JP3784690B2 - 動圧型多孔質含油軸受およびその製造方法 - Google Patents

動圧型多孔質含油軸受およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、焼結金属等の多孔質体からなる軸受本体に潤滑油あるいは潤滑グリースを含浸させて自己潤滑機能を持たせると共に、動圧溝の動圧作用によって形成される潤滑油膜で軸の摺動面を非接触支持する動圧型多孔質含油軸受に関し、特にレーザビームプリンタ(LBP)のポリゴンミラー用や磁気ディスクドライブ(HDD等)用のスピンドルモータなど、高速下で高回転精度が要求される機器や、DVD−ROM用のスピンドルモータのように、ディスクが載ることによって大きなアンバランス荷重が作用し高速で駆動する機器などの軸受に好適である。
【0002】
【従来の技術】
上記のような情報機器関連の小型スピンドルモータでは、回転性能のより一層の向上と低コスト化が求められており、そのための手段として、スピンドルの軸受部を転がり軸受から多孔質含油軸受に置き換えることが検討されている。しかし、多孔質含油軸受は、真円軸受の一種であるため、軸の偏心が小さいところでは、不安定振動が発生しやすく、回転速度の1/2の速度で振れ回るいわゆるホワールが発生しやすい欠点がある。そこで、軸受面にヘリングボーン形やスパイラル形などの動圧溝を設け、軸の回転に伴う動圧溝の作用によって軸受隙間に潤滑油膜を形成させて軸を非接触支持することが従来より試みられている(動圧型多孔質含油軸受)。
【0003】
多孔質含油軸受の軸受面に動圧溝を形成した従来技術としては、実用新案公告昭和63年19627号に記載のものがある。同号記載の技術は、軸受面における動圧溝の形成領域に表面目つぶし加工を施して、動圧溝の形成領域を封孔したものである。また、軸受面における動圧溝の成形方法として、黄銅やアルミ合金などの軟質金属からなる軸受素材よりも硬質の複数個のボールを円周等間隔に配列保持した軸状の治具を軸受素材の内周面に挿入し、治具の回転と送りによってボールに螺旋運動を与えながら、ボールを素材内周面に加圧して動圧溝の形成領域を塑性加工する方法が知られている(特許2541208号)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
実用新案公告昭和63年19627号に記載された構成では、次のような問題点が生じる。まず、動圧溝の形成領域が完全に封孔されているので、その領域では多孔質含油軸受の最大の特徴である油の循環が阻害される。従って、一旦軸受隙間に滲み出した油は動圧溝の作用によって軸受面の軸方向中央部に押し込まれ、そこにとどまることになる。軸受隙間内では大きな剪断作用が働いているので、その剪断力と摩擦熱によって軸受隙間内にとどまった油は変性しやすく、また、温度上昇によって酸化劣化が早まる傾向にある。従って、軸受寿命が短くなる。つぎに、表面目つぶし加工を施す他の手段として塑性加工の他、コーティング等を挙げているが、コーティング被膜の厚さは溝深さよりも薄くする必要があり、数μmのコーティング被膜を動圧溝の形成領域にのみ施すのは極めて困難である。
【0005】
また、特許2541208号に記載された方法では、成形時に動圧溝に隣接する領域で素材隆起が起こるので、これを旋盤やリーマで除去加工する必要がある(特許公開平成8年232958号)。そのため、製造工数が多くなる。さらに、軸受素材をチャックで固定する必要があるため、チャック力によって軸受面が変形したり、外周面との同軸度に狂いが生じたりする。
【0006】
本発明の目的は、傾斜状の動圧溝を有する軸受面の成形加工を少ない工数で、かつ、精度良く行うことができる製造方法を提供すると共に、軸受本体の内部と軸受隙間との間の適切な油の循環を確保し、軸受隙間内の油の劣化を抑制して軸受寿命を向上させることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、軸受本体の内周に傾斜状の動圧溝を有する軸受面が形成された動圧型多孔質含油軸受を製造するための方法であって、上記動圧溝の領域を成形するための複数の凸部分を有する成形型を、銅または鉄、あるいは、その両者を主成分とし、銅を20〜95重量%含有する焼結金属からなる多孔質素材の内周面に所定の内径すきまを設けて挿入し上記多孔質素材を上記成形型と伴に下降させて、上記多孔質素材の外周面を所定の外径しめしろでダイに圧入すると共に、上パンチと下パンチによって上下方向から加圧して、上記多孔質素材に圧迫力を加え、上記多孔質素材の内周面を上記外径しめしろと内径すきまとの差に略等しい加圧量で上記成形型に加圧することにより、該内周面に上記動圧溝を塑性加工により成形する工程を含む構成を提供する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0010】
