JP2006070189A - インクジェット記録用水性インクセット - Google Patents

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数摩 後藤
Shigemi Koga
成美 古賀
Shunichi Higashiyama
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Abstract

【課題】 自己分散性黒色顔料を含有する顔料系黒インクと、染料系イエローインクとからなるインクジェット記録用インクセットを、簡素なメンテナンスシステムを有する一般的なインクジェットプリンタに適用した場合でも、低コストで、高く安定したプリント品質で、且つ高い信頼性でインクジェット記録を実現できるようにする。
【解決手段】 染料系イエローインクに用いる染料として、一分子当たりのカウンターイオンの数が3以下で色相角hが95°〜105°の水溶性イエロー染料と、(1)一分子当たりのカウンターイオンの数が3以下であり色相角hが75°〜85°の水溶性イエロー染料、(2)一分子当たりのカウンターイオンの数が3以下であり色相角hが30°〜70°の水溶性オレンジ染料、又は(3)一分子当たりのカウンターイオンの数が3以下であり色相角hが0°〜30°又は350°〜360°の水溶性レッド染料とを併用する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、自己分散型黒色顔料を含有する顔料系黒色インクと水溶性イエロー染料を含有する染料系イエローインクとからなるインクジェット記録用水性インクセットに関する。より詳しくは、圧電式のインクジェットプリンタヘッドのうち、特に、インク流路が形成されたシートを積層して作られた圧電式インクジェットプリンタヘッドを搭載したインクジェットプリンタに適した、インクジェット記録用水性インクセットに関する。
インクジェット記録方式に用いられる水性インクとしては、沈澱し難く、取り扱いが容易な水溶性染料を着色剤として用いる染料系インクが広く用いられているが、染料系インクの場合、記録紙内部に浸透する際に紙表面に沿って不均一に広がり易いために、画線部エッジがギザギザになる現象(にじみ)を生じ易く、シャープな画線部エッジが得られ難いという欠点がある。
このため、にじみを抑制し、かつシャープな画線部を得るために、インクジェット記録用水性インクとして、インク中に微粒子として分散する顔料を着色剤として用いる顔料系インクが用いられるようになっている。この理由は、インク溶媒中に溶解している水溶性染料と異なり、顔料がインク溶媒に溶解しておらず、インク溶媒と同じ挙動を示さないため、顔料インク中の顔料の粒子が、紙に含まれる繊維や添加剤などに移動(浸透)を阻害され、紙表面に残留する割合が多くなるためと考えられる。
このような特性を有する顔料系インクであるが、インクジェット記録後の記録紙表面及び内部において顔料粒子が光を乱反射するため、プリントの鮮明さが低下するという問題がある。一方、染料系インクの場合、前述したような問題があるが、インク中に分子レベルで染料が溶解しているため、染料分子が記録紙表面及び内部において光を乱反射させることがなく、染料分子固有の波長を吸収するため、プリントの色彩が鮮やかであるという利点を有する。
そこで、インクジェット記録用インクとして、着色材としてカーボンブラックなどの黒色顔料を用いた顔料系黒インクと、着色材として染料を用いた染料系カラーインクとを組み合わせたインクセットを使用することが提案されている(特許文献1)。このようなインクセットを使用した場合、顔料系黒インクで文字データをプリントし、染料系カラーインクでグラフィックデータなどをプリントすると、エッジがシャープでコントラストも高い視認性に優れた文字を形成できるだけでなく、鮮明な色彩のカラーイメージを形成できる。
ところで、顔料系インクに用いる顔料としては、水中への分散方法の違いにより大きく分けて、インクの用途に応じて選定された界面活性剤や樹脂を分散剤として用いた分散剤分散型顔料、もしくは、カーボンブラックなどの顔料粒子に表面酸化処理、表面化学結合処理などを施すことにより、水中で自己分散が可能となった自己分散型顔料が用いられている。一般に、後者の方が、前者に比べて、インクジェット記録用水性インクに必要な湿潤剤、浸透剤、その他界面活性剤等の成分と共存下でも分散状態が破壊され難く、インク組成の自由度が高いという利点があるため、広く用いられている。その反面、自己分散型顔料の場合、静電反発作用のみによって分散安定性を保っているため、塩類が共存すると分散が不安定になりやすい。
そのため、前述の顔料系インクと染料系インクからなるインクジェット記録結用インクセットを搭載するインクジェットプリンタの場合、顔料としてインク中で負に帯電する自己分散型顔料を使用し、染料として一般的なアニオン染料を使用すると、顔料系インクと染料系インクとが接触又は混合することによって、顔料の負電荷が、アニオン性染料のカウンターイオンの正電荷で相殺され、顔料の電気的反発力が失われて分散が不安定となって凝集が生じてしまう場合がある。更に、前述の静電反発力の低下による分散の不安定化に加え、顔料インクにカラーインクが接触することによるソルベントショックが発生して分散が不安定化され、凝集する場合もある。
