JP2018187921A - インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置 Download PDF

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【課題】ラインヘッドを備えた記録装置を使用する場合に、記録媒体の変形(コックリング)が抑制され、高品位な画像を記録することが可能なインクジェット記録方法を提供する。【解決手段】ラインヘッドを備えたインクジェット記録装置を使用して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法である。ラインヘッドは、水性インクを吐出する複数のノズルが所定方向に配列されて構成されたノズル列をそれぞれ有する複数の記録素子基板を備えるとともに、複数の記録素子基板は、隣接する記録素子基板の端部同士が、所定方向において重複して重複部を構成するように、所定方向に配列されており、重複部を構成する重複部ノズルから吐出されるインクの平均温度To(℃)と、ノズル列の中央部を構成する中央部ノズルから吐出されるインクの平均温度Tc(℃)とが、Tc>Toの関係を満たす。【選択図】図1

Description

本発明は、インクジェット記録方法、及びそれに用いるインクジェット記録装置に関する。
近年、インクジェット記録装置は、低電力、低コスト、及び省スペースという利点を活かし、オフィスなどでの利用が増加しつつある。インクジェット記録装置に採用されている記録ヘッドの走査方式として、シリアル方式を挙げることができる。シリアル方式では、紙送り方向(主走査方向)に対して直交する方向(副走査方向)に記録ヘッドを繰り返し移動させて画像を記録する。シリアル方式の記録ヘッドは比較的小さいため、記録装置本体を小型化することができる。
近年では、記録速度(スループット)のさらなる向上のため、吐出口の配列幅を記録媒体の最大幅相当まで延ばした記録ヘッド、すなわち、ラインヘッドを採用した記録装置が開発されている(特許文献1)。シリアル方式とは異なり、ラインヘッド方式では記録ヘッドの移動は行わずに、用紙の搬送のみが行われるため、記録速度の向上に有利である。
しかし、ラインヘッド方式の場合、隣接して配置された記録素子基板(チップ)同士の境目部分におけるノズル列の不連続な箇所で記録された画像に「スジ」が発生するといった問題が生ずることがある。このような問題を解消すべく、例えば、チップの境界にヒータを設け、チップ間の温度差を解消した記録ヘッドが提案されている(特許文献2)。また、チップ列のつなぎ部分におけるチップの温度低下を低減して、つなぎ部分で記録された画像の濃度変化を抑制しうるインクジェット記録装置が提案されている(特許文献3)。
ところで、オフィスでインクジェット記録装置を使用する際には、コート層を有しない普通紙を記録媒体として用いる場合が多い。このため、普通紙への記録に適したシステムの開発が強く求められている。例えば、普通紙に画像を記録する場合、インクや記録装置に対しては、記録後に記録媒体が変形しない(いわゆる、コックリングが生じない)ことや、オフィスでの使用に適した光学濃度を有する画像を記録可能であることなどが求められる。
特開2010−143147号公報 特開2008−194940号公報 特開2008−000975号公報
本発明者らは、ラインヘッドを備えたインクジェット記録装置を用いた、普通紙への画像の記録方法について検討した。その結果、記録する画像パターンによっては、記録後の記録媒体に変形(以下、「コックリング」とも記す)が生じやすいことがわかった。コックリングが生ずると、例えば、両面記録する場合に記録媒体の反転時の待機時間を長くせざるを得ないため、記録速度が低下しやすくなるとともに、変形した記録媒体が記録ヘッドに接触して擦れるといった問題も生じやすくなる。また、特許文献2及び3で提案された記録ヘッドなどを備えた記録装置を使用した場合であっても、記録後の記録媒体にコックリングが生じやすいといった課題を有することがわかった。
したがって、本発明の目的は、ラインヘッドを備えた記録装置を使用する場合に、記録媒体の変形(いわゆるコックリング)が抑制され、高品位な画像を記録することが可能なインクジェット記録方法を提供することにある。また、本発明の別の目的は、上記インクジェット記録方法に用いるインクジェット記録装置を提供することにある。
上記の目的は以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明によれば、ラインヘッドを備えたインクジェット記録装置を使用して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、前記ラインヘッドは、水性インクを吐出する複数のノズルが所定方向に配列されて構成されたノズル列をそれぞれ有する複数の記録素子基板を備えるとともに、複数の前記記録素子基板は、隣接する前記記録素子基板の端部同士が前記所定方向において重複して重複部を構成するように、前記所定方向に配列されており、前記重複部を構成する重複部ノズルから吐出される水性インクの平均温度To(℃)と、前記ノズル列の中央部を構成する中央部ノズルから吐出される水性インクの平均温度Tc(℃)とが、Tc>Toの関係を満たし、前記重複部ノズルからは、隣接する前記記録素子基板に割り振って前記水性インクを吐出することを特徴とするインクジェット記録方法が提供される。
本発明によれば、ラインヘッドを備えた記録装置を使用する場合に、記録媒体の変形(いわゆるコックリング)が抑制され、高品位な画像を記録することが可能なインクジェット記録方法を提供することができる。また、本発明によれば、上記インクジェット記録方法に用いるインクジェット記録装置を提供することができる。
