JPWO2009078238A1 - 防眩性ハードコートフィルム、偏光板、画像表示装置および防眩性ハードコートフィルムの製造方法 - Google Patents

防眩性ハードコートフィルム、偏光板、画像表示装置および防眩性ハードコートフィルムの製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明の目的は、画面のギラツキが抑えられ、良好なコントラストを有する、防眩性ハードコートフィルム、画像表示装置および防眩性ハードコートフィルムの製造方法を提供することにある。本発明の防眩性ハードコートフィルムは、透明フィルム基材上の少なくとも一方の面にハードコート層を有する防眩性ハードコートフィルムにおいて、該透明フィルム基材の内部ヘイズが10〜60%であり、該ハードコート層の表面ヘイズが1.0〜15%であることを特徴とする。

Description

本発明は、防眩性ハードコートフィルム、偏光板、画像表示装置および防眩性ハードコートフィルムの製造方法に関し、更に詳細には所定の内部散乱性および表面散乱性を有する防眩性ハードコート層を有する防眩性ハードコートフィルム、防眩性ハードコートフィルムを表面保護フィルムとして用いた偏光板、偏光板を用いた画像表示装置およびその防眩性ハードコートフィルムの製造方法に関する。
各種のディスプレイのひとつに液晶ディスプレイがある。これらの機器でも、屋外使用頻度の高い液晶ディスプレイにあってはほとんどに、防眩処理が施された反射防止性を有する防眩性ハードコートフィルムが使用されている。
防眩処理は、表面に反射した像の輪郭をぼかすことにより、反射像の視認性を低下して表示装置使用時の反射像の映り込みを低減するものである。
一般に、サンドブラスト、エンボスロール、化学エッチングなどの適宜の方式で粗面化処理して表面に微細凹凸構造を付与したもの、金型による転写方式などにて表面に微細凹凸構造を付与したもの、樹脂層中に微粒子を分散含有させて表面に微細凹凸構造を付与したものがあり、表面の凹凸構造にて可視光領域の反射光を散乱させるような設計が行われている。
これらの防眩処理の中でも、樹脂層中に粒子を分散含有させる方法は、微細凹凸構造を簡単に付与できる点で好ましい。
特許文献1には、透明フィルム基材上に、放射性硬化型樹脂、平均粒径10μm以下の粒子およびチクソトロピー化剤を分散させた分散液を塗布し、乾燥硬化させることにより表面に微細凹凸構造を持つ、防眩性を有する防眩性ハードコート層を形成した例が報告されている。
しかしながら、表示装置の高精細化に伴い、表面凹凸による微小な輝度ムラが画像表面のギラツキを生じさせることとなっていた。
特許文献2においては、このギラツキを抑えるために、透明基材フィルムの少なくとも一方の面に、屈折率の異なる透光性拡散剤を含有する透光性樹脂からなる防眩層を積層し、この防眩層の表面凹凸における表面ヘイズ値hsを7<hs<30、前記防眩層の内部拡散による内部ヘイズ値hiを1<hi<15としたことを特徴とする防眩フィルムが開示されている。
また、特許文献3においては、支持体上に乾燥時の膜厚が3〜20μmであり、かつ表面配向性の化合物を含有する少なくとも1層のハードコート層があり、さらに該ハードコート層の外側に、乾燥時の膜厚が0.5μm以下である少なくとも1層の反射防止層が塗布されており、該反射防止層が中空シリカ微粒子を含有することを特徴とする反射防止フィルムが開示されている。
しかしながら、これらの方法では、ギラツキは改善するものの画面のコントラストを劣化させてしまうという問題があった。
そのため、特許文献4においては、透明支持体上に少なくとも内部散乱性を有する層を有し、JIS−K7105に準じた像鮮明性(コントラストと同義)が光学くし幅0.5mmで測定したときに30.0%〜99.9%であり、表面散乱に起因するヘイズ値が3%未満であり、内部散乱に起因するヘイズ値が15〜40%であることを特徴とする防眩性ハードコート層を有する防眩性ハードコートフィルムが開示されている。
しかしながら、この方法では、従来のコントラストレベルには対応できるものの、最近求められている携帯電話等の高解像度モニターには全く不十分であった。
例えば5cm巾に640画素の携帯電話モニターだと0.078mm/1画素であり、最小光学くし幅が0.125mmの写像性測定でももはや評価出来ないレベルである。
実際、従来の画像像鮮明性評価である透過写像性の値が高くても、視覚的には、高解像度の画像の鮮明度の劣化は否めなかった。
また、特許文献4に記載の方法では、防眩層の表面散乱を抑制するために、最上層に低屈折率層をさらに設ける必要があり、品質、生産性の点でも十分な技術とはいえなかった。
特開平10−219136号公報 特許第3507719号公報 特開2006−293334号公報 特開2007−65635号公報
従って本発明の目的は、画面のギラツキが抑えられ、良好なコントラストを有する、防眩性ハードコートフィルム、画像表示装置および防眩性ハードコートフィルムの製造方法を提供することにある。
本発明の上記課題は以下の構成により達成される。
1.透明フィルム基材上の少なくとも一方の面にハードコート層を有する防眩性ハードコートフィルムにおいて、該透明フィルム基材の内部ヘイズが10〜60%であり、該ハードコート層の表面ヘイズが1.0〜15%であることを特徴とする防眩性ハードコートフィルム。
2.前記透明フィルム基材が、平均粒径0.2μm以上2.0μm未満であって透明フィルム基材との屈折率差が0.02以上0.3以下の粒子を含有することを特徴とする前記1記載の防眩性ハードコートフィルム。
3.前記透明フィルム基材が、平均粒径2.0μm以上10.0μm未満の粒子を含有することを特徴とする前記2記載の防眩性ハードコートフィルム。
4.透明フィルム基材上の少なくとも一方の面にハードコート層を有する防眩性ハードコートフィルムの製造方法において、該透明フィルム基材の表面ヘイズが5.0〜80%の表面に、ハードコート層を塗設することを特徴とする防眩性ハードコートフィルムの製造方法。
5.前記1〜3いずれかに記載の防眩性ハードコートフィルムを使用したことを特徴とする偏光板。
6.前記1〜3いずれかに記載の防眩性ハードコートフィルムを使用したことを特徴とする画像表示装置。
本発明によれば画面のギラツキが抑えられ、良好なコントラストを有する、防眩性ハードコートフィルム、偏光板、画像表示装置および防眩性ハードコートフィルムの製造方法を提供することを提供することができる。
本発明に係る鋳型ロールを用いた凹凸面形成装置の概略図である。 高精細鮮明度を測定する装置の概略図である。 高精細鮮明度測定装置で観察した試料写真の例である。
符号の説明
F フィルム
1 ダイ
2 流延用ベルト
3 凹凸面形成用鋳型
4 バックロール
5 テンター
6 フィルム乾燥装置
7 巻き取りロール
10 静電気除去装置
101 透過型光学顕微鏡
102 試料
103 カラーフィルター
104 光源
本発明の防眩性ハードコートフィルムは、透明フィルム基材の内部ヘイズが10〜60%であり、該ハードコート層の表面ヘイズが1.0〜15%であることを特徴とする。
こうすることにより、防眩性を維持しギラツキを劣化することなく画像の鮮鋭性を改善することができる。
透明フィルム基材の内部ヘイズを10〜60%とするためには、例えば、平均粒径0.2μm以上2.0μm未満であって透明フィルム基材との屈折率差が0.02以上0.3以下の粒子を透明フィルム基材に含有することにより達成することができる。
また、防眩性ハードコートフィルムの表面ヘイズを1.0〜15%とするためには、例えば、予め表面に鋳型を押し当てて表面に凹凸を作製した透明フィルム基材にハードコート層を塗設する方法、平均粒径2.0μm以上10.0μm未満の粒子を含有し延伸処理した透明フィルム基材にハードコート層を塗設する方法がある。
このように本発明は、防眩性ハードコートフィルムの表面ヘイズを1.0〜15%とするために、その下地である透明フィルム基材の表面構造を調整することが、画面のギラツキを改善し、良好なコントラストに有効であることも見出した。
ハードコート層には、平均粒径0.5〜6μmのフッ素含有アクリル樹脂粒子を含有させることが好ましい。
本発明でいう防眩性とは、フィルム基材表面に反射した像の輪郭をぼかすことによって反射像の視認性を低下させて、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイといった画像表示装置等の使用時に、反射像の映り込みが気にならないようにするものである。
<透明フィルム基材>
本発明の透明フィルム基材のヘイズは、以下の手順で測定することができる。
(1)JIS−K7136に準じてヘイズメーター(T−2600DA、東京電色製)により、透明フィルム基材の全ヘイズ値(H)を測定する。
(2)本発明の透明フィルム基材の表面に、片面にアクリル系粘着剤が塗布された粘着剤付ポリエチレンテレフタレートフィルムを貼り付け、貼付けたもの全体について、全ヘイズ値H0を測定する。別途、アクリル系粘着剤が塗布された粘着剤付ポリエチレンテレフタレートフィルムのみの全ヘイズ値Htを測定し、先の測定したH0からHtを引いた値を内部ヘイズ値Hiとした。(Hi=H0−Ht)
(3)上記(1)で測定した全ヘイズ(H)から上記(2)で算出した内部ヘイズ(Hi)を引いた値をフィルムの表面ヘイズ(Hs)として算出する。(Hs=H−Hi)
本発明の透明フィルム基材は、一層以上であってもよい。例えば、共流延したものであってもよいし、あとで貼合したものであってもよい。
透明フィルム基材の屈折率は、JISK−7142−1996のA法(アッベ屈折計を用いる方法)で測定することができる。
〈透明フィルム基材を形成する樹脂〉
本発明の透明フィルム基材を形成する樹脂としては、製造が容易であること、防眩性ハードコート層との接着性が良好である、光学的に等方性である、光学的に透明であること等が好ましい要件として挙げられる。
