JP2006106290A - 防眩性フィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 防眩層と、この防眩層の少なくとも一方の面に形成された低屈折率の樹脂層とで構成された防眩性フィルムであって、散乱光プロファイルにおける出射角0°の光強度(I0)に対する出射角30°の散乱光強度(I30)の比(I30/I0)が、0.00001〜0.001%の範囲にある防眩性フィルムを調製する。前記防眩層は、少なくとも1つのポリマーと少なくとも1つの硬化性樹脂前駆体とで構成された層であって、前記ポリマー及び前駆体のうち少なくとも2つの成分が、液相相分離しているとともに、前記前駆体が硬化していてもよい。
【選択図】 なし
Description
防眩性フィルムは、少なくとも防眩層及び低屈折率の樹脂層(低屈折率層)で構成されている。
前記防眩層は相分離構造を有しており、この相分離構造は、液相からの相分離(湿式相分離)により形成されている。すなわち、ポリマーと硬化性樹脂前駆体と溶媒とで構成された本発明の樹脂組成物を用い、この樹脂組成物の液相(又は均一溶液やその塗布層)から、溶媒を乾燥などにより蒸発又は除去する過程で、濃度の濃縮に伴って、相分離が生じ、相間距離が比較的規則的な相分離構造を形成できる。より具体的には、前記湿式相分離は、通常、少なくとも1つのポリマーと少なくとも1つの硬化性樹脂前駆体と溶媒とを含む混合液又は樹脂組成物(均一溶液)を支持体にコーティングし、塗布層から溶媒を蒸発させることにより行うことができる。また、相分離の方法は、スピノーダル分解や核生成など、特に限定されないが、より均一な凹凸構造を形成し易い点から、スピノーダル分解が特に好ましい。さらに、前記防眩層は、乾燥の過程で細胞状回転対流の発生により、塗膜表面が隆起されて、表面に規則的又は周期的な凹凸形状が形成されていてもよい。
ポリマー成分としては、通常、熱可塑性樹脂が使用される。熱可塑性樹脂としては、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、有機酸ビニルエステル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、オレフィン系樹脂(脂環式オレフィン系樹脂を含む)、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、ポリスルホン系樹脂(ポリエーテルスルホン、ポリスルホンなど)、ポリフェニレンエーテル系樹脂(2,6−キシレノールの重合体など)、セルロース誘導体(セルロースエステル類、セルロースカーバメート類、セルロースエーテル類など)、シリコーン樹脂(ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサンなど)、ゴム又はエラストマー(ポリブタジエン、ポリイソプレンなどのジエン系ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴムなど)などが例示できる。これらの熱可塑性樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
重合性化合物(ii)の反応性基:エポキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基、イソシアネート基
(i-2)熱可塑性樹脂(i)の反応性基:ヒドロキシル基
重合性化合物(ii)の反応性基:カルボキシル基又はその酸無水物基、イソシアネート基
(i-3)熱可塑性樹脂(i)の反応性基:アミノ基
重合性化合物(ii)の反応性基:カルボキシル又はその酸無水物基、エポキシ基、イソシアネート基
(i-4)熱可塑性樹脂(i)の反応性基:エポキシ基
重合性化合物(ii)の反応性基:カルボキシル基又はその酸無水物基、アミノ基。
硬化性樹脂前駆体としては、熱や活性エネルギー線(紫外線や電子線など)などにより反応する官能基を有する化合物であり、熱や活性エネルギー線などにより硬化又は架橋して樹脂(特に硬化又は架橋樹脂)を形成可能な種々の硬化性化合物が使用できる。
低屈折率層は、低屈折率樹脂で構成されている。低屈折率層を前記防眩層の少なくとも一方の面に積層することにより、光学部材などにおいて、低屈折率層を最表面となるように配設した場合などに、外部からの光(外部光源など)が、防眩性フィルムの表面で反射するのを有効に防止できる。
