JP2006297918A - 液体吐出装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】多数のノズルを有する液体吐出ヘッドにおける局所的な吐出異常を回避して好ましい液体吐出を実現する液体吐出装置を提供する。
【解決手段】副走査方向と略平行方向に沿って並べられた複数の吐出素子53から成る吐出素子群が主走査方向に沿って複数並べられた構造を有するヘッドは、副走査方向と略平行方向に長手方向を持ち、吐出素子群に対応して主走査方向に沿って並べられる複数のヒータ59を備えている。装置では画像データに基づいて各吐出素子群の駆動吐出素子数を予測し、予測された駆動吐出素子数に基づいて各ヒータ59から発生させる熱量が決められる。駆動吐出素子数に応じて各ヒータ59の発熱量が制御されるので、ヘッドの全領域においてヘッド及びヘッド内のインクの温度が均一になり、全ての吐出素子53において好ましい吐出が実現される。
【選択図】 図5

Description

本発明は液体吐出装置に係り、特に多数のノズルに対応した圧力発生素子を有する液体吐出ヘッドを用いて被吐出媒体上に液体を吐出させる液体吐出装置及びこれに好適な液体吐出ヘッドの制御技術に関する。
一般に、インクジェット記録装置では、ホストコンピュータから入力された印刷用の画像データを展開してなるドットパターンデータ(「ドットデータ」或いは「印字データ」ともいう。)に基づいて、ヘッドが有する多数のノズルからそれぞれ所定のタイミングでインク滴を吐出させ、これらの各インク滴が記録紙等のメディアに着弾し付着することにより印刷が行われる。
特に、メディアの幅方向に対応する長さのノズル列を持ったラインヘッドとメディアとを相対的に1回だけ走査して画像記録を行うシングルパス記録では、該ヘッド内において局所的にインク吐出が頻繁に行われるノズルとインク吐出がほとんど行われないノズルが存在してしまう。インク吐出がほとんど行われないノズルでは、内部のインクに粘度変化
(粘度上昇)が起こり、このようなノズルからインクを吐出させることが困難になってしまう。このような問題点を回避するために、外部条件 (環境条件)や吐出条件 (吐出状態)に応じて圧力発生素子の駆動信号を変更するように制御したり、インクの温度を検出して検出された温度に基づきヒータを用いてヘッド内のインクの温度が一定になるように制御したりする方法が提案されている。
特許文献1に記載されたインクジェット記録ヘッドでは、圧電セラミックスの隔壁により隔てられた互いに並行する複数のチャンネルを有し、駆動電圧に応じて該隔壁を変形させてチャンネル内に充填されているインクをノズルから選択的に吐出させるインクジェット記録ヘッドにおいて、圧電セラミックスの隔壁のチャンネルと反対側にチャンネル方向と略直交方向に延びて形成される凹部に電気発熱体が設けられ、この電気発熱体を用いて各チャンネル内に充填されているインクを所定の温度に保持するように構成されている。
特開平10−193597号公報
しかしながら、インクに様々な機能を持たせる場合やインクの高性能化を図る場合にはインクの粘度が高くなることが多い。このような高粘度インクを吐出させる際には、一般的な粘度の(高機能、高性能インクよりも粘度が低い)インクを吐出させる場合に比べて高い駆動電圧、急峻な立ち上がり、急峻な立ち下がりを持つ波形を有する駆動信号が要求される。したがって、吐出素子の駆動回路駆動回路は高電圧、大電流に対応することを要求される一方、これらとは相反する関係にある短い吐出周期(高吐出周波数)に対応することも要求される。
ラインヘッド方式のように非常に多くのノズルを有するヘッドでは、外部環境に応じて圧力発生素子に与える駆動信号を変更しても、局所的に存在する吐出頻度の低いノズルには適切な対応ができない可能性がある。このような状況は一般に用いられるインクよりも粘度が高い高粘度インクでは顕著になる。また、吐出条件に応じて該駆動信号を変更すると、吐出制御が複雑になるばかりか、該駆動信号を伝送する配線の規模や該駆動信号を発生させる駆動回路の規模が大きくなるといった問題がある。更に、ノズルごとにヒータや温度検出センサを持たせると、ヘッド、ヒータの駆動回路、センサの検出回路が大規模化
してしまうといった問題が生じてしまう。ラインヘッドのような高速スループットを求められる場合、温度センサの応答性が悪いと温度検出に時間がかかってしまい十分な温度制御ができないことがある。
特許文献1に記載されたインクジェット記録ヘッドでは、ノズルを2次元状に配置することが困難であり、ノズルの高密度化に限界がある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、多数のノズルを有する液体吐出ヘッドにおける局所的な吐出異常を回避して好ましい液体吐出を実現する液体吐出装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、請求項1に係る発明の液体吐出装置は、被吐出媒体上に液体を吐出させるノズル及び前記ノズルから吐出させる液体に吐出力を与える圧電素子を含み、主走査方向に沿う行方向及び副走査方向と略平行方向に沿う列方向に配列された吐出素子と、前記列方向に沿って並べられた複数の前記吐出素子から成る吐出素子群の長さと略同一又はこれ以上の長さを前記列方向に有し、前記吐出素子群に対応して前記行方向に沿って複数配設され、前記ノズルから吐出させる液体を加熱する加熱素子と、を有する液体吐出ヘッドと、前記被吐出媒体及び前記液体吐出ヘッドのうち何れか一方を移動させて前記被吐出媒体及び前記液体吐出ヘッドを前記副走査方向に沿って相対的に移動させる移動手段と、前記加熱素子に加熱用駆動信号を与える加熱素子駆動手段と、吐出データに基づいて前記吐出素子群ごとに駆動される吐出素子数を予測する予測手段と、前記予測手段によって予測された前記吐出素子群ごとの駆動吐出素子数に応じて前記加熱素子から発生させる熱量を可変制御する加熱制御手段と、を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、被吐出媒体の搬送方向と略平行な方向に沿う吐出素子群ごとに駆動される駆動素子数を予測して、この予測された駆動素子数に応じて各駆動素子群に対応して配設される加熱素子から発生する発熱量を可変させるように構成されるので、各吐出素子や各吐出素子群の温度を検出する温度検出手段を備えなくても、吐出素子群ごとに液体の温度制御が可能になる。また、逐次温度検出を実行する態様に比べて制御系の処理負荷を低減させることができ、更に、吐出素子ごとに加熱手段を備える態様に比べて加熱素子の数を削減することができ、コストダウンに寄与する。
本発明における「液体吐出装置」の構成例として、被吐出媒体の全幅に対応する長さにわたってインク吐出用の複数のノズルを配列させたノズル列を有するフルライン型のインクジェットヘッドを備えたインクジェット記録装置を用いることができる。
この場合、被吐出媒体の全幅に対応する長さに満たないノズル列を有する比較的短尺の液体吐出ヘッドブロックを複数個組み合わせ、これらを繋ぎ合わせることで長尺化し、全体として被吐出媒体の全幅に対応するノズル列を構成する態様がある。
フルライン型の液体吐出ヘッド(インクジェットヘッド)は、通常、被吐出媒体の相対的な送り方向(相対的搬送方向)と直交する方向に沿って配置されるが、搬送方向と直交する方向に対して、ある所定の角度を持たせた斜め方向に沿ってインクジェットヘッドを配置する態様もあり得る。
また、液体吐出ヘッドから吐出される液体には、被吐出媒体上にカラー画像を形成する(記録する)インクが含まれる。
被吐出媒体の搬送方向と略平行な方向には、被吐出媒体の搬送方向と所定の角度θをな
す方向が含まれていてもよい。
「被吐出媒体」は、液体吐出ヘッドの作用によって画像の記録を受ける媒体(被記録媒体、印字媒体、被画像形成媒体、記録媒体、受像媒体など呼ばれ得るもの)であり、連続用紙、カット紙、シール用紙、OHPシート等の樹脂シート、フイルム、布、配線パターン等が形成されるプリント基板、中間転写媒体、その他材質や形状を問わず、様々な媒体を含む。
被吐出媒体と液体吐出ヘッドを相対的に移動させる搬送手段は、停止した(固定された)液体吐出ヘッドに対して被吐出媒体を搬送する態様、停止した被吐出媒体に対して液体吐出ヘッドを移動させる態様、或いは、液体吐出ヘッドと被吐出媒体の両方を移動させる態様の何れをも含む。
本発明の加熱素子には、所定の駆動信号(駆動電圧)を与えると該駆動電圧に比例した熱を発生させるヒータ(抵抗体)が好適に用いられる。この加熱素子は、吐出素子が有するノズルやその近傍に設けられてもよいし、ノズルから吐出される液体を収容する圧力室や、該圧力室に液体を供給する供給側流路に設けられていてもよい。
また、加熱素子駆動手段には、加熱駆動信号波形を生成する波形生成部、該波形を所定のゲインで増幅する増幅部、該増幅部で増幅された加熱駆動信号波形を電力増幅する電力増幅部などが含まれる。
請求項2に係る発明によれば、前記ノズルから吐出される液体の目標温度を設定する温度設定手段を備え、前記加熱制御手段は、前記ノズルから吐出される液体の温度が前記温度設定手段によって設定された目標温度になるように前記加熱素子を制御することを特徴とする。
ノズルから吐出させる液体が所定の目標温度に制御されるので、好ましい液体吐出が実現される。この目標温度は吐出させる液体の種類や被吐出媒体の種類に応じて変更される態様が好ましい。
請求項3に係る発明によれば、前記加熱制御手段は、前記液体吐出ヘッドの前記行方向の略中央部に配設される加熱素子から発生させる熱量に比べて端部に配設される加熱素子から発生させる熱量が大きくなるように前記加熱素子を制御することを特徴とする。
特に、被吐出媒体の幅に対応する長さにわたって複数のノズルが配列される液体吐出ヘッドでは、該液体吐出ヘッドの略中央部に比べて端部では大気に触れる面積が大きくなるので放熱効果が大きくなり、この端部及びその近傍の液体は略中央部の液体に比べて温度が低くなる傾向がある。このような状態では被吐出媒体上に吐出された液体の吐出むら(シェーディング)が起こることがある。したがって、略中央部の加熱素子に比べて端部の加熱素子から発生させる熱量を大きくすることで、液体吐出ヘッド内の液体の温度を液体吐出ヘッド内の位置によらず一定にすることができるので、液体吐出ヘッドが有する全てのノズルから好ましい液体吐出を行うことができ、被吐出媒体上における吐出むらを抑制することができる。
請求項4に係る発明によれば、前記液体吐出ヘッド内の温度分布を予測する温度分布予測手段を備え、前記加熱制御手段は、前記温度分布予測手段によって予測された温度分布を補正するように前記加熱素子を制御することを特徴とする。
