JP2003053878A - 防眩性フィルム - Google Patents
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Abstract
の積層構造の防眩性フィルムにおいて、高屈折率層をレ
ベリング剤を添加した塗料組成物を用いて形成すると、
低屈折率層との界面での反射性が低下し、反射光どうし
の干渉による反射防止効果が低下することを解消するこ
とを課題とする。 【解決手段】 透明基材フィルム2上に、高屈折率バイ
ンダ層3、高屈折率レベリング剤層5、および低屈折率
層4が順に積層された積層構造とし、高屈折率レベリン
グ剤層5をシリコーン化合物を主体とし、高屈折率の透
明バインダ樹脂を含有する層とすることにより、上記の
課題を解決することができた。
Description
イの前面に貼るか、配置して適用し、外光の反射を防止
し、映像を見やすくするために用いられる防眩性フィル
ムに関するものであり、防眩性フィルムを構成するため
に積層された層のムラを無くして、かつ低反射率を維持
した防眩性フィルムに関するものである。
高屈折率層および低屈折率層を順に積層して、防眩性フ
ィルムとすること自体はすでに知られている。ところ
で、このような高屈折率層および低屈折率層の形成を、
流動性のある塗料を用いたコーティングにより行なう際
には、各層を構成する塗膜にムラが無いことが必要であ
るので、用いる塗料組成物の組成や、塗付直後の乾燥の
条件等を調節して行なうのが通常である。
つとして、均一な乾燥の実現を図る方法があり、溶剤の
種類や配合割合をより適切なものにするほか、塗料組成
物中にレベリング剤と称するシリコーン系の添加剤を配
合し、塗付後の塗膜表面にレベリング剤を浮上させ、早
急な乾燥を抑制することにより、全体として均一な乾燥
を行なわせ、塗膜の表面にムラが発生することを防止し
ている。
も透明な高屈折率層3aおよび低屈折率層4が順に積層
された積層構造を有する従来の防眩性フィルム1の断面
構造、およびその反射防止性を説明する図である。図3
(a)において、防眩性フィルム1に対する入射光線L
1は、低屈折率層4の表面で反射して反射光L2とな
り、また、入射光線L1が低屈折率層4を透過した場合
には、高屈折率層3aと低屈折率層4の界面で反射して
反射光L3となり、両反射光L2およびL3が干渉し合
うことにより、反射光の強度が弱められ、全体としての
反射率が低下することにより、反射防止性が生じる。
折率層3aを形成する際の塗料組成物中に、レベリング
剤を添加するので、高屈折率層3aの上部にレベリング
剤が浮上して、レベリング剤層5aが生じる。レベリン
グ剤がシリコーン系である場合、レベリング剤層5aと
低屈折率層との界面での反射が抑制されるので、図3
(b)に示すように、レベリング剤層5aと低屈折率層
4との界面での反射光L3’の強度が弱められ、この結
果、低屈折率層4の表面で反射した反射光L2との干渉
が充分に行なわれず、反射光の強度を弱める効果が減
り、全体としての反射率の低下が上記の場合にくらべ
て、不十分となる。しかし、レベリング剤の添加を省く
と、高屈折率層の表面にムラ(微小な厚みムラであ
る。)が生じ、このムラは、防眩性フィルム1をディス
プレイに適用した際に、視覚的な欠点となるので、レベ
リング剤の添加は不可欠である。
ては、透明基材フィルム上に、いずれも透明な高屈折率
層および低屈折率層を順に積層した積層構造を有する防
眩性フィルムにおいて、高屈折率層が、レベリング剤を
添加した塗料組成物を用いて形成した、レベリング剤層
を有する構造でありながら、上層との界面での反射性が
確保され、上記のような、反射光どうしの干渉により、
弱め合う効果が低下しない防眩性フィルムを提供するこ
とを課題とする。
剤を用いて高屈折率層を形成した際に、高屈折率層の上
部に生じるレベリング剤層を、レベリング剤を主体とし
ながらも、高屈折率層を形成するための高屈折率の透明
バインダ樹脂を含有する層で置き換えることにより、上
記の課題を解決することができた。
屈折率層および低屈折率層が順に積層された積層構造を
有しており、前記高屈折率層は、前記透明基材側に、高
屈折率の透明バインダ樹脂を主体とする層を、また、前
記低屈折率層側に、シリコーン化合物を主体とし、前記
高屈折率の透明バインダ樹脂をも含有する層を有する二
層構成を有するものであることを特徴とする防眩性フィ
ルムに関するものである。第2の発明は、透明基材フィ
ルム上に、透明導電性層、高屈折率層および低屈折率層
が順に積層された積層構造を有しており、前記高屈折率
層は、前記透明基材側に、高屈折率の透明バインダ樹脂
を主体とする層を、また、前記低屈折率層側に、シリコ
ーン化合物を主体とし、前記高屈折率の透明バインダ樹
脂を含有する層を有する二層構成を有するものであるこ
とを特徴とする防眩性フィルムに関するものである。第
