JP2006123540A - 液体吐出装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】圧力室の共振現象を利用して高速で好ましい高粘度のインク吐出を実現する液体吐出装置を提供する。
【解決手段】アクチュエータを引き押し動作させてノズルからインクを吐出させる際に、ノズル内のメニスカス面に発生する所定の周期を持つ圧力波200において、アクチュエータの引き動作による圧力室の膨張によってt10で発生する1回目の負圧の持つ圧力の絶対値|Pn1|とt12で発生する2回目の負圧の持つ圧力の絶対値|Pn2|との関係が|Pn1|≦|Pn2|の関係を満たすので、インク柱を確実に分断し、微少量インクを吐出させる際にもインクの吐出量が安定する。また、t13で発生する2回目の正圧の持つ圧力の絶対値|Pp2|と1回目の負圧の持つ圧力の絶対値|Pn1|との関係が|Pn1|≧|Pp2|を満たすので、残留振動を抑制し、吐出周波数を高速化することができる。
【選択図】 図7

Description

本発明は液体吐出装置に係り、特に被吐出媒体上へ液体を吐出させる液体吐出ヘッドの吐出制御技術及び構造に関する。
インクジェット方式の印字ヘッドを備えたインクジェット記録装置は、印字ヘッドが有する複数のノズルよりインクを吐出させてメディア上に所望の画像を形成する。インクジェット記録装置には、ノズルから吐出させるインクを収容する圧力室にアクチュエータを備え、圧力室を膨張、収縮させてノズルからインクを吐出させるものがあり、このような方式では、圧力室に発生する圧力波の共振現象を利用して、吐出やリフィルを高速に行うように様々な工夫がなされている。
特許文献1に記載されたインクジェット式記録装置では、圧力発生室を膨張させる第1の信号をヘルムホルツ共振周波数の周期より短い時間印加し、圧力発生室の膨張状態を保持する第2の信号をヘルムホルツ周期の1/ 2以下にすることで、メニスカス振動を最小限に抑え、サテライトの尾引きを低減した小さいインク滴を高い周波数で安定して吐出することができる。
特開平9−226106号公報
しかしながら、特許文献1に記載されたインクジェット式記録装置では、ノズルからインクを吐出させる第3の信号はヘルムホルツ周期以上に設定されるので、1回の吐出にかかる時間が長くなり、結果として吐出周期を短くすることができない。特に、一般的に用いられるインクの粘度では、吐出後に起こる圧力波の残留振動が減衰せず、この圧力波の残留振動を減衰させるために第3の信号はヘルムホルツ周期以上に設定されている。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、圧力室の共振現象を利用して高速で好ましい高粘度のインク吐出を実現する液体吐出装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明に係る液体吐出装置は 液体を吐出させるノズルと、前記ノズルから吐出させる液体を収容する圧力室と、前記圧力室へ供給系から液体を充填する供給側流路と、前記圧力室の少なくとも1つの壁に備えられ、前記圧力室の体積を変化させるアクチュエータと、前記圧力室を膨張させるように前記アクチュエータを駆動する期間T1 を有する第1の駆動信号及び膨張状態の前記圧力室を収縮させるように前記アクチュエータを駆動する期間T2 を有する第2の駆動信号を少なくとも含む駆動信号を発生させる駆動信号発生手段と、を備え、前記第2の駆動信号が有する期間T2 と、前記圧力室のヘルムホルツ周期Tc と、関係、次式T2 ≦Tc /2を満たし、前記駆動信号によって前記アクチュエータを動作させて、前記圧力室を膨張させる方向を有する負圧及び前記圧力室を収縮させる方向を有する正圧が交互に起こり所定の周期を有する圧力を前記ノズル部分に発生させ、メニスカス面静定状態から最初に発生する第1の負圧の圧力Pn1の絶対値と、前記第1の負圧の1周期後に発生する第2の負圧の圧力Pn2の絶対値と、の関係は、次式|Pn1|≦|Pn2|を満たすことを特徴とする。
本発明によれば、アクチュエータに与える駆動信号のうち、膨張した圧力室を収縮させる方向に動作させる第2の駆動信号の有する期間T2 を、圧力室のヘルムホルツ周期Tc
の1/2以下にするので、プルプッシュ駆動における圧力波形が重ね合わせ効果を生じ、メニスカス面静定状態から最初に発生する第1の負圧の圧力Pn1の絶対値と、第1の負圧の1周期後に発生する第2の負圧の圧力Pn2の絶対値と、が|Pn1|≦|Pn2|を満たすので、液柱を確実に分断する(引きちぎる)ことで安定した吐出力を得ることができる。
駆動信号には第1の駆動信号によって膨張した圧力室の状態を維持する駆動信号が含まれていてもよい。即ち、駆動信号は、第1の駆動信号及び第2の駆動信号から成り三角形形状の電圧波形を有していてもよいし、第1の駆動信号、第2の駆動信号、第3の駆動信号から成り台形形状の電圧波形を有していてもよい。
吐出ヘッドには、被吐出媒体の全幅に対応する長さにわたって吐出孔が並べられたフルライン型ヘッドや、被吐出媒体の全幅に対応する長さよりも短い長さにわたって吐出孔が並べられた短尺ヘッドを被吐出媒体の幅方向に走査させながら被吐出媒体上に記録液を吐出させるシリアル型ヘッド(シャトルスキャン型ヘッド)などがある。
また、フルライン型の吐出ヘッドには、被吐出媒体の全幅に対応する長さに満たない短尺の吐出孔列を有する短尺ヘッドを千鳥状に配列して繋ぎ合わせて、被吐出媒体の全幅に対応する長さとしてもよい。
請求項2に記載の発明は 請求項1記載の液体吐出装置の一態様に係り、前記第1の負圧の圧力Pn1の絶対値|Pn1|と、前記第2の負圧の1/2周期後に発生する第2の正圧の圧力Pp2の絶対値|Pp2|との関係は、次式|Pn1|≧|Pp2|を満たすことを特徴とする。
第1の負圧の圧力Pn1の絶対値|Pn1|と第2の負圧の1/2周期後に発生する第2の正圧の圧力Pp2の絶対値|Pp2|とは|Pn1|≧|Pp2|の関係を満たすので、液体を吐出した後のメニスカスを素早く静定させメニスカス静定時間を短縮することができる。また、メニスカスを静定させるための駆動信号が不要になり、駆動信号の波形がシンプルになる。
