本発明のトナーは、少なくとも結着樹脂、着色剤、荷電制御剤(a)、硫黄原子を有する重合体からなるトナー粒子に、荷電制御剤(b)を外部添加して得られる非磁性トナーであって、
該荷電制御剤(a)は、オキシカルボン酸の金属化合物であり、
該荷電制御剤(b)は、オキシカルボン酸の、Al・Zn・Zr・Fe・Bのいずれかより選ばれる金属Mの化合物であり、
該硫黄原子を有する重合体は、Mw=20000〜50000の下記一般式(1)を構成単位として含むビニル系重合体であり、
該トナーをアルカリ洗浄した時の、荷電制御剤(b)由来の金属(M)の蛍光X線減量により求められる、トナー表面に存在する該荷電制御剤(b)の質量部が、0.007〜1.000部(トナーの質量基準)であり、
該トナーの平均円径度が0.955〜0.995で、円形度標準偏差が0.045未満の関係を満足することによって、飽和帯電量及び飽和帯電量到達時間が良好に制御でき、電子写真システムに好適な帯電特性を与えることが可能となる。
[式中、R
1は水素原子あるいはメチル基、R
2およびR
3は水素原子またはアルキル基を表わす。また、nは1〜10の整数を意味し、X
1は、水素原子、ナトリウム原子、カリウム原子、アンモニウム基のいずれかを表す。]
本発明者らは、鋭意検討の結果、上記の如きトナー中にスルホン酸基を有する重合体と、オキシカルボン酸の金属化合物を共存させ、且つ、トナー粒子表面にオキシカルボン酸の特定金属化合物を外部添加したトナーを用いることによって、高速プロセススピード機にも対応した高解像度で高精細の画像形成がなされると共に、多数枚のプリント後における各種出力モード、とりわけ高品位光沢画像を出力する際の低速プロセススピードにおいてもカブリやハーフトーン均一性の悪化といった画像劣化の発生を軽減できることを見出した。
本発明者らの知見によると、スチレンアクリル結着樹脂に好適に相溶するアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸を構成モノマーとして有する帯電特性に優れた樹脂の特徴的な性質として、多数枚のプリント後や、長期放置後といった悪条件下における帯電の立ち上がり性に関しては難があるものの、荷電制御剤に見られるような帯電分布の不均一化や2極化は見られず、地カブリ及び反転カブリ共に十分なアドバンテージがあることを見出しており、この特性に着目した。
また、特定中心金属を有するオキシカルボン酸の錯体は、耐久劣化時のカブリ特性は非常に悪いものの、飽和帯電量到達時間に関しては全く問題がないことを突き止めた。
上記二つの成分は、単独で用いた場合致命的な問題を有するが、トナーにおける存在量と存在状態を緻密に制御することで、二つの成分のメリットを、より効果的に引き出すことに成功した。それは、懸濁重合プロセスを用いることにより、新たな分散助剤等を用いることなく、両成分の相互作用を利用することで達成される。
これらの理由については必ずしも明らかではないが、特定中心金属を有する芳香族オキシカルボン酸の帯電立ち上がり特性と、スルホン酸基を有する重合体の帯電サイトの耐劣化特性という2つの機能を最大限に発現できる、帯電サイトの存在状態が達成できたためと考えている。換言するならば、特定中心金属を有する芳香族オキシカルボン酸の耐久帯電劣化性と、スルホン酸基を有する重合体の帯電立ち上がり遅延性というウイークポイントを双方で補完できる帯電サイトの存在状態が達成できたためと考えられる。
硫黄原子を有する高分子重合体を用いても、懸濁重合時に水系における油滴の分散安定性が高まった理由については、特定金属を有する芳香族オキシカルボン酸は、極性基の作用により、懸濁時に油滴の表面近傍に偏析する傾向があり、またpHによっては水系媒体中に溶出することから、トナー液滴表面に界面活性剤として好適に作用することが考えられ、特にバインダー樹脂と相溶したスルホン酸基との相互作用が好適な液滴安定性を促しているものと考えている。
更に本発明のトナーは、上記で説明したトナー粒子表面に、オキシカルボン酸の特定金属を有する帯電制御剤を外部添加することを必須要件とする。本発明者らの検討によると、高速プロセススピードにより耐久試験を行った場合、低速プロセススピードで行った場合と比べて、同じ耐久枚数で比較したところトナー劣化がより促進されていることがわかった。トナー劣化に伴って、飽和帯電量と飽和帯電量到達時間の低下が顕著になることから、高品位光沢モードといった低速プロセススピードでの出力時に、トナー担持体上でトナーの必要帯電量を満たすことが出来なくなり、背景部カブリが悪化する。この耐久特性を効果的に向上させる物質として、トナー粒子製造時に使用した荷電制御剤と同じ、もしくは類似したオキシカルボン酸の特定金属化合物をトナー粒子表面に外部添加することで、上記問題点を高度に達成できることがわかった。
上記問題点が解決された理由としては明らかではないが、本発明者らは以下のように考えている。
一般に、トナーの帯電性能を向上させるためには、帯電性能に一番寄与するトナー粒子最表面に荷電制御剤を外部添加する手法が考えられる。しかし、現像器内のトナーは度重なる摺擦ストレスを受けるので、トナー粒子表面から帯電制御剤が脱離していくことからその効能の寿命は長続きしない。脱離分を見越して、添加する帯電制御剤の量を増やした場合、トナー層厚規制ブレードやトナー担持体といった接触帯電部材の汚染レベルを悪化させてしまい、カブリ等の逆効果を及ぼすことから、添加量は自ずと制限される。本発明のトナーに限っては、トナー粒子の製造工程で用いた硫黄原子を有する樹脂成分中のスルホン酸基等が、水系で重合反応を行うためにトナー粒子の最表面に極めて均一に存在しており、それらと塩構造、あるいはクラスター構造等の相互作用を有する特定金属を含有するオキシカルボン酸を外部添加することで、均一且つ強固な静電付着が達成され、帯電能力の向上が長期に亘り持続されることによるものと考えている。
本発明に係るトナー粒子に内部添加する荷電制御剤(a)及び、外部添加する荷電制御剤(b)は、従来公知のオキシカルボン酸の金属錯体を用いることができるが、トナー粒子に外部添加する荷電制御剤(b)に関しては、トナー粒子表面に存在する極性基との相互作用と、錯体構造の安定性の観点から、中心金属がホウ素、アルミニウム、亜鉛、ジルコニウム、鉄のいずれかより選ばれるものに限定される。特に、中心金属がアルミニウム、亜鉛、ジルコニウムより選ばれるものが、耐久性と帯電立ち上がり性に有利であり、より好ましい。
リガンド成分であるオキシカルボン酸としては、帯電付与能力の観点から下記一般式(2)や(3)で示される化合物が好ましく用いられる。
[上記式(2)中、(A)は下記の群より選ばれ、X
1は、水素原子、ナトリウム原子、カリウム原子、アンモニウム又は脂肪族アンモニウムを示す。]
[上記式(3)中、X
2は、水素原子、ナトリウム原子、カリウム原子、アンモニウム、又は脂肪族アンモニウムを示し、R
4は、C
1〜C
22のアルキル基又はアルケニル基、アリール基を示し、R
5は、水素原子、C
1〜C
22のアルキル基又はアルケニル基、アリール基、アルコキシ基を示す。]
上記一般式(2)や式(3)で示されるオキシカルボン酸の中でも、本発明に好ましく用いられるものとしては、芳香族環を有するオキシカルボン酸であり、モノアルキル芳香族オキシカルボン酸、又はジアルキル芳香族オキシカルボン酸が挙げられる。特に、サリチル酸、ジtert−ブチルサリチル酸や5−tert−オクチルサリチル酸に代表されるアルキルサリチル酸、ヒドロキシナフトエ酸、ベンジル酸等は優れた帯電立ち上がり特性に加え、製法上トナー表面への均一分散性が容易であるため、本発明に好ましく用いられる。
本発明のトナーは、アルカリ洗浄した後に検出される荷電制御剤(a)由来の金属(M2)の蛍光X線量により求められる、トナー内部に存在する該荷電制御剤(a)の質量部が、0.02〜0.5部(トナーの質量基準)であることが好ましい。より好ましい範囲は、0.06〜0.4部である。
トナー粒子製造時に添加した荷電制御剤(a)は、熱やpH等の影響によって錯体構造が壊れたり、リガンド成分が昇華性を示すものはトナー粒子製造過程でオキシカルボン酸が極度に減少するので、錯体そのものの存在量は明らかにできない。しかし、トナー粒子の中に存在する中心金属(M2)の蛍光X線を測定して、荷電制御剤(a)の検量線から荷電制御剤(a)に換算した質量部数とトナーの耐久安定性には相関が見られるため、トナー製造時の添加部数よりも、この測定方法によって求められる荷電制御剤(a)の存在量を上記範囲内に制御することがより好ましい。
上記中心金属(M2)の蛍光X線より求められる荷電制御剤(a)換算の検出部数が、0.02部より少ない場合、耐久の後半、トナーが劣化した状態にトナー粒子そのものの帯電立ち上がり特性が劣るため、カブリが悪化傾向を示す。また、環境違いによる帯電量差が大きくなり、画像品質が劣る。
検出部数が0.5部を超える場合、トナーとしての帯電バランスが崩れ、低湿環境下におけるチャージアップや、高湿環境下における極端な帯電量の落ち込みといった、環境制御が難しくなり、画像品質が低下する。
上記存在量を好適に満たすことのできるおおよその荷電制御剤(a)の添加量は、重合性単量体100質量部当り0.1〜2質量部添加することで達成される。より好ましくは0.2〜1.5質量部、更に好ましくは0.3〜1.2質量部添加することで、最適な存在状態を再現できる。
尚、内部添加する荷電制御剤(a)の添加量は外部添加する荷電制御剤(b)の添加量によらず、上記範囲内であることが好ましい。本発明のように、水系媒体中で重合反応によりトナー粒子を形成し、水系のpH調整によりトナー粒子表面に析出させることで覆われた荷電制御剤の結晶粒径及び存在状態と、外部添加する荷電制御剤(b)の結晶状態及び存在状態は異なり、その帯電特性も違うため、単純に内外添の総量で計ることはできない。
一方、本発明を満たす荷電制御剤(b)の存在量は、該トナーをアルカリ洗浄した時の、荷電制御剤(b)由来の金属(M)の蛍光X線減量により求められる、トナー表面に存在する該荷電制御剤(b)の質量部が、0.007〜1.000部(トナーの質量基準)の範囲内であることが必須である。更に好ましい範囲は0.010〜0.900部、最も好ましいのは0.020〜0.700部の範囲内である。
尚、本発明におけるトナー粒子表面に外部添加された荷電制御剤(b)の存在量は、上記に記載したアルカリ洗浄時の蛍光X線減量により求められる方法に限定される。
荷電制御剤(b)は、それ自体は安定な構造を示すが、外部添加工程における熱等のダメージによる錯体構造の破壊やリガンド部の昇華を考慮する必要があるため、錯体の中心金属(M)による定量が適切である。又、本発明においては、錯体構造から外れた中心金属(M)イオンが、トナー粒子表面に存在するスルホン酸のイオンクラスター群と相互作用があり、帯電制御の安定化が達成されたと考えているため、中心金属(M)による定量が必須である。
また、荷電制御剤自体が非常に高い帯電量を示すために、外添や篩といったトナー製造における各工程での付着ロスが大きい影響も考えられ、添加量と検出量は異なる。
上記測定により求められる荷電制御剤(b)の存在量が0.007部に満たない場合、トナーの帯電特性はトナー粒子母体そのものの帯電特性にのみ支配されることになり、耐久に伴う帯電性能の劣化が否めず、ロングライフに耐えない。
一方、荷電制御剤(b)の存在量が1.000部を超える場合、低温低湿環境下における飽和帯電量過多により、ブロッチといわれる薄層コート斑が顕著に発生し、ハーフトーンの再現性や、最大濃度が低下するといった問題をきたす。
上記存在量を好適に満たすことのできるおおよその荷電制御剤(b)の添加量は、トナー粒子100質量部当たり0.02〜0.8質量部、より好ましくは0.025〜0.7質量部添加することで達成される。
本発明における、トナー表面に存在する荷電制御剤(b)及び、トナー粒子内部に存在する荷電制御剤(a)の質量部は、以下の方法により求められる。
