JP2006088695A - 画像形成装置及び液体吐出ヘッドの駆動制御方法 - Google Patents

画像形成装置及び液体吐出ヘッドの駆動制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】駆動回路の過負荷を軽減させ、駆動回路間の波形歪みに起因する画質のむらを低減して画質の向上を達成するとともに、回路規模の小型化、電源容量の低減、プリントの高速化等を実現可能な画像形成装置及び液体吐出ヘッドの駆動制御方法を提供する。
【解決手段】本発明による画像形成装置は、液体吐出ヘッド(50)の圧力発生素子(58)を駆動するための駆動信号波形を生成する複数の駆動波形発生回路(130A〜130D)と、駆動波形発生回路を選択的に切り替える回路選択手段(120,146)と、画像データに基づき、各駆動波形発生回路の瞬間消費電流がそれぞれ所定の許容値以下となるように、駆動に使用する少なくとも1つの駆動波形発生回路を選択し、圧力発生素子との接続を制御する接続制御手段(116)と、電源の瞬間消費電流が所定の上限値以下となるように、複数の駆動信号波形の位相を制御する位相制御手段(116)を備える。
【選択図】 図9

Description

本発明は画像形成装置及び液体吐出ヘッドの駆動制御方法に係り、特に多数の吐出口(ノズル)に対応した圧力発生素子を有する液体吐出ヘッドを用いて描画を行う画像形成装置及びこれに好適な液体吐出ヘッドの駆動制御技術に関する。
一般に、インクジェット方式の記録装置(インクジェットプリンタ)では、ホストコンピュータから入力された印刷用の画像データを展開してなるドットパターンデータ(「ドットデータ」或いは「印字データ」ともいう。)に基づいて、記録ヘッドのノズルからそれぞれ所定のタイミングでインク滴を吐出させ、これらの各インク滴が記録紙等の印刷記録媒体に着弾し付着することにより印刷が行われる。
記録ヘッドの方式として、例えば、ノズル開口に連通する圧力室(圧力発生室)の体積を変化させるとによりインク滴の吐出を行う方式が知られている。この種の記録ヘッドは、圧力室を区画形成している周壁の一部に面外方向に弾性変形可能な振動板を形成し、この振動板を圧電素子に代表される圧力発生素子によって振動させることにより圧力室の容積を変化させている。
通常、ノズル開口は記録ヘッドに複数形成され、これら複数のノズル開口ごとに圧力室及び圧電素子が設けられている。全ての圧電素子は共通の給電線とグランド線との間に並列に電気的接続され、かつ、各圧電素子に対してはスイッチング素子が直列に電気的接続される。圧電素子を駆動するための信号(駆動波形)は、駆動波形生成回路で生成され、給電線及びスイッチング素子を介して各圧電素子に選択的に分配供給される。
すなわち、印字データに基づいて所定のスイッチング素子が選択されてオンすると、給電線を介して圧電素子に駆動波形が印加され、当該駆動波形が印加された圧電素子に対応する所定のノズル開口からインク滴が吐出される。
上記のように圧電素子を用いるインクジェット記録装置においては、インク体積が異なる複数種類のインク滴(例えば、大ドット,中ドット,小ドット)を吐出させる複数の駆動波形要素を組み合わせた1つの共通駆動波形を用い、各圧電素子に対して必要な波形部分をスイッチによって選択的に印加する共通駆動回路方式が一般的である(特許文献1,2)。この方式は、複数の圧電素子に共通の駆動波形を同時に印加するため、駆動波形の生成回路を各圧電素子について個々に用意する必要がなく、高電圧高精度なアナログ回路の数及び配線数を削減できるという利点がある。
一方、近年、印刷速度の高速化等を目的として、ノズル数を非常に多く用意し、多数のノズルから同時にインクを吐出させ、高速に印字記録を行わせるような、アレイ方式或いはライン方式のプリンタも提案されている。多数のノズルを有するアレイ方式或いはライン方式の記録ヘッドにおいて、上述の共通駆動回路方式をそのまま適用すると、1つの駆動回路から出力される駆動波形で同時に多数の圧電素子を駆動するため、負荷変動による駆動波形が歪み、吐出不良となり、その結果、画質としてムラになるという問題がある。また、多数の圧電素子を同時に駆動するため、駆動回路内の電力増幅器を構成するトランジスタに、瞬間的に大きな電流が流れ、トランジスタの駆動能力(コレクタ電流の最大定格Icmax)を超えたり、発熱がトランジスタの損失(コレクタ損失の最大定格Pcmax)を超えたりする可能性がある。
これに対応するため、電力増幅器に使うトランジスタの大型化、放熱器サイズの大型化が考えられるが、吐出周期の短くなった駆動波形は、総じて波形の切り替え時間が高速になり、大型トランジスタでは高速応答に対応できないものが多く、最適な電力増幅器が存在せず、放熱器も非常に大きくなってしまう。
このため、従来、複数の駆動回路でノズルを駆動する構成が提案されている(特許文献3)。例えば、特許文献3では、記録ヘッドにおけるノズルをグループ分けし、グループ毎にそれぞれ別々の駆動回路でノズルを駆動する方法(回路分割方式)が提案されている。こうして複数の駆動回路で負荷を分担することにより、1つあたりの駆動回路にかかる負荷を軽減させ、駆動電流及び発熱を減らし、高速化可能な小型のトランジスタを使用することが可能になる。
しかし、このような従来の構成では、印字状況によって一部の駆動回路に負荷が集中する可能性があるため、その負荷集中の場合を想定して駆動回路を設計する必要がある。そのため、現実に生ずる負荷に比較して駆動回路の能力が過大になったり、駆動回路の搭載数が過大になったりする傾向がある。
通常の印刷では、全ての圧電素子を同時に駆動することは稀であり、一般的には、同時駆動する圧電素子数は、全素子数の半数以下である。特にカラープリンタで他色のインクを使う時などにその傾向は顕著であり、例えば、6色インクプリンタの場合、同時駆動する圧電素子数は、平均すると全圧電素子数の1/3程度である。
ところが、従来の回路分割方式では、あるノズルグループの負荷が極端に大きくなるような印刷、例えば、特定のインク色のみを使用する印刷では、一部の駆動回路にのみ負荷が集中してしまう。負荷が過度に集中している駆動回路と、集中していない駆動回路とでは、波形の歪みが変わり、インク吐出の状況が変わってくる。その結果として画質むらが発生する可能性がある。
かかる問題の一つの解決手段として、実際の負荷とは別に、動作させない圧電素子の代わりに、セラミックスコンデンサのようなダミー素子を駆動させることで、回路間の負荷ばらつきを抑制し、回路単体の波形歪みを減少させる試みがなされている。しかし、ダミー素子を用いる従来の方法は、少数のノズルしか使用しない場合にも全ての駆動信号発生部を作動させるので、無駄な電力を消費してしまう。
このため、圧電素子をグループ分けした複数の圧電素子群と、複数の駆動波形回路との接続を、吐出状況によってアナログスイッチなどで任意に切り替える方法が考えられる(特許文献4、5参照)。これにより、グループ分けした複数の圧電素子の状況によって、複数の駆動回路を使い分けることが可能になる。例えば、負荷が重いグループと負荷が軽いグループがあれば、アナログスイッチのマルチプレクッサ回路などで負荷が均等になるように駆動回路を使い分けることができる。あるいは、非常に負荷が軽い場合は、複数の駆動回路の一部を使用し、残りの駆動回路を使用しないことで、駆動回路の消費電力を抑えることもできる。
特許文献4、5で提案されている方法によれば、確かに駆動回路を分散させ、駆動状況によって回路を使い分けることができるので、回路の消費電力や発熱を抑制することができるが、駆動波形の印加タイミングによっては、瞬間消費電流の増加や、システム全体の電源容量が問題になってくる場合がある。すなわち、複数の駆動回路から同じタイミングで駆動波形を出力する場合、駆動回路自体は分割されて、個々の回路の負荷は軽減されていても、電源から見ると(システム全体から見ると)瞬間電流が大きくなり、十分に大きな電源容量を用意しなければならない。
また、電源容量を十分に大きくしても、記録ヘッド内及びその周辺の配線による抵抗があるため電圧降下が避けられない。その結果、駆動エネルギーが不足し、インクの吐出が不安定となり、記録画像が不良となる可能性がある。
このような問題を回避するために、画像データに基づき、CPUや画像処理ASICなどで、同時に吐出するノズル数を解析算出し、算出したノズル数が所定値を超えた場合、超えた分だけ吐出動作を中止する、あるいは次の吐出動作へ遅らせる方法がある(特許文献6)。また、スイッチICなどで、スイッチのオンする数や、スイッチICに流れる電流、温度等を電気的に検出して、一定の条件を超えると強制的に吐出を中止する方法もある(特許文献7)。
特開2002−154207号公報 特開2000−37867号公報 特開平6−127034号公報 特開2001−293856号公報 特開2002−103617号公報 特開2002−283556号公報 特開2003−291342号公報
上述した瞬間消費電流並びにシステム全体の電源容量についても課題を解決する他の方法として、多数のノズルを複数のブロックに分割し、ブロックごとに別々のタイミングで駆動する時分割駆動を行うことが考えられる。別々のタイミングで駆動することで、瞬間的な消費電力は抑制され、平均消費電力に近づくため、電源の容量を小さくすることができる。
しかしながら、非常に多くの圧電素子を単純に別々のタイミングで駆動したのでは、印字速度は低下し、ライン方式の記録ヘッドの特徴であるスループットを低下させ、プリンタとしての性能を落とすことになる。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、駆動回路の過負荷を軽減させ、駆動回路間の波形歪みに起因する画質のむらを低減して画質の向上を達成するとともに、回路規模の小型化、電源容量の低減、プリントの高速化等を実現可能な画像形成装置及びこれに好適な液体吐出ヘッドの駆動制御方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、請求項1に係る発明の画像形成装置は、複数のノズルと前記複数のノズルに対応して設けられた複数の圧力発生素子とを有し、前記圧力発生素子に駆動用の信号を与えて前記ノズルから記録液体を吐出させる液体吐出ヘッドと、前記圧力発生素子を駆動するための駆動信号波形を生成する複数の駆動波形発生回路と、前記複数の駆動波形発生回路のうち前記圧力発生素子に対して前記駆動信号波形を与える駆動波形発生回路を選択的に切り替える回路選択手段と、前記駆動波形発生回路を介して前記圧力発生素子に電力を供給する電源と、描画すべき画像を表す画像データに基づき、各駆動波形発生回路の瞬間消費電流がそれぞれ所定の許容値以下となるように、前記複数の駆動波形発生回路の中から前記圧力発生素子の駆動に使用する少なくとも1つの駆動波形発生回路を選択し、該選択した駆動波形発生回路と前記圧力発生素子との接続を制御する接続制御手段と、前記電源の瞬間消費電流が所定の上限値以下となるように、前記複数の駆動波形発生回路で生成される駆動信号波形の位相を制御する位相制御手段と、を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、1つの圧力発生素子に対して複数の駆動波形発生回路から駆動信号波形を選択的に印加できる構成とし、画像データに基づいて、複数の駆動波形発生回路を選択して使い分けることで、各駆動波形発生回路が負担する負荷を分散させている。これにより、1駆動波形発生回路への過剰な負荷集中が回避され、駆動波形の歪みが軽減されるため、波形歪みに起因する画質のむらが抑制されるとともに、プリントの高速化も実現できる。
また、負荷の分散により、各駆動波形発生回路で発生する消費電力、発熱等を分散させることができ、回路規模の小型化、放熱器の小型化等を達成できる。なお、2以上の駆動波形発生回路で負荷を分担する場合、各回路の負荷を略均等にすることがより好ましい。
さらに、本発明では、各駆動波形発生回路の瞬間消費電流がそれぞれ所定の許容値(第1の許容値)以下となるように、負荷を分散させるとともに、電源の瞬間消費電流(つまり、システム全体の瞬間消費電流)が所定の上限値(第2の許容値)以下となるように、複数の駆動信号波形の位相を適宜調整することができる。
容量性負荷となる圧力発生素子に流れる駆動電流は、駆動波形の変化部分(立ち上がり部及び立ち下がり部)で充放電される。したがって、駆動信号波形の立ち上がり部及び立ち下がり部に相当する期間(波形の傾きがある期間)に比較的大きな駆動電流が流れ、それ以外のとき(波形の傾きがないフラット部分)は、殆ど電流が流れない。したがって、複数の駆動信号波形の位相をずらして、立ち上がり部及び立ち下がり部の少なくとも一方の期間の重複を避けることで、システム全体の瞬間消費電流を低減することができる。
