JP2006341452A - 液体吐出装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡易な構成で、高粘度液体の安定吐出を可能とする液体吐出装置の提供。
【解決手段】液体を吐出する複数のノズル51と、複数のノズル51のそれぞれと連通する複数の圧力室52と、複数の圧力室52のノズル51が形成される側とは反対側に設けられ、複数の圧力室52のそれぞれを変形する圧電素子58と、を有する液体吐出ヘッドと、圧電素子58と直列的に接続され液体吐出ヘッド内の液体を加熱する発熱素子と、圧電素子58及び発熱素子の駆動を制御する制御手段と、を備え、制御手段は、圧電素子58の駆動と同時に発熱素子を駆動することを特徴とする液体吐出装置の提供。
【選択図】 図6
【解決手段】液体を吐出する複数のノズル51と、複数のノズル51のそれぞれと連通する複数の圧力室52と、複数の圧力室52のノズル51が形成される側とは反対側に設けられ、複数の圧力室52のそれぞれを変形する圧電素子58と、を有する液体吐出ヘッドと、圧電素子58と直列的に接続され液体吐出ヘッド内の液体を加熱する発熱素子と、圧電素子58及び発熱素子の駆動を制御する制御手段と、を備え、制御手段は、圧電素子58の駆動と同時に発熱素子を駆動することを特徴とする液体吐出装置の提供。
【選択図】 図6
Description
本発明は液体吐出装置及び画像形成装置に係り、特に、圧電素子を利用して吐出口より液体を吐出する液体吐出装置及び画像形成装置に関する。
一般に、インクジェット記録装置では、ホストコンピュータから入力された印刷用の画像データを展開してなるドットパターンデータ(「ドットデータ」或いは「印字データ」ともいう。)に基づいて、ヘッドが有する多数のノズルからそれぞれ所定のタイミングでインク滴を吐出させ、これらの各インク滴が記録紙等のメディアに着弾し付着することにより印刷が行われる。
特に、メディアの幅方向に対応する長さのノズル列を持ったラインヘッドとメディアとを相対的に1回だけ走査して画像記録を行うシングルパス記録では、該ヘッド内において局所的にインク吐出が頻繁に行われるノズルとインク吐出がほとんど行われないノズルが存在してしまう。インク吐出がほとんど行われないノズルでは、内部のインクに粘度変化 (粘度上昇)が起こり、このようなノズルからインクを吐出させることが困難になってしまう。このような問題点を回避するために、外部条件 (環境条件)や吐出条件 (吐出状態)に応じて圧電素子の駆動信号を変更するように制御したり、インクの温度を検出して検出された温度に基づきヒータを用いてヘッド内のインクの温度が一定になるように制御したりする方法が提案されている。
例えば、特許文献1には、圧電振動子を加熱する加熱手段と、印刷開始前に加熱手段により圧電振動子を少なくとも周辺の温度より高い温度に加熱する制御手段を有するインクジェット式記録ヘッドが記載されている。
また、特許文献2には、ヘッドユニットのインク供給部の一部に、駆動手段としての駆動回路の発熱により加熱される受熱部を設け、制御手段によってインクを吐出させない加熱信号を必要に応じて駆動手段としての駆動回路に発生させるヘッドユニット(インクジェット式記録装置)が記載されている。
また、特許文献3には、ヒータの熱エネルギーを利用してインク滴の吐出を行う、いわゆるサーマルジェット方式のプリント装置において、インク滴を吐出させない程度に発熱可能な制御手段と、プリントヘッドを冷却する冷却手段を備えたプリント装置が記載されている。
特開2000−198192号公報
特開2003−320678号公報
特開平8−72249号公報
しかしながら、インクに様々な機能を持たせる場合やインクの高性能化を図る場合にはインクの粘度が高くなることが多い。このような高粘度インクを吐出させる際には、一般的な粘度の(高機能、高性能インクよりも粘度が低い)インクを吐出させる場合に比べて高い駆動電圧、急峻な立ち上がり、急峻な立ち下がりを持つ波形を有する駆動信号が要求される。したがって、吐出素子の駆動回路は高電圧、大電流に対応することを要求される一方、これらとは相反する関係にある短い吐出周期(高吐出周波数)に対応することも要求される。さらに、高粘度インクを吐出させる場合にはリフィル性を向上させることも要求される。
ラインヘッド方式のように非常に多くのノズルを有するヘッドでは、外部環境に応じて圧力発生素子に与える駆動信号を変更しても、局所的に存在する吐出頻度の低いノズルには適切な対応ができない可能性がある。このような状況は一般に用いられるインクよりも粘度が高い高粘度インクでは顕著になる。また、吐出条件に応じて該駆動信号を変更すると、吐出制御が複雑になるばかりか、該駆動信号を伝送する配線の規模や該駆動信号を発生させる駆動回路の規模が大きくなるといった問題がある。更に、ノズルごとにヒータや温度検出センサを持たせると、ヘッド、ヒータの駆動回路、センサの検出回路が大規模化してしまうといった問題が生じてしまう。ラインヘッドのような高速スループットを求められる場合、温度センサの応答性が悪いと温度検出に時間がかかってしまい十分な温度制御ができないことがある。
特許文献1では、結露等による圧電振動子の誤作動を確実に防止することを目的として圧電振動子を加熱するものであり、上記課題を解決することができない。
また、特許文献2では、ヘッド内の局所的な温度変化に対応することができない。
また、特許文献3では、サーマルジェット方式が前提となっており、圧電素子の変位を利用した圧電方式に適用する場合には、新たに加熱手段を設ける必要があり、駆動回路の大規模化、複雑化等を招いてしまう。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、簡易な構成で、高粘度液体の安定吐出を可能とする液体吐出装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために請求項1に係る発明は、液体を吐出する複数の吐出口と、前記複数の吐出口のそれぞれと連通する複数の圧力室と、前記複数の圧力室の前記吐出口が形成される側とは反対側に設けられ、前記複数の圧力室のそれぞれを変形する圧電素子と、を有する液体吐出ヘッドと、前記圧電素子と直列的に接続され前記液体吐出ヘッド内の液体を加熱する発熱素子と、前記圧電素子及び前記発熱素子の駆動を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記前記圧電素子の駆動と同時に前記発熱素子を駆動することを特徴とする液体吐出装置を提供する。
本発明によれば、発熱素子が圧電素子を駆動するための配線部材の少なくとも一部を兼ねることが可能であり、圧電素子と発熱素子を同時に駆動することができる。従って、液体吐出ヘッドが簡易な構成となり、液体吐出ヘッド内の液体を効率良く加熱することができ、高粘度液体の安定吐出が可能となる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の液体吐出装置であって、前記圧力室の前記吐出口が形成される側とは反対側に前記複数の圧力室に液体を供給する共通液室が設けられ、前記加熱素子は、その少なくとも一部が前記共通液室内を前記圧電素子が配置される面に対して略垂直方向に立ち上がるように形成されていることを特徴とする。
請求項2の態様によれば、共通液室内の液体を加熱することができる。また、リフィル性が向上する。さらに、吐出口の高密度化が可能となる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の液体吐出装置であって、前記発熱素子の抵抗率は、500×10-3[μΩm]以上であることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の液体吐出装置であって、抵抗値が異なる複数種類の前記発熱素子を備えていることを特徴とする。
請求項4の態様によれば、液体吐出ヘッド内の液体の温度分布を均一にすることが可能となる。特に、液体吐出ヘッド内で液体の温度が低くなりやすい部分には他の部分に比べて抵抗値が大きな、即ち、発熱量の大きな発熱素子を配置することが好ましい。
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の液体吐出装置であって、前記発熱素子の少なくとも一部は、前記圧力室内に配置されていることを特徴とする。
請求項5の態様によれば、圧力室内の液体を加熱することができ、液体吐出ヘッド内の液体をより効率良く加熱することができる。
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の液体吐出装置であって、前記制御手段は、前記吐出口から液体を吐出しない程度に前記圧電素子及び前記発熱素子の駆動を制御することを特徴とする。