分散剤としてコンタミノン0.08gを加えた0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液100mlを用意し、トナー4gを秤量して加え、30分間攪拌してトナー表面に存在する荷電制御剤を完全に溶解させる。続いて5Cのろ紙(アドバンテック社製)を用いて濾過し、更に0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液100mlを追加して、念入りにトナー表面を洗い流す。濾過したサンプルを、真空乾燥機を用いて40℃で24時間乾燥させ、アルカリ洗浄後トナーとした。
トナーと、上記アルカリ洗浄後トナーを、各々159N/mm2の圧力で錠剤成型器により直径40mmのペレットを作製し、波長分散型蛍光X線分析装置 RIX3000(理学電機工業社製)を用いて、荷電制御剤(a)の中心金属(M2)及び荷電制御剤(b)の中心金属(M)のピーク強度を測定する。
予め測定しておいた荷電制御剤(a)および荷電制御剤(b)の検量線を用いて、外部添加した荷電制御剤(b)の存在量は、トナーの中心金属(M)のピーク強度からアルカリ洗浄後トナーの中心金属(M)のピーク強度を差し引いた値から、トナー基準の質量部を求めた。
トナー粒子内部の荷電制御剤(a)の存在量は、アルカリ洗浄後トナーの中心金属(M2)のピーク強度より、トナー基準の質量部を求めた。
本発明のトナーは、帯電立ち上がり特性を決定付ける、上記2種類の荷電制御剤(a)および(b)のトナー表面における存在状態を、アルカリ抽出法を用いたオキシカルボン酸の定量値で、規定することができる。
即ち、前記に示した各々の荷電制御剤の、中心金属定量による荷電制御剤量の換算値に加えて、トナー表面におけるオキシカルボン酸の量を規定することにより、荷電制御剤(a)及び(b)のトナーにおける存在状態を更に高度に制御することができ、より苛酷な条件における帯電安定性が保証できる。
本発明のトナー1g中から0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液によって抽出されるオキシカルボン酸の総質量A(mg/g)は、A=0.5〜7.0mg/gの範囲内であることが好ましい。更に好ましい範囲はA=0.7〜5.0mg/gである。
オキシカルボン酸の質量Aが0.5mg/gに満たない場合、耐久劣化が進むにつれて、トナーの帯電特性は硫黄原子を有する樹脂にのみ支配されることになり、帯電立ち上がり性が著しく劣り、耐久後半にカブリが悪化する。
オキシカルボン酸の質量Aが7mg/gを超える場合、トナー粒子表面の荷電制御剤量が過多であり、耐久に伴って、帯電部材汚染によるトナーへのトリボ付与能が低下していき、カブリが悪化傾向を示す。
尚、本発明における、トナー1g中から0.1mol/リットルの水酸化ナトリウム水溶液によって抽出されるオキシカルボン酸量Aは、以下の方法によって測定される。
即ち、分散剤としてコンタミノン0.04gを加えた0.1mol/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を50ml用意し、トナー1gを秤量して加え、スターラーを用いて50rpmで撹拌し、均一に分散させる。30分分散処理を行った後、5Cのろ紙(アドバンテック社製)を用いて濾過し、得られた濾液の吸光度を測定する。得られた結果から所定の検量線を用いることによって、トナー1g中から0.1mol/リットルの水酸化ナトリウム水溶液によって抽出されるオキシカルボン酸の質量A(mg)を求めることができる。
本発明の硫黄原子を有する重合体は、下記一般式(1)を有するものである。
[式中、R
1は水素原子あるいはメチル基、R
2およびR
3は水素原子またはアルキル基を表わす。また、nは1〜10の整数を意味し、X
1は、水素原子、ナトリウム原子、カリウム原子、アンモニウム基のいずれかを表す。]
硫黄原子を有する重合体を製造するための含硫黄単量体としては、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等が好適であるが、上記構造式(1)を満たす単量体であればこれらに限定されるものではなく、例えば下記式
X(SO3 -)n・mYk+
(X:前記重合性単量体に由来する重合体部位を表し、Y+:カウンターイオンを表し、kはカウンターイオンの価数であり、m及びnは整数であり、n=k×mである。)
の如き構造を有するものが挙げられる。カウンターイオンとしては、水素イオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、アンモニウムイオンなどであることが好ましい。
本発明に係る硫黄原子を有する樹脂は、上記単量体の単重合体であっても構わないが、上記単量体と他の単量体との共重合体であっても構わない。上記単量体と共重合体をなす単量体としては、ビニル系重合性単量体があり、単官能性重合性単量体或いは多官能性重合性単量体を使用することが出来る。
単官能性重合性単量体としては、スチレン;α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレンの如きスチレン誘導体;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートエチルアクリレート、ジエチルフォスフェートエチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート、2−ベンゾイルオキシエチルアクリレートの如きアクリル系重合性単量体;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチルメタクリレート、ジブチルフォスフェートエチルメタクリレートの如きメタクリル系重合性単量体;メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、ギ酸ビニルの如きビニルエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロピルケトンの如きビニルケトンが挙げられる。
多官能性重合性単量体としては、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2’−ビス(4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2’−ビス(4−(メタクリロキシ・ジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−メタクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタリン、ジビニルエーテル等が挙げられる。
硫黄原子を有する樹脂としては、上述の如き単量体を用いることができるが、スチレン誘導体を単量体として含有していることが、より好ましい。
硫黄原子を有する樹脂の製造方法は、塊状重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合、イオン重合等があるが、操作性などの面から溶液重合が好ましい。
硫黄原子を有する樹脂において、スルホン酸基を有する重合体の酸価(mgKOH/g)は3乃至50が好ましい。より好ましくは5乃至40が良い。
酸価が3未満の場合には、本発明で言及するような十分な荷電制御作用が得られず、オキシカルボン酸の金属錯体のみの帯電能に支配されることにより、環境特性が悪い。酸価が50を超える場合には、この様な重合体を含有する組成物を用いて、懸濁重合で粒子を造る場合、トナー粒子がいびつな形状を有する様になり、円形度が小さくなる結果、耐久特性が劣る。
本発明に係る硫黄原子を有する樹脂の分子量は、重量平均分子量(Mw)が20000〜50000の範囲内である。より好ましくは27000〜45000が良い。重量平均分子量(Mw)が20000未満の場合には、トナー粒子最表面への偏析が顕著となり、低温低湿環境下でのチャージアップを引き起こしやすくなる。50000を超える場合には、単量体への溶解に時間がかかることに加え、トナー粒子形成に際して他の機能性材料の分散性を低下させる結果となり好ましくない。
硫黄原子を有する樹脂のガラス転移点(Tg)は50℃乃至100℃が好ましい。ガラス転移点が50℃未満の場合には、トナーの流動性、保存性に劣り、現像特性も劣るようになる。ガラス転移点が100℃を超える場合には、トナー印字率の多い画像の時の定着性に劣る。
尚、硫黄原子を有する樹脂のガラス転移温度(Tg)の測定は、例えばパーキンエルマー社製DSC−7を用いる。装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。測定サンプルにはアルミニウム製のパンを用い、対照用に空パンをセットし、昇温速度10℃/minで測定を行う。
Tgの定義としては、2度目の昇温時のDSCカーブより、吸熱ピーク前の基線と吸熱ピーク後の基線の中線と、立ち上がり曲線での交点をもってしてTgとした。
硫黄原子を有する樹脂の揮発分は0.01%乃至2.0%が好ましい。揮発分を0.01%未満とするためには、揮発分除去工程が複雑になり、揮発分が2.0%を超える場合には、高温高湿下での帯電、特に放置後の帯電に関して劣る様になる。該重合体揮発分は、高温(135℃)で1時間加熱したときに減少する重量の割合である。
なお、硫黄原子を有する樹脂のトナーからの抽出は特に制限されるものではなく、任意の方法が扱える。
本発明のトナーは、X線光電子分光分析により測定されるトナー表面に存在する炭素元素の原子個数%(C)に対する硫黄元素の原子個数%(S)の比(S/C)が0.0005〜0.0050の範囲内であることが望ましい。より好ましい範囲は、0.001〜0.004である。
(S/C)が0.0005に満たない場合、トナー粒子表面に存在するスルホン酸基の存在量が少なく、トナー粒子としての帯電量が小さくなるばかりか、外部添加する荷電制御剤(b)との相互作用も望めないため、耐久に伴う帯電性能の劣化が否めず、ロングライフに耐えない。
一方、(S/C)が0.0050を超える場合、低温低湿環境下における飽和帯電量過多により、ブロッチといわれる薄層コート斑が顕著に発生し、ハーフトーンの再現性や、最大濃度が低下するといった問題をきたす。
尚、ESCA(X線光電子分光分析)によるトナー表面の組成分析は、以下の条件で行うことにより測定できる。
使用装置:PHI社製 1600S型 X線光電子分光装置
測定条件:X線源 MgKα(400W)
分光領域 800μmφ
本発明では、測定された各元素のピーク強度から、PHI社提供の相対感度因子を用いて表面原子濃度を算出した。具体的には、硫黄元素の含有割合を求める場合、X線光電子分光分析により測定されるトナー表面に存在する炭素元素の含有量(C)に対する結合エネルギー166〜172eVにピークトップを有する硫黄元素の含有量(S)の比(S/C)を求めた。
本発明を懸濁重合法により合成してトナーを得る場合、硫黄原子を有する樹脂の添加量は、結着樹脂100質量部に対して0.1〜2質量部含有することが好ましい。より好ましい範囲は0.2〜1.5質量部である。
硫黄原子を有する樹脂添加量が0.1質量部未満の場合、帯電サイトであるスルホン酸基のトナー表面存在量が乏しく、帯電分布を安定化させる効果が得られない。
一方、2質量部を超えると、造粒工程における液滴安定性が悪化し、平均円径度や粒度分布が乱れる。
尚、トナー中の硫黄原子を有する樹脂の含有量は、キャピラリー電気泳動法などを用いて測定することができる。
以下、本発明のトナーの必須条件である、平均円形度及び円形度標準偏差について説明する。