ラインヘッドにより画像を記録するイメージ図である。 インクジェット記録装置の一例を示す模式図である。 ラインヘッドの一例を模式的に示す図であり、(a)は斜視図、(b)は分解斜視図である。 回復機構の一例を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は模式図である。 インクをラインヘッドに供給する供給機構の一例を示す模式図である。 ラインヘッドにおける記録素子基板の配列態様の一例を示す模式図である。 ラインヘッドにおける記録素子基板の配列態様の他の例を示す模式図である。 ラインヘッド1を構成する記録素子基板のノズルの配列態様を示す模式図である。 ラインヘッド3を構成する記録素子基板のノズルの配列態様を示す模式図である。
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、さらに本発明を詳細に説明する。本発明においては、化合物が塩である場合は、インク中では塩はイオンに解離して存在しているが、便宜上、「塩を含有する」と表現する。また、インクジェット用の水性インクのことを、単に「インク」と記載することがある。また、物性値は、特に断りのない限り、常温(25℃)における値とする。
<インクジェット記録方法>
本発明のインクジェット記録方法は、ラインヘッドを備えたインクジェット記録装置を使用して記録媒体に画像を記録する方法である。このラインヘッドは、水性インクを吐出する複数のノズルが所定方向に配列されて構成されたノズル列をそれぞれ有する複数の記録素子基板を備える。複数の記録素子基板は、隣接する記録素子基板の端部同士が、所定方向において重複して重複部を構成するように、所定方向に配列されている。そして、重複部を構成する重複部ノズルから吐出される水性インクの平均温度To(℃)と、ノズル列の中央部を構成する中央部ノズルから吐出される水性インクの平均温度Tc(℃)とが、Tc>Toの関係を満たす。さらに、重複部ノズルからは、隣接する記録素子基板に割り振って水性インクを吐出することを特徴とする。
(コックリングが生ずる理由)
上記のような構成を有するラインヘッドを備えたインクジェット記録装置を使用して画像を記録すると、ある条件下においてコックリングが生じやすいことがわかった。そこで、本発明者らは、ラインヘッドを用いた場合に顕著にコックリングが生ずる理由について検討した。ラインヘッドのヘッド幅は、通常、記録媒体の幅を包含するように構成されており、基本的には1度の相対走査(1パス)で画像を記録する。すなわち、シリアルヘッドのように、記録媒体の送り方向(主走査方向)に対して直交するように記録ヘッドを移動させる必要がない反面、単位領域に一度に付与されるインク量が多くなる。ベタ画像のような画像を記録する場合には、一度に付与されるインク量が特に多くなるため、記録媒体が一気に濡れることになる。一度に付与されるインク量の多さが、ラインヘッドを用いた場合にコックリングが生じやすくなる理由の一つであると考えられる。一方、シリアルヘッドは、主走査方向と直交する方向(副走査方向)に動きながら画像を記録することができるとともに、マルチパス記録を行うことができるため、記録媒体の幅相当の領域が一度に濡れるということは実質的に起こりにくい。マルチパス記録は、単位領域の画像を記録ヘッドの複数回の走査で記録する手法であり、記録媒体の単位領域に一度に付与されるインク量を低減するのに有効である。
次に、本発明者らは、ラインヘッドを用いた場合にどのようにコックリングが生ずるのかについて検討した。コックリングが生じた記録物(記録媒体)の断面を観察したところ、インクの浸透深さが周期的に変化していることがわかった。さらに詳細に観察したところ、インクの浸透深さの周期は、記録素子基板同士の境目部分におけるノズル列の不連続な箇所(以下、「つなぎ部」とも記す)の位置と対応していることがわかった。また、インクの浸透深さについてさらに詳細に観察したところ、つなぎ部付近のノズルから吐出されたインクの浸透深さは、つなぎ部付近以外のノズルから吐出されたインクの浸透深さよりも深いことが判明した。すなわち、ノズルの位置によるインクの浸透深さの差に起因して記録媒体の濡れの程度(膨潤度合い)が周期的に変化し、波打つような変形としてコックリングが生ずると推測される。
(つなぎ部付近のノズルから吐出されたインクの浸透深さが深くなる理由)
次に、本発明者らは、ラインヘッドのつなぎ部付近のノズルから吐出されたインクの浸透深さが深くなる理由について検討した。前述の通り、つなぎ部は、記録素子基板同士の境目部分におけるノズル列の不連続な箇所である。また、一般的に、隣接する記録素子基板のつなぎ部に対応する位置に存在するノズル同士が、ノズルの配列方向と交差する方向において重複する重複部を構成するように、ノズルの配列方向と同じ方向に複数の記録素子基板が配列されている。そして、つなぎ部に対応する位置に存在するノズルについては、通常、以下のように制御した上で画像を記録する。
つなぎ部に対応する位置に存在するノズル(すなわち、重複部ノズル)は、隣接する記録素子基板のいずれにも存在している。このため、インクを隣接する記録素子基板に割り振って吐出するように制御することで、記録素子基板の設置誤差によるインクドットの付着位置のずれを目立たなくしている。その結果、つなぎ部においては、先行する記録に割り振られた記録素子基板の重複部ノズルから吐出されるインクと、後行する記録に割り振られた記録素子基板の重複部ノズルから吐出されるインクとが存在するため、浸透時間差が生ずる。すなわち、先行するインクが浸透及び定着している途中で、後行するインクが付与される。後行するインクは、既に濡れた状態の記録媒体に付着するため、浸透が促進され、記録媒体の深さ方向へとより浸透しやすくなる。このような浸透時間差が生じた結果、つなぎ部ではない中央部などのノズルから吐出されたインクの浸透深さに比べて、つなぎ部のノズルから吐出されたインクの浸透深さが深くなると考えられる。
(コックリングを抑制する手段)
