモータは、磁気ディスクあるいはCD−ROM、DVD−ROM等の光ディスクを駆動してこれらディスクに情報の読み書きを行うディスク駆動装置や、レーザビームプリンタ等の各種情報機器に、駆動源として広く用いられている。この種のスピンドルモータの軸受としてはボールベアリングが多用されていたが、回転精度、高速性、静音性といった面で限界があり、これらの特性に優れた軸受として、非接触タイプの動圧軸受が用いられるようになってきた。
動圧軸受とは、軸と軸受との間の微小隙間に潤滑油による油膜を形成し、その油膜を、軸が回転することにより高圧化させて軸を高い剛性をもって支持する軸受であり、その動圧は、軸または軸受のいずれか一方に形成される主に溝からなる凹所によって効果的に発生する。スピンドルモータ用の軸受は、スラストおよびラジアル双方の荷重を受ける構造となっており、動圧発生用の上記凹所を軸受に形成する場合には、スラスト荷重を受ける軸受の端面(スラスト面)と、ラジアル荷重を受ける軸受の内周面(ラジアル面)とに、それぞれ形成される。そして、このような動圧軸受としては、潤滑油を含有して自己補給することができるとともに、動圧発生用の上記凹所を形成し易く、しかも、量産性に優れることなどの理由から、焼結軸受が好ましく用いられる。
焼結軸受は、金属粉末を圧縮成形した圧粉体を加熱して得られるものであるため、気孔が分散したポーラス体であり、気孔に潤滑油を充填した含油状態で使用される。潤滑油は、焼結軸受からしみ出して、上記のように軸との間の微小隙間に油膜を形成し、動圧凹所内に流入する潤滑油が、軸の回転に応じて高圧化し、高い軸受剛性をもって軸を支持するようになされている。このような動圧凹所は、焼結軸受素材に対する塑性加工によって形成されている。
ところで、スピンドルモータの軸受にあっては、通常、ラジアル荷重がスラスト荷重よりも大きいため、ラジアル面よりもスラスト面側の動圧を大きく設定する場合がある。スラスト面の動圧を大きくするには、その面の気孔を潰して緻密化させ、潤滑油の漏出、すなわち動圧のリークを防止して油圧が確保されようにすればよく、この構造は、摩擦抵抗の低減や耐久性の向上にも寄与するので好ましい。スラスト面の封孔処理手段としては、超音波加工を施してスラスト面を封孔処理することが、特許文献1,2等により知られており、この方法では、短時間で効果的に封孔処理を施すことが可能であるとされている。
特開平8−33260号公報 特開平11−51055号公報
上記の超音波加工は、例えば、一端面がスラスト面とされる焼結軸受の場合、その反対側の端面を硬質な台に当てて載せ、上方から一端面に超音波振動体を押し当てながら超音波振動を与えるといった方法が採られる。ところがこの方法では、軸方向に応力を受けることから、焼結軸受素材の内周面の両端部が内側に僅かではあるがせり出してしまう変形が生じ、このため、寸法精度の高い動圧軸受を得にくいといった不具合が起こる。このような不具合は、焼結軸受素材の密度を上げて硬さを高く設定することで解消できると考えられるが、その場合には、ラジアル面へのラジアル動圧凹所の形成を塑性加工により形成し難くなるといった新たな問題が生じる。
焼結軸受素材の密度は、6.5Mg/m程度が一般的であり、この密度では、上記のように、ラジアル動圧凹所は形成し易い反面、スラスト動圧凹所は硬さが不足気味なためシャープに形成し難い傾向にあり、また、超音波加工後にスラスト動圧凹所を形成するには、超音波加工によって軸孔両端部の径が僅かに収縮する変形が起こる。そして、密度を高くし過ぎると、超音波加工による影響は少なくなって変形は抑えられるが、逆にラジアル動圧凹所は硬いことにより形成し難いわけである。
よって本発明は、スラスト面の超音波加工による焼結軸受素材の変形が抑えられるとともに、スラスト側およびラジアル側の双方の動圧凹所を所望の形状通りに形成することができる動圧軸受の製造方法を提供することを目的としている。