3の発明は、第1または第2の発明において、前記シリ
コーン化合物がアルキル変性シリコーンであることを特
徴とする防眩性フィルムに関するものである。第4の発
明は、第2の発明において、前記透明導電性層は、透明
導電性薄膜からなるか、もしくは導線性微粒子を含有す
る透明バインダ樹脂層からなることを特徴とする防眩性
フィルムに関するものである。第5の発明は、第1〜第
4いずれかの発明において、前記高屈折率層が導電性微
粒子が分散したものであることを特徴とする防眩性フィ
ルムに関するものである。
発明の防眩性フィルムの実施例の断面構造を示す図であ
る。図1に示すように、本発明の防眩性フィルム1は、
透明基材フィルム2上に、高屈折率バインダ層3、およ
び低屈折率層4が順に積層された積層構造を基本的に有
し、ただ、高屈折率バインダ層3と低屈折率層4との間
に、高屈折率レベリング層5が積層された積層構造を有
するもので、従来の防眩性フィルムにおける透明基材フ
ィルム、高屈折率層、および低屈折率層の三層構成のう
ちの高屈折率層が、ここでは、高屈折率バインダ層3と
高屈折率レベリング層5との二層構成を有するものであ
る。後に述べるように、高屈折率バインダ層3と高屈折
率レベリング層5とは、同一の高屈折率層形成用組成物
の一度の塗付により形成されるものである。
ム1は、上記の図1に示す積層構造における透明基材フ
ィルム2と高屈折率バインダ層3との間に、透明導電性
層6が積層された積層構造を有していてもよい。
成する素材、層の形成法等を、順次説明する。まず、透
明基材フィルム2としては、透明性、平滑性を備え、異
物の混入のないものが好ましく、また、加工上および使
用上の理由で機械的強度があるものが好ましい。さら
に、防眩性フィルム1にディスプレイの熱が伝わって来
るような場合には、耐熱性があるものが好ましい。
いものは、セルロースジアセテート、セルローストリア
セテート、セルロースアセテートブチレート、ポリエス
テル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルフォ
ン、ポリスルフォン、ポリプロピレン、ポリメチルペン
テン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセタール、ポリエ
ーテルケトン、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネ
ート、もしくはポリウレタン等の熱可塑性樹脂のフィル
ムである。
合に、よく用いられるポリエステルや、透明性が高く光
学的に異方性がないので、やはり写真用フィルムによく
用いられるセルローストリアセテート(TAC)等が通
常、好ましい。なお、これらの熱可塑性樹脂のフィルム
はフレキシブルで使いやすいが、取り扱い時も含めて曲
げる必要が全くなく、硬いものが望まれるときは、上記
の樹脂の板やガラス板等の板状のものも使用できる。厚
みとしては、8〜1000μm程度が好ましいが、板状
のものの場合には、この範囲を超えてもよい。
形成する層との接着性の向上のために、通常、行なわれ
得る各種の処理、即ち、コロナ放電処理、酸化処理等の
物理的な処理のほか、アンカー剤もしくはプライマーと
呼ばれる塗料の塗布を予め行なっておいてよい。
インダ樹脂を主体とする層であり、ここで、高屈折率の
透明バインダ樹脂とは、文字どおりの高屈折率の透明バ
インダ樹脂、屈折率の高い微粒子が添加され分散される
ことにより高屈折率とされた透明バインダ樹脂、もしく
は、高屈折率の透明バインダ樹脂に、屈折率の高い微粒
子が添加され分散されたもののいずれをも指す。後に述
べるように、この高屈折率バインダ層3と高屈折率レベ
リング剤層5とは、特定のレベリング剤を配合した高屈
折率層形成用組成物の塗付により形成されるので、高屈
折率バインダ層3と高屈折率レベリング剤層5とは、い
ずれも、高屈折率の透明バインダ樹脂、およびレベリン
グ剤を含有し、ただし、含有する割合を異にするもので
ある。
線・電子線によって硬化する樹脂、即ち、電離放射線硬
化型樹脂、電離放射線硬化型樹脂に熱可塑性樹脂と溶剤
を混合したもの、熱硬化型樹脂の3種類が使用され得
る。
分としては、好ましくは、アクリレート系の官能基を有
するもの、例えば比較的低分子量のポリエステル樹脂、
ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレ
タン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポ
リブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂、多価ア
ルコール等の多官能化合物の(メタ)アルリレート等の
オリゴマー又はプレポリマー及び反応性希釈剤としてエ
チル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)ア