本発明のトナーは、平均円形度が0.955以上0.995以下であることが必須である。平均円形度が0.955以上のトナーは、表面のエッジ部が少ないため、一つの粒子内での電荷の局在化が起こりにくく、帯電量分布もシャープになる傾向にあり、潜像に対して忠実に現像される。また、高速プロセススピードによる耐久では、現像器内での攪拌及び摺擦ストレスも大きくなるため、平均円形度が0.955より小さいトナーは、表面のエッジ部が削れることによるトナー帯電能力の劣化が促進されカブリが悪化する。
一方、平均円形度が0.995を超えるトナーは、円形度が非常に高く、クリーニング不良が懸念される為に好ましくない。
更に、本発明のトナーは、トナー粒子の円形度頻度分布の円形度標準偏差を0.045未満、好ましくは0.035未満とすることにより、帯電分布がシャープで、高速プロセススピードにおいてもドット再現性が優れる。
円形度標準偏差が0.045以上の場合、帯電分布が広がる傾向があり、カブリ等のラティチュードが狭くなる。
本発明における平均円形度は、粒子の形状を定量的に表現する簡便な方法として用いたものであり、本発明では東亜医用電子製フロー式粒子像分析装置「FPIA−1000」を用いて測定を行い、3μm以上の円相当径の粒子群について測定された各粒子の円径度(ai)を下式(1)によりそれぞれもとめ、さらに下式(2)で示すように測定された全粒子の円形度の総和を、全粒子数(m)で除した値を平均円形度(a)と定義する。
なお、本発明で用いている測定装置である「FPIA−1000」は、各粒子の円形度を算出後、平均円形度の算出に当たって、粒子を得られた円形度によって、円形度0.40〜1.00を61分割したクラスに分け、分割点の中心値と頻度を用いて平均円形度の算出を行う算出法を用いている。しかしながら、この算出式で算出される平均円形度の各値との誤差は、非常に少なく、実質的に無視出来る程度のものであり、本発明においては、算出時間の短縮化や算出演算式の簡略化の如きデータの取り扱い上の理由で、上述した各粒子の円形度を直接用いる算出式の概念を利用し、一部変更したこのような算出式を用いても良い。
測定手段としては以下の通りである。界面活性剤を約0.1mg溶解している水10mlに現像剤5mgを分散させて分散液を調製し、超音波(20KHz、50W)を分散液に5分間照射し、分散液濃度を5000〜2万個/μlとして前記装置により測定を行い、3μm以上の円相当径の粒子群の平均円形度を求める。
本発明における平均円形度とは、現像剤の凹凸の度合いの指標であり、現像剤が完全な球形の場合1.000を示し、表面形状が複雑になるほど円形度は小さな値となる。
なお、本測定において3μm以上の円相当径の粒子群についてのみ円形度を測定する理由は、3μm未満の円相当径の粒子群にはトナー粒子とは独立して存在する外部添加剤の粒子群も多数含まれるため、その影響によりトナー粒子群についての円形度が正確に見積もれないからである。
次に、トナーの粒径について説明する。
本発明のトナーは、更に高画質化のため、より微小な潜像ドットを忠実に現像するためには、本発明のトナーの重量平均径は3μm〜10μmであることが好ましい。このトナーの重量平均径は、4μm〜8μmであることが更に好ましい。重量平均径が3μm未満のトナーにおいては、粉体としての流動性及び攪拌性が低下し、個々のトナー粒子を均一に帯電させることが困難となることからカブリや転写性が悪化傾向となり、画像の不均一ムラの原因となりやすいため、本発明で使用するトナーには好ましくない。また、トナーの重量平均径が10μmを越える場合には、文字やライン画像に飛び散りが生じやすく、高解像度が得られにくい。さらに装置が高解像度になっていくと8μm以上のトナーはドットの再現が悪化する傾向にある。
本発明のトナーの重量平均粒径及び数平均粒径はコールターカウンターTA−II型あるいはコールターマルチサイザー(コールター社製)等種々の方法で測定可能である。具体的には、下記のように測定できる。コールターマルチサイザー(コールター社製)を用い、個数分布、体積分布を出力するインターフェイス(日科機製)及びPC9801パーソナルコンピューター(NEC製)を接続し、電解液は1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調整する。たとえば、ISOTON R−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)が使用できる。測定手順は以下の通りである。前記電解水溶液を100〜150ml加え、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い前記コールターマルチサイザーによりアパーチャーを用いて、2μm以上のトナー粒子の体積、個数を測定して体積分布と個数分布とを算出する。それから、本発明に係わる所の体積分布から求めた体積基準の重量平均粒径(D4)及び個数分布から求めた個数基準の平均粒径、すなわち個数平均粒径(D1)を求める。
本発明のトナー粒子は水相を用いた重合法によって得られる粒子であるのが好ましい。水系でトナー粒子を重合することにより、本発明の必須成分である、スルホン酸基含有樹脂及び、荷電制御剤(a)といった極性の大きい帯電サイトをトナー粒子表面に均一に分布させ易く、スルホン酸基と外部添加する荷電制御剤(b)の相互作用も含めたトナーにおける帯電サイトの存在状態を、より精密に制御することが可能になる。
水系でトナー粒子を重合する方法は、懸濁重合法、乳化重合法、乳化会合重合法、シード重合法等が挙げられるが、これらの中では、粒径と粒子形状のバランスのとりやすさという点で、特に懸濁重合法により製造することが好ましい。この懸濁重合法においては重合性単量体および着色剤(更に必要に応じて重合開始剤、架橋剤、荷電制御剤、その他の添加剤)を均一に溶解または分散せしめて単量体組成物とした後、この単量体組成物を分散安定剤を含有する連続層(水相)中に適当な撹拌器を用いて分散し同時に重合反応を行わせ、所望の粒径を有するトナーを得るものである。この懸濁重合法で得られるトナー(以後、重合トナー)は、個々のトナー粒子形状がほぼ球形に揃っているため、平均円形度が0.955〜0.995以上という物性要件を満たすトナーが得られやすく、さらにこういったトナーは帯電量の分布も比較的均一となるため高い現像特性を有している。
本発明に係わるトナーは、粉砕法によって製造することも可能であるが、この粉砕法で得られるトナー粒子は一般に不定形のものであり、本発明の好ましい要件である平均円形度が0.955〜0.995という物性を得るためには機械的・熱的あるいは何らかの特殊な処理を行うことが必要となる。
本発明のトナーは、結着樹脂100質量部に対して0.5〜50重量部の離型剤を含有することも好ましい。結着樹脂としては、後述するように例えば、各種のワックス等が例示できる。
転写材上に転写されたトナー像はその後、熱・圧力等のエネルギーにより転写材上に定着され、半永久的画像が得られる。この際、熱ロール式定着やフィルム式定着が一般に良く用いられる。
前述のように、重量平均粒径が10μm以下のトナー粒子を用いれば非常に高精細な画像を得ることができるが、粒径の細かいトナー粒子は紙等の転写材を使用した場合に紙の繊維の隙間に入り込み、熱定着用ローラーからの熱の受け取りが不十分となり、低温オフセットが発生しやすい。しかしながら、本発明に係わるトナーにおいて、適正量の離型剤を含有させることにより、高解像性と耐オフセット性を両立させつつることが可能となる。
本発明に係わるトナーに使用可能な離型剤としては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラクタム等の石油系ワックス及びその誘導体、モンタンワックス及びその誘導体、フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体、ポリエチレンに代表されるポリオレフィンワックス及びその誘導体、カルナバワックス、キャンデリラワックス等天然ワックス及びその誘導体などである。これらの誘導体には酸化物や、ビニル系モノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物を含む。さらには、高級脂肪族アルコール、ステアリン酸、パルミチン酸等の脂肪酸、あるいはその化合物、酸アミドワックス、エステルワックス、ケトン、硬化ヒマシ油及びその誘導体、植物系ワックス、動物性ワックス等が挙げられる。これらのワックスの中では、示差熱分析における吸熱ピークが40℃〜110℃であるものが好ましく、更には45℃〜90℃であるものが好ましい。
離型剤を使用する際の含有量としては、結着樹脂100質量部に対して0.5〜50質量部の範囲が好ましい。含有量が0.5質量部未満では低温オフセット抑制効果に乏しく、50質量部を超えてしまうと長期間の保存性が悪化すると共に、他のトナー材料の分散性が悪くなり、トナーの流動性の悪化や画像特性の低下につながる。
ワックス成分の最大吸熱ピーク温度の測定は、「ASTM D 3418−8」に準じて行う。測定には、例えばパーキンエルマー社製DSC−7を用いる。装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。測定サンプルにはアルミニウム製のパンを用い、対照用に空パンをセットし、昇温速度10℃/minで測定を行う。
本発明のトナーには、着色力を付与するために着色剤を必須成分として含有する。本発明に好ましく使用される有機顔料または染料として以下のものが挙げられる。
シアン系着色剤としての有機顔料又は有機染料としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体,アントラキノン化合物,塩基染料レーキ化合物等が利用できる。具体的には、C.I.ピグメントブルー1,C.I.ピグメントブルー7,C.I.ピグメントブルー15,C.I.ピグメントブルー15:1,C.I.ピグメントブルー15:2,C.I.ピグメントブルー15:3,C.I.ピグメントブルー15:4,C.I.ピグメントブルー60,C.I.ピグメントブルー62,C.I.ピグメントブルー66等が挙げられる。
マゼンタ系着色剤としての有機顔料又は有機染料としては、縮合アゾ化合物,ジケトピロロピロール化合物,アントラキノン,キナクリドン化合物,塩基染料レーキ化合物,ナフトール化合物,ベンズイミダゾロン化合物,チオインジゴ化合物,ペリレン化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントレッド2,C.I.ピグメントレッド3,C.I.ピグメントレッド5,C.I.ピグメントレッド6,C.I.ピグメントレッド7,C.I.ピグメントバイオレット19,C.I.ピグメントレッド23,C.I.ピグメントレッド48:2,C.I.ピグメントレッド48:3,C.I.ピグメントレッド48:4,C.I.ピグメントレッド57:1,C.I.ピグメントレッド81:1,C.I.ピグメントレッド122,C.I.ピグメントレッド144,C.I.ピグメントレッド146,C.I.ピグメントレッド150,C.I.ピグメントレッド166,C.I.ピグメントレッド169,C.I.ピグメントレッド177,C.I.ピグメントレッド184,C.I.ピグメントレッド185,C.I.ピグメントレッド202,C.I.ピグメントレッド206,C.I.ピグメントレッド220,C.I.ピグメントレッド221,C.I.ピグメントレッド254等が挙げられる。