以上の検討結果を考慮した上で、本発明者らは、ラインヘッドを備えたインクジェット記録装置を使用して画像を記録する場合であっても、コックリングを抑制しうる手段についてさらに検討した。その結果、ノズル列の重複部を構成する重複部ノズルから吐出されるインクの平均温度To(℃)と、ノズル列の中央部を構成する中央部ノズルから吐出されるインクの平均温度Tc(℃)とが、Tc>Toの関係を満たす温度制御が有効であることを見出した。このような効果が得られる点につき、本発明者らは以下のように推測している。
上記の「Tc>To」の関係を満たすように温度制御した上でインクを吐出した場合、以下のような現象が起きていると考えられる。中央部ノズルから吐出されるインクの平均温度(Tc(℃))は、重複部ノズルから吐出されるインクの平均温度(To(℃))に比して高い。このため、中央部ノズルから吐出されるインクの粘度は、重複部ノズルから吐出されるインクの粘度に比して相対的に低い。中央部ノズルから吐出される、粘度が相対的に低いインクは記録媒体により浸透しやすくなるため、重複部ノズルから吐出されるインクの浸透深さとの差が小さくなる。なお、インクの浸透深さの差が小さくなる点については、実際に記録物(記録媒体)の断面を観察して確認することができる。以上の結果、ノズルの位置によることなく、インクの浸透深さを均一に制御することが可能となり、コックリングを抑制することができると考えられる。
(インクジェット記録装置)
本発明のインクジェット記録方法に用いるインクジェット記録装置は、ラインヘッドを備えたインクジェット記録装置である。ラインヘッドは、水性インクを吐出する複数のノズルが所定方向に配列されて構成されたノズル列をそれぞれ有する複数の記録素子基板を備える。複数の記録素子基板は、隣接する記録素子基板の端部同士が、所定方向において重複して重複部を構成するように、前記所定方向に配列されている。そして、インクジェット記録装置は、Tc>Toの関係を満たすように、重複部ノズルから吐出される水性インクの平均温度To(℃)と、中央部ノズルから吐出される水性インクの平均温度Tc(℃)との関係を制御する手段をさらに備える。さらに、インクジェット記録装置は、重複部ノズルからは、隣接する記録素子基板に割り振って水性インクを吐出する。以下、図面を参照しつつ、本発明のインクジェット記録装置の詳細について説明する。
図1は、ラインヘッドにより画像を記録するイメージ図である。また、図2は、インクジェット記録装置の一例を示す模式図である。図2に示す記録装置M4000では、記録装置本体にラインヘッド(記録ヘッドH1000)が固定されており、記録媒体47を矢印45の方向に搬送して記録する方式が採用されている。記録装置M4000は、例えば、イエローインク用の記録ヘッドH1000Y、マゼンタインク用の記録ヘッドH1000M、シアンインク用の記録ヘッドH1000C、及びブラックインク用の記録ヘッドH1000Bk(図1)を備える。
図2に示す記録ヘッドH1000Y〜H1000Rは、記録装置M4000に載置された記録ヘッドホルダ42によって固定されている。図1及び2では、イエロー、マゼンタ、シアン、及びブラックの各色、さらには反応液を別々の記録ヘッドから吐出する構成を示している。勿論、一つの記録素子基板に設けられた複数のノズル列のそれぞれから、複数のインク、さらには反応液を吐出して画像を記録する構成であってもよい。
インクジェット記録装置は、インク中の色材を凝集させる成分を含有する反応液を記録媒体に付与する手段を備えていてもよい。反応液を記録媒体に付与する手段としては、塗布方式によって反応液を記録媒体に塗布する手段や、吐出方式で反応液を記録媒体に付与する手段などを挙げることができる。塗布方式によって反応液を記録媒体に塗布する手段では、例えば、従来公知のローラなどの塗布部材を用いて反応液を記録媒体に塗布する。また、吐出方式で反応液を記録媒体に付与する手段では、例えば、図2に示すような、反応液用のラインヘッド(記録ヘッドH1000R)などの吐出デバイスを用いて反応液を記録媒体に付与する。図1に示すように、4色のインクに対応して4つの記録ヘッドを設ける場合、反応液を記録媒体に付与する手段を別途設けることができる。本発明では、反応液を塗布などの方式で記録媒体に付与した後に、記録ヘッドからインクを吐出して記録媒体に付与することが好ましい。
給紙カセット46は、その中に普通紙などの記録媒体47が収納されており、装置本体に着脱自在に装着されている。ピックアップローラ48は、給紙カセット46内に収納された記録媒体47のうち、最上面の1枚を送り出す部材である。搬送ローラ49は、ピックアップローラ48より送り出された記録媒体47を搬送路50へと搬送する部材である。また、搬送路50の出口側に配設された搬送ローラ51は、搬送ベルト44に載せた状態で、記録媒体47を記録ヘッドH1000の方向へと搬送する部材である。
図3は、ラインヘッドの一例を模式的に示す図であり、(a)は斜視図、(b)は分解斜視図である。図3に示すように、ラインヘッド(記録ヘッドH1000)は、記録素子ユニットH1400と、記録素子ユニットH1400にインクを供給するための液体供給ユニットであるインク供給ユニットH1500とを備える。インク供給ユニットH1500は、インク室(図示せず)に記録装置などの外部からインクを供給するために外部と接続する接続口H1710が形成された接続部H1700を備える。また、記録素子ユニットH1400は、記録素子基板H1100、支持基板H1200、及び配線部材H1300で構成されている。
