JPWO2010035872A1 - 防眩性フィルムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

防眩性フィルムの製造方法であって、防眩層形成用塗布液と低屈折率層形成用塗布液とのそれぞれに偏在可能な成分を含む塗布液を調整する工程と、上層として前記低屈折率層形成用塗布液を、下層として前記防眩層形成用塗布液を、支持体の上に塗布し塗布層を形成する塗布工程と、前記塗布層を乾燥させ相分離することにより偏在させて防眩層と低屈折率層を形成する乾燥工程とを有する。この製造方法により、ディスプレイへの外部光の映り込みやギラツキ、及び、乱反射による白化を抑制した防眩性フィルムを、低コストで製造することができる。

Description

本発明は、各種ディスプレイに使用される防眩性フィルムの製造方法に係り、特にディスプレイへの外部光の映り込みやギラツキ、乱反射による白化を抑制することができる防眩性フィルムの製造方法に関する。
一般に陰極管ディスプレイ、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイなどの各種ディスプレイにおいて、室内の蛍光灯や外部の太陽光などがディスプレイに映りこむと、その反射光によってディスプレイが見づらくなるという問題点がある。この問題を解決するため、映りこんだ光源の光を散乱させる目的で、防眩性フィルムを
ディスプレイ表面に貼ることで視認性を向上させている。
このような防眩性フィルムとしては、種々のものが提案されているが、例えば、下記の特許文献1には、樹脂ビーズなどの粒子を用いて表面に凹凸形状を作成し、光を散乱させる方法が開示されている。また特許文献2には、粒子を用いず、樹脂のスピノーダル分解を利用して表面凹凸を形成する方法が開示されている。
また、表面に低屈折率層を形成し、反射率を低減する方法が提案されており、例えば、特許文献3には、無機材料を気相法で形成する方法、特許文献4には、フッ素系のオーバーコート層を形成する方法が開示されている。
特許文献5には、1回塗布することで、防眩層と低屈折率層を形成する方法として、粒子で防眩層を発現し、屈折率が低く表面に偏在しやすいポリマーであるフルオロアルキルシラン化合物を同時に塗布することで、逐次塗布により生産性が悪化することを防止している。特許文献6は、サイズの異なる粒子の自己組織性を利用した表面の凹凸構造制御により防眩性と低反射性を両立させている。また、特許文献7には同時重層によって防眩層の上に低屈折率層を形成する方法が開示されている。
特開平6−18706号公報 特開2004−126495号公報 特開平7−325203号公報 特開2004−306328号公報 特開2002−196116号公報 特開2008−15527号公報 特開2007−233185号公報
しかしながら、特許文献1に記載されているような樹脂粒子を用いる防眩性フィルムでは、径の均一な粒子を用いる必要があり、コスト的にも不利であった。また、特許文献2に記載されているような相分離を利用した防眩性フィルムは、蒸発時の条件などによりフィルム内の構造が容易に変形してしまうため、安定的に製造することが困難であった。さらに、これらの表面に凹凸をつけただけの防眩姓フィルムは、表面の乱反射が強く、フィルム表面が白化するという問題があった。
特許文献3、4に記載されている方法は、上記のフィルムが白化する問題は解決することはできたが、特許文献3の方法は生産性が悪く、コスト的に問題があった。また、特許文献4に記載の方法は、防眩層を付与した後に、低屈折率層を塗布する必要があり、逐次で多層を形成しているため、生産性が悪かった。さらに、同時重層塗布を行うと、各層が互いに拡散混合してしまい、低屈折率層が表面に均一に形成されないという問題があった。
また、特許文献5に記載の方法は、同時に塗布しており、表面に偏在したフルオロアルキルシラン系の化合物の層は充分に下層と屈折率差がついていないため、反射機能が不十分であるという問題があった。特許文献6に記載のフィルムは、無機粒子を大量に使用する必要があるため、コスト的に高くなる問題があった。特許文献7に記載の方法では、下層の粘度が低いと粒子が容易に内部に移動して拡散混合してしまうため、高い粘性を示す増粘剤を用いる必要があった。しかし、層混合は防ぐことができるが、塗布速度が下がり生産性が悪化していた。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、各種ディスプレイへの外部光の映り込みやギラツキ、また、乱反射による白化を抑制し、低コストで製造することができる防眩性フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様は、前記目的を達成するために、防眩層形成用塗布液と低屈折率層形成用塗布液とのそれぞれに偏在可能な成分を含む塗布液を調整する工程と、上層として前記低屈折率層形成用塗布液を、下層として前記防眩層形成用塗布液を、支持体の上に塗布し塗布層を形成する塗布工程と、前記塗布層を乾燥させ相分離することにより偏在させて防眩層と低屈折率層を形成する乾燥工程と、を有する防眩性フィルムの製造方法を提供する。
第1の態様によれば、防眩層形成用塗布液と低屈折率層形成用塗布液とのそれぞれに偏在可能な成分を含む塗布液を調整し、それを支持体に塗布して、塗布した塗布層を乾燥させ相分離することにより偏在させて防眩層と低屈折率層を形成するようにしたので、各種ディスプレイへの外部光の映り込みやギラツキ、また、乱反射による白化を抑制し、低コストで製造することができる。
本発明の第2の態様は、前記目的を達成するために、互いに非相溶である少なくとも2種類の樹脂材料を少なくとも1種類の溶媒に溶解させた少なくとも1種類の防眩層形成用塗布液と、樹脂材料と疎水性の粒子を溶媒に溶解させた低屈折率層形成用塗布液とを調整する工程と、上層として前記低屈折率層形成用塗布液を、下層として前記防眩層形成用塗布液を、支持体の上に塗布し塗布層を形成する塗布工程と、前記粒子を前記塗布層の気液界に移動させる粒子移動工程と、前記塗布層を乾燥させ相分離することにより防眩層と低屈折率層を形成する乾燥工程と、を有する防眩性フィルムの製造方法を提供する。
第2の態様は、偏在可能な成分を含む防眩層形成用塗布液と低屈折率層形成用塗布液の態様として、互いに非相溶である少なくとも2種類の樹脂材料を少なくとも1種類の溶媒に溶解させた少なくとも1種類の防眩層形成用塗布液と、樹脂材料と疎水性の粒子を溶媒に溶解させた低屈折率層形成用塗布液とを調整するようにしたものである。
第2の態様によれば、上層に低屈折率層形成用塗布液を、下層に防眩層形成用塗布液を塗布し、塗布すると同時に、低屈折率層形成用塗布液中に含まれる粒子は疎水性であるため、粒子を塗布層上部(気液界面)に移動させることができる。したがって、粒子移動工程を短縮することができるので、生産性を上げることができる。また、乾燥工程において、相分離が起こるときには、低屈折率層内の下部に粒子がほとんどないため、粒子が防眩層に巻き込まれることを防止することができる。
この場合、1回の同時重層塗布で低屈折率層と防眩層を形成するようにすれば、生産性を向上することができる。また、低屈折率層は粒子により形成されているので、防眩層との屈折率の差がつきやすく、フィルムの白化を防止することができる。
また、少なくとも2種類の樹脂材料によるスピノーダル分解を利用して防眩層の表面に凹凸を形成しているため、粒子を用いずに均一な凹凸を形成することができ、製造コストを下げることができる。
第3の態様によれば、第2の態様において、前記低屈折率層形成用塗布液中の粒子の80%以上の粒子が、前記低屈折率層中に含まれている。
第3の態様は、低屈折率層に含まれる粒子の割合を規定したものであり、粒子の割合を上記範囲とすることにより、低屈折率層と防眩層で充分な屈折率差をつけることができる。
低屈折率層にない粒子は防眩層にあるため、低屈折率層中の粒子が少ないと、低屈折率層と防眩層とで屈折率差がつきにくくなる。
第4の態様によれば、第2の態様または第3の態様において、前記低屈折率層形成用塗布液中の前記粒子の溶媒に対する比率をr[−]、溶媒が半減するまでの時間をt[s]、前記塗布工程における上層の初期膜厚をd[m]としたとき、1/rとtとdの乗が6×10−2以上を満たすように、それぞれを調整する。
第4の態様では、1/rとtとdの乗が6×10−2以上であるように各条件を設定しているので、下層に粒子が沈降することなく上層に低屈折率層を形成することができる。
本発明の第5の態様は、前記目的を達成するために、互いに非相溶である少なくとも2種類の樹脂材料を少なくとも1種類の溶媒に溶解させた防眩層形成用塗布液と、置換基にポリマー全体の屈折率を低下させる分子構造を含む第1のポリマーと前記第1のポリマーと相分離構造を形成する1つ以上の樹脂材料を少なくとも1種類の溶媒に溶解させた低屈折率層形成用塗布液とを調整する塗布液調整工程と、上層として前記低屈折率層形成用塗布液を、下層として前記防眩層形成用塗布液を、同時に支持体の上に塗布し塗布層を形成する塗布工程と、前記塗布層を乾燥させ、前記低屈折率層形成用塗布液と前記防眩層形成用塗布液を相分離することにより、低屈折率層と防眩層を形成する乾燥工程と、を有する防眩性フィルムの製造方法を提供する。
第5の態様は、偏在可能な成分を含む防眩層形成用塗布液と低屈折率層形成用塗布液の態様として、互いに非相溶である少なくとも2種類の樹脂材料を少なくとも1種類の溶媒に溶解させた防眩層形成用塗布液と、置換基にポリマー全体の屈折率を低下させる分子構造を含む第1のポリマーと前記第1のポリマーと相分離構造を形成する1つ以上の樹脂材料を少なくとも1種類の溶媒に溶解させた低屈折率層形成用塗布液とを調整するようにしたものである。
第5の態様によれば、上層に低屈折率層形成用塗布液、下層に防眩層形成用塗布液を塗布し、上層において置換基にポリマー全体の屈折率を低下させる分子構造を含むポリマーと他の1つ以上の樹脂材料によるスピノーダル分解を利用して、低屈折率層内に置換基にポリマー全体の屈折率を低下させる分子構造を含むポリマーを偏在させている。これにより、下層の塗布層を乾燥させた後に形成される防眩層の表面より上に置換基にポリマー全体の屈折率を低下させる分子構造を含むポリマーを配置することができるので、低屈折率層を形成することができる。したがって、中空シリカのような粒子を用いる必要がなくコスト的に有利に防眩性フィルムを製造することができる。
この場合、上層と下層とを同時重層塗布すれば、1回の塗布で低屈折率層と防眩層を形成することができるので、生産性を向上することができる。また、低屈折率層は置換基にポリマー全体の屈折率を低下させる分子構造を含むポリマーにより形成されているので、防眩層との屈折率の差がつきやすく、フィルムの白化を防止することができる。
また、少なくとも2種類の樹脂材料によるスピノーダル分解を利用して防眩層の表面に凹凸を形成しているため、粒子を用いずに均一な凹凸を形成することができ、製造コストを下げることができる。
第6の態様によれば、第5の態様において、前記第1のポリマーに含まれる置換基にポリマー全体の屈折率を低下させる分子構造が、フッ素分子を含む分子構造である。
第6の態様は、低屈折率層に含まれる第1のポリマーに含まれる置換基にポリマー全体の屈折率を低下させる分子構造を規定したものであり、フッ素分子を含む分子構造とすることが好ましい。フッ素分子を含む分子構造とすることにより、特に効果が認められる。
第7の態様によれは、第5の態様または第6の態様において、前記塗布液調整工程において、前記乾燥工程における前記低屈折率層形成用塗布液の相分離の開始が、前記防眩層形成用塗布液の相分離の開始よりも早くなるように、該低屈折率層形成用塗布液内の前記第1のポリマーおよび前記樹脂材料と前記溶媒、および、該防眩層形成用塗布液内の前記樹脂材料と前記溶媒の比率を調整する。