また、各駆動波形生成回路から体積が異なる複数種類の液滴を吐出するための複数の吐出波形要素を含んだ共通駆動波形をそれぞれ発生させる場合、これら複数の共通駆動波形の位相をずらし、吐出に必要な波形要素部分を複数の共通駆動波形から選択的に圧力発生素子に印加することにより、高速打滴も可能となる。
本発明における「圧力発生素子」として、例えば、記録液体が収容される液室(圧力室)の体積を変化させる圧電素子その他のアクチュエータを用いる態様、或いは、液室内の液を加熱発泡させるヒータ(加熱素子)を用いる態様がある。
本発明における「所定の許容値」は、例えば、駆動波形発生回路の駆動能力に基づいて設定される。複数の駆動波形発生回路について、それぞれ個別に「所定の許容値」を設定してもよいが、略同一の駆動能力を有する複数の駆動波形発生回路を用いる場合などは、各回路共通に適用される「所定の許容値」を設定しておくことが好ましい。
また、本発明における「所定の上限値」は、例えば、電源の容量、各駆動波形発生回路の駆動能力などから設定される。
請求項2に係る発明の画像形成装置は、複数のノズルと前記複数のノズルに対応して設けられた複数の圧力発生素子とを有し、前記圧力発生素子に駆動用の信号を与えて前記ノズルから記録液体を吐出させる液体吐出ヘッドと、前記圧力発生素子を駆動するための駆動信号波形を生成する複数の駆動波形発生回路と、前記複数の駆動波形発生回路で生成する駆動信号波形の位相を制御する位相制御手段と、前記複数の駆動波形発生回路のうち前記圧力発生素子に対して前記駆動信号波形を与える駆動波形発生回路を選択的に切り替える回路選択手段と、描画すべき画像を表す画像データの画像処理結果に基づき、前記画像処理結果を反映した画像形成を実現する記録液体の吐出を行うために、前記圧力発生素子の駆動に使用する2以上の駆動波形発生回路を選択するとともに、該選択した2以上の駆
動波形発生回路から異なるタイミングで前記圧力素子に駆動信号波形を印加するように、各駆動波形発生回路と前記圧力発生素子との接続を制御する接続制御手段と、を備えたことを特徴とする。
請求項2に係る発明によれば、複数の駆動信号波形の位相をずらし、異なるタイミングで選択的に駆動波形を圧力発生素子に印加することにより、打滴回数による階調表現や打滴位置の制御、打滴間隔制御などを行い、その打滴結果のドット配置において画像処理的な効果を得ることができる。
請求項3に係る発明の画像形成装置は、複数のノズルと前記複数のノズルに対応して設けられた複数の圧力発生素子とを有し、前記圧力発生素子に駆動用の信号を与えて前記ノズルから記録液体を吐出させる液体吐出ヘッドと、前記圧力発生素子を駆動するための駆動信号波形を生成する複数の駆動波形発生回路と、前記複数の駆動波形発生回路のうち前記圧力発生素子に対して前記駆動信号波形を与える駆動波形発生回路を選択的に切り替える回路選択手段と、描画すべき画像を表す画像データ及び前記圧力発生素子の駆動履歴に基づいて、前記複数の駆動波形発生回路の中から前記圧力発生素子の駆動に使用する駆動波形発生回路を選択し、該選択した駆動波形発生回路と前記圧力発生素子との接続を制御する選択制御手段と、を備えたことを特徴とする。
複数の駆動波形発生回路を用いる場合、各駆動波形発生回路の駆動能力を略同等に設計したとしても、回路ごとの性能にばらつきが発生し得る。同様に、複数の圧力発生素子についても素子ごとのばらつきがあり得る。したがって、特定のノズルの圧力発生素子をいつも同じ駆動波形発生回路で駆動すると、吐出結果の画像に、当該駆動波形発生回路とノズルとの組み合わせに特有の特性が発現し、画質むらとして視認される可能性がある。
請求項3に係る発明によれば、圧力発生素子の駆動履歴を考慮して、圧力発生素子を駆動するための駆動波形発生回路を1画像内で適宜変更することができるため、上記特性の発現を画像上で分散させることができ、画質むらの発生を抑制できる。
請求項3の発明において「駆動履歴」には、例えば、各圧力発生素子の駆動の有無(該当ノズルからの吐出の有無)を示す情報や、どの駆動波形発生回路で駆動したかを示す情報(駆動時における駆動波形発生回路の選択情報)などが含まれる。履歴情報を記憶する記憶手段(メモリなど)を具備し、前の吐出で使用した駆動波形発生回路とは別の駆動波形発生回路を選択するように制御する態様がある。
請求項4に係る発明の画像形成装置は、複数のノズルと前記複数のノズルに対応して設けられた複数の圧力発生素子とを有し、前記圧力発生素子に駆動用の信号を与えて前記ノズルから記録液体を吐出させる液体吐出ヘッドと、前記圧力発生素子を駆動するための駆動信号波形を生成する複数の駆動波形発生回路と、前記複数の駆動波形発生回路で生成する駆動信号波形の位相を制御する位相制御手段と、前記複数の駆動波形発生回路のうち前記圧力発生素子に対して前記駆動信号波形を与える駆動波形発生回路を選択的に切り替える回路選択手段と、描画すべき画像を表す画像データに基づき、駆動対象となるノズルの位置を把握し、互いに隣接するノズルの圧力発生素子同士又は隣接する配線を有する圧力発生素子同士については、それぞれ異なる駆動波形発生回路から位相の異なる駆動信号波形の供給を受けるように、前記複数の駆動波形発生回路の中から前記圧力発生素子の駆動に使用する駆動波形発生回路を選択し、該選択した各駆動波形発生回路と前記圧力発生素子との接続を制御する接続制御手段と、を備えたことを特徴とする。
請求項4に係る発明によれば、互いに隣接するノズルの圧力発生素子同士又は隣接する配線を有する圧力発生素子同士について、それぞれ駆動波形生成回路を分離するとともに
、位相をずらした駆動波形を使用することにより、電気的なクロストークを低減することができる。これにより、電気的なクロストークに起因するむらを軽減でき、画質の向上を実現できる。
請求項5に係る発明の画像形成装置は、複数のノズルと前記複数のノズルに対応して設けられた複数の圧力発生素子とを有し、前記圧力発生素子に駆動用の信号を与えて前記ノズルから記録液体を吐出させる液体吐出ヘッドと、前記圧力発生素子を駆動するための駆動信号波形を生成する複数の駆動波形発生回路と、前記複数の駆動波形発生回路で生成する駆動信号波形の位相を制御する位相制御手段と、前記複数の駆動波形発生回路のうち前記圧力発生素子に対して前記駆動信号波形を与える駆動波形発生回路を選択的に切り替える回路選択手段と、描画すべき画像を表す画像データに基づき、駆動対象となるノズルの位置を把握し、同じ流路を共有し隣接するノズルの圧力発生素子同士については、それぞれ異なる駆動波形発生回路から位相の異なる駆動信号波形の供給を受けるように、前記複数の駆動波形発生回路の中から前記圧力発生素子の駆動に使用する駆動波形発生回路を選択し、該選択した各駆動波形発生回路と前記圧力発生素子との接続を制御する選択制御手段と、を備えたことを特徴とする。
請求項5に係る発明によれば、同じ流路を共有して隣接するノズルの圧力発生素子同士について、それぞれ駆動波形生成回路を分離するとともに、位相をずらした駆動波形を使用することにより、流路内における液体の圧力伝搬によるクロストーク(流体的なクロストーク)を低減することがでる。これにより、流体的なクロストークに起因するむらを軽減でき、画質の向上を実現できる。
上述した請求項1乃至5に記載の各発明を適宜組み合わせる構成も可能である。また、請求項1乃至5に記載した発明における「液体吐出ヘッド」の構成例として、記録媒体の全幅に対応する長さにわたってインク吐出用の複数のノズルを配列させたノズル列を有するフルライン型のインクジェットヘッドを用いることができる。
この場合、記録媒体の全幅に対応する長さに満たないノズル列を有する比較的短尺の吐出ヘッドブロックを複数個組み合わせ、これらを繋ぎ合わせることで長尺化し、全体として記録媒体の全幅に対応するノズル列を構成する態様がある。
フルライン型のインクジェットヘッドは、通常、記録媒体の相対的な送り方向(相対的搬送方向)と直交する方向に沿って配置されるが、搬送方向と直交する方向に対して、ある所定の角度を持たせた斜め方向に沿ってインクジェットヘッドを配置する態様もあり得る。
「記録媒体」は、液体吐出ヘッドの作用によって画像の記録を受ける媒体(被吐出媒体、印字媒体、被画像形成媒体、被記録媒体、受像媒体など呼ばれ得るもの)であり、連続用紙、カット紙、シール用紙、OHPシート等の樹脂シート、フイルム、布、配線パターン等が形成されるプリント基板、中間転写媒体、その他材質や形状を問わず、様々な媒体を含む。
記録媒体と液体吐出ヘッドを相対的に移動させる搬送手段は、停止した(固定された)液体吐出ヘッドに対して記録媒体を搬送する態様、停止した記録媒体に対して液体吐出ヘッドを移動させる態様、或いは、液体吐出ヘッドと記録媒体の両方を移動させる態様の何れをも含む。
なお、本明細書において「印字」という用語は、文字を含む広い意味での画像を形成する概念を表すものとする。
請求項6乃至請求項10に係る発明は、前記目的を達成する方法発明を提供する。すなわち、請求項6に係る発明は、複数のノズルと前記複数のノズルに対応して設けられた複数の圧力発生素子とを有する液体吐出ヘッドの駆動制御方法であって、前記圧力発生素子を駆動するための駆動信号波形を生成する複数の駆動波形発生回路を設け、1つの圧力発生素子に対して少なくとも2つの駆動波形発生回路から選択的に前記駆動信号波形を印加できるように、前記圧力発生素子と前記駆動波形発生回路との接続関係を切り替え可能に構成し、描画すべき画像を表す画像データに基づき、駆動対象のノズル数及びノズル位置を把握して前記駆動波形発生回路の負荷を予測し、各駆動波形発生回路の瞬間消費電流がそれぞれ所定の許容値以下となるように、前記複数の駆動波形発生回路の中から前記圧力発生素子の駆動に使用する少なくとも1つの駆動波形発生回路を選択し、該決定した駆動波形発生回路と前記圧力発生素子との接続を制御するとともに、前記駆動波形発生回路を介して前記圧力発生素子に電力を供給する電源の瞬間消費電流が所定の上限値以下となるように、前記複数の駆動波形発生回路から出力される駆動信号波形の位相を制御することを特徴とする。
請求項7に係る発明は、複数のノズルと前記複数のノズルに対応して設けられた複数の圧力発生素子とを有する液体吐出ヘッドの駆動制御方法であって、前記圧力発生素子を駆動するための駆動信号波形を生成する複数の駆動波形発生回路を設け、前記複数の駆動波形発生回路で生成する駆動信号波形の位相を制御可能とするとともに、1つの圧力発生素子に対して少なくとも2つの駆動波形発生回路から選択的に前記駆動信号波形を印加できるように、前記圧力発生素子と前記駆動波形発生回路との接続関係を切り替え可能に構成し、描画すべき画像を表す画像データの画像処理結果に基づき、前記画像処理結果を反映した画像形成を実現する記録液体の吐出を行うために、前記圧力発生素子の駆動に使用する2以上の駆動波形発生回路を選択するとともに、該選択した2以上の駆動波形発生回路から異なるタイミングで前記圧力素子に駆動信号波形を印加するように、各駆動波形発生回路と前記圧力発生素子との接続を制御することを特徴とする。
請求項8に係る発明は、複数のノズルと前記複数のノズルに対応して設けられた複数の圧力発生素子とを有する液体吐出ヘッドの駆動制御方法であって、前記圧力発生素子を駆動するための駆動信号波形を生成する複数の駆動波形発生回路を設け、1つの圧力発生素子に対して少なくとも2つの駆動波形発生回路から選択的に前記駆動信号波形を印加できるように、前記圧力発生素子と前記駆動波形発生回路との接続関係を切り替え可能に構成し、描画すべき画像を表す画像データ及び前記圧力発生素子の駆動履歴に基づいて、各駆動波形発生回路の使用頻度を分散させるように、前記複数の駆動波形発生回路の中から前記圧力発生素子の駆動に使用する駆動波形発生回路を選択し、該選択した駆動波形発生回路と前記圧力発生素子との接続を制御することを特徴とする。
請求項9に係る発明は、複数のノズルと前記複数のノズルに対応して設けられた複数の圧力発生素子とを有する液体吐出ヘッドの駆動制御方法であって、前記圧力発生素子を駆動するための駆動信号波形を生成する複数の駆動波形発生回路を設け、前記複数の駆動波形発生回路で生成する駆動信号波形の位相を制御可能とするとともに、1つの圧力発生素子に対して少なくとも2つの駆動波形発生回路から選択的に前記駆動信号波形を印加できるように、前記圧力発生素子と前記駆動波形発生回路との接続関係を切り替え可能に構成し、描画すべき画像を表す画像データに基づき、駆動対象となるノズルの位置を把握し、互いに隣接するノズルの圧力発生素子同士又は隣接する配線を有する圧力発生素子同士については、それぞれ異なる駆動波形発生回路から位相の異なる駆動信号波形の供給を受けるように、前記複数の駆動波形発生回路の中から前記圧力発生素子の駆動に使用する駆動波形発生回路を選択し、該選択した各駆動波形発生回路と前記圧力発生素子との接続を制御することを特徴とする。