上記の性質を有していれば特に限定はないが、例えば、セルロースジアセテートフィルム、セルローストリアセテートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム等のセルロースエステル系フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリアリレート系フィルム、ポリスルホン(ポリエーテルスルホンも含む)系フィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、シンジオタクティックポリスチレン系フィルム、シクロオレフィンポリマーフィルム(アートン(JSR社製))、ゼオネックス、ゼオノア(以上、日本ゼオン社製)、ポリビニルアセタール、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリエーテルケトンイミドフィルム、ポリアミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ナイロンフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、アクリルフィルムまたはガラス板等を挙げることができる。
中でも、セルロースエステル系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリスルホン(ポリエーテルスルホンを含む)系フィルム、シクロオレフィンポリマーフィルムが好ましい。
これらのフィルムは、溶融流延製膜で製造されたフィルムであっても、溶液流延製膜で製造されたフィルムであってもよい。
特に、アセチル基の置換度をX、プロピオニル基またはブチリル基の置換度をYとした時、XとYが下記の範囲にあるセルロースエステルフィルムを用いるのが、好ましい。
2.3≦X+Y≦3.0 0.1≦Y≦2.0
特に、2.5≦X+Y≦2.9 0.3≦Y≦1.2 であることが好ましい。
以下、好ましい透明フィルム基材であるセルロースエステルフィルムについて詳細に説明する。
アシル基の置換度の測定方法はASTM−D817−96の規定に準じて測定することができる。
セルロースエステルの数平均分子量は、50000〜250000が、成型した場合の機械的強度が強く、かつ、適度なドープ粘度となり好ましく、さらに好ましくは、80000〜150000である。
セルロースエステルフィルムは、一般的に溶液流延製膜法と呼ばれるセルロースエステル溶解液(ドープ)を、例えば、無限に移送する無端の金属ベルトまたは回転する金属ドラムの流延用支持体上に加圧ダイからドープを流延(キャスティング)し製膜する方法で製造される。
上記の良溶媒の中でも溶解性に優れるメチレンクロライド、あるいは酢酸メチルが好ましく用いられる。
上記有機溶媒の他に、0.1〜40質量%の炭素原子数1〜4のアルコールを含有させることが好ましい。特に好ましくは5〜30質量%で前記アルコールが含まれることが好ましい。
これらは上記のドープを流延用支持体に流延後、溶媒が蒸発を始めアルコールの比率が多くなるとウェブ(ドープ膜)がゲル化し、ウェブを丈夫にし流延用支持体から剥離することを容易にするゲル化溶媒として用いられたり、これらの割合が少ない時は非塩素系有機溶媒のセルロースエステルの溶解を促進する役割もある。
メチレンクロライドの代わりに酢酸メチルを用いることもできる。このとき、冷却溶解法によりドープを調製してもよい。
セルロースエステルフィルムには、下記のような可塑剤を含有するのが好ましい。可塑剤としては、例えば、リン酸エステル系可塑剤、多価アルコールエステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、トリメリット酸エステル系可塑剤、ピロメリット酸系可塑剤、グリコレート系可塑剤、クエン酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、脂肪酸エステル系可塑剤、多価カルボン酸エステル系可塑剤、ピラノース構造またはフラノース構造の少なくとも1種を1個以上12個以下有しその構造の水酸基のすべてもしくは一部をエステル化したエステル化合物等を好ましく用いることができる。
その他、延伸方向に対して負の配向複屈折性を示す重量平均分子量が500以上30000以下であるアクリルポリマーを含有することが好ましい。
該ポリマーの重量平均分子量が500以上30000以下のもので該ポリマーの組成を制御することで、セルロースエステルと該ポリマーとの相溶性を良好にすることができる。
セルロースエステルフィルム中の上記可塑剤の総含有量は、固形分総量に対し、5〜20質量%が好ましく、6〜16質量%がさらに好ましく、特に好ましくは8〜13質量%である。
また、2種の可塑剤の含有量は各々少なくとも1質量%以上であり、好ましくは各々2質量%以上含有することである。
多価アルコールエステル系可塑剤は、1〜15質量%含有することが好ましく、特に3〜11質量%含有することが好ましい。
〈平均粒径0.2μm以上2.0μm未満であって透明フィルム基材との屈折率差が0.02以上0.3以下の粒子〉
この粒子は、透明フィルム基材の内部ヘイズを調整するために使用される。本発明の効果を得るためには、本来0.02以上の屈折率差があればよいが、実質的に供給可能な素材を考慮し0.3以下であることが好ましい。
例えば、透明フィルム基材樹脂がトリアセチルセルロース(屈折率1.48)の場合、本発明において使用することができる粒子の素材としては、有機樹脂粒子として、ポリメチルメタクリレート粒子(屈折率1.49)、メチルメタクリレート−スチレン共重合体粒子(屈折率1.55)、メラミン樹脂粒子(屈折率1.57)、ポリカーボネート粒子(屈折率1.58)、ポリスチレン粒子(屈折率1.59)、ポリ塩化ビニル粒子(屈折率1.60)、フッ素含有アクリル樹脂粒子(屈折率1.42)、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド縮合物(屈折率1.66)、メラミン・ホルムアルデヒド縮合物(屈折率1.66)などが挙げられ、無機粒子としては、アモルファスシリカ粒子などが挙げられる。
これらの粒子は、エポスターS12(1.5μm、1.66)、エポスターS6(0.40μm、1.66)、エポスターS(0.2μm、1.66)、シーホスターKE−P10(0.11μm、1.43)、シーホスターKE−P30(0.31μm、1.43)、シーホスターKE−P50(0.59μm、1.43)、シーホスターKE−P100(1.15μm、1.43)、シーホスターKE−P150(1.58μm、1.43)(以上、(株)日本触媒製)、ケミスノーMP(0.5μm、1.49)(綜研化学(株)製)等が市販されている。なお、()内は(平均粒径、590nmでの屈折率)を表す。
これらの粒子は、透明フィルム基材樹脂に対して、0.1〜30質量%の範囲含有することができ、その量、種類を適宜選択することにより透明フィルム基材での内部ヘイズ、屈折率差を調整することができる。
粒子の平均粒径は、走査電子顕微鏡(SEM)等による電子顕微鏡写真から計測することができる。
具体的には当該粒子を含む試料の顕微鏡写真(1000倍透過モード)を撮影し、この写真に写った粒子の直径を画像処理装置LUZEX−III(ニレコ社製)で1000個測定し、その平均値を算出して平均粒径とした。以下、本発明の粒子の平均粒径は、この測定方法を使用した。
粒子の屈折率は、JISK−7142−1996のB法(顕微鏡を用いる液浸法:ベッケ線法)で測定することができる。
〈平均粒径2.0μm以上10.0μm未満の粒子〉
この粒子は、防眩性ハードコートフィルムの表面ヘイズを調整するために使用される。
本発明の平均粒径2.0μm以上10.0μm未満の粒子としては、有機樹脂粒子、無機粒子のいずれも使用することができる。
有機樹脂粒子としては、ポリメチルメタクリレート粒子、メチルメタクリレート−スチレン共重合体粒子、メラミン樹脂粒子、ポリカーボネート粒子、ポリスチレン粒子、ポリ塩化ビニル粒子、フッ素含有アクリル樹脂粒子、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド縮合物、メラミン・ホルムアルデヒド縮合物などが挙げられ、無機粒子としては、アモルファスシリカ粒子等が挙げられる。
これらの粒子は、エポスターM05(5μm)、エポスターM30(3.3μm)、エポスターSC4(3.5μm)、エポスターM1002(2.5μm)、エポスターM1004(4.5μm)、エポスターM1006(6μm)、エポスターM1010(10μm)、エポスターGPH70(7μm)、エポスターYS60(6μm)、シーホスターKE−P250(2.5μm)(以上、(株)日本触媒製)、ケミスノーMX(3μm)ケミスノーMR(10μm)(以上、綜研化学(株)製)、テクポリマーMBX5(5μm)、テクポリマーSBX6(6μm)(以上、積水化成品工業(株)製)等が市販されている。
〈その他の添加剤〉
本発明の透明フィルム基材には、紫外線吸収剤、酸化防止剤、熱劣化防止剤等の通常使用される添加剤を添加することができる。
<予め表面に鋳型を押し当てて表面に凹凸を作製する方法>
本発明で好ましく使用することができる予め表面に鋳型を押し当てて表面に凹凸を作製する方法としては、特開2005−156615号に記載の方法を挙げることができる。
図1は、本発明の鋳型ロールを用いた凹凸面形成装置の概略図である。予め調液された熱可塑性樹脂溶液をダイス1より流延用ベルト2上に流延し、ウェブ(金属支持体上にドープを流延した以降の残留溶媒を含むフィルムをウェブと言う)を形成し、剥離後凹凸面形成用鋳型ロール3及びそれと対向したバックロール4によりウェブ上に凹凸面を形成する。
その後テンター5によりウェブは延伸され、次のフィルム乾燥装置6により乾燥され、巻き取りロール7により巻き取られる。
凹凸面形成用鋳型ロール3及びそれと対向したバックロール4(用いない場合もある)をテンター後、フィルム乾燥装置内、フィルム乾燥装置出口に配置することもできる。
凹凸面形成用鋳型ロール3及びそれと対向したバックロール4を複数箇所に配置することも好ましい。また、鋳型ロール3は2種以上若しくは2個以上を1セットとして使用することが出来る。
また、本発明では鋳型による凹凸加工は製膜工程内で行うことが好ましい。製膜工程で一旦巻き取られたフィルムを別のラインで鋳型で加工する場合と比較して、鋳型による凹凸加工前にゴミや異物の付着する危険性が低く、故障が減るため好ましいだけでなく凹凸も形成し易い。
複数の鋳型ロールを用いると凹凸をより均一に、またランダムに形成することが出来、また複雑な凹凸形状を形成することが出来る。
2つ以上の鋳型ロールを用いて、凹凸を形成する際は、該鋳型ロール表面の温度を1℃以上異なる温度として凹凸を付与することが好ましい。