第7の態様では、低屈折率層形成用塗布液と防眩層形成用塗布液に含まれる成分の比率を調整することで、乾燥工程中の低屈折率層形成用塗布液と防眩層形成用塗布液の相分離を開始する時間を制御し、低屈折率層形成用塗布液の相分離の開始を防眩層形成用塗布液の相分離の開始よりも早くすることができる。これにより、低屈折率層形成用塗布液中に含まれる第1のポリマーが防眩層に巻き込まれることを防止することができるので、屈折率に差をつけることができる。
第8の態様によれば、第7の態様において、前記塗布液調整工程において、前記乾燥工程における前記防眩層形成用塗布液の相分離の開始が、前記低屈折率層形成用塗布液のスピノーダル分解開始後に始まるように、該低屈折率層形成用塗布液内の前記第1のポリマーおよび前記樹脂材料と前記溶媒、および、該防眩層形成用塗布液内の前記樹脂材料と前記溶媒の比率を調整する。
第8の態様では、防眩層形成用塗布液の相分離の開始を低屈折率層形成用塗布液のスピノーダル分解の開始後よりも遅くすることで、低屈折率層形成用塗布液に含まれる第1のポリマーが防眩層形成用塗布液の相分離に巻き込まれることを防ぐことができる。したがって、低屈折率層と防眩層とで、屈折率差がついた防眩性フィルムを得ることができる。具体的には、低屈折率層形成用塗布液がスピノーダル分解を開始すると低屈折率層形成用塗布液中に偏在させた第1のポリマーが層の中で固定化され、位置を移動することがなくなる。よって、第1のポリマーの位置が固定化された後に、防眩層形成用塗布液の相分離を開始するので、第7の態様と比べてさらに低屈折率層中に第1のポリマーが偏在し、防眩層形成用塗布液の相分離に巻き込まれる確率を下げることができるので、より低屈折率層と防眩層の屈折率差がついた防眩性フィルムを得ることができる。
なお、相分離の進行過程は、バイノーダルの期間の後、スピノーダルの期間を経て行われる。バイノーダルとは、2つの樹脂の相分離が進行している状態のことをいい、スピノーダルとは、バイノーダルの期間で分離した構造が固定化される期間のことをいう。スピノーダルの期間では、2つの樹脂の相分離は進行せず、そのままの構造状態で固定化される。本発明において、「相分離」とは、バイノーダルとスピノーダルの両方を含む過程全体のことをいい、「スピノーダル分解」とは、スピノーダル期間内で構造が固定化されていることをいう。
本発明の防眩性フィルムの製造方法によれば、各種ディスプレイへの外部光の映り込みやギラツキ、また、乱反射による白化を抑制した防眩性フィルムを、低コストで製造することができる。
そして、第2の態様において、上層に低屈折率層形成用塗布液を、下層に防眩層形成用塗布液を同時塗布すれば、塗布した時点で粒子を塗布層上部に位置することができるので、粒子移動工程を短縮することができる。さらに、1回の塗布で低屈折率層と防眩層を形成することができるので、生産性を向上させることができる。
また、低屈折率層は粒子により形成されているので、防眩層との屈折率の差がつきやすく、フィルムの白化を防止することができる。
また、第5の態様では、上層に塗布する低屈折率層形成用塗布液に、置換基にポリマー全体の屈折率を低下させる分子構造を含む第1のポリマーを含み、スピノーダル分解を利用して、低屈折率層内に第1のポリマーを偏在させている。これにより、乾燥後に形成される防眩層の表面より上側に、第1のポリマーを配置することができるので、低屈折率層を形成することができる。この低屈折率層は、置換基にポリマー全体の屈折率を低下させる分子構造を含むポリマーにより形成されているので、防眩層と屈折率の差がつきやすく、フィルムの白化を防止することができる。
この場合、1回の同時重層塗布で低屈折率層と防眩層を形成するようにすれば、生産性を向上させることができる。
図1Aは、本発明の第1の実施の形態に係る防眩性フィルムの製造方法の一例における塗布工程を説明する説明図である。 図1Bは、本発明の第1の実施の形態に係る防眩性フィルムの製造方法の一例における粒子移動工程を説明する説明図である。 図1Cは、本発明の第1の実施の形態に係る防眩性フィルムの製造方法の一例により得られる低屈折率層及び防眩層を説明する説明図である。 図2は、防眩性フィルムの製造装置の一例を示す概略図である。 図3は、塗布装置の一例を示す模式図である。 図4は、本発明の第1の実施の形態における実施例の結果を示す表図である。 図5Aは、本発明の第2の実施の形態の防眩性フィルムの製造方法の一例における塗布工程を説明する説明図である。 図5Bは、本発明の第2の実施の形態の防眩性フィルムの製造方法の一例により得られる低屈折率層及び防眩層を説明する説明図である。 図6Aは、本発明の第2の実施の形態の防眩性フィルムの製造方法の他の例における塗布工程を説明する説明図である。 図6Bは、本発明の第2の実施の形態の防眩性フィルムの製造方法の他の例における相分離を説明する説明図である。 図6Cは、本発明の第2の実施の形態の防眩性フィルムの製造方法の他の例により得られる低屈折率層及び防眩層を説明する説明図である。 図7Aは、本発明の第2の実施の形態における実施例の結果を示す表図(その1)である。 図7Bは、本発明の第2の実施の形態における実施例の結果を示す表図(その2)である。
以下、添付図面に従って、本発明に係る防眩性フィルムの製造方法の好ましい実施の形態について説明する。なお、本実施の形態では下層と上層とを同時重層塗布する例で説明するが、逐次塗布することもできる。
〔第1の実施の形態〕
図1Aから1Cは、防眩性フィルムの製造方法の第1の実施の形態の一例を説明する説明図であり、図2は、防眩性フィルムの製造装置の一例を示す概略図である。本実施形態では、2種類の樹脂A、Bを含む塗布液を用いる一例で説明するが、2種類以上の場合も基本的な概念は同じである。
(塗布液調整工程)
まず、本発明の防眩性フィルムの製造方法は、互いに非相溶である2種類の樹脂A、Bを溶媒に溶解させた防眩層形成用塗布液と樹脂と粒子とを溶媒に溶解させた低屈折率層形成用塗布液を調整する。
粒子、樹脂材料としては、後述する材料を用いることができる。また、混合方法としても、樹脂材料が溶媒に溶解し、粒子を塗布液中に分散させることができれば、特に限定されず行うことができる。
[防幻層形成用塗布液]
下層として塗布される防眩層形成用塗布液は互いに非相溶である少なくとも2種類の樹脂材料を少なくとも1種類の溶媒に溶解することで調整される。
<樹脂材料>
樹脂材料としては、互いに非相溶である少なくとも2種類の樹脂材料であれば、特に限定されず用いることができるが、通常、熱可塑性樹脂が使用される。熱可塑性樹脂としては、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、有機酸ビニルエステル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、オレフィン系樹脂(脂環式オレフィン系樹脂を含む)、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、ポリスルホン系樹脂(ポリエーテルスルホン、ポリスルホンなど)、ポリフェニレンエーテル系樹脂(2,6−キシレノールの重合体など)、セルロース誘導体(セルロースエステル類、セルロースカーバメート類、セルロースエーテル類など)、シリコーン樹脂(ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサンなど)、ゴム又はエラストマー(ポリブタジエン、ポリイソプレンなどのジエン系ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴムなど)などが例示できる。これらの熱可塑性樹脂は、二種以上組み合わせて使用できる。
(メタ)アクリル系樹脂としては、(メタ)アクリル系単量体の単独又は共重合体、(メタ)アクリル系単量体と共重合性単量体との共重合体などが使用できる。(メタ)アクリル系単量体には、例えば、(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルなどの(メタ)アクリル酸C1−10アルキル;(メタ)アクリル酸フェニルなどの(メタ)アクリル酸アリール;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレート;N,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリロニトリル;トリシクロデカンなどの脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリレートなどが例示できる。共重合性単量体には、前記スチレン系単量体、ビニルエステル系単量体、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸などが例示できる。これらの単量体は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(メタ)アクリル系樹脂としては、例えば、ポリメタクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸エステル、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−スチレン共重合体(MS樹脂など)などが挙げられる。好ましい(メタ)アクリル系樹脂としては、ポリ(メタ)アクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸C1−6アルキル、特にメタクリル酸メチルを主成分(50〜100重量%、好ましくは70〜100重量%程度)とするメタクリル酸メチル系樹脂が挙げられる。
好ましい熱可塑性樹脂としては、通常、非結晶性であり、かつ有機溶媒(特に複数のポリマーや硬化性化合物を溶解可能な共通溶媒)に可溶な樹脂が使用される。特に、成形性又は製膜性、透明性や耐候性の高い樹脂、例えば、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース誘導体(セルロースエステル類など)などが好ましい。特に、熱可塑性樹脂として、セルロース誘導体が好ましい。セルロース誘導体は、半合成高分子であり、他の樹脂や硬化剤と溶解挙動が異なるため、非常に良好な相分離性を有する。
また、硬化後の耐擦傷性の観点から、例えば、互いに非相溶なポリマーのうち一方のポリマーとして、硬化反応に関与する官能基(硬化剤と反応可能な官能基)を有するポリマーを用いることもできる。このような官能基としては、縮合性又は反応性官能基(例えば、ヒドロキシル基、酸無水物基、カルボキシル基、アミノ基又はイミノ基、エポキシ基、グリシジル基、イソシアネート基など)、重合性官能基(例えば、ビニル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、アリルなどのC2−6アルケニル基、エチニル、プロピニル、ブチニルなどのC2−6アルキニル基、ビニリデンなどのC2−6アルケニリデン基、又はこれらの重合性官能基を有する官能基((メタ)アクリロイル基など)等)等が挙げられる。
ポリマーのガラス転移温度は、例えば、−50℃〜230℃、好ましくは0〜200℃程度の範囲から選択できる。ポリマーの重量平均分子量は、例えば、1000000以下、好ましくは1000〜500000程度の範囲から選択できる。
第1のポリマーと第2のポリマーとの組み合わせは、特に制限されないが、加工温度付近で互いに非相溶で、相分離し易い2種類のポリマーを組み合わせることが好ましい。
