本発明の第一の液体充填容器は、袋の前側と後ろ側を構成する対向する一対の平面部と、折ひだ状に袋の内方に折り込まれた折り線を備えるように形成された2つの側面部とを有する筒状の袋本体部と、該袋本体部の下端側に設けられた注出入口と、該袋本体部の上端側(上端付近)に設けられたジッパー部とを備え、前記ジッパー部を構成する一対の係合片が、両方とも前側又は後ろ側の平面部のうち同じ面の上端側に、該平面部の横断方向にそれらの長手方向を合わせて配置され、且つ、ジッパー部の長さが、袋本体を折り畳んで平面部と側面部を重ね合わせた時に側面部と重ならない部分の平面部の幅よりも長いことを特徴とする。
また、本発明の第二の液体充填容器は、袋の前側と後ろ側を構成する対向する一対の平面部と、折ひだ状に袋の内方に折り込まれた折り線を備えるように形成された2つの側面部とを有する筒状の袋本体部と、該袋本体部の下端側に設けられた注出入口と、該袋本体部の上端側(上端付近)に設けられたジッパー部とを備え、前記側面部の少なくとも一方は、上端部側の途中で停止され、前記ジッパー部を構成する一対の係合片は、前記側面部の停止位置よりも上端側の位置で、その一方を前側の平面部及び他方を後ろ側の平面部に互いに向き合わせ、それらの長手方向を平面部の横断方向に合わせて配置され、且つ、ジッパー部の長さが、袋本体を折り畳んで平面部と側面部を重ね合わせた時に側面部と重ならない部分の平面部の幅よりも長いことを特徴とする。
また、本発明の第3の液体充填容器は、袋の前側と後ろ側を構成する対向する一対の平面部と、折ひだ状に袋の内方に折り込まれた折り線を備えるように形成された2つの側面部とを有する筒状の袋本体部と、該袋本体部の下端側に設けられた注出入口と、該袋本体部の上端側(上端付近)に設けられたジッパー部とを備え、前記一対の平面部のうち一方の平面部の内面と、当該一方の平面部の内面と対向する前記2つの側面部の内面とが、袋本体部の上端側の少なくとも一部において平面部の幅方向を横断するように接合され、前記ジッパー部を構成する一対の係合片は、前記一方の平面部と2つの側面部とが接合した領域の、他方の平面部の内面と、当該他方の平面部の内面と対向する一方の平面部の内面及び少なくとも一方の側面部の内面とに、互いに向き合わせ、それらの長手方向を平面部の横断方向に合わせて配置されており、ジッパー部の長さが、袋本体を折り畳んで平面部と側面部を重ね合わせた時に側面部と重ならない部分の平面部の幅よりも長いことを特徴とする。
本発明の第一、第二及び第三の液体充填容器は、ジッパー部の長さが、袋本体をその実質的な厚さがなくなるように(いわゆるぺしゃんこ状態となるように)折り畳んで平面部と内方に折り込まれた側面部とを重ね合わせた時に、側面部と重ならない部分の平面部の幅よりも長く、容器本体部の幅方向に対してジッパー部の開口幅が広いため、容器内への水や薬液等の注入や、水と内容物との混合等の作業がしやすい。また、これらの作業後はジッパーにより開口部を再封することができるため、埃や菌等の異物が容器内に混入すること、或いは、内容物が漏れることを防止することができる。
まず、本発明の第一の液体充填容器について、図1〜図9を用いて説明する。図1は本発明の第一の液体充填容器の一形態例を示す図、図2は平面部2に接続されるジッパー部の構成例を示す図、図3及び図4は引裂き容易手段のつまみ部の構成例を示す図である。また、図5は、図1に示す液体充填容器の一部を切断した図であり、図6は、図5の注出入口形成部材の拡大図であって、6Aは正面図、6Bは側面図である。さらに、図8は、注出入口形成部材の口部と経腸栄養チューブとを連結する連結器の構成例を示す図である。
尚、ここでは、容器の内容物として経腸栄養食を中心に本発明の容器を説明するが、本発明の容器は経腸栄養食に限定されず、その他流動性のある食品等を充填するための容器として用いることができ、特に、経腸栄養食又はレトルト食品を充填する容器として好適である。
図1に示すように、容器101は、前側と後ろ側を構成する対向する一対の平面部2,2と、折ひだ状に袋の内方に折り込まれた折り線3aを備えるように形成された2つの側面部3,3とを有する筒状の袋本体部1と、袋本体部1の下端側に設けられた注出入口4と、袋本体部1の上端側に設けられたジッパー部5とを備える。
袋本体部1は、平面部2,2の側縁2a,2aと側面部3,3の側縁3b,3bとがシールされていると共に、袋本体部1の上端は、内方に折り込まれた側面部3,3を平面部2,2の側縁2a,2aで挟み込むようにして平面部2,2の上端縁2c,2cがシールされ、袋の上部が閉塞されている。また、袋本体部1の下端は、内方に折り込まれた側面部3,3を平面部2,2の両側の側縁2a,2aで挟み込むように、且つ、注出入口4を形成する部材(注出入口形成部材)6を平面部2,2の下端縁2d,2dで若しくは平面部2の下端縁2dと側面部3の下端縁3dとで挟み込んだ状態で、平面部2,2の下端縁2d,2d及び側面部3,3の下端縁3d,3dがシールされ、袋の下部が閉塞されている。
袋本体部1は、側面部3,3が設けられた両サイドガセット袋型であるため、容量が大きく、また、袋本体が筒状に広がるので、容量のわりにコンパクトである。また、側面部3,3の幅と袋本体1を構成する平面部2,2の幅並びに高さとの関係によっては、自立性を有するため、移送性や作業性に優れるものである。自立性の観点から、内容物を充填し、略直方体となった容器の寸法としては、高さ:幅:奥行き(側面部の幅)=1〜3.5:1:0.25〜1であることが好ましく、特に高さ:幅:奥行き=1:1:1であることが好ましい。
また、容量のわりに包材フィルムの使用量が少ないために、廃棄物量が少なく、環境にも優しいものである。
袋本体部1を構成する一対の平面部2,2及び2つの側面部3,3は、包材フィルムにより形成される。包材フィルムとしては、特に限定されず、一般的に各種液体充填容器に用いられているフィルムを用いることができ、通常、プラスチックを主体とする積層フィルムが用いられる。積層フィルムの層構成としては、例えば、外側から順に、基材層、中間層、ヒートシール層が積層した構成とすることができる。
基材層は、引張り強度、衝撃強度、耐擦傷性などの通常の用途において必要とされる総合的な機械的強度を有すると共に、ヒートシールする際の加熱に対する耐熱性などが必要である。また、必要に応じて、耐溶剤性、耐薬品性のほか、印刷適性やガスバリア性等の性能も要求される。基材層は、このような性能を有していれば、単層構造でも、複数の層が積層した多層構造であってもよく、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の延伸ポリエステルフィルム、延伸ポリプロピレン(OPP)、高密度ポリエチレン(HDPE)等の延伸ポリオレフィンフィルム、延伸ナイロン(ONY)、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)等の延伸フィルム及びこれらの延伸フィルムを積層したものを用いることができる。これらの延伸フィルムのガスバリア性や防湿性等を向上させるために、アルミニウム(Al)等の金属や酸化アルミニウム、酸化ケイ素等の無機酸化物を蒸着させたものや、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)やポリアクリル酸系樹脂等をコーティング(バリアコート)したものも用いることができる。
本発明の液体充填容器を、内容物である経腸栄養食を沸点近い温度に加熱した状態で容器に高温充填し、容器密閉後、高温、例えば110℃以上の温度で加熱殺菌(レトルト殺菌)する容器(レトルトパウチ)として用いる場合には、特に耐熱性に優れるPET、蒸着PET(VMPET)、PVDCやポリアクリル酸系樹脂等をコーティングしたバリアコートPET等を用いることが好ましい。
基材層の厚さは特に限定されず、適宜設定すればよいが、通常、12〜20μm程度の範囲内とすることが好ましい。
中間層は、積層フィルムの機械的強度、防湿性、ガスバリア性、或いは、容器を開封する際のフィルムの引き裂き性等を向上させるために設けられるものであり、目的に応じて、適宜選択すればよい。また、中間層を設ける必要がない場合には設けなくてもよい。中間層は、単層構造でも、複数の層が積層した多層構造であってもよく、例えば、PET、OPP、HDPE、ONY、EVOH、ポリビニルアルコール、PVDC等のプラスチックや、Al箔、合金箔等の金属箔等を用いることができる。中間層として金属箔や印刷層を用いた場合や層間を接着する接着剤に顔料を加えた場合には、光遮断性を付与することができる。また、上記プラスチックフィルムにAlや、酸化ケイ素、酸化アルミニウム等を蒸着させたものも使用できる。
容器開封時のフィルムの引裂き性を向上させるためには、中間層に用いる延伸フィルムの延伸方向と容器の開封方向と一致させることによって、フィルムの引裂きの方向を安定化させることができる。
本発明の液体充填容器をレトルトパウチとして用いる場合には、中間層として、蒸着PET、ONY、蒸着ONY、Al箔等の耐熱性を有するものを使用することが好ましい。
中間層の厚さは特に限定されず、適宜設定すればよいが、通常、6〜25μm程度の範囲内とすることが好ましい。
尚、中間層を基材層に積層する方法は、通常、中間層はフィルム状で供給されるので、公知のドライラミネーション法により積層することができる。
ヒートシール層は、積層フィルムの最内層に積層されるものであり、積層フィルムを用いて容器を成形する際に、重ね合わせた積層フィルムの内面同士が熱と圧力によって充分に接着し、また、注出入口を形成する注出入口形成部材6と積層フィルム、ジッパーの基部と積層フィルムを接着することができる接着性が必要である。さらに、内容物である経腸栄養食と直接接触するため、衛生性及び経腸栄養食に対する耐性も要求される。