更に、このようなインクジェット記録用水性インクセットを用いて記録紙に画像形成した場合、異なった色同士が隣接する部分(以下、境界部という)において、インク同士が混色することによる印字品質が悪化する現象(以下、ブリーディングという)が生ずるという問題も生ずる。特に、顔料系黒インクと染料系イエローインクとの間のブリーディングは、両者の濃淡の差が非常に大きいために、非常に大きな問題となる。
このようなインクジェット記録用水性インクセットにおけるブリーディングの問題を解決する試みとして、黒インクに第一の電荷(アニオン性又はカチオン性)を付与し、組み合わせて使用するカラーインクに第一の電荷とは逆の第二の電荷(カチオン性又はアニオン性)を付与し、紙面上において黒インクとカラーインクとが接触した際に黒色顔料を意図的に凝集させ、カラーインクとの界面において顔料の移動を瞬間的に止めることによって良好なブリーディング品質を得る手法が提案されている(特許文献2)。従って、この手法を顔料系黒インクと染料系イエローインクとに適用すると、ブリーディングを抑制できると期待できる。
しかしながら、記録紙上でのブリーディングが抑制できたとしても、インクジェットプリンタにおいて顔料系黒インクと染料系イエローインクとが接触又は混合すると、やはり顔料の凝集体が生じる。従って、このような顔料系黒インクと染料系イエローインクとからなるインクジェット記録用インクセットを、従来の一般的なインクジェットプリンタに適用した場合、様々な不具合が生ずることが予想される。
例えば、従来の一般的なインクジェットプリンタ(特許文献3)は、そのプリントヘッドの各色ノズルを一括してワイプする簡素なメンテナンス構成を有しており、このプリントヘッドは2色のノズル列が極度に近接して配設されているため、プリントヘッド内部のインクを吸引パージするための吸引キャップを1色ずつに分割することができず、プリントヘッドノズル面の2色、例えば、顔料系黒インクと染料系イエローインクのノズル列を一括して覆う構造となっている。そして、この吸引キャップを介して同時に吸引された2色のインクは、吸引キャップ内で混合され、チューブを経由して吸引ポンプに達し、この吸引ポンプから排出されて廃液溜へと送られる構成となっている。従って、この様な簡素なメンテナンスシステムを採用すれば、プリンタのコストを低く抑えることが出来るが、ワイプした際のプリントヘッドノズル面、ワイパ及び吸引キャップにおいて顔料系黒インクと染料系イエローインクが混合され、その混合インクがプリントヘッドノズル面、ワイパ及び吸引キャップに付着・固着することになる。さらに、吸引キャップ、各部材を中継するチューブ、ポンプ、廃液溜などの内部でも顔料系黒インクと染料系イエローインクが混合され、その混合インクが付着・固着することになる。その混合インク中では、顔料が凝集しており、この凝集した顔料がプリントヘッドノズルを詰まらせ、その周辺に付着・固着して撥インクコート面を傷つけ、吐出不良を引き起こしてプリント品質を悪化させる。更に、ワイパに付着・固着してワイプの不均一を招き、吸引キャップに付着・固着して密閉性を低下させ、吸引ポンプ内で固着して動作不良を起こし、結果的にメンテナンスの信頼性を低下させる。
このような不具合に対応するため、顔料系黒インクと染料系イエローインクがノズル周辺で混合しないようにワイパを複数配設したり、顔料系黒インクと染料系イエローインクのそれぞれのヘッドを分割したり、メンテナンスシステムを顔料系黒インクと染料系イエローインク用に分割するなど、プリンタの構成を工夫することで対策を施すことが考えられる。しかしながら、プリンタの構成に対策を施すことは、装置構成が複雑になりプリンタのコストが上昇するという問題ある。従って、従来の低コストなインクジェットプリンタに、顔料系黒インクと染料系イエローインクとからなるインクジェット記録用インクセットを搭載することは実際上不可能であった。
また、顔料系黒インクと併用することを前提として、染料系イエローインクについて、単純な色味のイエローではなく、緑がかったイエロー、オレンジがかったイエロー、赤みがかったイエロー等の様々な深みのある色味のイエローインクが求められているが、単一のイエロー染料を使用することでは、その目的は達せられないというのが現状である。
このような要請に関連して、良好な色再現性を示すイエローインクのイエロー染料として、カラーインデックス(以下、「C.I.」と略する。)ダイレクトイエロー86とダイレクトイエロー132とを併用することが提案されている(特許文献4)。しかし、C.I.ダイレクトイエロー86とダイレクトイエロー132とを併用することにより、単純な色味のイエローインクではない発色の良好な色味のイエローインクが得られるとしても、顔料系黒インクの凝集を抑制することができないという問題がある。
米国特許第5,745,140号明細書 特開2002−173623号公報 特開2002−234151号公報 特許第3089665号公報