液体吐出ヘッドや該液体吐出ヘッド内の液体に温度分布が生じると、温度が低い領域の
ノズルでは所定の吐出状態(吐出量、吐出方向)を保つことができなくなる。したがって、この温度分布を補正して、液体吐出ヘッドの全領域で内部の液体が所定の温度範囲内になるように制御すると、液体吐出ヘッドが有する全てのノズルから好ましい液体吐出を行うことができる。
予めいくつかの温度分布に対してこれらの温度分布を補正するための温度履歴(温度プロファイル)を記憶手段に記憶しておき、予測された温度分布に対応する温度履歴を該記憶手段から読み出すように構成してもよい。なお、本発明は主走査方向と略平行方向に沿った温度分布に対して特に効果がある。
請求項5に係る発明によれば、前記加熱用駆動信号には、発生させる熱量が異なる前記加熱素子に対応する複数種類の加熱波形要素を含んだ加熱用共通駆動信号を含み、前記加熱素子のうち前記加熱素子駆動手段から熱量を発生させる加熱素子に対して該加熱素子の発生させる熱量に対応する前記加熱用共通駆動信号の少なくとも1つの加熱波形要素を選択的に印加する加熱駆動選択手段を備えたことを特徴とする。
各加熱素子には、複数種類の加熱波形要素の中から少なくとも1つの加熱波形要素を含んだ加熱用共通駆動信号が共通の加熱素子駆動手段から選択的に印加されるので、加熱素子ごとに加熱素子駆動手段を備える態様に比べて加熱素子駆動手段の数を削減することができる。
加熱駆動選択手段には、アナログスイッチなどの複数のスイッチ素子を有するスイッチ素子や、制御信号に基づいて該スイッチ素子のオンオフを制御する制御部などを含むスイッチICが好適に用いられる。このようなスイッチICを複数備えてもよい。
請求項6に係る発明によれば、体積が異なる複数種類の液滴を吐出するための複数の吐出波形要素を含んだ吐出用共通駆動信号を前記吐出素子に与える吐出素子駆動手段と、前記複数の吐出素子のうち吐出を行う吐出素子に対して前記吐出用共通駆動信号の少なくとも1つの吐出波形要素を選択的に印加する吐出駆動選択手段と、を備え、前記吐出用共通駆動信号の少なくとも一部は前記加熱用共通駆動信号と兼用され、前記吐出素子駆動手段は前記加熱駆動選択手段を介して前記加熱用共通駆動信号と兼用される前記吐出用共通駆動信号を前記加熱素子に与えることを特徴とする。
吐出素子駆動手段の少なくとも一部を加熱素子駆動手段と兼用し、加熱用共通駆動波形と吐出用共通駆動波形とを兼用することで、吐出素子の駆動状況に応じて吐出素子駆動と加熱素子駆動とを使い分けることができ、吐出素子駆動手段の利用効率の向上が見込まれる。更に、複数の吐出素子駆動手段を備える態様では、各吐出素子駆動手段の負荷が均一になるように吐出駆動選択手段及び請求項5に記載の加熱駆動選択手段を制御する態様が好ましい。
請求項7に係る発明によれば、前記加熱制御手段は、前記吐出素子駆動手段によって駆動される駆動素子数が所定の基準駆動素子数未満となる場合には、前記所定の基準駆動素子数と前記吐出素子駆動手段によって駆動される駆動素子数との差分に対応する駆動容量を前記吐出用共通駆動信号として該吐出素子駆動手段から前記加熱素子へ印加するように前記加熱駆動選択手段を制御することを特徴とする。
また、吐出素子駆動手段の余剰なエネルギーは加熱素子の駆動エネルギーに転用されるので、加熱素子駆動手段の規模が冗長にならず、加熱素子駆動手段の簡素化、小規模化に寄与する。
請求項8に係る発明によれば、前記吐出素子駆動手段は前記加熱用駆動手段と共通化されることを特徴とする。
吐出素子駆動手段は加熱素子駆動手段と共通化されるので、加熱素子駆動手段が不要になり、装置構成が簡素化される。
本発明によれば、副走査方向と略平行方向に沿う方向に複数の吐出素子を有する吐出素子群を主走査方向に沿って複数並べた液体吐出ヘッドにおいて、各吐出素子群の駆動吐出素子数を予め予測して、予測された駆動吐出素子数に基づいて各吐出素子群に対応して配設される加熱素子から発生させる熱量を制御するように構成されるので、温度検出手段を備えなくても液体吐出ヘッドの全域で均一な温度を維持することができる。主走査方向に長手方向を持つ液体吐出ヘッドにおいて、主走査方向に沿う方向に温度分布が生じる場合に特に有効である。
以下添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
〔インクジェット記録装置の全体構成〕
図1は本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置の全体構成図である。同図に示したように、このインクジェット記録装置10は、黒(K),シアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y)の各インクに対応して設けられた複数のインクジェットヘッド(以下、ヘッドという。)12K,12C,12M,12Yを有する印字部12と、各ヘッド12K,12C,12M,12Y(液体吐出ヘッド)に供給するインクを貯蔵しておくインク貯蔵/装填部14と、被吐出媒体たる記録紙16を供給する給紙部18と、記録紙16のカールを除去するデカール処理部20と、前記印字部12のノズル面(インク吐出面)に対向して配置され、記録紙16の平面性を保持しながら記録紙16を搬送する吸着ベルト搬送部22(搬送手段)と、印字部12による印字結果を読み取る印字検出部24と、記録済みの記録紙(プリント物)を外部に排紙する排紙部26と、を備えている。
インク貯蔵/装填部14は、各ヘッド12K,12C,12M,12Yに対応する色のインクを貯蔵するインクタンクを有し、各タンクは所要の管路を介してヘッド12K,12C,12M,12Yと連通されている。また、インク貯蔵/装填部14は、インク残量が少なくなるとその旨を報知する報知手段(表示手段、警告音発生手段)を備えるとともに、色間の誤装填を防止するための機構を有している。
図1では、給紙部18の一例としてロール紙(連続用紙)のマガジンが示されているが、紙幅や紙質等が異なる複数のマガジンを併設してもよい。また、ロール紙のマガジンに代えて、又はこれと併用して、カット紙が積層装填されたカセットによって用紙を供給してもよい。
複数種類の記録紙を利用可能な構成にした場合、紙の種類情報を記録したバーコード或いは無線タグなどの情報記録体をマガジンに取り付け、その情報記録体の情報を所定の読取装置によって読み取ることで、使用される記録媒体の種類(メディア種)を自動的に判別し、メディア種に応じて適切なインク吐出を実現するようにインク吐出制御を行うことが好ましい。
給紙部18から送り出される記録紙16はマガジンに装填されていたことによる巻きクセが残り、カールする。このカールを除去するために、デカール処理部20においてマガジンの巻きクセ方向と逆方向に加熱ドラム30で記録紙16に熱を与える。このとき、多
少印字面が外側に弱いカールとなるように加熱温度を制御するとより好ましい。
ロール紙を使用する装置構成の場合、図1のように、裁断用のカッター(第1のカッター)28が設けられており、該カッター28によってロール紙は所望のサイズにカットされる。カッター28は、記録紙16の搬送路幅以上の長さを有する固定刃28Aと、該固定刃28Aに沿って移動する丸刃28Bとから構成されており、印字裏面側に固定刃28Aが設けられ、搬送路を挟んで印字面側に丸刃28Bが配置される。なお、カット紙を使用する場合には、カッター28は不要である。
デカール処理後、カットされた記録紙16は、吸着ベルト搬送部22へと送られる。吸着ベルト搬送部22は、ローラ31、32間に無端状のベルト33が巻き掛けられた構造を有し、少なくとも印字部12のノズル面及び印字検出部24のセンサ面に対向する部分が水平面(フラット面)をなすように構成されている。
ベルト33は、記録紙16の幅よりも広い幅寸法を有しており、ベルト面には多数の吸引穴(不図示)が形成されている。図1に示したとおり、ローラ31、32間に掛け渡されたベルト33の内側において印字部12のノズル面及び印字検出部24のセンサ面に対向する位置には吸着チャンバ34が設けられており、この吸着チャンバ34をファン35で吸引して負圧にすることによって記録紙16がベルト33上に吸着保持される。
ベルト33が巻かれているローラ31、32の少なくとも一方にモータ(図7中符号88)の動力が伝達されることにより、ベルト33は図1上の時計回り方向に駆動され、ベルト33上に保持された記録紙16は図1の左から右へと搬送される。
縁無しプリント等を印字するとベルト33上にもインクが付着するので、ベルト33の外側の所定位置(印字領域以外の適当な位置)にベルト清掃部36が設けられている。ベルト清掃部36の構成について詳細は図示しないが、例えば、ブラシ・ロール、吸水ロール等をニップする方式、清浄エアーを吹き掛けるエアーブロー方式、或いはこれらの組み合わせなどがある。清掃用ロールをニップする方式の場合、ベルト線速度とローラ線速度を変えると清掃効果が大きい。
なお、吸着ベルト搬送部22に代えて、ローラ・ニップ搬送機構を用いる態様も考えられるが、印字領域をローラ・ニップ搬送すると、印字直後に用紙の印字面をローラが接触するので画像が滲み易いという問題がある。したがって、本例のように、印字領域では画像面を接触させない吸着ベルト搬送が好ましい。
吸着ベルト搬送部22により形成される用紙搬送路上において印字部12の上流側には、加熱ファン40が設けられている。加熱ファン40は、印字前の記録紙16に加熱空気を吹き付け、記録紙16を加熱する。印字直前に記録紙16を加熱しておくことにより、インクが着弾後乾き易くなる。
印字部12の各ヘッド12K,12C,12M,12Yは、当該インクジェット記録装置10が対象とする記録紙16の最大紙幅に対応する長さを有し、そのノズル面には最大サイズの記録媒体の少なくとも一辺を超える長さ(描画可能範囲の全幅)にわたりインク吐出用のノズルが複数配列されたフルライン型のヘッドとなっている(図2参照)。
ヘッド12K,12C,12M,12Yは、記録紙16の送り方向に沿って上流側から黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の色順に配置され、それぞれのヘッド12K,12C,12M,12Yが記録紙16の搬送方向と略直交する方向に沿って延在するように固定設置される。
吸着ベルト搬送部22により記録紙16を搬送しつつ各ヘッド12K,12C,12M,12Yからそれぞれ異色のインクを吐出することにより記録紙16上にカラー画像を形成し得る。