本発明は、密度を6.6〜7.4Mg/mに調整した円筒状の焼結軸受素材の、スラスト動圧凹所を形成する端面に、超音波加工を施して該端面を前記密度よりも緻密化させた後、この端面にスラスト動圧凹所を形成し、次いで、焼結軸受素材の軸孔内周面に、ラジアル動圧凹所を形成することを特徴としている。
本発明で用いる焼結軸受素材は、密度が通常よりも高い6.6〜7.4Mg/mに調整されているため、通常のものよりも硬さや剛性が高められている。このため、スラスト動圧を発生させる端面(スラスト面)に、軸方向に応力を負荷しながら超音波加工を施しても、両端の内周面が内側にせり出す変形を抑えることができ、その結果、寸法精度の高い動圧軸受を得ることができる。超音波加工によってスラスト面は封孔処理が施されることにより、大きなスラスト荷重を受けるスピンドルモータ用の動圧軸受として好適となり、また、緻密化されたスラスト面に形成されるスラスト動圧凹所は、シャープに形成されて所望通りの形状を得ることができる。
上記スラスト動圧凹所を形成した後に、焼結軸受素材の内周面にラジアル動圧凹所を形成するが、本発明では、焼結軸受素材の密度は通常よりも高く調整されてはいるものの、塑性加工が困難であるレベルまで高過ぎるものではない。このため、ラジアル動圧凹所を、凸条を形成したピンを用いてピン通しする、または凸条を形成したコアを用いて再圧して転写する等の手段で、所望通りの形状に形成することができる。また、このような手段でラジアル動圧凹所を形成するとラジアル動圧部の気孔率を低いものとすることができるので、油圧が確保されやすく、高いラジアル動圧を得やすい。
本発明のスラスト動圧凹所は、スラスト動圧が効果的に得られる形状が望ましく、例えば、端面の一周方向に向かうにしたがってその内周側に湾曲しながら延びる複数のスパイラル溝、または、V字状で頂点に収束する方向が前記端面の一周方向に沿って配列された複数のヘリングボーン溝が挙げられる。
また、本発明のラジアル動圧凹所は、ラジアル動圧が効果的に得られる形状が望ましく、例えば、焼結軸受素材の外径と非同心で、かつ、焼結軸受素材の一周方向に向かうにしたがって内周側に縮径していく複数の円弧面が挙げられる。
本発明の焼結軸受素材は、上記各動圧凹所を加工し易く、また、加工精度と強度の両立が図られることから、鉄:40〜60wt%、銅:40〜60wt%、錫:1〜5wt%を含有するものが好適な成分とされる。
本発明の動圧軸受によれば、スラストおよびラジアルの動圧凹所を形成する焼結軸受素材の密度を6.6〜7.4Mg/mに規定し、スラスト面を超音波加工して緻密化させてからスラスト動圧凹所を形成し、この後、焼結軸受素材の内周面にラジアル動圧凹所を形成するため、スラスト面の超音波加工による焼結軸受素材の変形が抑えられて高い寸法精度を得ることができるとともに、スラスト側およびラジアル側の双方の動圧凹所を所望の形状通りに形成することができるといった効果を奏する。
以下、図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。
図1は、一実施形態の製造方法によって製造された円筒状の動圧軸受1を示しており、図2はその上面図、図3は図1のIII−III線矢視断面図である。これら図1および図3における符号2は、動圧軸受1によって回転自在に支持される軸である。
動圧軸受1の一端面(図1で上端面)11には、図2に示すように、軸2の回転方向Rに向かうにしたがって内周側に湾曲しながら延びる複数(この場合12本)のスパイラル溝12が、周方向に等間隔をおいて形成されている。これらスパイラル溝12の外周側の端部は外周面に開口しているが、内周側の端部は軸孔13の内周面14に開口しておらず閉塞している。動圧軸受1の上端面11は、軸2からスラスト荷重を受けるスラスト面であり、スパイラル溝12は、スラスト動圧発生用のスラスト動圧凹所である。