ヒートシール層は、単層構造であっても多層構造であってもよく、例えば、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、未延伸ポリプロピレン(CPP)、低密度ポリエチレン(LDPE)、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)等を用いることができる。本発明の容器をレトルトパウチとして用いる場合には、ヒートシール層として、CPPや耐熱性を有するPE(例えば、LLDPE等)等、耐熱性を有するものを使用することが好ましい。
ヒートシール層の厚さは特に限定されず、適宜設定すればよいが、通常、60〜120μm程度の範囲内とすることが好ましい。
ヒートシール層を積層する方法は、上記のような樹脂を予めフィルム状に製膜しておいて、基材層のフィルム、或いは基材層に中間層を積層したフィルムの中間層に、ドライラミネーション法で貼り合わせて積層できるほか、ヒートシール層を形成する樹脂を押し出しコートして積層することもできる。
積層フィルムの具体例としては、以下のようなものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記例示において符号「#」は該当する層の厚さ(単位:μm)を表す。
具体例:基材層〔酸化アルミVMPET#12〕/中間層〔ONY#15〕/ヒートシール層〔CPP#100〕;基材層〔酸化ケイ素VMPET#12〕/中間層〔ONY#15〕/ヒートシール層〔LLDPE#100〕;基材層〔PVDCバリアコートPET#12〕/中間層〔ONY#15〕/ヒートシール層〔CPP#100〕;基材層〔ポリアクリル酸系樹脂バリアコートPET#12〕/中間層〔ONY#15〕/ヒートシール層〔CPP#100〕;基材層〔PET#12〕/中間層〔アルミ箔#9/ONY#10〕/ヒートシール層〔CPP#100〕
袋本体部1を構成する一対の平面部2,2及び2つ側面部3,3に用いられる積層フィルムは、同じであってもよいし、それぞれ異なっていてもよい。内容物である経腸栄養食の変質防止の観点から、袋本体部1の大部分を遮光性を有するフィルムで形成すると共に、内容物の残量や状態が容器の外側からでも確認できるように、袋本体部1を構成する面のうち、少なくとも1つの面又は面の一部には、透明性又は半透明性の積層フィルムを用いることが好ましい。例えば、平面部2,2に遮光性を有している積層フィルム、側面部3,3には透明性或いは半透明性の積層フィルムを用いた構成が挙げられる。透明性を有している積層フィルムとしては、基材層〔PVDCバリアコートPET#12〕/中間層〔ONY#15〕/ヒートシール層〔CPP#100〕;基材層〔ポリアクリル酸系樹脂バリアコートPET#12〕/中間層〔ONY#15〕/ヒートシール層〔CPP#100〕;等、遮光性を有している積層フィルムとしては、基材層〔PET#12〕/中間層〔アルミ箔#9/ONY#15〕/ヒートシール層〔CPP#100〕等を用いることができる。
ジッパー部5は、図1に示すように袋本体部1の上端側に設けられている。ジッパー部5を構成する係合片は、平面部2の横断方向に係合片の長手方向を合わせて配置されている。
ジッパー部5は、袋本体部1を折り畳んで平面部2,2と側面部3,3を重ね合わせた時に側面部3,3と重ならない部分の平面部2,2の幅よりも長く、ジッパー部5の開口幅が広いものである。
本発明の第一の液体充填容器は、ジッパー部5を構成する一対の雄型部材7及び雌型部材8が、両方とも平面部2,2のうちの一方の側に、設けられていることを特徴とする。 このように、一方の平面部2にのみジッパー部5を構成する雄型部材7及び雌型部材8を接続することによって、雄型部材7と雌型部材8の係合が袋本体を構成する側面部3,3に妨げられることがないため、ジッパー部5の長さを、袋本体をその実質的な厚さがなくなるように(いわゆるぺしゃんこ状態となるように)折り畳んで平面部2,2と内方に折り込まれた側面部3,3とを重ね合わせた時に側面部3,3と重ならない部分の平面部2の幅よりも長くすることが可能となり、ジッパー部5の開口幅を広くすることができる。従って、本発明の液体充填容器は、容器内に水等を注入しやすく、作業性に優れる。しかも、本発明の液体充填容器は、ガゼット袋であるにもかかわらず、ジッパー部を開口させた際に、平袋のように開口部のまとまりがよく、雄型部材7と雌型部材8とを係合しやすいため、ジッパー部の再封が容易にできる。
さらに、袋本体部1の上端側にあるシール部27(内方に折り込まれた側面部3,3を平面部2,2の側縁2a,2aで挟み込むようにして平面部2,2の上端縁2c,2cをシールした部分)を袋本体から切断することなく、袋本体の上端側を開封することが可能であることから、後述する吊り下げ手段を上端シール部27又は上端シール部27よりも上端側の領域のいずれの位置にでも設けることができるという利点もある。
また、容器内に水等を注入するための開口部を再封する部材がジッパー部であるため、成形部品を用いる場合と比較して、容器のコストを削減することも可能である。
ジッパー部5を構成する一対の雄型部材7及び雌型部材8は、互いに係合可能であり、且つ、分離可能なものであれば特に限定されない。例えば、図2に示すような、細長い雄型部材7と雌型部材8とが挙げられる。雄型部材7は、帯状の基部7aと、その表面から突出する突条7bとから構成され、袋本体部1の上部にて一方の平面部2の内面にその長手方向を袋本体部1の左右方向に一致させて接続されている。突条7bは基部7aの短手方向(幅方向)のほぼ中央部分から、他方の平面部2に向けて突出し、基部7aの長手方向に沿って延びている。この突条7bの先端は、その横断面が幅方向に膨らんだアーチ状に形成されている。
一方、雌型部材8は、帯状に形成された基部8aと、この基部8aの表面に形成され、雄型部材7の突条7bが係脱自在に係合する溝部8bとから構成され、雄型部材7の取り付け位置から所定距離だけ上方に離れた位置にて、雄型部材7と平行をなすようにして雄型部材7が接続されている平面部2の内面に接続されている。この雌型部材8の基部8aは幅が広く、当該基部8aの幅方向一端側に形成された溝部8bは雄型部材7の突条7bと対向させるべく位置合わせされ、溝部8bの形成された面と同一面の幅方向他端側が平面部2の内面に接続されている。また、溝部8bは、溝部8bの2つの側壁8c,8cが、基部8aの側端付近にてその長手方向に延びるようにして基部8aの表面から突出して構成されている。この溝部8bの内面は、その横断面の形状が突条7bに合わせたアーチ状に形成されており、雄型部材7に設けられた突条7bの先端がこの溝部8bに円滑かつ確実に係合するように構成されている。
尚、ジッパー部5を構成する雄型部材7と雌型部材8は、図2とは逆の構成、すなわち、雄型部材7は幅の広い基部7aを有し、基部7aが接続する平面部2の内面側に向かって突条7bが設けられており、雌型部材8は雄型部材7と比較して幅の狭い基部8aを有し、基部8aが接続する平面部2とは異なる平面部2の内面に向かって溝部8bが設けられている構成であってもよい。
ジッパー部5の材質は特に限定されないが、平面部2を構成する包材フィルムの内面との接着性の観点から、通常は、包材フィルムである積層フィルムの最内層面を形成するヒートシール層と同じ材質で形成される。例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィンの単層又は積層樹脂等を用いることができる。ジッパー部5は、包材フィルムの内面の所望の位置に、加熱又は高周波等により熱接着することができる。
ジッパー部5の雄型部材7及び雌型部材8のうち、平面部2,2の側縁2a,2a及び側面部3,3の側縁部3b,3bのヒートシール部と重なる側端領域は、予め、平坦化しておくことが好ましい。このように平坦化することによって、ジッパー部5の各部材が接続された平面部2を構成するフィルムを、その他の袋本体構成フィルムとヒートシールする際のヒートシール性がよく、シワやヒビ割れ等が生じにくくなる。
ジッパー部5の雄型部材7及び雌型部材8の側端領域を平坦化する方法としては、例えば、加圧ヘッド又は加熱された加圧ヘッドによって、上記各側端領域をつぶして平坦化する方法がある。或いは、雄型部材7の側端領域の突状7b、雌型部材8の側端領域の溝部8bの側壁をなす部材8cを削り取って平坦化してもよい。
袋本体部の上端側には、ジッパー部5を構成する雄型部材7及び雌型部材8が共に接続された平面部2の雄型部材7と雌型部材8が接続した位置に挟まれた領域を、該平面部2の横断方向に引き裂く引裂き容易手段10を設けることが好ましい。引裂き容易手段10は、開封直前までジッパー部5付近の気密性を確実にし、袋開封時にはジッパー部5が取り付けられている平面部2を雄型部材7側と雌型部材8側とに分離切断するためのものであり、その形状は特に限定されないが、例えば、図3や図4に示すような、細長く形成された帯状部材11で構成されているものを用いることができる。また、帯状の他、糸状のものを用いることもできる。
帯状部材11は、雄型部材7と雌型部材8が共に接続された平面部2を雄型部材7側と雌型部材8側とに分離切断することができれば、平面部2の内面に接続されていても、或いは、雌型部材8の平面部2と対向する面に接続されていてもよい。