このように、紙幅の全域をカバーするノズル列を有するフルライン型のヘッド12K,12C,12M,12Yを色別に設ける構成によれば、紙送り方向(副走査方向)について記録紙16と印字部12を相対的に移動させる動作を1回行うだけで(即ち1回の副走査で)、記録紙16の全面に画像を記録することができる。これにより、記録ヘッドが紙搬送方向と直交する方向に往復動作するシャトル型ヘッドに比べて高速印字が可能であり、生産性を向上させることができる。
本例では、KCMYの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組み合わせについては本実施形態に限定されず、必要に応じて淡インク、濃インク、特別色インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インクを吐出するインクジェットヘッドを追加する構成も可能である。また、各色ヘッドの配置順序も特に限定はない。更に、記録紙16上でインクと処理液とを反応させてインク色材を凝集させる2液系のシステムでは、インクを吐出させるヘッドに加えて処理液を吐出させる処理液吐出ヘッドを追加する構成もある。
図1に示した印字検出部24は、印字部12の打滴結果を撮像するためのイメージセンサを含み、該イメージセンサによって読み取った打滴画像からノズルの目詰まりその他の吐出不良をチェックする手段として機能する。
本例の印字検出部24は、少なくとも各ヘッド12K,12C,12M,12Yによるインク吐出幅(画像記録幅)よりも幅の広い受光素子列を有するラインセンサで構成される。このラインセンサは、赤(R)の色フィルタが設けられた光電変換素子(画素)がライン状に配列されたRセンサ列と、緑(G)の色フィルタが設けられたGセンサ列と、青(B)の色フィルタが設けられたBセンサ列と、からなる色分解ラインCCDセンサで構成されている。なお、ラインセンサに代えて、受光素子が2次元配列されて成るエリアセンサを用いることも可能である。
各色のヘッド12K,12C,12M,12Yにより印字されたテストパターン又は実技画像が印字検出部24により読み取られ、各ヘッドの吐出判定が行われる。吐出判定は、吐出の有無、ドットサイズの測定、ドット着弾位置の測定などで構成される。
印字検出部24の後段には後乾燥部42が設けられている。後乾燥部42は、印字された画像面を乾燥させる手段であり、例えば、加熱ファンが用いられる。印字後のインクが乾燥するまでは印字面と接触することは避けたほうが好ましいので、熱風を吹き付ける方式が好ましい。
多孔質のペーパーに染料系インクで印字した場合などでは、加圧によりペーパーの孔を塞ぐことでオゾンなど、染料分子を壊す原因となるものと接触することを防ぐことで画像の耐候性がアップする効果がある。
後乾燥部42の後段には、加熱・加圧部44が設けられている。加熱・加圧部44は、画像表面の光沢度を制御するための手段であり、画像面を加熱しながら所定の表面凹凸形状を有する加圧ローラ45で加圧し、画像面に凹凸形状を転写する。
こうして生成されたプリント物は排紙部26から排出される。本来プリントすべき本画
像(目的の画像を印刷したもの)とテスト印字とは分けて排出することが好ましい。このインクジェット記録装置10では、本画像のプリント物と、テスト印字のプリント物とを選別してそれぞれの排出部26A、26Bへと送るために排紙経路を切り換える不図示の選別手段が設けられている。なお、大きめの用紙に本画像とテスト印字とを同時に並列に形成する場合は、カッター(第2のカッター)48によってテスト印字の部分を切り離す。カッター48は、排紙部26の直前に設けられており、画像余白部にテスト印字を行った場合に本画像とテスト印字部を切断するためのものである。カッター48の構造は前述した第1のカッター28と同様であり、固定刃48Aと丸刃48Bとから構成される。
また、図1には示さないが、本画像の排出部26Aには、オーダー別に画像を集積するソーターが設けられる。
〔ヘッドの構造〕
次に、ヘッドの構造について説明する。色別の各ヘッド12K,12C,12M,12Yの構造は共通しているので、以下、これらを代表して符号50によってヘッドを示すものとする。
図3(a) はヘッド50(液体吐出ヘッド)の構造例を示す平面透視図であり、図3(b) はその一部の拡大図である。また、図3(c) はヘッド50の他の構造例を示す平面透視図、図4は1つの吐出素子(1つのノズル51に対応したインク室ユニット)の立体的構成を示す断面図(図3(a),(b) 中の4−4線に沿う断面図)である。
記録紙16上に印字されるドットピッチを高密度化するためには、ヘッド50におけるノズルピッチを高密度化する必要がある。本例のヘッド50は、図3(a),(b) に示したように、インク滴の吐出口であるノズル51と、各ノズル51に対応する圧力室52等からなる複数の吐出素子(インク室ユニット)53を千鳥でマトリクス状に(2次元的に)配置させた構造を有し、これにより、ヘッド長手方向(紙送り方向と直交する方向)に沿って並ぶように投影される実質的なノズル間隔(投影ノズルピッチ)の高密度化を達成している。
言い換えると、記録紙16の搬送方向と略直交する方向(主走査方向)に沿う行方向及び、該主走査方向に対して直交しない一定の角度θを有する斜めの列方向とに沿って一定の配列パターンで格子状に多数配列させることにより、本例の高密度ノズルヘッドが実現されている。即ち、本例のヘッド50は、該列方向に沿って並べられた複数の吐出素子を有する吐出素子群53Aを主走査方向に沿って複数並べた構造を有している。図3(b) に示す態様では、1つの吐出素子群53Aは6つの吐出素子53を有している。
記録紙16の送り方向と略直交する方向に記録紙16の全幅に対応する長さにわたり1列以上のノズル列を構成する形態は本例に限定されない。例えば、図3(a) の構成に代えて、図3(c) に示すように、複数のノズル51が2次元に配列された短尺のヘッドブロック50’を千鳥状に配列して繋ぎ合わせることで記録紙16の全幅に対応する長さのノズル列を有するラインヘッドを構成してもよい。
各ノズル51に対応して設けられている圧力室52は、その平面形状が概略正方形となっており(図3(a),(b) 参照)、対角線上の両隅部にノズル51への流出口と供給インクの流入口(供給口)54が設けられている。
図4に示したように、各圧力室52は供給口54を介して共通流路55と連通されている。共通流路55はインク供給源たるインクタンク(図4中不図示、図6中符号60として記載)と連通しており、インクタンク60から供給されるインクは図4の共通流路55
を介して各圧力室52に分配供給される。
圧力室52の天面を構成している加圧板(共通電極と兼用される振動板)56には個別電極57を備えた圧電素子(アクチュエータ)58が接合されている。個別電極57に駆動電圧を印加することによって圧電素子58が変形して圧力室52の容積が変化し、これに伴う圧力変化によりノズル51からインクが吐出され、インク吐出後、共通流路55から供給口54を通って新しいインクが圧力室52に供給される。
また、図4に示すように、各圧力室52には、該圧力室52内のインクを加熱するためのヒータ59(加熱素子)を備えている。図5に示すように、このヒータ59は、図3(b) に示す列方向に沿って並べられる各吐出素子群53Aに対応して設けられている。即ち、ヒータ59は、その長手方向の長さが各吐出素子群53Aの列方向の長さと略同一であり、このようなヒータ59が図3(b) に示す行方向に沿って複数配設されている。図5には、行方向に並べられた4列のヒータ59を示したが、ヘッド50には行方向に沿って吐出素子群53Aと同じ数のヒータ59が設けられている。
本例では、圧力室52の内部にヒータ59を備える態様を示したが、ヒータ59の配設位置は圧力室52の内部に限定されず、圧力室52を構成する壁の外側でもよいし、ノズル51及びその近傍や供給口54の近傍、共通液室55などの供給側流路に配設されていてもよい。図4に示すような、複数のキャビティプレートを積層させる構造では、このヒータ59は積層構造を構成するキャビティプレートとして形成してもよい。このようにヒータ59を積層構造の1層として形成する態様では、ヒータ59には印刷抵抗を用いるとよい。ヒータ59をインクと接触する面に形成する場合、絶縁処理や耐液処理などの所定の表面処理が施される。
また、ヒータ59には抵抗体が好適に用いられる。即ち、ヒータ59に所定の駆動信号(駆動電圧)を印加すると (所定の駆動電流を流すと)、ヒータ59は印加された駆動電圧に応じて熱を発生し、この熱によって圧力室52内のインクが加熱される。一方、ヒータ59への電圧供給を停止すると、時間経過と共に徐々に圧力室52内のインクの温度を下げることができる。即ち、ヒータ59に印加する電圧を可変制御することで、圧力室52内のインクの温度を可変させることができる。なお、ヒータ59の制御の詳細は後述する。
図5に示すように、主走査方向に対してある角度θの方向に沿って吐出素子53を一定のピッチdで複数配列する構造により、主走査方向に並ぶように投影されたノズルのピッチPはd× cosθとなり、主走査方向については、各ノズル51が一定のピッチPで直線状に配列されたものと等価的に取り扱うことができる。このような構成により、主走査方向に並ぶように投影されるノズル列が1インチ当たり2400個(2400ノズル/インチ)におよぶ高密度のノズル構成を実現することが可能になる。
なお、印字可能幅の全幅に対応した長さのノズル列を有するフルラインヘッドで、ノズルを駆動する時には、(1)全ノズルを同時に駆動する、(2)ノズルを片方から他方に向かって順次駆動する、(3)ノズルをブロックに分割して、ブロックごとに片方から他方に向かって順次駆動する等が行われ、用紙の幅方向(用紙の搬送方向と直交する方向)に1ライン(1列のドットによるライン又は複数列のドットから成るライン)を印字するようなノズルの駆動を主走査と定義する。
特に、図5に示すようなマトリクス状に配置されたノズル51を駆動する場合は、上記(3)のような主走査が好ましい。即ち、ノズル51-11 、51-12 、51-13 、51-14 、51-15 、51-16 を1つのブロックとし(他にはノズル51-21 、…、51-26 を1つのブロック、ノズル51-31 、…、51-36 を1つのブロック、…として)、記録紙16の搬送速度に応じてノズル51-11 、51-12 、…、51-16 を順次駆動することで記録紙16の幅方向に1ラインを印字する。
一方、上述したフルラインヘッドと用紙とを相対移動することによって、上述した主走査で形成された1ライン(1列のドットによるライン又は複数列のドットから成るライン)の印字を繰り返し行うことを副走査と定義する。なお、本発明の実施に際してノズルの配置構造は図示の例に限定されない。