支持基板H1200は、記録素子基板H1100及び配線部材H1300を保持して固定する部材であり、インク供給ユニットH1500から供給されるインクを記録素子基板H1100に供給するインク供給孔H1210が形成されている。複数の記録素子基板H1100は、支持基板H1200の主面に予め定められた位置精度で配置され、固定されている。また、複数の記録素子基板H1100は、隣接する記録素子基板H1100間でノズル列の方向に沿ってノズルが連続して配置されるように、支持基板H1200上に千鳥状に配置されている。このように、隣接する記録素子基板H1100のつなぎ目のノズルを重複させて記録素子基板H1100を配置することによって記録素子基板の位置ずれなどによる画像への影響を補正可能とし、記録幅が長尺なフルラインタイプの記録ヘッドを実現している。
配線部材H1300は、記録素子基板H1100に設けられた記録素子を駆動させる電気的な信号や電力を、記録ヘッドH1000の外部(記録装置)から記録素子基板H1100へと伝達するため、記録素子基板H1100と電気的に接続されている。配線部材H1300としては、フレキシブル配線基板などの可撓性を有するプリント配線基板が用いられる。そして、可撓性を有する配線部材H1300は、記録素子基板H1100と記録装置との電気的接続が容易に行えるよう折り曲げられ、インク供給ユニットH1500に固定されている。
インクを吐出する方式としては、インクに力学的エネルギーを付与する方式や、インクに熱エネルギーを付与する方式などを挙げることができる。本発明においては、いずれの方式でインクを吐出するラインヘッドであっても好適に採用することができる。なかでも、インクに熱エネルギーを付与する方式が好ましく用いられる。
図6は、ラインヘッドにおける記録素子基板の配列態様の一例を示す模式図である。図6に示すように、本発明のインクジェット記録装置を構成するラインヘッドは、インクを吐出する複数のノズルが所定方向に配列されて構成されたノズル列100をそれぞれ有する複数の記録素子基板H1100を備える。複数の記録素子基板H1100は、隣接する記録素子基板H1100のノズル列100の端部同士が、所定方向において重複して重複部を構成するように、所定方向(ノズルの配列方向と同じ方向)に配列されている。隣接する記録素子基板H1100の端部に着目すると、これらの端部は所定方向(ノズルの配列方向)に交差する方向において重複していることになる。配列された複数の記録素子基板H1100は、支持基板H1200上に保持されている。記録素子基板の配列態様は特に限定されない。記録素子基板の配列態様としては、例えば、図6に示すような千鳥状に配列されたものの他、図7に示すような、ノズル列110をそれぞれ有する複数の記録素子基板H1110がインライン状に配列されたものなどを挙げることができる。
本発明においては、ノズル列の重複部を構成する重複部ノズルから吐出されるインクの平均温度To(℃)と、ノズル列の中央部を構成する中央部ノズルから吐出されるインクの平均温度Tc(℃)とが、Tc>Toの関係を満たすようにインクを吐出する。このため、本発明のインクジェット記録装置は、上記の関係を満たすように、重複部ノズルから吐出されるインクの平均温度To(℃)と、中央部ノズルから吐出されるインクの平均温度Tc(℃)との関係を制御する手段(インク温度を制御する手段)を備える。
中央部ノズルから吐出されるインクの平均温度Tc(℃)は、一般的なインクジェット記録方法に適用される温度に設定することができる。なかでも、Tc(℃)を40℃以上とすることで、インクの浸透性を十分に高めることができ、コックリングの抑制効果をより一層高めることができるため好ましい。Tc(℃)は、60℃以下であることが好ましく、50℃以下であることがさらに好ましい。重複部ノズルから吐出されるインクの平均温度To(℃)は、20℃以上であることが好ましく、25℃以上であることがさらに好ましい。To(℃)は、40℃以下であることが好ましく、35℃以下であることがさらに好ましい。また、Tc−To≦10℃の関係を満たすようにインクの温度を制御することで、インクの浸透性をさらに適切な関係にすることが可能となり、コックリングの抑制効果をより一層高めることができるために好ましい。また、5℃≦Tc−Toであることが好ましい。
中央部ノズルから吐出されるインクの平均温度や重複部ノズルから吐出されるインクの平均温度を制御する手段としては、例えば、ラインヘッドに配設されるインク温度調整用のヒータ(サブヒータ)や、インク吐出用のヒータなどを挙げることができる。サブヒータの配置は特に限定されない。記録素子基板に配列されたノズル列の周囲にサブヒータを配置したり、ノズル列を構成する1の吐出口に対応して1つ以上のサブヒータを配置したりすることができる。インク吐出用のヒータによってインクの温度を制御(加熱又は加温)するには、例えば、インクが吐出しない程度の電流を繰り返し通電すればよい。サブヒータとインク吐出用のヒータを併用してインクの平均温度を制御してもよい。サブヒータとインク吐出用のヒータを併用する場合には、一方のヒータで一定温度まで昇温した後に、他方のヒータで所望の温度付近に保温するように使い分けてもよい。インクの温度は、例えば、記録ヘッドに設けた温度センサで読み取ることができる。
インクの吐出量は、一般的なインクジェット記録方法に適用される吐出量に設定することができる。なかでも、1ノズル当たりのインクの吐出量を、40.0ng/ドット以下とすることが好ましく、10.0ng/ドット以下とすることがさらに好ましく、5.9ng/ドット以下とすることが特に好ましい。1ノズル当たりのインクの吐出量を上記の範囲とすることで、インク中の色材が記録媒体の表面付近に残りやすくなる。このため、記録される画像の光学濃度をより高めることができるとともに、インクの浸透深さをより揃えやすくなり、コックリングの抑制効果をより一層高めることができる。1ノズル当たりのインクの吐出量は、1.0ng/ドット以上であることが好ましい。