図1は、本発明の製造方法によって製造した動圧型多孔質含油軸受の一形態を例示している。この多孔質含油軸受1は、例えば、図2に示すようなレーザビームプリンタのスキャナモータにおいて、ロータ2とステータとの間の例磁力によって高速回転するスピンドル軸4をハウジング5に対して回転自在に非接触支持するものである。
【0011】
多孔質含油軸受1は、多孔質の軸受本体1aと、潤滑油又は潤滑グリースの含浸によって軸受本体1aの細孔内に保有された油とで構成される。軸受本体1aは、例えば銅又は鉄、あるいはその両者を主成分とする焼結金属で形成され、望ましくは銅を20〜95重量%含有し、密度が6.4〜7.2g/cm3 となるように形成される。軸受本体1aの材質として、鋳鉄、合成樹脂、セラミックスなどを焼結または発泡成形し、多数の細孔を有する多孔質体としたものを用いても良い。
【0012】
軸受本体1aの内周面には、支持すべき軸の外周面と軸受隙間を介して対向する軸受面1bが形成され、その軸受面1bに傾斜状の動圧溝1cが形成されている。この実施形態における軸受面1bは、軸方向に対して一方に傾斜した複数の動圧溝1cを円周方向に配列した第1領域m1と、第1領域m1から軸方向に離隔し、軸方向に対して他方に傾斜した複数の動圧溝1cを円周方向に配列した第2領域m2と、第1領域m1と第2領域m2との間に位置する環状の平滑領域nとで構成される。第1領域m1の背(動圧溝1c間の領域)1dと第2領域m2の背(動圧溝1c間の領域)1dは、それぞれ平滑領域nに連続している。第1領域m1の動圧溝1cと第2領域m2の動圧溝1cとは、軸受面1bの軸方向中心線に対して左右対称になっている。軸受面1bには、動圧溝1cの形成領域を含む全領域にわたって表面開孔が分布しており、主に軸受面1bの表面開孔を介して、軸受本体1aの内部と軸受隙間との間で油を循環させて、軸の外周面を軸受面1bに対して非接触支持する構成になっている。例えば、表面開孔率は、第1領域m1および第2領域m2において5〜40%の範囲、望ましくは5〜20%の範囲に設定し、平滑領域nにおいて2〜30%の範囲、望ましくは2〜10%の範囲に設定することができる。また、平滑領域nの表面開孔率は、第1領域m1および第2領域m2の表面開孔率よりも小さくすることができる。ここで、「表面開孔」とは、多孔質体組織の細孔が外表面に開口した部分をいい、「表面開孔率」とは、外表面の単位面積内に占める表面開孔の面積割合をいう。
【0013】
軸受本体1aと軸との間に相対回転が生じると、第1領域m1と第2領域m2にそれぞれ逆向きに傾斜形成された動圧溝1cによって、軸受隙間内の油が平滑領域nに向けて引き込まれ、油が平滑領域nに集められるため、平滑領域nにおける油膜圧力が高められる。そのため、潤滑油膜の形成効果が高い。しかも、背1dに加え、平滑領域nも軸を支持する支持面になるので、支持面積が拡大し、軸受剛性が高められる。平滑領域nの軸方向幅の比率rは、軸受幅を1とした場合、r=0.1〜0.6の範囲、望ましくは、r=0.2〜0.4の範囲に設定するのが良い。尚、動圧溝1cは軸方向に対して傾斜した形状であれば良く、例えば図3に示すような軸方向の連続形状でも良いし(この場合、環状の平滑領域は有しない。)、あるいは、スパイラル形状でも良い。
【0014】