温度を変更することで凹凸の形状を制御することが出来る。例えば、温度を上げることでよりRaが大きい凹凸を形成することが出来る。
本発明の凹凸面形成に用いられる鋳型ロールとしては、凹凸が細かいもの、粗いものまで、適宜選択して適用でき、模様、マット状、レンチキュラーレンズ状、球面の一部からなる凹部または凸部、プリズム状の凹凸を形成するための鋳型が規則正しくもしくはランダムに配列されたものが使用出来る。
例えば、凸部または凹部の直径が5〜100μm、高さが0.1〜2μmの球の一部からなる凹部または凸部等が挙げられるが、これらは大きな凹凸と小さな凹凸を組み合わせてもよい。
大きな凹凸面形成用鋳型ロールの周りに小さな複数のバックロールを配置したもの、逆に大きなバックロールに対し小さな凹凸面形成用鋳型ロールを配置することも出来る。
鋳型ロール及びバックロールの材質は、金属、ステンレス、炭素鋼、アルミニウム合金、チタン合金、セラミック、硬質ゴム、強化プラスチックまたはこれらを組み合わせた素材などが使用できるが、強度の点や加工のし易さの点から鋳型ロールは金属が好ましい。
特に洗浄のし易さ、耐久性も重要であり、ステンレス製の鋳型ロールを使用することが好ましい。また、表面に撥水もしくは撥水加工を施してもよい。
鋳型ロールに所望の凹凸面を形成する方法としてはエッチングによる方法、サンドブラストによる方法、機械的に加工する方法または金型等を使用して形成することが出来る。バックロールとしては硬質ゴムまたは金属が好ましく用いられる。
また、鋳型ロール及びバックロールの偏芯は50μm以内であることが好ましく、20μm以内が更に好ましく、0〜5μmであることが更に好ましい。
鋳型ロールの直径は5〜200cmが好ましく、10〜100cmが更に好ましく、10〜50cmが特に好ましい。
本発明において鋳型ロールの表面温度T1は、用いる熱可塑性樹脂の熱変形温度T2に対してT2+10℃〜T2+55℃、好ましくはT2+30℃〜T2+50℃とであることが好ましい。なお、熱変形温度T2とは、ASTMD−648に従って測定した値である。
鋳型ロールの表面温度T1が熱変形温度T2より低いと微細な凹凸形状が形成しにくくなる。表面温度T1が熱変形温度T2よりも55℃を超えると得られるフィルムの平面性が劣化しやすくなる。
鋳型ロールの表面温度T1は、鋳型ロール自身の温度、雰囲気温度、凹凸を形成するフィルム温度、フィルムの残留溶媒量、凹凸形成速度を設定することで制御することができる。
鋳型ロール自身の温度は鋳型内に温度制御された気体もしくは液体の媒体を循環させることで制御することが出来る。例えば、40〜300℃、好ましくは、50〜250℃の範囲で樹脂の種類や形成する凹凸形状に応じて選択される。
その時、フィルム中の残留溶媒が発泡しないようにすることが好ましく、鋳型ロールの表面が例えば残留溶媒の沸点以上の温度であっても、凹凸を形成する速度が速ければ発泡を防ぐことが出来る。例えば10m/min以上の速度で凹凸を形成することが出来る。
バックロールの温度も同様に制御することが好ましく、鋳型ロールと同等か低い温度に設定することが好ましい。
凹凸を形成する際のロール圧力は、線圧で5〜500N/cm、更に好ましくは30〜500N/cmから熱可塑性樹脂の種類、形成する凹凸の形状、温度等を考慮して適宜決定される。
更に本発明の凹凸面形成の製造方法の好ましい態様を以下に示す。
本発明では工程内で加熱された透明フィルム基材を室温まで戻すことなく、フィルム面に鋳型を押し当てて表面に凹凸を形成する製造方法、フィルムの製膜工程でフィルム面に鋳型を押し当てて表面に凹凸を形成する前もしくは後にテンターで延伸し、長尺方向に延伸した後フィルム面に鋳型を押し当てて表面に凹凸を形成する製造方法、製膜工程が溶液流延方式であり、フィルム基材を有機溶剤に溶解したドープを平滑面を有する支持体上に流延し、剥離可能となるまで支持体上で有機溶剤を揮発させた後剥ぎ取った平滑面を有するフィルムを乾燥する工程のいずれかで、フィルム基材面に鋳型を押し当てて表面に凹凸を形成する製造方法、溶液流延製膜工程で、残留溶媒を含有するフィルム基材に鋳型を押し当てて表面に凹凸を形成し、残留溶媒中の貧溶媒比率が10質量%以上のときに鋳型により凹凸を形成する製造方法、フィルム面に鋳型を押し当てて表面に凹凸を形成した後、100℃以上で熱処理する工程を有すること、共流延または逐次流延若しくは塗布によって2層以上の多層構成としたフィルム基材に鋳型を押し当てて表面に凹凸を形成する製造方法、鋳型による凹凸付与部の前もしくは後に除電装置を設ける製造方法、などが安定再現良く凹凸面を形成する上で好ましい態様である。
また、凹凸を形成する際のフィルムの搬送速度は10m/min〜100m/minが好ましい。
<平均粒径2.0μm以上10.0μm未満の粒子を含有し延伸処理する方法>
本発明の透明フィルム基材に、平均粒径2.0μm以上10.0μm未満の粒子を含有し延伸処理することにより、その上に防眩性ハードコート層を設けることにより、防眩性ハードコートフィルムの表面ヘイズを1.0〜15%とすることができる。
延伸処理は、通常の1.0〜3.0倍の縦延伸(搬送方向の延伸、MD延伸ともいう)、1.01〜5.0倍の横延伸処理(搬送方向に直交する方向の延伸、TD延伸ともいう)がいずれも使用することができ、横延伸処理することが好ましい。
<防眩性ハードコート層>
本発明の防眩性ハードコートフィルムは、透明フィルム基材の少なくとも一方の面に防眩性ハードコート層を有する。
この防眩性ハードコート層は、基本的には、透明樹脂、例えば活性エネルギー線硬化樹脂を主成分とするバインダー層に、平均粒径0.5〜6μmのフッ素含有アクリル樹脂粒子を含有する構造を有することが好ましい。
〈平均粒径0.5〜6μmのフッ素含有アクリル樹脂粒子〉
本発明のフッ素含有アクリル樹脂粒子としては、例えばフッ素含有のアクリル酸エステルあるいはメタクリル酸エステルのポリマーから形成された粒子である。
フッ素含有のアクリル酸エステルあるいはメタクリル酸エステルの具体例としては、1H,1H,3H−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチル(メタ)アクリレート、1H,1H,9H−ヘキサデカフルオロノニル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロブチル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロオクチル)エチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロデシルエチル(メタ)アクリレート、3−パーフルオロブチル−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−パーフルオロヘキシル−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−パーフルオロオクチル−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロ−3−メチルブチル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)エチル(メタ)アクリレート、3−(パーフルオロ−3−メチルブチル)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1H−1−(トリフルオロメチル)トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、1H,1H,3H−ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチルメタクリレート、テトラフルオロプロピルメタクリレート、パーフルオロオクチルエチルアクリレート、2−(パーフルオロブチル)エチル−α−フルオロアクリレートが挙げられる。
また、フッ素含有アクリル樹脂粒子の中でも、2−(パーフルオロブチル)エチル−α−フルオロアクリレートからなる粒子、フッ素含有ポリメチルメタクリレート粒子、フッ素含有メタアクリル酸を架橋剤の存在下にビニル単量体と共重合させた粒子が好ましく、さらに好ましくはフッ素含有ポリメチルメタクリレート粒子である。
フッ素含有(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能なビニル単量体を共重合させてもよい。
これらとしては、ビニル基を有するものであればよく、具体的にはメタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル等のメタクリル酸アルキルエステル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル等のアクリル酸アルキルエステル、およびスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類等が挙げられ、これらは単独でまたは混合して用いることができる。
重合反応の際に用いられる架橋剤としては、特に限定されないが、2個以上の不飽和基を有するものを用いることが好ましく、例えばエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート等の2官能性ジメタクリレートや、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジビニルベンゼン等が挙げられる。
なお、フッ素含有ポリメチルメタクリレート粒子を製造するための重合反応は、ランダム共重合およびブロック共重合のいずれでもよい。具体的には、例えば特開2000−169658号公報に記載の方法なども挙げることができる。
市販品としては、日本ペイント(株)製:F−191、根上工業(株)製:MF−0043等が挙げられる。なお、これらのフッ素含有アクリル樹脂粒子は、単独で用いてもよいが、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、これらのフッ素含有アクリル樹脂粒子の状態は、粉体あるいはエマルジョン等、どのような状態で加えられても良い。
また、特開2004−83707号公報の段落0028〜0055に記載のフッ素含有架橋粒子を用いても良い。
本発明のフッ素含有アクリル樹脂粒子の屈折率は、1.38〜1.46であることが好ましい。
