JP2017213800A - インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置 - Google Patents

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晃一郎 奥村
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Abstract

【課題】ラインヘッド備えた記録装置を使用する場合に、ノズルの目詰りなどの発生を抑制しつつ、高品位な画像を高速かつ連続して記録することが可能なインクジェット記録方法を提供する。【解決手段】複数のノズルを有するラインヘッド101gと、ラインヘッドの温度を制御する機構と、を備えたインクジェット記録装置を使用して、インクを記録媒体103に吐出して画像を記録する。インクが、さらに、比誘電率27.0以下の水溶性有機溶剤を含有するとともに、インク中の水溶性有機溶剤の含有量が、4.0質量%以上10.0質量%以下であり、かつ、インクの25℃における表面張力が、35mN/m以下であり、複数のノズルのうち、インクが吐出されない不使用時間が予め設定された時間に達した不使用ノズルから、インクを記録媒体103に予備吐出する。【選択図】図1

Description

本発明は、インクジェット記録方法、及びそれに用いるインクジェット記録装置に関する。
近年、インクジェット記録装置は、低電力、低コスト、及び省スペースという利点を活かし、オフィスなどでの利用が増加しつつある。インクジェット記録装置に採用されている記録ヘッドの方式として、シリアル方式を挙げることができる。シリアル方式では、用紙送り方向(主走査方向)に対して直交する方向(副走査方向)に記録ヘッドを繰り返し移動させて画像を記録する。シリアル方式の記録ヘッドは比較的小さいため、記録装置本体を小型化することができる。
近年では、記録速度のさらなる向上のため、吐出口(ノズル)の配列幅を用紙の最大幅相当まで延ばした記録ヘッド、すなわち、ラインヘッドが用いられるようになってきている。シリアル方式とは異なり、ラインヘッド方式では記録ヘッドの移動は行わずに、用紙の搬送のみが行われるため、記録速度の向上に有利である。
インクジェット用のインクは、通常、大気に触れると水などの液媒体が蒸発するため、時間経過に伴って粘度が上昇し、やがては固化してしまう。したがって、インクが長時間吐出されないノズル(以下、「不使用ノズル」とも記す)が存在すると、記録ヘッドの吐出口が形成された面(吐出口面)付近でインクの粘度が上昇し、徐々にノズル内部のインクの粘度が上昇してしまう。
このようなインクの粘度上昇(高粘度)が発生すると、不使用ノズルからインクが吐出されにくくなる。さらに時間が経過すると、インクを吐出するためのエネルギーを印加してもインクが吐出されなくなるといった問題が生ずることがある。このような問題を解決すべく、例えば、ノズル内の増粘又は固化したインクを外部に吐出する予備吐出や、ポンプなどの吸引手段を用いて増粘又は固化したインクを吸引する回復動作が定期的に実施される。
また、インクを吐出しない時間が数秒程度の比較的短い時間で生じうる吐出量低下を利用した予備吐出方法が提案されている(特許文献1)。この方法によれば、記録媒体(紙面)上に予備吐出するので、記録ヘッドを予備吐出受けへと移動させる動作などを省略することができるとしている。この方法の場合、温度や湿度に応じた予備吐出間隔をインク毎に予め設定しておく必要がある。
特開2002−144599号公報
ところで、インクに用いる色材としては、水溶性の染料や水不溶性の顔料などがある。一般的に、染料を用いた染料インクで記録した画像は、発色性には優れるものの、耐水性、耐ガス性、及び耐光性などの堅牢性が劣ることが知られている。このため、近年、記録される画像の耐水性、耐ガス性、及び耐光性などの堅牢性を向上させるべく、顔料インクが使用されている。顔料インクの場合、水溶性樹脂による分散、樹脂によるカプセル化、又は官能基や樹脂による表面改質などによって、水不溶性の顔料の粒子を水性媒体中に分散させている。
本発明者らは、ラインヘッドを備えるとともに、特許文献1で提案された予備吐出方法を採用したインクジェット記録装置を用意した。そして、周囲環境の吐出への影響を小さくすべく、加熱調温したラインヘッドから顔料インクを吐出して画像を記録した。その結果、不使用ノズル数の増加に伴って予備吐出を多数回実施する必要が生ずること、及び紙面に予備吐出すると視認しうるドットが形成されてしまい、画像品位が低下することが判明した。
枚葉の記録媒体に画像を記録する場合には、搬送間隔を広げておき、紙間隔に合わせて予備吐出することで、画像品位の低下を抑制することは可能ではある。しかし、この場合には記録速度が低下してしまうとともに、ロール紙などの連続した記録媒体には対応できない。
したがって、本発明の目的は、ラインヘッドを備えた記録装置を使用する場合に、ノズルの目詰りなどの発生を抑制しつつ、高品位な画像を高速かつ連続して記録することが可能なインクジェット記録方法を提供することにある。また、本発明の別の目的は、上記インクジェット記録方法に用いるインクジェット記録装置を提供することにある。