請求項3に記載の発明は 請求項1又は2記載の液体吐出装置の一態様に係り、前記駆動信号は前記圧力室の膨張状態を維持する期間T3 を有する第3の駆動信号を含み、前記第1の駆動信号の有する期間T1 及び前記第2の駆動信号の有する期間T2 、前記第3の駆動信号の有する期間T3の合計期間と、前記圧力室のヘルムホルツ周期Tc と、の関係は、次式T1 +T2 +T3 ≦Tc /2を満たすことを特徴とする。
駆動信号の有する期間全体(T1 +T2 +T3)を圧力室のヘルムホルツ周期Tc の1/2以下とすることで、アクチュエータの動作時間を短縮し、吐出周期を短縮させる (吐出周波数を高速化する)ことができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1、2又は3記載の液体吐出装置の一態様に係り、前記駆動信号は前記圧力室の膨張状態を維持する期間T3 を有する第3の駆動信号を含み、前記第1の駆動信号の有する期間T1 及び前記第3の駆動信号が有する期間T3 の合計と、前記圧力室のヘルムホルツ周期Tc と、の関係は、次式T1 +T3 ≦Tc /2を満たすことを特徴とする。
請求項1〜3に記載した第2の駆動信号の有する期間T2 をゼロにする(膨張状態の圧力室を収縮させるための駆動信号の電圧変化を瞬時に行う)ことで、液体吐出時に液柱を確実に分断することができ、液滴吐出量の安定化、サテライト防止、尾引き防止の効果を更に向上させる。
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のうち何れか1項に記載の液体吐出装置の一態様に係り、前記駆動信号は前記圧力室の膨張状態を維持する期間T3 を有する第3の駆動信号を含み、前記第3の駆動信号の有する期間T3 と、前記圧力室のヘルムホルツ周期Tc と、の関係は、次式T3 ≦Tc /2を満たすことを特徴とする。
請求項1〜4に記載した第1の駆動信号の有する期間T1 及び請求項1〜3に記載した前記第2の駆動信号の有する期間T2 を共にゼロにする(静定状態の圧力室を膨張させる駆動信号及び膨張状態の圧力室を収縮させる駆動信号の電圧変化を瞬時に行う)ことで駆動信号の電圧波形が矩形波となり、駆動信号の波形がシンプルになるとともに、更に吐出周期を短縮させることができる。
即ち、駆動信号の電圧波形を矩形波にすると、第3の駆動信号の有する期間T3 と、圧力室のヘルムホルツ周期と、の関係はT3 ≦Tc /2となる。
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のうち何れか1項に記載の液体吐出装置の一態様に係り、前記ノズルから粘度の高い高粘度液を吐出させることを特徴とする。好ましくは、液体の粘度が10cP以上であり、更に好ましくは液体の粘度が10cPから15cPの範囲となる態様である。
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6のうち何れか1項に記載の液体吐出装置の一態様に係り、前記ノズルの長さln 、前記ノズルの面積、前記供給側流路の流路長ls 、前記供給側流路の面積As 、前記ノズルから吐出させる液体の密度ρ、前記液体の粘度ν、前記液体中の音速c、前記アクチュエータの発生圧力がPのときに前記圧力室に収容されている液体の排除体積Vとの関係が、次式〔数2〕を満たすことを特徴とする。
Figure 2006123540
上記(2)を満たすように液体吐出ヘッドを構成することで、液体の吐出後に発生するメニスカスの残留振動を抑制することができ、引き押しのみのシンプルな駆動信号を用いて高速吐出周波数での好ましい吐出を実現することができる。特に、10cP以上の粘度を有する高粘度の液体に効果を発揮する。
本発明によれば、圧力室が膨張、収縮を繰り返すようにアクチュエータを動作させる液体の吐出駆動において、アクチュエータに与える駆動信号のうち、圧力室を膨張させた後に収縮させる第2の駆動信号の持つ期間T2 を、圧力室のヘルムホルツ周波数Tc の1/2以下にするので、ノズル部分に発生する圧力波において、圧力室が膨張する際に発生する第1の負圧の持つ圧力Pn1の絶対値|Pn1|よりも、第1の負圧の1周期後に発生する第2の負圧のもつ圧力Pn2の絶対値|Pn2|が大きくなり、液体を吐出させる際に確実に液柱を分断し微少量の液体を確実に吐出させることができる。
また、第2の負圧の1/2周期後に発生する第2の正圧の持つ圧力Pp2の絶対値|Pp2|を第1の負圧の持つ圧力Pn1の絶対値|Pn1|よりも小さくすると、メニスカス振動が抑制され、吐出周期を短縮することができる。
以下添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
〔インクジェット記録装置の全体構成〕
図1は本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置の全体構成図である。同図に示したように、このインクジェット記録装置10は、インクの色ごとに設けられた複数の印字ヘッド12K,12C,12M,12Yを有する印字部12と、各印字ヘッド12K,12C,12M,12Yに供給するインクを貯蔵しておくインク貯蔵/装填部14と、記録紙16を供給する給紙部18と、記録紙16のカールを除去するデカール処理部20と、前記印字部12のノズル面(インク吐出面)に対向して配置され、記録紙16の平面性を保持しながら記録紙16を搬送する吸着ベルト搬送部22と、印字部12による印字結果を読み取る印字検出部24と、印画済みの記録紙(プリント物)を外部に排紙する排紙部26と、を備えている。
図1では、給紙部18の一例としてロール紙(連続用紙)のマガジンが示されているが、紙幅や紙質等が異なる複数のマガジンを併設してもよい。また、ロール紙のマガジンに代えて、又はこれと併用して、カット紙が積層装填されたカセットによって用紙を供給してもよい。