〔インク供給系の構成〕
図6はインクジェット記録装置10におけるインク供給系の構成を示した概要図である。インクタンク60はヘッド50にインクを供給する基タンクであり、図1で説明したインク貯蔵/装填部14に設置される。インクタンク60の形態には、インク残量が少なくなった場合に、不図示の補充口からインクを補充する方式と、タンクごと交換するカートリッジ方式とがある。使用用途に応じてインク種類を変える場合には、カートリッジ方式が適している。この場合、インクの種類情報をバーコード等で識別して、インク種類に応じた吐出制御を行うことが好ましい。なお、図6のインクタンク60は、先に記載した図1のインク貯蔵/装填部14と等価のものである。
図6に示したように、インクタンク60とヘッド50の中間には、異物や気泡を除去するためにフィルタ62が設けられている。フィルタ・メッシュサイズは、ノズル径と同等若しくはノズル径以下(一般的には、20μm程度)とすることが好ましい。図6には示さないが、ヘッド50の近傍又はヘッド50と一体にサブタンクを設ける構成も好ましい。サブタンクは、ヘッドの内圧変動を防止するダンパー効果及びリフィルを改善する機能を有する。
また、インクジェット記録装置10には、ノズル51の乾燥防止又はノズル近傍のインク粘度上昇を防止するための手段としてのキャップ64と、ノズル面50Aの清掃手段としてのクリーニングブレード66とが設けられている。これらキャップ64及びクリーニングブレード66を含むメンテナンスユニットは、不図示の移動機構によってヘッド50に対して相対移動可能であり、必要に応じて所定の退避位置からヘッド50下方のメンテナンス位置に移動される。
キャップ64は、図示せぬ昇降機構によってヘッド50に対して相対的に昇降変位される。電源OFF時や印刷待機時にキャップ64を所定の上昇位置まで上昇させ、ヘッド50に密着させることにより、ノズル面50Aをキャップ64で覆う。
クリーニングブレード66は、ゴムなどの弾性部材で構成されており、図示せぬブレード移動機構によりヘッド50のインク吐出面(ノズル板表面)に摺動可能である。ノズル板にインク液滴又は異物が付着した場合、クリーニングブレード66をノズル板に摺動させることでノズル板表面を拭き取り、ノズル板表面を清浄する。
印字中又は待機中において、特定のノズルの使用頻度が低くなり、ノズル近傍のインク粘度が上昇した場合、その劣化インクを排出すべくキャップ64に向かって予備吐出が行われる。
また、ヘッド50内のインク(圧力室52内)に気泡が混入した場合、ヘッド50にキャップ64を当て、吸引ポンプ67で圧力室52内のインク(気泡が混入したインク)を吸引により除去し、吸引除去したインクを回収タンク68へ送液する。この吸引動作は、初期のインクのヘッド50への装填時、或いは長時間の停止後の使用開始時にも粘度上昇(固化)した劣化インクの吸い出しが行われる。
ヘッド50は、ある時間以上吐出しない状態が続くと、ノズル近傍のインク溶媒が蒸発してノズル近傍のインクの粘度が高くなってしまい、吐出駆動用の圧電素子58が動作してもノズル51からインクが吐出しなくなる。したがって、この様な状態になる手前で(圧電素子58の動作によってインク吐出が可能な粘度の範囲内で)、インク受けに向かって圧電素子58を動作させ、粘度が上昇したノズル近傍のインクを吐出させる「予備吐出」が行われる。また、ノズル面50Aの清掃手段として設けられているクリーニングブレード66等のワイパーによってノズル板表面の汚れを清掃した後に、このワイパー摺擦動作によってノズル51内に異物が混入するのを防止するためにも予備吐出が行われる。なお、予備吐出は、「空吐出」、「パージ」、「唾吐き」などと呼ばれる場合もある。
また、ノズル51や圧力室52に気泡が混入したり、ノズル51内のインクの粘度上昇があるレベルを超えたりすると、上記予備吐出ではインクを吐出できなくなるため、以下に述べる吸引動作を行う。
即ち、ノズル51や圧力室52のインク内に気泡が混入した場合、或いはノズル51内のインク粘度があるレベル以上に上昇した場合には、圧電素子58を動作させてもノズル51からインクを吐出できなくなる。このような場合、ヘッド50のノズル面50Aに、圧力室52内のインクをポンプ等で吸い込む吸引手段を当接させて、気泡が混入したインク又は増粘インクを吸引する動作が行われる。
但し、上記の吸引動作は、圧力室52内のインク全体に対して行われるためインク消費量が大きい。したがって、粘度上昇が少ない場合はなるべく予備吐出を行うことが好ましい。
〔制御系の説明〕
図7はインクジェット記録装置10のシステム構成を示す要部ブロック図である。インクジェット記録装置10は、通信インターフェース70、システムコントローラ72、画像メモリ74、ROM75、モータドライバ76、ヒータドライバ78、プリント制御部80、画像バッファメモリ82、ヘッドドライバ84等を備えている。
通信インターフェース70は、ホストコンピュータ86から送られてくる画像データを受信するインターフェース部である。通信インターフェース70にはUSB(Universal Serial Bus)、IEEE1394、イーサネット(登録商標)、無線ネットワークなどのシリアルインターフェースやセントロニクスなどのパラレルインターフェースを適用することができる。この部分には、通信を高速化するためのバッファメモリ(不図示)を搭載してもよい。
ホストコンピュータ86から送出された画像データは通信インターフェース70を介してインクジェット記録装置10に取り込まれ、一旦画像メモリ74に記憶される。画像メモリ74は、通信インターフェース70を介して入力された画像を一旦格納する記憶手段であり、システムコントローラ72を通じてデータの読み書きが行われる。画像メモリ74は、半導体素子からなるメモリに限らず、ハードディスクなど磁気媒体を用いてもよい。
システムコントローラ72は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、所定のプログラムに従ってインクジェット記録装置10の全体を制御する制御装置として機能するとともに、各種演算を行う演算装置として機能する。即ち、システムコントローラ72は、通信インターフェース70、画像メモリ74、モータドライバ76、ヒータドライバ78等の各部を制御し、ホストコンピュータ86との間の通信制御、画像
メモリ74の読み書き制御等を行うとともに、搬送系のモータ88やヒータ89を制御する制御信号を生成する。
ROM75には、システムコントローラ72のCPUが実行するプログラム及び制御に必要な各種データや制御パラメータなどが格納されている。なお、ROM75は、書換不能な記憶素子(記憶手段)であってもよいし、EEPROMのような書換可能な記憶素子であってもよい。画像メモリ74は、画像データの一時記憶領域として利用されるとともに、プログラムの展開領域及びCPUの演算作業領域としても利用される。
モータドライバ76は、システムコントローラ72からの指示にしたがってモータ88を駆動するドライバである。ヒータドライバ78(加熱素子制御手段)は、システムコントローラ72からの指示にしたがって図5に示すヒータ59や後乾燥部42等のヒータ89を駆動するドライバである。モータ88にはベルト吸着搬送部22のローラ31,32を駆動するモータなどの複数のモータが含まれており、ヒータ89は後乾燥部42に設けられるヒータなど複数のヒータが含まれている。
プリント制御部80は、システムコントローラ72の制御に従い、画像メモリ74内の画像データから印字制御用の信号を生成するための各種加工、補正などの処理を行う信号処理機能を有し、生成した印字データ(ドットデータ)をヘッドドライバ84に供給する制御部である。プリント制御部80において所要の信号処理が施され、該画像データに基づいてヘッドドライバ84を介してヘッド50のインク液滴の吐出量や吐出タイミングの制御が行われる。これにより、所望のドットサイズやドット配置が実現される。
プリント制御部80には画像バッファメモリ82が備えられており、プリント制御部80における画像データ処理時に画像データやパラメータなどのデータが画像バッファメモリ82に一時的に格納される。なお、図7において画像バッファメモリ82はプリント制御部80に付随する態様で示されているが、画像メモリ74と兼用することも可能である。また、プリント制御部80とシステムコントローラ72とを統合して1つのプロセッサで構成する態様も可能である。
また、プリント制御部80では、ドットデータに基づいて図3(b) に示す吐出素子群53Aごとに駆動される吐出素子の数が予測される。この吐出素子群53Aごとの駆動突出素子数に応じてヒータドライバ78に制御信号を送出し、ヒータドライバ78はこの制御信号に基づいてヒータ59を制御する。
ヘッドドライバ84はプリント制御部80から与えられるドットデータに基づいて各色のヘッド12K,12C,12M,12Yの圧電素子58を駆動する。ヘッドドライバ84にはヘッドの駆動条件を一定に保つためのフィードバック制御系を含んでいてもよい。
印刷すべき画像のデータは、通信インターフェース70を介して外部から入力され、画像メモリ74に蓄えられる。この段階では、RGBの画像データが画像メモリ74に記憶される。
画像メモリ74に蓄えられた画像データは、システムコントローラ72を介してプリント制御部80に送られ、該プリント制御部80において既知のディザ法、誤差拡散法などの手法によりインク色ごとのドットデータに変換される。即ち、プリント制御部80は、入力されたRGB画像データをKCMYの4色のドットデータに変換する処理を行う。プリント制御部80で生成されたドットデータは、画像バッファメモリ82に蓄えられる。
ヘッドドライバ84は、画像バッファメモリ82に記憶されたドットデータに基づき、
ヘッド50の各圧電素子58を駆動するための信号を出力するヘッドドライバ84から出力された駆動信号がヘッド50に加えられることによって、ヘッド50からインクが吐出される。記録紙16の搬送速度に同期してヘッド50からのインク吐出を制御することにより、記録紙16上に画像が形成される。
印字検出部24は、図1で説明したように、ラインセンサを含むブロックであり、記録紙16に印字された画像を読み取り、所要の信号処理などを行って印字状況(吐出の有無、打滴のばらつきなど)を検出し、その検出結果をプリント制御部80に提供する。
プリント制御部80は、必要に応じて印字検出部24から得られる情報に基づいてヘッド50に対する各種補正を行う。また、システムコントローラ72は、印字検出部24から得られる情報に基づいて、予備吐出や吸引その他の所定の回復動作を実施する制御を行う。