イエロー系着色剤としての有機顔料又は有機染料としては、縮合アゾ化合物,イソインドリノン化合物,アントラキノン化合物,アゾ金属錯体,メチン化合物,アリルアミド化合物に代表される化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントイエロー12,C.I.ピグメントイエロー13,C.I.ピグメントイエロー14,C.I.ピグメントイエロー15,C.I.ピグメントイエロー17,C.I.ピグメントイエロー62,C.I.ピグメントイエロー74,C.I.ピグメントイエロー83,C.I.ピグメントイエロー93,C.I.ピグメントイエロー94,C.I.ピグメントイエロー95,C.I.ピグメントイエロー97,C.I.ピグメントイエロー109,C.I.ピグメントイエロー110,C.I.ピグメントイエロー111,C.I.ピグメントイエロー120,C.I.ピグメントイエロー127,C.I.ピグメントイエロー128,C.I.ピグメントイエロー129,C.I.ピグメントイエロー147,C.I.ピグメントイエロー151,C.I.ピグメントイエロー154,C.I.ピグメントイエロー168,C.I.ピグメントイエロー174,C.I.ピグメントイエロー175,C.I.ピグメントイエロー176,C.I.ピグメントイエロー180,C.I.ピグメントイエロー181,C.I.ピグメントイエロー191,C.I.ピグメントイエロー194等が挙げられる。
これらの着色剤は、単独又は混合しさらには固溶体の状態で用いることができる。本発明のトナーに用いられる着色剤は、色相角,彩度,明度,耐光性,OHP透明性,トナーへの分散性の点から選択される。
該着色剤の添加量は、結着樹脂100質量部に対し1〜20質量部添加して用いられる。
黒色着色剤としては、カーボンブラック、磁性体、上記イエロー/マゼンタ/シアン着色剤を用い黒色に調色されたものが利用される。
本発明においては重合法を用いてトナーを得る場合には、着色剤の持つ重合阻害性や水相移行性に注意を払う必要があり、好ましくは、表面改質、例えば、重合阻害のない物質による疎水化処理を施しておいたほうが良い。特に、染料系やカーボンブラックは、重合阻害性を有しているものが多いので使用の際に注意を要する。染料系を表面処理する好ましい方法としては、あらかじめこれら染料の存在下に重合性単量体を重合せしめる方法が挙げられ、得られた着色重合体を単量体系に添加する。
また、カーボンブラックについては、上記染料と同様の処理の他、カーボンブラックの表面官能基と反応する物質、例えば、ポリオルガノシロキサン等で処理を行っても良い。
本発明のトナーには、荷電特性を安定化するために、第三成分となる荷電制御剤を配合しても良い。荷電制御剤としては、公知のものが利用でき、特に帯電スピードが速く、かつ、一定の帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。さらに、トナーを直接重合法を用いて製造する場合には、重合阻害性が低く、水系分散媒体への可溶化物が実質的にない荷電制御剤が特に好ましい。しかしながら、本発明のトナーには、更なる荷電制御剤の添加は必須ではなく、トナーの層厚規制部材やトナー担持体との摩擦帯電を積極的に利用することでトナー中に必ずしも第三荷電制御剤を含む必要はない。
次に本発明のトナーの懸濁重合法による製造方法を説明する。
本発明のトナーを懸濁重合法で製造する場合、使用される重合性単量体系を構成する重合性単量体としては以下のものが挙げられる。
重合性単量体としては、スチレン・o−メチルスチレン・m−メチルスチレン・p−メチルスチレン・p−メトキシスチレン・p−エチルスチレン等のスチレン系単量体、アクリル酸メチル・アクリル酸エチル・アクリル酸n−ブチル・アクリル酸イソブチル・アクリル酸n−プロピル・アクリル酸n−オクチル・アクリル酸ドデシル・アクリル酸2−エチルヘキシル・アクリル酸ステアリル・アクリル酸2−クロルエチル・アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル・メタクリル酸エチル・メタクリル酸n−プロピル・メタクリル酸n−ブチル・メタクリル酸イソブチル・メタクリル酸n−オクチル・メタクリル酸ドデシル・メタクリル酸2−エチルヘキシル・メタクリル酸ステアリル・メタクリル酸フェニル・メタクリル酸ジメチルアミノエチル・メタクリル酸ジエチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル類その他のアクリロニトリル・メタクリロニトリル・アクリルアミド等の単量体が挙げられる。
これらの単量体は単独、または混合して使用し得る。上述の単量体の中でも、スチレンまたはスチレン誘導体を単独で、あるいはほかの単量体と混合して使用することがトナーの現像特性及び耐久性の点から好ましい。
本発明に係わる重合トナーの製造においては、単量体系に樹脂を添加して重合しても良い。
例えば、単量体では水溶性のため水性懸濁液中では溶解して乳化重合を起こすため使用できないアミノ基、カルボン酸基、水酸基、グリシジル基、ニトリル基等、親水性官能基含有の単量体成分をトナー中に導入したい時には、これらとスチレンあるいはエチレン等ビニル化合物とのランダム共重合体、ブロック共重合体あるいはグラフト共重合体等、共重合体の形にして、あるいはポリエステル、ポリアミド等の重縮合体、ポリエーテル、ポリイミン等重付加重合体の形で使用が可能となる。こうした極性官能基を含む高分子重合体をトナー中に共存させると、前述のワックス成分を相分離させ、より内包化が強力となり、耐オフセット性、耐ブロッキング性、低温定着性の良好なトナーを得ることができる。
また、材料の分散性や定着性、あるいは画像特性の改良等を目的として上記以外の樹脂を単量体系中に添加しても良く、用いられる樹脂としては、例えば、ポリスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルブチラール、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂などが単独或いは混合して使用できる。
これら樹脂の添加量としては、単量体100質量部に対し1〜20質量部が好ましい。1質量部未満では添加効果が小さく、一方20質量部を超えると重合トナーの物性及び製造安定性のバランスが崩れ好ましくない。
さらに、単量体を重合して得られるトナーの分子量範囲とは異なる分子量の重合体を単量体中に溶解して重合すれば、分子量分布の広い、耐オフセット性の高いトナーを得ることができる。
本発明に係わる重合トナーの製造において使用される重合開始剤としては、重合反応時に半減期0.5〜30時間であるものを、重合性単量体100質量部に対し0.5〜20質量部の添加量で重合反応を行うと、分子量1万〜10万の間に極大を有する重合体を得、トナーに望ましい強度と適当な溶融特性を与えることができる。重合開始剤例としては、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系またはジアゾ系重合開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等の過酸化物系重合開始剤が挙げられる。
本発明に係わる重合トナーを製造する際は、架橋剤を添加しても良く、好ましい添加量としては、0.001〜15質量%である。
本発明に関わる重合トナーを製造する際は、分子量調整剤を使用することができる。分子量調整剤としては、例えば、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタンなどのメルカプタン類;四塩化炭素、四臭化炭素などのハロゲン化炭化水素類;α−メチルスチレンダイマーなどを挙げることができる。これらの分子量調整剤は、重合開始前あるいは重合途中に添加することができる。分子量調整剤は、重合性単量体100質量部に対して、通常、0.01〜10質量部、好ましくは0.1〜5質量部の割合で用いられる。
本発明に関わる重合トナーの製造方法では、一般に上述のトナー組成物、すなわち重合性単量体中に、スルホン酸基を有する重合体、離型剤、可塑剤、荷電制御剤、架橋剤、場合によって着色剤等トナーとして必要な成分及びその他の添加剤、例えば重合反応で生成する重合体の粘度を低下させるために入れる有機溶媒、高分子重合体、分散剤等を適宜加えて、ホモジナイザー、ボールミル、コロイドミル、超音波分散機等の分散機によって均一に溶解または分散せしめた単量体系を、分散安定剤を含有する水系媒体中に懸濁する。この時、高速撹拌機もしくは超音波分散機のような高速分散機を使用して一気に所望のトナー粒子のサイズとするほうが、得られるトナー粒子の粒径がシャープになる。重合開始剤添加の時期としては、重合性単量体中に他の添加剤を添加する時同時に加えても良いし、水系媒体中に懸濁する直前に混合しても良い。また、造粒直後、重合反応を開始する前に重合性単量体あるいは溶媒に溶解した重合開始剤を加えることもできる。
造粒後は、通常の撹拌機を用いて、粒子状態が維持され且つ粒子の浮遊・沈降が防止される程度の撹拌を行えば良い。
本発明に係わる重合トナーを製造する場合には、分散安定剤として公知の界面活性剤や有機あるいは無機分散剤が使用でき、中でも無機分散剤が有害な超微粉を生じ難く、その立体障害性により分散安定性を得ているので反応温度を変化させても安定性が崩れ難く、洗浄も容易でトナーに悪影響を与え難いので、好ましく使用できる。こうした無機分散剤の例としては、燐酸カルシウム、燐酸マグネシウム、燐酸アルミニウム、燐酸亜鉛等の燐酸多価金属塩、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、メタ硅酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の無機塩、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、シリカ、ベントナイト、アルミナ等の無機酸化物が挙げられる。
これらの無機分散剤は、重合性単量体100質量部に対して0.2〜20質量部を単独で使用しても良く、粒度分布を調整する目的で0.001〜0.1質量部の界面活性剤を併用しても良い。界面活性剤としては、例えばドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム等が挙げられる。
これら無機分散剤を用いる場合には、そのまま使用しても良いが、より細かい粒子を得るため、水系媒体中にて該無機分散剤粒子を生成させることができる。例えば、燐酸カルシウムの場合、高速撹拌下、燐酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液とを混合して、水不溶性の燐酸カルシウムを生成させることができ、より均一で細かな分散が可能となる。この時、同時に水溶性の塩化ナトリウム塩が副生するが、水系媒体中に水溶性塩が存在すると、重合性単量体の水への溶解が抑制されて、乳化重合による超微粒トナーが発生し難くなるので、より好都合である。重合反応終期に残存重合性単量体を除去する時には障害となることから、水系媒体を交換するか、イオン交換樹脂で脱塩したほうが良い。無機分散剤は、重合終了後酸あるいはアルカリで溶解して、ほぼ完全に取り除くことができる。
前記重合工程においては、重合温度は40℃以上、一般には50〜90℃の温度に設定して重合を行う。この温度範囲で重合を行うと、内部に封じられるべき離型剤やワックスの類が、相分離により析出して内包化がより完全となる。残存する重合性単量体を消費するために、重合反応終期ならば、反応温度を90〜150℃にまで上げることは可能である。重合トナー粒子は重合終了後、公知の方法によって濾過、洗浄、乾燥を行い、無機微粉体を混合し表面に付着させることで、トナーを得ることができる。また、製造工程に分級工程を入れ、粗粉や微粉をカットすることも、望ましい形態の一つである。