複数種類の記録紙を利用可能な構成にした場合、紙の種類情報を記録したバーコード或いは無線タグなどの情報記録体をマガジンに取り付け、その情報記録体の情報を所定の読取装置によって読み取ることで、使用される用紙の種類を自動的に判別し、用紙の種類に応じて適切なインク吐出を実現するようにインク吐出制御を行うことが好ましい。
給紙部18から送り出される記録紙16はマガジンに装填されていたことによる巻きクセが残り、カールする。このカールを除去するために、デカール処理部20においてマガジンの巻きクセ方向と逆方向に加熱ドラム30で記録紙16に熱を与える。このとき、多少印字面が外側に弱いカールとなるように加熱温度を制御するとより好ましい。
ロール紙を使用する装置構成の場合、図1のように、裁断用のカッター(第1のカッター)28が設けられており、該カッター28によってロール紙は所望のサイズにカットされる。カッター28は、記録紙16の搬送路幅以上の長さを有する固定刃28Aと、該固定刃28Aに沿って移動する丸刃28Bとから構成されており、印字裏面側に固定刃28Aが設けられ、搬送路を挟んで印字面側に丸刃28Bが配置される。なお、カット紙を使用する場合には、カッター28は不要である。
デカール処理後、カットされた記録紙16は、吸着ベルト搬送部22へと送られる。吸着ベルト搬送部22は、ローラ31、32間に無端状のベルト33が巻き掛けられた構造を有し、少なくとも印字部12のノズル面及び印字検出部24のセンサ面に対向する部分が水平面(フラット面)をなすように構成されている。
ベルト33は、記録紙16の幅よりも広い幅寸法を有しており、ベルト面には多数の吸引孔(不図示)が形成されている。図1に示したとおり、ローラ31、32間に掛け渡されたベルト33の内側において印字部12のノズル面及び印字検出部24のセンサ面に対向する位置には吸着チャンバ34が設けられており、この吸着チャンバ34をファン35で吸引して負圧にすることによってベルト33上の記録紙16が吸着保持される。
ベルト33が巻かれているローラ31、32の少なくとも一方にモータ(図1中不図示,図5中符号88として記載)の動力が伝達されることにより、ベルト33は図1上の時計回り方向に駆動され、ベルト33上に保持された記録紙16は図1の左から右へと搬送
される。
縁無しプリント等を印字するとベルト33上にもインクが付着するので、ベルト33の外側の所定位置(印字領域以外の適当な位置)にベルト清掃部36が設けられている。ベルト清掃部36の構成について詳細は図示しないが、例えば、ブラシ・ロール、吸水ロール等をニップする方式、清浄エアーを吹き掛けるエアーブロー方式、或いはこれらの組み合わせなどがある。清掃用ロールをニップする方式の場合、ベルト線速度とローラ線速度を変えると清掃効果が大きい。
なお、吸着ベルト搬送部22に代えて、ローラ・ニップ搬送機構を用いる態様も考えられるが、印字領域をローラ・ニップ搬送すると、印字直後に用紙の印字面をローラが接触するので画像が滲み易いという問題がある。したがって、本例のように、印字領域では画像面を接触させない吸着ベルト搬送が好ましい。
吸着ベルト搬送部22により形成される用紙搬送路上において印字部12の上流側には、加熱ファン40が設けられている。加熱ファン40は、印字前の記録紙16に加熱空気を吹き付け、記録紙16を加熱する。印字直前に記録紙16を加熱しておくことにより、インクが着弾後乾き易くなる。
印字部12は、最大紙幅に対応する長さを有するライン型ヘッドを紙送り方向と直交方向(主走査方向)に配置した、いわゆるフルライン型のヘッドとなっている(図2参照)。詳細な構造例は後述するが(図3、図4)、各印字ヘッド12K,12C,12M,12Yは、図2に示したように、本インクジェット記録装置10が対象とする最大サイズの記録紙16の少なくとも一辺を超える長さにわたってインク吐出口(ノズル)が複数配列されたライン型ヘッドで構成されている。
記録紙16の送り方向(以下、副走査方向という。)に沿って上流側から黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の順に各色インクに対応した印字ヘッド12K,12C,12M,12Yが配置されている。記録紙16を搬送しつつ各印字ヘッド12K,12C,12M,12Yからそれぞれ色インクを吐出することにより記録紙16上にカラー画像を形成し得る。
このように、紙幅の全域をカバーするフルラインヘッドがインク色ごとに設けられてなる印字部12によれば、副走査方向について記録紙16と印字部12を相対的に移動させる動作を一回行うだけで(即ち1回の副走査で)、記録紙16の全面に画像を記録することができる。これにより、印字ヘッドが主走査方向に往復動作するシャトル型ヘッドに比べて高速印字が可能であり、生産性を向上させることができる。
なお、本例では、KCMYの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組み合わせについては本実施形態に限定されず、必要に応じて淡インク、濃インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インクを吐出する印字ヘッドを追加する構成も可能である。
図1に示したように、インク貯蔵/装填部14は、各印字ヘッド12K,12C,12M,12Yに対応する色のインクを貯蔵するタンクを有し、各タンクは不図示の管路を介して各印字ヘッド12K,12C,12M,12Yと連通されている。また、インク貯蔵/装填部14は、インク残量が少なくなるとその旨を報知する報知手段(表示手段、警告音発生手段)を備えるとともに、色間の誤装填を防止するための機構を有している。
印字検出部24は、印字部12の打滴結果を撮像するためのイメージセンサを含み、該
イメージセンサによって読み取った打滴画像からノズルの目詰まりその他の吐出不良をチェックする手段として機能する。