本発明のインクジェット記録方法に用いるインクジェット記録装置は、さらに、ラインヘッドの吐出口におけるインクの固着や、吐出口面のヌレの状態を回復するための回復機構を備えていてもよい。図4は、回復機構の一例を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は模式図である。図4に示すように、ワイパW1001はクリップ部材W1002で保持されており、クリップ部材W1002は連結部材W1003で保持されている。また、クリップ部材W1002は、スライドレールW1006を移動可能なワイプベースW1011に取り付けられている。ワイプベースW1011は、連結部材W1003を通じ、タイミングベルトW1007の駆動によりスライドレールW1006上を移動することができる。タイミングベルトW1007は、従動プーリW1004及び駆動プーリW1005によって支持されており、駆動プーリW1005には、タイミングベルトW1007を駆動する駆動モータW1010の軸が連結されている。また、回復動作時のワイパW1001の位置を制御するために、スライドレールW1006の両端部にはフォトセンサW1008、W1009が設けられている。ワイピングによる回復動作時には、ワイパW1001がスライドレールW1006によってスライドして移動することにより、ワイパW1001が撓みながら記録ヘッドH1000の吐出口面H1001をワイピングする。
本発明の液体吐出方法に用いるインクジェット記録装置は、さらに、インクなどの液体をラインヘッドに供給する供給機構を備えていてもよい。図5は、インクをラインヘッドに供給する供給機構の一例を示す模式図である。図5に示すように、ポンプP1によって、サブタンクT2からラインヘッドH1000へとインクが供給される。ラインヘッドH1000から溢れたインクはサブタンクT2へと戻される。バルブV1は、回復動作時にラインヘッド内部のインク液室を加圧又は圧力を開放する切り替えのために設けられている。加圧回復時はバルブV1を閉じ、ポンプP1で加圧することによってインク供給経路及びインク流路内の泡の一部が除去される。サブタンクT2内のインク液面は、ラインヘッドH1000の吐出口面との水頭差を一定の範囲で保持するように構成されており、ラインヘッドH1000の吐出口面の負圧を適正な範囲で維持する。サブタンクT2内のインクが不足した場合は、ポンプP2により、メインタンクT1からサブタンクT2へとインクが送られる。各タンク、それらに収容されるインクの温度は、インクジェット記録装置が設置される環境温度に依存するが、例えば、15〜45℃の範囲であることが好ましい。
本発明のインクジェット記録方法により画像を記録する対象の記録媒体としては、どのようなものを用いてもよい。なかでも、普通紙や非コート紙などのコート層を有しない記録媒体、及び、光沢紙やアート紙などのコート層を有する記録媒体のような、浸透性を有する紙を用いることが好ましい。特に、光沢紙やアート紙などの、コート層を有する記録媒体を用いることが好ましい。
(インク)
以下、本発明のインクジェット記録方法に用いるインクを構成する各成分やインクの物性などについて詳細に説明する。本発明で用いるインクは、いわゆる「硬化型インク」である必要はない。したがって、本発明で用いるインクは、外部エネルギーの付加により重合しうる重合性モノマーなどの化合物を含有しなくてもよい。
[色材]
本発明のインクジェット記録方法に用いるインクは、色材を含有することが好ましい。色材としては、染料及び顔料のいずれをも用いることができる。染料としては、アニオン性基を有するものなどを挙げることができる。染料としては、フタロシアニン、アゾ、キサンテン、アントラピリドンなどの骨格を有する化合物を用いることができる。また、顔料としては、無機顔料及び有機顔料を挙げることができる。顔料としては、分散剤として樹脂を用いる樹脂分散タイプの顔料、及び顔料の粒子表面に親水性基を導入した自己分散タイプの顔料(自己分散顔料)などを用いることができる。なかでも、色材として顔料を含有するインクを用いることが好ましい。色材として顔料を用いることで、記録媒体に付着したインクの固液分離が促進され、記録媒体の表面に顔料が残りやすくなるので、記録される画像の光学濃度をより高めることができる。さらに、顔料が記録媒体の表面に残るとともに、固液分離により液体成分(水性媒体)のみが記録媒体に速やかに浸透して均一に濡れを生じさせるため、コックリングの抑制効果をより一層高めることができる。色材として顔料を用いる場合、樹脂分散剤を利用しない分散方式を利用することが好ましく、自己分散顔料を用いることがさらに好ましい。
樹脂分散タイプの顔料としては、高分子分散剤を使用した樹脂分散型顔料、顔料の粒子の表面を樹脂で被覆したマイクロカプセル型顔料、及び顔料の粒子の表面に高分子を含む有機基が化学的に結合した樹脂結合型顔料などがある。分散方法の異なる顔料を併用することもできる。樹脂としては、(メタ)アクリル酸などのアニオン性基を有するユニットと、芳香環や脂肪族基を有するモノマーなどのアニオン性基を有しないユニットと、少なくとも有する、アクリル樹脂を用いることが好ましい。
自己分散タイプの顔料としては、顔料の粒子表面にアニオン性基が直接又は他の原子団を介して結合したものを挙げることができる。アニオン性基としては、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、及びホスホン酸基などを挙げることができる。アニオン性基のカウンターイオンとしては、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、及び有機アンモニウムなどのカチオンを挙げることができる。また、他の原子団は、顔料の粒子表面とイオン性基とのスペーサの機能を持つものであり、分子量が1,000以下であることが好ましい。他の原子団としては、炭素数1乃至6程度のアルキレン基;フェニレン基、ナフチレン基などのアリーレン基;エステル基;イミノ基;アミド基;スルホニル基;エーテル基などを挙げることができる。また、これらの基を組み合わせた基であってもよい。