一方、動圧軸受1の内周面14には、図3に示すように、断面が半円弧状で、両端面間にわたり軸方向に沿って真っ直ぐに延びる複数(この場合5つ)の分離溝15が、周方向に等間隔をおいて形成されている。そして、内周面14の各分離溝15の間には、動圧軸受1の外径の軸心Pに対して偏心し、軸2の回転方向Rに向かうにしたがって内周側に縮径していく形状の円弧面16が形成されている。動圧軸受1の内周面14は、軸2からラジアル荷重を受けるラジアル面であり、円弧面16は、ラジアル動圧発生用のラジアル動圧凹所である。
上記各円弧面16は動圧軸受1の外径と非同心であり、各円弧面16の中心は、軸心Pの周囲に、この軸心Pと同心的で周方向に等間隔をおいて存在する。このような円弧面16の形状により、円弧面16と軸2の外周面との間の微小隙間は、軸2の回転方向に向かうにしたがってしだいに狭小となる断面クサビ状に形成される。
動圧軸受1は、原料粉末を圧縮成形した成形体を焼結した焼結軸受であり、以下にその製造方法を説明する。
(1)原料粉末の成形〜焼結
例えば、適宜な組成の鉄−銅系の合金粉末か、もしくは鉄粉と銅粉を適宜な組成で混合した混合粉末を、粉末成形用の金型内に充填して圧縮成形し、製造する動圧軸受1に近似した形状の圧粉体を得る。なお、用いる原料粉末としては、鉄:40〜60wt%、銅:40〜60wt%、錫:1〜5wt%といった組成のように、鉄粉と銅粉がほぼ同量であって、他に数wt%の錫粉を含有するものが、次の理由で好ましく用いられる。
すなわち、加工性の良好な銅を主成分とする焼結材の特性に加えて、鉄量を多く含有することにより強度が向上し、さらに、錫を含有することにより、軸2に対するなじみ性と塑性加工性がより向上する。このため、塑性加工によって分離溝15、円弧面16およびスパイラル溝12を形成することが容易となり、しかも、摩擦係数が低減して耐摩耗性が向上する。
次に、圧粉体を、原料粉末に応じた温度および時間で加熱して焼結し、円筒状の焼結軸受素材を得る。焼結軸受素材は、本実施形態では密度を6.6〜7.4Mg/mに調整し、そのために、原料粉末の圧縮成形時の圧力および焼結時の温度等を制御する。
(2)焼結軸受素材の加工
a.上端面(スラスト面)の超音波加工
図4に示す超音波加工装置4を用いて、焼結軸受素材1Aのスラスト面である上記上端面11に超音波加工を施し、その面を封孔処理する。超音波加工装置4は、基台となる超鋼製のダイス41、図示せぬ昇降装置によって昇降自在に支持された超音波を発する振動子42、円錐状で、軸方向が鉛直方向に一致し、かつ、大径側が上側に配され、その大径側の端面が振動子42に取り付けられたホーン43と、ホーン43の下端面に固定された円盤状の工具44とから構成されている。
この装置4を用い、まず、工具44の直下に当たるダイス41の表面に、軸方向を上下方向とした焼結軸受素材1Aを載置する。次いで、振動子42を下降させて、工具44を焼結軸受素材1Aの上端面11に当接させ、さらに押圧する状態とし、続いて、振動子42を稼働させる。すると、ホーン43が軸方向に高周波振動する超音波を発し、この超音波が、工具44から焼結軸受素材1Aに伝わる。これにより工具44が当接する焼結軸受素材1Aの上端面11に繰り返し衝撃が与えられ、その上端面11は、高速かつ短振幅の繰り返しの振動で小刻みな加工が加えられ、肉の塑性流動が生じ、表面に露出する気孔が封孔される。
この超音波加工において、焼結軸受素材1Aを工具44で押圧する押圧力、高周波振動の出力および周波数は、適切な封孔処理がなされる範囲で適宜に選択される。例えば、押圧力は70〜700kPa、高周波振動の出力および周波数は、それぞれ50〜2000W、10〜50kHzで行われ、これらの条件により、1〜5秒程度の処理時間で封孔は十分になされ、鏡面仕上げが施された状態にすることも可能である。
b.上端面(スラスト面)へのスパイラル溝の形成
