JP2017136849A - インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置 Download PDF

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Yuko Negishi
ゆう子 根岸
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亮佑 長尾
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【課題】ラインヘッドを用いて画像を記録する場合に、光学濃度が高く、かつ、文字品位が優れた画像を記録可能であるとともに、インクの間欠吐出安定性に優れたインクジェット記録方法を提供する。【解決手段】インクジェット方式のラインヘッド101gから水性インクを吐出して記録媒体103に画像を記録する工程を有するインクジェット記録方法であって、さらに、ラインヘッドの吐出口と記録媒体との間を加湿する工程を有する。インクは、アニオン性基が他の原子団を介して粒子表面に結合している自己分散顔料、及び25℃における比誘電率が27.0以下の水溶性有機溶剤Aを含有する。インク中の比誘電率が27.0以下の水溶性有機溶剤Aの含有量(質量%)は、自己分散顔料の含有量(質量%)に対する質量比率で、0.2倍以上3.0倍以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置に関する。
近年、インクジェット記録装置は、低電力、低コスト、及び省スペースという利点を活かし、オフィスなどでの利用が増加しつつある。従来から、インクジェット記録装置には、紙送り方向(主走査方向)に対して直交する方向(副走査方向)に記録ヘッドを繰り返し移動させて画像を記録するシリアル方式の記録ヘッド(いわゆるシリアルヘッド)が採用されている。近年では、インクジェット記録装置のさらなる利用拡大を目指して、シリアルヘッドではなく、吐出口の配列幅を記録媒体の最大幅相当まで延ばした記録ヘッド、すなわち、ラインヘッドを用いることが提案されている(特許文献1)。シリアル方式とは異なり、ラインヘッド方式では記録ヘッドの移動は行わずに、記録媒体の搬送のみが行われるため、記録速度の向上に有利である。
オフィスなどで用いられる文書については、記録される画像の光学濃度に対する要求も近年ますます高まっている。光学濃度の高い画像を普通紙などの記録媒体に記録可能であることは、オフィス向けのインクジェット記録装置には必須であるといえる。光学濃度が高い画像を記録する手段として、アニオン性基が他の原子団を介して粒子表面に結合している自己分散顔料を使用する方法が提案されている(特許文献2)。
また、ラインヘッド方式は、シリアルヘッド方式と比較し、インクの間欠吐出安定性の性能に大きな課題を有している。すなわち、ラインヘッド方式では、記録ヘッドが固定されているために予備吐出などの回復操作を頻繁に行うことができない。したがって、予備吐出を行わないでもインクを安定に吐出しうる時間を長くする必要があるため、間欠吐出安定性を特に高める必要がある。シリアルヘッド方式における間欠吐出安定性の課題に対しては、色材を安定に分散させづらい水溶性有機溶剤の使用が提案されている(特許文献3)。これは、前記水溶性有機溶剤により、色材を吐出口から離れたインク流路の方向へと拡散させることで、吐出口近傍での色材の析出や固化を抑制し、間欠吐出安定性を向上するものである。
特開2010−143147号公報 特表2000−512329号公報 特開2009−256602号公報
本発明者らは、記録速度の向上を図るためにラインヘッド方式を採用し、かつ、高い光学濃度を達成するために、特許文献2に記載されているような、アニオン性基が他の原子団を介して粒子表面に結合している自己分散顔料を含有するインクを使用して検討した。その結果、従来の知見通り、インクの間欠吐出安定性の性能に課題が発生することが判明した。そこで、本発明者らは、インクの間欠吐出安定性の性能を改善するために、特許文献3に記載されたインクを参考に、色材を安定に分散させづらい水溶性有機溶剤をインクに含有させて検討を行った。その結果、インクの間欠吐出安定性の性能は改善したものの、新たな課題として、文字品位が低下することが判明した。この文字品位の低下は特に普通紙で顕著に見られた。さらに、本発明者らが検討を進めたところ、シリアルヘッド方式では前記文字品位の低下は起こらないことが判明した。つまり、上述の現象はラインヘッド方式において特有に生じる課題であることが判明した。
したがって、本発明の目的は、ラインヘッドを用いて画像を記録する場合に、光学濃度が高く、かつ、文字品位が優れた画像を記録可能であるとともに、インクの間欠吐出安定性に優れたインクジェット記録方法を提供することにある。また、本発明の別の目的は、上記インクジェット記録方法に用いることができるインクジェット記録装置を提供することにある。
上記の目的は以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明によれば、インクジェット方式のラインヘッドから水性インクを吐出して記録媒体に画像を記録する工程を有するインクジェット記録方法であって、さらに、前記ラインヘッドの吐出口と前記記録媒体との間を加湿する工程を有し、前記インクは、アニオン性基が他の原子団を介して粒子表面に結合している自己分散顔料、及び25℃における比誘電率が27.0以下の水溶性有機溶剤Aを含有し、前記インク中の前記比誘電率が27.0以下の水溶性有機溶剤Aの含有量(質量%)が、前記自己分散顔料の含有量(質量%)に対する質量比率で、0.2倍以上3.0倍以下であることを特徴とするインクジェット記録方法が提供される。
本発明によれば、ラインヘッドを用いて画像を記録する場合に、光学濃度が高く、かつ、文字品位が優れた画像を記録可能であるとともに、インクの間欠吐出安定性に優れたインクジェット記録方法を提供することができる。また、本発明によれば、上記インクジェット記録方法に用いることができるインクジェット記録装置を提供することができる。
ラインヘッドを備えたインクジェット記録装置の一例の概略構成を示す模式的側面図である。 ヘッドカートリッジの吐出口面を示す斜視図である。 ヘッドカートリッジにおける一記録素子基板の吐出口付近の構造を示す部分破断斜視図である。 ラインヘッド及び加湿部を備えたインクジェット記録装置の一例の概略構成を示す模式図である。 インクをラインヘッドに供給する供給機構の一例を示す模式図である。
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、さらに本発明を詳細に説明する。本発明においては、化合物が塩である場合は、インク中では塩はイオンに解離して存在しているが、便宜上、「塩を含有する」と表現する。また、インクジェット用の水性インクのことを、単に「インク」と記載することがある。また、物性値は、特に断りのない限り、常温(25℃)における値とする。
<インクジェット記録方法>
近年、記録媒体の搬送方向の幅(最大用紙幅)の全幅にわたってインクを吐出する吐出口(ノズル)が配置されたライン型の記録ヘッド(以下、「ラインヘッド」とも記す)を採用した記録装置が開発されている。ラインヘッドを用いる場合には次のような利点がある。すなわち、ラインヘッドでは、記録ヘッドを往復移動させる必要がなく、最大用紙幅に対応した数のノズルが存在する。したがって、記録媒体の単位領域が記録ヘッド直下を1回のみ通過する、すなわち「1パス」で画像を記録可能であり、記録に要する時間を短縮化することができる。また、高速で記録した場合であっても1ノズル当たりの吐出回数を減少させることができる。したがって、吐出周波数を低く抑えることができるため、記録ヘッドの1のノズルの使用頻度や、熱エネルギーを利用する吐出方式の場合の温度上昇をシリアルヘッドに比して抑制することができる。