上記の目的は以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明によれば、顔料を含有するインクを吐出する複数のノズルを有するラインヘッドと、前記ラインヘッドの温度を制御する機構と、を備えたインクジェット記録装置を使用して、記録データに基づいて前記インクを記録媒体に吐出して画像を記録するインクジェット記録方法であって、前記インクが、さらに、比誘電率27.0以下の水溶性有機溶剤を含有するとともに、前記インク中の前記水溶性有機溶剤の含有量(質量%)が、インク全質量を基準として、4.0質量%以上10.0質量%以下であり、かつ、前記インクの25℃における表面張力が、35mN/m以下であり、複数の前記ノズルのうち、前記インクが吐出されない不使用時間が予め設定された時間に達した不使用ノズルから、予備吐出データに基づいて前記インクを前記記録媒体に予備吐出することを特徴とするインクジェット記録方法が提供される。
本発明によれば、ラインヘッドを備えた記録装置を使用する場合に、ノズルの目詰りなどの発生を抑制しつつ、高品位な画像を高速かつ連続して記録することが可能なインクジェット記録方法を提供することができる。また、本発明によれば、上記インクジェット記録方法に用いるインクジェット記録装置を提供することができる。
インクジェット記録装置の一例を示す模式図である。 ヘッドカートリッジの吐出口面を示す斜視図である。 記録素子基板の吐出口付近の構造を模式的に示す部分破断斜視図である。 インクジェット記録装置の制御構成を示すブロック図である。 予備吐出機構の制御の流れを示すフローチャートである。
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、さらに本発明を詳細に説明する。なお、本発明においては、化合物が塩である場合は、インク中では塩はイオンに解離して存在しているが、便宜上、「塩を含有する」と表現する。また、インクジェット用のインクのことを、単に「インク」と記載することがある。また、物性値は、特に断りのない限り、常温(25℃)における値とする。
<インクジェット記録方法>
本発明のインクジェット記録方法は、顔料を含有するインクを吐出する複数のノズルを有するラインヘッドと、ラインヘッドの温度を制御する機構とを備えたインクジェット記録装置を使用する。そして、記録データに基づいてインクを記録媒体に吐出して画像を記録する。インクは、さらに、比誘電率27.0以下の水溶性有機溶剤を含有するとともに、インク中の前記水溶性有機溶剤の含有量(質量%)が、インク全質量を基準として、4.0質量%以上10.0質量%以下である。また、インクの25℃における表面張力は、35mN/m以下である。そして、複数のノズルのうち、インクが吐出されない不使用時間が予め設定された時間に達した不使用ノズルから、予備吐出データに基づいてインクを記録媒体に予備吐出することを特徴とする。
本発明者らは、加熱などの温度制御可能なラインヘッドを備えたインクジェット記録装置を使用し、顔料を含有するインクにより、紙面への予備吐出を実施しながら高品位な画像を記録するにあたり、インク中の水溶性有機溶剤及び界面活性剤に着目した。インクに用いる水溶性有機溶剤としては、顔料に対する親和性が高い水溶性有機溶剤と低い水溶性有機溶剤があることが知られている。顔料に対する親和性が高い水溶性有機溶剤を比較的多量にインクに含有させたとしても、顔料の分散安定性は低下しにくい。しかし、顔料に対する親和性が低い水溶性有機溶剤をインクに少量含有させると、顔料の分散安定性は低下してしまう。本発明者らは、水溶性有機溶剤の物性のうち、顔料の親和性に関わる物性について検討した。その結果、顔料に対する親和性と、水溶性有機溶剤の比誘電率とが、高い相関性を有することを見出した。
顔料インクが吐出されずにノズル内に留まっていると、時間経過に伴って顔料がノズルの先端(吐出口近傍)から奥の方へと後退し、ノズルの先端部分ではインク中の顔料濃度が低下する、といった現象(以下、「顔料後退現象」とも記す)が生ずる。種々の水溶性有機溶剤を含有する顔料インクをノズルに充填して顔料後退現象について観察したところ、顔料の後退度合いと、水溶性有機溶剤の比誘電率及び含有量とが、高い相関関係を有することがわかった。具体的には、水溶性有機溶剤の比誘電率が低いほど顔料の後退度合いが大きいこと、及び水溶性有機溶剤が高濃度であるほど顔料の後退度合いが大きいことなどが判明した。また、加熱環境下においては、顔料の後退度合いが大きいほど、顔料の後退度合いのバラツキが小さいことも判明した。そして、界面活性剤を含有する顔料インクを用いて同様に検討した。その結果、特に加熱環境下においては、表面張力が低く界面活性剤が高濃度であるほど、顔料の後退度合いのバラツキが小さいことがわかった。
以上のような事実を考慮した上で、本発明者らは顔料後退現象の発生メカニズムを以下のように推測している。ノズル内のインク成分の移流拡散のみを考慮した場合、不揮発成分である顔料粒子は吐出口付近に蓄積して濃縮されるため、ノズル閉塞が引き起こされるはずである。しかし、実際には、特定のインク組成の場合には、インク成分の移流拡散に起因しない顔料粒子に働く駆動力によって顔料後退現象が発生している。顔料粒子に働く力は、(1)粒子間反発、(2)顔料の濡れ(界面張力)、並びに(3)液媒体及び対イオンからの静電的相互作用、の3つに分解することができる。DLVO理論を用いた計算によると、水溶性有機溶剤の比誘電率が低下すると粒子間反発は弱くなり、粒子は凝集することがわかった。このため、粒子間反発は顔料後退の駆動力となりえないと考えられる。また、濡れ(界面張力)は、顔料が後退する駆動力の発生源となる可能性がある。しかし、界面張力の発生位置は、分散した顔料粒子表面のStern層内部に限られる。このため、界面張力は流体の移動に繋がらず、顔料が後退する駆動力となりえないと考えられる。