図4は、上記構成の多孔質含油軸受1で軸4を支持する際における、軸方向断面での油Oの流れを示している。軸4の回転に伴い、軸受本体1aの内部の細孔内に保有された油Oが軸受面1bの軸方向両側及びチャンファー部付近から軸受隙間に滲み出し、さらに動圧溝によって軸受隙間の軸方向中央に向けて引き込まれる。その油Oの引き込み作用(動圧作用)によって軸受隙間に介在する油膜の圧力が高められ、潤滑油膜が形成される。この軸受隙間に形成される潤滑油膜(動圧溝の動圧作用によって形成される潤滑油膜)によって、軸4はホワール等の不安定振動を生じることなく、軸受面1bに対して非接触支持される。軸受隙間に滲み出した油Oは、軸4の回転に伴う発生圧力により、主に軸受面1bの表面開孔から軸受本体1aの内部に戻り、軸受本体1aの内部を循環して、再び軸受面1b及びチャンファー部付近から軸受隙間に滲み出す。
【0015】
図1に示す多孔質含油軸受1の軸受本体1aは、例えば銅又は鉄、あるいはその両者を主成分とする金属粉末を圧縮成形し、さらに焼成して得られた図12に示すような円筒形状の焼結金属素材1’に対して、例えばサイジング→回転サイジング→軸受面成形加工を施して製造することができる。
【0016】
サイジング工程は、焼結金属素材1’の外周面と内周面のサイジングを行う工程で、焼結金属素材1’の外周面を円筒状のダイに圧入すると共に、内周面にサイジングピン(断面円形)を圧入する。回転サイジング工程は、断面略多角形のサイジングピン(断面円形のピンの外周面を部分的に平坦加工して、円周等配位置に円弧部分を残したもの)を焼結金属素材1’の内周面に圧入し、これを回転させながら内周面のサイジングを行う工程である。軸受面成形工程は、上記のようなサイジング加工を施した焼結金属素材1’の内周面に、完成品1aの軸受面1bに対応した形状の成形型を加圧することによって、軸受面1bの動圧溝1cの形成領域とそれ以外の領域(背1dおよび環状の平滑領域n)とを同時成形する工程である。この工程は、例えば以下のようなものである。
【0017】
図5は、軸受面成形工程で使用する成形装置の概略構造を例示している。この装置は、焼結金属素材1’の外周面を圧入する円筒状のダイ20、焼結金属素材1’の内周面を成形するコアロッド21、焼結金属素材1’の両端面を上下方向から押さえる上下のパンチ22、23を主要な要素として構成される。図5(b)に示すように、コアロッド21の外周面には、完成品の軸受面1bの形状に対応した凹凸状の成形型21aが設けられている。成形型21aの凸部分21a1は軸受面1bにおける動圧溝1cの領域を成形し、凹部分21a2は動圧溝1c以外の領域(背1dおよび環状の平滑領域n)を成形するものである。成形型21aにおける凸部分21a1と凹部分21a2との段差(深さH)は、軸受面1bにおける動圧溝1cの深さと同程度(例えば2〜5μm程度)で微小なものであるが、図面ではかなり誇張して図示されている。
【0018】
ダイ20への圧入前の状態において、焼結金属素材1’の内周面とコアロッド21の成形型21a(凸部分21a1を基準)との間には内径すきまTがある。内径すきまT(直径量)の大きさは例えば50μmである。焼結金属素材1’の外周面のダイ20に対する圧入代(外径しめしろS:直径量)は例えば150μmである。
【0019】
焼結金属素材1’をダイ20の上面に位置合わせして配置した後、図6に示すように、上パンチ22およびコアロッド21を降下させ、焼結金属素材1’をダイ20に圧入し、さらに下パンチ23に押し付けて上下方向から加圧する。
【0020】
焼結金属素材1’はダイ20と上下パンチ22・23から圧迫力を受けて変形を起こし、内周面がコアロッド21の成形型21aに加圧される。内周面の加圧量は、外径しめしろSと内径すきまTとの差に略等しく、内周面から所定深さまでの表層部分がコアロッド21の成形型21aに加圧され、塑性流動を起こして成形型21aに食い付く。これにより、成形型21aの形状が焼結金属素材1’の内周面に転写され、軸受面1bが図1に示す形状および寸法に成形される(同時に焼結金属素材1’の外周面もサイジングされる。)。
【0021】