本発明者らは、ラインヘッドを用いて、アニオン性基が他の原子団を介して粒子表面に結合している自己分散顔料、及び色材を安定に分散させづらい水溶性有機溶剤を含有するインクで文字や細線を記録した際に文字品位が低下する現象の解明を行った。この際、色材を安定に分散させづらいものの、間欠吐出安定性を向上し得る水溶性有機溶剤として、比誘電率が27.0以下である水溶性有機溶剤Aを用いた。その結果、以下のような現象が起こっていることが推測された。
上記自己分散顔料及び水溶性有機溶剤Aを含有するインクをインクジェット方式の記録ヘッドで吐出する場合、吐出口からの水分蒸発に伴い、吐出口近傍ではインク中の顔料及び水溶性有機溶剤の濃度が上昇していく。その際、比誘電率が27.0以下の水溶性有機溶剤Aの作用により顔料が吐出口から離れたインク流路の方向へと拡散(後退)していき、吐出口近傍での顔料と水溶性有機溶剤との比率が変化すると推測される。そのため、使用ノズルと不使用ノズルを比較すると、吐出口近傍での顔料や水溶性有機溶剤の濃度はもちろん、顔料と水溶性有機溶剤との比率に隔たりが生じることとなる。具体的には、使用ノズルと比較して不使用ノズルでは顔料の濃度が低く、水溶性有機溶剤の濃度が高くなり、結果として、不使用ノズルでは顔料に対する水溶性有機溶剤の比率が非常に高くなってしまう。
顔料インクは記録媒体に付与されると、液体成分と顔料を含む固形分との分離(以下、固液分離と記す)を起こし、顔料の凝集が促進され、記録媒体の表面やその近傍に顔料粒子が多く残る状態で定着する。この固液分離の際に、インク中に比誘電率が27.0以下の水溶性有機溶剤Aが存在する場合は、顔料の凝集がより促進される。したがって、上述したような使用ノズル及び不使用ノズルが存在するラインヘッドを用いて文字や細線を記録した場合、文字や細線を形成するドット毎に顔料の凝集の程度にバラつきが生じ、結果として、文字品位が低下してしまうと推測される。
上記文字品位の低下がシリアルヘッド方式では発生せず、ラインヘッド方式において特有に発生する理由について、本発明者らは、次のように推測している。シリアルヘッド方式の場合では、記録ヘッドが副走査方向に走査する毎に、必要に応じて、廃インク受けなどの、記録媒体以外の場所に予備吐出を行う。これにより、顔料及び水溶性有機溶剤の濃度が高まってしまったインクが排出されるため、顔料及び水溶性有機溶剤の濃度はある程度一定に保たれやすい。そのため、シリアルヘッド方式の場合では、使用ノズル及び不使用ノズルが発生したとしても、使用ノズルと不使用ノズルとの間で顔料に対する水溶性有機溶剤の比率の隔たりは生じにくいと考えられる。
一方、ラインヘッド方式の場合では、記録ヘッドを固定して使用するため、予備吐出は複数のページ間で、又は記録媒体上に行うことになる。記録媒体に予備吐出を行う場合は、画像データに基づくものではないインクが記録媒体に付与されることになるため、画像の高精細さが損なわれてしまう。特に、高い光学濃度を達成するためには、ある程度濃いインクを使用するため、記録媒体に予備吐出することは特に難しい。
また、複数のページ間で予備吐出する場合は、予備吐出のために、先行する記録媒体と後に続く記録媒体との間で、ページ間隔を広げたり、ページ間の送り速度を下げたりすることになるので、記録速度が低下してしまう。したがって、ラインヘッド方式で一定レベルの記録速度や画像の高精細さを維持する場合には、シリアルヘッド方式と比較して予備吐出の頻度や吐出回数を少なくする必要がある。その結果として、使用ノズルと不使用ノズルとの間で顔料に対する水溶性有機溶剤の比率の差が生じてしまい、記録媒体における顔料の凝集性に差が生じてしまうレベルにまで達してしまうと推測される。
そこで、本発明者らは、ラインヘッド方式を用い、使用ノズルと不使用ノズルとの間で顔料に対する水溶性有機溶剤の比率の差が生じてしまった場合でも、高いレベルでの文字品位を達成するために取りうる手法について検討した。まず、本発明者らは、顔料に対する水溶性有機溶剤の比率に差が生じた状態のインク滴が記録媒体に定着するまでの過程について着目した。以下、記録媒体として普通紙を例に挙げて説明を行う。
顔料インクは、前述したように、記録媒体に付与されると、インク中の水溶性有機溶剤Aと顔料とが固液分離を起こし、顔料の凝集が促進され、普通紙の表面やその近傍に顔料粒子が多く残る状態で定着する。本発明者らは、顔料に対する水溶性有機溶剤Aの比率を異ならせたインクをそれぞれ記録媒体に付与し、固液分離の挙動を詳細に観察した。その結果、顔料に対する水溶性有機溶剤Aの比率が高いインク滴の方が素早く固液分離を起こすことがわかった。特に、比誘電率が27.0以下の水溶性有機溶剤Aのような、顔料の凝集を促進しやすい水溶性有機溶剤を使用した場合はさらに素早く固液分離を起こすことがわかった。つまり、上述した文字品位の低下は、以下のように発生すると本発明者らは推測している。
ラインヘッド方式でしばらく使用されていなかったノズル(不使用ノズル)から吐出されたインク滴は、顔料に対する水溶性有機溶剤の比率が高いため、固液分離が早く、顔料の凝集も早く進む。一方、使用され続けていたノズル(使用ノズル)から吐出されたインク滴の固液分離は、不使用ノズルから吐出されたインク滴と比較して遅いため、顔料の凝集は比較的ゆっくりと進む。使用ノズル及び不使用ノズルで文字や細線を記録した場合、それらを形成するドット間で上述したような顔料の凝集性に差が生じるため、文字品位の低下が生じると推測される。
そこで、本発明者らは、使用ノズルから吐出されたインク滴の固液分離の速度を、不使用ノズルから吐出されたインク滴の固液分離の速度に近づけることで、高いレベルの文字品位が得られると考え、検討を行った。その結果、ラインヘッドと記録媒体との間を加湿する工程を導入して、インクを付与する際に予め記録媒体を加湿した状態にすることで、上記の高いレベルの文字品位が得られるという結論に至った。普通紙を予め加湿することで高いレベルの文字品位が得られる理由を本発明者らは以下のように推測している。
コート層が設けられている記録媒体とは異なり、普通紙の表面にはセルロースが露出している。セルロースはヒドロキシ基を有するため、吸湿性が高いという特徴がある。したがって、普通紙を高湿度の環境下に置くと、予め紙が全体的に吸湿した状態となる。
ここで、水や水溶性有機溶剤は、その水溶性という特徴から、水分と混合すると短時間で均一な状態になりやすいという特性がある。そのため、前記吸湿状態の普通紙にインクを付与すると、セルロースのヒドロキシ基により保持されている水分と、インク中の水や水溶性有機溶剤とが短時間でなじむ。ここで、比誘電率が27.0以下の水溶性有機溶剤Aは、顔料の凝集を促進させやすく、加えて、水よりもセルロースのヒドロキシ基との親和性が低い。そのため、予め加湿された普通紙の場合、加湿されていない普通紙と比較して、比誘電率が27.0以下の水溶性有機溶剤Aと水とで普通紙の断面方向における存在ムラを起こしやすい状態となると推測される。そして、加湿された普通紙の表面近傍では、比誘電率が27.0以下の水溶性有機溶剤Aの存在比率が高くなると考えられる。
したがって、予め加湿された記録媒体にインク滴を付与した後に、その表面近傍において水溶性有機溶剤Aの存在比率が高くなっていることで、固液分離が急激に進むと考えられる。つまり、使用ノズルから吐出されたインク滴の固液分離の速度の上がり幅が、不使用ノズルの場合の上がり幅よりも大きいために、使用ノズル及び不使用ノズルの固液分離の速度の差が小さくなることで、文字品位が向上したものと本発明者らは推測している。