そして、静電的相互作用は、誘電率の不均一な場から帯電粒子が受ける力が、顔料が後退する駆動力そのものと考えることができる。誘電率が不均一であるほど、顔料粒子に作用する後退のための駆動力は増加する。これは、前述の観察結果と一致する。すなわち、比誘電率の低い水溶性有機溶剤を用いるほど、また、水溶性有機溶剤の含有量を多くするほど、誘電率の不均一度が大きくなるので、顔料の後退が進行する。さらに、顔料後退の駆動力が増大したため、その他の外乱による顔料後退の乱れが発生しにくくなり、ノズル間での顔料の後退度合いのバラツキが小さくなると考えられる。
(インクジェット記録装置)
本発明のインクジェット記録方法に用いるインクジェット記録装置は、顔料を含有するインクを吐出する複数のノズルを有するラインヘッドと、ラインヘッドの温度を制御する機構とを備えたインクジェット記録装置である。そして、複数のノズルのうち、インクが吐出されない不使用時間が予め設定された時間に達した不使用ノズルから、予備吐出データに基づいてインクを記録媒体に予備吐出する予備吐出機構をさらに備える。以下、図面を参照しつつ、本発明のインクジェット記録装置の詳細について説明する。
図1は、インクジェット記録装置の一例を示す模式図である。図1に示すインクジェット記録装置は、記録媒体の搬送方向(矢印A方向)に沿って配列された複数のラインヘッドで構成されたラインヘッド群101gインクを吐出して画像を記録するインクジェットプリント方式が採用されている。ラインヘッド群101gは、ブラックヘッド101Bk、シアンヘッド101C、マゼンタヘッド101M、及びイエローヘッド101Yで構成されている。各ラインヘッドには、記録媒体103の紙幅の方向(記録媒体103の搬送方向と直交する方向)に、例えば、1200dpiの密度で約14,000個のノズル(吐出口)が配列されている。
記録媒体103は、搬送モータにより駆動されるレジストローラ114によって送出された後、一対のガイド板115により案内されつつ、その先端がレジ合わせされた後、エンドレスベルトである搬送ベルト111により搬送される。搬送ベルト111は2個のローラ112、113によって保持されており、搬送ベルト111の上側部分の上下方向への変位は、プラテン104によって規定されている。記録媒体103の吸着は、例えば、静電吸着によって搬送ベルト111に吸着される。ラインヘッド群101gから吐出されたインクによって、搬送ベルト111によって搬送される間に画像が記録された記録媒体103は、ストッカ116へと排出される。
図2は、ヘッドカートリッジの吐出口面を示す斜視図である。図2に示すように、ヘッドカートリッジHには、矢印の方向へとインクを吐出するノズル(吐出口)が形成された複数の記録素子基板120が配置されている。そして、記録素子基板120には、各記録素子基板120に電力を供給するとともに、制御信号を伝達するフレキシブルケーブル130が電気的に接続されている。
図3は、記録素子基板の吐出口付近の構造を模式的に示す部分破断斜視図である。基板123上には、インクを加熱するための複数のヒータ121及びサブヒータ(不図示)が配置されている。さらに、基板123上には、ラインヘッドの温度を検出する温度センサ128が配置されている。基板123上には、樹脂被膜層127及び吐出口プレート125が順次積層されている。また、樹脂被膜層127には、各吐出口122へとインクを供給する流路を構成する流路壁126が形成されており、樹脂被膜層127上に吐出口プレート125が積層されることで、インクを吐出する複数のノズルが形成される。インクタンク(不図示)から流出したインクは、インク供給口124を通じて各ノズルに供給された後、ヒータ121によって熱エネルギーが付与され、吐出口122から吐出される。
温度センサ128としては、例えば、温度に応じて順方向電圧が変化する性質を有するダイオードを用いることができる。インクの温度を直接検出するのは効率が良くない。このため、温度センサ128で検出した基板123の温度を記録ヘッドの温度として採用すればよい。ダイオード以外の温度センサ128として、例えば、金属薄膜センサなどを用いることができる。また、基板123上にはサーミスタ(不図示)が設けられており、環境温度を読み取ることができる。インクは、インク供給口124から吐出口122までのノズル内に充填されている。ヒータ121でインクを加熱し、インク中に膜沸騰を発生させて気泡の生成圧力によって吐出口122付近のインクを吐出させることができる。
図1において、記録しないとき(記録装置の休止時)には、各ラインヘッドを所定の機構(不図示)によって上方へと移動させた後、各ラインヘッドの下側にキャップ(不図示)をスライドさせる。その後、各ラインヘッドを下降させることで、吐出口122をキャッピングすることができる。吐出口122をキャッピングすることにより、吐出口122近傍におけるインク中の揮発成分の蒸発を防止することができる。また、記録開始前などの段階で、吐出口122をキャッピングした状態で加圧回復又は吸引回復などの回復操作を行ってもよい。加圧回復は、ラインヘッド内部を加圧してノズル内のインクを吐出口122から排出する操作である。また、吸引回復は、キャップ内を減圧してノズル内のインクを吐出口122から排出する操作である。加圧回復及び吸引回復の両方を実施してもよい。さらに、回復操作後、吐出口面に残ったインクなどの付着物をワイピング部材で拭き取るワイピング操作を実施してもよい。