本発明のフッ素含有アクリル樹脂粒子の含有量としては、防眩性ハードコート層を構成する透明樹脂100質量部に対して、0.01〜500質量部が好ましく、さらに好ましくは0.1〜100質量部、特に好ましくは1〜60質量部である。
本発明のフッ素含有アクリル樹脂粒子の平均粒径は、0.5〜6μmであり、0.55〜4.0μmであることが好ましい。
なお、平均粒径は、粒子の走査型電子顕微鏡写真(粒子1000個以上)を撮影し、この写真に写った粒子の直径を、画像処理装置LUZEX−III(ニレコ社製)を使用し100個測定し、その平均値を算出して平均粒径とした。
〈平均粒径0.01〜1.0μmの粒子〉
本発明で好ましく含有される平均粒径が0.01〜1μmの粒子としては、アクリル系粒子、シリカを主成分とする無機粒子が挙げられる。
シリカ粒子としては、日本アエロジル製、アエロジル200、200V、300、デグサ製、アエロジルOX50、TT600等、日本触媒社製、KEP−10,KEP−50,KEP−100等の商品名が挙げられる。
また、コロイダルシリカを用いても良い。コロイダルシリカとは、二酸化ケイ素をコロイド状に水または有機溶媒に分散させたものであり、特に限定はされないが球状、針状または数珠状である。
このようなコロイダルシリカは市販されており、例えば、日産化学工業社のスノーテックスシリーズ、触媒化成工業社のカタロイド−Sシリーズ、バイエル社のレバシルシリーズ等が挙げられる。
また、アルミナゾルや水酸化アルミニウムでカチオン変性したコロイダルシリカやシリカの一次粒子を2価以上の金属イオンで粒子間を結合し数珠状に連結した数珠状コロイダルシリカも好ましく用いられる。
数珠状コロイダルシリカは日産化学工業社のスノーテックス−AKシリーズ、スノーテックス−PSシリーズ、スノーテックス−UPシリーズ等があげられ、具体的にはIPS−ST−L(イソプロパノールシリカゾル、粒子径40〜50nm、シリカ濃度30%)、MEK−ST−MS(メチルエチルケトンシリカゾル、粒子径17〜23nm、シリカ濃度35%)等、MEK−ST(メチルエチルケトンシリカゾル、粒子径10〜15nm、シリカ濃度30%)、MEK−ST−L(メチルエチルケトンシリカゾル、粒子径40〜50nm、シリカ濃度30%)、MEK−ST−UP(メチルエチルケトンシリカゾル、粒子径9〜15nm(鎖状構造)、シリカ濃度20%)等が挙げられる。
また、アクリル粒子として、フッ素含有アクリル樹脂粒子が挙げられ、例えば日本ペイント製:S−4000、FS−701、アクリル−スチレン粒子として、例えば日本ペイント製:S−1200、MG−251等が挙げられる。
これら平均粒径が0.01〜1μmの粒子のなかでも、フッ素含有アクリル樹脂粒子が好ましい。
平均粒径が0.01〜1μmの粒子は、防眩性ハードコート層を形成する塗工液の安定性および分散液の分散性から、含有量としては、防眩性ハードコート層を構成する透明樹脂100質量部に対して、0.01〜500質量部が好ましく、さらに好ましくは0.1〜100質量部である。
また、平均粒径が0.01〜1μmの粒子との含有比率は、平均粒径が1.5〜6μmの粒子に対して0〜500質量%の範囲で適宜選択することができる。
上記粒子は、粉体あるいはエマルジョン等どのような状態で加えられても良い。また、透光性粒子の密度は、好ましくは10〜1000mg/m、より好ましくは100〜700mg/mである。
〈透明樹脂〉
本発明の防眩性ハードコート層を構成する透明樹脂の屈折率としては、1.50以上であることが好ましく、より好ましくは1.50〜1.70である。
屈折率をこの範囲とするには、透明樹脂の種類および量割合を適宜選択すればよい。屈折率が1.50未満であると、硬度の高い樹脂が得られにくい。屈折率が1.70より大きいと、フィルムのムラが目立ちやすくなりやすい。
なお、透明樹脂の屈折率は、アッベ屈折計で直接測定するか、分光反射スペクトルや分光エリプソメトリーを測定するなどして定量評価できる。
透明樹脂は、飽和炭化水素鎖またはポリエーテル鎖を主鎖として有するバインダーポリマーであることが好ましく、飽和炭化水素鎖を主鎖として有するバインダーポリマーであることが更に好ましい。
特に好ましくは、紫外線や電子線のような活性線照射により架橋反応等を経て硬化する樹脂である。
硬化性樹脂としては、例えば、紫外線硬化型ウレタンアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂、または紫外線硬化型エポキシ樹脂等の紫外線硬化型アクリレート系樹脂が好ましく用いられる。
紫外線硬化型ウレタンアクリレート系樹脂は、一般にポリエステルポリオールにイソシアネートモノマー、またはプレポリマーを反応させて得られた生成物をさらに2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下アクリレートにはメタクリレートを包含するものとしてアクリレートのみを表示する)、2−ヒドロキシプロピルアクリレート等の水酸基を有するアクリレート系のモノマーを反応させることによって容易に得ることができる。
例えば、特開昭59−151110号号公報に記載のものを用いることができる。例えば、ユニディック17−806(大日本インキ(株)製)100部とコロネートL(日本ポリウレタン(株)製)1部との混合物等が好ましく用いられる。
紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂としては、一般にポリエステルポリオールに2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシアクリレート系のモノマーを反応させると容易に形成されるものを挙げることができ、特開昭59−151112号公報に記載のものを用いることができる。
紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂の具体例としては、エポキシアクリレートをオリゴマーとし、これに反応性希釈剤、光重合開始剤を添加し、反応させて生成するものを挙げることができ、特開平1−105738号公報に記載のものを用いることができる。
紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂の具体例としては、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等を挙げることができる。
これら硬化性樹脂の光重合開始剤としては、具体的には、ベンゾインおよびその誘導体、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、α−アミロキシムエステル、チオキサントン等およびこれらの誘導体を挙げることができる。光増感剤と共に使用してもよい。
また、エポキシアクリレート系の光重合開始剤の使用の際、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等の増感剤を用いることができる。
硬化性樹脂組成物に用いられる光重合開始剤また光増感剤は該組成物100質量部に対して0.1〜25質量部であり、好ましくは1〜15質量部である。
アクリレート系樹脂としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ジビニルベンゼン、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、1,4−シクロヘキシルジメチルアジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリルエステル等を挙げることができる。
これらの市販品としては、アデカオプトマーKR・BYシリーズ:KR−400、KR−410、KR−550、KR−566、KR−567、BY−320B(旭電化(株)製);コーエイハードA−101−KK、A−101−WS、C−302、C−401−N、C−501、M−101、M−102、T−102、D−102、NS−101、FT−102Q8、MAG−1−P20、AG−106、M−101−C(広栄化学(株)製);セイカビームPHC2210(S)、PHC X−9(K−3)、PHC2213、DP−10、DP−20、DP−30、P1000、P1100、P1200、P1300、P1400、P1500、P1600、SCR900(大日精化工業(株)製);KRM7033、KRM7039、KRM7130、KRM7131、UVECRYL29201、UVECRYL29202(ダイセル・ユーシービー(株)製);RC−5015、RC−5016、RC−5020、RC−5031、RC−5100、RC−5102、RC−5120、RC−5122、RC−5152、RC−5171、RC−5180、RC−5181(大日本インキ化学工業(株)製);オーレックスNo.340クリヤ(中国塗料(株)製);サンラッドH−601、RC−750、RC−700、RC−600、RC−500、RC−611、RC−612(三洋化成工業(株)製);SP−1509、SP−1507(昭和高分子(株)製);RCC−15C(グレース・ジャパン(株)製)、アロニックスM−6100、M−8030、M−8060(東亞合成(株)製)、NKハードB−420、NKエステルA−DOG、NKエステルA−IBD−2E(新中村化学工業(株)製)等を適宜選択して利用できる。
また、その他として、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジオキサングリコールアクリレート、エトキシ化アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等を挙げることができる。
また、防眩性ハードコート層には、フッ素−アクリル共重合体樹脂を含有しても良い。フッ素−アクリル共重合体樹脂とは、フッ素単量体とアクリル単量体とからなる共重合体樹脂で、特にフッ素単量体セグメントとアクリル単量体セグメントとから成るブロック共重合体が好ましい。
〈防眩性ハードコート層に含有するその他の物質〉
防眩性ハードコート層には、その他の有機粒子としてシリコーン系樹脂粉末、ポリスチレン系樹脂粉末、ポリカーボネート樹脂粉末、ポリオレフィン系樹脂粉末、ポリエステル系樹脂粉末、ポリアミド系樹脂粉末、ポリイミド系樹脂粉末、またはポリ弗化エチレン系樹脂粉末等紫外線硬化性樹脂組成物も加えることができる。
また、必要に応じてさらに特開2000−241807号公報に記載の粒子を含んでも良い。