例えば、図2では、ジッパー部5を構成する雌型部材8の基部8aの表面において、溝部8bが形成され且つ平面部2の内面と対向している面の、平面部2との接続部分と溝部8bとの間であって、雄型部材7の基部7aと重ならないような領域に、これら両部材7,8と平行をなすように帯状部材11が接続されている。また、帯状部材11は、側縁シール部(平面部2の側縁2aと側面部3の側縁3bとをシールしている部分)において雌型部材8が接続している平面部2と側面部3との間に配置し、且つ、その端部11aを側縁シール部おいて外部へ露出したつまみ部を有している。
帯状部材11は、図2のような形態の他、ジッパー部5を構成する雄型部材7及び雌型部材8が共に接続された平面部2において、雄型部材7の基部7aが接続された部分と、雌型部材8の基部8aが接続された部分との間の領域に、これら両部材7,8と平行をなすように平面部2の内面に接続されていてもよい。この場合も、帯状部材11は側縁シール部において雌型部材8が接続している平面部2と側面部3との間に配置し、且つ、その端部11aを側縁シール部において外部へ露出したつまみ部を有していることが好ましい。
図3は、引裂き容易手段10の帯状部材11の長手方向の端部に形成された引裂き開始部としてのつまみ部12を示している。つまみ部12は、帯状部材11の幅方向の両側を、平面部2の側縁2aから帯状部材11に沿って平面部2に切り込み13,13を入れて形成したものである。上述したように、平面部2,2と側面部3,3とは両者の側縁2a,3b同士がシールされているが、当該つまみ部12の近傍では、このつまみ部12を回避し、その周囲を包囲するようにしてシールされており、つまみ部12は、側面部3の側縁3bとシールされていない状態となっている。これにより、つまみ部12は、その他の平面部2と分離するように指でつまむことが可能に、且つ、ジッパー部5付近の気密性が保持されるよう構成されている。尚、図3及び図4において、平面部2,2の側縁2a,2aと側面部3,3の側縁部3b,3bとのシール部は、便宜上、斜線にて表示している。
容器を上端側で開封する際には、帯状部材11の端部11aごとつまみ部12を指でつまみ、帯状部材11を平面部2の他端側へ、又は平面部2から遠ざかる方向へ引っ張る。すると、帯状部材11が切断手段として機能し、平面部2が帯状部材11に沿って切断され、雄型部材7取り付け側と、雌型部材8取り付け側とに分離され、袋本体を開封することができる。
尚、引裂き容易手段10を設けない場合であっても、上記した引裂き容易手段10が設けられる平面部2の領域をなんらかの方法によって切断すれば、容器上部にて袋本体を開封することができ、形成された開口部をジッパー部5によって再封することもできる。
このように、本発明の第一の液体充填容器においては、袋本体から上端シール部27を切り離さないで、袋本体部1を上端側で開封することができる。従って、吊り下げ手段26を上端シール部27又は上端シール部27よりも上端側の領域に設けても、吊り下げ手段26は袋開封後も袋本体部1に残ることとなるため、吊り下げ手段26の設置可能範囲が広い。
図4に、図3とは別の態様のつまみ部14を示す。帯状部材11の端部11aに対応する平面部2の領域は、周囲が円形状にシールされており、円形状のシール部内側のシールされていない円形領域15には、帯状部材11の端部11aを包囲するように円弧状の切り込み16が設けられている。この切り込み16の内側がつまみ部14である。このつまみ部14もシールされていないため、平面部2の他の部分と分離されるようにめくりあげることができ、つまみ部14の内側にある帯状部材11の端部11aごと指でつまむことができる。容器を上端側で開封するには、つまみ部12の場合と同様に、指で帯状部材11の端部11aごとつまみ部14をつまみ、帯状部材11を平面部2の他端側へ、又は平面部2から遠ざかる方向へ引っ張る。
つまみ部12,14は、平面部2の一方の側端部のみに設けても、両端に設けてもよい。また、ここでは、図3及び図4に示す特開2003−95286に記載のつまみ部を例に説明したが、つまみ部の構成はこれらに限らず、つまみ部と帯状部材をつまんで引っ張ることによって、平面部2の切断を容易にならしめるものであれば、他の構成でもよい。
帯状部材11は、通常、イージーピール性を有するフィルム層(イージーピールフィルム層)と基材層とが積層した構造のものが用いられる。イージーピールフィルムの剥離形式は、特に制限されず、界面剥離、凝集剥離、層間剥離等があるが、シール条件や殺菌条件等によって、使い分ければよい。界面剥離形式のイージーピールフィルムとしては、例えば、ポリエチレン(PE)フィルムからなる支持層とエチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)及び粘着剤を含む接着層とを積層した構造のもの、凝集剥離形式のイージーピールフィルムとしては、例えば、PEフィルム又はポリプロピレン(PP)フィルムからなる支持層と、PP、PE及び必要に応じてその他の材料を含む凝集剥離層とを積層した構造のものが挙げられる。
本発明の容器をレトルトパウチとして用いる場合、イージーピールフィルムの剥離形式としては、凝集剥離や層間剥離が好ましく、特に凝集剥離が好ましい。レトルトパウチ用の凝集剥離形式イージーピールフィルムの構造としては、例えば、耐熱性に優れたPPフィルムからなる支持層と、PP、PE及び必要に応じてその他の材料を含む凝集剥離層とを積層したものが好ましい。イージーピールフィルム層は、その剥離強度が平面部2を構成する包材フィルムの切断強度より低いものを採用する。
帯状部材11の基材層としては、平面部2を構成する包材フィルムを切断することができる強度を有しているもの、例えば、直鎖状低密度ポリエチレン層及びポリエステル層の2層構造、低密度ポリエチレン層、ポリエステル層及び低密度ポリエチレン層の3層構造、直鎖状低密度ポリエチレン層、ポリエステル層及び直鎖状低密度ポリエチレン層の3層構造、超低密度ポリエチレン層、ポリエステル層及び超低密度ポリエチレン層の3層構造等のものが挙げられる。帯状部材11は、単層構造であってもよい。
袋本体部1の下端側には注出入口4が備えられる。注出入口4により、内容物である経腸栄養食を容器外へと取り出す。注出入口4は、場合によっては、経腸栄養食を容器内へ充填する際の充填口としても使用される。注出入口4の設置位置は、内容物が注出しやすいように、容器の使用時における状態等を考慮して適宜設定すればよく、後述するように容器上端側に吊り下げ手段を設ける場合には、この吊り下げ手段によって吊り下げられた時の容器の状態によって適宜設定すればよい。
注出入口4は、注出入口形成部材6で形成されている。注出入口形成部材6は、容器内の経腸栄養食を容器外へと効率良く排出し、且つ、経腸栄養チューブの端部に接続することができるものであれば、その形状は特に限定されない。図5及び図6に示す注出入口形成部材6は、口部17、導管部18、口部17と導管部18との間において左右に張り出した一対の接合部19を有し、導管部18が容器本体の内部で上下方向に延在するように、また、口部17が袋本体部1の外部に突き出るように、接合部19で袋本体部1と接合される。
口部17は、キャップ20によって閉止できるように、キャップ20に設けられたネジ溝20bと係合できるネジ山17bをその外周面に有し、キャップ20と螺合することによって閉止される。口部17には、注出入口形成部材6を容器の製造工程途中で吊るための支持フランジ17c、支持フランジ17cを介して吊り上げた注出入口形成部材6を整列するための整列リブ17d等が設けられていても良い。また、導管部18には、上端フランジ21や、内容物を効率よく充填又は取出するための内容物導出孔22が形成されていてもよい。注出入口形成部材6は、キャップ20により、容器の未開封時における容器内の密封性を確保し、また、容器開封後の注出入口部の再閉止が可能な構造となっている。キャップ20の外表面には、滑り止めとなる縦溝20a等が設けられていてもよい。
注出入口形成部材6は、図5や図6に示した形態のものの他、例えば、図7に示すような、導管部を有していない形態のものを用いることができる。尚、図7Aは正面図、7Bは側面図である。
口部17には、直接又は連結器を介して経腸栄養チューブの端部が接続される。連結器としては、例えば、図8Aに示すような、口部17の外周面に設けられたネジ山17bと係合できるネジ溝24aと、口部17内に連通することができる開口部24bを備えるキャップ形状の基部と、開口部24bから突出する導管部24cとを有する連結器24が挙げられる。連結器24の導管部24cは、経腸栄養チューブの端部に備えられたコネクターと連結することが可能な構造を有している。
連結器としては、図8Bに示すような連結器25も用いることができる。連結器25は、導管部25aの外周面に経腸栄養チューブと強固に連結することができる突起部25bを有している。口部17に経腸栄養チューブを直接接続する場合には、口部17と経腸栄養チューブを強固に接合できるような突起部が外周面に設けられた口部17(図示せず)を用いることができる。
注出入口形成部材6を形成する材質は特に限定されるものではないが、通常、注出入口形成部材6は、その接合部19を平面部2,2若しくは平面部2と側面部3を構成する包材フィルムの開口端に挟んだ状態で、包材フィルム同士の接着と同時に包材フィルム間に接着することによって、袋本体部1に固着されることから、包材フィルムとの接着性を有し、且つ、ヒートシール工程における加熱に対する耐熱性を有する材料によって形成される必要がある。そのため、典型的には、積層フィルムのヒートシール層と同様のプラスチック材料によって形成される。例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン等を用いることができる。本発明の容器をレトルトパウチ用として用いる場合には、ポリプロピレン、ポリエチレン等の耐熱性を有する材料を用いることが好ましい。尚、注出入口形成部材6は、包材フィルムと接合部19にて接着することが可能であれば、プラスチック以外の材料を用いた成形品でもよい。