環境温度や湿度によって、吐出口面の乾燥状態は相違する。そして、環境温度などが変化すると、ノズルの先端に存在するインク中の顔料濃度が十分に低下するまでの時間(不使用時間)や、正常な吐出状態を回復するまでに要する予備吐出の回数なども変化する。このため、本発明においては、外部環境に左右されないように、ラインヘッド内に設けた前述のサブヒータなどのラインヘッドの温度を制御する機構を用いて、ラインヘッドを所定の温度に加熱した状態で画像を記録することが好ましい。また、ラインヘッドの温度を、40℃以上70℃以下の範囲内に調整することが好ましい。
本発明においては、ラインヘッドの加熱温度及び使用するインクの種類(組成)などに応じて、予備吐出を開始するタイミングとなる、インクが吐出されない不使用時間及び予備吐出の吐出回数を予め調査しておく。そして、調査結果を「加熱温度、インク種」に対応した(不使用時間、吐出回数)のテーブルを作成する。本発明においては、作成したテーブルに基づき、予備吐出のタイミング及び回数などをプログラミングした状態で画像を記録する。これにより、複数のノズルのうち、インクが吐出されない不使用時間が予め設定された時間に達した不使用ノズルから、適切なタイミングで予備吐出データに基づいてインクを記録媒体に予備吐出することができる。
本発明においては、各色に対応した複数のラインヘッドのそれぞれについて上記のテーブルを予め作成すればよい。そして、画像の記録中は、作成したテーブルに基づくプログラムにより生成された予備吐出データに基づいて、予備吐出することが好ましい。また、記録開始時にも、ラインヘッドの加熱温度に応じた予備吐出を所定回数実施してもよい。
図4は、インクジェット記録装置の制御構成を示すブロック図である。システムコントローラ201は、マイクロプロセッサをはじめ、記録装置で実行される制御プログラムを格納するROM、及びマイクロプロセッサが処理を実行する際にワークエリアとして使用されるRAMなどを有し、装置全体を制御する。インクの吐出や、ラインヘッドの温度を調整するヒータ203なども、このシステムコントローラ201で制御される。ドライバ202によってその駆動が制御されたモータ204は、図1に示すローラ113を回転させて記録媒体を搬送する。
ホストコンピュータ206は、記録装置に対して記録すべき情報を転送し、記録動作における各駆動部を制御する。受信バッファ207は、ホストコンピュータ206からのデータを一時的に格納し、システムコントローラ201によってデータ読み込みが行われるまでデータを蓄積する。フレームメモリ208は、記録データをイメージデータに展開するためのメモリであり、記録に必要な分のメモリサイズを有している。
バッファ209は、記録データを一時的に記憶する。バッファ209の記憶容量は、ラインヘッドの吐出口数により変化する。記録制御部210は、ラインヘッドの駆動をシステムコントローラ201からの指令により適切に制御する。また、記録制御部210は、駆動周波数、記録データ数などを制御するとともに、処理液を吐出させるためのデータも作成する。ドライバ211は、各インクを吐出するラインヘッド(ブラックヘッド101Bk、シアンヘッド101C、マゼンタヘッド101M、イエローヘッド101Y)を駆動させる。このドライバ211は、記録制御部210からの信号により制御される。
ホストコンピュータ206から受信バッファ207に転送された記録データは、受信バッファ207に一時的に格納される。格納された記録データは、システムコントローラ201によって読み出され、バッファ209に展開される。また、紙詰まり、インク切れ、用紙切れなどの異常は、異常センサ222からの各種検知信号により検知することができる。記録制御部210は、バッファ209に展開された画像データに基づき、各ラインヘッドの吐出動作を制御する。
図5は、予備吐出機構の制御の流れを示すフローチャートである。予備吐出機構は、ホストコンピュータ206(図4)からの記録データの入力により起動する。記録データが入力されると、ステップS501において、設定された温度範囲にラインヘッドの温度を保持するように加熱制御が開始される。ステップS502では、ラインヘッドの吐出口をキャッピングしているキャップに対して予備吐出する。このキャップへの予備吐出は、従来の予備吐出と同様の操作である。この予備吐出により、長時間吐出されずにノズル内で生じた増粘インクを除去することができる。
ステップS503では、予備吐出のタイマをリセットする。これにより、ステップS502で予備吐出が行われてからの時間の計測を開始する。そして、ステップS504では、キャップを移動させて吐出口のキャッピングを解除した後、ラインヘッドを下降させて記録媒体に近付ける。これにより、ラインヘッドのノズルからインクを吐出させて画像を記録することが可能となる。また、ラインヘッドの動作とともに、搬送ベルト111による記録用紙103の搬送を開始する。
ステップS505では、予め作成したテーブルを参照し、予備吐出の実施間隔及び回数のデータを読み出す。ステップS506では、前回の予備吐出からの経過時間が、この予備吐出の実施間隔に到達したか否かを判断する。そして、予備吐出を実施するタイミングとなったときは、ステップS507で、予備吐出データとして同時に読み出した吐出回数データによる回数だけ記録媒体に予備吐出する。ステップS509では、各ラインヘッドから記録データに応じてインクを吐出し、画像を記録する。そして、各ラインヘッドのノズルの配列に対応した1ライン分のデータによる吐出を行う毎に、次の1ライン分の記録データがあるか否かを判断する。例えば、同じ画像を連続的に複数のページにわたって記録する場合などがある。このような場合に、1ページ毎に予備吐出することができるよう、予備吐出の実施間隔を定めておく。すなわち、ステップS506では、記録データを読み出し、前回の予備吐出からの経過時間が、予備吐出の実施間隔に到達したか否かを判断する。そして、予備吐出を実施するタイミングとなったときは、ステップS507で、予備吐出データとして同時に読み出した吐出回数データによる回数だけ、各ノズルから記録媒体に予備吐出する。このため、次の1ライン分の記録データがある間はその1ライン分の記録を行うべく、ステップS506及びステップS509を繰り返す(ステップS510)。