例えば、第1のポリマーがセルロース誘導体(例えば、セルロースアセテートプロピオネートなどのセルロースエステル類)である場合、第2のポリマーは、スチレン系樹脂(ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体など)、(メタ)アクリル系樹脂、脂環式オレフィン系樹脂(ノルボルネンを単量体とする重合体など)、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂(前記ポリC2−4アルキレンアリレート系コポリエステルなど)などであってもよい。
また、樹脂材料としては、上記少なくとも2種類の樹脂材料に硬化性化合物を添加し、硬化させたものでもよい。硬化性化合物としては、熱線や活性エネルギー線(紫外線や電子線など)等により反応する官能基を有する化合物であり、熱や活性エネルギー線などにより硬化又は架橋して樹脂(特に硬化又は架橋樹脂)を形成可能な種々の硬化性化合物が使用できる。
硬化性化合物としては、例えば、熱硬化性化合物又は樹脂[エポキシ基、イソシアネート基、アルコキシシリル基、シラノール基、重合性基(ビニル基、アリル基、(メタ)アクリロイル基など)などを有する低分子量化合物(又はプレポリマー、例えば、エポキシ系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂などの低分子量樹脂など)]、活性光線(紫外線など)により硬化可能な光硬化性化合物(光硬化性モノマー、オリゴマー、プレポリマーなどの紫外線硬化性化合物など)などが例示でき、光硬化性化合物は、EB(電子線)硬化性化合物などであってもよい。なお、光硬化性モノマー、オリゴマーや低分子量であってもよい光硬化性樹脂などの光硬化性化合物を、単に「光硬化性樹脂」という場合がある。硬化性化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
光硬化性化合物は、通常、光硬化性基、例えば、重合性基(ビニル基、アリル基、(メタ)アクリロイル基など)や感光性基(シンナモイル基など)を有しており、特に重合性基を有する光硬化性化合物(例えば、単量体、オリゴマー(又は樹脂、特に低分子量樹脂))が好ましい。
重合性基を有する光硬化性化合物のうち、単量体としては、例えば、単官能性単量体[(メタ)アクリル酸エステルなどの(メタ)アクリル系単量体、例えば、アルキル(メタ)アクリレート(メチル(メタ)アクリレートなどのC1−6アルキル(メタ)アクリレートなど)、シクロアルキル(メタ)アクリレート、橋架環式炭化水素基を有する(メタ)アクリレート(イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレートなど)、グリシジル(メタ)アクリレート;酢酸ビニルなどのビニルエステル、ビニルピロリドンなどのビニル系単量体など]、少なくとも2つの重合性不飽和結合を有する多官能性単量体[エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートなどのアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリオキシテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの(ポリ)オキシアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、アダマンタンジ(メタ)アクリレートなどの橋架環式炭化水素基を有するジ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートなどの3〜6程度の重合性不飽和結合を有する多官能性単量体]が例示できる。
硬化性化合物は、その種類に応じて、硬化剤と組み合わせて用いてもよい。例えば、光硬化性化合物は光重合開始剤と組み合わせて用いることができる。
光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン類又はプロピオフェノン類、ベンジル類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、アシルホスフィンオキシド類等を使用できる。光重合開始剤の含有量は、硬化性化合物に対して0.1〜20重量部程度とすることができる。
なお、複数のポリマーの相分離性は、それぞれ双方の成分に対する良溶媒を用いて均一溶液を調製し、溶媒を徐々に蒸発させる過程で、残存固形分が白濁するか否かを目視にて確認することにより簡便に判定できる。
これらの複数のポリマーは、相分離の進行に伴って共連続相構造を形成し、更に相分離が進行すると、連続相が自らの表面張力により非連続化し、液滴相構造(球状、真球状、円盤状や楕円体状等の独立相の海島構造)となる。
これらの相分離の制御は、用いるポリマーの種類や組み合わせ、質量比を調整することにより行うことができる。ポリマーの種類は互いに非相溶であればよく、防眩層を形成する際は、上記非相溶の2種類以上のポリマーを共通の良溶媒に溶解させた溶液を使用することが好ましい。ポリマーの質量比については、まず非相溶のポリマー2種類と、該ポリマーの共通溶媒とによる三角相図を作成し、スピノーダル分解を起こす線(スピノーダル線)を通過するような乾燥過程を経るように制御すればよい。このようなスピノーダル線は、例えば、文献(CORNELL UNIVERSITY PRESS,「Scaling Concepts in Polymer Physics」,p94-96)に基づいて求めることができる。
<溶媒>
本実施形態の相分離は、塗布液中の溶媒を蒸発させることにより行うことができる。即ち、溶媒は互いに非相溶のポリマーを溶解するだけでなく、乾燥速度を調整する役割も有する。
使用される溶媒としては、用いるポリマー、硬化性化合物等の種類及び溶解性に応じて選択でき、混合溶媒の場合、少なくとも1種類は固形分(複数のポリマー及び硬化性化合物、反応開始剤、その他添加剤)を均一に溶解できる溶媒であればよい。そのような溶媒としては、例えば、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなど)、エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフランなど)、脂肪族炭化水素類(ヘキサンなど)、脂環式炭化水素類(シクロヘキサンなど)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレンなど)、ハロゲン化炭素類(ジクロロメタン、ジクロロエタンなど)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、水、アルコール類(エタノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノールなど)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブなど)、セロソルブアセテート類、スルホキシド類(ジメチルスルホキシドなど)、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)などが例示できる。これらの溶媒は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
また、塗布液を支持体に塗布する場合、支持体の種類に応じて、支持体を溶解や侵食、又は膨潤させない溶媒を選択してもよい。例えば、支持体としてトリアセチルセルロースフィルムを用いる場合、塗布液の溶媒として、例えば、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、イソプロパノール、トルエン等を好ましく使用できる。
塗布液の粘度は、1〜50cP程度とすることができる。
[低屈折率層形成用塗布液]
上層として塗布される低屈折率層形成用塗布液は樹脂材料と疎水性の粒子を溶媒に溶解することで調整される。
<粒子>
粒子としては、屈折率を周囲の樹脂材料より下げることができれば特に限定されず用いることができるが、例えば、中空シリカ粒子、フッ素系樹脂粒子を用いることができ、中でも、中空シリカ粒子を好ましく用いることができる。
また、粒子は表面改質され、疎水性が付与されている。疎水性を付与することにより、塗布液を塗布後、粒子を塗布層中の気液界面に移動させやすくなり、低屈折率層を形成しやすくなる。
疎水性を付与する方法としては、(1)カップリング剤による表面改質、(2)低分子有機化合物による疎水化処理、(3)高分子化合物による表面被覆疎水化処理、(4)疎水性ポリマーをグラフトさせる方法を挙げることができる。以下、具体的な方法について説明する。
(1)カップリング剤による表面改質
カップリング剤を有機溶媒中に溶解させた溶液中に、粒子を分散させた後に、有機溶媒を完全に蒸発除去することにより、粒子をカップリング剤により処理(被覆)し疎水化する方法である。カップリング剤は多種多様なものを使用することが可能であるが、アルキル鎖を有するシランカップリング剤、フッ素原子を含有するシランカップリング剤(フッ素系シランカップリング剤)が好ましくは挙げられる。
アルキル鎖を有するシランカップリング剤の具体例としては、メチルトリエトキシシラン、トリメチルトリクロロシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリクロロシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリクロロシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジクロロシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
フッ素系シランカップリング剤の具体例としては、GE東芝シリコーン(株)製のフルオロアルキルシランカップリング剤(商品名:TSL8262、TSL8257、TSL8233、TSL8231等)、またはパ−フルオロポリエーテル基を有するアルコキシシランが挙げられる。また、屈折率に影響を及ぼさない範囲内で、他のケイ素以外の元素を有するカップリング剤の使用も可能であり、その具体例としては、味の素(株)より市販されているチタネートカップリング剤(商品名:プレンアクトKR−TTS、KR−46B、KR−55、KR−41B、KR−38S、KR−138S、KR−238S、KR−338X、KR−44、KR−9SA、KR−ET等が例示される);テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラn−プロポキシチタン、テトラn−ブトキシチタン、テトラsec−ブトキシチタン、テトラtert−ブトキシチタン等の金属アルコキシドが挙げられる。
(2)低分子有機化合物による疎水化処理
低分子有機化合物を有機溶剤中に溶解させた溶液中に、粒子を分散させた後に、有機溶剤を完全に蒸発除去することにより、粒子を低分子有機化合物により処理(被覆)し疎水化する方法である。低分子有機化合物は、その分子量(ポリスチレン換算による数平均分子量)が5000以下、好ましくは3000以下のものが挙げられる。その具体例としては、ステアリン酸、ラウリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸のような低分子有機カルボン酸、低分子有機アミンなどが挙げられる。
(3)高分子化合物による表面被覆化処理