透明支持体(又は基材シート)としては、ガラス、セラミックスの他、樹脂シートが例示できる。透明支持体を構成する樹脂としては、前記防眩層と同様の樹脂が使用できる。好ましい透明支持体としては、透明性ポリマーフィルム、例えば、セルロース誘導体[セルローストリアセテート(TAC)、セルロースジアセテートなどのセルロースアセテートなど]、ポリエステル系樹脂[ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリアリレート系樹脂など]、ポリスルホン系樹脂[ポリスルホン、ポリエーテルスルホン(PES)など]、ポリエーテルケトン系樹脂[ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)など]、ポリカーボネート系樹脂(PC)、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、環状ポリオレフィン系樹脂[アートン(ARTON)、ゼオネックス(ZEONEX)など]、ハロゲン含有樹脂(ポリ塩化ビニリデンなど)、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂(ポリスチレンなど)、酢酸ビニル又はビニルアルコール系樹脂(ポリビニルアルコールなど)などで形成されたフィルムが挙げられる。透明支持体は1軸又は2軸延伸されていてもよいが、光学的に等方性であるのが好ましい。好ましい透明支持体は、低複屈折率の支持シート又はフィルムである。光学的に等方性の透明支持体には、未延伸シート又はフィルムが例示でき、例えば、ポリエステル(PET、PBTなど)、セルロースエステル類、特にセルロースアセテート類(セルロースジアセテート、セルローストリアセテートなどのセルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどのセルロースアセテートC3-4有機酸エステル)などで形成されたシート又はフィルムが例示できる。二次元的構造の支持体の厚みは、例えば、5〜2000μm、好ましくは15〜1000μm、さらに好ましくは20〜500μm程度の範囲から選択できる。
前記低反射防眩層は、防眩性が高いだけでなく光散乱性も高い。特に、透過光を等方的に透過して散乱させながら、特定の角度範囲での散乱強度を大きくできる。さらに、透過像の鮮明性も高い。また、低屈折率層の表面では、外光反射を効率よく防止できる。そのため、本発明の防眩性フィルムは、光学部材等の用途に適しており、前記支持体を、種々の光学部材を形成するための透明ポリマーフィルムで構成することもできる。透明ポリマーフィルムと組み合わせて得られた防眩性フィルムは、そのまま光学部材として用いてもよく、光学要素(例えば、偏光板、位相差板、導光板などの光路内に配設される種々の光学要素)と組み合わせて光学部材を形成してもよい。すなわち、光学要素の少なくとも一方の光路面に前記防眩性フィルムを配設又は積層してもよい。例えば、前記位相差板の少なくとも一方の面に防眩性フィルムを積層してもよく、導光板の出射面に防眩性フィルムを配設又は積層してもよい。
(防眩層の製造方法)
このような透過散乱特性を有する防眩性フィルムは、ポリマーの種類や割合を選択することにより調製することができる。例えば、まず、安定した液液相分離を行うポリマーとしてセルロース誘導体(特にセルロースアセテートプロピオネートなどの脂肪族C1-6有機酸エステル)を用いること、さらに、そのセルロース誘導体の配合比を、防眩層を形成する固形分のうちの5〜10重量%(好ましくは6〜10重量%、さらに好ましくは7〜10重量%)に抑制し、液液相分離による防眩層を形成し、低屈折率層をコートすることにより調製できる。特に、セルロース誘導体の配合において、硬化反応に関与する官能基を有するポリマー(エポキシ基を有する(メタ)アクリル系樹脂など)や硬化性樹脂前駆体(多官能性(メタ)アクリル系単量体など)などの硬化性成分と、セルロース誘導体(特に、セルロースアセテートプロピオネートなどの脂肪族C1-6有機酸エステル)との割合(重量比)が、例えば、硬化性成分/セルロース誘導体=90/10〜95/5、好ましくは90/10〜94/6、さらに好ましくは90/10〜93/7程度であるのが好ましい。なお、その機構については未解明であるが、セルロース誘導体の配合比を調節することにより、防眩層の表面形状が制御され、例えば、出射角30°の方向へ散乱するような表面の凹凸形状が消失すると推定される。