図5に示すように、ダイス51、上下のパンチ52,53およびコアロッド54を備えたサイジングまたはコイニング用の再圧金型5に、上記aの工程を経た焼結軸受素材1Aを図示するようにセットし、上下のパンチ52,53で焼結軸受素材1Aを軸方向に再圧し、その再圧と同時に、封孔処理した上端面11に、スパイラル溝12を形成する。この場合、上パンチ52のパンチ面に、スパイラル溝12を形成し得る複数の凸部52aが形成されており、この雄型のパンチ面を焼結軸受素材1Aの上端面11に打撃して凸部52aを刻印することにより、スパイラル溝12が形成される。
c.内周面(ラジアル面)への分離溝および円弧面の形成
図6は、上下のダイス61,62、雄型ピン63を備えた内周面加工装置6を示しており、この装置6により、固定状態の下ダイス62上に上ダイス61を載置し、上ダイス61内に、上記bの工程を経た焼結軸受素材1Aを嵌入してセットする。そして、焼結軸受素材1Aの軸孔13に、分離溝15および円弧面16を形成し得る雄型ピン63を上から圧入することによって、内周面14に分離溝15および円弧面16を形成する。
この後、焼結軸受素材1Aから雄型ピン63を抜き、上ダイス61から焼結軸受素材1Aを抜いて、上端面11にスパイラル溝12が形成され、内周面14に分離溝15および円弧面16が形成された動圧軸受1を得る。
以上のようにして得られた動圧軸受1は、例えば、図7に示すハードディスク駆動装置用のスピンドルモータに用いられる動圧軸受ユニット3の軸受として用いられる。この動圧軸受ユニット3は、軸2を回転自在に支持するものであって、図中上方に開口する有底円筒状のハウジング31内に、スパイラル溝12が形成された面(上端面11)を上側に配して収容される。
ハウジング31は、円筒体32と、この円筒体32の下側の開口内周縁に、かしめ、あるいは溶接、接着等の手段で固着されてこの開口を塞ぐ円盤状のプレート33とから構成されている。動圧軸受1は、円筒体32内に圧入するか、もしくは嵌め込んだ状態を溶接、接着等の手段によって、ハウジング31内に固着される。
軸2は、軸本体21にスラストワッシャ22が嵌合、固着されたもので、軸本体21が動圧軸受1の軸孔13に図中上から挿入され、スラストワッシャ22が、動圧軸受1の、スパイラル溝12が形成されている上端面11に対向して配置される。軸2のラジアル荷重は動圧軸受1の内周面14で受けられ、軸2のスラスト荷重は動圧軸受1の上端面11で受けられる。動圧軸受1の内周面14と軸本体21との間と、動圧軸受1の上端面11とスラストワッシャ22との間には、潤滑油が供給される微小隙間が形成される。この動圧軸受ユニット3にあっては、軸本体21のスラストワッシャ22よりも上方部分に、ロータハブを介して記録磁気ディスクが搭載される。
ハウジング31の開口端部には、環状の板材からなるカバー部材34が固着されている。このカバー部材34によって、上記潤滑油の飛散が抑えられるともに、浮上する軸2のスラストワッシャ22がカバー部材34に当接して軸2の抜け止めがなされる。
上記動圧軸受ユニット3によれば、動圧軸受1に潤滑油が含浸されて含油軸受とされる。そして、軸孔13に挿入された軸2が、図2および図3に示す矢印R方向に回転すると、内周面14の各分離溝15にしみ出して貯留する潤滑油が、効率よく軸2に巻き込まれて円弧面16と軸2との間のクサビ状の微小隙間に侵入し、油膜を形成する。この微小隙間に入っていく潤滑油は、微小隙間の狭小側に流動することにより、クサビ効果が生じて高圧となり、高いラジアル動圧が発生する。このように油膜が高圧化する部分は、円弧面16に応じて周方向に等間隔をおいて発生し、これによって軸2のラジアル荷重は、バランスよく、かつ高い剛性をもって支持される。
一方、潤滑油は、動圧軸受1の上端面11に形成されたスパイラル溝12内にもしみ出して貯留され、この潤滑油の一部は、軸2の回転によってスパイラル溝12内から出て、上端面11とスラストワッシャ22との間に油膜を形成する。また、スパイラル溝12内に保持される潤滑油は、スパイラル溝12内の外周側から内周側に向かって流動し、内周側の端部で最も高圧化するスラスト動圧が発生する。そして、そのスラスト動圧をスラストワッシャ22が受けることにより、軸2が僅かに浮上した状態となり、これによってスラスト荷重がバランスよく、かつ高い剛性をもって支持される。