粒子表面の少なくとも一部に高分子化合物を被覆させる方法である。具体的には微子表面にモノマーを選択的に吸着させた後に高分子量化を行う手法、粒子存在下での乳化重合法、マイクロカプセル化手法、分散重合法、懸濁重合法、シード重合法、スプレードライ法、冷却造粒法、超臨海流体を用いる方法、ヘテロ凝集法、乾式微粒子凝集法、相分離法(コアセルベーション法)、界面重合法、液中乾燥法(界面沈殿法)、オリフィス法、界面無機反応法、超音波法などを使用することができる。上記いずれかの手法を用いることで、所望の高分子化合物で表面の少なくとも一部を被覆することができる。
高分子化合物は、その分子量(ポリスチレン換算による数平均分子量)が5000以上、好ましくは10000以上のものであり、疎水性が高いものほど好ましくは用いられる。このような高分子化合物の具体例としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン、フッ素原子などの含ハロゲン系樹脂、アクリル系樹脂、含チッ素系樹脂、ポリビニルエーテル、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、シリコン樹脂、PPO樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂、アミノ樹脂、アセタール樹脂、ポリエーテル樹脂、エポキシ樹脂、ペントン樹脂、天然ゴム、合成ゴム単独、及び/或いは複合化物(ブレンドや共重合)、また上述したカップリング剤を高分子量化したもの、または有機−無機ハイブッリド型高分子化合物が挙げられる。この有機−無機ハイブリッドポリマーのモノマーの具体例としては、アルコキシシランなどの有機金属化合物類が挙げられ、下記(4)に例示されるモノマー又はポリマーと組み合わせて用いられる。好ましい有機−無機ハイブリッドポリマーの具体例としては、市販品としてコンポセランまたはユリアーノ(商品名:荒川化学工業株式会社製)が挙げられる。
(4)疎水性ポリマーをグラフトさせる方法
この方法は、以下の三つの方法に分けることができる。
(4−1)粒子によりポリマーの成長末端を捕捉させる方法
粒子の表面に存在する親水性基(例えば、シリカの表面に存在する水酸基(−OH))はラジカルなどの活性種を補足する作用があるため、このような粒子を存在させて多官能モノマー又はオリゴマーの重合反応を行うか、或いは多官能モノマー又はオリゴマーの重合系に無機超微粒子を添加することにより、微粒子表面に重合性官能基を有するモノマー、オリゴマー又はポリマーを結合させて、粒子の疎水化を行う。
(4−2)粒子の表面から重合反応を開始させる方法
ラジカル重合開始剤等の重合開始活性種を予め粒子(例えば、シリカ)の表面に形成し、多官能モノマー又はオリゴマーを用いて粒子表面からポリマーを成長させる方法である。この方法によれば、高分子量の重合反応性ポリマー鎖が容易に得られる。
(4−3)微粒子表面の親水性基と反応性基を有するポリマーとを結合させる方法
二官能以上の反応性基を有するポリマーを用いる方法であり、粒子の水酸基(例えばシリカ表面の水酸基)と、ポリマー末端の反応性基とを直接結合させる方法、或いはポリマー末端の反応性基および/または微粒子の親水性基に他の反応性基を結合させた後に両者を結合させる方法である。
この方法は、多種多様なポリマーを用いることができ、比較的簡便な操作で、かつ、結合効率も良好である。この方法は、微粒子表面の水酸基と反応性基を有するポリマー間の脱水重縮合反応を利用するため、ポリマー及びその溶液中に微粒子(例えば、シリカ微粒子)を分散させて適温、適切な時間加熱することが必要である。例えば、シリカの場合、ポリマーの量にもよるが、一般に80℃以上で3時間以上加熱することが好ましい。
これらの疎水性を付与する方法の中で、シランカップリング剤により付与することが好適に用いられる。シランカップリング剤を用いることにより、簡便な操作で、かつ、効果的に疎水性を付与することができる。
また、粒子のサイズは10nm以上50nm以下とすることが好ましい。より好ましくは15nm以上40nm以下であり、さらに好ましくは20nm以上30nm以下である。粒子のサイズを上記範囲とすることにより、粒子移動工程において、粒子を気液界面に移動させやすくすることができるので、低屈折率層を形成しやすくすることができる。
<樹脂材料>
樹脂材料としては、通常熱可塑性樹脂が使用される。熱可塑性樹脂としては、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、有機酸ビニルエステル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、オレフィン系樹脂(脂環式オレフィン系樹脂を含む)、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、ポリスルホン系樹脂(ポリエーテルスルホン、ポリスルホンなど)、ポリフェニレンエーテル系樹脂(2,6−キシレノールの重合体など)、セルロース誘導体(セルロースエステル類、セルロースカーバメート類、セルロースエーテル類など)、シリコーン樹脂(ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサンなど)、ゴム又はエラストマー(ポリブタジエン、ポリイソプレンなどのジエン系ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴムなど)などが例示できる。
(メタ)アクリル系樹脂としては、(メタ)アクリル系単量体の単独又は共重合体、(メタ)アクリル系単量体と共重合性単量体との共重合体などが使用できる。(メタ)アクリル系単量体には、例えば、(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルなどの(メタ)アクリル酸C1−10アルキル;(メタ)アクリル酸フェニルなどの(メタ)アクリル酸アリール;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレート;N,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリロニトリル;トリシクロデカンなどの脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリレートなどが例示できる。共重合性単量体には、前記スチレン系単量体、ビニルエステル系単量体、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸などが例示できる。これらの単量体は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(メタ)アクリル系樹脂としては、例えば、ポリメタクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸エステル、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−スチレン共重合体(MS樹脂など)などが挙げられる。好ましい(メタ)アクリル系樹脂としては、ポリ(メタ)アクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸C1−6アルキル、特にメタクリル酸メチルを主成分(50〜100重量%、好ましくは70〜100重量%程度)とするメタクリル酸メチル系樹脂が挙げられる。
(メタ)アクリル系樹脂としては、例えば、ポリメタクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸エステル、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−スチレン共重合体(MS樹脂など)などが挙げられる。好ましい(メタ)アクリル系樹脂としては、ポリ(メタ)アクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸C1−6アルキル、特にメタクリル酸メチルを主成分(50〜100重量%、好ましくは70〜100重量%程度)とするメタクリル酸メチル系樹脂が挙げられる。
好ましい熱可塑性樹脂としては、通常、非結晶性であり、かつ有機溶媒(特に複数のポリマーや硬化性化合物を溶解可能な共通溶媒)に可溶な樹脂が使用される。特に、成形性又は製膜性、透明性や耐候性の高い樹脂、例えば、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース誘導体(セルロースエステル類など)などが好ましい。特に、熱可塑性樹脂として、セルロース誘導体が好ましい。セルロース誘導体は、半合成高分子であり、他の樹脂や硬化剤と溶解挙動が異なるため、非常に良好な相分離性を有する。
<溶媒>
防眩層形成用塗布液の溶媒と同じ溶媒が使用できる。防眩層形成用塗布液の溶媒とは種類が異なっていても構わない。
(塗布工程)
次に、図1Aに示すように、支持体16上に樹脂54A、粒子56を含む低屈折率層形成用塗布液50を上層として、樹脂54B、54Cとを含む防眩層形成用塗布液51を下層として塗布し、塗布層52を形成する。塗布工程は、図2に示す製造装置において、支持体16(既に何らかの機能層が形成されているものも含む)が、フィルムロール12から送出機14により送り出される。支持体16の走行速度は、例えば、0.1〜1.5m/秒とすることができる。
支持体16はガイドローラ18によってガイドされて除塵機20に送りこまれる。除塵機20は、支持体16の表面に付着した塵を取り除くことができるようになっている。除塵機20の下流には、塗布手段である塗布装置22が設けられており、塗布液がバックアップローラに巻き掛けられた支持体16上に同時に塗布できるようになっている。塗布装置22は図3のように連続した支持体に対向した少なくとも2つのスロットダイA、Bから成り、支持体の走行方向に対し上流側のスロットダイAより防眩層形成用塗布液が、下流側のスロットダイBより低屈折率層形成用塗布液が塗布され、防眩層形成用塗布膜上に低屈折率層形成用塗布膜が形成され塗布層52が支持体16上に形成される。支持体16はバックアップロール上に保持されていても良い。
スロットダイは次のような形態をしている。
(1)スロットダイは本体の内部に設けられたマニホールドとマニホールドからスロットダイの先端部に延在するスロットとを有する。スロットダイの先端部分は先細り状に形成され、その先端はリップランドと呼ばれる。スロットに対し支持体搬送方向上流側を上流側リップランド、下流側を下流側リップランドと称する。
(2)一般的に上流側リップランド部の長さは100〜1000μmの範囲で用いられるが特に限定はされない。
(3)下流側リップランド部の長さは30〜500μmの範囲で用いられる。
(4)各リップランド部と支持体との距離は10〜200μm程度が好ましい。上流側リップランド部と支持体との間の距離が下流側リップランド部と支持体との間の距離よりも近い位置に配置してもよく、この構造をオーバーバイト構造と呼ぶ。上流側リップランド部と下流側リップランド部の法線方向の距離は0〜200μm程度で用いられる。
(5)リップ先端の強度や表面状態の向上対策として、少なくともスロットダイの先端を含む一部を超硬材質としてもよい。
(6)マニホールドはスロットに幅方向均一に液を拡流するための液溜め部でありウェブの幅方向へ延びる。
(7)マニホールドへの液の供給方法は適切に液を供給できればどのような方法でもよく、サイドからでも中央からでもよい。またマニホールドの形状も略円形に限定されず、半円形、台形などの矩形やそれに類似する形状でも良い。
(8)スロットの長さは使用する塗布液によって適当な長さとする。またクリアランスは50〜1000μmの範囲で用いられる。