また、その他の粒子の屈折率は、1.45〜1.70であることが好ましく、より好ましくは1.45〜1.65である。
なお、粒子の屈折率は、屈折率の異なる2種類の溶媒の混合比を変化させて屈折率を変化させた溶媒中に粒子を等量分散して濁度を測定し、濁度が極小になった時の溶媒の屈折率をアッベ屈折計で測定することで測定できる。
さらに防眩性ハードコート層には、界面活性剤として下記シリコーン系界面活性剤、フッ素系化合物、ポリオキシエーテル化合物等を含有させることが好ましい。
これら成分は、面状均一性を高めつつ、高速塗布適性を持たせることにより生産性を高める。
フッ素系化合物の好ましい例としては、フルオロ脂肪族基含有共重合体が挙げられ、具体的には特開2007−45142号公報の段落0053〜0082に記載の化合物や記載方法で用いる事ができる。
その他、特開2000−119354号公報の段落0008〜0031に記載の化合物や記載方法も用いる事ができる。
これら成分は、塗布液中の固形分成分に対し、0.01〜5質量%の範囲で添加することが、塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥等の面状故障を改良する効果が現れるため、好ましい。
また、フッ素系化合物としては、フッ素樹脂に、シロキサン(ポリシロキサンを含む)および/またはオルガノシロキサン(オルガノポリシロキサンを含む)をグラフト化させて得られる共重合体のポリマーも好ましく用いることができる。
具体的には、富士化成工業(株)製のZX−022H、ZX−007C、ZX−049、ZX−047−D等を挙げることができる。これら化合物は混合して用いても良い。
ポリオキシエチレンアルキルエーテルの市販品としては、エマルゲン1108、エマルゲン1118S−70(以上、花王(株)製)、ポリオキシエチレンラウリルエーテルの市販品としては、エマルゲン103、エマルゲン104P、エマルゲン105、エマルゲン106、エマルゲン108、エマルゲン109P、エマルゲン120、エマルゲン123P、エマルゲン147、エマルゲン150、エマルゲン130K(以上、花王(株)製)、ポリオキシエチレンセチルエーテルの市販品としては、エマルゲン210P、エマルゲン220(以上、花王(株)製)、ポリオキシエチレンステアリルエーテルの市販品としては、エマルゲン220、エマルゲン306P(以上、花王(株)製)、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの市販品としては、エマルゲンLS−106、エマルゲンLS−110、エマルゲンLS−114、エマルゲンMS−110(以上、花王(株)製)ポリオキシエチレン高級アルコールエーテルの市販品としては、エマルゲン705,エマルゲン707、エマルゲン709等が挙げられる。
ポリオキシエーテル化合物は単独或いは2種以上を併用しても良い。また、アセチレングリコール系化合物または非イオン性界面活性剤、ラジカル重合性の非イオン性界面活性剤等を併用しても良い。
防眩性ハードコート層は、種々の表示素子に対する色補正用フィルターとして色調調整機能を有する色調調整剤(染料もしくは顔料等)を含有させてもよい。
また、電磁波遮断剤または赤外線吸収剤等を含有させそれぞれの機能を有するようにしてもよい。
防眩性ハードコート層には、硬化助剤として他官能チオール化合物を含有してもよく、例えば1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、1,3,5−トリス(3−メルカブトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジンー2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン等が挙げられる。
また、市販品としては昭和電工社製、商品名カレンズMTシリーズ等が挙げられる。他官能チオール化合物は、活性エネルギー線硬化樹脂100質量部に対して、0.01〜50質量部の範囲で添加される事が好ましく、更に好ましくは0.05〜30質量部である。
前記範囲で添加することで、硬化助剤として好適に作用し、また防眩性ハードコート層中でも安定に存在する。
防眩性ハードコート層には、硬度向上、帯電防止、層の屈折率を調整してするために、本発明の有機粒子に加えて、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、インジウム、亜鉛、錫、アンチモンのうちより選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物を主成分とし、平均粒径が10μm以下、例えば2μm以下、好ましくは0.2μm以下、特に好ましくは0.1μm以下、より好ましくは0.06μm以下である無機粒子を含有してもよい。
チタン、ジルコニウム、インジウム、亜鉛、錫、アンチモンのうちより選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物の中では、チタン、ジルコニウムが好ましい。
防眩性ハードコート層に用いられる無機粒子は表面をシランカップリング処理又はチタンカップリング処理されることも好ましく、フィラー表面にバインダー種と反応できる官能基を有する表面処理剤が好ましく用いられる。
表面処理剤は事前にカップリング処理せず、塗布組成物中に混合して用いることもできる。
これらの無機粒子を用いる場合、その添加量は、防眩性ハードコート層の全質量の10〜90%であることが好ましく、より好ましくは20〜80%であり、特に好ましくは30〜75%である。
このような無機粒子は、粒径が光の波長よりも十分小さいために散乱が生じず、バインダーポリマーに該フィラーが分散した分散体は光学的に均一な物質として振舞う。
<防眩性ハードコート層の製造方法>
防眩性ハードコート層はグラビアコーター、ディップコーター、リバースコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター、インクジェット法等公知の方法を用いて、防眩性ハードコート層を形成する塗布組成物を塗布し、塗布後、加熱乾燥し、UV硬化処理することが好ましい。
塗布量はウェット膜厚として0.1〜40μmが適当で、好ましくは、0.5〜30μmである。
また、ドライ膜厚としては平均膜厚0.1〜30μm、好ましくは1〜20μmである。この範囲内において、ハード性の不足、カールや脆性の悪化、加工適性の低下が防止される。
上記UV硬化処理の光源としては、紫外線を発生する光源であれば制限なく使用できる。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることができる。
照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、活性線の照射量は、通常5〜500mJ/cm、好ましくは5〜150mJ/cmである。
また、活性線を照射する際には、フィルムの搬送方向に張力を付与しながら行うことが好ましく、さらに好ましくは幅方向にも張力を付与しながら行うことである。付与する張力は30〜300N/mが好ましい。
張力を付与する方法は特に限定されず、バックロール上で搬送方向に張力を付与してもよく、テンターにて幅方向、または2軸方向に張力を付与してもよい。これによってさらに平面性優れたフィルムを得ることができる。
防眩性ハードコート層を形成する塗布組成物には溶媒が含まれていてもよい。塗布組成物に含有される有機溶媒としては、例えば、炭化水素類(トルエン、キシレン、)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、乳酸メチル)、グリコールエーテル類、その他の有機溶媒からも適宜選択し、またはこれらを混合し利用できる。
有機溶媒としては、プロピレングリコールモノアルキルエーテル(アルキル基の炭素原子数として1〜4)またはプロピレングリコールモノアルキルエーテル酢酸エステル(アルキル基の炭素原子数として1〜4)等が好ましい。また、有機溶媒の含有量としては塗布組成物中、5〜80質量%が好ましい。
<低屈折率層>
本発明においては、防眩性ハードコート層の上にさらに反射防止層を塗設してもよく、とくに低屈折率層を設けることができる。
本発明の低屈折率層の屈折率は、支持体である透明フィルム基材の屈折率より低く、23℃、波長550nmで1.30〜1.45の範囲が好ましい。
低屈折率層の膜厚は、5nm〜0.5μmが好ましく、10nm〜0.3μmがより好ましく、30nm〜0.2μmであることがさらに好ましい。
本発明に用いられる低屈折率層は、中空シリカ粒子、シリコーンおよびバインダーを基本構成として有する。
さらに、中空シリカ粒子を含め少なくとも2種類のシリカ粒子を含有することが好ましく、他の1種類のシリカ微粒子はコロイダルシリカであり、該コロイダルシリカの平均粒径は中空シリカ粒子の平均粒径の1.1〜20倍未満である。
〈中空シリカ粒子〉
前記内部が多孔質または空洞である中空シリカ粒子(以下、単に中空粒子ともいう)について説明する。
中空粒子は、(I)多孔質粒子と該多孔質粒子表面に設けられた被覆層とからなる複合粒子、または(II)内部に空洞を有し、かつ内容物が溶媒、気体または多孔質物質で充填された空洞粒子である。
なお、空洞粒子は内部に空洞を有する粒子であり、空洞は粒子壁で囲まれている。空洞内には、調製時に使用した溶媒、気体または多孔質物質等の内容物で充填されている。
このような中空粒子の平均粒径は5〜200nm、好ましくは10〜70nmが望ましい。中空粒子の粒径は変動係数が1〜40%の単分散であることが好ましい。
平均粒径は、走査電子顕微鏡(SEM)等による電子顕微鏡写真から計測することができる。動的光散乱法や静的光散乱法等を利用する粒度分布計等によって計測してもよい。
使用する中空粒子の平均粒径は、形成される低屈折率層の透明被膜の厚さに応じて適宜選択され、透明被膜の膜厚の2/3〜1/10が望ましい。
中空粒子が複合粒子である場合、複合粒子の被覆層の厚さまたは空洞粒子の粒子壁の厚さは、1〜20nm、好ましくは2〜15nmが望ましい。
複合粒子の場合、被覆層の厚さが1nm未満の場合は、粒子を完全に被覆することができないことがあり、塗布液成分が容易に複合粒子の内部に進入して内部の多孔性が減少し、低屈折率化の効果が十分得られないことがある。