つまり、ラインヘッドを用いた場合、文字品位の向上は、記録ヘッドと記録媒体との間の加湿を行うこと、及び比誘電率が27.0以下の水溶性有機溶剤Aを顔料に対して特定の比率で含有するインクを用いることで可能となる。具体的には、インクに含有させる顔料として、アニオン性基が他の原子団を介して粒子表面に結合している自己分散顔料を用いる。なおかつ、インク中の水溶性有機溶剤Aの含有量(質量%)が、前記自己分散顔料の含有量(質量%)に対する質量比率で、0.2倍以上3.0倍以下である範囲において、前記自己分散顔料及び前記水溶性有機溶剤Aを用いる。
本発明のインクジェット記録方法では、ラインヘッドからインクを吐出して記録媒体に付与する際に、ラインヘッドの吐出口と記録媒体との間を加湿することで、インクが記録媒体に付与される際に、予め記録媒体を加湿する。予め記録媒体を加湿することにより、インクが記録媒体に付与された後、比誘電率が27.0以下の水溶性有機溶剤Aの記録媒体への浸透が緩やかとなり、記録媒体の表面近傍に残りやすくなる。つまり、本発明のポイントは、比誘電率が27.0以下の水溶性有機溶剤Aを記録媒体の表面近傍に残った状態にすることで、前記自己分散顔料の、記録媒体の表面近傍での凝集を促進させる点にある。
以上より、インクジェット方式のラインヘッドから水性インクを吐出して記録媒体に画像を記録する工程を有するインクジェット記録方法に、ラインヘッドの吐出口と記録媒体との間を加湿する工程を導入する。そして、このインクジェット記録方法に用いる水性インクとして、アニオン性基が他の原子団を介して粒子表面に結合している自己分散顔料、及び比誘電率が27.0以下の水溶性有機溶剤Aを含有する水性インクを用いる。さらに、インク中の比誘電率が27.0以下の水溶性有機溶剤Aの含有量(質量%)は、自己分散顔料の含有量(質量%)に対する質量比率で、0.2倍以上3.0倍以下である。上記工程を有するインクジェット記録方法に上記水性インクを用いることで、光学濃度が高く、かつ、文字品位が優れた画像を記録可能であるとともに、インクの間欠吐出安定性を向上することができる。
以下、本発明のインクジェット記録方法に用いるインクを構成する各成分やインクの物性などについて詳細に説明する。
[インク]
本発明のインクジェット記録方法では、インクジェット方式のラインヘッドから水性インクを吐出して記録媒体に画像を記録する工程を有する。水性インクを吐出するインクジェット方式のラインヘッドを備えたインクジェット記録装置を使用して、インクを記録媒体に付与することができる。インクをインクジェット方式のラインヘッドから吐出する方式としては、インクに熱エネルギー又は力学的エネルギーを付与する方法を挙げることができる。本方法においては、インクに熱エネルギーを付与してインクジェット方式のラインヘッドからインクを吐出する方式を採用することが好ましい。本発明で用いるインクは、いわゆる「硬化型インク」である必要はない。したがって、本発明で用いるインクは、外部エネルギーの付加により重合しうる重合性モノマーなどの化合物を含有しなくてもよい。
(顔料)
本発明のインクジェット記録方法に用いられるインクは、色材として、アニオン性基が他の原子団を介して粒子表面に結合している自己分散顔料を含有する。顔料の種類としては、例えば、有機顔料や、カーボンブラックなどの無機顔料が挙げられ、インクジェット用のインクに使用可能なものであれば、いずれも用いることができる。また、調色などのために染料などを併用してもよい。インク中の自己分散顔料の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.00質量%以上9.00質量%以下であることが好ましい。
自己分散顔料のアニオン性基としては、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、及びホスホン酸基などを挙げることができる。また、他の原子団は、顔料の粒子表面とアニオン性基とのスペーサの機能を持つものであり、分子量が1,000以下であることが好ましい。他の原子団としては、炭素数1乃至6程度のアルキレン基;フェニレン基、ナフチレン基などのアリーレン基;エステル基;イミノ基;アミド基;スルホニル基;エーテル基などを挙げることができる。また、これらの基を組み合わせた基であってもよい。特に、光学濃度がより高く、文字品位がより優れた画像を得られる観点から、カルボン酸基及び他の原子団を少なくとも含む官能基が粒子表面に結合している自己分散顔料であることが好ましい。カルボン酸基と他の原子団とを含む官能基としては、例えば安息香酸基やフタル酸基などを挙げることができる。
アニオン性基は酸型(H型)及び塩型のいずれであっても良いが、塩型のほうが好ましい。塩型の場合のカウンターイオンとしては、アルカリ金属、アンモニウム、及び有機アンモニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。カウンターイオンとして、ナトリウムイオン、カリウムイオン、及びアンモニウムイオンからなる群から選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
自己分散顔料としては、酸化処理によって粒子表面にアニオン性基を結合させた自己分散顔料も存在する。しかし、アニオン性基が粒子表面に直接結合している自己分散顔料は、光学濃度が低くなりやすい。そのため、本発明のインクジェット記録方法で用いられるインクの色材としては、アニオン性基が他の原子団を介して粒子表面に結合している自己分散顔料が使用される。
(水性媒体)
インクは、水性媒体として、水及び水溶性有機溶剤を含有する。水としては、脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、40.00質量%以上92.00質量%以下であることが好ましい。さらには、60.00質量%以上92.00質量%以下であることが好ましく、70.00質量%以上92.00質量%以下であることが好ましい。
水溶性有機溶剤としては、比誘電率が27.0以下の水溶性有機溶剤Aを用いることを要する。インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.00質量%以上50.00質量%以下であることが好ましく、5.00質量%以上30.00質量%以下であることがより好ましい。この水溶性有機溶剤の含有量は、後述する比誘電率が27.0以下の水溶性有機溶剤Aを含む値である。
水溶性有機溶剤の比誘電率は、誘電率計(例えば、商品名「BI−870」(BROOKHAVEN INSTRUMENTS CORPORATION製)など)を用いて、周波数10kHzの条件で測定することができる。本明細書において、水溶性有機溶剤の比誘電率は、25℃で測定した値である。後述する実施例では、前記誘電率計を用いて、水溶性有機溶剤の25℃における比誘電率を測定した。25℃で固体の水溶性有機溶剤の比誘電率は、50質量%水溶液の比誘電率を測定し、下記式(1)から算出した値とする。通常「水溶性有機溶剤」とは液体を指すものであるが、本発明においては、25℃(常温)で固体であるものも水溶性有機溶剤に含めることとする。
εsol=2ε50%−εwater ・・・(1)
εsol:25℃で固体の水溶性有機溶剤の比誘電率
ε50%:25℃で固体の水溶性有機溶剤の50質量%水溶液の比誘電率
εwater:水の比誘電率