本例の印字検出部24は、少なくとも各印字ヘッド12K,12C,12M,12Yによるインク吐出幅よりも幅の広い受光素子列を有するラインセンサで構成される。このラインセンサは、赤(R)の色フィルタが設けられた光電変換素子(画素)がライン状に配列されたRセンサ列と、緑(G)の色フィルタが設けられたGセンサ列と、青(B)の色フィルタが設けられたBセンサ列と、からなる色分解ラインCCDセンサで構成されている。なお、ラインセンサに代えて、受光素子が二次元配列されて成るエリアセンサを用いることも可能である。
印字検出部24は、各色の印字ヘッド12K,12C,12M,12Yにより印字されたテストパターンを読み取り、各ヘッドの吐出検出を行う。吐出判定は、吐出の有無、ドットサイズの測定、ドット着弾位置の測定などで構成される。
印字検出部24の後段には、後乾燥部42が設けられている。後乾燥部42は、印字された画像面を乾燥させる手段であり、例えば、加熱ファンが用いられる。印字後のインクが乾燥するまでは印字面と接触することは避けたほうが好ましいので、熱風を吹き付ける方式が好ましい。
多孔質のペーパーに染料系インクで印字した場合などでは、加圧によりペーパーの孔を塞ぐことでオゾンなど、染料分子を壊す原因となるものと接触することを防ぐことで画像の耐候性がアップする効果がある。
後乾燥部42の後段には、加熱・加圧部44が設けられている。加熱・加圧部44は、画像表面の光沢度を制御するための手段であり、画像面を加熱しながら所定の表面凹凸形状を有する加圧ローラ45で加圧し、画像面に凹凸形状を転写する。
こうして生成されたプリント物は排紙部26から排出される。本来プリントすべき本画像(目的の画像を印刷したもの)とテスト印字とは分けて排出することが好ましい。このインクジェット記録装置10では、本画像のプリント物と、テスト印字のプリント物とを選別してそれぞれの排出部26A、26Bへと送るために排紙経路を切り替える不図示の選別手段が設けられている。なお、大きめの用紙に本画像とテスト印字とを同時に並列に形成する場合は、カッター(第2のカッター)48によってテスト印字の部分を切り離す。カッター48は、排紙部26の直前に設けられており、画像余白部にテスト印字を行った場合に本画像とテスト印字部を切断するためのものである。カッター48の構造は前述した第1のカッター28と同様であり、固定刃48Aと丸刃48Bとから構成される。
また、図1には示さないが、本画像の排出部26Aには、オーダー別に画像を集積するソーターが設けられる。
〔ヘッドの構造〕
次に、印字ヘッドの構造について説明する。インク色ごとに設けられている各印字ヘッド12K,12C,12M,12Yの構造は共通しているので、以下、これらを代表して符号50によって印字ヘッドを示すものとする。
図3(a) は印字ヘッド50の構造例を示す平面透視図であり、図3(b) はその一部の拡大図である。また、図3(c) は印字ヘッド50の他の構造例を示す平面透視図、図4はインク室ユニットの立体的構成を示す断面図(図3(a),(b)中の4−4線に沿う断面図)である。記録紙面上に印字されるドットピッチを高密度化するためには、印字ヘッド50におけるノズルピッチを高密度化する必要がある。本例の印字ヘッド50は、図3(a) 〜(c) 及び図4に示したように、インク滴が吐出するノズル51と、各ノズル51に対応する圧力室52等からなる複数のインク室ユニット53を千鳥でマトリックス状に配置させた構造を有し、これにより見かけ上のノズルピッチの高密度化を達成している。
即ち、本実施形態における印字ヘッド50は、図3(a),(b) に示すように、インクを吐出する複数のノズル51が印字媒体(記録紙16)送り方向と略直交する方向に印字媒体の全幅(印字可能幅)に対応する長さにわたって配列された1列以上のノズル列を有するフルラインヘッドである。
また、図3(c) に示すように、短尺の2次元に配列された印字ヘッド50’を千鳥状に配列して繋ぎ合わせて、印字媒体の全幅に対応する長さとしてもよい。
各ノズル51に対応して設けられている圧力室52は、その平面形状が概略正方形となっており、対角線上の両隅部にノズル51とインク供給口54が設けられている。各圧力室52はインク供給口54を介して共通インク室(共通流路)55と連通されている。
なお、圧力室52の平面形状は概略正方形に限定されず、例えば、長方形やひし形、平行四辺形でもよいし、四角形以外の多角形や円、だ円などでもよい。
圧力室52の天面を構成している加圧板(共通電極と兼用される振動板)56には個別電極57を備えたアクチュエータ58(加圧手段)が接合されている。個別電極57に駆動電圧を印加することによってアクチュエータ58が変形して圧力室52の容積が変化し、これに伴う圧力変化によりノズル51からインクが吐出される。なお、アクチュエータ58には、ピエゾ素子などの圧電体が好適に用いられる。インク吐出後、共通インク室55からインク供給口54を通って新しいインクが圧力室52に供給される。
図4に示すように、印字ヘッド50に備えられるノズル51は、ノズル開口部51Aと、圧力室52とノズル開口部51Aとを連通させる吐出側流路51Bを含んだ構成を有しており、ノズル開口部の直径をDn 、吐出側流路51Bの直径をDn (ノズル開口部51Aの直径と同一)、吐出側流路51Bの流路長をln とする。なお、ノズル開口部51Aの近傍をテーパ状に形成してもよいし、吐出側流路51Bを異なる直径を有する複数の流路(管路)を組み合わせてもよい。
また、圧力室52と共通インク室55とを連通させるインク供給口54は、図4に示すように、直径Ds 、流路長ls の円柱状形状を有している。
かかる構造を有する多数のインク室ユニット53は、図3(b) に示すように、主走査方向に沿う行方向及び主走査方向に対して直交しない一定の角度θを有する斜めの列方向とに沿って一定の配列パターンで格子状に配列させた構造になっている。主走査方向に対してある角度θの方向に沿ってインク室ユニット53を一定のピッチdで複数配列する構造により、主走査方向に並ぶように投影されたノズルのピッチPはd× cosθとなる。
即ち、主走査方向については、各ノズル51が一定のピッチPで直線状に配列されたものと等価的に取り扱うことができる。このような構成により、主走査方向に並ぶように投影されるノズル列が1インチ当たり2400個(2400ノズル/インチ)におよぶ高密度のノズル構成を実現することが可能になる。以下、説明の便宜上、ヘッドの長手方向(主走査方向)に沿って各ノズル51が一定の間隔(ピッチP)で直線状に配列されているものとして説明する。