また、本例のインクジェット記録装置10は、インク情報読取部92を備えている。インク情報読取部92は、インク種の情報を取得する手段である。具体的には、例えば、インクタンク60のカートリッジの形状(インク種を識別可能な特定の形状)、或いはカートリッジに組み込まれたバーコードやICチップなどからインクの物性情報を読み取る手段を用いることができる。その他、ユーザインターフェースを利用してオペレータが必要な情報を入力してもよい。
〔ヘッド駆動方法の説明〕
次に、本例のインクジェット記録装置10におけるヘッド50の駆動方法(圧電素子58の駆動方法及びヒータ59の駆動方法)について説明する。図8はインクジェット記録装置10のヘッド駆動に関係する主要な回路の要部構成図である。
インクジェット記録装置10に搭載される回路基板100には、通信インターフェースIC102、CPU104、ROM75、RAM108、ラインバッファ110、及びヘッドコントローラ112が実装されている。
通信インターフェースIC102は、図7において符号70で示した通信インターフェースに相当する。図8のCPU104は、図7で説明したシステムコントローラ72として機能する。図8のRAM108は、図7で説明した画像メモリ74として機能し、図8のラインバッファ110は、図7の画像バッファメモリ82として機能する。なお、ラインバッファ110に代えて、又はこれと併用してメモリ114を具備してもよい。メモリ114はRAM108の一部を共用することも可能である。
図8に示したヘッドコントローラ112は、D/A変換器(図9に符号126で図示)、アンプ(図9に符号127で図示)、トランジスタ等を含むプッシュプル回路 (図9に符号128で図示)等の駆動回路(図9に符号130で図示)を含んで構成される図7で説明したヘッドドライバ84に相当する吐出駆動部116(吐出素子駆動手段)と、図5に示すヒータ59を駆動し図7のヒータドライバ78に相当するヒータ駆動部117(加熱素子駆動手段)と、から構成されている。
図8のヘッドコントローラ112の吐出駆動部116及びヒータ駆動部117は、それぞれスイッチIC120A(吐出駆動選択手段)、スイッチIC120B(加熱駆動選択手段)を搭載した配線部材(例えば、フレキシブル基板とリジット基板とを組み合わせた配線部材)122を介してヘッド50の圧電素子58(図8には不図示、図5に図示)及びヒータ59(図8には不図示、図5に図示)とそれぞれ電気的に接続されている。
スイッチIC120A,120Bは、シリアル/パラレル(S/P)変換回路及びスイッチアレイ(図11に符号134で図示)を含んで構成される。なお、スイッチIC120, 120Bを共通化して1つのデバイスを用いてもよい。この回路基板100には電源回路124が接続されており、該電源回路124から各回路ブロックに電力が供給されるようになっている。
図9には、吐出駆動部116及びヒータ駆動部117に含まれる駆動回路130の詳細な構成を示す。なお、吐出駆動部116に含まれる駆動回路とヒータ駆動部117に含まれる駆動回路は共通の基本構成を有しており、図9に示す構成では、駆動回路130から出力される駆動信号(圧電素子58に印加される駆動信号とヒータ59に印加される駆動信号とを共通化した駆動信号)を印加することによって圧電素子58或いはヒータ59の何れか一方を時分割で駆動することができる。
1つの駆動回路130で圧電素子58及びヒータ59を駆動する場合、駆動回路130の出力部131はスイッチ素子120A-1を介して圧電素子58に接続されるとともに、スイッチ素子120B-1を介してヒータ59に接続され、このスイッチ素子120A-1及びスイッチ素子120B-1を切換制御することで、圧電素子58或いはヒータ59の何れか一方に所定の駆動信号を印加することができる。
図9に示すように、駆動回路130は、D/A変換器126、帰還回路(フィードバックループ)127Aを含むアンプ回路127、充放電回路128、トランジスタを含むプッシュプル回路129等から構成され、出力部131から出力される駆動信号 (駆動電圧)は、図8に示すスイッチIC120Aに含まれるスイッチ素子120A-1及び図8に示すスイッチIC120Bに含まれるスイッチ素子120B-1を介してそれぞれ圧電素子58及びヒータ59に供給される。
図10には、駆動回路(複数の圧電素子58に駆動信号を供給する共通の駆動回路要素)130から複数の(m個の)圧電素子58-1〜58-mへ駆動信号を選択的に印加する基本構成を示す。
図10に示す駆動回路130は、図8に示すヘッドコントローラ112から出力されるデジタル波形データをアナログ信号に変換するD/A変換器126(図9に図示)を含む波形発生回路132と、波形発生回路132の出力レベルに応じて駆動波形を増幅するアンプ回路127及びプッシュプル回路129’を含んで構成される。即ち、ヘッドコントローラ112から出力された駆動波形のデジタル波形データは波形生成回路132に入力され、波形生成回路132において入力波形データに応じたアナログ波形信号に変換される。このアナログ波形信号は、アンプ回路127で所定のレベルに増幅され、プッシュプル回路129’を用いて電力増幅された後、駆動信号として出力される。
なお、図9に示すプッシュプル回路129にはバイポーラトランジスタを用いる態様を示したが、図10に示すプッシュプル回路129’のようにバイポーラトランジスタに代わりFETを用いる構成も可能である。図10に示す駆動回路130では、波形生成回路132には図9のD/A変換器126を含み、図9の充放電回路128は省略されている。
駆動回路130の出力部131から出力された駆動信号は、各スイッチIC120AのCOMポートに入力され、スイッチ素子120A-1〜120A-mを選択的に切り換えることで、圧電素子58-1〜58-mに選択的に供給される。本例では、図10に示す構成を複数の(n個の)ヒータ59-1〜59-nに対して選択的に駆動信号を与える構成にも適用される。
ここで、図11を用いてスイッチIC120の構成を詳説する。図11に示すように、ヘッドコントローラ112は、ホストコンピュータ86(図8参照)から与えられた画像情報に基づいて、ドットパターンに展開された印字データを生成するとともに、シリアル伝送のクロック信号(CLK)及びラッチタイミングを制御するラッチ信号(LAT)を生成する。図11のヘッドコントローラ112で生成された印字データは、クロック信号CLKに同期してクロック信号CLKとともに印字シリアルデータSDとしてシフトレジスタ140に伝送(シリアル伝送)される。シフトレジスタ140に記憶された印字データは、ヘッドコントローラ112から出力されるラッチ信号LATに基づいてラッチ回路142によってラッチされる。
ラッチ回路142でラッチされた信号はレベル変換回路144においてスイッチ素子120A-1〜120A-mを駆動可能な所定の電圧値に変換される。このレベル変換回路144の出力信号によって、スイッチ素子120A-1〜120A-mのON/OFFが制御される。
図12(a) は、吐出用共通駆動波形の一例を示した波形図である。図12(a) に示すように、この吐出用共通駆動波形160は、小ドットの液滴(例えば、3pl)を吐出させるための第1波形要素161と中ドットの液滴(例えば、6pl) を吐出させるための第2波形要素162とを連続的に繋げた構成から成り、この第1波形要素161と第2波形要素162とを組み合わせた波形が周期T1 で繰り返される。
吐出用共通駆動波形160のうち第1波形要素161を圧電素子に印加することにより、小ドットの液滴が吐出され、第2波形要素162のみを印加することによって中ドットの液滴が吐出される。また、第1波形要素161と第2波形要素162とを連続して圧電素子に印加することにより、大ドットの液滴(例えば、9pl) が吐出される。
なお、吐出する液滴体積に応じて吐出周期T1 内で駆動波形の印加タイミング(吐出タイミング)が変わるが、この時間差による小ドット、中ドットの着弾位置の差は記録媒体上において実質的に画像の一画素とみなせる範囲内である。
図10、図11で説明したスイッチIC120を制御することにより、各吐出素子53が有する圧電素子58に対して、図12(a) に示した第1波形要素161又は第2波形要素162を選択的に印加することが可能である。
図12(b) は、小ドット吐出時に圧電素子58に印加される波形を示し、同(c) は中ドット吐出時に印加される波形、同(d) は大ドット吐出時に印加される波形を示す。
図12(b) 〜(d) の各波形図において、A1 〜A4 、B1 〜B4 、C1 〜C4 で示した部分について、文字「A」〜「C」を代表して「n」(n=A,B,C)で表すことにすると、「n1 」はメニスカスの静定、「n2」はメニスカス引き込み、「n3」はメニスカス引き出し(すなわち吐出)、「n4」は次の吐出準備の状態にそれぞれ対応している。
印字データに基づいて吐出を行うノズル(駆動される吐出素子)と、吐出を行わないノズル(駆動されない吐出素子)とが決定され、駆動される吐出素子に対しては、図12(b) 〜(d) の何れかの吐出波形が印加される。なお、駆動されない吐出素子の一部又は全部に対して、図示しないメニスカス微振動駆動波形を印加するように構成してもよい。このメニスカス微振動駆動波形は、ノズル51からインクを吐出させない程度のエネルギーに抑えてメニスカスを振動させる波形であり、図12(a) に示した吐出用共通駆動波形160と比較して、振幅の小さい微振動波形要素が所定の周期で繰り返されるものとなっている。所定の周期の一例を挙げると、メニスカス微振動駆動波形の周期を吐出用共通駆動波形160の周期の1/3とする態様がある。もちろん、メニスカス微振動駆動波形の周期と吐出用共通駆動波形の周期の関係はこの例に限定されない。メニスカス微振動駆動波形における微振動波形要素の周期を吐出用共通駆動波形160の周期の1/N(ただし、Nは正の整数)とすることにより、メニスカス微振動駆動波形の印加タイミングの制御が容易となり、制御上好ましい。
〔ヒータの配置の変形例〕
次に、図13乃至図15を用いて、ヒータ59の配置例について詳説する。以降、図を簡素化するために、吐出素子53は紙送り方向(副走査方向)に略平行方向に並べられているものとする(即ち、図3(a) に示すθ=0度とする)。
図13(a) には、副走査方向に沿う列方向を長手方向とするヒータ59を主走査方向に沿って複数(n個)並べたヒータ59(59-1〜59-n)の配置例を示す。また、図13(b) に示すように吐出素子53は、副走査方向に対して千鳥状に (副走査方向の位相をずらして)配置されていてもよい。