請求項6の態様によれば、画像データに応じて液体を吐出する吐出口に対応する圧電素子及び発熱素子だけでなく、液体を吐出しない吐出口に対応する圧電素子及び発熱素子の駆動を制御することにより、さらに効率良く液体吐出ヘッド内の液体を加熱することができる。
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の液体吐出装置であって、前記液体吐出ヘッド内の液体の目標温度を設定する温度設定手段を備え、前記制御手段は、前記液体吐出ヘッド内の液体の温度が前記温度設定手段によって設定された目標温度になるように前記圧電素子及び前記発熱素子を制御することを特徴とする。
請求項7の態様によれば、液体吐出ヘッド内の液体の温度を最適な状態に保つことができ、高粘度液体の安定吐出が可能となる。
また、上記目的を達成するために、請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の液体吐出装置を備えたことを特徴とする画像形成装置を提供する。
本発明によれば、発熱素子が圧電素子を駆動するための配線部材の少なくとも一部を兼ねることが可能であり、圧電素子と発熱素子を同時に駆動することができる。従って、液体吐出ヘッドが簡易な構成となり、液体吐出ヘッド内の液体を効率良く加熱することができ、高粘度液体の安定吐出が可能となる。
以下添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
〔インクジェット記録装置の全体構成〕
図1は本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置の全体構成図である。同図に示したように、このインクジェット記録装置10は、黒(K),シアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y)の各インクに対応して設けられた複数のインクジェットヘッド(以下、ヘッドという。)12K,12C,12M,12Yを有する印字部12と、各ヘッド12K,12C,12M,12Y(液体吐出ヘッド)に供給するインクを貯蔵しておくインク貯蔵/装填部14と、被吐出媒体たる記録紙16を供給する給紙部18と、記録紙16のカールを除去するデカール処理部20と、前記印字部12のノズル面(インク吐出面)に対向して配置され、記録紙16の平面性を保持しながら記録紙16を搬送する吸着ベルト搬送部22(搬送手段)と、印字部12による印字結果を読み取る印字検出部24と、記録済みの記録紙(プリント物)を外部に排紙する排紙部26と、を備えている。
図1は本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置の全体構成図である。同図に示したように、このインクジェット記録装置10は、黒(K),シアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y)の各インクに対応して設けられた複数のインクジェットヘッド(以下、ヘッドという。)12K,12C,12M,12Yを有する印字部12と、各ヘッド12K,12C,12M,12Y(液体吐出ヘッド)に供給するインクを貯蔵しておくインク貯蔵/装填部14と、被吐出媒体たる記録紙16を供給する給紙部18と、記録紙16のカールを除去するデカール処理部20と、前記印字部12のノズル面(インク吐出面)に対向して配置され、記録紙16の平面性を保持しながら記録紙16を搬送する吸着ベルト搬送部22(搬送手段)と、印字部12による印字結果を読み取る印字検出部24と、記録済みの記録紙(プリント物)を外部に排紙する排紙部26と、を備えている。
インク貯蔵/装填部14は、各ヘッド12K,12C,12M,12Yに対応する色のインクを貯蔵するインクタンクを有し、各タンクは所要の管路を介してヘッド12K,12C,12M,12Yと連通されている。また、インク貯蔵/装填部14は、インク残量が少なくなるとその旨を報知する報知手段(表示手段、警告音発生手段)を備えるとともに、色間の誤装填を防止するための機構を有している。
図1では、給紙部18の一例としてロール紙(連続用紙)のマガジンが示されているが、紙幅や紙質等が異なる複数のマガジンを併設してもよい。また、ロール紙のマガジンに代えて、又はこれと併用して、カット紙が積層装填されたカセットによって用紙を供給してもよい。
複数種類の記録紙を利用可能な構成にした場合、紙の種類情報を記録したバーコード或いは無線タグなどの情報記録体をマガジンに取り付け、その情報記録体の情報を所定の読取装置によって読み取ることで、使用される記録媒体の種類(メディア種)を自動的に判別し、メディア種に応じて適切なインク吐出を実現するようにインク吐出制御を行うことが好ましい。
給紙部18から送り出される記録紙16はマガジンに装填されていたことによる巻きクセが残り、カールする。このカールを除去するために、デカール処理部20においてマガジンの巻きクセ方向と逆方向に加熱ドラム30で記録紙16に熱を与える。このとき、多少印字面が外側に弱いカールとなるように加熱温度を制御するとより好ましい。
ロール紙を使用する装置構成の場合、図1のように、裁断用のカッター(第1のカッター)28が設けられており、該カッター28によってロール紙は所望のサイズにカットされる。カッター28は、記録紙16の搬送路幅以上の長さを有する固定刃28Aと、該固定刃28Aに沿って移動する丸刃28Bとから構成されており、印字裏面側に固定刃28Aが設けられ、搬送路を挟んで印字面側に丸刃28Bが配置される。なお、カット紙を使用する場合には、カッター28は不要である。
デカール処理後、カットされた記録紙16は、吸着ベルト搬送部22へと送られる。吸着ベルト搬送部22は、ローラ31、32間に無端状のベルト33が巻き掛けられた構造を有し、少なくとも印字部12のノズル面及び印字検出部24のセンサ面に対向する部分が水平面(フラット面)をなすように構成されている。
ベルト33は、記録紙16の幅よりも広い幅寸法を有しており、ベルト面には多数の吸引穴(不図示)が形成されている。図1に示したとおり、ローラ31、32間に掛け渡されたベルト33の内側において印字部12のノズル面及び印字検出部24のセンサ面に対向する位置には吸着チャンバ34が設けられており、この吸着チャンバ34をファン35で吸引して負圧にすることによって記録紙16がベルト33上に吸着保持される。
ベルト33が巻かれているローラ31、32の少なくとも一方にモータ(図7中符号88)の動力が伝達されることにより、ベルト33は図1上の時計回り方向に駆動され、ベルト33上に保持された記録紙16は図1の左から右へと搬送される。
縁無しプリント等を印字するとベルト33上にもインクが付着するので、ベルト33の外側の所定位置(印字領域以外の適当な位置)にベルト清掃部36が設けられている。ベルト清掃部36の構成について詳細は図示しないが、例えば、ブラシ・ロール、吸水ロール等をニップする方式、清浄エアーを吹き掛けるエアーブロー方式、或いはこれらの組み合わせなどがある。清掃用ロールをニップする方式の場合、ベルト線速度とローラ線速度を変えると清掃効果が大きい。
なお、吸着ベルト搬送部22に代えて、ローラ・ニップ搬送機構を用いる態様も考えられるが、印字領域をローラ・ニップ搬送すると、印字直後に用紙の印字面をローラが接触するので画像が滲み易いという問題がある。したがって、本例のように、印字領域では画像面を接触させない吸着ベルト搬送が好ましい。
吸着ベルト搬送部22により形成される用紙搬送路上において印字部12の上流側には、加熱ファン40が設けられている。加熱ファン40は、印字前の記録紙16に加熱空気を吹き付け、記録紙16を加熱する。印字直前に記録紙16を加熱しておくことにより、インクが着弾後乾き易くなる。
印字部12の各ヘッド12K,12C,12M,12Yは、当該インクジェット記録装置10が対象とする記録紙16の最大紙幅に対応する長さを有し、そのノズル面には最大サイズの記録媒体の少なくとも一辺を超える長さ(描画可能範囲の全幅)にわたりインク吐出用のノズルが複数配列されたフルライン型のヘッドとなっている(図2参照)。
ヘッド12K,12C,12M,12Yは、記録紙16の送り方向に沿って上流側から黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の色順に配置され、それぞれのヘッド12K,12C,12M,12Yが記録紙16の搬送方向と略直交する方向に沿って延在するように固定設置される。
吸着ベルト搬送部22により記録紙16を搬送しつつ各ヘッド12K,12C,12M,12Yからそれぞれ異色のインクを吐出することにより記録紙16上にカラー画像を形成し得る。