また、被覆層の厚さが20nmを越えると、前記塗布液成分が内部に進入することはないが、複合粒子の多孔性(細孔容積)が低下し低屈折率化の効果が十分得られなくなることがある。
また空洞粒子の場合、粒子壁の厚さが1nm未満の場合は、粒子形状を維持できないことがあり、また厚さが20nmを越えても、低屈折率化の効果が十分に現れないことがある。
複合粒子の被覆層または空洞粒子の粒子壁は、シリカを主成分とすることが好ましい。また、シリカ以外の成分が含まれていてもよく、具体的には、Al、B、TiO、ZrO、SnO、CeO、P、Sb、MoO、ZnO、WO等が挙げられる。
複合粒子を構成する多孔質粒子としては、シリカからなるもの、シリカとシリカ以外の無機化合物とからなるもの、CaF、NaF、NaAlF、MgF等からなるものが挙げられる。
このうち特にシリカとシリカ以外の無機化合物との複合酸化物からなる多孔質粒子が好適である。シリカ以外の無機化合物としては、Al、B、TiO、ZrO、SnO、CeO、P、Sb、MoO、ZnO、WO等との1種または2種以上を挙げることができる。
このような多孔質粒子では、シリカをSiOで表し、シリカ以外の無機化合物を酸化物換算(MO)で表したときのモル比MO/SiOが、0.0001〜1.0、好ましくは0.001〜0.3の範囲にあることが望ましい。
多孔質粒子のモル比MO/SiOが0.0001未満のものは得ることが困難であり、得られたとしても細孔容積が小さく、屈折率の低い粒子が得られない。
また、多孔質粒子のモル比MO/SiOが、1.0を越えると、シリカの比率が少なくなるので、細孔容積が大きくなり、さらに屈折率が低いものを得ることが難しいことがある。
このような多孔質粒子の細孔容積は、0.1〜1.5ml/g、好ましくは0.2〜1.5ml/gの範囲であることが望ましい。細孔容積が0.1ml/g未満では、十分に屈折率の低下した粒子が得られず、1.5ml/gを越えると微粒子の強度が低下し、得られる被膜の強度が低下することがある。
なお、このような多孔質粒子の細孔容積は水銀圧入法によって求めることができる。また、空洞粒子の内容物としては、粒子調製時に使用した溶媒、気体、多孔質物質等が挙げられる。
溶媒中には空洞粒子調製する際に使用される粒子前駆体の未反応物、使用した触媒等が含まれていてもよい。また多孔質物質としては、前記多孔質粒子で例示した化合物からなるものが挙げられる。
これらの内容物は、単一の成分からなるものであってもよいが、複数成分の混合物であってもよい。
このような中空粒子の製造方法としては、例えば特開平7−133105号公報の段落番号[0010]〜[0033]に開示された複合酸化物コロイド粒子の調製方法が好適に採用される。
本発明の中空粒子の、低屈折率層中の固形分中の含有量は、10〜40質量%であることが好ましい。特に好ましくは20〜40質量%である。固形分とは、塗布に使用した溶媒を乾燥して全て除いた後に残されたものをいう。
本発明では市販の上記中空粒子を用いることができる。市販の粒子の具体例としては、触媒化成工業社製ELCOM V−8209等が挙げられる。
〈コロイダルシリカ〉
本発明に好ましく用いられるコロイダルシリカは、二酸化ケイ素をコロイド状に水または有機溶媒に分散させたものであり、球状、針状または数珠状である。
コロイダルシリカの平均粒径は前記中空粒子の平均粒径の1.1〜20倍未満であり、好ましくは1.5〜5.0倍である。従って、コロイダルシリカの平均粒径は50〜300nmの範囲が好ましく用いられる。
コロイダルシリカの粒径は変動係数が1〜40%の単分散であることが好ましい。平均粒径は、走査電子顕微鏡(SEM)等による電子顕微鏡写真から計測することができる。
具体的には当該粒子を含む試料の顕微鏡写真(1000倍透過モード)を撮影し、この写真に写った粒子の直径を画像処理装置LUZEX−III(ニレコ社製)で1000個測定し、その平均値を算出して平均粒径とした。
動的光散乱法や静的光散乱法等を利用する粒度分布計等によって計測してもよい。しかし、コロイダルシリカの平均粒径と中空粒子の平均粒径の比を求める場合は、同じ計測方法によらねばならない。
本発明に用いられこのようなコロイダルシリカは市販されており、例えば、日産化学工業社のスノーテックスシリーズ、触媒化成工業社のカタロイド−Sシリーズ、バイエル社のレバシルシリーズ等が挙げられる。
また、アルミナゾルや水酸化アルミニウムでカチオン変性したコロイダルシリカやシリカの一次粒子を2価以上の金属イオンで粒子間を結合し数珠状に連結した数珠状コロイダルシリカも好ましく用いられる。
数珠状コロイダルシリカは日産化学工業社のスノーテックス−AKシリーズ、スノーテックス−PSシリーズ、スノーテックス−UPシリーズ等がある。
コロイダルシリカの低屈折率層中の含有量は、低屈折率層中の固形分に対し30〜60質量%であることが好ましい。
低屈折率化の効果を得る上で、30質量%以上が好ましく、40質量%を超えるとバインダー成分が少なくなり膜強度が不十分となる。
低屈折率層中の中空粒子とコロイダルシリカの含有量比は、反射率低減効果と表面硬度の観点から選ばれるが、1:0.1〜10が好ましく、1:0.8〜5がより好ましい。
〈バインダー〉
低屈折率層は、低屈折率層全体で5〜80質量%のバインダーを含むことが好ましい。バインダーは、中空粒子、コロイダルシリカおよびシリコーンを結合し、空隙を含む低屈折率層の構造を形成する機能を有する。
バインダーの使用量は、空隙を充填することなく低屈折率層の強度を維持できるように調整する。バインダーはそれ自体が低屈折率の化合物であり、下記一般式(1)で表されるオルガノシランもしくはその加水分解物あるいはその縮合物である。
一般式(1) Si(X1)
式中、X1は水酸基または加水分解可能な基であり、具体的にはアルコキシ基であり、好ましくは炭素数1〜4のアルコキシ基である。具体的化合物化合物には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン等が好ましく用いられる。
また、低屈折率層にはバインダーとして下記一般式(2)で表されるオルガノシランもしくはその縮合物も含有してもよい。
一般式(2) (R)mSi(X2)4−m
Rは、水酸基、加水分解可能な基以外の基を表す。X2は、水酸基、加水分解可能な基を表す。mは1〜4の整数を表す。
一般式(2)で表されるオルガノシランとしては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシエトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリアセトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(β−グリシジルオキシエトキシ)プロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポシシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランおよびβ−シアノエチルトリエトキシシランが挙げられる。
また、ジメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルフェニルジエトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシランおよびメチルビニルジエトキシシランが挙げられる。
これらのうち、分子内に二重結合を有するビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシエトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランおよびγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシランおよびメチルビニルジエトキシシランが好ましく、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランおよびγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシランおよびγ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシランが特に好ましい。
2種類以上を併用してもよい。上記に示されるオルガノシランに加えて、他のオルガノシランを用いてもよい。他のオルガノシランには、オルトケイ酸のアルキルエステル(例えば、オルトケイ酸メチル、オルトケイ酸エチル、オルトケイ酸n−プロピル、オルトケイ酸i−プロピル、オルトケイ酸n−ブチル、オルトケイ酸sec−ブチル、オルトケイ酸t−ブチル)およびその加水分解物が挙げられる。
低屈折率層のその他のバインダーとしては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリオキシエチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、ニトロセルロース、ポリエステル、アルキド樹脂が挙げられる。
本発明において一般式(2)のオルガノシランは、一般式(1)のオルガノシランに対して、1〜50質量%の範囲で使用することが好ましく、5〜40質量%の範囲で使用することが特に好ましい。
〈その他の添加剤〉
(フッ素系界面活性剤)
低屈折率層にはフッ素系界面活性剤を含有することが好ましい。塗布ムラを低減したり膜表面の防汚性を向上させるのに有効である。
フッ素系界面活性剤としては、パーフルオロアルキル基を含有するモノマー、オリゴマー、ポリマーを母核としたもので、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン等の誘導体等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤は市販品を用いることもでき、例えばサーフロン「S−381」、「S−382」、「SC−101」、「SC−102」、「SC−103」、「SC−104」(何れも旭硝子(株)製)、フロラード「FC−430」、「FC−431」、「FC−173」(何れもフロロケミカル−住友スリーエム製)、エフトップ「EF352」、「EF301」、「EF303」(何れも新秋田化成(株)製)、シュベゴーフルアー「8035」、「8036」(何れもシュベグマン社製)、「BM1000」、「BM1100」(いずれもビーエム・ヒミー社製)、メガファック「F−171」、「F−470」(いずれも大日本インキ化学工業(株)製)、等を挙げることができる。