注出入口形成部材6の口部17は、容器未開封時における経腸栄養食の保存性の観点から、インナーシール部材23によって、封止されていることが好ましい。インナーシール部材23によって封止されている場合、注出入口4から経腸栄養食を注出するためには、まず、キャップ20による閉止を解き、さらに、口部上端面17aからインナーシール部材23を剥がすことによって、口部17を開放した状態とする。
インナーシール部材23は、容器未開封時において、口部17と接着し、容器内の気密性を保持することができれば特に限定されず、例えば、単層又は多層のプラスチックフィルム、金属フィルム、無機蒸着層、紙の層などを任意に含む複合プラスチックフィルム等が挙げられるが、一般的には、プラスチックフィルム、金属フィルム、無機蒸着層或いは、これらを複数積層した積層フィルムからなる基材層と、口部17の先端面17aと接着することが可能なヒートシール層とを有する複合フィルムが用いられる。
ヒートシール層は、単層構造でも複数の層が積層した多層構造であってもよく、また、その材質も特に限定されないが、通常、イージーピールフィルムを用いることが好ましい。イージーピールフィルムの剥離形式は、特に制限されず、界面剥離、凝集剥離、層間剥離等があるが、シール条件、殺菌条件等によって、使い分ければよい。界面剥離形式のイージーピールフィルムとしては、例えば、PEフィルムからなる支持層とEVA及び粘着剤を含む接着層とを積層した構造のもの、凝集剥離形式のイージーピールフィルムとしては、例えば、PEフィルム又はPPフィルムからなる支持層と、PP、PE及び必要に応じてその他の材料を含む凝集剥離層とを積層した構造のものが挙げられる。
本発明の容器をレトルトパウチとして用いる場合、インナーシール部材に用いるイージーピールフィルムの剥離形式としては、凝集剥離や層間剥離が好ましく、特に凝集剥離が好ましい。レトルトパウチ用の凝集剥離形式イージーピールフィルムの構造としては、耐熱性に優れたPPフィルムからなる支持層を用いたものが好ましい。イージーピールフィルムの厚みは特に限定されないが、通常、30〜60μm程度とすることが好ましい。
一方、基材層は、単層構造でも複数の層が積層した多層構造であってもよく、例えば、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、未延伸ポリプロピレン(CPP)、低密度ポリエチレン(LDPE)、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)等の未延伸フィルム層、若しくは、延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)、延伸ポリプロピレン(OPP)、延伸高密度ポリエチレン(HDPE)、延伸ナイロン(ONY)等の延伸フィルム層、又はこれらのフィルム層を積層したものが挙げられる。また、アルミニウム(Al)等の金属や酸化アルミニウム、酸化ケイ素等の無機酸化物を蒸着させたものや、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)やポリアクリル酸系樹脂等をコーティング(バリアコート)したものも用いることができる。本発明の容器をレトルトパウチとして用いる場合には、基材層としてはヒートシール層と同様、耐熱性を有しているOPP等のポリプロピレン系やPET、ONY等を用いることが好ましい。
また、基材層として、高周波手段や超音波手段によって発熱することができるアルミ(Al)等の金属フィルム層や金属蒸着層からなる金属層を設ける場合には、電磁誘導によって金属層を発熱させることによって、インナーシール部材23を口部17に溶着させることができる。また、基材層は、必要に応じてガスバリア性等の機能を付与することができる層を設けることも可能である。
基材層の厚みは、特に限定されないが、通常、12〜60μm程度とすることが好ましい。
インナーシール部材23の具体例としては、以下のようなものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記例示において符号「#」は該当する層の厚さ(単位:μm)を表す。
具体例:基材層〔PET#12/Al#12/ONY#15〕/ヒートシール層〔PP系イージーピールフィルム(凝集剥離層/PPフィルム層)#30〕;基材層〔PET#12/Al#12/ONY#15〕/ヒートシール層〔PE系イージーピールフィルム(凝集剥離層/PEフィルム層)#30〕;基材層〔酸化ケイ素VMPET#12〕/ヒートシール層〔PP系イージーピールフィルム(凝集剥離層/PPフィルム層)#30〕;基材層〔酸化アルミVMPET#12〕/ヒートシール層〔PP系イージーピールフィルム(凝集剥離層/PPフィルム層)#30〕;基材層〔ONY#15〕/ヒートシール層〔PP系イージーピールフィルム(凝集剥離層/PPフィルム層)#30〕;基材層〔PVDCバリアコートPET#12〕/ヒートシール層〔PP系イージーピールフィルム(凝集剥離層/PPフィルム層)#30〕;基材層〔ポリアクリル酸系樹脂バリアコートPET#12〕/ヒートシール層〔PP系イージーピールフィルム(凝集剥離層/PPフィルム層)#30〕
注出入口形成部材6の口部17を閉止するキャップ20は、材料及びその形状に特に限定はなく、適宜選択して用いればよく、通常、PPやPE等のプラスチック成形品が用いられる。
袋本体部1には、ジッパー部5よりも上端側にあるシール部27に、容器を吊り下げることを可能にする吊り下げ手段が設けられていることが好ましい。経腸栄養食は、容器をスタンド等に吊り下げた状態で供給されることが多いからである。吊り下げ手段の構成は、特に限定されず、例えば、図1に示すような上端シール部27を貫通するフック孔26でよい。フック孔26の形状は図1のような円形状に限定されず、三角形でも、四角形でも、その他形状でもよい。
上端シール部27の隅部にフック孔26を設ける場合には、内容物が効率よく、無駄なく注出されるように、容器を吊り下げた際に注出入口4がフック孔26の略真下に位置するように、注出入口4の配置位置を決定しなければならないが、図1のように平面部2,2の幅方向略中央部にフック孔26を設ける場合には、注出入口4も平面部2,2の幅方向略中央部に設ければ、内容物が効率よく、無駄なく注出することができ、且つ、容器の外観上も好ましい。
吊り下げ手段は、上端シール部27よりもさらに上端側の領域に設けることもできる。このとき、該上端シール部27よりも上端側の領域は、一方の平面部2のみを上端シール部27の端部から上方へ延長したものであってもよいし、また、2つの平面部2,2を上端シール部27の端部から上方へ延長したものであってもよい。これらの延長された平面部2は吊り下げ手段を設けることができれば、その形状は特に限定されない。また、2つの平面部2,2を上端シール部27の端部から上方へ延長した構成の場合、これら2つの平面部2,2は互いに内面同士が接合されていてもよいし、接合されていなくてもよい。
次に平面部2,2及び側面3,3が別体の包材フィルムから構成され、これらをヒートシールして袋体を形成し、且つ図3に示した形態のつまみ部12が設けられた液体充填容器101を例に、本発明の第一の液体充填容器の製造方法を説明する。
まず、図9に示すように、一対の平面部2,2を構成する矩形状に裁断された包材フィルム、一対の側面部3,3を構成する矩形状の包材フィルムを用意する。側面部3,3を構成する包材フィルムには、その中央部にフィルムの長手方向に延びている折り線3aを設け、包材フィルムを2つ折りにしておく。
次に、一方の平面部2を構成する包材フィルムの上端縁2cの近傍Aに、ジッパー部5を構成する雄型部材7の基部7aを融着すると共に、この雄型部材7から所定距離離れた位置に雌型部材8の基部8aを接着する。雄型部材7については、包材フィルムの上端縁2cよりやや内側の部分に上端縁2cと平行をなすようその基部7aを接着する一方、雌型部材8については、その基部8aを包材フィルムの上端縁2cと雄型部材7との間で上端縁2c及び雄型部材7と平行をなすようにして接着する。この際、雌型部材8の基部8aは、溝部8bが形成された面と同一面における、溝部8bが形成された幅方向一端と対向する他端において包材フィルムに接着される。これにより、雌型部材8の溝部8bと雄型部材7の突条7bとを対向させる(図2参照)。
上記雌型部材8の基部8aには、溝部8bが形成され且つ平面部2の内面と対向する面における、平面部2との接着部分と溝部8bとの間の、雄型部材7の基部7aと重ならないような領域に引裂き容易手段の帯状部材11が接着されている。この帯状部材11は、平面部2の幅方向に延びるように、且つ、雄型部材7及び雌型部材8と平行をなすようにして接着される。