このように、紙幅の全域をカバーするノズル列を有するフルライン型のヘッド12K,12C,12M,12Yを色別に設ける構成によれば、紙送り方向(副走査方向)について記録紙16と印字部12を相対的に移動させる動作を1回行うだけで(即ち1回の副走査で)、記録紙16の全面に画像を記録することができる。これにより、記録ヘッドが紙搬送方向と直交する方向に往復動作するシャトル型ヘッドに比べて高速印字が可能であり、生産性を向上させることができる。
なお、ここで主走査方向及び副走査方向とは、次に言うような意味で用いる。すなわち、記録紙の全幅に対応したノズル列を有するフルラインヘッドで、ノズルを駆動する時、(1)全ノズルを同時に駆動するか、(2)ノズルを片方から他方に向かって順次駆動するか、(3)ノズルをブロックに分割して、ブロックごとに片方から他方に向かって順次駆動するか、等のいずれかのノズルの駆動が行われ、用紙の幅方向(記録紙の搬送方向と直交する方向)に1ライン(1列のドットによるライン又は複数列のドットから成るライン)の印字をするようなノズルの駆動を主走査と定義する。そして、この主走査によって記録される1ライン(帯状領域の長手方向)の示す方向を主走査方向という。
一方、上述したフルラインヘッドと記録紙とを相対移動することによって、上述した主走査で形成された1ライン(1列のドットによるライン又は複数列のドットから成るライン)の印字を繰り返し行うことを副走査と定義する。そして、副走査を行う方向を副走査方向という。結局、記録紙の搬送方向が副走査方向であり、それに直交する方向が主走査方向ということになる。
また本例では、KCMYの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組み合わせについては本実施形態に限定されず、必要に応じて淡インク、濃インク、特別色インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インクを吐出するインクジェットヘッドを追加する構成も可能である。また、各色ヘッドの配置順序も特に限定はない。更に、記録紙16上でインクと処理液とを反応させてインク色材を凝集させる2液系のシステムでは、インクを吐出させるヘッドに加えて処理液を吐出させる処理液吐出ヘッドを追加する構成もある。
図1に示した印字検出部24は、印字部12の打滴結果を撮像するためのイメージセンサを含み、該イメージセンサによって読み取った打滴画像からノズルの目詰まりその他の吐出不良をチェックする手段として機能する。
本例の印字検出部24は、少なくとも各ヘッド12K,12C,12M,12Yによるインク吐出幅(画像記録幅)よりも幅の広い受光素子列を有するラインセンサで構成される。このラインセンサは、赤(R)の色フィルタが設けられた光電変換素子(画素)がライン状に配列されたRセンサ列と、緑(G)の色フィルタが設けられたGセンサ列と、青(B)の色フィルタが設けられたBセンサ列と、からなる色分解ラインCCDセンサで構成されている。なお、ラインセンサに代えて、受光素子が2次元配列されて成るエリアセンサを用いることも可能である。
各色のヘッド12K,12C,12M,12Yにより印字されたテストパターン又は実技画像が印字検出部24により読み取られ、各ヘッドの吐出判定が行われる。吐出判定は、吐出の有無、ドットサイズの測定、ドット着弾位置の測定などで構成される。
印字検出部24の後段には後乾燥部42が設けられている。後乾燥部42は、印字された画像面を乾燥させる手段であり、例えば、加熱ファンが用いられる。印字後のインクが乾燥するまでは印字面と接触することは避けたほうが好ましいので、熱風を吹き付ける方式が好ましい。
多孔質のペーパーに染料系インクで印字した場合などでは、加圧によりペーパーの孔を塞ぐことでオゾンなど、染料分子を壊す原因となるものと接触することを防ぐことで画像の耐候性がアップする効果がある。
後乾燥部42の後段には、加熱・加圧部44が設けられている。加熱・加圧部44は、画像表面の光沢度を制御するための手段であり、画像面を加熱しながら所定の表面凹凸形状を有する加圧ローラ45で加圧し、画像面に凹凸形状を転写する。
こうして生成されたプリント物は排紙部26から排出される。本来プリントすべき本画像(目的の画像を印刷したもの)とテスト印字とは分けて排出することが好ましい。このインクジェット記録装置10では、本画像のプリント物と、テスト印字のプリント物とを選別してそれぞれの排出部26A、26Bへと送るために排紙経路を切り換える不図示の選別手段が設けられている。なお、大きめの用紙に本画像とテスト印字とを同時に並列に形成する場合は、カッター(第2のカッター)48によってテスト印字の部分を切り離す。カッター48は、排紙部26の直前に設けられており、画像余白部にテスト印字を行った場合に本画像とテスト印字部を切断するためのものである。カッター48の構造は前述した第1のカッター28と同様であり、固定刃48Aと丸刃48Bとから構成される。
また、図1には示さないが、本画像の排出部26Aには、オーダー別に画像を集積するソーターが設けられる。
〔ヘッドの構造〕
次に、ヘッドの構造について説明する。色別の各ヘッド12K,12C,12M,12Yの構造は共通しているので、以下、これらを代表して符号50によってヘッドを示すものとする。
次に、ヘッドの構造について説明する。色別の各ヘッド12K,12C,12M,12Yの構造は共通しているので、以下、これらを代表して符号50によってヘッドを示すものとする。
図3は、ヘッド50(液体吐出ヘッド)を簡略化して表示した平面透視図であり、図4は、ヘッド50の他の構造例を表す平面透視図である。図5は、図3に示したヘッド50の1つの吐出素子(1つのノズル51に対応したインク室ユニット)の拡大図である。
記録紙16上に印字されるドットピッチを高密度化するためには、ヘッド50におけるノズルピッチを高密度化する必要がある。本例のヘッド50は、図3に示したように、インク滴の吐出口であるノズル51と、各ノズル51に対応する圧力室52等からなる複数の吐出素子(インク室ユニット)53を千鳥でマトリクス状(2次元的)に配置させた構造を有し、これにより、ヘッド長手方向(紙送り方向と直交する方向)に沿って並ぶように投影される実質的なノズル間隔(投影ノズルピッチ)の高密度化を達成している。
言い換えると、記録紙16の搬送方向と略直交する方向(主走査方向)に沿う行方向及び、該主走査方向に対して直交しない一定の角度θを有する斜めの列方向とに沿って一定の配列パターンで格子状に多数配列させることにより、本例の高密度ノズルヘッドが実現されている。即ち、本例のヘッド50は、該列方向に沿って並べられた複数の吐出素子を有する吐出素子群53Aを主走査方向に沿って複数並べた構造を有している。図3に示す態様では、1つの吐出素子群53Aは6つの吐出素子53を有している。
記録紙16の送り方向と略直交する方向に記録紙16の全幅に対応する長さにわたり1列以上のノズル列を構成する形態は本例に限定されない。例えば、図3の構成に代えて、図4に示すように、複数のノズル51が2次元に配列された短尺のヘッドブロック50’を千鳥状に配列して繋ぎ合わせることで記録紙16の全幅に対応する長さのノズル列を有するラインヘッドを構成してもよい。
各ノズル51に対応して設けられている圧力室52は、その平面形状が概略正方形となっている(図3及び図5参照)。圧力室52の一の隅部にはノズル51が設けられ、ノズル51に対向する他の隅部には外側に延びるように形成された供給インクの流入口(供給口)54が設けられている。
また、図5の圧力室52より平面面積が大きい圧電素子(アクチュエータ)58が圧力室52に重なるようにして設けられている。圧電素子58のノズル51近傍の隅部には、圧電素子58を駆動するための配線部材60が設けられている。
図6は、図5中6−6線に沿う断面図である。同図に示すように、圧力室52に相当する空間が形成されるキャビティプレート61の片面(図6の下面)はノズル51が形成されるノズルプレート62が接合され、その反対側の面は供給口54の一部に相当する孔部が形成された振動板56が接合される。圧力室52の一端はノズル51に連通し、他端は供給口54を介して共通液室55に連通する。
共通液室55は、振動板56を挟んで圧力室52と反対側に配置されている。言い換えれば、圧力室52のノズル51が形成される側と反対側に共通液室55が配置されている。このような共通液室55の配置構成は、共通液室55から圧力室52に対してほぼ真っ直ぐ連通するようになり、リフィル性に優れ、高粘度インクの吐出に適している。共通液室55はインク供給源たるインクタンク(図6中不図示、図8中符号64として記載)と連通しており、インクタンク64から供給されるインクは図6の共通液室55を介して各圧力室52に分配供給される。