ここで、25℃で固体の水溶性有機溶剤の比誘電率を、50質量%水溶液の比誘電率から求める理由は次の通りである。25℃で固体の水溶性有機溶剤のうち、水性インクの構成成分となり得るもののなかには、50質量%を超えるような高濃度の水溶液を調製することが困難なものがある。一方、10質量%以下であるような低濃度の水溶液では、水の比誘電率が支配的となり、当該水溶性有機溶剤の確からしい(実効的な)比誘電率の値を得ることができない。そこで、本発明者らが検討を行った結果、25℃で固体の水溶性有機溶剤のうち、インクに用いることが可能な殆どのもので測定対象の水溶液を調製することができ、かつ、求められる比誘電率も本発明の効果と整合することが判明した。このような理由から、50質量%水溶液を利用することとした。25℃で固体の水溶性有機溶剤であって、水への溶解度が低いために50質量%水溶液を調製できないものについては、飽和濃度の水溶液を利用し、上記εsolを求める場合に準じて算出した比誘電率の値を便宜的に用いることとする。
水性インクに汎用であり、25℃で固体である水溶性有機溶剤としては、例えば、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、エチレン尿素、尿素、及び数平均分子量1,000のポリエチレングリコールなどを挙げることができる。
水溶性有機溶剤の具体例としては、メチルアルコール(33.1)、エチルアルコール(23.8)、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール(18.3)、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、及びtert−ブチルアルコールなどの炭素数1乃至4の1価アルコール類;1,2−プロパンジオール(28.8)、1,3−ブタンジオール(30.0)、1,4−ブタンジオール(31.1)、1,5−ペンタンジオール(27.0)、1,2−ヘキサンジオール(14.8)、1,6−ヘキサンジオール(7.1)、2−メチル−1,3−プロパンジオール(28.3)、3−メチル−1,3−ブタンジオール(24.0)、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール(18.5)、及び3−メチル−1,5−ペンタンジオール(23.9)などの2価アルコール類;1,2,6−ヘキサントリオール(28.5)、グリセリン(42.3)、トリメチロールプロパン(33.7)、及びトリメチロールエタンなどの多価アルコール類;エチレングリコール(40.4)、ジエチレングリコール(31.7)、トリエチレングリコール(22.7)、テトラエチレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、及びチオジグリコールなどのアルキレングリコール類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(9.8)、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル(9.4)、及びトリプロピレングリコールモノメチルエーテル(8.5)などのグリコールエーテル類;数平均分子量200のポリエチレングリコール(18.9)、同600のポリエチレングリコール(11.4)、同1,000のポリエチレングリコール(4.6)、及びポリプロピレングリコールなどの数平均分子量200乃至1,000のポリアルキレングリコール類;2−ピロリドン(28.0)、N−メチル−2−ピロリドン(32.0)、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリドン(37.6)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルモルホリン、1−(ヒドロキシメチル)−5,5−ジメチルヒダントイン(23.7)、トリエタノールアミン(31.9)、γ−ブチロラクトン(41.9)、尿素(110.3)、及びエチレン尿素(49.7)などの含窒素化合物類;並びにジメチルスルホキシド(48.9)、及びビス(2−ヒドロキシエチルスルホン)などの含硫黄化合物類などを挙げることができる。上記の水溶性有機溶剤の具体例における括弧内の数値は比誘電率を示す。インクに含有させる水溶性有機溶剤としては、比誘電率が3.0以上であるもの、25℃における蒸気圧が水よりも低いものを用いることが好ましい。
(比誘電率が27.0以下である水溶性有機溶剤A)
インクには、比誘電率が27.0以下の水溶性有機溶剤Aを含有させる。本発明では、インク中の比誘電率が27.0以下の水溶性有機溶剤Aの含有量(質量%)が、インク中の顔料の含有量(質量%)に対する質量比率で、0.2倍以上3.0倍以下であることが必要である。上記比率が0.2倍未満であると、顔料が吐出口から離れたインク流路の方向へと拡散していかず、間欠吐出安定性が低下する。また、上記比率が3.0倍を超えると、顔料の拡散は促進されるため間欠吐出安定性は良好であるが、顔料の凝集性が高くなり過ぎてしまうため、文字品位が低下する。
水溶性有機溶剤Aの具体例としては、上記の水溶性有機溶剤のうち、比誘電率が27.0以下のものを挙げることができる。比誘電率が27.0以下の水溶性有機溶剤の好適な具体例としては、括弧内に比誘電率を示すと、3−メチル−1,5−ペンタンジオール(23.9)、1,5−ペンタンジオール(27.0)、トリエチレングリコール(22.7)、1,2−ヘキサンジオール(14.8)、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(9.8)、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル(9.4)、1,6−ヘキサンジオール(7.1)、及び数平均分子量が200、600、又は1,000のポリエチレングリコール(それぞれ18.9、11.4、4.6)などを挙げることができる。これらの比誘電率が27.0以下である水溶性有機溶剤Aは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。本発明において、水溶性有機溶剤Aの含有量には、後述するような添加剤は含まないものとする。添加剤は、一般的にインク中の含有量もかなり少なく、本発明の効果への影響も小さいためである。
本発明者らが検討を行った結果、比誘電率が27.0以下である水溶性有機溶剤Aの中でもグリコールエーテル類を用いることが文字品位の観点で好ましいことがわかった。グリコールエーテル類の中でも、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、ペンタエチレングリコールモノブチルエーテルを用いることがより好ましく、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテルを用いることがさらに好ましい。グリコールエーテル類は、予め加湿された記録媒体で他の水溶性有機溶剤Aと比較して、普通紙の表面近傍により残り易いために、優れた文字品位が得られると考えられる。また、比誘電率が27.0以下である水溶性有機溶剤Aの中でも、信頼性の観点からは、アルコール類、数平均分子量200乃至1,000程度のポリエチレングリコールを用いることが好ましい。
本発明のインクジェット記録方法においては、さらに、種々の画像特性やインクの信頼性などを考慮して、水の含有量や、水溶性有機溶剤の種類とその含有量を決定することができる。比誘電率が27.0以下である水溶性有機溶剤Aに加えて、比誘電率が27.0超である水溶性有機溶剤もインクに含有させることができる。
(その他の成分)