さて、上記の動圧軸受1の製造方法によれば、加工前の焼結軸受素材1Aの密度が通常よりも高い6.6〜7.4Mg/mに調整されているため、その焼結軸受素材1Aは、通常のものよりも硬さや剛性が高められている。このため、スラスト動圧を発生させる上端面11に、軸方向に応力を負荷しながら超音波加工を施しても、内周面14の両端部が内側にせり出す変形を抑えることができ、その結果、動圧軸受1は寸法精度の高いものとなる。
また、超音波加工によって上端面11が封孔処理が施されることにより、大きなスラスト荷重を受けるスピンドルモータ用の軸受として好適となり、また、緻密化された上端面11に形成されるスパイラル溝12は、シャープに形成されて所望通りの形状を得ることができる。
次に、スパイラル溝12を形成した後に、焼結軸受素材1Aの内周面14に分離溝15および円弧面16を形成するが、焼結軸受素材1Aの密度は通常よりも高く調整されてはいるものの、塑性加工が困難であるレベルまで高過ぎるものではないため、分離溝15および円弧面16を、所望通りの形状に形成することができる。また、内周面14は、密度が通常よりも高いことから比較的硬いので、分離溝15および円弧面16もシャープに形成することができるとともに、比較的気孔率が低いので、油圧が確保されやすく、高いラジアル動圧を得やすい。
なお、スラスト動圧凹所としては、図2に示したスパイラル溝12の他に、図8に示す複数のヘリングボーン溝17も好適に採用される。このヘリングボーン溝17は、V字状であって、その頂点に収束する方向が、軸2の回転方向Rに沿って形成されており、周方向に等間隔をおいて配列されている。個々のヘリングボーン溝17は、全体形状が、軸2の回転方向Rに向かうにしたがって内周側に湾曲した形状とされており、上記スパイラル溝12と同様に、外周側の端部は外周面に開口しているが、内周側の端部は軸孔13の内周面14に開口している。
次に、本発明の実施例を説明し、本発明の効果を明らかにする。
原料粉末として、銅粉:49質量%、鉄粉:49質量%および錫粉:2質量%の混合粉末を用いて、成形圧力を変えて圧縮成形を行い、得られた圧粉体を焼結して密度が6.5〜7.6Mg/mの焼結軸受素材を8種作製した。そして、これら焼結軸受素材に対し、上記実施形態に記載の方法によって、比較のための1種を除き一端面を超音波加工によって封孔処理し、次いで、この一端面に図2に示したものと同様のスパイラル溝を12本形成し、さらに、内周面に図2に示したものと同様の分離溝および円弧面をそれぞれ5つ形成して、表1に示す試料番号1〜8の動圧軸受を得た。この場合、試料番号5が超音波加工を施さない試料である。
Figure 2006125461
ところで、再圧後の軸受の内径寸法は、上端部で大きく下端部で小さくなる傾向があり、この差が大きいと、ラジアル動圧が下端部で大きく、上端部で小さくなって、軸の振れが増加することとなる。そこで、試料番号1〜8の動圧軸受について、軸受上端部、中央部、下端部の内径寸法を測定し、これらの寸法の最大値と最小値の差を円筒度として評価した。すなわち、円筒度が小さいものほど上下端面の寸法差が小さく、ラジアル動圧が均一となって軸の振れが抑えられることとなる。この円筒度を、表1に併記した。
表1より、焼結軸受素材の密度が高くなるにつれて内径の円筒度は徐々に大きくなり、焼結軸受素材の密度が7.4Mg/mを超えると急激に増大していることが判る。よって円筒度の点から、焼結軸受素材の密度は7.4Mg/m以下、好ましくは7.0Mg/m以下とする必要があること判った。
さらに、表1の試料番号1,2,4,5,7の試料について、スパイラル溝の形成面の面粗さを周方向に沿って測定した。その結果を図9に示す。図9より、同じ焼結軸受素材密度であって、超音波加工の有無が異なる試料番号4(図9(c))と試料番号5(図9(d))の動圧軸受を比較すると、超音波加工を施した試料番号4の動圧軸受は、超音波加工により端面の気孔が目潰しされて面粗さが小さくなっていることから、動圧の漏れ防止に有効であることが判る。また、スパイラル溝のエッジがはっきりしており、所望の動圧が得られることが判る。