クリレート、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピ
ロリドン等の単官能モノマー並びに多官能モノマー、例
えば、ポリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレー
ト、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリプロ
ピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレン
グリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリト
ールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトー
ルヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオ
ールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール
ジ(メタ)アクリレート等を比較的多量に含有するもの
が使用できる。
紫外線硬化型樹脂組成物とするには、この中に光重合開
始剤としてアセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒ
ラーベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステ
ル、テトラメチルチウラムモノサルファイド、チオキサ
ントン類や、光増感剤としてn−ブチルアミン、トリエ
チルアミン、ポリ−n−ブチルホソフィン等を混合して
用いることができる。特に本発明では、オリゴマーとし
てウレタンアクリレート、モノマーとしてジペンタエリ
スリトールヘキサ(メタ)アクリレート等を混合するの
が好ましい。
透明性樹脂として、上記のような電離放射線硬化型樹脂
に対して溶剤乾燥型樹脂を含ませたものであってもよ
い。前記溶剤乾燥型樹脂には、主として熱可塑性樹脂が
用いられる。電離放射線硬化型樹脂に添加する溶剤乾燥
型の熱可塑性樹脂の種類としては、通常用いられるもの
が使用されるが、透明基材フィルム2として特に前述の
ようなTAC等のセルロース系樹脂を用いるときには、
電離放射線硬化型樹脂に含ませる溶剤乾燥型樹脂には、
ニトロセルロース、アセチルセルロース、セルロースア
セテートプロピオネート、エチルヒドロキシエチルセル
ロース等のセルロース系樹脂が塗膜の密着性及び透明性
の点で有利である。
媒としてトルエンを使用した場合、透明基材フィルム2
であるトリアセチルセルロースの非溶解性の溶剤である
トルエンを用いるにも拘らず、透明基材フィルム2にこ
の溶剤乾燥型樹脂を含む塗料の塗布を行っても、透明基
材フィルム2と塗膜樹脂との密着性を良好にすることが
でき、しかもこのトルエンは、透明基材フィルム2であ
るトリアセチルセルロースを溶解しないので、透明基材
フィルム2の表面が白化せず、透明性が保たれるという
利点があるからである。
組成物に溶剤乾燥型樹脂を含ませる利点がある。
ロールを有するロールコータで透明基材フィルム2に塗
布する場合、メタリングロール表面の液状残留樹脂膜が
流動して経時で筋やムラ等になり、これらが塗布面に再
転移して塗布面に筋やムラ等の欠点を生じ得るが、上記
のように電離放射線硬化型樹脂組成物に溶剤乾燥型樹脂
を含ませると、このような塗布面の塗膜欠陥を防ぐこと
ができる。
の硬化方法としては、前記電離放射線硬化型樹脂組成物
の硬化方法は通常の硬化方法、即ち、電子線又は紫外線
の照射によって硬化することができ、電子線としては、
100KeV〜300KeVのエネルギーを有する電子
線等を使用し、紫外線硬化の場合には超高圧水銀灯、高
圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアー
ク、メタルハライドランプ等の光線から発する紫外線等
を使用するとよい。
尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラニン樹脂、グ
アナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン
樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン
−尿素共縮合樹脂、ケイ素樹脂、ポリシロキサン樹脂等
が使用され、これらの樹脂に必要に応じて架橋剤、重合
開始剤等の硬化剤、重合促進剤、溶剤、粘度調整剤等を
加えて使用する。
の屈折率を有しているが、さらに高屈折率の微粒子を添
加して、透明バインダ樹脂の屈折率を見かけ上、上昇さ
せることができる。一般に、電離放射線硬化型樹脂の屈
折率は約1.5で、ガラスと同程度で高いが、これに高
屈折率の微粒子であるTiO2(屈折率;2.3〜2.