本発明は、前述した問題点を解決するためになされたものであり、自己分散性黒色顔料を含有する顔料系黒インクと、染料系イエローインクとからなるインクジェット記録用インクセットを、簡素なメンテナンスシステムを有する一般的なインクジェットプリンタに適用した場合に、プリンタに黒色顔料の凝集による不具合を生じさせず、また、記録物ににじみやブリーディングを生じさせず、染料系イエローインクを良好に且つ深みのある色味に発色させ、しかも、低コストで、高く安定したプリント品質で、且つ高い信頼性でインクジェット記録を実現できるようにすることを目的とする。
本発明者らは、自己分散性黒色顔料を含有する顔料系黒インクと組み合わせて使用する染料系イエローインクに用いるべき少なくとも2種類の水溶性染料を選択する際に、まず、自己分散性黒色顔料の凝集がインク中のイオンの量に影響を受けることに鑑み、イエローインク中の水溶性染料のカウンターイオン数に着目し、一分子当たりのカウンターイオンの数が所定の数を超えると自己分散性黒色顔料を凝集させる作用が強くなることを見出した。また、水溶性染料の色相角hに着目し、95〜105°色相角範囲の水溶性イエロー染料に対し異なる色相角の染料を併用することで、深みのある発色の良好なイエロー色を作ることができることを見出した。本発明者らは、これらの知見に基づき、上述の目的を達成した本発明を完成させた。
即ち、本発明は、第1の態様として、水、自己分散型黒色顔料及び少なくとも1種の水溶性溶剤を含む顔料系黒インクと、水、一分子当たりのカウンターイオンの数が3以下であり色相角hが75°〜85°の第1の水溶性イエロー染料及び一分子当たりのカウンターイオンの数が3以下であり色相角hが95°〜105°の第2の水溶性イエロー染料を含む染料系イエローインクとからなるインクジェット記録用水性インクセットを提供する。この場合、染料系イエローインクとしての発色を良好なものとするために、第1の水溶性イエロー染料の第2の水溶性イエロー染料に対する重量割合が10.0〜100.0%であることが好ましい。
また、本発明は、第2の態様として、水、自己分散型黒色顔料及び少なくとも1種の水溶性溶剤を含む顔料系黒インクと、水、一分子当たりのカウンターイオンの数が3以下であり色相角hが95°〜105°の第2の水溶性イエロー染料及び一分子当たりのカウンターイオンの数が3以下であり色相角hが30°〜70°の水溶性オレンジ染料を含む染料系イエローインクとからなるインクジェット記録用水性インクセットを提供する。この場合、染料系イエローインクとしての発色を良好なものとするために、水溶性オレンジ染料の第2の水溶性イエロー染料に対する重量割合が0.8〜5.5%であることが好ましい。
更に、本発明は、第3の態様として、水、自己分散型黒色顔料及び少なくとも1種の水溶性溶剤を含む顔料系黒インクと、水、一分子当たりのカウンターイオンの数が3以下であり色相角hが95°〜105°の第2の水溶性イエロー染料、一分子当たりのカウンターイオンの数が3以下であり色相角hが0°〜30°又は350°〜360°の水溶性レッド染料を含む染料系イエローインクとからなるインクジェット記録用水性インクセットを提供する。この場合、染料系イエローインクとしての発色を良好なものとするために、水溶性レッド染料の第2の水溶性イエロー染料に対する重量割合が0.3〜3.5%であることが好ましい。
以上の本発明のインクジェット記録用水性インクセットにおいては、染料系イエローインクとしての発色を良好なものとするために、染料系イエローインク中の水溶性染料の含有量が、1.8〜5.5重量%であることが好ましい。
本発明のインクジェット記録用水性インクセットにおいては、染料系イエローインクの着色剤として、一分子当たりのカウンターイオンの数が3以下の水溶性イエロー染料を使用するので、自己分散型黒色顔料を含有する顔料系黒インクとイエローインクとが接触しても、顔料系黒インク中に分散している自己分散型黒色顔料の凝集が抑制される。従って、その凝集によるノズル目詰まりやメンテナンス用吸引ポンプの動作不良等の問題が解決可能となる。従って、本発明のインクジェット記録用インクセットは、安定したプリント品質、高いプリント品質及び高いプリント信頼性を同時に実現することができる。
また、染料系イエローインクに、色相角hが95°〜105°である第2の水溶性イエロー染料を必ず含有させる。この第2の水溶性イエロー染料はその色目が緑味であるため、この第2の水溶性イエロー染料を単独で使用しただけではイエローインクの発色を充分に満足させることができない。そこで、本発明においては、第2の水溶性イエロー染料に、色相角hが75°〜85°であり、色目が山吹色味の第1の水溶性イエロー染料、色相角hが30°〜70°である水溶性オレンジ染料、又は色相角hが0°〜30°又は350°〜360°である水溶性レッド染料を含有させる。これによりイエローインクの発色も充分に満足させることができる。しかも、これらの黒色顔料や水溶性染料は、入手コストが比較的低い。
よって、本発明のインクジェット記録用水性インクセットによれば、自己分散性黒色顔料を含有する顔料系黒インクと染料系イエローインクとからなるインクジェット記録用インクセットを、簡素なメンテナンスシステムを有する一般的なインクジェットプリンタに適用した場合に、プリンタに黒色顔料の凝集による不具合を生じさせず、また、記録物ににじみやブリーディングを生じさせず、染料系イエローインクを良好に且つ深みのある色味に発色させ、しかも、低コストで、高く安定したプリント品質で、且つ高い信頼性でインクジェット記録を実現できる。