圧力室52の天面を構成している振動板56には個別電極57を備えた圧電素子(アクチュエータ)58が接合されている。振動板56はSUS等の導電部材により構成されており、圧電素子58の共通電極を兼ねている。SUS等のように熱伝導率の高い部材で構成することにより、後述するヘッド50内のインクに対する加熱を効率良く行うことができる。更に、振動板56以外の構成部材も熱伝導率の高い部材で構成するとより好ましい。尚、振動板56の圧電素子58側の表面に共通電極に相当する電極層を形成しておいてもよい。
図6の圧電素子58(個別電極57)の左端には、圧電素子58が配置される振動板56に対して略垂直方向に、共通液室55を立ち上がるように形成された配線部材60が設けられている。尚、共通液室55の内部のインクに接液する部分、即ち、配線部材60や圧電素子58(個別電極57)等の表面には樹脂等の絶縁・保護膜(不図示)が形成されている。
この配線部材60は、共通液室55内のインクを加熱する発熱体(ヒータ)として機能する導電部材で構成され、本発明における「発熱素子」に相当する。本例では、抵抗率の高いニクロム等の材料が用いられる。
図6の配線部材60は、ヘッド50の剛性確保のため、圧力室隔壁52Aの図6中上方に配置される。配線部材60の一端(図6の下端)は圧電素子58を駆動するための配線(内部配線)として個別電極57に導通し、他端(図6の上端)は共通液室55の隔壁(上壁)上に配設される外部配線63に導通する。外部配線63は駆動回路(ヘッドドライバ)(図6中不図示、図9中符号84として記載)に接続されており、画像データに応じた駆動信号(駆動電圧)が配線部材60を介して圧電素子58(個別電極57)に供給されるように構成されている。圧電素子58を駆動するための配線を(圧電素子58が配置される)振動板56に沿うように配設する場合に比べて、本例では十分な配線スペースを確保することができるようになり、ノズル51の高密度配置が可能となる。
駆動信号が圧電素子58(個別電極57)に供給されると、圧電素子58が変形して圧力室52の容積が変化し、これに伴う圧力変化によりノズル51からインクが吐出され、インク吐出後、共通液室55から供給口54を通って新しいインクが圧力室52に供給される。このとき、上述したように配線部材60はヒータを兼ねているため、配線部材(ヒータ)60は印加された駆動電圧に応じて熱を発生し、この熱によって共通液室55内のインクが加熱される。また、インク吐出時だけでなく、インク非吐出時(ノズル51のメニスカスの乾燥防止するための微振動時含む)にも、配線部材(ヒータ)60に所定の電圧を印加する(所定の電流を流す)ことで共通液室55内のインクを加熱することができる。一方、配線部材(ヒータ)60への電圧供給を停止すると、時間経過と共に徐々に共通液室55内のインクの温度を下げることができる。即ち、配線部材(ヒータ)60に印加する電圧を可変制御することで、共通液室55内のインクの温度を可変させることができる。尚、このようなヘッド50の駆動方法の詳細は後述する。
図7は、共通液室55内の配線部材60の配置構成を簡略化して表示した平面図である。図5及び図6に示したように、配線部材60は圧力室52に対応する圧電素子58毎に設けられる。従って、図3に示した吐出素子53の配列パターンと同様に、記録紙16の搬送方向と略直交する方向(主走査方向)に沿う行方向及び、該主走査方向に対して直交しない一定の角度θを有する斜めの列方向とに沿って一定の配列パターンで格子状に配線部材60を多数配列させた構造となっている。
〔インク供給系の構成〕
図8は、インクジェット記録装置10におけるインク供給系の構成を示した概要図である。インクタンク64はヘッド50にインクを供給する基タンクであり、図1で説明したインク貯蔵/装填部14に設置される。インクタンク64の形態には、インク残量が少なくなった場合に、不図示の補充口からインクを補充する方式と、タンクごと交換するカートリッジ方式とがある。使用用途に応じてインク種類を変える場合には、カートリッジ方式が適している。この場合、インクの種類情報をバーコード等で識別して、インク種類に応じた吐出制御を行うことが好ましい。なお、図8のインクタンク64は、先に記載した図1のインク貯蔵/装填部14と等価のものである。
図8は、インクジェット記録装置10におけるインク供給系の構成を示した概要図である。インクタンク64はヘッド50にインクを供給する基タンクであり、図1で説明したインク貯蔵/装填部14に設置される。インクタンク64の形態には、インク残量が少なくなった場合に、不図示の補充口からインクを補充する方式と、タンクごと交換するカートリッジ方式とがある。使用用途に応じてインク種類を変える場合には、カートリッジ方式が適している。この場合、インクの種類情報をバーコード等で識別して、インク種類に応じた吐出制御を行うことが好ましい。なお、図8のインクタンク64は、先に記載した図1のインク貯蔵/装填部14と等価のものである。
図8に示したように、インクタンク64とヘッド50の中間には、異物や気泡を除去するためにフィルタ65が設けられている。フィルタ・メッシュサイズは、ノズル径と同等若しくはノズル径以下(一般的には、20μm程度)とすることが好ましい。図8には示さないが、ヘッド50の近傍又はヘッド50と一体にサブタンクを設ける構成も好ましい。サブタンクは、ヘッドの内圧変動を防止するダンパー効果及びリフィルを改善する機能を有する。
また、インクジェット記録装置10には、ノズル51の乾燥防止又はノズル近傍のインク粘度上昇を防止するための手段としてのキャップ69と、ノズル面50Aの清掃手段としてのクリーニングブレード66とが設けられている。これらキャップ69及びクリーニングブレード66を含むメンテナンスユニットは、不図示の移動機構によってヘッド50に対して相対移動可能であり、必要に応じて所定の退避位置からヘッド50下方のメンテナンス位置に移動される。
キャップ69は、図示せぬ昇降機構によってヘッド50に対して相対的に昇降変位される。電源OFF時や印刷待機時にキャップ69を所定の上昇位置まで上昇させ、ヘッド50に密着させることにより、ノズル面50Aをキャップ69で覆う。
クリーニングブレード66は、ゴムなどの弾性部材で構成されており、図示せぬブレード移動機構によりヘッド50のインク吐出面(ノズル板表面)に摺動可能である。ノズル板にインク液滴又は異物が付着した場合、クリーニングブレード66をノズル板に摺動させることでノズル板表面を拭き取り、ノズル板表面を清浄する。
印字中又は待機中において、特定のノズルの使用頻度が低くなり、ノズル近傍のインク粘度が上昇した場合、その劣化インクを排出すべくキャップ69に向かって予備吐出が行われる。
また、ヘッド50内のインク(圧力室52内)に気泡が混入した場合、ヘッド50にキャップ69を当て、吸引ポンプ67で圧力室52内のインク(気泡が混入したインク)を吸引により除去し、吸引除去したインクを回収タンク68へ送液する。この吸引動作は、初期のインクのヘッド50への装填時、或いは長時間の停止後の使用開始時にも粘度上昇(固化)した劣化インクの吸い出しが行われる。
ヘッド50は、ある時間以上吐出しない状態が続くと、ノズル近傍のインク溶媒が蒸発してノズル近傍のインクの粘度が高くなってしまい、吐出駆動用の圧電素子58が動作してもノズル51からインクが吐出しなくなる。したがって、この様な状態になる手前で(圧電素子58の動作によってインク吐出が可能な粘度の範囲内で)、インク受けに向かって圧電素子58を動作させ、粘度が上昇したノズル近傍のインクを吐出させる「予備吐出」が行われる。また、ノズル面50Aの清掃手段として設けられているクリーニングブレード66等のワイパーによってノズル板表面の汚れを清掃した後に、このワイパー摺擦動作によってノズル51内に異物が混入するのを防止するためにも予備吐出が行われる。なお、予備吐出は、「空吐出」、「パージ」、「唾吐き」などと呼ばれる場合もある。
また、ノズル51や圧力室52に気泡が混入したり、ノズル51内のインクの粘度上昇があるレベルを超えたりすると、上記予備吐出ではインクを吐出できなくなるため、以下に述べる吸引動作を行う。
即ち、ノズル51や圧力室52のインク内に気泡が混入した場合、或いはノズル51内のインク粘度があるレベル以上に上昇した場合には、圧電素子58を動作させてもノズル51からインクを吐出できなくなる。このような場合、ヘッド50のノズル面50Aに、圧力室52内のインクをポンプ等で吸い込む吸引手段を当接させて、気泡が混入したインク又は増粘インクを吸引する動作が行われる。
但し、上記の吸引動作は、圧力室52内のインク全体に対して行われるためインク消費量が大きい。したがって、粘度上昇が少ない場合はなるべく予備吐出を行うことが好ましい。
〔制御系の説明〕
図9は、インクジェット記録装置10のシステム構成を示す要部ブロック図である。インクジェット記録装置10は、通信インターフェース70、システムコントローラ72、画像メモリ74、ROM75、モータドライバ76、ヒータドライバ78、プリント制御部80、画像バッファメモリ82、ヘッドドライバ84等を備えている。