請求項10に係る発明は、複数のノズルと前記複数のノズルに対応して設けられた複数の圧力発生素子とを有する液体吐出ヘッドの駆動制御方法であって、前記圧力発生素子を駆動するための駆動信号波形を生成する複数の駆動波形発生回路を設け、前記複数の駆動波形発生回路で生成する駆動信号波形の位相を制御可能とするとともに、1つの圧力発生素子に対して少なくとも2つの駆動波形発生回路から選択的に前記駆動信号波形を印加できるように、前記圧力発生素子と前記駆動波形発生回路との接続関係を切り替え可能に構成し、描画すべき画像を表す画像データに基づき、駆動対象となるノズルの位置を把握し、同じ流路を共有し隣接するノズルの圧力発生素子同士については、それぞれ異なる駆動波形発生回路から位相の異なる駆動信号波形の供給を受けるように、前記複数の駆動波形発生回路の中から前記圧力発生素子の駆動に使用する駆動波形発生回路を選択し、該選択した各駆動波形発生回路と前記圧力発生素子との接続を制御することを特徴とする。
本発明によれば、複数の駆動波形発生回路を備え、画像データに基づいてこれら複数の駆動波形発生回路を適宜選択して使い分ける構成にしたので、各駆動波形発生回路の負荷を制御でき、駆動波形の歪みに起因する画質のむらを抑制できるとともに、プリントの高速化も実現できる。また、負荷の分散によって、各駆動波形発生回路で発生する消費電力、発熱等を分散させることができ、回路規模の小型化、放熱器の小型化等を達成できる。さらに、複数の駆動信号波形の位相を適宜制御することで、各駆動波形発生回路の瞬間消費電流を低減させることができるだけでなく、システム全体の(電源の)瞬間消費電流を低減できる。
本発明の他の態様によれば、複数の駆動信号波形の位相をずらし、異なるタイミングで選択的に駆動波形を圧力発生素子に印加することにより、画像処理的な効果を得ることができる。
本発明のさらに他の態様によれば、圧力発生素子の駆動履歴を考慮して、駆動波形発生回路を選択するため、駆動波形発生回路のばらつきや圧力発生素子のばらつきに起因する画質むらの発生を抑制できる。
また、本発明の他の態様によれば、互いに隣接するノズルの圧力発生素子同士又は隣接する配線を有する圧力発生素子同士について、異なる駆動波形生成回路から位相をずらした駆動波形を印加することにより、電気的なクロストークに起因するむらを軽減でき、画質の向上を実現できる。
さらに、本発明の他の態様によれば、同じ流路を共有して隣接するノズルの圧力発生素子同士について、異なる駆動波形生成回路から位相をずらした駆動波形を印加することにより、流体的なクロストークに起因するむらを軽減でき、画質の向上を実現できる。
以下添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
〔インクジェット記録装置の全体構成〕
図1は本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置の全体構成図である。同図に示したように、このインクジェット記録装置10は、黒(K),シアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y)の各インクに対応して設けられた複数のインクジェットヘッド(以下、ヘッドという。)12K,12C,12M,12Yを有する印字部12と、各ヘッド12K,12C,12M,12Yに供給するインクを貯蔵しておくインク貯蔵/装填部14と、記録媒体たる記録紙16を供給する給紙部18と、記録紙16のカールを除去する
デカール処理部20と、前記印字部12のノズル面(インク吐出面)に対向して配置され、記録紙16の平面性を保持しながら記録紙16を搬送する吸着ベルト搬送部22と、印字部12による印字結果を読み取る印字検出部24と、記録済みの記録紙(プリント物)を外部に排紙する排紙部26と、を備えている。
インク貯蔵/装填部14は、各ヘッド12K,12C,12M,12Yに対応する色のインクを貯蔵するインクタンクを有し、各タンクは所要の管路を介してヘッド12K,12C,12M,12Yと連通されている。また、インク貯蔵/装填部14は、インク残量が少なくなるとその旨を報知する報知手段(表示手段、警告音発生手段)を備えるとともに、色間の誤装填を防止するための機構を有している。
図1では、給紙部18の一例としてロール紙(連続用紙)のマガジンが示されているが、紙幅や紙質等が異なる複数のマガジンを併設してもよい。また、ロール紙のマガジンに代えて、又はこれと併用して、カット紙が積層装填されたカセットによって用紙を供給してもよい。
複数種類の記録紙を利用可能な構成にした場合、紙の種類情報を記録したバーコード或いは無線タグなどの情報記録体をマガジンに取り付け、その情報記録体の情報を所定の読取装置によって読み取ることで、使用される記録媒体の種類(メディア種)を自動的に判別し、メディア種に応じて適切なインク吐出を実現するようにインク吐出制御を行うことが好ましい。
給紙部18から送り出される記録紙16はマガジンに装填されていたことによる巻きクセが残り、カールする。このカールを除去するために、デカール処理部20においてマガジンの巻きクセ方向と逆方向に加熱ドラム30で記録紙16に熱を与える。このとき、多少印字面が外側に弱いカールとなるように加熱温度を制御するとより好ましい。
ロール紙を使用する装置構成の場合、図1のように、裁断用のカッター(第1のカッター)28が設けられており、該カッター28によってロール紙は所望のサイズにカットされる。カッター28は、記録紙16の搬送路幅以上の長さを有する固定刃28Aと、該固定刃28Aに沿って移動する丸刃28Bとから構成されており、印字裏面側に固定刃28Aが設けられ、搬送路を挟んで印字面側に丸刃28Bが配置される。なお、カット紙を使用する場合には、カッター28は不要である。
デカール処理後、カットされた記録紙16は、吸着ベルト搬送部22へと送られる。吸着ベルト搬送部22は、ローラ31、32間に無端状のベルト33が巻き掛けられた構造を有し、少なくとも印字部12のノズル面及び印字検出部24のセンサ面に対向する部分が水平面(フラット面)をなすように構成されている。
ベルト33は、記録紙16の幅よりも広い幅寸法を有しており、ベルト面には多数の吸引穴(不図示)が形成されている。図1に示したとおり、ローラ31、32間に掛け渡されたベルト33の内側において印字部12のノズル面及び印字検出部24のセンサ面に対向する位置には吸着チャンバ34が設けられており、この吸着チャンバ34をファン35で吸引して負圧にすることによって記録紙16がベルト33上に吸着保持される。
ベルト33が巻かれているローラ31、32の少なくとも一方にモータ(図7中符号88)の動力が伝達されることにより、ベルト33は図1上の時計回り方向に駆動され、ベルト33上に保持された記録紙16は図1の左から右へと搬送される。
縁無しプリント等を印字するとベルト33上にもインクが付着するので、ベルト33の
外側の所定位置(印字領域以外の適当な位置)にベルト清掃部36が設けられている。ベルト清掃部36の構成について詳細は図示しないが、例えば、ブラシ・ロール、吸水ロール等をニップする方式、清浄エアーを吹き掛けるエアーブロー方式、或いはこれらの組み合わせなどがある。清掃用ロールをニップする方式の場合、ベルト線速度とローラ線速度を変えると清掃効果が大きい。
なお、吸着ベルト搬送部22に代えて、ローラ・ニップ搬送機構を用いる態様も考えられるが、印字領域をローラ・ニップ搬送すると、印字直後に用紙の印字面をローラが接触するので画像が滲み易いという問題がある。したがって、本例のように、印字領域では画像面を接触させない吸着ベルト搬送が好ましい。
吸着ベルト搬送部22により形成される用紙搬送路上において印字部12の上流側には、加熱ファン40が設けられている。加熱ファン40は、印字前の記録紙16に加熱空気を吹き付け、記録紙16を加熱する。印字直前に記録紙16を加熱しておくことにより、インクが着弾後乾き易くなる。
印字部12の各ヘッド12K,12C,12M,12Yは、当該インクジェット記録装置10が対象とする記録紙16の最大紙幅に対応する長さを有し、そのノズル面には最大サイズの記録媒体の少なくとも一辺を超える長さ(描画可能範囲の全幅)にわたりインク吐出用のノズルが複数配列されたフルライン型のヘッドとなっている(図2参照)。
ヘッド12K,12C,12M,12Yは、記録紙16の送り方向に沿って上流側から黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の色順に配置され、それぞれのヘッド12K,12C,12M,12Yが記録紙16の搬送方向と略直交する方向に沿って延在するように固定設置される。
吸着ベルト搬送部22により記録紙16を搬送しつつ各ヘッド12K,12C,12M,12Yからそれぞれ異色のインクを吐出することにより記録紙16上にカラー画像を形成し得る。
このように、紙幅の全域をカバーするノズル列を有するフルライン型のヘッド12K,12C,12M,12Yを色別に設ける構成によれば、紙送り方向(副走査方向)について記録紙16と印字部12を相対的に移動させる動作を1回行うだけで(すなわち1回の副走査で)、記録紙16の全面に画像を記録することができる。これにより、記録ヘッドが紙搬送方向と直交する方向に往復動作するシャトル型ヘッドに比べて高速印字が可能であり、生産性を向上させることができる。
本例では、KCMYの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組み合わせについては本実施形態に限定されず、必要に応じて淡インク、濃インク、特別色インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インクを吐出するインクジェットヘッドを追加する構成も可能である。また、各色ヘッドの配置順序も特に限定はない。
図1に示した印字検出部24は、印字部12の打滴結果を撮像するためのイメージセンサを含み、該イメージセンサによって読み取った打滴画像からノズルの目詰まりその他の吐出不良をチェックする手段として機能する。
本例の印字検出部24は、少なくとも各ヘッド12K,12C,12M,12Yによるインク吐出幅(画像記録幅)よりも幅の広い受光素子列を有するラインセンサで構成される。このラインセンサは、赤(R)の色フィルタが設けられた光電変換素子(画素)がラ
イン状に配列されたRセンサ列と、緑(G)の色フィルタが設けられたGセンサ列と、青(B)の色フィルタが設けられたBセンサ列と、からなる色分解ラインCCDセンサで構成されている。なお、ラインセンサに代えて、受光素子が2次元配列されて成るエリアセンサを用いることも可能である。
各色のヘッド12K,12C,12M,12Yにより印字されたテストパターン又は実技画像が印字検出部24により読み取られ、各ヘッドの吐出判定が行われる。吐出判定は、吐出の有無、ドットサイズの測定、ドット着弾位置の測定などで構成される。
印字検出部24の後段には後乾燥部42が設けられている。後乾燥部42は、印字された画像面を乾燥させる手段であり、例えば、加熱ファンが用いられる。印字後のインクが乾燥するまでは印字面と接触することは避けたほうが好ましいので、熱風を吹き付ける方式が好ましい。
多孔質のペーパーに染料系インクで印字した場合などでは、加圧によりペーパーの孔を塞ぐことでオゾンなど、染料分子を壊す原因となるものと接触することを防ぐことで画像の耐候性がアップする効果がある。
後乾燥部42の後段には、加熱・加圧部44が設けられている。加熱・加圧部44は、画像表面の光沢度を制御するための手段であり、画像面を加熱しながら所定の表面凹凸形状を有する加圧ローラ45で加圧し、画像面に凹凸形状を転写する。
こうして生成されたプリント物は排紙部26から排出される。本来プリントすべき本画像(目的の画像を印刷したもの)とテスト印字とは分けて排出することが好ましい。このインクジェット記録装置10では、本画像のプリント物と、テスト印字のプリント物とを選別してそれぞれの排出部26A、26Bへと送るために排紙経路を切り換える不図示の選別手段が設けられている。なお、大きめの用紙に本画像とテスト印字とを同時に並列に形成する場合は、カッター(第2のカッター)48によってテスト印字の部分を切り離す。カッター48は、排紙部26の直前に設けられており、画像余白部にテスト印字を行った場合に本画像とテスト印字部を切断するためのものである。カッター48の構造は前述した第1のカッター28と同様であり、固定刃48Aと丸刃48Bとから構成される。
また、図1には示さないが、本画像の排出部26Aには、オーダー別に画像を集積するソーターが設けられる。
〔ヘッドの構造〕
次に、ヘッドの構造について説明する。色別の各ヘッド12K,12C,12M,12Yの構造は共通しているので、以下、これらを代表して符号50によってヘッドを示すものとする。