7)、Y2O3(屈折率;1.87)、La2O3(屈折
率;1.95)、ZrO2 (屈折率;2.05)、Al
2 O3 (屈折率;1.63)等を塗膜の拡散性を保持で
きる程度に加えて、さらに屈折率を高くすることができ
る。電離放射線硬化型樹脂以外に、熱可塑性樹脂や熱硬
化性樹脂を用いる場合も同様である。
拡散性を確保する目的で、透明な球形粒子を分散させる
ことが好ましい。球形粒子としては、プラスチックビー
ズが好適であり、特に透明度が高く、マトリックス樹脂
である透明バインダ樹脂との屈折率差が0.05〜0.
2程度であるものが好ましい。
ーズ(屈折率1.59)、メラミンビーズ(屈折率1.
57)、アクリルビーズ(屈折率1.49)、アクリル
−スチレンビーズ(屈折率1.54)、ポリカーボネー
トビーズ、ポリエチレンビーズ、塩ビビーズ等が用いら
れる。これらプラスチックビーズのうち、スチレンビー
ズが特に好ましく用いられる。これらのプラスチックビ
ーズの粒径は、平均粒径が2〜10μmのものを適宜選
択して用いる。上記プラスチックビーズのうち、スチレ
ンビーズが特に好ましく用いられる。ここで、平均粒径
が2μm未満では、光を拡散する効果が不足するため、
得られる防眩性が不十分であり、10μmを超えると、
高屈折率バインダ層3内部での光の拡散効果が減少する
ため、内部ヘイズ値が低下し、映像のギラツキを生じや
すい。
脂100質量部に対し、7〜20質量部の割合で配合す
ることが好ましく、7質量部未満では、光を拡散する効
果が不足するため、得られるギラツキが不十分であり、
20質量部を超えると、透過画像鮮明度が低下し、ま
た、映像のギラツキを生じやすい。
る場合には、高屈折率バインダ層3を形成するための塗
料組成物中で、プラスチックビーズが沈降し易いので、
沈降防止のためにシリカ等の無機フィラーを添加しても
よい。なお、無機フィラーは添加すればある程度、プラ
スチックビーズの沈降防止に有効であるが、塗膜の透明
性に悪影響を与える。従って、好ましくは、粒径0.5
μm以下の無機フィラーを、透明性樹脂に対して塗膜の
透明性を損なわない程度に、0.1重量%未満程度含ま
せると沈降を防止することができる。プラスチックビー
ズの沈降防止のための沈降防止剤である無機フィラーを
添加しない場合は、透明基材フィルム2への塗布時に有
機フィラーが底に沈澱しているので、よく掻き混ぜて均
一にして使用すればよい。
化合物を主体とし、高屈折率のバインダ樹脂を含有する
ことにより、層5全体としては、高屈折率となったもの
である。
であるシリコーン化合物は、高屈折率層の表面を平滑に
するために加えられる添加剤であるが、一般的なレベリ
ング剤を使用すると、塗膜の表面を被覆するので、必ず
しも好ましくない。このような一般的なレベリング剤
が、塗料中では、均一に溶解ないし分散しているもの
の、塗付後、直ちに、塗膜の表面に浮上するのは、塗料
中の樹脂との親和性が比較的小さいことによる。本発明
において使用し得るシリコーン化合物は、塗膜表面を平
滑にする効果を有しながらも、塗料中の樹脂との親和性
を残したものであることが好ましく、この意味で、シリ
コーン化合物としては、ジメチルシリコーンオイルを種
々の置換基で置換したもののうち、アルキル基で置換し
たものを使用することがより好ましい。
グ剤層5の両層は、樹脂としては高屈折率の透明バイン
ダ樹脂を、また、レベリング剤としては上記のシリコー
ン化合物を配合した高屈折率層形成用組成物の塗付後の
乾燥の途上において形成され、塗付後、シリコーン化合
物が塗膜の表面に浮上するものの、シリコーン化合物が
塗料中の樹脂との親和性を有するため、表面層がシリコ
ーン化合物のみの層とはならず、シリコーン化合物を主
体とし、高屈折率のバインダ樹脂を相対的には少ない割
合いで含有する層(高屈折率レベリング剤層)となり、
表面層を除く部分は、高屈折率の透明バインダ樹脂を主
体とし、シリコーン化合物をごく僅か含有する層(高屈