図9は、インクジェット記録装置10のシステム構成を示す要部ブロック図である。インクジェット記録装置10は、通信インターフェース70、システムコントローラ72、画像メモリ74、ROM75、モータドライバ76、ヒータドライバ78、プリント制御部80、画像バッファメモリ82、ヘッドドライバ84等を備えている。
通信インターフェース70は、ホストコンピュータ86から送られてくる画像データを受信するインターフェース部である。通信インターフェース70にはUSB、IEEE1394、イーサネット、無線ネットワークなどのシリアルインターフェースやセントロニクスなどのパラレルインターフェースを適用することができる。この部分には、通信を高速化するためのバッファメモリ(不図示)を搭載してもよい。
ホストコンピュータ86から送出された画像データは通信インターフェース70を介してインクジェット記録装置10に取り込まれ、一旦画像メモリ74に記憶される。画像メモリ74は、通信インターフェース70を介して入力された画像を一旦格納する記憶手段であり、システムコントローラ72を通じてデータの読み書きが行われる。画像メモリ74は、半導体素子からなるメモリに限らず、ハードディスクなど磁気媒体を用いてもよい。
システムコントローラ72は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、所定のプログラムに従ってインクジェット記録装置10の全体を制御する制御装置として機能するとともに、各種演算を行う演算装置として機能する。即ち、システムコントローラ72は、通信インターフェース70、画像メモリ74、モータドライバ76、ヒータドライバ78等の各部を制御し、ホストコンピュータ86との間の通信制御、画像メモリ74の読み書き制御等を行うとともに、搬送系のモータ88やヒータ89を制御する制御信号を生成する。
ROM75には、システムコントローラ72のCPUが実行するプログラム及び制御に必要な各種データや制御パラメータなどが格納されている。なお、ROM75は、書換不能な記憶素子(記憶手段)であってもよいし、EEPROMのような書換可能な記憶素子であってもよい。画像メモリ74は、画像データの一時記憶領域として利用されるとともに、プログラムの展開領域及びCPUの演算作業領域としても利用される。
モータドライバ76は、システムコントローラ72からの指示にしたがってモータ88を駆動するドライバである。ヒータドライバ78は、システムコントローラ72からの指示にしたがって後乾燥部42等のヒータ89を駆動させたり、配線部材(ヒータ)60(図6等参照)を発熱させるためのドライバである。モータ88にはベルト吸着搬送部22のローラ31,32を駆動するモータなどの複数のモータが含まれており、ヒータ89は後乾燥部42に設けられるヒータなど複数のヒータが含まれている。
プリント制御部80は、システムコントローラ72の制御に従い、画像メモリ74内の画像データから印字制御用の信号を生成するための各種加工、補正などの処理を行う信号処理機能を有し、生成した印字データ(ドットデータ)をヘッドドライバ84に供給する制御部である。プリント制御部80において所要の信号処理が施され、該画像データに基づいてヘッドドライバ84を介してヘッド50のインク液滴の吐出量や吐出タイミングの制御が行われる。これにより、所望のドットサイズやドット配置が実現される。
プリント制御部80には画像バッファメモリ82が備えられており、プリント制御部80における画像データ処理時に画像データやパラメータなどのデータが画像バッファメモリ82に一時的に格納される。なお、図9において画像バッファメモリ82はプリント制御部80に付随する態様で示されているが、画像メモリ74と兼用することも可能である。また、プリント制御部80とシステムコントローラ72とを統合して1つのプロセッサで構成する態様も可能である。
ヘッドドライバ84はプリント制御部80から与えられるドットデータに基づいて各色のヘッド12K,12C,12M,12Yの圧電素子58を駆動する。ヘッドドライバ84にはヘッドの駆動条件を一定に保つためのフィードバック制御系を含んでいてもよい。
印刷すべき画像のデータは、通信インターフェース70を介して外部から入力され、画像メモリ74に蓄えられる。この段階では、RGBの画像データが画像メモリ74に記憶される。
画像メモリ74に蓄えられた画像データは、システムコントローラ72を介してプリント制御部80に送られ、該プリント制御部80において既知のディザ法、誤差拡散法などの手法によりインク色ごとのドットデータに変換される。即ち、プリント制御部80は、入力されたRGB画像データをKCMYの4色のドットデータに変換する処理を行う。プリント制御部80で生成されたドットデータは、画像バッファメモリ82に蓄えられる。
ヘッドドライバ84は、画像バッファメモリ82に記憶されたドットデータに基づき、ヘッド50の各圧電素子58を駆動するための信号を出力するヘッドドライバ84から出力された駆動信号がヘッド50に加えられることによって、ヘッド50からインクが吐出される。記録紙16の搬送速度に同期してヘッド50からのインク吐出を制御することにより、記録紙16上に画像が形成される。
印字検出部24は、図1で説明したように、ラインセンサを含むブロックであり、記録紙16に印字された画像を読み取り、所要の信号処理などを行って印字状況(吐出の有無、打滴のばらつきなど)を検出し、その検出結果をプリント制御部80に提供する。
プリント制御部80は、必要に応じて印字検出部24から得られる情報に基づいてヘッド50に対する各種補正を行う。また、システムコントローラ72は、印字検出部24から得られる情報に基づいて、予備吐出や吸引その他の所定の回復動作を実施する制御を行う。
また、本例のインクジェット記録装置10は、インク情報読取部92を備えている。インク情報読取部92は、インク種の情報を取得する手段である。具体的には、例えば、インクタンク64のカートリッジの形状(インク種を識別可能な特定の形状)、或いはカートリッジに組み込まれたバーコードやICチップなどからインクの物性情報を読み取る手段を用いることができる。その他、ユーザインターフェースを利用してオペレータが必要な情報を入力してもよい。
〔ヘッド駆動方法の説明〕
次に、本例のインクジェット記録装置10におけるヘッド50の駆動方法(圧電素子58及び配線部材(ヒータ)60の駆動方法)について説明する。図10は、インクジェット記録装置10のヘッド駆動に関係する主要な回路の要部構成図である。
次に、本例のインクジェット記録装置10におけるヘッド50の駆動方法(圧電素子58及び配線部材(ヒータ)60の駆動方法)について説明する。図10は、インクジェット記録装置10のヘッド駆動に関係する主要な回路の要部構成図である。
インクジェット記録装置10に搭載される回路基板100には、通信インターフェースIC102、CPU104、ROM75、RAM108、ラインバッファ110、及びプリント制御部(ヘッドコントローラ)80が実装されている。
通信インターフェースIC102は、図9において符号70で示した通信インターフェースに相当する。図10のCPU104は、図9で説明したシステムコントローラ72として機能する。図10のRAM108は、図9で説明した画像メモリ74として機能し、図10のラインバッファ110は、図9の画像バッファメモリ82として機能する。なお、ラインバッファ110に代えて、又はこれと併用してメモリ114を具備してもよい。メモリ114はRAM108の一部を共用することも可能である。
図10に示したプリント制御部80は、図9のヘッドドライバ84に相当する吐出駆動部116と、図9のヒータドライバ78に相当するヒータ駆動部117とが一体的に構成されている。尚、プリント制御部80を構成する吐出駆動部116とヒータ駆動部117は別々に構成されていてもよい。
プリント制御部80(吐出駆動部116及びヒータ駆動部117)は、スイッチIC120(吐出駆動選択手段)を介してヘッド50(配線部材60及び圧電素子58)に電気的に接続されている。スイッチIC120は、シリアル/パラレル(S/P)変換回路及びスイッチアレイ(図13に符号134で図示)を含んで構成される。この回路基板100には電源回路124が接続されており、該電源回路124から各回路ブロックに電力が供給されるようになっている。