本発明のトナーを粉砕法により製造する場合は、公知の方法が用いられるが、例えば、結着樹脂、スルホン酸基を有する重合体、離型剤、荷電制御剤、場合によって着色剤等トナーとして必要な成分及びその他の添加剤等をヘンシェルミキサー、ボールミル等の混合器により十分混合してから加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーの如き熱混練機を用いて溶融混練して樹脂類をお互いに相溶せしめた中に磁性粉体等の他のトナー材料を分散又は溶解せしめ、冷却固化、粉砕後、分級、必要に応じて表面処理を行ってトナー粒子を得、必要に応じて微粉体等を添加混合することによって本発明のトナーを得ることができる。分級及び表面処理の順序はどちらが先でもよい。分級工程においては生産効率上、多分割分級機を用いることが好ましい。粉砕工程は、機械衝撃式、ジェット式等の公知の粉砕装置を用いた方法により行うことができる。本発明に係わる特定の円形度を有するトナーを得るためには、さらに熱をかけて粉砕したり、あるいは補助的に機械的衝撃を加える処理をすることが好ましい。また、微粉砕(必要に応じて分級)されたトナー粒子を熱水中に分散させる湯浴法や熱気流中を通過させる方法などを用いても良い。
機械的衝撃力を加える手段としては、例えば川崎重工社製のクリプトロンシステムやターボ工業社製のターボミル等の機械衝撃式粉砕機を用いる方法、また、ホソカワミクロン社製のメカノフュージョンシステムや奈良機械製作所製のハイブリダイゼーションシステム等の装置のように、高速回転する羽根によりトナーをケーシングの内側に遠心力により押しつけ、圧縮力・摩擦力等の力によりトナーに機械的衝撃力を加える方法が挙げられる。
機械的衝撃法を用いる場合においては、処理温度をトナーのガラス転移点Tg付近の温度(Tg±10℃)を加える熱機械的衝撃が、凝集防止や生産性の観点から好ましい。さらに好ましくは、トナーのガラス転移点Tg±5℃の範囲の温度で行うことが、転写効率を向上させるのに特に有効である。
さらにまた、本発明のトナーは、特公昭56−13945号公報等に記載のディスク又は多流体ノズルを用い溶融混合物を空気中に霧化し球状トナーを得る方法や、単量体には可溶で得られる重合体が不溶な水系有機溶剤を用い直接トナーを生成する分散重合方法又は水溶性極性重合開始剤存在下で直接重合しトナーを生成するソープフリー重合方法に代表される乳化重合方法等を用いトナーを製造する方法でも製造が可能である。
本発明のトナーを粉砕法により製造する場合の結着樹脂としては、ポリスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルブチラール、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、パラフィンワックス、カルナバワックスなどが単独或いは混合して使用できる。特に、スチレン系共重合体及びポリエステル樹脂が現像特性や定着性等の点で好ましい。
本発明のトナーは、流動化剤として平均一次粒子径4〜80nmの無機微粉末が、トナー全体に対し0.1〜4質量%添加されていることも非常に好ましい使用形態である。無機微粉末は、トナーの流動性改良及びトナー母粒子の帯電均一化のために添加されるが、無機微粉末を疎水化処理するなどの処理によってトナーの帯電量の調整、環境安定性の向上等の機能を付与することも好ましい。
無機微粉末の平均一次粒子径が80nmよりも大きい場合、良好なトナーの流動性が得られず、トナー粒子への帯電付与が不均一になり易く、低湿下での摩擦帯電性の不均一化につながるため、カブリの増大、画像濃度の低下あるいは耐久性の低下等の問題を避けられない。無機微粉末の平均一次粒径が4nmよりも小さい場合には、無機微粒子どうしの凝集性が強まり、一次粒子ではなく解砕処理によっても解れ難い強固な凝集性を持つ粒度分布の広い凝集体として挙動し易く、この凝集体の現像、像担持体或いはトナー担持体等を傷つけること、などによる画像欠陥を生じ易くなる。トナー粒子の帯電分布をより均一とするためには、無機微粉末の平均一次粒径は6〜35nmであることがより良い。
無機微粉末の平均一次粒子径は、走査型電子顕微鏡により拡大撮影したトナーの写真で、更に走査型電子顕微鏡に付属させたXMA等の元素分析手段によって無機微粉末の含有する元素でマッピングされたトナーの写真を対照しつつ、トナー表面に付着或いは遊離して存在している無機微粉末の一次粒子を100個以上測定し、個数平均径を求めることで測定法できる。
また、無機微粉末の含有量は、蛍光X線分析を用い、標準試料から作成した検量線を用いて定量できる。
本発明のトナーに添加する無機微粉末としては、シリカ,アルミナ,チタニアなどが使用できる。
例えば、シリカとしては、ケイ素ハロゲン化物の蒸気相酸化により生成されたいわゆる乾式法又はヒュームドシリカと称される乾式シリカ、及び水ガラス等から製造されるいわゆる湿式シリカの両者が使用可能であるが、表面及びシリカ微粉体の内部にあるシラノール基が少なく、またNa2O,SO3 2-等の製造残滓の少ない乾式シリカの方が好ましい。また乾式シリカにおいては、製造工程において例えば、塩化アルミニウム,塩化チタン等他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによって、シリカと他の金属酸化物の複合微粉体を得ることも可能でありそれらも包含する。
こういった平均一次粒径が4〜80nmの無機微粉末の添加量は、トナー母粒子100質量部に対して0.1〜4.0質量部であることが好ましく、添加量が0.1質量部未満ではその効果が十分ではなく、4.0質量部を超えると定着性が悪くなる。
無機微粉末は、疎水化処理されたものであることが高湿環境下での特性を向上させる点から好ましい。トナーに添加された無機微粉末が吸湿すると、トナーとしての帯電量が著しく低下し、現像性や転写性の低下が生じ易くなる。
疎水化処理の処理剤としては、シリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シラン化合物、シランカップリング剤、その他有機硅素化合物、有機チタン化合物の如き処理剤を単独で或いは併用して処理しても良い。
その中でも、シリコーンオイルにより処理したものが好ましく、より好ましくは、無機微粉末を疎水化処理すると同時或いは処理した後に、シリコーンオイルにより処理したものが高湿環境下でもトナー粒子の帯電量を高く維持し、選択現像性を低減する上でよい。
無機微粉末の処理条件としては、例えば第一段反応としてシリル化反応を行い表面の活性水素基を化学結合により消失させた後、第二段反応としてシリコーンオイルにより表面に疎水性の薄膜を形成することができる。シリル化剤の使用量としては、無機微粉末100質量部に対し5〜50質量部が好ましい。5質量部未満では無機微粒子表面の活性水素基を消失させるのに十分でなく、50質量部を超えると余分なシリル化剤どうしの反応で生成するシロキサン化合物が糊の役割となって無機微粒子どうしの凝集が起こり、画像欠陥を生じ易くなる。
上記シリコーンオイルは、25℃における粘度が10〜200,000mm2/sのものが、さらには3,000〜80,000mm2/sのものが好ましい。10mm2/s未満では、無機微粉末に安定性が無く、熱および機械的な応力により、画質が劣化する傾向がある。200,000mm2/sを超える場合は、均一な処理が困難になる傾向がある。
シリコーンオイルの処理方法としては、例えばシラン化合物で処理された無機微粉末とシリコーンオイルとをヘンシェルミキサー等の混合機を用いて直接混合してもよいし、無機微粉末にシリコーンオイルを噴霧する方法を用いてもよい。あるいは適当な溶剤にシリコーンオイルを溶解あるいは分散せしめた後、無機微粉末を加え混合し溶剤を除去する方法でもよい。無機微粉末の凝集体の生成が比較的少ない点で噴霧機を用いる方法がより好ましい。
シリコーンオイルの処理量は無機微粉末100質量部に対し1〜23質量部、好ましくは5〜20質量部が良い。シリコーンオイルの量が少なすぎると良好な疎水性が得られず、多すぎるとやはり無機微粒子の凝集が起こりやすい。
本発明のトナーには、クリーニング性向上等の目的で、一次粒径30nmを超える(好ましくは比表面積が50m2/g未満)、より好ましくは一次粒径50nm以上(好ましくは比表面積が30m2/g未満)の無機又は有機の球状に近い微粒子をさらに添加することも好ましい形態のひとつである。例えば球状シリカ粒子、球状ポリメチルシルセスキオキサン粒子、球状樹脂粒子等が好ましく用いられる。
本発明に用いられる現像剤には、実質的な悪影響を与えない範囲内で更に他の添加剤、例えばポリフッ化エチレン粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリフッ化ビニリデン粉末の如き滑剤粉末;あるいは酸化セリウム粉末、炭化硅素粉末、チタン酸ストロンチウム粉末などの研磨剤;あるいは例えば酸化チタン粉末、酸化アルミニウム粉末などの流動性付与剤;ケーキング防止剤;また、逆極性の有機微粒子及び無機微粒子を現像性向上剤として少量用いることもできる。これらの添加剤も表面を疎水化処理して用いることも可能である。
次に、本発明に用いる画像形成方法および装置ユニットに関して図面を用いて説明する。
本発明の画像形成方法における現像工程の条件としては、トナー担持体と静電潜像担持体である感光体表面とが接触しているいわゆる接触一成分現像法でも、非接触でトナーをトナー担持体から感光体へ飛翔させる非接触一成分現像法でもどちらにも適用することができ、特に限定されることはない。
本発明を、接触一成分現像方式でおこなう場合、トナー担持体としては弾性ローラーを用い、弾性ローラー表面等にトナーをコーティングしこれを感光体表面と接触させる方法を用いることができる。この場合、トナーを介して感光体と感光体表面に対向する弾性ローラー間に働く電界によって現像が行われる。従って弾性ローラー表面あるいは、表面近傍が電位をもち、感光体表面とトナー担持表面の狭い間隙で電界を有する必要性がある。このため、弾性ローラーの弾性ゴムが中抵抗領域に抵抗制御されて感光体表面との導通を防ぎつつ電界を保つか、または導電性ローラーの表面層に薄層の絶縁層を設ける方法も利用できる。さらには、導電性ローラー上に感光体表面に対向する側を絶縁性物質により被覆した導電性樹脂スリーブあるいは、絶縁性スリーブで感光体に対向しない側に導電層を設けた構成も可能である。また、トナー担持体として剛体ローラーを用い、感光体をベルトのごときフレキシブルな物とした構成も可能である。トナー担持体としての現像ローラーの抵抗としては102〜109Ω・cmの範囲が好ましい。
トナー担持体の表面形状としては、その表面粗度Ra(μm)を0.2〜3.0となるように設定すると、高画質及び高耐久性を両立できる。該表面粗度Raはトナー搬送能力及びトナー帯電能力と相関する。該トナー担持体の表面粗度Raが3.0を超えると、該トナー担持体上のトナー層の薄層化が困難となるばかりか、トナーの帯電性が改善されないので画質の向上は望めない。3.0以下にすることでトナー担持体表面のトナーの搬送能力を抑制し、該トナー担持体上のトナー層を薄層化すると共に、該トナー担持体とトナーの接触回数が多くなるため、該トナーの帯電性も改善されるので相乗的に画質が向上する。一方、表面粗度Raが0.2よりも小さくなると、トナーコート量の制御が難しくなる。
本発明において、トナー担持体の表面粗度Raは、JIS表面粗さ「JISB 0601」に基づき、表面粗さ測定器(サーフコーダSE−30H、株式会社小坂研究所社製)を用いて測定される中心線平均粗さに相当する。具体的には、粗さ曲線からその中心線の方向に測定長さaとして2.5mmの部分を抜き取り、この抜き取り部分の中心線をX軸、縦倍率の方向をY軸、粗さ曲線をy=f(x)で表したとき、次式によって求められる値をマイクロメートル(μm)で表したものを言う。
本発明の画像形成方法においては、トナー担持体は感光体の周速同方向に回転していてもよいし、逆方向に回転していてもよい。その回転が同方向である場合、トナー担持体の周速を感光体の周速に対し1.05〜3.0倍となるように設定することが好ましい。