折率バインダ層)となる。
率の透明バインダ樹脂100に対して、レベリング剤で
あるシリコーン化合物0.01〜0.2の割合で配合し
(なお、比は質量基準であり、以降においても、同様で
ある。)、これらの他に、必要に応じて、溶剤、希釈
剤、高屈折率の微粒子、拡散性をもたらすための透明な
球状粒子、光重合開始剤、沈降防止剤、およびその他の
添加剤を配合して、混練もしくは分散して作製し、適宜
な塗付方法により、透明基材フィルム上に塗布し、乾燥
させることにより、上記したように、高屈折率バインダ
層3、および高屈折率レベリング剤層5の両層を形成す
る。高屈折率バインダ層3、および高屈折率レベリング
剤層5の両層からなる高屈折率層の屈折率は1.50以
上であることが好ましい。
含有フッ化ビニリデン共重合体からなるもので、具体的
には、フッ化ビニリデン30〜90重量%及びヘキサフ
ルオロプロピレン5〜50重量%を含有するモノマー組
成物が共重合されてなるフッ素含有割合が60〜70重
量%であるフッ素含有共重合体100重量部と、エチレ
ン性不飽和基を有する重合性化合物80〜150重量部
とからなる樹脂組成物から形成することができる。この
樹脂組成物を用いて、膜厚200nm以下の薄膜であっ
て、且つ耐擦傷性が付与された屈折率1.60未満(好
ましくは1.45以下)の低屈折率層4を形成する。
含有共重合体は、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプ
ロピレンとを含有するモノマー組成物を共重合すること
によって得られる共重合体であり、当該モノマー組成物
における各成分の割合は、フッ化ビニリデンが30〜9
0重量%、好ましくは40〜80重量%、特に好ましく
は40〜70重量%であり、又ヘキサフルオロプロピレ
ンが5〜50重量%、好ましくは10〜50重量%、特
に好ましくは15〜45重量%である。このモノマー組
成物は、更にテトラフルオロエチレンを0〜40重量
%、好ましくは0〜35重量%、特に好ましくは10〜
30重量%含有するものであってもよい。
モノマー組成物は、本発明の目的及び効果が損なわれな
い範囲において、他の共重合体成分が、例えば、20重
量%以下、好ましくは10重量%以下の範囲で含有され
たものであってもよい。ここに、当該他の共重合成分の
具体例として、例えばフルオロエチレン、トリフルオロ
エチレン、クロロトリフルオロエチレン、1,2−ジク
ロロ−1,2−ジフルオロエチレン、2−ブロモー3,
3,3−トリフルオロエチレン、3−ブロモー3,3−
ジフルオロプロピレン、3,3,3−トリフルオロプロ
ピレン、1,1,2−トリクロロ−3,3,3−トリフ
ルオロプロピレン、α−トリフルオロメタクリル酸等の
フッ素原子を有する重合性モノマーを挙げることができ
る。
ッ素含有共重合体は、そのフッ素含有割合が60〜70
重量%であることが必要であり、好ましいフッ素含有割
合は62〜70重量%、特に好ましくは64〜68重量
%である。
素含有割合が上述の特定の範囲であることにより、後述
の溶剤に対して良好な溶解性を有する。又、このような
フッ素含有共重合体を成分として含有することにより、
種々の基材に対して優れた密着性を有し、高い透明性と
低い屈折率を有すると共に十分に優れた機械的強度を有
する薄膜を形成するので、基材の表面の耐傷性等の機械
的特性を十分に高いものとすることができ、極めて好適
である。
ポリスチレン換算数平均分子量で5000〜20000
0、特に10000〜100000であることが好まし
い。このような大きさの分子量を有するフッ素含有共重
合体を用いることにより、得られるフッ素系樹脂組成物
の粘度が好適な大きさとなり、従って、確実に好適な塗
布性を有するフッ素系樹脂組成物とすることができる。
屈折率が1.45以下、特に1.42以下、更に1.4
0以下であるものが好ましい。屈折率が1.45を越え
るフッ素含有共重合体を用いた場合には、形成される薄