本発明におけるフッ素系界面活性剤のフッ素含有割合は、0.05〜2質量%、好ましくは0.1〜1質量%である。上記のフッ素系界面活性剤は、1種または2種以上を併用することができ、またその他の界面活性剤と併用することができる。
〈低屈折率層の形成〉
本発明の低屈折率層の形成には、基本的には一般的な公知の方法をそのまま使用することができ、オルガノシランの加水分解液を含有する塗布液を塗布乾燥することが行われる。
具体的には、オルガノシランに水、また有機金属化合物と水が混和しやすいように、メタノール、エタノール、アセトニトリルのような親水性の有機溶媒を共存させ溶解して、次いで、例えば、酸など加水分解触媒を添加して、オルガノシランを加水分解、縮合させる。
GPC測定により、一定の加水分解が進んだところで、中空粒子を混合することにより、低屈折率層塗布液とした後、さらに加水分解を継続する工程により縮合することによりGPCの測定を行って、分子量の増加や架橋の度合いをみた後、これを防眩性ハードコート層上に塗布して、乾燥することで、低屈折率層を形成することができる。
本発明においては、テトラエトキシシラン等の一般式(1)で表されるオルガノシランを加水分解およびそれに続いて縮合させ、所定の分子量の低縮合物を作製したことろで、中空粒子をこの塗布液に混合してさらに加水分解および縮合を継続する工程を有することを特徴とする。
所定の分子量とは、下記条件で測定したGPCによるスチレン換算の重量平均分子量が500〜1000であることをいう。さらなる加水分解および縮合を継続する工程では、重量平均分子量は、1000を超えて10000以下となるように調整する。
〈GPC測定条件〉
GPCによる重量平均分子量測定方法は、試料固形分濃度が0.8質量%となるようにTHFを用いて希釈し、カラム温度25℃で、以下の条件により測定を行う。
カラム :東ソー社 TSKgelG5000HXL−TSKgelG2000HXL
溶離液 :THF
ポンプ :L6000(日立製作所(株)製)
流量 :1.0ml/min
検出 :RI Model 504(GLサイエンス社製)
試料濃度:0.8%
標準試料・校正曲線:標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=1000000〜500迄の13サンプルによる校正曲線を使用する。
中空粒子を加水分解開始直後から塗布液に混合したり、オルガノシロキサンが一般式(2)で表されるような反応性のものである場合は、本発明のような中空粒子表面へのシリコーンの吸着を抑制するような作用はほとんど見ることができない。
一方、一般式(2)で表されるオルガノシランは、一般式(1)で表されるオルガノシランの重量平均分子量が500〜1000であるような低縮合物と混合することで、バインダーとしての膜強度には寄与する。
<その他の層>
〈帯電防止層〉
本発明の防眩性ハードコートフィルムに、帯電防止層を設けることが好ましい。帯電防止層は、透明フィルム基材と防眩性ハードコート層の間に設けることが好ましい。
帯電防止層は、アンチモン酸亜鉛ゾル、リン酸スズゾル、酸化スズゾル等を、防眩性ハードコート層を製造する方法に準じて紫外線や電子線のような活性線照射により架橋反応等を経て硬化する樹脂に含有することが好ましい。
〈バックコート層〉
本発明の防眩性ハードコートフィルムには、防眩性ハードコート層を設けた側と反対側の面にバックコート層を設けてもよい。
バックコート層は、防眩性ハードコート層を設けることで生じるカールを矯正するために設けられる。すなわち、バックコート層を設けた面を内側にして丸まろうとする性質を持たせることにより、カールの度合いをバランスさせることができる。
なお、バックコート層は好ましくはブロッキング防止層を兼ねて塗設され、その場合、バックコート層塗布組成物には、ブロッキング防止機能を持たせるために無機化合物または有機化合物の粒子が添加されることが好ましい。
上記した各層を塗布する前に表面処理をしても良い。表面処理方法としては、洗浄法、アルカリ処理法、フレームプラズマ処理法、高周波放電プラズマ法、電子ビーム法、イオンビーム法、スパッタリング法、酸処理、コロナ処理法、大気圧グロー放電プラズマ法等が挙げられる。
<偏光板>
本発明の防眩性ハードコートフィルムを用いた偏光板について述べる。
偏光板は、一般的な方法で作製することができる。本発明の防眩性フィルムの裏面側をアルカリ鹸化処理し、処理した防眩性フィルムを、ヨウ素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光膜の少なくとも一方の面に、完全鹸化型ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせることが好ましい。
本発明の防眩性ハードコートフィルムに対して、もう一方の面に用いられる偏光板保護フィルムは、面内リタデーション(Ro)、厚み方向リタデーション(Rt)を適宜選択することができる。
なお、リタデーション値Ro、Rtは、自動複屈折率計を用いて測定することができる。例えば、KOBRA−21ADH(王子計測機器(株)製)を用いて、温度23℃、湿度55%RHの環境下で、波長が590nmで求めることができる。
裏面側に用いられる偏光板保護フィルムとしては、市販のセルロースエステルフィルムとして、KC8UX2MW、KC4UX、KC5UX、KC4UY、KC8UY、KC12UR、KC4UEW、KC8UCR−3、KC8UCR−4、KC8UCR−5、KC4FR−1、KC4FR−2(コニカミノルタオプト(株)製)等が好ましく用いられる。
偏光板の主たる構成要素である偏光膜とは、一定方向の偏波面の光だけを通す素子であり、現在知られている代表的な偏光膜は、ポリビニルアルコール系偏光フィルムで、これはポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を染色させたものと二色性染料を染色させたものがあるがこれのみに限定されるものではない。
偏光膜は、ポリビニルアルコール水溶液を製膜し、これを一軸延伸させて染色するか、染色した後一軸延伸してから、好ましくはホウ素化合物で耐久性処理を行ったものが用いられている。
偏光膜の膜厚は5〜30μm、好ましくは8〜15μmの偏光膜が好ましく用いられる。該偏光膜の面上に、本発明の反射防止フィルムの片面を貼り合わせて偏光板を形成する。
好ましくは完全鹸化ポリビニルアルコール等を主成分とする水系の接着剤によって貼り合わせる。
<表示装置>
本発明の防眩性ハードコートフィルム、または防眩性反射防止フィルム面を表示装置の鑑賞面側に組み込むことによって、種々の視認性に優れた本発明の表示装置を作製することができる。
本発明の防眩性ハードコートフィルムは、偏光板に組み込まれ、反射型、透過型、半透過型LCDまたはTN型、STN型、OCB型、HAN型、VA型(PVA型、MVA型)、IPS型等の各種駆動方式のLCDで好ましく用いられる。
また、本発明の防眩性ハードコートフィルムは防眩性ハードコート層の反射光の色ムラが著しく少なく、また、反射率が低く、平面性に優れ、プラズマディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ、有機ELディスプレイ、無機ELディスプレイ、電子ペーパー等の各種表示装置にも好ましく用いられる。
特に、プラズマディスプレイの前面板フイルターとして加工し、装着したプラズマディスプレイは、光干渉ムラもなく優れた視認性を有する表示装置である。また、30型以上の大画面のプラズマディスプレイ表示装置でも、色ムラや波打ちムラが少なく、長時間の鑑賞でも目が疲れないという効果がある。
以下のようにして、防眩性ハードコートフィルム試料を作製した。
<透明フィルム基材の作成>
(粒子分散液)
本発明の平均粒径0.2μm以上2.0μm未満であって透明フィルム基材との屈折率差が0.02以上0.3下の粒子X 表1、表2記載
エタノール 80質量部
以上をディゾルバーで30分間撹拌混合した後、マントンゴーリンで分散を行い、二酸化珪素分散希釈液Aを作製した。
粒子X(平均粒径、屈折率)
X1:ケミスノーMP(0.5μm、1.49)
X2:シーホスターKE−P10(0.12μm、1.43)
X3:シーホスターKE−P150(1.58μm、1.43)
X4:フッ素含有ポリメチルメタクリレート(0.55μm、1.42)
(日本ペイント(株)製 F−191)
X5:エポスターS12(1.5μm、1.66)
X6:シーホスターKE−P250(2.50μm、1.43)
(インライン添加液1の作製)
チヌビン109(チバ・ジャパン(株)製) 11質量部
チヌビン171(チバ・ジャパン(株)製) 5質量部
メチレンクロライド 100質量部
以上を密閉容器に投入し、加熱し、撹拌しながら、完全に溶解し、濾過した。さらに、セルロースアセテートプロピオネート(アセチル基置換度1.9、プロピオニル基置換度0.8)6質量部を撹拌しながら加えて、さらに60分間撹拌した後、アドバンテック東洋(株)のポリプロピレンワインドカートリッジフィルターTCW−PPS−1Nで濾過し、インライン添加液1を調製した。
(ドープ液1の調製)
セルローストリアセテート 100質量部
(Mn=95000、Mw=323000、Mw/Mn=3.4、アセチル基置換度2.9 屈折率1.48)
トリメチロールプロパントリベンゾエート(脂肪族多価アルコールエステル)
5.0質量部
エチルフタリルエチルグリコレート 5.5質量部
メチレンクロライド 440質量部
エタノール 40質量部
以上を密閉容器に投入し、加熱し、撹拌しながら、完全に溶解した上で、粒子分散液を50質量部添加、混合し、安積濾紙(株)製の安積濾紙No.24を使用して濾過し、ドープ液1を調製した。
濾過したドープ液1を100質量部に対し、濾過したインライン添加液1を2質量部加えて、インラインミキサー(東レ静止型管内混合機 Hi−Mixer、SWJ)で十分混合し、次いで、ベルト流延装置を用い、温度35℃、1800mm幅でステンレスバンド支持体に均一に流延した。
ステンレスバンド支持体で、残留溶剤量が120%になるまで溶媒を蒸発させ、ステンレスバンド支持体上から剥離した。剥離したセルロースエステルのウェブを40℃で溶媒を蒸発させ、1650mm幅にスリットした。
試料1〜8では下記の鋳型により凹凸を付与した。