本発明の実施に際してノズルの配置構造は図示の例に限定されず、主走査方向に沿う行方向及び副走査方向に沿う列方向にノズルを並べる配置構造など、様々なノズル配置構造を適用できる。
本実施形態では、印字媒体送り方向と略直交する方向に印字媒体の全幅に対応する長さにわたって配列された1列以上のノズル列を有するフルラインヘッドを示したが、本発明適用範囲はこれに限定されず、印字媒体の全幅よりも短い長さの短尺ヘッドを印字媒体の送り方向と直交する主操作方向に移動しながら、印字媒体の幅方向に沿ったドット列を形成するシリアル型(シャトルスキャン型)ヘッドにも適用可能である。
また、本実施形態では1層の圧電体層を有する単層圧電素子を示したが、本発明は2層以上の圧電体層が積層された多層圧電素子に適用してもよい。
本実施形態では、加圧板56と共通電極が兼用される態様を示したが、加圧板56と共通電極とを別々に備えてもよい。加圧板56と共通電極とを別々に備える態様では、加圧板56に金属材料などの導電性材料を用いる場合には加圧板56と共通電極との間に絶縁層が設けられる。
〔制御系の説明〕
図5はインクジェット記録装置10のシステム構成を示す要部ブロック図である。インクジェット記録装置10は、通信インターフェース70、システムコントローラ72、画像メモリ74、画像メモリ74、モータドライバ76、ヒータドライバ78、プリント制御部(駆動制御手段)80、画像バッファメモリ82、ヘッドドライバ84等を備えている。
通信インターフェース70は、ホストコンピュータ86から送られてくる画像データを受信するインターフェース部である。通信インターフェース70にはUSB、IEEE1394、イーサネット、無線ネットワークなどのシリアルインターフェースやセントロニクスなどのパラレルインターフェースを適用することができる。この部分には、通信を高速化するためのバッファメモリ(不図示)を搭載してもよい。ホストコンピュータ86から送出された画像データは通信インターフェース70を介してインクジェット記録装置10に取り込まれ、一旦画像メモリ74に記憶される。
画像メモリ74は、通信インターフェース70を介して入力された画像を一旦格納する記憶手段であり、システムコントローラ72を通じてデータの読み書きが行われる。画像メモリ74は、半導体素子からなるメモリに限らず、ハードディスクなど磁気媒体を用いてもよい。
システムコントローラ72は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、所定のプログラムに従ってインクジェット記録装置10の全体を制御する制御装置として機能するとともに、各種演算を行う演算装置として機能する。即ち、システムコントローラ72は、通信インターフェース70、画像メモリ74、モータドライバ76、ヒータドライバ78等の各部を制御し、ホストコンピュータ86との間の通信制御、画像メモリ74の読み書き制御等を行うとともに、搬送系のモータ88やヒータ89を制御する制御信号を生成する。
画像メモリ74には、システムコントローラ72のCPUが実行するプログラム及び制御に必要な各種データなどが格納されている。なお、画像メモリ74は、書換不能な記憶手段であってもよいし、EEPROMのような書換可能な記憶手段であってもよい。画像メモリ74は、画像データの一時記憶領域として利用されるとともに、プログラムの展開
領域及びCPUの演算作業領域としても利用される。
モータドライバ76は、システムコントローラ72からの指示にしたがってモータ88を駆動するドライバである。ヒータドライバ78は、システムコントローラ72からの指示にしたがって後乾燥部42等のヒータ89を駆動するドライバである。
プリント制御部80は、システムコントローラ72の制御に従い、画像メモリ74内の画像データから印字制御用の信号を生成するための各種加工、補正などの処理を行う信号処理機能を有し、生成した印字データをヘッドドライバ84に供給する制御部である。プリント制御部80において所要の信号処理が施され、駆動信号生成部85にて該画像データに基づいて生成された駆動信号(駆動波形)によってヘッドドライバ84を介して印字ヘッド50のインク液滴の吐出量や吐出タイミングの制御が行われる。これにより、所望のドットサイズやドット配置が実現される。なお、本インクジェット記録装置10に用いられる駆動信号の詳細は後述する。
プリント制御部80には画像バッファメモリ82が備えられており、プリント制御部80における画像データ処理時に画像データやパラメータなどのデータが画像バッファメモリ82に一時的に格納される。なお、図5において画像バッファメモリ82はプリント制御部80に付随する態様で示されているが、画像メモリ74と兼用することも可能である。また、プリント制御部80とシステムコントローラ72とを統合して1つのプロセッサで構成する態様も可能である。
ヘッドドライバ84はプリント制御部80から与えられる印字データに基づいて各色のヘッド12K,12C,12M,12Yの圧電素子を駆動する。ヘッドドライバ84にはヘッドの駆動条件を一定に保つためのフィードバック制御系を含んでいてもよい。
印刷すべき画像のデータは、通信インターフェース70を介して外部から入力され、画像メモリ74に蓄えられる。この段階では、RGBの画像データが画像メモリ74に記憶される。
画像メモリ74に蓄えられた画像データは、システムコントローラ72を介してプリント制御部80に送られ、該プリント制御部80においてインク色ごとのドットデータに変換される。即ち、プリント制御部80は、入力されたRGB画像データをKCMYの4色のドットデータに変換する処理を行う。プリント制御部80で生成されたドットデータは、画像バッファメモリ82に蓄えられる。