一方、連続記録などで記録データが繰り返されることにより記録データは存在するが、1ページ分の記録が終了する時点では、ステップS506で、前回の予備吐出からの経過時間がテーブルから求めた予備吐出の実施間隔に至ったと判断される。そして、ステップS507の予備吐出を行う。予備吐出後は、ステップS508で予備吐出タイマをリセットし、ステップS509で次のページの記録を開始する。画像の記録を終了した後、設定した時間を経過すると、ノズル内のインクの固着などを防ぐために、ステップS511で吐出口をキャッピングし、記録データの入力を待機する。
以上のように、本発明のインクジェット記録方法では、顔料後退により、顔料濃度が低くなった部分のインクを記録媒体に予備吐出データに基づいて予備吐出する。顔料後退により顔料濃度が低くなったインクは、顔料濃度が低くなる以前のインクと比して、記録媒体に予備吐出を行ってもドットが視認されづらい。加えて、顔料濃度が低いため、増粘の程度も軽微であるうえ、増粘した部分も少ない。これにより、記録媒体に対して少量の予備吐出をすることによって、従来の比較的多量の予備吐出でしか解消しえないインクの増粘などの吐出不良の原因を未然に防ぐことができる。したがって、記録に寄与しない予備吐出の量を削減できるため、インクの一定体積当たりの記録量を増やすことができる。また、記録媒体に予備吐出するインクの量が少ないため、形成されるドットも小さくなる。さらに、1ノズル当たり、1回又は2回予備吐出するため、記録媒体に形成されるドットは、ほとんどの場合1つ又は2つとなる。その結果、予備吐出によって記録媒体に形成されるドットは目立たず、記録される画像の品位を損なうおそれがない。
また、各ラインヘッドのノズルからの予備吐出の吐出パターンを工夫して、予備吐出によって記録媒体に形成されるドットがより目立たないようにすることもできる。例えば、ノズル間でランダムな時間差を設けて予備吐出すれば、ドットをランダムに配置してより目立たなくすることができる。
(インク)
本発明のインクジェット記録方法に用いるインクは、顔料、及び比誘電率27.0以下の水溶性有機溶剤(以下、便宜上「第1の水溶性有機溶剤」とも記す)を含有する。インクは、水性媒体として少なくとも水を含有する、水性のインクであることが好ましい。
[顔料]
顔料としては、無機顔料及び有機顔料のいずれをも用いることができる。顔料としては、分散剤として樹脂を用いる樹脂分散タイプの顔料、及び顔料の粒子表面に親水性基を導入した自己分散タイプの顔料(自己分散顔料)などを用いることができる。樹脂分散タイプの顔料としては、高分子分散剤を使用した樹脂分散型顔料、顔料の粒子の表面を樹脂で被覆したマイクロカプセル型顔料、及び顔料の粒子の表面に高分子を含む有機基が化学的に結合した樹脂結合型自己分散顔料などがある。なお、分散方法の異なる顔料を併用することもできる。インク中の顔料の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上15.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上10.0質量%以下であることがさらに好ましい。
[水溶性有機溶剤]
本発明のインクジェット記録方法で用いるインクは、比誘電率27.0以下の水溶性有機溶剤(第1の水溶性有機溶剤)を含有する。比誘電率27.0以下の水溶性有機溶剤を用いることで、顔料後退を効率よく生じさせることができる。インク中の第1の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、4.0質量%以上10.0質量%以下である。第1の水溶性有機溶剤の含有量が4.0質量%未満であると、多数のノズル間における顔料後退のバラツキ発生の抑制が不十分になる。一方、第1の水溶性有機溶剤の含有量が10.0質量%超であると、顔料後退は生じるが、ノズルでのインクの固着が強固に生じやすくなり、予備吐出を行っても正常な吐出状態に回復できなくなる。
水及び水溶性有機溶剤の比誘電率は、誘電率計(例えば、商品名「BI−870」(BROOKHAVEN INSTRUMENTS CORPORATION製)など)を用いて測定することができる。25℃で固体の水溶性有機溶剤の比誘電率は、50質量%水溶液の比誘電率を測定し、下記式(A)から算出することができる。
εsol=2ε50%−εwater ・・・(A)
εsol:25℃で固体の水溶性有機溶剤の比誘電率
ε50%:25℃で固体の水溶性有機溶剤の50質量%水溶液の比誘電率
εwater:水の比誘電率