図3(a) はヘッド50の構造例を示す平面透視図であり、図3(b) はその一部の拡大図である。また、図3(c) はヘッド50の他の構造例を示す平面透視図、図4は1つの液滴吐出素子(1つのノズル51に対応したインク室ユニット)の立体的構成を示す断面図(図3(a) 中の4−4線に沿う断面図)である。
記録紙16上に印字されるドットピッチを高密度化するためには、ヘッド50におけるノズルピッチを高密度化する必要がある。本例のヘッド50は、図3(a),(b) に示したように、インク滴の吐出口であるノズル51と、各ノズル51に対応する圧力室52等からなる複数のインク室ユニット(液滴吐出素子)53を千鳥でマトリクス状に(2次元的に)配置させた構造を有し、これにより、ヘッド長手方向(紙送り方向と直交する方向)に
沿って並ぶように投影される実質的なノズル間隔(投影ノズルピッチ)の高密度化を達成している。
記録紙16の送り方向と略直交する方向に記録紙16の全幅に対応する長さにわたり1列以上のノズル列を構成する形態は本例に限定されない。例えば、図3(a) の構成に代えて、図3(c) に示すように、複数のノズル51が2次元に配列された短尺のヘッドブロック50’を千鳥状に配列して繋ぎ合わせることで記録紙16の全幅に対応する長さのノズル列を有するラインヘッドを構成してもよい。
各ノズル51に対応して設けられている圧力室52は、その平面形状が概略正方形となっており(図3(a),(b) 参照)、対角線上の両隅部にノズル51への流出口と供給インクの流入口(供給口)54が設けられている。
図4に示したように、各圧力室52は供給口54を介して共通流路55と連通されている。共通流路55はインク供給源たるインクタンク(図4中不図示、図6中符号60として記載)と連通しており、インクタンク60から供給されるインクは図4の共通流路55を介して各圧力室52に分配供給される。
圧力室52の天面を構成している加圧板(共通電極と兼用される振動板)56には個別電極57を備えたアクチュエータ58(圧力発生素子に相当)が接合されている。個別電極57に駆動電圧を印加することによってアクチュエータ58が変形して圧力室52の容積が変化し、これに伴う圧力変化によりノズル51からインクが吐出される。なお、アクチュエータ58には、ピエゾ素子に代表される圧電素子が好適に用いられる。インク吐出後、共通流路55から供給口54を通って新しいインクが圧力室52に供給される。
かかる構造を有するインク室ユニット53を図5に示す如く主走査方向に沿う行方向及び主走査方向に対して直交しない一定の角度θを有する斜めの列方向とに沿って一定の配列パターンで格子状に多数配列させることにより、本例の高密度ノズルヘッドが実現されている。
すなわち、主走査方向に対してある角度θの方向に沿ってインク室ユニット53を一定のピッチdで複数配列する構造により、主走査方向に並ぶように投影されたノズルのピッチPはd× cosθとなり、主走査方向については、各ノズル51が一定のピッチPで直線状に配列されたものと等価的に取り扱うことができる。このような構成により、主走査方向に並ぶように投影されるノズル列が1インチ当たり2400個(2400ノズル/インチ)におよぶ高密度のノズル構成を実現することが可能になる。
なお、印字可能幅の全幅に対応した長さのノズル列を有するフルラインヘッドで、ノズルを駆動する時には、(1)全ノズルを同時に駆動する、(2)ノズルを片方から他方に向かって順次駆動する、(3)ノズルをブロックに分割して、ブロックごとに片方から他方に向かって順次駆動する等が行われ、用紙の幅方向(用紙の搬送方向と直交する方向)に1ライン(1列のドットによるライン又は複数列のドットから成るライン)を印字するようなノズルの駆動を主走査と定義する。
特に、図5に示すようなマトリクス状に配置されたノズル51を駆動する場合は、上記(3)のような主走査が好ましい。すなわち、ノズル51-11 、51-12 、51-13 、51-14 、51-15 、51-16 を1つのブロックとし(他にはノズル51-21 、…、51-26 を1つのブロック、ノズル51-31 、…、51-36 を1つのブロック、…として)、記録紙16の搬送速度に応じてノズル51-11 、51-12 、…、51-16 を順次駆動することで記録紙16の幅方向に1ラインを印字する。
一方、上述したフルラインヘッドと用紙とを相対移動することによって、上述した主走査で形成された1ライン(1列のドットによるライン又は複数列のドットから成るライン)の印字を繰り返し行うことを副走査と定義する。なお、本発明の実施に際してノズルの配置構造は図示の例に限定されない。また、本実施形態では、ピエゾ素子(圧電素子)に代表されるアクチュエータ58の変形によってインク滴を飛ばす方式が採用されているが、本発明の実施に際して、インクを吐出させる方式は特に限定されず、ピエゾジェット方式に代えて、ヒータなどの発熱体によってインクを加熱して気泡を発生させ、その圧力でインク滴を飛ばすサーマルジェット方式など、各種方式を適用できる。
〔インク供給系の構成〕
図6はインクジェット記録装置10におけるインク供給系の構成を示した概要図である。インクタンク60はヘッド50にインクを供給する基タンクであり、図1で説明したインク貯蔵/装填部14に設置される。インクタンク60の形態には、インク残量が少なくなった場合に、不図示の補充口からインクを補充する方式と、タンクごと交換するカートリッジ方式とがある。使用用途に応じてインク種類を変える場合には、カートリッジ方式が適している。この場合、インクの種類情報をバーコード等で識別して、インク種類に応じた吐出制御を行うことが好ましい。なお、図6のインクタンク60は、先に記載した図1のインク貯蔵/装填部14と等価のものである。
図6に示したように、インクタンク60とヘッド50の中間には、異物や気泡を除去するためにフィルタ62が設けられている。フィルタ・メッシュサイズは、ノズル径と同等若しくはノズル径以下(一般的には、20μm程度)とすることが好ましい。図6には示さないが、ヘッド50の近傍又はヘッド50と一体にサブタンクを設ける構成も好ましい。サブタンクは、ヘッドの内圧変動を防止するダンパー効果及びリフィルを改善する機能を有する。
また、インクジェット記録装置10には、ノズル51の乾燥防止又はノズル近傍のインク粘度上昇を防止するための手段としてのキャップ64と、ノズル面50Aの清掃手段としてのクリーニングブレード66とが設けられている。これらキャップ64及びクリーニングブレード66を含むメンテナンスユニットは、不図示の移動機構によってヘッド50に対して相対移動可能であり、必要に応じて所定の退避位置からヘッド50下方のメンテナンス位置に移動される。
キャップ64は、図示せぬ昇降機構によってヘッド50に対して相対的に昇降変位される。電源OFF時や印刷待機時にキャップ64を所定の上昇位置まで上昇させ、ヘッド50に密着させることにより、ノズル面50Aをキャップ64で覆う。
クリーニングブレード66は、ゴムなどの弾性部材で構成されており、図示せぬブレード移動機構によりヘッド50のインク吐出面(ノズル板表面)に摺動可能である。ノズル板にインク液滴又は異物が付着した場合、クリーニングブレード66をノズル板に摺動させることでノズル板表面を拭き取り、ノズル板表面を清浄する。
印字中又は待機中において、特定のノズルの使用頻度が低くなり、ノズル近傍のインク粘度が上昇した場合、その劣化インクを排出すべくキャップ64に向かって予備吐出が行われる。
また、ヘッド50内のインク(圧力室52内)に気泡が混入した場合、ヘッド50にキャップ64を当て、吸引ポンプ67で圧力室52内のインク(気泡が混入したインク)を吸引により除去し、吸引除去したインクを回収タンク68へ送液する。この吸引動作は、
初期のインクのヘッド50への装填時、或いは長時間の停止後の使用開始時にも粘度上昇(固化)した劣化インクの吸い出しが行われる。
ヘッド50は、ある時間以上吐出しない状態が続くと、ノズル近傍のインク溶媒が蒸発してノズル近傍のインクの粘度が高くなってしまい、吐出駆動用のアクチュエータ58が動作してもノズル51からインクが吐出しなくなる。したがって、この様な状態になる手前で(アクチュエータ58の動作によってインク吐出が可能な粘度の範囲内で)、インク受けに向かってアクチュエータ58を動作させ、粘度が上昇したノズル近傍のインクを吐出させる「予備吐出」が行われる。また、ノズル面50Aの清掃手段として設けられているクリーニングブレード66等のワイパーによってノズル板表面の汚れを清掃した後に、このワイパー摺擦動作によってノズル51内に異物が混入するのを防止するためにも予備吐出が行われる。なお、予備吐出は、「空吐出」、「パージ」、「唾吐き」などと呼ばれる場合もある。
また、ノズル51や圧力室52に気泡が混入したり、ノズル51内のインクの粘度上昇があるレベルを超えたりすると、上記予備吐出ではインクを吐出できなくなるため、以下に述べる吸引動作を行う。
すなわち、ノズル51や圧力室52のインク内に気泡が混入した場合、或いはノズル51内のインク粘度があるレベル以上に上昇した場合には、アクチュエータ58を動作させてもノズル51からインクを吐出できなくなる。このような場合、ヘッド50のノズル面50Aに、圧力室52内のインクをポンプ等で吸い込む吸引手段を当接させて、気泡が混入したインク又は増粘インクを吸引する動作が行われる。
ただし、上記の吸引動作は、圧力室52内のインク全体に対して行われるためインク消費量が大きい。したがって、粘度上昇が少ない場合はなるべく予備吐出を行うことが好ましい。
〔制御系の説明〕
図7はインクジェット記録装置10のシステム構成を示す要部ブロック図である。インクジェット記録装置10は、通信インターフェース70、システムコントローラ72、画像メモリ74、ROM75、モータドライバ76、ヒータドライバ78、プリント制御部80、画像バッファメモリ82、ヘッドドライバ84等を備えている。
通信インターフェース70は、ホストコンピュータ86から送られてくる画像データを受信するインターフェース部である。通信インターフェース70にはUSB、IEEE1394、イーサネット、無線ネットワークなどのシリアルインターフェースやセントロニクスなどのパラレルインターフェースを適用することができる。この部分には、通信を高速化するためのバッファメモリ(不図示)を搭載してもよい。
ホストコンピュータ86から送出された画像データは通信インターフェース70を介してインクジェット記録装置10に取り込まれ、一旦画像メモリ74に記憶される。画像メモリ74は、通信インターフェース70を介して入力された画像を一旦格納する記憶手段であり、システムコントローラ72を通じてデータの読み書きが行われる。画像メモリ74は、半導体素子からなるメモリに限らず、ハードディスクなど磁気媒体を用いてもよい。
システムコントローラ72は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、所定のプログラムに従ってインクジェット記録装置10の全体を制御する制御装置として機能するとともに、各種演算を行う演算装置として機能する。すなわち、システ
ムコントローラ72は、通信インターフェース70、画像メモリ74、モータドライバ76、ヒータドライバ78等の各部を制御し、ホストコンピュータ86との間の通信制御、画像メモリ74の読み書き制御等を行うとともに、搬送系のモータ88やヒータ89を制御する制御信号を生成する。
ROM75には、システムコントローラ72のCPUが実行するプログラム及び制御に必要な各種データなどが格納されている。なお、ROM75は、書換不能な記憶手段であってもよいし、EEPROMのような書換可能な記憶手段であってもよい。画像メモリ74は、画像データの一時記憶領域として利用されるとともに、プログラムの展開領域及びCPUの演算作業領域としても利用される。
モータドライバ76は、システムコントローラ72からの指示にしたがってモータ88を駆動するドライバである。ヒータドライバ78は、システムコントローラ72からの指示にしたがって後乾燥部42等のヒータ89を駆動するドライバである。
プリント制御部80は、システムコントローラ72の制御に従い、画像メモリ74内の画像データから印字制御用の信号を生成するための各種加工、補正などの処理を行う信号処理機能を有し、生成した印字データ(ドットデータ)をヘッドドライバ84に供給する制御部である。プリント制御部80において所要の信号処理が施され、該画像データに基づいてヘッドドライバ84を介してヘッド50のインク液滴の吐出量や吐出タイミングの制御が行われる。これにより、所望のドットサイズやドット配置が実現される。