(9)スロットダイA、Bの上流側にはビードを安定させるための減圧チャンバーを設置しても良い。
(10)スロットダイAとスロットダイBの形状は上記(1)〜(9)を満たせば異なっても良い。
<支持体>
防眩性フィルムは支持体上に防眩層を形成されてなる。用いる支持体としては、光透過率は、80%以上であることが好ましく、86%以上であることがさらに好ましい。透明支持体のヘイズは、2.0%以下であることが好ましく、1.0%以下であることがさらに好ましい。支持体の屈折率は、1.4〜1.7であることが好ましい。また、プラスチックフィルムを用いることが好ましい。プラスチックフィルムの材料の例には、セルロースエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル(例、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリメチルメタクリレートおよびポリエーテルケトンなどが挙げられる。
(粒子移動工程)
支持体16上に塗布された塗布層52は、乾燥ゾーン24に搬送される間に図1Bに示すように粒子56が気液界面に移動し、粒子56が、塗布層52内の気液界面に偏在する。本発明においては、この粒子移動工程において、粒子を気液界面に移動させることが重要である。本発明においては、粒子に疎水性を付与することにより、粒子の移動を促進している。したがって低屈折率層形成用塗布液中の粒子の溶媒に対する比率(質量比)r[−]を、溶媒が半減するまでの時間をt[s]、塗布工程における上層の初期膜厚をd[m]としたとき、1/rとtとdの乗が6×10−2以上であることが好ましい。より好ましくは、6.15×10−2以上である。乾燥速度を上記範囲とすることにより、粒子移動工程の時間を充分にとることができる。なお、低屈折率層形成用塗布液中の粒子の溶媒に対する比率rが小さいほど、粒子が塗布後の低屈折率層形成用塗布液中で分散しやすくなり、かつ、相分離により防眩層に巻き込まれにくくなる。逆に、比率rが大きいと、粒子移動工程において、粒子が塗布後の低屈折率層形成用塗布液中で分散することが難しくなり、相分離により防眩層に巻き込まれる粒子の割合が多くなる。また、溶媒が半減するまでの時間をt[s]が長いと、塗布を行った瞬間には上層のうち気液界面に遠い位置に存在する粒子が気液界面に到達する確率が高くなり、逆に短いと粒子が気液界面に到達する確率が低くなる。最後に、塗布工程における上層の初期膜厚をd[m]が厚いほど粒子を上層に移動させることができ、乾燥工程で防眩層に巻き込まれる粒子の量を減らすことができる。反対に薄いほど下層に沈降する上層の粒子の割合が大きくなる。
なお、粒子の溶媒に対する比率r[−]は2.47×10−3以下であることが好ましく、より好ましくは2.44×10−3以下である。また、溶媒が半減するまでの時間t[s]は、1.5s以上が好ましく、より好ましくは3s以上である。初期膜厚は3.50×10−5m以上であることが好ましく、より好ましくは5.00×10−5m以上である。
また、粒子移動工程において、粒子は塗布層52の気液界面、つまり、乾燥後の低屈折率層60に粒子56全体の80%以上含まれることが好ましい。特に好ましくは90%以上であり、さらに好ましくは95%以上である。粒子56の低屈折率層60に含まれる量が上記範囲にない場合、防眩層58と低屈折率層60との間で屈折率の差がつきにくくなるので、反射防止機能が不十分となる。
(乾燥工程)
粒子移動工程により、粒子56が気液界面に移動した塗布層52を有する支持体16は、乾燥ゾーン24に搬送される。乾燥ゾーン24内では、溶媒が蒸発し、樹脂54A、54Bが相分離することにより、図1Cに示すように凹凸が形成される。乾燥ゾーン24としては、特に限定されないが、熱風加熱装置(例えば、特開2001−314799に記載の熱処理装置など)、ヒータ加熱装置などが使用できる。
乾燥工程の下流には、塗布層の硬化工程として、熱線や活性エネルギー源(紫外線や電子線など)により、塗布層を硬化または架橋させる。硬化方法としては、硬化性化合物の種類に応じて選択できるが、例えば、紫外線照射装置26が使用される。この紫外線照射により、所望の硬化、架橋を形成できるようになっている。
また、素材によっては、熱で硬化するための熱処理ゾーンが設けられ所望の硬化、架橋を行うこともある。または、上記塗布層を形成した支持体16を巻き取った後、別工程でオーブン加熱や、搬送しての熱処理を行うこともある。そして、この下流に設けられた巻取り機30により、防眩層、低屈折率層が形成された支持体16が巻き取られるようになっている。
乾燥工程においては、粒子移動工程において、塗布液中の粒子の70%以上の粒子が塗布層52の膜厚に対して気液界面側10%以内に移動した後、塗布層を形成する塗布液の樹脂材料の濃度が臨界固形分濃度を超えるように、溶媒の選択、溶媒の乾燥速度の調整、粒子の表面改質を行うことが好ましい。
このような条件で乾燥を行うためには、溶媒として60℃以上の沸点を持つ溶媒を用い、溶媒の乾燥速度を5.0g/m2・s以下、好ましくは1.0g/m2・s以下とし、粒子の表面改質をフッ素原子を3つ以上含有するシランカップリング剤、例えば3,3,3−トリフロロプロピルメチルジクロロシランを用いて行うことにより、達成することができる。
<他の層>
本発明の防眩性フィルムの製造方法により製造された防眩性フィルムには、さらに、ハードコート層、前方散乱層、プライマー層、帯電防止層、下塗り層や保護層などを設けてもよい。
(ハードコート層)
ハードコート層は、防眩性フィルムに物理強度を付与するために、支持体に設ける。ハードコート層は、光及び/又は熱の硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成されることが好ましい。
硬化性官能基としては、光重合成官能基が好ましく、又加水分解性官能基含有の有機金属化合物は有機アルコキシシリル化合物が好ましい。これらの化合物の具体例としては、粒子表面が表面処理剤で処理されること(例えば、シランカップリング剤など:特開平11−295503号公報、同11−153703号公報、特開2000−9908号公報、アニオン性化合物あるいは有機金属カップリング剤:特開2001−310432号公報など)、高屈折率粒子をコアとしたコアシェル構造とすること(:特開2001−166104号公報など)、特定の分散剤使用(例、特開平11−153703号公報、特許番号US6210858B1、特開2002−2776069号公報など)などが挙げられる。ハードコート層の具体的な構成組成物としては、例えば、特開2002−144913号公報、同2000−9908号公報、WO0/46617号公報などの記載のものが挙げられる。
ハードコート層の膜厚は、0.2〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.5〜7μmである。ハードコート層の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。また、JIS K5400に従うテーパー試験で、試験前後の試験片の磨耗量が少ないほど好ましい。
(前方散乱層)
前方散乱層は、液晶表示装置に適用した場合の、上下左右方向に視角を傾斜させたときの視野角改良効果を付与するために設ける。上記ハードコート層中に屈折率の異なる微粒子を分散することで、ハードコート機能と兼ねることもできる。例えば、前方散乱係数を特定化した特開11−38208号公報、透明樹脂と微粒子の相対屈折率を特定範囲とした特開2000−199809号公報、ヘイズ値を40%以上と規定した特開2002−107523号公報などが挙げられる。
〔第2の実施の形態〕
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
図5A及び5Bは、防眩性フィルムの製造方法の一例を説明する説明図である。なお、防眩性フィルムの製造装置(図2)及び塗布装置(図3)は第1の実施の形態で使用した図と同様である。
本実施形態では、置換基にポリマー全体の屈折率を低下させる分子構造を含む第1のポリマーと置換基にポリマー全体の屈折率を低下させる分子構造を含まない3種類の樹脂A、B、Cを含む塗布液を用いる一例で説明するが、置換基にポリマー全体の屈折率を低下させる分子構造を含まない樹脂が3種類以上の場合でも基本的概念は同じである。
(塗布液調整工程)
まず、本発明の防眩性フィルムの製造方法は、互いに非相溶である2種類の樹脂B、Cを溶媒に溶解させた防眩層形成用塗布液と、互いに非相溶である置換基にポリマー全体の屈折率を低下させる分子構造を含む第1のポリマーと樹脂Aとを溶媒に溶解させた低屈折率形成用塗布液を調整する。各塗布液の混合方法としては、樹脂(樹脂材料)を溶媒に溶解することができれば、特に限定されず行うことができる。
[防眩層形成用塗布液]
下層として塗布される防眩層形成用塗布液は互いに非相溶である少なくとも2種類の樹脂材料を少なくとも1種類の溶媒に溶解することで調整される。
<樹脂材料>
樹脂材料としては、第1の実施の形態で説明したと同様なので説明は省略する。
2種類のポリマーの組み合わせは、特に制限されないが、加工温度付近で互いに非相溶で、相分離し易い2種類のポリマーを組み合わせることが好ましい。
<溶媒>
溶媒は第1の実施の形態で説明したと同様であるので、説明は省略する。
塗布液の粘度は、1〜50cP程度とすることができる。
[低屈折率層形成用塗布液]
上層として塗布される低屈折率形成要塗布液は置換基にポリマー全体の屈折率を低下させる分子構造を含む第1のポリマーと第1のポリマーと相分離構造を形成する樹脂材料を溶媒に溶解することで調整される。
<置換基にポリマー全体の屈折率を低下させる分子構造を含むポリマー>
低屈折率層形成用塗布液中に、置換基にポリマー全体の屈折率を低下させる分子構造を含む第1のポリマーを含有させることにより、第1のポリマーを低屈折率層内に偏在させることができる。これにより、防眩層と低屈折率層で屈折率に差をつきやすくすることができる。
第1のポリマーとしては、屈折率を周囲の樹脂材料より下げることができれば特に限定されず用いることができるが、例えばフッ素分子を含む分子構造を有するポリマーを用いることができる。具体的には、上記防眩層形成用塗布液中に含まれる樹脂材料にフッ素を含有させたものを挙げることができ、フッ素含有オレフィン樹脂、フッ素含有アクリル樹脂、フッ素含有アルキルシラン化合物などを使用することができる。具体的には、2,2,2,−トリフルオロエチルアクリレート、パーフロロオクチルエチルアクリレート、3,3,3−トリフロロプロピルメチルジクロロシラン、トリデカフロロ−1,1,2,2−テトラヒドロキシルジメチルクロロシラン、ヘプタデカフロロ−1,1,2,2−テトラ−ヒドロデチルジメチルクロロシランなどの共重合体を用いることができる。また、ポリマー中に屈折率を低下させる分子構造を含まないモノマーを含有させることもできる。
その場合、屈折率を低下させる分子構造を含むモノマーを、低屈折率層形成用塗布液中の第1のポリマーおよび樹脂材料全体の10%以上含有することが好ましい。また、第1のポリマーを多く含有させることにより、屈折率に差をつけ易くなるが、上限は、相分離させるタイミングなどにより、適宜設定することができる。ポリマー中に屈折率を低下させる分子構造を含まないモノマーとしては、特に限定されず用いることができるが、例えば、下記に示す樹脂材料を構成するモノマーを挙げることができる。
<樹脂材料>
樹脂材料としては、第1の実施の形態で説明したと同様であるので、説明は省略する。
<溶媒>
防眩層形成用塗布液の溶媒と同じ溶媒が使用できる。防眩層形成用塗布液の溶媒とは種類が異なっていても構わない。