トナー担持体の周速が、感光体の周速に対し1.05倍未満であると、感光体上のトナーの受ける撹拌効果が不十分となり、良好な画像品質が望めない。また、周速比が3.0を超える場合には、機械的ストレスによるトナーの劣化やトナー担持体へのトナー固着が発生・促進され、好ましくない。
感光体としては、a−Se、Cds、ZnO2、OPC、a−Siの様な光導電絶縁物質層を持つ感光ドラムもしくは感光ベルトが好適に使用される。OPC感光体における有機系感光層の結着樹脂は、特に限定するものではない。
中でもポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂が特に、転写性に優れ、感光体へのトナーの融着、外添剤のフィルミングが起こりにくいため好ましい。
次に本発明の画像形成方法を添付図面を参照しながら以下に説明する。
図1において、100は現像装置、109は感光体、105は紙などの被転写体、106は転写部材、107は定着用加圧ローラー、108は定着用加熱ローラー、110は感光体109に接触して直接帯電を行う一次帯電部材を示す。
一次帯電部材110には、感光体109表面を一様に帯電するようにバイアス電源115が接続されている。
現像装置100はトナー104を収容しており、感光体109と接触して矢印方向に回転するトナー担持体102を具備する。さらに、トナー量規制及び帯電付与のための現像ブレード101と、トナー104をトナー担持体102に付着させかつトナー担持体102との摩擦でトナーへの帯電付与を行うため矢印方向に回転する塗布ローラー103も備えている。トナー担持体102には現像バイアス電源117が接続されている。塗布ローラー103にも図示しないバイアス電源が接続されており、負帯電性トナーを使用する場合は現像バイアスよりも負側に、正帯電性トナーを使用する場合は現像バイアスよりも正側に電圧が設定される。
転写部材106には感光体109と反対極性の転写バイアス電源116が接続されている。
ここで、感光体109とトナー担持体102の接触部分における回転方向の長さ、いわゆる現像ニップ幅は0.2mm以上8.0mm以下が好ましい。0.2mm未満では現像量が不足して満足な画像濃度が得られず、転写残トナーの回収も不十分となる。8.0mmを超えてしまうと、トナーの供給量が過剰となり、カブリ抑制が悪化しやすく、また、感光体の摩耗にも悪影響を及ぼす。
トナー担持体としては、表面に弾性層を有する、いわゆる弾性ローラーが好ましく用いられる。
使用される弾性層の材料の硬度としては、30〜60度(asker−C/荷重1kg)のものが好適に使用される。
また、トナー担持体の抵抗としては、体積抵抗値で102〜109Ωcm程度の範囲が好ましい。102Ωcmよりも低い場合、例えば感光体109の表面にピンホール等がある場合、過電流が流れる恐れがある。反対に109Ωcmよりも高い場合は、摩擦帯電によるトナーのチャージアップが起こりやすく、画像濃度の低下を招きやすい。
トナー担持体上のトナーコート量は、0.1〜1.5mg/cm2が好ましい。0.1mg/cm2よりも少ないと十分な画像濃度が得にくく、1.5mg/cm2よりも多くなると個々のトナー粒子全てを均一に摩擦帯電することが難しくなり、カブリ抑制の悪化の要因となる。さらに、0.2〜0.9mg/cm2がより好ましい。
トナーコート量は現像ブレード101により制御されるが、この現像ブレード101はトナー層を介してトナー担持体102に接触している。この時の接触圧は、4.9〜49N/m(5〜50gf/cm)が好ましい範囲である。4.9N/mよりも小さいとトナーコート量の制御に加え均一な摩擦帯電も難しくなり、カブリ抑制の悪化等の原因となる。一方、49N/mよりも大きくなるとトナー粒子が過剰な負荷を受けるため、粒子の変形や現像ブレードあるいはトナー担持体へのトナーの融着等が発生しやすくなり、好ましくない。
規制部材の自由端部は、好ましいNE長を与える範囲であればどのような形状でもよく、例えば断面形状が直線状のもの以外にも、先端近傍で屈曲したL字形状のものや、先端近傍が球状に膨らんだ形状のもの等が好適に用いられる。
トナーコート量の規制部材としては、トナーを圧接塗布するための弾性ブレード以外にも、剛性のある金属ブレード等を用いても良い。
弾性の規制部材には、所望の極性にトナーを帯電させるのに適した摩擦帯電系列の材質を選択することが好ましく、シリコーンゴム、ウレタンゴム、NBRの如きゴム弾性体、ポリエチレンテレフタレートの如き合成樹脂弾性体、ステンレス、鋼、リン青銅の如き金属弾性体が使用できる。また、それらの複合体であっても良い。
また、弾性の規制部材とトナー担持体に耐久性が要求される場合には、金属弾性体に樹脂やゴムをスリーブ当接部に当たるように貼り合わせたり、コーティング塗布したものが好ましい。
更に、弾性の規制部材中に有機物や無機物を添加してもよく、溶融混合させても良いし、分散させても良い。例えば、金属酸化物、金属粉、セラミックス、炭素同素体、ウィスカー、無機繊維、染料、顔料、界面活性剤などを添加することにより、トナーの帯電性をコントロールできる。特に、弾性体がゴムや樹脂等の成型体の場合には、シリカ、アルミナ、チタニア、酸化錫、酸化ジルコニア、酸化亜鉛等の金属酸化物微粉末、カーボンブラック、一般にトナーに用いられる荷電制御剤等を含有させることも好ましい。
またさらに、規制部材に直流電場及び/または交流電場を印加することによっても、トナーへのほぐし作用のため、均一薄層塗布性、均一帯電性がより向上し、充分な画像濃度の達成及び良質の画像を得ることができる。
図1において、一次帯電部材110は、矢印方向に回転する感光体109を一様に帯電する。
ここで用いている一次帯電部材は、中心の芯金110bとその外周を形成した導電性弾性層110aとを基本構成とする帯電ローラーである。帯電ローラー110は、静電潜像担持体一面に押圧力を持って当接され、静電潜像担持体109の回転に伴い従動回転する。
帯電ローラーを用いたときの好ましいプロセス条件としては、ローラーの当接圧が4.9〜490N/m(5〜500gf/cm)であり、印加電圧としては直流電圧あるいは直流電圧に交流電圧を重畳したもの等が用いられ、特に限定されないが、本発明においては直流電圧のみの印加電圧が好適に用いられ、この場合の電圧値としては±0.2〜±5kVの範囲で使用される。
この他の帯電手段としては、帯電ブレードを用いる方法や、導電性ブラシを用いる方法がある。これらの接触帯電手段は、非接触のコロナ帯電に比べて、高電圧が不必要になったり、オゾンの発生が低減するといった効果がある。接触帯電手段としての帯電ローラーおよび帯電ブレードの材質としては、導電性ゴムが好ましく、その表面に離型性被膜を設けても良い。離型性被膜としては、ナイロン系樹脂、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PVDC(ポリ塩化ビニリデン)などが適用可能である。
一次帯電工程に次いで、発光素子からの露光123によって感光体109上に情報信号に応じた静電潜像を形成し、トナー担持体102と当接する位置においてトナーにより静電潜像を現像し可視像化する。さらに、本発明の画像形成方法において、特に感光体上にデジタル潜像を形成した現像システムと組み合わせることで、潜像を乱さないためにドット潜像に対して忠実に現像することが可能となる。該可視像は転写部材106により被転写体105に転写され、加熱ローラー108と加圧ローラー107の間を通過して定着され、永久画像を得る。なお、加熱加圧定着手段としては、ここに示したハロゲンヒーター等の発熱体を内蔵した加熱ローラーとこれと押圧力をもって圧接された弾性体の加圧ローラーを基本構成とする熱ローラー方式以外に、フィルムを介してヒーターにより加熱定着する方式も用いられる。
一方、転写されずに感光体109上に残った転写残トナーは、感光体109の表面に当接されるクリーニングブレードを有するクリーナー138で回収され、感光体109はクリーニングされる。
次に、本発明の特徴である、帯電立ち上がり性能や、カブリ発生の有無を決定づけるトナー特性を、直接的に測る有効な手法として、トナー担持体上における、トナーコート層の表面電位について説明する。
尚、本発明のトナー及び画像形成方法は、特にグロスモードと称する高光沢画像を出力するための、低速プロセススピードにおけるカブリ改善効果を狙ったものであり、上記効果の発現が明確に示せるように、同環境、つまり30℃・80%の高温高湿環境における、90mm/sec.の低速プロセススピードをモニターした帯電立ち上がり特性を計測する。実際、90mm/sec.のプロセススピードで画像を出力する場合、トナー担持体はその150%の速さである135mm/sec.のスピードで回転すると、適切な画像濃度が出力できるので、本発明の表面電位はトナー担持体周速で135mm/sec.における値と定義する。
本発明のトナーは、上記環境下におけるプロセス条件で、非磁性一成分現像方式におけるトナー担持体の回転開始10秒時の表面電位(i)が(i)=−5〜−45Vであり、60秒時の表面電位(ii)が(ii)=−5〜−50Vであり、かつ、該(i)と該(ii)の関係(i/ii)が(i/ii)=0.5〜1.3であることを特徴とする。更に好ましくは、該表面電位(i)が(i)=−7〜−40Vであり、該表面電位(ii)が(ii)=−7〜−45Vであり、かつ、該(i/ii)が(i/ii)=0.7〜1である。
回転開始10秒時における表面電位(i)が−5Vに満たない場合、現像し得るトナー層がトナー担持体上に十分に形成されておらず、安定した濃度が出力出来ず、電子写真システムに不適である。
一方、−45Vを超えると、帯電電位過多であり、トナー担持体上で過帯電トナー同士の静電反発によりコート面が乱れるため、ハーフトーン画像の均一性が悪くなる。
回転開始60秒時の表面電位(ii)が−5Vに満たなければ、トナーの帯電電位が不十分であり、背景部カブリ量が多く実用に耐えない。
一方、−50Vを超える場合は、帯電電位過多であり、コート面の乱れが発生して均一なハーフトーン画像の再現性が得られない。
10秒時の表面電位(i)と60秒時の表面電位(ii)の比(i/ii)が、0.5に満たない場合、トナー担持体上におけるコート量の安定性が乏しく、画像濃度の安定した階調再現性が得られない。
(i/ii)が1.3を越える場合は、回転開始の表面電位が一気に跳ね上がりその後電位が減衰していくプロファイルを示す為、トナー担持体上のコート量が不安定で、適切な画像濃度の階調再現性が得られない。
尚、表面電位の測定は、市販のレーザービームプリンタLBP−2510(キヤノン製)のカートリッジEP−85(キヤノン製)の現像器を空回転冶具にセットして、トナー担持体を周速135mm/sec.で回転したときの10秒時の値と60秒時の値を用いた。具体的には、サンプルトナーを200g詰め換え、高温高湿環境(温度30℃、湿度80%RH)で一晩放置し、トナー担持体に1mmのギャップでプローブを対向させ、表面電位計model344(Trek社製)を用いて帯電電位の立ち上がりを計測した。
メモリハイコーダ(日置電機株式会社製)に読み込ませた電位の立ち上がりの一例を図2に示す。(トナー担持体周速135mm/sec.で90秒間空回転を行った時のプロファイル。)。
次に、本発明のトナーを用いた画像形成方法及び装置ユニットに関して図面を用いて説明する。
図3および図4には、本発明の画像形成方法を中間転写体を用いて多重トナー像を記録材に一括転写する画像形成装置の概略図を示す。
図3には、本発明の画像形成方法を中間転写ドラムを用いて、多重トナー像を記録材に一括転写する画像形成装置の概略図を示す。