プリント制御部80には画像バッファメモリ82が備えられており、プリント制御部80における画像データ処理時に画像データやパラメータなどのデータが画像バッファメモリ82に一時的に格納される。なお、図7において画像バッファメモリ82はプリント制御部80に付随する態様で示されているが、画像メモリ74と兼用することも可能である。また、プリント制御部80とシステムコントローラ72とを統合して1つのプロセッサで構成する態様も可能である。
ヘッドドライバ84はプリント制御部80から与えられるドットデータに基づいて各色のヘッド12K,12C,12M,12Yのアクチュエータ58を駆動する。ヘッドドライバ84にはヘッドの駆動条件を一定に保つためのフィードバック制御系を含んでいてもよい。
印刷すべき画像のデータは、通信インターフェース70を介して外部から入力され、画像メモリ74に蓄えられる。この段階では、RGBの画像データが画像メモリ74に記憶される。
画像メモリ74に蓄えられた画像データは、システムコントローラ72を介してプリント制御部80に送られ、該プリント制御部80において既知のディザ法、誤差拡散法などの手法によりインク色ごとのドットデータに変換される。すなわち、プリント制御部80は、入力されたRGB画像データをKCMYの4色のドットデータに変換する処理を行う。プリント制御部80で生成されたドットデータは、画像バッファメモリ82に蓄えられる。
ヘッドドライバ84は、画像バッファメモリ82に記憶されたドットデータに基づき、ヘッド50の各アクチュエータ58を駆動するための信号を出力するヘッドドライバ84から出力された駆動信号がヘッド50に加えられることによって、ヘッド50からインクが吐出される。記録紙16の搬送速度に同期してヘッド50からのインク吐出を制御することにより、記録紙16上に画像が形成される。
印字検出部24は、図1で説明したように、ラインセンサを含むブロックであり、記録紙16に印字された画像を読み取り、所要の信号処理などを行って印字状況(吐出の有無、打滴のばらつきなど)を検出し、その検出結果をプリント制御部80に提供する。
プリント制御部80は、必要に応じて印字検出部24から得られる情報に基づいてヘッド50に対する各種補正を行う。また、システムコントローラ72は、印字検出部24から得られる情報に基づいて、予備吐出や吸引その他の所定の回復動作を実施する制御を行う。
また、本例のインクジェット記録装置10は、インク情報読取部92及び温度・湿度検出部94を備えている。インク情報読取部92は、インク種の情報を取得する手段である。具体的には、例えば、インクタンク60のカートリッジの形状(インク種を識別可能な特定の形状)、或いはカートリッジに組み込まれたバーコードやICチップなどからインクの物性情報を読み取る手段を用いることができる。その他、ユーザインターフェースを利用してオペレータが必要な情報を入力してもよい。
温度・湿度検出部94は、インクジェッド記録装置10が設置される環境の温度及び湿度を検出する各センサ並びにインクの温度を検出するセンサなどの検出手段を含むブロックである。
インク情報読取部92及び温度・湿度検出部94などの各手段から得られた情報は、システムコントローラ72に送られ、インクの吐出制御(吐出量や吐出タイミングの制御)等に利用される。
次に、本例のインクジェット記録装置10におけるヘッド50の駆動方法について説明する。図8はインクジェット記録装置10のヘッド駆動に関係する主要な回路の要部構成図である。インクジェット記録装置10に搭載される回路基板100には、通信インターフェースIC102、CPU104、ROM75、RAM108、ラインバッファ110、及びドライバIC112が実装されている。
通信インターフェースIC102は、図7において符号70で示した通信インターフェースに相当する。図8のCPU104は、図7で説明したシステムコントローラ72として機能する。図8のRAM108は、図7で説明した画像メモリ74として機能し、図8のラインバッファ110は、図7の画像バッファメモリ82として機能する。なお、ラインバッファ110に代えて、又はこれと併用してメモリ114を具備してもよい。メモリ114はRAM108の一部を共用することも可能である。
図8に示したドライバIC112の詳細は後述するが(図9)、このドライバIC112は、ヘッドコントローラ116(図7で説明したプリント制御部80に相当)と、D/A変換器、アンプ、トランジスタ等の駆動回路要素118(図7で説明したヘッドドライバ84に相当)を含んで構成される。図8のドライバIC112は、スイッチIC120を搭載した配線部材(例えば、フレキシブルケーブルとリジット基板とを組み合わせた配線部材)122を介してヘッド50と電気的に接続されている。
スイッチIC120は、シリアル/パラレル(S/P)変換回路及びスイッチ素子アレイを含んで構成される。また、この回路基板100には電源回路124が接続されており、該電源回路124から各回路ブロックに電力が供給されるようになっている。
図9は、ヘッドコントローラ116を含むドライバIC112及びスイッチIC120
の要部構成図である。図示のとおり、ドライバIC112は、主としてヘッドコントローラ116、第1の駆動波形発生回路130A、第2の駆動波形発生回路130B、第3の駆動波形発生回路130C、第4の駆動波形発生回路130Dを含む。
また、スイッチIC120は、図示のように、シフトレジスタ140、ラッチ回路142、レベル変換回路144及びスイッチ素子アレイ146を含み、各駆動波形発生回路130A〜130Dからの駆動波形を選択的にヘッド50の各アクチュエータ58に印加する選択回路として機能する。図9においてOUT1 ,OUT2 …,OUTn の符号とともに容量性負荷として示したのは、ヘッド50の各アクチュエータ(圧電素子)58である。各アクチュエータ58の個別電極57(図9に示した容量性負荷において左側の電極)は、それぞれ対応するスイッチ素子146-ij (i=1,2 …n,j =1,2,3,4 )の端子に接続されており、アクチュエータ58の他方の電極(共通電極)はグランド(GND)に接続されている。
なお、本例ではスイッチIC120が「回路選択手段」として機能し、ヘッドコントローラ116は「接続制御手段」及び「位相制御手段」として機能している。
各駆動波形発生回路130A〜130Dは、それぞれヘッドコントローラ116から出力されるデジタル波形データをクロック信号CLK1〜CLK4に応じてアナログ信号に変換する変換するD/Aコンバータ(DAC)を含む波形生成回路152A〜152Dと、波形生成回路152A〜152Dの出力レベルに応じて駆動波形を増幅するアンプ回路154A〜154D、充放電回路155A〜155D、及びプッシュプル回路156A〜156Dを含んで構成される。すなわち、ヘッドコントローラ116から出力された吐出用駆動波形のデジタル波形データは波形生成回路152A〜152Dに入力され、波形生成回路152A〜152Dにおいて入力波形データに応じたアナログ波形信号に変換される。このアナログ波形信号は、アンプ回路154A〜154Dで所定のレベルに増幅され、プッシュプル回路156A〜156Dを用いて電力増幅された後、駆動信号波形として出される。こうして生成されたそれぞれの共通駆動波形は、スイッチIC120「COM1」〜「COM4」ポートにそれぞれ入力される。つまり、本例のインクジェット記録装置10は、符号130A〜130Dで示した4つの独立した駆動回路を備えている。
スイッチIC120は、ヘッドコントローラ116から与えられる制御信号に基づいて、「COM1」〜「COM4」の各ポートと各アクチュエータ58(OUT1 ,OUT2 …,OUTn )との接続関係を選択的に切り替える回路(マルチプレクサ)である。
図示のように、「COM1」ポートは、スイッチ素子146-i1(i=1,2 …,n) の入力側端子に接続され、同様に、「COM2」ポートは、スイッチ素子146-i2(i=1,2 …,n) の入力側端子に、「COM3」ポートは、スイッチ素子146-i3(i=1,2 …,n) の入力側端子に、「COM4」ポートは、スイッチ素子146-i4(i=1,2 …,n) の入力側端子に、それぞれ接続されている。「OUTi」 (i=1,2 …,n)のアクチュエータ(圧電素子)58は、スイッチ素子146-i1 〜146-i4 (i=1,2 …,n)の出力側端子に接続されており、スイッチ素子146-i1 〜146-i4 のON/ OFF制御によってアクチュエータ(OUTi)に駆動信号を選択的に印加できるように構成されている。
換言すれば、1つのアクチュエータ58からみた場合、4つの駆動波形発生回路130A〜130Dの中から状況に応じて駆動回路を選択できるように構成されている。詳細な制御例は後述するが、印刷用の画像データを解析し、インクを吐出させるためにデータ処理を行う中で、どのノズルを駆動し、どの体積のインクを吐出するかが分かるため、安定したインク吐出を実現できるように、各駆動波形発生回路130A〜130D(以下、便宜上、単に「駆動回路」と表記する場合もある。)に負荷を分散させ、各回路の負荷が略
均一になるように制御される。
逆に、画像データによっては負荷が少ない場合もあるが、その場合、消費電力を抑えるために、複数の駆動波形発生回路130A〜130Dのうち一部を休止させることができる。
このように複数の駆動波形発生回路130A〜130Dを、画像データに基づいて適宜選択する方法は、回路数や必要となる放熱器数を減少させることができる。また、インクの種類や印刷モードの条件によっては、従来の構成に比べて、駆動回路数を1/3程度に減らすことも可能である。なおかつ、画像データに基づく負荷の状況によって、使用する駆動回路を適宜選択することができるので、負荷変動による波形歪みを低減でき、駆動回路間の波形ばらつきも抑えることができる。これにより、負荷変動に起因する画像品質の劣化を抑制できる。
図9に示したヘッドコントローラ116は、上述のように、各駆動波形発生回路130A〜130Dにデジタル波形データ及びクロック信号(CLK1〜CLK4)を与えるとともに、スイッチIC120の制御信号(「Enable」や「Select」など) を与える。また、ヘッドコントローラ116は、ホストコンピュータ86(図8参照)から与えられた画像情報に基づいて、ドットパターンに展開された印字データを生成するとともに、シリアル伝送のクロック信号(CLK)及びラッチタイミングを制御するラッチ信号(LAT)を生成する。図9のヘッドコントローラ116で生成された印字データは、クロック信号CLKに同期してクロック信号CLKとともに印字シリアルデータSDとしてシフトレジスタ140に伝送(シリアル伝送)される。シフトレジスタ140に記憶された印字データは、ヘッドコントローラ116から出力されるラッチ信号LATに基づいてラッチ回路142によってラッチされる。
ラッチ回路142でラッチされた信号はレベル変換回路144においてスイッチ素子146-ij(i=1,2 …,n,j=1,2,3,4 )を駆動可能な所定の電圧値に変換される。このレベル変換回路144の出力信号によって、スイッチ素子146-ij(i=1,2 …,n,j=1,2,3,4 )のON/OFFが制御される。
図10(a)は駆動波形発生回路130A〜130Dから出力される共通駆動波形の一例を示した波形図である。図10(a)に示したように、この共通駆動波形160は、インクを吐出させない程度のエネルギーに抑えてメニスカスを振動させる微振動波形要素161(図中「part1 」のパルス部分) と、小ドットの液滴(例えば、3pl)を吐出させるための第1吐出波形要素162(図中「part2 」のパルス部分) と、中ドットの液滴(例えば、6pl) を吐出させるための第2吐出波形要素163(図中「part3」のパルス部分) とを連続的に繋げた構成から成り、これら3つの波形要素161〜163を組み合わせた波形が所定の周期T0 で繰り返される。
図9で説明したスイッチ素子146-ij(i=1,2 …,n,j=1,2,3,4 )のON/OFFを制御することにより、各ノズル51のアクチュエータ58に対して、図10(a)に示した共通駆動波形160から微振動波形要素161、第1吐出波形要素162又は第2吐出波形要素163を選択的に印加することが可能である。
図10(b)に示した微振動波形要素161は、他の吐出用波形要素(162,163)と比較して、振幅(電圧)の小さい波形となっている。この微振動波形要素161をアクチュエータ58に印加すると、メニスカスが微振動(吐出しない程度に振動)し、インクの増粘が抑制される。
図10(c)に示した第1吐出波形要素162をアクチュエータ58に印加すると、小ドットの液滴が吐出される。図10(d)に示した第2吐出波形要素163のみをアクチュエータ58に印加すると、中ドットの液滴が吐出される。また、図10(e)に示すように、第1吐出波形要素162と第2吐出波形要素163とを連続してアクチュエータ58に印加すると、大ドットの液滴(例えば、9pl) が吐出される。