インク中の色材の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上15.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上10.0質量%以下であることがさらに好ましい。なかでも、2.0質量%以上10.0質量%以下であることが特に好ましい。
[水性媒体]
インクは、水性媒体として水を含有する。水としては、脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましく、60.0質量%以上95.0質量%以下であることがさらに好ましい。
インクには、水性媒体として、さらに水溶性有機溶剤を含有させることができる。水溶性有機溶剤としては、インクジェット記録方法に適用されるインクに一般的に用いられているものをいずれも用いることができる。水溶性有機溶剤の具体例としては、炭素数1乃至4のアルキルアルコール類、アミド類、ケトン又はケトアルコール類、エーテル類、ポリアルキレングリコール類、グリコール類、アルキレン基の炭素原子数が2乃至6のアルキレングリコール類、アルキルエーテルアセテート類、多価アルコールのアルキルエーテル類、含窒素化合物類などを挙げることができる。これらの水溶性有機溶剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。
通常「水溶性有機溶剤」とは液体を意味するが、本発明においては、25℃(常温)で固体であるものも、水に溶解してインクを構成する液媒体となるため、便宜上、水溶性有機溶剤に含めることとする。インクに汎用であり、25℃で固体である水溶性有機溶剤の具体例としては、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、エチレン尿素、尿素、数平均分子量1,000のポリエチレングリコールなどを挙げることができる。
[界面活性剤]
インクには、界面活性剤を含有させることができる。インク中の界面活性剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上5.0質量%以下であることが好ましく、0.2質量%以上3.0質量%以下であることがさらに好ましい。界面活性剤の具体例としては、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーなどの炭化水素系の界面活性剤;パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物などのフッ素系の界面活性剤;ポリエーテル変性シロキサン化合物などのシリコーン系界面活性剤などを挙げることができる。なかでも、ノニオン性界面活性剤を用いることが好ましい。これらの界面活性剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
[その他の成分]
インクには、上記成分の他に、必要に応じて所望の物性値を有するインクとするために、樹脂、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、及び還元防止剤などの種々の添加剤を含有させてもよい。
[インクの動的表面張力]
インクの25℃における動的表面張力は、30mN/m以上であることが好ましい。インクの25℃における動的表面張力が30mN/m以上であると、インクの浸透性と、記録される画像の光学濃度とのバランスがより良好となる。インクの動的表面張力は、最大泡圧法によって測定される寿命時間10m秒における値である。また、インクの25℃における動的表面張力は、50mN/m以下であることが好ましい。最大泡圧法は、測定する液体中に浸したプローブ(細管)の先端部分で形成された気泡を放出するために必要な最大圧力を測定し、測定した最大圧力から液体の表面張力を求める方法である。寿命時間は、最大泡圧法において、プローブの先端部分で気泡を形成する際に、気泡が先端部分から離れて新しい気泡の表面が形成された時点から、最大泡圧時(気泡の曲率半径とプローブ先端部分の半径が等しくなる時点)までの時間である。
[インクの静的表面張力]
インクの25℃における静的表面張力は、55mN/m以下であることが好ましい。また、インクの25℃における静的表面張力は、15mN/m以上であることがさらに好ましく、25mN/m以上であることが特に好ましい。
[インクのその他の物性]
インクの25℃における粘度は、1.0mPa・s以上5.0mPa・s以下であることが好ましく、1.0mPa・s以上3.0mPa・s以下であることがさらに好ましい。インクの25℃におけるpHは、5以上9以下であることが好ましい。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。成分量に関して「部」及び「%」と記載しているものは特に断らない限り質量基準である。
<顔料分散液の調製>
(顔料分散液1)
水溶性樹脂であるスチレン/アクリル酸共重合体(組成(モル)比=33:67)を中和当量1となる水酸化カリウムで中和してイオン交換水に溶解させ、樹脂の含有量が20.0%である樹脂分散剤の水溶液を調製した。この水溶性樹脂の重量平均分子量は10,000であり、酸価は200mgKOH/gである。顔料(カーボンブラック)15.0部、樹脂分散剤の水溶液30.0部、及び水55.0部の混合物をサンドグラインダーに入れ、1時間分散処理した。遠心分離処理して粗大粒子を除去した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過した。次いで、適量のイオン交換水を加えて顔料分散液1を得た。得られた顔料分散液1中の顔料の含有量は15.0%、樹脂分散剤の含有量は6.0%であった。
(顔料分散液2)
顔料の種類をC.I.ピグメントブルー15:3に変更したこと以外は顔料分散液1の調製と同様にして、顔料分散液2を得た。得られた顔料分散液2中の顔料の含有量は15.0%、樹脂分散剤の含有量は6.0%であった。