また、図14に示すように、複数のヘッド50A〜50D(例えば、図1の印字ヘッド12K,12C,12M,12Y)に対して、共通のヒータ59を備えてもよい。即ち、複数のヘッド50A〜50Dを備える態様では、ヒータ59は各ヘッド50A〜50Dを貫くように形成される。更に、図15に示すように、図14に示す4つのヘッド50A〜50Dを一体に構成してもよい。
〔ヒータの駆動制御、第1実施形態〕
次に、本発明の第1実施形態に係るヒータ59の駆動制御について説明する。本例に示すヒータ59の駆動制御では、紙送り方向に沿う副走査方向に並べられた複数の吐出素子53から成る吐出素子群53Aごとに、画像データに基づいて駆動されるノズル51(吐出素子53)の数を予測し(算出し)、予測された吐出素子群53Aごとの駆動吐出素子数に基づいて各吐出素子群53Aに対応するヒータ59から発生させる熱量を可変させる制御が行われる。なお、各吐出素子群53Aの駆動吐出素子数に代わり、各吐出素子群53Aの駆動効率(稼働率)に基づいて ヒータ59の駆動制御を行うように構成してもよい。
図16には、吐出素子53へ与える駆動信号を生成する吐出用駆動回路130Aと、ヒータ59へ与える駆動信号を生成するヒータ用駆動回路130Bと、をそれぞれ別々に設ける態様を示す。なお、図16に示す吐出用駆動回路130A及びヒータ用駆動回路130Bは、図9に示す駆動回路130と等価である。
図16に示すように、ヒータ用駆動回路130Bは、ヒータ用駆動信号波形を生成する波形生成回路132B、アンプ回路127B、プッシュプル回路129Bを含んで構成されており、図11を用いて説明した駆動回路130と同一構成になっている。ヒータ用駆動信号はヒータ用駆動回路130BからスイッチIC120Bを介して各ヒータ59に供給される。なお、吐出用駆動回路130Aは、図11に示す駆動回路130と同一の構成であり、ここでは説明を省略する。
図17(a) 〜(c) には、ヒータ59に供給されるヒータ用駆動信号を例示する。図17(a) にはパルス幅変調制御(PWM制御)が適用されるヒータ用駆動信号200を示し、図17(b) には振幅変調制御(電圧可変制御)が適用されるヒータ用駆動信号202を示す。また、図17(c) には吐出素子53に供給される駆動信号と兼用されるヒータ用駆動
信号204を示す。
図17(a) に示すパルス幅変調制御が適用されるヒータ用駆動信号では、ヒータ59に供給される電圧を一定にし、1周期内のオンデューティ(ヒータのオン時間/1周期の時間)を可変させることでヒータ59の発熱量が制御される。言い換えると、ヒータ59の発熱量を大きくする場合にはオンデューティを大きくし、ヒータ59の発熱量を小さくする場合にはオンデューティを小さくする。図17(a) に示す期間t1 は期間t2 に比べてオンデューティが略1/2となるので、期間t1 におけるヒータ59の発熱量は期間t2 におけるヒータ59の発熱量の略1/2になる。このようなパルス幅変調制御では、フルデューティとなる場合にヒータ59の発熱量が最大となり、オンデューティがゼロとなる場合にヒータ59の発熱量が最小(ゼロ)になる。
また、図17(b) に示す振幅制御が適用されるヒータ用駆動信号202では、1周期内のオンデューティを一定にし、ヒータ59に供給される電圧を可変させることでヒータ59の発熱量が制御される。期間t1 おけるヒータ59に供給される電圧V1 と期間t2 におけるヒータ59に供給される電圧V2 との関係は、V1 =V2 /2の関係を満たすので、期間t1 におけるヒータ59の発熱量は期間t2 におけるヒータ59の発熱量の略1/4になる。
次に、図18(a) 〜(d) を用いて、ヒータ59の駆動制御を詳述する。
図18(a) に示すヘッド50は、n個の吐出素子群53A-1、53A-2、53A-3、…、53A-nが図18(a) の左から主走査方向に沿って並べられ、各吐出素子群53Aに対応してヘッド50の副走査方向の長さと略同一長さを有するn個のヒータ59-1、59-2、59-3、…、59-nが主走査方向に沿って並べられている。なお、ヒータ59の長手方向の長さは、吐出素子群53Aの副走査方向と略平行な方向の長さ以上であればよく、ヘッド50の副走査方向の長さよりも短くてもよい。
図18(b) には、ある画像データに基づく各吐出素子群53Aの吐出状況を示し、図18(c) には、図18(b) に示す吐出状況に基づいて求められた各吐出素子群53Aの駆動吐出素子数を示す。図18(b) のたて方向は副走査方向、横方向は主走査方向を表し、Hレベルは駆動される吐出素子を表している。このようにして、各吐出素子群53Aの駆動吐出素子数が求められると、この駆動吐出素子数に基づいて図18(d) に示すヒータ59の駆動量が求められ、このヒータ駆動量から各ヒータ59に供給されるヒータ用駆動信号が設定される。
例えば、図17(a) に示すパルス幅変調制御を適用したヒータ用駆動信号200を用いる場合、吐出素子群53A-1は吐出素子群53A-2に比べて駆動吐出素子数が少ないので、吐出素子群53A-1のヒータ駆動量は吐出素子群53A-2のヒータ駆動量に比べて大きくなり、ヒータ59-1はヒータ59-2に比べてオンデューティが高い駆動信号が印加される。また、図17(b) に示す振幅変調制御を適用したヒータ用駆動信号202を用いる場合、ヒータ59-1はヒータ59-2に比べて高い電圧(振幅)を持つ駆動信号が印加され、更に、図17(c) に示す吐出用駆動信号と兼用されるヒータ用駆動信号204を用いる場合、ヒータ59-1には中ドットに対応する駆動信号が印加され、ヒータ59-2には小ドットに対応する駆動信号が印加されるといったように、駆動量が大きなヒータ59には大きな吐出量に対応する駆動信号が印加され、駆動量が小さなヒータ59には少ない吐出量に対応する駆動信号が印加される。
図19には、印字中におけるヒータ59の駆動制御のフローチャートを示す。
印字処理前(例えば、印字インターバル中など)には(ステップS10)、先ず、ヘッド外条件が取得される(ステップS12)。ここでいうヘッド外条件とは、ヘッド外部(周囲)の温度などの環境条件やインク物性(インクの種類)などインク条件が含まれている。
次に、ステップS12で取得したヘッド外条件に基づいて、ヘッド50内のインクの目標温度が設定され(ステップS14)、この目標温度を実現するための温度プロファイルが設定される(ステップS16)。
図20(b) にステップS16で設定される温度プロファイルの一例を示す。ラインヘッドでは、端部のノズルに比べて中央部分のノズルは頻繁にインクが吐出されるので、ヘッド端部に比べて略中央部の温度が高くなる傾向がある。即ち、ヘッド内(ヘッド内のインク)は、図20(a) に示すような温度分布220が生じることがある。このような温度分布220キャンセル(補正)するように図20(b) に示す温度プロファイル222が設定される。図20(b) に示す温度プロファイル222が設定されると、ヘッドの端部及びその近傍におけるヒータ59の駆動量がヘッドの略中央部及びその近傍におけるヒータ59の駆動量よりも大きくなるようにヒータ59の駆動制御が行われる。もちろん、図20(b) に破線で示す主走査方向の全領域において均一な温度プロファイル224を設定してもよい。
その後、印字処理が開始されると(図19のステップS20)、画像データが読み込まれると共に(ステップS22)、設定された印刷モードが読み込まれ(ステップS24)、ステップS26に進む。ステップS26では、ステップS22で読み込まれた画像データからステップS24で読み込まれた印刷モードに対応したノズルデータ処理(ドットデータ生成)が行われ、該画像データはノズルマップに変換される。ステップS26で生成されるノズルマップとは、図18(b) に示す吐出状況に対応している。
図19のステップS26で求められたノズルマップに基づいて、図18(c) に示す駆動吐出素子数が算出され(図19のステップS28)、ステップS30へ進む。ステップS28では、具体的には列方向に並べられた複数のノズルの中から駆動される(インクを吐出する)ノズルの総数が計算される。
ステップS30では、ステップS28で求められた駆動吐出素子数(吐出総ノズル数)から、ステップS16で設定された温度プロファイルに基づいてヒータ駆動量(図18(d) に図示)が求められる。即ち、図19のステップS30では、ステップS28で計算された列ごとの吐出総ノズル数が各ヒータ59の駆動量に変換される。
このようにしてヒータ駆動量が求められると、該ヒータ駆動量に基づいて生成される駆動信号がそれぞれのヒータ59に印加されると共に、所望の画像を印字するためにインクの吐出制御が行われる(ステップS32)。その後、画像データが終了したか否か(次の画像データがあるか否か)が判断され(ステップS34)、画像データが終了していない場合には(NO判定)、ステップS22に進み、一方、画像データが終了した場合には(YES判定)、当該印字処理は終了される(ステップS36)。
なお、上述したフローチャートにおける各種の解析、判定、演算は、インクジェット記録装置10に搭載されているCPUや画像処理LSIで行ってもよいし、ホストコンピュータ86で行ってもよく、もちろん、両者で処理を分担して行ってもよい。
ここで、印刷制御、吐出駆動、ヒータ駆動の関係を図21(a) 〜(c) に示す。図21(a) には印刷制御の流れを示し、図21(b) には吐出駆動の流れを示す。また、図21(c)にはヒータ駆動の流れを示す。
図21(a) に示す印刷制御では、タイミングtA で電源がオンになると、電源オン時(タイミングtA )からtB の期間でイニシャライズが実行される。タイミングtB から印刷開始のタイミングtC までの期間はスタンバイ状態となり、更に、タイミングtd で印刷が終了されると、再び印刷開始されるまでの期間はスタンバイ状態となる。即ち、図19のステップS10に示す印字処理前は、図21のタイミングtA からタイミングtB までの期間となる。
図20(b) に示す吐出制御では、電源オンとなるタイミングtA からtB'の期間ではフラッシング(パージ)や吸引などの回復動作が実行される。なお、フラッシングが終了するタイミングtB'は図21(a) に示す印刷制御におけるイニシャライズ動作終了タイミングと同じタイミングでもよいし、イニシャライズ動作終了タイミングtB と異なるタイミングでもよい。