以上の工程を終了した後、ジッパー部5及び帯状部材11が取り付けられた一方の平面部2を構成する包材フィルム、特に何も取り付けられない他方の平面部2を構成する包材フィルム、及び2つの側面部3,3を構成する包材フィルムをヒートシールして、筒状の袋本体部1を形成する。当該袋本体を形成する工程では、側面部3,3を構成する包材フィルムが袋本体部1の中心側に折り込まれるように折り線3aを袋本体部1の内方に向けた状態に配置され、その両側縁3b、3bが平面部2,2を構成する両包材フィルムの側縁2a,2aと、それぞれヒートシールされる。これにより両平面部2,2が対向し、且つ折り線3aが内方を向くように折り込まれた一対の側面部3,3を有する筒状の袋本体部1が形成される。袋本体部1の上端は、内方に折り込まれた側面部3,3を平面部2,2の側縁2a,2aで挟み込むようにした状態で平面部2,2及び側面部3,3の上端縁がシールされる。また、袋本体部1の下端は、内方に折り込まれた側面部3,3を平面部2,2の両側の側縁2a,2aで挟み込むように、且つ、注出入口4を形成する部材(注出入口形成部材)6を接合部19において、平面部2,2の下端縁2d,2dで若しくは平面部2の下端縁2dと側面部3の下端縁3dとで挟み込んだ状態で、平面部2,2の下端縁2d,2d及び側面部3,3の下端縁3d,3dがシールされる。
なお、包材フィルム同士をヒートシールする際、何も取り付けられていない他方の平面部2と側面部3,3とは、これらの側縁2a,3bに沿って直線的に連続してヒートシールされる。これに対し、ジッパー部5及び帯状部材11が取り付けられた一方の平面部2と側面部3,3とのヒートシールについては、帯状部材11の両端部が位置する部分につまみ部12が形成されるように、帯状部材11の両端部11a,11aを円弧状に回避してヒートシールされる。その結果、帯状部材11の両端部11a,11aはその周囲がヒートシール部により円弧状に包囲される(図3参照)。
次いで、このヒートシール部により円弧状に包囲された領域における平面部2の幅方向両端部が帯状部材11の長手方向にそって所定長さ切り込まれる。この切り込みの入れられた部分が、引裂き開始部としてのつまみ部12となる。
さらに、袋本体部1の上端部のシール部27にフック孔26が設けられる。
以上、一つの液体充填容器を形成する包材フィルムが予め適当な寸法に裁断されたものを使用して筒体を形成する場合について説明したが、例えば、矩形状に裁断された一枚の包材フィルムの側縁同士をヒートシールして、袋本体の背面に背シールの形成された袋体に本発明を適用しても構わない。
内容物である経腸栄養食の充填は、注出入口4から行ってもよいし、袋本体を構成する包材フィルムの上端側の開口端をヒートシールする前に、当該開口端から行ってもよい。注出入口4から行う場合には、ジッパー部5、引裂き容易手段の包材フィルムへの装着、包材フィルムの各周縁部のヒートシール、注出入口形成部材6の装着が済んだ状態、すなわち、経腸栄養食の充填、注出入口形成部材6の口部17の封止のみがなされていない状態で、経腸栄養食を充填する。
一方、袋本体を構成する包材フィルムの上端側の開口端から行う場合には、当該開口端のヒートシール及び経腸栄養食の充填のみがなされていない状態で、経腸栄養食の充填が行われる。このとき、すでに注出形成部材6の口部17は封止された状態である。
液体充填容器101に充填された経腸栄養食を利用者に供給する際の方法について説明する。まず、容器101内に水分や薬液を注入するためには、容器をジッパー部5の開口が上向きとなるような状態にしてから、引裂き容易手段のつまみ部12を帯状部材11の端部とともにつまみ、ジッパー部5が設けられている平面部2を切断する。その後、ジッパー部5の雄型部材7と雌型部材8の係合を解くことによって、開口部を形成し、当該開口部から必要に応じて水分や薬液等を注入する。注入後、直ちにジッパー部の雄型部材7と雌型部材8を係合させて再封することによって、容器内に異物が混入するのを防ぐ。
また、注出入口4から経腸栄養食を注出するためには、まず、注出入口形成部材6の口部17からキャップ20を取り外し、次に口部17の先端面に接着されているインナーシール部材23を剥がす。続いて、開放された口部17に、経腸栄養チューブの端部を接続することで、経腸栄養チューブに経腸栄養食を注入することができる。
次に、本発明の第二の液体充填容器について、図10〜図25を用いて説明する。図10は本発明の第二の液体充填容器の一形態例を示す図、図11は図10に示す液体充填容器を折り畳んだ状態の上端側を示す図、図12は平面部2,2に接続されるジッパー部の構成例を示す図、図13は図10に示す液体充填容器をフック孔で吊り下げた状態を示す図である。また、図14は、フック孔37の形態例を示す図、図15及び図16は、袋本体部の上端側に設けられるフック孔及びジッパー部の構成例を示す図である。
図10に示すように、容器102は、前側と後ろ側を構成する対向する一対の平面部29,29と、折ひだ状に袋の内方に折り込まれた折り線30aを備えるように形成された2つの側面部30,30とを有する筒状の袋本体部28と、袋本体部28の下端側に設けられた注出入口31と、袋本体部1の上端側に設けられたジッパー部32とを備える。
図10に示す液体充填容器102を折り畳んだ状態の上端側の図を図11に示す。図10及び図11に示すように、袋本体部28は、平面部29,29の両側の側縁29a,29aと側面部30,30の側縁30b,30bとがシールされていると共に、袋本体部28の下端は、内方に折り込まれた側面部30,30を平面部29,29の両側の側縁29a,29aで挟み込むように、且つ、注出入口31を形成する部材(注出入口形成部材)33を平面部29,29の下端縁29d,29d若しくは平面部29の下端縁29dと側面部30の下端縁30dで挟み込んだ状態で、平面部29,29の下端縁29d,29d及び側面部30,30の下端縁30d,30dがシールされ、袋の下部が閉塞されている。
一方、袋本体部28の上端側では、内方に折り込まれた側面部30,30が、折り線30aの折り方向とは逆の外方に折り返されており(30A,30A)、袋本体部28の最上端に到達せずに途中(側面部停止位置Q)で停止している。すなわち、液体充填容器102は、側面部停止位置Qから上端側において、側面部を有さない平袋型となっている。
そして、側面部30,30を外方に折り返すことによって生じる開口を封鎖するために、この外方に折り返された側面部30A,30Aの折り返し基点Pよりも下側の位置から袋本体部28の最上端部まで、平面部29,29の側縁29a,29aで折り返した側面部30A,30Aを挟みこむようにして、平面部29,29の側縁29a,29a及び側面部30A,30Aの一部がシール部34aによりシールされている(図11の斜線部分)。また、平面部29,29の上端縁29c,29cがシール部34bによりシールされ、袋の上部が閉塞されている(図11の斜線部分)。
袋本体部28の上端側において、平面部29,29の側縁29a,29a及び折り返し側面部30A,30Aの一部をシール部34aのように、側面部30A,30Aの折り返し基点Pよりも下側の位置から袋本体部28の最上端部までシールすることによって、側面部30,30を折り返すことにより生じた開口を封鎖するとともに、折り返された側面部30A,30Aを袋本体にある程度固定することができる。
尚、シール部34aによって、折り返し側面部30A,30Aを設けることにより生じた開口が封鎖されており、袋本体部28の側縁部は全領域において閉塞されている。そのため、側面部30A,30Aの折り返し基点P及び側面部停止位置Qを結ぶ直線と、シール部34aと、側面部30Aにおける折り線30a’(30aの折方向とは逆に折り返した折り線)とによって囲まれた領域30B(後述する開き面を折り畳んだ部分)は、互いに向き合う面同士をシールすることによって封鎖されていてもよいし、袋本体部28の内部と連通した状態であってもよい。
図11に示す液体充填容器102においては、袋本体部28を構成する側面部30,30の両方が、共に折り線30aの折り方向とは逆の外方に折り返された折り返し部分30A、30Aを有し、袋本体部28の最上端に到達せずに途中で停止しているが、ジッパー部32の開口幅を十分広くとることができれば、一方の側面部30のみが、折り返し部分30Aを有していてもよい。
ジッパー部32は、図11に示すように、側面部の停止位置Qよりも上端側の位置に設けられている。また、ジッパー部32を構成する雄型部材35及び雌型部材36は、それぞれ異なる平面部29,29の内面側に、互いに向き合うように、且つ、平面部29,29の横断方向にそれらの長手方向を合わせて配置されている。ジッパー部32は、袋本体部28をその実質的な厚さがなくなるように(いわゆるぺしゃんこ状態となるように)折り畳んで平面部29,29と内方に折り込まれた側面部30,30とを重ね合わせた時に側面部30,30と重ならない部分の平面部29,29の幅よりも長く、ジッパー部32の開口幅が広いものである。
本発明の第二の液体充填容器は、袋本体部28を構成する側面部30,30の少なくとも一方が袋本体部28の最上端に到達せずに途中(側面部停止位置Q)で停止しており、且つ、この側面部停止位置Qよりも上端側の位置にジッパー部32が設けられていることを特徴とするものである。このように、側面部30,30がジッパー部よりも下端側で停止するような構造にすることによって、ジッパー部32の取り付け位置では、側面部30,30が平面部29,29と重ならないため、異なる平面部29,29に雄型部材35、雌型部材36を配置しても、ジッパー部32の開口幅を広くすることができる。
従って、本発明の液体充填容器は、容器内に水等を注入しやすく、作業性に優れる。しかも、ガゼット袋であるにもかかわらず、ジッパー部32が配置される袋本体の上端部には、側面部30,30がないため、ジッパー部を開口させた際に、平袋並に開口部のまとまりがよく、雄型部材35と雌型部材36とが係合しやすいため、ジッパー部の再封が容易にできる。