図11には、プリント制御部80に含まれる駆動回路130の基本的な構成を示す。図11に示すように、駆動回路130は、D/A変換器126、帰還回路(フィードバックループ)127Aを含むアンプ回路127、充放電回路128、トランジスタを含むプッシュプル回路129等から構成される。駆動回路130の出力部130Aには、図10のスイッチIC120に含まれるスイッチ素子120Aを介して配線部材(ヒータ)60及び圧電素子58が直列的に接続される。出力部130Aから出力される駆動信号 (駆動電圧)は、各スイッチ素子120Aを切換制御することで、各配線部材(ヒータ)60及び圧電素子58に供給される。
図12には、駆動回路130からスイッチICを介して複数(m個)の配線部材(ヒータ)60-1〜60-m及びそれら(配線部材)に直列的に接続される圧電素子58-1〜58-m に駆動信号を選択的に供給するための基本構成を示す。
図12の駆動回路130は、図10のプリント制御部80から出力されるデジタル波形データをアナログ信号に変換するD/A変換器126(図11に図示)を含む波形発生回路132と、波形発生回路132の出力レベルに応じて駆動波形を増幅するアンプ回路127及びプッシュプル回路129’を含んで構成される。即ち、プリント制御部80から出力された駆動波形のデジタル波形データは波形生成回路132に入力され、波形生成回路132において入力波形データに応じたアナログ波形信号に変換される。このアナログ波形信号は、アンプ回路127で所定のレベルに増幅され、プッシュプル回路129’を用いて電力増幅された後、駆動信号として出力される。
なお、図11に示すプッシュプル回路129にはバイポーラトランジスタを用いる態様を示したが、図12に示すプッシュプル回路129’のようにバイポーラトランジスタに代わりFETを用いる構成も可能である。図12の駆動回路130では、波形生成回路132には図11のD/A変換器126を含み、図11の充放電回路128は省略されている。
駆動回路130の出力部130Aから出力された駆動信号は、各スイッチIC120のCOMポートに入力され、スイッチ素子120A-1〜120A-mを選択的に切り換えることで、各スイッチ素子120A-1〜120A-mに接続される配線部材(ヒータ)60-1〜60-m 及びそれら(配線部材)に直列的に接続される各圧電素子58-1〜58-mに選択的に供給される。
ここで、図13を用いてスイッチIC120の構成を詳説する。図13に示すように、プリント制御部80は、ホストコンピュータ86(図9参照)から与えられた画像情報に基づいて、ドットパターンに展開された印字データを生成するとともに、シリアル伝送のクロック信号(CLK)及びラッチタイミングを制御するラッチ信号(LAT)を生成する。図13のプリント制御部80で生成された印字データは、クロック信号CLKに同期してクロック信号CLKとともに印字シリアルデータSDとしてシフトレジスタ140に伝送(シリアル伝送)される。シフトレジスタ140に記憶された印字データは、プリント制御部80から出力されるラッチ信号LATに基づいてラッチ回路142によってラッチされる。
ラッチ回路142でラッチされた信号はレベル変換回路144においてスイッチ素子120A-1〜120A-mを駆動可能な所定の電圧値に変換される。このレベル変換回路144の出力信号によって、スイッチ素子120A-1〜120A-mのON/OFFが制御される。
図14は、インクジェット記録装置10に複数の駆動回路130が搭載される場合の構成例である。図14に示すように、各駆動回路130は、波形生成回路132、アンプ回路127、プッシュプル回路129’を含んで構成される。各駆動回路130から出力された駆動信号は、各駆動回路130の出力部130Aに接続されるスイッチIC120を介して各配線部材(ヒータ)60及びそれら(配線部材)に直列的に接続される圧電素子58に選択的に供給される。尚、図14の駆動回路130及びスイッチIC120は、図12に示す駆動回路130及びスイッチIC120と同一の構成であり、ここでは説明を省略する。
図15(a) は、吐出用共通駆動波形の一例を示した波形図である。図15(a) に示すように、この吐出用共通駆動波形160は、小ドットの液滴(例えば、3pl)を吐出させるための第1波形要素161と中ドットの液滴(例えば、6pl) を吐出させるための第2波形要素162とを連続的に繋げた構成から成り、この第1波形要素161と第2波形要素162とを組み合わせた波形が周期T1 で繰り返される。
吐出用共通駆動波形160のうち第1波形要素161を圧電素子に印加することにより、小ドットの液滴が吐出され、第2波形要素162のみを印加することによって中ドットの液滴が吐出される。また、第1波形要素161と第2波形要素162とを連続して圧電素子に印加することにより、大ドットの液滴(例えば、9pl) が吐出される。
なお、吐出する液滴体積に応じて吐出周期T1 内で駆動波形の印加タイミング(吐出タイミング)が変わるが、この時間差による小ドット、中ドットの着弾位置の差は記録媒体上において実質的に画像の一画素とみなせる範囲内である。
図12乃至図14で説明したスイッチIC120を制御することにより、各吐出素子53に対応する圧電素子58に対して、図15(a) に示した第1波形要素161又は第2波形要素162を選択的に印加することが可能である。
図15(b) は、小ドット吐出時に圧電素子58に印加される波形を示し、同図(c) は中ドット吐出時に印加される波形、同図(d) は大ドット吐出時に印加される波形を示す。
図15(b) 〜(d) の各波形図において、A1 〜A4 、B1 〜B4 、C1 〜C4 で示した部分について、文字「A」〜「C」を代表して「n」(n=A,B,C)で表すことにすると、「n1 」はメニスカスの静定、「n2」はメニスカス引き込み、「n3」はメニスカス引き出し(すなわち吐出)、「n4」は次の吐出準備の状態にそれぞれ対応している。
印字データに基づいて吐出を行うノズル(駆動される吐出素子53)と、吐出を行わないノズル(駆動されない吐出素子53)とが決定され、駆動される吐出素子に対応する圧電素子58に対しては、図15(b) 〜(d) のいずれかの駆動波形が印加される。
一方、駆動されない吐出素子53の一部又は全部に対応する圧電素子58に対しては、図15(e) に示すメニスカス微振動駆動波形163が印加される。このメニスカス微振動駆動波形163は、ノズル51からインクを吐出させない程度のエネルギーに抑えてメニスカスを振動させる波形であり、図15(a) に示した吐出用共通駆動波形160と比較して、振幅の小さい微振動波形要素が所定の周期T2で繰り返されるものとなっている。所定の周期の一例を挙げると、メニスカス微振動駆動波形163の周期T2を吐出用共通駆動波形160の周期T1の1/3とする態様がある。もちろん、メニスカス微振動駆動波形163の周期T2と吐出用共通駆動波形160の周期T1の関係はこの例に限定されない。メニスカス微振動駆動波形163の周期T2を吐出用共通駆動波形160の周期T1の1/N(ただし、Nは正の整数)とすることにより、メニスカス微振動駆動波形163の印加タイミングの制御が容易となり、制御上好ましい。
このように駆動されない吐出素子53の一部又は全部に対応する圧電素子58に対して上記のようなメニスカス微振動駆動波形163を印加することにより、吐出不良の要因となるメニスカスにおけるインクの増粘を未然に防止することができる。
更に、本例のヘッド50では、前述したように共通液室55内に配置され圧電素子58と直列的に接続される配線部材(ヒータ)60にメニスカス微振動駆動波形163が印加されるため、配線部材(ヒータ)60は所定の熱を発生し、共通液室55内のインクは加熱され、各ノズル51(吐出素子53)が安定したインク吐出を行えるようになっている。
尚、本実施形態では、好ましい態様として、駆動されない吐出素子53の一部又は全部に対応する圧電素子58にメニスカス微振動駆動波形163が印加される例を示したが、本発明の実施に際してはこれに限定しない。
図16(a),(b) は、メニスカスを振動させない程度でヒータ駆動のみを行う場合の駆動波形の一例を示している。図16(a) にはパルス幅変調制御(PWM制御)が適用されるヒータ用駆動波形200を示し、図16(b) には振幅変調制御(電圧可変制御)が適用されるヒータ用駆動波形202を示す。
図16(a) に示すパルス幅変調制御が適用されるヒータ用駆動波形200では、配線部材(ヒータ)60に供給される電圧を一定にし、1周期内のオンデューティ(ヒータのオン時間/1周期の時間)を可変させることで配線部材(ヒータ)60の発熱量が制御される。言い換えると、配線部材(ヒータ)60の発熱量を大きくする場合にはオンデューティを大きくし、配線部材(ヒータ)60の発熱量を小さくする場合にはオンデューティを小さくする。図16(a) に示す期間t1 は期間t2 に比べてオンデューティが略1/2となるので、期間t1 における配線部材(ヒータ)60の発熱量は期間t2 における配線部材(ヒータ)60の発熱量の略1/2になる。このようなパルス幅変調制御では、フルデューティとなる場合に配線部材(ヒータ)60の発熱量が最大となり、オンデューティがゼロとなる場合に配線部材(ヒータ)60の発熱量が最小(ゼロ)になる。