低屈折率層の形成方法は、特に制限されず、前記防眩層上に、少なくとも前記樹脂系材料で構成された層を形成できればよいが、通常、前記防眩層上に、低屈折率成分を含む塗工液を塗布又は流延し、熱又は活性光線などにより塗膜を硬化させることにより低屈折率層を形成できる。
本発明の防眩性フィルムは、外光の映り込みを高度に防止でき、かつ呆けのないシャープな画像を表示できるため、テレビジョン(TV)、パーソナルコンピュータなどに含まれる各種画像表示装置に利用でき、画像表示装置のディスプレイの最表層に用いるのが好ましい。画像表示装置としては、例えば、液晶表示(LCD)装置、プラズマディスプレイパネル、タッチパネル付き表示装置、有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置、陰極管表示装置などが挙げられる。これらの表示装置は、前記防眩性フィルムや光学部材(特に偏光板と防眩性フィルムとの積層体など)を光学要素として備えている。特に、高精細表示装置であっても、外光の映り込みを高度に防止でき、かつ呆けのないシャープな画像を表示できるため、液晶表示装置に好ましく使用できる。
側鎖に重合性不飽和基を有するアクリル樹脂[(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体のカルボキシル基の一部に、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチルアクリレートを付加させた化合物;ダイセル化学工業(株)製、サイクロマーP(ACA)320M、固形分49.6重量%]5.04重量部、セルロースアセテートプロピオネート(アセチル化度=2.5%、プロピオニル化度=46%、ポリスチレン換算数平均分子量75000;イーストマン社製、CAP−482−20)0.9重量部、多官能アクリル系UV硬化モノマー(ダイセル・ユ−シービー(株)製、DPHA)6.4重量部、光開始剤(チバスペシャルティーケミカルズ社製、イルガキュア184)0.2重量部をメチルエチルケトン(MEK)20重量部、シクロヘキサノン5重量部に溶解した。この溶液を、ワイヤーバー#24を用いてトリアセチルセルロースフィルム上に流延した後、70℃の防爆オーブン内で2分間放置し、溶媒を蒸発させて厚さ約9μmのコート層を形成させた。そして、コート層に、メタルハライドランプ(アイグラフィックス社製)からの紫外線を約30秒間照射することによりUV硬化処理し、ハードコート性および表面凹凸構造を有する防眩層を形成した。低屈折率層として、熱硬化性含フッ素化合物塗工液(日産化学(株)製、LR−202B、固形分1重量%)をワイヤーバー#5を用いて塗布し、乾燥後、90℃で5分間熱硬化させた。
側鎖に重合性不飽和基を有するアクリル樹脂[(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体のカルボキシル基の一部に、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチルアクリレートを付加させた化合物;ダイセル化学工業(株)製、サイクロマーP(ACA)320M、固形分49.6重量%]5.54重量部、セルロースアセテートプロピオネート(アセチル化度=2.5%、プロピオニル化度=46%、ポリスチレン換算数平均分子量75000;イーストマン社製、CAP−482−20)0.8重量部、多官能アクリル系UV硬化モノマー(ダイセル・ユ−シービー(株)製、EB220)6.45重量部、光開始剤(チバスペシャルティーケミカルズ社製、イルガキュア184)0.2重量部をMEK25重量部、1−メチル−2−プロパノール3重量部に溶解した。この溶液を、ワイヤーバー#26を用いてトリアセチルセルロースフィルム上に流延した後、室温中で10秒間整地した後、80℃の防爆オーブン内で1分間放置し、溶媒を蒸発させて厚さ約9μmのコート層を形成させた。そして、コート層に、メタルハライドランプ(アイグラフィックス社製)からの紫外線を約30秒間照射することによりUV硬化処理し、ハードコート性および表面凹凸構造を有する防眩層を形成した。低屈折率層として、熱硬化性含フッ素化合物塗工液(日産化学(株)製、LR202B、固形分1重量%)をワイヤーバー#5を用いて塗布し、乾燥後、90℃で5分間熱硬化させた。