潜像担持体としての感光体ドラム1の表面に、帯電部材としての帯電バイアス電圧が印加された回転可能な帯電ローラー2を回転させながら接触させて、感光体ドラム表面を均一に一次帯電し、露光手段としての光源装置Lより発せられたレーザー光Eにより、感光体ドラム1上に第1の静電潜像を形成する。形成された第1の静電潜像は、回転可能なロータリーユニット10に設けられている第1の現像器としてブラック現像器4Bk中のブラックトナーにより現像され、ブラックトナー像を形成する。感光体ドラム1上に形成されたブラックトナー像は、中間転写ドラムの導電性支持体に印加される転写バイアス電圧の作用により、中間転写ドラム5上に静電的に一次転写される。次に、上記と同様にして感光体ドラム1の表面に第2の静電潜像を形成し、ロータリーユニット10を回転して、第2の現像器としてのイエロー現像器4Y中のイエロートナーにより現像してイエロートナー像を形成し、ブラックトナー像が一次転写されている中間転写ドラム5上にイエロートナー像を静電的に一次転写する。同様にして、第3の静電潜像及び第4の静電潜像をロータリーユニット10を回転して、第3の現像器としてのマゼンタ現像器4M中のマゼンタトナー及び第4の現像器としてシアン現像器4C中のシアントナーにより、順次現像及び一次転写を行って、中間転写ドラム5上に各色のトナー像をそれぞれ一次転写する。中間転写ドラム5上に一次転写された多重トナー像は、記録材Pを介して反対側に位置する第2の転写装置8からの転写バイアス電圧の作用により、記録材Pの上に静電的に一括に二次転写される。記録材P上に二次転写された多重トナー像は加熱ローラー及び加圧ローラーを有する定着装置9により記録材Pに加熱定着される。転写後に感光体ドラム1の表面上に残存する転写残トナーは、感光体ドラム1の表面に当接するクリーニングブレードを有するクリーナーで回収され、感光体ドラム1はクリーニングされる。
感光体ドラム1から中間転写ドラム5への一次転写は、第1の転写装置としての中間転写ドラム5の導電性支持体に、図示しない電源よりバイアスを付与することで転写電流が得られ、トナー画像の転写が行われる。
中間転写ドラム5は、剛体である導電性支持体5aと、表面を覆う弾性層5bよりなる。
導電性支持体5aとしては、アルミニウム、鉄、銅及びステンレス等の金属や合金、及びカーボンや金属粒子等を分散した導電性樹脂等を用いることができ、その形状としては円筒状や、円筒の中心に軸を貫通したもの、円筒の内部に補強を施したもの等が挙げられる。
弾性層5bとしては、特に制約されるものではないが、スチレン−ブタジエンゴム、ハイスチレンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、エチレン−プロピレン共重合体、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム、ブチルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ニトリルゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム、エピクロロヒドリンゴム及びノルボルネンゴム等のエラストマーゴムが好適に用いられる。ポリオレフィン系樹脂、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂、ポリカーボネート等の樹脂およびこれらの共重合体や混合物を用いても良い。
また、弾性層のさらに表面に、潤滑性、はっ水性の高い滑剤粉体を任意のバインダー中に分散した表面層を設けても良い。
滑剤は特に制限はないが、各種フッ素ゴム、フッ素エラストマー、黒鉛やグラファイトにフッ素を結合したフッ化炭素及びポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニルデン(PVDF)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)及びテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)等のフッ素化合物、シリコーン樹脂粒子、シリコーンゴム、シリコーンエラストマー等のシリコーン系化合物、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂及びエポキシ樹脂等が好ましく用いられる。
また、表面層のバインダー中に、抵抗を制御するために導電剤を適時添加しても良い。導電剤としては、各種の導電性無機粒子及びカーボンブラック、イオン系導電剤、導電性樹脂及び導電性粒子分散樹脂等が挙げられる。
中間転写ドラム5上の多重トナー像は、第2の転写装置8により記録材P上に一括に二次転写されるが、転写手段8としてはコロナ帯電器による非接触静電転写手段或いは転写ローラー及び転写ベルトを用いた接触静電転写手段が使用可能である。
定着装置9としては、加熱ローラー9aと加圧ローラー9bを有する熱ローラー定着装置に替えて、記録材P上のトナー像に接するフィルムを加熱することにより、記録材P上のトナー像を加熱し、記録材Pに多重トナー像を加熱定着するフィルム加熱定着装置を用いることもできる。
図3に示した画像形成装置が用いている中間転写体としての中間転写ドラムに代えて、中間転写ベルトを用いて多重トナー像を記録材に一括転写することも可能である。中間転写ベルトの構成について、図4に示す。
感光ドラム1上に形成担持されたトナー画像は、感光ドラム1と中間転写ベルト40とのニップ部を通過する過程で、一次転写ローラー42から中間転写ベルト40に印加される一次転写バイアスにより形成される電界により、中間転写ベルト40の外周面に順次一次転写される。
感光ドラム1から中間転写ベルト40への第1〜第4色のトナー画像の順次重畳転写のための一次転写バイアスは、トナーとは逆極性で、バイアス電源44から印加される。
感光ドラム1から中間転写ベルト40への第1〜第3色のトナー画像の一次転写工程において、二次転写ローラー43b及び中間転写ベルトクリーナー49は中間転写ベルト40から離間することも可能である。
43bは二次転写ローラーで、二次転写対向ローラー43aに対応し平行に軸受させて中間転写ベルト40の下面部に離間可能な状態に配設してある。
中間転写ベルト40上に転写された合成カラートナー画像の転写材Pへの転写は、二次転写ローラー43bが中間転写ベルト40に当接されると共に、中間転写ベルト40と二次転写ローラー43bとの当接ニップに所定のタイミングで転写材Pが給送され、二次転写バイアスがバイアス電源46から二次転写ローラー43bに印加される。この二次転写バイアスにより中間転写ベルト40から転写材Pへ合成カラートナー画像が二次転写される。
転写材Pへの画像転写終了後、中間転写ベルト40にはクリーニング用帯電部材49が当接され、感光ドラム1とは逆極性のバイアスをバイアス電源45から印加することにより、転写材Pに転写されずに中間転写ベルト40上に残留しているトナー(転写残トナー)に感光ドラム1と逆極性の電荷が付与される。
前記転写残トナーは、感光ドラム1とのニップ部およびその近傍において感光ドラム1に静電的に転写されることにより、中間転写体がクリーニングされる。
中間転写ベルトは、ベルト形状の基層と基層の上に設けられる表面処理層よりなる。なお、表面処理層は複数の層により構成されていても良い。
基層及び表面処理層には、ゴム、エラストマー、樹脂を使用することができる。例えばゴム、エラストマーとしては、天然ゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレンターポリマー、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、アクリロニトリルブタジエンゴム、ウレタンゴム、シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン、エピクロロヒドリンゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、多硫化ゴム、ポリノルボルネンゴム、水素化ニトリルゴム及び熱可塑性エラストマー(例えばポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリアミド系、ポリエステル系及びフッ素樹脂系等)等からなる群より選ばれる1種類あるいは2種類以上を使用することができる。ただし、上記材料に限定されるものではない。また、樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂、ポリカーボネート等の樹脂を使用することができる。これら樹脂の共重合体や混合物を用いても良い。
基層としては上述のゴム、エラストマー、樹脂をフィルム状にして使用することができる。また、これらの物質を、織布形状、不織布形状、糸状、フィルム形状をした芯体層の片面あるいは両面に上述のゴム、エラストマー、樹脂を被覆、浸漬、噴霧したものを使用しても良い。
芯体層を構成する材料は、例えば綿、絹、麻及び羊毛等の天然繊維;キチン繊維、アルギン酸繊維及び再生セルロース繊維等の再生繊維;アセテート繊維等の半合成繊維;ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、ポリオレフィン繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、ポリウレタン繊維、ポリアルキルパラオキシベンゾエート繊維、ポリアセタール繊維、アラミド繊維、ポリフロロエチレン繊維及びフェノール繊維等の合成繊維;炭素繊維、硝子繊維及びボロン繊維等の無機繊維;鉄繊維及び銅繊維等の金属繊維からなる群より選ばれる1種あるいは2種以上を用いることができる。もちろん、上記材料に限定されるものではない。
さらに、中間転写体の抵抗値を調節するために基層および表面処理層中に導電剤を添加しても良い。導電剤としては特に限定されるものではないが、例えば、カーボン、アルミニウムやニッケル等の金属粉末、酸化チタン等の金属酸化物、及び4級アンモニウム塩含有ポリメタクリル酸メチル、ポリビニルアニリン、ポリビニルピロール、ポリジアセチレン、ポリエチレンイミン、含硼素高分子化合物及びポリピロール等の導電性高分子化合物等からなる群より選ばれる1種あるいは2種以上を用いることができる。ただし、上記導電剤に限定されるものではない。
また、中間転写体表面の滑り性を上げ、転写性を向上するために必要に応じて滑剤を添加しても良い。
滑剤は特に制限はないが、各種フッ素ゴム、フッ素エラストマー、黒鉛やグラファイトにフッ素を結合したフッ化炭素及びポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニルデン(PVDF)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)及びテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)等のフッ素化合物、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、シリコーンエラストマー等のシリコーン系化合物、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂及びエポキシ樹脂等が好ましく用いられる。
次に、複数画像形成部にて各色のトナー画像をそれぞれ形成し、これを同一転写材に順次重ねて転写するようにした画像形成方法を図5をもとに説明する。
ここでは、第1,第2,第3および第4の画像形成部29a,29b,29c,29dが並設されており、各画像形成部はそれぞれ専用の静電潜像保持体、いわゆる感光ドラム19a,19b,19cおよび19dを具備している。
感光ドラム19a乃至19dはその外周側に潜像形成手段23a,23b,23cおよび23d、現像部17a,17b,17cおよび17d、転写用放電部24a,24b,24cおよび24d、ならびにクリーニング部18a,18b,18cおよび18dが配置されている。