本発明のインクジェット記録用水性インクセットは、顔料系黒インクと染料系イエローインクとからなる。
ここで、顔料系黒インクは、水、自己分散型黒色顔料及び少なくとも1種の水溶性溶剤を含む顔料系黒インクである。自己分散型黒色顔料は、インクジェット記録用水性インクに必要な湿潤剤、浸透剤、その他界面活性剤等の成分と共存下でも分散状態が破壊され難く、インク組成の自由度が高いという利点があるが、静電反発作用のみによって分散安定性を保っているため、染料系イエローインクに用いる水溶性染料の対イオンが共存すると分散が不安定になり易いという欠点を有する。そこで、本発明者らは、実験結果に基づき、染料系イエローインクに用いる水溶性染料として、カウンターイオンの数が3以下のものを使用する。これにより、実用上問題のない染料濃度の染料系イエローインクが、顔料系黒インクと接触した場合に凝集の発生を抑制することができる。
また、本発明においては、染料系イエローインクに用いるカウンターイオンの数が3以下の水溶性染料として、色相角hが95°〜105°の色目が緑味の第2の水溶性イエロー染料を必ず使用する。更に、本発明における染料系イエローインクにおいては、第2の水溶性イエロー染料自体の不十分な発色を補うことができる水溶性染料として、(1)一分子当たりのカウンターイオンの数が3以下であり色相角hが75°〜85°の第1の水溶性イエロー染料、(2)一分子当たりのカウンターイオンの数が3以下であり色相角hが30°〜70°の水溶性オレンジ染料、又は(3)一分子当たりのカウンターイオンの数が3以下であり色相角hが0°〜30°又は350°〜360°の水溶性レッド染料を、第2の染料系イエロー染料と併用する。これにより、染料系イエローインクに良好な発色を付与することができる。
従って、本発明は、
第1の態様として、水、自己分散型黒色顔料及び少なくとも1種の水溶性溶剤を含む顔料系黒インクと、水、一分子当たりのカウンターイオンの数が3以下であり色相角hが75°〜85°の第1の水溶性イエロー染料及び一分子当たりのカウンターイオンの数が3以下であり色相角hが95°〜105°の第2の水溶性イエロー染料を含む染料系イエローインクとからなるインクジェット記録用水性インクセット;
第2の態様として、水、自己分散型黒色顔料及び少なくとも1種の水溶性溶剤を含む顔料系黒インクと、水、一分子当たりのカウンターイオンの数が3以下であり色相角hが95°〜105°の第2の水溶性イエロー染料及び一分子当たりのカウンターイオンの数が3以下であり色相角hが30°〜70°の水溶性オレンジ染料を含む染料系イエローインクとからなるインクジェット記録用水性インクセット; そして
第3の態様として、水、自己分散型黒色顔料及び少なくとも1種の水溶性溶剤を含む顔料系黒インクと、水、一分子当たりのカウンターイオンの数が3以下であり色相角hが95°〜105°の第2の水溶性イエロー染料、一分子当たりのカウンターイオンの数が3以下であり色相角hが0°〜30°又は350°〜360°の水溶性レッド染料を含む染料系イエローインクとからなるインクジェット記録用水性インクセット
を提供する。
なお、本発明において色相角hの測定は、測定すべき染料を含有する染料インク(染料2.5重量%、グリセリン18.0重量%、ジプロピレングリコールプロピルエーテル(DPP)2.0重量%、超純水バランス量)を使用して印字し、得られた印字物を測色計で測定した。測色計は、スガ試験機(株)製のSC−Tを使用し、光源:D65、視野角:2°であり、L値が84≦L≦90のときの色相角hを測定した。また、印字の試験機として用いたプリンタは、ブラザー工業(株)製MFC−3100Cである。記録紙は、実量(g/cm2):65〜100、紙厚(μm):80〜110、白色度(%):80以上、不透明度(%):75以上のものを使用した。具体的には、例えば、GREATWHITE社製のMulti USE 20PAPER、M−real社製のData Copy、XEROX社製の4200 DP 20lbなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
まず、第1、第2及び第3の態様のインクジェット記録用水性インクセットにおいて共通する顔料系黒インクについて説明する。
この顔料系黒インクは、前述したように、水、自己分散型黒色顔料及び少なくとも1種の水溶性溶剤を含有する。自己分散型黒色顔料は、分散剤分散型黒色顔料に比べて、インクジェットインクに必要な湿潤剤、浸透剤、その他界面活性剤等の成分の添加においても分散安定性が高く、インクを設計する上で自由度が高い。このような自己分散型黒色顔料としては、自己分散することにより水相に分散可能な黒色顔料を使用できるが、特に、表面酸化処理、表面化学結合処理などによってアニオン性官能基が表面に導入されているものを好適に使用できる。このような自己分散型黒色顔料の具体例としては、カーボンブラックの他、多くの顔料を使用できる。具体的には、キャボット製のCAB−O−JET(登録商標)300、CAB−O−JET(登録商標)200、CAB−O−JET(登録商標)250、CAB−O−JET(登録商標)260、CAB−O−JET(登録商標)700、オリエント化学工業(株)製のBONJET(登録商標)BLACK CW−1、BONJET(登録商標)BLACK CW−2、BONJET(登録商標)BLACK CW−3等の商標で特定されるものを使用することができる。