ヘッドドライバ84はプリント制御部80から与えられる印字データに基づいて各色の印字ヘッド12K,12C,12M,12Yのアクチュエータを駆動する。ヘッドドライバ84にはヘッドの駆動条件を一定に保つためのフィードバック制御系を含んでいてもよい。
プログラム格納部(不図示)には各種制御プログラムが格納されており、システムコントローラ72の指令に応じて、制御プログラムが読み出され、実行される。前記プログラム格納部はROMやEEPROMなどの半導体メモリを用いてもよいし、磁気ディスクなどを用いてもよい。外部インターフェースを備え、メモリカードやPCカードを用いてもよい。もちろん、これらの記録媒体のうち、複数の記録媒体を備えてもよい。
なお、前記プログラム格納部は動作パラメータ等の記録手段(不図示)と兼用してもよい。
印字検出部24は、図1で説明したように、ラインセンサを含むブロックであり、記録紙16に印字された画像を読み取り、所要の信号処理などを行って印字状況(吐出の有無、打滴のばらつきなど)を検出し、その検出結果をプリント制御部80に提供する。
プリント制御部80は、必要に応じて印字検出部24から得られる情報に基づいて印字ヘッド50に対する各種補正を行う。
なお、図1に示した例では、印字検出部24が印字面側に設けられており、ラインセンサの近傍に配置された冷陰極管などの光源(不図示)によって印字面を照明し、その反射光をラインセンサで読み取る構成になっているが、本発明の実施に際しては他の構成でもよい。
〔駆動信号の説明〕
次に、インクジェット記録装置10に適用される駆動信号について説明する。
本インクジェット記録装置10には、一般に用いられるインクよりも高い粘度(10〜15cP程度)を有する高粘度インクが使用され、微少量の高粘度インクを高い吐出周波数(短い吐出周期)で吐出するように構成されている。
図6(a) は、アクチュエータ58に与えられる駆動信号100の電圧波形を示す。駆動信号100は、加圧板56がノズル51と反対方向に凸形状となるようにアクチュエータ58を動作させ、圧力室52を静定状態から膨張させる第1の駆動信号102と、ノズル51と反対方向に凸形状の加圧板56をノズル51の方向へ変形させるようにアクチュエータ58を動作させ、圧力室52を収縮させる (静定状態に戻す)第2の駆動信号104と、第1の駆動信号102によって膨張した圧力室52の膨張状態を保持する第3の駆動信号106と、から構成される。
第1の駆動信号102は、期間T1 の間アクチュエータ58を引き動作させるための駆動信号であり、第2の駆動信号104は期間T2 の間アクチュエータ58を押し動作させるための駆動信号であり、1回の引き動作 (プル動作)と1回の押し動作(プッシュ動作)を組み合わせたプルプッシュ駆動によって圧力室52に収容されているインクはノズル51から吐出される。
第1〜第3の駆動信号102、104、106はそれぞれT1 、T2 、T3 の期間を有している。なお、第3の駆動信号106を省略する態様も可能である。
また、図6(a) に示す第2の駆動信号104が有する期間と、圧力室52のヘルムホルツ周期 (共振周期)Tc と、の関係は、次式〔数3〕を満たすように、第2の駆動信号104が有する期間T2が設定されている。なお、第2の駆動信号104が有する期間はできる限り短いことが好ましい。
Figure 2006123540
即ち、第2の駆動信号104が有する期間T2 を限りなくゼロに近づけることが好ましい。併せて、第1の駆動信号102が有する期間T1 を限りなく短くし(限りなくゼロに近づけ)、図6(b) に示すような矩形波の電圧波形を持つ駆動信号120としてもよい。
なお、図6に示す駆動電圧は一例であり、ノズル51から駆動信号の最大電圧に応じた
量のインクが吐出されるので、インク吐出量に応じて駆動信号の最大電圧が設定される。即ち、インク吐出量が少ない場合には該最大電圧が低くし、インク吐出量が多い場合には該最大電圧を高くするように設定される。
〔圧力室に発生する圧力の説明〕
図7は、ノズル51のメニスカス面近傍に発生する圧力200の圧力波形を示す。図7中、横軸は時間tを示し、たて軸は圧力Pを示す。また、たて軸の正方向(正圧)はインクをノズル51から外側へ吐出させる方向(プッシュ方向)を示し、負方向(負圧)はインクを圧力室52の内部へ引き込む方向(プル方向)を示す。
図6(a) に示す駆動信号100(或いは、図6(b) に示す駆動信号120)がアクチュエータ58に印加されると、ノズル51(メニスカス面)には、図7に示す所定の周期を持つ圧力波形を有する圧力200が発生する。
即ち、駆動信号100によって、先ず、ノズル51には圧力Pn1を有する1回目の負圧(第1の負圧)、1回目の負圧の1/2周期後(タイミングt11)に発生し圧力Pp1(Pp1' )を有する1回目の正圧(第1の正圧)、1回目の負圧の1周期後に発生し圧力Pn2を有する2回目の負圧(第2の負圧)、1回目の正圧の1周期後(2回目の負圧の1/2周期後)に発生し圧力Pp2を有する2回目の正圧(第2の正圧)、…、のように、負圧と正圧が交互に発生する。
なお、タイミングt11では圧力Pが非連続的に変化しており、これはノズル51内に発生する圧力がPp1からPp1' へ飛んでおり、このタイミングでノズル51の外部にインクが吐出されることを示している。
このようにノズル51に発生する圧力において、1回目の負圧(タイミングt10における圧力)の絶対値|Pn1|と2回目(タイミングt12における圧力)の負圧の絶対値|Pn2|と、の関係は、次式〔数4〕を満たす。
Figure 2006123540
即ち、2回目の負圧の絶対値が1回目の負圧の絶対値よりも大きくすることで、インク吐出時に液柱(インク柱)を確実に分断し、吐出量が微少量の場合にも吐出量が安定する。また、サテライトや尾引きを防止することができる。
一方、2回目の正圧(タイミングt13における圧力)の絶対値|Pp2|と、1回目の負圧(タイミングt10における圧力)の絶対値|Pn1|との関係は、次式〔数5〕を満たす。
Figure 2006123540
このように、上記(5)の条件を満たすようにノズル51の圧力が変化するように構成すると、吐出後のメニスカス振動が抑制され、インクを高い吐出周波数で連続的に吐出させることができる。