本発明においては、防眩層形成用塗布液と低屈折率層形成用塗布液を別々に塗布しているため、塗布層の上部に第1のポリマーを配置することができるので、上層と下層とで屈折率に差をつけることができる。
また、第1のポリマーのみでなく、他の樹脂材料との相分離を用いているため、第1のポリマーのみを上層とした場合よりも下層に巻き込まれる第1のポリマーの化合物を減らすことができる。また、低屈折率形成用塗布液中の第1のポリマー以外の樹脂として、第1のポリマーと相溶性の比較的良い樹脂を選ぶことにより、第1のポリマーは下層に拡散し難くなり、上層に残ろうとするので、第1のポリマーが下層に巻き込まれる確立を低くすることができる。
(塗布工程)
次に、図5Aに示すように、支持体16上に第1のポリマー154、樹脂155Aを含む低屈折率層形成用塗布液150を上層として、樹脂155B、155Cとを含む防眩層形成用塗布液151を下層として塗布し、塗布層152を形成する。塗布工程は、図2で示した製造装置において、支持体16(既に何らかの機能層が形成されているものも含む)が、フィルムロール12から送出機14により送り出される。支持体16の走行速度は、例えば、0.1〜1.5m/秒とすることができる。
支持体16はガイドローラ18によってガイドされて除塵機20に送りこまれる。除塵機20は、支持体16の表面に付着した塵を取り除くことができるようになっている。除塵機20の下流には、塗布手段である塗布装置22が設けられており、塗布液がバックアップローラに巻き掛けられた支持体16上に同時に塗布できるようになっている。塗布装置22は図3のように連続した支持体に対向した少なくとも2つのスロットダイA,Bから成り、支持体の走行方向に対し上流側のスロットダイAより防眩層形成用塗布液が、下流側のスロットダイBより低屈折率層形成用塗布液が塗布され、防眩層形成用塗布膜上に低屈折率層形成用塗布膜が作成され塗布層152が支持体16上に形成される。支持体16はバックアップロール上に保持されていても良い。
スロットダイの形態は第1の実施の形態及び支持体については第1の実施の形態で説明したので省略する。
(乾燥工程)
塗布層152を有する支持体16は、乾燥ゾーン24に搬送される。乾燥ゾーン24内では溶媒が蒸発し、図5Bに示すように、上層では第1のポリマー154,樹脂155Aが相分離することにより第1のポリマー154が偏在し低屈折率層160が形成される。また、下層では樹脂155B、155Cが相分離することにより防眩層158が形成され、表面に凹凸が形成される。乾燥ゾーン24としては、特に限定されないが、熱風加熱装置(例えば、特開2001−314799に記載の熱処理装置など)、ヒータ加熱装置などが使用できる。
乾燥工程においては、上層の相分離の開始が、下層の相分離の開始より早くなるようにすることが好ましい。上層の相分離の開始を下層の相分離の開始より早くすることで、低屈折率層形成用塗布液が防眩層形成用塗布液中に巻き込まれることを防止することができるので、乾燥後の防眩層と低屈折率層とで、屈折率に差をつけることができる。
相分離の開始を調整する方法としては、低屈折率層形成用塗布液と防眩層形成用塗布液に含まれる成分の比率を、つまりそれぞれの塗布液中の溶質の比率や溶媒の比率を調整することで、乾燥工程中の上層と下層が相分離を開始する時間を制御し、上層の相分離の開始を下層の相分離の開始よりも早くすることができる。具体的には、上層の場合予め溶質の比率をできるだけ相分離の起こりやすい比率にしたり溶媒の比率を下げたりして、相分離が始まる時間を早くし、下層の場合予め溶質の比率をできるだけ相分離の起こりにくい比率にしたり溶媒の比率を上げたりして、相分離の始まる時間を遅くする。各塗布液の成分の比率は、例えば、どのような溶媒溶質比率であると相分離が起きるかを事前に実測しておき、そのうえで、所望のタイミングとなるように塗布液の調整を行うことができる。
このように上層の相分離を下層の相分離よりも早く開始することで、上層中の屈折率を低下させる化合物が上層中に偏在し下層の相分離に巻き込まれる割合を下げることができるので、上層と下層に屈折率差を付けることができる。
乾燥工程の下流には、塗布層の硬化工程として、熱線や活性エネルギー源(紫外線や電子線など)により、塗布層を硬化または架橋させる。硬化方法としては、硬化性化合物の種類に応じて選択できるが、例えば、紫外線照射装置26が使用される。この紫外線照射により、所望の硬化、架橋を形成できるようになっている。
また、素材によっては、熱で硬化するための熱処理ゾーンが設けられ所望の硬化、架橋を行うこともある。または、上記塗布層を形成した支持体16を巻き取った後、別工程でオーブン加熱や、搬送しての熱処理を行うこともある。そして、この下流に設けられた巻取り機30により、防眩層、低屈折率層が形成された支持体16が巻き取られるようになっている。
<他の層>
ハードコート層、前方散乱層、プライマー層、帯電防止層、下塗り層や保護層などの他の層については第1の実施の形態で説明したと同様なので、説明は省略する。
図6Aから6Cは防眩性フィルムの製造方法の別の例を説明する説明図である。図6Aに示す塗布工程については、上述した図5Aと同様の方法により行うことができるので省略する。
乾燥工程において、まず、上層の低屈折率層形成用塗布液の相分離を行い、スピノーダル分解を開始させる。上層の相分離することにより、図6Bに示すように、第1のポリマー154を低屈折率層形成用塗布液中に偏在させることができる。次に、下層の防眩層形成用塗布液の相分離を行うことにより、図6Cに示すように表面に凹凸を形成することができる。
このように、低屈折率層形成用塗布液のスピノーダル分解を開始させた後に、防眩層形成用塗布液の相分離を行うことにより、防眩層形成用塗布液の相分離を行う際は、すでに、低屈折率形成用塗布液が流動しにくくなっているため、防眩層形成用塗布液中に、第1のポリマーが巻き込まれ難くなっている。したがって、第1のポリマーが防眩層中に含まれ難いので、低屈折率層と防眩層とで、屈折率の差をつきやすくすることができる。
防眩層形成用塗布液の相分離を低屈折率層形成用塗布液のスピノーダル分解を開始させた後に行うためには、低屈折率層形成用塗布液、防眩層形成用塗布液に含まれる溶質の比率や溶媒の比率を調整することで制御することができる。
[第1の実施の形態に対応する実施例]
以下、実施例を挙げて本発明の第1の実施の形態の特徴を更に具体的に説明するが、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
〔実施例1〕
(上層、低屈折率層)
平均粒子径20nmの中空シリカ粒子の表面を、3,3,3−トリフロロプロピルメチルジクロロシランによって処理して粒子の表面を疎水化した。また、下記組成物を82質量部のメチルエチルケトンに溶解して塗布液を調製した。この系の臨界固形分濃度は71%である。
・アクリル樹脂 15質量部
・疎水性の粒子 0.2質量部
(下層、防眩層)
下記組成物を82質量部のメチルエチルケトンに溶解して塗布液を調製した。この系の臨界固形分濃度は71%である。
・セルロースアセテートプロピオネート 2質量部
・アクリル樹脂 15質量部
これらの液を同時重層塗布にて厚み80μmのトリアセチルセルロース(フジタック、富士フイルム(株)製)の上に塗布した。塗布した瞬間の上層の膜厚は、50μmである。塗布した後に25度の温度下で1分間無風乾燥させた。このとき膜含有の溶媒の量が半分になるまで3秒の時間を要した。1分間の無風乾燥の後に、風温100℃、風速0.4m/sの温風を当てて膜内部の溶媒を完全に乾燥させた。
このようにして得られた防眩性フィルムを所定サイズに切り取り、液晶ディスプレイに貼り付け、見栄えを以下の基準で評価した。結果を図4に示す。
優…まったく白化していない
良…よく見ると白化していることがわかる(製品としては問題ないレベル)
可…ある程度白化している(製品としては問題ないレベル)
不可…白化している
〔比較例1〕
実施例1において上層の塗布液に粒子を入れずに調整したこと以外は実施例1と同様にして塗布液を形成した。
〔比較例2〕
実施例1において上層の塗布液の粒子を疎水化処理せずに調整したこと以外は、実施例1と同様にして塗布液を形成した。
〔実施例2〕
実施例1において、塗布した後の室温を上げ膜含有の溶媒量が半分になる時間を2.95秒にしたこと以外は、実施例1と同様にして塗布液を形成した。
〔実施例3〕
実施例1において、塗布した後の室温を上げ膜含有の溶媒量が半分になる時間を2.5秒にしたこと以外は、実施例1と同様にして塗布液を形成した。
〔実施例4〕
実施例1において上層のメチルエチルケトンを81質量部にしたこと以外は、実施例1と同様にして塗布液を形成した。
〔実施例5〕
実施例1において上層のメチルエチルケトンを75質量部にしたこと以外は、実施例1と同様にして塗布液を形成した。
〔実施例6〕
実施例1において、疎水性の粒子の質量部を0.1としたことと、塗布した後の室温を上げ膜含有の溶媒量が半分になる時間を1.5秒にしたこと以外は、実施例1と同様にして塗布液を形成した。
〔実施例7〕
実施例1において、疎水性の粒子の質量部を0.1としたことと、塗布した後の室温を上げ膜含有の溶媒量が半分になる時間を1.2秒にしたこと以外は、実施例1と同様にして塗布液を形成した。
〔実施例8〕
実施例1において、疎水性の粒子の質量部を0.1としたことと、上層のメチルエチルケトンを60質量部にしたこと以外は、実施例1と同様にして塗布液を形成した。
〔実施例9〕
実施例1において、疎水性の粒子の質量部を0.1としたことと、上層のメチルエチルケトンを45質量部にしたこと以外は、実施例1と同様にして塗布液を形成した。
結果を図4に示す。防眩性フィルムの表面に低屈折率を形成することで、乱反射による白化を防止することができた。また、1回塗布することで、防眩層と低反射率層の両方を形成することができ、コスト的に有利な製造方法を提供することができた。
粒子を用いなかった比較例1は、白化を防止することができなかった。また、疎水化処理を行わなかった比較例2についても白化を防止することができなかった。これは、粒子が塗布層の気液界面に移動しきれなかったためだと考えられる。
[第2の実施の形態に対応する実施例]
次に、実施例を挙げて本発明の第2の実施の形態の特徴を更に具体的に説明するが、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
即ち、以下に示す塗布液を調整し、厚さ80mmのトリアセチルセルロース(フジタック、富士フィルム(株)製)上に塗布した。塗布した瞬間の膜厚は、上層下層ともに50μmであった。塗布後に乾燥風を当てることで乾燥を行った。その際、溶媒の乾燥速度が0.6g/m・sになるよう乾燥させた。その後、100℃、1分間熱処理を行った。
[実施例1]
(上層、低屈折率層)
下記組成物を82質量部のメチルエチルケトン(MEK)に溶解して塗布液を調製した。
・2,2,2,−トリフルオロエチルアクリレートの共重合体
4質量部
・アクリル樹脂 14質量部
(下層、防眩層)
下記組成物を82質量部のメチルエチルケトン(MEK)に溶解して塗布液を調製した。
・セルロースアセテートプロピオネート 2.1質量部
・アクリル樹脂 15.9質量部
その結果、上層では相分離が起き2,2,2,−トリフルオロエチルアクリレートの共重合体による低屈折率層が、下層でも相分離が起き防眩層が、形成された。
このようにして得られた防眩性フィルムを所定サイズに切り取り、白化を評価した。白化は、得られたフィルムを液晶ディスプレイに貼り付け、見栄えを評価することにより行った。実施例の条件、結果を図7A及び7Bに示す。
優…まったく白化していない