自己分散型黒色顔料の顔料系黒色インク中の含有量は、少なすぎると満足いく印字品質が得られず、多すぎると顔料の分散安定性が低下するので、顔料固形分量として顔料系黒インク全量に対して好ましくは0.1重量%〜20重量%、より好ましくは0.5重量%〜12重量%、特に好ましくは2重量%〜8重量%である。
顔料系黒色インクに使用する水としては、水に含まれる不純物によるノズルなどの目詰まりを防ぐために、イオン交換水、蒸留水又は超純水などの純度の高いものを使用することが好ましい。顔料系黒色インク中の水の含有量は、インク全重量に対して、一般に10重量%〜98重量%、好ましくは30重量%〜97重量%、より好ましくは40重量%〜95重量%である。
また、顔料系黒色インクは、浸透剤として少なくとも1種の水溶性溶剤を含有する。このような水溶性溶剤としては、従来のインクジェット記録用顔料インクにおいて、浸透剤として用いられている低臭気性であり且つ蒸気圧の低い水溶性溶剤を使用できる。このような水溶性溶剤を使用することにより、記録紙に対する顔料系黒色インクの浸透速度を効果的に速めることができ、顔料系黒色インクの紙面上における速乾性を向上させ、記録紙上での遅乾性に起因するブリーディングを防止し、かつ浸透に伴うフェザリング(紙の繊維に沿ったヒゲ状のにじみ)を抑制できる。このような水溶性溶剤の顔料系黒色インク中の配合量は、少なすぎると顔料系黒色インクの記録紙への浸透速度が遅く、長い乾燥時間が必要となり、ブリーディングの問題も生じ、多すぎると顔料系黒色インクの記録紙への浸透が著しくなり、記録紙の裏まで顔料系黒色インクが達したり、ブリーディングが発生したりするので、好ましくは0.3重量%〜15重量%、より好ましくは0.5重量%〜10重量%である。
顔料系黒色インクに配合する水溶性溶剤の好ましい具体例としては、多価アルコールモノアルキルエーテル、例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル等を挙げることができる。
また、顔料系黒色インクは、記録紙への浸透、乾燥性を制御する目的で、エタノール、イソプロピルアルコールなどの1価アルコールを含有することができる。また、公知の各種分散剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、pH調整剤、防腐防カビ剤などを必要に応じて添加することができる。
次に、インクジェット記録用水性インクセットを構成する染料系イエローインクについて説明する。ここで、染料系イエローインクは、水、一分子当たりのカウンターイオンの数が3以下であって色相角hが95°〜105°の色目が緑味の第2の水溶性イエロー染料、及び第2の水溶性イエロー染料自体の不十分な発色を補うことができる水溶性染料を含有する。このように特定の2種類の染料を組み合わせて使用することにより、染料系イエローインクに良好な発色を付与することができる。
本発明の第1、第2及び第3の態様のインクジェット記録用水性インクセットを構成する染料系イエローインクに共通する、一分子当たりのカウンターイオンの数が3以下であり色相角hが95°〜105°の第2の水溶性イエロー染料の具体例として、C.I.アシッドイエロー23、C.I.ダイレクトイエロー132などが挙げられる。
本発明の第1、第2及び第3の態様のインクジェット記録用水性インクセットを構成する染料系イエローインク中の第2の水溶性イエロー染料の配合量は、少なすぎると充分な発色が得られず、多すぎると自己分散型黒色顔料と凝集を生じるので、好ましくは1.0〜6.0重量%、より好ましくは1.6〜5.0重量%である。
本発明の第1の態様のインクジェット記録用水性インクセットを構成する染料系イエローインクにおける、第2の水溶性イエロー染料自体の不十分な発色を補うことができる水溶性染料としては、一分子当たりのカウンターイオンの数が3以下であり色相角hが75°〜85°の色目が山吹色味の第1の水溶性イエロー染料を使用する。具体的には、C.I.アシッドイエロー99などが挙げられる。これにより、染料系イエローインクとしての発色を充分なものとすることができる。
本発明の第1の態様のインクジェット記録用水性インクセットにおいて、第1の水溶性イエロー染料の第2の水溶性イエロー染料に対する重量割合は、低すぎると充分な発色が得られず、高すぎると充分な発色が得られないだけでなく自己分散型黒色顔料と凝集を生じるので、好ましくは10.0〜100.0%、より好ましくは15.0〜95.0%である。
本発明の第2の態様のインクジェット記録用水性インクセットを構成する染料系イエローインクにおける、第2の水溶性イエロー染料自体の不十分な発色を補うことができる水溶性染料としては、一分子当たりのカウンターイオンの数が3以下であり色相角hが30°〜70°の水溶性オレンジ染料を使用する。具体的には、C.I.アシッドオレンジ51、C.I.アシッドオレンジ56、C.I.アシッドオレンジ74などが挙げられる。これにより、染料系イエローインクとしての発色を充分なものとすることができる。