インクには、上記成分の他に、樹脂、界面活性剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、顔料凝集剤、及び蒸発促進剤などの種々の添加剤を含有させてよい。但し、樹脂を使用する場合、光学濃度の向上の観点から、その含有量は少量とすることが好ましい。具体的には、インク中の樹脂の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.50質量%以下であることが好ましく、0.10質量%以下であることがさらに好ましい。
(インクの物性)
インクの25℃における粘度は、1.0mPa・s以上5.0mPa・s以下であることが好ましく、1.0mPa・s以上3.0mPa・s以下であることがさらに好ましい。また、インクの25℃における静的表面張力は、28mN/m以上45mN/m以下であることが好ましい。さらに、インクの25℃におけるpHは、5以上9以下であることが好ましい。
[反応液]
本発明のインクジェット記録方法として、インク中の自己分散顔料を凝集させる反応液を用いることもできる。反応液を用いることで、光学濃度が高い画像を記録する効果がさらに高まる。反応液は、水性媒体として少なくとも水を含有する、水性の反応液であることが好ましい。
反応液を用いる場合のインクジェット記録方法は、さらに、インク中の自己分散顔料を凝集させる反応液を記録媒体に付与する工程を有する。この場合、反応液、及び反応液を記録媒体に付与する機構を備えるインクジェット記録装置を用いることができる。反応液を記録媒体に付与する方式としては、インクと同様に、インクジェット方式のラインヘッドから吐出する吐出方式や、ローラーを用いたローラーコーティング方式及びバーコーターを用いたバーコーティング方式などの塗布方式などを挙げることができる。これらのうち、上記吐出方式が好ましい。インクジェット記録方法において、反応液を用いる場合、インクと反応液の記録媒体への付与順序は、特に限定されないが、記録媒体に反応液を付与した後、インクを付与する順序を含むことが好ましい。
反応液には、インク中の自己分散顔料を凝集させる成分として、従来公知の有機酸、多価金属イオン、及びカチオン性化合物などを含有させることができる。反応液はこれらの成分を2種類以上含有してもよい。
有機酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、及び酪酸などのモノカルボン酸又はその塩;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、及びグルタル酸などのジカルボン酸又はその塩若しくはその水素塩;クエン酸などのトリカルボン酸又はその塩若しくはその水素塩;リンゴ酸及び酒石酸などのヒドロキシカルボン酸又はその塩などを挙げることができる。なかでも、炭素原子数3以下のアルキル鎖を有するカルボン酸が、水溶性が高いために好ましい。塩を形成するカチオンとしては、リチウム、ナトリウム、及びカリウムなどのアルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、並びに有機アンモニウムイオンなどを挙げることができる。
多価金属イオンは、二価以上の金属イオンであれば好適に用いることができる。二価の金属イオンとしては、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、及びラジウムなどのアルカリ土類金属のイオンを挙げることができる。また、三価以上の金属イオンとしては、アルミニウム、イットリウム、ジルコニウム、鉄、及びその他の遷移金属のイオンを挙げることができる。多価金属イオンは、アルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物;塩酸、硝酸、及び硫酸などの鉱酸の塩;スルホン酸基を有する有機酸の塩などの形態で用いられてもよく、解離して生じるイオンとして用いられてもよい。
カチオン性化合物は、塩の形態で反応液中に含有させることができる。反応液中のカチオン性化合物は、記録媒体上で接触した水性インク中の自己分散顔料のアニオン性基とイオン反応を生じることで、自己分散顔料を凝集させる作用を有する。カチオン性化合物としては、下記一般式(1)で表される第4級アルキルアンモニウム塩が好ましい。
Figure 2017136849
一般式(1)中、R1〜R3は、それぞれ独立に、炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表し、R4は、炭素原子数8以上16以下のアルキル基を表す。R1〜R4のアルキル基は、置換基を有してもよく、直鎖でも分岐鎖でもよい。X-は、無機酸イオン、有機酸イオン、又は水酸化物イオンを表す。一般式(1)で表される第4級アルキルアンモニウム塩は、調製したものであっても、市販品であってもよい。第4級アルキルアンモニウム塩の市販品としては、例えば、商品名「カチオーゲンES−OW」及び「カチオーゲンES−L」(いずれも第一工業製薬製)などを挙げることができる。
反応液及びインクの反応物が記録ヘッドの吐出口近傍に固着すると、正常な吐出が妨げられる。したがって、反応物の固着抑制の観点から、インク中の自己分散顔料を凝集させる成分としてカチオン性化合物を含有する反応液を用いることが好ましい。
(水性媒体)
反応液は、水性媒体として少なくとも水を含有する、水性の反応液であることが好ましい。反応液には、水、又は水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を用いることができる。水としては、脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。反応液中の水の含有量(質量%)は、反応液全質量を基準として、40.00質量%以上95.00質量%以下であることが好ましい。
反応液中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、反応液全質量を基準として、1.00質量%以上50.00質量%以下であることが好ましい。反応液に含有させる水溶性有機溶剤としては、前述のインクに含有させる水溶性有機溶剤と同様のものを用いることができる。
(その他の成分)
反応液には、上記成分の他に、上記のインクの説明で挙げた、水、水溶性有機溶剤、樹脂、界面活性剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、及び還元防止剤などを含有してもよい。
[加湿工程]
本発明のインクジェット記録方法においては、画像を記録する際に、好ましくは画像を記録する以前に、ラインヘッドの吐出口と記録媒体との間を加湿する工程(以下、「加湿工程」とも記す。)を行う。加湿工程では、記録媒体が吸水する程度に加湿を行うことが好ましく、その方法としては、例えば、ラインヘッドの吐出口と記録媒体との間に加湿空気を供給する方法などを挙げることができる。なかでも、加湿工程を、ラインヘッドの吐出口と記録媒体との間に加湿空気を供給することで行い、ラインヘッドの吐出口と記録媒体との間を、温度35℃以下かつ絶対湿度0.013kg/kgDA以上の雰囲気とする条件で行うことが好ましい。ここで、前記絶対湿度は、質量絶対湿度のことであり、その単位kg/kgDAにより表されるように、乾き空気(Dry Air)の質量(kg)に対して、湿り空気中に含まれる水蒸気の質量(kg)を示す。温度の下限は15℃以上であることが好ましい。これらの前提条件として、相対湿度が100%未満であることが好ましい。
加湿工程は、画像を記録する以前に記録媒体が吸水した状態となればよいため、上記方法に限定されるものではない。また、インクジェット記録方法は、さらに上記加湿工程に加えて、画像を記録する以前に記録媒体が吸水した状態となるように、画像を記録する前に、記録媒体を加湿するプレ加湿工程を有してもよい。