(顔料分散液3)
顔料の種類をC.I.ピグメントレッド122に変更したこと以外は顔料分散液1の調製と同様にして、顔料分散液3を得た。得られた顔料分散液3中の顔料の含有量は15.0%、樹脂分散剤の含有量は6.0%であった。
(顔料分散液4)
顔料の種類をC.I.ピグメントイエロー74に変更したこと以外は顔料分散液1の調製と同様にして、顔料分散液4を得た。得られた顔料分散液4中の顔料の含有量は15.0%、樹脂分散剤の含有量は6.0%であった。
(顔料分散液5)
水5.5gに濃塩酸70.6mmolを溶かした溶液を温度5℃に冷却し、4−アミノフタル酸9.8mmolを加えた。この溶液の入った容器をアイスバスに入れて液を撹拌し、溶液を常に10℃以下に保った状態とした。これに、5℃の水9.0gに亜硝酸ナトリウム24.9mmolを溶かした溶液を加えた。さらに15分間撹拌後、顔料6.0gを撹拌下で加えた。顔料としては、カーボンブラック(商品名「ブラックパールズ880」、キャボット製)を用いた。その後、さらに15分間撹拌してスラリーを得た。得られたスラリーをろ紙(商品名「標準用濾紙No.2」、アドバンテック製)でろ過した後、十分に水洗し、温度110℃のオーブンで乾燥させて自己分散顔料を得た。イオン交換水を用いて顔料の含有量を調整して、顔料分散液5を得た。顔料分散液5には、カウンターイオンがナトリウムであるフタル酸基が粒子表面に結合した自己分散顔料が含まれており、顔料の含有量は15.0%であった。
<染料水溶液>
C.I.ダイレクトブラック195の15.0%水溶液を「染料水溶液」として用いた。
<インクの調製>
表1に示す各成分(単位:%)を混合して十分に撹拌した後、ポアサイズ1.20μmのセルロースアセテートフィルター(アドバンテック製)にて加圧ろ過し、各インクを調製した。調製したインクの25℃における表面張力を表1の下段に示す。インクの表面張力は、自動表面張力計(商品名「CBVP−Z型」、協和界面科学製)を使用し、25℃、湿度50%の環境下で測定した。表1中の「サーフィノール104」は、ノニオン性界面活性剤(日信化学工業製)の商品名である。
Figure 2018187921
<評価>
(ヘッドの構成)
熱エネルギーを付与してインクを吐出させるサーマルインクジェット方式の下記ヘッド1〜8を用意した。用意したヘッド1〜8は、いずれも、ノズル列1列当たりのノズル密度は600dpiであり、インク1色当たりのノズル列は2列である。
[ヘッド1]
図7に示すように、複数の記録素子基板H1110がインライン状に配置されたラインヘッドである。図9に示すように、ノズル列1列当たりの重複部ノズル220の数は16個であり、1ノズル当たりのインク吐出量は5.0ng/ドットである。
[ヘッド2]
図6に示すように、複数の記録素子基板H1100が千鳥状に配置されたラインヘッドである。図8に示すように、ノズル列1列当たりの重複部ノズル200の数は64個であり、1ノズル当たりのインク吐出量は5.0ng/ドットである。
[ヘッド3]
図7に示すように、複数の記録素子基板H1110がインライン状に配置されたラインヘッドである。図9に示すように、ノズル列1列当たりの重複部ノズルの数は16個であり、1ノズル当たりのインク吐出量は5.9ng/ドットである。
[ヘッド4]
図7に示すように、複数の記録素子基板H1110がインライン状に配置されたラインヘッドである。図9に示すように、ノズル列1列当たりの重複部ノズルの数は16個であり、1ノズル当たりのインク吐出量は7.5ng/ドットである。
[ヘッド5]
図7に示すように、複数の記録素子基板H1110がインライン状に配置されたラインヘッドである。図9に示すように、ノズル列1列当たりの重複部ノズルの数は16個であり、1ノズル当たりのインク吐出量は30.0ng/ドットである。
[ヘッド6]
ヘッド2を構成する記録素子基板を利用したシリアルヘッドである。
[ヘッド7]
図6に示すように、複数の記録素子基板H1100が千鳥状に配置されたラインヘッドである。ノズル列1列当たりの重複部ノズルの数は0個であり、1ノズル当たりのインク吐出量は5.0ngである。
[ヘッド8]
図7に示すように、複数の記録素子基板H1110がインライン状に配置されたラインヘッドである。ノズル列1列当たりの重複部ノズルの数は0個であり、1ノズル当たりのインク吐出量は5.0ngである。
ヘッド1〜8の構成を表2に示す。
Figure 2018187921
<画像の記録、評価>
実施例1〜19、比較例1〜5、並びに参考例3及び4の評価には、ラインヘッドであるヘッド1〜5、7、及び8をそれぞれ搭載した、図2に示す構成のインクジェット記録装置を利用した。ヘッドはインクジェット記録装置に固定されている。このインクジェット記録装置は、ヘッドと記録媒体との1回の相対走査により画像を記録する装置である。調製した各インクをそれぞれインク収容部に充填した後、ポンプを使用してヘッドへと送液した。この装置を使用し、1/600インチ×1/600インチの単位領域にインク滴を20ng付与する条件で、8inch/secの速度で記録媒体を搬送し、所定サイズのベタ画像を記録した。
参考例1及び2の評価には、図2に示す構成のインクジェット記録装置のラインヘッドを、シリアルヘッドであるヘッド6に置き換えたこと以外は同様の構成としたインクジェット記録装置を利用した。このインクジェット記録装置は、記録ヘッドの2回の走査で記録媒体の単位領域の画像を記録する装置である。この装置を使用し、1/600インチ×1/600インチの単位領域にインク滴を20ng付与する条件で、8inch/secの速度でヘッドを走査させ、所定サイズのベタ画像を記録した。