このような構成にて、先ず、第1画像形成部29aの感光ドラム19a上に潜像形成手段23aによって原稿画像における、例えばイエロー成分色の潜像が形成される。該潜像は現像手段17aのイエロートナーを有する現像剤で可視画像とされ、転写部24aにて、転写材としての記録材Sに転写される。
上記のようにイエロー画像が転写材Sに転写されている間に、第2画像形成部29bではマゼンタ成分色の潜像が感光ドラム19b上に形成され、続いて現像手段17bのマゼンタトナーを有する現像剤で可視画像とされる。この可視画像(マゼンタトナー像)は、上記の第1画像形成部29aでの転写が終了した転写材Sが転写部24bに搬入されたときに、該転写材Sの所定位置に重ねて転写される。
以下、上記と同様な方法により第3,第4の画像形成部29c,29dによってシアン色,ブラック色の画像形成が行なわれ、上記同一の転写材Sに、シアン色,ブラック色を重ねて転写するのである。このような画像形成プロセスが終了したならば、転写材Sは定着部22に搬送され、転写材S上の画像を定着する。これによって転写材S上には多色画像が得られるのである。転写が終了した各感光ドラム19a,19b,19cおよび19dはクリーニング部18a,18b,18cおよび18dにより残留トナーを除去され、引き続き行なわれる次の潜像形成のために供せられる。
なお、上記画像形成装置では、転写材としての記録材Sの搬送のために、搬送ベルト25が用いられており、図5において、転写材Sは右側から左側へ搬送され、その搬送過程で、各画像形成部29a,29b,29cおよび29dにおける各転写部24a,24b,24cおよび24dを通過し、転写をうける。
この画像形成方法において、転写材を搬送する搬送手段として加工の容易性及び耐久性の観点からテトロン(登録商標)繊維のメッシュを用いた搬送ベルトおよびポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリイミド系樹脂、ウレタン系樹脂の如き薄い誘電体シートを用いた搬送ベルトが利用される。
転写材Sが第4画像形成部29dを通過すると、AC電圧が除電器20に加えられ、転写材Sは除電され、ベルト25から分離され、その後、定着器22に入り、画像定着され、排出口26から排出される。
なお、この画像形成方法では、その画像形成部にそれぞれ独立した静電潜像保持体を具備しており、転写材はベルト式の搬送手段で、順次、各静電潜像保持体の転写部へ送られるように構成してもよい。
また、この画像形成方法では、その画像形成部に共通する静電潜像保持体を具備してなり、転写材は、ドラム式の搬送手段で、静電潜像保持体の転写部へ繰返し送られて、各色の転写をうけるように構成してもよい。
しかしながら、この搬送ベルトでは、体積抵抗が高いため、カラー画像形成装置におけるように、数回の転写を繰り返す過程で、搬送ベルトが帯電量を増加させて行く。このため、各転写の都度、転写電流を順次増加させないと、均一な転写を維持できない。
本発明トナーは転写性が優れているので、転写を繰返す毎に搬送手段の帯電が増しても、同じ転写電流で各転写におけるトナーの転写性を均一化でき、良質な高品位画像が得られることになる。
図6は、中間転写ドラムを用い中間転写ドラム上に一次転写された4色のカラートナー画像を記録材に一括して二次転写する際の二次転写手段として、転写ベルトを用いた画像形成装置の説明図である。
図6に示す装置システムにおいて、現像器244−1、244−2、244−3、244−4に、それぞれシアントナーを有する現像剤、マゼンタトナーを有する現像剤、イエロートナーを有する現像剤及びブラックトナーを有する現像剤が導入され、感光体241に形成された静電荷像を現像し、各色トナー像が感光体241上に形成される。感光体241はa−Se、Cds、ZnO2、OPC、a−Siの様な光導電絶縁物質層を持つ感光ドラムもしくは感光ベルトである。感光体241は図示しない駆動装置によって矢印方向に回転される。
感光体241としては、アモルファスシリコン感光層、又は有機系感光層を有する感光体が好ましく用いられる。
有機感光層としては、感光層が電荷発生物質及び電荷輸送性能を有する物質を同一層に含有する、単一層型でもよく、又は、電荷輸送層を電荷発生層を成分とする機能分離型感光層であっても良い。導電性基体上に電荷発生層、次いで電荷輸送層の順で積層されている構造の積層型感光層は好ましい例の一つである。
有機感光層の結着樹脂はポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂が特に、転写性、クリーニング性が良く、クリーニング不良、感光体へのトナーの融着、外添剤のフィルミングが起こりにくい。
帯電工程では、コロナ帯電器を用いる感光体241とは非接触である方式と、ローラー等を用いる接触型の方式がありいずれのものも用いられる。効率的な均一帯電、シンプル化、低オゾン発生化のために図6に示す如く接触方式のものが好ましく用いられる。
帯電ローラー242は、中心の芯金242bとその外周を形成した導電性弾性層242aとを基本構成とするものである。帯電ローラー242は、感光体241面に押圧力をもって圧接され、感光体241の回転に伴い従動回転する。
帯電ローラーを用いた時の好ましいプロセス条件としては、ローラーの当接圧が4.9〜490N/m(5〜500gf/cm)で、直流電圧に交流電圧を重畳したものを用いた時には、交流電圧=0.5〜5kVpp、交流周波数=50Hz〜5kHz、直流電圧=±0.2〜±1.5kVであり、直流電圧を用いた時には、直流電圧=±0.2〜±5kVである。
この他の帯電手段としては、帯電ブレードを用いる方法や、導電性ブラシを用いる方法がある。これらの接触帯電手段は、高電圧が不必要になったり、オゾンの発生が低減するといった効果がある。
接触帯電手段としての帯電ローラー及び帯電ブレードの材質としては、導電性ゴムが好ましく、その表面に離型性被膜をもうけても良い。離型性被膜としては、ナイロン系樹脂、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PVDC(ポリ塩化ビニリデン)などが適用可能である。
感光体上のトナー像は、電圧(例えば、±0.1〜±5kV)が印加されている中間転写ドラム245に転写される。転写後の感光体表面は、クリーニングブレード248を有するクリーニング手段249でクリーニングされる。
中間転写ドラム245は、パイプ状の導電性芯金245bと、その外周面に形成した中抵抗の弾性体層245aからなる。芯金245bは、プラスチックのパイプに導電性メッキをほどこしたものでも良い。
中抵抗の弾性体層245aは、シリコーンゴム、テフロン(登録商標)ゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、EPDM(エチレンプロピレンジエンの3元共重合体)などの弾性材料に、カーボンブラック、酸化亜鉛、酸化スズ、炭化ケイ素の如き導電性付与材を配合分散して電気抵抗値(体積抵抗率)を105〜1011Ω・cmの中抵抗に調整した、ソリッドあるいは発泡肉質の層である。
中間転写ドラム245は感光体241に対して並行に軸受けさせて感光体241の下面部に接触させて配設してあり、感光体241と同じ周速度で矢印の反時計方向に回転する。
感光体241の面に形成担持された第1色のトナー像が、感光体241と中間転写ドラム245とが接する転写ニップ部を通過する過程で中間転写ドラム245に対する印加転写バイアスで転写ニップ域に形成された電界によって、中間転写ドラム245の外面に対して順次に中間転写されていく。
必要により、着脱自在なクリーニング手段280により、転写材へのトナー像の転写後に、中間転写ドラム245の表面がクリーニングされる。中間転写ドラム上にトナー像がある場合、トナー像を乱さないようにクリーニング手段280は、中間転写体表面から離される。
中間転写ドラム245に対して並行に軸受けさせて中間転写ドラム245の下面部に接触させて転写手段が配設され、転写手段247は例えば転写ローラー又は転写ベルトであり、中間転写ドラムと同じ周速度で矢印の時計方向に回転する。転写手段は直接中間転写ドラムと接触するように配設されていても良く、またベルト等が中間転写ドラムと転写手段との間に接触するように配置されても良い。
転写ローラーの場合、中心の芯金とその外周を形成した導電性弾性層とを基本構成とするものである。
中間転写ドラム及び転写ローラーとしては、一般的な材料を用いることが可能である。中間転写ドラムの弾性層の体積固有抵抗値よりも転写ローラーの弾性層の体積固有抵抗値をより小さく設定することで転写ローラーへの印加電圧が軽減でき、転写材上に良好なトナー像を形成できると共に転写材の中間転写体への巻き付きを防止することができる。特に中間転写体の弾性層の体積固有抵抗値が転写ローラーの弾性層の体積固有抵抗値より10倍以上であることが特に好ましい。
中間転写ドラム及び転写ローラーの硬度は、JIS K−6301に準拠し測定される。本発明に用いられる中間転写ドラムは、10〜40度の範囲に属する弾性層から構成されることが好ましく、一方、転写ローラーの弾性層の硬度は、中間転写ドラムの弾性層の硬度より硬く41〜80度の値を有するものが中間転写ドラムへの転写材の巻き付きを防止する上で好ましい。中間転写ドラムと転写ローラーの硬度が逆になると、転写ローラー側に凹部が形成され、中間転写ドラムへの転写材の巻き付きが発生しやすい。
図6では中間転写ドラム245の下方には、転写ベルト247が配置されている。転写ベルト247は、中間転写ドラム245の軸に対して並行に配置された2本のローラー、すなわちバイアスローラー247aとテンションローラー247cに掛け渡されており、駆動手段(不図示)によって駆動される。転写ベルト247は、テンションローラー247c側を中心にしてバイアスローラー247a側が矢印方向に移動可能に構成されていることにより、中間転写ドラム245に対して下方から矢印方向に接離することができる。バイアスローラー247aには、二次転写バイアス源247dによって所望の二次転写バイアスが印加されており、一方、テンションローラー247cは接地されている。
次に、転写ベルト247であるが、本実施の形態では、熱硬化性ウレタンエラストマーにカーボンを分散させ厚さ約300μm、体積抵抗率108〜1012Ω・cm(1kV印加時)に制御した上に、フッ素ゴム20μm、体積抵抗率1015Ω・cm(1kV印加時)に制御したゴムベルトを用いた。その外径寸法は周長80×幅300mmのチューブ形状である。
上述の転写ベルト247は、前述のバイアスローラー247aとテンションローラー247cによって約5%延ばす張力印加がなされている。
転写手段247は中間転写ドラム245と等速度或は周速度に差をつけて回転させる。転写材246は中間転写ドラム245と転写手段247との間に搬送されると同時に、転写手段247にトナーが有する摩擦電荷と逆極性のバイアスを二次転写バイアス源247dから印加することによって、中間転写ドラム245上のトナー像が転写材246の表面側に転写される。
転写用回転体の材質としては、帯電ローラーと同様のものも用いることができ、好ましい転写のプロセス条件としては、ローラーの当接圧が4.9〜490N/m(5〜500gf/cm)で、直流電圧が±0.2〜±10kVである。
例えば、バイアスローラー247aの導電性弾性層247a1はカーボン等の導電材を分散させたポリウレタン、エチレン−プロピレン−ジエン系三元共重合体(EPDM)等の体積抵抗106〜1010Ωcm程度の弾性体でつくられている。芯金247a2には定電圧電源によりバイアスが印加されている。バイアス条件としては、±0.2〜±10kVが好ましい。
次いで転写材246は、ハロゲンヒータ等の発熱体を内蔵させた加熱ローラーとこれと押圧力をもって圧接された弾性体の加圧ローラーとを基本構成とする定着器281へ搬送され、加熱ローラーと加圧ローラー間を通過することによってトナー像が転写材に加熱加圧定着される。フィルムを介してヒータにより定着する方法を用いても良い。