本発明のインクジェット記録方法では、記録を行わないときは、ラインヘッドの吐出口をキャッピングすることができる。このキャッピングにより、ラインヘッドの各吐出口近傍におけるインク中の液体成分の蒸発を防止することができる。また、本発明のインクジェット記録方法では、吐出回復処理として、記録開始前など、このキャッピング状態で加圧回復又は吸引回復を行うことができる。加圧回復は、ポンプなどの手段により加圧することで、ラインヘッドのインク流路内のインクを吐出口から排出するものである。また、吸引回復は、ポンプなどの手段によりキャップ内を減圧することで、ラインヘッドのインク流路内のインクを排出するものである。加圧及び吸引の両方による回復処理を行なってもよい。さらにその後、各ラインヘッドの吐出口が形成された面に残ったインクなどの付着物をワイピング部材で拭き取るワイピングを行うことも可能である。
本発明のインクジェット記録方法で用いるインクは、いわゆる「硬化型インク」である必要はない。したがって、本発明のインクジェット記録方法では、インクを硬化するための工程を実施する必要もない。
<インクジェット記録装置>
本発明のインクジェット記録装置は、水性インクを吐出して記録媒体に付与するインクジェット方式のラインヘッドを備える。このインクジェット記録装置は、さらに、ラインヘッドの吐出口と記録媒体との間を加湿する加湿部を備える。ラインヘッドから吐出されるインクは、アニオン性基が他の原子団を介して粒子表面に結合している自己分散顔料、及び25℃における比誘電率が27.0以下の水溶性有機溶剤Aを含有する。そして、インク中の比誘電率が27.0以下の水溶性有機溶剤Aの含有量(質量%)が、自己分散顔料の含有量(質量%)に対する質量比率で、0.2倍以上3.0倍以下であることを特徴とする。このインクジェット記録装置に用いられるインクは、前述のインクジェット記録方法に用いられる水性インクと同様である。本発明のインクジェット記録装置は、前述のインクジェット記録方法に用いることができる。
本発明のインクジェット記録装置は、前述のインク及びそれを収容するためのインク収容部、並びにラインヘッドから前述のインクを吐出して記録媒体に画像を記録するための画像記録部などを備えることもできる。また、本発明のインクジェット記録装置は、反応液及びそれを収容するための反応液収容部、並びに反応液を記録媒体に付与する機構を備えていてもよい。
以下、図面を参照しつつ、本発明のインクジェット記録装置の詳細について説明する。以下に挙げる図面は、本発明のインクジェット記録装置の一例を表す図であり、本発明のインクジェット記録装置は、以下の記載によって限定されるものではない。
図1は本発明を適用可能なラインヘッドを備えたインクジェット記録装置の概略構成を示す模式的側面図である。この記録装置は、記録媒体の搬送方向(同図中、矢印A方向)に沿って所定位置に配置された複数のラインヘッド(ヘッド群)101gよりインクを吐出して記録を行うインクジェット方式を採用するものである。
ヘッド群101gの各ラインヘッド(記録ヘッド101Bk、101C、101M、及び101Yのそれぞれ)は、図中矢印A方向に搬送される記録媒体103の幅方向に1200dpiの密度で約14000個の吐出口が配列されている。
記録媒体103は搬送モータにより駆動される一対のレジストローラー114の回転によってA方向に搬送され、一対のガイド板115により案内されて、その先端のレジ合わせが行われた後、搬送ベルト111によって搬送される。エンドレスベルトである搬送ベルト111は2個のローラー112、113によって保持されており、その上側部分の上下方向の変位は、プラテン104によって規制されている。ローラー113が回転駆動されることにより、記録媒体103が搬送される。搬送ベルト111に対する記録媒体103の吸着は、静電吸着により行われる。ローラー113は不図示のモータなどの駆動源により記録媒体103を矢印A方向に回転駆動する。搬送ベルト111によって搬送される間にヘッド群101gによって記録が行われた記録媒体103は、ストッカ116へ排出される。
ヘッド群101gの各記録ヘッドは、ブラックインク用のヘッド101Bk、カラーインク用の各ヘッド(101C、101M、101Y)が記録媒体103の搬送方向Aに沿って図示の通りに配置されている。カラーインク用の各ヘッドは、シアンインク用のヘッド101C、マゼンタインク用のヘッド101M、イエローインク用のヘッド101Yで構成される。そして、各記録ヘッドにより各色のインクを吐出することによってブラックのテキストや、フルカラーの写真画質などの画像の記録が可能となる。
図2は図1に示すインクジェット記録装置に搭載可能な記録ヘッド群101gのうち、一色あたりのヘッドカートリッジHの構成例を示している。図2に示すように、ヘッドカートリッジHは、インクを吐出するための記録素子基板120と、記録素子基板120に電力を供給及び制御信号を伝達するためのフレキシブルケーブル130を備える。図2中の矢印はインクの吐出方向を示している。
図3は、図2に示すヘッドカートリッジHにおける一記録素子基板120の吐出口付近の構造を示している。図3に示すように、記録素子基板120は、基板123と、吐出口122や吐出口122へのインク流路を形成する流路壁126が設けられた流路形成部材とを備える。この流路形成部材は、吐出口プレート125及び樹脂被覆層127で構成されている。基板123には、インクを加熱するためのヒータ121及びサブヒータ(不図示)と、インク収容部(サブタンクT2)から供給されるインクを供給するためのインク供給口124と、ヘッドの温度を検出する温度センサ128が設けられている。
温度センサ128はダイオードであり、温度に応じて順方向電圧が変化する性質を利用している。インクの温度を直接検出することは困難であるため、一般には、記録ヘッド基板の温度を検出し、これを記録ヘッドの温度として用いている。記録ヘッドの温度を検出するための構成としては、ダイオードセンサ以外に、例えば金属薄膜センサなど、ダイオード以外の温度検出手段を用いてもよい。また、キャリッジ基板上にはサーミスタが取り付けられており、環境温度を読み取ることができる。
インクはインク供給口124から吐出口122までのインク流路中に充填される。インクを吐出する際には、ヒータ121でインクを加熱し、インクに膜沸騰を発生させて、生成した気泡の圧力によって吐出口122付近のインクを飛翔させる。
次に、上述のインクジェット記録方法における加湿工程に用いることが可能な加湿部の構成について説明する。図4は、ラインヘッド及び加湿部を備えたインクジェット記録装置の画像形成部1の一例の概略構成を示す模式図である。
図4に示すインクジェット記録装置は、画像記録部1において、上述の図1に示すヘッド群101gの各記録ヘッドのように、異なるインク色にそれぞれ対応した複数のラインヘッド(記録ヘッド)101を備える。また、このインクジェット記録装置は、画像記録部1において、ラインヘッド101の吐出口と記録媒体103との間を加湿する加湿部102を備えている。この加湿部102は、ラインヘッド101の吐出口と記録媒体103との間(いわゆる紙間)に加湿空気を供給する。この加湿空気はラインヘッド101の吐出口と記録媒体103との間だけでなく、筐体1bの中の略閉空間の全体に行き渡るように供給され、この空間の全体に渡って加湿空気により温度と湿度が所望の雰囲気となるように調整されていてもよい。また、ラインヘッド101の搬送方向における上流側には、記録媒体103がラインヘッド101を含む画像記録位置に進入する以前にその記録媒体103を加湿するプレ加湿部(不図示)を設けてもよい。