また、容器内に水等を注入するための開口部を再封する部材がジッパー部であるため、成形部品を用いる場合と比較して、容器のコストを削減することも可能である。
さらに、袋本体部28は、上記側面部停止位置Qから下端側においては、側面部30,30が設けられた両サイドガセット袋型であるため、容量が大きく、また、袋本体が筒状に広がるので、容量のわりにコンパクトである。また、側面部30,30の幅と袋本体部28を構成する平面部29,29の幅並びに高さとの関係によっては、自立性を有するため、移送性や作業性に優れるものである。
ジッパー部32を構成する一対の係合片は、互いに係合可能であり、且つ、分離可能なものであれば特に限定されず、例えば、図12に示すような、細長い雄型部材35と雌型部材36とが挙げられる。雄型部材35としては、図2に示した雄型部材7と同様な構造を有しているものを用いることができる。一方、雌型部材36としては、図2に示した雌型部材8と同様の溝部36bが形成された基部36aから構成されるものを用いることができる。ただし基部36aは、雌型部材8の基部8aとは異なり、その幅が雄型部材35とほぼ同じであり、溝部36bが基部36aの短手方向(幅方向)のほぼ中央部分にて、基部36aの長手方向に沿って延びるように形成されている。
雄型部材35は、袋本体部28の上部にて、基部35aが一方の平面部29の内面にその長手方向を袋本体部29の左右方向に一致させて接続され、且つ、基部35aに形成された突条35bが他方の平面部29に向けて突出しており、雌型部材36は、基部36aに形成された溝部36bを雄型部材35の突条35bと対向するように位置合わせされて、その基部36aが雄型部材35が接続された平面部29とは異なるもう一方の平面部29の内面に接続されている。
袋本体部28には、ジッパー部32が設けられている位置よりも上端側であり、且つ、上端部のシール部34bよりもジッパー部32側の領域に、一対の平面部29,29の内面同士が接合していない非シール部38が設けられていることが好ましい。このような非シール部38を設けることによって、当該非シール部38に後述するような引裂き容易手段39を設けることが可能となり、フック孔37(吊り下げ手段)の設置位置の自由度が上がる等の利点がある。
液体充填容器には、ジッパー部32よりも上端側の領域に、容器の吊り下げ手段となるフック孔37が設けられていることが好ましい。図10及び図11に示す容器は、袋本体部28の上端側のシール部34の隅部をフック孔37が設けられる程度に広げ、当該広げられたシール部34の隅部にフック孔37が設けられている。フック孔37はシール部34に設けられているため、非シール部38の気密性は保たれている。
図10及び図11に示す液体充填容器102は、ジッパー部32よりも上端側において平面部29,29を共に袋本体幅方向に(線Rに沿って)切断することによって、袋本体部28を上端側で開封し、ジッパー部32の雄型部材35及び雌型部材36の係合を解くことによって開口部を形成することができる。このとき、平面部29,29の切断位置をフック孔37よりも上端側の位置にすることによって、フック孔37が袋本体部28から切断されないようにすることが好ましい。
また、線Rの延長線上にある袋本体部28の側端部には、平面部29,29の切断作業を容易化するための切断容易手段が設けられていることが好ましい。切断容易手段としては、特に限定されず、例えば、袋本体部28の側端からジッパー部32と平行に切り込んだノッチ等が挙げられる。
フック孔37は、例えば、図14に示すような形態とすることも可能である。図14は、液体充填容器の上端側のみを示した図である。図14において、フック孔37は、ジッパー部32より上端側に位置する非シール部38に設けられているが、その周囲が上端シール部34と連続するシール部によって囲まれていることから、未開封時におけるシール部38の気密性を保持するものである。このとき、上端シール部34と連続し、フック孔37の周囲を取り囲むシール部は、ジッパー部32の開口幅を充分広くとることができる範囲内で設けることが好ましい。尚、図14に示す容器は、フック孔37と上端シール部34の間の領域において、平面部29,29を切断することによって開封する。
さらにフック孔37は、ジッパー部32より上端側に設けられている非シール部38の気密性を保持することができるような構成であれば、図15や図16に示すような態様とすることもできる。
図15では、上端シール部34bを袋本体の上下方向に幅広くし、この上端シール部34bにフック孔37が設けられている。フック孔37は上端シール部34bの領域内に設けられているため、非シール部38の気密性は保たれている。このように非シール部38の気密性を保つことによって、未開封時の非シール部38の気密性を保持し、内容物の保存性が高められている。
図15では、さらに、袋本体の上端のシール部34bとジッパー部32との間に設けられた非シール部38を構成する一方の平面部29のみに、引裂き容易手段39が設けられている。この引裂き容易手段39は、ジッパー部32と平行をなすように平面部29の内面に接続された帯状部材からなる。第一の液体充填容器同様、この帯状部材は側縁シール部において当該帯状部材が接続している平面部29と側面部30との間に配置し、且つ、その端部を側縁シール部において外部へ露出したつまみ部を有している。
図15に示す形態の液体充填容器は、この引裂き容易手段39によって、一方の平面部29のみを引き裂くことにより、袋本体部28を上端側において開封することができる。このような構成とすることにより、袋本体部28の上端側にあるシール部34bを袋本体から切断、除去することなく、袋本体の上端側を開封することが可能であることから、フック孔37の配置位置が制限されず、上端のシール部34のいずれの位置にも設けることができる。すなわち、フック孔37を袋本体幅方向の略中央部に設けることが可能である。袋本体部の幅方向略中央に吊り下げ手段を設けることによって、吊り下げ手段によって吊り下げた際の容器の安定性がよく、また、袋本体部の下端側に設けられる注出入口の配置位置が制限されなくなる。
一方、図16では、袋本体の上端のシール部34bとジッパー部32との間に設けられた非シール部38にフック孔37が設けられている。図16に示す液体充填容器は、図10に示す液体充填容器同様、フック孔37が袋本体部28から切断されないようにフック孔37よりも上端側の位置において、平面部29,29を共に袋本体幅方向に(線Rに沿って)切断することによって、袋本体部28を開封することが好ましい。
フック孔37を取り囲む領域40の少なくとも一方の平面部29の内面側には、非シール部38の気密性を保持する手段としてイージーピールフィルムが設けられており、一対の平面部29,29を線Rに沿って切断しジッパー部32を開口させる前には、イージーピールフィルムによって、領域40の平面部29,29は互いに接着し、非シール部38の気密性が保たれている。
このような構成とすることにより、フック孔37の配置位置が制限されず、非シール部38のいずれの位置にも設けることができる。すなわち、フック孔37を袋本体幅方向の略中央部に設けることが可能である。
少なくとも一方の平面部29の領域40の内面側に設けられるイージーピールフィルムとしては、上記した帯状部材やインナーシール材に用いられるイージーピールフィルムと同様の材質、構成からなるものを剥離強度を調節して用いることができる。
図11及び図14の容器は、フック孔37が袋本体の隅部に設けられているため、フック孔37において容器を吊り下げて使用する際には、図13に示すような状態となる(図11の容器の場合)。そのため、注出入口31は吊り下げた際にフック孔37の略真下の位置となるような位置に設けられ、内容物の注出が効率よく、且つ、無駄なく行われるようになっている。
第二の液体充填容器に関するその他の要素、例えば、包材フィルムの構成、注出入口形成部材の構成等については、第一の液体充填容器と同様である。
以下、平面部29,29及び側面30,30が別体の包材フィルムから構成され、これらをヒートシールして袋体を形成し、図11のような折り返し側面部を設けた液体充填容器102の製造方法を説明する。
まず、図17に示されるように袋の前側と後ろ側を構成する対向する一対の平面部29,29と、折ひだ状に袋の内方に折り込まれた折り線30a,30aを備えるように形成された2つの側面部30,30を有する筒状の袋本体部28を用意する。尚、図17は袋本体部28の上端側のみを示しており、袋本体部28の下端は、図10のように、注出入口31を形成する部材(注出入口形成部材)33を平面部29,29の下端縁29d,29d若しくは平面部29の下端縁29dと側面部30の下端縁30dとで挟み込んだ状態で、平面部29,29の下端縁29d,29d及び側面部30,30の下端縁30d,30dがヒートシールされ、袋の下部が閉塞されている。
次いで、図18に示されるように、この袋本体部28の上端部の4隅の位置、すなわち袋本体部28の平面部29,29と側面部30,30の接合部の上端部から、それぞれ、内方へ所定の距離まで切り込み41,41,41,41を入れる。これらの切り込みは、略同一深さとされる。この切り込みは、後述するジッパー部32の取り付け箇所を十分に確保するために行なわれ、側面部30,30の折り込み幅(L1)が袋本体部28の幅(W)の割に小さい場合、例えばL1/W=0.10〜0.13のときに特に有効である。