なお、同(c)〜(e)に示したように、吐出する液滴体積に応じて駆動波形周期T0 内で駆動波形の印加タイミング(吐出タイミング)が変わるが、この時間差による小ドット、中ドットの着弾位置の差は記録媒体上において実質的に画像の一画素と見做せる範囲内である。
図示の例では、微振動波形要素161の1波形区間T1 、第1吐出波形要素162の1波形区間T2 、第2吐出波形要素163の1波形区間T3 について、T1 =T2 =T3 /2の関係を有しているが、本発明の実施に際して、各波形要素の波形区間の関係はこの例に限定されない。ただし、微振動波形要素161の1波形区間T1 を駆動波形周期T0 の1/N(ただし、Nは正の整数)とすることにより、微振動波形の印加タイミングの制御が容易となり、制御上好ましい。
図10(b)〜(e)の各波形図において、B1 〜B2 、C1 〜C4 、D1 〜D4 、E1 〜E4 で示した部分について、文字「B」〜「E」を代表して「n」(n=B,C,D,E)で表すことにすると、「n1 」はメニスカスの静定、「n2」はメニスカス引き込み、「n3」はメニスカス引き出し(すなわち吐出)、「n4」は次の吐出準備の状態にそれぞれ対応している。
印字データに基づいて吐出を行うノズルと、吐出を行わないノズルとが決定され、印字を行うノズルに対しては、図10(c)〜(e)の何れかの吐出波形要素が印加される。また、印字を行わないノズルの一部又は全部に対して、図10(b)に示した微振動波形要素が適宜のタイミングで印加される。
ところで、一般に圧電素子を駆動させる時、圧電素子に流れる駆動電流は、駆動波形の立ち上がり及び立ち下がり期間に充放電される。すなわち、駆動波形の波形の傾きがある短い時間に大きな駆動電流が流れるが、それ以外の時はほとんど電流が流れないため、平均的な消費電流は、駆動波形、駆動周波数の条件にもよるが、瞬間電流の1/10以下である。
圧電素子に流れる駆動電流Iは、圧電素子方式のインクジェットプリンタとしての一般的な吐出駆動条件では、圧電素子1個の容量C=1nF,駆動波形の印加電圧0V〜40Vをt=4μs程度(スルーレート10V/μs)とすると、
I=C×V/t
=1 [nF] ×40 [V] /4 [μs]
=10 [mA]
となる。上記の演算式から、駆動波形のスルーレートが大きいほど(波形の傾き急であるほど)、駆動電流Iが大きくなることが分かる。
ON/OFF駆動のような傾きの時間が略一定である場合、電圧が高いほど駆動電流が大きくなることが分かる。
駆動対象が1つの圧電素子のみであれば、それほど大きい駆動電流ではないが、圧電素子を多数アレイ状に配列したラインヘッド方式の場合、非常に多くの圧電素子を同時に駆動するため、非常に大きな駆動電流を供給しなければならない。
仮に、M=1000個の圧電素子(ノズル)を同時に吐出駆動する場合、上の演算式から、
I=(C×V/t)×M
=(1 [nF] ×40 [V] /4 [μs] )×1000
=10 [A]
となり、4μsの瞬間に10Aの駆動電流が流れることになる。
図9で説明したように、複数の駆動波形発生回路130A〜130Dを用いて各回路で負荷を分散させる結果、1つ1つの駆動波形発生回路130A〜130Dに流れる駆動電流を低減することができるが、電源から見た場合、瞬間電流に合わせて、電源の駆動能力を大きくしなければならず、電源規模が大きくなる結果、コストが高くなり、プリンタシステムとして成立しなくなる事態も起こり得る。
また、仮に、非常に大きな電源を用意できたとしても、瞬間電流により電源自体の出力電圧が瞬間的に電圧降下するだけでなく、電源から圧電素子までの電源ライン(給電ライン)に存在するパターン、フレキシブルプリント配線板(FPC)などの線材のインピーダンス、トランジスタや抵抗などの電子部品により電圧降下が発生する。そのため、最終的に圧電素子に印加される駆動波形の電圧は下がり、インクを適正に吐出させることができない恐れがある。
そのため、本実施形態では、複数の駆動波形発生回路130A〜130Dで生成させる複数の共通駆動波形の位相を制御する機能を備えている。具体的には、波形を生成するD/Aコンバータ(波形生成回路152A〜152D)に入力されるデジタル波形データをクロックによって簡単にずらすことができる。つまり、クロックCLK1〜CLK4のタイミングを適宜調整することによって、波形間の位相を変えることができる。
詳細は後述するが、印刷用の画像データからノズルのON/OFFとインクの吐出体積を把握する処理において、回路の負荷等を予測し、条件によってクロックによるずらし量を調整することで所要の位相差を与える。例えば、瞬間消費電流が回路の駆動能力や電源容量を上回っていれば、位相のずらし量を増やして瞬間消費電流を低減し、或いはまた、瞬間消費電流が回路の駆動能力や電源容量を十分下回っていれば、位相のずらし量を減らし高速化する。
もちろん、複数の共通駆動波形の位相をずらす方法は、上記の方法に限定されず、クロックを共通にしてデジタル波形データを変更することで位相の異なる波形を発生させてもよい。
図11に、複数の共通駆動波形間で位相をずらす場合のずらし方の例を示す。同(a)は基準となる共通駆動波形(「基準波形」という。)である。同(b)は(a)の基準波形に対して位相をずらした第1の波形例であり、同(c)は第2の波形例である。
図11(b)の例では、それぞれの共通駆動波形の傾き部分(立ち上がり、立ち下がり)がなるべく重ならないように位相が調整されている。傾き部分が重なる場合は、極力、傾きが緩やかな部分を選択することが好ましい。これにより、瞬間的な電流が時間的に分散され、電源から見た最大瞬間電流は効果的に抑えられる。
複数の駆動波形発生回路130A〜130Dから出力される各共通駆動波形について、予め図11(a),(b)のように位相を調整しておいてもよいし、画像データに基づいて位相を適宜調整してもよい。
すなわち、画像データを処理することによって、インクを吐出すべきノズルと、各ノズルの吐出体積が把握されるため、吐出に必要な圧電素子に印加する駆動波形も分かる。さらに、その駆動波形から必要な電流量も計算されるため、その計算結果に基づいて位相を適宜調整してもよい。例えば、大きなインク体積を吐出させる駆動波形は、消費される電流も多いため、同時に体積の大きいインクを吐出する場合は、複数の共通駆動波形を使用して、これらの位相をずらして吐出を行うことが、駆動回路や電源にとっては有効である。
図11(c)は(a)の基準波形に対して波形要素単位で位相をずらした例である。
図11(a)〜(c)に示したように、複数の共通駆動波形の位相のずらし量は、印字の高速化のため、極力短くすることが望ましい。
例えば、図12(a)に示したように、時間的に最も早い共通駆動波形を基準の共通駆動波形とした場合、他の共通駆動波形の駆動周期は、同(b)〜(d)のように、基準の共通駆動波形が持つ駆動波形周期T0 の2周期以内に収めるとよい。つまり、基準の共通駆動波形の2周期(2×T0 )内に、他の共通駆動波形の1周期分の波形が完全に含まれるように、各共通駆動波形の位相を調整するとよい。
図12の例では、(a)に示した基準の共通駆動波形に対して、同(b)はT0 /4だけ位相がずれており、同(c)はT0 /2、同(d)は(3/4)×T0 だけそれぞれ位相がずれている。
このような位相関係を有する複数の共通駆動波形を用いる態様によれば、基準の共通駆動波形の2周期以内に位相の異なる複数の駆動波形を利用できるため、1駆動波形周期T0 内で複数回の吐出を行うことができ、印字の高速化が可能である。同(e)では、(a)〜(d)の各共通駆動波形から小ドット吐出用の波形要素を選択的に取り出すとにより、1駆動波形周期T0 内で最大4回の小ドットの吐出が可能である例が示されている。
また、位相の異なる複数の駆動波形を使って吐出の周期を短くすることで、高速化だけでなく、記録媒体上の略同一の位置に複数のドットを重ねて打滴することで、画像処理としての効果も現れてくる。図13にその例を示す。
同(a)は通常の打滴方法によって大ドットを形成した例である。同(b)は1回あたりの吐出体積を小さくして、打滴回数を制御(2回打滴)した例である。同(c)は打滴位置(この場合、副走査方向の位置)を制御した例である。
図13(a)のように、体積の大きいインク1回吐出するのではなく、同(b)のように、体積の小さいインクを複数回吐出するような打滴回数による階調表現を、駆動波形からの階調表現と合わせて行うことで画像処理的な効果も現れてくる。また、吐出位置の観点からは、吐出と同時に記録媒体を搬送させる(或いは、ヘッドを走査させる)場合、1画素以内に位相差を利用して微小ドット位置制御を行うこともでき(同(c))、さらなる画像処理的な効果が現れる。
ところで、既に指摘したとおり、複数の駆動回路間では回路のばらつきを持つため、常に同じノズルグループ、或いは同じアクチュエータを同じ駆動回路で駆動すると、画像データによってはパターン化され、むらとして視認されやすくなる。また、非常に多くのアクチュエータを具備するヘッドでは、アクチュエータの特性のばらつきによる影響も無視できなくなることがある。
本実施形態では、図9で説明したとおり、1つのアクチュエータ58を複数の駆動回路(130A〜130D)で駆動できることを利用して、1画像内で複数の駆動回路を適宜切り替えてアクチュエータ58を駆動する。駆動回路の切り替えは、予め定めた所定の選択ルールに従って規則的に行ってもよいし、複数の駆動回路の中からランダムに選択してもよい。こうすることで、パターン化を回避し、かつ、アクチュエータ58のばらつきによる影響も低減され、むらとして視認され難くなる。
また、多数のノズルを高密度で2次元配置したヘッドでは、各ノズルに対応した複数のアクチュエータ58が高密度に配置され、各アクチュエータ58への電気的な配線も高密度に形成、実装されているため、かかる高密度配列させた多数のアクチュエータ58を同時に駆動する場合、電気的なクロストークの問題が懸念される。
この点、本実施形態では、例えば、隣接するノズル同士、或いは隣接する配線同士に対して、位相の異なる共通駆動波形(例えば、基準電位、傾きなどの共通駆動波形の形状、駆動周期)が選択される。位相の異なる複数の共通駆動波形信号を用いることにより、電気信号によるクロストークを抑制でき、適切な駆動信号をアクチュエータ58に伝達することができる。
さらに、高密度に配列した複数のアクチュエータを同時に駆動する場合、ヘッド構造(内部の流路構造)にかかわるインクのクロストークやインクのリフィルの問題が発生する場合が多い。この点、本実施形態では、複数の共通駆動波形の位相をずらし、打滴間隔を調整できる構成のため、クロストークを抑制できるとともに、インク充填の時間を与えることができる。
次に、上記の如く構成されたインクジェット記録装置10における印字制御の例について説明する。
図14は第1の印字制御例を示すフローチャートである。印字処理が開始されると(ステップS100)、印刷用の画像データを読み込み(ステップS102)、印刷モード(例えば、普通紙印刷、高画質印刷、高速印刷など)の情報を取得する(ステップS104)。そして、画像データ及び印刷モードに基づいて、どのノズルのアクチュエータに電圧を印加してインクを吐出させるかを決めるノズルマップを生成する(ステップS106)。
その一方で、装置本体の条件を検出(又は取得)して、電源容量や駆動回路数(図9の例では4つ)などの情報を得るとともに(ステップS110)、ヘッド条件の検出を行い(ステップS112)、ヘッドの状態、種類、インクの状況(例えば、種類、残量)や環境などの情報を得る。なお、装置本体の情報は、EEPROMなどの記憶手段に格納しておき、必要に応じて情報を読み出してくる。こうして取得した情報に基づいて、共通駆動波形(例えば、基準電位、傾きなどの共通駆動波形の形状、駆動周期)が選択される。
また、上記の各種情報及びノズルマップに基づき、ノズルのON/OFFや吐出波形から、1駆動回路で駆動を行った場合の瞬間消費電流を算出する(ステップS116)。算出した結果と、1つの駆動回路の駆動能力から設定されている所定の許容値とを比較し、1つの駆動回路で駆動できる負荷であるか否を判定する(ステップS118)。瞬間消費電流が1つの駆動回路の駆動能力を下回れば(ステップS118においてYES判定時)、複数の駆動波形発生回路130A〜130Dの中から1つの駆動回路を選択使用し、吐出駆動を行う(ステップS170)。