鋳型を設けたロール(中心線平均表面粗さRa=1μm、凹凸間隔Sm=20μm)とバックロールから構成される凹凸形成部で溶媒を含むフィルムを挟んでフィルムのB面(ステンレスバンド支持体に接していた側をB面とし、その反対側をA面とする。)側に鋳型を設けた熱ロールを押し当てて、A面側にはバックロールを配置し、両ロール間を通すことによってB面側に凹凸を形成した。
凹凸形成部近傍には、除電ワイヤーを設置してフィルムの帯電を抑制した。
凹凸形成後、110℃、120℃の加熱ゾーンを多数のロールで搬送させながら乾燥を終了させ、1400mm幅にスリットし、フィルム両端に幅15mm、平均高さ10μmのナーリング加工を施して巻き取り、セルロースエステルフィルムを得た。
試料9〜17では、上記粒子X1、及び平均粒径2.0μm以上10.0μm未満の粒子Yをドープに添加し、下記または表1、表2記載の延伸処理をおこなった。
なお、試料16では、表2に記載の内容で2種類のドープ液を2層構成となるように、ステンレスベルト上に全体膜厚が80μmとなるように共流延した。その際、ステンレスベルト側が60μmとなるように調整した。粒子Yは、ステンレスベルト側と反対側に含有させた。
テンターでTD方向(フィルムの搬送方向と直交する方向)に120℃で1.10倍に延伸した。テンターで延伸を始めたときの残留溶剤量は30%(貧溶媒比率は10質量%以上)とした。
ステンレスバンド支持体の回転速度とテンターの運転速度から算出される剥離直後のMD方向(フィルムの搬送方向と同一方向)の延伸倍率は1.00倍とした。巻き取ったセルロースエステルフィルムの残留溶剤量は0.1%であり、平均膜厚は80μm、巻数は3000mであった。
粒子Y
Y1:エポスターMA1002(2.5μm)
Y2:エポスターMA1004(4.5μm)
Y3:エポスターMA1006(6μm)
Y4:エポスターGPH100(10μm)
Y5:エポスターMA1015(13μm)
<防眩性ハードコート層の作製>
以下の様にして、上記透明フィルム基材に下記防眩性ハードコート層、バックコート層、低屈折率層、を設け、実施例試料および比較例試料を作製した。
透明フィルム基材に、防眩性ハードコート層用塗布組成物1をダイコートし、80℃で乾燥した後、0.30J/cmの紫外線を高圧水銀灯で照射して、硬化後の膜厚が5μmになるように防眩性ハードコート層を塗設した。透明樹脂のみの屈折率は、1.49であった。
この防眩性ハードコート層と反対側の面に、下記のバックコート層用塗布組成物1の液をウェット膜厚6μmとなるようにダイコートして、バックコート層を設け、セルロースエステルフィルムに防眩性ハードコート層、およびバックコート層を設けた防眩性ハードコートフィルム試料1を作製した。
次いで、表1、表2に記載のように内容を変更して試料2〜17を同様に作製した。
(防眩性ハードコート層用塗布組成物1)
アセトン 35質量部
酢酸エチル 35質量部
シクロヘキサノン 15質量部
トルエン 15質量部
ペンタエリスリトールトリアクリレート 30質量部
ペンタエリスリトールテトラアクリレート 45質量部
ウレタンアクリレート 25質量部
(商品名U−4HA 新中村化学工業社製)
1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニル−ケトン 8質量部
(イルガキュア184 チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)
2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モノホリノプロパン−1−オン(イルガキュア907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製) 8質量部
粒子1:粒子Aを使用する場合 5質量部
粒子2:粒子Bを使用する場合 2質量部
その他実施例および比較例で使用した粒子は下記を通りである。
粒子A:フッ素含有ポリメチルメタクリレート粒子(日本ペイント(株)製 F−191 平均粒径0.55μm 屈折率1.42)
粒子B:シリカ粒子(シーホスターKE−P100、平均粒径1.10μm 屈折率1.43 日本触媒(株)製)
(バックコート層用塗布組成物1)
アセトン 30質量部
酢酸エチル 45質量部
イソプロピルアルコール 10質量部
ジアセチルセルロース 0.6質量部
平均粒径16nmのシリカ粒子2%アセトン分散液 0.2質量部
防眩性ハードコート層の上に、低屈折率層塗布液1をダイコートし、50℃で60秒乾燥した後、酸素濃度0.1%の雰囲気下、高圧水銀灯で300mJ/cmの紫外線を照射し、更に130℃で60秒熱処理を行って膜厚が100nmになるように低屈折率層を設けた。
なお、試料17は、低屈折率層の塗布前に、1規定の水酸化ナトリウム水溶液で45℃、2分間の表面処理を行った。
(低屈折率層塗布液1)
プロピレングリコールモノメチルエーテル 437質量部
イソプロピルアルコール 347質量部
酢酸 3.00質量部
加水分解物B(固形分8.6%換算) 165質量部
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
(KBM503、信越化学工業社製) 1.25質量部
α−ブチル−ω−[3−(2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ブトキシ)プロピル]ポリジメチルシロキサン(FM−DA21 チッソ株式会社製) 1.05質量部
アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレート(川研ファインケミカル社製ALCH)のイソプロピルアルコール希釈液(固形分10%) 2.25質量部
FZ−2207(10%プロピレングリコールモノメチルエーテル溶液、東レ・ダウコーニング社製) 2.40質量部
〈加水分解物Bの調製〉
テトラエトキシシラン147g(商品名:KBE04、信越化学工業社製)にエタノールと酢酸水溶液を添加して500gとし、室温(25℃)にて15時間攪拌して加水分解物を調製した。シランの縮合物の重量平均分子量Mwは800であった。
この時点で、ELCOM KO−1025SIV(触媒化学工業(株)製のイソプロピルアルコール分散中空シリカ粒子、固形分20%)588gを混合し、更に2時間攪拌して、最後に溶媒を留去し濃度を調整し加水分解物Bを調製した。
加水分解物Bの中空シリカ粒子を混合するのと同時に、α−ブチル−ω−[3−(2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ブトキシ)プロピル]ポリジメチルシロキサン(FM−DA21 チッソ株式会社製)1.05質量部も混合した。
・比較試料18:特開2007−65635号明細書実施例1の試料5(最上層に低屈折率層を有している)に記載の防眩性フィルムに準じた試料
・比較試料19:特開2006−293334号明細書実施例1の試料5(最上層に低屈折率層を有している)に記載の防眩性フィルムに準じた試料
このようにして作製した試料について、下記の評価を行った。結果を表1、表2に示す。
<評価方法>
《ヘイズ》
JIS−K7136に準じてヘイズメーター(T−2600DA、東京電色製)により、透明フィルム基材の全ヘイズ値(H)を測定した。
《散乱反射比率(散乱反射率/積分反射率)》
コニカミノルタセンシング(株)製、分光測色計CM−2500dを用いて、測定径φ8mm、観察視野2°の条件で、SCI(積分反射率)およびSCE(散乱反射率)を測定した。
《防眩性》
目視による官能評価をおこなった。判定基準は以下の通りである。
○ :蛍光灯の輪郭がぼけて写り込みが全く気にならない
○△:蛍光灯の輪郭が僅かに認められるがあまり気にならない
△ :蛍光灯の輪郭が認められるが許容出来る
× :蛍光灯の輪郭がはっきり分かり写り込みが気になる
《コントラスト(鮮明度)》
スガ試験機(株)製、写像性測定器ICM−IDPを用いて、櫛巾0.5mmにおける透過写像性を測定し、透過写像性をもってコントラスト評価とした。
《コントラスト(高精細鮮明度)》
カラーフィルター上に試料を乗せ、裏面(カラーフィルター側)からの透過光により光学顕微鏡で観察し、画像の輪郭のクリア度を目視評価した。図2に装置の概略を示す。
図2は、カラーフィルターを透過した光による画像の光学顕微鏡写真例である。
《ギラツキ》
白画像に試料を貼り付け、暗室内で画像のギラツキを、目視による官能評価した。
《鉛筆硬度》
JIS K 5600に従い、試料を既知の硬さの鉛筆を鉛筆硬度試験器(HA−301、クレメンス型引掻硬度試験器、テスター産業(株))にて1kgの荷重にて引掻き、目視にて傷の発生有無を評価した。
5回の引掻きで傷が入ったのが1回以下であれば合格とする。(例:5Hの鉛筆で傷が2回以上入り、4Hの鉛筆で傷が1回以下入った場合は4Hとする。)
本発明は、防眩性、鮮明度に優れ、またハードコートとしての傷耐性にも優れていることが分かる。

Claims (6)

  1. 透明フィルム基材上の少なくとも一方の面にハードコート層を有する防眩性ハードコートフィルムにおいて、該透明フィルム基材の内部ヘイズが10〜60%であり、該ハードコート層の表面ヘイズが1.0〜15%であることを特徴とする防眩性ハードコートフィルム。
  2. 前記透明フィルム基材が、平均粒径0.2μm以上2.0μm未満であって透明フィルム基材との屈折率差が0.02以上0.3以下の粒子を含有することを特徴とする請求の範囲第1項記載の防眩性ハードコートフィルム。
  3. 前記透明フィルム基材が、平均粒径2.0μm以上10.0μm未満の粒子を含有することを特徴とする請求の範囲第2項記載の防眩性ハードコートフィルム。
  4. 透明フィルム基材上の少なくとも一方の面にハードコート層を有する防眩性ハードコートフィルムの製造方法において、該透明フィルム基材の表面ヘイズが5.0〜80%の表面に、ハードコート層を塗設することを特徴とする防眩性ハードコートフィルムの製造方法。
  5. 請求の範囲第1項〜第3項いずれかに記載の防眩性ハードコートフィルムを使用したことを特徴とする偏光板。
  6. 請求の範囲第1項〜第3項いずれかに記載の防眩性ハードコートフィルムを使用したことを特徴とする画像表示装置。
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