また、吐出制御では、フラッシング終了タイミングtB'からインク吐出開始タイミングtC (図21(a) に示す印刷開始タイミングと同じタイミング)での期間はメニスカスを微振動させるように制御される。ノズル51からインクを吐出させない程度にメニスカスを振動させることで、ノズル51のインクの増粘が抑制される。更に、吐出駆動終了タイミングtd (図21(a) の印刷終了タイミングと同じタイミング)から次の吐出開始までの期間では、メニスカス微振動制御が実行される。
図21(c) に示すヒータ駆動では、電源オンのタイミングtA からタイミングtB"の期間では、インクが印字(吐出)に適した温度になるようにヘッド50(ヘッド50内のインク)をヒートアップ(加熱)し、タイミングtB"でヘッド50内のインクが所定の温度になるとこの温度を維持するようにプレヒートが行われる。なお、タイミングtB"は、図21(a) に示すイニシャライズ終了タイミングtB や、図21(b) に示すフラッシング終了タイミングtB'と同じタイミングでもよい。
また、ヒータ駆動では、図21(b) に示す吐出開始タイミングtc よりも少し早いタイミングtC'から吐出駆動終了タイミングtD よりも少し遅いタイミングtD'の期間、本発明に係るヒータ駆動制御(本制御)が適用されるメインヒートが実行される。
一般的な加熱制御では、印字指令があると、プレヒート状態からヘッド内のインクが印字に適した温度になるまで加熱し、印字実行中はヘッド50内のインクに対して一定の熱量によって加熱するか、或いは比較的長い時間をかけて緩やかに加熱するようにヒータ駆動が制御される。このような一般的な加熱制御では、印字中の吐出状況によってはヘッド50(ヘッド50内のインク)に温度分布が生じてしまい、更に、この温度分布は時々刻々と変化してしまう。
一方、本発明に係るヒータ駆動制御では、印字中の吐出状況によってヒータ59の駆動制御を行うので、ヘッド50(ヘッド50内のインク)の温度を逐次検出することなく、より精密且つ高速に温度制御を行うことが可能になる。
上記の如く構成されたインクジェット記録装置10では、画像データに基づいて各吐出素子群53Aの駆動吐出素子数を求め、この駆動吐出素子数に応じて各ヒータ59を制御するように構成されるので、温度センサを用いて逐次温度検出をすることなく、ヘッド50内のインクの温度を一定に保つことができる。したがって、局所的に発生する吐出異常が回避された好ましいインク吐出が、ヘッド50の吐出素子53(ノズル51)配設領域の全域で実現することが可能になる。
また、ヘッド50の紙送り方向と略平行方向(列方向)に沿ってヒータ59が配設されるので、2次元状に並べられた吐出素子53の列単位でヘッド50の温度を制御でき、各吐出素子53ごとにヒータを備える場合に比べてヒータの数及び該ヒータの駆動回路の小規模化が可能になる。
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態に係るヒータ59の駆動制御について説明する。なお、本例におけるヘッド50は上述した第1実施形態のヘッド50と略同一の構成を有するので、ここでは説明を省略する。
図22(a) は、べた画像にシェーディング(局所的な濃度むら)が発生した画像300を示す。画像300にはヘッド50の構造によって生じるヘッド50の温度分布(ヘッド50内のインクの温度分布)の影響を受けて略中央部302に比べて両端部304,306の濃度が小さい濃度むらが発生している。図22(b) には、本来印字されるべき全領域で濃度が均一なべた画像300’を示す。
一般に、ラインヘッドでは周囲部は中央部に比べて雰囲気と接する面積が大きくなり放熱効果が高くなるので、ヘッド周囲部はヘッド中央部に比べて温度が低くなる温度分布が生じる傾向があり、特に主走査方向(ヘッドの長手方向)に沿った方向に温度分布が生じやすい。このようなにヘッドの構造に起因する温度分布が生じると、ヘッドの周囲部では中央部に比べてインクの粘度が高くなってしまい、インクの粘度が高くなるヘッドの周囲部から吐出されるインクの量が所定の吐出量よりも少なくなり、印字された画像には、図22(a) に示すようなシェーディングが発生してしまう。
本実施形態に係るヒータ59の駆動制御では、このような温度分布に対して、該温度分布を補正(キャンセル)するような温度プロファイルが設定され、設定された温度プロファイルに基づいてヒータ59の駆動制御が行われる。なお、上述した温度分布は図20(a) に示すような温度分布220と似ており、図20(a) に示す温度分布を補正する図20(b) に示す温度プロファイル222を設定し、温度プロファイル222に基づいてヒータ59を制御するとよい。
即ち、ヘッド50の主走査方向の端部及びその近傍のヒータの駆動量はヘッド50の主走査方向の略中央部及びその近傍のヒータの駆動量に比べて大きくなるよう制御されるので、ヘッド50の全吐出領域において温度が均一となり、ヘッド50が有する全ての吐出素子53(ノズル51)では好ましい吐出が実現される。
また、図23(a) には、一方の端部から他方の端部に向かって徐々に濃度が低くなるようなシェーディングが発生した画像320を示す。画像320では、図23(a) 中の左端部322から右端部324に向かって濃度が小さくなるような濃度むらが発生している。なお、図23(b) には、本来印字されるべき全領域で濃度が均一なべた画像320’を示す。
ヘッド外部で予め加温したインクが充填される場合、充填口の近傍に比べて充填口の遠方ではインクの温度が下がってしまい、ヘッド内のインクに温度分布が発生する。本例のヘッド50には、ヘッド50の長手方向の両端部のうち一方の端部からインクが充填される。即ち、ヘッド50は長手方向の両端部のうち一方の端部に充填口を備えており、該充填口から充填されたインクはヘッド内を流れるうちに温度が低くなり、充填口と反対側の端部ではインクの温度が最も低くなる。
即ち、ヘッド50内のインクに図24(a) に示す温度分布340が生じると、印字された画像には図23(a) に示すようなシェーディングが発生してしまう。
本例に示すヒータ駆動制御では、ヘッド50内のインクに図24(a) に示す温度分布340が生じると、この温度分布340を補正するような温度プロファイル342(図24(b)参照)が設定され、温度プロファイル342に基づいてヒータ59の駆動制御が行われる。
即ち、ヘッド50の主走査方向の一方の端部(充填口の近傍)及びその近傍のヒータの駆動量を、他方の端部(充填口の遠方)及びその近傍のヒータの駆動量に比べて小さくなるよう制御されるので、ヘッド50内のインクは吐出素子配設領域の全領域において温度が均一となる。
図25には、本実施形態に係るヒータ駆動制御のフローチャートを示す。なお、図25中、図19と同一又は類似する部分には同一の符号を付し、その説明は省略する。図25に示すヒータ駆動制御では、ステップS14で目標温度が設定されると、ヘッド内条件が参照され(ステップS15)、このヘッド内条件に基づいて温度プロファイルが設定される(ステップS16)。ここでいうヘッド内条件とは、ヘッド50の内部構造などの条件が含まれる。このようなヘッド内条件に起因して発生する温度分布を補正するような温度プロファイルが設定される。
なお、複数のヘッド内条件に対応して、各ヘッド内条件とそれぞれのヘッド内条件に対応する温度分布を補正するような複数の温度プロファイルを予めテーブル化して記憶しておき、温度プロファイルを設定する際にこのデータテーブルから読み出すように構成するとよい。
上記の如く構成されたインクジェット記録装置10では、主走査方向に沿ったヘッド50の温度分布及びヘッド50内のインクの温度分布を補正するように温度プロファイルが設定され、この温度プロファイルに基づいて、紙送り方向と略平行方向に形成され、主走査方向に沿って並べられたヒータ59の駆動制御を行うので、ヘッド内条件に起因して生じるヘッド50及びヘッド50内のインクの温度分布が補正され、ヘッド50の吐出素子配設領域の全領域でインクの温度が均一になり、ヘッド50に設けられる全ての吐出素子53において好ましいインク吐出が行われ、印字された画像には図21(a) 、図23(a)に示すようなシェーディングの発生が回避される。
〔応用例1〕
図26及び図27には、上述した第1、第2実施形態の応用例に係るヒータ59の駆動回路の概略構成を示す。
図26に示すように、吐出用駆動回路130Aの出力がスイッチIC120B(スイッチIC120Bのスイッチ素子)を介してヒータ59に接続され、スイッチIC120Bを制御することで、吐出用駆動回路130Aの駆動容量(駆動エネルギー)の一部(又は全部)をヒータ59の駆動に充当することができる。このように吐出駆動回路130Aを用いてヒータ用駆動回路130Bを補助することが可能な構成によれば、ヒータ用駆動回路130Bの回路規模を小規模化することができる。即ち、吐出用駆動回路130Aの駆動能力は駆動するノズル数(吐出素子数)が少ない場合にはヒータ59の駆動に用いられる。
吐出用駆動回路130Aの駆動能力は、吐出素子53(ノズル51)の他に、容量性負荷の変動による駆動信号の変動(波形歪み等)を抑制するために設けられるダミー負荷などを駆動することができるように決められている。このような余剰な駆動能力をヒータ5
9の駆動能力に転用することで、吐出素子53及びヒータ59を駆動する回路全体の消費電力を削減することができる。
図27には、各吐出用駆動回路130Aの出力が各スイッチIC120Aに接続される構成を示す。図27に示す構成では、各吐出用駆動回路130Aがヘッド50の全ての駆動素子を選択的に駆動することができるので、各吐出用駆動回路130Aの駆動負荷を一定にすることができ、各吐出駆動回路130A間の負荷変動による駆動信号の変動が軽減され、インクの吐出むらが減少し、印字された画像の品質向上が見込まれる。
このような構成をとることで、各吐出用駆動回路130A(及びヒータ用駆動回路130B)の回路規模を小さく構成でき、各吐出用駆動回路130A(ヒータ用駆動回路130B)あたりの消費電力(消費電流)を少なくすることができ、電力増幅部等に用いるトランジスタの選択の幅が広がるだけでなく、波形生成に重要な特性である高速なスイッチングが可能なトランジスタも使用できる。アクチュエータ数、吐出性能、回路規模、コストなど多様な観点から妥当な駆動回路数が設計される。
なお、図26及び図27に示す構成では、ヒータ59に印加される加熱用駆動信号は、図17(c) に示すように吐出素子53に印加される吐出用駆動信号と共通化される。
図28は、図27に示す構成におけるヒータ59の駆動制御のフローチャートである。なお、図28中、図19と同一又は類似する部分には同一の符号を付し、その説明は省略する。