本発明の第2の態様のインクジェット記録用水性インクセットにおいて、水溶性オレンジ染料の第2の水溶性イエロー染料に対する重量割合は、低すぎると充分な発色が得られず、高すぎるとオレンジ色が強くなりすぎ、ノーマルイエロー色からかけ離れてしまうので、好ましくは0.8〜5.5%、より好ましくは0.9〜5.0%である。
本発明の第3の態様のインクジェット記録用水性インクセットを構成する染料系イエローインクにおける、第2の水溶性イエロー染料自体の不十分な発色を補うことができる水溶性染料としては、一分子当たりのカウンターイオンの数が3以下であり色相角hが0°〜30°又は350°〜360°の水溶性レッド染料を使用する。具体的には、C.I.アシッドレッド249、C.I.アシッドレッド87、C.I.アシッドレッド94などが挙げられる。これにより、染料系イエローインクとしての発色を充分なものとすることができる。
本発明の第3の態様のインクジェット記録用水性インクセットにおいて、水溶性レッド染料の第2の水溶性イエロー染料に対する重量割合は、低すぎると充分な発色が得られず、高すぎるとレッド色が強くなりすぎ、ノーマルイエロー色からかけ離れてしまうので、好ましくは0.3〜3.5%、より好ましくは0.4〜3.0%である。
本発明のインクジェット記録用水性インクセットにおいては、染料系イエローインク中の水溶性染料(即ち、第2の水溶性イエロー染料と、第1の水溶性イエロー染料、水溶性オレンジ染料又は水溶性レッド染料との混合染料)の含有量が、少なすぎると充分な発色や充分なOD値(Optical Density値)が得られず、多すぎると顔料系黒色インク中の自己分散型黒色顔料を凝集させ、分散不安定性をもたらす可能性があるため、好ましくは1.8〜5.5重量%、より好ましくは2.0〜4.0重量%である。
染料系イエローインクに使用する水としては、水に含まれる不純物によるノズルなどの目詰まりを防ぐために、イオン交換水、蒸留水又は超純水などの純度の高いものを使用することが好ましい。染料系イエローインク中の水の含有量は、インク全重量に対して、一般に10重量%〜98重量%、好ましくは30重量%〜97重量%、より好ましくは40重量%〜95重量%である。
また、本発明の第1、第2及び第3の態様のインクジェット記録用水性インクセットにおいて、染料系イエローインクは、浸透剤として少なくとも1種の水溶性溶剤を含有することが好ましい。このような水溶性溶剤としては、従来のインクジェット記録用顔料インクにおいて、浸透剤として用いられている低臭気性であり且つ蒸気圧の低い水溶性溶剤を使用できる。このような水溶性溶剤を使用することにより、記録紙に対する染料系イエローインクの浸透速度を効果的に速めることができ、染料系イエローインクの紙面上における速乾性を向上させ、記録紙上での遅乾性に起因するブリーディングを防止し、かつ浸透に伴うフェザリングを抑制できる。このような水溶性溶剤の染料系イエローインク中の配合量は、少なすぎると染料系イエローインクの記録紙への浸透速度が遅く、長い乾燥時間が必要となり、ブリーディングの問題も生じ、多すぎると染料系イエローインクの記録紙への浸透が著しくなり、記録紙の裏まで染料系イエローインクが達したり、ブリーディングが発生したりするので、好ましくは0.3重量%〜15重量%、より好ましくは0.5重量%〜10重量%である。
染料系イエローインクに配合する水溶性溶剤の好ましい具体例としては、多価アルコールモノアルキルエーテル、例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル等を挙げることができる。
また、染料系イエローインクは、記録紙への浸透、乾燥性を制御する目的で、エタノール、イソプロピルアルコールなどの1価アルコールを含有することができる。また、公知の各種分散剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、pH調整剤、防腐防カビ剤などを必要に応じて添加することができる。
なお、本発明のインクジェット記録用水性インクセットは、前述の顔料系黒色インク及び染料系イエローインクに加え、インクジェット記録用インクとして充分な性能を満たす染料系マゼンタインクや染料系シアンインクなどと組み合わせて使用できる。
以上説明した本発明のインクジェット記録用水性インクセットは、従来技術の問題点が充分に解決されたものとなっており、静電吸引方式、圧電素子を用いる方式、サーマル方式などのインクジェット記録方法に適用でき、自己分散型黒色顔料を含有する顔料系黒色インクと染料系イエローインクとが接触しても凝集に起因した吐出不良や吐出曲がりなどの問題を引き起こすことはなく、製品として高い信頼性を得ることができる。
なお、本発明のインクジェット記録用水性インクセットをサーマル方式のインクジェット記録方法に適用する場合には、熱的な物性値(例えば、比熱、熱膨張係数、熱電導率など)を適宜調整すればよい。
以下に、具体的な実験例により本発明を具体的に説明するが、本発明はそのような実験例に限定されるものではない。
実験例1