膜が反射防止効果の小さいものとなる場合がある。
合物は、光重合開始剤の存在下又は非存在下で活性エネ
ルギー線が照射されることにより、又は熱重合開始剤の
存在下で加熱されることにより、付加重合を生ずるエチ
レン性不飽和基を有する化合物である。このような重合
性化合物の具体例としては、例えば、段落「0017」
に既に挙げたものを使用することができる。これらの化
合物のうち、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)ア
クリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アク
リレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アク
リレート、及びカプロラクトン変性ジペンタエリスリト
ールヘキサ(メタ)アクリレートが特に好ましい。
基を1分子中に3個以上含有するものである場合には、
得られるフッ素系樹脂組成物は、特に、基材に対する密
着性及び基材の表面の耐傷性等の機械的特性が極めて良
好な薄膜を形成するものとなる。
合体100重量部に対して30〜150重量部、好まし
くは35〜100重量部、特に好ましくは40〜70重
量部である。
と、得られる塗料によって形成される薄膜は、基材に対
する密着性が低いものとなり、一方、使用割合が過大で
あると、形成される薄膜は屈折率の高いものとなって良
好な反射防止効果を得ることが困難となる。
素含有共重合体及び重合性化合物を含む重合体形成成分
の合計量におけるフッ素含有割合が30〜55重量%、
特に35〜50重量%であることが好ましい。このよう
な条件が満足される場合には、本発明の目的及び効果を
更に十分に達成する薄膜を確実に形成することができ
る。フッ素含有割合が過大であるフッ素系樹脂組成物に
よって形成される薄膜は、基材に対する密着性が低いも
のとなる傾向と共に、基材の表面の耐傷性等の機械的特
性が若干低下するものとなり、一方、フッ素含有割合が
過小であるフッ素系樹脂組成物により形成される薄膜
は、屈折率が大きいものとなって防眩効果が低下する傾
向が生じる。
応じて適宜な溶剤を用い、粘度を、樹脂組成物として好
ましい塗布性が得られる0.5〜5cps(25℃)、
特に0.7〜3cps(25℃)の範囲のものとするこ
とにより、可視光線の反射防止膜として実用上好適な均
一で塗布ムラのない厚さ100〜200nmの薄膜を容
易に形成することができ、しかも基材に対する密着性が
特に優れた塗膜を形成することができる。
チレン性不飽和基が重合反応することによって硬化する
ものであり、電離放射線を照射する手段、又は塗膜を加
熱する手段が利用される。
れる場合には、加熱により、例えばラジカルを発生して
重合性化合物の重合を開始させる熱重合開始剤がフッ素
系樹脂組成物に添加される。
的な薄膜成形手段、例えば真空蒸着法、スパッタリング
法、反応性スパッタリング法、イオンプレーティング
法、電気めっき法等の適宜な手段であってもよく、例え
ば前記以外の反射防止塗料の塗膜、膜厚0.1μm程度
のMgF2 等の極薄膜や金属蒸着膜、あるいはSiOx
やMgF2 の蒸着膜により形成してもよい。
たものであってもよい。前記したように、特にIPSモ
ードの液晶ディスプレイにおいては、水平方向に配され
た電極間に電位をかけるので、上記の測定による飽和帯
電電位が0.5kVを超える場合、液晶ディスプレイの
表面の帯電により、表示の乱れが生じやすく、0.5K
V以下であれば、表示の乱れが実用上、生じない。勿
論、0.5KV以下であれば、接触する際の放電による
不快感や塵埃の吸着も解消される。帯電防止は、例え
ば、透明基材フィルム2と高屈折率バインダ層3との間
に、透明導電性層6を積層することにより、実現するこ
とができる。
電性の金属酸化物等の蒸着、もしくはスパッタリングに
よる蒸着膜か、または樹脂中に導電性微粒子を分散した