軸受面1bの成形が完了した後、図9に示すように、焼結金属素材1’にコアロッド21を挿入したままの状態で下パンチ23とコアロッド21を連動して上昇させ(図9▲2▼の状態)、焼結金属素材1’をダイ20から抜く(図9▲3▼の状態)。焼結金属素材1’をダイ20から抜くと、焼結金属素材1’にスプリングバックが生じ、その内径寸法が拡大するので(図7参照)、動圧溝1cを崩すことなく、焼結金属素材1’の内周面からコアロッド21を抜き取ることができる(図9▲4▼の状態)。これにより、軸受本体1aが完成する。尚、通常の真円軸受(軸受面に動圧溝を有しない焼結含油軸受)の製造工程では、図8に示すように、軸受面(内周面)のサイジングを行った後、焼結金属素材1”をダイ20’に圧入したままの状態で、サイジングピン21’{断面円形:図5(b)に示すような成形型21aは有しない。)を上昇させて焼結金属素材1”の内周面から抜き、その後、下パンチ23’で焼結金属素材1”を押し上げてダイ20’から取出すようにしている。この手順を、傾斜状の動圧溝を有する軸受面の成形に用いると、サイジングピン(コアロッド)を焼結金属素材の内周面から抜き取る際に、動圧溝の形状を崩してしまう。
【0022】
図10に、内径φ3、外径φ6、幅3mmの焼結金属素材1’に対して、上述した軸受面成形工程を行った時の、内径すきまTおよび外径しめしろSとスプリングバック量との関係を示す。同図に示すように、内径すきまTおよび外径しめしろSとスプリングバック量との間には一定の相関関係があり、内径すきまTと外径しめしろSを特定すれば、その時のスプリングバック量も特定されることが理解できる。実験によれば、所定の深さH(2μm〜3μm:成形される動圧溝1cの深さと略等しい。)において、スプリングバック量を4〜5μm(直径量)程度に設定すれば、動圧溝1cを崩すことなく焼結金属素材1’をコアロッド21から抜き取ることができたので、この程度のスプリングバック量が得られるよう内径すきまTと外径しめしろSとを設定するのが望ましい。尚、焼結金属素材1’のスプリングバック量の半径量が深さHよりも大きい場合は、成形型21aを焼結金属素材1’の内周面に干渉させることなく離型することができるが、焼結金属素材1’のスプリングバック量の半径量が深さHよりも小さく、成形型21aが焼結金属素材1’の内周面に多少干渉する場合であっても、焼結金属素材1’の材料弾性による拡径量(半径量)を付加して、動圧溝1cを崩すことなく成形型21aを焼結金属素材1’の内周面から離型できれば良い。従って、上記の実験結果に基づく寸法設定は一例であり、これによって本発明が限定的に解釈されるものではない。
【0023】
なお、軸受面1bの成形工程が完了した後、軸受面1bを通常のサイジングピン(断面円形)を用いてサイジングしてもよい。この場合、軸受面1bにおける背1dおよび平滑領域nがサイジングピンによってサイジングされることにより、それら領域の表面開孔率は動圧溝1cの形成領域の表面開孔率よりも小さくなる。また、軸受面の成形工程において、成形型によって動圧溝の形成領域のみを成形し、その後、動圧溝の形成領域以外の領域をサイジング(断面円形のサイジングピンを使用)または回転サイジング(断面円形のピンの外周面を部分的に平坦加工して、円周等配位置に円弧部分を残したサイジングピンを使用)によって仕上げることも可能である。
【0024】
以上のような工程を経て軸受本体1aを製造し、これに潤滑油又は潤滑グリースを含浸させて油を保有させると、図1に示す形態の動圧型多孔質含油軸受1が完成する。
【0025】
真円軸受(軸受面に動圧溝を有しない焼結含油軸受)と上記方法によって製造した動圧型多孔質含油軸受(焼結含油軸受)を用いて軸振れ性能の比較実験を行った。実験は、図13に示すようなCD−ROM実機モータに試験軸受を組み込み、市販のCDを実装して、回転数に対する軸振れを測定したものである。その結果を図11に示す。同図からも真円軸受に比べ、実施形態の動圧型多孔質含油軸受が軸振れの抑制に有効であることが理解できる。
【0026】
上記の実施形態は、焼結金属素材1’に対して軸受面成形を行うものであるが、この他にフォーミング工程において軸受面成形を行うこともできる。フォーミングは、外型の内側に内型となるフォーミングピンを挿入し、内型と外型の間に粉末材料を充填した後、軸方向に加圧圧縮して円筒状に成形する工程である。このフォーミング工程において、フォーミングピンの外周面に図5(b)に示すような成形型を形成しておくことによって、フォーミングと同時に成形品(圧縮成形体)の内周面に図1に示すような形状の軸受面を成形することができる。また、加圧圧縮後、圧縮成形力を除去すれば成形品(圧縮成形体)のスプリングバックを利用して成形品(圧縮成形体)をフォーミングピンから抜くことができ、この時に軸受面の形状が崩れることもない。粉末材料は金属粉末材料で、例えば銅又は鉄、あるいはその両者を主成分とするものである。フォーミング後の成形品は、焼成した後、サイジング工程、油の含浸工程等を経て製品化される。