また、図16(b) に示す振幅制御が適用されるヒータ用駆動波形202では、1周期内のオンデューティを一定にし、配線部材(ヒータ)60に供給される電圧を可変させることで配線部材(ヒータ)60の発熱量が制御される。期間t1 おける配線部材(ヒータ)60に供給される電圧V1 と期間t2 における配線部材(ヒータ)60に供給される電圧V2 との関係は、V1 =V2 /2の関係を満たすので、期間t1 における配線部材(ヒータ)60の発熱量は期間t2 における配線部材(ヒータ)60の発熱量の略1/2になる。
尚、図16(a),(b) のいずれの波形も、メニスカスを振動させない程度に低いエネルギーに抑えられたものとなっている。
以下では、図15(b) 〜(d) のいずれかの駆動波形が印加される場合を「吐出駆動(ヒータ駆動)」と称し、図15(e) のメニスカス微振動駆動波形163が印加される場合を「微振動駆動(ヒータ駆動)」と称し、図16(a),(b) のいずれかの駆動波形が印加される場合を単に「ヒータ駆動」と称する。
図17は、ヘッド50の駆動制御の一例を表すフローチャートである。以下では、図17のフローチャートに従って、ヘッド50の駆動制御について説明する。
印字処理前(例えば、印字インターバル中など)には(ステップS10)、先ず、ヘッド外条件が取得される(ステップS12)。ここでいうヘッド外条件とは、ヘッド外部(周囲)の温度などの環境条件やインク物性(インクの種類)などインク条件が含まれている。
次に、ステップS12で取得したヘッド外条件に基づいて、ヘッド50内のインクの目標温度を設定し(ステップS14)、全ての配線部材(ヒータ)60及び圧電素子58の微振動駆動(ヒータ駆動)を開始する(ステップS16)。これにより、全てのノズル51(吐出素子53)におけるメニスカスは振動(微振動)するとともに、共通液室55内のインクが加熱される。
そして、図示しないサーミスタ(温度検出手段)によってヘッド50(共通液室55)内のインク温度を検出し、そのインク温度が上記目標温度に到達しているか否か判定を行う(ステップS18)。インク温度が目標温度に到達していない場合には(NO判定)、目標温度に到達するまで微振動駆動(ヒータ駆動)を継続する。一方、インク温度が目標温度に到達した場合には(YES判定)、微振動駆動(ヒータ駆動)を終了する(ステップS20)。
次に、印字処理が開始されると(ステップS22)、画像データを読み込むとともに(ステップS24)、設定された印刷モードを読み込み(ステップS26)、ステップS28に進む。ステップS28では、ステップS24で読み込んだ画像データからステップS26で読み込んだ印刷モードに対応したノズルデータ処理(ドットデータ生成)を行い、該画像データをノズルマップに変換する。そして、ステップS28で求めたノズルマップに基づいた吐出ノズルに対して吐出駆動(ヒータ駆動)を行う(ステップS30)。その後、画像データが終了したか否か(次の画像データがあるか否か)を判断し(ステップS32)、画像データが終了していない場合には(NO判定)、ステップS24に進み、一方、画像データが終了した場合には(YES判定)、当該印字処理を終了する(ステップS36)。
なお、上述したフローチャートにおける各種の解析、判定、演算は、インクジェット記録装置10に搭載されているCPUや画像処理LSIで行ってもよいし、ホストコンピュータ86で行ってもよく、もちろん、両者で処理を分担して行ってもよい。
図18及び図19は、ヘッド50の駆動制御の他の例を表すフローチャートである。図18及び図19中、図17と共通する処理については同一の符号を付し、その説明を省略する。
図18のフローチャートでは、ステップS28でノズルマップに変換後、図示しないサーミスタ(温度検出手段)によってヘッド50(共通液室55)内のインク温度を検出する(ステップS36)。そして、そのインク温度に基づいて、吐出駆動(ヒータ駆動)と同時に、微振動駆動(ヒータ駆動)を行う(ステップS38)。即ち、ノズルマップに基づいた吐出ノズルを吐出駆動(ヒータ駆動)させるだけでなく、非吐出ノズルを微振動駆動(ヒータ駆動)させる。本フローチャートでは、図17と比較して、温度検出、微振動駆動を行うので、高精度の制御が可能である。
図19のフローチャートでは、ステップS28でノズルマップに変換後、前吐出周期の吐出履歴の解析を行う(ステップS40)。そして、ステップS40で求めた吐出履歴に基づいて、吐出駆動(ヒータ駆動)と同時に、微振動駆動(ヒータ駆動)を行う(ステップS42)。本フローチャートでは、吐出履歴に基づいて、温度予測、微振動駆動を行うので、温度検出時間の短縮や温度検出数を減少させることで、高速に制御することができる。また、図19のステップS40とステップS42の間に図18のステップS36と同様の温度検出を設けることで、温度検出を設けない場合に比べて処理速度で若干劣るが、高精度化を図ることができる。
尚、図18のステップS38又は図19のステップS42において、非吐出ノズルを微振動駆動(ヒータ駆動)させる代わりに、図16(a),(b) に示した駆動波形を印加するヒータ駆動を行うようにしてもよい。
〔配線部材(ヒータ)の変形例〕
次に、配線部材(ヒータ)60の変形例について説明する。
次に、配線部材(ヒータ)60の変形例について説明する。
図20は、配線部材(ヒータ)60の形状や配置を変えた変形例であり、図7に示した各配線部材60を紙送り方向(副走査方向)に略平行方向に並べて簡略的に表示した説明図である。
図20(a) では、ヘッド50(共通液室55)の長手方向に相当する主走査方向及びその短手方向に相当する副走査方向(紙送り方向)に配線部材(ヒータ)60が2次元的に配列されており、各配線部材(ヒータ)60の大きさ(断面積)は略均一に構成されている。
一方、図20(b) では、一部の配線部材(ヒータ)60の大きさ(断面積)は変えられて構成されている。具体的には、ヘッド端部に比べてヘッド中央部の配線部材(ヒータ)60の大きさ(断面積)が大きく構成されている。配線部材(ヒータ)60の抵抗値はその長さ(配線長)に比例する一方、断面積に反比例する。配線部材(ヒータ)60の発熱量はその抵抗値に比例するため、長さの等しい配線部材(ヒータ)60間では断面積の小さい方の配線部材(ヒータ)60の発熱量が大きくなる。即ち、このヘッド50は、抵抗値の異なる複数種類の配線部材(ヒータ)60が設けられている。言い換えれば、発熱量の異なる複数種類の配線部材(ヒータ)60が設けられている。図20(b) の例ではヘッド中央部よりヘッド端部側の配線部材(ヒータ)60の発熱量が大きくなるように構成されているが、本発明の実施に際して特に限定されるものでない。インク温度が低くなりやすい部分には他の部分に比べて断面積の小さな配線部材(ヒータ)60を配置することにより、ヘッド50内のインクの温度分布を均一にすることができる。
尚、配線部材(ヒータ)の長さ(配線長)を変えることにより抵抗値を増減させ、配線部材(ヒータ)の発熱量を変えるようにしてもよい。
また、図20(c) に示すように主走査方向に位相をずらして配線部材(ヒータ)60を配置してもよいし、図20(d) に示すように副走査方向に位相をずらして配置してもよい。
図21(a),(b)は、共通液室55に本流55A及び支流55Bが形成されている場合の配線部材(ヒータ)60の配置例である。同図に示した共通液室55には、主走査方向に延びる本流55Aが副走査方向両端に2つ形成され、各本流55Aから内側にそれぞれ延びる複数の支流55Bが形成されている。配線部材(ヒータ)60は、各支流55Bの間に配置される。このヘッド50では、図21(a),(b)の左端からインクが供給され、右端から排出されるようになっており、各支流55Bには副走査方向両端の2つの本流55Aのいずれかを経由してインクが供給される。
図21(a) に示すように配線部材(ヒータ)60の大きさ(断面積)が均一に形成されている場合、インクの供給側より排出側の方がインクの温度が低くなる(粘度が高くなる)とともに、支流55Bの本流55A側よりその反対側(支流端側)の方がインクの温度が低くなる(即ち、ヘッド端部よりヘッド中央部の方がインクの温度が低くなる)。
そこで、上記のように共通液室55が構成される場合には、図21(b) に示すように、配線部材(ヒータ)60の大きさ(断面積)を変えることが好ましい。即ち、配線部材(ヒータ)60の大きさ(断面積)は、インクの供給側に比べて排出側の方を小さくする。また、支流55Bの本流55A側よりその反対側(支流端側)の方を小さくする。これにより、ヘッド50(共通液室55)内のインクの温度分布が均一となり、高粘度インクを安定して吐出することが可能となる。