一方、超音波加工を施さない試料番号5の動圧軸受では、面粗さが局所的に大きい箇所が多数存在する、すなわち気孔が残留していることから、動圧の漏れが発生するものであることが判る。また、スパイラル溝のエッジが不明瞭となっており、発生する動圧効果も小さいことが判る。以上より、軸受端面にスパイラル溝を形成する前に超音波加工を施して端面の封孔処理を行うことの効果が確認された。
図9より、焼結素材の密度が6.6Mg/mに満たない試料番号1の試料(図9(a))の動圧軸受は、超音波加工を施したにもかかわらず、面粗さが局所的に大きい箇所が多数存在し、したがって、気孔が残留していること、およびスパイラル溝のエッジが不明瞭となっていることが判る。これは焼結素材の密度が低い、すなわち焼結軸受素材の気孔量が多過ぎるため、超音波加工を施しても気孔の目潰しが十分ではなかったためと考えられる。
一方、焼結素材の密度が6.6Mg/m以上の試料番号2(図9(b))、試料番号4(図9(c))、試料番号7(図9(e))では、面粗さが小さく、すなわち気孔が目潰しされており、スパイラル溝のエッジがはっきりしていることが判る。よって、焼結軸受素材の密度は6.6Mg/m以上とする必要があることが判った。
以上より、焼結軸受素材の端面にスラスト動圧凹所を形成する前に、焼結軸受素材の端面に超音波加工を施すことの効果および、その場合において、焼結軸受素材の密度は、6.6〜7.4Mg/m、好ましくは6.6〜7.0Mg/mがよいことが確認された。
本発明の一実施形態の動圧軸受の縦断面図である。 一実施形態の動圧軸受の上面図である。 図1のIII−III線矢視断面図である。 超音波加工装置によって焼結軸受素材の上端面に超音波加工を施している状態を示す側面図である。 再圧用金型によって焼結軸受素材の上端面にスパイラル溝を形成している状態を示す側面図である。 内周面加工装置により焼結軸受素材の内周面に分離溝および円弧面を形成している状態を示す側面図である。 一実施形態の動圧軸受を用いた軸受ユニットの縦断面図である。 スラスト動圧凹所の別形態(ヘリングボーン溝)を示す動圧軸受の上面図である。 実施例で行ったスパイラル溝の形成面の面粗さを周方向に沿って測定した結果を示す図である。
符号の説明
1…動圧軸受、1A…焼結軸受素材、12…スパイラル溝(スラスト動圧凹所)、
11…上端面、13…軸孔、14…内周面、16…円弧面(ラジアル動圧凹所)。

Claims (4)

  1. 密度を6.6〜7.4Mg/mに調整した円筒状の焼結軸受素材の、スラスト動圧凹所を形成する端面に、超音波加工を施して該端面を前記密度よりも緻密化させた後、この端面にスラスト動圧凹所を形成し、次いで、焼結軸受素材の軸孔内周面に、ラジアル動圧凹所を形成することを特徴とする動圧軸受の製造方法。
  2. 前記スラスト動圧凹所は、前記端面の一周方向に向かうにしたがってその内周側に湾曲しながら延びる複数のスパイラル溝、または、V字状で頂点に収束する方向が前記端面の一周方向に沿って配列された複数のヘリングボーン溝であることを特徴とする請求項1に記載の動圧軸受の製造方法。
  3. 前記ラジアル動圧凹所は、前記焼結軸受素材の外径と非同心で、かつ、前記一周方向に向かうにしたがって内周側に縮径していく複数の円弧面であることを特徴とする請求項1に記載の動圧軸受の製造方法。
  4. 前記焼結軸受素材は、鉄:40〜60wt%、銅:40〜60wt%、錫:1〜5wt%を含有する焼結合金であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の動圧軸受の製造方法。
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