【0027】
以上の説明では、多孔質素材又は圧縮成形体のスプリングバックを利用して軸受面の成形型を離型する場合を例示しているが、その他に、成形型を弾性的に縮拡径可能な構造とし(例えば成形型をスリットによる分割構造とする。)、軸受面の成形後、成形型を弾性的に縮径させて離型するようにしても良い。また、軸受面の形状(動圧溝の形状)に応じて、成形型の形状を変えることによって、種々の形状の軸受面を同様にして成形することができる。さらに、1つの軸受本体の内周面に複数の軸受面を軸方向に離隔して形成する場合も、外周面に複数の成形型を軸方向に離隔して形成したコアロッドやフォーミングピンを用いることによって、複数の軸受面を同時成形することができる。
【0028】
【発明の効果】
本発明によれば、動圧溝の領域を成形するための複数の凸部分を有する成形型を孔質素材の内周面に加圧して、該内周面に動圧溝を塑性加工により成形するので、傾斜状の動圧溝を有する軸受面の成形加工を少ない工数で、かつ、精度良く行うことができると共に、軸受本体の内部と軸受隙間との間の適切な油の循環を確保し、軸受隙間内の油の劣化を抑制して軸受寿命を向上させることができる。
【0029】
本発明の製造方法によって製造された動圧型多孔質含油軸受は、軸受面の成形精度が高く、しかも、動圧溝の形成領域を含む軸受面の全領域に表面開孔が分布し、軸受本体の内部と軸受隙間との間の適切な油の循環が確保されるので、潤滑油膜の形成効果が高く、良好かつ安定した軸受機能を有すると同時に、高い耐久寿命を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の製造方法によって製造された動圧型多孔質含油軸受の一形態を示す縦断面図である。
【図2】多孔質含油軸受を組み込んだモータを概念的に示す縦断面図である。
【図3】動圧型多孔質含油軸受の他の実施形態を示す縦断面図である。
【図4】動圧型多孔質含油軸受で軸を非接触支持する際の、軸方向断面での油の流れを模式的に示す図である。
【図5】図5(a)は軸受面の成形加工に使用する成形装置の概略を示す縦断面図、図5(b)は軸受面を成形する成形型を示す側面図である。
【図6】軸受面の成形工程を示す図である。
【図7】軸受面の成形工程を示す図である。
【図8】従来の真円軸受における軸受面の成形工程を示す図である。
【図9】実施形態の軸受面の成形工程を示す図である。
【図10】内径すきま及び外径すきまとスプリングバック量との関係を示す図である。
【図11】従来の真円軸受と実施形態の動圧型多孔質含油軸受を使用した場合の、軸振れを比較試験した結果を示す図である。
【図12】焼結金属素材を示す縦断面図である。
【図13】軸振れの比較試験に使用した実験装置を概念的に示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 動圧型多孔質含油軸受
1a 軸受本体
1b 軸受面
1c 動圧溝
21a 成形型

Claims (2)

  1. 軸受本体の内周に傾斜状の動圧溝を有する軸受面が形成された動圧型多孔質含油軸受を製造するための方法であって、
    上記動圧溝の領域を成形するための複数の凸部分を有する成形型を、銅または鉄、あるいは、その両者を主成分とし、銅を20〜95重量%含有する焼結金属からなる多孔質素材の内周面に所定の内径すきまを設けて挿入し
    上記多孔質素材を上記成形型と伴に下降させて、上記多孔質素材の外周面を所定の外径しめしろでダイに圧入すると共に、上パンチと下パンチによって上下方向から加圧して、上記多孔質素材に圧迫力を加え、上記多孔質素材の内周面を上記外径しめしろと内径すきまとの差に略等しい加圧量で上記成形型に加圧することにより、該内周面に上記動圧溝を塑性加工により成形する工程を含むことを特徴とする動圧型多孔質含油軸受の製造方法。
  2. 請求項1に記載の製造方法によって製造された動圧型多孔質含油軸受。
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