インクジェット記録装置が設置される周囲の環境によっては、上述の加湿工程により設定されるような温湿度の条件になる場合もある。しかし、外部環境の温湿度は常に変動しているため、定常的に所望の温湿度の条件を満たしているとは限らない。したがって、本発明で設定するような温湿度の条件にするために加湿工程を行うことは、本発明の効果を安定して得るうえで有効であることに変わりはない。
本発明のインクジェット記録装置は、さらに、インクや、任意に用いられる反応液をラインヘッドに供給する供給機構を備えていてもよい。図5は、インクをラインヘッドに供給する供給機構の一例を示す模式図である。図5に示すように、インクは、サブタンクT2に貯蔵されており、ポンプP1によって、サブタンクT2からインク供給路を経てラインヘッドH1000へと供給される。ラインヘッドH1000から溢れたインクはサブタンクT2へと戻される。バルブV1は、回復動作時にインク液室を加圧又は開放する切り替えのために設けられている。加圧回復時はバルブV1を閉じ、ポンプP1で加圧することによって流路及びノズル内の泡の一部が除去される。サブタンクT2内のインク液面は、ラインヘッドH1000の吐出口面H1001との水頭差を一定の範囲で保持するように構成されており、ラインヘッドH1000の吐出口面H1001の負圧を適正な範囲で維持する。サブタンクT2内のインクが不足した場合は、ポンプP2により、メインタンクT1からサブタンクT2へとインクが送られる。
ノズルH100内のインクを加圧して流動させるには、バルブV1を閉じ、バルブV2を開いた状態としてポンプP1で加圧する。これにより、ラインヘッドH1000のノズルH100から増粘したインクが排出される。一方、ノズルH100内のインクを吸引して流動させるには、バルブV1を閉じ、バルブV2を開いた状態で吐出口面H1001にキャップC10を密着させ、ポンプP3で吸引する。これにより、ラインヘッドH1000のノズルH100から増粘したインク(廃インク75)が排出される。
本発明のインクジェット記録装置は、各ラインヘッドやキャップを図5中の上下方向に移動させる機構(移動機構)を備えていてもよい。その移動機構で各ラインヘッドを図5中の上方に移動させ、キャップC10を対応するラインヘッドの下側にスライドさせた後、各ラインヘッドを下降させることにより、それぞれのラインヘッドの吐出口をキャッピングすることができる。また、インクジェット記録装置は、ラインヘッドの吐出口面に残ったインクなどの付着物をワイピング部材で拭き取る払拭機構を備えていてもよい。この払拭機構によるワイピングでラインヘッドの吐出口面の状態を回復することができる。
本発明のインクジェット記録方法により画像を記録する対象の記録媒体としては、どのようなものを用いてもよい。なかでも、普通紙や非コート紙などのコート層を有しない記録媒体、及び、光沢紙やアート紙などのコート層を有する記録媒体のような、浸透性を有する紙を用いることが好ましい。特に、普通紙や非コート紙などの、コート層を有しない記録媒体を用いることが好ましい。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。成分量に関して「部」及び「%」と記載しているものは特に断らない限り質量基準である。
<顔料分散液の調製>
(顔料分散液1)
5.5gの水に5gの濃塩酸を溶かした溶液に、5℃に冷却した状態で1.6gの4−アミノフタル酸(処理剤)を加えた。次に、この溶液の入った容器をアイスバスに入れて液を撹拌することにより溶液を常に10℃以下に保ち、これに5℃の水9gに2.2gの亜硝酸カリウムを溶かした溶液を加えた。この溶液をさらに15分間撹拌後、6gのカーボンブラック(比表面積220m2/g、DBP吸油量105mL/100gのもの)を撹拌下で加えた。その後、さらに15分間撹拌した。得られたスラリーをろ紙(商品名「標準用濾紙No.2」、アドバンテック製)でろ過し、粒子を十分に水冷し、110℃のオーブンで乾燥させた。その後、イオン交換法によりカリウムイオンをナトリウムイオンに置換して、顔料の含有量が30.0%となるようにして、分散液を得た。このようにして、顔料粒子の表面に、カウンターイオンがナトリウムイオンであるフタル酸基が結合している自己分散顔料が水中に分散された状態の顔料分散液1を得た。
(顔料分散液2)
C.I.ピグメントブルー15:4の粒子表面に、ベンゼン環を介してスルホン酸基が結合している自己分散顔料を含有する顔料分散液(キャボット製、商品名「CAB−O−JET250C」)を顔料分散液2として用いた。顔料分散液2中の顔料の含有量は15.0%であった。
(顔料分散液3)
C.I.ピグメントレッド122の粒子表面に、ベンゼン環を介してスルホン酸基が結合している自己分散顔料を含む顔料分散液(キャボット製、商品名「CAB−O−JET265M」)を顔料分散液3として用いた。顔料分散液3中の顔料の含有量は15.0%であった。
(顔料分散液4)
C.I.ピグメントイエロー74の粒子表面に、ベンゼン環を介してスルホン酸基が結合している自己分散顔料を含む顔料分散液(キャボット製、商品名「CAB−O−JET270Y」)を顔料分散液4として用いた。顔料分散液4中の顔料の含有量は15.0%であった。
(顔料分散液5)
スチレン/アクリル酸共重合体(組成(質量)比26:74)を中和当量1となる水酸化ナトリウムを用いてイオン交換水に溶解させ、樹脂の含有量が20.0%である樹脂分散剤の水溶液を調製した。この共重合体の重量平均分子量は10,000であり、酸価は200mgKOH/gである。カーボンブラック(比表面積220m2/g、DBP吸油量105mL/100gのもの)15.0部、樹脂分散剤の水溶液30.0部、水55.0部の混合物をサンドグラインダーに入れ、1時間分散処理を行った。その後、遠心分離処理を行って粗大粒子を除去し、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過を行い、水を加えて、顔料分散液5を得た。顔料分散液5中の顔料の含有量は15.0%、樹脂の含有量は6.0%であった。
(顔料分散液6)
カーボンブラック(比表面積220m2/g、DBP吸油量105mL/100gのもの)15.0g及びイオン交換水500.0gを混合し、15,000rpmで30分間撹拌した。ここにイオン交換水4,485gを加え、高圧ホモジナイザーで分散させて、分散液を得た。得られた分散液を高圧容器に移し、圧力3.0MPaで加圧した後、オゾン濃度が100ppmであるオゾン水を導入することによって顔料のオゾン酸化処理を行い、分散液を得た。水酸化カリウムを用いて分散液のpHを10.0に調整した後、水を加えて顔料の含有量が30.0%となるようにして、分散液を得た。このようにして、顔料粒子の表面に、カウンターイオンがカリウムイオンであるカルボン酸基が結合している自己分散顔料が水中に分散された状態の顔料分散液6を得た。
<インクの調製>
表1の上段に示す各成分(単位:%)を混合し、十分に撹拌した後、ポアサイズが2.5μmであるポリプロピレンフィルター(ポール製)にて加圧ろ過を行って、各インクを調製した。表1中のサーフィノール465は、エアープロダクツ製のアセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物であり、エチレンオキサイド基の付加モル数が10の界面活性剤である。また、表1中のポリエチレングリコールの数値は数平均分子量を表し、水溶性有機溶剤の括弧内の数値は、その比誘電率を表す。さらに、表1の下段には、インク中の、比誘電率が27.0以下の水溶性有機溶剤Aの含有量A(%)、及び顔料の含有量B(%)、並びにA/Bの値(倍)を示した。
Figure 2017136849
Figure 2017136849
Figure 2017136849
<反応液の調製>