図22(a) 〜(c) は、配線部材(ヒータ)60の一部を圧力室52内に配置した変形例である。図22(a) は1つの吐出素子53を拡大した図5に相当する平面透視図であり、図22(b) は図22(a) 中の22b−22b線に沿う断面図であり、図22(c)は駆動回路の一部を表した構成図である。図22(a)〜(c)中、図5、図6、図11と共通する部材については同一の符号を付して、その説明を省略する。
本例の配線部材(ヒータ)60は、外部配線63の一端に接続され、共通液室55内を振動板56に対して略垂直方向に延びる第1の垂直部60aと、柱部60の一端から圧力室52内の上壁面を構成する振動板56に沿って配設される水平部60bと、水平部60bの他端から振動板56に対して垂直方向に延び、個別電極57に接続される第2の垂直部60cとから構成される(図22(b) 参照)。水平部60bは、圧力室52の平面形状は略矩形状となっており、圧力室52の略全面にわたって形成されている(図22(a)参照)。また、第1の垂直部60aは、印字ヘッドの剛性を確保するために、圧力室52の側壁上方に配置されている(図22(b) 参照)。尚、配線部材60(第1の垂直部60a、水平部60b、第2の垂直部60c)と共通電極を兼ねる振動板56との間には不図示の絶縁層が設けられる。このようにして、図22(c) に示すように、配線部材60(第1の垂直部60a、水平部60b、第2の垂直部60c)と圧電素子58が直列的に接続された構成となる。
かかる構成により、図17乃至図19に示したフローチャート図のいずれかに従って、ヘッド50の駆動制御を行うと、吐出駆動(ヒータ駆動)、微振動駆動(ヒータ駆動)、又は、ヒータ駆動によって、共通液室55内のインクだけでなく、圧力室52内のインクも加熱されるので、ヘッド50内のインク温度分布がより均一となり、高粘度インクを安定して吐出することができる。
尚、圧力室52内に配置される配線部材60の水平部60bの平面形状は、図22(a)に示すような矩形状に限定されるものでない。例えば、図23に示すように、水平部60bの平面形状をL字状とすることにより、圧力室52内のインクに与えられる圧力の損失が小さくなり、インクの吐出効率が向上する。
図24は、配線部材(ヒータ)60の一部を圧力室内に配置した他の変形例である。図24中、図6と共通又は類似の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
図24のヘッド50は、圧力室52のノズル51が形成される側と同一側に共通液室55が配置されており、圧力室52内に配線部材(ヒータ)60が設けられている。配線部材(ヒータ)60の一端は圧電素子58の個別電極57と電気的に接続されており、他端は振動板56の表面を沿うリード電極部59に電気的に接続されている。尚、振動板56は圧電素子58の共通電極を兼ねており、振動板56とリード電極部59との間には不図示の絶縁層が形成されている。このように、図24のヘッド50も配線部材(ヒータ)60と圧電素子58が直列的に接続された構成となっている。
以上説明したように、本発明に係るヘッド50は、圧電素子58と、発熱体(ヒータ)を兼ねる配線部材60とを直列的に接続したことにより、吐出駆動と同時にヒータ駆動が行われる。そのため、あらたに発熱体を設ける必要がなく、簡易な構成で、ヘッド50内のインクを効率良く加熱することができる。即ち、ヘッド50の駆動回路を大規模化、複雑化することなく、小規模化することが可能であり、高速スループット性が求められるラインヘッドのような場合でも、ヘッド50内のインクに対する温度制御を確実に実施することができる。従って、高粘度インクを安定して吐出することができる。
特に、配線部材(ヒータ)60を共通液室55内に配置することによって、共通液室55内のインクを加熱することができる。更に、配線部材(ヒータ)60の一部を圧力室52内に配置することにより、ヘッド50内のインクをより効率的良く加熱することができる。
また、抵抗値が異なる複数種類の配線部材(ヒータ)60をヘッド50(共通液室55)内に設けることにより、ヘッド50内のインク温度分布を均一にすることが可能となる。特に、ヘッド50内でインクの温度が低くなりやすい部分には他の部分に比べて発熱量が大きな配線部材(ヒータ)60を配置することが好ましい。配線部材(ヒータ)60の発熱量は、その形状や材料により変化させることができる。特に、配線部材(ヒータ)60の断面積を変えることが有効であり、インク温度が低くなりやすい部分には他の部分と比べて断面積の小さな(即ち、抵抗値の大きな)配線部材(ヒータ)60を配置することが好ましい。
図25に、配線部材の材料及びその抵抗率を示す。配線部材(ヒータ)60の材料としては、駆動波形をなまらせない程度に十分高い抵抗率であり、且つ、融点が高く熱的に安定な物質が好ましい。特に、抵抗率が500×10×10-3[μΩm]以上であることが発熱の観点から望ましく、上記各実施形態で用いたニクロムが好適である。また、配線部材(ヒータ)60は、融点100度以上の材料から構成されていることが好ましい。
また、ヘッド50内におけるサーミスタ(温度検出手段)の実装数は1個だけでもよいが、ヘッド50(共通液室55)の局所的温度依存性を考慮して、共通液室55内の少なくともヘッド中央部とヘッド端部、或いは、インクの供給側と排出側にサーミスタを実装することが好ましい。また、共通液室55が本流と支流で構成される場合には本流と支流にサーミスタをそれぞれ実装することが好ましい。
以上、本発明の液体吐出ヘッド及び画像形成装置について詳細に説明したが、本発明は、以上の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはもちろんである。
10…インクジェット記録装置、50…ヘッド、51…ノズル、52…圧力室、53…吐出素子、54…供給口、55…共通液室、56…振動板、57…個別電極、58…圧電素子、60…配線部材(ヒータ)、72…システムコントローラ、75…ROM、80…プリント制御部、104…CPU、108…RAM、116…吐出駆動部、117…ヒータ駆動部、120…スイッチIC、120A…スイッチ素子、130…駆動回路
Claims (8)
- 液体を吐出する複数の吐出口と、
前記複数の吐出口のそれぞれと連通する複数の圧力室と、
前記複数の圧力室の前記吐出口が形成される側とは反対側に設けられ、前記複数の圧力室のそれぞれを変形する圧電素子と、
を有する液体吐出ヘッドと、
前記圧電素子と直列的に接続され前記液体吐出ヘッド内の液体を加熱する発熱素子と、
前記圧電素子及び前記発熱素子の駆動を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記前記圧電素子の駆動と同時に前記発熱素子を駆動することを特徴とする液体吐出装置。 - 前記圧力室の前記吐出口が形成される側とは反対側に前記複数の圧力室に液体を供給する共通液室が設けられ、
前記加熱素子は、その少なくとも一部が前記共通液室内を前記圧電素子が配置される面に対して略垂直方向に立ち上がるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。 - 前記発熱素子の抵抗率は、500×10-3[μΩm]以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液体吐出装置。
- 抵抗値が異なる複数種類の前記発熱素子を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
- 前記発熱素子の少なくとも一部は、前記圧力室内に配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
- 前記制御手段は、前記吐出口から液体を吐出しない程度に前記圧電素子及び前記発熱素子の駆動を制御することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
- 前記液体吐出ヘッド内の液体の目標温度を設定する温度設定手段を備え、
前記制御手段は、前記液体吐出ヘッド内の液体の温度が前記温度設定手段によって設定された目標温度になるように前記圧電素子及び前記発熱素子を制御することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の液体吐出装置。 - 請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の液体吐出装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
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