また、メニスカス静定駆動用の駆動信号などの特別な駆動信号が不要になり、駆動信号
をシンプルに構成することができる。なお、本例では、先ず圧力室52を膨張させてノズル51に負圧を発生させるが、第1の負圧の前に先ず圧力室52を収縮させてノズル51に正圧を発生させてもよい。
〔インク室ユニットの詳細構造〕
次に、図4に示したインク室ユニット53の構造について詳説する。
印字ヘッド50は、圧力室52の圧縮性(コンプライアンス)とノズル51及びインクインク供給口54を含む供給側流路(以下、単にインク供給口54と記載することがある)の慣性(イナータンス)との共振を利用して引き打ちを行うことで、所定の吐出周波数が得られるように構成されている。
図8は、図4に示したインク室ユニット53の機能 (特性)を電気回路に置き換えたときの集中定数モデル (集中定数回路)300を示している。
図8に示す集中定数モデル300は、ノズル51のイナータンスMn 、ノズル51の流体抵抗Rn 、ノズル部分の表面張力によるコンプライアンスCn 、インク供給口54のイナータンスMs 、インク供給口54の流体抵抗Rs 、アクチュエータ58の持つコンプライアンスCa 、圧力差(アクチュエータ58を動作させたときの系全体にかかる圧力)Φから構成される。また、un はノズル51内のインクの体積速度、ui は圧力室52内のインクの体積速度、us はインク供給口54内のインクの体積速度を示している。
図8に示す集中定数モデル300において、インクの密度ρ、インクの粘度ν、インクの表面張力σ、ノズル51の流路長(図4に図示)ln 、ノズル51の面積(断面積)An、ノズル51の半径rn (図4にはノズル51の直径Dn を図示)、インク供給口54の流路長(図4に図示)ls 、インク供給口54の面積(断面積)An 、インク中の音速c、排除体積がVのときのアクチュエータ58の発生圧力Pのとき、ノズル51のイナータンスMn 、ノズル51の抵抗Rn 、ノズル51の表面張力によるコンプライアンスCn 、インク供給口54のイナータンスMs 、インク供給口54の抵抗Rs 、圧力室52の持つコンプライアンスCi 、アクチュエータ58の持つコンプライアンスCa は以下の式で表される。
Figure 2006123540
Figure 2006123540
Figure 2006123540
Figure 2006123540
Figure 2006123540
Figure 2006123540
なお、ノズル51の表面張力によるコンプライアンスCn は圧力室52のコンプライアンスCi と比較して十分に小さく、ほとんど無視できる程度の容量成分である。したがって、図8に示す集中定数モデル300に示す系ではCn が省略されている。
また、ここで言う排除体積Xはノズル51から外部に吐出されるインクの体積V1 と、供給側に戻るインクの体積V2 と、加圧されることによって圧縮されたインクの体積V3 と、の合計(V1 +V2 +V3 )である。
ここで、図8に示す集中定数モデル300の微分方程式は、ノズル51内のインクの体積速度un 、圧力室52内のインクの体積速度ui 、インク供給口54内のインクの体積速度us 、上記(6)〜(11)を用いて以下の式で表される。
Figure 2006123540
Figure 2006123540
Figure 2006123540
ノズル51にかかる圧力Pn (ノズル51のイナータンスMn とノズル51の流体抵抗Rn が作用して得られる力)は、次式〔数15〕で表される。
Figure 2006123540
駆動信号を図6(b) に示すような矩形波の電圧波形を有する駆動信号によるプルプッシュ駆動で最大吐出力が得られる条件(圧力波の共振条件)とすると、ノズル51内のイン
クの体積速度un は、次式〔数16〕で表される。
Figure 2006123540
但し、上記(16)は、図9(a) に示すようなステップ入力の圧力400におけるノズル51内のインクの体積速度un 示す。なお、C、D、Eはそれぞれ、以下の式で表される。
Figure 2006123540
Figure 2006123540
Figure 2006123540
但し、上記(19)に示すM、Rは以下の式を満たす定数である。
Figure 2006123540
Figure 2006123540
即ち、上記(16)に示すように、図6(b) に示す矩形波の電圧波形を有する駆動波形120を用いたプルプッシュ駆動におけるノズル51内のインクの体積速度un は、時間tの関数として表され、ノズル51内のインクの体積速度un からノズル51にかかる圧力Pn は時間tの関数として、以下の式に示すように求められる。
なお、ノズル51内のインクの体積速度un は公知の算出方法を用いて求めることができるため、本明細書ではノズル51内のインクの体積速度un の算出方法の説明は省略する。
図9(b) には、駆動波形120によって発生される理想的な圧力(圧力波形)410を示す。図9(b) では、引き込み方向に発生する圧力を負方向とする。
ここで、圧力波形410のうち、引き込み方向(プル方向)の圧力波形412に対して、押し出し方向(プッシュ方向)の圧力波形414が、振動周期の1/2だけ位相がずれていれば、この両者は強めあい(共振し)、最大の吐出力を得ることができる。
Figure 2006123540
(但し、0<t<π/E)
Figure 2006123540
(但し、t≧π/E)
図9(a) 、(b) 及び、上記(16)、(22)、(23)に示すP0 は、アクチュエータ58を駆動時に系全体にかかる圧力の大きさ(図1に示すΦの絶対値に相当)を表している。
上記(22)、(23)から、単位時間当たりのP(t) の変化を調べると、上記(22、(23)は、nを整数とするときにt=n×(π/E)で極値をとることが分かる。n=0〜3を考えると、それぞれ、以下の式で表される。
Figure 2006123540
Figure 2006123540
Figure 2006123540
Figure 2006123540