次いで、図19に示されるように、2つの側面部30,30の折り線30a,30aの任意の一点P,Pをそれぞれ基点とし、該基点P,Pから折り線の端部H,Hまでの折り線30a,30aを、もとの折り方向とは逆の外方に折り曲げて、逆の折り線30a’,30a’となるように引き出しつつ折り込む。この折り込みによって、必然的に、袋本体部28の4隅(この場合、4隅に切り込み41,41,41,41を入れているのでこの切り込みの4つの末端部D)から基点P,Pまでを結ぶ線は、袋の内側に凸となる4つの稜線42として形成される(図20)。
次いで、図21に示されるように、2つの側面部30,30にそれぞれ新たに形成された逆の折り線30a’,30a’の最外点の端部H,H同士を結ぶ直線Kを基線として、一対の平面部29,29を側面部30,30の一部と一緒に外方に折り曲げて、袋の内側が表出した開き面29B,29B,30B,30Bを形成する。この時、ジッパー部32を構成する帯状の雄型部材35と雌型部材36とが、それぞれ開き面29B,29B,30B,30Bの上方の位置に搬送されている。このように、袋本体部28の搬送方向(A)とジッパー部32の搬送方向(B)とは同一方向であるので、加工が容易となり、機械化に好適となる。
次いで、図22に示されるように、袋の内面が表出するように曲げられた平面部29、29の開き面29B,29Bの面上であって、側面部の開き面30B,30Bと重ならない位置に、平面部29の上端縁29cに沿って、それぞれ、ジッパー部32の雄型部材35及び雌型部材36が、互いに係合できるように固着される。
開き面29B,29Bの面上であって、側面部の開き面30B,30Bと重ならない位置は、折り畳まれた側面部(開き面30B)との重なりがないので、熱伝導の点でシールし易い。また、この位置にジッパー部32を取付けると、図23に示すように、ジッパー部32と折り畳まれた側面部30Aとが互いにシールされることがないので、袋の上端部の幅に対して袋の開口幅を広くすることができ、水等の注入の作業性が高くなる。なお、図22における開き面29B,29Bの面上であって、側面部の開き面30B,30Bと重なる位置に、ジッパー部32を固着すると、図24に示すように、ジッパー部32と折り畳まれた側面部30Aとが互いにシールされてしまい、両者のシール部分の幅の分だけ袋の開口幅が狭くなり、水等の注入の作業性が低くなる。
ジッパー部32の雄型部材35及び雌型部材36の固定は、一般にヒートシール方法で行われる。次いで、図23に示すように、ジッパー部32の雄型部材35及び雌型部材36を係合させるように、一旦、開かれていた2つの面29B,29Bを合わせ閉じる。しかる後、袋本体部2を構成する平面部29,29の上端縁29c,29cをシール部34bにおいてヒートシールすると共に、平面部29,29の両方の側縁29a,29aで側面部30A,30Aを挟みこむようにして、平面部29,29の側縁29a,29a及び側面部30A,30Aの一部を、側面部30A,30Aの折り返し基点Pよりも下側の位置から袋本体部28の最上端部までシール部34aにおいてヒートシールする(図11の斜線部分)。
その後、折り返した側面部30Aのうち、袋本体部28の両脇から突出したタブ30C,30Cを袋本体部28の上下方向端部、すなわち平面部29,29の側縁29a,29aに沿って切り落とす。さらに、シール部34bの隅部に内面同士が接着した平面部29,29を貫通するフック孔37を設け、液体充填容器102を完成させる(図11)。
液体充填容器102の製造方法は、上記方法に限定されず、その他の方法で製造してもよい。
また、側面部30,30を袋本体部28の上端部側の途中で停止させる形態は、図11のように折り返された側面部30Aを設ける形態の他、図25のように、側面部30,30を袋本体部28の上端部側の途中で切断し、切断部をシールする形態でもよい。この場合も、側面部30,30を切断することによって生じた開口を封鎖するように、平面部29,29の両側の側縁29a,29aをシールする(図25の斜線部分)。
次に本発明の第三の液体充填容器について図26〜図30を用いて説明する。
図26は本発明の第三の液体充填容器の一形態例を示す図、図27は図26に示す液体充填容器を折り畳んだ状態の上端側を示す図、図28は図27におけるBB断面図である。
図26に示すように、容器103は、前側と後ろ側を構成する対向する一対の平面部44,44と、折ひだ状に袋の内方に折り込まれた折り線45aを備えるように形成された2つの側面部45,45とを有する筒状の袋本体部43と、袋本体部43の下端側に設けられた注出入口46と、袋本体部43の上端側に設けられたジッパー部48とを備える。尚、図26は、ジッパー部48を構成する雌型部材50を設けた平面部44(後ろ側)から袋本体部43を見た図である。
図26に示す液体充填容器103を折り畳んだ状態の図を図27に示す。図27は、袋本体部を前側及び後ろ側から見た図である。図26及び図27に示すように、袋本体部43は、平面部44,44の両側の側縁44a,44aと側面部45,45の側縁45b,45bとがシールされていると共に、袋本体部43の下端は、内方に折り込まれた側面部45,45を平面部44,44の両側の側縁44a,44aで挟み込むように、且つ、注出入口46を形成する部材(注出入口形成部材)47を平面部44,44の下端縁44d,44d若しくは平面部44の下端縁44dと側面部45の下端縁45dで挟み込んだ状態で、平面部44,44の下端縁44d,44d及び側面部45,45の下端縁45d,45dがシールされ、袋の下部が閉塞されている。
一方、袋本体部43の上端側では、一対の平面部44,44のうち一方の平面部44(袋本体の後ろ側を構成)の内面と、当該一方の平面部44の内面と対向する側面部45A,45Aの内面とが、袋本体部43の上端側の少なくとも一部において、平面部44の幅方向を横断するように接合されている。一方の平面部44の内面と側面部45A,45Aとが接合されている部分での袋本体部43の断面図は図28のようになっており、一方の平面部44のみが、両側の側面部45,45のうち当該平面部44と対向する内面45A,45Aと、平面部44の幅方向を横断するように接合されている。
そして、ジッパー部48を構成する雄型部材49及び雌型部材50は、図28に示すように、一方の平面部44と2つの側面部の内面45A,45Aとが接合した領域において、他方の平面部44(袋本体の前側を構成)の内面と、当該他方の平面部44の内面と対向する一方の平面部44(袋本体の後ろ側を構成)の内面及び両側の側面部45B,45Bの内面とに接続されている。このとき、雌型部材50は、その両側端部が他方の平面部44の内面と対向する側面部の内面45B,45Bに接合し、両側端部以外の中間部が一方の平面部44(袋本体の後ろ側を構成)の内面に接合している。
また、雄型部材49と雄型部材50は、互いに向き合うように、且つ、平面部44,44の横断方向にそれらの長手方向を合わせて配置されている。ジッパー部48は、袋本体部43をその実質的な厚さがなくなるように(いわゆるぺしゃんこ状態となるように)折り畳んで平面部44,44と内方に折り込まれた側面部45,45とを重ね合わせた時に側面部45,45と重ならない部分の平面部44,44の幅よりも長く、ジッパー部48の開口幅が広いものである。
本発明の第三の液体充填容器は、袋本体部43を構成する平面部44,44のうち一方の平面部44の内面と、当該一方の平面部44の内面と対向する前記2つの側面部45,45の内面とが、袋本体部の上端側の少なくとも一部において平面部44の幅方向を横断するように接合され、且つ、ジッパー部48を構成する雄型部材49及び雌型部材50が、それぞれ、一方の平面部44と2つの側面部45,45とが接合した領域の、他方の平面部44の内面と、当該他方の平面部44の内面と対向する一方の平面部44の内面及び少なくとも一方の側面部の内面とに接続されていることを特徴とするものである。このように、一方の平面部44の内面と、当該一方の平面部44の内面と対向する2つの側面部の内面45A,45Aとを接合させ、且つ、当該平面部44と2つの側面部の内面45A,45Aとが接合した領域にジッパー部48を設置することによって、ジッパー部48の取り付け位置では、側面部45,45がジッパー部48を構成する雄型部材49と雌型部材50の係合を邪魔しないので、ジッパー部48の開口幅を広くすることができる。
従って、本発明の液体充填容器は、容器内に水等を注入しやすく、作業性に優れる。しかも、ガゼット袋であるにもかかわらず、ジッパー部48が配置される位置では、側面部45,45の内面のうち、一方の平面部44の内面と対向する面が当該平面部44の内面と接合しているため、ジッパー部を開口させた際に、平袋並に開口部のまとまりがよく、雄型部材49と雌型部材50とが係合しやすいため、ジッパー部の再封が容易にできる。
また、容器内に水等を注入するための開口部を再封する部材がジッパー部であるため、成形部品を用いる場合と比較して、容器のコストを削減することも可能である。
さらに、袋本体部43は、下端側においては、側面部45,45が設けられた両サイドガセット袋型であるため、容量が大きく、また、袋本体が筒状に広がるので、容量のわりにコンパクトである。また、側面部45,45の幅と袋本体部43を構成する平面部44,44の幅並びに高さとの関係によっては、自立性を有するため、移送性や作業性に優れるものである。