その一方、ステップS118において、瞬間消費電流が1つの駆動回路の駆動能力を上回っていると判断した場合(ステップS118においてNO判定時)、装置に搭載されている複数の駆動回路(図9の例では4つ)の中から、使用する複数個(2以上)の駆動回路を選択する(ステップS120)。選択した複数の駆動回路に負荷を略均等に分散させるように、アクチュエータ58と駆動回路との接続関係を決定するとともに、トータルの瞬間消費電流を計算し、算出した結果と電源容量から設定されている所定の上限値とを比較する(ステップS122)。
ステップS122の判定の結果、電源の瞬間消費電流が使用する駆動回路の駆動能力全体を下回っていれば(ステップS122においてYES判定時)、吐出を行う(ステップS170)。また、ステップS122において、電源の瞬間消費電流が使用する駆動回路の駆動能力全体を上回るようであれば、複数の共通駆動波形のうち少なくとも1組の位相をずらす(ステップS124)。駆動波形の形状や位相などの条件が変わると、消費電流も変わるため、変更された条件に基づいて瞬間消費電流を計算し直し、その算出結果と電源容量(所定の上限値)を比較する(ステップS126)。なお、条件の変更に伴う瞬間電流の計算に必要な演算式、或いは係数などは装置内の記憶手段(例えば、EEPROMなど)に格納されているものとする。
ステップS126で、NO判定ならば、ステップS120に戻り、駆動回路の選択及び負荷の分担、位相の制御を見直し、さらなる位相の調整を行う。ステップS120〜S126の処理を経て、電源容量以内の瞬間消費電流となる位相条件が決定され、ステップS122又はステップS126でYES判定を得たら、吐出駆動が行われる(ステップS170)。
図14のようなフローチャートによって制御を行うことで、駆動回路(130A〜130D)の過負荷が軽減され、波形歪みによる吐出むらを抑制できる。また、回路設計上の駆動能力の見積もりを軽減できるので、駆動回路規模を小さくすることができる。さらには、複数の共通駆動波形の位相をずらすことで、瞬間消費電流を抑制できるだけでなく、プリントの高速化も可能である。
図15は第2の印字制御例を示すフローチャートである。図15中図14のフローチャートと共通する工程には同一のステップ番号を付し、その説明は省略する。図15のフローチャートは、図14中のステップS118〜S126を、図15のように、ステップS130〜S134で置き換えたものとなっている。
すなわち、ステップS116で算出した瞬間消費電流の結果と、画像処理的な効果(吐出体積、打滴間隔、打滴回数、打滴位置)の条件に基づいて、複数の駆動回路を選択し(ステップS130)、複数の駆動波形の位相をずらす(ステップS132)。さらに、その条件で各駆動回路の瞬間消費電流を解析して、システム全体の瞬間消費電流を求め、その算出結果と電源容量(所定の上限値)を比較する(ステップS134)。
ステップS134の判定の結果、電源の瞬間消費電流が、使用する駆動回路の駆動能力全体を下回っていれば(ステップS134においてYES判定時)、吐出を行う(ステップS170)。また、ステップS134において、電源の瞬間消費電流が使用する駆動回路の駆動能力全体を上回るようであればステップS130に戻り、画像処理的な効果の条件設定をやり直して、駆動回路の選択と位相の制御を見直す。ステップS130〜S134の処理を経て、電源容量以内の瞬間消費電流となる駆動回路の選択及び位相条件が決定され、ステップS134でYES判定を得たら、吐出駆動が行われる(ステップS170)。
図15のようなフローチャートによって制御を行うことで、画像処理的な効果を発揮することができる(図13参照)。
図16は第3の印字制御例を示すフローチャートである。図16中図14のフローチャートと共通する工程には同一のステップ番号を付し、その説明は省略する。図16のフローチャートは、図14中のステップS118〜S126を、図16のように、ステップS140〜S146で置き換えたものとなっている。
すなわち、ステップS116で算出した瞬間消費電流の結果と、前のノズルマップの履歴により、1つのノズルに印加する共通駆動波形を複数の駆動回路から選択する(ステップS140)。例えば、前の吐出で使用した駆動回路とは別の駆動回路を選択する。
次いで、算出された瞬間消費電流と、電源容量から設定されている所定の上限値とを比較判定し(ステップS142)、電源の瞬間消費電流が、使用する駆動回路の駆動能力全体を下回っていれば(ステップS142においてYES判定時)、吐出を行う(ステップS170)。また、ステップS142において、電源の瞬間消費電流が使用する駆動回路の駆動能力全体を上回るようであれば、複数の共通駆動波形のうち少なくとも1組の位相をずらす(ステップS144)。この位相制御に伴い瞬間消費電流を計算し直し、その算出結果と電源容量(所定の上限値)を比較する(ステップS146)。ステップS146で、NO判定ならば、ステップS140に戻り、駆動回路の選択や位相の制御を見直す。ステップS140〜S146の処理を経て、電源容量以内の瞬間消費電流となる駆動回路の選択及び位相条件が決定され、ステップS142又はステップS146でYES判定を得たら、吐出駆動が行われる(ステップS170)。
図16のようなフローチャートによって制御を行うことで、駆動回路間のばらつき、アクチュエータ間のばらつきによるむらの軽減が可能である。
図17は第4の印字制御例を示すフローチャートである。図17中図14のフローチャートと共通する工程には同一のステップ番号を付し、その説明は省略する。図17のフローチャートは、図14中のステップS118〜S126を、図17のように、ステップS150〜S154で置き換えたものとなっている。
すなわち、ステップS116で算出した瞬間消費電流の結果と、対象となるノズルに対して隣接するノズル或いは隣接する配線を持つノズルについては、対象となるノズルとは別の駆動回路から選択し(ステップS150)、互いに位相をずらした駆動波形を使用する(ステップS152)。また、その条件で各駆動回路の瞬間消費電流を解析して、トータルの(システム全体の)瞬間消費電流を求め、その算出結果と電源容量(所定の上限値)を比較する(ステップS154)。
ステップS154の判定の結果、電源の瞬間消費電流が、使用する駆動回路の駆動能力全体を下回っていれば(ステップS154においてYES判定時)、吐出を行う(ステップS170)。また、ステップS154において、電源の瞬間消費電流が使用する駆動回路の駆動能力全体を上回るようであればステップS150に戻り、複数の駆動波形の位相をさらにずらす。ステップS150〜S152の処理を経て、電源容量以内の瞬間消費電流となる駆動回路の選択及び位相条件が決定され、ステップS154でYES判定を得たら、吐出駆動が行われる(ステップS170)。
図17のようなフローチャートによって制御を行うことで電気的なクロストークによるむらの軽減が可能である。
図18は第5の印字制御例を示すフローチャートである。図18中図14のフローチャートと共通する工程には同一のステップ番号を付し、その説明は省略する。図18のフローチャートは、図14中のステップS118〜S126を、図18のように、ステップS160〜S164で置き換えたものとなっている。
すなわち、ステップS116で算出した瞬間消費電流の結果から、対象となるノズルに対して隣接するノズル、圧力室、流路、或いは同じ流路をもつノズルについては、対象となるノズルとは別の駆動回路から選択し(ステップS160)、互いに位相をずらした駆動波形を使用する(ステップS162)。
例えば、高密度で実装されたノズルの場合、体積の大きいインクを吐出した場合、圧電素子が安定する時間、メニスカスが安定する時間、さらには、インクを充填する時間などが必要になるため、隣接するノズルは打滴間隔をずらす、或いは、同じ流路を使用するノズルは打滴間隔をずらすように、駆動波形の位相を調整する。
また、選択された駆動回路と波形の位相の条件に基づき、各駆動回路の瞬間消費電流を解析して、トータルの(システム全体の)瞬間消費電流を求め、その算出結果と電源容量(所定の上限値)を比較する(ステップS164)。
ステップS164の判定の結果、電源の瞬間消費電流が、使用する駆動回路の駆動能力全体を下回っていれば(ステップS164においてYES判定時)、吐出を行う(ステップS170)。また、ステップS164において、電源の瞬間消費電流が使用する駆動回路の駆動能力全体を上回るようであればステップS160に戻り、複数の駆動波形の位相をさらにずらす処理を行う。ステップS160〜S162の処理を経て、電源容量以内の瞬間消費電流となる駆動回路の選択及び位相条件が決定され、ステップS164でYES判定を得たら、吐出駆動が行われる(ステップS170)。
図18のようなフローチャートによって制御を行うことでインクの流体的なクロストークによるむらの軽減が可能である。
図14乃至図18は、それぞれ独立のフローチャートとして説明したが、これらの制御例は、適宜組み合わせることも可能である。2以上の制御例を組み合わせる場合の組み合わせの態様、或いは制御順序は特に限定されない。
また、図14乃至図18で説明したフローチャートにおける各種の解析、判定、演算は、インクジェット記録装置10に搭載されているCPUや画像処理LSIで行ってもよいし、ホストコンピュータ86で行ってもよく、もちろん、両者で処理を分担して行ってもよい。
上述した実施形態では、4つの駆動回路(駆動波形発生回路130A〜130D)を備える例を説明したが、本発明の実施に際しては、駆動回路の数は本例に限定されず、少なくとも2以上の駆動回路を有していればよい。
駆動回路は分割数を多くすれば、1つの駆動回路あたりの駆動電流は少なくなり、電力増幅部等に用いるトランジスタの選択の幅が広がるだけでなく、波形生成に重要な特性である高速なスイッチングが可能なトランジスタも使用できる。アクチュエータ数、吐出性能、回路規模、コストなど多様な観点から妥当な駆動回路数が設計される。
〔他の実施形態〕
負荷変動による波形歪みを抑制して、画像品質の劣化を防止する他の手段について説明
する。図19は本発明の他の実施形態を示す要部構成図である。図19中図9と同一又は類似する部分には同一の符号を付し、その説明は省略する。
図19の構成は、ヘッド50に備えた吐出用のアクチュエータ58とは別に、セラミックコンデンサCdm-i(i=1,2 …n)を擬似的な負荷(ダミー素子)として備えており、各セラミックコンデンサCdm-i(i=1,2 …n)は、スイッチ素子146C-ij (j =1,2,3,4)を介して駆動波形発生回路130A〜130Dと接続されている。
図19に示した構成によれば、常に複数の駆動波形発生回路130A〜130Dで均一の負荷になるようにセラミックコンデンサCdm-iを選択的に使用することで、駆動回路間での波形歪みを抑制できる。
また、図10で説明したように、画像データに基づいて駆動回路を適宜選択することで、従来の単純に回路を分割する方法と比較して、より少ない数のセラミックコンデンサを用意することで足りる。例えば、非常に多くのノズルから同時吐出を行う場合、駆動回路でできるだけ分割して負荷を分散させ、回路間の僅かな負荷のばらつきをセラミックコンデンサCdm-iで均等にする。また、少量の吐出を行う場合は、一部の駆動回路を休止させて、残りの駆動回路で負荷を分担し、僅かな負荷ばらつきをセラミックコンデンサで均等にする。
セラミックコンデンサCdm-iは、ヘッド50のアクチュエータ58と同等の静電容量のものを複数用意してもよいし、異なる静電容量の組み合わせを用意してもよい。すなわち、セラミックコンデンサCdm-i(i=1,2 …n)の個数やそれぞれの静電容量は特に限定されず、必ずしもヘッド50のアクチュエータ58と同等の静電容量を同数用意する必要はなく、アクチュエータ58数よりも少ない数で構成することが可能である。
また、図19のように、1つのスイッチIC120に、吐出用のアクチュエータ58とセラミックコンデンサCdm-i(i=1,2 …n)を組み合わせて接続してもよいし、吐出用の圧電素子の接続に専用化したスイッチICと、疑似負荷用のセラミックコンデンサの接続に専用化したスイッチICをそれぞれ別々に設けてもよい。
上記実施形態では、多色のインクを用いるカラー印刷用のインクジェット記録装置を述べたが、本発明は単色(モノクロ)印刷用のインクジェット記録装置についても適用可能である。
また、上述の説明では、画像形成装置の一例としてインクジェット記録装置を例示したが、本発明の適用範囲はこれに限定されない。例えば、印画紙に非接触で現像液を塗布する写真画像形成装置等についても本発明の液体吐出ヘッドの駆動装置、液体吐出装置を適用できる。また、本発明に係る液体吐出ヘッドの駆動装置、液体吐出装置の適用範囲は画像形成装置に限定されず、液体吐出ヘッドを用いて処理液その他各種の液体を被吐出媒体に向けて噴射する各種の装置(塗装装置、塗布装置、配線描画装置など)について本発明を適用することができる。