25℃で固体の水溶性有機溶剤の比誘電率を50質量%水溶液の比誘電率から算出する理由は、以下に示す通りである。25℃で固体の水溶性有機溶剤のうち、水性インクの構成成分となりうるものには、50質量%を超える高濃度水溶液の調製が困難なものがある。一方、10質量%以下の低濃度水溶液では水の比誘電率が支配的となり、水溶性有機溶剤の確からしい(実効的な)比誘電率の値を得ることは困難である。そこで、本発明者らが検討を行ったところ、インクに用いる25℃で固体の水溶性有機溶剤のほとんどが、測定対象となる水溶液を調製可能であり、かつ、算出される比誘電率も本発明の効果と整合することが判明した。以上の理由により、本発明においては50質量%水溶液の比誘電率から、25℃で固体の水溶性有機溶剤の比誘電率を算出して用いることとした。25℃で固体の水溶性有機溶剤であっても、水への溶解度が低く、50質量%水溶液を調製できないものについては、飽和濃度の水溶液を利用し、上記のεsolを算出する場合に準じて算出した比誘電率の値を便宜的に用いる。
第1の水溶性有機溶剤としては、比誘電率27.0以下のものであれば、インクジェット記録方法に適用されるインクに一般的に用いられているものをいずれも用いることができる。第1の水溶性有機溶剤の具体例としては、1,5−ペンタンジオール(27.0)、3−メチル−1,3−ブタンジオール(24.0)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール(23.9)、エタノール(23.8)、トリエチレングリコール(22.7)、テトラエチレングリコール(20.8)、数平均分子量200のポリエチレングリコール(18.9)、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール(18.5)、イソプロパノール(18.3)、1,2−ヘキサンジオール(14.8)、n−プロピルアルコール(12.0)、数平均分子量600のポリエチレングリコール(11.4)、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(9.8)、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル(9.4)、1,6−ヘキサンジオール(7.1)、数平均分子量1,000のポリエチレングリコール(4.6)などを挙げることができる(括弧内の数値は25℃における比誘電率を表す)。第1の水溶性有機溶剤としては、比誘電率が3.0以上であるもの、25℃での蒸気圧が水よりも低いものを用いることが好ましい。これらの第1の水溶性有機溶剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、インクには、さらに、第1の水溶性有機溶剤以外の水溶性有機溶剤(その他の水溶性有機溶剤)を含有させてもよい。その他の水溶性有機溶剤としては、インクジェット記録方法に適用されるインクに一般的に用いられているものをいずれも用いることができる。その他の水溶性有機溶剤の具体例としては、アルコール類、グリコール類、グリコールエーテル類、含窒素化合物類などを挙げることができる。その他の水溶性有機溶剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。インク中の、全ての水溶性有機溶剤(第1の水溶性有機溶剤及びその他の水溶性有機溶剤を含む)の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。
水溶性有機溶剤の具体例としては、先に挙げた第1の水溶性有機溶剤も含めると、以下に示すものなどを挙げることができる(括弧内の数値は25℃における比誘電率を表す)。メチルアルコール(33.1)、エチルアルコール(23.8)、n−プロピルアルコール(12.0)、イソプロピルアルコール(18.3)、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコールなどの炭素数1乃至4の1価アルコール類。1,2−プロパンジオール(28.8)、1,3−ブタンジオール(30.0)、1,4−ブタンジオール(31.1)、1,5−ペンタンジオール(27.0)、1,2−ヘキサンジオール(14.8)、1,6−ヘキサンジオール(7.1)、2−メチル−1,3−プロパンジオール(28.3)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール(23.9)などの2価アルコール類。1,2,6−ヘキサントリオール(28.5)、グリセリン(42.3)、トリメチロールプロパン(33.7)、トリメチロールエタンなどの多価アルコール類。エチレングリコール(40.4)、ジエチレングリコール(31.7)、トリエチレングリコール(22.7)、テトラエチレングリコール(20.8)、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、チオジグリコールなどのアルキレングリコール類。ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(9.8)、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル(9.4)などのグリコールエーテル類。数平均分子量600のポリエチレングリコール(11.5)、同1,000のポリエチレングリコール(4.6)、ポリプロピレングリコールなどの数平均分子量200乃至1,000のポリアルキレングリコール類。2−ピロリドン(28.0)、N−メチル−2−ピロリドン(32.0)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルモルホリン、尿素(110.3)、エチレン尿素(49.7)、トリエタノールアミン(31.9)などの含窒素化合物類。ジメチルスルホキシド(48.9)、ビス(2−ヒドロキシエチルスルホン)などの含硫黄化合物類。インクに含有させる水溶性有機溶剤としては、比誘電率が3.0以上であるもの、120.0以下であるもの、25℃での蒸気圧が水よりも低いものを用いることが好ましい。