記録媒体としては、普通紙(商品名「PB−PAPER」、キヤノン製)を用いた。また、インクの温度は、ヘッドのヒータにインクが吐出しない程度に通電し、ヘッドに設けたダイオードセンサで読み取ることで制御した。実施例1〜19及び比較例2〜5では、重複部ノズルからは、隣接する各記録素子基板に千鳥状に使用するノズルを割り振ってインクを吐出するように制御した。一方、比較例1では、記録媒体搬送方向の上流側の記録素子基板のノズルのみからインクを吐出するように制御した。参考例3及び4では、重複部ノズルが存在しないヘッドを用いた。
記録ヘッド、インク、並びにインクの平均温度Tc及びToの組み合わせを表3に示す。インクの平均温度Tc(℃)は、ノズル列の中心から「256個」の範囲内にある中央部ノズルから吐出されるインクの温度の平均値である。インクの平均温度To(℃)は、ノズル列を構成するノズルのうち、重複部に配置された重複部ノズルから吐出されるインクの温度の平均値である。
(コックリングの評価)
ラインヘッド長尺方向(シリアルヘッドの場合は記録ヘッドの走査方向)18cm×紙送り方向2cmのベタ画像を記録した。記録終了後、30秒経過時における記録媒体の変形(コックリング)を確認し、以下に示す評価基準にしたがってコックリングを評価した。以下に示す評価基準で、「AA」、「A」、及び「B」を許容できるレベル、「C」を許容できないレベルとした。評価結果を表3に示す。
AA:コックリングが発生しなかった。
A:ほとんどコックリングが発生しなかった。
B:ベタ画像のごく一部でコックリングが発生した。
C:ベタ画像の全体にわたってコックリングが発生した。
(光学濃度の評価)
ラインヘッド長尺方向(シリアルヘッドの場合は記録ヘッドの走査方向)3cm×紙送り方向3cmのベタ画像を記録した後、25℃、相対湿度55%の環境下で記録物を24時間乾燥させた。蛍光分光濃度計(商品名「FD−7」、コニカミノルタジャパン製)を使用し、2°視野、D50光源の条件下でベタ画像の光学濃度を測定し、以下に示す評価基準(括弧内の数値は、カラーインクの場合の評価基準)にしたがって光学濃度を評価した。以下に示す評価基準で、「A」及び「B」を許容できるレベル、「C」を許容できないレベルとした。評価結果を表3に示す。
A:光学濃度が1.2以上(1.0以上)であった。
B:光学濃度が1.0以上1.2未満(0.8以上1.0未満)であった。
C:光学濃度が1.0未満(0.8未満)であった。
Figure 2018187921
比較例1では、重複部ノズルを隣接する記録素子基板で割り振らなかったため、ベタ画像に若干のスジが生じていた。また、参考例1及び2では、マルチパス記録を行ったため、温度制御の有無にかかわらずコックリングは生じなかったが、各実施例と比較して、記録に2倍の時間を要した。参考例3及び4では、つなぎ部が存在しないためにコックリングの課題が生じないので評価しなかったが、つなぎ部が存在しないためベタ画像にスジが生じていた。

Claims (7)

  1. ラインヘッドを備えたインクジェット記録装置を使用して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、
    前記ラインヘッドは、水性インクを吐出する複数のノズルが所定方向に配列されて構成されたノズル列をそれぞれ有する複数の記録素子基板を備えるとともに、複数の前記記録素子基板は、隣接する前記記録素子基板の端部同士が前記所定方向において重複して重複部を構成するように、前記所定方向に配列されており、
    前記重複部を構成する重複部ノズルから吐出される水性インクの平均温度To(℃)と、前記ノズル列の中央部を構成する中央部ノズルから吐出される水性インクの平均温度Tc(℃)とが、Tc>Toの関係を満たし、
    前記重複部ノズルからは、隣接する前記記録素子基板に割り振って前記水性インクを吐出することを特徴とするインクジェット記録方法。
  2. 前記水性インクが、色材として顔料を含有する請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  3. 1ノズル当たりの水性インクの吐出量が、5.9ng/ドット以下である請求項1又は2に記載のインクジェット記録方法。
  4. 前記水性インクの25℃における動的表面張力が、30mN/m以上である請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  5. 前記中央部ノズルから吐出される水性インクの平均温度Tc(℃)が、40℃以上である請求項1乃至4のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  6. 前記重複部ノズルから吐出される水性インクの平均温度To(℃)と、前記中央部ノズルから吐出される水性インクの平均温度Tc(℃)とが、Tc−To≦10の関係を満たす請求項1乃至5のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法に用いる、ラインヘッドを備えたインクジェット記録装置であって、
    前記ラインヘッドは、水性インクを吐出する複数のノズルが所定方向に配列されて構成されたノズル列をそれぞれ有する複数の記録素子基板を備えるとともに、複数の前記記録素子基板は、隣接する前記記録素子基板の端部同士が前記所定方向において重複して重複部を構成するように、前記所定方向に配列されており、
    前記重複部を構成する重複部ノズルから吐出される水性インクの平均温度To(℃)と、前記ノズル列の中央部を構成する中央部ノズルから吐出される水性インクの平均温度Tc(℃)とが、Tc>Toの関係を満たすように、前記重複部ノズルから吐出される水性インクの平均温度To(℃)と、前記中央部ノズルから吐出される水性インクの平均温度Tc(℃)との関係を制御する手段をさらに備えることを特徴とするインクジェット記録装置。
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