表2に示す各成分(単位:%)を混合し、十分に撹拌した後、ポアサイズが4.5μmであるポリプロピレンフィルター(ポール製)にて加圧ろ過を行って、反応液を調製した。表2中のカチオーゲンES−OWは第一工業製薬製の第4級アルキルアンモニウム塩(オクチルジメチルエチルアンモニウムエチルサルフェート)である。
Figure 2017136849
<評価>
本実施例では、1/600インチ×1/600インチを1ピクセルと定義し、1ピクセルに20ngのインクを付与する条件で記録した画像を記録デューティが100%であると定義する。画像の記録には、上記で調製したインク、反応液、図1〜3を用いて説明した前述のラインヘッド、及び図4を用いて説明した前述の加湿部を備えたインクジェット記録装置を用いた。参考例1〜3の画像の記録には、前述のラインヘッドを、シリアルヘッド(インクジェット記録装置、商品名「PIXUS iP3100」と同様のもの)に置き換えた構成とする以外は同様のインクジェット記録装置を用いた。加湿工程を行う場合は、加湿空気の供給により、ラインヘッドの吐出口と記録媒体との間(紙間)の雰囲気が、温度35℃、絶対湿度0.015kg/kgDAの加湿空気の条件となるようにした。各例における評価条件として、使用した各インク及び反応液の番号、並びに加湿工程の有無を表3に示す。表3に示す通り、実施例14〜16では、インクの付与に先立って1ピクセルに16ngの反応液を付与して画像の記録を行い、また、比較例7及び8、並びに、参考例1及び2では、加湿工程を実行せずに試験を行った。本発明においては、以下に示す各項目の評価基準で、「AA」、「A」及び「B」を許容できるレベル、「C」を許容できないレベルとした。評価結果を表3に示す。
(光学濃度)
上記で得られたインクを用いて、以下の3種の記録媒体(普通紙)に、記録デューティが100%である2cm×2cmのサイズのベタ画像を記録した。記録の1日後にベタ画像の光学濃度を測定して、3種の記録媒体における光学濃度の平均値から、以下の基準にしたがって光学濃度を評価した。顔料種がカーボンブラックであるブラック画像は、反射濃度計(商品名「マクベスRD−918」、マクベス製)を用いた。また、顔料種が有機顔料であるカラー画像には、分光光度計(商品名「Spectrolino」、Gretag Macbeth製)を用いた。光学濃度の測定は、光源:D50、視野:2°の条件で行った。カラー画像の場合には、括弧内の評価基準で評価した。
・商品名「BUSINESS MULTIPURPOSE4200」(ゼロックス製)・商品名「IQ Premium」(mondi製)
・商品名「Bright White Inkjet Paper」(ヒューレッドパッカード製)
AA:光学濃度の平均値が、1.4以上(0.9以上)であった。
A:光学濃度の平均値が、1.3以上1.4未満(0.8以上0.9未満)であった。
B:光学濃度の平均値が、1.2以上1.3未満(0.7以上0.8未満)であった。
C:光学濃度の平均値が、1.2未満(0.7未満)であった。
(文字品位)
上記で得られたインクを用いて、記録媒体(普通紙、商品名「PB PAPER」、キヤノン製)に、36ポイントの文字と1ドット幅の罫線とを記録した。得られた文字のエッジ及び罫線を目視で確認して、以下の基準にしたがって文字品位を評価した。
A:文字のエッジがシャープであり、罫線も鮮明だった。
B:文字のエッジはシャープであったが、罫線は若干乱れていた。
C:文字に乱れがあり、罫線も不連続となっていた。
(間欠吐出安定性)
上記で得られたインクを充填した、図1〜4に示した、記録ヘッドを備えたインクジェット記録装置を用いた。このインクジェット記録装置を、温度30℃、相対湿度10%の環境下で、記録ヘッドの吐出口の近傍に存在するインクの温度が上昇しないようにしたまま、5時間以上吐出を行わないで放置した後、同じ環境下でインクを吐出させた。そして、吐出を5秒間休止した後、記録ヘッドの回復動作などを行わないまま、インクを吐出し、記録媒体(高品位専用紙、商品名「HR−101」、キヤノン製)に横罫線を記録した。得られた画像を目視で確認して、間欠吐出安定性の評価を行った。
A:罫線の乱れがなかった。
B:罫線がやや乱れていたが、連続した罫線となっていた。
C:罫線が大きく乱れており、罫線の一部分が不連続となっていた。
(固着抑制)
実施例14〜16について、表3に示すインクと反応液とを用い、それらを上記ラインヘッド内に充填した記録装置を用い、インクの付与に先立って1ピクセルに16ngの反応液を付与してノズルチェックパターンを記録した。その後、ラインヘッドを記録装置から取り外し、温度30℃、相対湿度10%の環境において、5日間放置した。放置後、ラインヘッドを記録装置に取り付け、再度、ノズルチェックパターンの記録を行い、ノズルチェックパターンを目視で確認した。この評価は、放置前のノズルチェックパターンを記録した際に生成した反応液及びインクの反応物が記録ヘッドの吐出口近傍に固着し、その状態で5日間が経過しても、反応物によって正常な吐出が妨げられるものでないことを確認するものである。
A:放置前後でのノズルチェックパターンに変化がなかった。
B:放置後のノズルチェックパターンにおいて若干の吐出の乱れがあったが、不吐出はなかった。
Figure 2017136849
同様のパターンを記録する場合の記録速度について実施例1、並びに参考例1〜3を比較すると、参考例1〜3のいずれに対しても、実施例1のほうが5倍程度速かった。

Claims (5)

  1. インクジェット方式のラインヘッドから水性インクを吐出して記録媒体に画像を記録する工程を有するインクジェット記録方法であって、
    さらに、前記ラインヘッドの吐出口と前記記録媒体との間を加湿する工程を有し、
    前記インクは、アニオン性基が他の原子団を介して粒子表面に結合している自己分散顔料、及び25℃における比誘電率が27.0以下の水溶性有機溶剤Aを含有し、
    前記インク中の前記比誘電率が27.0以下の水溶性有機溶剤Aの含有量(質量%)が、前記自己分散顔料の含有量(質量%)に対する質量比率で、0.2倍以上3.0倍以下であることを特徴とするインクジェット記録方法。
  2. 前記比誘電率が27.0以下の水溶性有機溶剤Aが、トリエチレングリコールモノブチルエーテル及びテトラエチレングリコールモノブチルエーテルの少なくとも一方を含む請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  3. さらに、前記インク中の前記自己分散顔料を凝集させる反応液を前記記録媒体に付与する工程を有する請求項1又は2に記載のインクジェット記録方法。
  4. 前記反応液が、第4級アルキルアンモニウム塩を含有する請求項3に記載のインクジェット記録方法。
  5. 水性インクを吐出して記録媒体に付与するインクジェット方式のラインヘッドを備えるインクジェット記録装置であって、
    さらに、前記ラインヘッドの吐出口と前記記録媒体との間を加湿する加湿部を備え、
    前記インクは、アニオン性基が他の原子団を介して粒子表面に結合している自己分散顔料、及び25℃における比誘電率が27.0以下の水溶性有機溶剤Aを含有し、
    前記インク中の前記比誘電率が27.0以下の水溶性有機溶剤Aの含有量(質量%)が、前記自己分散顔料の含有量(質量%)に対する質量比率で、0.2倍以上3.0倍以下であることを特徴とするインクジェット記録装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2019048410A (ja) * 2017-09-08 2019-03-28 株式会社リコー 液滴吐出装置および画像形成装置

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