[界面活性剤]
本発明のインクジェット記録方法で用いるインクは、さらに、界面活性剤を含有することが好ましい。界面活性剤を含有するインクを用いることで、多数のノズル間での顔料の後退の度合いのバラツキをより低減させることができる。界面活性剤を含有させることで、顔料の後退の度合いのバラツキを低減させることが可能となる理由について、本発明者らは以下のように推測している。ノズルのメニスカスからの水分蒸発に伴い、ノズル内のインクには水溶性有機溶剤の濃度分布が生ずる。また、加熱環境下においては、ノズル壁に接触しているインクと、大気と接触して水分蒸発しているメニスカス部分のインクとの間で温度差が生ずる。このため、ノズル内のインクに表面張力差が発生し、ノズル内でマランゴニ対流が生ずる。界面活性剤を含有しないインクは表面張力が高いため、マランゴニ対流によってノズル内のインクが大きく循環する。これにより顔料の後退が阻害され、ノズル間での顔料の後退の度合いのバラツキが生ずることがある。これに対して、界面活性剤を含有するインクは表面張力が低下しているため、系全体の表面張力の濃度係数又は温度係数が低下(マランゴニ数が減少)し、マランゴニ対流の影響が弱まる。これにより、ノズル間での顔料の後退の度合いのバラツキが低減されると考えられる。
界面活性剤としては、炭化水素系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、及びシリコーン系界面活性剤などを用いることができる。また、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、及び両性界面活性剤などを用いてもよい。なかでも、ノニオン性界面活性剤を用いることが好ましく、アセチレングリコール系のノニオン性界面活性剤を用いることがさらに好ましい。インク中のアセチレングリコール系のノニオン性界面活性剤の含有量は、インク全質量を基準として、1.0質量%以上であることが好ましい。アセチレングリコール系のノニオン性界面活性剤の含有量が1.0質量%未満であると、顔料の後退の度合いが不足する場合がある。一方、インクの表面張力が低下しすぎてしまい、記録される画像の光学濃度が低下する場合があるため、インク中のアセチレングリコール系のノニオン性界面活性剤の含有量は、インク全質量を基準として、3.0質量%以下であることが好ましい。
[水]
インクには、さらに水を含有させることができる。水としては、脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましい。
[その他の添加剤]
インクには、上記成分の他に、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、及び還元防止剤などの種々の添加剤を含有させてもよい。なお、これらの添加剤や界面活性剤は、一般的にインク中の含有量もかなり少なく、本発明の効果への影響も小さい。このため、本発明においては、これらの添加剤は「水溶性有機溶剤」に含めず、比誘電率を算出する対象としない。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。なお、成分量に関して「部」及び「%」と記載しているものは特に断らない限り質量基準である。
<顔料分散液の調製>
(顔料分散液1)
顔料(カーボンブラック)15.0部、スチレン−アクリル酸共重合体を10%水酸化ナトリウム水溶液で中和して得た水溶液(樹脂固形分20.0%)50.0部、及びイオン交換水35.0部を混合した。スチレン−アクリル酸共重合体としては、酸価100mgKOH/g、重量平均分子量10,000のものを用いた。バッチ式縦型サンドミルを用いて2時間分散した後、遠心分離処理して粗大粒子を除去した。ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フィルム製)にて加圧ろ過して顔料分散液1を得た。顔料分散液1中の顔料の含有量は15.0%、樹脂(固形分)の含有量は10.0%であった。
(顔料分散液2)
顔料をC.I.ピグメントブルー15:3に変更したこと以外は、前述の顔料分散液1と同様の手順で顔料分散液2を得た。顔料分散液2中の顔料の含有量は15.0%、樹脂(固形分)の含有量は10.0%であった。
(顔料分散液3)
顔料をC.I.ピグメントレッド122に変更したこと以外は、前述の顔料分散液1と同様の手順で顔料分散液3を得た。顔料分散液3中の顔料の含有量は15.0%、樹脂(固形分)の含有量は10.0%であった。
(顔料分散液4)
顔料をC.I.ピグメントイエロー74に変更したこと以外は、前述の顔料分散液1と同様の手順で顔料分散液4を得た。顔料分散液4中の顔料の含有量は15.0%、樹脂(固形分)の含有量は10.0%であった。
<インクの調製>
表1−1及び1−2の上段に示す各成分(単位:%)を混合して十分に撹拌した後、ポアサイズ1.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過し、各インクを調製した。ポリエチレングリコールの数平均分子量は1,000である。括弧内に示す水溶性有機溶剤の比誘電率は、誘電率計(商品名「BI−870」、BROOKHAVEN INSTRUMENTS CORPORATION製)を用いて求めた値であり、25℃で固体の場合は上記の式(A)を利用して算出した値である。調製したインクの25℃における表面張力を表1−1及び1−2の下段に示す。インクの表面張力は、自動表面張力計(商品名「CBVP−Z型」、協和界面科学製)を使用し、25℃、湿度50%の環境下で測定した。表1−1及び1−2中の「アセチレノールE100」は、アセチレングリコール系のノニオン性界面活性剤(川研ファインケミカル製)の商品名である。また、「Nikkol BC20」は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(日光ケミカルズ製)の商品名である。