キャボット製CAB−O−JET(登録商標)300(固形分濃度15%):33.3重量%、グリセリン:25.0重量%、水溶性溶剤にジプロピレングリコールプロピルエーテル(DPP):0.50重量%、及び超純水:バランス量を均一に混合することにより顔料系黒色インクを調製した。また、C.I.アシッドイエロー23(一分子当たりのカウンターイオン数:3):3.0重量%、C.I.アシッドイエロー99(一分子当たりのカウンターイオン数:2):0.50重量%、グリセリン:18.0重量%、水溶性溶剤にジプロピレングリコールプロピルエーテル(DPP):2.0重量%、及び超純水:バランス量を均一に混合することにより染料系イエローインクを調製した。これら2種のインクからインクジェット記録用水性インクセットを構成した。
実験例2〜19
表1及び表2に示す配合処方に従って、実験例1と同様の操作によりにインクジェット記録用水性インクセットを製造した。
(評価)
得られたインクジェット記録用水性インクセットについて、以下に説明するように、凝集顕微鏡観察評価、ノズル目詰まり評価、パージ用吸引ポンプ耐久評価、及び発色評価を行った。得られた結果を表1及び表2に示す。
凝集顕微鏡観察評価
実験例1〜19のインクセットの顔料系黒色インクと染料系イエローインクとを、それぞれスライドガラスに一滴ずつ離して落とし、二つの液滴の上部からカバーガラスを静かにのせて、カバーガラス下で両インクを接触させた。その接触した部分を顕微鏡で観察し、顔料の凝集具合を観察し、以下の基準にて評価した。
ランク 基準
○: 接触界面の凝集なし
△: 接触界面で黒インク中の黒色顔料が凝集するが、流動性あり
×: 接触界面で黒インク中の黒色顔料が凝集して界面で固化し、流動性なし
ノズル目詰まり評価
実験例1〜19のインクジェット記録用水性インクセットを、インクジェットプリンタ(ブラザー工業(株)製MFC−3100C)に装着し、室温下で連続3000回のヘッドノズル面のワイピング試験を実施し、以下の基準にしたがって評価した。なお、このプリンタにおいては、ヘッドノズル面のワイピングの際には、顔料系黒色インク及び染料系イエローインクのそれぞれを吐出するノズル列を横方向に同時にワイピングするため、顔料系黒色インクと染料系イエローインクとが接触する環境にある。
ランク 基準
◎: 連続3000回のヘッドノズル面のワイピング試験において、ワイピング試験後の不吐出、曲がりが全く生じない場合
○: 連続3000回のヘッドノズル面のワイピング試験において、ワイピング試験後の不吐出もしくは曲がりが僅かに生じたが、不吐出もしくは曲がり共に1回のパージによって回復した場合
△: 連続3000回のヘッドノズル面のワイピング試験において、ワイピング試験後の不吐出もしくは曲がりが僅かに生じたが、不吐出もしくは曲がり共に2〜5回のパージによって回復した場合
×: 連続3000回のヘッドノズル面のワイピング試験において、ワイピング試験後の不吐出、曲がりが数多く生じ、しかも、不吐出、曲がり共に短時間では回復しなかった場合
パージ用吸引ポンプ耐久評価
実験例1〜19のインクジェット記録用水性インクセットを、インクジェットプリンタ(ブラザー工業(株)製MFC−3100C)に装着し、室温下で連続10000回の連続吸引パージ試験を実施し、以下の評価基準に従って評価した。
ランク 基準
◎: 10000回の連続吸引パージにおいて、1回あたりの吸引量が規定量である0.26cc〜0.30ccの範囲である場合
○: 10000回の連続吸引パージにおいて、1回あたりの吸引量が規定量の下限値である0.26cc未満であるが、5000回の連続吸引パージにおいて1回あたりの吸引量が規定量である0.26〜0.30ccの範囲である場合。
△: 5000回の連続吸引パージにおいて、1回あたりの吸引量が規定量の下限値である0.26cc未満であるが、3000回の連続吸引パージにおいて1回あたりの吸引量が規定量の0.26〜0.30ccの範囲である場合
×: 3000回の連続吸引パージにおいて、1回あたりの吸引量が規定量の下限値である0.26cc未満である場合
発色評価
実験例1〜19の染料系イエローインクを、所望のインクタンクに充填したのちインクジェットプリンタ(ブラザー工業(株)製MFC−3100C)に装着し、印字試験を行い、印字物の発色を測色計で測定した。イエロー印字物のL及びh値が、L値が84≦L≦90であって、h値が85°≦h≦95°の範囲にあるときイエローとしての発色が良好であると評価できる。また、マゼンタ又はシアンとの2次色における赤又は緑の色再現範囲が良好と評価できる。よって、以下の評価基準に示すように、前述のL及びh値の範囲内であるか否かでイエローインクの発色を評価した。ただし、実験例8〜19の中で、凝集顕微鏡観察評価が「×」又は「△」評価の実験例に関しては、発色評価を行わなかった。測色計は、スガ試験機(株)製のSC−Tを使用し、L値測定時の条件は、光源:D65、視野角:2°とした。また、記録紙としてGREATWHITE社製のMulti USE 20PAPERを使用した。本試験について以下の基準にしたがって評価した。
ランク 基準
○: L値が84≦L≦90であり且つh値が85°≦h≦95°である場合
×: ランクが「○」以外である場合

































Figure 2006070189









Figure 2006070189
Figure 2006070189