良…よく見ると白化していることがわかる(製品としては問題ないレベル)
可…ある程度白化している(製品としては問題ないレベル)
不可…白化している
[比較例1]
実施例1において、2,2,2,−トリフルオロエチルアクリレートの共重合体を無しにした以外は実施例1と同様にして塗布膜を作製した。
[比較例2]
実施例1において、2,2,2,−トリフルオロエチルアクリレートの共重合体をアルキルシラン系化合物にした以外は実施例1と同様にして塗布膜を作成した。
[実施例2]
実施例1において、上層の2,2,2,−トリフルオロエチルアクリレートの共重合体とアクリル樹脂とMEKの重量比率を2.5:15.5:82としたこと以外は実施例1と同様にして塗布膜を作成した。
[実施例3]
実施例1において、上層の2,2,2,−トリフルオロエチルアクリレートの共重合体とアクリル樹脂とMEKの重量比率を2.1:15.9:82としたこと以外は実施例1と同様にして塗布膜を作成した。
[実施例4]
実施例1において、下層のセルロースアセテートプロピオネートとアクリル樹脂とMEKの重量比率を2.3:15.7:82としたこと以外は実施例1と同様にして塗布膜を作成した。
[実施例5]
実施例1において、下層のセルロースアセテートプロピオネートとアクリル樹脂とMEKの重量比率を3.5:14.5:82としたこと以外は実施例1と同様にして塗布膜を作成した。
[実施例6]
実施例1において、下層のセルロースアセテートプロピオネートとアクリル樹脂とMEKの重量比率を4:14:82としたこと以外は実施例1と同様にして塗布膜を作成した。
[実施例7]
実施例1において、上層の2,2,2,−トリフルオロエチルアクリレートの共重合体とアクリル樹脂とMEKの重量比率を4:14:70とし、下層のセルロースアセテートプロピオネートとアクリル樹脂とMEKの重量比率を4:14:82としたこと以外は実施例1と同様にして塗布膜を作成した。
[実施例8]
実施例1において、上層の2,2,2,−トリフルオロエチルアクリレートの共重合体とアクリル樹脂とMEKの重量比率を4:14:79とし、下層のセルロースアセテートプロピオネートとアクリル樹脂とMEKの重量比率を4:14:82としたこと以外は実施例1と同様にして塗布膜を作成した。
[実施例9]
実施例1において、上層の2,2,2,−トリフルオロエチルアクリレートの共重合体とアクリル樹脂とMEKの重量比率を4:14:85とし、下層のセルロースアセテートプロピオネートとアクリル樹脂とMEKの重量比率を4:14:82としたこと以外は実施例1と同様にして塗布膜を作成した。
[実施例10]
実施例1において、上層の2,2,2,−トリフルオロエチルアクリレートの共重合体とアクリル樹脂とMEKの重量比率を2.1:15.9:80とし、下層のセルロースアセテートプロピオネートとアクリル樹脂とMEKの重量比率を2.1:15.9:95としたこと以外は実施例1と同様にして塗布膜を作成した。
[実施例11]
実施例1において、上層の2,2,2,−トリフルオロエチルアクリレートの共重合体とアクリル樹脂とMEKの重量比率を2.1:15.9:80とし、下層のセルロースアセテートプロピオネートとアクリル樹脂とMEKの重量比率を2.1:15.9:82としたこと以外は実施例1と同様にして塗布膜を作成した。
[実施例12]
実施例1において、上層の2,2,2,−トリフルオロエチルアクリレートの共重合体とアクリル樹脂とMEKの重量比率を2.1:15.9:80とし、下層のセルロースアセテートプロピオネートとアクリル樹脂とMEKの重量比率を2.1:15.9:77としたこと以外は実施例1と同様にして塗布膜を作成した。
[実施例13]
実施例1において下層、防眩層を以下のよう調整したこと以外は実施例1と同様にして塗布膜を作成した。
(下層、防眩層)
下記組成物を82質量部のメチルエチルケトンに溶解して塗布液を調製した。
・ポリスチレン 1.5質量部
・アクリル樹脂 16.5質量部
その結果、上層では相分離が起き2,2,2,−トリフルオロエチルアクリレートの共重合体による低屈折率層が、下層でも相分離が起き防眩層が、形成された。
[比較例3]
実施例13において、2,2,2,−トリフルオロエチルアクリレートの共重合体を無しにした以外は実施例13と同様にして塗布膜を作製した。
[比較例4]
実施例13において、2,2,2,−トリフルオロエチルアクリレートの共重合体をアルキルシラン系化合物にした以外は実施例13と同様にして塗布膜を作成した。
[実施例14]
実施例13において、上層の2,2,2,−トリフルオロエチルアクリレートの共重合体とアクリル樹脂とMEKの重量比率を2.5:15.5:82としたこと以外は実施例13と同様にして塗布膜を作成した。
[実施例15]
実施例13において、上層の2,2,2,−トリフルオロエチルアクリレートの共重合体とアクリル樹脂とMEKの重量比率を2.1:15.9:82としたこと以外は実施例13と同様にして塗布膜を作成した。
[実施例16]
実施例13において、下層のポリスチレンとアクリル樹脂とMEKの重量比率を2.3:15.7:82としたこと以外は実施例13と同様にして塗布膜を作成した。
[実施例17]
実施例13において、下層のポリスチレンとアクリル樹脂とMEKの重量比率を3.5:14.5:82としたこと以外は実施例13と同様にして塗布膜を作成した。
[実施例18]
実施例13において、下層のポリスチレンとアクリル樹脂とMEKの重量比率を4:14:82としたこと以外は実施例13と同様にして塗布膜を作成した。
[実施例19]
実施例13において、上層の2,2,2,−トリフルオロエチルアクリレートの共重合体とアクリル樹脂とMEKの重量比率を4:14:70とし、下層のポリスチレンとアクリル樹脂とMEKの重量比率を4:14:82としたこと以外は実施例13と同様にして塗布膜を作成した。
[実施例20]
実施例13において、上層の2,2,2,−トリフルオロエチルアクリレートの共重合体とアクリル樹脂とMEKの重量比率を4:14:79とし、下層のポリスチレンとアクリル樹脂とMEKの重量比率を4:14:82としたこと以外は実施例13と同様にして塗布膜を作成した。
[実施例21]
実施例13において、上層の2,2,2,−トリフルオロエチルアクリレートの共重合体とアクリル樹脂とMEKの重量比率を4:14:85とし、下層のポリスチレンとアクリル樹脂とMEKの重量比率を4:14:82としたこと以外は実施例13と同様にして塗布膜を作成した。
[実施例22]
実施例13において、上層の2,2,2,−トリフルオロエチルアクリレートの共重合体とアクリル樹脂とMEKの重量比率を1.5:16.5:82とし、下層のポリスチレンとアクリル樹脂とMEKの重量比率を1.5:16.5:93としたこと以外は実施例13と同様にして塗布膜を作成した。
[実施例23]
実施例13において、上層の2,2,2,−トリフルオロエチルアクリレートの共重合体とアクリル樹脂とMEKの重量比率を1.5:16.5:82とし、下層のポリスチレンとアクリル樹脂とMEKの重量比率を1.5:16.5:82としたこと以外は実施例13と同様にして塗布膜を作成した。
[実施例24]
実施例13において、上層の2,2,2,−トリフルオロエチルアクリレートの共重合体とアクリル樹脂とMEKの重量比率を1.5:16.5:82とし、下層のポリスチレンとアクリル樹脂とMEKの重量比率を1.5:16.5:79としたこと以外は実施例13と同様にして塗布膜を作成した。
図7A及び7Bより、防眩性フィルムの表面に低屈折率を形成することで、乱反射による白化を防止することができた。また、1回塗布することで、防眩層と低反射率層の両方を形成することができ、コスト的に有利な製造方法を提供することができた。
2,2,2,−トリフルオロエチルアクリレートの共重合体を用いなかった比較例1、比較例3は、白化を防止することができなかった。また、フッ素化合物を持たないアルキルシラン系化合物を用いた比較例2、比較例4についても白化を防止することができなかった。これらは、低屈折率層と防眩層とで屈折率の差がつかなかったためだと考えられる。
なお、実施例2〜12と実施例13〜24では、上層のスピノーダル分解(相分離)が下層の相分離開始よりも早く始まるほど、上層の表面に低屈折率物質(2,2,2,−トリフルオロエチルアクリレートの共重合体)が偏在して上層がより低屈折率になり、表面反射率が下がって、防眩性フィルムの見た目の白っぽさ(白化)を緩和できることを示している。
10…防眩性フィルムの製造装置、16…支持体、22…塗布装置、24…乾燥ゾーン、26…紫外線照射装置、50…低屈折率層形成用塗布液、51…防眩層形成用塗布液、52…塗布層、54…樹脂、56…粒子、58…防眩層、60…低屈折率層、150…低屈折率層形成用塗布液、151…防眩層形成用塗布液、152…塗布層、154…第1のポリマー、155…樹脂、158…防眩層、160…低屈折率層
本発明の第1の態様は、前記目的を達成するために、防眩層形成用塗布液と低屈折率層形成用塗布液とのそれぞれに偏在可能な成分を含む塗布液を調製する工程と、上層として前記低屈折率層形成用塗布液を、下層として前記防眩層形成用塗布液を、支持体の上に塗布し塗布層を形成する塗布工程と、前記塗布層を乾燥させ相分離することにより偏在させて防眩層と低屈折率層を形成する乾燥工程と、を有する防眩性フィルムの製造方法を提供する。
第1の態様によれば、防眩層形成用塗布液と低屈折率層形成用塗布液とのそれぞれに偏在可能な成分を含む塗布液を調製し、それを支持体に塗布して、塗布した塗布層を乾燥させ相分離することにより偏在させて防眩層と低屈折率層を形成するようにしたので、各種ディスプレイへの外部光の映り込みやギラツキ、また、乱反射による白化を抑制し、低コストで製造することができる。
本発明の第2の態様は、前記目的を達成するために、互いに非相溶である少なくとも2種類の樹脂材料を少なくとも1種類の溶媒に溶解させた少なくとも1種類の防眩層形成用塗布液と、樹脂材料と疎水性の粒子を溶媒に溶解させた低屈折率層形成用塗布液とを調製する工程と、上層として前記低屈折率層形成用塗布液を、下層として前記防眩層形成用塗布液を、支持体の上に塗布し塗布層を形成する塗布工程と、前記粒子を前記塗布層の気液界に移動させる粒子移動工程と、前記塗布層を乾燥させ相分離することにより防眩層と低屈折率層を形成する乾燥工程と、を有する防眩性フィルムの製造方法を提供する。
第2の態様は、偏在可能な成分を含む防眩層形成用塗布液と低屈折率層形成用塗布液の態様として、互いに非相溶である少なくとも2種類の樹脂材料を少なくとも1種類の溶媒に溶解させた少なくとも1種類の防眩層形成用塗布液と、樹脂材料と疎水性の粒子を溶媒に溶解させた低屈折率層形成用塗布液とを調製するようにしたものである。
本発明の第5の態様は、前記目的を達成するために、互いに非相溶である少なくとも2種類の樹脂材料を少なくとも1種類の溶媒に溶解させた防眩層形成用塗布液と、置換基にポリマー全体の屈折率を低下させる分子構造を含む第1のポリマーと前記第1のポリマーと相分離構造を形成する1つ以上の樹脂材料を少なくとも1種類の溶媒に溶解させた低屈折率層形成用塗布液とを調製する塗布液調製工程と、上層として前記低屈折率層形成用塗布液を、下層として前記防眩層形成用塗布液を、同時に支持体の上に塗布し塗布層を形成する塗布工程と、前記塗布層を乾燥させ、前記低屈折率層形成用塗布液と前記防眩層形成用塗布液を相分離することにより、低屈折率層と防眩層を形成する乾燥工程と、を有する防眩性フィルムの製造方法を提供する。