尚、ここでは、ジッパー部48を構成する雌型部材50は、図28に示したように、一方の平面部44(袋本体の後ろ側を構成)の内面及び両側の側面部の内面45B,45Bとに接続されている形態に限らず、図29に示すように、一方の平面部44(袋本体の後ろ側を構成)の内面及び一方の側面部の内面45Bに接続されている形態でもよい。ただし、この場合、他方の側面部の内面45Bは、対向する他方の平面部44(袋本体の前側を構成)の内面と接合され、ジッパー部48による袋本体の開口部の完全な閉止が可能な構造となっている。このとき、雄型部材49は、他方の側面部の内面45Bと当該他方の側面部の内面45Bと対向する他方の平面部44との接合が停止した位置から、平面部44を横断する方向に他方の平面部44の内面に設けられる。
また、ここでは、雄型部材49を袋本体部の前側を構成する平面部44に、雌型部材50を袋本体部の後ろ側を構成する平面部44側に、それぞれ接続しているが、逆の構成であってもよい。
さらに、ここでは、一方の平面部44の内面と、当該一方の平面部の内面と対向する2つの側面部45,45の内面とが、ジッパー部48の設置位置から袋本体部の最上端側まで接合された形態となっているが、ジッパー部48を設ける領域においてのみ、上記のように、一方の平面部の内面とこれに対向する側面部とが接合されていてもよい。
ジッパー部48を構成する一対の係合片は、互いに係合可能であり、且つ、分離可能なものであれば特に限定されず、例えば、第二の液体充填容器に用いるような雄型部材と雌型部材とを使用することができる。
袋本体部43の上端側には、吊り下げ手段であるフック孔52が設けられていることが好ましい。図26では、上端シール部53を袋本体の上下方向に幅広くし、この上端シール部53にフック孔52が設けられている。フック孔52は上端シール部53の領域内に設けられているため、ジッパー部48より上端側に設けられている非シール部54の気密性は保たれている。このように非シール部54の気密性を保つことによって、未開封時の非シール部54の気密性を保持し、内容物の保存性が高められている。
図26及び図27では、さらに、袋本体の上端のシール部53とジッパー部48との間に設けられた非シール部54において、他方の平面部44(袋本体の前側を構成)のみに、引裂き容易手段51が設けられている。この引裂き容易手段51は、ジッパー部48と平行をなすように他方の平面部44の内面に接続された帯状部材からなる。第一の液体充填容器同様、この帯状部材は側縁シール部において当該帯状部材が接続している平面部44と側面部45,45との間に配置し、且つ、その端部を側縁シール部において外部へ露出したつまみ部を有している。図26に示す形態の液体充填容器は、この引裂き容易手段51によって、他方の平面部44のみを引き裂くことにより、袋本体部43を上端側において開封することができる。
このような構成とすることにより、袋本体部43の上端側にあるシール部53を袋本体から切断、除去することなく、袋本体の上端側を開封することが可能であることから、フック孔52の配置位置が制限されず、上端のシール部53のいずれの位置にも設けることができる。すなわち、フック孔52を袋本体幅方向の略中央部に設けることが可能である。袋本体部の幅方向略中央に吊り下げ手段を設けることによって、吊り下げ手段によって吊り下げた際の容器の安定性がよく、また、袋本体部の下端側に設けられる注出入口の配置位置が制限されなくなる。
尚、引裂き容易手段51は、図27のように、対向する側面部45,45と接合されている一方の平面部44と対向する他方の平面部44の内面に設けるほか、前記一方の平面部に設けることもできる。
フック孔52は、ジッパー部48より上端側に設けられている非シール部54の気密性を保持することができるような構成であれば、第二の充填容器同様、その他の形態をとることができる。また、袋本体部を上端部側で開封するための手段は、上記のような引裂き容易手段以外にも、第二の液体充填容器のように、袋本体の側縁シール部にノッチ等を設け、上端シール部53を袋本体部43から分離、切除するような構成とすることも可能である。ただし、この場合には、フック孔52が袋本体部から取り除かれないよう、フック孔52の位置と、袋本体の開封位置とを決定する必要がある。さらに、フック孔52の位置に応じて、注出入口形成部材の設置位置も適宜調節する必要がある。これらは、第二の液体充填容器と同様にすればよい。
第三の液体充填容器に関するその他の要素については、第二の液体充填容器と同様である。
以下、第三の液体充填容器の製造方法について、簡単に説明する。まず、図30に示すように、一対の平面部44,44を構成する矩形状に裁断された包材フィルム、一対の側面部45,45を構成する矩形状の包材フィルムを用意する。側面部45,45を構成する包材フィルムには、その中央部にフィルムの長手方向に延びている折り線45aを設け、包材フィルムを2つ折りにしておく。
次に、一方の平面部44を構成する包材フィルムの側縁部、上端部、下端部と、2つの側面部45,45を構成する包材フィルムの側縁部、上端部、下端部とをそれぞれ合わせて重ね、さらに、その上から、ジッパー部48を構成する雌型部材50の基部を載置した状態でヒートシールする。この工程では、側面部45,45を構成する包材フィルムが袋本体部43の中心側に折り込まれるように折り線45aを袋本体部43の内方に向けた状態に配置され、その片側の側縁45b、45bが平面部44を構成する包材フィルムの側縁44a,44aと、それぞれヒートシールされる。また、雌型部材50は、長手方向を平面部44の横断方向に合わせて、平面部44を構成する包材フィルムの内面及び側面部の内面45B,45Bにヒートシールされる。このとき、雌型部材50と重なる領域の側面部45A,45A及び当該側面部の内面45A,45Aと対向する平面部44は、平面部の幅方向を横断するように、ヒートシールされる。さらに、雌型部材50よりも袋本体部の上端側において、平面部44と対向する側面部45A,45Aが、当該対向する平面部44の内面とシールされる。
次に、他方の平面部44を構成する包材フィルム内面の上端縁の近傍に、ジッパー部48を構成する雄型部材49の基部が雌型部材50と平行をなすようにヒートシールされる。さらに、雄型部材49よりも上端側に引裂き容易手段51の帯状部材が接着される。
以上の工程を終了した後、雄型部材49が取り付けられた他方の平面部44を構成する包材フィルム、及び、雌型部材50と2つの側面部45が取り付けられた一方の平面部44を構成する包材フィルムを、内面同士が向かい合うように重ね合わせた状態で、ヒートシールして、筒状の袋本体部43を形成する。袋本体部43の上端は、内方に折り込まれた側面部45,45を平面部44,44の側縁44a,44aで挟み込むようにした状態で平面部44,44及び側面部45,45の上端縁がシールされる。また、袋本体部43の下端は、内方に折り込まれた側面部45,45を平面部44,44の両側の側縁44a,44aで挟み込むように、且つ、注出入口46を形成する部材(注出入口形成部材)47を接合部において、平面部44,44の下端縁44d,44dで若しくは平面部44の下端縁44dと側面部45の下端縁45dとで挟み込んだ状態で、平面部44,44の下端縁44d,44d及び側面部45,45の下端縁45d,45dがシールされる。尚、第三の液体充填容器の製造方法は特に限定されるものではなく、例えば、特開平5−270552号公報に記載の方法に準じても製造することができる。
さらに、袋本体部43の上端部のシール部53にフック孔52が設けられる。
尚、上述した本発明の第一の液体充填容器は、第三の液体充填容器のように、袋本体部1の上端側では、一対の平面部2,2のうち一方の平面部2(袋本体の後ろ側を構成)の内面と、当該一方の平面部2の内面と対向する側面部3,3の内面とを、袋本体部1の上端側の少なくとも一部において、平面部2の幅方向を横断するように接合し、且つ、当該一方の平面部2と2つの側面部3,3とが接合した領域において、ジッパー部5を構成する一対の雄型部材7及び雌型部材8を共に、他方の平面部2(袋本体の前側を構成)の内面のみに接続した構成とすることもできる。
本発明の第一、第二及び第三の液体充填容器は、内容物を注出入口から効率的に無駄なく注出することを目的として、袋本体部の下端側を液体充填容器102の上端側のように、側面部を途中で停止させて袋本体部の下端側を平袋型としたり、注出入口が設けられる袋本体部の下端側のシール部を内容物を注出入口へ誘導するような形状としてもよい。
例えば、袋本体部の下端側を平袋型にすると共に下端側のシール部を内容物を注出入口へ誘導するような形状とすることができる。具体的には、図31に示すような形態例を挙げることができる。尚、図31では、シール部を斜線で示している。
図31(A)に示す形態では、袋本体部の下端シール部を側縁シール部から注出入口に向かって傾斜する形状にすることで、内容物を注出入口へと誘導することができる。このとき、傾斜したシール部に対応する領域では、側面部が折り畳まれた状態で平面部に接合している。
図31(B)に示す図では、袋本体部の下端側で側面部を途中で停止させて平袋型にすると共に、下端シール部を側縁シール部から注出入口に向かって傾斜する形状とすることで、内容物を注出入口へと誘導するものである。このように袋本体部の下端側を平袋型にする方法は、袋本体部の上端側を平袋型にする方法と同じである。
尚、図31には下端シール部の両側の側面部側を側縁シール部から注出入口に向かって傾斜させた形状を示したが、下端シール部の一方の側面部側のみを側縁シール部から注出入口に向かって傾斜させた形状としてもよい。
このように、袋本体部の下端部を、内容物を注出入口へと誘導するような形態とすることによって、内容物を効率良く且つ無駄なく注出できるほか、フック孔の位置に制限されることなく、注出入口を袋本体部下端側の所望の位置に配置することもできる。