なお、上記(24)〜(27)は、図7に示したタイミングt10〜t13におけるそれぞれの圧力P1 、P2 (P2')、P3 、P4 に相当する。
ここで、CFD(有限要素法)によるシミュレーションの見解から、微少量のインクを高速に吐出させるための条件は、以下の式を満たす。
Figure 2006123540
Figure 2006123540
即ち、上記(28)は、インク吐出時に形成されるインク柱(液柱)を引きちぎるための負圧が大きいことを示し、上記(29)は、インク吐出後にメニスカス面が振動しないために圧力減衰が大きいことを示している。上記(28)、(29)は、以下の式で表すことができる。
Figure 2006123540
Figure 2006123540
上記(30)、(31)を数値的に解くと(上記D、Eの定義値を求めると)、次式〔数32〕に示す関係を得ることができる。
Figure 2006123540
上記(32)を整理すると、次式〔数33〕を得ることができる。
Figure 2006123540
上記の如く構成された印字ヘッド50では、上記(1)に示すノズル51、圧力室52、インク供給口54の条件を満たす印字ヘッド50では、引き押しのみの駆動信号によって、微少量のインクを安定して吐出することができ、また、吐出後に発生する圧力波の残留振動が素早く静定される。したがって、メニスカスを静定させるためにアクチュエータ58に与える駆動信号が不要になり、高速吐出周波数での安定したインク吐出が実現される。
上述の説明では、液吐出装置の一例としてインクジェット記録装置を例示したが、本発明の適用範囲はこれに限定されず、被吐出媒体上に液を吐出させて被吐出媒体上に立体形状を形成する様々な画像形成装置や液吐出装置に適用可能である。
本発明の実施形態に係る画像処理装置を用いたインクジェット記録装置の全体構成図 図1に示したインクジェット記録装置の印字部周辺の要部平面図 図1に示したインクジェット記録装置の印字ヘッドの構成を示す平面透視図 図3に示した印字ヘッドの立体構造を示す図 本例のインクジェット記録装置のシステム構成を示す要部ブロック図 図1に示したインクジェット記録装置に適用される駆動信号を示す図 ノズル部分に発生する圧力の波形を示す図 図3に示した印字ヘッドの集中定数モデルを示す図 ノズル内のインクの速度を求める際の入力圧力を示す図
符号の説明
10…インクジェット記録装置、50…ヘッド、51…ノズル、52…圧力室、54…インク供給口、55…共通インク室、58…アクチュエータ、300…圧力室の集中定数モデル

Claims (7)

  1. 液体を吐出させるノズルと、
    前記ノズルから吐出させる液体を収容する圧力室と、
    前記圧力室へ供給系から液体を充填する供給側流路と、
    前記圧力室の少なくとも1つの壁に備えられ、前記圧力室の体積を変化させるアクチュエータと、
    前記圧力室を膨張させるように前記アクチュエータを駆動する期間T1 を有する第1の駆動信号及び膨張状態の前記圧力室を収縮させるように前記アクチュエータを駆動する期間T2 を有する第2の駆動信号を少なくとも含む駆動信号を発生させる駆動信号発生手段と、
    を備え、
    前記第2の駆動信号が有する期間T2 と、前記圧力室のヘルムホルツ周期Tc と、関係は、次式
    T2 ≦Tc /2
    を満たし、
    前記駆動信号によって前記アクチュエータを動作させて、前記圧力室を膨張させる方向を有する負圧及び前記圧力室を収縮させる方向を有する正圧が交互に起こり所定の周期を有する圧力を前記ノズル部分に発生させ、メニスカス面静定状態から最初に発生する第1の負圧の圧力Pn1の絶対値と、前記第1の負圧の1周期後に発生する第2の負圧の圧力Pn2の絶対値と、の関係は、次式
    |Pn1|≦|Pn2|
    を満たすことを特徴とする液体吐出装置。
  2. 前記第1の負圧の圧力Pn1の絶対値|Pn1|と、前記第2の負圧の1/2周期後に発生する第2の正圧の圧力Pp2の絶対値|Pp2|との関係は、次式
    |Pn1|≧|Pp2|
    を満たすことを特徴とする請求項1記載の液体吐出装置。
  3. 前記駆動信号は前記圧力室の膨張状態を維持する期間T3 を有する第3の駆動信号を含み、前記第1の駆動信号の有する期間T1 及び前記第2の駆動信号の有する期間T2 、前記第3の駆動信号の有する期間T3の合計期間と、前記圧力室のヘルムホルツ周期Tc と、の関係は、次式
    T1 +T2 +T3 ≦Tc /2
    を満たすことを特徴とする請求項1又は2記載の液体吐出装置。
  4. 前記駆動信号は前記圧力室の膨張状態を維持する期間T3 を有する第3の駆動信号を含み、前記第1の駆動信号の有する期間T1 及び前記第3の駆動信号が有する期間T3 の合計と、前記圧力室のヘルムホルツ周期Tc と、の関係は、次式
    T1 +T3 ≦Tc /2
    を満たすことを特徴とする請求項1、2又は3記載の液体吐出装置。
  5. 前記駆動信号は前記圧力室の膨張状態を維持する期間T3 を有する第3の駆動信号を含み、前記第3の駆動信号の有する期間T3 と、前記圧力室のヘルムホルツ周期Tc と、の関係は、次式
    T3 ≦Tc /2
    を満たすことを特徴とする請求項1乃至4のうち何れか1項に記載の液体吐出装置。
  6. 前記ノズルから粘度の高い高粘度液を吐出させることを特徴とする請求項1乃至5のうち何れか1項に記載の液体吐出装置。
  7. 前記ノズルの長さln 、前記ノズルの面積、前記供給側流路の流路長ls 、前記供給側流路の面積As 、前記ノズルから吐出させる液体の密度ρ、前記液体の粘度ν、前記液体中の音速c、前記アクチュエータの発生圧力がPのときに前記圧
    力室に収容されている液体の排除体積Vとの関係が、次式〔数1〕を満たすことを特徴とする請求項1乃至6のうち何れか1項に記載の液体吐出装置。
    Figure 2006123540

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