側鎖に重合性不飽和基を有するアクリル樹脂[(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体のカルボキシル基の一部に、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチルアクリレートを付加させた化合物;ダイセル化学工業(株)製、サイクロマーP(ACA)320M、固形分49.6重量%]5.65重量部、セルロースアセテートプロピオネート(アセチル化度=2.5%、プロピオニル化度=46%、ポリスチレン換算数平均分子量75000;イーストマン社製、CAP−482−20)1.2重量部、多官能アクリル系UV硬化モノマー(ダイセル・ユ−シービー(株)製、DPHA)6重量部、光開始剤(チバスペシャルティーケミカルズ社製、イルガキュア184)0.53重量部をテトラヒドロフラン37.15重量部に溶解した。この溶液を、ワイヤーバー#24を用いてトリアセチルセルロースフィルム(富士写真フイルム(株)製、TD−80)上に流延した後、80℃の防爆オーブン内で3分間放置し、溶媒を蒸発させて厚さ約7μmのコート層を形成させた。そして、コート層に、メタルハライドランプ(アイグラフィックス社製)からの紫外線を約30秒間照射することによりUV硬化処理し、ハードコート性および表面凹凸構造を有する防眩層を形成した。低屈折率層として、熱硬化性含フッ素化合物塗工液(日産化学(株)製、LR202B、固形分1重量%)をワイヤーバー#5を用いて塗布し、乾燥後、90℃で5分間熱硬化させた。
多官能アクリル系UV硬化モノマー(ダイセル・ユーシービー(株)製、DPHA)20重量部、透明微粒子として平均粒径3μmの架橋スチレンビーズ1.2重量部、光開始剤(チバスペシャリティーケミカルズ社製、イルガキュア184)1重量部をテトラヒドロフラン/トルエン=7/3(重量比)の混合溶媒30重量部に混合した分散液を調製した。この分散液を乾燥厚みが7μmとなるように塗工し、メタルハライドランプ(アイグラフィックス社製)からの紫外線を約30秒間照射し、UV硬化処理した。低屈折率層として、熱硬化性含フッ素化合物塗工液(日産化学(株)製、LR202B、固形分1重量%)をワイヤーバー#5を用いて塗布し、乾燥後、90℃で5分間熱硬化させた。
○:映り込みがない
△:わずかな映り込みがある
×:映り込みが激しい。
◎:黒表示が鮮明に見える
○:黒表示がやや白味がかって見える
△:黒表示が白味がかって見える
×:黒表示が白く見える。
◎:鮮明に見える
○:ほぼ鮮明に見える
△:見える
×:見えにくい。
(画像のシャープ性)
◎:非常にシャープである
○:おおむねシャープである
△:多少、画素のボケが認められる
×:画像、画素がボケており、シャープさに欠ける。
2・・・NDフィルター
3・・・試料
4・・・検出器
Claims (5)
- 防眩層と、この防眩層の少なくとも一方の面に形成された低屈折率の樹脂層とで構成された防眩性フィルムであって、散乱光プロファイルにおける出射角0°の光強度(I0)に対する出射角30°の散乱光強度(I30)の比(I30/I0)が、0.00001〜0.001%の範囲にある防眩性フィルム。
- 散乱光プロファイルにおける出射角0°の光強度(I0)に対する出射角10°の散乱光強度(I10)の比(I10/I0)が、0.0001〜0.1%の範囲にある請求項1記載の防眩性フィルム。
- 全ヘイズが1〜30%であり、内部ヘイズが0〜1%であり、かつ波長450〜650nmの領域での5°入射における平均反射率が0.001〜2.5%である請求項1記載の防眩性フィルム。
- 防眩層が、少なくとも1つのポリマーと少なくとも1つの硬化性樹脂前駆体とで構成された層であって、前記ポリマー及び前駆体のうち少なくとも2つの成分が、液相相分離しているとともに、前記前駆体が硬化している請求項1記載の防眩性フィルム。
- 透明支持体上に、防眩層及び低屈折率の樹脂層が順次形成されている請求項1記載の防眩性フィルム。
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