図28に示すように、ステップS30においてヒータ59の駆動量が算出されると、各吐出用駆動回路130Aが駆動する吐出素子数 (ノズル数)が算出され(ステップS40)、この吐出素子数は所定の基準吐出素子数と比較される(ステップS42)。ステップS42において、実際に駆動される吐出素子数が基準の吐出素子数よりも小さい場合には(YES判定)、実際に駆動される吐出素子数と基準の吐出素子数との差分の駆動容量をヒータ59の駆動に回すようにスイッチIC120Bが制御される(ステップS44)。
一方、ステップS42において、実際に駆動される吐出素子数が基準の吐出素子数よりも大きいか或いは等しい場合には(NO判定)、当該吐出用駆動回路130Aの駆動容量は吐出素子の駆動のみに用いられるように、スイッチIC120Bが制御され、ステップS32に進む。
〔応用例2〕
次に、他の応用例について説明する。図29には、上述した第1、第2実施形態の他の応用例に係るヒータ59の駆動回路の概略構成を示し、図30には、本応用例のヒータ59の駆動制御のフローチャートを示す。
図29には、吐出用駆動回路130Aがヒータ用駆動回路130Bを兼用する構成を示す。即ち、図29に示す構成では、ヒータ用駆動回路130Bが省略され、各吐出用駆動回路130Aの出力がスイッチIC120Bを介して各ヒータ59に接続されている。このような構成において、各吐出用駆動回路130Aが駆動する吐出素子数に応じて、吐出素子53のみを駆動するか、ヒータ59のみを駆動するか、吐出素子53及びヒータ59を駆動するか、の何れかが選択され、これに応じてスイッチIC120A,120Bが制御される。更に、各吐出用駆動回路130Aの負荷が一定になるようにスイッチIC120A,120Bが制御される。
図30は、本応用例2のヒータ駆動制御の流れを示すフローチャートである。なお、図
30中、図28と同一又は類似する部分には同一の符号を付し、その説明は省略する。
図30に示すヒータ駆動制御では、ステップS30においてヒータ59の駆動量が算出されると、主走査方向に沿った方向に並べられる吐出素子53(ノズル51)の中で、駆動される吐出素子53(インクを吐出するノズル51)の数が計算され(ステップS50)、更に、各吐出用駆動回路130Aが駆動する吐出素子数(ノズル数)が平均化される(ステップS52)。即ち、各吐出用駆動回路130Aの負荷が一定になるように各吐出用駆動回路130Aが駆動する吐出素子数が決められる。
このようにして決められた各吐出用駆動回路130Aが駆動する吐出素子数(ノズル数)と基準の吐出素子数(ノズル数)との差分が求められ(ステップS54)、この差分の駆動容量をヒータ59の駆動に回すようにスイッチIC120Bが制御され(ステップS56)、ステップS32に進む。なお、各吐出用駆動回路130Aが実際に駆動する吐出素子数が基準の吐出素子数よりも大きい場合には、各吐出用駆動回路130Aのヒータ59を駆動するための駆動容量が確保されるように、ステップS26で生成されたノズルマップの変更などの処理が実行される。
上述した応用例2によれば、特別にヒータ59を駆動する駆動回路(図16等に示すヒータ用駆動回路130B)を備えることなく、吐出素子53を駆動する吐出用駆回路130Aを用いてヒータ59を駆動することができる。更に、各吐出用駆動回路130Aによって駆動される負荷が一定になるようにスイッチIC120A,120Bが制御されるので、各吐出用駆動回路130Aの負荷変動による駆動波形の変動が抑制され、ヘッド50の全ノズルにおいて好ましいインク吐出が行われる。
上記実施形態では、多色のインクを用いるカラー印刷用のインクジェット記録装置を述べたが、本発明は単色(モノクロ)印刷用のインクジェット記録装置についても適用可能である。
また、上述の説明では、画像形成装置の一例としてインクジェット記録装置を例示したが、本発明の適用範囲はこれに限定されない。例えば、印画紙に非接触で現像液を塗布する写真画像形成装置等についても本発明の液体吐出ヘッドの駆動装置、液体吐出装置を適用できる。また、本発明に係る液体吐出ヘッドの駆動装置、液体吐出装置の適用範囲は画像形成装置に限定されず、液体吐出ヘッドを用いて処理液その他各種の液体を被吐出媒体に向けて噴射する各種の装置(塗装装置、塗布装置、配線描画装置など)について本発明を適用することができる。
本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置の全体構成図 図1に示したインクジェット記録装置の印字部周辺の要部平面図 ヘッドの構造例を示す平面透視図 図3(a) の要部拡大図 フルライン型ヘッドの他の構成例を示す平面透視図 図3(a) 中の4−4線に沿う断面図 図3(a) に示したヘッドのノズル配列を示す拡大図 本例のインクジェット記録装置におけるインク供給系の構成を示した概要図 本例のインクジェット記録装置のシステム構成を示す要部ブロック図 本例のインクジェット記録装置のヘッド駆動に関係する主要な回路の要部構成図 図8に示すヘッド駆動に関係する主要な回路のうち吐出素子及びヒータの駆動回路の概略構成図 スイッチICを説明する図 図8に示すヘッド駆動に関係する主要な回路の詳細構成を示すブロック図 共通駆動波形の一例を示した波形図 ヒータ配置の変形例を説明する図 図13に示すヒータ配置の変形例の他の態様を説明する図 図13に示すヒータ配置の変形例の更に他の態様を説明する図 本発明の第1実施形態に係るヒータ駆動回路の構成を示すブロック図 ヒータ駆動信号を説明する図 ヒータ駆動制御を説明する図 本発明の第1実施形態に係るヒータ駆動制御の流れを示すフローチャート ヘッドの温度分布と温度プロファイルを説明する図 印刷制御、吐出駆動制御と、ヒータ駆動制御との関係を説明する図 シェーディングの一例を説明する図 シェーディングの他の例を説明する図 図23に示すシェーディングにおけるヘッドの温度分布と図23に示すシェーディングを解消するための温度プロファイルを説明する図 本発明の第2実施形態に係るヒータ駆動制御の流れを示すフローチャート 本発明の応用例1に係るヒータ駆動回路の構成を示すブロック図 図26に示すヒータ駆動回路の他の態様を示すブロック図 本発明の応用例1に係るヒータ駆動制御の流れを示すフローチャート 本発明の応用例2に係るヒータ駆動回路の構成を示すブロック図 本発明の応用例2に係るヒータ駆動制御の流れを示すフローチャート
符号の説明
10…インクジェット記録装置、12…印字部、12K,12C,12M,12Y…ヘッド、51…ノズル、53…吐出素子、53A…吐出素子群、58…圧電素子、59…ヒータ、72…システムコントローラ、75…ROM、80…プリント制御部、104…CPU、108…RAM、112…ヘッドコントローラ、116…吐出駆動部、117…ヒータ駆動部、120,120A,120B…スイッチIC、130…駆動回路、220,340…温度分布、222,224,342…温度プロファイル

Claims (8)

  1. 被吐出媒体上に液体を吐出させるノズル及び前記ノズルから吐出させる液体に吐出力を与える圧電素子を含み、主走査方向に沿う行方向及び副走査方向と略平行方向に沿う列方向に配列された吐出素子と、
    前記列方向に沿って並べられた複数の前記吐出素子から成る吐出素子群の長さと略同一又はこれ以上の長さを前記列方向に有し、前記吐出素子群に対応して前記行方向に沿って複数配設され、前記ノズルから吐出させる液体を加熱する加熱素子と、
    を有する液体吐出ヘッドと、
    前記被吐出媒体及び前記液体吐出ヘッドのうち何れか一方を移動させて前記被吐出媒体及び前記液体吐出ヘッドを前記副走査方向に沿って相対的に移動させる移動手段と、
    前記加熱素子に加熱用駆動信号を与える加熱素子駆動手段と、
    吐出データに基づいて前記吐出素子群ごとに駆動される吐出素子数を予測する予測手段と、
    前記予測手段によって予測された前記吐出素子群ごとの駆動吐出素子数に応じて前記加熱素子から発生させる熱量を可変制御する加熱制御手段と、
    を備えたことを特徴とする液体吐出装置。
  2. 前記ノズルから吐出される液体の目標温度を設定する温度設定手段を備え、
    前記加熱制御手段は、前記ノズルから吐出される液体の温度が前記温度設定手段によって設定された目標温度になるように前記加熱素子を制御することを特徴とする請求項1記載の液体吐出装置。
  3. 前記加熱制御手段は、前記液体吐出ヘッドの前記行方向の略中央部に配設される加熱素子から発生させる熱量に比べて端部に配設される加熱素子から発生させる熱量が大きくなるように前記加熱素子を制御することを特徴とする請求項1記載の液体吐出装置。
  4. 前記液体吐出ヘッド内の温度分布を予測する温度分布予測手段を備え、
    前記加熱制御手段は、前記温度分布予測手段によって予測された温度分布を補正するよ
    うに前記加熱素子を制御することを特徴とする請求項1記載の液体吐出装置。
  5. 前記加熱用駆動信号には、発生させる熱量が異なる前記加熱素子に対応する複数種類の加熱波形要素を含んだ加熱用共通駆動信号を含み、
    前記加熱素子のうち前記加熱素子駆動手段から熱量を発生させる加熱素子に対して該加熱素子の発生させる熱量に対応する前記加熱用共通駆動信号の少なくとも1つの加熱波形要素を選択的に印加する加熱駆動選択手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至4のうち何れか1項に記載の液体吐出装置。
  6. 体積が異なる複数種類の液滴を吐出するための複数の吐出波形要素を含んだ吐出用共通駆動信号を前記吐出素子に与える吐出素子駆動手段と、
    前記複数の吐出素子のうち吐出を行う吐出素子に対して前記吐出用共通駆動信号の少なくとも1つの吐出波形要素を選択的に印加する吐出駆動選択手段と、
    を備え、
    前記吐出用共通駆動信号の少なくとも一部は前記加熱用共通駆動信号と兼用され、前記吐出素子駆動手段は前記加熱駆動選択手段を介して前記加熱用共通駆動信号と兼用される前記吐出用共通駆動信号を前記加熱素子に与えることを特徴とする請求項5記載の液体吐出装置。
  7. 前記加熱制御手段は、前記吐出素子駆動手段によって駆動される駆動素子数が所定の基準駆動素子数未満となる場合には、前記所定の基準駆動素子数と前記吐出素子駆動手段に
    よって駆動される駆動素子数との差分に対応する駆動容量を前記吐出用共通駆動信号として該吐出素子駆動手段から前記加熱素子へ印加するように前記加熱駆動選択手段を制御することを特徴とする請求項6記載の液体吐出装置。
  8. 前記吐出素子駆動手段は前記加熱用駆動手段と共通化されることを特徴とする請求項6又は7記載の液体吐出装置。
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