樹脂組成物により構成された塗膜である。透明導電性層
6を蒸着膜で形成する場合、透明導電性層6を構成する
金属もしくは金属酸化物としては、例えばアンチモンド
ープのインジウム・錫酸化物(以下、ATOと記載す
る)、インジウム・錫酸化物(ITO)を用い、蒸着膜
の厚みとしては、40nm〜100nm程度とすること
が好ましい。
電性微粒子としては、例えばアンチモンドープのインジ
ウム・錫酸化物(以下、ATOと記載する)、インジウ
ム・錫酸化物(ITO)、金及び/又はニッケルで表面
処理した有機化合物微粒子等の導電性微粒子を用いる。
また、導電性微粒子を分散させる樹脂として、アルキッ
ド樹脂、多価アルコール等の多官能化合物の(メタ)ア
クリレート(アクリレートとメタアクリレートとの併記
を(メタ)アクリレートの表記とする。)等のオリゴマ
ー又はプレポリマー及び反応性の希釈剤を用いて、樹脂
組成物を形成し、この樹脂組成物を用いて透明導電性層
6を形成する。使用する樹脂や、その取扱いについて
は、高屈折率層の場合と同じである。この塗膜型の透明
導電性層6の厚みは0.1μm〜1μmとすることが好
ましい。
導電性層6の表面抵抗値が、1010Ω/□以下となるよ
う定めることが好ましい。表面抵抗値が1010Ω/□以
下であれば、後述するように、印加電圧10KVにおけ
る飽和帯電電位が、0.5KV以下となるからである。
る目的で球形粒子を含有させるほかに、導電性を付与す
る目的で導電性材料を含有させることが好ましい。防眩
層4に含有させる導電性材料としては、基本的には透明
導電性層3を塗膜で形成する場合に使用するものとして
挙げた導電性微粒子が使用できる。即ち、ATO、IT
O、金及び/又はニッケルで表面処理した有機化合物微
粒子等である。高屈折率バインダ層3に導電性微粒子を
配合する際には、この層3が本来、持つべき光学特性で
ある、全光線透過率や透過画像鮮明度等に影響を及ぼさ
ないよう、できるだけ微量を配合することが好ましく、
層3を構成する透明バインダ樹脂100に対し、0.0
01〜1とすることが好ましい。下限値は効果が生じる
限界的な配合比であり、上限値は全光線透過率や透過画
像鮮明度を低下させない限界的な配合比である。実際、
上記の配合比の範囲内で配合したものと、配合しないも
のとでは、下層の透明導電性層6として同じ帯電防止性
能を持つものを用いた場合でも、飽和帯電電位および表
面抵抗値が改善される。
アセテートフィルム(富士写真フィルム(株)製、品
番;T−80UZ)を基材フィルムとして用い、その上
に、下記の高屈折率層形成用塗料組成物(A)を巻線型
のコーティングロッド(メイヤーズバー、#7)により
塗布し、塗付後、70℃に設定したオーブン中で30秒
間置いて溶剤を乾燥させ、その後、窒素雰囲気下で紫外
線照射(積算光量;72mJ)を行なって、塗膜を硬化
させ、5g/m2(乾燥時)の高屈折率層を形成した。
スリトールトリアクリレート、および1,6−ヘキサン
ジオールジ(メタ)アクリレートが透明バインダ樹脂に
相当し、屈折率1.6の高屈折率バインダ層を形成す
る。
(A)から、レベリング剤を除いた組成物を用いた以
外、製造例1と同様に行ない、高屈折率層を形成した。
膜上に、下記の低屈折率層形成用塗料組成物(B)を巻
線型のコーティングロッド(メイヤーズバー、#4)に
より塗布し、塗付後、40℃に設定したオーブン中で6
0秒間置いて溶剤を乾燥させ、その後、窒素雰囲気下で
紫外線照射(積算光量;204mJ)を行なって、塗膜
を硬化させ、0.1g/m2(乾燥時)の低屈折率層を
形成した。
製造例1で得られたものの代わりに、製造例2で得られ
たものを用い、低屈折率層を形成した。
造例2(レベリング剤なし)で得られた試料を比較する
と、反射率(C光源を使用、視野2°におけるY値)に
関しては、いずれも6.0%で同じであるが、目視によ
るムラの判定では、製造例1で得られたものは問題無か
ったのに対し、製造例2で得られたものは、ムラが目立