本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置の全体構成図 図1に示したインクジェット記録装置の印字部周辺の要部平面図 ヘッドの構造例を示す平面透視図 図3(a) の要部拡大図 フルライン型ヘッドの他の構成例を示す平面透視図 図3(a) 中の4−4線に沿う断面図 図3(a) に示したヘッドのノズル配列を示す拡大図 本例のインクジェット記録装置におけるインク供給系の構成を示した概要図 本例のインクジェット記録装置のシステム構成を示す要部ブロック図 本例のインクジェット記録装置のヘッド駆動に関係する主要な回路の要部構成図 ドライバIC及びスイッチICの要部構成図 共通駆動波形の一例を示した波形図 複数の共通駆動波形間の位相のずらし方の例を示した波形図 複数の共通駆動波形の例とアクチュエータに印加される駆動信号の例を示した波形図 打滴制御による画像処理的な効果の発現を説明するために用いた図 本例のインクジェット記録装置における第1の印字制御例を示すフローチャート 本例のインクジェット記録装置における第2の印字制御例を示すフローチャート 本例のインクジェット記録装置における第3の印字制御例を示すフローチャート 本例のインクジェット記録装置における第4の印字制御例を示すフローチャート 本例のインクジェット記録装置における第5の印字制御例を示すフローチャート 本発明の他の実施形態を示す要部回路構成図
符号の説明
10…インクジェット記録装置、12…印字部、12K,12C,12M,12Y…ヘッド、14…インク貯蔵/装填部、16…記録紙、18…給紙部、22…吸着ベルト搬送部、31、32…ローラ、33…ベルト、34…吸着チャンバ、35…ファン、50…ヘッド、50A…ノズル面、51…ノズル、52…圧力室、58…アクチュエータ、72…システムコントローラ、75…ROM、80…プリント制御部、104…CPU、108…RAM、110…ラインバッファ、116…ヘッドコントローラ、112…ドライバIC、118…駆動回路要素、120…スイッチIC、130A〜130D…駆動波形発生回路、134…選択回路、146…スイッチ素子アレイ、160…共通駆動波形、161…微振動波形要素、162…第1吐出波形要素、163…第2吐出波形要素

Claims (10)

  1. 複数のノズルと前記複数のノズルに対応して設けられた複数の圧力発生素子とを有し、前記圧力発生素子に駆動用の信号を与えて前記ノズルから記録液体を吐出させる液体吐出ヘッドと、
    前記圧力発生素子を駆動するための駆動信号波形を生成する複数の駆動波形発生回路と、
    前記複数の駆動波形発生回路のうち前記圧力発生素子に対して前記駆動信号波形を与える駆動波形発生回路を選択的に切り替える回路選択手段と、
    前記駆動波形発生回路を介して前記圧力発生素子に電力を供給する電源と、
    描画すべき画像を表す画像データに基づき、各駆動波形発生回路の瞬間消費電流がそれぞれ所定の許容値以下となるように、前記複数の駆動波形発生回路の中から前記圧力発生素子の駆動に使用する少なくとも1つの駆動波形発生回路を選択し、該選択した駆動波形発生回路と前記圧力発生素子との接続を制御する接続制御手段と、
    前記電源の瞬間消費電流が所定の上限値以下となるように、前記複数の駆動波形発生回路で生成される駆動信号波形の位相を制御する位相制御手段と、
    を備えたことを特徴とする画像形成装置。
  2. 複数のノズルと前記複数のノズルに対応して設けられた複数の圧力発生素子とを有し、前記圧力発生素子に駆動用の信号を与えて前記ノズルから記録液体を吐出させる液体吐出ヘッドと、
    前記圧力発生素子を駆動するための駆動信号波形を生成する複数の駆動波形発生回路と、
    前記複数の駆動波形発生回路で生成する駆動信号波形の位相を制御する位相制御手段と、
    前記複数の駆動波形発生回路のうち前記圧力発生素子に対して前記駆動信号波形を与える駆動波形発生回路を選択的に切り替える回路選択手段と、
    描画すべき画像を表す画像データの画像処理結果に基づき、前記画像処理結果を反映した画像形成を実現する記録液体の吐出を行うために、前記圧力発生素子の駆動に使用する2以上の駆動波形発生回路を選択するとともに、該選択した2以上の駆動波形発生回路から異なるタイミングで前記圧力素子に駆動信号波形を印加するように、各駆動波形発生回路と前記圧力発生素子との接続を制御する接続制御手段と、
    を備えたことを特徴とする画像形成装置。
  3. 複数のノズルと前記複数のノズルに対応して設けられた複数の圧力発生素子とを有し、前記圧力発生素子に駆動用の信号を与えて前記ノズルから記録液体を吐出させる液体吐出ヘッドと、
    前記圧力発生素子を駆動するための駆動信号波形を生成する複数の駆動波形発生回路と、
    前記複数の駆動波形発生回路のうち前記圧力発生素子に対して前記駆動信号波形を与える駆動波形発生回路を選択的に切り替える回路選択手段と、
    描画すべき画像を表す画像データ及び前記圧力発生素子の駆動履歴に基づいて、前記複数の駆動波形発生回路の中から前記圧力発生素子の駆動に使用する駆動波形発生回路を選択し、該選択した駆動波形発生回路と前記圧力発生素子との接続を制御する選択制御手段と、
    を備えたことを特徴とする画像形成装置。
  4. 複数のノズルと前記複数のノズルに対応して設けられた複数の圧力発生素子とを有し、前記圧力発生素子に駆動用の信号を与えて前記ノズルから記録液体を吐出させる液体吐出ヘッドと、
    前記圧力発生素子を駆動するための駆動信号波形を生成する複数の駆動波形発生回路と、
    前記複数の駆動波形発生回路で生成する駆動信号波形の位相を制御する位相制御手段と、
    前記複数の駆動波形発生回路のうち前記圧力発生素子に対して前記駆動信号波形を与える駆動波形発生回路を選択的に切り替える回路選択手段と、
    描画すべき画像を表す画像データに基づき、駆動対象となるノズルの位置を把握し、互いに隣接するノズルの圧力発生素子同士又は隣接する配線を有する圧力発生素子同士については、それぞれ異なる駆動波形発生回路から位相の異なる駆動信号波形の供給を受けるように、前記複数の駆動波形発生回路の中から前記圧力発生素子の駆動に使用する駆動波形発生回路を選択し、該選択した各駆動波形発生回路と前記圧力発生素子との接続を制御する接続制御手段と、
    を備えたことを特徴とする画像形成装置。
  5. 複数のノズルと前記複数のノズルに対応して設けられた複数の圧力発生素子とを有し、前記圧力発生素子に駆動用の信号を与えて前記ノズルから記録液体を吐出させる液体吐出ヘッドと、
    前記圧力発生素子を駆動するための駆動信号波形を生成する複数の駆動波形発生回路と、
    前記複数の駆動波形発生回路で生成する駆動信号波形の位相を制御する位相制御手段と、
    前記複数の駆動波形発生回路のうち前記圧力発生素子に対して前記駆動信号波形を与える駆動波形発生回路を選択的に切り替える回路選択手段と、
    描画すべき画像を表す画像データに基づき、駆動対象となるノズルの位置を把握し、同じ流路を共有し隣接するノズルの圧力発生素子同士については、それぞれ異なる駆動波形発生回路から位相の異なる駆動信号波形の供給を受けるように、前記複数の駆動波形発生回路の中から前記圧力発生素子の駆動に使用する駆動波形発生回路を選択し、該選択した各駆動波形発生回路と前記圧力発生素子との接続を制御する選択制御手段と、
    を備えたことを特徴とする画像形成装置。
  6. 複数のノズルと前記複数のノズルに対応して設けられた複数の圧力発生素子とを有する液体吐出ヘッドの駆動制御方法であって、
    前記圧力発生素子を駆動するための駆動信号波形を生成する複数の駆動波形発生回路を設け、
    1つの圧力発生素子に対して少なくとも2つの駆動波形発生回路から選択的に前記駆動信号波形を印加できるように、前記圧力発生素子と前記駆動波形発生回路との接続関係を切り替え可能に構成し、
    描画すべき画像を表す画像データに基づき、駆動対象のノズル数及びノズル位置を把握して前記駆動波形発生回路の負荷を予測し、各駆動波形発生回路の瞬間消費電流がそれぞれ所定の許容値以下となるように、前記複数の駆動波形発生回路の中から前記圧力発生素子の駆動に使用する少なくとも1つの駆動波形発生回路を選択し、
    該決定した駆動波形発生回路と前記圧力発生素子との接続を制御するとともに、
    前記駆動波形発生回路を介して前記圧力発生素子に電力を供給する電源の瞬間消費電流が所定の上限値以下となるように、前記複数の駆動波形発生回路から出力される駆動信号波形の位相を制御することを特徴とする液体吐出ヘッドの駆動制御方法。
  7. 複数のノズルと前記複数のノズルに対応して設けられた複数の圧力発生素子とを有する液体吐出ヘッドの駆動制御方法であって、
    前記圧力発生素子を駆動するための駆動信号波形を生成する複数の駆動波形発生回路を設け、
    前記複数の駆動波形発生回路で生成する駆動信号波形の位相を制御可能とするとともに、
    1つの圧力発生素子に対して少なくとも2つの駆動波形発生回路から選択的に前記駆動信号波形を印加できるように、前記圧力発生素子と前記駆動波形発生回路との接続関係を切り替え可能に構成し、
    描画すべき画像を表す画像データの画像処理結果に基づき、前記画像処理結果を反映した画像形成を実現する記録液体の吐出を行うために、前記圧力発生素子の駆動に使用する2以上の駆動波形発生回路を選択するとともに、該選択した2以上の駆動波形発生回路から異なるタイミングで前記圧力素子に駆動信号波形を印加するように、各駆動波形発生回路と前記圧力発生素子との接続を制御することを特徴とする液体吐出ヘッドの駆動制御方法。
  8. 複数のノズルと前記複数のノズルに対応して設けられた複数の圧力発生素子とを有する液体吐出ヘッドの駆動制御方法であって、
    前記圧力発生素子を駆動するための駆動信号波形を生成する複数の駆動波形発生回路を設け、
    1つの圧力発生素子に対して少なくとも2つの駆動波形発生回路から選択的に前記駆動信号波形を印加できるように、前記圧力発生素子と前記駆動波形発生回路との接続関係を切り替え可能に構成し、
    描画すべき画像を表す画像データ及び前記圧力発生素子の駆動履歴に基づいて、各駆動波形発生回路の使用頻度を分散させるように、前記複数の駆動波形発生回路の中から前記圧力発生素子の駆動に使用する駆動波形発生回路を選択し、該選択した駆動波形発生回路と前記圧力発生素子との接続を制御することを特徴とする液体吐出ヘッドの駆動制御方法。
  9. 複数のノズルと前記複数のノズルに対応して設けられた複数の圧力発生素子とを有する液体吐出ヘッドの駆動制御方法であって、
    前記圧力発生素子を駆動するための駆動信号波形を生成する複数の駆動波形発生回路を設け、
    前記複数の駆動波形発生回路で生成する駆動信号波形の位相を制御可能とするとともに、
    1つの圧力発生素子に対して少なくとも2つの駆動波形発生回路から選択的に前記駆動信号波形を印加できるように、前記圧力発生素子と前記駆動波形発生回路との接続関係を切り替え可能に構成し、
    描画すべき画像を表す画像データに基づき、駆動対象となるノズルの位置を把握し、互いに隣接するノズルの圧力発生素子同士又は隣接する配線を有する圧力発生素子同士については、それぞれ異なる駆動波形発生回路から位相の異なる駆動信号波形の供給を受けるように、前記複数の駆動波形発生回路の中から前記圧力発生素子の駆動に使用する駆動波形発生回路を選択し、該選択した各駆動波形発生回路と前記圧力発生素子との接続を制御するこをと特徴とする液体吐出ヘッドの駆動制御方法。
  10. 複数のノズルと前記複数のノズルに対応して設けられた複数の圧力発生素子とを有する液体吐出ヘッドの駆動制御方法であって、
    前記圧力発生素子を駆動するための駆動信号波形を生成する複数の駆動波形発生回路を設け、
    前記複数の駆動波形発生回路で生成する駆動信号波形の位相を制御可能とするとともに、
    1つの圧力発生素子に対して少なくとも2つの駆動波形発生回路から選択的に前記駆動信号波形を印加できるように、前記圧力発生素子と前記駆動波形発生回路との接続関係を切り替え可能に構成し、
    描画すべき画像を表す画像データに基づき、駆動対象となるノズルの位置を把握し、同じ流路を共有し隣接するノズルの圧力発生素子同士については、それぞれ異なる駆動波形発生回路から位相の異なる駆動信号波形の供給を受けるように、前記複数の駆動波形発生回路の中から前記圧力発生素子の駆動に使用する駆動波形発生回路を選択し、該選択した各駆動波形発生回路と前記圧力発生素子との接続を制御することを特徴とする液体吐出ヘッドの駆動制御方法。
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