第5の態様は、偏在可能な成分を含む防眩層形成用塗布液と低屈折率層形成用塗布液の態様として、互いに非相溶である少なくとも2種類の樹脂材料を少なくとも1種類の溶媒に溶解させた防眩層形成用塗布液と、置換基にポリマー全体の屈折率を低下させる分子構造を含む第1のポリマーと前記第1のポリマーと相分離構造を形成する1つ以上の樹脂材料を少なくとも1種類の溶媒に溶解させた低屈折率層形成用塗布液とを調製するようにしたものである。
第7の態様によれは、第5の態様または第6の態様において、前記塗布液調製工程において、前記乾燥工程における前記低屈折率層形成用塗布液の相分離の開始が、前記防眩層形成用塗布液の相分離の開始よりも早くなるように、該低屈折率層形成用塗布液内の前記第1のポリマーおよび前記樹脂材料と前記溶媒、および、該防眩層形成用塗布液内の前記樹脂材料と前記溶媒の比率を調整する。
第8の態様によれば、第7の態様において、前記塗布液調製工程において、前記乾燥工程における前記防眩層形成用塗布液の相分離の開始が、前記低屈折率層形成用塗布液のスピノーダル分解開始後に始まるように、該低屈折率層形成用塗布液内の前記第1のポリマーおよび前記樹脂材料と前記溶媒、および、該防眩層形成用塗布液内の前記樹脂材料と前記溶媒の比率を調整する。
(塗布液調製工程)
まず、本発明の防眩性フィルムの製造方法は、互いに非相溶である2種類の樹脂A、Bを溶媒に溶解させた防眩層形成用塗布液と樹脂と粒子とを溶媒に溶解させた低屈折率層形成用塗布液を調製する。
[防層形成用塗布液]
下層として塗布される防眩層形成用塗布液は互いに非相溶である少なくとも2種類の樹脂材料を少なくとも1種類の溶媒に溶解することで調製される。
[低屈折率層形成用塗布液]
上層として塗布される低屈折率層形成用塗布液は樹脂材料と疎水性の粒子を溶媒に溶解することで調製される。
(2)低分子有機化合物による疎水化処理
低分子有機化合物を有機溶剤中に溶解させた溶液中に、粒子を分散させた後に、有機溶剤を完全に蒸発除去することにより、粒子を低分子有機化合物により処理(被覆)し疎水化する方法である。低分子有機化合物は、その分子量(ポリスチレン換算による数平均分子量)が5000以下、好ましくは3000以下のものが挙げられる。その具体例としては、ステアリン酸、ラウリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸のような低分子有機カルボン酸、低分子有機アミンなどが挙げられる。
(3)高分子化合物による表面被覆化処理
粒子表面の少なくとも一部に高分子化合物を被覆させる方法である。具体的には粒子表面にモノマーを選択的に吸着させた後に高分子量化を行う手法、粒子存在下での乳化重合法、マイクロカプセル化手法、分散重合法、懸濁重合法、シード重合法、スプレードライ法、冷却造粒法、超臨流体を用いる方法、ヘテロ凝集法、乾式微粒子凝集法、相分離法(コアセルベーション法)、界面重合法、液中乾燥法(界面沈殿法)、オリフィス法、界面無機反応法、超音波法などを使用することができる。上記いずれかの手法を用いることで、所望の高分子化合物で表面の少なくとも一部を被覆することができる。
硬化性官能基としては、光重合官能基が好ましく、又加水分解性官能基含有の有機金属化合物は有機アルコキシシリル化合物が好ましい。これらの化合物の具体例としては、粒子表面が表面処理剤で処理されること(例えば、シランカップリング剤など:特開平11−295503号公報、同11−153703号公報、特開2000−9908号公報、アニオン性化合物あるいは有機金属カップリング剤:特開2001−310432号公報など)、高屈折率粒子をコアとしたコアシェル構造とすること(:特開2001−166104号公報など)、特定の分散剤使用(例、特開平11−153703号公報、特許番号US6210858B1、特開2002−2776069号公報など)などが挙げられる。ハードコート層の具体的な構成組成物としては、例えば、特開2002−144913号公報、同2000−9908号公報、WO0/46617号公報などの記載のものが挙げられる。
(塗布液調製工程)
まず、本発明の防眩性フィルムの製造方法は、互いに非相溶である2種類の樹脂B、Cを溶媒に溶解させた防眩層形成用塗布液と、互いに非相溶である置換基にポリマー全体の屈折率を低下させる分子構造を含む第1のポリマーと樹脂Aとを溶媒に溶解させた低屈折率形成用塗布液を調製する。各塗布液の混合方法としては、樹脂(樹脂材料)を溶媒に溶解することができれば、特に限定されず行うことができる。
[防眩層形成用塗布液]
下層として塗布される防眩層形成用塗布液は互いに非相溶である少なくとも2種類の樹脂材料を少なくとも1種類の溶媒に溶解することで調製される。
[低屈折率層形成用塗布液]
上層として塗布される低屈折率形成塗布液は置換基にポリマー全体の屈折率を低下させる分子構造を含む第1のポリマーと第1のポリマーと相分離構造を形成する樹脂材料を溶媒に溶解することで調製される。
第1のポリマーとしては、屈折率を周囲の樹脂材料より下げることができれば特に限定されず用いることができるが、例えばフッ素分子を含む分子構造を有するポリマーを用いることができる。具体的には、上記防眩層形成用塗布液中に含まれる樹脂材料にフッ素を含有させたものを挙げることができ、フッ素含有オレフィン樹脂、フッ素含有アクリル樹脂、フッ素含有アルキルシラン化合物などを使用することができる。具体的には、2,2,2,−トリフルオロエチルアクリレート、パーフロロオクチルエチルアクリレート、3,3,3−トリフロロプロピルメチルジクロロシラン、トリデカフロロ−1,1,2,2−テトラヒドロキシルジメチルクロロシラン、ヘプタデカフロロ−1,1,2,2−テトラ−ヒドロキシルジメチルクロロシランなどの共重合体を用いることができる。また、ポリマー中に屈折率を低下させる分子構造を含まないモノマーを含有させることもできる。
相分離の開始を調整する方法としては、低屈折率層形成用塗布液と防眩層形成用塗布液に含まれる成分の比率を、つまりそれぞれの塗布液中の溶質の比率や溶媒の比率を調整することで、乾燥工程中の上層と下層が相分離を開始する時間を制御し、上層の相分離の開始を下層の相分離の開始よりも早くすることができる。具体的には、上層の場合予め溶質の比率をできるだけ相分離の起こりやすい比率にしたり溶媒の比率を下げたりして、相分離が始まる時間を早くし、下層の場合予め溶質の比率をできるだけ相分離の起こりにくい比率にしたり溶媒の比率を上げたりして、相分離の始まる時間を遅くする。各塗布液の成分の比率は、例えば、どのような溶媒溶質比率であると相分離が起きるかを事前に実測しておき、そのうえで、所望のタイミングとなるように塗布液の調製を行うことができる。
このようにして得られた防眩性フィルムを所定サイズに切り取り、液晶ディスプレイに貼り付け、見栄えを以下の基準で評価した。結果を図4に示す。
優…まったく白化していない
良…よく見ると白化していることがわかる(製品としては問題ないレベル)
可…ある程度白化している(製品としては問題ないレベル)
不可…白化している
〔比較例1〕
実施例1において上層の塗布液に粒子を入れずに調製したこと以外は実施例1と同様にして塗布液を形成した。
〔比較例2〕
実施例1において上層の塗布液の粒子を疎水化処理せずに調製したこと以外は、実施例1と同様にして塗布液を形成した。
結果を図4に示す。防眩性フィルムの表面に低屈折率を形成することで、乱反射による白化を防止することができた。また、1回塗布することで、防眩層と低屈折率層の両方を形成することができ、コスト的に有利な製造方法を提供することができた。
即ち、以下に示す塗布液を調製し、厚さ80mmのトリアセチルセルロース(フジタック、富士フィルム(株)製)上に塗布した。塗布した瞬間の膜厚は、上層下層ともに50μmであった。塗布後に乾燥風を当てることで乾燥を行った。その際、溶媒の乾燥速度が0.6g/m・sになるよう乾燥させた。その後、100℃、1分間熱処理を行った。
[実施例13]
実施例1において下層、防眩層を以下のよう調製したこと以外は実施例1と同様にして塗布膜を作成した。
図7A及び7Bより、防眩性フィルムの表面に低屈折率を形成することで、乱反射による白化を防止することができた。また、1回塗布することで、防眩層と低屈折率層の両方を形成することができ、コスト的に有利な製造方法を提供することができた。

Claims (9)

  1. 防眩層形成用塗布液と低屈折率層形成用塗布液とのそれぞれに偏在可能な成分を含む塗布液を調整する工程と、
    上層として前記低屈折率層形成用塗布液を、下層として前記防眩層形成用塗布液を、支持体の上に塗布し塗布層を形成する塗布工程と、
    前記塗布層を乾燥させ相分離することにより偏在させて防眩層と低屈折率層を形成する乾燥工程と、を有する防眩性フィルムの製造方法。
  2. 互いに非相溶である少なくとも2種類の樹脂材料を少なくとも1種類の溶媒に溶解させた少なくとも1種類の防眩層形成用塗布液と、樹脂材料と疎水性の粒子を溶媒に溶解させた低屈折率層形成用塗布液と、を調整する工程と、
    上層として前記低屈折率層形成用塗布液を、下層として前記防眩層形成用塗布液を、支持体の上に塗布し塗布層を形成する塗布工程と、
    前記粒子を前記塗布層の気液界面に移動させる粒子移動工程と、
    前記塗布層を乾燥させ相分離することにより防眩層と低屈折率層を形成する乾燥工程と、を有する防眩性フィルムの製造方法。
  3. 前記低屈折率層形成用塗布液中の粒子の80%以上の粒子が、前記低屈折率層中に含まれている請求項2に記載の防眩性フィルムの製造方法。
  4. 前記低屈折率層形成用塗布液中の前記粒子の溶媒に対する比率をr[−]、溶媒が半減するまでの時間をt[s]、前記塗布工程における上層の初期膜厚をd[m]としたときに、1/rとtとdの乗が6×10−2以上を満たすようにそれぞれの調整する請求項2または3に記載の防眩性フィルムの製造方法。
  5. 互いに非相溶である少なくとも2種類の樹脂材料を少なくとも1種類の溶媒に溶解させた防眩層形成用塗布液と、置換基にポリマー全体の屈折率を低下させる分子構造を含む第1のポリマーと前記第1のポリマーと相分離構造を形成する1つ以上の樹脂材料を少なくとも1種類の溶媒に溶解させた低屈折率層形成用塗布液とを調整する塗布液調整工程と、
    上層として前記低屈折率層形成用塗布液を、下層として前記防眩層形成用塗布液を、支持体の上に塗布し塗布層を形成する塗布工程と、
    前記塗布層を乾燥させ、前記低屈折率層形成用塗布液と前記防眩層形成用塗布液を相分離することにより、低屈折率層と防眩層を形成する乾燥工程と、を有する防眩性フィルムの製造方法。
  6. 前記第1のポリマーに含まれる置換基にポリマー全体の屈折率を低下させる分子構造が、フッ素分子を含む分子構造である請求項5に記載の防眩性フィルムの製造方法。
  7. 前記塗布液調整工程において、前記乾燥工程における前記低屈折率層形成用塗布液の層分離の開始が、前記防眩層形成用塗布液の相分離の開始よりも早くなるように、該低屈折率層形成用塗布液内の前記第1のポリマーおよび前記樹脂材料と前記溶媒、および、該防眩層形成用塗布液内の前記樹脂材料と前記溶媒の比率を調整する請求項5または6に記載の防眩性フィルムの製造方法。
  8. 前記塗布液調整工程において、前記乾燥工程における前記防眩層形成用塗布液の相分離の開始が、前記低屈折率層形成用塗布液のスピノーダル分解開始後に始まるように、該低屈折率層形成用塗布液内の前記第1のポリマーおよび前記樹脂材料と前記溶媒、および、該防眩層形成用塗布液内の前記樹脂材料と前記溶媒の比率を調整する請求項7に記載の防眩性フィルムの製造方法。
  9. 前記塗布工程において、前記上層と前記下層とを同時重層塗布する請求項1〜8の何れか1に記載の防眩性フィルムの製造方法。
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