Figure 2017213800
Figure 2017213800
<不使用時間の測定>
インク毎の不使用時間の測定には、図1に示す構成を有するインクジェット記録装置を使用した。この記録装置には、図2に示す構成を有する、サーマル方式の記録ヘッドHが配設されている。ラインヘッドの温度は、記録ヘッドのヒータにインクが吐出しない程度に通電することで調整し、図3に示す記録ヘッドに設けた温度センサで読み取ることで制御した。この記録装置を用いて、透明な記録媒体(商品名「OHPフィルム」、エーワン製)に、表2に示すインクとラインヘッドの温度(℃)で吐出を行い、以下のようにして不使用時間を測定した。ドットの透過率は、カラー透過濃度計(商品名「X−Rite310TR」、X−Rite製)を用いて測定した。
まず、表2に示すインクとラインヘッドの温度でインクを吐出させて、形成されたドットの透過率を測定した(これを「I0」とする)。次いで、一定量のインクを吐出させた後に休止時間(不使用時間)を設け、これを適宜変化させることで、吐出再開後に形成されたドットの透過率を測定した(これを「I」とする)。そして、吐出休止前後のドットの透過率から、ドットの透過率(I/I0)を求め、光学濃度=−log10(I/I0)の式に基づいて、光学濃度に換算した。縦軸にこの光学濃度をとり、横軸を休止時間としてプロットした二次微分曲線において、極大値となる休止時間を「不使用時間」とした。さらに、不使用時間が経過した後の吐出再開後に、I0の光学濃度の80%以上の光学濃度に復帰するまでに必要な最小の予備吐出の回数を測定した。このようにして求められた不使用時間、及び予備吐出の回数を表2に示す。
<画像の記録>
画像の記録には、「不使用時間の測定」に利用したものと同じ構成のインクジェット記録装置を用い、ロール紙(商品名「プレミアム光沢紙2」、キヤノン製)に以下の条件で記録を行った。1/600インチ×1/600インチの単位領域に、1滴当たりの質量が4ngのインク滴を4滴付与する条件で、4inch/secの速度で記録媒体を搬送し、ラインヘッド長尺方向18cm×紙送り方向2cmのベタ画像を記録して記録物を得た。この際、図5に示すフローチャートにしたがって、記録データに基づくベタ画像の記録と、記録媒体の非記録部分への予備吐出データに基づく予備吐出を行った。
(画像品位)
上記で得られた記録物の非記録部分における、予備吐出により形成されたドットを目視で確認して、下記の基準にしたがって画像品位を評価した。評価結果を表2に示す。本発明においては、以下に示す評価基準で「AA」、「A」、及び、「B」を許容できるレベル、「C」を許容できないレベルとした。
AA:ドットが透明であり、かろうじて視認できる程度であった。
A:ドットがわずかに色づいていたが、ほとんど気にならい程度であった。
B:ドットが若干色づいていたが、あまり気にならない程度であった。
C:画像として認識される程度のドットであった。
Figure 2017213800

Claims (5)

  1. 顔料を含有するインクを吐出する複数のノズルを有するラインヘッドと、前記ラインヘッドの温度を制御する機構と、を備えたインクジェット記録装置を使用して、記録データに基づいて前記インクを記録媒体に吐出して画像を記録するインクジェット記録方法であって、
    前記インクが、さらに、比誘電率27.0以下の水溶性有機溶剤を含有するとともに、前記インク中の前記水溶性有機溶剤の含有量(質量%)が、インク全質量を基準として、4.0質量%以上10.0質量%以下であり、かつ、前記インクの25℃における表面張力が、35mN/m以下であり、
    複数の前記ノズルのうち、前記インクが吐出されない不使用時間が予め設定された時間に達した不使用ノズルから、予備吐出データに基づいて前記インクを前記記録媒体に予備吐出することを特徴とするインクジェット記録方法。
  2. 前記インクが、さらに、アセチレングリコール系のノニオン性界面活性剤を含有する請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  3. 前記インク中の前記ノニオン性界面活性剤の含有量(質量%)が、インク全質量を基準として、1.0質量%以上である請求項2に記載のインクジェット記録方法。
  4. 前記ラインヘッドの温度が、40℃以上70℃以下である請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法に用いるインクジェット記録装置であって、
    顔料を含有するインクを吐出する複数のノズルを有するラインヘッドと、
    前記ラインヘッドの温度を制御する機構と、
    複数の前記ノズルのうち、前記インクが吐出されない不使用時間が予め設定された時間に達した不使用ノズルから、前記予備吐出データに基づいて前記インクを前記記録媒体に予備吐出する予備吐出機構と、を備えることを特徴とするインクジェット記録装置。
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