つものであった。
膜表面を調べたところ、製造例1で得られたものでは、
表面からSi原子、およびZr原子が検出され、高屈折
率の透明バインダ樹脂とレベリング剤が共存することが
確かめられた。比較のため、製造例1と同様に、ただ
し、レベリング剤を同部数のポリエーテル変性シリコー
ン(大日精化工業(株)製、品番;シリコーン10−2
8)に変更して得られたものの表面からは、Si原子は
検出されたが、Zr原子が検出されず、レベリング剤の
みが塗膜表面を被覆したことが確かめられた。
積層)、および製造例4(製造例2のものに低屈折率層
を積層)で得られた試料を比較すると、反射率(反射率
が最低となる波長での反射率)に関しては、いずれも
3.0%と充分低く、両者の差が無かったが、ディスプ
レイの前に配置して観察する際の目視によるムラの判定
では、製造例3で得られたものは問題無かったのに対
し、製造例4で得られたものは、ムラが目立ち、映像が
ムラを有して見えた。なお、反射率の測定に際しては、
段落「0061」における場合も含め、基材の非塗付面
側に黒色テープを貼り、塗付面側から、分光測色計(ミ
ノルタ(株)製、品番;CM2002、SCI方式にて
測定)を用いて測定した。
低屈折率層側に、シリコーン化合物を主体とし、高屈折
率の透明バインダ樹脂を含有する層を有した構造とした
ので、シリコーン化合物を添加した塗料組成物を用い
て、ムラのない高屈折率層を形成することが可能であ
り、しかも、表面に高屈折率の透明バインダ樹脂が存在
するので、高屈折率層の表面の高屈折率が低下すること
を抑えることができるので、高屈折率層と低屈折率層と
による反射防止効果が低下せずに発揮できる防眩性フィ
ルムを提供することができる。請求項2の発明によれ
ば、請求項1の発明と同様な効果を有し、かつ帯電防止
性が付加された防眩性フィルムを提供することができ
る。請求項3の発明によれば、請求項1または請求項2
の発明の効果が、シリコーン化合物が具体的に限定され
たことにより、より確実となった防眩性フィルムを提供
することができる。請求項4の発明によれば、請求項2
の発明の効果に加え、透明導電性層素材を限定したこと
により、帯電防止効果がより確実となった防眩性フィル
ムを提供することができる。請求項5の発明によれば、
請求項1〜請求項4いずれかの発明の効果に加え、高屈
折率層中の導電性微粒子による帯電防止性が付加された
防眩性フィルムを提供することができる。
たものの断面図である。
Claims (5)
- 【請求項1】 透明基材フィルム上に、高屈折率層およ
び低屈折率層が順に積層された積層構造を有しており、
前記高屈折率層は、前記透明基材側に、高屈折率の透明
バインダ樹脂を主体とする層を、また、前記低屈折率層
側に、シリコーン化合物を主体とし、前記高屈折率の透
明バインダ樹脂を含有する層を有する二層構成を有する
ものであることを特徴とする防眩性フィルム。 - 【請求項2】 透明基材フィルム上に、透明導電性層、
高屈折率層および低屈折率層が順に積層された積層構造
を有しており、前記高屈折率層は、前記透明基材側に、
高屈折率の透明バインダ樹脂を主体とする層を、また、
前記低屈折率層側に、シリコーン化合物を主体とし、前
記高屈折率の透明バインダ樹脂を含有する層を有する二
層構成を有するものであることを特徴とする防眩性フィ
ルム。 - 【請求項3】 前記シリコーン化合物がアルキル変性シ
リコーンであることを特徴とする請求項1または請求項
2記載の防眩性フィルム。 - 【請求項4】 前記透明導電性層は、透明導電性薄膜か
らなるか、もしくは導線性微粒子を含有する透明バイン
ダ樹脂層からなることを特徴とする請求項2記載の防眩
性フィルム。 - 【請求項5】 前記高屈折率層が導電性微粒子が分散し
たものであることを特徴とする請求項1〜請求項4いず
れか記載の防眩性フィルム。
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