表1及び表2に示すように、実験例1〜7のインクジェット記録用水性インクセットは、その染料系イエローインクの水溶性染料として、いずれも一分子当たりのカウンターイオンの数が3以下であって、色相角hが95°〜105°の色目が緑味のイエロー色の水溶性染料Bと、色相角hが75°〜85°の色目が山吹色味のイエロー色の水溶性染料A、色相角hが30°〜70°であるオレンジ色の水溶性染料C又は色相角hが0°〜30°又は350°〜360°のレッド色の水溶性染料Dとを併用しているので、インクジェット記録用水性インクセットとして充分な性能を示していることがわかる。即ち、顔料系黒色インクと染料系イエローインクとの接触によって、顔料系黒色インク中に分散している自己分散性黒色顔料が凝集することなく、また、ノズル目詰まり、パージ用吸引ポンプの動作不良問題などの発生を回避できる。さらに、染料系イエローインクの発色が充分に満足のいくものとなる。
一方、実験例19の場合、染料系イエローインクの水溶性染料として、色相角hが95°〜105°の色味が緑味のイエロー色の水溶性染料Bのみを使用したため、発色性に問題があったことがわかる。
また、実験例8、9、14〜18の場合、水溶性染料として一分子当たりのカウンターイオン数が4となるものを少なくとも一種使用しているので、染料系イエローインクと顔料系黒色インクとが混じり合った部分で、自己分散性黒色顔料の凝集が観察され、「ノズル目詰まり」あるいは「パージ用吸引ポンプの耐久」に問題が生じていることが分かる。また、実験例10の場合、水溶性染料Aの水溶性染料Bに対する重量割合[A/B]が8.0%となっており、実験例1([A/B]=16.7%)及び実験例7([A/B]=86.7%)を考慮すると、その重量割合の数値が低くなり過ぎると発色が低下する傾向があることがわかる。
また、実験例11の場合、水溶性染料全体の染料系イエローインク中の配合量が1.53重量%であり、実験例2(3.03重量%)の結果を考慮すると、その配合量が少なくなり過ぎると発色が低下する傾向があることがわかる。
実験例12及び13の場合、水溶性染料Cの水溶性染料Bに対する重量割合[C/B]が、それぞれ10.0%及び0.5%となっており、実験例2([C/B]=1.0%)、実験例3([C/B]=2.0%)及び実験例4([C/B]=4.0%)の結果を考慮すると、その重量割合の数値が大きくなり過ぎても、逆に低くなり過ぎても、発色が低下する傾向があることがわかる。
本発明のインクジェット記録用水性インクセットは、自己分散性黒色顔料を含有する顔料系黒色インクと、一分子当たりのカウンターイオン数が3以下であって、特定の色相角範囲を有するの特定のイエロー染料とその他の水溶性染料とを含む染料系イエローインクとから構成されているので、顔料系黒色インクと染料系イエローインクとが接触した場合でも、顔料系黒色インク中に分散している黒色顔料が凝集せず、従って、黒色顔料の凝集によるノズル目詰まりやメンテナンス用吸引ポンプの動作不良等の問題が生じない。よって、インクジェット記録用プリンタに適したインクとなる。

Claims (7)

  1. 水、自己分散型黒色顔料及び少なくとも1種の水溶性溶剤を含む顔料系黒インクと、
    水、一分子当たりのカウンターイオンの数が3以下であり色相角hが75°〜85°の第1の水溶性イエロー染料及び一分子当たりのカウンターイオンの数が3以下であり色相角hが95°〜105°の第2の水溶性イエロー染料を含む染料系イエローインクと
    からなるインクジェット記録用水性インクセット。
  2. 第1の水溶性イエロー染料の第2の水溶性イエロー染料に対する重量割合が10.0〜100.0%である請求項1記載のインクジェット記録用水性インクセット。
  3. 水、自己分散型黒色顔料及び少なくとも1種の水溶性溶剤を含む顔料系黒インクと、
    水、一分子当たりのカウンターイオンの数が3以下であり色相角hが95°〜105°の第2の水溶性イエロー染料及び一分子当たりのカウンターイオンの数が3以下であり色相角hが30°〜70°の水溶性オレンジ染料を含む染料系イエローインクと
    からなるインクジェット記録用水性インクセット。
  4. 水溶性オレンジ染料の第2の水溶性イエロー染料に対する重量割合が0.8〜5.5%である請求項3記載のインクジェット記録用水性インクセット。
  5. 水、自己分散型黒色顔料及び少なくとも1種の水溶性溶剤を含む顔料系黒インクと、
    水、一分子当たりのカウンターイオンの数が3以下であり色相角hが95°〜105°の第2の水溶性イエロー染料、一分子当たりのカウンターイオンの数が3以下であり色相角hが0°〜30°又は350°〜360°の水溶性レッド染料を含む染料系イエローインクと
    からなるインクジェット記録用水性インクセット。
  6. 水溶性レッド染料の第2の水溶性イエロー染料に対する重量割合が0.3〜3.5%である請求項5記載のインクジェット記録用水性インクセット。
  7. 染料系イエローインク中の水溶性染料の含有量が、1.8〜5.5重量%である請求項1〜6のいずれかに記載のインクジェット記録用水性インクセット。
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